JP5196289B2 - 定着液 - Google Patents

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Description

本発明は定着液に関し、詳細には樹脂を含有した微粒子を媒体に定着させる定着液に関する。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置などのような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方法としては、例えばトナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方法が、特許文献1に提案されている。
しかし、特許文献1の湿式定着方法においては、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が、定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、特許文献3には、静電気的方法で形成された未定着画像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に固着できる定着方法に用いることのできる定着用溶液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤100容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の未定着トナー画像の定着用溶液が提案されている。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
特許第3,290,513号明細書 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報
しかしながら、上記いずれの特許文献もトナー含有樹脂を溶解/膨潤する液剤、つまり軟化剤を用いてトナー同士を結合し定着させる原理であるが、この軟化剤が不揮発性である場合、トナー中に軟化剤が長期間残留し、紙上の定着トナー層がいつまでも柔らかくなった状態を維持し、指で触ると粘着感が出たり、印刷物を重ねて放置した場合、粘着性を帯びた定着トナー層のために、印刷紙同士がくっついてしまう不具合が発生する恐れがある。特に、短期的にはトナーが定着した印刷物表面に粘着感がなくても、印刷物同士を重ねた状態で、室温よりもやや温度の高い環境や、室温で長期間にわたり放置すると、印刷物同士がくっつく可能性がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、定着後における定着物の粘着性が全くなく、定着応答性が極めて向上する定着液を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するために、本発明の定着液は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を軟化させる軟化剤を含有し、かつ不飽和脂肪酸類又は不飽和脂肪酸エステルを含むことに特徴がある。
更に、軟化剤は脂肪族エステルを含むことが好ましい。そして、脂肪族エステルは飽和脂肪族エステルを含むことが好ましい。また、飽和脂肪族エステルは、一般式 R1COOR2 で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下のアルキル基である。更に、脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式 R3(COOR4) で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下のアルキル基である。更に、脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことが好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式 R5(COOR6−O−R7) で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
本発明の定着液によれば、定着後に樹脂含有微粒子層の表面が粘着性を帯びることがなくなり、定着応答性を向上できる。
図1は本発明の定着方法における媒体上の樹脂含有微粒子層に定着液付与後の定着の様子を示す概略図である。図1の(a)に示すように、樹脂含有微粒子層11に定着液12が付与された瞬間は、定着液には軟化剤が含有されている。なお、樹脂含有微粒子には、定着液12が接すると、定着液12に反応して定着液12に含有された軟化剤による樹脂の軟化を制限する成分(以下、軟化制限成分と称す)が含有されている。そして、図1の(b)に示すように、定着液12が媒体中に浸透後、樹脂含有微粒子の表面には定着液12が付着し、図1の(c)に示すように定着液中の軟化剤の作用で、微粒子の表面近傍の樹脂が軟化する。表面から軟化した樹脂含有微粒子同士は結合し、図1の(d)に示すように、定着液、特に軟化剤や脂肪族系の成分は、樹脂含有微粒子中に拡散することになる。従来の湿式定着方式では、図1の(d)の状態で、軟化剤が不揮発性で、樹脂に対して軟化剤濃度が高い場合、樹脂の軟化状態が維持され、樹脂含有微粒子層11の表面が粘着性を帯びる恐れがあった。この問題に対し、本発明では、定着液に含有されている成分が接すると樹脂含有微粒子中に定着液に反応して定着液に含有された軟化剤による樹脂の軟化を制限する成分である軟化制限成分を含有しており、軟化剤が樹脂中に残留していても軟化剤の軟化能力が低下し、図1の(e)に示すように、樹脂が再び硬化し、樹脂含有微粒子層11の表面が粘着性を帯びることを防止することができる。
ただし、樹脂の軟化が十分行われる前に、定着液に反応して定着液に含有された軟化剤による樹脂の軟化が低下すると定着不良が発生する恐れがある。そこで、軟化剤の樹脂軟化速度よりも定着液と接触すると付与された定着液に反応して定着液に含有された軟化剤による樹脂の軟化を制限する成分である軟化制限成分による反応速度の方が遅いことが望まれる。本発明では、軟化剤による樹脂の軟化速度は、樹脂を0.3mm程度粉砕した粉を2枚の板で挟んで一定加重を加え、この状態で軟化剤の原液を粉砕樹脂粉に十分接触させた直後からの樹脂粉の変形量の時間変化率と定義し、各種樹脂と軟化剤の組み合わせにて樹脂変形量の時間変化率を測定し、0.5秒当たり概ね50%変形と1秒当たり概ね50%変形の範囲であることがわかった。樹脂含有微粒子は概ね100μm以下の大きさであり、上記評価よりもさらに早く樹脂は軟化すると思われ、従って定着に必要な軟化のための時間は1秒もあれば十分であり、軟化能力が低下する反応時間は、分オーダーや時間オーダーであれば、定着するために必要な軟化を阻害することはない。従って、定着液(正確には、定着液中の成分)と接触すると付与された定着液に反応して定着液に含有された軟化剤による樹脂の軟化を制限する成分である軟化制限成分による反応速度は分オーダーであることが望ましい。
次に、具体的な材料に関して記述する。先ず、定着液と樹脂含有微粒子の組み合わせ材料の一例として、定着液は、軟化制限成分として不飽和脂肪酸類を含有し、樹脂含有微粒子には酸化重合触媒を含有することが望ましい。不飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸エステルなどの不飽和脂肪酸類は、構造中に2重結合を有しており、大気中の酸素との接触で2重結合がはずれて酸化重合を起こす。この不飽和脂肪酸類の酸化重合皮膜は硬く、樹脂中に軟化剤が存在しても軟化剤による樹脂の軟化が低下し、樹脂は再び硬化する。ただし、不飽和脂肪酸類を酸素と接していてもその化学反応はきわめて遅く、酸化重合のために一般に触媒を用いる。定着液のみでは含有する不飽和脂肪酸類の酸化重合を起こさないが、この触媒を樹脂含有微粒子中に含有させることで、樹脂微粒子に定着液が接触して樹脂含有微粒子中の触媒に触れて始めて酸化重合反応を開始させることができる。
ここで、軟化制限成分としての不飽和脂肪酸類としては、モノ不飽和脂肪酸として、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、ジ不飽和脂肪酸として、リノール酸、トリ不飽和脂肪酸として、αリノレン酸などが適し、不飽和脂肪酸エスエルとしては、上記脂肪酸のうち、エチルもしくはプロピルエステルが望ましく、具体的には、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、リノール酸エチル、リノール酸プロピル、リノレン酸エチル、リノレン酸プロピルなどが適する。これらの不飽和脂肪酸類を軟化剤と希釈溶媒とを含有する定着液に溶解または分散して混合する。
また、酸化重合触媒としては、金属錯体が適し、具体的には、脂肪酸金属、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機酸塩やオクチル酸マンガンのような硼酸塩、オクチル酸コバルト(Co-Oct)、テトラアンミン銅錯体[Cu(NH3)4]2+などのアンミン錯体、ヘキサシアノ鉄錯体[Fe(CN)64−や[Fe(CN)63−などのシアノ錯体、テトラクロロ鉄錯体[FeCl4]などのハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体、[Al(OH)や[Al(OH)(HO)などのアルミン酸アンミン錯体などが適する。これらの錯体を樹脂に分散して樹脂含有微粒子とする。
次の具体例として、定着液は軟化制限成分としての不飽和脂肪酸類を含有し、微粒子中の樹脂が不飽和結合を有する樹脂であることが望ましい。定着液中の不飽和脂肪酸類は上記と同じである。樹脂中に不飽和結合を有することで、定着液中の不飽和脂肪酸類が酸化重合を開始する際に樹脂中の2重結合と反応し、樹脂の架橋構造を形成し、極めて硬い樹脂となり、樹脂含有微粒子層の定着後、優れた定着性能が得られる。2重結合を有する樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂や不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンなどが望ましい。
別の具体例としては、定着液は軟化制限成分として架橋剤を含有し、微粒子中の樹脂が官能基又は不飽和結合を有する樹脂が適する。架橋剤としてはイソシアネート系やエポキシ系架橋剤とし、樹脂として、ポリオール系やエポキシ系樹脂が適する。
また、別の具体例として、軟化剤の種類が1つ又は複数であり、不飽和脂肪酸エステルを含むことが望まれる。即ち、軟化剤そのものが不飽和脂肪酸エステルであれば、樹脂を軟化後、軟化剤そのものが酸化重合により変質するため樹脂の軟化を著しく低下することができる。具体的な不飽和脂肪酸エステルとしては、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチルなどが適する、定着液に含有する軟化剤のひとつとしてこれらの材料を含有させることで定着後に軟化剤による樹脂の軟化を低下させることができる。
樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、
R1COOR2
で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。
上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本発明における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、
R3(COOR4)
で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、
R5(COOR6−O−R7)
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が望ましい。記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。
上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20℃)における水に対する溶解度が、0.1重量%以下である性質を意味する。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30mN/mとすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、定着液をフォーム状とする場合、フォーム状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
次に、定着液の樹脂含有微粒子層への付与方法に関して述べる。図2は、定着液をフォーム状とし、塗布ローラにて付与する構成の具体例である。また、図3は、フォーム状定着液により付与する構成の具体例である。なお、定着液は、フォーム状に限らず、気泡を含有しない液状であってもよい。
図2において、密封容器内では、軟化剤を含有する液状の定着液を容器から取り出した後、液状の定着液にせん断力を加えて気泡を生成する気泡生成手段で多量の気泡を含有させる方法である。せん断力を加えたときの液中キャビテーションや空気の巻き込みにより気泡を生成する。図2では、せん断力を加える手段として攪拌ローラを用いる例を示す。同図の(a)において、フォーム状の定着液供給ローラ21を一旦塗布ローラ22から離脱した状態で、定着液供給ローラ21と攪拌ローラ23のニップ部に、定着液を収納する密閉容器24から液搬送パイプ25を通して液供給口26からの液状の定着液を溜め、そして攪拌ローラ23を回転攪拌することでフォーム状の定着液を形成し、その後定着液供給ローラ21を塗布ローラ22に接触させて塗布ローラ22にフォーム状の定着液を供給する。そして、同図の(a),(b)に示すように、更に塗布ローラ22のローラ面に液膜厚制御用のブレード27によってフォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。
なお、図2の攪拌ローラ23の表面は平坦でも良いが、表面にグルーブやアニロックスを形成し、より液を攪拌することが望ましい。また、液膜厚制御用のブレード27はカウンター方向やテイリング方向のどちらでも良い。また、塗布ローラ22と液膜厚制御用のブレード27とのギャップを制御するスペーサを設けていても良い。
次に、図3に示すように、軟化剤を含有する液状の定着液とともに、大気成分又は大気圧下では気体となるアルカン類を定着液中に分散し、大気圧以上で密閉した密閉容器31に入れて、密封容器31に取り付けられたアクチュエータ32及びノズル33から噴出する際にガスの膨張により多量の気泡を液中に含有させてフォーム状の定着液を作成し、液搬送パイプを通して液供給口34から、塗布ローラ35と接するブレード36とのニップ部にフォーム状の定着液を供給する。ブレード36と塗布ローラ35との隙間を調整し、塗布ローラ35上のフォーム状の定着液層の膜厚を制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。
また、図4に示すように、せん断力を加える手段として攪拌羽41を用い、密封容器42内で、軟化剤及び水と起泡剤として脂肪酸塩を含有する液状の定着液を攪拌しフォーム状の定着液を形成し、加圧ボンベ43から高圧空気を送ってフォーム状の定着液を密封容器42から出し、定着液補給パッド44によって塗布ローラ45の塗布面にフォーム状の定着液を供給する。そして、図4の(a),(b)に示すように、ワイヤーバー46によって塗布ローラ45上のフォーム状の定着液の厚みを制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。なお、長期保存中は気泡がなくなり、密閉容器内で液状であっても、使用直前に攪拌することでフォーム状の定着液にする構成である。
また、定着液がフォーム状でなく、液状の場合、図5に示すように、1mPa・sから100mPa・s程度の低粘度の定着液を用い、加圧スプレーガン塗布などの定着液を噴霧する非接触付与も望ましい。その他の噴霧方法としては、インクジェット方法や超音波ミスト方法なども適する。なお、図5に示すように、定着液を付与した後、機械的加圧手段としての加圧ローラにより定着性を更に向上してもよい。
次に、本発明における樹脂含有微粒子の内、電子写真記録技術のごとき静電記録方式に用いるトナーに関して記載する。
トナーに含まれる樹脂としては、軟化剤と充分な相溶性を有するものであれば、特に限定されず、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂等汎用の樹脂の中から適宜必要に応じて任意に選択することができる。その中でも、ポリエステル樹脂が、主たる記録媒体である紙との親和性が高く、定着性が良好であることから好ましい。また、ポリエステル樹脂は軟化剤として用いられる脂肪族エステル化合物と、類似した分子構造を有するため、相溶性が高く、その点に関しても好適に用いられる。
ここで、ポリエステル樹脂を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテル重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。この3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
ここで、ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
このようなトナーのその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
なお、着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、着色剤のトナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
更に、着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
マスターバッチは、マスターバッチ用樹脂と、着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。混合又は混練には、例えば三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、この市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
更に、帯電制御剤のトナーにおける含有量としては、樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
また、無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用することができる。無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m2/gが好ましい。無機微粒子のトナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
また、流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
更に、クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。このポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
また、磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
更に、トナー中に軟化剤の軟化能力が低下する成分としては、酸化重合触媒としては、金属錯体が適し、具体的には、脂肪酸金属、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機酸塩やオクチル酸マンガンのような硼酸塩、オクチル酸コバルト(Co-Oct)、テトラアンミン銅錯体[Cu(NH3)4]2+などのアンミン錯体、ヘキサシアノ鉄錯体[Fe(CN)6]4−や[Fe(CN)63−などのシアノ錯体、テトラクロロ鉄錯体[FeCl4]などのハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体、[Al(OH)4]や[Al(OH)4(H2O)2]などのアルミン酸アンミン錯体などが適する。これらの錯体をトナーの樹脂中に分散させる。
別の発明の一実施の形態例に係る画像形成装置において、上述した本発明による画像形成方法を用いて、樹脂を含む樹脂含有微粒子の画像を記録媒体に形成する。よって、この別の発明の一実施の形態例の画像形成装置によれば、それぞれ、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
図6は別の発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタであってもよい。図6の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図6の(b)は図6の(a)の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図6の(a),(b)に示す画像形成装置60はトナー像担持体として中間転写ベルト61を有する。この中間転写ベルト61は、3つの支持ローラ62〜64に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト61に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット65〜68が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト61を挟んで中間転写ベルト61の支持ローラ64に対向する位置には、二次転写装置69が設けられている。二次転写装置69は、2つの支持ローラ70,71の間に張架された二次転写ベルト72で構成されている。なお、二次転写装置69としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト61を挟んで中間転写ベルト61の支持ローラ62に対向する位置には、ベルトクリーニング装置73が配置されている。ベルトクリーニング装置73は、中間転写ベルト61上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙74は、一対の給紙ローラ75で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙74に転写する際に、二次転写ベルト72を中間転写ベルト61に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙74は、二次転写ベルト72によって搬送され、記録紙74に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する本発明の定着装置によって定着される。すなわち、記録紙74に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙74に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図6の(b)に示すように、画像形成ユニット65〜68には、感光体ドラム76の周辺に、帯電装置77、現像装置78、クリーニング装置79及び除電装置80が配置されている。また、中間転写ベルト61を介して、感光体ドラム76に対向する位置に、一次転写装置81が設けられている。また、帯電装置77は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置77は、帯電ローラを感光体ドラム76に接触させて、感光体ドラム76に電圧を印加することにより、感光体ドラム76の表面を一様に帯電する。この帯電装置77としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置78は、現像剤中のトナーを感光体ドラム76上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置78は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置81は、感光体ドラム76上で可視化されたトナーを中間転写ベルト61に転写する。ここでは、一次転写装置81としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト61を挟んで感光体ドラム76に押し当てている。一次転写装置81としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置79は、感光体ドラム76上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置79としては、感光体ドラム76に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置79によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置78に回収され、再利用される。更に、除電装置80は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム76の表面電位を初期化する。
次に、本発明における定着液及び定着の具体例について説明する。
本発明における以下の具体例では、樹脂含有微粒子としてトナーを用い、以下の製造方法の一例により作製した。
[トナーの製造方法]
ビーカー内にトナーバインダー樹脂としてポリエステル樹脂A(Tg60℃、重量平均分子量8,500)の酢酸エチル/MEK溶液240部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、60℃にてロボミックス(特殊機化社製)において10000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706部、樹脂微粒子分散液をトナー成分の重量に対し固形分で0.5重量%、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業社製スーパタイト10)294部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を入れ均一に溶解した。次に、ロボミックスで乳化時回転数を10000rpmで設定し、攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。そして、この混合液を攪拌棒及び温度計付のフラスコに移し、40℃まで昇温して減圧下で溶剤を完全に除去した。その後、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、母体トナー粒子を得た。更に、得られた母体着色粒子100重量部に対して、一次粒径10nmの疎水性シリカ1.5重量部と一次粒子径20nmの酸化チタン1.0重量部と平均粒径100nmのHMDS(ヘキサメチルジシラザン)疎水化処理のシリカ微粒子1.0重量部をヘンシェルミキサーにて混合しトナーを得た。
[具体例1]
<定着液の処方>
希釈溶媒:イオン交換水 68wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸カリウム 5wt%
ミリスチン酸カリウム 3wt%
ステアリン酸カリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
不飽和脂肪酸:α―リノレン酸 2wt%
上記成分比にて、まずは、液温90℃にて軟化剤と不飽和脂肪酸を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、液を室温まで冷却後、軟化剤と不飽和脂肪酸を混合し、超音波ホモジナイザーにて10分間攪拌し、軟化剤が溶解し、不飽和脂肪酸が分散した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
<樹脂含有微粒子>
上記トナーの製造方法に基づき、樹脂としてポリエステル樹脂、色材として顔料を用い、微粒子表面に荷電制御剤、疎水性処理剤を有し、軟化剤の軟化能力が低下する部材として金属錯体(ナフテン酸コバルト)の微粒子をポリエステル樹脂中に分散して用い、電子写真記録方式用トナー粒子とした。
<塗布装置>
図4に示すような、密封容器にて攪拌羽根にて十分攪拌しフォーム状定着液とした後、加圧しながら補給パッドから塗布ローラへフォーム状定着液を供給した。塗布ローラ上には、ワイヤーバーを設け、液膜を制御した。ワイヤー径としては、0.1mmを用いた。攪拌羽根はホイッパーのごとくワイヤーを束ねた羽根を用いた。なお、加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30mm)、塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)、ブレード:SUS製シート、紙搬送速度:200mm/sとした。
<結果>
攪拌回転数は3000rpmとし、攪拌時間は1分とした。このとき、フォーム状の定着液のかさ密度は0.10g/cmであった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、トナーとして上記の樹脂含有微粒子を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図4に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。また、定着トナー面の粘着性は、タックメータを用い、加重10g重におけるトナー面の引張り力を測定し粘着性を測定した。
比較のため、定着液に不飽和脂肪酸を含有しない定着液と上記トナーとの組合せと上記定着液と金属錯体を樹脂中に分散していていないトナーとの組合せによる定着も行った。結果を下記の表1に示す。
Figure 0005196289
この表1のように、定着液に不飽和脂肪酸を含有し、トナーに金属錯体を含有させることで、従来に比べ、粘着性が著しく低下することがわかった。
[具体例2]
<定着液の処方>
希釈溶媒:イオン交換水 68wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸カリウム 5wt%
ミリスチン酸カリウム 3wt%
ステアリン酸カリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
不飽和脂肪酸:リノール酸 2wt%
上記成分比にて、まずは、液温90℃にて軟化剤と不飽和脂肪酸を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、液を室温まで冷却後、軟化剤と不飽和脂肪酸を混合し、超音波ホモジナイザーにて10分間攪拌し、軟化剤が溶解し、不飽和脂肪酸が分散した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
<樹脂含有微粒子>
上記トナーの製造方法に基づき、樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、色材として顔料を用い、微粒子表面に荷電制御剤、疎水性処理剤を有し、軟化剤の軟化能力が低下する部材として金属錯体(ナフテン酸コバルト)の微粒子をポリエステル樹脂中に分散して用い、電子写真記録方式用トナー粒子とした。
<塗布装置>
図4に示すような、密封容器にて攪拌羽根にて十分攪拌しフォーム状定着液とした後、加圧しながら補給パッドから塗布ローラへフォーム状定着液を供給した。塗布ローラ上には、ワイヤーバーを設け、液膜を制御した。ワイヤー径としては、0.1mmを用いた。攪拌羽根はホイッパーのごとくワイヤーを束ねた羽根を用いた。なお、加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30mm)、塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)、ブレード:SUS製シート、紙搬送速度:200mm/sとした。
<結果>
攪拌回転数は3000rpmとし、攪拌時間は1分とした。このとき、フォーム状の定着液のかさ密度は0.12g/cmであった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、トナーとして上記の樹脂含有微粒子を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図4に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。また、定着トナー面の粘着性は、タックメータを用い、加重10g重におけるトナー面の引張り力を測定し粘着性を測定した。
比較のため、定着液に不飽和脂肪酸を含有しない定着液と上記トナーとの組合せと上記定着液と金属錯体を樹脂中に分散していていないトナーとの組合せによる定着も行った。結果を下記の表2に示す。
Figure 0005196289
この表2のように、定着液に不飽和脂肪酸を含有し、不飽和ポリエステルトナーに金属錯体を含有させることで、従来に比べ、粘着性が著しく低下することがわかった。
[具体例3]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 66wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:ポリエチレングリコール 20wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
不飽和脂肪酸:αリノレン酸 5wt%
上記成分比にて、室温で混合し、その後、超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌した。軟化剤は定着液に溶解し、不飽和脂肪酸は定着液に分散した。
<樹脂含有微粒子>
上記トナーの製造方法に基づき、樹脂としてポリエステル樹脂、色材として顔料を用い、微粒子表面に荷電制御剤、疎水性処理剤を有し、軟化剤の軟化能力が低下する部材として金属錯体(アルミン酸アンミン錯体)の微粒子をポリエステル樹脂中に分散して用い、電子写真記録方式用トナー粒子とした。
<塗布装置>
図5に示すように、市販スプレーガン(ノズル径0.2mm)を用い、トナー層に定着液を噴霧した。
<結果>
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、トナーとして上記の樹脂含有微粒子を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図5に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。また、定着トナー面の粘着性は、タックメータを用い、加重10g重におけるトナー面の引張り力を測定し粘着性を測定した。
比較のため、定着液に不飽和脂肪酸を含有しない定着液と上記トナーとの組合せと上記定着液と金属錯体を樹脂中に分散していていないトナーとの組合せによる定着も行った。結果を下記の表3に示す。
Figure 0005196289
この表3のように、定着液に不飽和脂肪酸を含有し、トナーに金属錯体を含有させることで、従来に比べ、粘着性が著しく低下することがわかった。
[具体例4]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 70wt%
軟化剤:リノール酸エチル(不飽和脂肪酸エステル)10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
上記成分比にて、室温で混合し、その後、超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌した。軟化剤は定着液に溶解した。
<樹脂含有微粒子>
上記トナーの製造方法に基づき、樹脂としてポリエステル樹脂、色材として顔料を用い、微粒子表面に荷電制御剤、疎水性処理剤を有し、軟化剤の軟化能力が低下する部材として金属錯体(アルミン酸アンミン錯体)の微粒子をポリエステル樹脂中に分散して用い、電子写真記録方式用トナー粒子とした。
<塗布装置>
図5に示すように、市販スプレーガン(ノズル径0.2mm)を用い、トナー層に定着液を噴霧した。
<結果>
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、トナーとして上記の樹脂含有微粒子を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図5に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。また、定着トナー面の粘着性は、タックメータを用い、加重10g重におけるトナー面の引張り力を測定し粘着性を測定した。
比較のため、定着液に不飽和脂肪酸を含有しない定着液と上記トナーとの組合せと上記定着液と金属錯体を樹脂中に分散していていないトナーとの組合せによる定着も行った。結果を下記の表4に示す。
Figure 0005196289
この表4のように、定着液に不飽和脂肪酸を含有し、トナーに金属錯体を含有させることで、従来に比べ、粘着性が著しく低下することがわかった。
なお、本発明は上記各実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
本発明の定着方法における媒体上の樹脂含有微粒子層に定着液付与後の定着の様子を示す概略図である。 本発明におけるフォーム状定着液生成手段及びフォーム状定着液層膜厚制御手段の一例を示す概略図である。 本発明におけるフォーム状定着液生成手段及びフォーム状定着液層膜厚制御手段の他の例を示す概略図である。 本発明におけるフォーム状定着液生成手段及びフォーム状定着液層膜厚制御手段の他の例を示す概略図である。 本発明におけるフォーム状定着液塗布手段の一例を示す概略図である。 別の発明の画像形成装置の構成を示す概略図である。
符号の説明
11;樹脂含有微粒子層、12;定着液、21;定着液供給ローラ、
22,35,45;塗布ローラ、23;攪拌ローラ、
24,31,42;密閉容器、25;液搬送パイプ、
26,34;液供給口、27,36;ブレード、
32;アクチュエータ、33;ノズル、41;攪拌羽、
43;加圧ボンベ、44;定着液補給パッド、46;ワイヤーバー。

Claims (8)

  1. 脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を軟化させる軟化剤を含有し、かつ不飽和脂肪酸類又は不飽和脂肪酸エステルを含むことを特徴とする定着液
  2. 記軟化剤は、脂肪族エステルを含むことを特徴とする請求項記載の定着液。
  3. 前記脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含むことを特徴とする請求項記載の定着液。
  4. 前記飽和脂肪族エステルは、一般式
    R1COOR2で表される化合物を含み、
    R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、
    R2は、炭素数が1以上6以下のアルキル基であることを特徴とする請求項3記載の定着液。
  5. 前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことを特徴とする請求項記載の定着液。
  6. 前記脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式
    R3(COOR4)で表される化合物を含み、
    R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、
    R4は、炭素数が3以上5以下のアルキル基であることを特徴とする請求項記載の定着液。
  7. 前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことを特徴とする請求項記載の定着液。
  8. 前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式
    R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、
    R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、
    R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、
    R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることを特徴とする請求項記載の定着液。
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