JP2007238994A - 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 - Google Patents

電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 Download PDF

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Abstract

【課題】高い静電容量を発揮できるコンデンサを製造するための電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供する。
【解決手段】電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に関する。特に、本発明は、交流エッチング及び陽極酸化処理の後に高い静電容量を達成できる電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に関する。
アルミニウム箔は、エッチング処理を行い、エッチングピットを形成することにより、表面積を増大させることができる。そして、その表面に陽極酸化処理を施すことにより、酸化皮膜を形成し、これが誘電体として機能する。このため、アルミニウム箔をエッチング処理し、その表面に使用電圧に応じた種々の電圧で陽極酸化皮膜を形成することにより、所望の用途に適合する各種の電解コンデンサ用アルミニウム電極箔を製造することができる。
エッチング処理で形成されるエッチングピットは、陽極酸化電圧に対応した形状に処理される。
具体的には、中高圧用のコンデンサ用途には、厚い酸化皮膜を形成する必要がある。このため、そのような厚い酸化皮膜でエッチングピットが埋まらないように、中高圧陽極用アルミニウム箔では、主に直流エッチングを行うことによりエッチングピット形状をトンネルタイプとし、電圧に応じた太さに処理される。
一方、低圧用コンデンサ用途では、細かいエッチングピットが必要であり、主に交流エッチングによって海綿状のエッチングピットを形成させる。さらに、交流エッチングの後に、化学エッチングでエッチングピット径の調整を行うなど、複雑な多段階エッチングが採用されている。このエッチング処理の際、アルミニウム箔の過剰な溶解が起こると、形成された微細なエッチングピットが破壊されるため、有効な表面積拡大を達成できなくなる。
近年、コンデンサの更なる小型化の傾向に伴い、静電容量の向上が強く求められるようになり、種々の元素を添加したアルミニウム箔が提案されている。例えば、特開平5−5145号公報(特許文献1)には、Zn:1〜100ppm、Mn:1〜 50ppm、Cu:5〜100ppm、Fe:5〜100ppm、Si:5〜100ppm、Ga:5〜100ppm、Pb:0.05〜10ppmを含有し、残りがアルミニウム99.9%以上と不可避不純物とからなる電解コンデンサ電極箔用アルミニウム合金が開示されている。
また、特開平8−269601号公報(特許文献2)には、Alの純度が99.95%以上でCu:0.0003乃至0.0024重量%を含有し、残部が不可避的不純物からなる電解コンデンサ陽極用アルミニウム箔が開示されている。この発明の[0017]〜[0018]段落によると、残部の不可避的不純物の許容量は、Si:0.0060%、Fe:0.0060%、Mn:0.0015%、Cr:0.0010%、Zn:0.0030%、Ti:0.0010%、Ni:0.0010%、Ga:0.0030%、Pb:0.0005%、B:0.0020%、Sn:0.0010%と記載されている。
さらに、特開平11−233381号公報(特許文献3)には、箔合金組成において、アルミニウム純度が99.9%以上であるとともに、Si:0.0010〜0.0100wt%、Fe:0.0010〜0.0100wt%、Cu:0.0005〜0.050wt%、Ga:0.0050wt%以下及び不可避不純物を含有する硬箔である電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔が開示されている。
しかしながら、これらの元素の添加によっても、アルミニウム箔の過剰な溶解を抑制することは困難である。すなわち、これらの技術によっても、微細なエッチングピットを保持して有効な表面積拡大を達成させるには十分とは言えず、コンデンサの静電容量増大という点でさらなる改善の余地がある。
特開平5−5145号公報 特開平8−269601号公報 特開平11−233381号公報
従って、本発明の主な目的は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、より高い静電容量を発揮できるコンデンサを製造するための電解コンデンサ電極用アルミニウム箔を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の化学組成を有する電解コンデンサ電極用アルミニウム箔が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。特に、3〜20ppmのCuが微細なエッチングピットの進行を促進すること、31〜150ppmのGaがアルミニウム箔の過剰な溶解を抑制しつつ微細なエッチングピットの進行を促進すること、5ppm以下のTi及び0.1ppm以下のNiがアルミニウム箔の過剰な溶解を抑制するという知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔に係る。
1. 電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
2. Gaが51ppm以上150ppm以下である、前記項1に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
3. Pbが0.05ppm未満である、前記項1又は2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
4. アルミニウム箔表面に酸化皮膜を有する、前記項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
5. 前記酸化皮膜の厚みが5〜200Åである、前記項4に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
6. 前記項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム箔から得られる電解コンデンサ電極。
7. Al:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金。
8. Gaが51ppm以上150ppm以下である、前記項7に記載のアルミニウム合金。
9. Pbが0.05ppm未満である、前記項7又は8に記載のアルミニウム合金。
10. 電解コンデンサ電極用として用いる、前記項7〜9のいずれかに記載のアルミニウム合金。
本発明のAl箔は、Cu、Ga等の特定成分が一定量の範囲内に制御されていることから、静電容量がより高い電解コンデンサ電極を提供することが可能となる。特に、本発明のAl箔は、低圧エッチング用箔として有用である。
1.電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
本発明の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔(本発明Al箔)は、電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする。以下、それぞれの成分について説明する。なお、本明細書中の「ppm」は、「質量ppm」の意である。
<Al>
本発明Al箔は、アルミニウムが99.9質量%以上、好ましくは99.95質量%以上である。本発明におけるアルミニウム箔は、このような不純物元素を調整し、有意元素を添加配合したアルミニウム合金からなる。このようなアルミニウム合金(スラブ)も本発明に包含される。
本発明におけるAl含有量は、化学分析またはグロー放電質量分析法によってSi、Fe、Cu、Ga、Ti、Ni、Pb、V、Zn及び任意の添加元素(ただし、O、N、Cは除く)を定量的に分析し、それらの合計値を100から引いた差として定義する。ここでO、N、Cを除いたのは、これらの元素が分析試料の作製工程で取り込まれ易いため、分析結果の信頼性が低いためである。
従来、一般に用いられている電解コンデンサ電極用アルミニウム箔には、アルミニウムの製錬、精製、溶製過程でFe、Si、Cu、Ti、V、Ga等の元素が不純物元素として混入するが、種々の品質(品位)のアルミニウムを組み合わせて配合することによってそれらの元素の含有量を調整することができる。最終的に得られるアルミニウム箔は、このように不純物元素を調整した後に、有意元素を添加配合して諸特性が付与される。本発明におけるアルミニウム箔は、このような不純物元素を調整し、有意元素を添加配合したアルミニウム合金から構成される。
<Si及びFe>
本発明Al箔におけるSi及びFeは、いずれも5〜150ppm、好ましくは15〜100ppmとする。Si又はFeの少なくとも一方が150ppmを超える場合は、アルミニウム箔の過剰な溶解を起こし、有効な表面積拡大を妨げる傾向がある。また、Si又はFeの少なくとも一方が下限値の5ppm未満となると、上述のアルミニウム箔の機械的強度を維持できなくなるおそれがある。
Si及びFeは、アルミニウムを精錬して高純度アルミニウムを得る過程で除去されるが、工業的には不可避不純物として残存している。一方、アルミニウム箔の機械的強度を維持するために、必要に応じて積極的に特定量添加しても良い。本発明では、いずれの場合も包含される。Si及びFeは、アルミニウム箔の製造過程、特に、熱間圧延、中間焼鈍及び最終焼鈍時に析出しやすい。これらの析出物は、交流エッチングによって海綿状のエッチングピットを形成させる際に、アルミニウム箔の過剰な溶解を起こし、形成された微細なエッチングピットが破壊し、有効な表面積拡大を阻害する原因になる。かかる見地からも、Si及びFeの含有量は、上記範囲に特定される。
<Cu>
本発明Al箔におけるCuは、通常3〜20ppm程度、好ましくは5〜15ppm含まれる。Cuは、不可避不純物として残存しにくい元素ではあるが、交流エッチングによって海綿状のエッチングピットを形成させる際に必要な元素であり、通常は添加することにより含有量が調整される。Cuが3ppm未満である場合は、海綿状のエッチングピットが十分に形成されない。また、Cuが20ppmを超える場合は、アルミニウム箔の溶解が激しくなり、対投影面積比としてエッチング面を大きくは拡大できなくなり静電容量の高いアルミニウム箔が得られない。
<Ga>
本発明Al箔において、Gaは、一般的には31〜150ppm程度、好ましくは51〜150ppm含まれる。本発明Al箔において、Gaは、上記のSi、Fe及びNiによるアルミニウム箔の過剰な溶解を抑制するとともに、交流エッチングによって海綿状のエッチングピットを形成させる際に、微細なエッチングピットの進行を促進するために必要な元素である。特に、Gaは、Al−Fe系金属間化合物とマトリックスとの界面に濃縮されることにより不働体化し、特に2回目以降の交流エッチング時において、アルミニウム箔の過剰な溶解を抑制することができる。Gaが31ppm未満である場合は、過剰な溶解を抑制できない上、海綿状のエッチングピットが十分に形成されない。また、Gaが150ppmを超える場合は、アルミニウム箔の溶解が激しくなり、対投影面積比としてエッチング面を拡大できなくなり、静電容量の高いアルミニウム箔が得られない。
<Ni>
本発明Al箔において、Niは、0.1ppm以下、好ましくは0.07ppm以下である。Niは、アルミニウムを精錬して高純度アルミニウムを得る過程で除去されるが、工業的には不可避不純物として残存している。Niの含有量が0.1ppmを超える場合は、アルミニウム箔の過剰な溶解を起こし、有効な表面積拡大を妨げる傾向がある。また、下限値は、機械的強度に及ぼす影響はないので、工業的に生産可能であれば特に限定されないが、一般的には0.05ppm程度であれば良い。
<Ti>
本発明Al箔において、Tiは、通常5ppm以下、好ましくは3ppm以下とする。Tiが5ppmを超えると、アルミニウム箔の過剰な溶解を起こし有効な表面積拡大を妨げる傾向がある。Tiは、アルミニウムを精錬して高純度アルミニウムを得る過程で除去されるが、工業的には不可避不純物として残存している。また、B等の他の不純物を除去するために特定量添加する場合もある。このことから、下限値は、通常は0.1ppm程度であれば良い。
<その他の成分>
Pbは、アルミニウムを精錬して高純度アルミニウムを得る過程でほとんど除去されるが、電解コンデンサ高圧用アルミニウム箔に積極的に添加される元素であるため、中低用アルミニウム箔の製造時に混入し、アルミニウム箔の過剰な溶解を起こし、有効な表面積拡大を妨げるおそれがある。Pbは、0.05ppmを超える場合もあるが、0.05ppm以下であることが好ましい。
その他の不純物としてのMn、Mg、Cr、Zn及びV等は、それぞれ100ppm以下であれば良い。
<Al箔厚み>
アルミニウム箔の厚みは限定的ではないが、一般的に20〜200μm、特に50〜150μmとすることが好ましい。同じ表面積であっても箔厚が大きくなると、アルミニウム箔単位重量あたりの静電容量は低くなることがある。200μmを超える箔厚は、最近の電解コンデンサ小型化の要求に反するものである。一方、箔厚が50μm未満では、エッチング後の強度が使用に耐えないまでに低下するおそれがある。
上記アルミニウム箔は工程途中で適宜焼鈍しても良く、アルミニウム箔を焼鈍して軟質箔としても良い。250℃以上で焼鈍する場合、焼鈍雰囲気は真空又は不活性ガスとすることが望ましい。
<酸化皮膜>
本発明Al箔は、その表面に酸化皮膜を有することが好ましい。この場合、酸化皮膜の厚みは限定的ではないが、通常は5Å以上とすれば良く、好ましくは5〜200Åである。特に、アルミニウム箔表面の酸化皮膜厚みは、初回のエッチング時の電流密度の均一性に影響を及ぼす。上記範囲内に設定することによって、エッチング工程終了時にアルミニウム箔表面のムラ発生を効果的に抑制し、良好な美観が得られるとともに、海綿状のエッチングピットを良好に形成し、より高い静電容量を得ることが可能となる。
なお、アルミニウム箔表面の酸化皮膜厚みの調整方法は特に限定されないが、加熱による熱酸化、陽極酸化、薬品等による化学的処理などが適宜選択できる。
2.電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法
本発明のアルミニウム箔は、合金組成を上記組成に設定するほかは、硬質箔又は軟質箔のいずれを問わず、公知の電解コンデンサ用アルミニウム電極箔の製法に従って製造することができる。
例えば、上記所定の組成を有する溶湯を調製し、これを鋳造して得られた鋳塊を450〜660℃で均質化処理した後、熱間圧延及び冷間圧延を施すことにより得ることができる。また、所定の組成を有するアルミニウム溶湯を調製し、これを直接鋳造圧延した後、冷間圧延を施して得ても良い。ここで、上記組成を有する溶湯は、本発明合金、すなわちAl:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金を出発原料として好適に用いることもできる。また、溶湯を調製する段階で本発明合金の組成に調合することもできる。
本発明Al箔から電解コンデンサ電極を製造する場合は、公知のエッチング方法、化成処理等に従って実施すれば良い。例えば、一次エッチング、二次エッチング及び三次エッチングを実施した後、化成処理を実施することにより、電解コンデンサ電極をより好適に作製することができる。各処理条件は、例えば下記のようにすれば良いが、これらに限定されるものではない。
一次エッチング
一次エッチング処理で使用するエッチング液は限定的でなく、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等を含有する酸水溶液等の公知のエッチング液を使用することができる。エッチング液の濃度は、特に限定されないが、通常は1〜10モル/L、好ましくは3〜8モル/Lとなるように設定すれば良い。エッチング液の温度は、特に制限されないが、好ましい液温度は30〜70℃である。液温度が高くなれば反応が促進されて好ましいが、高温になり過ぎると反応が速すぎて箔表面の溶解が激しく均一な初期トンネルピットを形成し難くなる。
一次エッチングは、一般的には交流(AC)にて実施される。その場合の電流密度は、一般的に0.3〜1A/cm程度とすることが好ましい。処理時間は、通常は2〜20分程度が適当である。
二次エッチング
二次エッチング処理は、主にエッチングピット(エッチングピット径等)の調整を実施するものである。例えば、一次エッチングで掲げたエッチング液を用い、通常の化学エッチングを実施すれば良い。浸漬時間は通常30秒〜10分程度の範囲内で適宜設定することができる。
三次エッチング
三次エッチングは、主として箔中心部方向へのエッチングピットの成長のために実施されるものである。
三次エッチング処理で使用するエッチング液は限定的でなく、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸等を含有する酸水溶液等の公知のエッチング液を使用することができる。エッチング液の濃度は、特に限定されないが、通常は1〜10モル/L、好ましくは3〜8モル/Lとなるように設定すれば良い。エッチング液の温度は、特に制限されないが、好ましい液温度は20〜60℃である。液温度が高くなれば反応が促進されて好ましいが、高温になり過ぎると反応が速すぎて箔表面の溶解が激しく均一な初期トンネルピットを形成し難くなる。
三次エッチングは、一般的には交流(AC)にて実施される。その場合の電流密度は、一般的に0.05〜0.5A/cm程度とすることが好ましい。処理時間は、通常は2〜20分程度が適当である。
化成処理
化成処理では、エッチング処理によりピットを形成して表面積を増大させたアルミニウム箔に陽極酸化皮膜を形成する。具体的には、このアルミニウム基材を陽極とした化成処理を施し、陽極酸化皮膜を形成する。
化成処理は、公知の条件で行えば良い。例えば、電解液として硼酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、有機酸アンモニウム(例えばアジピン酸アンモニウム)等の緩衝溶液を用い、コンデンサの用途に応じて3〜150V程度の電圧を一段又は多段階で印加して化成皮膜(すなわち、誘電体皮膜)を形成する。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をさらに明確にする。ただし、本発明の範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で得られた試料の特性は、次のように測定した。
<Al箔組成>
Al箔の組成は、ICP発光分光分析装置を用いて測定した。ただし、Al含有量(%)は100%から後記の表1中に表示の元素含有量の合計値を減じた値とした。
<酸化皮膜厚み>
各試料について、アジピン酸アンモニウム水溶液(150g/L)中で、対極を同純度アルミニウム箔として、測定領域にDC0.4mAの定電流を流し、電圧−時間曲線の屈曲点の電圧(V)を測定し、次式に従って酸化皮膜厚みを求めた。
酸化皮膜厚み(Å)=13(Å/V)×屈曲点の電圧(V)・・・ (式)
<静電容量>
次に示す条件でエッチング処理した後、アジピン酸アンモニウム水溶液(150g/L)中で50Vの化成処理を施した後、LCRメーターを用い、アジピン酸アンモニウム水溶液(150g/L)にて静電容量を測定した。なお、測定面積はそれぞれ10cmとした。
一次エッチング
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:20wt%、硫酸濃度:2wt%、60℃)
電解:AC 0.6A/cm×30秒
二次エッチング
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:20wt%、硫酸濃度:2wt%、60℃)
浸漬(化学エッチング):3分
三次エッチング
エッチング液:塩酸及び硫酸の混合液(塩酸濃度:20wt%、硫酸濃度:2wt%、40℃)
電解:AC 0.2A/cm×10分
<エッチング表面美観>
上記一〜三次エッチング終了時にアルミニウム箔表面を目視で観察した。
◎ : 表面は滑らかで、ムラは全く認められない
○ : ムラは認められない
△ : ややムラがある
× : ムラがひどい
実施例1〜11及び比較例1〜8
表1に示す組成の厚さ500mmの金型鋳造スラブを550℃の温度に10時間保持して均質化処理を施した後、熱間圧延、冷間圧延を施して厚さ100μmのアルミニウム箔を得た。一部、厚さ3mmで表1に示す中間焼鈍を施した。
得られたアルミニウム箔は、10重量%ホウ酸水溶液中で陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。この場合において、酸化皮膜厚みを表1に示すように変化させて評価用の試料とした。
各試料のエッチング表面美観、静電容量及びエッチング時の溶解減量を表1に示す。表1において、静電容量及び溶解減量は、比較例1のアルミニウム箔で得られた値を100とした場合の指数(相対値)で示す。
Figure 2007238994

Claims (10)

  1. 電解コンデンサ電極用のアルミニウム箔であって、Al:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  2. Gaが51ppm以上150ppm以下である、請求項1に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  3. Pbが0.05ppm未満である、請求項1又は2に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  4. アルミニウム箔表面に酸化皮膜を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  5. 前記酸化皮膜の厚みが5〜200Åである、請求項4に記載の電解コンデンサ電極用アルミニウム箔。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム箔から得られる電解コンデンサ電極。
  7. Al:99.9質量%以上、Si:5〜150ppm、Fe:5〜150ppm、Cu:3〜20ppm、Ga31〜150ppm、Ti:5ppm以下及びNi:0.1ppm以下、残部:不可避不純物からなることを特徴とするアルミニウム合金。
  8. Gaが51ppm以上150ppm以下である、請求項7に記載のアルミニウム合金。
  9. Pbが0.05ppm未満である、請求項7又は8に記載のアルミニウム合金。
  10. 電解コンデンサ電極用として用いる、請求項7〜9のいずれかに記載のアルミニウム合金。
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