JP7185995B2 - 蓄電装置用外装材の製造方法及び蓄電装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電装置用外装材及びそれを用いた蓄電装置に関する。
蓄電装置として、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが知られている。携帯機器の小型化又は設置スペースの制限等により蓄電装置の更なる小型化が求められており、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池に用いられる外装材としては、従来は金属製の缶が用いられていたが、軽量で、放熱性が高く、低コストで作製できる多層フィルムが用いられるようになっている。
上記多層フィルムを外装材に用いるリチウムイオン電池では、内部への水分の浸入を防止するため、アルミニウム箔層を含む外装材により電池内容物(正極、セパレータ、負極、電解液等)を覆う構成が採用されている。このような構成を採用したリチウムイオン電池は、アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池と呼ばれている。
アルミラミネートタイプのリチウムイオン電池は、例えば、外装材の一部に冷間成型によって凹部を形成し、該凹部内に電池内容物を収容し、外装材の残りの部分を折り返して縁部分をヒートシールで封止したエンボスタイプのリチウムイオン電池が知られている。(例えば、特許文献1参照)。このようなリチウムイオン電池では、冷間成型によって形成される凹部を深くするほど、より多くの電池内容物を収容できるため、エネルギー密度をより高くすることができる。
特開2013-101765号公報
上述のとおり、多層フィルムからなる蓄電装置用外装材(以下、場合により単に「外装材」という。)は、所望の深さの凹部を形成できる十分な深絞り成型性が求められている。これに加え、本発明者らは、多層フィルムの製造プロセスにおいて加えられる熱に着目し、高温でない温度(例えば160℃以下)の熱履歴で多層フィルムを製造することを検討した。多層フィルムからなる外装材はフィルム同士を貼り合わせるラミネート工程などを経て製造される。より具体的には、シーラント層と金属箔層とのラミネートはドライラミネート法と熱ラミネート法に大別できる。ドライラミネート法では80~140℃程度の乾燥温度が加えられるのに対し、熱ラミネート法では140~200℃程度の熱が加えられる。160℃を超えるような高温の熱履歴を経ないで多層フィルムを製造することができれば、多層フィルムを構成する各層が熱によってダメージを受けることを抑制するとともに製造プロセスの省エネルギー化を図ることができる。
本発明は、十分な深絞り成型性を有するとともに、比較的低い温度の熱履歴の製造プロセスに適した蓄電装置用外装材及びそれを用いた蓄電装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも基材層、接着層、金属箔層、シーラント接着層及びシーラント層がこの順で積層された構造を有し、基材層は、下記式(1)で示されるΔAが10%以上であり且つ160℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層である、蓄電装置用外装材を提供する。
ΔA=(160℃での熱処理後の破断伸度)-(160℃での熱処理前の破断伸度) ・・・(1)
ただし、破断伸度及び50%伸長時応力値は、それぞれ基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min)を行ったときの23℃における平均値である。なお、ここでいう「160℃での熱処理」は160℃に保たれた熱間中で基材層(ポリエステルフィルム)を30分間加熱することである。
本発明に係る外装材は、160℃での熱処理前後の破断伸度の差(ΔA)及び当該熱処理後の50%伸長時応力値がそれぞれ所定の範囲であることから、比較的低い温度の熱履歴の製造プロセスに適している。ここでいう比較的低い温度の熱履歴の製造プロセスの具体例として、ドライラミネート法(乾燥温度:80~140℃程度)及び、比較的低温条件(加熱温度:140~160℃程度)の熱ラミネート法が挙げられる。
上述のとおり、外装材の製造プロセスにおいて、フィルムに対して熱が加えられる。一般的にはラミネート時にかかる熱、もしくは、接着剤乾燥時にかかる熱により基材層が熱劣化を起こし、絞り成型を行ったときに破れが生じる場合がある。一方、ラミネート時にかかる熱、もしくは、接着剤乾燥時にかかる熱による熱劣化をほぼ起こさないほど剛直な基材層の場合も、絞り成型を行ったときに破れが生じるおそれがある。本発明はこれらの問題点を解決するものであり、十分な深絞り成型性を発現することが可能である。
上記基材層は、200℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層であることが好ましい。この条件を満たす基材層を有する外装材は、比較的低い温度のみならず、比較的高い温度(例えば200℃)の熱履歴の製造プロセスにも適している。
上記蓄電装置用外装材は、上記基材層と上記接着層との間に設けられた易接着処理層を更に備えていることが好ましい。これにより、基材層と接着層との間の密着性をより向上させることができるとともに、深絞り成型性をより向上させることができる。
上記易接着処理層はポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリルグラフトポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む層であることが好ましい。これにより、基材層と接着層との間の密着性をより向上させることができるとともに、深絞り成型性をより向上させることができる。
上記蓄電装置用外装材は、上記金属箔層の両面に設けられた腐食防止処理層を更に備えていることが好ましい。これにより、金属箔層の腐食を抑制することができるとともに、基材層と金属箔層との間の密着性をより向上させることができる。
上記腐食防止処理層の一例として、希土類元素酸化物、及び、リン酸又はリン酸塩を含む層が挙げられる。希土類元素酸化物の一例として酸化セリウムが挙げられる。かかる構成を採用することで、基材層と金属箔層との間の密着性をより向上させることができる。
上記シーラント層は、静摩擦係数が0.10~0.30である表面を有することが好ましい。これにより、深絞り成型性をより向上させることができる。ここでいう静摩擦係数はJIS K7125に規定される方法に準拠して測定された値を意味する。
本発明はまた、電極を含む電池要素と、上記電極から延在するリードと、上記リードを挟持し且つ上記電池要素を収容する容器とを備え、上記容器は上記本発明の蓄電装置用外装材から、上記シーラント層が内側となるように形成されている、蓄電装置を提供する。かかる蓄電装置では、電池要素を収容する容器として上記本発明の蓄電装置用外装材を用いているため、破断等が生じることなく十分に深い凹部を形成することができる。
本発明によれば、十分な深絞り成型性を有するとともに、比較的低い温度の熱履歴の製造プロセスに適した蓄電装置用外装材、及びそれを用いた蓄電装置が提供される。
図1は本発明に係る外装材の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2(a)は図1に示す外装材を加工して得られたエンボスタイプ外装材を示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)に示すb-b線に沿った縦断面図である。 図3(a)は図1に示す外装材を準備した状態を示す斜視図であり、図3(b)は図2(a)に示す外装材と電池要素を準備した状態を示す斜視図であり、図3(c)は外装材の一部を折り返して端部を溶融した状態を示す斜視図であり、図3(d)は折り返された部分の両側を上方に折り返した状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
[蓄電装置用外装材]
図1は、本発明の蓄電装置用外装材の一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の外装材(蓄電装置用外装材)10は、基材層11と、該基材層11の一方の面側に設けられた易接着処理層12と、該易接着処理層12の基材層11とは反対側に設けられた接着層13と、該接着層13の易接着処理層12とは反対側に設けられた、両面に腐食防止処理層15a及び15bを有する金属箔層14と、該金属箔層14の接着層13とは反対側に設けられたシーラント接着層16と、該シーラント接着層16の金属箔層14とは反対側に設けられたシーラント層17と、が順次積層された積層体である。ここで、腐食防止処理層15aは金属箔層14の接着層13側の面に、腐食防止処理層15bは金属箔層14のシーラント接着層16側の面に、それぞれ設けられている。外装材10は、基材層11が最外層、シーラント層17が最内層である。すなわち、外装材10は、基材層11を蓄電装置の外部側、シーラント層17を蓄電装置の内部側に向けて使用される。以下、各層について説明する。
(基材層11)
基材層11は、蓄電装置を製造する際における後述する加圧熱融着工程における耐熱性及び他の蓄電装置から漏れ出した電解液に対する耐電解液性を外装材10に付与し、加工又は流通の際に起こり得るピンホールの発生を抑制するための層である。基材層は、下記式(1)で示されるΔAが10%以上であり且つ160℃での熱処理後の50%伸長時応力値(F50応力値)が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層である。
ΔA=(160℃での熱処理後の破断伸度)-(160℃での熱処理前の破断伸度) ・・・(1)
本実施形態において、破断伸度及び50%伸長時応力値は次のようにして定義される値である。すなわち、A4サイズにカットした基材層を、任意の熱処理温度(160℃又は200℃)に保たれたオーブン中で30分間加熱した後、当該基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し、23℃(室温)にて引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min)を行う。そして、4方向に対する測定結果の平均を取ることで、本実施形態における破断伸度及び50%伸長時応力値を算出する。なお、破断伸度は以下のとおり算出される値である。
破断伸度(%)={(破断時の標点間距離-測定前の標点間距離)/測定前の標点間距離}×100
なお、基材層の縦方向及び横方向は、それぞれ基材層原反のMD方向(機械送り方向)及びTD方向(MD方向の垂直方向)に一致させるものとする。つまり、基材層11が二軸延伸フィルムからなる場合には、試験片の縦方向及び横方向はそれぞれフィルムの2つの延伸方向のいずれか一方に一致している。
上記条件(ΔA及びF50応力値)を満たす基材層11を採用することで、十分な深絞り成型性を有するとともに、比較的低い温度(例えば160℃程度)の熱履歴の製造プロセスに適した外装材10を得ることができる。
外装材10において、上記のΔAが10%以上であることにより、比較的低い温度の熱処理により基材層11がより小さい力で大きく伸ばされ易くなった場合でも破断しにくいため、熱処理後(例えば熱ラミネート処理後)においても深絞り成型を可能とすることができる。この観点から、ΔAは14%以上であることが好ましく、16%以上であることがより好ましい。なお、ΔAの上限は特に限定されるものではないが、基材層11が伸ばされ易くなり50%伸長時応力値が小さくなりすぎると、金属箔層14を成型応力から保護する役割を果たしにくくなるという観点から、100%程度とすることができる。
基材層11の「160℃での熱処理前の破断伸度」は、外装材10の十分な深絞り成型性を達成する観点から、好ましくは50%超であり、より好ましくは55~150%であり、更に好ましくは55~125%である。これと同様の観点から、基材層11の「160℃での熱処理後の破断伸度」は、外装材10の十分な深絞り成型性を達成する観点から、好ましくは60%超であり、より好ましくは65~160%であり、更に好ましくは65~135%である。
また、外装材10において、基材層11の160℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であることにより、外装材10に局所的な力が加わったときの力を分散することができ、深絞り成型をしたときの金属箔層14の破断を抑制することができる。この観点から、160℃での熱処理後の50%伸長時応力値は80MPa以上であることが好ましく、85MPa以上であることがより好ましい。なお、160℃での50%伸長時応力値の上限は特に限定されるものではないが、成型して使用されるという観点から、250MPa程度とすることができる。
基材層11は、200℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層であることが好ましい。この条件を更に満たす基材層11を採用することで、比較的低い温度のみならず、比較的高い温度(例えば200℃)の熱履歴の製造プロセスにも適した外装材10を得ることができる。この観点から、200℃での50%伸長時応力値は80MPa以上であることが好ましく、85MPa以上であることがより好ましい。なお、200℃での50%伸長時応力値の上限は特に限定されるものではないが、成型して使用されるという観点から、250MPa程度とすることができる。
基材層11のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂としては、上記の特性を満たし得るものであれば特に制限なく用いることができるが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。これらの中でも、深絞り成型性に優れるという観点から、共重合ポリエステルを好適に用いることができる。
ポリエステルフィルムとしては、同時延伸、二軸延伸いずれの製法にて得られたものでも使用することができるが、より優れた深絞り成型性が得られる観点から、二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。
二軸延伸フィルムにおける延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、チューブラー二軸延伸法、同時二軸延伸法等が挙げられる。二軸延伸フィルムは、より優れた深絞り成型性が得られる観点から、チューブラー二軸延伸法及び同時二軸延伸法により延伸されたものであることが好ましい。
基材層11の厚さは、6~40μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であることにより、外装材10の耐ピンホール性及び絶縁性を向上できる傾向がある。基材層11の厚さが40μmを超えると外装材10の総厚が大きくなり、電池の電気容量を小さくしなければならない場合があるため望ましくない。
(易接着処理層12)
易接着処理層12は、基材層11の一方の面側に設けられ、基材層11と接着層13との間に配置されている。易接着処理層12は、基材層11と接着層13との間の密着性を向上させ、ひいては基材層11と金属箔層14との間の密着性を向上させるための層である。外装材10において、易接着処理層12は設けられていなくてもよい。その場合、基材層11と接着層13との間の密着性を向上させ、ひいては基材層11と金属箔層14との間の密着性を向上させるために、基材層11の接着層13側の面をコロナ処理してもよい。
易接着処理層12は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリルグラフトポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む層であることが好ましい。かかる易接着処理層12は、例えば、基材層11の一方の面上に、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリルグラフトポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を主成分とする塗工剤を塗布して形成することができる。
<ポリエステル樹脂>
ポリエステル樹脂としては、接着性の点から、共重合成分を導入しガラス転移温度を低下させた共重合ポリエステルが好ましい。共重合ポリエステルは、塗工性の点から水溶性もしくは水分散性を有することが好ましい。このような共重合ポリエステルとしては、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合した共重合ポリエステル(以下、「スルホン酸基含有共重合ポリエステル」という)を用いることが好ましい。
ここでスルホン酸基含有共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸成分又はグリコール成分の一部にスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基が結合したポリエステルをいい、中でも、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有した芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分に対して2~10モル%の割合で用いて調製した共重合ポリエステルが好ましい。
このようなジカルボン酸の例としては、5-ナトリウムスルホイソフタル酸が好適である。この場合、他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、p-β-オキシエトキシ安息香酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシジフェニル、4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4-カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸基含有共重合ポリエステルを製造するためのグリコール成分としては、エチレングリコールが主として用いられ、この他に、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を共重合成分として用いると、ポリスチレンスルホン酸塩との相溶性が向上するという点で好ましい。
また、ポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体などを使用してもよい。本実施形態では、易接着処理層12と基材層11及び接着層13との間の密着性を向上させるために、易接着処理層12にポリエステル樹脂以外の樹脂を更に含有させてもよい。このような樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
<アクリル樹脂>
アクリル樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基などが挙げられる);2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N,N-ジメチロールアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基、又はその塩を含有するモノマーなどを用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いて共重合させてもよい。更に、これらは上記以外の他のモノマーと併用することができる。
他のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマル酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。また、アクリル樹脂としては、変性アクリル共重合体、例えば、ポリエステル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体などを使用してもよい。
本実施形態において用いられるアクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は特に限定されるものではないが、好ましくは0~90℃であり、より好ましくは10~80℃である。Tgが低いと高温高湿下での密着性が低下したり、高いと延伸時にクラックが発生したりすることがあるため、それらを抑制する観点から、アクリル樹脂のTgは上記範囲内であることが好ましい。
また、本実施形態において用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量は10万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましい。重量平均分子量が低いと耐湿熱性が低下する場合がある。本実施形態では、易接着処理層12と基材層11及び接着層13との間の密着性を向上させるために、易接着処理層12にアクリル樹脂以外の樹脂を更に含有させてもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレタン樹脂としては、水系ポリウレタン樹脂が好ましい。水系ポリウレタン樹脂としては、粒子径が小さく、安定性が良好な点から、自己乳化型が好ましい。水系ポリウレタン樹脂の粒子径は、10~100nm程度にするとよい。本実施形態に用いる水系ポリウレタン樹脂は、そのガラス転移点(Tg)が40℃~150℃であることが望ましい。Tgが40℃以上であると塗工後ロール状に巻き取る際にブロッキングが発生することを十分に抑制できる傾向がある。一方、塗工後の乾燥温度よりTgが高すぎると均一な膜を形成し難いため、Tgは150℃以下であることが好ましい。
また、本実施形態では、水系ポリウレタン樹脂とともに架橋剤を用いてもよい。水系ポリウレタンの架橋剤としては、水溶性エポキシ化合物等、汎用の水溶性架橋剤が使用できる。水溶性エポキシ化合物は、水への溶解性があり、2個以上のエポキシ基を有する化合物である。水溶性エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエーテル化によって得られるポリエポキシ化合物、及び、フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、シュウ酸等のジカルボン酸類1モルとエピクロルヒドリン2モルとのエステル化によって得られるジエポキシ化合物等が挙げられる。但し、水溶性エポキシ化合物はこれらに限定されるものではない。
これら水溶性架橋剤は、水系ポリウレタン樹脂と架橋し、塗膜の耐水性、耐溶剤性を向上し、易接着処理層12と基材層11及び接着層13との間の密着性向上にも寄与する。本実施形態では、易接着処理層12と基材層11及び接着層13との間の密着性を向上させるためにウレタン樹脂以外の樹脂を更に含有させてもよい。このような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
また、易接着処理層12は、例えば、主成分である上記樹脂と、多官能イソシアネート、多官能グリシジル化合物、メラミン系化合物等の硬化剤と、を含むように構成してもよい。このように、主成分である上記樹脂と、多官能イソシアネート、多官能グリシジル化合物、メラミン系化合物等の硬化剤と、を含むことにより、架橋構造を取り入れることが可能となるので、強硬な易接着処理層12を構成することができる。
易接着処理層12を形成するために使用する塗工剤は、溶剤系でもよいし、水系でもよい。水系の主剤を用いた分散タイプ(ディスパージョン)は、分子量が大きく、分子間凝集力が向上して、易接着処理層12と基材層11及び接着層13との間の密着性に有効である。
易接着処理層12の厚さは、0.02~0.5μmであることが好ましく、0.04~0.3μmであることがより好ましい。易接着処理層12の厚さが0.02μm以上であると、均一な易接着処理層12を形成し易く、より十分な易接着効果が得られる傾向がある。一方、易接着処理層12の厚さが0.5μm以下であることにより、外装材10の深絞り成型性をより向上できる傾向がある。
(接着層13)
接着層13は、基材層11と金属箔層14とを接着する層である。接着層13は、基材層11とは易接着処理層12を介して接着する。接着層13は、基材層11と金属箔層14とを強固に接着するために必要な密着力を有すると共に、冷間成型する際において、基材層11によって金属箔層14が破断されることを抑制するための追随性(部材が変形・伸縮したとしても、剥離することなく部材上に接着層13を確実に形成するための性能)も有する。
接着層13を構成する接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等のポリオールよりなる主剤と、芳香族系、脂肪族系等のイソシアネートよりなる硬化剤と、を有する二液硬化型のポリウレタン系接着剤を用いることができる。上記接着剤において、主剤の水酸基に対する硬化剤のイソシアネート基のモル比(=NCO/OH)は、1~10が好ましく、2~5がより好ましい。
上記ポリウレタン系接着剤は、塗工後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことで、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基との反応が進行し、基材層11と金属箔層14とのより強固な接着が可能となる。
接着層13の厚さは、所望の接着強度、追随性、及び加工性等を得る観点から、1~10μmが好ましく、2~6μmがより好ましい。
(金属箔層14)
金属箔層14としては、アルミニウム及びステンレス鋼等の各種金属箔が挙げられ、防湿性及び延展性等の加工性、並びにコストの面から、金属箔層14はアルミニウム箔であることが好ましい。アルミニウム箔は一般の軟質アルミニウム箔であってもよいが、耐ピンホール性及び成形時の延展性に優れる点から、鉄を含むアルミニウム箔であることが好ましい。
鉄を含むアルミニウム箔(100質量%)において、鉄の含有量は、0.1~9.0質量%であることが好ましく、0.5~2.0質量%であることがより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた耐ピンホール性及び延展性を有する外装材10を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れた外装材10を得ることができる。
また、アルミニウム箔としては、所望の成型時の延展性を付与できる点から、焼鈍処理を施した軟質アルミニウム箔(例えば、JIS規格でいう8021材、8079材よりなるアルミニウム箔)が更に好ましい。
金属箔層14に使用する金属箔は、所望の耐電解液性を得るために、例えば、脱脂処理が施されていることが好ましい。また、製造工程を簡便にするためには、上記金属箔としては、表面がエッチングされていないものが好ましい。上記脱脂処理としては、例えば、ウェットタイプの脱脂処理又はドライタイプの脱脂処理を用いることができるが、製造工程を簡便にする観点から、ドライタイプの脱脂処理が好ましい。
上記ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、金属箔を焼鈍処理する工程において、処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。金属箔を軟質化するために施される焼鈍処理の際に、同時に行われる脱脂処理程度でも充分な耐電解液性が得られる。
また、上記ドライタイプの脱脂処理としては、上記焼鈍処理以外の処理であるフレーム処理及びコロナ処理等の処理を用いてもよい。更に、上記ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、金属箔に特定波長の紫外線を照射した際に発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解及び除去する脱脂処理を用いてもよい。
上記ウェットタイプの脱脂処理としては、例えば、酸脱脂処理、アルカリ脱脂処理等の処理を用いることができる。上記酸脱脂処理に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸を用いることができる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、アルカリ脱脂処理に使用するアルカリとしては、例えば、エッチング効果が高い水酸化ナトリウムを用いることができる。また、弱アルカリ系の材料及び界面活性剤等が配合された材料を用いて、アルカリ脱脂処理を行ってもよい。上記説明したウェットタイプの脱脂処理は、例えば、浸漬法、スプレー法により行うことができる。
金属箔層14の厚さは、バリア性、耐ピンホール性及び加工性の点から、9~200μmであることが好ましく、15~150μmであることがより好ましく、15~100μmであることが更に好ましい。金属箔層14の厚さが9μm以上であることにより、成型加工により応力がかかっても破断しにくくなる。金属箔層14の厚さが200μm以下であることにより、外装材の質量増加を低減でき、蓄電装置の重量エネルギー密度低下を抑制することができる。
(腐食防止処理層15a,15b)
腐食防止処理層15a,15bは、電解液、又は、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層14の腐食を抑制する役割を果たす。また、腐食防止処理層15aは、金属箔層14と接着層13との密着力を高める役割を果たす。また、腐食防止処理層15bは、金属箔層14とシーラント接着層16との密着力を高める役割を果たす。腐食防止処理層15a及び腐食防止処理層15bは、同一の構成の層であってもよく、異なる構成の層であってもよい。なお、図1では、腐食防止処理層が金属箔層14の両面に形成されている場合を示したが、腐食防止処理層は金属箔層14の少なくとも一方の面に形成されていてもよい。
腐食防止処理層15a,15bは、例えば、腐食防止処理層15a,15bの母材となる層に対して、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、腐食防止能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理あるいはこれらの処理を組み合わせた腐食防止処理を実施することで形成することができる。
上述した処理のうち脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、特に熱水変性処理及び陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔(アルミニウム箔)表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物(アルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト))を形成させる処理である。このため、このような処理は、金属箔層14から腐食防止処理層15a,15bまで共連続構造を形成している構造を得るために、化成処理の定義に包含されるケースもある。
脱脂処理としては、酸脱脂、アルカリ脱脂が挙げられる。酸脱脂としては上述した硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸を単独あるいはこれらを混合して得られた酸脱脂を用いる方法などが挙げられる。また酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウムなどのフッ素含有化合物を上記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、金属箔層14の脱脂効果だけでなく不動態である金属のフッ化物を形成させることが可能であり、耐フッ酸性という点で有効である。アルカリ脱脂としては、水酸化ナトリウムなどを用いる方法が挙げられる。
上記熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中に金属箔層14を浸漬処理することで得られるベーマイト処理を用いることができる。上記陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理を用いることができる。また、上記化成処理としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、或いはこれらを2種以上組み合わせた処理を用いることができる。これらの熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理は、上述した脱脂処理を事前に施すことが好ましい。
なお、上記化成処理としては、湿式法に限らず、例えば、これらの処理に使用する処理剤を樹脂成分と混合し、塗布する方法を用いてもよい。また、上記腐食防止処理としては、その効果を最大限にすると共に、廃液処理の観点から、塗布型クロメート処理が好ましい。
腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理に用いられるコーティング剤としては、希土類元素酸化物ゾル、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するコーティング剤が挙げられる。特に、希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法が好ましい。
希土類元素酸化物ゾルを含有するコーティング剤を用いる方法は、純粋なコーティングタイプの腐食防止処理であり、この方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも金属箔層14に腐蝕防止効果を付与させることが可能である。また、希土類元素酸化物ゾルを用いて形成される層は、金属箔層14の腐蝕防止効果(インヒビター効果)を有し且つ環境側面的にも好適な材料である。
希土類元素酸化物ゾルには、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば、平均粒径100nm以下の粒子)が分散されている。希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられる。中でも、酸化セリウムが好ましい。これにより、金属箔層14との間の密着性をより向上させることができる。希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができる。中でも、水が好ましい。腐食防止処理層15a,15bに含まれる希土類元素酸化物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
希土類元素酸化物ゾルは、希土類元素酸化物粒子の分散を安定化させるために、分散安定化剤として、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、酢酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、乳酸などの有機酸、それらの塩等を含有することが好ましい。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸又はリン酸塩を用いることが好ましい。これにより、希土類元素酸化物粒子の分散安定化だけでなく、リチウムイオン電池用外装材の用途において、リン酸のキレート能力を利用した、金属箔層14との間の密着性向上、フッ酸の影響で溶出した金属物イオンを捕獲(不動態形成)することによる電解液耐性の付与、低温でもリン酸の脱水縮合起こし易いことによる希土類元素酸化物層の凝集力向上などの効果が期待できる。分散安定化剤として用いられるリン酸又はリン酸塩としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。中でも、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、あるいはこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩が、リチウムイオン電池用外装材としての機能発現に好ましい。特に、希土類元素酸化物ゾルを含むコーティング組成物を用いて、各種コーティング法により希土類酸化物を含む層を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる剤が好ましく、低温での脱水縮合性に優れる点から、ナトリウム塩が好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。腐食防止処理層15a,15bに含まれるリン酸又はリン酸塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
希土類元素酸化物ゾル中、リン酸あるいはその塩の配合量としては、希土類元素酸化物100質量部に対し、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。1質量部以上であると、ゾルの安定化が良好であると共にリチウムイオン電池用外装材としての機能を満たすことが容易である。希土類元素酸化物100質量部に対するリン酸あるいはその塩の配合上限は、希土類元素酸化物ゾルの機能低下を伴わない範囲であればよく、希土類元素酸化物100質量部に対し、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下が更に好ましい。
ただし、上述した希土類元素酸化物ゾルから形成される層は無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても、その層自身の凝集力は低い。そこで、この層の凝集力を補うために、アニオン性ポリマーで複合化させることが好適である。
アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分として共重合した共重合体が挙げられる。該共重合体の共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。);(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プ口ピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。)、N-アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等。)、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエ卜キシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネー卜等のイソシアネー卜基含有モノマー等が挙げられる。また、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等が挙げられる。
アニオン性ポリマーは、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層15a,15b(酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。これは、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護する効果、及び、希土類酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミネーション(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果によって達成される。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層15a,15b中に、特にナトリウム等のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンが含まれると、該イオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層15a,15bが劣化し易くなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオン等を固定化することで、腐食防止処理層15a,15bの耐性が向上する。
アニオン系ポリマーと希土類元素酸化物ゾルと組み合わせた腐食防止処理層15a,15bは、金属箔層14にクロメート処理を施して形成した腐食防止処理層15a,15bと同等の腐食防止性能を有する。アニオン系ポリマーは、本質的に水溶性であるポリアニオン系ポリマーが架橋された構造であることが好ましい。該構造の形成に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネー卜基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。更にはシランカップリング剤を用いてシロキサン結合を有する架橋部位を導入することも可能である。
イソシアネー卜基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネー卜などのジイソシアネー卜類;あるいはこれらのイソシアネー卜類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレッ卜体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネー卜類;あるいはこれらのポリイソシアネー卜類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネー卜などが挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピク口ルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリ卜ール、ソルビ卜ール等の多価アルコール類とエピク口ルヒドリンを作用させたエポキシ化合物、フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、更にはポリ(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いることも可能である。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等のアクリル系モノマーを共重合させた化合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピル卜リメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられ、特にアニオン性ポリマーとの反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
架橋剤の配合量は、アニオン性ポリマー100質量部に対し、1~50質量部が好ましく、10~20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が充分に形成され易い。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、上記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法等であってもよい。また、これらの材料は、腐食防止処理層15aを形成するコーティング組成物を適用してもよい。
以上説明した腐食防止処理層15a,15bにおいて、クロメート処理に代表される化成処理による腐食防止処理層15a,15bは、金属箔層14との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いて金属箔層14に処理を施し、次いでクロム系又はノンクロム系の化合物を作用させて化成処理層を金属箔層14に形成させる。しかし、上記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化及びコーティング装置の腐食を伴う。
一方、前述したコーティングタイプの腐食防止処理層15a,15bは、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、金属箔層14に対して傾斜構造を形成させる必要がない。そのため、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性等の制約を受けることがなく、良好な作業環境を実現できる。加えて、クロム化合物を用いるクロメート処理は、環境衛生上、代替案が求められている点からも、コーティングタイプの腐食防止処理層15a,15bが好ましい。
腐食防止処理層15a,15bは、必要に応じて、更にカチオン性ポリマーを積層した積層構造としてもよい。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフ卜させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノール樹脂等が挙げられる。
イオン高分子錯体を形成する「カルボン酸を有するポリマー」としては、例えば、ポリカルボン酸(塩)、ポリカルボン酸(塩)にコモノマーを導入した共重合体、カルボキシ基を有する多糖類等が挙げられる。ポリカルボン酸(塩)としては、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩などが挙げられる。カルボキシ基を有する多糖類としては、例えば、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩などが挙げられる。イオン塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
1級アミングラフ卜アクリル樹脂は、アクリル主骨格に1級アミンをグラフ卜させた樹脂である。該アクリル主骨格としては、ポリ(メタ)アクリル酸など、上述したアクリルポリオールで用いられる各種モノマーが挙げられる。該アクリル主骨格にグラフ卜させる1級アミンとしては、エチレンイミン等が挙げられる。
ポリアリルアミンまたはその誘導体としては、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能であり、更に、これらのアミンはフリーのアミンでも酢酸あるいは塩酸による安定化物でも用いることが可能である。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。更には1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプも用いることが可能である。これらのカチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。カチオン性ポリマーとしては、上記の中でも、ポリアリルアミン及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カチオン性ポリマーは、カルボキシ基、グリシジル基等のアミン/イミンと反応が可能な官能基を有する架橋剤と併用することが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩等のポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩等のカルボキシ基を有する多糖類等が挙げられる。
本実施形態においては、カチオン性ポリマーも腐食防止処理層15a,15bを構成する一構成要素として記載している。その理由は、リチウムイオン電池用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与させるべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体にも、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で捕捉する(アニオンキャッチャー)ことで、金属箔層14が損傷することを抑制しているためであると推測される。また、カチオン性ポリマーは、腐食防止処理層15bとシーラント接着層16の接着性の向上の点でも非常に好ましい。また、カチオン性ポリマーは、前述したアニオン性ポリマーと同様に水溶性であるため、上記架橋剤を用いて架橋構造を形成させることで耐水性を向上させることができる。このように、カチオン性ポリマーを用いても架橋構造を形成させることができることから、腐食防止処理層15a,15bの形成に希土類酸化物ゾルを用いた場合には、その保護層としてアニオン性ポリマーの代わりにカチオン性ポリマーを用いてもよい。
以上の内容から、上述したコーティングタイプの腐食防止処理の組み合わせの事例として、(1)希土類酸化物ゾルのみ、(2)アニオン性ポリマーのみ、(3)カチオン性ポリマーのみ、(4)希土類酸化物ゾル+アニオン性ポリマー(積層複合化)、(5)希土類酸化物ゾル+カチオン性ポリマー(積層複合化)、(6)(希土類酸化物ゾル+アニオン性ポリマー:積層複合化)/カチオン性ポリマー(多層化)、(7)(希土類酸化物ゾル+カチオン性ポリマー:積層複合化)/アニオン性ポリマー(多層化)、等が挙げられる。中でも(1)及び(4)~(7)が好ましく、(4)~(7)がより好ましい。また、腐食防止処理層15aの場合、腐食防止効果とアンカー効果(密着性向上効果)が一層で実現できることから、(6)が特に好ましい。また、腐食防止処理層15bの場合、シーラント層17側の電解液耐性をより保持し易くなることから、(6)及び(7)が特に好ましい。ただし、本実施形態は、上記組み合せに限られるわけではない。たとえば腐食防止処理の選択の事例として、カチオン性ポリマーは、後述するシーラント接着層16の説明で挙げる変性ポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるという点でも非常に好ましい材料であることから、シーラント接着層16を変性ポリオレフィン樹脂で構成される場合においては、シーラント接着層16に接する面にカチオン性ポリマーを設ける(例えば、構成(5)及び(6)などの構成)といった設計が可能である。
ただし腐食防止処理層15a,15bは上述した層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノール樹脂など)にリン酸とクロム化合物を配合した剤を用いて形成してもよい。該処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性を双方兼ね備えた層を形成することが可能になる。また、上述した化成処理層(脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれら処理の組み合わせにより形成した層)に対して、密着性を向上させるために、上述してきたカチオン性ポリマー及び/又はアニオン性ポリマーを用いて複合的な処理を施したり、あるいはこれらの処理の組み合わせに対して多層構造としてカチオン性ポリマー及び/又はアニオン性ポリマーを積層させたりすることも可能である。また、塗液の安定性を考慮する必要があるが、上述してきた希土類酸化物ゾルとカチオン性ポリマーあるいはアニオン性ポリマーとを事前に一液化して得られたコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層15a,15bの単位面積あたりの質量は0.005~0.200g/mの範囲内が好ましく、0.010~0.100g/mの範囲内がより好ましい。0.005g/m以上であれば、金属箔層14に腐食防止機能を付与し易い。また、上記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能は飽和してあまり変らない。一方、希土類酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不充分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、上記内容では単位面積あたりの質量で記載しているが、比重がわかればそこから厚みを換算することも可能である。
腐食防止処理層15a,15bの厚さは、腐食防止機能、及びアンカーとしての機能の点から、例えば10nm~5μmであることが好ましく、20~500nmであることがより好ましい。
(シーラント接着層16)
シーラント接着層16は、腐食防止処理層15bが形成された金属箔層14とシーラント層17を接着する層である。外装材10は、シーラント接着層16を形成する接着成分によって、熱ラミネート構成とドライラミネート構成に大きく分けられる。
熱ラミネート構成におけるシーラント接着層16を形成する接着成分は、ポリオレフィン系樹脂を酸でグラフト変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。酸変性ポリオレフィン系樹脂は、無極性であるポリオレフィン系樹脂の一部に極性基が導入されていることから、無極性のポリオレフィン系樹脂フィルム等で構成された場合のシーラント層17と、極性を有することが多い腐食防止処理層15bの両方に強固に密着することができる。また、酸変性ポリオレフィン系樹脂を使用することで、外装材10の電解液等の内容物に対する耐性が向上し、電池内部でフッ酸が発生してもシーラント接着層16の劣化による密着力の低下を防止し易い。
酸変性ポリオレフィン系樹脂のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度及び高密度のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;並びに、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。また、ポリオレフィン樹脂としては、上記したものにアクリル酸若しくはメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、又は、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。ポリオレフィン系樹脂を変性する酸としては、カルボン酸、エポキシ化合物及び酸無水物等が挙げられ、無水マレイン酸であることが好ましい。シーラント接着層16に使用する酸変性ポリオレフィン系樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
熱ラミネート構成のシーラント接着層16は、上記接着成分を押出し装置で押し出すことで形成できる。熱ラミネート構成のシーラント接着層16の厚さは2~50μmであることが好ましい。
ドライラミネート構成のシーラント接着層16を形成する接着成分としては、例えば、接着層13で挙げたものと同様の接着剤が挙げられる。この場合、電解液による膨潤及びフッ酸による加水分解を抑制するため、加水分解し難い骨格の主剤で、且つ架橋密度の向上が可能な組成となるように、接着剤の組成を設計することが好ましい。
架橋密度を向上させる場合、例えば、ダイマー脂肪酸、ダイマー脂肪酸のエステルもしくは水素添加物、ダイマー脂肪酸の還元グリコール、ダイマー脂肪酸のエステルもしくは水素添加物の還元グリコールを接着剤に添加するとよい。上記ダイマー脂肪酸は、各種不飽和脂肪酸を二量化させた酸であり、その構造としては、非環型、単環型、多環型、芳香環型が例示できる。
ダイマー脂肪酸の出発物質である脂肪酸は特に限定されない。また、このようなダイマー脂肪酸を必須成分として、通常のポリエステルポリオールで用いられるような二塩基酸を導入しても構わない。シーラント接着層16を構成する主剤に対する硬化剤としては、例えば、ポリエステルポリオールの鎖伸長剤としても使用できるイソシアネート化合物を用いることが可能である。これにより、接着剤塗膜の架橋密度が高まり、溶解性及び膨潤性の向上につながるとともに、ウレタン基濃度が高まることで基材密着性の向上も期待できる。
ドライラミネート構成のシーラント接着層16は、エステル基及びウレタン基等の加水分解性の高い結合部を有しているので、より高い信頼性が求められる用途には、シーラント接着層16として熱ラミネート構成の接着成分を用いることが好ましい。例えば酸変性ポリオレフィン樹脂を、トルエン、メチルシクロヘキサン(MCH)等の溶剤にて溶解、あるいは、分散させた塗液に上述した各種硬化剤を配合し、塗布、乾燥させることでシーラント接着層16を形成する。
シーラント接着層16を押出成型により形成する場合、押出成型時に発生する応力等により、接着樹脂がMD方向(押出す方向)に配向し易い。この場合、シーラント接着層16の異方性を緩和するために、シーラント接着層16にエラストマーを配合してもよい。シーラント接着層16に配合するエラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を用いることができる。
上記エラストマーの平均粒径は、エラストマーと接着樹脂との相溶性が向上し、またシーラント接着層16の異方性を緩和する効果を向上させることが可能な粒径が好ましい。具体的には、上記エラストマーの平均粒径は、例えば、200nm以下が好ましい。
なお、エラストマーの平均粒径は、例えば、電子顕微鏡により、エラストマー組成物の断面を拡大した写真を撮影し、その後、画像解析により、分散した架橋ゴム成分の平均粒径を測定することで求められる。上記エラストマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
シーラント接着層16にエラストマーを配合する場合、シーラント接着層16(100質量%)中に添加するエラストマーの配合量は、例えば、1~25質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましい。エラストマーの配合量を1質量%以上とすることで、接着樹脂との相溶性が向上すると共に、シーラント接着層16の異方性を緩和する効果が向上する傾向がある。また、エラストマーの配合量を25質量%以下とすることで、シーラント接着層16が電解液によって膨潤することを抑制する効果が向上する傾向がある。
シーラント接着層16として、例えば、接着樹脂を有機溶媒に分散させたディスパージョンタイプの接着樹脂液を用いてもよい。
シーラント接着層16の厚さは、熱ラミネート構成の場合には、2~50μmであることが好ましく、20~40μmであることがより好ましい。シーラント接着層16の厚さが2μm以上であることにより、金属箔層14とシーラント層17との十分な接着強度が得られ易く、50μm以下であることにより、外装材端面から内部の電池要素に浸入する水分量を低減し易くすることができる。また、シーラント接着層16の厚さは、ドライラミネート構成の場合には、1~5μmであることが好ましい。シーラント接着層16の厚さが1μm以上であることにより、金属箔層14とシーラント層17との十分な接着強度が得られ易く、5μm以下であることにより、シーラント接着層16の割れの発生を抑制することができる。
(シーラント層17)
シーラント層17は、外装材10に対し、ヒートシールによる封止性を付与する層であり、蓄電装置の組み立て時に内側に配置されて熱融着される層である。シーラント層17としては、ポリオレフィン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸等の酸をグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂フィルムが挙げられる。中でも、水蒸気のバリア性を向上させ、ヒートシールによって過度に潰れることなく蓄電装置の形態を構成可能なポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンが特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度及び高密度のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ポリプロピレン;並びに、プロピレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンには、低結晶性のエチレン-ブテン共重合体、低結晶性のプロピレン-ブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。
酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、シーラント接着層16で挙げたものと同様のものが挙げられる。
シーラント層17は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよく、必要とされる機能に応じて選択すればよい。例えば、防湿性を付与する点では、エチレン-環状オレフィン共重合体及びポリメチルペンテン等の樹脂を介在させた多層フィルムが使用できる。
また、シーラント層17は、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤及び粘着付与剤等の各種添加材を含んでいてもよい。
シーラント層17として、押出成型により形成した熱溶着性フィルムを使用する場合、該熱溶着性フィルムの押出し方向に配向傾向がある。このため、配向によるシーラント層17の異方性を緩和する観点から、熱溶着性フィルムにエラストマーを配合してもよい。これにより、外装材10を冷間成型して凹部を形成する際にシーラント層17が白化することを抑制できる。
シーラント層17を構成するエラストマーとしては、例えば、シーラント接着層16を構成するエラストマーとして例示した材料と同じ材料を用いることができる。シーラント層17が多層フィルム構造である場合、多層フィルム構造を構成する複数の層のうち、少なくとも1層がエラストマーを含むように構成してもよい。例えば、シーラント層17として、積層されたランダムポリプロピレン層/ブロックポリプロピレン層/ランダムポリプロピレン層よりなる3層積層構造の場合、エラストマーは、ブロックポリプロピレン層のみに配合してもよいし、ランダムポリプロピレン層のみに配合してもよいし、ランダムポリプロピレン層とブロックポリプロピレン層との両方に配合してもよい。
シーラント層17は、静摩擦係数が0.10~0.30である表面(外装材10の最内面)を有することが好ましい。シーラント層17の上記表面の静摩擦係数はより好ましくは0.12~0.25である。これにより、深絞り成型性をより向上させることができる。より具体的には、冷間成型により、外装材10に凹部を形成する際、外装材10において延伸率の高い凹部の辺又は角となる部分が必要以上に延伸されることを抑制可能となる。これにより、金属箔層14とシーラント接着層16との間が剥離したり、シーラント層17とシーラント接着層16とにおいてクラックによる破断及び白化が生じたりすることを抑制することができる。
シーラント層17の表面の静摩擦係数を上記範囲内とするためにシーラント層17に滑剤を含有させてもよいし、シーラント層17の表面に滑剤を塗布してもよい。滑剤としては、例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。シーラント層17に滑剤を含有させる場合、シーラント層17(100質量%)中の滑剤の含有量は、0.001~0.5質量%が好ましい。滑剤の含有量が0.001質量%以上であると、冷間成型時にシーラント層17が白化することをより抑制できる傾向がある。また、滑剤の含有量が0.5質量%以下であると、シーラント層17の面と接触する他の層の面との間における密着強度の低下を抑制できるとともに、金型に滑剤が付着すること(白粉の付着)を抑制できる傾向がある。
シーラント層17の厚さは、10~100μmであることが好ましく、20~60μmであることがより好ましい。シーラント層17の厚さが10μm以上であることにより、十分なヒートシール強度を得ることができ、100μm以下であることにより、外装材端部からの水蒸気の浸入量を低減することができる。
[外装材の製造方法]
次に、外装材10の製造方法について説明する。なお、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。
外装材10の製造方法として、例えば、下記の工程S11~S14を有する方法が挙げられる。
工程S11:金属箔層14の一方の面上に腐食防止処理層15aを形成し、金属箔層14の他方の面上に腐食防止処理層15bを形成する工程。
工程S12:基材層11の一方の面上に易接着処理層12を形成し、積層体を得る工程。工程S13:腐食防止処理層15aの金属箔層14とは反対側の面と、上記積層体の易接着処理層12側の面とを、接着層13を介して貼り合わせる工程。
工程S14:腐食防止処理層15bの金属箔層14とは反対側の面上に、シーラント接着層16を介してシーラント層17を形成する工程。
(工程S11)
工程S11では、金属箔層14の一方の面上に腐食防止処理層15aを形成し、金属箔層14の他方の面上に腐食防止処理層15bを形成する。腐食防止処理層15a及び15bは、それぞれ別々に形成されてもよく、両方が一度に形成されてもよい。具体的には、例えば、金属箔層14の両方の面に腐食防止処理剤(腐食防止処理層の母材)を塗布し、その後、乾燥、硬化、焼付けを順次行うことで、腐食防止処理層15a及び15bを一度に形成する。また、金属箔層14の一方の面に腐食防止処理剤を塗布し、乾燥、硬化、焼き付けを順次行って腐食防止処理層15aを形成した後、金属箔層14の他方の面に同様にして腐食防止処理層15bを形成してもよい。腐食防止処理層15a及び15bの形成順序は特に制限されない。また、腐食防止処理剤は、腐食防止処理層15aと腐食防止処理層15bとで異なるものを用いてもよく、同じのものを用いてもよい。上記腐食防止処理剤としては、例えば、塗布型クロメート処理用の腐食防止処理剤等を用いることができる。腐食防止処理剤の塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビアコート法、グラビアリバースコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、バーコート法、キスコート法、コンマコート法等の方法を用いることができる。なお、金属箔層14として、未処理の金属箔層を用いてもよいし、ウェットタイプの脱脂処理又はドライタイプの脱脂処理により、脱脂処理を施した金属箔層を用いてもよい。
(工程S12)
工程S12では、基材層11の一方の面上に易接着処理層12を形成する。ここでは、易接着処理層12の形成方法の一例として、インラインコート法について説明する。始めに、易接着処理層12の主成分となる上記樹脂を分散剤で分散させた分散体を含有する水性塗布液を準備する。次いで、結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルム(基材層11の母材)の一方の面に、上記水性塗布液を塗布する。次いで、塗布された上記水性塗布液を乾燥させ、その後、熱可塑性樹脂フィルムを少なくとも一軸方向に延伸させる。
次いで、熱処理により、熱可塑性樹脂フィルムの配向を完了させることで、基材層11の一方の面上に易接着処理層12が形成された積層体が得られる。このようなインラインコート法を用いて易接着処理層12を形成することで、基材層11と易接着処理層12との間の密着性が向上する。なお、易接着処理層12の形成方法は、上記方法に限定されることなく、いかなる方法を用いてもよい。また、易接着処理層12を形成するタイミングは、本実施の形態に限定されない。
(工程S13)
工程S13では、腐食防止処理層15aの金属箔層14とは反対側の面と、上記積層体の易接着処理層12側の面とが、接着層13を形成する接着剤を用いてドライラミネーション等の手法で貼り合わせられる。工程S13では、接着性の促進のため、室温~100℃の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。エージング時間は、例えば、1~10日である。
(工程S14)
工程S13後、基材層11、易接着処理層12、接着層13、腐食防止処理層15a、金属箔層14及び腐食防止処理層15bがこの順に積層された積層体の腐食防止処理層15bの金属箔層14とは反対側の面上に、シーラント接着層16を介してシーラント層17が形成される。シーラント層17は、ドライラミネーション及びサンドイッチラミネーション等によって積層されてもよく、シーラント接着層16とともに共押出し法によって積層されてもよい。シーラント層17は、接着性向上の点から、例えばサンドイッチラミネーションによって積層される、又は、シーラント接着層16とともに共押出し法によって積層されることが好ましく、サンドイッチラミネーションによって積層されることがより好ましい。
以上説明した工程S11~S14により、外装材10が得られる。なお、外装材10の製造方法の工程順序は、上記工程S11~S14を順次実施する方法に限定されない。例えば、工程S12を行ってから工程S11を行う等、実施する工程の順序を適宜変更してもよい。
[蓄電装置]
次に、外装材10を容器として備える蓄電装置について説明する。蓄電装置は、電極を含む電池要素1と、上記電極から延在するリード2と、リード2を挟持し且つ電池要素1を収容する容器とを備え、上記容器は外装材10から、シーラント層17が内側となるように形成される。上記容器は、2つの外装材をシーラント層17同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた外装材10の周縁部を熱融着して得られてもよく、また、1つの外装材を折り返して重ね合わせ、同様に外装材10の周縁部を熱融着して得られてもよい。また、蓄電装置は、外装材20を容器として備えていてもよい。蓄電装置としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが挙げられる。
リード2は、シーラント層17を内側として容器を形成する外装材10によって挟持され、密封されている。リード2は、タブシーラントを介して、外装材10によって挟持されていてもよい。
[蓄電装置の製造方法]
次に、上述した外装材10を用いて蓄電装置を製造する方法について説明する。なお、ここでは、エンボスタイプ外装材30を用いて二次電池40を製造する場合を例に挙げて説明する。図2は上記エンボスタイプ外装材30を示す図である。図3の(a)~(d)は、外装材10を用いた片側成型加工電池の製造工程を示す斜視図である。二次電池40としては、エンボスタイプ外装材30のような外装材を2つ設け、このような外装材同士を、アライメントを調整しつつ、貼り合わせて製造される、両側成型加工電池であってもよい。また、エンボスタイプ外装材30は、外装材20を用いて形成されてもよい。
片側成型加工電池である二次電池40は、例えば、以下の工程S21~S25により製造することができる。
工程S21:外装材10、電極を含む電池要素1、並びに上記電極から延在するリード2を準備する工程。
工程S22:外装材10の片面に電池要素1を配置するための凹部32を形成する工程(図3(a)及び図3(b)参照)。
工程S23:エンボスタイプ外装材30の成型加工エリア(凹部32)に電池要素1を配置し、凹部32を蓋部34が覆うようにエンボスタイプ外装材30を折り返し重ねて、電池要素1から延在するリード2を挟持するようにエンボスタイプ外装材30の一辺を加圧熱融着する工程(図3(b)及び図3(c)参照)。
工程S24:リード2を挟持する辺以外の一辺を残し、他の辺を加圧熱融着し、その後、残った一辺から電解液を注入し、真空状態で残った一辺を加圧熱融着する工程(図3(c)参照)。
工程S25:リード2を挟持する辺以外の加圧熱融着辺端部をカットし、成型加工エリア(凹部32)側に折り曲げる工程(図3(d)参照)。
(工程S21)
工程S21では、外装材10、電極を含む電池要素1、並びに上記電極から延在するリード2を準備する。外装材10は、上述した実施形態に基づき準備する。電池要素1及びリード2としては特に制限はなく、公知の電池要素1及びリード2を用いることができる。
(工程S22)
工程S22では、外装材10のシーラント層17側に電池要素1を配置するための凹部32が形成される。凹部32の平面形状は、電池要素1の形状に合致する形状、例えば平面視矩形状とされる。凹部32は、例えば矩形状の圧力面を有する押圧部材を、外装材10の一部に対してその厚み方向に押圧することで形成される。また、押圧する位置、すなわち凹部32は、長方形に切り出した外装材10の中央より、外装材10の長手方向の一方の端部に偏った位置に形成する。これにより、成型加工後に凹部32を形成していないもう片方の端部側を折り返し、蓋(蓋部34)とすることができる。
凹部32を形成する方法としてより具体的には、金型を用いた成型加工(深絞り成型)が挙げられる。成型方法としては、外装材10の厚さ以上のギャップを有するように配置された雌型と雄型の金型を用い、雄型の金型を外装材10とともに雌型の金型に押し込む方法が挙げられる。雄型の金型の押込み量を調整することで、凹部32の深さ(深絞り量)を所望の量に調整できる。外装材10に凹部32が形成されることにより、エンボスタイプ外装材30が得られる。このエンボスタイプ外装材30は、例えば図2に示すような形状を有している。ここで、図2(a)は、エンボスタイプ外装材30の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すエンボスタイプ外装材30のb-b線に沿った縦断面図である。
(工程S23)
工程S23では、エンボスタイプ外装材30の成型加工エリア(凹部32)内に、正極、セパレータ及び負極等から構成される電池要素1が配置され。また、電池要素1から延在し、正極と負極にそれぞれ接合されたリード2が成型加工エリア(凹部32)から外に引き出される。その後、エンボスタイプ外装材30は、長手方向の略中央で折り返され、シーラント層17同士が内側となるように重ねられ、エンボスタイプ外装材30のリード2を挟持する一辺が加圧熱融着される。加圧熱融着は、温度、圧力及び時間の3条件で制御され、適宜設定される。加圧熱融着の温度は、シーラント層17を融解する温度以上であることが好ましい。
なお、シーラント層17の熱融着前の厚さは、リード2の厚さに対し40~80%であることが好ましい。シーラント層17の厚さが上記下限値以上であることにより、熱融着樹脂がリード2端部を十分充填できる傾向があり、上記上限値以下であることにより、二次電池40の外装材10端部の厚さを適度に抑えることができ、外装材10端部からの水分の浸入量を低減することができる。
(工程S24)
工程S24では、リード2を挟持する辺以外の一辺を残し、他の辺の加圧熱融着が行われる。その後、残った一辺から電解液を注入し、残った一辺が真空状態で加圧熱融着される。加圧熱融着の条件は工程S23と同様である。
(工程S25)
リード2を挟持する辺以外の周縁加圧熱融着辺端部がカットされ、端部からははみだしたシーラント層17が除去される。その後、周縁加圧熱融着部を凹部32側に折り返し、折り返し部42を形成することで、二次電池40が得られる。
以上、本発明の蓄電装置用外装材及び蓄電装置の製造方法の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(基材層の準備)
基材層11として、表1の特性を有するポリエステルフィルム(いずれも厚さ25μm)を準備した。表1中、ΔAは下記式(1)で示される値であり、F50160は160℃での熱処理後の50%伸長時応力値を示し、F50200は200℃での熱処理後の50%伸長時応力値を示す。
ΔA=(160℃での熱処理後の破断伸度)-(160℃での熱処理前の破断伸度) ・・・(1)
破断伸度及び50%伸長時応力値は次のようにして測定した。すなわち、A4サイズにカットしたポリエステルフィルムを、任意の熱処理温度(160℃又は200℃)に保たれたオーブン中で30分間加熱した後、当該基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し、23℃にて引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min)を行った。そして、4方向に対する測定結果の平均を取ることで、本実施形態における破断伸度及び50%伸長時応力値を算出した。ただし、破断伸度は以下のとおり算出される値である。
破断伸度(%)={(破断時の標点間距離-測定前の標点間距離)/測定前の標点間距離}×100
Figure 0007185995000001
(易接着処理層形成用塗工剤の調製)
易接着処理層形成用塗工剤として、下記組成の塗工剤を調製した。
塗工剤:東亞合成株式会社製の水溶性ポリエステル「アロンメルトPES-1000」に、ニホンポリウレタン工業株式会社製の自己乳化型ポリイソシアネート「アクアネート100」及び日本触媒化学工業株式会社製の真球状シリカ微粒子「シーホスターKE-P30」(平均粒子径0.3μm)を95/5/0.5の配合比(質量比)で加え、水で希釈した。
(実施例1)
実施例1では、以下の手法により、外装材10を作製した。始めに、金属箔層14として、厚さ40μmの軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム株式会社製)を準備した。次いで、金属箔層14の両面に、グラビアコートにより、溶媒として蒸留水を使用し、且つ固形分濃度10質量%に調整したポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル(腐食防止処理剤)を塗布した。このとき、酸化セリウム100質量部に対して、リン酸は10質量部とした。
次いで、塗布されたポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルを乾燥させた後、焼付け処理を順次行うことで、金属箔層14の一方の面に腐食防止処理層15aを形成し、他方の面に腐食防止処理層15bを形成した。このとき、焼き付け条件としては、温度を150℃、処理時間を30秒とした。
次いで、基材層11としては、ポリエステルフィルムA-1を用い、基材層11の片面をコロナ処理した。
次いで、金属箔層14の腐食防止処理層15aの金属箔層14とは反対側の面に、接着層13として、ポリウレタン系接着剤を塗布した。次いで、ドライラミネート法により、接着層13を介して、金属箔層14と基材層11のコロナ処理された面とを接着させた。その後、基材層11、接着層13、腐食防止処理層15a、金属箔層14、及び腐食防止処理層15bからなる構造体を、温度が60℃の雰囲気中で6日間放置することで、エージング処理した。その後、以下に示すようにシーラント接着層16を形成する接着成分に応じ、ドライラミネート構成又は熱ラミネート構成の、計3種類の外装材10を作製した。
・ドライラミネート構成
腐食防止処理層15bの金属箔層14とは反対側の面に、シーラント接着層16として、トルエン及びメチルシクロヘキサンの混合溶媒に溶解させた酸変性ポリオレフィンにポリイソシアネートを配合したポリウレタン系接着剤を塗布した。次いで、ドライラミネート法により、シーラント接着層16を介して、シーラント層17となる厚さ40μmのポリオレフィンフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルムのシーラント接着層16側の面をコロナ処理したフィルム)と金属箔層14とを接着させた。その後、基材層11、接着層13、腐食防止処理層15a、金属箔層14、腐食防止処理層15b、シーラント接着層16、及びシーラント層17からなる構造体を、温度が40℃の雰囲気中で6日間放置することで、エージング処理した。これにより、外装材10を作製した。
・熱ラミネート構成(160℃又は200℃)
シーラント接着層16を、シーラント接着層16の母材となる無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学社製、商品名:アドマー)を押出すことで形成した。このとき、シーラント接着層16の厚さは15μmとした。そして、ドライラミネート法の代わりにサンドイッチラミネーション法により、シーラント接着層16を介して、腐食防止処理層15bに、シーラント層17となる厚さ30μmのポリオレフィンフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルムのシーラント接着層16側の面をコロナ処理したフィルム)を160℃又は200℃で接着(加熱圧着)した。これにより、外装材10を作製した。
(実施例2~6,11,12及び比較例1~5)
A-1のポリエステルフィルムに代えて、表1に記載のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、外装材10を作製した。
(実施例7)
基材層11の片面をコロナ処理する代わりに基材層11の接着層13側の面に易接着処理層12を形成し、且つ、A-1のポリエステルフィルムに代えて、A-3のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、外装材10を作製した。易接着処理層12は、インラインコート法を用いて、基材層11の片面に易接着処理層12の母材となる塗工剤を固形分で0.1g/mとなるように塗工し、乾燥させることで、厚さ約0.1μmの易接着処理層12を形成した。
(実施例8)
シーラント層17の表面(外装材10の最内面)に滑剤を塗布することによって静摩擦係数を小さくし、且つ、A-1のポリエステルフィルムに代えて、A-3のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、外装材10を作製した。滑剤としてはエルカ酸アミドを使用した。
(実施例9)
5日間にわたって外装材10を80℃に加熱することによってシーラント層17の表面の静摩擦係数を大きくし、且つ、A-1のポリエステルフィルムに代えて、A-3のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、外装材10を作製した。
(実施例10)
ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾルを用いて腐食防止処理層15a及び15bを形成する代わりに、クロメート処理を行って腐食防止処理層15a及び15bを形成し、且つ、A-1のポリエステルフィルムに代えて、A-3のポリエステルフィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、外装材10を作製した。なお、クロメート処理は、金属箔層14の両面にフェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液を塗布して皮膜を形成し、焼付けすることにより行った。
<成型深度の評価>
各実施例及び比較例で作製した、それぞれ3種類の外装材10について、深絞り成型が可能な成型深度を以下の方法で評価した。まず、外装材10を、シーラント層17が上方を向くように成型装置内に配置した。成型装置の成型深さを0.5mmごとに3.5~7.0mmに設定し、室温23℃、露点温度-35℃の環境下で冷間成型した。なお、パンチ金型には、70mm×80mmの長方形の横断面を有し、底面に1.00mmのパンチラジアス(RP)を有し、側面に1.00mmのパンチコーナーラジアス(RCP)を有するものを使用した。また、ダイ金型には、開口部上面に1.00mmのダイラジアス(RD)を有するものを使用した。冷間成型を行った部分の破断及びピンホールの有無を、外装材10にライトを照射しながら目視にて確認し、破断及びピンホールのいずれも生じることなく深絞り成型できた成型深度の最大値(成型限界)を求めた。結果を表2に示す。
<密着性の評価>
各実施例及び比較例で作製した、熱ラミネート構成(160℃)の外装材10について、基材層11と金属箔層14との間の密着性を以下の方法で評価した。まず、外装材10を、シーラント層17が上方を向くように成型装置内に配置した。成型装置の成型深さを5mmに設定し、室温23℃、露点温度-35℃の環境下で冷間成型した。なお、パンチ金型には、70mm×80mmの長方形の横断面を有し、底面に1.00mmのパンチラジアス(RP)を有し、側面に1.00mmのパンチコーナーラジアス(RCP)を有するものを使用した。また、ダイ金型には、開口部上面に1.00mmのダイラジアス(RD)を有するものを使用した。
次いで、冷間成型した外装材10を、1M六フッ化リン酸リチウム溶液(溶媒体積比=炭酸エチル:炭酸ジメチル:炭酸ジメチル=1:1:1)30mLが入った100mL容量のビーカーに入れた。次いで、外装材10が入ったビーカーを一斗缶内に封入して40℃の温度環境下に2時間置くことで、外装材10を電解液にさらした。その後、一斗缶内のビーカーから外装材10を取り出し、110℃のオーブン内、温度60℃湿度95%の環境下、又は、50℃の温水中に入れた。そして、その1週間後、2週間後、3週間後及び4週間後に、外装材10の基材層11と金属箔層14との間の剥離の有無を目視にて確認し、基材層11と金属箔層14との間に剥離が確認されなかった期間の最大値(単位:週)を求めた。その結果に基づき、以下の評価基準により基材層11と金属箔層14との間の密着性を評価した。結果を表2に示す。なお、比較例3~5については、成型限界が5mm未満であったため密着性評価を行わなかった。
A:4週間後でも剥離が確認されなかった。
B:3週間後には剥離が確認されなかったが、4週間後には剥離が生じていた。
<白粉の評価>
各実施例及び比較例で作製した、熱ラミネート構成(160℃)の外装材に対し、絞り部分が70mm×80mmの冷間成型が可能な成型装置を使用し、絞り深さ5mm、冷間成型を10000回連続で行った。この後の状態で、冷間成型により外装材に金型の汚れ起因の付着物がないかの確認を行った。なお、成型限界が5mm未満であったものは評価を行わなかった。
A:10000回では冷間成型した外装材への付着物は目視で確認できず、そのまま金型清掃を行わずに冷間成型を15000回連続で行った場合でも、冷間成型した外装材への付着物が目視で確認できなかった。
B:10000回では冷間成型した外装材への付着物は確認できないが、そのまま金型清掃を行わずに冷間成型を15000回連続で行った場合、冷間成型した外装材に金型の汚れ起因の付着物があることを目視で確認できた。
Figure 0007185995000002
1…電池要素、2…リード、10…外装材(蓄電装置用外装材)、11…基材層、12…易接着処理層、13…接着層、14…金属箔層、15a,15b…腐食防止処理層、16…シーラント接着層、17…シーラント層、30…エンボスタイプ外装材、32…成型加工エリア(凹部)、34…蓋部、40…二次電池。

Claims (8)

  1. 少なくとも、コロナ処理が施された表面を有する基材層、前記表面に直接接している接着層、金属箔層、シーラント接着層及びシーラント層がこの順になるように積層し且つ温度条件80~140℃のドライラミネートを実施する工程を備え、
    前記基材層の厚さが6~40μmであり、前記金属箔層の厚さが9~200μmであり、前記シーラント層の厚さが10~100μmであり、
    前記金属箔層が軟質アルミニウム箔であり、
    前記基材層は、下記式(1)で示されるΔAが10%以上であり且つ160℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層である、蓄電装置用外装材の製造方法。
    ΔA=(160℃での熱処理後の破断伸度)-(160℃での熱処理前の破断伸度) ・・・(1)
    [破断伸度及び50%伸長時応力値は、それぞれ基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min)を行ったときの23℃における平均値である。]
  2. 前記基材層は、200℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層である、請求項1に記載の蓄電装置用外装材の製造方法。
  3. 少なくとも基材層、接着層、金属箔層、シーラント接着層及びシーラント層がこの順になるように積層し且つ温度条件80~140℃のドライラミネートを実施する工程を備え、
    前記工程において、前記基材層と前記接着層との間に、水溶性ポリエステルと自己乳化型ポリイソシアネートとを含む易接着処理層を更に積層し、
    前記基材層の厚さが6~40μmであり、前記金属箔層の厚さが9~200μmであり、前記シーラント層の厚さが10~100μmであり、
    前記金属箔層が軟質アルミニウム箔であり、
    前記基材層は、下記式(1)で示されるΔAが10%以上であり且つ160℃での熱処理後の50%伸長時応力値が75MPa以上であるポリエステルフィルムからなる層である、蓄電装置用外装材の製造方法。
    ΔA=(160℃での熱処理後の破断伸度)-(160℃での熱処理前の破断伸度)・・・(1)
    [破断伸度及び50%伸長時応力値は、それぞれ基材層の4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)に対し引張試験(試験片形状:JIS K7127に規定される5号型ダンベル状、チャック間距離:75mm、標点間距離:25mm、試験速度:50mm/min)を行ったときの23℃における平均値である。]
  4. 前記工程において、前記金属箔層の両面に腐食防止処理層を更に積層する、請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材の製造方法。
  5. 前記腐食防止処理層が、希土類元素酸化物、及び、リン酸又はリン酸塩を含む、請求項に記載の蓄電装置用外装材の製造方法。
  6. 前記希土類元素酸化物が酸化セリウムである、請求項に記載の蓄電装置用外装材の製造方法。
  7. 前記シーラント層は、静摩擦係数が0.10~0.30である表面を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置用外装材の製造方法。
  8. 電極を含む電池要素と、前記電極から延在するリードと、前記リードを挟持し且つ前記電池要素を収容する容器とを備える蓄電装置の製造方法であって、
    請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法で製造された蓄電装置用外装材を用いて、前記シーラント層が内側となるように前記容器を形成する工程を備える、蓄電装置の製造方法。
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