JP2011197051A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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泰男 片野
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Yukimichi Someya
幸通 染矢
Yuko Arisumi
夕子 有住
Shigeo Takeuchi
重雄 竹内
秀和 ▲柳▼沼
Hidekazu Yaginuma
Takahiko Matsumoto
貴彦 松本
Fuminari Kaneko
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Abstract

【課題】泡状定着液を付与する構成で、定着後の記録媒体を重ねて出力したときに、記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合の発生を抑制することが出来る定着装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】未定着トナーTを軟化させる軟化剤を含有する液状定着液TLを泡状定着液Buとする泡状定着液供給部130と、未定着トナーTからなるトナー層を担持する転写紙Pの表面に泡状定着液Buを塗布する泡状定着液塗布部140とを有する定着装置30が、泡状定着液Buを塗布された転写紙Pに空気を吹き付け定着液Fに含まれる軟化剤の濃度を高める濃縮手段として機能するブロワ45と、塗布された定着液Fの軟化剤の濃度がブロワ45の送風によって高まった転写紙Pを加圧する加圧ローラ対46とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、及び、画像形成装置に用いられる定着装置に関するものである。詳しくは、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて記録媒体上に定着させる定着液を記録媒体上またトナー像担持体上のトナー像に付与する定着装置、及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、電子写真方式の画像形成装置が普通紙に高精細な画像を高速で形成することができる点から広くオフィスで使用されている。この電子写真方式の画像形成装置では、定着速度、定着画像品質等の点から記録媒体上のトナーを加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような熱定着方式を採用した定着装置を備えた電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、定着装置でトナーを加熱するために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。そこで、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、又は、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4に記載の定着装置で用いる定着方式)。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献3の何れの特許文献に記載の定着装置も、接触型の定着液付与手段である塗布ローラを用いて定着液を液状のまま記録媒体に塗布することで、定着液を記録媒体上の未定着トナー像に付与する構成である。このような液状の定着液をトナー像に塗布して定着を行う構成では、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止を両立させることが極めて難しいという問題があった。以下、この問題について説明する。
塗布ローラを用いて記録媒体上の未定着トナー像へ定着液を塗布する構成において、定着液を記録媒体に微量付与するために、塗布ローラ上の定着液の層の厚みが未定着トナー像の層よりも薄くした場合、次のような問題が生じることがあった。塗布ローラの表面が記録媒体と接触した後、塗布ローラの表面が記録媒体から剥離する位置で、記録媒体に付与されず塗布ローラ表面に残った定着液の液膜によって生じる表面張力で記録媒体上のトナー層のトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラの表面にオフセットしたトナー粒子が付着し、塗布ローラと剥離した後の記録媒体上のトナー像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ上の定着液の層の厚みを未定着トナー層よりも十分厚くすると、塗布ローラが記録媒体から剥離する位置では、液量が多いため塗布ローラの表面の液膜による表面張力が記録媒体上のトナー層のトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ側にトナーが付着しにくくなるが、記録媒体の表面に多量の定着液が塗布されるため、記録媒体上で過剰な定着液により定着液の拡散にともないトナー粒子が流れ画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、記録媒体に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液が水を含有するものであると、紙等のセルロースを含有する記録媒体への定着液の塗布量が多い場合、紙等の記録媒体が著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生の恐れがある。
このように、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。
よって、塗布ローラで定着液を塗布する構成では、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために記録媒体上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラへのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、特許文献4には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の嵩密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、特許文献4のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
上記特許文献4のように泡状定着液を用いた定着装置では、一枚ずつの定着では良好な定着を行うことができた。しかしながら、連続して画像形成を行い、定着後の記録媒体を重ねて出力すると、出力した記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合が生じる場合があった。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、泡状定着液を付与する構成で、定着後の記録媒体を重ねて出力したときに、記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合の発生を抑制することが出来る定着装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、該樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する記録媒体の表面に該泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段とを有し、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を該記録媒体に定着する定着装置において、上記泡状定着液を付与された上記記録媒体上の泡状または液状の定着液に含まれる上記軟化剤の濃度を高める濃縮手段と、付与された定着液の軟化剤の濃度が該濃縮手段によって高まった該記録媒体を加圧する加圧手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記濃縮手段は、上記軟化剤の沸点よりも低い温度で加熱する加熱手段であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の定着装置において、上記濃縮手段は、上記記録媒体上の上記定着液に気体を吹き付ける送風手段であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1の定着装置において、上記濃縮手段は、上記記録媒体上の上記定着液に、常温よりも高温で、上記軟化剤の沸点よりも低温の気体を吹き付ける熱風送風手段であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1の定着装置において、上記濃縮手段は、表面温度が上記軟化剤の沸点よりも低い温度となる範囲で加熱された表面移動体であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置において、上記濃縮手段と上記加圧手段との間に、該記録媒体上の液体成分を吸収する液吸収部材を配置したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置において、上記加圧手段が上記加圧手段を加圧する加圧部を複数箇所配置したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、樹脂と色剤とを含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上に画像情報に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像を担持する記録媒体の表面に泡状定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項1乃至7に記載の定着装置を用いることを特徴とするものである。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、溶媒として水を用いた定着液の泡状定着液を付与した直後の記録媒体は多くの水分を含んでおり、経時である程度の水分が減少した状態となることが分かった。そして、ある程度の水分が減少した状態で、定着後の記録媒体同士を重ねても記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合がほとんど発生しないことが分かった。これは、以下の理由によるものと考えられる。
定着液を付与した直後は多くの水分を含んでいるため、水分によって軟化剤が樹脂微粒子を軟化することを阻害され、さらに、定着液を付与した後に放置するのみでは樹脂微粒子層の全体に軟化剤が浸透するのに時間を要する。このため、定着液を付与した直後は、樹脂微粒子が記録媒体に定着しきれていない不安定な状態であり、この状態で、記録媒体の樹脂微粒子を担持する面に他の記録媒体が重ねられると、記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合が発生する。
一方、経時である程度の水分が減少した状態となると、軟化剤が樹脂微粒子を軟化することを阻害する水分が減少し、経時の間に軟化剤が樹脂微粒子層の全体に定着液が浸透するため、樹脂微粒子が記録媒体に安定して定着した状態となる。この状態となると、記録媒体の樹脂微粒子を担持する面に他の記録媒体が重ねられても、記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合はほとんど発生しない。
このような現象は定着液の溶媒が水である場合に限らず、溶質として軟化剤を含有する溶媒が、定着液を記録媒体に塗布した後に、蒸発などによって経時で減少する溶媒であれば生じ得る現象である。
本発明においては、濃縮手段によって、軟化剤が樹脂微粒子を軟化することを阻害する溶媒が減少し、加圧手段によって定着液が付与された樹脂微粒子層の全体に軟化剤が浸透することを促進する。これにより、泡状定着液を付与した後にある程度の時間が経過しなくても、定着液を塗布した後にある程度の時間放置した場合と同様に、樹脂微粒子が記録媒体に安定して定着した状態となる。
本発明によれば、泡状定着液を付与した後にある程度の時間が経過しなくても、樹脂微粒子が記録媒体に安定して定着した状態となるため、定着後の記録媒体を重ねて出力したときに、記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合の発生を抑制することができるという優れた効果がある。
本実施形態に係る定着装置の概略構成図。 本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。 同プリンタのプロセスユニットを示す拡大構成図。 本実施形態の定着装置の泡状定着液供給部の構成図。 本実施形態の定着装置の泡状定着液塗布部の構成図。 塗布ローラ及び膜厚規制ブレードの斜視説明図。 同定着装置における膜厚調整ブレードと塗布ローラとを示す拡大模式図。 図7よりも膜厚調整ギャップを狭くした状態の膜厚調整ブレードと塗布ローラとを示す拡大模式図。 塗布ニップにおける塗布ローラ表面と転写紙とを拡大して示す拡大模式図。 泡状定着液を示す拡大模式図。 塗布対向ベルトを備える定着装置の概略構成図。 泡状定着液を塗布した後の転写紙の経時による含水分変化を示すグラフ。 熱風で水分を乾燥させる構成の定着装置の概略構成図。 輻射熱で水分を乾燥させる構成の定着装置の概略構成図。 加熱ローラで水分を乾燥させる構成の定着装置の概略構成図。 定着液塗布後に乾燥し、加圧する定着のメカニズムの説明図。 乾燥部と加圧部との間に吸水ローラを設けた定着装置の概略構成図。 (a)は、従来の定着装置において、比較的薄定着液の層を塗布ローラから転写紙に塗布している状態を示す模式図、(b)は、同状態における塗布ローラと転写紙との間の拡大して示す拡大模式図。 従来の液定着方式の定着装置における泡状定着液塗布部を拡大して示す拡大構成図(液層厚みが比較的大きいとき)。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のタンデム方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタ100という)の実施形態について説明する。なお、本発明を適用した画像形成装置としては、プリンタに限るものではなく、複写機、ファクシミリ等、定着装置を備えた画像形成装置であれば適用可能である。
まず、実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成について説明する。図2は、プリンタ100の要部を示す概略構成図である。同図において、プリンタ100は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3(Y,M,C,K)、転写ユニット20、紙搬送ユニット28、レジストローラ対15、定着装置30、図示しない光書込装置などを備えている。
転写ユニット20は、トナー像担持体としての中間転写ベルト25を備えており、この中間転写ベルト25の上部の張架面に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニットである4つのプロセスユニット3(Y,M,C,K)が配列されている。
4つのプロセスユニット3(Y,M,C,K)の上方には、図示しない光書込装置が配置されている。例えば、プリンタ100が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、光書込装置のレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3(Y,M,C,K)におけるドラム状の感光体4(Y,M,C,K)に向けて各レーザー光L1〜L4を照射する。この照射により、感光体4(Y,M,C,K)の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像になる。なお、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。
プロセスユニット3(Y,M,C,K)はそれぞれ、潜像担持体たる感光体4と、その周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ本体に対して着脱可能になっている。プロセスユニット3(Y,M,C,K)は使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成であり、図3は、4つのプロセスユニット3(Y,M,C,K)のうちの一つのプロセスユニット3の拡大説明図である。図3に示すように、4つのプロセスユニット3はそれぞれ、感光体4の他、現像装置6、帯電装置7、除電装置の除電ランプ8、ドラムクリーニング装置9等を備えている。また、中間転写ベルト25を挟んで感光体4と対向する位置には、一次転写装置の一次転写ローラ26が設けられている。
本実施形態の一次転写装置は、ローラ状の一次転写ローラ26を備え、中間転写ベルト25を挟んで一次転写ローラ26が感光体4に当接することで、感光体4の表面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト25に転写する一次転写ニップを形成する。一次転写装置としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。無端ベルト状のものを用いても良い。
本実施形態の帯電装置7は、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させる接触型帯電方式の帯電装置である。帯電装置7は、感光体4に当接させた帯電ローラに帯電バイアスを印加することにより、感光体4の表面を一様に帯電する。帯電装置7としては、接触型帯電方式に限るものではなく、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を用いてもよい。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて感光体4上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得ることで、静電潜像を現像して可視化する二成分現象方式のものである。二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用してもよい。感光体4の表面上で現像されたトナー像は、一次転写ニップで中間転写ベルト25に一次転写される。
ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂微粒子からなり、これらの樹脂微粒子は、後述する定着液により溶解または膨潤する。現像装置6は、二成分現像剤を収容し撹拌する攪拌部と、現像ローラが配置された現像部とを有し、現像ローラの表面に供給され現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部における二成分現像剤のトナー濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナー濃度が、一定であるように制御されている。
一次転写ニップを通過した後の感光体4表面に付着している転写残トナーは、ドラムクリーニング装置9によって感光体4表面から除去される。ドラムクリーニング装置9によって感光体4表面から除去されたトナーは、不図示の回収スクリュ及びトナーリサイクル装置によって現像装置6に搬送され、再利用される。本実施形態では、ドラムクリーニング装置9として、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードによって転写残トナーを掻き取る方式のものを示しているが、他の方式によって転写残トナーを除去するものを用いてもよい。
除電ランプ8は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は初期化され、帯電装置7による一様帯電から始まる次の画像形成に備える。
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3(Y,M,C,K)の感光体4(Y,M,C,K)には、これまで説明してきたプロセスによってY,M,C,Kトナー像が形成される。4つのプロセスユニット3(Y,M,C,K)の下方には、転写ユニット20が配設されている。この転写ユニット20は、複数の張架ローラ(21、22、23)によって張架している中間転写ベルト25を、感光体4(Y,M,C,K)に当接させてY,M,C,K用の一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト25は駆動ローラ21の回転駆動によって図中時計回り方向(図中の矢印A方向)に無端移動する。
Y,M,C,K用の一次転写ニップの近傍では、中間転写ベルト25のベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26(Y,M,C,K)によって中間転写ベルト25を感光体4(Y,M,C,K)に向けて押圧している。これら一次転写ローラ26(Y,M,C,K)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の一次転写ニップには、感光体4(Y,M,C,K)上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップで各色トナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット20の図中下方の中間転写ベルト25を挟んで、転写バックアップローラ23に対向する位置には、二次転写装置として機能する紙搬送ユニット28が設けられている。紙搬送ユニット28は、駆動ローラ29bと二次転写ローラ29aとの2つの支持ローラの間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる構成である。この紙搬送ユニット28は、自らの二次転写ローラ29aと、転写ユニット20の中間転写ベルト25との間に、紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。このような構成により、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写装置としては、ベルト状の部材を中間転写ベルト25に対向させる構成に限らず、ローラ状の部材を中間転写ベルト25に対向させる構成であってもよい。
紙搬送ユニット28の二次転写ローラには図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット20の中間転写ベルト25のループ内で、中間転写ベルト25が掛け回されている転写バックアップローラ23は、接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
二次転写ニップでは、不図示の給紙装置から供給された記録媒体である転写紙Pに中間転写ベルト25上トナー像が転写される。
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対15が配設されており、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置30へと搬送される。
中間転写ベルト25の複数の張架ローラ(21、22、23)のうちのクリーニング対向ローラ22に対して中間転写ベルト25を挟んで対向する位置には、ベルトクリーニング装置24が配置されている。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着しており、この転写残トナーは、中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置24によって掻き取り除去される。
次に、定着装置30について説明する。図1は、実施形態に係る定着装置30の概略構成図である。
以下では、便宜上、泡を含まない定着液を「液状定着液TL」といい、気泡を含有し泡状となった定着液を「泡状定着液Bu」という。また、泡状定着液Buのうち、液状定着液TLの状態から起泡されて泡径が所望の泡径よりも大きい状態の泡状定着液Buを「初期泡状定着液Bu1」といい、初期泡状定着液Bu1の状態から分泡して所望の泡径となった泡状定着液Buを「小径泡状定着液Bu2」という。さらに、後述する塗布ローラ41の表面上で泡状定着液膜厚制御手段によって規制され所望の膜厚の状態の小径泡状定着液Bu2を泡状定着液膜Bu3という。また、何れの状態にも限定しない定着液を定着液Fという。
図1に示す定着装置30は、転写紙Pに定着液Fを塗布する定着液付与手段である泡状定着液塗布部140と、泡状定着液生成手段である泡状定着液供給部130とを備え、泡状定着液供給部130で生成した泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140で転写紙P上の未定着トナーTに塗布する。
泡状定着液塗布部140は、塗布ローラ41、塗布対向ローラ43などを備える。定着装置30では、液状定着液TLを構成する二つの定着用液として、軟化剤を含有する液(以下、軟化剤液310aと称す)と起泡剤を含有する液(以下、起泡剤液310bと称す)とを独立して保管している。そして、泡状定着液Buを生成するときに軟化剤液310aと起泡剤液310bとを液混合部400で混合し、この混合によって得られた液状定着液TLを泡状定着液供給部130に供給して、泡状定着液Buを生成する構成である。
樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤は,水と反応して加水分解してしまう傾向を持つ。このため、水を含む起泡剤液310bと軟化剤液310aとは、本実施形態の定着装置30のように、別々に保管し、使用時に混合して使用することが望ましい。
図4は、定着装置30の泡状定着液供給部130を示す拡大構成図であり、図5は、定着装置30の泡状定着液塗布部140を示す拡大構成図である。また、図6は、定着装置30が備える塗布ローラ41及び膜厚調整ブレード42とを図5中の矢印G方向から見た斜視説明図である。
泡状定着液供給部130は、軟化剤液収容器31a内に収容されている軟化剤液310aと起泡剤液収容器31b内に収容されている起泡剤液310bとを混合して得られる液状定着液TLを泡化させ、得られた泡状定着液Buを塗布ローラ41に供給するものである。
軟化剤液収容器31a内の軟化剤液310aは、軟化剤液搬送ポンプ33aを駆動することで軟化剤液搬送パイプ34aを通って液混合部400に供給される。また、起泡剤液収容器31b内の起泡剤液310bは起泡剤液搬送ポンプ33bを駆動することで起泡剤液搬送パイプ34bによって液混合部400に供給される。このとき、軟化剤液搬送ポンプ33aと起泡剤液搬送ポンプ33bとの駆動を制御して、軟化剤液310aの搬送量と起泡剤液310bの搬送量との比を調節することにより、2つの液を混合して成る液状定着液TLにおける軟化剤液310aと起泡剤液310bとの混合比を調節することが出来る。所定の混合比で供給された軟化剤液310aと起泡剤液310bとを液混合部400で混合し、この混合によって得られた液状定着液TLを、液状定着液搬送パイプ340を介して気体・液体混合部35に搬送する。
液搬送ポンプ33(33a及び33b)としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ、チューブポンプ等を用いることが可能であるが、中でもチューブポンプを用いることが望ましい。ギヤポンプ等のように、振動機構や回転機構といった定着用液中で駆動する機構があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下するおそれがある。また、前述の駆動する機構の部品を構成する材料によって定着用液を汚染したり、逆に駆動する機構の部品を定着用液で劣化させたりするおそれもある。これに対し、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であり、定着用液内で駆動する機構がない。このため、定着用液と接する部材はチューブだけであり、チューブとして搬送する定着用液に対して耐液性を有する部材を用いることで、定着用液の汚染や液搬送ポンプ33を構成する部品の劣化を防止することが出来る。また、チューブを変形させるだけであるため、定着用液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。なお、液搬送ポンプ33が搬送する液体が軟化剤液310aや起泡剤液310bである場合に限らず、液状定着液TLそのものを定着用液として収容する定着用液収容器から搬送する場合の液搬送ポンプ33としてもチューブポンプを用いることが望ましい。この場合、チューブとして定着液Fに対して耐液性を有する部材を用いることで液の汚染や液搬送ポンプ33を構成する部品の劣化を防止することが出来る。
気体・液体混合部35には、空気口36が設けられており、軟化剤液搬送ポンプ33a及び起泡剤液搬送ポンプ33bを駆動することによって気体・液体混合部35に流入する液状定着液TLの流れが発生するとともに、空気口36に負圧が発生する。これにより、空気口36から空気が気体・液体混合部35に導入され、液状定着液TLと空気とが混合し、さらに微小孔シート37を通過することで、泡径のそろった大きな泡からなる初期泡状定着液Bu1を生成することができる。
微小孔シート37の孔径は、例えば30〜100[μm]程度である。液状定着液TLを発泡させる構成としては、図4に示す微小孔シート37を備える構成に限るものではなく、連泡構造の多孔質部材であればよい。例えば、孔径30[μm]〜100[μm]程度の連通孔を有する焼結セラミックス板や不織布、発泡樹脂シート等を用いてもよい。
液状定着液TLから大きな泡からなる初期泡状定着液Bu1を生成する別の生成方法としては、液搬送ポンプ33の駆動により供給される液状定着液TLと空気口36からの空気とを羽根状攪拌子で攪拌しながら、液状定着液TLに気泡を巻き込みながら初期泡状定着液Bu1を生成する方法を用いることができる。また、液搬送ポンプ33の駆動によって供給された液状定着液TLに空気供給ポンプ等でバブリングを行い初期泡状定着液Bu1を生成する方法を採用してもよい。
気体・液体混合部35としては何れの構成であっても、例えば0.5〜1[mm]程度の比較的大きな泡径の泡からなる初期泡状定着液Bu1をごく短時間で生成することができる。ただし、泡状定着液Buを定着に用いるときの泡としては、できるだけ細かくする方が望ましい。このため、定着装置30では、気体・液体混合部35で得られた初期泡状定着液Bu1を、泡微細化部38で微細な泡径の泡からなる小径泡状定着液Bu2とする構成である。
気体・液体混合部35で生成された初期泡状定着液Bu1は、泡搬送パイプ38cを通って泡微細化部38に供給される。
泡微細化部38は、初期泡状定着液Bu1にせん断力を付与することによって径の大きな一つの泡を二つ以上に分割して泡の微細化を行う。泡微細化部38は、外側円筒38aの中に内側円筒38bを内包する二重円筒構造になっており、固定された外側円筒38aに対して内側円筒38bが回転可能な構成となっている。外側円筒38aの泡搬送パイプ38cが接続された箇所から外側円筒38aと内側円筒38bとの隙間に初期泡状定着液Bu1を供給し、この隙間を通過させることで内側円筒38bの回転により泡状定着液Buに対してせん断力を付与する。このせん断力の付与により、一つの大きな泡を二つ以上の微小な泡に分割しながら、外側円筒38aに設けられた泡の出口38dから泡供給ノズル39へ、所望の微小な泡径を有する小径泡状定着液Bu2を排出する。また、内側円筒38bにらせん状の溝を設けて、外側円筒38a内での搬送性を向上させてもよい。
一般的に、初期泡状定着液Bu1のように泡径が0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな泡からなる泡状定着液の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡からなる泡状定着液の生成には数秒以下の時間(0.1[秒]もかからない)で生成することができる。そこで、このように所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡からなる泡状定着液の生成が容易で、すばやく生成できることができる点に着目した。大きな泡からなる状態から素早く5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡からなる泡状定着液を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡からなる泡状定着液にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、液状態から起泡させて微小な泡径の泡状定着液を生成する方法に比べて、極めて素早く所望の大きさの微小な泡径の泡状定着液が生成できることがわかった。
定着装置30では、液状定着液TLを大きな泡径の泡からなる初期泡状定着液Bu1へと泡化させる大きな泡生成部である気体・液体混合部35と、初期泡状定着液Bu1の大きな泡にせん断力を加えて微小な泡に分割する泡微細化部38とを組み合わせることで、液状定着液TLを極めて短時間に5〜50[μm]程度の微小な泡径の泡からなる小径泡状定着液Bu2に変化させることができる。
図1及び図5に示すように、泡供給ノズル39から排出される小径泡状定着液Bu2は、泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41の表面に供給される。泡状定着液塗布部140は、図5に示すように、小径泡状定着液Bu2を転写紙P上の樹脂微粒子である未定着トナーTに付与する塗布ローラ41を備える。また、泡状定着液塗布部140は、塗布ローラ41の表面上に供給された小径泡状定着液Bu2の膜厚を転写紙P上の未定着トナーTのトナー層の厚さに応じて制御し、小径泡状定着液Bu2の膜厚を最適な膜厚に制御する泡状定着液膜厚制御手段である膜厚調整ブレード42を備える。さらに、泡状定着液塗布部140は、膜厚調整ブレード42が対向する位置に対して塗布ローラ41の表面移動方向下流側で、塗布ローラ41と対峙する位置に塗布対向ローラ43を備える。
図5に示すように、塗布ローラ41上の小径泡状定着液Bu2は、膜厚調整ブレード42との対向部を通過することにより、小径泡状定着液Bu2の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーTの層厚に応じて、泡状定着液Buの未定着トナーTのトナー層への浸透時間に対して最適化した膜厚の泡状定着液膜Bu3となる。泡状定着液供給部130で生成された所望の泡径の小径泡状定着液Bu2は、泡状定着液供給口を備えた泡供給ノズル39より塗布ローラ41と膜厚調整ブレード42との間に滴下される。
泡状定着液Buの嵩密度としては、0.01〜0.1[g/cm]の範囲が望ましい。更に、定着液Fを付与した後に媒体面に残液感を生じないようにするためには、泡の嵩密度として、0.01[g/cm]〜0.02[g/cm]が好ましく、0.02[g/cm]以下がより好ましい。これは以下の理由による。
すなわち、塗布ローラ41が転写紙Pに泡状定着液Buを塗布する塗布ニップCでの泡状定着液膜Bu3の膜厚は、転写紙P上の未定着トナーTのトナー層の厚み以上であることが必須条件であるため(トナー層の隙間を泡状定着液Buで埋めるため)、泡状定着液膜Bu3の膜厚は、おおよそ、50[μm]〜80[μm]が好ましい。一方、転写紙Pの表面への定着液Fの付与による定着後の残液感(ぬれたような感触)を抑制するためには、定着液Fの付着量として、0.1[mg/cm]以下が好ましい。このことから、泡状定着液Buの嵩密度としては、0.0125[g/cm]〜0.02[g/cm]の範囲が好ましく、0.02[g/cm]以下がより好ましい。
また、定着液Fは、転写紙P上のトナー等の樹脂含有微粒子の層への塗布時に泡状となっていればよく、定着用液として定着用液収容器31(31a及び31b)内で泡状である必要はない。定着用液収容器31中では気泡を含有しない液体の状態にしておき、容器から定着用液を供給する時点や、樹脂含有微粒子の層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする、すなわち、定着用液として定着用液収容器から定着用液を取り出した後に泡状とする構成により、定着用液の輸送体積や保存体積の減容を図って、輸送コストや保存コストを低減することができる。
泡微細化部38で得られた小径泡状定着液Bu2は、図1及び図5に示したように、泡供給ノズル39から、塗布ローラ41表面に供給される。供給された泡状定着液Buは、塗布ローラ41表面に対して自らの先端を所定の間隙を介して対向させている膜厚調整ブレード42により、塗布ローラ41表面上での膜厚が調整される。この膜厚調整ブレード42は、図7及び図8に示すように、片持ち支持された状態で、固定端側のブレード回動軸42aを中心にして回動することで、自らの先端と、塗布ローラ41との間隙を変化させる。図示しない制御部は、モータ駆動によってブレード回動軸42aを回転させることで膜厚調整ブレード42を回転させて前述の間隙を調整する。泡状定着液膜Bu3の膜厚を薄くするときには、図7に示すように膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を狭くし、泡状定着液膜Bu3の膜厚を厚くするときには、図8に示すように膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を広くする。このように膜厚調整ブレード42の先端と塗布ローラ41表面との間の間隙を調整することにより、未定着トナーTのトナー層厚や環境温度等、更には泡状定着液Buの気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力に応じた定着液Fの未定着トナー層での浸透時間を調製するために最適な泡状定着液膜Bu3の膜厚を制御することができる。
また、定着装置30では、図示していない光書込装置で用いる画像情報に基づいて、膜厚調整ブレード42の回転を制御し、泡状定着液膜Bu3の膜厚を調整する。すなわち、転写紙Pに転写されたトナー像を形成する未定着トナーTには、図示していない光書込装置で用いる画像情報(例えば、カラー画像または黒ベタ画像)に基づいて泡状定着液膜Bu3の膜厚が調整された泡状定着液Buが塗布される。これにより、各トナー像を形成する未定着トナーTのトナー層の層厚に応じた泡状定着液Buの塗布を行うことができ、適切な定着条件でトナー像を転写紙Pに定着させることができる。
膜厚調整の構成としては、膜厚調整ブレード42の代わりに、ワイヤーバーによって膜厚を調整してもよい。ワイヤーバーによって膜厚を調整する場合、上述した泡状定着液供給部130で生成される所望の泡径の小径泡状定着液Bu2は、泡状定着液供給口を備えた泡供給ノズル39より塗布ローラ41とワイヤーバーとの間に滴下される。このように、ワイヤーバーを泡状定着液膜厚制御手段として用いた場合、膜厚調整ブレード42に比べ、塗布ローラ41表面上における軸線方向の膜厚を均一にすることが可能になる。
トナー像が形成された転写紙Pに泡状定着液Buを塗布するための塗布ローラ41には、弾性ローラ部を具備する塗布対向ローラ43が当接して塗布ニップCを形成している。上述した紙搬送ベルト29によって二次転写ニップから定着装置30に向けて搬送される転写紙Pは、画像面を塗布ローラ41に向けた状態でこの塗布ニップC内に挟み込まれる。そして、塗布ニップC内において、塗布ローラ41上の泡状定着液Buが画像面に塗布される。
次に本発明に係る定着装置30の定着の原理について概説する。
本発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を含有した泡状定着液Buを、記録媒体等の定着液塗布対象の表面上の樹脂微粒子に付与する。これにより、定着液塗布対象の表面上の樹脂微粒子を軟化させ、樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法を取っている。言うまでもないことだが、ここで、表記している樹脂微粒子とは、特に何であるかを限定はしないが、画像形成装置に適用した場合だと、トナーのことを指す。
ここで、従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上記特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いる湿式定着方式の定着装置が記載されている。この定着装置では、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面に対して定着液を噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させる構成である。
しかし、上記特許文献1の定着装置では、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いている。このため、多量の定着液を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(被定着物)が、定着液の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着液に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着液から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、上記特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、上記特許文献3には、定着液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100の容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の定着液が提案されている。これにより、静電気的方式で形成された未定着トナー像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に記録媒体上に固着できる。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状のまま記録媒体上のトナー像に付与していた。このため、記録媒体上のトナー像に定着液を付与する構成として、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成の場合、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しいという問題があった。この問題について図18及び図19を用いて説明する。
図18は、従来の湿式定着方式の液状定着液を塗布する定着装置60の説明図である。図18(a)は液状定着液を塗布する定着装置60の概略説明図である。また、図18(b)は、液状定着液を塗布する定着装置60における記録媒体である転写紙Pと転写紙Pに接触して液状定着液TLを塗布する塗布部材である塗布ローラ41との近接部の拡大説明図である。
図18(a)に示すように、塗布ローラ41を用いて転写紙P上の未定着トナーTへ液状定着液TLを塗布する構成において、液状定着液TLを転写紙Pに微量付与するために、塗布ローラ41上の液状定着液TLの膜厚を未定着トナーTの厚みよりも薄くした場合、図18(b)のようになる。塗布ローラ41上の液状定着液TLには、塗布ローラ41の表面が転写紙Pと接触する塗布位置で塗布ローラ41から転写紙Pに付与されるものの他に、図18(b)中の矢印F1で示すように塗布位置を通過した後も塗布ローラ41の表面に残留するものがある。そして、塗布ローラ41の表面が転写紙Pから分離する位置で、塗布ローラ41表面に残留する液状定着液TLの液膜によって生じる表面張力(図18(b)中の矢印F2方向に働く)で未定着トナーTのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ41の表面にオフセットトナーTaが付着し、塗布ローラ41と剥離した後の転写紙P上の定着トナー層Tbによって形成される画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ41上の液状定着液TLの膜厚を未定着トナーTよりも十分厚くすると、図19のようになる。塗布ローラ41の表面が転写紙Pから分離する位置では、液状定着液TLの液量が多いため塗布ローラ41表面の液膜による表面張力が未定着トナーTのトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ41側にオフセットしたトナーが付着しにくくなるが、転写紙Pの紙面に多量の液状定着液TLが塗布されるため、過剰な液状定着液TLにより転写紙P上のトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、転写紙Pに付与した液状定着液TLの乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、転写紙P上の定着画像に粘着感(タック感とも言う)が生じてしまうため、定着後の転写紙Pの画像面側と他の転写紙P等の何らかの媒体と重ねた場合、定着画像がその媒体に張り付いてしまう問題(ブロッキング)が生じる。そして、貼り付いた後、それを剥がそうとすると、定着画像を形成するトナーと媒体とが完全に剥がれず、定着画像が乱れることがある。
さらに、液状定着液TLが水を含有するものであると、記録媒体として紙等のセルロースを含有する転写紙Pへの液状定着液TLの塗布量が多い場合、紙等の転写紙Pが著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラ41を用いて液状定着液TLを塗布する構成では、液状定着液TLの塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、液状定着液TLの乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下という問題が生じる。さらに、記録媒体の材質によっては紙詰まりが発生しやすくなるという問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために液状定着液TLを微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラ41の表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために転写紙P上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラ41へのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。なお、記録媒体に接触して定着液を塗布する接触塗布手段として、ダイコート手段、ブレード塗布手段、ワイヤーバー塗布手段を用いた場合も、定着液が微量になると接触塗布手段に表面張力でトナーが付着してしまい、画像劣化が生じる。
以上のように、接触塗布手段によって液状定着液TLを塗布する構成では、定着応答性を向上するための紙上のトナー層への定着液微量塗布とトナー画像を乱さず均一塗布することとを両立することが極めて難しい。また、液状定着液を塗布するときの定着液微量塗布と樹脂微粒子層を乱さず均一塗布することとを両立することが極めて難しいという問題は、記録媒体上のトナーに限ったことではなく、媒体上の樹脂微粒子層に液状定着液を付与する構成ではどの場合も生じる問題である。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、上記特許文献4には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を塗布ローラを用いて記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、上記特許文献4のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
そして、本実施形態の定着装置30も上記特許文献4と同様に定着液を泡状にして記録媒体上のトナー層に塗布する構成である。
また、上記特許文献4に記載の定着装置は、塗布部材である塗布ローラ上の泡状定着液の膜厚を制御する泡状定着液膜厚制御手段を備えている。そして、塗布ローラが記録媒体に接して泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子に付与している時間が、塗布ローラによって塗布される泡状定着液が記録媒体上の樹脂微粒子層を浸透して記録媒体に到達する浸透時間より同じ又は長くなるように膜厚を制御する。これにより、樹脂微粒子の塗布ローラへのオフセット付着を防止でき、樹脂微粒子を乱すことなく、かつ樹脂微粒子を担持した記録媒体に定着液を塗布した後は素早く樹脂微粒子の記録媒体への定着が可能となる。このため、定着応答性に優れた定着を行うことができる。
図9は、本実施形態の定着装置30において塗布ローラ41が転写紙Pと接触する部分(塗布ニップC)の拡大説明図である。
定着液Fを嵩密度の低い泡状定着液Buの状態で転写紙Pに塗布することで、少量であっても転写紙P上のトナー層よりも定着液Fの層を厚くすることができる。更に、泡状にすることで、塗布ローラ41表面上の定着液Fの表面張力によるトナーの引き込みを解消する。これらの結果、塗布ローラ41へのトナーのオフセットを有効に抑えることができ、オフセットによる白抜け画像の発生を解消することができる。
未定着トナーTのトナー粒子の平均粒径が5〜10[μm]程度である場合、未定着トナーTのトナー層を乱すことなく泡状定着液Buを未定着トナーTに付与するには、泡状定着液Buの泡径範囲を5〜50[μm]程度にすることが望ましい。プリンタ100では、泡微細化部38での泡微細化により、このような微細な径の泡をつくり出している。
また、泡微細化部38で微細化した泡は、図10に示すように、気泡Bu−Aと、それぞれの気泡Bu−Aを区切る液膜境界Bu−B(以下、プラトー境界と称することがある)とから構成されている。
定着装置30の塗布対向ローラ43は、弾性層としてスポンジ素材を用いている。ここで、塗布ニップCでは、泡状定着液Buが樹脂微粒子である未定着トナーTのトナー層に浸透して、記録媒体である転写紙Pまで到達した後に、塗布ローラ41とトナー層とが分離するように、転写紙Pの塗布ニップ通過時間のタイミングを設定するする必要がある。
定着装置30では、転写紙Pの塗布ニップ通過時間(例えば先端が塗布ニップCの入口に進入してから先端が塗布ニップCの出口から排出される間での時間)を、50[ms](ミリ秒)から300[ms]の範囲に設定している。これにより、転写紙Pの塗布ニップ通過時間を、泡状定着液Buの浸透時間と同じかそれ以上にしている。そして、この範囲の転写紙Pの塗布ニップ通過時間を確保するために、小さな加圧力の変化で比較的大きく変形可能なスポンジ素材からなる弾性層を備えた塗布対向ローラ43を用いている。塗布対向ローラ43は、塗布ローラ41の押圧により撓む(塗布ローラ41に沿って変形する)材質であればよく、例えば、ゴム、合成樹脂等からなるものを用いることができ、特に限定されない。
塗布ニップ通過時間(以下、ニップ時間という)については、「ニップ時間=(ニップ幅)/(紙の搬送速度)」という数式によって算出することが可能である。転写紙Pの搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、転写紙Pを塗布ローラ41及び対峙する塗布対向ローラ43に挟んで加圧(ローラは回転させない状態で)して転写紙Pに着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。転写紙Pの搬送速度に応じて、ニップ幅を調整することでニップ時間を定着液Fのトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。
図1に示す定着装置30では、塗布対向ローラ43を弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)とすることで、転写紙Pの搬送速度に応じて、塗布ローラ41とスポンジの塗布対向ローラ43の軸間距離を変更し、ニップ幅を変えることが容易になる。塗布対向ローラ43のスポンジの代わりに、弾性ゴムも適するが、スポンジは、弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ41の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
定着液F中には樹脂を軟化する軟化剤または膨潤する膨潤剤が含有されており、スポンジ素材で形成された塗布対向ローラ43に定着液Fが万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化する等の不具合が発生する恐れがある。このため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤または膨潤剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が望ましい。また、ローラ部がスポンジ素材からなる塗布対向ローラ43については、ローラ表面を可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。このような構成であれば、スポンジ素材が軟化剤または膨潤剤で劣化する素材であっても、軟化剤または膨潤剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、金属材料などが適する。
図1に示す定着装置30において、塗布ローラ41とローラ部がスポンジからなる塗布対向ローラ43とが常時接触している場合、転写紙Pが搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液Buがスポンジの塗布対向ローラ43に付着し汚す恐れがある。この付着を防止する狙いから、紙先端検知手段(図示せず)を塗布ニップCに転写紙Pが搬送される手前に設け、紙先端検知信号に応じて、転写紙Pの先端から後方にのみ泡状定着液Buが塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液Buを供給することが望ましい。
また、定着装置30においては、不図示の接離機構により、待機時には塗布ローラ41と塗布対向ローラ43とを互いに離間させ、塗布時のみ、塗布ローラ41と塗布対向ローラ43とを当接させる構成とすることが望ましい。このような構成では、塗布ローラ41と塗布対向ローラ43とを互いに離間させた待機時の状態から上記紙先端検知手段による転写紙Pの先端検知の検知結果に基づいて、接離機構を駆動し、塗布ローラ41と塗布対向ローラ43とを当接させる。そして、紙先端検知手段による転写紙Pの後端検知、または、別に設けた不図示の紙後端検知手段による転写紙Pの後端検知の検知結果に基づいて、接離機構を駆動し、塗布ローラ41と塗布対向ローラ43とを離間させる。
上述したように、定着装置30では、光書込装置で用いる画像情報に基づいて、膜厚調整ブレード42の回転を制御し、泡状定着液膜Bu3の膜厚を調整する。これにより、樹脂微粒子層である未定着トナーTの層厚に応じた泡状定着液膜Bu3を転写紙Pに塗布することができる。
しかし、乾燥部Dや加圧ローラ対46を備えない従来の定着装置では、未定着トナーTによって形成される画像が、転写紙P上でカラー画像と白黒文字とが混在するような場合、次のような問題が生じることがあった。
泡状定着液Buを塗布することで、液状定着液TLを塗布する構成に比べて、定着液Fの塗布量は全体的に低減できたものの、画像は、ベタ画像からハーフトーン画像、白黒文字画像まで、トナー層の厚みは多種に渡っている。また、一つの画像にベタ画像部、ハーフトーン画像部、白黒文字画像部など多種の画像部が形成されることもある。
ハーフトーン画像や白黒文字画像のトナー層の厚みに合わせて、転写紙P面全体を同じ厚みの泡状定着液膜Bu3で塗布するとカラー写真画像やベタ画像といったトナー層が厚い部分では定着不良や画像抜けが生じることがあった。
一方、カラー写真画像やベタ画像といったトナー層が厚い部分の厚みに合わせて、転写紙P面全体を同じ厚みの泡状定着液膜Bu3で塗布すると、ハーフトーン画像や白黒文字画像といったトナー層が薄い部分では、長い時間べたつきが解消されないタック感が残る状態となった。この状態で、連続印刷を行って出力したものを重ねると、印刷物同士がくっついたいりする不具合が生じる場合があった。
本発明者らは、トナー層の薄い部分でのタック感の防止と、トナー層の厚い部分での定着不良の防止とは、トレードオフの関係と考えていた。しかし、トナー層の厚い部分の厚みに合わせて、転写紙P面全体を同じ厚みの泡状定着液膜Bu3で塗布した場合、ある程度の時間だけ放置すると、ベタ部もハーフトーン部の画像も満足の得られる定着性が得られることが分かった。さらに、タック感がほとんど残らなかったベタ部のカラー画像も、発色性も経時変化により狙いの色調を得ることが出来るが時間を必要とすることが分かった。これは、トナー層に定着液中の軟化剤が浸透するのに時間を要するためと考えている。
次に、本実施形態の定着装置30の特徴部について説明する。
定着装置30は、図1に示すように塗布ニップCに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着液Fが付与された転写紙Pの表面に乾燥部Dで空気を吹き付けるブロワ45と、ブロワ45によって空気が吹き付けられた転写紙Pを挾持して加圧する加圧ローラ対46とを備える。
ブロワ45は、塗布ニップCで定着液Fが付与された転写紙Pに対して直ちに空気を吹き付けることで、転写紙P上に付与された定着液Fの溶媒である水分の気化を促す乾燥手段として機能する。このとき、水分が気化する定着液Fは、液中の軟化剤の含有率が高まり、軟化剤が濃縮されるため、ブロワ45は濃縮手段とも言うことができる。
塗布ニップCを通過した転写紙Pに対してブロワ45が空気を吹き付けることによって、転写紙P上の軟化状態のトナー層Tcに付与された定着液Fの水分を蒸発させる。このとき、定着液F中に含有する軟化剤は蒸発しない材料で構成されているので、水分のみが蒸発する。
ブロワ45による水分の乾燥性能については後述するが、ブロワ45の出力やブロワ45の排気口から転写紙Pの表面までの距離などの条件により異なる。
本実施形態の定着装置30では、乾燥手段としてブロワ45のような送風手段のほかに、熱風や輻射熱を転写紙Pに向ける構成や熱ローラを当接させる構成を用いることが出来るが、省エネルギーを考慮すると送風手段が最適である。
なお、熱風や輻射熱、熱ローラによって定着液F中の水分を蒸発させる構成であっても、熱定着方式の定着装置よりも低い温度設定(定着性、タック性、発色性などを考慮してできるだけ低い温度設定にすることで省エネを図る)で定着性能、画像品質を満足するように設定する。
また、熱風を送風するブロワとヒータとを備える構成、輻射熱を当てるハロゲンヒータを備える構成、及び、熱ローラを備える構成については、図示、及び説明は省略するが、例えば、引用文献5に記載の構成と同様のものを用いることが出来る。
乾燥部Dで付与された定着液F中の水分の一部を除去された軟化状態のトナー層Tcは、加圧ローラ対46にて圧縮され薄層化する。するとトナー層の層中では水分が減少して相対的に軟化剤が多い状態で圧縮されるのでトナー層全体に満遍なく軟化剤が行き渡る。このため、少量の定着液Fでベタ部、ハーフトーン部においても良好な定着が可能となりタック性もバランスが取れて加圧ローラ対46を通過した後はべた付きも無く、さらに、発色性も十分な品質を得ることが可能となる。
図11は、本発明を適用した定着装置30の他の例の概略構成図である。
図11に示す定着装置30では、図1に示す定着装置30が備える塗布対向ローラ43の代わりに、塗布対向ベルト430を備えている。塗布対向ベルト430としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイルなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いる。
図1を用いて説明した定着装置30と同様に、図11に示す定着装置30は、初期泡状定着液Bu1を生成する気体・液体混合部35と、初期泡状定着液Bu1をせん断力で分泡して小径泡状定着液Bu2を生成する泡微細化部38とを備える泡状定着液供給部130で生成した泡状定着液Buを泡供給ノズル39から塗布ローラ41の表面に供給する。一方、不図示の制御部は不図示のモータの駆動を制御することによって、膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を調整する。そして、塗布ローラ41の表面に供給された泡状定着液Buは、この間隙を通過することで最適な膜厚の泡状定着液膜Bu3となって塗布ニップCに供給される。
図11に示す定着装置30のように、塗布ニップCを形成する部材にベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。従って、塗布ニップCを形成する部材にベルトを用いる構成としては、図11に示すように加圧部材にベルト部材を用いる構成に限らず、塗布ローラ41の代わりにベルト状の塗布部材を用い、加圧部材をローラ状の部材を用いる構成であっても良い。
このように、塗布部材または加圧部材の少なくとも一方をベルト状の部材とする構成にすることで、ニップ幅を容易に広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることもなく、ニップ時間が同じだとすると紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
本実施形態の定着装置30では、液状定着液TLを構成する軟化剤液310aと起泡剤液310bとを独立して保管しているが、これに限るものではない。軟化剤と起泡剤とを含有した液状定着液TLを定着用液収容器31内で保管し、この液状定着液TLから泡状定着液生成手段によって泡状定着液Buを生成する構成としてもよい。液状定着液TLの状態で保管する構成では、複数の定着液成分液を混合して定着液を作製する定着液作製手段が不要であるため、装置の構成を簡略化できる。
次に、液状定着液TLの組成について説明する。定着装置30で用いる液状定着液TLは、少なくとも軟化剤と起泡剤とを含有する。
先ず、軟化剤について説明する。
軟化剤は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる機能を有する。
軟化剤としては、エステル化合物であることが好ましい。エステル化合物は、トナー等の樹脂微粒子に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる溶解性または膨潤性に優れている。上記エステル化合物の中でも、脂肪族エステル、炭酸エステルが、樹脂の軟化能力が優れている点で特に好ましい。また、後述する起泡剤としてのアニオン系界面活性剤による起泡性を阻害しない点からも好ましい。
また、記録媒体に対する樹脂微粒子としてのトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
上記脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1[秒]以内で溶解または膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解または膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、定着液としては、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基を示しており、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基を示している。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。定着液としては、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物を含む上記飽和脂肪族エステルである脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、などが挙げられる。上記化合物を含むこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについて、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
本実施形態における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1[重量%]以下である性質を意味する。
上記飽和脂肪族エステルを使用するときにその加水分解を抑制するには、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物の加水分解物である「R1COOH」と「R2OH」との少なくとも1種類を定着液に含有させることで、軟化剤の分解を抑制できる。上記加水分解物としては、例えば、ラウリン酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、ミリスチン酸、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール等が挙げられる。含有量については特に限定しないが、カルボン酸化合物については、定着液のpHが7以下にならないような含有量、アルコール化合物については1[wt%]から30[wt%]の含有量の範囲が適当である。これらの含有量を超える場合は、定着液の起泡性が劣化するため適さない。
また、定着液としては、上記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含むものを用いることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができる。例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1[秒]以内であることが好ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1[秒]以内にすることが可能となる。更に、より少量の軟化剤を添加することによって、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができるため、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基を示しており、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基を示している。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R3(COOR4)」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物を含む上記脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記化合物を含むこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基を示しており、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基を示している。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R5(COOR6−O−R7)」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物を含む上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジカルビトール、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。上記化合物を含むこれらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合には、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
上記炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
また、上記以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物などが挙げられる。
液状定着液TLにおける上記軟化剤の含有量は、0.5[質量%]〜50[質量%]が好ましく、5[質量%]〜40[質量%]がより好ましい。上記軟化剤の含有量が、0.5[質量%]未満であると、トナーに含まれる樹脂を溶解乃至膨潤させる効果が不十分になることがあり、50[質量%]を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
次に、液状定着液TLが含有する溶解助剤について説明する。
液状定着液TL中の軟化剤の濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる場合がある。そこで、溶解助剤として、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、液状定着液TLにおける上記多価のアルコール類の含有量は、1[質量%]〜30[質量%]の範囲が好ましい。上記多価のアルコール類の含有量が、30[質量%]を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
次に、起泡剤について説明する。
アニオン系界面活性剤は優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができ、起泡剤として用いられる。
上記アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。一方、軟化剤は、消泡作用が強く、定着液中で軟化剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなるため、なかなか起泡しなくなり、起泡で得た泡が直ぐに破泡するため嵩密度の低い泡状定着液を得ることができなくなる。
そこで、この定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献1にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。上記非特許文献1には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
ところが、後述するように、起泡剤として炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できることが分かった。
ここで、軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12〜18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。
また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。一方、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基とが定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、脂肪酸塩の炭素数12〜18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、定着液中の脂肪酸塩としては単独の脂肪酸塩でもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩を混合する方がさらに優れた定着液となる。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが望ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1や1:5:3:1、または、1:4:4:1などが適する。
上記アニオン系界面活性剤の液状定着液TL中の含有量は、0.1[質量%]〜20[質量%]が好ましく、0.5[質量%]〜10[質量%]がより好ましい。上記アニオン系界面活性剤の液状定着液TL中の含有量が、0.1[質量%]未満であると、起泡性が不十分になることがあり、上記アニオン系界面活性剤の液状定着液TL中の含有量が、20[質量%]を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。液状定着液TL中における上記軟化剤の濃度が10[質量%]未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、液状定着液TL中における軟化剤の濃度が10[質量%]以上、特に軟化剤の濃度が30[質量%]以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような軟化剤の液状定着液TL中の含有量が30[質量%]である場合において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、上記脂肪酸の液状定着液TLにおける含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、または、大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲とした場合起泡性が優れている。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組み合わせだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで脂肪酸がステアリン酸の組み合わせや、脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸の組み合わせのように、炭素数が12〜18の範囲で異なる組み合わせであってもよい。要は、炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、嵩密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、他のアニオン系界面活性剤、例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES)を起泡剤として、炭素数12〜18の脂肪酸を含有した定着液であっても、軟化剤濃度の増加による起泡性が悪くなるのを防止する効果があることがわかった。ただし、組み合わせとして最も優れているのは脂肪酸塩との組み合わせである。
更に、上記脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、脂肪酸アミン塩が適している。更に、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化反応後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩を混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
定着液中で、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いてもよい。
泡状定着液Buにおいて、塗布ニップCにてトナー層に泡状定着液Buを押し込みながら浸透させるときに泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が好適である。
次に、液状定着液TLが含有する溶媒について説明する。
上記溶媒としては、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、などが好ましい。
水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
上記水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加することで、表面張力を20[mN/m]〜30[mN/mと]することが好ましい。上記アルコール類としては、泡状定着液Buにおける気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点から、例えばセタノール等の単価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。また、これらの単価または多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましい。その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステレート及びソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルや、ショ糖ラウリン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
なお、液状定着液TL中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段や超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を液状定着液TLに加えることで軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
本実施形態で用いる樹脂微粒子はトナーであるが、定着の対象となる樹脂を含有する樹脂微粒子としては、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよく、例えば、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。上記樹脂微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組み合わせにおいて最も定着に対する効果が高い。
また、上記トナーは、着色剤、帯電制御剤、結着樹脂及び離型剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。上記トナーが含有する上記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、などが挙げられる。また、上記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。また、上記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができる。
また、上記トナーが含有する上記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記トナーが含有する上記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
また、泡状定着液Buは、撥水性処理されたトナー粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、定着液が泡状となった泡状定着液Buは、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが望ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20[mN/m]〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状定着液Buの表面張力は、20[mN/m]〜30[mN/m]であることが好ましい。
本実施形態では、媒体として転写紙Pを用いているが媒体としては、転写紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等の何れでもよい。ただし、媒体は定着液に対し浸透性を有することが好ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が好ましい。
上記媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙等の媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。
上記媒体のうち、記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。
〔実験例〕
次に、本発明を適用した定着装置30の定着性を確認した実験例について説明する。
以下、本実験例で使用した定着液の調整方法について説明する。
<脂肪酸トリエタノールアミン塩の調整>
まず、起泡剤液が含有する脂肪酸トリエタノールアミン塩の製法について説明する。
脂肪酸トリエタノールアミン塩全体の重量パーセントを100[wt%]としたときに、脂肪酸であるミリスチン酸(関東化学試薬)を35.1[wt%]、パルミチン酸(関東化学試薬)を26.3[wt%]、ステアリン酸(関東化学試薬)を8.8[wt%]及び中和剤であるトリエタノールアミンを29.8[wt%]となるようにそれぞれ計量する。そして、これらを液温80[℃]のイオン交換水中で30分間スターラー(100[rpm])で撹拌した後、室温になるまで自然冷却することで脂肪酸トリエタノールアミン塩を得る。これを以下に説明する起泡剤液に用いる。
<起泡剤液と軟化剤液との調整(1)>
以下、本実験例で用いる起泡剤液と軟化剤液との一つ目の組み合わせについて説明する。
起泡剤を含有する液(起泡剤液310b)としては、起泡剤液310b全体の重量パーセントを100[wt%]としたときに、上記脂肪酸トリエタノールアミン塩(脂肪酸TEA塩)を6.7[wt%]、増泡剤であるヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂,マーポンMM)を0.8[wt%]及びイオン交換水を92.5[wt%]、これらをあらかじめ超音波ホモジナイザーにて3分間撹拌して混合した液である。ここで得た起泡剤液310bを液状定着液TLの全体を100[wt%]としてときの60[wt%]をPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂からなるボトル容器(起泡剤液収容器31b)に入れた。
また、軟化剤を含有する液(軟化剤液310a)としては、プロピレンカーボネート(関東化学試薬社製:以下、PCとも呼ぶ)を用い、液状定着液TLの全体を100[wt%]としてときの40[wt%]をPET樹脂からなるボトル容器(軟化剤液収容器31a)に入れた。
<起泡剤液と軟化剤液の調整(2)>
次に、本実験例で用いる起泡剤液と軟化剤液との二つ目の組み合わせについて説明する。
起泡剤を含有する液(起泡剤液310b)としては、起泡剤液310b全体の重量パーセントを100[wt%]としたときに、脂肪酸トリエタノールアミン塩(脂肪酸TEA塩)を4.5[wt%]、増泡剤であるヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂、マーポンMM)を0.6[wt%]及びイオン交換水を94.9[wt%]をあらかじめ超音波ホモジナイザーにて3分間撹拌して混合した液である。ここで得た起泡剤液310bを液状定着液TLの全体を100[wt%]としてときの90[wt%]をPET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂からなるボトル容器(起泡剤液収容器31b)に入れた。
また、軟化剤を含有する液(軟化剤液310a)としては、コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社、クローダDES:以下、DESとも呼ぶ)を用い、液状定着液TLの全体を100[wt%]としてときの10[wt%]をPET樹脂からなるボトル容器(軟化剤液収容器31a)に入れた。
上記の軟化剤液310aと起泡剤液310bとを混合して液状定着液TLとし、さらに泡状定着液Buとする泡状定着液供給部130としては、図4に示す構成のものを用いた。
本実験例で用いた泡状定着液供給部130は、PET樹脂からなる2つのボトル(軟化剤液収容器31a及び起泡剤液収容器31b)を備え、液搬送ポンプ33(33a、33b)としてチューブポンプ(チューブ内径2[mm]、チューブ材質:シリコーンゴム)を備える。また、各部材を接続する液搬送流路(軟化剤液搬送パイプ34a、起泡剤液搬送パイプ34b、液状定着液搬送パイプ340及び泡搬送パイプ38c)は、内径2[mm]のシリコーンゴムチューブである。気体・液体混合部35内に配置された所望の泡径よりも大きい状態の初期泡状定着液Bu1を生成するための微小孔シート37は、ステンレス製メッシュシート(開口部約40[μm])という構成になっている。泡状定着液供給部130は、上述した2つのボトル、チューブポンプ、液搬送流路、及び、気体・液体混合部35によって大きな泡の生成部を構成する。
また、泡状定着液供給部130は、上述した大きな泡生成部で生成された初期泡状定着液Bu1から所望の泡径の小径泡状定着液Bu2を生成する泡微細化部38は、固定軸に固定された内側円筒38bが不図示の回転駆動モータによって回転する。二重円筒構造を構成する外側円筒38a及び内側円筒38bの材質はPET樹脂とした。外側円筒38aの内径d1は10[mm]、外側円筒38aの内部の長さL1は120[mm]、内側円筒38bの外径d2は8[mm]、内側円筒38bの長さL2は100[mm]とした。内側円筒38bの回転数は、300[rpm]とし、回転時間は10秒間とした。
泡状定着液供給部130で生成した泡状定着液Buを転写紙Pに付与する泡状定着液塗布部140としては、図5及び図6に示す構成のものを用いた。
膜厚調整ブレード42の先端と塗布ローラ41との間隙よりも塗布ローラ41の表面移動方向上流側の表面に上述した泡状定着液供給部130で生成した泡状定着液Buが供給される構成である。膜厚調整ブレード42の先端と塗布ローラ41との間隙は、40[μm]に設定した。
塗布対向ローラ43は、アルミ合金製ローラ(φ10[mm])を芯金とし、外径φ50[mm]のポリウレタンフォーム材(イノアック社商品名「カラーフォームEMO」)で形成したスポンジローラーである。
塗布ローラ41は、PFA(四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂を焼付け塗装したSUS(ステンレス鋼)製ローラ(φ30[mm])である。
膜厚調整ブレード42は、アルミニウム合金製支持板に厚み1[mm]の並板ガラスを接着したものであり、ガラス面を塗布ローラ41側に向け、10[μm]から100[μm]の範囲で塗布ローラ41とガラス面との隙間を制御できるように構成している。
また、紙搬送速度は、150[mm/s]という構成になっている。
本実験例の実施例1〜6及び比較例1〜3の実験結果を表1に示す。
Figure 2011197051
次に、本発明を適用した装置の各実施例と、本発明を適用したものとは異なる装置の各比較例の条件について説明する。
〔実施例1〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(1)」に基づいてPC系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約70[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が110[mg/A4]となった。
送風手段であるブロワ45として、風速20[m/sec]のシロッコファンを用い、シロッコファンの風出口の開口幅は搬送方向(図1中の左右方向)に50[mm]、紙幅方向(図1中の紙面手前−奥方向)に320[mm]であり、未定着トナーTとシロッコファンの風出口との距離は30[mm]、の条件下で送風した。
ところで、本実験例における水分の乾燥性能の測定は、Kett科学製の含水分測定器MX−8000(マイクロ波による測定方法)によって測定した。この含水分測定器は数秒間で紙の含水分を測定することが可能である。
ここで、上記PC系の定着液を泡状として塗布したときと、上記起泡剤液と軟化剤液との調整(2)に基づいて得られるDES系の定着液を泡状として塗布したときとの、塗布直後の含水分を100[%]としたときの経時による含水分の変化を図12に示す。図12に示すように、送風手段のような液を乾燥させる構成がない場合も、塗布後、約1分間の経時で50[%]〜60[%]程度の含水分が減少しており、そのときは、ベタ部に合わせた量の泡状定着液Buを塗布したときに、ベタ部の画像もハーフトーン部の画像も満足の得られる定着性が得られていた。
一方、実施例1の装置で、乾燥部Dを通過した後の転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後を100[%]としたときの55[%]の含水分が減少した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.03以下(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性や発色性も良好であった。
スミアテストは、複写、プリンタ画像における定着性判定方法の1つである。本実験例で用いたスミアテストの測定条件を以下に示す。
<測定条件>
・スミア試験器:摩擦試験機I型、JISL (クロックメータ)、
・スミア試験器の摩擦子径:φ15[mm]
・測定布:白綿布(JISL 0803 綿3号)
・測定布のサイズ:25×25[mm]前後(両面粘着フォームテープより大きい事)
・濃度測定器:マクベス濃度計 または X−Rite分光濃度計
・両面粘着フォームテープ:住友スリーエム(株)製 #4016(t=1.6)
ブロッキング性の評価は3枚プリント後、定着液を塗布した後に重ね合わせてポリ袋に入れてA4サイズ1000枚の上質紙を重しにし、一晩放置後に剥離して貼り付きの無いものを「◎」、張り付きは無いものの剥がす時にわずかに音がするものを「○」、貼り付きが生じるものを「×」とした。
〔実施例2〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(2)」に基づいてDES系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約80[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が120[mg/A4]となった。
送風手段であるブロワ45として、風速30[m/sec]のシロッコファンを用い、シロッコファンの風出口の開口幅は搬送方向(図1中の左右方向)に50[mm]、紙幅方向(図1中の紙面手前−奥方向)に320[mm]であり、未定着トナーTとシロッコファンの風出口との距離は20[mm]、の条件下で送風した。
このような実施例2の装置で、乾燥部Dを通過した後の転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後を100[%]としたときの55[%]の含水分が減少した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.05以下(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性や発色性も良好であった。
〔実施例3〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
実施例3の定着装置30の概略構成図を図13に示す。図1に示す定着装置30と比較してブロワ45内に送風ヒータ451を備える点で異なり、ブロワ45から熱風を吹き付ける構成である。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(1)」に基づいてPC系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約70[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が115[mg/A4]となった。
送風手段であるブロワ45及び送風ヒータ451として、シロッコファン及びハロゲンランプ(400[W])を用いて70[℃]の熱風を風速20[m/sec]で送風し、シロッコファンの風出口の開口幅は搬送方向(図1中の左右方向)に50[mm]、紙幅方向(図1中の紙面手前−奥方向)に320[mm]であり、未定着トナーTとシロッコファンの風出口との距離は30[mm]、の条件下で送風した。
このような実施例3の装置で、乾燥部Dを通過した後の転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後を100[%]としたときの90[%]の含水分が減少した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.01以下(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性や発色性も優れた結果を得ることができた。
〔実施例4〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
実施例4の定着装置30は、図13に示す実施例3の定着装置30と同様の構成である。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(2)」に基づいてDES系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約85[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が130[mg/A4]となった。
送風手段であるブロワ45及び送風ヒータ451として、シロッコファン及びハロゲンランプ(400[W])を用いて70[℃]の熱風を風速20[m/sec]で送風し、シロッコファンの風出口の開口幅は搬送方向(図1中の左右方向)に50[mm]、紙幅方向(図1中の紙面手前−奥方向)に320[mm]であり、未定着トナーTとシロッコファンの風出口との距離は30[mm]、の条件下で送風した。
このような実施例4の装置で、乾燥部Dを通過した後の転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後を100[%]としたときの90[%]の含水分が減少した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.04以下(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性や発色性も優れた結果を得ることができた。
〔実施例5〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
実施例5の定着装置30の概略構成図を図14に示す。図1に示す定着装置30と比較して、ブロワ45の代わりに転写紙加熱ヒータ452と輻射熱反射板452aとを備える点で異なり、転写紙加熱ヒータ452による輻射熱によって水分の蒸発を促す構成である。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(1)」に基づいてPC系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約75[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が120[mg/A4]となった。
乾燥手段である転写紙加熱ヒータ452として400[W]のハロゲンランプを用い、目標温度を80[℃]として乾燥部Dの温度を検知しながらハロゲンランプのON−OFFの制御を行った。これにより、乾燥部Dの温度が70[℃]〜100[℃]の条件下で乾燥を促した。
このような実施例5の装置で、乾燥部Dを通過した後の転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後を100[%]としたときの90[%]の含水分が減少した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.03以下(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性や発色性も優れた結果を得ることができた。
〔実施例6〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(2)」に基づいてDES系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約85[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が130[mg/A4]となった。
ついで、上記プリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)の定着ユニットの定着部材の表面温度を70[℃]に設定して通紙した。
このような実施例6の装置で、上記定着ユニットを通過させた転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後を100[%]としたときの90[%]の含水分が減少した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.03以下(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性や発色性も優れた結果を得ることができた。
実施例6より、定着液Fを塗布した転写紙Pに対して、乾燥部Dを通過させた後に、加圧ローラ対46を通過させる構成に限らず、乾燥と加圧とを同時に行っても良いことが分かる。
なお、実施例6の構成を備えた定着装置30の概略構成図は図15に示すような構成となる。図1に示す定着装置30と比較して、ブロワ45の代わりにローラ加熱ヒータ453が内部に配置された加熱ローラ454を備える点で異なる。そして、ローラ加熱ヒータ453によって転写紙加熱ヒータ452による輻射熱によって水分の蒸発を促し、さらに、加熱ローラ454と加熱対向ローラ454aとの間で加圧することで、トナー層に軟化剤が浸透することを促す構成である。
〔比較例1〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(1)」に基づいてPC系定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約70[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が110[mg/A4]となった。
そして、上記実施例1と同様の条件下で、送風手段のない条件で転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後の含水分とほとんど同じ値を示した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.7(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性も紙がトナーに張り付いており、発色も不十分であった。
〔比較例2〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用い、未定着トナーのカラー画像を転写紙PとしてのPPC用紙(リコーT−6200、A4紙)に形成させた。トナー層の厚みは20〜30[μm]であった。
泡状定着液供給部130において、上記「起泡剤液と軟化剤液との調整(2)」に基づいてDES定着液を生成し、気体・液体混合部35及び泡微細化部38によって泡状定着液Buを生成した。この泡状定着液Buを泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41上で厚さ約70[μm]の泡状定着液膜Bu3として、未定着トナーTが形成された転写紙Pの上に塗布した。その結果、転写紙Pにおける定着液Fの付着量が115[mg/A4]となった。
そして、上記実施例1と同様の条件下で、送風手段のない条件で転写紙Pの含水分を測定したところ、塗布直後の含水分とほとんど同じ値を示した。その結果、加圧ローラ対46を通過した後の画像は、スミアテストのID測定でベタ部、ハーフトーン部とも0.9(ベタ部のID値は1.2、ハーフトーン部のID値は0.3で、それぞれの部位をスミアテストで測定した)の結果を得た。ブロッキング性も紙がトナーに張り付いており、発色も不十分であった。
〔比較例3〕
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)を用いて通常の加熱ローラタイプの定着ユニットで定着した定着品質も比較のため評価した。その結果、定着性(クロックメータ)の評価ではベタ部、ハープトーン部ともにID=0.01と優れた定着性を示した。一方、ブロッキング評価ではこれも、何ら問題なく、貼り付き現象は認められなかった。更に発色性は優れた発色性を得ることができた。
上記表1に示すように、泡状定着液Buを塗布することで付着量を低減でき、かつ、塗布直後に乾燥手段を付設すると定着性(クロックメータ)の結果からも定着性が向上し、ブロッキング、発色性も向上することが判明した。
泡状定着液Buを塗布した直後は、図16(a)に示すように、未定着トナーTのトナー層に軟化剤Sと水Wが混在していて、このまま排紙すると定着液Fによるトナー粒子を軟化する働きを水分が阻害する要因となる。
これに対して、図16(b)に示すように、乾燥風D1を吹き付けるような乾燥部Dを設けることで水分を蒸発し、図16(c)に示すように、加圧ローラ対46でトナー層を圧縮して薄くすることで、トナー層を形成する未定着トナーT(Tc)の粒子に接触する軟化剤Sが相対的に多くなり、軟化剤Sがトナー粒子に満遍なく行渡る。その結果、トナー粒子を構成する樹脂微粒子の軟化が進み、少量の塗布量で定着が完了する。これにより、ベタ部もハーフトーン部も定着性の良好な品質を得ることが可能となる。
また、比較例1及び比較例2のように、トナー層に定着液を付与してから表面近傍に相対的に多くの水を含んだ状態では、加圧ローラ対46で加圧したとしても本発明を適用した定着装置30のような、ベタ部の画像もハーフトーン部の画像も満足のいく定着性とはならず、ベタ部のカラー画像は発色性も狙いの色調を得ることはできなかった。
以上、本実施形態の定着装置30は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子である未定着トナーTを軟化させる軟化剤を含有する液状定着液TLを液中に気泡が分散した泡状定着液Buとする定着液泡状化手段である泡状定着液供給部130と、未定着トナーTからなるトナー層を担持する記録媒体である転写紙Pの表面に泡状定着液Buを付与する泡状定着液付与手段である泡状定着液塗布部140とを有する。そして、泡状定着液Buを付与することで軟化した未定着トナーTを転写紙Pに定着する定着装置である。この定着装置30は、泡状定着液Buを付与された転写紙P上の定着液Fに含まれる軟化剤の濃度を高める濃縮手段であるブロワ45と、付与された定着液Fの軟化剤の濃度がブロワ45の送風によって高まった転写紙Pを加圧する加圧手段である加圧ローラ対46とを有する。このような定着装置30では、ブロワ45の送風による濃縮工程によって、軟化剤がトナー粒子を軟化することを阻害する溶媒である水分が減少し、加圧ローラ対46による加圧工程によって定着液Fが付与されたトナー層の全体に軟化剤が浸透することを促進する。これにより、塗布ニップCで泡状定着液Buを付与した後にある程度の時間が経過しなくても、定着液Fを塗布した後にある程度の時間放置した場合と同様に、トナー粒子が転写紙Pに安定して定着した状態となる。
よって、定着装置30では、定着後の転写紙Pを重ねて出力したときに、転写紙P同士がくっついたり、トナー像の一部が剥がれたり、といった不具合の発生を抑制することができる。
さらに、加圧ローラ対46で加圧することによって、定着液を塗布した後に放置するものに比べて、軟化剤がトナー層に浸透して発色性が向上し、表面が滑らかなローラで加圧することで、表面の光沢性が向上する。
また、濃縮手段としては、ブロワ45のような送風手段に限るものではなく、図14に示す定着装置30のように、転写紙Pを直接加熱する転写紙加熱ヒータ452及び輻射熱反射板452aを備え、水分の蒸発を促す構成であってもよい。このとき、転写紙Pの表面近傍の温度が軟化剤の沸点よりも高くならないように制御する。これにより、定着液Fの溶媒である水分の蒸発を促し、溶質である軟化剤の濃度を上昇させることができる。
また、濃縮手段としては、図1に示す定着装置30のように気体を吹き付ける送風手段であるブロワ45を備えることにより、定着液中の水分の蒸発を促し、定着液中の軟化剤の濃度を上昇させることができる。
また、濃縮手段としては、図13に示す定着装置30のように、ブロワ45内に送風ヒータ451を備え、転写紙P上の定着液Fに、常温よりも高温で、軟化剤の沸点よりも低温の空気を吹き付ける熱風送風手段であってもよい。これにより、溶媒である水分の蒸発を促し、定着液が付与されたトナー層を乾燥させ、定着液中の軟化剤の濃度を上昇させることができる。
また、濃縮手段としては、図15に示す定着装置30のように、ローラ加熱ヒータ453が内部に配置された表面移動体である加熱ローラ454であってもよい。このとき、加熱ローラ454の表面近傍の温度が軟化剤の沸点よりも高くならないように制御する。これにより、定着液Fの溶媒である水分の蒸発を促し、溶質である軟化剤の濃度を上昇させることができる。
また、濃縮手段と加圧手段とを備える定着装置30としては、図17に示す定着装置30のように、濃縮手段と加圧手段との間に、転写紙P上の液体成分である水を吸収する液吸収部材である吸水ローラ456を配置しても良い。吸水ローラ456によって乾燥部Dを通過した転写紙P上の余分な水分をさらに除去することができ、より確実に、転写紙P同士がくっついたり、トナー像の一部が剥がれたり、といった不具合の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の定着装置30では、加圧ローラ対46を一箇所だけに配置し、濃縮手段で塗布された定着液中の軟化剤の濃度が上昇した転写紙Pを一箇所の加圧ローラ対46によって加圧する構成である。加圧ローラ対46を配置する箇所の数としては一箇所に限るものではなく、転写紙Pの搬送方向の複数箇所に設けても良い。複数回加圧することにより、定着後のトナー像の表面の円滑性がより高まり、より光沢のある画像を得ることができる。
また、本実施形態の画像形成装置としてのプリンタ100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子であるトナーを用いて記録媒体である転写紙P上に未定着トナーTを形成するトナー像形成手段であるプロセスユニット3等と、トナー像を担持する転写紙Pの表面に泡状定着液Buを塗布し、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備え、定着手段として、図1等に示す本実施形態の定着装置30を用いることにより、定着後の転写紙Pを重ねて出力しても、記録媒体同士がくっついたり、画像の一部が剥がれたり、といった不具合が発生し難いため、泡状定着液Buを塗布する構成で連続プリントを実現できる。
4 感光体
20 転写ユニット
25 中間転写ベルト
28 紙搬送ユニット
30 定着装置
31 定着用液収容器
31b 起泡剤液収容器
31a 軟化剤液収容器
33 液搬送ポンプ
35 気体・液体混合部
38 泡微細化部
41 塗布ローラ
42 膜厚調整ブレード
43 塗布対向ローラ
45 ブロワ
46 加圧ローラ対
100 プリンタ
130 泡状定着液供給部
140 泡状定着液塗布部
310b 起泡剤液
310a 軟化剤液
400 液混合部
Bu 泡状定着液
C 塗布ニップ
D 乾燥部
特許第3290513号 特許第4185742号 特開昭59−119364号公報 特開2007−219105号公報 特開2007−264338号公報
「泡のエンジニアリング」初版(石井淑夫著,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489)

Claims (8)

  1. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、
    該樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する記録媒体の表面に該泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段とを有し、
    該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を該記録媒体に定着する定着装置において、
    上記泡状定着液を付与された上記記録媒体上の泡状または液状の定着液に含まれる上記軟化剤の濃度を高める濃縮手段と、
    付与された定着液の軟化剤の濃度が該濃縮手段によって高まった該記録媒体を加圧する加圧手段とを有することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    上記濃縮手段は、上記軟化剤の沸点よりも低い温度で加熱する加熱手段であることを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1の定着装置において、
    上記濃縮手段は、上記記録媒体上の上記定着液に気体を吹き付ける送風手段であることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1の定着装置において、
    上記濃縮手段は、上記記録媒体上の上記定着液に、常温よりも高温で、上記軟化剤の沸点よりも低温の気体を吹き付ける熱風送風手段であることを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1の定着装置において、
    上記濃縮手段は、表面温度が上記軟化剤の沸点よりも低い温度となる範囲で加熱された表面移動体であることを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記濃縮手段と上記加圧手段との間に、該記録媒体上の液体成分を吸収する液吸収部材を配置したことを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記加圧手段が上記加圧手段を加圧する加圧部を複数箇所配置したことを特徴とする定着装置。
  8. 樹脂と色剤とを含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上に画像情報に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    トナー像を担持する記録媒体の表面に泡状定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
    該定着手段として、請求項1乃至7に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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