JPH0361333B2 - - Google Patents
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- JPH0361333B2 JPH0361333B2 JP62100818A JP10081887A JPH0361333B2 JP H0361333 B2 JPH0361333 B2 JP H0361333B2 JP 62100818 A JP62100818 A JP 62100818A JP 10081887 A JP10081887 A JP 10081887A JP H0361333 B2 JPH0361333 B2 JP H0361333B2
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Landscapes
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Description
産業上の利用分野
この発明は電解コンデンサ電極用アルミニウム
合金箔に関する。 従来の技術及びその問題点 電解コンデンサ用アルミニウム電極箔の性質と
しては、静電容量が大きいこと、特に陽極箔
として用いる場合には漏洩電流が少ないこと、
曲げ強度が高いこと、などが要求される。ここ
で、静電容量を増大するために、一般に、アルミ
ニウム箔をエツチング処理してその表面積を拡大
することが行われているが、拡面率を向上してよ
り一層の静電容量の増大を図るためには、立方体
方位を有する結晶粒が多いこと、エツチングの際
のトンネル密度が高いこと等が必要である。また
漏洩電流を少なくするためには、アルミニウム箔
表面にエツチング後被覆形成される誘電体皮膜と
しての陽極酸化皮膜に欠陥がないことが必要であ
る。 従来、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔と
しては、アルミニウム中の不可避不純物である
Fe、Siの量を極力少なくした高純度アルミニウ
ム箔が用いられていた。この理由は、アルミニウ
ム中のFe、Si含有量が増加すると立方体方位を
有する結晶粒が少なくなる傾向にあるとともに、
エツチングの際に箔表面が異常に溶解しトンネル
密度が少なくなり、その結果エツチング後の箔表
面の拡面率を向上することができず、静電容量が
少ないものとなつてしまうからである。さらにま
た、Fe、Si量の増加は、陽極酸化皮膜の欠陥を
多くし、漏洩電流を大きくすることにもつながる
からである。 ところが、Fe、Siを極力排除した高純度アル
ミニウム箔は、コストが非常に高くつくという欠
点があつた。 この発明はかかる事情に鑑みてなされたもので
あつて、Fe、Si量の比較的多いアルミニウム箔
であつても静電容量の低下や漏洩電流の増大を招
くことなく電解コンデンサ電極箔としての使用を
可能とし、もつて安価な電極箔の提供を可能とせ
んとするものである。 問題点を解決するための手段 上記目的において、発明者は種々実験と研究を
重ねた結果、微細な析出Fe若しくは析出Siを適
量存在せしめることにより、静電容量の低下、漏
洩電流の増大の防止が可能であり、このためには
Fe、Siの適度な含有が必要であることを知見す
るに至り、かかる知見に基いてこの発明を完成し
えたものである。 即ちこの発明は、アルミニウムの純度が99.9%
以上であつて、Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:
0.0015〜0.015wt%を含有し、あるいはさらに
Cu:0.001〜0.01wt%を含有し、かつFe若しくは
Siの少なくとも一方の析出量がその含有量の10%
を超え70%以下の範囲に規制されてなることを特
徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム合金
箔を要旨とするものであり、さらにはまた、アル
ミニウムの純度が99.9%以上であつて、Fe:
0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.15wt%を含有
し、あるいはさらにCu:0.001〜0.01wt%を含有
し、かつFe若しくはSiの少なくとも一方の析出
量がその含有量の10%を超え70%以下の範囲に規
制されてなり、しかも全結晶粒のうち立方体方位
を有するものが80%以上を占めて存在し、かつ結
晶粒の平均粒径が0.05〜10mmの範囲である電解コ
ンデンサ電極用アルミニウム合金箔を要旨とする
ものである。 使用アルミニウムの純度を99.9%以上としたの
は、99.9%未満では箔の静電容量が小さいものと
なつてしまうからである。 Fe、Siはアルミニウム中に不可避的に含有さ
れるものであるが、析出Fe、Si量を後述する所
期の範囲に制御するために、この発明では、
Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.015wt%
の範囲に含有されなければならない。即ち、Fe
が0.01wt%を超え、Siが0.015wt%を超えると、
所期する析出量に制御することが困難となり、析
出物が多くなりすぎたりまた立方体方位を有する
結晶粒が少なくなり結果的に静電容量が低下す
る。かつ結晶粒の結晶方位の制御も困難となる。
逆に、Fe:0.0015wt%未満、Si:0.0015wt%未
満ではコストが上昇しこの発明の目的を達成でき
ない。なおSiはFeより固溶し易く、析出量の制
御が容易なので、Feよりも許容上限値を大きく
したものである。任意添加元素としてのCuはエ
ツチング性を均一かつ良好にする効果ある。しか
し0.001wt%未満ではその効果に乏しく、逆に
0.01wt%を超えると箔表面の過度の溶解を生ずる
ものとなる。なお他の不純物元素は99.9%アルミ
ニウム純度に含まれる範囲とする。 Fe若しくはSiの析出量は、その含有量の10%
を超え70%以下に規制されなければならない。10
%以下ではエツチングの際に充分な拡面効果が得
られず、ひいては静電容量が小さいものとなつて
しまうからである。逆に70%を超えると、エツチ
ングの際表面が過度に溶解して、同じく静電容量
が小さいものとなつてしまうからである。また陽
極酸化後の皮膜欠陥が増大し、漏洩電流が多くな
るからである。好ましくは、20〜50%の析出量と
するのが良い。また析出物の大きさは、小さい程
効果的で、1μmを超えるとエツチングの際のト
ンネルピツト径が大きくなつたり表面が過度に溶
解する。従つて析出物は1μm以下の大きさのも
のが全体の50%以上を占めて存在するものとなす
のが望ましい。ここで、Fe若しくはSiの析出量
を10%を超え70え以下の範囲に制御する方法とし
ては、鋳造時に冷却速度を大きくし、可及的多く
固溶させること(例えば連続鋳造法も有効な方法
である)や、熱間圧延時及び結晶方位改善のため
に実施される中間焼鈍時に、200〜400℃の温度範
囲で適当時間保持したり、あるいは加熱工程で高
温で固溶処理し、その後長時間析出処理すること
等が有効である。しかしこれらに限定されるもの
ではない。 また、上記Fe若しくはSiの析出量等の限定に
加えて、全結晶粒のうち立方体方位を有するもの
が80%以上を占めて存在し、かつ結晶粒の平均粒
径が0.05〜10mmの範囲である場合にはエツチング
時に一層好ましい拡面状態を実現しうるものとな
る。即ち、立方体方位を有する結晶粒が80%未満
では、エツチング時にかなりのトンネルピツトが
傾斜して形成され、表面溶解の増大を招き、結果
として充分な拡面率が得られない危険がある。望
ましくは85%以上を占めて存在するのが良い。ま
た結晶粒の平均粒径が0.05mm未満では、前記立方
体方位の形成が困難となる虞れがあり、逆に10mm
を超えると箔の曲げ強度が低下する危険がある。
望ましい平均結晶粒径は0.05〜5mmである。 上記アルミニウム合金箔は、これにエツチング
処理を施して電解コンデンサ用陰極箔として用い
ても良く、あるいはその後陽極酸化処理して酸化
皮膜を形成し、陽極箔として用いても良い。上記
のエツチング処理は、通常の常法に従つて行えば
良いが、より大きな拡面率を得るための好適なエ
ツチング処理方法として、塩酸と蓚酸、あるいは
塩酸と硫酸の混液を処理液として用い、直流電解
エツチングにより行う方法を挙げうる。この場
合、塩酸濃度:2〜15%、蓚酸濃度:0.05〜15
%、硫酸濃度:0.5〜35%のものを用いるのが良
く、また電流密度:5〜40A/dm2、液温:50〜
100℃、エツチング時間:5〜240秒で行うのが良
い。またエツチングを前段と後段の2段に分けて
行うものとすることも推奨される。 発明の効果 この発明は上述の次第で、Fe、Siをある程度
含有して、Fe若しくはSiの少なくとも一方を10
%を超え70%以下の析出量に析出させたものであ
ることにより、エツチング適性に優れたものとな
しえて、エツチングの際の異常溶解を防止しトン
ネル密度の高い拡面率の大きなものとなすことが
でき、ひいては大きな静電容量を得ることができ
る。また陽極箔として用いる場合においては陽極
酸化処理後の皮膜欠陥の少ないものとなしえて、
漏洩電流を減少できる。従つて、コストの安価な
低純度アルミニウム箔を用いて、高純度アルミニ
ウム箔を用いた場合と同等の性能を有するアルミ
ニウム電極箔の提供が可能となり、コストダウン
の点で大きな利点を有する。 実施例 次にこの発明の実施例を比較例との対比におい
て示す。 実施例 1 アルミニウム純度99.97%であつて、Fe:
0.008wt%、Si:0.012wt%を含有するアルミニウ
ム合金スラブに、下記の条件で各工程を実施し、
厚さ0.1mmの4種類の電解コンデンサ電極用アル
ミニウム箔を各2個製造した。 スラブに、常法に伴う熱間圧延、一次冷間圧
延を順次的に実施したのち、200℃×50時間の
中間焼鈍を実施し、次いで、二次冷間圧延を施
したのち、450℃×10秒間の急熱、急冷による
最終焼鈍を実施して箔とした。 中間焼鈍を350℃×20時間で行つた以外は、
上記と同一の工程を施して箔とした。 中間焼鈍を350℃×5時間、最終焼鈍を520℃
×10時間で行つた以外は上記と同一の工程を
施して箔とした。 中間焼鈍を350℃×5時間、最終焼鈍を475℃
×1時間で行つた以外は上記と同一の工程を
施して箔とした。 熱間圧延の代わりに、溶湯からの連続鋳造に
よる連続鋳造板を製作し、その後1次冷間圧延
前に400℃×2時間の析出処理を行つたこと、
及び中間焼鈍を350℃×3時間、最終焼鈍を475
℃×1時間で行つたこと以外は上記と同一の
工程を実施して箔とした。 上記により得た4種類の箔につき、Fe、Siの
析出量を主に電気抵抗法により測定するととも
に、析出物のうち1μm以下の大きさのものが占
める割合を調べた。 その後、各アルミニウム箔の一方には、処理
液:5%塩酸と1%蓚酸の混液(液温80℃)、電
流密度:直流20A/dm2、処理時間:1分の条件
による前段電解エツチングと、処理液:5%塩酸
と0.1%蓚酸の混液(液温85℃)、電流密度:直流
5A/dm2、処理時間:7分の条件による後段電
解エツチングを順次的に実施した(エツチング条
件1)。また各箔の他方には、処理液:5%塩酸
と20%硫酸の混液(液温85℃)、電流密度:直流
20A/dm2、処理時間:1分の条件による前段電
解エツチングと、処理液:5%塩酸(液温85℃)、
処理時間:10分の条件による後段化学的エツチン
グを順次的に実施した(エツチング条件2)。 そして上記により得られた各箔の静電容量を30
℃、10%硼酸アンモニウム溶液中で測定した。以
上の測定結果を下記第1表に示す。なお静電容量
はFe:0.001wt%、Si:0.001wt%を含有する純
度99.99%のアルミニウム合金箔の静電容量を100
%として、これとの相対比較で評価した。また第
1表中静電容量1、2はそれぞれエツチング条件
1、2に対応するものである。
合金箔に関する。 従来の技術及びその問題点 電解コンデンサ用アルミニウム電極箔の性質と
しては、静電容量が大きいこと、特に陽極箔
として用いる場合には漏洩電流が少ないこと、
曲げ強度が高いこと、などが要求される。ここ
で、静電容量を増大するために、一般に、アルミ
ニウム箔をエツチング処理してその表面積を拡大
することが行われているが、拡面率を向上してよ
り一層の静電容量の増大を図るためには、立方体
方位を有する結晶粒が多いこと、エツチングの際
のトンネル密度が高いこと等が必要である。また
漏洩電流を少なくするためには、アルミニウム箔
表面にエツチング後被覆形成される誘電体皮膜と
しての陽極酸化皮膜に欠陥がないことが必要であ
る。 従来、電解コンデンサ電極用アルミニウム箔と
しては、アルミニウム中の不可避不純物である
Fe、Siの量を極力少なくした高純度アルミニウ
ム箔が用いられていた。この理由は、アルミニウ
ム中のFe、Si含有量が増加すると立方体方位を
有する結晶粒が少なくなる傾向にあるとともに、
エツチングの際に箔表面が異常に溶解しトンネル
密度が少なくなり、その結果エツチング後の箔表
面の拡面率を向上することができず、静電容量が
少ないものとなつてしまうからである。さらにま
た、Fe、Si量の増加は、陽極酸化皮膜の欠陥を
多くし、漏洩電流を大きくすることにもつながる
からである。 ところが、Fe、Siを極力排除した高純度アル
ミニウム箔は、コストが非常に高くつくという欠
点があつた。 この発明はかかる事情に鑑みてなされたもので
あつて、Fe、Si量の比較的多いアルミニウム箔
であつても静電容量の低下や漏洩電流の増大を招
くことなく電解コンデンサ電極箔としての使用を
可能とし、もつて安価な電極箔の提供を可能とせ
んとするものである。 問題点を解決するための手段 上記目的において、発明者は種々実験と研究を
重ねた結果、微細な析出Fe若しくは析出Siを適
量存在せしめることにより、静電容量の低下、漏
洩電流の増大の防止が可能であり、このためには
Fe、Siの適度な含有が必要であることを知見す
るに至り、かかる知見に基いてこの発明を完成し
えたものである。 即ちこの発明は、アルミニウムの純度が99.9%
以上であつて、Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:
0.0015〜0.015wt%を含有し、あるいはさらに
Cu:0.001〜0.01wt%を含有し、かつFe若しくは
Siの少なくとも一方の析出量がその含有量の10%
を超え70%以下の範囲に規制されてなることを特
徴とする電解コンデンサ電極用アルミニウム合金
箔を要旨とするものであり、さらにはまた、アル
ミニウムの純度が99.9%以上であつて、Fe:
0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.15wt%を含有
し、あるいはさらにCu:0.001〜0.01wt%を含有
し、かつFe若しくはSiの少なくとも一方の析出
量がその含有量の10%を超え70%以下の範囲に規
制されてなり、しかも全結晶粒のうち立方体方位
を有するものが80%以上を占めて存在し、かつ結
晶粒の平均粒径が0.05〜10mmの範囲である電解コ
ンデンサ電極用アルミニウム合金箔を要旨とする
ものである。 使用アルミニウムの純度を99.9%以上としたの
は、99.9%未満では箔の静電容量が小さいものと
なつてしまうからである。 Fe、Siはアルミニウム中に不可避的に含有さ
れるものであるが、析出Fe、Si量を後述する所
期の範囲に制御するために、この発明では、
Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.015wt%
の範囲に含有されなければならない。即ち、Fe
が0.01wt%を超え、Siが0.015wt%を超えると、
所期する析出量に制御することが困難となり、析
出物が多くなりすぎたりまた立方体方位を有する
結晶粒が少なくなり結果的に静電容量が低下す
る。かつ結晶粒の結晶方位の制御も困難となる。
逆に、Fe:0.0015wt%未満、Si:0.0015wt%未
満ではコストが上昇しこの発明の目的を達成でき
ない。なおSiはFeより固溶し易く、析出量の制
御が容易なので、Feよりも許容上限値を大きく
したものである。任意添加元素としてのCuはエ
ツチング性を均一かつ良好にする効果ある。しか
し0.001wt%未満ではその効果に乏しく、逆に
0.01wt%を超えると箔表面の過度の溶解を生ずる
ものとなる。なお他の不純物元素は99.9%アルミ
ニウム純度に含まれる範囲とする。 Fe若しくはSiの析出量は、その含有量の10%
を超え70%以下に規制されなければならない。10
%以下ではエツチングの際に充分な拡面効果が得
られず、ひいては静電容量が小さいものとなつて
しまうからである。逆に70%を超えると、エツチ
ングの際表面が過度に溶解して、同じく静電容量
が小さいものとなつてしまうからである。また陽
極酸化後の皮膜欠陥が増大し、漏洩電流が多くな
るからである。好ましくは、20〜50%の析出量と
するのが良い。また析出物の大きさは、小さい程
効果的で、1μmを超えるとエツチングの際のト
ンネルピツト径が大きくなつたり表面が過度に溶
解する。従つて析出物は1μm以下の大きさのも
のが全体の50%以上を占めて存在するものとなす
のが望ましい。ここで、Fe若しくはSiの析出量
を10%を超え70え以下の範囲に制御する方法とし
ては、鋳造時に冷却速度を大きくし、可及的多く
固溶させること(例えば連続鋳造法も有効な方法
である)や、熱間圧延時及び結晶方位改善のため
に実施される中間焼鈍時に、200〜400℃の温度範
囲で適当時間保持したり、あるいは加熱工程で高
温で固溶処理し、その後長時間析出処理すること
等が有効である。しかしこれらに限定されるもの
ではない。 また、上記Fe若しくはSiの析出量等の限定に
加えて、全結晶粒のうち立方体方位を有するもの
が80%以上を占めて存在し、かつ結晶粒の平均粒
径が0.05〜10mmの範囲である場合にはエツチング
時に一層好ましい拡面状態を実現しうるものとな
る。即ち、立方体方位を有する結晶粒が80%未満
では、エツチング時にかなりのトンネルピツトが
傾斜して形成され、表面溶解の増大を招き、結果
として充分な拡面率が得られない危険がある。望
ましくは85%以上を占めて存在するのが良い。ま
た結晶粒の平均粒径が0.05mm未満では、前記立方
体方位の形成が困難となる虞れがあり、逆に10mm
を超えると箔の曲げ強度が低下する危険がある。
望ましい平均結晶粒径は0.05〜5mmである。 上記アルミニウム合金箔は、これにエツチング
処理を施して電解コンデンサ用陰極箔として用い
ても良く、あるいはその後陽極酸化処理して酸化
皮膜を形成し、陽極箔として用いても良い。上記
のエツチング処理は、通常の常法に従つて行えば
良いが、より大きな拡面率を得るための好適なエ
ツチング処理方法として、塩酸と蓚酸、あるいは
塩酸と硫酸の混液を処理液として用い、直流電解
エツチングにより行う方法を挙げうる。この場
合、塩酸濃度:2〜15%、蓚酸濃度:0.05〜15
%、硫酸濃度:0.5〜35%のものを用いるのが良
く、また電流密度:5〜40A/dm2、液温:50〜
100℃、エツチング時間:5〜240秒で行うのが良
い。またエツチングを前段と後段の2段に分けて
行うものとすることも推奨される。 発明の効果 この発明は上述の次第で、Fe、Siをある程度
含有して、Fe若しくはSiの少なくとも一方を10
%を超え70%以下の析出量に析出させたものであ
ることにより、エツチング適性に優れたものとな
しえて、エツチングの際の異常溶解を防止しトン
ネル密度の高い拡面率の大きなものとなすことが
でき、ひいては大きな静電容量を得ることができ
る。また陽極箔として用いる場合においては陽極
酸化処理後の皮膜欠陥の少ないものとなしえて、
漏洩電流を減少できる。従つて、コストの安価な
低純度アルミニウム箔を用いて、高純度アルミニ
ウム箔を用いた場合と同等の性能を有するアルミ
ニウム電極箔の提供が可能となり、コストダウン
の点で大きな利点を有する。 実施例 次にこの発明の実施例を比較例との対比におい
て示す。 実施例 1 アルミニウム純度99.97%であつて、Fe:
0.008wt%、Si:0.012wt%を含有するアルミニウ
ム合金スラブに、下記の条件で各工程を実施し、
厚さ0.1mmの4種類の電解コンデンサ電極用アル
ミニウム箔を各2個製造した。 スラブに、常法に伴う熱間圧延、一次冷間圧
延を順次的に実施したのち、200℃×50時間の
中間焼鈍を実施し、次いで、二次冷間圧延を施
したのち、450℃×10秒間の急熱、急冷による
最終焼鈍を実施して箔とした。 中間焼鈍を350℃×20時間で行つた以外は、
上記と同一の工程を施して箔とした。 中間焼鈍を350℃×5時間、最終焼鈍を520℃
×10時間で行つた以外は上記と同一の工程を
施して箔とした。 中間焼鈍を350℃×5時間、最終焼鈍を475℃
×1時間で行つた以外は上記と同一の工程を
施して箔とした。 熱間圧延の代わりに、溶湯からの連続鋳造に
よる連続鋳造板を製作し、その後1次冷間圧延
前に400℃×2時間の析出処理を行つたこと、
及び中間焼鈍を350℃×3時間、最終焼鈍を475
℃×1時間で行つたこと以外は上記と同一の
工程を実施して箔とした。 上記により得た4種類の箔につき、Fe、Siの
析出量を主に電気抵抗法により測定するととも
に、析出物のうち1μm以下の大きさのものが占
める割合を調べた。 その後、各アルミニウム箔の一方には、処理
液:5%塩酸と1%蓚酸の混液(液温80℃)、電
流密度:直流20A/dm2、処理時間:1分の条件
による前段電解エツチングと、処理液:5%塩酸
と0.1%蓚酸の混液(液温85℃)、電流密度:直流
5A/dm2、処理時間:7分の条件による後段電
解エツチングを順次的に実施した(エツチング条
件1)。また各箔の他方には、処理液:5%塩酸
と20%硫酸の混液(液温85℃)、電流密度:直流
20A/dm2、処理時間:1分の条件による前段電
解エツチングと、処理液:5%塩酸(液温85℃)、
処理時間:10分の条件による後段化学的エツチン
グを順次的に実施した(エツチング条件2)。 そして上記により得られた各箔の静電容量を30
℃、10%硼酸アンモニウム溶液中で測定した。以
上の測定結果を下記第1表に示す。なお静電容量
はFe:0.001wt%、Si:0.001wt%を含有する純
度99.99%のアルミニウム合金箔の静電容量を100
%として、これとの相対比較で評価した。また第
1表中静電容量1、2はそれぞれエツチング条件
1、2に対応するものである。
【表】
実施例 2
後記第2表に示すNo.6〜13の各種組成のアルミ
ニウム合金スラブを、熱間圧延、1次冷間圧延、
中間焼鈍、2次冷間圧延、最終焼鈍の順次的実施
により、厚さ0.1mmの電解コンデンサ電極用アル
ミニウム箔を製造した。なお、中間焼鈍は200〜
400℃×1〜100時間の範囲で、また最終焼鈍は
450〜550℃×1〜100時間の範囲で処理条件を変
えて行つた。そして各箔につき、実施例1と同一
の条件によりFe、Si析出量を測定するとともに、
析出物のうち1μm以下の大きさのものが占める
割合を調べた。 その後各箔につき、処理液:5%塩酸と20%硫
酸の混液(液温85℃)、電流密度:直流20A/d
m2、処理時間:1分の条件による前段電解エツチ
ングと、処理液:5%塩酸(液温85℃)、処理時
間:10分の条件による後段化学的エツチングを順
次的に実施したのち、各箔の静電容量を測定し
た。以上の測定結果を第2表に併せて示す。なお
静電容量は、実施例1と同じ箔を基準(100%)
とし相対比較した。
ニウム合金スラブを、熱間圧延、1次冷間圧延、
中間焼鈍、2次冷間圧延、最終焼鈍の順次的実施
により、厚さ0.1mmの電解コンデンサ電極用アル
ミニウム箔を製造した。なお、中間焼鈍は200〜
400℃×1〜100時間の範囲で、また最終焼鈍は
450〜550℃×1〜100時間の範囲で処理条件を変
えて行つた。そして各箔につき、実施例1と同一
の条件によりFe、Si析出量を測定するとともに、
析出物のうち1μm以下の大きさのものが占める
割合を調べた。 その後各箔につき、処理液:5%塩酸と20%硫
酸の混液(液温85℃)、電流密度:直流20A/d
m2、処理時間:1分の条件による前段電解エツチ
ングと、処理液:5%塩酸(液温85℃)、処理時
間:10分の条件による後段化学的エツチングを順
次的に実施したのち、各箔の静電容量を測定し
た。以上の測定結果を第2表に併せて示す。なお
静電容量は、実施例1と同じ箔を基準(100%)
とし相対比較した。
【表】
またエツチング処理前の上記各箔につき、立方
体方位を有する結晶粒の割合を調べたところ、各
箔とも80%以上を占めて存在していた。また結晶
粒の平均粒径は各箔とも0.05〜5mmの範囲であつ
た。一方上記各箔を、2%リン酸水素アンモニウ
ム水溶液中で陽極酸化処理することにより陽極酸
化皮膜を形成して陽極箔としたのち、各箔の漏洩
電流を測定したところ、本発明における漏洩電流
はいずれも実用上問題のない範囲であつた。 以上の結果から明らかなように、本発明に係る
アルミニウム箔によれば、低純度のものでありな
がらも、高純度のアルミニウム箔の場合と同程度
の性能を有する電極箔の提供が可能となるもので
あることを確認しえた。
体方位を有する結晶粒の割合を調べたところ、各
箔とも80%以上を占めて存在していた。また結晶
粒の平均粒径は各箔とも0.05〜5mmの範囲であつ
た。一方上記各箔を、2%リン酸水素アンモニウ
ム水溶液中で陽極酸化処理することにより陽極酸
化皮膜を形成して陽極箔としたのち、各箔の漏洩
電流を測定したところ、本発明における漏洩電流
はいずれも実用上問題のない範囲であつた。 以上の結果から明らかなように、本発明に係る
アルミニウム箔によれば、低純度のものでありな
がらも、高純度のアルミニウム箔の場合と同程度
の性能を有する電極箔の提供が可能となるもので
あることを確認しえた。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 アルミニウムの純度が99.9%以上であつて、
Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.015wt%
を含有し、かつFe若しくはSiの少なくとも一方
の析出量がその含有量の10%を超え70%以下の範
囲に規制されてなることを特徴とする電解コンデ
ンサ電極用アルミニウム合金箔。 2 Fe、Si析出物は、1μm以下の大きさのもの
が全体の50%以上を占めて存在している特許請求
の範囲第1項記載の電解コンデンサ電極用アルミ
ニウム合金箔。 3 アルミニウムの純度が99.9%以上であつて、
Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.015wt%、
Cu:0.001〜0.01wt%を含有し、かつFe若しくは
Siの析出量がその含有量の10%を超え70%以下の
範囲に規制されてなることを特徴とする電解コン
デンサ電極用アルミニウム合金箔。 4 Fe、Si析出物は、1μm以下の大きさのもの
が全体の50%以上を占めて存在している特許請求
の範囲第3項記載の電解コンデンサ電極用アルミ
ニウム合金箔。 5 アルミニウムの純度が99.9%以上であつて、
Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.015wt%
を含有し、かつFe若しくはSiの少なくとも一方
の析出量がその含有量の10%を超え70%以下の範
囲に規制されてなり、しかも全結晶粒のうち立方
体方位を有するものが80%以上を占めて存在し、
かつ結晶粒の平均粒径が0.05〜10mmの範囲である
電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔。 6 Fe、Si析出物は、1μm以下の大きさのもの
が全体の50%以上を占めて存在している特許請求
の範囲第5項記載の電解コンデンサ電極用アルミ
ニウム合金箔。 7 アルミニウムの純度が99.9%以上であつて、
Fe:0.0015〜0.01wt%、Si:0.0015〜0.015wt%、
Cu:0.001〜0.01wt%を含有し、かつFe若しくは
Siの少なくとも一方の析出量がその含有量の10%
を超え70%以下の範囲に規制されてなり、しかも
全結晶粒のうち立方体方位を有するものが80%以
上を占めて存在し、かつ結晶粒の平均粒径が0.05
〜10mmの範囲である電解コンデンサ電極用アルミ
ニウム合金箔。 8 Fe、Si析出物は、1μm以下の大きさのもの
が全体の50%以上を占めて存在している特許請求
の範囲第7項記載の電解コンデンサ電極用アルミ
ニウム合金箔。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10081887A JPS63265415A (ja) | 1987-04-23 | 1987-04-23 | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10081887A JPS63265415A (ja) | 1987-04-23 | 1987-04-23 | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63265415A JPS63265415A (ja) | 1988-11-01 |
JPH0361333B2 true JPH0361333B2 (ja) | 1991-09-19 |
Family
ID=14283924
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10081887A Granted JPS63265415A (ja) | 1987-04-23 | 1987-04-23 | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63265415A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000129383A (ja) * | 1998-10-26 | 2000-05-09 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔材 |
WO2006100949A1 (ja) * | 2005-03-23 | 2006-09-28 | Nippon Light Metal Company, Ltd. | アルミニウム電解コンデンサ電極用アルミニウム板、アルミニウム電解コンデンサ、およびアルミニウム電解コンデンサの製造方法 |
JP2013055326A (ja) * | 2005-11-15 | 2013-03-21 | Nippon Chemicon Corp | 電解コンデンサ |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63265416A (ja) * | 1987-04-23 | 1988-11-01 | Showa Alum Corp | 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔の製造方法 |
JPH08209275A (ja) * | 1995-02-01 | 1996-08-13 | Nippon Foil Mfg Co Ltd | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔 |
JP2007146301A (ja) * | 2007-02-01 | 2007-06-14 | Nippon Light Metal Co Ltd | 交流エッチングに供する中・低圧電解コンデンサ用軟質アルミニウム箔およびその製造方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59918A (ja) * | 1982-06-25 | 1984-01-06 | 住友軽金属工業株式会社 | 電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔およびその製造法 |
JPS6063360A (ja) * | 1983-09-19 | 1985-04-11 | Toyo Alum Kk | 電解コンデンサ陽極用アルミニウム箔の製造方法 |
-
1987
- 1987-04-23 JP JP10081887A patent/JPS63265415A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59918A (ja) * | 1982-06-25 | 1984-01-06 | 住友軽金属工業株式会社 | 電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔およびその製造法 |
JPS6063360A (ja) * | 1983-09-19 | 1985-04-11 | Toyo Alum Kk | 電解コンデンサ陽極用アルミニウム箔の製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000129383A (ja) * | 1998-10-26 | 2000-05-09 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔材 |
WO2006100949A1 (ja) * | 2005-03-23 | 2006-09-28 | Nippon Light Metal Company, Ltd. | アルミニウム電解コンデンサ電極用アルミニウム板、アルミニウム電解コンデンサ、およびアルミニウム電解コンデンサの製造方法 |
JPWO2006100949A1 (ja) * | 2005-03-23 | 2008-09-04 | 日本軽金属株式会社 | アルミニウム電解コンデンサ電極用アルミニウム板、アルミニウム電解コンデンサ、およびアルミニウム電解コンデンサの製造方法 |
JP2013055326A (ja) * | 2005-11-15 | 2013-03-21 | Nippon Chemicon Corp | 電解コンデンサ |
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---|---|
JPS63265415A (ja) | 1988-11-01 |
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