JP6264953B2 - リチウム電池用外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム電池用外装材に関する。
パソコン、携帯電話などの携帯端末装置、ビデオカメラなどに用いられる民生用途の二次電池として、高エネルギーながらも超薄型化、小型化が可能なリチウムイオン電池が盛んに開発されている。
リチウムイオン電池用の外装材(以下、単に「外装材」ということがある。)としては、従来の金属製の缶に代えて、軽量でかつ電池形状を自由に選択できるという利点から、多層構成のラミネートフィルムが用いられるようになっている。また、このようなラミネートフィルムを使用した外装材は、電池形状の自由度だけでなく、軽量で放熱性が高く、更に低コストであることから、近年発展の著しい、環境負荷の小さいハイブリッド車、電気自動車のバッテリーへの適用も試みられている。
上記ラミネートフィルムの構成としては、アルミニウム箔等の金属箔層の一方の面に接着剤層を介してシーラント層(熱融着性フィルム)を積層し、他方の面に接着剤層を介して基材層(プラスチックフィルム)を積層する構成(基材層/接着剤層/金属箔層/接着剤層/シーラント層)が一般的である。
ラミネートフィルムタイプの外装材を用いたリチウムイオン電池は、例えば、上述したラミネートフィルムを冷間成型(深絞り成型)により深絞りした成型品中に、電池本体部分として正極材、負極材、およびセパレータと共に、電解液、もしくは該電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が収容され、ヒートシールにより熱封止されて形成される。
電解液としては、非プロトン性溶媒(炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等)にリチウム塩を溶解した電解液が使用される。
前記電解液は、シーラント層に対して浸透性が高い。そのため、リチウムイオン電池においては、シーラント層に浸透した電解液が金属箔層とシーラント層間のラミネート強度を低下させ、最終的に電解液が漏れ出すことがあった。また、電解質である、LiPF、LiBF等のリチウム塩は、加水分解反応によりフッ酸を発生させることがある。フッ酸は、金属面の腐食や、ラミネートフィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こす。そのため、外装材には、電解液やフッ酸に対する腐食防止性能が求められる。
シーラント層と金属箔層とを接着させる接着剤としては、一般的にジオール成分に多官能イソシアネート化合物を配合したポリウレタン系接着剤が用いられてきた。
しかし、ポリウレタン系接着剤は有機溶媒に対して膨潤しやすかった。加えて、ウレタン結合は電解液やフッ酸に対して耐久性に劣るものであった。
そこで、電解液によるシーラント層と金属箔層との間のラミネート強度の経時的低下を抑制し、十分な耐電解液性を有する外装材として、例えば特許文献1には、カルボキシ基を有するポリオレフィン樹脂と、多官能イソシアネート化合物とを含有する接着剤からなる層(接着剤層)を介して、シーラント層と金属箔層とを接着させた外装材が開示されている。
特開2010−92703号公報
しかしながら、特許文献1に記載の外装材では、長期間にわたり優れた耐電解液性を発現することは必ずしも容易ではなく、さらなる耐電解液性の向上が求められる。
ところで、耐電解液性を付与させる目的で、金属箔層のシーラント層側の表面には腐食防止処理層が設けられることもある。この場合、接着剤層を介して腐食防止処理層とシーラント層とが接着することになる。
しかし、上述したように電解質であるリチウム塩の加水分解により発生したフッ酸などが腐食防止処理層と接着剤層との間に浸透し、ラミネート強度の低下を招くことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、長期間にわたり優れた耐電解液性を発現できるリチウム電池用外装材の提供を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 基材層と、第一の接着剤層と、金属箔層と、腐食防止処理層と、第二の接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層した積層体から構成され、腐食防止処理層は、希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩とを含み、第二の接着剤層は、酸変性ポリオレフィン樹脂と多官能イソシアネート化合物とを含む接着剤組成物からなり、第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルにおいて、CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)と、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)との比(Y/X)が0.3以下である、リチウム電池用外装材。
[2] 多官能イソシアネート化合物がイソシアヌレート構造である、[1]に記載のリチウム電池用外装材。
[3] 酸変性ポリオレフィン樹脂が、プロピレンの単独重合体またはプロピレンとエチレンとの共重合体に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル、不飽和カルボン酸の酸無水物のエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種をグラフトさせた酸変性ポリオレフィン樹脂である、[1]または[2]に記載のリチウム電池用外装材。
[4] 希土類元素酸化物が酸化セリウムである、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウム電池用外装材。
[5] 腐食防止処理層はカチオン性ポリマーをさらに含む、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のリチウム電池用外装材。
[6] カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載のリチウム電池用外装材。
[7] 接着剤組成物は、スズ、チタン、ジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む有機金属触媒をさらに含む、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のリチウム電池用外装材。
本発明のリチウム電池用外装材は、長期間にわたり優れた耐電解液性を発現できる。
本発明のリチウム電池用外装材の一例を示す断面図である。 実施例1、4で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルである。 実施例2、5で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルである。 実施例3、6で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルである。 比較例1、2で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルである。
以下、本発明のリチウム電池用外装材の一例として、図1に示すリチウム電池用外装材(以下、単に「外装材」という。)10について説明する。
本実施形態の外装材10は、図1に示すように、基材層11と、第一の接着剤層12と、1層構成の腐食防止処理層13と、金属箔層14と、2層構成の腐食防止処理層15と、第二の接着剤層16と、シーラント層17とがこの順に積層された積層体から構成されている。
外装材10は、基材層11を最外層、シーラント層17を最内層として使用される。
「基材層」
基材層11は、リチウム電池を製造する際のヒートシール工程における耐熱性の付与、成形加工や流通の際に起こり得るピンホールの発生の抑制等の役割を果たす。特に大型用途のリチウム電池の外装材の場合等は、耐擦傷性、耐薬品性、絶縁性等も付与できる。
基材層11としては、絶縁性を有する樹脂により形成された樹脂フィルムが好ましい。
該樹脂フィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。
基材層11は、1層でも2層以上でもよい。例えば基材層11は、前記の樹脂フィルムのいずれか1種からなる単層構成の樹脂層であってもよく、前記の樹脂フィルムを2種以上積層した複層構成の樹脂層であってもよい。これらの樹脂層としては、例えば延伸または無延伸ポリアミドフィルム、延伸または無延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの2層フィルムなどが挙げられる。
基材層11としては、成形性、耐熱性に優れる点では、延伸ポリアミドフィルムが好ましい。また、基材層11としては、耐酸性に優れる点では、延伸ポリエステルフィルムが好ましい。また、基材層11としては、成形性、耐熱性及び耐酸性を両立しやすい点では、延伸ポリアミドフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層フィルムが好ましい。
基材層11の厚さは、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性の点で、6μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、基材層11の厚さは、薄膜化、高放熱性の点では、60μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。
基材層11が複層構成の樹脂層である場合、前記厚さは、その全体の厚さである。
基材層11の最外面(第一の接着剤層12側の反対側の表面)には、耐酸性付与剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤が塗布されていてもよい。
耐酸性付与剤としては、例えばポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
スリップ剤としては、例えばオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の脂肪酸アミドなどが挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、シリカ等の各種フィラー系のアンチブロッキング剤が好ましい。
これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
「第一の接着剤層」
第一の接着剤層12は、基材層11と腐食防止処理層13が形成された金属箔層14とを接着する層である。
第一の接着剤層12は、樹脂フィルムと金属箔のラミネートに用いられる接着剤として公知のものを用いて形成できる。該接着剤としては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどのポリオールからなる主剤と、2官能以上のイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含有するポリウレタン系接着剤が挙げられる。前記主剤に対し前記硬化剤を作用させることでポリウレタン系樹脂が形成される。
ポリエステルポリオールとしては、少なくとも1種の多塩基酸と、少なくとも1種のジオールを反応させて得られるものを用いることが可能である。
多塩基酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系二塩基酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系二塩基酸等の二塩基酸などが挙げられる。
ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族系ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコル等の脂環式系ジオール、キシリレングリーコル等の芳香族系ジオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、上記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物の単体、または少なくとも一種のイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体もしくはイソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)またはその水素添加物、クルードTDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)またはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはその水素添加物、クルードMDI、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等のジイソシアネート類などが挙げられる。
これらイソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖長伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールを用いることが可能である。
アクリルポリオールとしては、ポリ(メタ)アクリル酸を主成分とする共重合体が挙げられる。該共重合体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーを筆頭に、アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマー、さらには、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものが挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得られるものを用いることが可能である。
カーボネート化合物としては、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。
ジオールとしては、ポリエステルポリオールの説明において先に例示したジオールが挙げられる。
また、上記カーボネートポリオールの末端の水酸基を、上述したイソシアネート化合物により鎖伸長したポリカーボネートウレタンポリオールを用いることが可能である。
これらの各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて、いずれか1種単独で、または2種以上のブレンドの状態で用いても構わない。
硬化剤として用いられる2官能以上のイソシアネート化合物としては、ポリエステルポリオールの説明において先に例示したイソシアネート化合物が挙げられる。
硬化剤の配合量は、主剤100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。1質量部より少ないと密着性や電解液耐性という点で性能が発現しないおそれがある。100質量部より多いと過剰なイソシアネート基が存在することになり、未反応物の残留による接着剤膜質への影響や、硬さに影響を与えるおそれがある。
前記ポリウレタン系接着剤に、さらに、接着促進のため、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などを配合することも可能である。
カルボジイミド化合物としては、例えばN,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、およびN,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどが挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、例えば2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリン等のモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等のジオキサゾリン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等の脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル、レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル、N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタン等のアミンのN−グリシジル誘導体、アミノフェールのトリグリシジル誘導体、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシなどが挙げられる。
リン系化合物としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなど各種シランカップリング剤を使用することが可能である。
その他、接着剤に求められる性能に応じ、各種添加剤や安定剤を配合しても構わない。
第一の接着剤層12の厚さは、1〜10μmが好ましく、3〜5μmがより好ましい。1μm以上であると接着剤としてのラミネート強度が向上し、10μm以下であると外装材10を冷間成形により深絞り成形品としたときに、該深絞り成形品の絞り隅部においても、電解液雰囲気下での基材層11−金属箔層14間の浮きを十分に抑制できる。
「金属箔層」
金属箔層14は、水分が電池内に浸入を防止する水蒸気バリア性を有する。また、金属箔層14は、深絞り成形をするために延展性を有する。
金属箔層14としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、重量(比重)、防湿性、加工性、コストの面から、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔からなる金属箔層を「アルミニウム箔層」ともいう。
金属箔層14となるアルミニウム箔としては、公知の軟質アルミニウム箔が使用でき、耐ピンホール性、及び成形時の延展性の点から、鉄を含むアルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、アルミニウム箔の全質量100質量%に対して、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が下限値以上であれば耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が上限値以下であれば、柔軟性が向上する。
アルミニウム箔層の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
金属箔層14には、未処理のアルミニウム箔も用いてもよいが、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプが挙げられる。
ウェットタイプの脱脂処理としては、酸脱脂やアルカリ脱脂などが挙げられる。酸脱脂に使用する酸としては、例えば硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸などの無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じて鉄(III)イオンやセリウム(III)イオンなどの供給源となる各種金属塩を配合してもよい。アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムなどの強エッチングタイプのアルカリが挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものを用いてもよい。ウェットタイプの脱脂処理は浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えばアルミニウムを焼鈍処理する工程において、その処理時間を長くすることで脱脂処理を行う方法が挙げられる。また、該脱脂処理の他にも、フレーム処理やコロナ処理などが挙げられる。さらには特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理を採用してもよい。
脱脂処理が施されるのは、アルミニウム箔の片側面でも両側面でもよい。
「腐食防止処理層」
腐食防止処理層13、15は、電解液あるいはフッ酸による金属箔層14の腐食を防止するために設けられる層である。
なお、本発明において第一の接着剤層12と金属箔層14との間の腐食防止処理層13を「外層側腐食防止処理層13」といい、金属箔層14と第二の接着剤層16との間の腐食防止処理層15を「内層側腐食防止処理層15」ともいう。
内層側腐食防止処理層15は、希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩とを含む層である。内層側腐食防止処理層15は、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーをさらに含むことが好ましく、外装材10の耐電解液性や耐フッ酸性がより向上する観点から、内層側腐食防止処理層15はカチオン性ポリマーを含むことが特に好ましい。
なお、金属箔層14上に腐食防止処理層13、15などのコーティング層を設ける場合は、一般的にシランカップリング剤を用いて界面密着力を向上させる技術が用いられることがある。しかし、用いるシランカップリング剤に含まれる官能基の種類によっては、後述する腐食防止処理層に含まれる成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の反応に弊害が生じるおそれがある。そのため、腐食防止処理層13、15はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
本実施形態の内層側腐食防止処理層15は、図1に示すように、第一の内層側腐食防止処理層15aと、第二の内層側腐食防止処理層15bの2層構成となっている。
第一の内層側腐食防止処理層15aは金属箔層14と接する層であり、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩を含む。第二の内層側腐食防止処理層15bは後述する第二の接着剤層16と接する層であり、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む。
第二の内層側腐食防止処理層15bは、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含むことが好ましく、外装材10の耐電解液性や耐フッ酸性がより向上する観点から、第二の内層側腐食防止処理層15bはカチオン性ポリマーを含むことが特に好ましい。
希土類元素酸化物としては、例えば酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられる。これらの中でも、電解液耐性の点から、酸化セリウムが好ましい。
第一の内層側腐食防止処理層15aを形成させる際には、リン酸またはリン酸塩を分散安定化剤として用い、希土類元素酸化物を分散安定化させてゾルの状態にしたもの(希土類元素酸化物ゾル)を使用してもよい。希土類元素酸化物ゾルは、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば平均粒径100nm以下の粒子)が分散したものである。
希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば水系溶媒、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の各種溶媒が挙げられ、水系溶媒が好ましい。
リン酸またはリン酸塩は、希土類元素酸化物を分散安定化させるだけでなく、リン酸のアルミキレートの能力を利用した金属箔層(特にアルミニウム箔層)との密着性の向上、フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンの捕獲(すなわち、不動態の形成)により耐電解液性の付与、低温でもリン酸の脱水縮合が起こりやすいことによる第一の内層側腐食防止処理層15aの凝集力の向上などが期待できる。凝集力が向上することで、外装材10の強度物性が良好となる傾向にある。
リン酸またはリン酸塩などのリン酸化合物としては、例えばオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また、その他にも、リン酸アルミニウム、リン酸チタン等の各種塩を用いてもよい。機能発現の点では、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸等の縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩(縮合リン酸塩)が好ましい。
特に、ゾル状態の希土類元素酸化物(すなわち、希土類元素酸化物ゾル)を用いて第一の内層側腐食防止処理層15aを形成する場合、乾燥造膜性(すなわち、乾燥能力や熱量)を考慮すると、低温での反応性に優れる分散安定化剤が好ましい。このことから、リン酸塩を形成する塩としては、低温での脱水縮合性に優れるナトリウム塩が好ましい。また、リン酸化合物は、水溶性の塩が好ましい。
リン酸またはその塩の含有量は、希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部であり、5〜50質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。リン酸またはその塩の含有量が上記下限値以上であれば、希土類元素酸化物ゾルの安定性が向上し、十分な機能を備えた外装材10が得られる。一方、リン酸またはその塩の含有量が上記上限値以下であれば、希土類元素酸化物ゾルの機能が高まり、電解液の浸食を防止する性能に優れた第一の内層側腐食防止処理層15aが形成される。
第一の内層側腐食防止処理層15aの厚さは特に制限されないが、0.01〜10μmが好ましい。
なお、第一の内層側腐食防止処理層15aの単位面積当たりの質量aは、0.010〜0.200g/mであることが好ましく、0.040〜0.100g/mであることがより好ましい。質量aが上記下限値より小さくなると、アルミニウム箔等の金属箔の腐食防止効果を有する希土類元素酸化物や、リン酸またはリン酸塩の絶対量が少なくなるため、耐電解液性や耐フッ酸性が得られにくくなる。一方、質量aが上記上限値より大きくなると、希土類元素酸化物ゾルの乾燥に伴うゾル・ゲル反応が進行しにくくなり(すなわち、熱量不足になりゾル・ゲル反応が進行しにくくなり)、希土類元素酸化物ゾルの凝集力が低下し、外装材とした際の強度物性を低下させる恐れがある。従って、第一の内層側腐食防止処理層15aの単位面積当たりの質量aが上記範囲内であれば、耐電解液性を保持すると共に、希土類元素酸化物ゾルの凝集力を維持できるので、外装材に求められる強度を十分に付与できる。
カチオン性ポリマーは、耐電解液性や耐フッ酸性に優れる化合物である。その要因としては、フッ素イオンをカオン性基でトラップすること(アニオンキャッチャー)で、アルミニウム箔のダメージを抑制するためと推測される。
カチオン性ポリマーとしてはアミンを含有するポリマーが挙げられ、具体的には、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらカチオン性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアリルアミンまたはその誘導体が好ましい。
ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーとしては、ポリアクリル酸またはそのイオン塩などのポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入させた共重合体や、カルボキシメチルセルロースまたはそのイオン塩などのカルボキシル基を有する多糖類が挙げられる。
ポリアリルアミンとしては、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミンなどの単独重合体あるいは共重合体を用いることが可能である。これらのアミンはフリーのアミンであっても、酢酸や塩酸によって安定化したアミンであってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウなどを用いることも可能である。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いることも可能である。
なお、アミノフェノールの場合も、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いることが可能である。
カチオン性ポリマーは、第二の内層側腐食防止処理層15b中で架橋構造を形成していることが好ましい。カチオン性ポリマーが架橋構造を形成していれば、外装材10の耐水性が向上する。
カチオン性ポリマーを架橋構造にするためには、第二の内層側腐食防止処理層15bを形成する際に、カチオン性ポリマーと共に架橋剤を用いればよい。カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤としては、例えば多官能イソシアネート化合物、グリシジル化合物、カルボキシ基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば第一の接着剤層12の説明において先に例示したジイソシアネート類;これらジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させたアダクト体、ジイソシアネート類を水と反応させることで得られたビューレット体、三量体であるイソシアヌレート体等のポリイソシアネート類;これらポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等でブロック化させたブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
グリシジル化合物としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸とエピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物などが挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにはポリ(メタ)アクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物を用いることができる。また、イソプロペニルオキサゾリンのように重合性モノマーを用いる場合には、アクリル系モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどと共重合させたものを用いることができる。
これら架橋剤はカチオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部配合するのが適切である。架橋剤の配合量が上記下限値より少ないと、架橋構造が不十分となる。一方、配合量が上記上限値より多くなると、塗液ポットライフが低下する恐れがある。
なお、カチオン性ポリマーが、ポリアリルアミンの1級アミンをメトキシカルボニル化させたポリアリルアミンの誘導体である場合は、熱架橋性を有するため、架橋剤を配合しなくても架橋剤を配合したものと実質的に同等と見なす。また、カチオン性ポリマーを架橋させる方法としては、上述した架橋剤を用いる以外にも、チタニウムやジルコニウム化合物を架橋剤として用いてイオン架橋などの架橋構造を形成させる方法を用いても構わない。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にすることの可能なシランカップリング剤を、架橋剤と併用してもよいが、上述したように、内層側腐食防止処理層15はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特に、カチオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮するとβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが好適である。
アニオン性ポリマーは、第二の内層側腐食防止処理層15bの安定性を向上させる化合物である。
一般的に、外装材の用途に限らず、例えば腐食性化合物によりアルミニウム箔の腐食を防止する目的で設けられる保護層中に、イオンコンタミ、特にナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、このイオンコンタミを起点にして保護層が侵されてしまう場合がある。
第二の内層側腐食防止処理層15bがアニオン性ポリマーを含有していれば、上述した希土類元素酸化物ゾル中に含まれるナトリウムイオンなどのイオンコンタミを固定化させることができ、外装材の耐性を向上させることができる。
アニオン性ポリマーは、上述したカチオン性ポリマーとは正反対の特性をもつ材料である。具体的にはカルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体が挙げられる。共重合体として用いられる成分としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミドやN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミドやN,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基など)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものなどが挙げられる。
アニオン性ポリマーも、第二の内層側腐食防止処理層15b中で架橋構造を形成していることが好ましい。アニオン性ポリマーが架橋構造を形成していれば、外装材10の耐水性が向上する。
アニオン性ポリマーを架橋構造にするためには、第二の内層側腐食防止処理層15bを形成する際に、アニオン性ポリマーと共に架橋剤を用いればよい。アニオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤としては、カチオン性ポリマーの説明において先に例示した架橋剤が挙げられる。
架橋剤はアニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部配合するのが適切である。架橋剤の配合量が上記下限値より少ないと、架橋構造が不十分となる。一方、配合量が上記上限値より多くなると、塗液ポットライフが低下する恐れがある。
架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、架橋剤とシランカップリング剤を併用してもよいが、上述したように、内層側腐食防止処理層15はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。シランカップリング剤としては、カチオン性ポリマーの説明において先に例示したシランカップリング剤が挙げられる。
図1に示すように、第一の内層側腐食防止処理層15aは、金属箔層14上に直接積層している。第一の内層側腐食防止処理層15aは、実質上、希土類元素酸化物のゾル粒子が密集した構造となっている。一方、第二の内層側腐食防止処理層15bは、ゾル粒子が密集した第一の内層側腐食防止処理層15aの間隙を埋めながら、かつ第一の内層側腐食防止処理層15a上に積層している。すなわち、第二の内層側腐食防止処理層15bを構成するカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む材料(以下、「コーティング組成物(b)」ともいう。)が、第一の内層側腐食防止処理層15aの間隙に浸透しながら第一の内層側腐食防止処理層15a上に塗工され、第二の内層側腐食防止処理層15bを形成する。この際、第一の内層側腐食防止処理層15aの間隙に浸透したコーティング組成物(b)が熱架橋されることで、第二の内層側腐食防止処理層15bは第一の内層側腐食防止処理層15aの保護層的な効果を発現する。
第二の内層側腐食防止処理層15bが第一の内層側腐食防止処理層15aの保護層的な役割をより効果的に発現するためには、第一の内層側腐食防止処理層15aの単位面積当たりの質量a(g/m)と、第二の内層側腐食防止処理層15bの単位面積当たりの質量b(g/m)との関係が、2≧b/aを満たすことが好ましい。
各層の質量の関係(b/a)が上記範囲を超える場合でも、第二の内層側腐食防止処理層15bが第一の内層側腐食防止処理層15aの保護層的な役割を果たすことは可能であるが、この場合、第一の内層側腐食防止処理層15aの間隙を埋める割合に加えて、第一の内層側腐食防止処理層15a上に積層される第二の内層側腐食防止処理層15bの割合が必要以上に増えることになる。第二の内層側腐食防止処理層15b中のカチオン性ポリマーおよび/またはアニオン性ポリマーは、単独で存在するよりも、第二の内層側腐食防止処理層15b中において第一の内層側腐食防止処理層15a中の希土類元素酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化する方が耐電解液性や耐フッ酸性の機能をより効果的に発現する傾向にある。従って、各層の質量の関係(b/a)が上記範囲を超えると、結果として第一の内層側腐食防止処理層15a中の希土類元素酸化物や、リン酸またはリン酸塩と複合化せずに単独で存在するカチオン性ポリマーおよび/またはアニオン性ポリマーの割合が増えるので、耐電解液性や耐フッ酸性の機能が十分に発揮されなくなる場合があり、耐電解液性や耐フッ酸性が低下する恐れがある。また、コーティング組成物(b)の塗工量が増えるので、硬化しにくくなる場合もある。コーティング組成物(b)を十分に硬化させるためには、乾燥温度を高く設定したり、硬化時間を長く設定したりすればよいが、その結果、生産性が低下する恐れがある。よって、生産性を維持しつつ、耐電解液性や耐フッ酸性を向上させる観点から、各層の質量の関係(b/a)は2≧b/aであることが好ましく、1.5≧b/a≧0.01であることがより好ましく、1.0≧b/a≧0.1であることが特に好ましい。
なお、上記関係は層の質量を基準としているが、各層の比重を求めることができれば、内層側腐食防止処理層15全体の厚さに換算することもできる。
外層側腐食防止処理層13は、金属箔層14の腐食を防止できるものであれば特に制限されないが、例えば希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩とを含むことが好ましい。さらに、カチオン性ポリマーやアニオン性ポリマーを含んでいてもよく、これらポリマーは架橋剤により架橋構造を形成していてもよい。ただし、上述したように、外層側腐食防止処理層13はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
希土類元素酸化物、リン酸またはリン酸塩、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、架橋剤としては、内層側腐食防止処理層15の説明において先に例示した希土類元素酸化物、リン酸またはリン酸塩、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、架橋剤などが挙げられる。
「第二の接着剤層」
第二の接着剤層16は、内層側腐食防止処理層15が形成された金属箔層14とシーラント層17とを接着する層である。
本実施形態の第二の接着剤層16は、酸変性ポリオレフィン樹脂と多官能イソシアネート化合物とを含む接着剤組成物からなる層である。
第二の接着剤層16は、以下の特徴を有する。
すなわち、第二の接着剤層16の赤外吸収スペクトルにおいて、CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)と、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)との比(Y/X)が0.3以下である。
CHのC−H変角振動は、1380±10cm−1の領域にピーク(吸収ピーク)が現れる。このC−H変角振動は、接着剤組成物に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂中のCHに由来する。CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)は、1380±10cm−1の領域に現れるピークの強度である。
一方、ビューレット結合のN−H変角振動は、1520±10cm−1の領域にピーク(吸収ピーク)が現れる。このN−H変角振動は、接着剤組成物からなる第二の接着剤層16中のビューレット結合に由来する。ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)は、1520±10cm−1の領域に現れるピークの強度である。
ビューレット結合は、多官能イソシアネート化合物そのものに含まれていたり、多官能イソシアネート化合物が接着剤組成物中や大気中の水と副反応(ビューレット反応)を起こすことにより生じたりする。
多官能イソシアネート化合物にビューレット結合が含まれるのは、主に多官能イソシアネート化合物としてビューレット体を用いる場合である。また、アダクト体やイソシアヌレート体を製造する際に副生成物としてビューレット体が混入することがあるため、多官能イソシアネート化合物としてアダクト体やイソシアヌレート体を用いる場合でも、多官能イソシアネート化合物にビューレット結合が含まれることがある。
また、ビューレット反応は、多官能イソシアネート化合物の保管中や、外装材10の製造において、必要に応じて実施されるエージング処理の際に起こりやすい。エージング処理は接着促進を目的とし、例えば金属箔層14と基材層11とを貼り合わせた後や、金属箔層14とシーラント層17とを貼り合わせた後に実施される。保管温度やエージング温度が高くなるに連れて、ビューレット反応が進行しやすくなる傾向にある。
接着剤組成物中のビューレット結合の割合が増えると、理由は定かではないが、耐電解液性が低下する。
Y/Xは、第二の接着剤層16中のビューレット結合の割合の指標である。Y/Xの値が小さいほど多官能イソシアネート化合物に含まれるビューレット結合の割合が少ないことや、多官能イソシアネート化合物と水との副反応(ビューレット反応)が抑制されることを意味する。Y/Xが0.3以下であれば、第二の接着剤層16中のビューレット結合の割合が十分に軽減されているので、長期間にわたり優れた耐電解液性を発現できる。
Y/Xは、多官能イソシアネート化合物の種類や、多官能イソシアネート化合物と酸変性ポリオレフィン樹脂との副反応(ビューレット反応)を抑制することで制御できる。
例えば多官能イソシアネート化合物として純度の高いイソシアヌレート体(すなわち、副生成物であるビューレット体が十分に除去されたもの)を用いれば、Y/Xの値を小さくできる。また、外装材10の製造においてエージング温度を低くすれば、副反応を抑制できるので、Y/Xの値を小さくできる。さらに、接着剤組成物に後述する有機金属触媒を配合しておくことでも、副反応を抑制できることもある。
Y/Xは、例えば以下のようにして求めることができる。
まず、外装材10をアルカリ性水溶液(例えば水酸化ナトリウム水溶液等)に浸漬させ、金属箔層14を完全に溶解させる。その後、シーラント層17側に残っている第二の接着剤層16について、FT−IR(フーリエ変換型赤外分光光度計)を用い、反射法により第二の接着剤層16の露出した面の赤外吸収スペクトルを測定する。得られた赤外吸収スペクトルより、CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)とビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)を求め、その比率(Y/X)を算出する。
ここで、吸収(X)および吸収(Y)の具体的な求め方について、図2を参照しながら説明する。
上述した方法で赤外吸収スペクトルを測定すると、例えば図2に示すような赤外吸収スペクトルを得る。
CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)は下記式(1)より求められ、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)は下記式(2)より求められる。
吸収(X)=(ベースラインの透過率)−(1380cm−1付近のピークの透過率) ・・・(1)
吸収(Y)=(ベースラインの透過率)−(1520cm−1付近のピークの透過率) ・・・(2)
図2に示す場合、ベースラインの透過率は100%であり、1380cm−1付近のピークの透過率は60%であり、1520cm−1付近のピークの透過率は95.6%である。よって、CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)は40であり、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)は4.4であるため、Y/Xは0.11となる。
粘着剤組成物に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂は、酸性基をポリオレフィン樹脂に導入したものである。酸性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基などが挙げられ、カルボキシ基が特に好ましい。
カルボキシ基をポリオレフィン樹脂に導入した酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル、不飽和カルボン酸の酸無水物のエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を、ラジカル開始剤の存在下でグラフトさせた酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。以下、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル、不飽和カルボン酸の酸無水物のエステルを総称して「グラフト化合物」ということがある。
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−αオレフィン共重合体(多元共重合体)などが挙げられる。これらの中でも、ホモポリプロピレン(プロピレンの単独重合体)、プロピレン−αオレフィン共重合体が好ましい。プロピレン−αオレフィン共重合体としては、プロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物のエステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチルなどが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂中のグラフト化合物の割合は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.2〜100質量部が好ましい。
グラフト反応の温度条件は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。
反応時間は製造方法にも左右されるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内が好ましい。具体的には、2〜30分が好ましく、5〜10分がより好ましい。
グラフト反応は、常圧、加圧いずれの条件下においても実施できる。
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えばアルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は、温度条件と反応時間によって適宜選択できる。前記した二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドがより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、有機溶媒に溶解あるいは分散させ、溶液状で用いることが好ましい。
有機溶媒としては、例えばトルエン等の芳香族系有機溶媒;シクロヘキサン等の脂環式系有機溶媒;酢酸エチル等のエステル系有機溶媒;アセトン等のケトン系有機溶媒などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、結晶性や非晶性などがあり、外装材10に求められる特性に応じて使い分けることができる。電解液の膨潤性、耐熱性、有機溶媒への溶解・分散性を考慮した場合、低結晶性の酸変性ポリオレフィン樹脂が好ましい。
粘着剤組成物に含まれる多官能イソシアネート化合物としては、内層側腐食防止処理層15の説明において、カチオン性ポリマーを架橋構造にするための架橋剤として先に例示した多官能イソシアネート化合物などが挙げられ、特にイソシアヌレート体が好ましい。
上述したように、ポリイソシアネート類には、アダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体などがある。アダクト体は、通常、ジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させて得られるものであり、ウレタン結合を有する。このウレタン結合は、上述したように、電解液やフッ酸に対して耐性が低い傾向にある。ビューレット体は、通常、ジイソシアネート類を水と反応させることで得られるものであり、ビューレット結合を有する。ビューレット体は、1520±10cm−1の領域に吸収帯が存在するため、多官能イソシアネート化合物としてビューレット体を用いると、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)が増加するため、Y/Xも大きくなる傾向にある。
従って、多官能イソシアネート化合物としては、イソシアヌレート体(すなわち、イソシアヌレート構造)であることが好ましい。ただし、Y/Xが0.3以下であれば、アダクト体やビューレット体を併用してもよい。
接着剤組成物は、有機金属触媒をさらに含むことが好ましい。接着剤組成物が有機金属触媒を含んでいれば、多官能イソシアネート化合物と水との副反応(ビューレット反応)を抑制できることもある。かかる理由は以下のように考えられる。
有機金属触媒は、ビューレット反応の一段前の反応(ウレア反応)を促進させる傾向がある。接着剤組成物が有機金属触媒を含んでいると、接着剤組成物に含まれる過剰な多官能イソシアネート化合物がウレアと反応する。その結果、ビューレット結合を形成する反応ではなく、多官能イソシアネート化合物と水とが反応して得られるカルバミン酸またはその脱炭酸により得られるアミンと、多官能イソシアネート化合物との反応が促進されると考えられる。加えて、ビューレット結合よりもウレア結合が形成されやすくなり、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)が減少すると考えられる。
有機金属触媒としては、スズ、チタン、ジルコニウムなどの金属を1種以上含む化合物が挙げられる。具体的には、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリス(アセチルアセトネート)エチルアセトアセテート、ジブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。
有機金属触媒の含有量は、接着剤組成物の固形分(ただし、有機金属触媒を除く)100質量部に対して、0.1〜1質量部が好ましい。
接着剤組成物は、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤を配合してもよい。
なお、金属箔層とシーラント層とを接着させるために用いる一般的な接着剤には、シランカップリング剤が含まれている場合がある。これは、シランカップリング剤を配合することで接着を促進し、接着強度を高め、耐電解液性を向上させるためである。しかし、シランカップリング剤を配合する接着剤を用いると、シランカップリング剤に含まれる官能基の種類によっては、接着剤層に含まれるシランカップリング剤以外の成分とシランカップリング剤とが副反応を起こし、本来の目的の架橋反応に弊害が生じるおそれがある。そのため、第二の接着剤層16を形成する接着剤組成物には、シランカップリング剤が含まれていないことが好ましい。
本発明であれば、第二の接着剤層16は上述した接着剤組成物より形成されるため、耐電解液性に優れる外装材10が得られる。よって、接着剤組成物には接着を促進する目的でシランカップリング剤を配合する必要がなく、接着剤組成物はシランカップリング剤を含まないことが好ましい。
第二の接着剤層16の厚さは、3〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。第二の接着剤層16の厚さが下限値以上であれば、優れた接着性が得られやすい。第二の接着剤層16の厚さが上限値以下であれば、外装材10の側端面から透過する水分量が低減される。
「シーラント層」
シーラント層17は、外装材10にヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層17を構成する材質としては、例えばポリオレフィン樹脂、または酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらポリオレフィン樹脂および酸変性ポリオレフィン樹脂としては、第二の接着剤層16の説明において先に例示したものが挙げられる。
シーラント層17は、単層フィルムであっても、複数の層を積層させた多層フィルムであってもよい。必要とされる機能に応じて、例えば、防湿性を付与するという点ではエチレン−環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテンなどの樹脂を介在させた多層フィルムを用いてもよい。
さらに、シーラント層17には各種添加剤、例えば、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤などを配合してもよい。
シーラント層17の厚さは、10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
「リチウム電池用外装材の製造方法」
図1に示す外装材10は、例えば以下の工程(1)〜(3)を有する製造方法により製造できる。
(1)金属箔層14の一方の面に、外層側腐食防止処理層13を形成した後、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(2)金属箔層14の他方の面(基材層11を貼り合わせる側の反対側の面)に、内層側腐食防止処理層15を形成する工程。
(3)金属箔層14の内層側腐食防止処理層15を形成した側に、第二の接着剤層16を介してシーラント層17を貼り合わせる工程。
工程(1):
外層側腐食防止処理層13は、外層側腐食防止処理層13を形成する材料(以下、コーティング組成物(c)」ともいう。)を、金属箔層14の片面(一方の面)へ塗工し、乾燥・硬化・焼き付けを行いうことで形成される。
塗工方法としては、公知の方法が用いられるが、例えばグラビアコーター、グラビアリバースコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、バーコーター、キスコーター、コンマコーターなどが挙げられる。
なお、金属箔層14としてアルミニウム箔を用いる場合、上述したように、未処理のアルミニウム箔を用いてもよく、ウェットタイプまたはドライタイプにて脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いてもよい。
ついで、外層側腐食防止処理層13上に、第一の接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる。貼り合わせる方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーションなどの公知の手法を採用できる。これらの中でもドライラミネートの手法を用いることが好ましい。
第一の接着剤層12を形成する接着剤としては、上述した第一の接着剤層12で説明したポリウレタン系接着剤が好ましい。
接着剤のドライ塗布量は、1〜10g/mが好ましく、3〜7g/mがより好ましい。
金属箔層14の一方の面に基材層11を貼り合わせた後、接着促進のため、室温〜100℃の範囲内でエージング(養生)処理を行ってもかまわない。
工程(2):
内層側腐食防止処理層15は、金属箔層14の他方の面(基材層11を貼り合わせる側の反対側の面)に、第一の内層側腐食防止処理層15aを形成した後に、第二の内層側腐食防止処理層15bを形成することで得られる。
具体的には、まず、希土類元素酸化物と、希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩とを含む材料(以下、「コーティング組成物(a)」ともいう。)を、金属箔層14の片面へ塗工し、乾燥・硬化・焼き付けを行い、第一の内層側腐食防止処理層15aを形成する。ついで、カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーと、必要に応じて該ポリマーを架橋構造にするための架橋剤等を含む材料(コーティング組成物(b))を、第一の内層側腐食防止処理層15a上に塗工し、乾燥・硬化・焼き付けを行い、第二の内層側腐食防止処理層15bを形成する。
塗工方法としては、工程(1)の説明において先に例示した各種塗工方法が挙げられる。
工程(3):
金属箔層14の内層側腐食防止処理層15側に、第二の接着剤層16を介してシーラント層17を貼り合わせる方法としては、ドライプロセスとウェットプロセスが挙げられる。
ドライプロセスの場合は、内層側腐食防止処理層15上に、上述した第二の接着剤層16で説明した接着剤組成物をドライラミネートし、さらにインフレーション法またはキャスト法により得られるシーラント層17を積層して、外装材10を製造する。なお、第二の内層側腐食防止処理層15bはこの押出ラミネーションの際にインラインで設けてもよい。その後、コーティング組成物(b)と接着剤組成物との密着性を向上させる目的で、熱処理(エージング処理や熱ラミネーションなど)を施すことも可能であるが、本発明においては、上述したような層構成を形成させることで、押出ラミネート時の少ない熱量でも密着性に優れる外装材10が得られる。エージング処理等の熱処理を行う場合は、上述したビューレット反応が進行する場合があるため、エージング温度や熱ラミネーションの温度は高すぎないことが好ましい。具体的には、エージング温度は25〜45℃が好ましく、熱ラミネーションの温度は30〜40℃が好ましい。
また、インフレーション法またはキャスト法にて、第二の接着剤層16とシーラント層17とで多層フィルムを作成し、該多層フィルムを内層側腐食防止処理層15上に熱ラミネーションにより積層させることも可能である。
ウェットプロセスの場合は、第二の接着剤層16を形成する接着剤組成物の分散液を、内層側腐食防止処理層15上に塗工し、所定の温度(接着剤組成物に含まれる酸変性ポリオレフィン樹脂の融点以上の温度)で溶媒を飛ばし、ポリマーを溶融軟化させて、焼き付けを行う。その後、シーラント層17を熱ラミネーションなどの熱処理により積層させて、外装材10を製造する。
塗工方法としては、工程(1)の説明において先に例示した各種塗工方法が挙げられる。
「作用効果」
以上説明した本実施形態の外装材は、基材層と、第一の接着剤層と、1層構成の腐食防止処理層(外層側腐食防止処理層)と、金属箔層と、2層構成の腐食防止処理層(内層側腐食防止処理層)と、第二の接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層した積層体から構成される。
第二の接着剤層は、酸変性ポリオレフィン樹脂と多官能イソシアネート化合物とを含む接着剤組成物からなり、上述したY/Xが0.3以下である層である。
上述したように、電解液はシーラント層に対して浸透性が高いため、電解液や、電解質であるリチウム塩が加水分解により発生したフッ酸などが腐食防止処理層と接着剤層との間に浸透する。
しかし、本実施形態の外装材であれば、特定の接着剤組成物からなる第二の接着剤層を備えるので、長期間にわたり優れた耐電解液性を発現でき、ラミネート強度の低下を抑制できる。
また、内層側腐食防止処理層は希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩を含む。リン酸またはリン酸塩は、希土類元素酸化物の分散安定化だけでなく、金属箔層(特にアルミニウム箔層)の腐食に対するインヒビター効果を付与させることができる。さらに、リン酸またはリン酸塩の金属箔層(特にアルミニウム箔層)への密着性を向上させることも可能となり、耐電解液性という点で相乗的な効果を発現できる。
さらに、内層側腐食防止処理層が、上述した第一の内層側腐食防止処理層と第二の内層側腐食防止処理層とからなる多層構成であれば、より耐フッ酸性に優れ、高機能なものとなる。係る理由は以下のように考えられる。
カチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーはフッ酸のトラップという点で非常に効果的な材料である。また、架橋剤を添加することにより、耐水性も向上できる。従って内層側腐食防止処理層が、図1に示すようにカチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含む第二の内層側腐食防止処理層15bを備えることで、耐電解液性、耐フッ酸性、耐水性がより向上する。
しかしながら、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを含む層は金属箔を腐食から守る機能は持たない。そこで、図1に示すように内層側腐食防止処理層15を、第二の内層側腐食防止処理層15bと共に、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む第一の内層側腐食防止処理層15aを備えた多層構成とすることにより、アルミニウム箔などの金属箔の腐食防止効果が得られるようになる。
「他の実施形態」
本発明の外装材は、上述したものに限定されない。図1に示す内層側腐食防止処理層15は、第一の内層側腐食防止処理層15aと第二の内層側腐食防止処理層15bとからなる2層構成であるが、内層側腐食防止処理層15は単層構成でもよいし、3層以上の構成でもよい。例えば、3層構成の腐食防止処理層としては、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む層と、アニオン性ポリマーを含む層と、カチオン性ポリマーを含む層とが順に積層した構成のもの;希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む層と、カチオン性ポリマーを含む層と、アニオン性ポリマーを含む層とが順に積層した構成のものなどが挙げられる。ただし、希土類元素酸化物とリン酸またはリン酸塩とを含む層が金属箔層側である。
さらに、図1に示す外装材10は金属箔層14の両面に腐食防止処理層13、15が設けられているが、少なくとも金属箔層14の第二の接着剤層16側の面に内層側腐食防止処理層15が設けられていれば、金属箔層14に第一の接着剤層12側の面には、外層側腐食防止処理層13は設けられていなくてもよい。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた材料は下記の通りである。
「使用材料」
<腐食防止処理層>
A−1:酸化セリウム100質量部に対して縮合リン酸ナトリウム塩を10質量部配合し、溶媒として蒸留水を用いて固形分濃度5質量%に調整した酸化セリウムゾル。
B−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した、ポリアリルアミン90質量部とグリシジル化合物10質量部とからなる混合物。
B−2:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した、ポリアクリル酸90質量部とオキサゾリン基を有する化合物10質量部とからなる混合物。
C−1:酸化セリウム100質量部に対して縮合リン酸ナトリウム塩を10質量部配合し、溶媒として蒸留水を用いて固形分濃度5質量%に調整した酸化セリウムゾルに、溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整したポリアクリル酸90質量部とオキサゾリン基を有する化合物10質量部とからなる混合物を70対30の比率で配合した混合物。
<第二の接着剤層>
D−1:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のヘキサメチレンジイソシアネートを10質量部(固形分比)で配合した接着剤組成物。
D−2:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、ビューレット構造のヘキサメチレンジイソシアネートを10質量部(固形分比)で配合した接着剤組成物。
D−3:トルエンに溶解させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、イソシアヌレート構造のヘキサメチレンジイソシアネートを10質量部(固形分比)で配合した混合物に、ジルコニウム系反応触媒(ジルコニウムテトラアセチルアセトネート)を1質量部(固形分比)添加した接着剤組成物。
「実施例1」
まず、アルミニウム箔からなる金属箔層の一方の面に、C−1を塗工して外層側腐食防止処理層を形成した後、ポリウレタン系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、A525/A52)をドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5mg/mで塗工し、第一の接着剤層を形成した。該第一の接着剤層を介して、2軸延伸ポリアミドフィルム(膜厚25μm)からなる基材層を貼り合わせた。
ついで、金属箔層の他方の面(基材層を貼り合わせた側の反対側の面)に、A−1を塗工、乾燥して第一の内層側腐食防止処理層を形成した後、第一の内層側腐食防止処理層上にB−1を塗工、乾燥して第二の内層側腐食防止処理層を形成した。
なお、A−1およびB−1の塗工はマイクログラビアコートにより行った。A−1およびB−1を合わせた加熱乾燥後のドライ塗工量が70〜100mg/mとなるようにした。
ついで、第二の内層側腐食防止処理層上にD−1をドライラミネート法により、ドライ塗工量4〜5g/mで塗工し、第二の接着剤層を形成した。該第二の接着剤層を介して、厚さ40μmのポリプロピレンフィルムをシーラント層として積層させ、図1に示すような、基材層11/第一の接着剤層12/外層側腐食防止処理層13/金属箔層14/第一の内層側腐食防止処理層15a/第二の内層側腐食防止処理層15b/第二の接着剤層16/シーラント層17の層構成の積層体を得た。
得られた積層体を40℃で10日間エージングし、外装材を得た。
<測定・評価>
得られた外装材を100×15mmサイズの短冊状に切り取り、測定・評価用のサンプルとし、以下に示す赤外吸収スペクトルの測定および耐電解液性の評価を行った。
(赤外吸収スペクトルの測定)
サンプルを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させ、アルミニウム箔からなる金属箔層を完全に溶解させた。その後、シーラント層側に残っている第二の接着剤層について、FT−IR(フーリエ変換型赤外分光光度計)を用い、反射法により第二の接着剤層の露出した面の赤外吸収スペクトルを測定した。これを実施例1および後述の実施例4で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルとして図2に示す。得られた赤外吸収スペクトルより、CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)とビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)を下記式(1)、(2)より求め、その比率(Y/X)を算出した。結果を表1に示す。
吸収(X)=(ベースラインの透過率)−(1380cm−1付近のピークの透過率) ・・・(1)
吸収(Y)=(ベースラインの透過率)−(1520cm−1付近のピークの透過率) ・・・(2)
なお、図2および後述する図3〜5において、ベースラインの透過率は100%である。
(耐電解液性の評価)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(質量比)の溶液にLiPFが1Mになるように調整した電解液を作成し、テフロン(登録商標)容器に充填した。その中に水を1500ppm添加した後、サンプルを入れ、密栓後85℃で4時間、1週間、2週間、4週間保管した。その後、容器からサンプルを取り出し、サンプルの剥離状況を以下の基準にて評価した。結果を表1に示す。なお、表1中、耐電解液性の欄の上段にラミネート強度を、下段に評価を記す。また、デラミネーションが発生し、ラミネート強度が測定できない場合を「デラミ」と記す。
○:ラミネート強度が10N/15mm以上(クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
△:ラミネート強度が5N/15mm以上、10N/15mm未満(クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
×:ラミネート強度が5N/15mm未満(クロスヘッドスピードが300mm/分)である。
「実施例2〜6、比較例1〜2」
第二の内層側腐食防止処理層、および第二の接着剤層の形成に用いた材料と、積層体をエージングする際のエージング温度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして外装材を作製し、各種測定および評価を行った。結果を表1に示す。また、実施例2、5で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルを図3に、実施例3、6で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルを図4に、比較例1、2で用いた接着剤組成物からなる第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルを図5にそれぞれ示す。
Figure 0006264953
表1から明らかなように、各実施例で得られた外装材は、長期間にわたり耐電解液性に優れていた。なお、実施例2、5は、実施例1、4と同じ種類の接着剤組成物を用いて第二の接着剤層を形成したが、第二の接着剤層のY/Xが実施例1、4よりも大きかった。これは、エージング温度が実施例1、4よりも高かったため、ビューレット反応が実施例1、4よりも進行したためと考えられる。
一方、第二の接着剤層のY/Xが0.38である各比較例で得られた外装材は、電解液中での保管期間が1週間でラミネート強度が不十分となり、2週間でデラミネーションが発生し、耐電解液性に劣っていた。
本発明によれば、長期間にわたり優れた耐電解液性を発現できるリチウム電池用外装材が得られる。
10 リチウム電池用外装材
11 基材層
12 第一の接着剤層
13 腐食防止処理層(外層側腐食防止処理層)
14 金属箔層
15 腐食防止処理層(内層側腐食防止処理層)
15a 第一の内層側腐食防止処理層
15b 第二の内層側腐食防止処理層
16 第二の接着剤層
17 シーラント層

Claims (7)

  1. 基材層と、第一の接着剤層と、金属箔層と、腐食防止処理層と、第二の接着剤層と、シーラント層とが、この順に積層した積層体から構成され、
    腐食防止処理層は、希土類元素酸化物と、該希土類元素酸化物100質量部に対して1〜100質量部のリン酸またはリン酸塩とを含み、
    第二の接着剤層は、酸変性ポリオレフィン樹脂と多官能イソシアネート化合物とを含む接着剤組成物からなり、第二の接着剤層の赤外吸収スペクトルにおいて、CHのC−H変角振動に由来する吸収(X)と、ビューレット結合のN−H変角振動に由来する吸収(Y)との比(Y/X)が0.3以下である、リチウム電池用外装材。
  2. 多官能イソシアネート化合物がイソシアヌレート構造である、請求項1に記載のリチウム電池用外装材。
  3. 酸変性ポリオレフィン樹脂が、プロピレンの単独重合体またはプロピレンとエチレンとの共重合体に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物、不飽和カルボン酸のエステル、不飽和カルボン酸の酸無水物のエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種をグラフトさせた酸変性ポリオレフィン樹脂である、請求項1または2に記載のリチウム電池用外装材。
  4. 希土類元素酸化物が酸化セリウムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム電池用外装材。
  5. 腐食防止処理層はカチオン性ポリマーをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム電池用外装材。
  6. カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーとからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載のリチウム電池用外装材。
  7. 接着剤組成物は、スズ、チタン、ジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む有機金属触媒をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウム電池用外装材。
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