JP2010266747A - 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Yuko Arisumi
夕子 有住
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重雄 竹内
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貴彦 松本
Fuminari Kaneko
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Toshiyuki Iseki
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Abstract

【課題】非加熱定着方式でのオフセット防止、及び記録媒体上のトナーのタックを軽減させる定着液を極めて低い密度になるように泡化し、紙等の媒体上のトナー等の樹脂微粒子を乱すことなく、且つこの樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残液感が発生しない程度の微量塗布が可能であり、定着性が良好な樹脂微粒子の定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置の提供。
【解決手段】本発明の定着液は、樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であって、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化させる軟化剤と、アニオン系界面活性剤と、溶媒と、ノニオン系水溶性樹脂とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、定着速度が速く、且つ高い定着画像品質を提供することができるため、好適に用いられている。
このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の大半は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されており、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギ)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。非加熱の定着方式として、溶剤による非加熱定着方式等が提案されている。しかしながら、溶剤による定着方式は、トナーを膨潤又は溶融させるプロセスを含んでいるため、熱定着方式におけるオフセット、及びタックの残存という課題が挙げられる。
上記のオフセットを防止するために、種々の方法が提案されている。第一の方法は、定着部材表層に高離型性材料からなるオフセット防止層を設けることで、定着部材表層の離型性を向上させる方法である。第二の方法は、定着部材表層にシリコーンオイル等の離型剤を塗布することで、定着部材の離型性を向上させる方法である。第三の方法は、記録媒体上に担持させた未定着画像のトナーと同極性の直流バイアスを定着部材に印加して、定着部材にトナーが付着することを防止する方法である。第四の方法は、何らかの摺擦クリーニング手段を設けて定着部材表層の付着トナーを除去する方法である。さらに、これらの方法等を組合せてオフセットを防止する方法がある。また、タックを無くす又は軽減させる手法としては、光や熱によるインクの硬化、又は剥離性部材のオーバーコート等が提案されている。
例えば、特許文献1〜3では、オフセット等を防止するため、上記の第一の手法、第二の手法及びその他を組み合わせた手法等が提案されている。しかしながら、これらの文献に記載の定着方法は、熱定着方式であるため、非加熱定着におけるオフセット及びタックの残存等の問題を解決することができない。
また、特許文献4及び5では、紫外光又は熱によるインクの硬化によりタックを無くすあるいは軽減する手法が提案されている。しかしながら、これらの文献に記載の手法では、熱定着方式を採用していることから、非加熱定着におけるオフセット及びタックの残存等の問題を解決できない。
特許文献6では、特定の水溶性樹脂を定着液へ添加することで、添加臭気の発生が少なく、トナー画像の乱れを抑制し、トナーを高速で定着させることが可能な定着液及びこの定着液を用いてトナーを定着させるトナーの定着装置を開示する。しかしながら、この文献に記載の水溶性樹脂を添加した場合、定着液の起泡性、泡沫安定性が著しく低下し、泡状の定着液を得ることが不可能となる。
特許文献7では、泡状の定着液を紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子に付与することにより、媒体上の樹脂微粒子層を乱すことなく、且つこの樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残液感が発生しない程度の微量塗布が可能としている。しかしながら、定着液塗布量が過多の画像部、例えば、同一サンプル上でトナー付着量が異なる場合においてはタックが残存してしまう。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、非加熱定着方式でのオフセット防止、及び記録媒体上のトナーのタックを軽減させる定着液を極めて低い密度になるように泡化し、紙等の媒体上のトナー等の樹脂微粒子を乱すことなく、且つこの樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残液感が発生しない程度の微量塗布が可能であり、定着性が良好な樹脂微粒子の定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、非加熱の定着方法として用いられる軟化剤とともに、アニオン系界面活性剤と、ノニオン系水溶性樹脂とを含有することにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であって、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化させる軟化剤と、アニオン系界面活性剤と、溶媒と、ノニオン系水溶性樹脂とを含むことを特徴とする定着液である。
<2> 軟化剤が、エステル化合物である前記<1>に記載の定着液である。
<3> エステル化合物が、脂肪族エステル又は炭酸エステルである前記<2>に記載の定着液である。
<4> アニオン系界面活性剤が、炭素数12〜18の脂肪酸塩である前記<1>から<3>のいずれかに記載の定着液である。
<5> アニオン系界面活性剤が、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩及び脂肪酸アミン塩から選択される1つ以上の脂肪酸塩を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載の定着液である。
<6> ノニオン系水溶性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂又はセルロース誘導体である前記<1>から<5>のいずれかに記載の定着液である。
<7> 樹脂微粒子が、トナーを構成する前記<1>から<6>のいずれかに記載の定着液である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚制御工程と、前記の所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与工程と、を含むことを特徴とする定着方法である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、前記泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与手段と、前記泡状定着液付与手段の接触面上の泡状定着液の膜厚を制御する膜厚制御手段と、を有することを特徴とする定着装置である。
<10> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記定着工程が、前記<8>に記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法である。
<11> 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、を有する画像形成装置であって、前記定着手段が、前記<9>に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置である。
<12> 樹脂微粒子を有するトナーを記録媒体に定着させる定着液であって、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化させる軟化剤と、アニオン系界面活性剤と、溶媒と、ノニオン系水溶性樹脂とを含み、且つ泡状化することを特徴とする定着液である。
<13> 軟化剤の含有量が、定着液の質量に対して、0.5質量%〜50質量%である前記<1>から<7>及び前記<12>のいずれかに記載の定着液である。
<14> アニオン系界面活性剤の含有量が、定着液の質量に対して、0.1質量%〜20質量%である前記<1>から<7>及び前記<12>から<13>のいずれかに記載の定着液である。
<15> アニオン系界面活性剤として、脂肪酸塩と脂肪酸とを組み合わせて用いられる前記<1>から<7>及び前記<12>から<14>のいずれかに記載の定着液である。
<16> ノニオン系水溶性樹脂の含有量は、定着液の質量に対して、0.05質量%〜20質量%である前記<1>から<7>及び前記<12>から<15>のいずれかに記載の定着液である。
<17> 表面張力が、20mN/m〜30mN/mである前記<1>から<7>及び前記<12>から<16>のいずれかに記載の定着液である。
<18> 泡状定着液付与手段が、曲面部を一部に有する前記<9>に記載の定着装置である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、非加熱定着方式でのオフセット防止、及び記録媒体上のトナーのタックを軽減させる定着液を極めて低い密度になるように泡化し、紙等の媒体上のトナー等の樹脂微粒子を乱すことなく、且つこの樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残液感が発生しない程度の微量塗布が可能であり、定着性が良好な樹脂微粒子の定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
なかでも、本発明による定着方法及び定着装置によると、定着装置の立ち上がり時間を短くでき、また安定して微量の塗布量で定着が可能となる。
また、本発明による画像形成方法によると、立ち上がり時間を短くでき、安定して微量の塗布量で定着が可能となると共に、紙等の媒体に定着不良のない画像形成が可能となる。
また、本発明による画像形成装置によると、定着不良やタック感を帯びた定着を起こすことがなく、定着信頼性が高くなると共に、余分な定着液の付与が低減するため、定着液の消費が削減でき、且つ非加熱にて従来に比べ極めて低電力定着が可能となる。
図1は、本発明による定着液付与後の樹脂微粒子の定着の様子を示す概略断面図である。 図2は、泡状定着液の構成を示す概略断面図である。 図3は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。 図4Aは、本発明による定着装置における膜厚制御手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。 図4Bは、本発明による定着装置における膜厚制御手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。 図5Aは、膜厚制御用ブレードを用いた泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚制御の様子を示す概略図である。 図5Bは、膜厚制御用ブレードを用いた泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚制御の様子を示す概略図である。 図6は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。 図7は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。 図8Aは、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 図8Bは、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 図9Aは、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略断面図である。 図9Bは、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
(定着液)
本発明による定着液は、トナー等の樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化させる軟化剤と、アニオン系界面活性剤と、溶媒と、ノニオン系水溶性樹脂とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明において、図1に示すように、後述する泡状定着液生成手段によって定着液を泡で構成された泡状定着液14とすることで、定着液のかさ密度を低くできると共に塗布ローラ11上の定着液層を厚くすることができ、更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、塗布ローラ11への樹脂微粒子のオフセットを防止できる。
ここで、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を、図面を参照しながら説明する。図9A及び9Bは、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略図であって、図9Bは、図9Aを部分的に拡大した図である。これら図を参照すると、定着液層84が液体の形態である場合、塗布ローラー81上の定着液層84の液面にはローラー面に沿って強い表面張力が働いている。更に、塗布ローラー81上の定着液層内部には塗布ローラーの移動方向に内部流が生じている。このため、塗布ローラー81上の定着液層の厚みがトナー層と同等かそれ以下の薄い層である場合、未定着トナー層83を塗布ローラー81の表面に引っ張り込むように表面張力が強く働き、また上記の内部流も塗布ローラー面に沿ってトナーを運ぶように働くため、塗布ローラー81に未定着トナーが固着/付着し、トナーオフセットが生じてしまう。塗布ローラー81上の定着液層がトナー層よりも2倍以上に厚くなると、この液体の表面張力や内部流の影響はトナーへ及ぼしにくくなるため、塗布ローラー81上の定着液層が厚い場合は、トナーオフセットが低減する。逆に、樹脂微粒子のオフセットが生じない均一塗布には、塗布ローラー81の表面に定着液層がある程度厚くする必要があることを意味している。一方、塗布後の媒体上の樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが定着応答性や残液感やカール防止に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。塗布する際は定着液層の厚みが厚くて層の体積が多く、且つ塗布後の媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、定着液の密度が低ければよく、塗布時に体積が多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。
本発明では、上記のような構成を採用することで、定着時の樹脂微粒子のオフセットを防止することができる。
更に、樹脂微粒子の平均粒径が5μm〜10μm程度の場合、記録媒体12上の樹脂微粒子層13を乱すことなく泡状定着液14を樹脂微粒子層13に付与するには、泡状定着液14の泡径範囲が、5μm〜50μmであることが好ましい。なお、図2に示すように、気泡22で構成された泡状定着液20は、気泡22のそれぞれを区切る液膜境界21から構成される。
<軟化剤>
軟化剤は、後述のトナーを構成する樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解乃至膨潤させることで樹脂を含有する樹脂微粒子を軟化させる限り、特に制約はなく、エステル化合物が挙げられる。なかでも、溶解性乃至膨潤性に優れている点で、エステル化合物であることが好ましい。このエステル化合物のなかでも、樹脂の軟化能力が優れている点、又は後述する起泡剤としてのアニオン系界面活性剤による起泡性の阻害の程度が低い点で、脂肪族エステル又は炭酸エステルが、より好ましい。
軟化剤は、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましく、5g/kg以上であることがより好ましい。軟化剤として、前記の脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高いものであることから、さらに好ましい。
また、記録媒体に対する樹脂微粒子としてのトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤は、トナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。この点で、軟化剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。前記の脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し刺激臭を持たない点で、より好ましい。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を臭気の指標としてもよい。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も、軟化剤と同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
−脂肪族エステル−
前記の脂肪族エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであってもよい。
−−飽和脂肪族エステル−−
前記の脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルである場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解等に対する耐性)を向上させることができる。また、前記の飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内等の短時間で溶解乃至膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解乃至膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
本発明による定着液において、好ましくは、前記の飽和脂肪族エステルの一般式は、RCOORで表される化合物であってもよく、ここでRは、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rは、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、前記の飽和脂肪族エステルが、一般式RCOORで表される化合物であり、Rが、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rが、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式RCOORで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
−−脂肪族モノカルボン酸エステル−−
前記の脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族モノカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸エステル−−
前記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルであってもよい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが好ましい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の軟化剤を添加することによって、トナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させることができるため、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
本発明による定着液において、好ましくは、前記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、R(COORで表される化合物であって、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基であってもよい。R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
前記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R(COORで表される化合物であって、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂微粒子に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式R(COORで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
前記の脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族ジカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル−−
更に、本発明による定着液において、前記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであることが好ましい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルである場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明による定着液に含まれる軟化剤において、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物であって、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基であってもよい。R、R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物であって、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式R(COOR−O−Rで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジカルビトール、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
−炭酸エステル−
軟化剤の一例である炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
また、前記以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物等が挙げられる。
軟化剤の含有量は、定着液の質量に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましい。含有量が、0.5質量%未満であると、トナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させる効果が不十分になることがあり、50質量%を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
<アニオン系界面活性剤>
本発明による定着液に含まれるアニオン系界面活性剤(以下、起泡剤とも称する。)としては、定着液の泡状化を引き起こす、いわゆる起泡剤として用いられるものであれば、特に制約はなく、優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができる。アニオン系界面活性剤としては、飽和若しくは不飽和の脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩若しくはアルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、又はモノアルキルリン酸塩等のリン酸塩が挙げられる。
−脂肪酸塩−
アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩又は脂肪酸アミン塩であることが好ましく、脂肪酸アミン塩であることがより好ましい。これらの脂肪酸塩の製造方法としては、特に制約はなく、例えば、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで製造してもよい。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩とを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
アニオン系界面活性剤として用い得る不飽和脂肪酸塩としては、特に制約はないが、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸塩が好ましい。具体的には、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩が挙げられる。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を一種単独又は二種以上を混合して起泡剤として用いてもよい。また、上記の飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩とを混合して起泡剤として用いてもよい。
軟化剤は、消泡作用が強く、定着液中で軟化剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、なかなか起泡しなくなり、泡が直ぐに破泡するため、泡密度の低い泡状定着液を得ることができなくなることがある。
そこで、定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性が劣化してしまうことを解消するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行ったところ、起泡剤として炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しないことを見出した。これにより、安定した泡状定着液を提供できる。
ここで、定着液に含まれるアニオン系界面活性剤において、脂肪酸塩の炭素数としては、単に水を起泡する場合と比較して起泡性に優れている点で、12〜18であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸塩(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸塩(炭素数18)が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として用いられる脂肪酸塩と共に用いられる脂肪酸と、軟化剤との作用について説明する。軟化剤としてエステル化合物を用いた場合、エステル化合物はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基とが定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させると考えられる。
アニオン系界面活性剤として用い得る炭素数12〜18の脂肪酸塩において、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、この脂肪酸塩としては、単独の脂肪酸塩を用いてもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩であって異なる炭素数を有する複数の脂肪酸塩を混合する方がより好ましい。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1、0:4:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1等が適する。
アニオン系界面活性剤の含有量は、定着液の質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、起泡性が不十分になることがあり、20質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで、軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。軟化剤の濃度として、10質量%未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性に問題はない。しかし、軟化剤の濃度が10質量%以上、特に軟化剤の濃度が30質量%以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる場合がある。起泡性が悪くなった場合であっても、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる場合がある。このような場合、起泡性が優れている点で、脂肪酸塩のモル数は、脂肪酸のモル数以上のモル数としてもよく、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲としてもよい。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩との組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンであり脂肪酸がステアリン酸である組合せや、脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムであり脂肪酸がステアリン酸である組み合わせのように、炭素数が12〜18の範囲で脂肪酸塩と脂肪酸との炭素数が異なる組合せであってもよい。炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、起泡性が悪化するのを防止し得る点で、他のアニオン系界面活性剤(例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES))を起泡剤とし、炭素数12〜18の脂肪酸をさらに含有してもよい。
<ノニオン系水溶性樹脂>
本発明による定着液は、アニオン系界面活性剤による起泡性を阻害せず、また、樹脂微粒子を有するトナーのオフセット防止、及び記録媒体上のトナーのタックを軽減させることを目的として、ノニオン系水溶性樹脂を含む。オフセット、及び記録媒体上トナーのタック残存は、トナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させた状態であることにより生じる、樹脂のタックによっておこる。水溶性樹脂は、定着液中では分散性よく溶解しているが、記録媒体上トナーへ塗布されると、トナー層表面に留まり、光沢を増強しつつ、トナー層表面積を減少させ樹脂のタックを軽減できる。ノニオン系水溶性樹脂であれば、定着液のpHにほとんど影響を与えず、アニオン系界面活性剤の起泡性を阻害することなく、オフセット防止、及び記録媒体上のトナーのタックを軽減させることができる。
ノニオン系水溶性樹脂としては、常温、常圧で固体であり、上記の目的を満たすものであれば、特に制約はなく、ポリビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂又はセルロース誘導体であることが好ましい。これらのポリビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂又はセルロース誘導体としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレンオキサイドアルキルエーテル、ポリエチレンオキサイドアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
ノニオン系水溶性樹脂の含有量は、定着液の質量に対して、0.05質量%〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。含有量が、0.05質量%未満であると、タックを十分に抑制することができないことがあり、20質量%を超えると、起泡性が劣化するため適さない。
<溶媒>
本発明による定着液に含まれる溶媒としては、特に制約はなく、例えば、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、等が好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
溶媒として水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加してもよく、なかでも、定着液の表面張力を20mN/m〜30mN/mとすることが好ましい。前記アルコール類としては、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする点で、例えばセタノール等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
溶媒は、浸透性改善や紙等媒体のカール防止と目的として、油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成であることも好ましい。この油性成分としては、公知の種々の材料を用いることができる。油性成分を含有する溶媒の場合、分散剤を用いてエマルジョンを形成してもよく、このエマルジョンの形成に用いる分散剤としては、公知の種々の材料を用いることができるが、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖エステル等が好ましい。
分散剤を用いて定着液をエマルジョンの形態に分散させる方法として、特に制約はなく、公知の種々の方法を用いればよい。例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。なかでも、定着液中の軟化剤に強いせん断応力を加える方法であることが好ましい。
<樹脂微粒子>
本発明において、樹脂微粒子としては、樹脂からなる微粒子の形態のものであれば、その構成、材料に制約はない。また、樹脂微粒子は、電子写真用等の各種トナーを構成してもよく、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。
樹脂微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着に対する効果が高い。
本発明において、トナーとしては、樹脂微粒子を有する限り、特に制約はなく、例えば、着色剤と、帯電制御剤と、結着樹脂と、離型剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるものであってもよい。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料のなかから目的に応じて適宜選択することができる。
帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものから目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、等が挙げられる。
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカルバナウワックスやポリエチレン等のワックス成分等が挙げられる。
前記のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
<泡状化>
本発明による定着液は、後述の所定の手段によって泡状化して用いられる。泡状化することで、上記図9A及び9Bで言及したような表面張力と内部流とのバランスにより、オフセットが発生しにくくなる。ここで、本発明による定着液の表面張力としては、上記した通り、20mN/m〜30mN/mであることが好ましい。
泡状化された本発明による定着液は、撥水性処理されたトナー粒子に対して、十分な親和性を有することが好ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。即ち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20mN/m〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20mN/m〜30mN/mであることが好ましい。
<記録媒体>
本発明において、記録媒体としては、トナー等を構成する樹脂微粒子を定着させ得るものであれば、特に制約はない。なかでも、記録媒体としては、定着液に対して浸透性を有するものであることが好ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が好ましい。記録媒体の形態としては、特に制約はなく、シート状の他、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙等の媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護したもの(いわゆる、ニスコート)であってもよい。記録媒体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布等を構成する一般的な繊維、液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルム、金属、樹脂、セラミックスが挙げられる。
<その他の成分>
<<溶解助剤>>
本発明による定着液は、定着液中の軟化剤を溶解する目的で、溶解助剤を含有してもよい。溶解助剤としては、軟化剤を溶解させ得るものであれば、特に制約はなく、多価のアルコール類が挙げられる。この多価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが挙げられる。なかでも、軟化剤が高濃度でも溶解可能であり且つアニオン系界面活性剤の起泡性を劣化させない点で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールであることが好ましい。前記多価のアルコール類の含有量は、定着液の質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。含有量が30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さず、1質量%未満では、定着液中の軟化剤濃度が高くなると希釈溶液である水に軟化剤が溶解しにくくなる場合がある。
<<増泡剤>>
本発明による定着液は、泡状化されて、後述の泡状定着液として、樹脂微粒子の定着に用いられるところ、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで、本発明による定着液は、このような現象を抑え泡沫安定性を向上させる目的で、増泡剤をさらに有してもよい。増泡剤としては、特に制約はないが、脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましく、泡沫安定性の点で、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型であることがより好ましい。増泡剤の含有量としては、定着液の質量に対して、0.01質量%〜3質量%であることが好ましい。
(定着方法及び定着装置)
本発明による定着方法は、泡状定着液生成工程と、膜厚制御工程と、泡状定着液付与工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明による定着装置は、泡状定着液生成手段と、泡状定着液付与手段と、膜厚制御手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明による定着方法は、本発明による定着装置により好適に実施することができ、泡状定着液生成工程は、泡状定着液生成手段により行うことができ、膜厚制御工程は、膜厚制御手段により行うことができ、泡状定着液付与工程は、泡状定着液付与手段により行うことができ、前記のその他の工程は、前記のその他の手段により行うことができる。
<泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段>
泡状定着液生成工程は、本発明による定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する工程であり、泡状定着液生成手段により実施される。
本発明による定着方法及び定着装置において、泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段としては、上記の本発明による定着液を泡状化して泡状定着液を生成し得るものであれば、特に制約はない。その一態様について、図3を参照して、説明する。
図3は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。図3に示す泡状定着液生成手段30は、上記の本発明による定着液等の液状定着液32を貯留する定着液容器31と、液状定着液32を液搬送する液搬送パイプ34と、液搬送するための駆動を得る搬送ポンプ33と、気体と液体とを混合する気体・液体混合部35と、液状定着液32を泡状化して所望の泡状定着液を得る泡生成部38とを有する。
定着液容器31に貯留された液状定着液32は、搬送ポンプ33の駆動力によって液搬送パイプ34を液搬送され、気体・液体混合部35へと送られる。搬送ポンプとしては、液状定着液を液搬送し得るものであれば、特に制約はなく、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが好ましい。ギヤポンプ等の振動機構や回転機構があると、ポンプ内で定着液が起泡し、定着液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
気体・液体混合部35には、空気口36が設けられ、液の流れとともに、空気口36に負圧が発生し、空気口36から気体が気体・液体混合部35に導入され、液体と気体が混合される。更に、微小孔シート37を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30μm〜100μmが好ましい。図3の微小孔シート37に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30μm〜100μmを有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も好ましい。
次に、空気と混合された液状定着液32は、所望の泡状定着液を得る泡生成部38に送液される。泡生成部38において、空気と混合された液状定着液32には、せん断力が加えられ、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化される。泡生成部38の構成としては、このように行われ得るものであれば、特に制約はないが、閉じた二重円筒で、内側円筒が回転可能な構成とし、外部円筒の一部より、大きな泡状定着液を供給し、内部の回転する円筒と外部円筒との隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受けるような構成であってもよい。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。また、内側円筒にらせん状の溝を設けて、円筒内での液搬送能力を高くしてもよい。
定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液容器内で泡状である必要はない。定着液容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が好ましい。これは、定着液容器では液体であり容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
本発明による定着液は、泡状化され、泡状化された定着液からなる泡状定着液層の厚みは、定着される樹脂微粒子層の厚みに応じて、記録媒体面全体に対し後述するように泡状定着液付与手段の面において、制御される。例えば樹脂微粒子がトナーを構成し、記録媒体上にカラー画像や白黒文字が混在する場合、記録媒体面全体を同じ厚みの泡状定着液層で付与すると、カラー写真画像のような厚いトナー層では、定着不良や画像抜けが生じたり、白黒文字部に粘着感が生じて印刷物同士がくっついたりする部分不具合が生じる場合がある。以下に、その不具合の原因について詳細に説明する。
一般的に0.5mm〜1mm程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、且つすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5μm〜50μm程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることを見出した。この点、上記のような泡状定着液生成手段30の構成は、これを実現するために好ましい態様である。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部とを組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5μm〜50μmの微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
<膜厚制御工程及び膜厚制御手段>
本発明による定着方法における膜厚制御工程は、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する工程であり、膜厚制御手段により実施される。
膜厚制御手段としては、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば膜厚制御用ブレード、ブレードと塗布ローラとの組み合わせが挙げられる。なお、膜厚制御工程及び膜厚制御手段の態様については、後述する。
<泡状定着液付与工程及び泡状定着液付与手段>
本発明による定着方法における泡状定着液付与工程は、所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する工程であり、泡状定着液付与手段により実施される。
図4A及び図4Bは、本発明による定着装置における膜厚制御手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。図4Aに示す本発明の定着装置40は、上述した泡状定着液生成手段30によって生成された所望の微小な泡の泡状定着液を、トナー等を構成する樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層(トナー粒子層)へ付与するための塗布ローラ41と、塗布ローラ面に所望の微小な泡の泡状定着液の膜厚を、記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて制御し、泡状定着液の最適な膜厚の制御を行う膜厚制御手段である膜厚制御用ブレード42と、塗布ローラ41と対峙する位置に加圧ローラ43とを有する。未定着トナー(樹脂微粒子からなるもの)を表面上に有する記録媒体は、塗布ローラ41と加圧ローラ43とからなるニップ部を通過する。一方、泡状定着液生成手段30で生成された泡状定着液は、膜厚制御用ブレード42によって膜厚制御され、所望の厚みの泡状定着液層として塗布ローラ41に配置される。このように塗布ローラ41上に形成された泡状定着液層は、未定着トナーを有する記録媒体のニップ部の通過に同期して、未定着トナー上に付与される。
また、図4Bは、塗布ローラ41及び膜厚制御用ブレード42を拡大した概略図であって、泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラ41上には、泡状定着液の層が記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて膜厚制御手段である膜厚制御用ブレード42を通じて形成される。この膜厚制御手段である膜厚制御用ブレード42によって泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間に対して最適化した定着液層の膜厚となる。所望の微小な泡の泡状定着液は、上記のように、大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され、液供給口より塗布ローラ41と膜厚制御手段である膜厚制御用ブレード42との間に滴下される。
泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚制御は、図5A及び図5Bに示すように、塗布ローラ41とギャップを設けた膜厚制御用ブレード42を用い、図5Aに示すように膜厚を薄くするときはギャップを狭くし、図5Bに示すように膜厚を厚くするときはギャップを広くするように行ってもよい。ギャップの制御は、膜厚制御用ブレード42の端部に、駆動可能な回転軸を用い、トナー層の厚さや環境温度等、更には泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調整するための最適な膜厚を制御してもよい。
泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラの形状、構造、大きさ及び材質としては、泡状定着液を付与し得る限り、特に制約はないが、曲面部を少なくともその表面の一部に有するものであることが好ましい。
膜厚制御用ブレードとしては、図5A及び図5Bの膜厚制御用ブレードのほかに、ワイヤーバーであってもよい。ワイヤーバーによって、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みを制御し、泡状定着液は、上記のごとく、大きな泡を生成する大きな泡生成部とその大きな泡をせん断力で分泡する微小な泡生成部とを有する泡状定着液生成手段によって生成され、液供給口より、膜制御ワイヤーバーと塗布ローラとの間に滴下する。ワイヤーバーを膜厚制御手段として用いることで、ブレードに比べ、塗布ローラ面の軸方向の泡状定着液膜均一性が向上する。
泡状定着液のかさ密度としては、0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲が好ましい。更に、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、0.01g/cm〜0.02g/cmが好ましく、0.02g/cm以下がより好ましい。なぜならば、図4A及び図4Bの塗布ローラ41のように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、記録媒体上の微粒子層の厚み以上であることが必須条件で(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが好ましい。一方、記録媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)を生じさせないためには、定着液付着量として、記録媒体の単位面積当たり、0.1mg/cm以下が好ましい。このことから、泡のかさ密度としては、0.0125g/cm〜0.02g/cmの範囲が好ましく、0.02g/cm以下の泡の密度がより好ましい。
図6は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。図6に示す実施の形態の定着装置40において、加圧ローラ43は、弾性層として弾性多孔質体(以下、スポンジ素材とも称する。)を用いて構成してもよい。泡状定着液がトナー等の樹脂微粒子層を浸透して紙等の媒体まで到達した後に塗布ローラと樹脂微粒子層とが剥離するようにニップ時間のタイミングを取る必要がある。この点、スポンジ素材からなる加圧ローラ43は、ニップ時間として50ミリ秒〜300ミリ秒の範囲を確保し、且つ弱い加圧力で大きく変形可能であることから、好ましい。
なお、ニップ時間は、ニップ時間=ニップ幅/紙の搬送速度により算出される。紙の搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、記録媒体を塗布ローラ41及び対峙する加圧ローラ43に挟んで加圧(各ローラは回転させない状態で)し、記録媒体に着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。
記録媒体の搬送速度に応じてニップ幅を調整することで、ニップ時間を泡状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。図6に示す例では、加圧ローラ43を弾性層としてスポンジ素材とすることで、記録媒体の搬送速度に応じて、塗布ローラ41と加圧ローラ43との軸間距離を変更しニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムを加圧ローラ43の素材として用いてもよいが、スポンジは弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ41の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
なお、定着液中には軟化剤が含有されており、スポンジ素材で形成された加圧ローラに定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化等の不具合が発生する恐れがある。そのため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が好ましい。また、スポンジ素材を用いた加圧ローラは、可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。スポンジ素材が軟化剤で劣化する素材であっても、軟化剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、特に制約はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂の多孔質体が挙げられる。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、可撓性を有する限り、特に制約はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
図6において、塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とが常時接触している構成の場合、記録媒体が搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液が加圧ローラ43に付着し汚す恐れがある。これを防止するため、塗布ローラ41からみて記録媒体の搬送方向の上流に紙先端検知手段(不図示)を設け、先端検知信号に応じて、記録媒体の先端から後方にのみ泡状定着液が塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液を形成することが好ましい。
図6に記載の定着装置40は、待機時は塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とはそれぞれ離れており、図示していない駆動機構により、塗布時のみ、記録媒体の先端検知手段に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを接触させる構成であることも好ましい。また、図6に記載の定着装置40は、記録媒体の後端検知も行い、記録媒体の後端検知信号に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを離すように構成することも好ましい。
図7は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。図7に示す実施の形態の定着装置40は、図6の加圧ローラ43の代わりに加圧ベルト44を用いたものである。大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され液供給口より所望の泡径を有する泡状定着液を、膜厚制御手段である膜厚制御用ブレード42の供給口へチューブ等を用いて供給する。そして、膜厚制御手段の膜厚制御用ブレード42と塗布ローラ41とのギャップを調整して塗布ローラ41上の泡状定着液の層膜厚を制御し、泡状定着液の最適膜厚の制御を行う。加圧ベルト44の材料としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイル等の基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いてもよい。
このように、ベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。したがって、ベルトを用いる構成としては、図7に限らず、塗布ローラをベルトとし、加圧手段をベルトではなくローラとする構成も好ましい。また、塗布側又は加圧側の少なくとも一方をベルトとする構成とすることで容易にニップ幅を広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることがない。また、ニップ時間と紙の搬送速度とが同様であると、紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤によって溶解乃至膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解乃至膨潤したトナーを加圧することによって、溶解乃至膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解乃至膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明による画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明による画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明による画像形成方法は、本発明による画像形成装置により好適に実施することができ、静電潜像形成工程は、静電潜像形成手段により行うことができ、現像工程は、現像手段により行うことができ、転写工程は、転写手段により行うことができ、定着工程は、定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程>
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」、「像担持体」とも称する。)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のもののなかから適宜選択することができる。その形状としては、ドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体が挙げられる。これらのなかでも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
帯電は、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた、それ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器が好ましい。
露光は、例えば、露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が好ましい。なお、本発明において、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段>
現像工程は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像することにより行うことができ、現像手段により行うことができる。
現像手段は、例えば、トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のもののなかから適宜選択することができ、例えば、トナーを収容し、静電潜像にトナーを有する現像剤を接触的又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものが好適に挙げられる。
現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視像が形成される。
<転写工程及び転写手段>
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程であって、特に制約はないが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、この可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。また、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、この複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
転写は、例えば、転写帯電器を用いて静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、転写手段により行うことができる。転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、この複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体のなかから適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
転写手段(第一次転写手段、第二次転写手段)は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる、転写器を少なくとも有するものが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
なお、記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)のなかから適宜選択することができ、上記の本発明による定着液で説明したものを用いてもよい。
定着工程は、記録媒体に転写された転写像を定着させる工程であり、本発明による定着方法により行われてもよい。
定着手段は、記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であり、本発明による定着装置を用いて行われてもよい。
<その他の工程及び手段>
<<除電工程及び除電手段>>
除電工程は、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
除電手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器のなかから適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
<<クリーニング工程及びクリーニング手段>>
クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
クリーニング手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体上に残留する電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナのなかから適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
<<リサイクル工程及びリサイクル手段>>
リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
<<制御工程及び制御手段>>
制御工程は、本発明による画像形成方法の各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
制御手段としては、本発明による画像形成装置の各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明による画像形成方法を用いて、樹脂微粒子からなるトナーの画像を記録媒体に形成してもよい。したがって、この本発明の一実施の形態例の画像形成装置によれば、それぞれ、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
ここで、図8A及び図8Bは、本発明による画像形成装置の構成を示す概略図であって、図8Aは、カラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図8Bは図8Aの画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図8A及び図8Bに示す画像形成装置50は、複写機又はプリンタであってもよい。
図8A及び図8Bに示す画像形成装置50は、トナー像担持体として中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は、3つの支持ローラ52〜54に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。中間転写ベルト51に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット55〜58が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト51の支持ローラ54に対向する位置には、二次転写装置59が設けられている。二次転写装置59は、2つの支持ローラ60,61の間に張架された二次転写ベルト62で構成されている。なお、二次転写装置59としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト51の支持ローラ52に対向する位置には、ベルトクリーニング装置63が配置されている。ベルトクリーニング装置63は、中間転写ベルト51上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙64は、一対の給紙ローラ65で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙64に転写する際に、二次転写ベルト62を中間転写ベルト51に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙64は、二次転写ベルト62によって搬送され、記録紙64に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいて泡状の定着液の膜厚を制御する、本発明による定着装置によって定着される。即ち、記録紙64に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいて泡状定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明における泡状定着液が付与され、泡状定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙64に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図8Bに示すように、画像形成ユニット55〜58には、感光体ドラム66の周辺に、帯電装置67、現像装置68、クリーニング装置69及び除電装置70が配置されている。また、中間転写ベルト51を介して、感光体ドラム66に対向する位置に、一次転写装置71が設けられている。また、帯電装置67は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置であってもよい。帯電装置67は、帯電ローラを感光体ドラム66に接触させて、感光体ドラム66に電圧を印加することにより、感光体ドラム66の表面を一様に帯電する。帯電装置67としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置68は、現像剤中のトナーを感光体ドラム66上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。
ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂微粒子からなり、これらの樹脂微粒子は、本発明による定着液により溶解乃至膨潤する。なお、現像装置68は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置71は、感光体ドラム66上で可視化されたトナーを中間転写ベルト51に転写する。ここでは、一次転写装置71としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト51を挟んで感光体ドラム66に押し当てている。一次転写装置71としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置69は、感光体ドラム66上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置69としては、感光体ドラム66に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置69によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置68に回収され、再利用される。更に、除電装置70は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム66の表面電位を初期化する。
本発明による画像形成方法及び画像形成装置は、本発明による定着液、定着方法及び定着装置を用いているので、定着性が良好で紙等の記録媒体がカールすることなく、高品質な画像が形成できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
(製造例1)
−起泡剤(アニオン系界面活性剤)1の調製−
ミリスチン酸(関東化学株式会社製、試薬)、パルミチン酸(関東化学株式会社製、試薬)及びステアリン酸(関東化学株式会社製、試薬)の質量比を4:3:1とした脂肪酸と、中和剤であるトリエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)とのモル比が1:0.7になるように計量し、これらを液温80℃のイオン交換水中で、30分間撹拌し、室温になるまで放冷して、脂肪酸トリエタノールアミン塩を調製した。
(製造例2)
−起泡剤(アニオン系界面活性剤)2の調製−
製造例1において、中和剤として、トリエタノールアミンに代えて、ジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)を用いた以外は、製造例1と同様にして、脂肪酸ジエタノールアミン塩を調製した。
(製造例3)
−起泡剤(アニオン系界面活性剤)3の調製−
製造例1において、中和剤として、トリエタノールアミンに代えて、水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬)を用いた以外は、製造例1と同様にして、脂肪酸ナトリウム塩を調製した。
(製造例4)
−起泡剤(アニオン系界面活性剤)4の調製−
製造例1において、中和剤として、トリエタノールアミンに代えて、水酸化カリウム(関東化学株式会社製、試薬)を用いた以外は、製造例1と同様にして、脂肪酸カリウム塩を調製した。
(実施例1)
−定着液1の作製−
下記表1の通り、下記の成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)1を調製した。
プロピレンカーボネート(軟化剤) 40質量%
(関東化学株式会社製、試薬)
プロピレングリコール(溶解助剤) 10質量%
(関東化学株式製、試薬)
脂肪酸トリエタノールアミン塩(起泡剤1) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリビニルアルコール(ノニオン系水溶性樹脂) 3.0質量%
(電気化学工業株式会社製、デンカポバールK−05)
イオン交換水(希釈剤) 42.5質量%
(実施例2)
−定着液2の作製−
下記表1の通り、下記の成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)2を調製した。
プロピレンカーボネート(軟化剤) 40質量%
(関東化学株式会社製、試薬)
ジプロピレングリコール(溶解助剤) 10質量%
(関東化学株式製、試薬)
脂肪酸ジエタノールアミン塩(起泡剤2) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリエチレンオキサイド(ノニオン系水溶性樹脂) 1.0質量%
(明成化学工業株式会社製、アルコックスL−11)
イオン交換水(希釈剤) 44.5質量%
(実施例3)
−定着液3の作製−
下記表1の通り、下記の成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)3を調製した。
プロピレンカーボネート(軟化剤) 40質量%
(関東化学株式会社製、試薬)
プロピレングリコール(溶解助剤) 10質量%
(関東化学株式製、試薬)
脂肪酸ナトリウム塩(起泡剤3) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
メチルセルロース(ノニオン系水溶性樹脂) 5.0質量%
(巴工業株式会社製、メセロースPMC−15U(S))
イオン交換水(希釈剤) 40.5質量%
(実施例4)
−定着液4の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)4を調製した。
アジピン酸ビス(2−メトキシエチル)(軟化剤) 25質量%
(東京化成株式会社製、試薬)
ジプロピレングリコール(溶解助剤) 14質量%
(関東化学株式会社製、試薬)
脂肪酸ジエタノールアミン塩(起泡剤2) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリエチレンオキサイド(ノニオン系水溶性樹脂) 1.0質量%
(明成化学工業株式会社製、アルコックスL−11)
イオン交換水(希釈剤) 55.5質量%
(実施例5)
−定着液5の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)5を調製した。
コハク酸ジカルビトール(軟化剤) 30質量%
(高級アルコール工業株式会社製、試薬)
脂肪酸トリエタノールアミン塩(起泡剤1) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリビニルアルコール(ノニオン系水溶性樹脂) 3.0質量%
(電気化学工業株式会社製、デンカポバールK−05)
イオン交換水(希釈剤) 62.5質量%
(実施例6)
−定着液6の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)6を調製した。
コハク酸ジカルビトール(軟化剤) 30質量%
(高級アルコール工業株式会社製、試薬)
脂肪酸ナトリウム塩(起泡剤3) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリエチレンオキサイド(ノニオン系水溶性樹脂) 1.0質量%
(明成化学工業株式会社製、アルコックスL−11)
イオン交換水(希釈剤) 64.5質量%
(実施例7)
−定着液7の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)7を調製した。
コハク酸ジカルビトール(軟化剤) 30質量%
(高級アルコール工業株式会社製、試薬)
脂肪酸カリウム塩(起泡剤4) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
メチルセルロース(ノニオン系水溶性樹脂) 5.0質量%
(巴工業株式会社製、メセロースPMC−15U(S))
イオン交換水(希釈剤) 60.5質量%
(実施例8)
−定着液8の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)8を調製した。
トリエチレングリコールジアセタート(軟化剤) 30質量%
(東京化成株式会社製、試薬)
脂肪酸ジエタノールアミン塩(起泡剤2) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリビニルアルコール(ノニオン系水溶性樹脂) 3.0質量%
(電気化学工業株式会社製、デンカポバールK−05)
イオン交換水(希釈剤) 62.5質量%
(実施例9)
−定着液9の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)9を調製した。
トリエチレングリコールジアセタート(軟化剤) 30質量%
(東京化成株式会社製、試薬)
脂肪酸カリウム塩(起泡剤4) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリエチレンオキサイド(ノニオン系水溶性樹脂) 1.0質量%
(明成化学工業株式会社製、アルコックスL−11)
イオン交換水(希釈剤) 64.5質量%
(実施例10)
−定着液10の作製−
下記表1の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液(泡状化前の原液)10を調製した。
トリエチレングリコールジアセタート(軟化剤) 30質量%
(東京化成株式会社製、試薬)
n−ドデシル硫酸ナトリウム(起泡剤) 4.0質量%
(関東化学株式会社製、試薬)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
メチルセルロース(ノニオン系水溶性樹脂) 5.0質量%
(巴工業株式会社製、メセロースPMC−15U(S))
イオン交換水(希釈剤) 60.5質量%
(比較例1)
−比較定着液1の作製−
下記表2の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、比較定着液(泡状化前の原液)1を調製した。
プロピレンカーボネート(軟化剤) 40質量%
(関東化学株式会社製、試薬)
プロピレングリコール(溶解助剤) 10質量%
(関東化学株式製、試薬)
脂肪酸トリエタノールアミン塩(起泡剤1) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
カルボキシメチルセルロース(アニオン系水溶性樹脂) 5.0質量%
(日本製紙ケミカル株式会社製、サンローズA)
イオン交換水(希釈剤) 40.5質量%
(比較例2)
−比較定着液2の作製−
下記表2の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、比較定着液(泡状化前の原液)2を調製した。
コハク酸ジカルビトール(軟化剤) 30質量%
(高級アルコール工業株式会社製、試薬)
脂肪酸ジエタノールアミン塩(起泡剤2) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
ポリアクリルアミド(水溶性樹脂) 5.0質量%
(住友化学株式会社製、試薬)
イオン交換水(希釈剤) 60.5質量%
(比較例3)
−比較定着液3の作製−
下記表2の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、比較定着液(泡状化前の原液)3を調製した。
トリエチレングリコールジアセタート(軟化剤) 30質量%
(東京化成株式会社製、試薬)
脂肪酸ナトリウム塩(起泡剤3) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
イオン交換水(希釈剤) 65.5質量%
(比較例4)
−比較定着液4の作製−
下記表2の通り、下記成分を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、比較定着液(泡状化前の原液)4を調製した。
コハク酸ジカルビトール(軟化剤) 30質量%
(高級アルコール工業株式会社製、試薬)
脂肪酸ジエタノールアミン塩(起泡剤2) 4.0質量%
(起泡剤)
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(増泡剤) 0.5質量%
(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)
イオン交換水(希釈剤) 65.5質量%
(表1中、数値は、質量%である。)
(表2中、数値は、質量%である。)
得られた定着液1〜10及び比較定着液1〜4について、下記のようにして、定着液の起泡性、及び、泡沫安定性を評価した。結果を表3に示す。
<泡状定着液の作製>
−大きな泡生成部−
図3に示す泡状定着液生成手段に基づいて、液状定着液から、大泡状態の定着液を作製した。図3の大きな泡生成部は、下記のような構成となっている。
液状定着液の保存容器:
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなるボトル
搬送ポンプ:
チューブポンプ(チューブ内径2mm、チューブ材質:シリコーンゴム)
液搬送パイプ:
内径2mmのシリコーンゴムチューブ
大きな泡を作るための微小孔シート:
#400のステンレス製メッシュシート(開口部約40μm)
−微小な泡生成部−
図3に示す泡状定着液生成手段30に基づいて、大泡状態の定着液から、微小な泡状定着液を作製した。図3の2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モータにより回転する。2重円筒の材質はPET樹脂とした。外側円筒内径:10mm、長さ120mm、内側円筒外形:8mm、長さ100mmとした。回転数は300rpmとした。回転時間は10秒間とした。
<起泡性の評価>
定着液の起泡性を評価するために、微小な泡状定着液を作製し、その泡密度を測定した。なお、泡密度は、容積が既知である容器に泡を隙間なく充填して重量を測定し、算出した。
ここで、塗布ローラのように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、媒体上の微粒子層の厚み以上であることが必須条件であり(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが望まれる。一方、媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)がないためには、定着液付着量として、0.1mg/cm以下が望まれる。このことから、泡の密度としては、0.0200g/cm以下が好ましく、0.0125g/cm〜0.0200g/cmがより好ましい。
そこで、微小な泡状定着液の泡密度の値から、起泡性を下記基準で評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
0.0125〜0.0200 g/cm:○(起泡性良好)
0.0201〜0.0300 g/cm:△
0.0301〜0.0500 g/cm:×
0.0501 g/cm以上 :××(起泡性不良)
<泡沫安定性の評価>
上記の微小な泡を1分間放置し、泡の状態を目視で観察して、下記基準で泡沫安定性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
1分間放置後も泡の状態が変化しない場合:○(泡沫安定性良好)
1分間放置後に泡が消泡した場合 :×(泡沫安定性不良)
表3の結果から、ノニオン系水溶性樹脂であるポリビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、又はセルロース誘導体を含有した定着液(実施例1〜10)は良好な起泡性と泡沫安定性を示した。イオン性の水溶性樹脂を含有した定着液(比較例1)、及び本発明で指定した以外のノニオン系水溶性樹脂を含有した定着液(比較例2)では極端に起泡性と泡沫安定性が低下した。水溶性樹脂を含まない定着液(比較例3〜4)は良好な起泡性と泡沫安定性であったことから、本発明によれば、定着液の起泡性と泡沫安定性を低下させないことが示された。
(実施例11〜20及び比較例5〜6)
次に、得られた定着液1〜10及び比較定着液3〜4について、以下のようにして、定着液の定着性、オフセット、並びに記録媒体上トナーのタックを評価した。結果を表4に示す。
<泡状定着液の塗布>
−定着液付与手段−
図4A及び図4Bに基づき、泡状の定着液を作製し、ブレードに供給する構成とした。また、図4A及び4Bにおいて、塗布ローラと膜厚制御用ブレードとのギャップは40μmとした。また、用いた各部材の構成は、下記の通りである。
加圧ローラ:
アルミニウム合金製ローラ(直径10mm)を芯金とし、外径50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社製、商品名「カラーフォームEMO」)を形成したスポンジローラ
塗布ローラ:
PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(直径30mm)。線速300mm/sで稼動
膜厚制御用ブレード:
アルミニウム合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着した、ガラス面を塗布ローラ側に向け、10μm〜100μmの範囲で塗布ローラとガラス面との隙間を制御できるようにした。紙搬送速度:300mm/s。
<定着性の評価>
定着性を評価するために、上記の微小な泡状定着液を、上述した方法で、未定着トナーが形成された紙の上に付与した。即ち、未定着トナーが形成された紙について、電子写真方式のプリンタ(株式会社リコー製、imagioMPC2500)を用い、未定着トナーのカラー画像をPPC用紙(株式会社リコー製、T−6200)に形成した。この際、トナー層の厚みは30μm〜40μmであり、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みは約70μmであった。
泡状定着液の塗布量を塗布前後の紙の重量から算出し、定着性を下記基準で評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
トナーが紙に定着しており、紙がカールしていない場合 :○(定着性良好)
トナーが紙に定着しているが、紙がカールしている場合 :△
トナーが紙に定着しておらず、紙がカールしていない場合:×
トナーが紙に定着しておらず、紙がカールしている場合 :××(定着性不良)
<オフセットの評価>
泡状定着液塗布直後の前記塗布ローラ上にトナーがオフセットしていないかを目視で観察し、下記評価基準で評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
トナーが塗布ローラ上にオフセットしていない場合 :○(オフセットなし)
トナーが塗布ローラ上に微量オフセットしている場合:△
トナーが塗布ローラ上にオフセットしている場合 :×(オフセットあり)
トナーが塗布ローラ上にオフセットし、且つ紙上の画像が欠損している場合
:××(オフセットあり)
<記録媒体上トナーのタック評価>
記録媒体上トナーのタックを、タッキネステスタ(株式会社レスカ製)を用いて評価した。前記定着性評価と同様のサンプルにおいて、泡状定着液塗布後の画像部(記録媒体上トナー)に円柱形ステンレスプローブ(φ8.0mm)を圧縮荷重100gfで20秒間押付けた後、120mm/分の速度で引抜き、引抜き時にかかる応力を測定し、下記評価基準で評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
0.0〜4.0 kPa :○(非画像部と同等、又はタックほぼ無し)
4.1〜10.0 kPa :×(タック小)
10.1 kPa 以上 :××(タック大)
表4の結果から、ノニオン系水溶性樹脂であるポリビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂又はセルロース誘導体を含有した定着液(実施例11〜20)はオフセットせず、記録媒体上トナーのタックはほぼ無くなった。水溶性樹脂を含まない定着液(比較例3〜4)については、オフセットは微量であったが、記録媒体上トナーのタックが明らかに大きかったことから、本発明によれば、定着液の起泡性と泡沫安定性を低下させないことが示された。
また、本発明によれば、トナー周辺での平坦化による光沢増強効果も得られた。
本発明の定着液は、非熱定着方式を採用する電子写真形成技術に使用し得る定着液として、好適に利用可能である。
11 塗布ローラ
12 記録媒体
13 樹脂微粒子層
14 泡状定着液
20 泡状定着液
21 液膜境界
22 気泡
30 泡状定着液生成手段
31 定着液容器
32 液状定着液
33 搬送ポンプ
34 液搬送パイプ
35 気体・液体混合部
36 空気口
37 微小孔シート
38 泡生成部
40 定着装置
41 塗布ローラ
42 膜厚制御用ブレード
43 加圧ローラ
44 加圧ベルト
50 画像形成装置
51 中間転写ベルト
52 支持ローラ
53 支持ローラ
54 支持ローラ
55 画像形成ユニット
56 画像形成ユニット
57 画像形成ユニット
58 画像形成ユニット
59 二次転写装置
60 支持ローラ
61 支持ローラ
62 二次転写ベルト
63 ベルトクリーニング装置
64 記録紙
65 給紙ローラ
66 感光体ドラム
67 帯電装置
68 現像装置
69 クリーニング装置
70 除電装置
71 一次転写装置
81 塗布ローラー
82 記録媒体
83 未定着トナー層
84 定着液層
特開2003−156870号公報 特開2005−274879号公報 特許4027188号 特許第3509192号 特許第3168118号 特開2007−017611号公報 特開2007−219105号公報

Claims (11)

  1. 樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であって、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化させる軟化剤と、アニオン系界面活性剤と、溶媒と、ノニオン系水溶性樹脂とを含むことを特徴とする定着液。
  2. 軟化剤が、エステル化合物である請求項1に記載の定着液。
  3. エステル化合物が、脂肪族エステル又は炭酸エステルである請求項2に記載の定着液。
  4. アニオン系界面活性剤が、炭素数12〜18の脂肪酸塩である請求項1から3のいずれかに記載の定着液。
  5. アニオン系界面活性剤が、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩及び脂肪酸アミン塩から選択される1つ以上の脂肪酸塩を含む請求項1から4のいずれかに記載の定着液。
  6. ノニオン系水溶性樹脂が、ポリビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂又はセルロース誘導体である請求項1から5のいずれかに記載の定着液。
  7. 樹脂微粒子が、トナーを構成する請求項1から6のいずれかに記載の定着液。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、
    前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚制御工程と、
    前記の所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与工程と、
    を含むことを特徴とする定着方法。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
    前記泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与手段と、
    前記泡状定着液付与手段の接触面上の泡状定着液の膜厚を制御する膜厚制御手段と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  10. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
    を含む画像形成方法であって、
    前記定着工程が、請求項8に記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法。
  11. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記定着手段が、請求項9に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。




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