JP5573254B2 - リチウムイオン電池用外装材 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用外装材に関する。
パソコン、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラ等に用いられる民生用途の二次電池としては、高エネルギーながらも超薄型化、小型化が可能なリチウムイオン二次電池(以下、「リチウムイオン電池」という。)が盛んに開発されている。リチウムイオン電池の外装材は、従来は金属製の缶タイプが用いられていた。しかし、軽量でかつ電池の形状を自由に選択できるという利点から、近年では多層構成のラミネートフィルム(例えば、耐熱性を有する基材層/アルミニウム箔層/シーラント(熱融着フィルム)層のような構成)を冷間成形により深絞りにした成形品(以下、「深絞り成形品」という。)が用いられるようになってきている。
リチウムイオン電池は、例えば、深絞り成形品中に、電池本体部分として正極材、負極材およびセパレーターと共に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等の非プロトン性溶媒にリチウム塩を溶解した電解液、もしくはその電解液を含浸させたポリマーゲルからなる電解質層が収められ、その後、ヒートシールにより熱封緘されて形成される。具体的には、図4に例示したように、多層構成の外装材111の一部を冷間成形により深絞りにして凹部112を形成し、外装材111の残りの部分を折り返し、内容物を収容した状態でシール部113を熱封緘した深絞り成形品101が挙げられる。
前記電解液は、熱融着フィルムからなるシーラント層に対して浸透性が高い。シーラント層に電解液が浸透すると、浸透した電解液がアルミニウム箔層とシーラント層間のラミネート強度を低下させ、最終的に電解液が外部に漏れ出すことがある。また、電解質であるリチウム塩としてはLiPF、LiBF等のリチウム塩が用いられている。しかし、深絞り成形品内に水分が侵入すると、該リチウム塩が加水分解されてフッ酸が発生し、金属面の腐食、多層フィルムの各層間のラミネート強度の低下を引き起こす。
このように、ラミネートフィルムのような多層構成のリチウムイオン電池用外装材では、電解液に起因する金属箔(アルミニウム箔)の腐食、および各層間のラミネート強度の低下を抑制することが重要である。
また、二次電池のみを使用する電気自動車(EV)、ガソリンと二次電池を併用するハイブリッド型電気自動車(HEV)等を開発している自動車業界、あるいは太陽電池や風力発電等で得た電力を蓄電する電気二重層キャパシタ(EDLC)、二次電池とキャパシタの双方の特性を有するリチウムイオンキャパシタ(LIC)等を開発している蓄電業界、等の大型の二次電池やキャパシタの市場においては、電池の性能は当然のことながら、より優れた長期安定性(10〜30年)が求められるようになってきている。長期安定性の評価は、例えば、電解液に水分を含有させ、意図的にフッ酸が発生する条件で電解液耐性評価を行う促進評価によって行われる。
前述したように、リチウムイオン電池に用いられる電解液が水分により影響を受けやすいため、リチウムイオン電池の製造はドライルーム環境内で行われている。また、リチウムイオン電池の製造は、通常、特に基材層の吸湿による水分の影響を抑制するために、深絞り成型したラミネートフィルムを、100℃前後の環境で(必要に応じ減圧下)数時間〜数日保管し、水分を除去する工程を有する。しかし、該工程では、特に深絞り成形品の絞り隅部(図4に例示した深絞り成形品101の領域aに相当する部分)のような大きな歪みがある部位において、基材層とアルミニウム箔層間の浮き(剥離)が生じることがある。この浮きは、冷間成型時に発生した残留応力と、前記保存環境温度における応力緩和の影響により、基材層が収縮することで発生する現象である。また、大型の二次電池やキャパシタ分野では、その電気容量に応じた大きい電極端子を用いる場合がある。このように大きな電極端子をタブフィルムを用いてヒートシールして熱封緘する場合、その熱封緘部分の密着不良を防止するために、180℃以上の温度でかつ高圧、長時間という、民生用途のシール条件よりも過酷な条件で熱封緘が実施されることがある。この場合も、ヒートシールにより封緘するシールバーの予熱が前述した深絞り成形品の隅部に加わることで、基材層とアルミニウム箔層間の浮きが生じることがある。
このような浮きは、特に優れた長期安定性が求められる大型の二次電池やキャパシタ分野では信頼性を低下させることに繋がるため、特に深絞り成形品の隅部における耐熱密着性の向上が求められる。
一方、外装材を深絞りして形成される成形品の各層間の密着性を向上させ、その成形性を高めることに関しては、飲料用の缶等において、用いる外装材の各層間の密着性を高める技術が示されており、該技術の多くはリチウムイオン電池用外装材の基材層とアルミニウム箔層間の浮きの予防策として用いられている。
例えば、特許文献1、2には、金属層と樹脂層とが積層された外装材を、絞り・しごき加工により成形する缶において、外装材の層間の密着性を高めるため、前記金属層としてクロム−クロム酸処理等のクロメート処理を施した(合金)アルミニウム箔を用いることが示されている。特許文献3には、アルミニウム箔と熱硬化性樹脂保護皮膜の外装材を深絞り成形して形成する食品包装用容器において、前記積層体の成形性を高めるために、前記熱硬化性樹脂保護皮膜にスリップ剤を配合することが示されている。特許文献4には、絞り・しごき加工により成形する飲料用容器に用いる、アルミニウム材と熱可塑性樹脂フィルムが積層された外装材において、加工性および成形性を高めるために、前記アルミニウム材にクロメート処理を施すことが示されている。
また、特許文献5には、電池用の積層構造の外装材として、深絞り成形性を高めるために、アルミニウム箔にクロメート処理を施すことが示されている。
特許文献6には、リチウム電池用外装材として、スリップ性コーティング層を設けた基材層とアルミニウム箔層を有する積層構造の外装材において、基材層とアルミニウム箔層との密着性を向上させるために、アルミニウム箔層の基材層側にクロメート処理を施すことが示されている。
国際公開第00/58087号パンフレット 国際公開第01/017768号パンフレット 特開平5−270563号公報 特開平9−1734号公報 特開2002−96419号公報 特開2007−294382号公報
前述したように、リチウム電池用外装材において、アルミニウム箔層と基材層との密着性を高める方法としては、アルミニウム箔層の基材層側にクロメート処理等の化成処理層を設ける方法が知られている。クロメート処理等の化成処理は、アルミニウム箔と化成処理層とを傾斜構造として構成させるために、処理剤自体にアルミニウム箔のエッチング機能を付与する場合がある。該エッチング機能は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等の無機酸あるいはこれらの塩等を処理剤中に添加することにより付与される。しかし、該処理剤は、塗工装置を腐食させることが多く、塗工装置の制約を受けるうえ、作業環境の悪化を伴うおそれもある。また、処理剤の密着性を向上させるために、該処理剤による化成処理の前に、アルミニウム箔を酸浴やアルカリ浴に浸漬し、脱脂およびエッチングを行う工程を設ける場合もある。しかし、該工程は処理単価が高いうえ、リチウムイオン電池用外装材の製造において律速になる工程であり生産性が低下する。
以上のように、深絞り成形性の向上という点では、アルミニウム箔に前記化成処理のような密着性向上のための下地処理が必要ではあるが、前記化成処理を用いずに、作業環境を悪化させずに、汎用的な塗工装置を用いて高い生産性で製造できるリチウムイオン電池用外装材が望まれている。
本発明は、クロメート処理等の化成処理を行わなくても、基材層とアルミニウム箔層との密着性が高く、優れた深絞り成形性を有するリチウムイオン電池用外装材の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、接着性樹脂層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、下記成分(C)を0.1〜100質量部含有することを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
(A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
(B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
(C)下式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、およびそれらの誘導体、ならびに下式(2)で表される金属アルコキシド、該金属アルコキシドの加水分解物、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上。
−Si(OR (1)
M(OR (2)
(ただし、式中、R はアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基またはイソシアネート基であり、R はアルキル基であり、Mは金属イオンであり、R はアルキル基であり、nは前記金属イオンの価数と同じ数である。)
[2]基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された第1の接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、下記成分(C)を0.1〜100質量部含有することを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
(A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
(B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体、ならびにそれらのイオン中和物からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
(C)下式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、およびそれらの誘導体、ならびに下式(2)で表される金属アルコキシド、該金属アルコキシドの加水分解物、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上。
−Si(OR (1)
M(OR (2)
(ただし、式中、R はアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基またはイソシアネート基であり、R はアルキル基であり、Mは金属イオンであり、R はアルキル基であり、nは前記金属イオンの価数と同じ数である。)
[3]前記下地処理層の厚さが0.001〜1μmである、前記[1]または[2]に記載のリチウムイオン電池用外装材
[4]前記下地処理層が前記成分(C)以外の金属化合物を含有し、該金属化合物の含有量が、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して金属として0.1〜100質量部である、前記[1]〜[]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
]前記金属化合物がジルコニウム化合物である、前記[]に記載のリチウムイオン電池用外装材。
]ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される密着性向上層が、前記接着剤層と前記下地処理層との間に設けられている、前記[1]〜[]のいずれかに記載のリチウムイオン電池用外装材。
[7]基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、接着性樹脂層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される密着性向上層が、前記接着剤層と前記下地処理層との間に設けられていることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
(A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
(B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
[8]基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された第1の接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される密着性向上層が、前記接着剤層と前記下地処理層との間に設けられていることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
(A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
(B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体、ならびにそれらのイオン中和物からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
本発明のリチウムイオン電池用外装材は、クロメート処理等の化成処理を行わなくても、基材層とアルミニウム箔層との密着性が高く、優れた深絞り成形性を有している。
本発明のリチウムイオン電池用外装材の実施形態の一例を示した断面図である。 本発明のリチウムイオン電池用外装材の他の実施形態例を示した断面図である。 本発明のリチウムイオン電池用外装材の他の実施形態例を示した断面図である。 リチウムイオン電池用外装材を深絞りにした成形品の実施形態の一例を示した断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン電池用外装材の実施形態の一例を示して本発明を詳細に説明する。
[第1実施形態]
本実施形態のリチウムイオン電池用外装材1(以下、「外装材1」という。)は、図1に示すように、基材層11と、基材層11の一方の面に順次積層された接着剤層12、下地処理層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、接着性樹脂層16およびシーラント層17とを有する。外装材1は、接着剤層12とアルミニウム箔層14の間に、下地処理層13が設けられていることを特徴とする。
(下地処理層13)
下地処理層13は、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層である。
(A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
(B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体、ならびにそれらのイオン中和物からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
本発明者は、基材層11とアルミニウム箔層14の密着性を高める層として、従来の化成処理層に代わる層について鋭意検討を行った。その結果、成分(A)のオキサゾリン基と成分(B)のカルボキシル基が反応することによって形成されたアミドエステル部位を有する下地処理層13を設けることで、従来の化成処理層を設けなくても基材層11とアルミニウム箔層14の密着性を高めることができることを見い出した。また、アミドエステル部位を含有する下地処理層13は、アルミニウム箔層14に対して良好な耐熱密着性を付与することを見い出した。
成分(A)は、2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂である。
前記オキサゾリン基含有樹脂は、1分子中に少なくとも2個のオキサゾリン基を有している樹脂であれば特に限定されない。該オキサゾリン基含有樹脂としては、例えば、イソプロペニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマーと、該オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能な、各種アクリル系モノマー、スチレン、アクリロニトリル等の他の重合性モノマーとを共重合させることにより得られる。
オキサゾリン基含有樹脂としては、例えば、主鎖がアクリル骨格で2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂、主鎖がスチレン/アクリル骨格で2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂等のスチレン/アクリル系樹脂、主鎖がスチレン骨格で2以上のオキサゾリン基を含有するスチレン系樹脂、主鎖がアクリロニトリル/スチレン骨格で2以上のオキサゾリン基を含有するアクリロニトリル/スチレン系樹脂等が挙げられる。
オキサゾリン基含有樹脂を形成するオキサゾリン基含有モノマーの割合は、0.5mlol/g〜50mmol/gが好ましく、1mmol〜10mmol/lがより好ましい。オキサゾリン基含有モノマーが0.5mlol/g未満であると、充分な密着性が得られ難い。オキサゾリン基含有モノマーは50mmol/gを超えても構わないが、その性能は飽和する。
成分(B)は、ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂である。(メタ)アクリル酸が有するカルボキシル基が成分(A)のオキサゾリン基と反応してアミドエステル部位を形成する。成分(B)のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩等のイオン塩を主成分とする樹脂であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸と共重合させる他の重合性モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等のモノマー;2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー等が挙げられる。また、他の重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等を用いてもよい。
成分(B)は、イオン中和物であってもよい。イオン中和物としては、前記樹脂のアンモニウム塩あるいはナトリウム塩等のイオン塩が挙げられる。
下地処理層13が、成分(A)のオキサゾリン基と成分(B)のカルボキシル基が反応することで形成されるアミドエステル部位を有していることで、基材層11とアルミニウム箔層14の密着性が向上する。また、密着性のさらなる向上を図るという点では、アルミニウム箔が両性化合物であることを利用することが好ましい。つまり、アミドエステル部位による効果だけではなく、成分(B)が有するカルボキシル基を「酸性基」として作用させ、酸・塩基相互作用を付与することで密着性がさらに向上する。成分(A)に含まれるオキサゾリン基に対して成分(B)に含まれるカルボキシル基が等量から過剰になるように配合することが好ましい。成分(A)のオキサゾリン基と成分(B)のカルボキシル基の比は、主に成分(A)に含まれるオキサゾリン基による「オキサゾリン価」と、成分(B)に含まれるカルボキシル基による「酸価」を用いて決定できる。
下地処理層13における成分(A)と成分(B)の配合比(A/B)(質量%)は、各成分の共重合成分やそのモル比(あるいは質量比)によっても異なり、1/99〜99/1が好ましく、1/99〜45/55がより好ましい。(A)成分と(B)成分の合計量に対する(A)成分の割合が1質量%以上であれば、充分な架橋密度が得られやすく、アミドエステル部位の量も多くなることで耐熱性および密着性が向上する。また、(A)成分と(B)成分の合計量に対する(A)成分の割合は、少ないほど前述したカルボン酸による効果が得られやすく、45質量%以下であれば、オキサゾリン基と反応しなかったカルボキシル基によって密着性を向上させることが容易になる。
下地処理層13は、密着性をさらに向上させるために、下記成分(C)が含有されていることが好ましい。成分(C)は、下地処理層13が各種プロセスにより設けられる際に、アルミニウム箔層14との密着性を向上させる役割を果たす。
(C)下式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、およびそれらの誘導体(以下、「成分(C1)」という。)、ならびに下式(2)で表される金属アルコキシド、該金属アルコキシドの加水分解物、およびそれらの誘導体(以下、「成分(C2)」という。)からなる群から選ばれる1種以上。
−Si(OR (1)
M(OR (2)
(ただし、式中、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基またはイソシアネート基であり、Rはアルキル基であり、Mは金属イオンであり、Rはアルキル基であり、nは前記金属イオンの価数と同じ数である。)
成分(C1)としては、例えば、エチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシアプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン等(Rがアルキル基、(メタ)アクリロキシル基、ビニル基、グリシドオキシプロピル基、アミノプロピル基等)、あるいはその加水分解物等が挙げられる。なかでも、エポキシ基が含まれているグリシドオキシトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランが特に好ましい。
成分(C1)のオルガノシランは単量体に限られず、構造によっては二量体、三量体等の誘導体を使用してもよい。
成分(C2)の金属アルコキシドの金属Mとしては、Si、Al、Ti、Zr等が挙げられる。
成分(C2)としては、例えば、テトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウム等、あるいはその加水分解物等が挙げられる。
成分(C1)および成分(C2)における加水分解物を得る方法としては、前記オルガノシランや金属アルコキシドに、直接酸やアルカリ等を添加して加水分解を行う方法等、既知の方法を採用できる。また、必要に応じて、錫化合物等の反応を促進させる反応触媒を添加してもよい。
前記金属アルコキシドの誘導体としては、これらの縮合物等が挙げられる。
成分(C)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましい。成分(C)の前記配合量が成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して0.1質量部以上であれば、密着性の向上効果が得られやすい。また、成分(C)の前記配合量が成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して100質量部を超えても、密着性の向上効果が飽和状態となる。
下地処理層13は、成分(A)と成分(B)が反応することでアミドエステル部位による架橋点が形成されることで耐熱性が向上する。本発明では、成分(A)と成分(B)の反応により形成される架橋点とは別の架橋点を形成させることで、耐熱性をさらに向上させることができる。該別の架橋点を形成させる添加剤としては、金属化合物(以下、「成分(D)」という。)が挙げられる。つまり、成分(D)によって下地処理層13の架橋密度がさらに高まることで、下地処理層13の耐熱性がさらに向上する。
成分(D)としては、下地処理層13を形成する成分(A)と成分(B)と溶媒を含むコーティング組成物中に配合された際、この溶液状態においてイオン解離する金属化合物を使用できる。各種コーティング方法によって前記コーティング組成物をアルミニウム箔層14上に塗布した後に溶媒を揮散させることで、(1)成分(A)のオキサゾリン基と成分(B)のカルボキシル基が反応してアミドエステル部位を形成し、また(2)成分(D)から解離した金属イオンが成分(B)の未反応のカルボキシル基に作用してイオン架橋を形成する。
成分(D)としては、コーティング組成物中に配合された際にイオン解離し(溶媒に対して溶解性を有する)、解離した金属イオンが成分(B)のカルボキシル基に作用してイオン架橋を形成するものであればよく、水溶性の金属化合物が好ましい。例えば、下記成分(D1)および成分(D2)が挙げられる。
(D1)水溶液が酸性となる金属化合物。
(D2)水溶液が塩基性となる金属化合物。
成分(D1)としては、例えば、各種金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ酸塩等が挙げられる。前記金属化合物の前記金属としては、亜鉛、鉄、マンガン、銅、クロム、ジルコニウム、コバルト等が挙げられる。また、金属は、ナトリウム、カルシウム等のアルカリ(土類)金属であってもよい。
成分(D2)としては、例えば、炭酸ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム化合物等が挙げられる。
前記成分(D1)を含む水溶液は酸性を示す。この場合、成分(B)としては、同じく水溶性の酸性溶液という点で検討すると、ポリ(メタ)アクリル酸、または(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体を用いることが必要となる。しかし、成分(A)はオキサゾリン基(塩基性)を有することから、塗工前にコーティング組成物中で成分(A)と成分(B)が次第に反応し、塗工適正を低下させるおそれがある(コーティング組成物のポットライフへの影響)。この点では、成分(B)として、アンモニウム塩あるいはナトリウム塩といったイオン塩(イオン中和物)を用いて、塗工前のコーティング組成物中でのカルボキシル基とオキサゾリン基の反応を抑制し、コーティング組成物が乾燥・造膜する際に、カルボキシル基とオキサゾリン基が反応するようにすることが好ましい。また、この場合の成分(B)は、コーティング組成物の乾燥・造膜の際、不純物として残存しにくいアンモニウム塩であることがより好ましい。
以上のように、下地処理層13を形成するコーティング組成物は、塗工前の段階では塩基性の溶液であることが好ましいため、成分(D)の金属化合物を含む水溶液も塩基性であることが好ましい。成分(D)としては、コーティング組成物のポットライフや安定性の点から、成分(D2)が好ましく、炭酸ジルコニウムアンモニウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム化合物が特に好ましい。
下地処理層13における成分(D)の含有量は、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、金属換算として0.1〜100質量部が好ましく、0.5〜50質量部がより好ましく、1〜30質量部がさらに好ましい。成分(D)の前記含有量が0.1質量部以上であれば、成分(D)による密着性向上の効果が得られやすい。成分(D)の前記含有量が100質量部以下であれば、成分(D)が未反応物として下地処理層13中に残存して凝集力が低下すること抑制しやすい。
下地処理層13の厚みは、0.001〜1μmが好ましい。下地処理層13の厚みが0.001μm以上であれば、基材層11とアルミニウム箔層14の密着性が向上する。下地処理層13の厚みが1μm以下であれば、成形性が向上し、また架橋反応に必要な熱量が大きくなりすぎず乾燥キュア工程が容易になるので生産性が向上する。
(基材層11)
基材層11は、リチウムイオン電池を製造する際のシール工程における耐熱性を付与し、加工や流通の際に起こりうるピンホールの発生を抑制する役割を果たす。
基材層11としては、絶縁性を有する樹脂層が好ましい。該樹脂層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸又は未延伸フィルムが挙げられる。なかでも、成形性、耐熱性、耐ピンホール性、絶縁性を向上させる点から、延伸ポリアミドフィルムや延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
基材層11は、単層であってもよく、複数層であってもよい。
基材層11の厚さは、6〜40μmが好ましく、10〜25μmがより好ましい。基材層11の厚さが6μm以上であれば、耐ピンホール性、絶縁性が向上する。基材層11の厚さが40μm以下であれば、成形性が向上する。前記厚さは、基材層11が多層フィルムである場合、その全体の厚さである。
(接着剤層12)
接着剤層12は、基材層11とアルミニウム箔層13を接着する層である。
接着剤層12を構成する接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオール等の主剤に、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン系接着剤が好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオール化合物の重合により得られるものが挙げられる。
前記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸等の脂肪族系、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系の二塩基酸が挙げられる。これらの二塩基酸は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等の脂肪族系ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコル等の脂環式系ジオール、キシリレングリーコル等の芳香族系ジオール等が挙げられる。これらのジオール化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリエステルポリオールとしては、前記ポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、ポリイソシアネート化合物により鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールを用いてもよい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物は、単体として使用してもよく、該イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体として使用してもよい。
これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のエーテル系のポリオールが挙げられる。また、該エーテル系のポリオールを、前記イソシアネート化合物により鎖伸長したポリエーテルウレタンポリオールを用いてもよい。
アクリルポリオールとしては、例えば、前述したアクリル系モノマーを用いた重合により得られるアクリル樹脂等が挙げられる。
カーボネートポリオールとしては、例えば、カーボネート化合物とジオール化合物とを反応させて得られるポリオール等が挙げられる。
カーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。ジオール化合物としては、前記ポリエステルポリオールを形成するジオール化合物として挙げたものと同じものが挙げられる。また、カーボネートポリオールとしては、前記イソシアネート化合物により鎖伸長したポリカーボネートウレタンポリオールを用いてもよい。
以上の各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの主剤にポリイソシアネート化合物を硬化剤として用いることで、ポリウレタン系接着剤として用いることが可能である。硬化剤として用いるポリイソシアネートとしては、鎖伸長剤として挙げたポリイソシアネート化合物と同じものが挙げられる。
また、接着剤層12には、基材層11とアルミニウム箔層14の接着を促進するため、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤等が含有されていてもよい。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミド等が挙げられる。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリン等のモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等のジオキサゾリン化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等の脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル;ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパン等の脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル;テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステルまたはポリグリシジルエステル;レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノールのジグリシジルエーテルもしくはポリグリシジルエーテル;N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンのようなアミンのN−グリシジル誘導体;アミノフェールのトリグリシジル誘導体;トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシ等が挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、接着剤層12には、前記したものの他、接着剤に求められる性能に応じて、各種添加剤や安定剤が配合されていてもよい。
(アルミニウム箔層14)
アルミニウム箔層14としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができ、さらに耐ピンホール性、および成形時の延展性を付与できる点から、鉄を含むアルミニウム箔を用いることが好ましい。
アルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1〜9.0質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であれば耐ピンホール性、延展性が向上する。鉄の含有量が9.0質量%以下であれば、柔軟性が向上する。
アルミニウム箔層14の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点から、9〜200μmが好ましく、15〜100μmがより好ましい。
アルミニウム箔層14は、耐電解液性の点から、脱脂処理を施したアルミニウム箔を用いることが好ましい。脱脂処理としては、大きく区分するとウェットタイプとドライタイプに分けられる。
ウェットタイプの脱脂処理としては、例えば、酸脱脂、アルカリ脱脂等が挙げられる。
酸脱脂に使用する酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸等の無機酸が挙げられる。これらの酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの無機酸には、アルミニウム箔のエッチング効果が向上する点から、必要に応じてFeイオンやCeイオン等の供給源となる各種金属塩を配合してもよい。
アルカリ脱脂に使用するアルカリとしては、例えば、エッチング効果が高いものとして水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、弱アルカリ系や界面活性剤を配合したものが挙げられる。
ウェットタイプの脱脂処理は、浸漬法やスプレー法で行われる。
ドライタイプの脱脂処理としては、例えば、アルミニウムを焼鈍処理する工程で行う方法等が挙げられる。また、該脱脂処理のほかにも、フレーム処理やコロナ処理等が挙げられる。さらには、特定波長の紫外線を照射して発生する活性酸素により、汚染物質を酸化分解・除去する脱脂処理も挙げられる。
外装材1では、アルミニウム箔層14の脱脂処理は、アルミニウム箔層14の片面のみに行ってもよく、両面に行ってもよい。
(腐食防止処理層15)
腐食防止処理層15は、基本的にはアルミニウム箔層14の電解液あるいはフッ酸による腐食を防止するために設けられる層である。腐食防止処理層15としては、例えば、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいはこれらの処理の組み合わせにより形成される。
脱脂処理としては、前述した方法と同じ方法が挙げられる。また、酸脱脂として、一ナトリウム二フッ化アンモニウム等のフッ素含有化合物を前記無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、アルミニウムの脱脂効果が得られるだけでなく、不動態であるアルミニウムのフッ化物を形成させることができ、耐フッ酸性という点で有効である。
熱水変成処理としては、例えば、トリエタノールアミンを添加した沸騰水中にアルミニウム箔を浸漬処理するベーマイト処理が挙げられる。
陽極酸化処理としては、例えば、アルマイト処理が挙げられる。
化成処理としては、例えば、クロメート処理、ジルコニウム処理、チタニウム処理、バナジウム処理、モリブデン処理、リン酸カルシウム処理、水酸化ストロンチウム処理、セリウム処理、ルテニウム処理、あるいはこれらの混合相からなる各種化成処理等が挙げられる。
これらの熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理を施す際は、事前に前記脱脂処理を施すことが好ましい。また、これらの化成処理は、湿式型に限らず、これらの処理剤を樹脂成分と混合した塗布型で行ってもよい。
また、前記処理のうち、特に熱水変性処理、陽極酸化処理は、処理剤によってアルミニウム箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れるアルミニウム化合物(ベーマイト、アルマイト)を形成させる。そのため、アルミニウム箔層14から腐食防止処理層15まで共連続構造を形成した形態になるので、化成処理の定義に包含されるが、後述するように化成処理の定義に含まれない、純粋なコーティング手法のみで腐食防止処理層15を形成することも可能である。該方法は、アルミニウムの腐蝕防止効果(インヒビター効果)を有し、かつ、環境側面的にも好適な材料として、平均粒径100nm以下の酸化セリウムのような希土類元素系酸化物のゾルを用いる方法である。該方法を用いることで、一般的なコーティング方法でも、アルミニウム箔等の金属箔に腐蝕防止効果を付与することが可能となる。
前記希土類元素系酸化物のゾルとしては、例えば、水系、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系等の各種溶媒を用いたゾルが挙げられる。なかでも、水系のゾルが好ましい。
前記希土類元素系酸化物のゾルには、通常その分散を安定化させるために、硝酸、塩酸、リン酸等の無機酸またはその塩、酢酸、りんご酸、アスコルビン酸、乳酸等の有機酸が分散安定化剤として用いられる。これらの分散安定化剤のうち、特にリン酸は、外装材1において、(1)ゾルの分散安定化、(2)リン酸のアルミキレート能力を利用したアルミニウム箔層14との密着性の向上、(3)フッ酸の影響で溶出したアルミニウムイオンを捕獲(不動態形成)することよる電解液耐性の付与、(4)低温でもリン酸の脱水縮合を起こしやすいことによる腐食防止処理層15(酸化物層)の凝集力の向上、等が期待される。
前記リン酸またはその塩としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。なかでも、外装材1における機能発現には、トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸等の縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が好ましい。また、前記希土類酸化物のゾルを用いて、各種コーティング法により希土類酸化物からなる腐食防止処理層15を形成させる時の乾燥造膜性(乾燥能力、熱量)を考慮すると、低温での脱水縮合性に優れる点から、ナトリウム塩がより好ましい。リン酸塩としては、水溶性の塩が好ましい。
酸化セリウムに対するリン酸(あるいはその塩)の配合比は、酸化セリウム100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。前記配合比が酸化セリウム100質量部に対して1質量部以上であれば、酸化セリウムゾルがより安定になり、外装材1の機能がより良好になる。前記配合比は、酸化セリウム100質量部に対して5質量部以上がより好ましい。また、前記配合比が酸化セリウム100質量部に対して100質量部以下であれば、酸化セリウムゾルの機能低下を抑制しやすい。前記配合比は、酸化セリウム100質量部に対して、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
前記希土類酸化物ゾルにより形成される腐食防止処理層15は、無機粒子の集合体であるため、乾燥キュアの工程を経ても層自身の凝集力が低くなるおそれがある。そこで、この場合の腐食防止処理層15は、凝集力を補うために、下記アニオン性ポリマーで複合化されていることが好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、カルボキシ基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(あるいはその塩)、あるいはポリ(メタ)アクリル酸を主成分として共重合した共重合体が挙げられる。
該共重合体の共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系モノマー(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。);(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシラン等のシラン含有モノマー;(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー等が挙げられる。また、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等が挙げられる。
これらアニオン性ポリマーは、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層15(酸化物層)の安定性を向上させる役割を果たす。これは、硬くて脆い酸化物層をアクリル系樹脂成分で保護する効果、および、希土類酸化物ゾルに含まれるリン酸塩由来のイオンコンタミ(特にナトリウムイオン)を捕捉する(カチオンキャッチャー)効果によって達成される。つまり、希土類元素酸化物ゾルを用いて得られた腐食防止処理層15中に、特にナトリウム等のアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンが含まれると、該イオンを含む場所を起点にして腐食防止処理層15が劣化しやすくなる。そのため、アニオン性ポリマーによって希土類酸化物ゾルに含まれるナトリウムイオン等を固定化することで、腐食防止処理層15の耐性が向上する。
アニオン系ポリマーと希土類元素酸化物ゾルと組み合わせた腐食防止処理層15は、アルミニウム箔にクロメート処理を施して形成した腐食防止処理層15と同等の腐食防止性能を有する。アニオン系ポリマーは、本質的に水溶性であるポリアニオン系ポリマーが架橋された構造であることが好ましい。該構造の形成に用いる架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシ基、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート類;あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体等のポリイソシアネート類;あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類等でブロック化したブロックポリイソシアネート等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類と、エピクロルヒドリンを作用させたエポキシ化合物;フタル酸テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸と、エピクロルヒドリンとを作用させたエポキシ化合物等が挙げられる。
カルボキシ基を有する化合物としては、例えば、各種脂肪族あるいは芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ(土類)金属塩を用いてもよい。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、オキサゾリンユニットを2つ以上有する低分子化合物、あるいはイソプロペニルオキサゾリンのような重合性モノマーを用いる場合には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等のアクリル系モノマーを共重合させたものが挙げられる。
また、アニオン性ポリマーには、シランカップリング剤のように、アミンと官能基を選択的に反応させ、架橋点をシロキサン結合にさせてもよい。この場合、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が使用できる。なかでも、特にアニオン性ポリマーあるいはその共重合物との反応性を考慮すると、エポキシシラン、アミノシラン、イソシアネートシランが好ましい。
アニオン性ポリマーに対するこれらの架橋剤の比率は、アニオン性ポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して1質量部以上であれば、架橋構造が充分に形成されやすい。架橋剤の比率がアニオン性ポリマー100質量部に対して50質量部以下であれば、塗液のポットライフが向上する。
アニオン性ポリマーを架橋する方法は、前記架橋剤に限らず、チタニウム、ジルコニウム化合物を用いてイオン架橋を形成する方法等であってもよい。また、これらの材料は、下地処理層13を形成するコーティング組成物を適用してもよい。
以上説明した腐食防止処理層15において、クロメート処理に代表される化成処理による腐食防止処理層15は、アルミニウム箔との傾斜構造を形成させるため、特にフッ酸、塩酸、硝酸、硫酸あるいはこれらの塩を配合した化成処理剤を用いてアルミニウム箔に処理を施し、次いでクロムやノンクロム系の化合物を作用させて化成処理層をアルミニウム箔に形成させるものである。しかし、前記化成処理は、化成処理剤に酸を用いていることから、作業環境の悪化やコーティング装置の腐食を伴う。一方、前述したコーティングタイプの腐食防止処理層15は、クロメート処理に代表される化成処理とは異なり、アルミニウム箔層14に対して傾斜構造を形成させる必要がない。そのため、コーティング剤の性状は、酸性、アルカリ性、中性等の制約を受けることがなく、良好な作業環境を実現できる。加えて、クロム化合物を用いるクロメート処理は、環境衛生上、代替案が求められている点からも、コーティングタイプの腐食防止処理層15が好ましい。
なお、腐食防止処理層15は前述した処理層には限定されない。例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノール等)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いることで、腐食防止機能と密着性を兼ね備えた腐食防止処理層15を形成してもよい。
また、腐食防止処理層15は、必要に応じて、さらにカチオン性ポリマーを積層した積層構造としてもよい。
カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンあるいはこれらの誘導体、アミノフェノール等のカチオン性のポリマーが挙げられる。
カチオン性ポリマーは、カルボキシ基やグリシジル基等のアミン/イミンと反応が可能な官能基を有する架橋剤と併用することが好ましい。カチオン性ポリマーと併用する架橋剤としては、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーも使用でき、例えば、ポリアクリル酸あるいはそのイオン塩等のポリカルボン酸(塩)、あるいはこれにコモノマーを導入した共重合体、カルボキシメチルセルロースあるいはそのイオン塩等のカルボキシ基を有する多糖類等が挙げられる。ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン等の単独重合体あるいは共重合体等が挙げられる。これらのアミンは、フリーのアミンであってもよく、酢酸あるいは塩酸による安定化物であってもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウ等を使用してもよい。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与したタイプも使用でき、また、アミノフェノールも使用できる。特に、アリルアミンあるいはその誘導体が好ましい。
本発明においては、カチオン性ポリマーも腐食防止処理層15を構成する一構成要素として記載している。その理由は、リチウムイオン電池用外装材で要求される電解液耐性、フッ酸耐性を付与させるべく様々な化合物を用い鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマー自体にも、電解液耐性、耐フッ酸性を付与することが可能な化合物であることが判明したためである。この要因は、フッ素イオンをカチオン性基で補足する(アニオンキャッチャー)ことで、アルミニウム箔が損傷することを抑制しているためであると推測される。また、カチオン性ポリマーは、腐食防止処理層15と接着性樹脂層16の接着性の向上の点でも非常に好ましい。
また、カチオン性ポリマーは、前述したアニオン性ポリマーと同様に水溶性であるため、前記架橋剤を用いて架橋構造を形成させることで耐水性を向上させることができる。このように、カチオン性ポリマーを用いても架橋構造を形成させることができることから、腐食防止処理層15の形成に希土類酸化物ゾルを用いた場合には、その保護層としてアニオン性ポリマーの代わりにカチオン性ポリマーを用いてもよい。
また、腐食防止処理層15は、前述した層には限定されず、例えば、公知技術である塗布型クロメートのように、樹脂バインダー(アミノフェノール等)にリン酸とクロム化合物を配合した処理剤を用いて形成してもよい。該処理剤を用いれば、腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。また、塗液の安定性を考慮する必要があるものの、希土類酸化物ゾルとポリカチオン性ポリマーとを事前に一液化したコーティング剤を使用して腐食防止機能と密着性の両方を兼ね備えた層とすることができる。
腐食防止処理層15の単位面積当たりの質量は、0.005〜0.200g/mが好ましく、0.010〜0.100g/mがより好ましい。前記単位面積当たりの質量が0.005g/m以上であれば、アルミニウム箔層14に腐食防止機能を付与しやすい。また、前記単位面積当たりの質量が0.200g/mを超えても、腐食防止機能は飽和してあまり変らない。一方、希土類酸化物ゾルを用いた場合には、塗膜が厚いと乾燥時の熱によるキュアが不充分となり、凝集力の低下を伴うおそれがある。なお、腐食防止処理層15の厚みについては、その比重から換算できる。
(接着性樹脂層16)
接着性樹脂層16は、腐食防止処理層15が形成されたアルミニウム箔層14とシーラント層16を接着する層である。
接着性樹脂層16を形成する樹脂としては、例えば、不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物またはそれらのエステルから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分である、有機過酸化物の存在下でポリオレフィン樹脂をグラフト変性することにより得られる変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂をグラフト変性する際に用いる化合物としては、不飽和カルボン酸またはその酸無水物あるいはそのエステル(以下、これらをまとめて「不飽和カルボン酸等」という。)が用いられる。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、フマール酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロ無水フタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のエステル等が用いられる。
前記変性ポリオレフィン樹脂は、ラジカル開始剤の存在下、加熱条件において、ベースとなるポリオレフィン樹脂100質量部に対して、不飽和カルボン酸等の0.2〜100質量部を反応させることで製造できる。
変性反応の反応温度は、50〜250℃が好ましく、60〜200℃がより好ましい。反応時間は製造方法によっても異なるが、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合、押出機の滞留時間内が、2分〜30分であることが好ましく、5〜10分であることがより好ましい。
また、変性反応は、常圧下、加圧下のいずれの条件下においても実施できる。
前記変性反応に使用されるラジカル開始剤としては、例えば、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、アルキルパーオキサイド、アリールパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイドが挙げられる。
これらの有機過酸化物は、温度条件と反応時間に応じて、適宜選択できる。例えば、二軸押出機による溶融グラフト反応の場合は、アルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステルが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシ−ヘキシン−3、ジクミルペルオキシドがより好ましい。
前述のようなグラフト変性により得られる変性ポリオレフィン樹脂としては、無水マレイン酸により変性されたポリオレフィン樹脂が代表的であり、三井化学製アドマー、三菱化学製モディック、日本ポリエチレン製アドテックス等が挙げられる。これらの変性ポリオレフィン樹脂は、グラフト化させた不飽和カルボン酸またはその酸無水物あるいはそのエステルから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分と、各種金属あるいは各種官能基を含有するポリマーとの反応性を利用して接着性を付与するものである。また、このような反応による接着とは異なり、各種熱可塑性エラストマーを配合することで、前記変性ポリオレフィン樹脂をラミネートする際に発生する残留応力を開放し、粘弾性的な接着性の改善を付与することも可能である。
前記熱可塑性エラストマーとしては、三井化学製タフマー、三菱化学製ゼラス、モンテル製キャタロイ、三井化学製ノティオや、スチレン系エラストマー、特に水添スチレン系エラストマー(AKエラストマー製タフテック、クラレ製セプトン/ハイブラー、JSR製ダイナロン、住友化学製エスポレックス等、クレイトンポリマー製クレイトンG等)が好ましい。
また、接着性樹脂層16には、その他にも、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。
(シーラント層17)
シーラント層17は、接着剤層15を介して、アルミニウム箔層14および腐食防止処理層15と貼り合わせられ、外装材1においてヒートシールによる封止性を付与する層である。
シーラント層17を構成する成分としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロック、あるいはランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはそのエステル化物もしくはイオン架橋物等が挙げられる。
シーラント層17は、前記成分の1種あるいは2種以上をブレンドした材料からなる単層であってもよく、シーラントに求められる他の要求性能に応じて多層構造としてもよい。多層構造のシーラント層17としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物、ポリ酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全ケン化物等のガスバリア性を有する樹脂を介在させたシーラント層等が挙げられる。
以上説明した外装材1は、アルミニウム箔層14の基材層11側に、下地処理層13が設けられていることで、従来のクロメート処理等の化成処理層を設けなくても、基材層11とアルミニウム箔層14とを優れた密着性で接着することができ、優れた深絞り成形性を有している。
なお、外装材1においては、腐食防止処理層をシーラント層17側にのみ設けた形態を説明したが、アルミニウム箔層14と下地処理層13の間に、腐食防止処理層15と同様の腐食防止処理層を設けてもよい。
(製造方法)
以下、外装材1の製造方法について説明する。ただし、外装材1の製造方法は以下の方法には限定されない。
外装材1の製造方法は、下記工程(I)〜(V)を有する。
(I)アルミニウム箔層14上に、下地処理層13を形成する工程。
(II)アルミニウム箔層14における下地処理層13を形成した反対側に、腐食防止処理を施して腐食防止処理層15を形成する工程。
(III)アルミニウム箔層14の下地処理層13を形成した側に、接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる工程。
(IV)アルミニウム箔層14の腐食防止処理層15側に、接着性樹脂層16を介してシーラント層17を貼り合わせる工程。
(V)基材層11、接着剤層12、下地処理層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、接着性樹脂層16およびシーラント層からなる積層体を熱処理する工程。
工程(I):
アルミニウム箔上に、下地処理層13を形成する、少なくとも成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物を塗工し、乾燥させて下地処理層13を形成する。
前記コーティング組成物の塗工方法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、マイクログラビアコート、コンマコート、エアナイフコート、メイヤーバーコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート等の各種塗工方法を採用できる。
コーティング組成物の塗工は、ドライ塗布厚として0.001μm〜1μmとなるように実施することが好ましい。また、母材温度を60℃〜200℃の間で塗工・乾燥・造膜を行うことが好ましい。
工程(II):
アルミニウム箔層14の下地処理層13の反対側の面に、脱脂処理、熱水変成処理、陽極酸化処理、化成処理、あるいは腐食防止性能を有するコーティング剤を塗工することにより、腐食防止処理層15を形成する。
脱脂処理の方法としては、焼鈍、スプレー法、浸漬法等が挙げられる。
熱水変成処理、陽極酸化処理の方法としては、浸漬法等が挙げられる。
化成処理の方法としては、化成処理のタイプに応じて、浸漬法、スプレー法、コート法等を選択できる。
腐食防止性能を有するコーティング剤のコート法としては、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコートなど各種方法を採用できる。
コーティング剤の塗布量は、前述した腐食防止処理層15の単位面積当たりの質量を満たす範囲内が好ましい。また、乾燥キュアが必要な場合は、用いる腐食防止処理層14の乾燥条件に応じて、母材温度として60〜300℃の範囲で実施できる。
工程(III):
アルミニウム箔層14の下地処理層13側に、接着剤層12を形成する接着剤を用いて、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウエットラミネーションなどの手法で基材層11を貼り合わせる。接着剤のドライ塗布量は、1〜10g/mが好ましく、3〜7g/mがより好ましい。
工程(IV):
押出ラミネート機を用いたサンドラミネーションにより、シーラント層17を接着性樹脂層16を介して貼り合わせる。
接着性樹脂層16の押出温度としては、200〜340℃が好ましい。
工程(V):
基材層11、接着剤層12、下地処理層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、接着性樹脂層16およびシーラント層からなる積層体に、熱処理を施す。該熱処理により、アルミニウム箔層14/腐食防止処理層15/接着性樹脂層16/シーラント層17間での密着性が向上し、電解液耐性および耐フッ酸性が向上する。
熱処理方法としては、前記積層体をエージング炉の中に保管する方法、前記積層体に熱圧着ロールを密着させる方法、前記積層体を熱ドラムに抱かせる方法、前記積層体をアニール炉に通過させる方法等が挙げられる。
熱処理温度は、前記積層体の到達温度が、40℃〜220℃となるように設定することが好ましく、80℃〜200℃となるように設定することがより好ましい。
外装材1の製造方法は、前記工程(I)〜(V)を順次実施する方法には限定されない。例えば、工程(II)を行ってから工程(I)を行ってもよい。この場合には、アルミニウム箔層の両面に腐食防止処理層を設けてもよい。また、工程(IV)を行った後に工程(III)を行ってもよい。また、工程(V)を行わない方法であってもよい。
[第2実施形態]
次に、本発明のリチウムイオン電池用外装材の他の実施形態であるリチウムイオン電池用外装材2(以下、「外装材2」という。)について説明する。外装材2において外装材1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
外装材2は、図2に示すように、基材層11と、基材層11の一方の面に順次積層された接着剤層12、密着性向上層18、下地処理層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、接着性樹脂層16およびシーラント層17とを有する。すなわち、外装材2は、密着性向上層18を有している以外は外装材1と同じである。
(密着性向上層18)
密着性向上層18は、下地処理層13と接着剤層12との接着性を向上させることで、基材層11とアルミニウム箔層14の密着性をさらに高める役割を果たす。
基材層とアルミニウム箔層を接着する接着剤としては、ポリウレタン系の2液硬化型の接着剤が用いる場合が多い。この場合には、下地処理層13がアミドエステル部位を有していても、基本骨格がポリアクリル酸に基づく単位を含有することから、該接着剤との密着性には限界がある。しかし、下地処理層13と接着剤層12の間に密着性向上層18を形成することにより、下地処理層13と接着剤層12との接着性がさらに向上する。
密着性向上層18は、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される。
塩基性樹脂としては、ポリアリルアミン系化合物が好ましい。例えば、アリルアミン、アリルアミンアミド硫酸塩、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン等の単独重合体あるいは共重合体等が挙げられる。また、これらのアミンはフリーのアミンでも酢酸あるいは塩酸による安定化物でもよい。また、共重合体成分として、マレイン酸、二酸化イオウ等を用いることも可能である。さらに、1級アミンを部分メトキシ化させることで熱架橋性を付与させたタイプを用いてもよい。
前記塩基性樹脂を架橋する架橋剤としては、カルボキシル基やグリシジル基等のアミンやイミンと反応できる官能基を有するものが挙げられ、例えば、ポリアクリル酸もしくはそのイオン塩等のポリカルボン酸(塩)、またはこれらに共重合可能なモノマーを共重合させた共重合体、カルボキシメチルセルロースもしくはそのイオン塩等のカルボキシル基を有する多糖類等が挙げられる。また、該架橋剤として、ポリエチレンイミンとイオン高分子錯体を形成するカルボン酸を有するポリマーを使用することもできる。
密着性向上層18は、密着性向上層18と下地処理層13の合計厚みが、最終的なドライ塗布厚として0.001μm〜1μmとなるように設けることが好ましい。密着性向上層18を前記合計厚みが0.001μm以上となるように設ければ、優れた密着性が得られやすい。また、密着性向上層18を前記合計厚みが1μmを超えるように設けても、密着性能は飽和してあまり向上しなくなる。密着性向上層18を前記合計厚みが1μm以下となるように設ければ、成形性が向上するうえ、架橋反応に必要な熱量が大きくなりすぎないため、乾燥キュア工程が容易になり生産性が向上する。
(製造方法)
外装材2は、アルミニウム箔層14に形成した下地処理層13上に、さらに密着性向上層18を形成する以外は、外装材1と同様の方法で製造できる。
下地処理層13上に密着性向上層18を設ける方法としては、密着性向上層18を形成する塩基性樹脂および架橋剤を含むコーティング組成物を下地処理層13上に塗工し、乾燥して造膜する方法が挙げられる。
塗工方法としては、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、マイクログラビアコート、コンマコート、エアナイフコート、メイヤーバーコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート等各種塗工方法が採用できる。
[第3実施形態]
本発明のリチウムイオン電池用外装材のさらに他の実施形態であるリチウムイオン電池用外装材3(以下、「外装材3」という。)について説明する。外装材3において外装材1と同じ部分には同符号を付して説明を省略する。
外装材3は、図3に示すように、基材層11と、基材層11の一方の面に順次積層された接着剤層12、下地処理層13、アルミニウム箔層14、腐食防止処理層15、接着剤層19およびシーラント層17とを有する。すなわち、外装材2は、接着性樹脂層16の代わりに接着剤層19を有している以外は外装材1と同じである。
(接着剤層19)
外装材1の接着性樹脂層16は、主に熱ラミネートによる製造に適している一方、接着剤層19はドライラミネートによる製造も容易に適用できる。
接着剤層19を形成する接着剤としては、接着剤層12で挙げた接着剤と同じ接着剤が挙げられる。ただし、接着剤層19に用いる接着剤は、電解液が充填される側の面を貼り合せる接着剤であるため、電解液による膨潤や、フッ酸による加水分解に関して注意を払う必要がある。そのため、加水分解されにくい骨格を有する主剤を用いた接着剤、架橋密度を向上させた接着剤等を用いることが好ましい。
(製造方法)
外装材3の製造方法は、アルミニウム箔層14に接着性樹脂層16を介してシーラント層17を貼り合わせる代わりに、アルミニウム箔層14に接着剤層19を介してシーラント層17を貼り合わせる以外は、外装材1の製造方法と同じ方法を採用できる。
アルミニウム箔層14に接着剤層19を介してシーラント層17を貼り合わせる方法としては、外装材1において、アルミニウム箔層14に接着剤層12を介して基材層11を貼り合わせる方法と同様の方法が使用できる。
また、本発明の外装材は、外装材3の接着剤層12と下地処理層13の間に密着性向上層18を設けた外装材であってもよい。
以上説明した本発明の外装材は、従来の化成処理層を設けなくても密着性が高く、優れた成形性を有している。また、化成処理層を設ける場合は、用いるコーティング剤の材質によっては、環境的にも有害であることが懸念されていたが、本発明の外装材は有害な物質を用いないので自然環境や作業環境等の環境面においても有利である。加えて、腐食防止処理層15も化成処理により形成する層ではなく、コーティング処理により形成するタイプを用いることで、アルミニウム箔層13の両面とも環境面で好ましい材料を用いた特に優れたリチウムイオン電池用外装材となる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
<使用材料>
以下の実施例に用いた材料は下記の通りである。
[下地処理層13]
(成分(A))
成分A−1:水溶性のオキサゾリン基含有アクリル樹脂(オキサゾリン基含有モノマー4.5mmol/g)。
(成分(B))
成分B−1:水溶性ポリ(アクリル酸−メタアクリル酸ヒドロキシエチル)共重合体のアンモニウム塩。
(成分(C1):オルガノシラン)
成分C1−1:グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。
(成分(D):金属化合物)
成分D2−1:炭酸ジルコニウムアンモニウム。
[基材層11]
基材SB−1:25μm−2軸延伸ポリアミドフィルム(ユニチカ製)。
[接着剤12]
接着剤AD−1:ポリエステルポリオール系主剤に対して、トリレンジイソシアネートのアダクト体系硬化剤を配合したポリウレタン系接着剤(東洋インキ製)。
[アルミニウム箔層14]
アルミニウム箔AL−1:焼鈍脱脂処理した40μm−軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム製)。
[腐食防止処理層15]
処理剤CL−1:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度10質量%に調整したポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル。酸化セリウム100質量部に対してリン酸塩を10質量部とした。
処理剤CL−2:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整したポリアクリル酸アンモニウム塩(東亞合成製)90質量%と、アクリル−イソプロペニルオキサゾリン共重合体(日本触媒製)10質量%からなる組成物。
処理剤CL−3:溶媒として蒸留水を用い固形分濃度5質量%に調整した、ポリアリルアミン(日東紡製)90質量%と、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製)10質量%からなる組成物。
処理剤CL−4:溶媒として蒸留水を用い、固形分濃度5質量%に調整した、ポリエチレンイミン(日本触媒製)90質量%と、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製)10質量%からなる組成物。
処理剤CL−5:溶媒として1%濃度のリン酸水溶液を用い、固形分濃度1質量%に調整した水溶フェノール樹脂(住友ベークライト性)に対し、フッ化クロム(CrF)を最終乾燥皮膜中に存在するCr量として10mg/mとなるように濃度を調整した化成処理剤。
[接着性樹脂層16]
接着性樹脂AR−1:ランダムポリプロピレン(PP)に対して無水マレイン酸をグラフト変性させた変性PPに対し、ゴム成分(エラストマー相)を配合した変性ポリオレフィン樹脂(三井化学製)。
[シーラント層17]
フィルムSL−1:トータル厚みが30μmのランダムPP/ブロックPP/ランダムPPからなる2種3層からなる多層フィルム(オカモト製)。
[密着性向上層18]
成分E−1:水溶性の低分子量グリシジル化合物。
成分E−2:水溶性のポリアリルアミン。
本実施例では、基材層とアルミニウム箔層との冷間成形後の密着性を評価において、成分(A)と成分(B)の反応により形成するアミドエステル部位の効果を検証するために、成分(A)の比較成分として、成分(B)と反応して各種結合を形成できる水溶性樹脂あるいは水溶性化合物を用いた。また、成分(A)が主要因となるため、成分(B)については一種類で固定した
また、成分(C)については、オルガノシラン下地処理層13を最も安定して形成できるオルガノシランを使用した。また、成分(D)は、下地処理層13を最も安定して形成できるジルコニウム化合物に限定して検証を行った。
また、本実施例では、接着性樹脂層16、つまり熱処理工程を経て作成されたサンプルを用いて評価した。ただし、ドライラミネート法により接着剤層19が設けられたサンプルについても、密着性の点では接着性樹脂層16を設けたものと同様であった。
<評価方法>
[成形性評価(1)]
各例で得られたリチウムイオン電池用外装材を用いて、50×30mmサイズの絞り深さ5.0mmからなる冷間成形用金型を用いて、冷間成形サンプルを作成した。そのサンプルを図4に例示した深絞り成形品101の形態となるように、ヒートシール(シール条件:時間190℃、圧力0.3Ma、時間3秒)を行って封緘した。この時、ヒートシールバーが冷間成形サンプルの隅部(図4の領域a)近傍に接するようにシールすることで、シール時の熱が直接その隅部にあたるようにし、その時の基材層11とアルミニウム箔層14の浮きを評価した。該評価は、電池メーカーにて電池の心臓部となるセルを封入する際に、想定しうる評価内容であるため、下記の通りの判定基準とした。
○:目視で確認できる浮きがなかった。
×:目視で確認できる浮きがあった。
[成形性評価(2)]
各例で得られたリチウムイオン電池用外装材を用いて、成形性評価(1)と同様に、50×30mmサイズの絞り深さ5.0mmからなる冷間成形用金型を用いて、冷間成形サンプルを作成した。そのサンプルを、85℃で4時間、100℃で4時間、または100℃で1週間のいずれかの条件で保管した時の、特に深絞りした凹部における基材層11とアルミニウム箔層14の浮きを評価した。該評価は、以下の基準に従って行った。
◎:100℃で1週間の保管後で浮きがなかった。
○:100℃で4時間の保管後で浮きが無かった。
△:85℃で4時間の保管後で浮きが無かった。
×:85℃で4時間の保管後で浮きがあった。
[総合評価]
総合評価として、以下の基準で評価した。
「合格」:成形性評価(1)および成形性評価(2)のいずれも「×」がなかった。
「不合格」:成形性評価(1)および成形性評価(2)の少なくとも一方で「×」があった。
<外装材の製造>
本実施例におけるリチウムイオン外装材の製造方法を以下に示す。
工程(I):
アルミニウム箔AL−1の電解液が充填される側に、腐食防止処理層15をマイクログラビコートにより設けた。処理剤のコーティング量はコーティング剤のドライ塗布量として70〜100mg/mとなるようにし、乾燥ユニットにおいてコーティング剤のタイプに応じて150〜250℃で焼き付け処理を施した。腐食防止処理層15が単層の場合も多層の場合も、最終的なドライ塗布量を70〜100mg/mとし、焼付け温度条件も150〜250℃の範囲で行った。
工程(II):
腐食防止処理層15を設けたアルミニウム箔層14の反対面に、同じくマイクログラビアコートにより下地処理層13(厚み0.030μm)を設けた。コーティング組成物のコーティング量はドライ塗布量として70〜100mg/mとなるようにし、焼付け温度は120〜200℃とした。
密着性向上層18を設ける際には、そのコーティング組成物のコーティング量がドライ塗布量として70〜100mg/mとなるようにし、厚み0.030μmの層を設けた。
工程(III):
腐食防止処理層15、下地処理層13を設けたアルミニウム箔層14の下地処理層13側に、接着剤AD−1を用いて基材SB−1を貼りあわせ、接着剤層12を介して基材層11を積層させた。この際、グラビアリバースコートにより、接着剤AD−1がドライ塗布量として4〜5g/mになるようにラミネートを行った。その後、エージング処理を施すことで、接着剤AD−1を硬化させた。
工程(IV):
基材層11、接着剤層12、下地処理層13、アルミニウム箔層14および腐食防止処理層15からなる積層体を押出ラミネート機の巻出部に設置し、またサンド基材部からシーラント層17を形成するフィルムSL−1を設置し、さらに押出機から接着性樹脂AR−1を290℃で押出して、80m/分の加工速度でサンドラミネート法により、接着性樹脂層16を介してシーラント層17を積層させた。
工程(V):
150〜200℃に加温した熱圧着ロール間に得られた積層体を通過させて熱処理を行い、リチウムイオン電池用外装材を得た。
[実施例1〜5]
前記製造方法において、腐食防止処理層15を、処理剤CL−1、CL−2、CL−3の順に塗工焼付けして形成し、表1に示す組成の下地処理層13を形成して、最終的にリチウムイオン電池用外装材を作成した。
[実施例6]
前記製造方法において、腐食防止処理層15を、処理剤CL−1、CL−2、CL−3の順に塗工焼付けして形成し、表1に示す組成の下地処理層13を形成し、さらに表1に示す組成の密着性向上層18を形成して、最終的にリチウムイオン電池用外装材を作成した。
[実施例7]
前記製造方法において、腐食防止処理層15を、処理剤CL−1、CL−2、CL−4の順に塗工焼付けして形成し、表1に示す組成で下地処理層を設けた以外は、実施例1〜5と同様にしてリチウムイオン電池用外装材を作成した。
[比較例1〜4]
表1に示す組成で下地処理層を設けた以外は、実施例1〜5と同様にしてリチウムイオン電池用外装材を作成した。
[参考例1]
下地処理層13の代わりに、処理剤CL−5により化成処理層を設けた以外は、実施例1〜5と同様にしてリチウムイオン電池用外装材を作成した。(長期耐久性が求められる場合に、内容物に接する側(シーラント層側)については化成処理層を設けざるを得ない場合も考えられるため、参考例として化成処理を用いた場合を例示した。)
Figure 0005573254
Figure 0005573254
表1および表2に示すように、アミドエステル部位を形成し得る成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物により下地処理層13を形成した実施例1〜6のリチウムイオン電池用外装材は、従来の化成処理層を設けなくても、成形性評価(1)、(2)で良好な結果が得られており、基材層11とアルミニウム箔層14との密着性が高く、各種保存環境における密着性の保持という点でも優れていた。また、実施例3〜5では、成分(C)であるオルガノシラン、成分(D)である金属化合物を配合することで、架橋密度による下地処理層13のアルミニウム箔層14への密着性の向上し、各種保存環境における密着性がさらに向上した。
一方、アミドエステル部位を形成しない成分によって下地処理層を形成した比較例1〜3のリチウムイオン電池用外装材は、成形性評価(1)および成形性評価(2)で浮きが見られ、密着性が劣っていた。
本発明のリチウムイオン電池用外装材は、従来のような化成処理層を形成しなくても、密着性が高く、優れた深絞り成形性を有している。そのため、本発明のリチウムイオン電池用外装材は、特に今後、耐用年数の向上が求められる大型用途や自動車用途に展開が可能になると思われる。特にHEVやEVといった用途は、今後エコロジー的な側面から市場の急成長が期待される。従来までの化成処理層を用いた場合は、用いるコーティング組成物の材質によっては、環境面で有害となること懸念されるが、本発明の技術を用いれば、自然環境や作業環境といった環境面でも有利である。また、腐食防止処理層として、化成処理を用いずにコーティングタイプの腐食防止処理層を設けることで、アルミニウム箔の基材層側、シーラント層側の双方ともに環境面で有利なリチウムイオン電池用外装材を提供することが可能になる。
1〜3 リチウムイオン電池用外装材 11 基材層 12 接着剤層 13 下地処理層 14 アルミニウム箔層 15 腐食防止処理層 16 接着性樹脂層 17 シーラント層 18 密着性向上層 19 接着剤層

Claims (8)

  1. 基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、接着性樹脂層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、下記成分(C)を0.1〜100質量部含有することを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
    (A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
    (B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
    (C)下式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、およびそれらの誘導体、ならびに下式(2)で表される金属アルコキシド、該金属アルコキシドの加水分解物、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上。
    −Si(OR (1)
    M(OR (2)
    (ただし、式中、R はアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基またはイソシアネート基であり、R はアルキル基であり、Mは金属イオンであり、R はアルキル基であり、nは前記金属イオンの価数と同じ数である。)
  2. 基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された第1の接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、かつ成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して、下記成分(C)を0.1〜100質量部含有することを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
    (A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
    (B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体、ならびにそれらのイオン中和物からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
    (C)下式(1)で表されるオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物、およびそれらの誘導体、ならびに下式(2)で表される金属アルコキシド、該金属アルコキシドの加水分解物、およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上。
    −Si(OR (1)
    M(OR (2)
    (ただし、式中、R はアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基またはイソシアネート基であり、R はアルキル基であり、Mは金属イオンであり、R はアルキル基であり、nは前記金属イオンの価数と同じ数である。)
  3. 前記下地処理層の厚さが0.001〜1μmである、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用外装材。
  4. 前記下地処理層が前記成分(C)以外の金属化合物を含有し、該金属化合物の含有量が、成分(A)と成分(B)の合計100質量部に対して金属として0.1〜100質量部である、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
  5. 前記金属化合物がジルコニウム化合物である、請求項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
  6. ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される密着性向上層が、前記接着剤層と前記下地処理層との間に設けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用外装材。
  7. 基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、接着性樹脂層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、
    ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される密着性向上層が、前記接着剤層と前記下地処理層との間に設けられていることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
    (A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
    (B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
  8. 基材層と、該基材層の一方の面に順次積層された第1の接着剤層、下地処理層、アルミニウム箔層、腐食防止処理層、第2の接着剤層およびシーラント層とを有するリチウムイオン電池用外装材であって、
    前記下地処理層が、下記成分(A)および成分(B)を含むコーティング組成物から形成された、アミドエステル部位を有する層であり、
    ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフトさせた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミン、およびこれらの誘導体、ならびにアミノフェノールからなる群から選ばれる1種以上の塩基性樹脂と、該塩基性樹脂を架橋する架橋剤により形成される密着性向上層が、前記接着剤層と前記下地処理層との間に設けられていることを特徴とするリチウムイオン電池用外装材。
    (A)2以上のオキサゾリン基を含有するオキサゾリン基含有樹脂。
    (B)ポリ(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーの共重合体、ならびにそれらのイオン中和物からなる群から選ばれる1種以上のアクリル系樹脂。
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