JP4497595B2 - 電解コンデンサ用アルミニウム合金箔 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム合金箔 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサ用アルミニウム合金箔に関し、特に、一次電解エッチングによりアルミニウム合金箔の表面に形成した初期ピットを、塩素イオンを含む処理液中で直流電解エッチングおよび/または化学エッチングにより二次エッチングして時間効率良くトンネル状ピットに拡大できる、静電容量の高い高電圧用電解コンデンサの電極用に適したアルミニウム合金箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金箔は、電気化学的エッチングにより表面にピットを形成して表面積を増大させた後、さらに直流電圧を印加して陽極酸化することにより表面に誘電体として耐電圧性の緻密な酸化皮膜を化成して、コンデンサの電極として用いられている。
【0003】
コンデンサは用途により低・中・高電圧用に分類され、特に高電圧用の電解コンデンサは200V程度以上の電圧に耐える必要があり、そのためのアルミニウム合金箔電極は、アルミニウム合金箔に酸化皮膜を化成する際の化成電圧を200V以上として厚い酸化皮膜を形成して製造される。
アルミニウム合金箔を電気化学的にエッチングして表面積を増大させた後、上述のような厚い酸化皮膜を化成してアルミニウム合金箔電極とする際、エッチングで形成されたピットが厚い酸化皮膜で埋まらないように、電気化学的エッチングによる表面積増大処理は直流電解エッチングにより行って、必要な直径を有しかつ箔の厚さ方向に細長く延びたトンネル状のピットに拡大している。
【0004】
近年、コンデンサの小型化の傾向に伴い、静電容量の向上が強く求められるようになってきた。また同時に生産性の観点から、短いエッチング時間で効率良く高い静電容量が得られることも要求されるようになった。
例えば、特開昭63−90115号公報には、Al純度99.9%以上で、かつエッチングピット数密度を増加させて箔の静電容量を増大させるためのCr,Mo,W,Nb,Ta元素の一種または二種以上を1〜10ppm 含有した電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔に対して、塩酸水溶液中で直流エッチングを施し、しかる後直流電圧を印加して化成処理する方法が開示されている。
【0005】
また特開平6−271962号公報には、Si,Fe、およびエッチングピットの進行を促進して静電容量を増大させるためのCuの特定量を含み、さらにエッチングピットの分散を良好にしてエッチング後の折り曲げ強度を向上させるためのZr,Mo,W元素の一種または二種以上の特定量を含有するアルミニウム合金箔に対して、塩酸、硝酸、燐酸からなる溶液中で交流を印加してエッチングする方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の特開昭63−90115号公報に記載されている方法は、アルミニウム合金箔に直流エッチングを施した後、直流電圧を印加して化成処理する方法であって、直流エッチング後のエッチングピット拡大処理がないので静電容量が低い上、直流エッチング処理の時間効率も低いという欠点がある。
【0007】
また前述の特開平6−271962号公報に記載されている方法は、交流を印加してエッチングする方法であり、交流を印加して得られるエッチングピットは、一つのエッチングピットに多数の微細な枝分かれしたセルを有する。このセルはセルの内壁に厚い酸化皮膜を化成するとセル自体が酸化皮膜で埋まってしまうため、十分高電圧に耐え得る厚い酸化皮膜を形成することがきない。
【0008】
本発明は、静電容量が高い高電圧電解コンデンサ用に適し、初期エッチングピットを短時間の処理でトンネル状ピットに拡大することができ、時間効率よくトンネル状ピットを形成できる高電圧電解コンデンサ用のアルミニウム合金箔を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の欠点を解消し、高い静電容量を付与するトンネル状ピットを時間効率良く形成できる高電圧電解コンデンサ用アルミニウム合金箔について検討した。
その結果、Cuと共にMoの特定量を含有させ、かつTi,V,Cr,Zr,Wの総含有量を制限したアルミニウム合金箔は、塩酸を含有する水溶液中で直流を印加して初期エッチングピットを形成した後、塩素イオンを含有する水溶液中での直流電解エッチングおよび/または化学エッチングを施すと、初期エッチングピットをトンネル状ピットへ短時間で拡大できることを見出して本発明を完成したものである。
【0010】
即ち本発明は、電解コンデンサ用アルミニウム合金箔において、
Al:99.98wt%以上、
Si:5〜30ppm 、
Fe:5〜30ppm 、
Cu:25〜70ppm 、
Mo:0.5〜20ppm 、
Pb:0.1〜40ppm 未満、ただし表面から0.1μmの深さまでの表層部におけるPb:40〜2000ppm 、および
不可避不純物からなり、かつ該不純物としてのTi、V、Cr、Zr、Wの総量が10ppm 以下である
ことを特徴とする、塩素イオンを含む処理液中におけるトンネル状ピット形成効率の高い高電圧電解コンデンサ用アルミニウム合金箔である。
【0011】
本発明のアルミニウム合金箔に、直流電解エッチングによる一次エッチングを施すことにより、直径も深さも極めて小さい微細な漏斗状の初期ピットが形成され、次いで塩素イオンを含む処理液中で直流電解エッチング、化学エッチング、または両者の併用による二次エッチングを施すことにより、短時間で初期ピットが直径方向に適度に拡大すると同時に深さ方向に顕著に拡大し、高電圧に耐え得る厚い酸化皮膜を化成でき且つ高い静電容量に必要な大きな表面積を付与できる、十分な直径および長さのトンネル状のピットが効率良く形成ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のアルミニウム合金箔の化学組成について説明する。
<Al:99.98wt%以上>
従来、一般に用いられているアルミニウム合金箔には、アルミニウムの製錬、精製、溶製過程でFe,Si,Cu,Ti,V,Ga等の元素が不純物元素として混入するが、種々の品質(品位)のアルミニウムを組み合わせ配合することによってそれらの元素の含有量を調整できる。最終的に得られるアルミニウム合金箔は、このように不純物元素を調整した後に、有意元素としてある種の元素を添加配合して諸特性を付与されている。アルミニウム合金箔中に含有される諸元素の分析には、種々の方法がある。例えば化学分析法は試料が小さい場合は有利であるが、多元素を分析するには時間がかかり不向きである。グロー放電質量分析法による場合は、Fe,Si,Cuを含め50数種の元素を定量的に分析できる利点がある。しかしO,N,Cはグロー放電質量分析法には適さない。
【0013】
本発明におけるアルミニウム合金箔は、このような不純物元素を調整し、有意元素を添加配合したアルミニウム合金から成る。
本発明において、Al:99.98wt%以上とは、化学分析またはグロー放電質量分析法によってFe,Si,Cu,Ti,V,Gaをはじめ50数種の元素(ただし、O、N、Cは除く)を定量的に分析し、それらの合計値を100から引いた差として定義する。ここでO、N、Cを除いたのは、これらの元素が分析試料の作製工程で取り込まれ易いため、分析結果の信頼性が低いからである。
【0014】
<Si:5〜30ppm 、Fe:5〜30ppm >
塩素を含む処理中での直流電解エッチングおよび/または化学エッチングによる二次エッチングにより、アルミニウム合金箔の厚さ方向に延びたトンネル状のピットを得るには、アルミニウムのfcc結晶構造の(100)面が箔のエッチング面(箔面)に対して平行であることが望ましく、エッチング面に平行な(100)面の占める割合が高いほど高い静電容量を得ることができる。
【0015】
このようなアルミニウム合金箔は、厚さ100μm程度の箔に圧延する箔圧延最終工程において、真空または不活性ガス雰囲気中で470〜600℃の温度で熱処理して再結晶させることにより、アルミニウムのfcc結晶構造の(100)面をエッチング面(圧延面)と平行になるように揃える。その際、箔のエッチング面に対して平行な(100)面が95%以上となることが望ましい。再結晶組織中に直径1mmを超えるような粗大結晶粒があると箔の静電容量を低下させるので、直径0.5mm程度以下の微細結晶粒から成る再結晶組織が好ましい。
【0016】
SiまたはFeの少なくとも一方が上限値の30ppm を超えて含有されると、SiまたはFeを含む金属間化合物が晶出または析出し、(100)面が箔のエッチング面に対して平行となるように再結晶することを妨げる傾向があるので好ましくない。またSiまたはFeの少なくとも一方が下限値の5ppm 未満となると、上述の粗大結晶粒が発生し易く好ましくない。
【0017】
<Cu:25〜70ppm 、Mo:0.5〜20ppm >
既に説明したように、静電容量の高い高圧用の電解コンデンサ用アルミニウム合金箔電極は、トンネル状のエッチングピットが数多く密に設けられている必要がある。このようなトンネル状のエッチングピットを形成するには、先ずアルミニウム合金箔を電解液中で直流印加によりエッチングする必要がある。しかしながらこのエッチングを単に長時間続けていても静電容量の高い箔は得られない。
これはピットが楔状に拡大してしまい対投影面積比としてエッチング面をそれほど大きくは拡大できないからであると考えられる。
【0018】
本発明においては、アルミニウム合金箔を電解液中で直流電解エッチングによる一次エッチングを施して初期ピットを形成した後、塩素を含む電解液中で直流電解エッチングおよび/または化学エッチングによる二次エッチングを行って初期ピットを拡大しトンネル状のエッチングピットを形成し、静電容量の高い高電圧用の電解コンデンサ用アルミニウム合金箔とする。初期エッチングピットは直径も深さも極めて小さい微細な漏斗状であるのに対して、二次エッチングにより拡大されたトンネル状ピットは、高耐圧を付与する厚い酸化皮膜を形成でき且つ高い静電容量が確保できる大きな表面積を付与するために、十分な直径を有し且つ箔の厚さ方向に細長く延びた形状を有する。
【0019】
CuとMoの共存は、直流電解処理による一次エッチングにおいて初期ピットを多数形成するのに寄与すると共に、直流電解エッチングおよび/または化学エッチングによる二次エッチングにより初期ピットを筒状すなわちトンネル状に拡大する速度を向上させ、これにより短時間の処理で高耐圧・高静電容量の箔を製造できる。
【0020】
CuあるいはMoが単独で存在する場合は、二次エッチングにより初期ピットをトンネル状に拡大する際に、CuまたはMoの含有量を単独で増加させても拡大速度の向上は少なく、その結果、得られるアルミニウム合金箔の静電容量の向上も小さい。
本発明においてCuとMoの共存効果が得られる理由は必ずしも全て解明されているわけではないが、CuとMoが何らかの相互作用を及ぼし合いながらAlと局部電池を構成して化学溶解を促進させ、初期ピットの拡大を促進しているものと考えられる。
【0021】
Cu含有量またはMo含有量の少なくとも何れか一方が下限値未満であると、二次エッチングにおける初期ピット拡大効果が低下し、またCuまたはMoの少なくとも何れか一方が上限値を超えると、エッチング中に表面溶解が激しくなり、初期ピット拡大後のトンネル形状が崩れて、対投影面積比としてエッチング面を大きくは拡大できなくなり静電容量の高いアルミニウム合金箔が得られない。
拡大処理が安定する好ましいMoの量は1〜10ppm である。
【0022】
<Ti、V、Cr、Z、Wの総量:10ppm 以下>
Alと包晶反応を起こす元素、特にTi,V,Cr,Zr,Wは、直流電解エッチングおよび/または化学エッチングによる二次エッチングにおいて表面溶解に影響し、その総量が上限値を超えると表面溶解が激しくなり、初期ピットの拡大後のトンネル形状が崩れて、対投影面積比としてエッチング面を大きくは拡大できなくなり静電容量の高いアルミニウム合金箔が得られない。
【0023】
<Pb:0.1〜40ppm 未満、ただし表面から少なくとも0.1μmの深さの表層部のPb:40〜2000ppm >
Pbはアルミニウム合金箔の製造工程中で受ける熱の影響によってアルミニウム合金箔の表面に濃縮する。すなわち、箔圧延の素材に含有されているPbは、箔圧延の最終工程である高温焼鈍処理、特に470℃以上の処理によって箔表面に拡散濃縮する。表面にPbが濃縮して存在すると箔表面の溶解性を良好にし、一次エッチングにおける初期ピットの形成を促進する。その結果、直流電解エッチングおよび/または化学エッチングによる二次エッチングにおける初期ピット拡大も一層促進して、静電容量の向上に寄与する。
【0024】
一次エッチングによる初期ピットの形成に影響するのは表面からせいぜい0.1μm程度の深さまでであるから、この深さまでの表層に濃縮されたPbがあればよい。したがって、アルミニウム合金箔表面から0.1μmの深さまでの表層にPbを40〜2000ppm を含有させておくと一次エッチングにおける初期ピット形成促進効果が得られる。下限値未満であれば効果少なく、上限値を超えるとエッチング中に過剰な表面溶解が生じて、逆に静電容量を低下させる。箔内部にはPbが存在してもよいが、必須ではない。
【0025】
箔全体としてのPb含有量は、40ppm 未満とする。その理由は、40ppm 以上になると、箔圧延の最終工程である高温焼鈍処理によって箔表面に拡散濃縮するPb量が2000ppm を超え、上述の不都合が生じるからである。一方、箔表面から少なくとも0.1μm深さまでの表層にPbが40〜2000ppm存在するためには、箔全体としてのPb含有量は0.1ppm 以上必要であり、一般に0.2〜2ppm 程度で十分である。
【0026】
その他の不純物としては、Zn,Ga,B等の元素がアルミニウムの製錬または精製および溶製過程で混入するが、本発明においては、Znの50ppm 以下、Gaの50ppm 以下、Bの10ppm 以下の含有は特に影響ないので許容できる。
他の元素については10ppm 程度までは許容できる。
次に好ましい製造方法について説明する。
【0027】
静電容量の高いアルミニウム合金箔を得るには、まず上記した組成のアルミニウム合金箔を電解液中でアルミニウム合金箔を陽極として直流電解エッチングによる一次エッチングを行ってアルミニウム合金箔表面に初期ピットを形成する。
この一次エッチングのための直流電解エッチングにおいて印加する電流密度の好ましい範囲は100〜300mA/cm2 で、この範囲であると好ましい数の初期ピットが形成される。初期ピット数が少なすぎると表面積増大効果が小さくなり、初期ピット数が多すぎるとトンネル状ピットへの拡大処理時に隣接ピット同士が合体して表面積増大効果が減少する。
【0028】
一次エッチングのための直流電解エッチングで使用する電解液は、好ましくは塩素イオンを含有する電解液、更に好ましくは塩酸または塩酸を主成分とする電解液を用いる。量的割合の好ましい値は塩素イオンとして0.5〜2モル/リットル含有するものである。これはアルミニウム合金箔表面に形成される酸化皮膜を溶解しエッチングを良好に促進させるためである。この場合塩素イオンのみの水溶液でもよいが、硫酸、燐酸、硝酸等を添加するとピット数を増加しかつ均一にエッチングさせることができて好ましい。最も好ましいのは硫酸で、硫酸を好ましくは2〜4モル/リットル添加すると良い結果が得られる。
【0029】
この一次エッチングのための直流電解エッチングは高温で処理すると反応が促進されて好ましいが高温に過ぎると反応が速過ぎて箔面に均一な初期エッチングピットを形成し難くなる。この処理温度は60〜95℃が好ましい。
処理時間が短かければ均一な初期エッチングピットを多数形成し難く、その結果高い静電容量のアルミニウム合金箔が得られないが。長時間処理すると箔表面が溶解し過ぎて初期ピットが不均一になり高い静電容量のアルミニウム合金箔が得られない。好ましい処理時間は電気量で15〜30クローン/cm2 となる時間である。
【0030】
次に、直流電解処理、化学処理、または両者の併用による二次エッチング処理を行い、初期エッチングピットを拡大してトンネル状のピットとする。直流電解処理および/または化学処理による二次エッチングの処理条件は、処理液の塩素イオン濃度を一次エッチングのための直流電解エッチングにおける電解液中の塩素イオン濃度よりも高くし、かつ1モル/リットル以上含有させる。塩素イオン濃度が1モル/リットル未満では箔に所定の静電容量を付与するまでの処理時間が長くなって好ましくない。濃度の上限は特に規定されるものではないが、箔表面の溶解抑制の観点から、3モル/リットル以下が好ましい。塩素イオン濃度が一次エッチングの電解液中の塩素イオン濃度よりも同じか低いと一次エッチングで得られた初期ピットの径がトンネル状に拡大せず、静電容量の高い箔が得られない。
【0031】
この場合、直流電流を印加しないで化学処理でもよいが、直流を印加するとピット拡大速度が速くなって表面溶解による不利が少なくなって好ましい。直流印加密度が100mA/cm2 の値を超えると、表面の溶解が促進され過ぎて好ましくない。
二次エッチングのための処理液温度はCuおよびMo元素によるピット拡大の速度効果を高めるために80〜95℃がの温度範囲が好ましい。
【0032】
処理液には更に箔の静電容量向上のために硫酸イオン、硝酸イオン、蓚酸イオン、燐酸イオン等を適宜添加することができる。
このようにして得られた初期ピットを拡大して実質的にトンネル状のピットを有するアルミニウム合金箔は、次に化成処理して実質的にトンネル状のピット表面に酸化物誘電層で覆う。
【0033】
この化成処理は硼酸を含有する溶液を使用すればよい。
この印加電圧は使用する箔の使用電圧に対応するもので、高圧用であるので150〜700V程度の電圧を印加してピット表面に厚さ200〜1000nmの酸化皮膜を形成する。
【0034】
【実施例】
(試料の調整)
表1に示す組成の金型鋳造スラブを600℃の温度に10時間保持して均質化処理を施した後水冷し、冷間圧延して厚さ130μmの薄板とした。この薄板を260℃の温度に5時間保持して中間焼鈍を施し更に冷間圧延して厚さ106μmのアルミニウム合金箔とした。なお、箔の組成はグロー放電質量分析装置を用いて行った。また、Pbの添加量はいずれも0.5ppm とし、表面から0.1μm深さまでの表層Pb量が500ppm となるように、500℃のArガス雰囲気中で6時間保持して焼鈍を行い評価用試料とした。なお、Pbの組成は湿式化学分析で行った。また、表1中に表示した以外の元素の含有量は安定して微量であったので、Al含有量(%)は100%から表示の元素含有量の合計値を減じた値とした。
(エッチング処理条件)
一次エッチング:電解処理(漏斗状初期ピット形成)
電解液:1モル/リットル塩酸+3モル/リットル硫酸混合水溶液、
液温度:80℃
印加電流:直流200mA/cm2
処理時間:120秒
電気量:24クーロン/cm2
二次エッチング:電解処理(ピット径・長拡大→トンネル状ピット形成)
電解液:2モル/リットル塩酸+0.1モル/リットル硫酸混合水溶液、
液温度:85℃
印加電流:直流50mA/cm2
処理時間:180〜540秒
上記二次エッチングによりトンネル状のピットが形成されていることを確認した。
【0035】
化成処理
二次エッチングの電解処理後、温度85℃の0.2モル/リットル硼酸および0.0013モル/リットル硼酸アンモニウム水溶液中で、250Vを印加して化成処理した。
このようにして処理した試料の静電容量を測定した。測定方法は下記のとおりである。
【0036】
静電容量測定方法
30℃の0.04モル/リットル硼酸アンモニウム水溶液中でLCRメータを用いて周波数120Hzで測定した。
上記の測定結果をまとめて図1に示す。図1に示したように、本発明例(合金番号1,2,3,4)は最高静電容量値に至るまでの処理時間が短く、しかも静電容量の高いことが確認できる。
【0037】
一方、Alと包晶を形成する元素であるTi、V、Cr、Zr、Wの総量が本発明条件を外れる比較例(合金番号 5)は、最高静電容量値に至るまでの処理時間は短いが、著しい表面溶解のため静電容量が低いことが確認できる。
Mo量が本発明条件を外れる比較例(合金番号6,7,8)およびCu量が本発明条件を外れる比較例(合金番号9,10,11)は最高静電容量値に至るまでの処理時間が長く、しかも静電容量が低いことが確認できる。
【0038】
このように、本発明による電解コンデンサ用アルミニウム合金箔は電解処理による二次エッチング時間が短くて、しかも5.3μmF/2.5cm2 以上の高静電容量を有する。
【0039】
【表1】
Figure 0004497595
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、静電容量が高い高電圧電解コンデンサ用に適し、初期エッチングピットを短時間の処理でトンネル状ピットに拡大することができ、時間効率よくトンネル状ピットを形成できる高電圧電解コンデンサ用のアルミニウム合金箔が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、電解処理による二次エッチング時間と静電容量との関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 電解コンデンサ用アルミニウム合金箔において、
    Al:99.98wt%以上、
    Si:5〜30ppm 、
    Fe:5〜30ppm 、
    Cu:35〜70ppm 、
    Mo:0.5〜20ppm 、
    Pb:0.1〜40ppm 未満、ただし表面から0.1μmの深さまでの表層部におけるPb:40〜2000ppm 、および
    不可避不純物からなり、かつ該不純物としてのTi、V、Cr、Zr、Wの総量が10ppm 以下である
    ことを特徴とする、塩素イオンを含む処理液中におけるトンネル状ピット形成効率の高い高電圧電解コンデンサ用アルミニウム合金箔。
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