JP5382256B1 - 電池用包装材、電池用容器および電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 外層側樹脂フィルム層(11)、外層側接着剤層(12)、金属箔層(13)、内層側接着剤層(14)およびヒートシール層(15)が順次積層されてなる電池用包装材において、前記外層側接着剤層(12)が、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)とを含有するポリウレタン接着剤から形成されたものであり、前記ポリオール成分(A)が、塩基酸成分100モル%中、特定量の芳香族多塩基酸成分を含む多塩基酸成分と、多価アルコール成分とから構成される特定数平均分子量のポリエステルポリオール(A1)を含み、前記外層側接着剤層(12)が100%伸び時に特定引張り応力を示す電池用包装材。
【選択図】 図1
Description
最もシンプルな包装材としては、図1のような外層側から順に外層側樹脂フィルム層(11)、外層側接着剤層(12)、金属箔層(13)、内層側接着剤層(14)およびヒートシール層(15)からなる積層体が挙げられる。電池用容器は、図2に示すように、前記外層側樹脂フィルム層(11)が凸面を構成し、前記ヒートシール層(15)が凹面を構成するように前記包装材を成型(深絞り成型加工、張出し成型加工等)したものである。そして、電池用容器の凹面側に、電極や電解液等を封入してシールすることにより電池を製造している。
また、車載や家庭蓄電用途の二次電池は屋外に設置され、長期の耐用年数が求められるようになっており、包装材の各プラスチックフィルムや金属箔などの層間の接着強度が長期耐久試験後においても維持され、さらに外観に異常が無いことが求められている。
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、優れた成型性を有し、長期耐久性試験後においても層間の接着強度の低下がなく、層間の浮きなどの外観不良の無い電池、電池用包装材を提供する事を課題とする。
即ち、本発明は、外層側樹脂フィルム層(11)、外層側接着剤層(12)、金属箔層(13)、内層側接着剤層(14)およびヒートシール層(15)が順次積層されてなる電池用包装材において、
前記外層側接着剤層(12)が、ポリオール成分(A)を含有する主剤とポリイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成された、100%伸び時の引張り応力が100kg/cm2以上、500kg/cm2以下の接着剤層であることを特徴とする電池用包装材に関する。
本発明の電池用包装材の形成に用いられる前記ポリウレタン接着剤は、ポリオール成分(A)が、ポリエステルポリオール(A1)を含有し、前記ポリエステルポリオール(A1)が、多塩基酸成分と多価アルコール成分とから構成される数平均分子量5000〜50000のポリエステルポリオールであって、前記多塩基酸成分100モル%中、芳香族多塩基酸成分を45〜95モル%含むものである。
本発明の電池用包装材の形成に用いられるポリウレタン接着剤は、カルボキシル基と反応可能な化合物(C)をさらに含有することが好ましい。
本発明のポリウレタン接着剤は、電池用容器を得るための電池用包装材の形成に使用される。電池用容器は、図2に示すようなトレイ状のものの他、筒状(円筒、四角筒、楕円筒等)のものがある。これらの電池用容器は、平たい状態の電池用包装材を成型加工して得る。電池用容器の内側、即ち電解液と接する面は、ヒートシール層(15)である。フランジ部のヒートシール層(15)と、別の電池用包装材を構成するヒートシール層(15)や別の電池用容器のフランジ部のヒートシール層(15)とを対向・接触させ、加熱することにより、ヒートシール層(15)同士を融着させ、電解液を封入する。
硬化後に100%伸び時の引張り応力が100kg/cm2以上、500kg/cm2以下となるポリウレタン系接着剤は、外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)とを積層(貼りあわせ)するためのものである。
硬化後の接着剤層の100%伸び時の引張り応力が100kg/cm2未満であると、電池用包装材の成型時に金属箔層の破断や外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)の間で浮きが生じる。一方、硬化後の接着剤層の100%伸び時の引張り応力が500kg/cm2を超えると外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)の間のラミネート強度が弱くなる。
硬化後の接着剤層の100%伸び時の引張り応力は、以下の方法により測定する。
離型紙上に乾燥膜厚が約50μmとなるようにポリウレタン接着剤を塗布し、溶剤を揮発させた後、60℃にて1週間エージングした後に離型紙から接着剤層を剥離して試料を得る。試料を幅5mm、長さ6cmとなるように切り出したサンプル片をテストロン型引張り試験器にチャック間距離が2cmとなるように保持し、20℃の環境にて引張り速度60mm/分にて引張り試験を行い、チャック間距離が4cmとなった時の伸び応力F(g)から下記計算式にて100%伸び時の引張り応力を計算する。
100%伸び時の引張り応力(kg/cm2)=20×F(g)/S(μm)
S(μm)=サンプル片の実測膜厚
ポリエステルポリオール(A1)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とから構成される数平均分子量5000〜50000のポリエステルポリオールであって、前記多塩基酸成分100モル%中、芳香族多塩基酸成分を45〜95モル%含むものである。
ポリエステルポリオール(A1)としては、多塩基酸成分と多価アルコール成分を反応させて得られたポリエステルポリオールを挙げることができる。
多塩基酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸およびそのエステル化合物などを挙げることができる。これらは単独で使用したり2種以上を併用したりできる。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9−ナノンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールなどを挙げることができる。これらは単独で使用したり2種以上を併用したりできる。
ポリエステルポリオール(A1)を2種類以上使用する場合は、全ポリエステルポリオール成分中の多塩基酸成分100モル%中の芳香族多塩基酸成分を45〜95モル%、より好ましくは55〜85モル%とすることで、外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)との層間の接着強度をより高めると共に、成型性がより良好な電池用包装材を得ることができる。
ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量が5000未満であったり、芳香族多塩基酸成分が45モル%未満であったりすると、成型性が低下する傾向にある。また、数平均分子量が50000を超えると、希釈溶剤への溶解性が乏しくなり、接着剤塗工時の粘度が高くなって、塗工性が乏しくなる恐れがある。また、多塩基酸成分が95モル%を超えると、外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)との層間の接着強度が小さくなる場合がある。
1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート、
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4′−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、
1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート、
トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン等の有機トリイソシアネート、
4,4′−ジフェニルジメチルメタン−2,2′−5,5′−テトライソシアネート等の有機テトライソシアネート等のポリイソシアネート単量体、
上記ポリイソシアネート単量体から誘導された、ダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネートが挙げられる。
また、以下に示す種々のグリコール成分を上記ポリイソシアネート単量体に付加させた付加体が挙げられる。付加体の形成に用いられるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3′−ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の分子量200未満の低分子ポリオール等の付加体、或いは、分子量200〜20,000のポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
中でも芳香族ジイソシアネートから誘導された有機ポリイソシアネートが、包装材の生産性、および成型性の観点からより好ましい。
カルボキシル基と反応可能な化合物(C)としては、分子内にグリシジル基を有する化合物、またはカルボジイミド基を有する化合物、またはオキサゾリン基を有する化合物が好ましく、分子内にグリシジル基を有する化合物、またはカルボジイミド基を有する化合物が好ましい。
カルボキシル基と反応可能な化合物(C)を使用することにより、長期耐久性試験にて接着剤層中のエステル結合が分解して発生したカルボン酸と反応させ、接着剤層の分子量低下による凝集力低下を抑制し、接着強度の低下や外観不良の発生を抑制する事が出来る。
ポリオール成分(A)100重量部に対し、カルボキシル基と反応可能な化合物(C)は1〜100重量部、さらには5〜50重量部含ませることが好ましい。
分子内にグリシジル基を有する化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物が好ましく、数平均分子量400〜5000のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。数平均分子量が400より小さいエポキシ樹脂を含むと接着剤層が柔らかくなり過ぎ、耐久性を損なう恐れがある。エポキシ樹脂の数平均分子量が5000より大きいとポリエステルポリオールとの相溶性が低下し、外観不良が発生する恐れがある。
たとえば、反応促進剤を使用することができる。
反応促進剤としては、たとえば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の反応促進剤を使用できる。
シランカップリング剤の添加量は、ポリオール成分(A)の固形分100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好ましく、0.5〜3重量部であることがより好ましい。上記範囲のシランカップリング剤を添加することによって金属箔に対する接着強度を向上できる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物などの公知のものが挙げられる。
たとえば、外層側樹脂フィルム層(11)と金属箔層(13)とを本発明のポリウレタン接着剤を用いて積層し、中間積層体を得る。次いで、内層側接着剤を用いて中間積層体の金属箔層(13)面にヒートシール層(14)を積層することができる。
あるいは、内層側接着剤を用いて金属箔層(13)とヒートシール層(14)とを積層し、中間積層体を得る。次いで、本発明のポリウレタン接着剤を用いて、中間積層体の金属箔層(13)と外層側樹脂フィルム層(11)とを積層することができる。
前者の場合、本発明のポリウレタン接着剤は、外層側樹脂フィルム層(11)もしくは金属箔層(13)いずれか一方の基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、接着剤層に他方の基材を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温もしくは加温下でエージングし、接着剤層を硬化させれば良い。接着剤層量は、1〜15g/m2程度であることが好ましい。
後者の場合も同様に、本発明のポリウレタン接着剤は、外層側樹脂フィルム層(11)もしくは中間積層体の金属箔層(13)面のいずれかに塗布すればよい。
溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール等のアルコール類、水等が挙げられる。これら溶剤は単独でも、2種類以上を併用してもよい。
例えば、ポリオレフィン樹脂と多官能イソシアネートの組み合わせた接着剤やポリオールと多官能イソシアネートとを組み合わせた接着剤をグラビアコーターなどにて金属箔層に塗布して、溶剤を乾燥させ、接着剤層にヒートシール層(15)を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温もしくは加温下でエージングし金属箔層(13)とヒートシール層(15)とを貼り合せることができる。
あるいは、酸変性ポリプロピレンなどの接着剤をTダイ押出し機で金属箔層(13)上に溶融押出しして接着剤層を形成し、前記接着剤層上にヒートシール層(15)を重ね、金属箔層(13)とヒートシール層(15)とを貼り合せることができる。
外層側接着剤層(12)および内層側接着剤層(14)の両方がエージングを必要とする場合には、まとめてエージングすることができる。
なお、本発明でいう「凹面」とは、平たい状態の電池用包装材を成型加工して図2に示すようなトレイ状とした場合に、電解液を内部に収容し得る窪みを有する面という意であり、本発明でいう「凸面」とは、前記窪みを有する面の自背面の意である。
(合成例1)
イソフタル酸232.4g、エチレングリコール42.7g、ネオペンチルグリコール71.8g、1,6−ヘキサンジオール108.6gを仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、アジピン酸87.6g加え、更に6時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.13gを添加し徐々に減圧し、1.3〜2.6hPa、230〜250℃で3時間エステル交換反応を行い、芳香族多塩基酸成分70モル%、数平均分子量19,000のポリエステルポリオールを得た。
このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、水酸基価2.85mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(1)を得た。
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
イソフタル酸232.4g、エチレングリコール42.7g、ネオペンチルグリコール71.8g、1,6−ヘキサンジオール108.6gを仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、アジピン酸87.6g加え、更に6時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.13gを添加し徐々に減圧し、1.3〜2.6hPa、230〜250℃で3時間エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。
得られたこのポリエステルポリオールの水酸基の約90%を無水ピロメリット酸と反応させるために、このポリエステルポリオールの全量に対して無水ピロメリット酸7.7gを添加し、180℃で約2時間反応させた。液体クロマトグラフを用いて反応系中に未反応の無水ピロメリット酸が残存しないことを確認し、芳香族多塩基酸成分70モル%、数平均分子量20,000の無水ピロメリット酸変性したポリエステルポリオールを得た。
無水ピロメリット酸変性したポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、水酸基価0.41mgKOH/g、酸価2.40mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(2)を得た。
イソフタル酸232.4g、エチレングリコール42.7g、ネオペンチルグリコール71.8g、1,6−ヘキサンジオール108.6gを仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、アジピン酸87.6g加え、更に6時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.13gを添加し徐々に減圧し、1.3〜2.6hPa、230〜250℃で3時間エステル交換反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。
このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分80%に調整して得られたポリエステルポリオール溶液600gに対して、トリレンジイソシアネート3.2gを添加し、80℃で8時間反応し、芳香族多塩基酸成分70モル%、数平均分子量20,000のポリエステルポリウレタンポリオールを得た。
更にこのポリエステルウレタンポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、、水酸基価2.71mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(3)を得た。
イソフタル酸149.4g、テレフタル酸149.4g、エチレングリコール71.3g、ネオペンチルグリコール119.6gを仕込み、200〜220℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、セバチン酸40.4gを加え、更に6時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.13gを添加し徐々に減圧し、1.3〜2.6hPa、230〜250℃で6時間エステル交換反応を行い、芳香族多塩基酸成分90モル%、数平均分子量19,800のポリエステルポリオールを得た。
更にこのポスリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、水酸基価2.73mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(4)を得た。
イソフタル酸83.2g、テレフタル酸83.2g、エチレングリコール142.6gを仕込み、200〜220℃で8時間エステル化反応を行い、所定量の水を留出後、アゼライン酸188gを加え、更に4時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.13gを添加し、徐々に減圧し、1.3〜2.7hPa、230〜250℃で3時間エステル交換反応を行い、芳香族多塩基酸成分50モル%、数平均分子量22,000のポリエステルポリオールを得た。
このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、水酸基価2.45mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(5)を得た。
イソフタル酸166.0g、テレフタル酸166.0g、エチレングリコール85.6g、ネオペンチルグリコール95.6gを仕込み、200〜220℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.12gを添加し徐々に減圧し、1.3〜2.6hPa、230〜250℃で6時間エステル交換反応を行い、芳香族多塩基酸成分100モル%、数平均分子量20,000のポリエステルポリオールを得た。
このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、水酸基価2.71mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(6)を得た。
イソフタル酸132.8g、エチレングリコール42.7g、ネオペンチルグリコール71.8g、1,6−ヘキサンジオール108.6gを仕込み、200〜230℃で6時間エステル化反応を行い、所定量の水の留出後、アジピン酸175.2g加え、更に6時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.13gを添加し徐々に減圧し、1.3〜2.6hPa、230〜250℃で3時間エステル交換反応を行い、芳香族多塩基酸成分40モル%、数平均分子量18,000のポリエステルポリオールを得た。
このポリエステルポリオールを酢酸エチルにて不揮発分50%に調整し、水酸基価3.02mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/gのポリエステルポリオール溶液(7)を得た。
ポリエステルポリオール溶液(6)100g、ポリエステルポリオール溶液(7)100gを加えて混合し、水酸基価2.85mgKOH/g、酸価0.1mgKOH/g、芳香族多塩基酸成分70%、数平均分子量19、000、不揮発分50%のポリエステルポリオール溶液(8)を得た。
ポリエステルポリオール溶液(1)200g(固形分100g)と、KBM−403(シランカップリング剤)1gとを配合した後、酢酸エチル136gを加え、不揮発分が30%の主剤(1)を得た。
主剤(1)の場合と同様にして、ポリエステルポリオール溶液(1)〜(8)並びに下記に示すカルボキシル基と反応可能な成分(C)、その他の成分を表1に示す割合(g)で配合した後、不揮発分が30%となるように酢酸エチルを加えて、主剤(2)〜(11)を得た。
YD−012:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製)
カルボジライトV−07:カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル(株)製)
<その他の成分>
KBM−403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製)
KBM−903:3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製)
各主剤と以下に示す各硬化剤とを、主剤中に含まれるポリオール(A)由来のヒドロキシル基とカルボキシル基の合計に対する硬化剤中に含まれるイソシアネート基の当量比[NCO]/([OH]+[COOH])が表2に示す値となるように配合した後、不揮発分が30%となるように酢酸エチルを加えて、ポリウレタン接着剤を得た。
厚さ40μmのアルミニウム箔の一方の面に、外層用接着剤として上記ポリウレタン接着剤を塗布量:5g/平方メートルとなる量でドライラミネーターによって塗布し、溶剤を揮散させた後、厚さ30μmの延伸ポリアミドフィルムを積層した。
次に、得られた積層フィルムのアルミニウム箔の他方の面に下記内層用接着剤を塗布量:5g/平方メートルとなる量でドライラミネーターによって塗布し、溶剤を揮散させた後、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層し、その後、60℃、7日間の硬化(エージング)を行い、外層用および内層用接着剤を硬化させて電池用包装材を得た。
*内層用接着剤
AD−502(東洋モートン株式会社製・ポリエステルポリオール)を主剤とし、CAT−10L(東洋モートン株式会社製・イソシアネート系硬化剤)を重量比で主剤/硬化剤=100/10で配合し、不揮発分が30%となるように酢酸エチルを加えて内層用接着剤とした。
トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンとのアダクト体を酢酸エチルで希釈して固形分50%の樹脂溶液としたものを硬化剤(1)とした。硬化剤(1)のNCO%は8.6%であった。
<硬化剤(2)>
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートのトリメチロールプロパ
ンとのアダクト体を酢酸エチルで希釈して固形分70%の樹脂溶液としたものを硬化剤(A)とした。硬化剤(2)のNCO%は7.1%であった。
<硬化剤(3)>
イソホロンジイソシアネートの三量体を酢酸エチルで希釈して固形分50%の樹脂溶液としたものを硬化剤(3)とした。硬化剤(3)のNCO%は8.6%であった。
<硬化剤(4)>
硬化剤(1)50重量部、硬化剤(3)50重量部を混合した固形分50%の樹脂溶液を硬化剤(4)とした。硬化剤(4)のNCO%は8.6%であった。
主剤にAD−502(東洋モートン株式会社製・ポリエステルポリオール)を用いて、硬化剤にCAT−10(東洋モートン株式会社製・イソシアネート硬化剤)を重量比で主剤/硬化剤=100/7で配合し、不揮発分が30%となるように酢酸エチルを加えて、ポリウレタン接着剤を得た。
得られたポリウレタン接着剤を外層用接着剤として用いた以外は、上記実施例、上記比較例と同様にして電池用包装材を得た。
100%伸び時の引張り応力(kg/cm2)=20×F(g)/S(μm)
S(μm)=サンプル片の実測膜厚
<耐湿熱性試験前・後のラミネート強度>
電池用包装材を200mm×15mmの大きさに切断し、温度20℃、相対湿度65%の環境下にて、引張り試験機を用いて荷重速度300mm/分でT型剥離試験をおこなった。延伸ポリアミドフィルムとアルミニウム箔間の剥離強度(N/15mm巾)を、それぞれ5個の試験片の平均値で示した(耐湿熱性試験前のラミネート強度)。
別途、電池用包装材を70℃、90%RH雰囲気の恒温恒湿槽に入れ、168時間静置した後、電池用包装材を恒温恒湿槽から取り出し、試験前と同様に、ラミネート強度を測定した(耐湿熱性試験後のラミネート強度)。 各剥離強度の平均値に応じて、次の4段階の評価を行なった。
◎:6N 以上(実用上優れる)
○:4N以上、6N未満(実用域)
△:2N以上、4N未満(実用下限)
×:2N 未満
以上の結果を表2に併せて示す。
電池用包装材を80×80mmの大きさに切断し、ブランク(被成型材、素材)とした。前記ブランクに対し、延伸ポリアミドフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて張り出し1段成型を行い、アルミニウム箔の破断や、各層間の浮きが発生しない、最大の成型高さにより成型性を評価した。なお、使用した金型のポンチ形状は、一辺30mmの正方形、コーナーR2mm、ポンチ肩R1mm。使用した金型のダイス孔形状は一片34mmの正方形、ダイス孔コーナーR2mm、ダイス孔肩R:1mmであり、ポンチとダイス孔とのクリアランスは片側2mm。前記クリアランスにより成型高さに応じた傾斜が発生する。成型の高さに応じて、次の4段階の評価を行なった。
○:4mm 以上、6mm 未満(実用域)
△:2mm 以上、4mm 未満(実用下限)
×:2mm 未満
以上の結果を表2に併せて示す。
電池用包装材を80×80mmの大きさに切断し、ブランク(被成型材、素材)とした。前記ブランクに対し、延伸ポリアミドフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて成型高さ3mmにて張り出し1段成型を行った。次いで、成型した電池用容器を、70℃、90%RH雰囲気下の恒温恒湿槽に入れ、168時間静置した。恒温恒湿槽から電池用容器を取り出し、電池用容器の外観を確認し、浮きが発生していないかを評価した。なお、使用した金型のポンチ形状は、一辺30mmの正方形、コーナーR2mm、ポンチ肩R1mm。使用した金型のダイス孔形状は一片34mmの正方形、ダイス孔コーナーR2mm、ダイス孔肩R:1mmであった。
○:浮きなし
×:浮き発生
以上の結果を表2に併せて示す。
また、比較例2は硬化後の接着剤層の100%伸び時の引張り応力が500kg/cm2を超える為、十分なラミネート強度が得られない。
また、比較例3は硬化後の接着剤層が100%未満の伸び時に破断してしまい、非常に脆いため、十分なラミネート強度が得られない。
(12):外層側接着剤層
(13):金属箔層
(14):内層側接着剤層
(15)ヒートシール層
Claims (9)
- 外層側樹脂フィルム層(11)、外層側接着剤層(12)、金属箔層(13)、内層側接着剤層(14)およびヒートシール層(15)が順次積層されてなる電池用包装材において、
前記外層側接着剤層(12)が、ポリオール成分(A)を含有する主剤と、ポリイソシアネート成分(B)を含有する硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成されたものであり、
前記ポリオール成分(A)が、ポリエステルポリオール(A1)を含有し、
前記ポリエステルポリオール(A1)が、多塩基酸成分と多価アルコール成分とから構成される数平均分子量5000〜50000のポリエステルポリオールであって、前記多塩基酸成分100モル%中、芳香族多塩基酸成分を45〜95モル%含み、
前記外層側接着剤層(12)の100%伸び時の引張り応力が100kg/cm2以上、500kg/cm2以下であることを特徴とする電池用包装材。 - 主剤中に含まれるポリオール(A)由来のヒドロキシル基とカルボキシル基の合計に対する硬化剤中に含まれるイソシアネート基の当量比[NCO]/([OH]+[COOH])が10〜20であることを特徴とする、請求項1記載の電池用包装材。
- ポリウレタン接着剤がカルボキシル基と反応可能な化合物(C)をさらに含有する、請求項1または2記載の電池用包装材。
- カルボキシル基と反応可能な化合物(C)がグリシジル基を有する化合物、またはカルボジイミド基を有する化合物であることを特徴とする請求項3記載の電池用包装材。
- グリシジル基を有する化合物がビスフェノール型エポキシ化合物であることを特徴とする請求項4記載の電池用包装材。
- ポリイソシアネート成分(B)が芳香族系ポリイソシアネートを含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電池用包装材。
- 外層側樹脂フィルム層(11)がポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムであり、ヒートシール層(15)がポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の電池用包装材。
- 請求項1〜7いずれか1項に記載の電池用包装材から成型されてなる電池用容器であって、外層側樹脂フィルム層(11)が凸面を構成し、ヒートシール層(15)が凹面を構成している、電池用容器。
- 請求項8記載の電池用容器を使用してなる電池。
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