JP5476978B2 - トナーを用いた定着方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、かかる提案をもってしても充分な定着性を有しているとは言えず、更なる改善への要求が高まっている。
しかしながら、更なる定着速度の高速化が望まれていて、このためには他の観点からのアプローチが必要である。
また本発明は、前記トナーを安定的に、且つ、小粒径であると共にシャープな粒度分布で製造することができるトナーの製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明のトナーは粒径分布が狭いという特徴から、トナーへ定着液が塗布された場合、トナーへの軟化剤の浸透が均一になり、すなわち個々のトナーの軟化の程度が均一になるため、トナー粒子が単独で定着するようなハーフトーン画像において、更に定着したトナーが剥がれにくい特徴を発揮する。この結果、トナーの樹脂を溶解または軟化させる軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを記録媒体に定着させる画像形成方法において、定着直後に特にハーフトーン画像が剥がれ難いトナーを提供することが出来る。
(1):トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を記録媒体上のトナー像に付与して該トナーを記録媒体に定着する定着方法であって、前記トナーは、着色剤と、結着樹脂と、を含み、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布における重量平均分子量が3000〜8300であり、且つ、ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー(DSC)により測定したガラス転移温度が50〜70℃であることを特徴とする定着方法である。
また本発明によれば、前記トナーを安定的に、且つ、小粒径であると共にシャープな粒度分布で製造することができるトナーの製造方法を提供することができる。
本発明に係るトナーは、着色剤と、結着樹脂と、を含み、当該トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に定着されるトナーであって、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布における重量平均分子量が3000〜8300であり、且つ、ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー(DSC)により測定したガラス転移温度が50〜70℃であることを特徴とする。
次に、本発明に係るトナーについてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明に係るトナーは、トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する定着液を用いて記録媒体に定着させるが、その際定着液中の軟化剤がトナー中に浸透することでトナーが軟化され、その後加圧ローラにて記録媒体に押し付けられることによって記録媒体にトナーが定着される。このとき重要となるのがトナーに対する軟化剤の浸透速度と、トナーの軟化状態である。特に、高速印刷時においては、定着液がトナーに触れてから加圧ローラによりトナーが加圧されるまでの時間が極短時間であるため、軟化剤の浸透速度を上げることが必須となる。
カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/分
試料:0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml注入
検量線作成用単分散ポリスチレン標準試料:分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106(東洋ソーダ工業社製)
使用電極:ビー・エー・エス株式会社製 くし形電極Au10μm(絶縁膜無し) 型番012259
キャピラリー:アズワン製 EMマイスターミニキャップス4μL
樹脂をメチルエチルケトン(溶媒)に溶媒比率70%で溶解させ、0.45μmのフィルターを用いて異物を除去し樹脂溶液を得た。
MIKASA社製スピンコーター(機種名:1H−DX)を用いて3000rpm 20秒の条件で、くし形電極に前記樹脂溶液をスピンコートし、溶媒を揮発させる為に、100℃の雰囲気下で2時間加熱し、乾燥室内で室温まで冷却することで薄膜を得た。この時点で薄膜の膜厚を触針式段差計(DECTAK3)にて計測した。
測定箇所付近にキャピラリーにて液接触させ、ALS社製ポテンショスタット(機種名:CHI−660C)にて、接液してから液とくし形電極間に流れる電流値が10−8Aを超えるまでの時間を計測した。その際の電圧は5Vにて測定した。
得られた薄膜の膜厚と前記くし形電極に流れるまでの時間から、下記式で示されるFICKの第二方程式を用いた拡散方程式を用いて、厚み1μmあたりの、液が1%まで拡散した時間を浸透時間として算出した。(FICKの第二方程式については非特許文献1を参照。固体内の拡散については非特許文献2を参照。)
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも記録媒体との親和性から、ポリエステル樹脂を使用することが特に好ましい。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
本発明で用いる結着樹脂としては、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル(以下ポリエステルプレポリマーと称することがある)を含有してもよい。活性水素基含有化合物は、トナー製造過程において、前記活性水素基含有化合物と反応可能なポリエステルが伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。該ポリエステルプレポリマーが伸張反応して高分子量化することにより、トナーの耐熱保存性や、定着後の画像のべたつきを効果的に低減させることができる。この場合のポリエステルプレポリマーとしては、活性水素基含有化合物と反応可能であれば特に制限は無いが、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等を有する変性ポリエステルが挙げられ、その中でも特にイソシアネート基を含有した変性ポリエステルが好適である。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量としては、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
上述のとおり本発明に係るトナーにはその他の成分を含有させることができる。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、磁性体などが挙げられる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、後述する静電潜像担持体(感光体)に帯電される電荷の正負に応じて、正又は負の帯電制御剤を適宜選択して用いることができる。
前記負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体などを用いることができる。
具体的には、ボントロン(品番:S−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A)(いずれも、オリエント化学工業株式会社製)、カヤチャージ(品番:N−1、N−2)、カヤセットブラック(品番:T−2、004)(いずれも、日本化薬株式会社製);アイゼンスピロンブラック(T−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2)(いずれも保土谷化学工業株式会社製);FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ、(いずれも、藤倉化成株式会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物;4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物;高級脂肪酸の金属塩などを用いることができる。
具体的には、ボントロン(品番:N−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B)(いずれも、オリエント化学工業株式会社製);TP−302、TP−415、TP−4040(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX−VP−435、NX−VP−434)(いずれも、ヘキスト社製);FCA(品番:201、201−B−1、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301)(いずれも、藤倉化成株式会社製);PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(いずれも、四国化成工業株式会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を用いることができ、シリコーンオイルやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理されたシリカ微粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタンを用いることがより好ましい。
本発明で使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒子径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
トナーは一般的に粒径分布を持っている。本発明のトナーに用いられる画像形成方法はトナーの結着樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させるが、定着液中の軟化剤がトナーに染み込むことで軟化が達成され、その後加圧ローラにて記録媒体に押し付けられることによって記録媒体へのトナーの定着が達成される。トナーの粒径分布が広い場合、定着品質が不安定化、すなわちハーフトーン画像での画像擦れに対する耐性が低く、逆に粒形分布が狭い場合、耐性が高いことがわかった。
<粒度分布>
本発明のトナーの重量平均粒子径(Dv)及び個数平均粒子径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒子径(Dv)、個数平均粒子径(Dn)を求めることができる。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒子径(Dv)を個数平均粒子径(Dn)で除したDv/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
トナー製造方法に関しては目的の粒径分布が得られれば、どのような手段でトナーを得ても構わない。一般的には下記のようなトナー製造方法が存在するが、粒径分布を精密に調整するためには乳化重合法、懸濁重合法、水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法、噴射造粒法が望ましい。
前記粉砕法は、例えば、トナー材料を溶融乃至混練し、粉砕、分級等することにより、前記トナーの母体粒子を得る方法である。なお、該粉砕法の場合、前記トナーの平均円形度を高くする目的で、得られたトナーの母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、前記機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いて前記トナーの母体粒子に付与することができる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。
前記懸濁重合法は、油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤などを分散し、界面活性剤、その他固体分散剤などが含まれる水系媒体中で、後述する乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化した後乾燥させることでトナー(トナー母体粒子)を得ることができる。
前記乳化重合法としては、水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナー(トナー母体粒子)を得る。
前記水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法としては、トナー材料の溶解液乃至分散液を水系媒体中に乳化乃至分散させ、乳化液乃至分散液を調製した後、トナー(トナー母体粒子)を造粒(水系造粒)する方式である。この方式としては例えば以下の工程〔1〕〜〔4〕から成る。
前記トナー材料の溶解液乃至分散液は、着色剤、結着樹脂などのトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させることにより調製される。なお、前記有機溶剤は、トナーの造粒時乃至造粒後に除去される。
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能なアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、など溶剤、これらの混合物などが挙げられるが、これらの中でも、水が特に好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されていることが好ましい。
前記トナー材料を含む溶解液乃至分散液を前記水系媒体中で乳化乃至分散させる際、トナー材料を含む溶解液乃至分散液を前記水系媒体中で攪拌しながら分散させるのが好ましい。分散の方法としては、特に限定されるものではないが、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機等が挙げられる。中でも、粒径の均一化の観点から、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーを用いることが好ましい。
次に、前記乳化乃至分散により得られた乳化スラリーから有機溶剤を除去する。有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法等が挙げられる。
噴射造粒工法は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を分散ないし溶解させたトナー組成液が満たされた液室を有し、前記液室に設けた複数のノズルが形成された薄膜及び、前記薄膜に平行な振動面を持つ振動発生手段で構成された液滴化手段を用いて、前記トナー組成液を、前記複数のノズルから周期的に液滴化して放出させる周期的液滴化工程と、前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させる粒子形成工程からトナーを製造する方法であり、本発明のトナーを製造するための製造方法として好適に用いられる。
しかしながら、これら離型剤はトナーの結着樹脂中への均一分散は困難であり、離型剤がトナー表面などに多く存在する場合には、耐ブロッキング性の低下、静電潜像担持体(感光体とも称する。)、キャリア等へのフィルミング、スペント化、経時での部材汚染等の問題を生ずる原因ともなりうる。
詰まりの原因について分析した結果、トナー材料に含まれる微粒子化させた離型剤粒子の凝集体や、微粒子化させた離型剤粒子のうちで比較的粒径の大きいものがノズル穴を閉塞することが判明した。特に微粒子化させた離型剤粒子は、トナー組成液を放置しておくだけでも凝集し凝集体を形成する傾向があることがわかっており、その改善はきわめて困難である。
図1に、本発明で用いられるトナーの製造装置の一例を示す。トナーの製造装置100は、結着樹脂及び着色剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散させたトナー材料液(トナー組成液)Lを吐出する液滴吐出ユニット110と、液滴吐出ユニット110の下方に配置され、液滴吐出ユニット110から吐出された液滴L'を、乾燥気体Gを用いて乾燥して母体粒子Tを形成する乾燥塔(溶媒除去部)120と、母体粒子Tを捕集する捕集部130と、捕集部130で捕集された母体粒子Tを貯留する貯留部140と、液滴吐出ユニット110にトナー材料液Lを供給する供給部150とを有する。なお、乾燥気体Gとは、大気圧下の露点温度が−10℃以下である気体を意味する。
なお、吐出口Nの開口径は、吐出口Nの形状が真円であれば、直径を意味し、楕円であれば、短径を意味する。
このとき、開口部111eの幅Dに対して、薄膜111aと絞り111dの間のクリアランスCが小さいため、クリアランスCが乾燥気体G'の速度を決定する主な要因となる。また、開口部111eは、上流側から下流側に向けて拡大するテーパー状であるため、液滴L'が絞り111dに付着することを抑制できる。
このとき、電極212c及び212dの間に交流電圧を印加すると、電歪振動子212aの薄膜111aに対して平行な面は、薄膜111aに対して垂直な方向に周期的にたわみ振動する。その結果、薄膜111aが周期的にたわみ振動し、複数の吐出口Nからトナー材料液Lが液滴化された状態で(液滴L’として)吐出される。
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に、更に疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。
本発明に用いられる現像剤は、本発明のトナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層(被覆層)とを有するものが好ましい。
前記芯材としては、磁性を有する粒子であれば特に限定されるものではなく、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等が好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への適応性を配慮した場合には、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、例えば、マンガンフェライト、マンガン−マグネシウムフェライト、マンガン−ストロンチウムフェライト、マンガン−マグネシウム−ストロンチウムフェライト、リチウム系フェライト等を用いることが好適である。
被覆層は、少なくとも結着樹脂を含有しており、必要に応じて無機微粒子等の他の成分を含有していても良い。
キャリアの被覆層を形成するための結着樹脂としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択できるが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)やその変性品、スチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルアルコール、塩化ビニル、ビニルカルバゾール、ビニルエーテル等を含む架橋性共重合物;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等による変性品);ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;ユリア樹脂;メラミン樹脂;ベンゾグアナミン樹脂;エポキシ樹脂;アイオノマー樹脂;ポリイミド樹脂、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル樹脂と、シリコーン樹脂が特に好ましい。
次いで、本発明に係る定着方法について説明する。
本発明に係る定着方法は、トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を記録媒体上のトナー像に付与して該トナーを記録媒体に定着する。このとき、トナーには上述したものを用いる。
トナー定着液としての液状定着液は、トナーに含まれる結着樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分(軟化剤)と、水系分散媒と、非水系分散媒からなり、トナーに含まれる結着樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分を水系分散媒に分散させて調製した水系の分散媒を非水系分散媒に分散して形成され、トナーに含まれる結着樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させてトナーを記録媒体に定着させる。
前記の脂肪族エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであってもよい。
前記の脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルである場合には、液体可塑剤(軟化剤)の保存安定性(酸化、加水分解等に対する耐性)を向上させることができる。また、前記の飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる結着樹脂を1秒以内等の短時間で溶解乃至膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解乃至膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
前記飽和脂肪族エステルは、下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。
R1COOR2 一般式(2)
[上記一般式(2)中、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である]
この化合物を含む場合にはトナーに含まれる結着樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
脂肪族エステルは脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる結着樹脂を溶解または膨潤させることができる。
R3(COOR4)2 一般式(3)
[上記一般式(3)中、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が2以上5以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である。]
脂肪族ジカルボン酸エステルとして上記一般式(3)で表される化合物を含む場合には、トナーに含まれる結着樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
さらに、トナー定着液を形成する脂肪族エステルは脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含んでも良い。脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
R5(COOR6−O−R7)2 一般式(4)
[上記一般式(4)中R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である。]
トナー定着液が上記一般式(4)で表される化合物を含む場合には、トナー3に含まれる結着樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
R8(COO−(R9−O)n−R10)2 一般式(5)
上記一般式(5)中のnは1以上3以下であり、R8は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R9は炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R10は炭素数が1以上4以下のアルキル基ある。
前記一般式(5)で表される化合物としては、例えば、コハク酸ジエトキシエトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシメトキシプロピル等が挙げられる。
水系分散媒は単価又は多価のアルコール類、例えばエタノール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン等を含んでいても構わない。水系分散媒がエタノールを含む場合は、エタノールは人体に対して極めて安全な材料であり、揮発性有機物の中で唯一、オフィス環境でも使用が可能となる材料である。しかも各種の多孔質部材に対して優れた浸透性を示す材料であり、分散媒として記録媒体への優れた浸透性が得られ、定着応答性の向上が図れる。
泡状定着液は、前記液状定着液を泡状にして使用するものである。泡状定着液は、水を含む希釈剤と、定着液を泡状とする起泡剤と、トナー等の樹脂微粒子(以下においてはトナーを例に挙げて説明する。)を軟化させる軟化剤としての可塑剤(固体可塑剤、液体可塑剤)、を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるものである。本発明の定着方法においては、この泡状定着液を用いることが好ましい。
固体可塑剤は、常温で固体であり、かつ、後述の希釈剤に可溶であって、この希釈剤に溶解している状態でトナーなどの樹脂微粒子を軟化させる得る限り、特に制限はない。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃であることが好ましい。この常温の範囲内であると、固体可塑剤は固体状態となる。すなわち、泡状態の定着液においては水を含むために固体可塑剤は溶融している状態にあるが、未定着のトナーに付与され、該トナーに浸透し、さらにトナーに浸透した定着液の水分が気化などにより量が低下した場合には、前記固体可塑剤は固体の状態に変化する。固体可塑剤を含む定着液を用いた場合には、このように、固体可塑剤が固体の状態に変化する点に注目し、この特性を利用することで定着液付与後のトナー固さを高めることができる。また、常温における適当な条件下で固体可塑剤がトナー(以下、樹脂微粒子とも称する。)に対する可塑能力を発揮するとともに、可塑能力を失い固体の状態となると、それ自体が硬化し、タックの防止に寄与することとなる点で、好ましい。
(1)後述の希釈剤に溶解することで可塑能力が発揮されるもの:
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が1,000〜2,000のもの
(2)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが後述の液体可塑剤が少量存在すると可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000のもの
(3)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが若干の加温(例えば、50℃〜100℃程度)により可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000
ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類:ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノセチルエーテルなど
定着液は、液体可塑剤を有してもよい。希釈剤に可溶であって、一定の条件下で可塑能力を発揮するものであれば、特に制限はなく、例えば、単独で可塑能力を発揮してトナーの少なくとも一部を溶解乃至膨潤させることでトナーを軟化させるものであってもよいが、上記の固体可塑剤と組み合わせることで可塑能力を発揮するものであってもよい。
液体可塑剤の一例である炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)などの環状エステル類、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
定着液は、定着液中の液体可塑剤を溶解する目的で、溶解助剤を含有してもよい。溶解助剤としては、液体可塑剤を溶解させ得るものであれば、特に制限はなく、多価のアルコール類が挙げられる。この多価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが挙げられる。なかでも、液体可塑剤が高濃度でも溶解可能であり且つ起泡剤の起泡性を劣化させない点で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールであることが好ましい。前記多価のアルコール類の含有量は、定着液の質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。含有量が、30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さず、1質量%未満では、定着液中の液体可塑剤濃度が高くなると希釈溶液である水に液体可塑剤が溶解しにくくなる場合がある。
定着液は、泡状化されて、後述の泡状定着液として、樹脂微粒子の定着に用いられるところ、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで、本発明による定着液は、このような現象を抑え泡沫安定性を向上させる目的で、増泡剤をさらに有してもよい。増泡剤としては、特に制限はないが、脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましく、泡沫安定性の点で、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型であることがより好ましい。増泡剤の含有量としては、定着液の質量に対して、0.01質量%〜3質量%であることが好ましい。
本発明において定着液に含まれる起泡剤としては、定着液の泡状化するものであれば、特に制限はなく、優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができる。起泡剤としては、飽和若しくは不飽和の脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、及び、モノアルキルリン酸塩等のリン酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
起泡剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩又は脂肪酸アミン塩であることが好ましく、脂肪酸アミン塩であることがより好ましい。これらの脂肪酸塩の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで製造してもよい。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩とを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
そこで、定着液中の液体可塑剤濃度を高めたときの起泡性が劣化してしまうことを解消するため、起泡剤としてアニオン系界面活性剤のうちで炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、液体可塑剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性を維持できる。
本発明において、定着液に含まれる希釈剤としては、水を含む限り特に制限はなく、例えば、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、等が好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
(定着装置)
−泡状定着液を用いた場合の定着方法、定着装置−
[定着方法及び定着装置]
泡状定着液を用いた場合の定着方法は、泡状定着液生成工程と、膜厚調整工程と、泡状定着液付与工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
泡状定着液を用いた場合の定着装置は、泡状定着液生成手段と、泡状定着液付与手段と、膜厚調整手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
泡状定着液生成工程は、定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する工程であり、泡状定着液生成手段により実施される。
本発明に係る定着方法における膜厚調整工程は、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する工程であり、膜厚調整手段により実施される。
本発明に係る定着方法における泡状定着液付与工程は、所望の厚みに形成された泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層(トナー像)に付与する工程であり、泡状定着液付与手段により実施される。
<<加温工程及び加温手段>>
本発明による定着方法及び定着装置は、泡状定着液が付与された樹脂微粒子層を加温する加温工程及び加温手段をさらに有してもよい。加温工程及び加温手段における加温の温度としては、十分な定着特性の得られる範囲であれば、特に制限はないが、例えば、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
本発明の画像形成方法は前記本発明の定着方法を用いており、本発明の画像形成装置は本発明の定着方法を具現化した定着装置を用いている。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体(以下、単に潜像担持体とも称する。)表面に均一に帯電を施す帯電工程と、帯電した潜像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光工程(静電潜像形成工程)と、現像剤担持体上に現像剤層規制部材により所定層厚の現像剤層を形成し、現像剤層を介して潜像担持体表面に形成された静電潜像を現像し、可視像(トナー像)化する現像工程と、潜像担持体表面の可視像を被転写体(記録媒体)に転写する転写工程と、被転写体上の可視像を定着させる定着工程と、を有し、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。そして、定着工程は、本発明の定着方法により行われる。なお、前記現像工程は、静電潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体、現像剤を前記現像剤担持体表面に供給する現像剤供給部材、及び、トナーを含む現像剤を収納する現像剤収納器を備えてなり、前記静電潜像を前記現像剤を用いて現像して現像してトナー像を形成する現像手段により実現される。
前記現像による可視像の形成は、現像剤担持体としての現像ローラ上にトナー層を形成し、現像ローラ上のトナー層を潜像担持体である感光体ドラムと接触させるように搬送することにより、感光体ドラム上の静電潜像を現像することでなされる。トナーは、撹拌手段により攪拌され、機械的に現像剤供給部材へ供給される。現像剤供給部材から供給され、現像剤担持体に堆積したトナーは現像剤担持体の表面に当接するよう設けられた現像剤層規制部材を通過することで均一な薄層に形成されるとともに、さらに帯電される。潜像担持体上に形成された静電潜像は、現像領域において、前記現像手段により帯電したトナーを付着させることで現像され、トナー像となる。
転写された可視像の定着は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いてなされ、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置は、前述の本発明に係る定着方法を実施可能な定着装置をそのまま採用できる。
図21は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。ここでは、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
この画像形成装置は、潜像担持体として4つの感光体1Y、1C、1M、1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図21中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図21中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
[定着方法及び定着装置]
図23には、複写機、プリンター、ファクシミリ、またはそれらの複合機などの画像形成装置の要部構成を示す。図示のものは、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置であって、中間転写体を用いずに、像担持体上のトナー像を記録材である用紙に直接画像転写する直接転写方式のものである。
図25から判るとおり、噴霧手段33は、筐体37で区画された噴霧室38内に向けて設置されており、不図示の定着液貯留部に貯留されるトナー定着液が、最頻値の滴径が15μm以下の定着液滴として噴霧されて、噴霧室38が定着液滴で満たされる。
[定着方法及び定着装置]
図26に示すものは、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置であって、中間転写体を用いて、静電潜像担持体20上のトナー像をいったん中間転写体に一次転写した後、その中間転写体上のトナー像を記録材に二次転写する中間接転写方式のものである。
次いで、定着液92が付与されたトナー像を担持する記録媒体は、さらに搬送され、定着搬送ベルト22との対向位置まで達する。この対向位置においてトナー像は加圧され、完全に定着された状態となる。
しかる後に定着搬送ベルト22上をさらに搬送され、画像形成装置外に排出される。
―結着樹脂(1)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物173質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物553質量部、テレフタル酸251質量部、及びジブチルスズオキサイド3質量部を仕込み、230℃、常圧で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、反応容器に無水トリメリット酸73質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、結着樹脂(1)を得た。結着樹脂(1)は、重量平均分子量が4900であり、Tgが61℃であった。
―結着樹脂(2)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物66質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物535質量部、テレフタル酸231質量部、イソフタル酸41質量部、及びジブチルスズオキサイド3質量部を仕込み、210℃、常圧で10時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、反応容器にサリチル酸127質量部を入れ、210℃、常圧で5時間反応させることにより、結着樹脂(2)を得た。結着樹脂(2)は、重量平均分子量が3200であり、Tgが52℃であった。
―結着樹脂(3)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物681質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物81質量部、テレフタル酸275質量部、アジピン酸7質量部、及びジブチルスズオキサイド2質量部を仕込み、230℃、常圧で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、反応容器に無水トリメリット酸22質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、結着樹脂(3)を得た。結着樹脂(3)は、重量平均分子量が8000であり、Tgが54℃であった。
―結着樹脂(4)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物359質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物414質量部、テレフタル酸290質量部、及びジブチルスズオキサイド3質量部を仕込み、230℃、常圧で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させることにより、結着樹脂(4)を得た。結着樹脂(4)は、重量平均分子量が8300であり、Tgが69℃であった。
―結着樹脂(5)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物500質量部、イソフタル酸126質量部、及びジブチルスズオキサイド3質量部を仕込み、230℃、常圧で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、反応容器に無水コハク酸111質量部を入れ、160℃、常圧で2時間反応させることにより、結着樹脂(5)を得た。結着樹脂(5)は、重量平均分子量が2900であり、Tgが45℃であった。
―結着樹脂(6)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物681質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物81質量部、テレフタル酸262質量部、アジピン酸18質量部、及びジブチルスズオキサイド2質量部を仕込み、230℃、常圧で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、反応容器に無水トリメリット酸22質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、結着樹脂(6)を得た。結着樹脂(6)は、重量平均分子量が8600であり、Tgが48℃であった。
―結着樹脂(7)の製造―
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物81質量部、テレフタル酸264質量部、及びジブチルスズオキサイド3質量部を仕込み、230℃、常圧で8時間反応させた後、10〜15mmHgで5時聞反応させた。次に、反応容器に無水トリメリット酸41質量部を入れ、180℃、常圧で3時間反応させることにより、結着樹脂(7)を得た。結着樹脂(7)は、重量平均分子量が11,400であり、Tgが72℃であった。
<トナー母体1、4、5、7〜12の作成>
以下にトナー母体1、4、5、7〜12の作成方法を記載するが、工程が多くあるため幾つかの工程に分けて記載する。まずはトナー母体1の作成方法を説明する。
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)17質量部、顔料分散剤3質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。
該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。
結着樹脂1を100質量部、前記着色剤分散液30質量部、酢酸エチル840質量部を、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行ない、均一に分散させ、[トナー組成液1]を得た。溶媒希釈によって顔料が凝集することはなかった。
得られた[トナー組成液1]500mlを、前述したトナー製造装置(図9)の液滴吐出ユニット210の流路111に供給した。
使用した薄膜111aは、外径20.0mm、40μm厚のニッケル板に、真円形状の直径10μmのノズル(N)を有しており、電鋳法による加工で作製した。
吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmピッチとなるように千鳥格子状に、薄膜111a中心の約2mmφの範囲にのみ設けた。
振動手段(振動発生手段)212は内径4mm、直径15mm、厚1.5mmのチタン酸ジルコン酸鉛である。
以下のようなトナー作製条件で、液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
トナー組成液固形分 :10.0%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:40.5Vp−p
トナー母体4作成に用いる[トナー組成液4]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において酢酸エチルの調整によって固形分を変更する以外は同様の操作によって得た。
得られた[トナー組成液4]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体4を得た。
トナー組成液固形分 :6.0%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 40.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:38.5Vp−p
トナー母体5作成に用いる[トナー組成液5]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において酢酸エチルの調整によって固形分を変更する以外は同様の操作によって得た。
得られた[トナー組成液5]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体5を得た。
トナー組成液固形分 :12.6%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:41.5Vp−p
トナー母体6作成に用いる[トナー組成液6]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂2]を用いる以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液6]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体6を得た。
トナー組成液固形分 :12.5%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 40.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:41.5Vp−p
トナー母体7作成に用いる[トナー組成液7]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂3]を用いる以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液7]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体7を得た。
トナー組成液固形分 :8.0%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:40.5Vp−p
トナー母体8作成に用いる[トナー組成液8]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂3]を用い、固形分を変更する以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液8]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体8を得た。
トナー組成液固形分 :12.5%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:40.8Vp−p
トナー母体9作成に用いる[トナー組成液9]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂4]を用い、固形分を変更する以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液8]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体9を得た。
トナー組成液固形分 :12.5%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:40.9Vp−p
トナー母体10作成に用いる[トナー組成液10]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂5]を用いる以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液10]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体10を得た。
トナー組成液固形分 :10.0%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:40.9Vp−p
トナー母体11作成に用いる[トナー組成液11]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂6]を用いる以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液11]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体11を得た。
トナー組成液固形分 :10.0%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:41.0Vp−p
トナー母体12作成に用いる[トナー組成液12]は、前記[トナー組成液1]の作成方法において[結着樹脂1]の代わりに[結着樹脂7]を用いる以外は同様に操作して得た。
得られた[トナー組成液12]を前記トナー母体1作成における操作において下記の条件以外は同様に操作し、トナー母体12を得た。
トナー組成液固形分 :10.0%
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
振動数 :45.7kHz
印加電圧サイン波ピーク値:41.2Vp−p
以下にトナー母体3の作成方法を記載するが、工程が多くあるため幾つかの工程に分けて記載する。
結着樹脂(1)100質量部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)100質量部、水50質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて80℃にて30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して[マスターバッチ(1)]を作製した。
同様にして、結着樹脂(2)、(3)を用いて、[マスターバッチ(2)、(3)]を作製した。
撹拌棒および温度計をセットした反応容器内に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)15質量部、メタクリル酸85質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム3質量部を仕込み、3,800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。次いで、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂微粒子分散液]を合成した。
水990質量部、[樹脂微粒子分散液]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、[水相]を得た。
次に、[マスターバッチ(1)]100質量部、及び酢酸エチル100質量部を仕込み、1時間混合して原料溶解液を得た。得られた原料溶解液110質量部とさらに酢酸エチル100質量部を混合した後、反応容器に移し、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、および0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件を3回通過させて、前記カーボンブラックの分散を行った。次いで、該分散液に[結着樹脂(1)]の65質量%酢酸エチル溶液415質量部を添加した。更にビーズミルで上記同条件で1回通過させて分散し、[油相(3)]を調製した。
次に、[水相]170質量部を入れた容器内に[油相(3)]100質量部を加えて、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合して乳化スラリーを得た。更に、攪拌機及び温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリーを投入し、攪拌周速20m/分で攪拌しながら、30℃で10時間脱溶剤した。その後、洗浄、濾過、乾燥を行い、最後に、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体(3)]を作製した。
粉砕法によって得られるトナー母体(2)、(6)について説明する。ここではまずトナー母体(2)および使用する顔料マスターバッチの作成について詳細に説明する。
結着樹脂(1)88質量部、前記乳化凝集で用いたものと同じマスターバッチ(1)12質量部をヘンシェルミキサー「MF20C/I型」、(三井三池加工機株式会社製)に投入し、回転羽の速度が30m/sとなる回転数で30秒間混合、60秒間休止の条件を5回繰り返し混合した後、2軸押出機(東芝機械株式会社製)にて溶融混練し、10℃に温度調整したスチールベルト上で冷却した。前記混練は、2軸押出機出口での混練生成物の温度が120℃前後となるように設定して行った。次いで、「IDS−2型」ジェットミル(ニューマチック工業)にて粉砕し、次いで風力分級を行って、[トナー母体(2)]を作製した。
結着樹脂(2)100質量部、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)100質量部、水50質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて80℃にて30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕し、2mmφの目開きの篩通過ぶんを回収して[マスターバッチ(2)]を作製した。
結着樹脂(2)、マスターバッチ(2)を用い、同様に操作し、粉砕・分級条件を調整することで[トナー母体(6)]を作製した。
得られた[トナー母体(1)]〜[トナー母体(12)]を100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、[トナー(1)]〜[トナー(12)]を作製した。
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100質量部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5質量部、カーボンブラック10質量部、トルエン100質量部を、ホモミキサーで20分間分散させて、[樹脂層塗布液]を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmの球状フェライト1,000質量部の表面に[樹脂層塗布液]を塗布して、[キャリア]を作製した。
[トナー(1)]〜[トナー(12)]のそれぞれを5質量部と、前記[キャリア]95質量部とを混合して、実施例1〜9及び比較例1〜3の各現像剤を作製した。
定着装置を除去した電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)に各現像剤を入れて、ハーフトーン(定着後のID=0.25となる設定)の未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、図18に示す定着装置を用いてローラ塗布し、以下に示すようにして得られた定着液を搭載した塗布装置例からなる定着装置にてスポンジの加圧ローラと塗布ローラとの軸間距離を15mm(ニップ時間100ms)にて定着を行った。このときの紙搬送速度は150mm/sである。
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエトキシエチル(高級アルコール工業株式会社)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
◎:反射濃度が0.20未満
○:反射濃度が0.20以上0.30未満
△:反射濃度が0.30以上0.40未満
×:反射濃度が0.40以上
50mlのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度(mm)を測定し、下記基準で耐熱保存性を評価した。なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が5mm未満であるものは、使用上、問題が発生する可能性が高い。
◎:針入度が25mm以上
○:針入度が15mm以上25mm未満
△:針入度が5mm以上15mm未満
×:針入度が5mm未満
以上の評価結果から、総合的に判断して、下記基準により評価した。
各評価項目の◎を3点、○を2点、△を1点、×を0点とし、下記の基準で評価する。
◎:非常に良好(8〜9点)
○:良好(5点以上8点未満で×なし)
△:不良(3点以上5点未満で×なし)
×:極度に不良(×が一つ以上)
100、200 トナーの製造装置
110、110'、110''、210 液滴吐出ユニット
111、211 流路部材
111a、111a' 薄膜
111b、211b 流路部材本体
111c、111c'、211c 液室
111d 絞り
111e 開口部
112、212 振動部材
112a、212a 電歪振動子
112b ホーン
112c、112d、212c、212d 電極
112e 電源
113 気相流路
120 乾燥塔
130 捕集部
131 テーパー面
132 配管
140 貯留部
150 供給部
151 タンク
152 ポンプ
153、154 配管
155 流量センサ
L トナー材料液
L' 液滴
G、G' 乾燥気体
T 母体粒子
N、N' 吐出口
S 渦流
11 塗布ローラ
12 記録媒体
13 樹脂微粒子層
14 泡状定着液
20 泡状定着液
21 液体
22 気泡
30 泡状定着液生成手段
31 定着液容器
32 液状定着液
33 搬送ポンプ
34 液搬送パイプ
35 気体・液体混合部
36 空気口
37 微小孔シート
38 泡生成部
40 定着装置
41 塗布ローラ
42 膜厚調整用ブレード
43 加圧ローラ
44 加圧ベルト
45 加温手段
46 加圧ローラ
47 赤外線ヒータ
48 加圧ローラ
50 画像形成装置
51 中間転写ベルト
52 支持ローラ
53 支持ローラ
54 支持ローラ
55 画像形成ユニット
56 画像形成ユニット
57 画像形成ユニット
58 画像形成ユニット
59 二次転写装置
1 感光体
2 作像形成部
3 帯電装置(帯電ローラ)
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 現像剤供給ローラ
5c 規制ブレード
6 転写装置
7 クリーニング装置
10 中間転写ベルト
11、12、13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
T トナー(現像剤)
15K、15M、15C、15Y 作像手段
17 用紙(記録材)
18 定着装置
23 転写手段
33 噴霧手段
34 液滴帯電手段
35 媒体搬送手段
36 記録材帯電手段
38 噴霧室
40 ローラ
41 搬送ベルト
42 未定着トナー
44 電極
45 電源
50 印加手段
53 定着液滴
64 中間転写体
67 二次転写手段
69 一次転写手段
10 中間転写ベルト
90 定着装置
91 供給ローラ
92 定着液
93 定着液タンク
94 メータリングブレード
95 電源
Claims (10)
- トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を記録媒体上のトナー像に付与して該トナーを記録媒体に定着する定着方法であって、
前記トナーは、着色剤と、結着樹脂と、を含み、
THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布における重量平均分子量が3000〜8300であり、且つ、ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー(DSC)により測定したガラス転移温度が50〜70℃であることを特徴とする定着方法。 - 前記トナーの重量平均粒粒子径が3.0〜6.0μmであり、且つ、前記トナーの重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.15以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着方法。
- 前記重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.10以下であることを特徴とする請求項2に記載の定着方法。
- 前記結着樹脂がポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着方法。
- 前記定着液は、水を含む希釈剤と、当該定着液を泡状とする起泡剤と、軟化剤と、を含有し、
前記定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、
前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに調整する膜厚調整工程と、
前記所望の厚みに形成された泡状定着液を記録媒体上のトナー像に付与する泡状定着液付与工程と、
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着方法。 - 前記軟化剤は、常温で固体であり、且つ、前記希釈剤に可溶であり、当該希釈剤に溶解している状態で前記トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる固体可塑剤であることを特徴とする請求項5に記載の定着方法。
- 前記固体可塑剤は、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項6に記載の定着方法。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像をトナーを含む現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体上に転写されたトナー像を定着させる定着工程と、
を含む画像形成方法であって、
前記定着工程は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法。 - 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体、
現像剤を前記現像剤担持体表面に供給する現像剤供給部材、
及び、トナーを含む現像剤を収納する現像剤収納器を備え、
前記静電潜像を前記現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記定着手段は、定着液を記録媒体上のトナーに付与する定着液付与手段を有し、
前記トナーは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着方法に用いられるトナーであることを特徴とする画像形成装置。 - 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像担持体に供給する現像剤を表面に担持する現像剤担持体、
現像剤を前記現像剤担持体表面に供給する現像剤供給部材、
及び、トナーを含む現像剤を収納する現像剤収納器を備え、
前記静電潜像を前記現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記定着手段は、定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
前記泡状定着液を記録媒体上のトナー像に付与する泡状定着液付与手段と、前記泡状定着液付与手段の泡状定着液の膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有し、
前記トナーは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着方法に用いられるトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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