はじめに、本発明の原理について概説すると、本発明は気泡を大量に含有したフォーム状の液体が極めてかさ密度が低いこと及び大量の気泡を含有することで流体としての性質である液面の表面張力や液体内部の流動性の影響が極めて小さくなることに着目した発明である。
図1は塗布ローラと紙との接触面でのトナーに働く力を示す概念図である。同図に示すように、定着液12が液体の形態である場合、塗布ローラ11上の定着液12の液面にはローラ面に沿って強い表面張力が働いている。更に、塗布ローラ11上の定着液層内部にはローラ移動方向に内部流が生じている。このため、塗布ローラ11上の定着液層の厚みがトナー層と同等かそれ以下の薄い層である場合、未定着トナー粒子13を塗布ローラ11の表面に引っ張り込むように表面張力が強く働き、また液内部流もローラ面に沿ってトナーを運ぶように働くため、塗布ローラ11に未定着トナーが固着し、トナーオフセットが生じてしまう。塗布ローラ11上の定着液層がトナー層よりも2倍以上に厚くなるほど、この液体の表面張力や内部流の影響はトナーへ及ぼししにくくなるため、塗布ローラ11上の定着液層が厚い場合は、トナーオフセットが低減する。逆に、樹脂微粒子のオフセットが生じない均一塗布には、塗布ローラ11の表面に定着液層がある程度厚くする必要があることを意味している。一方、塗布後の媒体上樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが定着応答性や残液感やカール防止に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。塗布する際は定着液層の厚みが厚くて層の体積が多く、かつ塗布後の媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、定着液の密度が低ければよく、塗布時に体積は多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。
図2は本発明の定着液の塗布の様子を示す概念図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示すように、定着液をフォーム状とし、空気を十分に取り入れたフォーム状の定着液14は、かさ密度(定着液の重量をその体積で割った値)の低い定着液となり、この定着液を使用すれば塗布時は塗布ローラ11上の定着液層の厚みが厚くて体積が大きくても、かさ密度が低いために、紙に付着する定着液の実質の質量は小さくすることができ、トナーオフセットが生じることなく紙等の記録媒体に定着液を微量塗布することができ、本発明の目的を達成可能である。
更に、図3の(a)に示すように、塗布ローラ上に形成したフォーム状の定着液14が、紙等の記録媒体との接触により破泡し、ローラ上で定着液が液状化してしまっては、フォーム化した効果がなくなってしまう。即ち、図3の(b)に示すように、塗布ローラ11と紙等の記録媒体との接触面で泡沫安定性に優れるフォーム状の定着液14であることが望まれる。
そこで、本発明によれば、界面活性剤として知られる脂肪酸塩を起泡剤として、この脂肪酸塩と水を定着液に含有することで、塗布ローラと紙等の記録媒体との接触面で破泡し液状化しない程度の破泡に強い定着液を提供する。
ここで、図4は水と起泡剤としての脂肪酸塩を含有した定着液を用いて紙等の記録媒体における浸透の様子を示す概略断面図である。図4の(a)に示すように、液状の定着液12は紙等の記録媒体に素早く浸透する。ところが、一旦フォーム状の形態とすると、フォーム状の定着液14は、図4の(b)に示すように、紙等の記録媒体へ極めて浸透すにくくなることがわかった。紙等の記録媒体への定着液の浸透性が高いと、定着液塗布量が増加してしまうが、図4の(b)に示すように、水と起泡剤として脂肪酸塩を含有したフォーム状の定着液は紙等への浸透性が小さくなるため、定着液塗布量の低減に極めて効果があることがわかった。起泡剤として、ポリオキシエチレン系界面活性剤やラウリル硫酸ナトリウムなどの他の界面活性剤を脂肪酸塩の代わりに用いた場合、図4の(c)に示すように、フォーム状の定着液は紙等の記録媒体と接する面で次々と破泡し、紙等の記録媒体に定着液がすばやく浸透してしまうことが分った。これらの結果から、界面活性剤を含有した定着液は、液の表面張力が低くなることで液体の状態では紙等の記録媒体に液が浸透しやすくなるが、一旦その液体をフォーム化すると泡が液(主に水)を泡壁(プラトー境界)に保持することにより、紙等の記録媒体への液体の浸透を阻害することが分かった。更に、起泡剤として脂肪酸塩を用いることで、フォーム剤の泡沫安定性が極めて高くなり、フォーム状の定着液が紙等の記録媒体と接しても簡単には破泡せず、紙へのフォーム状の定着液の浸透を著しく抑えることができることが分かった。
また、このようにフォーム化することにより、かさ密度が小さくなる点に着目し、本出願人は上記特許文献4にて、泡状の定着液を中間転写ベルトに塗布する技術を開示し、泡状の定着液による微量塗布を提案した。但し、この特許文献4における技術は、主として定着液の液量を減らすことを目的とし、本願発明の目的であるオフセットや画像流れの防止ではない。また、特許文献4は泡状の定着液を中間転写体上の未定着トナー層に飛翔して付与する構成に留まり、紙等の記録媒体上の未定着トナーにローラ塗布のごとき接触塗布手段による直接塗布定着の構成や膜厚制御については触れていない。また、ローラ塗布のような接触塗布では、微細な気泡を含有するフォーム状の定着液を未定着トナー画像に均一に薄層で供給することが可能であり、塗布ムラが発生しにくい。更に、定着液に気泡を含有してフォーム状とした定着液によるローラ塗布を検討し、単にフォーム状の定着液を塗布するであるだけでは、ローラ塗布において、樹脂微粒子のローラ面へのオフセット防止に常に効果があるわけではないことが分った。そこで、ローラ塗布手段において、塗布ローラ面上のフォーム状の定着液中の気泡層構成と気泡層を含有する定着液層の膜厚制御がオフセット防止に重要であることを見出した。
また、上述したように、起泡剤として脂肪酸塩を用いると、泡沫安定性が高くなり、紙等の記録媒体にフォーム状の定着液が浸透しにくくなる。これは利点であるが、トナー層に対してもフォーム状の定着液が浸透しにくくなる恐れがある。トナー層へ定着液が浸透しないと定着液によるトナー同士の固着が生じなくなり定着不良となってしまう。そこで、塗布ローラ上のフォーム状の定着液層の厚みと塗布ローラと紙等の記録媒体との接触面での加圧力が、トナー層へのフォーム状の定着液の浸透性に影響を与え、更に塗布ローラへのトナーオフセットに影響を与えることを見出した。
図5及び図6はローラ塗布手段においてローラ塗布面と未定着樹脂微粒子が接する部分の拡大図である。両図において、図1及び図2と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。なお、図5は塗布ローラ11と記録媒体との接触面での加圧が低い場合であり、図6は加圧が高い場合である。また、図5と図6の気泡径はほぼ同じ場合であり、両図に示す気泡15は主なる気泡であり、それ以外の気泡も存在するが図面では省略するものとする。図5の(a)は塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液14は気泡15の単層構造で、図5の(b)は気泡層が2層の例である。従って、フォーム状の定着液14の層厚は図5の(a)の方が図5の(b)より薄い。図5の(a)に示すように気泡15が単層で、加圧力が小さい場合、気泡自身が表面張力により塗布ローラ11の塗布面に付着しやすく、樹脂微粒子の層へ定着液12が不均一にしか塗布されず、樹脂微粒子の一部が気泡15に吸着して塗布ローラ11の塗布面にオフセットしてしまう。一方、図5の(b)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液14が複数層の気泡層構造である場合、凹凸を有する未定着トナー16の面への気泡15の埋め込みが可能となり、フォーム状の定着液14は気泡15の層間で分離しやすくなり、図5の(b)のごとく、樹脂微粒子層に均一に塗布可能となり、樹脂微粒子のオフセットを極めて生じにくくすることができる。
よって、例えば樹脂微粒子がトナー粒子であり、媒体が紙等の記録媒体である場合、記録媒体搬送駆動系の負荷低減を優先するために、塗布ローラと記録媒体との接触面での加圧を低く設定する場合、塗布ローラに未定着トナーがオフセットしないようにするためには、予め生成する気泡の平均的な大きさを測定しておき、気泡層が複数層となるように、塗布ローラ上のフォーム状の定着液層の膜厚を気泡層の複数層分の厚みになるように制御すれば、塗布ローラ上には必ず複数層の気泡層からなるフォーム状の定着液層が形成され、トナーオフセットの防止を可能となる。
逆に、必ずしも平滑ではない上質紙などの記録媒体にムラなく均一に定着液を付与するために、塗布ローラ11と記録媒体との接触面での加圧を高く設定する場合、図6の(a)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液14は気泡15の単層構造であるが、加圧力が大きいため、凹凸な樹脂微粒子層内へ気泡15が押し込まれやすくなり、塗布ローラ11の塗布面から気泡層が容易に剥離し、フォーム状の定着液14は樹脂微粒子層に均一に塗布される。一方、図6の(b)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液14が複数層の気泡層構造である場合であっても加圧力が大きい場合、気泡15が樹脂微粒子層内に押し付けられつつ、気泡層が厚いため、粒子微粒子層から気泡層への微粒子拡散が発生しやすくなり、樹脂微粒子層が乱れたり、拡散した微粒子の一部が塗布ローラ11に付着しオフセットが発生する恐れがある。
よって、塗布ローラと記録媒体との接触面での加圧が高い場合、予め気泡の平均的な大きさを測定しておき、塗布ローラ面でなるべく単層に近い薄い膜厚の気泡層構造のフォーム状の定着液となるように液層厚みを制御すれば、塗布ローラ上には単層に近い気泡層構造の液膜が形成され、高加圧力条件でトナーオフセットを防止できる。また、塗布ローラ上の気泡層が厚すぎると塗布ローラと記録媒体との接触部に気泡層の流動が生じ、樹脂微粒子がその流れに沿って移動してしまい、樹脂微粒子がトナーの場合であれば画像が流れる不具合が発生するので、流動性が生じない範囲にフォーム状の定着液層の膜厚を制御することで解決できる。
上記のように塗布ローラと媒体との接触圧力と塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚が塗布ローラへのトナーオフセットや画像乱れの大きな因子であることを説明したが、媒体が厚紙のはがき紙や薄い更紙のように紙種により紙の厚みが異なると塗布ローラと媒体との接触圧力が異なる。つまり厚紙のほうが接触圧力は高くなり、薄くなれば接触圧力は低くなる。このため、それらの紙種にあわせて塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を最適範囲となるよう制御する必要がある。また、モノクロやカラー、文字や写真などの画像に応じて紙上のトナー層厚みが異なる。つまりトナー層の厚いほうが接触圧力は高くなり、トナー層の薄いほうが接触圧力は低くなる。このため、これらの画像情報に基づき、トナー層の厚みに応じて塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を最適範囲となるよう制御する必要がある。何れにして、単に、フォーム状の定着液を用いれば良好な定着が行えるのではなく、紙種やトナー層厚みなどの塗布条件によって調整される接触圧力に応じて、フォーム状の定着液の塗布手段における膜厚制御が絶対に必要である。
以上のように、軟化剤と水と起泡剤として脂肪酸塩を含有するフォーム状の定着液層の膜厚を制御することで、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。すなわち、本発明は樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を定着液に含有し、更に水と起泡剤として脂肪酸塩を含有した定着剤を用い、接触塗布手段にて媒体上の当該樹脂微粒子に定着液を塗布ことで当該樹脂微粒子を媒体に定着する方法であり、当該定着液を該媒体上の当該樹脂微粒子表面に付与する際に、当該微粒子に定着液が接する塗布で、当該定着液が気泡を含有したフォーム状形態となっており、更に当該フォーム状の定着液層の膜厚を加圧力に応じて制御することにより、塗布ローラのような接触塗布手段への樹脂微粒子のオフセットや樹脂微粒子層流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。また、樹脂微粒子として、電子写真技術に用いるトナー微粒子が本発明にとって効果が高く、この樹脂微粒子の層厚に応じてフォーム状の定着液層の膜厚を制御することでトナーオフセットや画像流れを防止できる。
図7は本発明における塗布時のフォーム状の定着液の層構成例を示す概略図である。同図に示す液体21は軟化剤と水と起泡剤として脂肪酸塩を含有し、液体中に気泡22を含有したフォーム状の構成である。このように、気泡22を大量に含有することで、定着液20のかさ密度は極めて低くすることができる。この構成とすることで、図8に示すように、定着液塗布時は、体積が多い状態で塗布しても、かさ密度が低く、塗布重量は小さいため、その後気泡22が破泡してしまえば、実質的な塗布量は極めて少なくすることができる。なお、本発明におけるフォーム状とは、液体中に気泡が大量に分散し、液体が圧縮性を帯びた状態を示す。
次に、定着液塗布手段について説明する。なお、定着液塗布手段は接触塗布手段である。図9は定着液塗布手段としてフォーム状の定着液を塗布ローラにて塗布する様子を示す概略図である。同図において、樹脂微粒子31はトナー粒子である。塗布ローラ32上にはフォーム状の定着液33の層が形成されており、フォーム状の定着液33の気泡の大きさ及び加圧力、並びに未定着トナーの層厚に応じた最適化した定着液層の膜厚であり、樹脂微粒子31は塗布ローラ32上にオフセットしない。仮に、フォーム状の定着液33は、樹脂微粒子31の層及び記録媒体に厚く塗布されたとしても、フォーム状の定着液33のかさ密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した液体の樹脂微粒子31の層への微量塗布とすることができる。
なお、フォーム状の定着液における気泡含有量は、かさ密度や塗布層の厚みに応じて異なるが、概ね、かさ密度としては、0.01g/cm3〜0.1g/cm3程度の範囲が望ましい。また、気泡層からなるフォーム状の定着液とは、単層または複数の気泡層からなるフォーム状の定着液の意味で、必ずしも明確な層面がなくとも構わない。更に、定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子の層への塗布時にフォーム状となっていればよく、保存容器内でフォーム状である必要はない。保存容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子の層へ塗布するまでの液搬送経路でフォーム状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器では液体で、容器から液を取り出した後にフォーム状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
ここで、密封容器から液状の定着液を取り出した後に気泡を含有したフォーム状の定着液とする方法について説明する。
第1の方法としては、密封容器内では、軟化剤を含有する液状の定着液を容器から取り出した後、液状の定着液にせん断力を加えて気泡を生成する気泡生成手段で多量の気泡を含有させる方法である。せん断力を加えたときの液中キャビテーションや空気の巻き込みにより気泡を生成する。具体例として示す図10は、せん断力を加える手段として攪拌ローラを用いる例を示す。同図の(a)において、フォーム状の定着液供給ローラ41を一旦塗布ローラ42から離脱した状態で、定着液供給ローラ41と攪拌ローラ43のニップ部に、定着液を収納する定着液密閉容器44から液搬送パイプ45を通して液供給口46からの液状の定着液を溜め、そして攪拌ローラ43を回転攪拌することでフォーム状の定着液を形成し、その後定着液供給ローラ41を塗布ローラ42に接触させて塗布ローラ42にフォーム状の定着液を供給する。そして、同図の(a),(b)に示すように、更に塗布ローラ42のローラ面に液膜厚制御用のブレード47によってフォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。
なお、図10の攪拌ローラ43の表面は平坦でも良いが、表面にグルーブやアニロックスを形成し、より液を攪拌することが望ましい。また、液膜厚制御用のブレード47はカウンター方向やテイリング方向のどちらでも良い。また、塗布ローラ42と液膜厚制御用のブレード47とのギャップを制御するスペーサを設けていても良い。
第2の方法として、図11に示すように、軟化剤を含有する液状の定着液とともに、大気成分又は大気圧下では気体となるアルカン類を定着液中に分散し、大気圧以上で密閉した密閉容器51に入れて、密封容器51に取り付けられたアクチュエータ52及びノズル53から噴出する際にガスの膨張により多量の気泡を液中に含有させてフォーム状の定着液を作成し、液搬送パイプを通して液供給口54から、塗布ローラ55と接するブレード56とのニップ部にフォーム状の定着液を供給する。ブレード56と塗布ローラ55との隙間を調整し、塗布ローラ55上のフォーム状の定着液層の膜厚を制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。
第3の方法として、図12に示すように、せん断力を加える手段として攪拌羽61を用い、密封容器62内で、軟化剤及び水と起泡剤として脂肪酸塩を含有する液状の定着液を攪拌しフォーム状の定着液を形成し、加圧ボンベ63から高圧空気を送ってフォーム状の定着液を密封容器62から出し、定着液補給パッド64によって塗布ローラ65の塗布面にフォーム状の定着液を供給する。そして、図12の(a),(b)に示すように、ワイヤーバー66によって塗布ローラ65上のフォーム状の定着液の厚みを制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。なお、長期保存中は気泡がなくなり、密閉容器内で液状であっても、使用直前に攪拌することでフォーム状の定着液にする構成である。
また、第4の方法は、図13に示すごとく、図11に示す塗布ローラに代わりに、塗布ベルト71を用いて記録媒体上の未定着トナーに塗布する方法である。密封容器51に取り付けられたアクチュエータ52及びノズル53から噴出する際に大気圧のもとではで気体となるガスや大気成分の膨張により多量の気泡を液中に含有させてフォーム状の定着液を作成し、液搬送パイプを通して液供給口54から、塗布ベルト71と接するブレード56とのニップ部にフォーム状の定着液を供給する。そして、ブレード56と塗布ベルト71のギャップを調整し、塗布ベルト71上のフォーム状の定着液層の膜厚を制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。なお、塗布ベルト71としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETファイルなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いる。
次に、フォーム状の定着液の接触部材面での厚みの制御方法及び手段について説明する。制御すべき最適膜厚は、フォーム状の定着液を作成する手段により形成された気泡の平均粒径、塗布手段と媒体との接触部での加圧力、液の粘度により決定される。決定された適性液膜範囲に制御する方法としては、ローラ状の回転部材による塗布手段では、塗布手段面とあるギャップを設けてフォーム状の定着液をかきとる方法が適している。例えば、上述した図11のような液膜厚制御用のブレード47によるかきとりや、上述した図12のようなワイヤーバー66によるかきとりが望ましい。図11の液膜厚制御用のブレード47によるかきとりの構成では、適性膜厚範囲に近いギャップで塗布ローラ42のローラ面と液膜厚制御用のブレード47を配置する。図12のワイヤーバー66によるかきとりの構成では、適性膜厚範囲となるようにワイヤー径を決定する。また、別の厚み制御方法及び手段としては、ローラ状回転部材による塗布面に適性膜厚となるようにフォーム状の定着液を供給する方法がある。図14の(a)では、筒状ステンシル部材81の内部にフォーム状の定着液を保持し、プレスローラ82により押し出しながら塗布部材83の面にフォーム状の定着液を供給する。この時、筒状ステンシル部材81のメッシュ開口径を適性液膜が形成されるように決定する。また、図14の(b)は、グルーブローラ84による供給の例で、グルーブローラ84のグルーブの深さを適性液膜が形成されるように決定する。なお、フォーム状の定着液の接触塗布手段としては、ローラ塗布手段の他に、直接ステンシル塗布やグラビアローラ塗布、回転ワイヤーバー塗布等であっても構わない。これらの手段は何れも、塗布手段そのものが表面にメッシュ状やスジ状や凹凸状の形状を有し、塗布量を制御することで、塗布面と媒体との接触面におけるフォーム状の定着液の液膜を制御することができる。
次に、定着液の液処方について説明する。フォーム状の定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成するフォーム状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
また、起泡剤としては、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5℃〜15℃までの低気温において、優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において定着の安定を可能とし、また、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中分離を防止することができる。
更に、飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12,14,16及び18の飽和脂肪酸、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が適する。炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、当該定着液を用いるオフィス・家庭で用いる画像形成機器に適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまう。これらの飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、不飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
また、上記飽和脂肪酸塩又は不飽和脂肪酸塩において、当該定着液の起泡剤として用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切なフォーム状となっていることが必須であるが、上記の脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに最も短時間で起泡し、フォーム状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を最も短時間でつくることができる。
更に、オフセット防止のためには塗布部でのフォーム状の定着液層の厚みは樹脂微粒子層の厚みより厚いことが望ましい。また、気泡が樹脂微粒子へ付着しやすくするためには樹脂微粒子よりも大きいことが望ましい。樹脂微粒子がトナー粒子の場合、乾式電子写真方式ではトナー粒子は、4〜10μm程度の大きさであり、紙媒体上の未定着トナー層は10〜30μm程度であることから、軟化剤を含有する液体に含有する気泡の大きさは、5μm〜30μm程度が望ましい。
また、希釈溶媒は、水性であることが望ましい。希釈構成としては、軟化剤が希釈溶媒に溶解した構成や、軟化剤が油性で希釈溶媒が水性でO/Wエマルジョンの構成や、軟化剤が油性で希釈溶媒が水性でW/Oエマルジョンの構成であっても構わない。特に、軟化剤が希釈溶媒に溶解した構成の方が長期保存中の安定性に優れるため望ましい。
更に、高圧密封容器に定着液を保管する構成では、大気圧のもとで気体となるガスや大気成分が軟化剤を含有する液体に溶解又は分散する構成が望ましい。大気圧のもとで気体となるガスとしては、脂肪族炭化水素類、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテルなどが適する。大気成分ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが適する。このような構成では、高圧ガスを用いているため、フォーム状となった定着液を塗布部材に供給する手段を簡素化もしくは必要がなく、また機械的に定着液にせん断力を加える手段やフォーム状となった定着液を塗布部材に供給する手段を簡素化できるため、定着装置の小型化が容易となる。
また、樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
更に、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
また、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、
R1COOR2
で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。
上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、
R3(COOR4)2
で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)2で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、
R5(COOR6−O−R7)2
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)2で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、記録媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が望ましい。また、記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。
上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20℃)における水に対する溶解度が、0.1重量%以下である性質を意味する。
また、フォーム状の定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、フォーム状の定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、フォーム状の定着液の表面張力は、20〜30mN/mであることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30mN/mとすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、フォーム状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の記録媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
ここで、定着中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
次に、画像形成装置において、上述した画像形成方法を用いて、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する。よって、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
図15は画像形成装置の構成を示す概略図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタであってもよい。図15の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図15の(b)は図15の(a)の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図15の(a),(b)に示す画像形成装置90はトナー像担持体として中間転写ベルト91を有する。この中間転写ベルト91は、3つの支持ローラ92〜94に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト91に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット95〜98が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ94に対向する位置には、二次転写装置99が設けられている。二次転写装置99は、2つの支持ローラ100,101の間に張架された二次転写ベルト102で構成されている。なお、二次転写装置99としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置103が配置されている。ベルトクリーニング装置103は、中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙104は、一対の給紙ローラ105で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙104に転写する際に、二次転写ベルト102を中間転写ベルト91に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙104は、二次転写ベルト102によって搬送され、記録紙104に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する本発明のトナーの定着装置によって定着される。すなわち、記録紙104に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙104に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図15の(b)に示すように、画像形成ユニット95〜98には、感光体ドラム106の周辺に、帯電装置107、現像装置108、クリーニング装置109及び除電装置110が配置されている。また、中間転写ベルト91を介して、感光体ドラム106に対向する位置に、一次転写装置111が設けられている。また、帯電装置107は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置107は、帯電ローラを感光体ドラム106に接触させて、感光体ドラム106に電圧を印加することにより、感光体ドラム106の表面を一様に帯電する。この帯電装置107としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置108は、現像剤中のトナーを感光体ドラム106上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置108は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置111は、感光体ドラム106上で可視化されたトナーを中間転写ベルト91に転写する。ここでは、一次転写装置111としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト91を挟んで感光体ドラム106に押し当てている。一次転写装置111としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置109は、感光体ドラム106上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置109としては、感光体ドラム106に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置109によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置108に回収され、再利用される。更に、除電装置110は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム106の表面電位を初期化する。
次に、本発明における定着液及び定着の具体例について説明する。
[具体例1]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 70wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸ナトリウム 5wt%
ミリスチン酸ナトリウム 3wt%
ステアリン酸ナトリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
なお、分散剤は、軟化剤の希釈溶媒への溶解性を助長するために用いた。
上記成分比にて、まずは、液温90℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、軟化剤を混合し、軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。なお、分散剤は、軟化剤等の溶解性を高めるための添加剤である。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
大気圧のもとではで気体となるガス(LPG)
5wt%
上記成分比にて大気開放用のアクチュエータ部とノズル部を有する密封容器に混合し、攪拌により大気圧のもとではで気体となるガスが分散したO/Wエマルジョン液を作製した(軟化剤は定着液に溶解状態)。
<塗布装置>
図11に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは25μmと40μmの2通り実施した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
ブレード:SUS製シート
紙搬送速度:200mm/s
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側10Nと200Nの2通り
<実施結果>
そして、高圧密封容器から噴射しフォーム状となった定着液を、チューブを通してブレードと塗布ローラの隙間に供給した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.07g/cm3であった。
図11において、塗布ローラとブレードとのギャップを25μmと40μmとした場合、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の液膜厚みと平均気泡径は下記の表1のようになった。なお、液膜厚みはドップラー方式レーザ変位計にて、平均気泡径は図16に示すように、塗布ローラ上の液膜の光学顕微鏡拡大写真にて測定した。
なお、塗布ローラ面の光学顕微鏡観察中、短時間(1分程度)では、フォーム状の定着液の著しい破泡はほとんど認められなかった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図11に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。また、塗布後の塗布ローラ上にメンディングテープを密着させて、メンディングテープへのトナー付着の有無により、塗布ローラ上のトナーオフセットの有無を判定した。更に、画像パターンとして、4色階調パターンを用い、画像流れや画像欠損などの画像乱れの有無を目視判定した。紙のカール性は紙端部の水平面からの高さが20mm以上の場合を不良として判定した。
なお、実施結果の判定基準は、以下のとおり(他の具体例及び比較例も同様)とした。
定着性(ウエス汚れの光学濃度); ○:光学濃度0.3以下 △:光学濃度0.3〜0.5 ×:光学濃度0.5以上
オフセット性(目視でテープへのトナー付着状態); ○:トナー付着ほぼなし △:薄っすらトナー付着あり ×:かなりのトナー付着あり
画像乱れ有無; ○:ほとんどなく良好 △:画像の一部に乱れ ×:画像全面に乱れ
カール; ○:20mm以下 △:20mm〜30mm ×:30mm以上
塗布ローラ片側加重が10Nと200Nの場合の、上記表1のフォーム状の定着液条件における定着性、オフセット性及び画像乱れ有無、紙のカール性を評価した結果を下記の表2に示す。
表2からわかるように、記録媒体と塗布ローラとの接触面の加圧力に応じて、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を適正に制御することで極めて良好な定着が可能である。
[具体例2]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 70wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸カリウム 5wt%
ミリスチン酸カリウム 3wt%
ステアリン酸カリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
上記成分比にて、まずは、液温90℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次ぎに、軟化剤を混合し、軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
大気圧のもとではで気体となるガス(LPG)
5wt%
上記成分比にて大気開放用のアクチュエータ部とノズル部を有する密封容器に混合し、攪拌により大気圧のもとではで気体となるガスが分散したO/Wエマルジョン液を作製した(軟化剤は定着液に溶解状態)。
<塗布装置>
具体例1と同じく、図11に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。
<実施結果>
そして、高圧密封容器から噴射しフォーム状となった定着液を、チューブを通してブレードと塗布ローラの隙間に供給した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.09g/cm3であった。
図11において、具体例1と同じ測定方法により、塗布ローラとブレードとのギャップを25μmと40μmとした場合、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の液膜厚みと平均気泡径は下記の表3のようになった。
なお、塗布ローラ面の光学顕微鏡観察中、短時間(1分程度)では、フォーム状の定着液の著しい破泡はほとんど認められなかった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図11に示す定着装置を用いてローラ塗布し、上記表3のフォーム状の定着液条件における定着性、オフセット性及び画像乱れ有無、紙のカール性を評価した結果を下記の表4に示す。
表4からわかるように、記録媒体と塗布ローラとの接触面の加圧力に応じて、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を適正に制御することで極めて良好な定着が可能である。
[具体例3]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 66wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:脂肪酸アミン(パルミチン酸原料5wt%、ミリスチン酸原料3wt%、ステアリン酸原料2wt%、トリエタノールアミン4wt%)
14wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
上記成分比にて、まずは、トリエタノールアミンを予め溶解したイオン交換水を液温90℃に加温し、パルミチン酸原料、ミリスチン酸原料及びステアリン酸原料をそれぞれ加えて起泡剤である脂肪酸アミンを作製した。その後、軟化剤を除いた残りの成分を混合攪拌し溶液を作製した。次ぎに、軟化剤を混合し、軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
大気圧のもとではで気体となるガス(LPG)
5wt%
上記成分比にて大気開放用のアクチュエータ部とノズル部を有する密封容器に混合し、攪拌により大気圧のもとではで気体となるガスが分散したO/Wエマルジョン液を作製した(軟化剤は定着液に溶解状態)。
<塗布装置>
具体例1と同じく、図11に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。
<実施結果>
そして、高圧密封容器から噴射しフォーム状となった定着液を、チューブを通してブレードと塗布ローラの隙間に供給した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.07g/cm3であった。
図11において、具体例1と同じ測定方法により、塗布ローラとブレードとのギャップを25μmと40μmとした場合、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の液膜厚みと平均気泡径は下記の表5のようになった。
なお、塗布ローラ面の光学顕微鏡観察中、短時間(1分程度)では、フォーム状の定着液の破泡はほとんど認められなかった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図11に示す定着装置を用いてローラ塗布し、上記表5のフォーム状の定着液条件における定着性、オフセット性及び画像乱れ有無、紙のカール性を評価した結果を表6に示す。
表6からわかるように、記録媒体と塗布ローラとの接触面の加圧力に応じて、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を適正に制御することで極めて良好な定着が可能である。
[比較例]
<定着液の処方>
起泡剤として脂肪酸塩の替わりに、ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレン系界面活性剤を用いた。
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 79wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:ポリオキシエチレン系界面活性剤(日本油脂)
1wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
上記成分比にて、まずは、液温25℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次ぎに、軟化剤を混合し、軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
大気圧のもとではで気体となるガス(LPG) 5wt%
上記成分比にて大気開放用のアクチュエータ部とノズル部を有する密封容器に混合し、攪拌により大気圧のもとではで気体となるガスが分散したO/Wエマルジョン液を作製した(軟化剤は定着液に溶解状態)。
<塗布装置>
具体例1〜3と同じく図11に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。
<実施結果>
そして、高圧密封容器から噴射しフォーム状となった定着液を、チューブを通してブレードと塗布ローラの隙間に供給した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.20g/cm3であった。
図11において、塗布ローラとブレードとのギャップを25μmと40μmとした場合、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の液膜厚みと平均気泡径は表3のようになった。なお、液膜厚み及び平均気泡径の測定は、具体例1と同じ測定とした。
なお、顕微鏡観察中、短時間(1分程度)で気泡が次々と破泡し、泡沫安定性が良くなかった。
具体例1と同様に、プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図11に示す定着装置を用いてローラ塗布し、上記表7のフォーム状の定着液条件における定着性、オフセット性及び画像乱れ有無、紙のカール性を評価した。結果を下記の表8に示す。
表8からわかるように、脂肪酸塩以外の起泡剤によるフォーム状の定着液では、記録媒体と塗布ローラとの接触面の加圧力に応じて、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を変えても著しいオフセットや画像乱れや紙のカールが発生する。
[具体例4]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 70wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
増粘剤:グリセリン 5wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸カリウム 5wt%
ミリスチン酸カリウム 3wt%
オレイン酸カリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
上記成分比にて、まずは、液温90℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次ぎに、軟化剤を混合し、軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
<塗布装置>
図12に示すような、密封容器にて攪拌羽根にて十分攪拌しフォーム状の定着液とした後、加圧しながら補給パッドから塗布ローラへフォーム状の定着液を供給した。塗布ローラ上には、ワイヤーバーを設け、液膜を制御した。ワイヤー径としては、0.1mmと0.2mmを用いた。攪拌羽根はホイッパーのごとくワイヤーを束ねた羽根を用いた。
<実施結果>
攪拌回転数は3000rpmとし、攪拌時間は1分とした。このとき、フォーム状の定着液のかさ密度は0.10g/cm3であった。
図12において、ワイヤーバーのワイヤー径を0.1mmと0.2mmとした場合、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の液膜厚みと平均気泡径は下記の表9のようになった。
なお、塗布ローラ面の光学顕微鏡観察中、短時間(1分程度)では、フォーム状の定着液の破泡はほとんど認められなかった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図12に示す定着装置を用いてローラ塗布し、上記表9のフォーム状の定着液条件における定着性、オフセット性及び画像乱れ有無、紙のカール性を評価した結果を下記の表10に示す。
表10からわかるように、記録媒体と塗布ローラとの接触面の加圧力に応じて、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を適正に制御することで極めて良好な定着が可能である。
[具体例5]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 58wt%
軟化剤: アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業社 KAK−DiBA) 7wt%
増粘剤:グリセリン 20wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(コミカドDEA)
2wt%
起泡剤:パルミチン酸カリウム 5wt%
ミリスチン酸カリウム 3wt%
オレイン酸カリウム 2wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 2wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
上記成分比にて、まずは、液温90℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次ぎに、軟化剤を混合し、軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
<塗布装置>
図12に示すような、密封容器にて攪拌羽根にて十分攪拌しフォーム状の定着液とした後、加圧しながら補給パッドから塗布ローラへフォーム状の定着液を供給した。塗布ローラ上には、ワイヤーバーを設け、液膜を制御した。ワイヤー径としては、0.1mmと0.2mmを用いた。攪拌羽根はホイッパーのごとくワイヤーを束ねた羽根を用いた。
<実施結果>
攪拌回転数は3000rpmとし、攪拌時間は1分とした。このとき、フォーム状の定着液のかさ密度は0.12g/cm3であった。
図12において、ワイヤーバーのワイヤー径を0.1mmと0.2mmとした場合、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の液膜厚みと平均気泡径は下記の表11のようになった。
なお、塗布ローラ面の光学顕微鏡観察中、短時間(1分程度)では、フォーム状の定着液の破泡はほとんど認められなかった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙(リコーT−6200)に、図12に示す定着装置を用いてローラ塗布し、上記表11のフォーム状の定着液条件における定着性、オフセット性及び画像乱れ有無、紙のカール性を評価した結果を下記の表12に示す。
表12からわかるように、記録媒体と塗布ローラとの接触面の加圧力に応じて、塗布ローラ上のフォーム状の定着液の膜厚を適正に制御することで極めて良好な定着が可能である。
なお、本発明は上記各実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。