JP7305103B1 - 蓄電デバイス包装材用接着剤、蓄電デバイス用包装材、蓄電デバイス用容器及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス包装材用接着剤、蓄電デバイス用包装材、蓄電デバイス用容器及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】優れた低温溶液安定性やラミネート外観を有し、接着性や成型性且つ変形成型物のヒートシール耐性を有し、長期高温耐久性試験後においても優れた成型性を有し且つ層間の浮き等の外観不良が発生しない蓄電デバイス包装材用接着剤、蓄電デバイス包装材、蓄電デバイス用容器及び蓄電デバイスの提供。【解決手段】上記課題は、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含有し、ポリオール主剤(A)がオキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)とエポキシ樹脂(A2)とを含み、ポリエステルポリオール(A1)が多塩基酸成分と多価アルコール成分との反応生成物であり、多価アルコール成分が多価アルコール成分の総量を基準としてエチレングリコールを80モル%以上含有し、接着剤を硬化させた硬化物の250℃における貯蔵弾性率の値が0.1MPa~10MPaである蓄電デバイス包装材用接着剤によって解決される。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池等の蓄電デバイス用容器を形成するための蓄電デバイス包装材に関し、外観が良好であり、且つ優れた成型性と成型物の耐久性とを有する蓄電デバイス包装材用接着剤、該接着剤を用いてなる蓄電デバイス包装材、蓄電デバイス用容器、及び蓄電デバイスに関する。
携帯電話、携帯型パソコン等の電子機器の急速な成長により、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタ等の蓄電デバイスの需要が増大してきた。これらの中でも、エネルギー密度の高さや軽量さから、小型のリチウムイオン電池が注目されている。リチウムイオン電池の外装体としては、従来、金属製缶が用いられてきたが、軽量化や生産性の観点よりプラスチックフィルムや金属箔などを積層した包装材が主流となりつつある。
例えば特許文献1には、芳香族ポリイソシアネートにより変性されたポリウレタンポリオール成分、エポキシ当量と含有割合を規定したエポキシ成分、及び、ポリイソシアネート成分を含む事を特徴とするラミネート接着剤、及び前記接着剤により形成する凹凸を有する包装材が開示されている。
また特許文献2には、重量比率を規定した、ガラス転移温度が40℃前後のポリエステルポリオールと、シランカップリング剤とを含み、且つポリオールのヒドロキシ基とカルボキシ基の合計に対するイソシアネート基の当量比を規定した電池用包装材用ポリウレタン接着剤が開示されている。
また特許文献3には、外層側接着剤層を形成する接着剤として、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応物であり、特定のエステル結合濃度を有する水酸基を有するポリウレタン樹脂と、ポリイソシアネート硬化剤とを含有する構成が開示されている。
特開2019-156925号公報 特許5267718号公報 特許7052913号公報
近年、車載や家庭蓄電など用途が拡大すると共に二次電池の大容量化が求められており、蓄電デバイス用包装材においては、良好な成型性が求められている。また車載用途では、耐熱性や耐湿熱性について良好な屋外長期耐久性が求められており、安全性の面からは、ポリマー型リチウムイオン電池や全固体電池の開発が進んでおり、電解液に含まれる低沸点のカーボネート溶剤が排除されることで、要求される耐熱耐久温度も高くなっている。そのため、外層側樹脂フィルム層はナイロンから、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムのような耐熱性の高いポリエステル系基材への変更が検討されている。更に軽量化の面から、金属箔層の厚みが減少する傾向にあるため、接着剤を金属箔ではなくポリエステル系基材に塗工する方法が検討されている。
そのため、ポリエステル系基材に対する塗工性に優れラミネート後の外観が良好であり、優れた成型性を有し、且つ、成型後のヒートシール耐性、及び長期高温耐久性に優れる接着剤が求められている。
しかしながら、特許文献1~3に記載された接着剤は、特定のポリエステルポリオール主剤とポリイソシアネート硬化剤を使用しているものの、車載用途や全固体電池等で要求される高耐熱ポリエステル系基材を用いた場合、ラミネート後の外観、成型性、変形成型後のヒートシール耐性、及び成型後の長期高温耐久性に課題がある。
したがって本発明の課題は、高耐熱ポリエステル系基材を塗工基材として用いた場合においても優れたラミネート外観を示し、且つ、成型性、変形成型後のヒートシール耐性に優れ、成型後の長期高温耐久性試験後においても優れた成型性を維持し層間の浮き等の外観不良が発生しない、蓄電デバイス包装材用接着剤、該接着剤を用いてなる蓄電デバイス包装材、蓄電デバイス用容器、及び蓄電デバイスを提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含有する蓄電デバイス包装材用接着剤であって、前記ポリオール主剤(A)が、オキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)とエポキシ樹脂(A2)とを含み、前記ポリエステルポリオール(A1)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分との反応生成物であり、前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、エチレングリコールを80モル%以上含有し、前記接着剤を硬化させた硬化物の250℃における貯蔵弾性率の値が、0.10MPa~10MPaであることを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、ジエチレングリコールを0~10モル%含有することを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、エチレングリコールを90~100モル%含有することを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、前記接着剤を硬化させた硬化物の軟化点が、250~350℃であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、前記エポキシ樹脂(A2)の含有率が、ポリエステルポリオール(A1)の質量を基準として、20~100質量%であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、前記ポリイソシアネート(B)が、イソホロンジイソシアネートのヌレート体、又はヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体を含むことを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材用接着剤は、前記オキシアルキレン構造が、オキシエチレン構造であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス包装材は、少なくとも、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層及びヒートシール層が順次積層されている構成を備えた蓄電デバイス包装材であって、前記外層側接着剤層が、上記蓄電デバイス包装材用接着剤の硬化物であることを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイス用容器は、上記蓄電デバイス包装材から形成されてなる蓄電デバイス用容器であって、外層側樹脂フィルム層が凸面を構成し、ヒートシール層が凹面を構成していることを特徴とする。
本開示の一態様に係る蓄電デバイスは、上記蓄電デバイス用容器を備えてなることを特徴とする。
本発明により、高耐熱ポリエステル系基材を塗工基材として用いた場合においても優れたラミネート外観を示し、且つ、成型性、変形成型後のヒートシール耐性に優れ、成型後の長期高温耐久性試験後においても優れた成型性を維持し層間の浮き等の外観不良が発生しない蓄電デバイス包装材用接着剤、並びに、該接着剤を用いてなる、蓄電デバイス包装材、蓄電デバイス用容器及び蓄電デバイスを提供することができる。
本発明の蓄電デバイス用包装材の断面図(模式)である。 本発明の蓄電デバイス用容器の一態様(トレイ状)の斜視図(模式)である。
<蓄電デバイス包装材用接着剤>
本発明の蓄電デバイス包装材用接着剤は、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含有するポリウレタン接着剤であり、前記ポリオール主剤(A)が、オキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)とエポキシ樹脂(A2)とを含み、前記ポリエステルポリオール(A1)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分との反応生成物であり、前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、エチレングリコールを80モル%以上含有し、前記接着剤を硬化させた硬化物の250℃における貯蔵弾性率の値が、0.1MPa~10MPaであることを特徴とする。
本発明の接着剤は、ポリオール主剤(A)が、エチレングリコールを所定量用い、且つオキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)と、エポキシ樹脂(A2)とを含み、さらに、硬化物の250℃における貯蔵弾性率が所定範囲内である事が重要である。これにより、ポリオール主剤(A)の低温安定性が向上し、耐熱ポリエステル系基材を使用した場合のラミネート外観、及び成型性が向上する。また、成型物の変形耐ヒートシール性、及び高温耐久性が向上する。
以下に本発明について詳細に説明する。
<ポリオール主剤(A)>
ポリオール主剤(A)は、ポリエステルポリオール(A1)とエポキシ樹脂(A2)を含み、ポリエステルポリオール(A1)は、多塩基酸成分と、エチレングリコールを80モル%以上含む多価アルコール成分との反応生成物であり、且つ、オキシアルキレン構造を有するものである。
<ポリエステルポリオール(A1)>
ポリエステルポリオール(A1)は、多塩基酸とエチレングリコールを80モル%以上含む多価アルコールとの反応生成物であり、水酸基を過剰にした条件でエステル化反応させることで得ることが出来る。また、ポリエステルポリオール(A1)は、オキシアルキレン構造として、下記一般式(1)で表される部分構造を有する。
一般式(1)
Figure 0007305103000002
[一般式(1)中、X及びXは、各々独立してアルキレン基を表し、nは1以上の整数を表す。]
上記の一般式(1)において、nの数、即ちオキシアルキレン基の平均鎖長は、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、更に好ましくは1又は2である。オキシアルキレン基として具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、好ましくはオキシエチレン基である。オキシエチレン基は、オキシプロピレン基よりも柔軟性が高いため、成型時の延伸性が高まる。また親水性が高いため、水分との相溶性が向上し、大過剰に配合するイソシアネート硬化剤と水の反応確率を高めて強靭な硬化塗膜を形成する。更にオキシエチレン基が末端構造の場合、1級水酸基となるためイソシアネート基との反応性も高い。
このようなオキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)は、例えば、オキシアルキレン基を有する多価アルコール及び80モル%以上のエチレングリコールを含む多価アルコールと、多塩基酸と、の反応生成物として得ることができる。
本発明においては、多価アルコール成分が多価アルコール成分の質量を基準としてエチレングリコールを80モル%以上含有する事が必要である。エチレングリコールが80モル%以上であると、エステル結合濃度が増加することで接着剤塗膜の凝集力が高まり、成型性及び高温接着性が向上する。エチレングリコールの含有率は、好ましくは90モル%以上、98モル%以下である。
オキシアルキレン基を有する多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラメチレングリコールが挙げられる。また、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合して得られるポリオキシアルキレングリコールを用いてもよい。
オキシアルキレン基を有する多価アルコールは、反応性及び適度な親水性の観点からオキシエチレン構造を有するものが好ましく、エステル化の反応性、及び、その他原料(多価アルコール、多塩基酸)との相溶性の観点から、ジエチレングリコールが好適に用いられる。
多価アルコール成分の総量を基準とするジエチレングリコールの含有率は、好ましくは1モル%以上、20モル%以下であり、より好ましくは1.5モル%以上、10モル%以下である。ジエチレングリコールのモル比率が20モル%以下であると、高温軟化が抑制され、優れた高温接着性、成型物の耐ヒートシール性、及び高温耐久性を発揮する。
さらに、多価アルコール成分がエチレングリコールを多量に含有する場合、高温且つ高圧下でのエステル化反応を行うことでエチレングリコールの脱水反応(2量化反応)が進行してジエチレングリコールが生成し、該ジエチレングリコールがエステル化することで、ポリエステルポリオール(A1)にオキシアルキレン構造を導入することができる。
上記多価アルコール成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレングリコール及びオキシアルキレン基を有する多価アルコール以外の、その他多価アルコールを用いてもよい。
このような多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のジオール類若しくはそれらの混合物が挙げられる。
多塩基酸成分は、以下に限定されないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられる。多塩基酸成分は、多塩基酸成分の総量を基準として、芳香酸多塩基酸成分を45~60モル%含むことが好ましい。芳香酸多塩基酸成分が45モル%以上であると芳香環由来の凝集力が高まり成型性が向上し、60モル%以下であると接着性の低下が抑制されるため、好ましい。
上記多塩基酸成分及び多価アルコール成分は、各々、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多塩基酸と多価アルコールをエステル化する反応温度は、好ましくは180℃~280℃、より好ましくは230~280℃の範囲である。エステル化反応における多塩基酸に対する多価アルコールの過剰率(多価アルコール中の水酸基数/多塩基酸中のカルボキシ基数)は、好ましくは1.05~1.7、より好ましくは1.2~1.5の範囲である。過剰率が1.05以上であると、分子量の制御がしやすく、過剰率が1.7以下であると、エステル化が進行しやすい。
また、多価アルコール成分の総量を基準としてエチレングリコールの含有率が60モル%以上であり、且つ過剰率が1.4を超えると、エチレングリコール同士が衝突し易くなり、2量化によるオキシアルキレン構造が生成する。一方過剰率が1.05~1.3ではエチレングリコールと多塩基酸によるエステル化が優先されて、2量化によるオキシアルキレン構造は生成しない。
ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価は、好ましくは0.5~20mgKOH/g、より好ましくは1~5mgKOH/gである。水酸基は後述するポリイソシアネート硬化剤(B)との架橋反応に用いられ、架橋反応が進行することで、接着剤が高分子量化し、包装材としての耐熱性を高めることができる。上記水酸基価は、例えばJIS K 1557-1に準拠した方法で求めることができる。
ポリエステルポリオール(A1)の重量平均分子量は、好ましくは65,000~90,000であり、更に好ましくは70,000~85,000である。重量平均分子量が65,000以上であると、エステル結合の剛直性が発現して、成型性に優れる。重量平均分子量が90,000以下であると、ポリエステルポリオール末端の水酸基濃度が過度に低くならず、ポリイソシアネートと反応させてポリウレタン硬化物を得る際に、反応に時間がかかりすぎることがない。
(ウレタン化)
ポリエステルポリオール(A1)は、ポリイソシアネートを用いてウレタン化されていてもよい。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、3官能以上のポリイソシアネートの単量体、前記ジイソシアネートから誘導される各種誘導体が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-プチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエートが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネートが挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω、ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物が挙げられる。
3官能以上のポリイソシアネート単量体としては、例えば、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン等のトリイソシアネート;4,4’-ジフェニルジメチルメタン-2,2’-5,5’-テトライソシアネ-ト等のテトライソシアネートが挙げられる。
前記ジイソシアネートから誘導される各種誘導体としては、前記ジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロ-ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の分子量200未満の低分子ポリオール若しくはひまし油等との付加体(アダクト体);前記ジイソシアネートの三量体(トリマー、ヌレート体ともいう);ビウレット体;アロファネート体;の他、炭酸ガスと前記ジイソシアネートとから得られる2,4,6-オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート;等を用いることができる。
オキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)をウレタン化するポリイソシアネートとしては、中でも、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加体、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートが好ましく、成型物の高温耐久性の観点からトリレンジイソシアネートが特に好ましい。
ウレタン化する際の、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応温度は、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは80~150℃の範囲である。ウレタン化反応におけるポリエステルポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比(イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)は、0.1~0.9で反応させることが好ましく、より好ましくは0.3~0.8である。
オキシアルキレン構造を有するウレタン変性ポリエステルポリオールの重量平均分子量は、好ましくは30,000~100,000、より好ましくは50,000~100,000である。重量平均分子量が30,000以上であると、樹脂の伸長性が高まり成型性が向上する。重量平均分子量が100,000以下であると、接着剤溶液の粘度が過度に高くなりすぎず外観不良が発生しない。
オキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)をウレタン化した後のウレタン結合濃度は、好ましくは、0.10~0.90mmol/gであり、より好ましくは0.10~0.50mmol/gである。0.10mmol/g以上であると、優れた延伸性を発揮し、より成型性が向上する。0.90mmol/g以下では、ウレタン結合濃度が過度になりすぎず適正な粘度となるため、より塗工性や外観に優れる。ウレタン結合やウレア結合は、水素結合があり極性が高いため、樹脂との相溶性が悪く、外観悪化や成型加工の際に欠陥となる場合があるが、所定濃度のウレタン結合と水酸基とを有するポリウレタン樹脂を組み合わせて用いることで、相溶性に優れ、良好な外観且つ強靭な接着剤層を得ることができ、蓄電デバイス用包装材として良好な物性を得ることができる。
ウレタン結合濃度は、下記式1を用いて算出することができる。
式1:
ウレタン結合濃度(mmol/g)=(ポリイソシアネートのNCO質量%)×(ポリイソシアネートの質量%)÷42×1000+(ポリイソシアネート内部のウレタン結合数÷ポリイソシアネート分子量)×(ポリイソシアネートの質量%)×1000
例えば、合成例(a)-1に示した水酸基を有するポリウレタン樹脂のウレタン結合濃度は、トリレンジイソシアネートのNCO質量%が48.2%、添加量は2.5質量%、内部のウレタン結合数はゼロであることから、ウレタン結合濃度=0.482×0.025/42×1000=0.29 mmol/gとなる。
<エポキシ樹脂(A2)>
ポリオール主剤(A)は、金属箔等の金属系素材に対する高温接着強度や成型物の耐熱性や耐熱耐久性を向上させるため、さらにエポキシ樹脂(A2)を含む。本発明におけるオキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)は、ポリエステル骨格を有するため、高温耐久評価時に熱分解でカルボン酸が生じる場合があるが、エポキシ樹脂を含むことで、生じたカルボン酸とエポキシ樹脂のグリシジル基とが反応し、低分子量化を抑制する事で高温耐久性を一層向上させることができる。また、水酸基を有するエポキシ樹脂はイソシアネート硬化剤と反応してウレタン結合を形成して、架橋密度が上がり高温耐久性が向上する。更に120℃以上の高温環境下では、エポキシ樹脂のグリシジル基の一部と、硬化後に残存するイソシアネート基が反応して、剛直なオキサゾリドン環として架橋するため、更に架橋密度が上がり、高温耐久性が向上する。
エポキシ樹脂(A2)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。接着性や成型物の耐久性の観点から、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。これらエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂(A2)は、イソシアネート硬化剤との反応によって形成するウレタン結合が高温耐久性に寄与する観点から、好ましくは水酸基を有するものである。水酸基を有するエポキシ樹脂(A2)の水酸基価は、好ましくは30~300mgKOH/g、より好ましくは100~200mgKOH/gである。
エポキシ樹脂(A2)は、接着性及び成型物の高温耐久性の観点から、重量平均分子量が400~3,000であることが好ましい。エポキシ樹脂(A2)の配合量は、接着性及び成型性及び成型物の耐久性の観点から、ポリエステルポリオール(A1)の固形分質量を基準として、好ましくは20~100質量%、より好ましくは40~80質量%である。20質量%以上であると、成型物の高温耐久性が効果的に向上し、100質量%以下であると、ラミ外観及び接着性及び成型性と、高温耐久性の両立が可能となる。
<その他ポリオール>
ポリオール主剤(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステルポリオール(A1)以外に、従来公知のポリオールや短鎖ジオールを併用してもよい。このような併用してもよいポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオールが挙げられる。短鎖ジオールとしては、前述多価アルコールが挙げられ、イソシアネートとの反応性の面から、1,4-ブタンジオール等の直鎖ジオールが好ましい。
<ポリイソシアネート硬化剤(B)>
ポリイソシアネート硬化剤(B)は、ポリエステルポリオール(A1)及びビスフェノールA型等の水酸基を有するエポキシ樹脂(A2)中の水酸基と架橋反応し、接着剤層の分子量を高め、エネルギー弾性を発現する内部凝集力を向上させる役割を担う。また、イソシアネート基は水と反応し凝集力の高いウレア結合を形成可能であることから、養生中に自己架橋反応させることで接着剤層の凝集力を高めることができる。
また、ポリイソシアネート硬化剤(B)は、後述する基材表面との相互作用を向上させる働きがあり、特に、コロナ放電処理等の物理処理や有機プライマー等の化学処理がなされた基材を用いた場合、ポリイソシアネート硬化剤(B)中のイソシアネート基と基材表面の活性水素基とが、化学反応することで、外層側接着剤層と基材との間に強固な相互作用を発現させることができる。
このように、ポリイソシアネート硬化剤(B)を用いることにより、強固な外層側接着剤層を形成することが可能となり、急激な環境変化に伴う基材の伸縮運動を接着剤層が抑制し、接着強度を高レベルで維持することが可能となる。
ポリイソシアネート硬化剤(B)としては、上述の<ポリエステルポリオール(A1)>における(ウレタン化)の項で挙げたものを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、ポリイソシアネート硬化剤(B)として好ましくは、ジイソシアネートのヌレート体、ジイソシアネートにトリメチロールプロパンが付加したアダクト体、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、イソシアネート残基を有するウレトジオン体、アロファネート体、若しくはこれらの複合体を含むものであり、より好ましくは、イソホロンジイソシアネートのヌレート体、又はヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体を含むものである。
車載向け蓄電デバイス用途においては、優れた高温耐久性、及び高い凝集力と加工性、を両立できる観点から、好ましくはトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト体、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体である。より好ましくは、塗工性や成型物の耐シール性や耐熱耐久性の観点から、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体である。
ポリイソシアネート硬化剤(B)の含有量は、ポリオール主剤(A)の固形分質量を基準として、好ましくは20~80質量部である。ポリイソシアネート成分(B)が20質量部以上であると、接着剤層の分子量を効率的に高めることができる。これにより、内部凝集力の立ち上がりが向上し、高い成型性と高温耐久性が得られる。80質量部以下であると、架橋反応により生成する極性の高いウレタン結合やウレア結合の量が過度になり過ぎず、室温接着性が保持できる。
<硬化物の250℃における貯蔵弾性率(Er)>
本発明の蓄電デバイス包装材用接着剤は、接着剤を硬化させた硬化物の250℃における貯蔵弾性率の値が、0.10MPa~10MPaであることが重要である。貯蔵弾性率の値が上記範囲であることにより、架橋部位が分子鎖の振動を抑えて、高温でも分子鎖が解れにくくなり、これにより優れた高温接着性、及び成型物の耐ヒートシール性と高温耐久性を発揮することができる。0.10MPa未満では成型物の耐ヒートシール性及び高温耐久性が低下する。10MPaを超えると室温接着性が低下するため成型性も低下する。なお、貯蔵弾性率の値は、ポリオール主剤(A)及びイソシアネート硬化剤(B)の種類及び配合量;ポリエステルポリオール(A1)の分子量、ガラス転移点、オキシアルキレン構造の含有率、芳香族多塩基酸成分の比率、エステル結合濃度、ウレタン結合濃度;エポキシ樹脂(A2)の種類及び配合量;ポリイソシアネート硬化剤(B)の種類及び配合量;によって変化するため、これらの条件を調整することで、250℃における貯蔵弾性率の値を、本願発明の範囲内とすることができる。
接着剤を硬化させた硬化物の250℃における貯蔵弾性率の値は、成型性と成型物の耐熱性のバランスの観点から、好ましくは、0.3~9.5であり、より好ましくは2.1~9.0、さらに好ましくは3.6~9.0である。
貯蔵弾性率は、JIS K 7244に基づき、例えば以下の方法で求めることができる。
接着剤を、コロナ未処理のCPPフィルム上に、厚み10~20μmになるようにアプリケーターを用いて薄く広げ、上から同じフィルムで挟み、80℃℃の環境下に3週間静置して接着剤を硬化させ、積層体を作製する。続いて積層体を長さ20mm、幅5mmに切り抜き、CPPフィルムを剥離させて、長さ20mm、幅5mm、厚み10~20μmの硬化物を得る。得られた硬化物を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度は-30℃から開始して400℃まで、周波数10Hz、昇温速度10℃/分の条件により測定して決定される。
<硬化物の軟化点>
本発明の蓄電デバイス包装材用接着剤は、成型物の高温耐久性の観点から、接着剤を硬化させた硬化物の軟化点が、250~350℃であることが好ましい。軟化点は、ポリオール主剤(A)及びイソシアネート硬化剤(B)の種類及び配合量等を変えることで調整できる。軟化点が250℃以上であると、耐熱接着性や成型物の高温耐久性に優れる。一方、350℃以下であると、剛直になり過ぎず、室温接着性が低下するため成型性も低下する。
接着剤の硬化物は、<貯蔵弾性率(Er)>と同様の方法で得ることができる。また、軟化点は、例えば以下の方法で求めることができる。硬化物の軟化点は、走査型プローブ顕微鏡(OXFORD INSTRUMENTS社製 MFP-3D)、Local Thermal Analysis(Ztherm)機能を用いて、局所軟化点を測定する。試料は、硬化膜の断面を切り出し、切り出した試料を樹脂に包埋してダイヤモンドナイフで平滑加工する。測定方法は、カンチレバーに電圧をかけ、探針上にあるヒーターにより、試料断面を局所加熱して、ナノスケールの融解をプローミングする。プローブはThermalLever AN2-200、測定モードは荷重一定モード、印加電圧は1V~8.5V、昇圧速度は0.2V/秒、Trigger Valueは20nm~80nm、ディフレクション位置は-0.5V、セットポイントは0.5V、キャリブレーション試料はポリカラクタム(軟化点:60℃)と高密度ポリエチレン(軟化点:125℃)を用いて、温度と抵抗値の関係でキャリブレーション式を作成する。軟化点は、印加電圧とプローブ変位量のプロットから、変曲点電圧を読み取り、印加電圧と抵抗値の関係から、変曲点電圧を抵抗値に変換して、抵抗値を前記キャリブレーション式に導入して軟化点となる温度を算出する。測定はN=3で行い、平均値を用いる。
<シランカップリング剤>
蓄電デバイス包装材用接着剤は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させるため、さらにシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。特に3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが接着性の面で好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、ポリエステルポリオール(A1)の固形分質量を基準として、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。上記範囲のシランカップリング剤を添加することによって金属箔に対する接着強度を一層向上できる。
<溶剤>
蓄電デバイス包装材用接着剤は、接着剤を基材に塗工する際、塗液を適度な粘度に調整するために、乾燥工程において基材への影響がない範囲内で溶剤を含有してもよい。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物等が挙げられる。これら溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
<任意成分>
蓄電デバイス包装材用接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、その他成分を含有してもよい。その他成分は、主剤又は硬化剤のいずれに配合してもよく、主剤と硬化剤とを配合する際に添加してもよい。これら任意成分は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよく、要求性能に応じて適宜選択される。
(フェノール系酸化防止剤)
蓄電デバイス包装材用接着剤は、熱酸化劣化を抑制するために、フェノール系酸化防止剤を加えてもよい、フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、およびステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール系酸化防止剤;1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、および1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン、トリフェノール等の高分子型フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。特にテトラフェノール系やトリフェノール系の高分子量型ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
(反応促進剤)
蓄電デバイス包装材用接着剤は、ウレタン化反応を促進するため、さらに反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等の金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミンが挙げられる。
(リンの酸素酸又はその誘導体)
蓄電デバイス包装材用接着剤は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させるため、リン酸又はリン酸誘導体を含有することができる。リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、上記のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコールが挙げられる。
(レベリング剤又は消泡剤)
蓄電デバイス包装材用接着剤は、包装材のラミネート外観を向上させるため、レベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
(添加剤)
蓄電デバイス包装材用接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒等が挙げられる。
<接着剤の製造>
本発明の蓄電デバイス包装材用接着剤は、前述のポリオール主剤(A)及びポリイソシアネート硬化剤(B)を配合して得られるポリウレタン系接着剤であって、ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)との配合割合は、ポリイソシアネート硬化剤(B)中イソシアネート基数と、ポリオール主剤(A)中の水酸基数との比[NCO/OH]が0.5~40.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5~5.0の範囲である。また、ポリオール主剤(A)の固形配合量を100質量部とした場合、成型性や成型物の耐熱性の観点から、ポリイソシアネート硬化剤(B)の固形配合量は、好ましくは10~50質量部であり、より好ましくは20~40質量部である。
<蓄電デバイス用包装材>
本発明の蓄電デバイス包装材用接着剤は、蓄電デバイス用包装材の外層側接着剤層を形成する外層側接着剤として好適に用いることができる。本発明の蓄電デバイス包装材は、少なくとも、外層側樹脂フィルム層(1)、外層側接着剤層(2)、金属箔層(3)、及びヒートシール層(4)が、この順に外側から積層されている構成を備えるものであり、外層側接着剤層(2)が上述する蓄電デバイス包装材用接着剤の硬化物であることを特徴とする。
[外層側接着剤層(2)]
蓄電デバイス用包装材の製造方法は特に制限されず、公知の方法により製造することができる。
例えば、外層側樹脂フィルム層(1)と金属箔層(3)とを、上述の蓄電デバイス包装材用接着剤を用いて積層して、外層側樹脂フィルム層(1)/外層側接着剤層(2)/金属箔層(3)の構成を備える中間積層体を得た後、内層側接着剤を用いて中間積層体の金属箔層(3)面にヒートシール層(5)を積層して製造することができる(以下、製造方法1)。
あるいは、内層側接着剤を用いて金属箔層(3)とヒートシール層(5)とを積層して、金属箔層(3)/内層側接着剤層(4)/ヒートシール層(5)の構成を備える中間積層体を得た後、上述の蓄電デバイス包装材用接着剤を用いて、中間積層体の金属箔層(3)と外層側樹脂フィルム層(1)とを積層して製造することができる(以下、製造方法2)。
製造方法1の場合、蓄電デバイス包装材用接着剤を、外層側樹脂フィルム層(1)又は金属箔層(3)のいずれか一方の基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、未硬化の外層側接着剤層に他方の基材を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温~100℃未満でエージングし、外層側接着剤層を硬化するのが好ましい。エージング温度が100℃未満であると、外層側樹脂フィルム層(1)の熱収縮が起こらないため、成型に影響を及ぼす破断伸度や破断応力の低下や、フィルムカールによる成型生産性の低下が起こらない。外層側接着剤の乾燥後塗布量は1~15g/m程度であることが好ましい。
製造方法2の場合も同様に、上述の蓄電デバイス包装材用接着剤は、外層側樹脂フィルム層(1)若しくは中間積層体の金属箔層(3)面のいずれかに塗布すればよい。
外層側接着剤層の形成方法としては、コンマコーター、ドライラミネーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター等を用いる方法が挙げられる。
[外層側樹脂フィルム層(1)]
外層側樹脂フィルム層(1)は特に制限されず、ポリアミド又はポリエステル又はポリイミドからなる延伸フィルムを用いるのが好ましく、成型時の延伸性及び耐熱性の面からポリエステルが特に好ましい。また、ポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートが挙げられる。また、カーボンブラックや酸化チタン等の顔料により着色されていてもよい。また、外層側樹脂フィルム層(1)の非ラミネート面は、傷つき防止や耐電解液性を目的としたコート剤や、成型時の滑り性付与を目的としたスリップ剤がコーティングされていてもよく、意匠性を目的として印刷インキがコーティングされていてもよい。また、外層側樹脂フィルム層(1)は、2層以上のフィルムがあらかじめ積層されていてもよい。外層側樹脂フィルム層(1)の厚みは特に制限されないが、好ましくは12~100μmである。
[金属箔層(3)]
金属箔層(3)は特に制限されないが、ステンレス箔層又はアルミニウム箔層である。金属箔層(3)の厚みは特に制限されないが、好ましくは20~80μmである。また、金属箔層(3)表面は、リン酸クロメート処理、クロム酸クロメート処理、3価クロム処理、リン酸亜鉛処理、リン酸ジルコニウム処理、酸価ジルコニウム処理、リン酸チタン処理、フッ酸処理、セリウム処理、ハイドロタルサイト処理等による公知の防腐処理が施されていることが好ましい。防腐処理によって、電池内部に充填する電解液における金属箔表面の腐食劣化を抑制することができる。更にフェノール樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カップリング剤等の公知の有機成分を防腐処理表面に塗布、又は防腐処理成分と前記有機成分の混合物を塗布して、200℃ほどの高温で金属箔層に焼付処理していることが好ましい。この塗布型有機プライマー処理を施すことによって、金属箔と接着剤をより強固に接着させ、金属箔と接着剤間の浮きを更に抑制することができる。
[ヒートシール層(5)]
ヒートシール層(5)は特に制限されず、好ましくは、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変成物及びアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種類の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムである。ヒートシール層の厚みは特に制限されないが、好ましくは20~150μmである。
[内層側接着剤層(4)]
内層側接着剤層(4)を形成する接着剤は特に制限されないが、蓄電デバイスの電解液によって金属箔層(3)とヒートシール層(5)との接着強度が低下しないものが好ましく、公知の接着剤を使用することができる。
内層側接着剤層(4)は、例えば、ポリオレフィン樹脂とポリイソシアネートの組み合わせた接着剤や、ポリオールとポリイソシアネートとを組み合わせた接着剤を、グラビアコーター等を用いて金属箔層(3)に塗布して溶剤を乾燥させ、接着剤層にヒートシール層(5)を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温若しくは加温下でエージングすることで、形成することができる。
あるいは、酸変性ポリプロピレン等の接着剤をTダイ押出し機で金属箔層(3)上に溶融押出しして接着剤層を形成し、前記接着剤層上にヒートシール層(5)を重ね、金属箔層(3)とヒートシール層(5)とを貼り合せることで内層側接着剤層(4)を形成することができる。
外層側接着剤層(2)及び内層側接着剤層(4)の両方がエージングを必要とする場合には、外層側樹脂フィルム層(1)、未硬化の外層側接着剤層、金属箔層(3)、未硬化の内層側接着剤層及びヒートシール層(5)が、この順に外側から積層されている構成を備えた積層体を得た後に、まとめてエージングを行ってもよい。
<蓄電デバイス用容器>
本発明の蓄電デバイス用容器は、本発明の蓄電デバイス用包装材を用い、外層側樹脂フィルム層(1)が凸面を構成し、ヒートシール層(5)が凹面を構成するように成型して得ることができる。なお、本発明でいう「凹面」とは、平たい状態の蓄電デバイス用包装材を成型加工して図2に示すようなトレイ状とした場合に、電解液を内部に収容し得る窪みを有する面という意であり、本発明でいう「凸面」とは、前記窪みを有する面の自背面の意である。
<蓄電デバイス>
本発明の蓄電デバイスは、前記蓄電デバイス用容器を使用してなるものであり、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、及び鉛蓄電池等の二次電池、並びに電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタが空挙げられる。
一般的な蓄電デバイスは、電極を含む電池要素と該電極から延在するリードと収容する容器とを備え、本発明の蓄電デバイスでは、前記蓄電デバイス用容器が前記収納する容器に用いられる。前記収納する容器は、蓄電デバイス用包装材から、ヒートシール層(5)が内側となるように形成され、2つの包装材のヒートシール層(5)同士を対向させて重ね合わせ、重ねられた包装材の周縁部を熱融着して得られてもよいし、1つの包装材を折り返して重ね合わせ、同様に包装材の周縁部を熱融着してもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りの無い限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により酸価(mgKOH/g)を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオールや水酸基含有ウレタン樹脂等)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により水酸基価(mgKOH/g)を求めた。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.05}/S]+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定>
平均分子量及び分子量分布は、ショウデックス(昭和電工(株)製)、カラム:KF-805L、KF-803L、及びKF-802(昭和電工(株)製)、を用いて、カラムの温度を40℃、溶離液としてTHF、流速を0.2ml/分、検出をRI、試料濃度を0.02質量%、として測定した標準ポリスチレン換算の値を用いた。
<ガラス転移点(Tg)>
ガラス転移点は、DSC(示差走査熱量計)により測定した。具体的には、測定対象化合物を約2mg、アルミニウムパン上で秤量し、該アルミニウムパンをDSC測定ホルダーにセットし、5℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピークを読み取り、この時のピーク温度をガラス転移点とした。
<ポリエステルポリオールのモノマー組成分析>
得られたポリエステルポリオールは、熱分解GC-MS測定によるモノマー定性分析と、13C-NMR測定によるGC-MS測定で検出されたモノマー種の定量分析を行うことにより、組成を特定した。
まず、熱分解GC-MS測定によりモノマー定性分析を行い、モノマー種を求めた。具体的には、熱分解GC-MS測定装置としてGC-MS QP5050A(島津製作所製)、カラムUA-5(30m×0.25mm、df=0.25μm)を用いて、メチル化剤がテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、熱分解温度が590℃、昇温メソッドが40℃6分保持した後10℃/分で280℃まで昇温し10分保持する。という測定条件にて分析を行った。
次いで、13C-NMR測定により、GC-MS測定で検出されたモノマー種の定量分析を行い、モノマー組成比を求めた。具体的には、13C-NMR測定装置としてJNM-ECZ400R(日本電子社製)、10mmスーパークールプローブを用い、室温条件下、重水素化クロロホルム溶媒、パルス間隔20秒、積算回数3000回の測定条件にて分析を行った。
<硬化物の250℃における貯蔵弾性率>
接着剤硬化物の250℃における貯蔵弾性率は、以下の方法により求めた。
まず、接着剤を、コロナ未処理のCPPフィルム上に、厚み10~20μmになるようにアプリケーターを用いて薄く広げ、上から同じフィルムで挟み、80℃℃の環境下に3週間静置して接着剤を硬化させ、積層体を作製した。続いて積層体を長さ20mm、幅5mmに切り抜き、CPPフィルムを剥離させて、長さ30mm、幅5mm、厚み15μmの硬化物を得た。得られた硬化物を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-225」)を用いて、測定温度は-30℃から開始して400℃まで、周波数10Hz、昇温速度10℃/分、測定モードは引張モードの条件により測定して、250℃における貯蔵弾性率を算出した。
<硬化物の軟化点>
接着剤硬化物の軟化点は、走査型プローブ顕微鏡(OXFORD INSTRUMENTS社製 MFP-3D)、Local Thermal Analysis(Ztherm)機能を用いて、局所軟化点を測定することで求めた。
まず、硬化膜の断面を切り出し、切り出した試料を樹脂に包埋してダイヤモンドナイフで平滑加工して、測定試料を作製した。測定方法は、カンチレバーに電圧をかけ、探針上にあるヒーターにより、試料断面を局所加熱して、ナノスケールの融解をプローミングした。プローブはThermalLever AN2-200、測定モードは荷重一定モード、印加電圧は1V~8.5V、昇圧速度は0.2V/秒、Trigger Valueは20nm~80nm、ディフレクション位置は-0.5V、セットポイントは0.5V、キャリブレーション試料はポリカラクタム(軟化点:60℃)と高密度ポリエチレン(軟化点:125℃)を用いて、温度と抵抗値の関係でキャリブレーション式を作成した。軟化点は、印加電圧とプローブ変位量のプロットから、変曲点電圧を読み取り、印加電圧と抵抗値の関係から、変曲点電圧を抵抗値に変換して、抵抗値を前記キャリブレーション式に導入して軟化点となる温度を算出した。測定はN=3で行い、平均値を用いた。
<ポリエステルポリオールの合成>
(ポリエステル(a-1))
イソフタル酸103.4部、テレフタル酸206.7部、アゼライン酸299.1部、エチレングリコール208.5部、ジエチレングリコール17.6部、ネオペンチルグリコール64.8部、フェノール系酸化防止剤Irganox1010を2.6部仕込み、170~230℃で6時間エステル化反応を行った。多塩基酸成分のモル%を基準とした多価アルコール成分のモル%の比率を示すグリコール過剰率は1.2となる。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.27部を添加し徐々に減圧し、1.3~2.6hPa、230~270℃で3時間エステル交換反応を行い、反応終了後、酢酸エチルを添加して、不揮発分を50%に調整した。数平均分子量31,000、重量平均分子量71,000、分子量分布2.29、水酸基価3.6mgKOH/g、酸価0.6mgKOH/g、樹脂Tgが-9℃のポリエステルポリオールであるポリエステル(a-1)溶液を得た。
得られたポリエステル(a-1)について、熱分解GC-MS測定によるモノマー定性分析と、13C-NMR測定によるモノマー種の定量分析を行い、ポリエステル(a-1)の組成を特定した。得られた分析結果から、多塩基酸成分と多価アルコール成分との合計を200モル%とすると、得られたポリエステル(a-1)の組成は仕込み組成と同様となり、イソフタル酸:テレフタル酸:アゼライン酸:エチレングリコール:ジエチレングリコール:ネオペンチルグリコール=18:36:46:81:4:15(モル%)であった。
(ポリエステル(a-2)~(a-5)、(a-7)~(a-21))
多塩基酸成分と多価アルコール成分との合計を200モル%とした場合の各成分の仕込みモル%を表1に示す組成に変更した以外は、ポリエステル(a-1)と同様にして、多塩基酸成分と多価アルコール成分とを反応させ、ポリエステル(a-2)~(a-5)と(a-7)~(a-21)溶液を得た。グリコール過剰率はいずれも1.2になるようにした。
得られたポリエステルについて、ポリエステル(a-1)と同様にして組成を特定したところ、得られたポリエステルの組成は、表1に記載した仕込み組成と同様であった。
(ポリエステル(a-6))
イソフタル酸99.9部、テレフタル酸199.9部、アゼライン酸289.2部、エチレングリコール311.0部、フェノール系酸化防止剤Irganox1010を2.6部仕込み、170~230℃で6時間エステル化反応を行った。多塩基酸成分のモル%を基準とした多価アルコール成分のモル%の比率を示すグリコール過剰率は1.5となる。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.27部を添加し徐々に減圧し、1.3~2.6hPa、230~270℃で3時間エステル交換反応を行い、反応終了後、酢酸エチルを添加して、不揮発分を50%に調整した。数平均分子量33,000、重量平均分子量75,000、分子量分布2.27、水酸基価3.5mgKOH/g、酸価0.4mgKOH/g、樹脂Tgが-10℃のポリエステルポリオールであるポリエステル(a-6)溶液を得た。
得られたポリエステル(a-6)について、ポリエステル(a-1)と同様にして組成を特定したところ、グリコール過剰率1.5の条件で反応させたポリエステル(a-6)の組成は、イソフタル酸:テレフタル酸:アゼライン酸:エチレングリコール:ジエチレングリコール=18:36:46:96:4(モル%)となり、表1に記載した仕込み組成とは異なっていた。これは、大過剰に存在するエチレングリコールが二量化したためであると推察される。
Figure 0007305103000003
表1中の略号は以下の通りである。
IPA:イソフタル酸
TPA:テレフタル酸
PA :無水フタル酸
AdA:アジピン酸
SeA:セバシン酸
AzA:アゼライン酸
EG :エチレングリコール
DEG:ジエチレングリコール
DPG:ジプロピレングリコール
PTMG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(Mw:250)
NPG:ネオペンチルグリコール
MPO:2-メチル-1,3-プロパンジオール
<ウレタン変性ポリエステルポリオールの合成>
(ウレタン変性ポリエステルポリオール(a-1)
得られたポリエステル(a-13)を100部と、酢酸エチル43部とを4口フラスコに仕込み、85℃に昇温し、溶液が均一になるまで撹拌した。これにトリレンジイソシアネートを2.5部、ジブチル錫ジラウレート0.02部を添加し、4時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル59部を添加し、ウレタン結合濃度0.28mmol/g、Mn32,000、Mw82,000、樹脂Tg-8℃、水酸基価3.3mgKOH/g、不揮発分50%の、ウレタン変性ポリエステル(a-1)溶液を得た。
(ウレタン変性ポリエステル(a-2)~(a-4))
表2に示す配合量に変更した以外は、ウレタン変性ポリエステル(a-1)と同様にして、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させた、ウレタン変性ポリエステル(a-2)~(a-4)溶液を得た。
Figure 0007305103000004
表2中の略号は以下の通りである。
TDI:トリレンジイソシアネート(コロネートT-80 東ソー株式会社製)
<蓄電デバイス包装材用接着剤の製造>
[実施例1]
ポリエステル(a-1)溶液を200部(固形換算で100部)、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(南亜プラスチックス社製、NPES-302)を40部仕込み、グリシジル基を有するシランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3部を仕込み、酢酸エチルを43部仕込み、攪拌混合して、不揮発分50%のポリオール主剤(A)を作製した。
その後、ポリイソシアネート硬化剤としてイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート構造体(VESTANAT(登録商標) T 1890/100 エボニック社製 NCO含有量17.3%)を固形換算で40部仕込み、酢酸エチルで希釈して、固形分濃度25%の接着剤溶液を調製した。
[実施例2~21、比較例1~9]
表3の配合量(部)に変更した以外は実施例1と同様の所作を行い、接着剤溶液を得た。
<ポリオール主剤(A)の評価>
まず、得られたポリオール主剤(A)について、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
[ポリオール主剤(A)の低温溶液安定性]
ポリオール主剤をマヨネーズ瓶に入れて5℃の冷蔵庫で保管し、目視でゲル化するまでの期間を測定し、以下の基準で評価した
S:2か月後もゲル化無し
A:1か月後はゲル化無し、2か月後はゲル化
B:1週間後はゲル化無し、1か月後はゲル化
C:1週間以内にゲル化
<蓄電デバイス包装材用接着剤の評価>
得られた蓄電デバイス包装材用接着剤を用いて以下の手順で包装材を作製し、得られた包装材を用いて以下の評価を行った。結果を表3に示す。
[蓄電デバイス用包装材の作製]
厚み20μmのアルミニウム箔の一方の面に、塗布型リン酸クロメート処理剤(日本ペイント株式会社製 サーフコートNR-X)を塗布量0.03g/mで塗布し、200℃で焼き付けを行った。その後、ドライラミネーターを用いて、厚み25μmの延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(耐熱ポリエステル系基材)のコロナ処理を施した面に、外層側接着剤層(2)用として、得られた蓄電デバイス包装材用接着剤の溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、厚み20μmのアルミニウム箔の前記表面処理を施した面とを積層し、中間積層体を得た。接着剤の乾燥後塗布量は3g/mとした。
次いで、ドライラミネーターを用いて、得られた中間積層体のアルミニウム箔の他方の面に、後述する内層側接着剤層用接着剤を塗布し、溶剤を揮散させた後、厚み25μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを積層し積層体を得た。接着剤の乾燥後塗布量は2g/mとした。
次いで、80℃3日間のエージングを行い、外層側及び内層側の接着剤層を硬化させて、外層側樹脂フィルム層(1)/外層側接着剤層(2)/金属箔層(3)/内層側接着剤層(4)/ヒートシール層(5)の構成を備える蓄電デバイス用包装材を得た。
(内層側接着剤層用接着剤)
主剤としてAD-502(東洋モートン(株)製ポリエステルポリオール)、硬化剤としてCAT-10L(東洋モートン(株)製 イソシアネート系硬化剤)を用いて、主剤/硬化剤=100/10(質量比)となるように配合し、酢酸エチルで固形分濃度25%に調整したものを、内層側接着剤層用接着剤として用いた。
[耐熱ポリエステル系基材を用いた場合のラミネート外観]
得られた蓄電デバイス用包装材について、A4サイズの面積の外観を目視で観察し以下の基準で評価した。本評価により、耐熱ポリエステル系基材への接着剤塗工における、乾燥後の接着剤塗膜の柔軟性及びニップ時の金属箔への追従性を評価することができる。
S:ニップ抜けの欠点数が無い(非常に良好)
A:ニップ抜けの欠点数1~2箇所(良好)
B:ニップ抜けの欠点数が3~5箇所(使用可能)
C:ニップ抜けの欠点数が6箇所以上(使用不可)
[成型性評価]
蓄電デバイス用包装材の両面にエルカ酸アマイドを0.02g/m塗工した後、60×60mmの大きさに切断し、ブランクとした。前記ブランクに対し、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて張り出し1段成型を行い、アルミニウム箔の破断や各層間の浮きが発生しない、最大の成型高さにより、以下の基準で成型性を評価した。
使用した金型のポンチ形状は、一辺29.4mmの正方形、コーナーR1mm、ポンチ肩R1mmである。使用した金型のダイス孔形状は、一片30.0mmの正方形、ダイス孔コーナーR1mm、ダイス孔肩R:1mmであり、ポンチとダイス孔とのクリアランスは0.3mmである。前記クリアランスにより成型高さに応じた傾斜が発生する。成型の高さに基づき以下の基準で評価した。
S:最大の成型高さが6mm以上である(非常に良好)
A:最大の成型高さが5mm以上、6mm未満である(良好)
B:最大の成型高さが4mm以上、5mm未満である(使用可能)
C:最大の成型高さが4mm未満である(使用不可)
[変形成型物のヒートシール耐性]
前記と同様に成型高さ4mmにて張り出し1段成型して、成型物の張り出し中央を直接窪ませて、張り出しコーナー4カ所に谷折り皺をつけて変形させた後、フランジ4面を210℃・2kgf・5秒、及び230℃・2kgf・5秒の条件でヒートシールした。各層間の浮きが発生しない最高温度に基づき、以下の基準で評価した。
成型物を変形する理由は、電池用容器作成時及び電解液充填時における成型物の変形により、角型凸部中央が窪み、凸部コーナーにエクボ状の皺が寄る事で、ヒートシールにおいて凸部コーナーの層間に浮きが発生しやすくなり、より厳しい評価条件とするためである。
A:230℃で浮き無し(良好)
B:210℃では浮き無しだが、230℃で浮き有り(使用可能)
C:210℃で浮き有り(使用不可)
[成型物の高温耐久性]
蓄電デバイス用包装材を60×60mmの大きさに切断し、ブランクとした。前記ブランクに対し、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて成型高さ4mmにて張り出し1段成型を行い、成型物を得た。
次いで、成型物を180℃雰囲気下のオーブンに入れて、300時間毎に、オーブンから取り出し、浮きが発生していないかを目視で確認し、以下の基準で評価した。
S:1500時間後も浮き無し(非常に良好)
A:1200時間後は浮きが無いが、1500時間後に浮き有り(良好)
B:900時間後は浮きが無いが、1200時間後に浮き有り(使用可能)
C:900時間後以下で浮き有り(使用不可)
[室温における接着性]
蓄電デバイス用包装材を、各々200mm×15mmの大きさに切断し、引張り試験機を用いてT型剥離試験を行い、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔との間の剥離強度(N/15mm巾)を測定した。測定は、20℃65%RHの環境下にて、荷重速度50mm/分で行い、3個の試験片の平均値により、以下の基準で評価した。
A:剥離強度の平均値が3N以上(良好)
B:剥離強度の平均値が2N以上、3N未満(使用可能)
C:剥離強度の平均値が2N未満(使用不可)
[150℃における接着性]
蓄電デバイス用包装材を、各々200mm×15mmの大きさに切断し、引張り試験機を用いてT型剥離試験を行い、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムとアルミニウム箔との間の剥離強度(N/15mm巾)を測定した。測定は、150℃の環境下にて、荷重速度50mm/分で行い、3個の試験片の平均値により、以下の基準で評価した。
A:剥離強度の平均値が2N以上(良好)
B:剥離強度の平均値が1N以上、2N未満(使用可能)
C:剥離強度の平均値が1N未満(使用不可)
Figure 0007305103000005
表3中の略号は以下の通りである。
EP-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(NPES-302、南亜プラスチックス社製、エポキシ当量650、分子量約1,200、水酸基価153mgKOH/g)
EP-2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(NPEL-134、南亜プラスチックス社製、エポキシ当量250、分子量約470、水酸基価54mgKOH/g)
EP-3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD-902、日鉄ケミカル&マテリアル社製、エポキシ当量650、分子量約1,200、水酸基価153mgKOH/g)
SC-1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
NCO-1:イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート構造体(VESTANAT(登録商標) T 1890/100 エボニック社製 NCO含有量17.3%)
NCO-2:ヘキサメチレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート構造体(デュラネートMHG-80B 旭化成社製、不揮発分濃度80%、NCO含有量15.0%)
NCO-3:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンとジエチレングリコール付加物(デスモジュールL75 住化コベストロウレタン社製、不揮発分濃度75%、NCO含有量13.2%)
まず、表3の結果によれば、構成単位としてエチレングリコールを所定量以上含み、且つ、オキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオールを含有するポリオール主剤は、局所的な非晶質性が付与されているため、低温安定性が優れていた。
そして、本発明の接着剤は、ポリエステルポリオールに由来する高濃度のエステル結合部位と、オキシアルキレン構造に由来する局所的な非晶質部位との海島構造を形成するため、溶剤揮発後の塗膜が高極性となり、且つ延伸時の弾塑性を保持することができる。そのため、金属箔層への濡れ広がりに優れ、更に、成型時に延伸されても強靭な膜を形成し、優れたラミネート外観、室温接着性、成型性を示した。
また、本発明の接着剤は、ポリエステルポリオールの構成単位としてエチレングリコールを所定量以上含み、且つ、エポキシ樹脂及びポリイソシアネート硬化剤を含むことで、150℃接着性に優れていた。更に、硬化物の250℃における貯蔵弾性率が所定範囲内であることで、成型延伸後に薄膜となった硬化塗膜の耐熱性が良好となり、成型物のヒートシール耐性や高温耐久性といった耐熱物性と、室温接着性や成型性との両立が可能となる。
特に、実施例1-13の対比において、実施例2、3、6、7、10-13は、オキシアルキレン基含有多価アルコールの含有率、エチレングリコールの含有率、及び硬化物の250℃における貯蔵弾性率が最適範囲内であり、且つバランスに優れるため、全ての評価において特に優れていた。
一方、比較例1はエチレングリコールの含有率が少なく、150℃接着性が低い。比較例2はオキシアルキレン構造が含まれていないため、ポリオール主剤(A)の低温溶液安定性が低く、ラミネート外観や成型性が低い。比較例3はオキシアルキレン構造が含まれておらず、エチレングリコールの含有率が100%のため、高濃度エステル結合による過度な結晶性から、室温接着性や成型性が低下した。比較例4は、エポキシ樹脂が含まれておらず、硬化物の250℃における貯蔵弾性率も所定下限を下回るため、耐熱性に関する評価が低下した。比較例5は、硬化物の250℃における貯蔵弾性率が所定上限を超えているため、室温接着性が低下し、成型性も低下した。
なお、比較例6は登録公報5267718の実施例10、比較例7は登録公報7052913の実施例17、比較例8は特開2019-156925号公報の実施例7、比較例9は特開2019-156925号公報の比較例1、に基づく。
比較例6は、オキシアルキレン構造が含まれておらず、硬化物の250℃における貯蔵弾性率が所定下限を下回っているため、低温溶液安定性やラミネート外観が劣り、耐熱性に関する評価も低下した。比較例7は、エチレングリコール含有率と硬化物の250℃における貯蔵弾性率が所定下限を下回るため、室温接着性と耐熱性に関する評価が低下した。比較例8は、エチレングリコール含有率が所定下限を大きく下回り、オキシアルキレン構造が含まれていないため、150℃ラミネート強度と成型性が劣る。比較例9は、エチレングリコールが含有しておらず、硬化物の250℃における貯蔵弾性率が所定下限を下回っているため、耐熱性に関する評価が低下した。
(1):外層側樹脂フィルム層
(2):外層側接着剤層
(3):金属箔層
(4):内層側接着剤層
(5):ヒートシール層

Claims (10)

  1. ポリオール主剤(A)とポリイソシアネート硬化剤(B)とを含有する蓄電デバイス包装材用接着剤であって、
    前記ポリオール主剤(A)が、オキシアルキレン構造を有するポリエステルポリオール(A1)とエポキシ樹脂(A2)とを含み、
    前記ポリエステルポリオール(A1)は、多塩基酸成分と多価アルコール成分との反応生成物であり、前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、エチレングリコールを80モル%以上含有し、
    前記接着剤を硬化させた硬化物の250℃における貯蔵弾性率の値が、0.10MPa~10MPaである、蓄電デバイス包装材用接着剤。
  2. 前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、ジエチレングリコールを0~10モル%含有する、請求項1に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤。
  3. 前記多価アルコール成分が、多価アルコール成分の総量を基準として、エチレングリコールを90~100モル%含有する、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤。
  4. 前記接着剤を硬化させた硬化物の軟化点が、250~350℃である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤。
  5. 前記エポキシ樹脂(A2)の含有率が、ポリエステルポリオール(A1)の質量を基準として、20~100質量%である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤。
  6. 前記ポリイソシアネート硬化剤(B)が、イソホロンジイソシアネートのヌレート体、又はヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体を含む、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤。
  7. 前記オキシアルキレン構造が、オキシエチレン構造である、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤。
  8. 少なくとも、外層側樹脂フィルム層、外層側接着剤層、金属箔層、内層側接着剤層及びヒートシール層が順次積層されている構成を備えた蓄電デバイス包装材であって、
    前記外層側接着剤層が、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス包装材用接着剤の硬化物である、蓄電デバイス包装材。
  9. 請求項8に記載の蓄電デバイス包装材から形成されてなる蓄電デバイス用容器であって、外層側樹脂フィルム層が凸面を構成し、ヒートシール層が凹面を構成している、蓄電デバイス用容器。
  10. 請求項9に記載の蓄電デバイス用容器を備えてなる蓄電デバイス。
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