JP2011128452A - 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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泰男 片野
Tsuneo Kurotori
恒夫 黒鳥
Yuko Arisumi
夕子 有住
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剛男 山口
Yasushi Matsuoka
康司 松岡
秀和 ▲柳▼沼
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Abstract

【課題】非加熱定着方式による定着に関し、タックの残存を抑制しつつ、分子内にエステル基を有する可塑剤を含有する定着液を高温で長期間保存しても、優れた定着性を有する定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であって、前記定着液は、水を含む希釈剤と、前記定着液を泡状とする起泡剤と、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる可塑剤と、を含有し、前記可塑剤は、分子内にエステル基を有する第1の可塑剤と、分子内にエーテル基を有する第2の可塑剤とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、あるいはこれらのうちの複数の機能を有する複合機等の画像形成装置は、紙、布、OHP用シート等の記録媒体に、画像情報に基づいて、文字や記号を含む画像を形成するが、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、電子写真方式の画像形成装置が広く使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、定着速度が速く、定着画像品質が高いため、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することにより、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。
しかしながら、このような熱定着方式を用いた電子写真方式の画像形成装置においては、消費電力の約半分以上がトナーを加熱することに消費されており、省エネルギー化を図りにくいという課題を有している。
そこで、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置、即ち、加熱せずにトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法の定着装置が望まれている。
このような非加熱定着方法に用いられる定着液としては、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂微粒子を軟化させる可塑剤と、起泡剤とを含有するものが提案されている(特許文献1参照)。
ここでは、前記可塑剤に分子内にエステル基を有する化合物として脂肪酸エステル類が提案されている。前記分子内にエステル基を有する化合物は、トナー等の樹脂微粒子の定着に必要な溶解性又は膨潤性を有し、可塑剤として有効な材料である。
ところで、前記提案においては、起泡剤の起泡性を向上させるために、pH調整剤としてトリエタノールアミンを用いて定着液を弱アルカリ性にしている。
しかしながら、可塑剤として分子内にエステル基を有する化合物を用いる場合、該化合物は、酸性又はアルカリ性の液中で加水分解するおそれがあり、保存性に劣るという問題がある。特に、中近東や東南アジアのように、40℃近い高温環境が普通の地域においては、保存性が著しく低下する。
そのため、長期保存が可能な定着液としては、満足できるものが存在せず、特に高温環境下において、定着液に求められ保障期間を確保することが困難であるという問題がある。
また、この提案においては、定着液塗布量が過多の画像部、例えば、同一サンプル上でトナー付着量が異なる場合においてはタックが残存してしまうという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、非加熱定着方式による定着に関し、タックの残存を抑制しつつ、分子内にエステル基を有する可塑剤を含有する定着液を高温で長期間保存しても、優れた定着性を有する定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、分子内にエステル基を有する第1の可塑剤に加えて、分子内にエーテル基を有する第2の可塑剤を用いることにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であって、前記定着液は、水を含む希釈剤と、前記定着液を泡状とする起泡剤と、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる可塑剤と、を含有し、前記可塑剤は、分子内にエステル基を有する第1の可塑剤と、分子内にエーテル基を有する第2の可塑剤とを含むことを特徴とする定着液である。
<2> 第1の可塑剤及び第2の可塑剤のいずれもが、常温で液体の液体可塑剤である前記<1>に記載の定着液である。
<3> 第2の可塑剤が、グリコールエーテル化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の定着液である。
<4> グリコールエーテル化合物が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである前記<3>に記載の定着液である。
<5> 可塑剤が、第3の可塑剤を更に含み、該第3の可塑剤は、常温で固体の固体可塑剤である前記<1>から<4>のいずれかに記載の定着液である。
<6> 固体可塑剤が、エチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基の少なくともいずれかを有する化合物である前記<5>に記載の定着液である。
<7> エチレンオキサイド基を有する化合物が、ポリエチレングリコールである前記<6>に記載の定着液である。
<8> ポリエチレングリコールの分子量が、2,000〜10,000である前記<7>に記載の定着液である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚調整工程と、前記の所望の厚みに形成された泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与工程と、を含むことを特徴とする定着方法である。
<10> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、前記泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与手段と、前記泡状定着液付与手段の泡状定着液の膜厚を調整する膜厚調整手段と、を有することを特徴とする定着装置である。
<11> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、を含む画像形成方法であって、前記定着工程が、前記<9>に記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法である。
<12> 静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、を有する画像形成装置であって、前記定着手段が、前記<10>に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、非加熱定着方式による定着に関し、タックの残存を抑制しつつ、分子内にエステル基を有する可塑剤を含有する定着液を高温で長期間保存しても、優れた定着性を有する定着液、並びにこの定着液を用いた定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
図1は、本発明による定着液付与後の樹脂微粒子の定着の様子を示す概略断面図である。 図2は、泡状定着液の構成を示す概略断面図である。 図3は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。 図4Aは、本発明による定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。 図4Bは、本発明による定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。 図5Aは、膜厚調整用ブレードを用いた泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整の様子を示す概略図である。 図5Bは、膜厚調整用ブレードを用いた泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整の様子を示す概略図である。 図6は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。 図7は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。 図8は、本発明の一実施例の形態に係る定着装置の他の別の構成を示す概略模式図である。 図9Aは、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 図9Bは、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 図10Aは、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略断面図である。 図10Bは、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略断面図である。
(定着液)
本発明の定着液は、トナー等の樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であり、水を含む希釈剤と、定着液を泡状とする起泡剤と、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる可塑剤と、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
<可塑剤>
前記可塑剤は、第1の可塑剤と、第2の可塑剤とを含み、必要に応じて、第3の可塑剤として含むこととしてなる。
−第1の可塑剤−
前記第1の可塑剤は、分子内にエステル基を有してなる。該第1の可塑剤としては、常温で液体の液体可塑剤が好ましい。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃が該当する。
前記第1の可塑剤としては、前記希釈剤に可溶であって、一定の条件下で可塑能力を発揮するものであれば、特に制限はなが、後述する固体可塑剤と組み合わせることで可塑能力を発揮するものであってもよい。
前記分子内にエステル基を有するエステル化合物は、一定の条件下で溶解性乃至膨潤性に優れる。このエステル化合物のなかでも、樹脂の軟化能力が優れている点、又は後述する希釈剤による起泡性の阻害の程度が低い点で、脂肪族エステル又は炭酸エステルが、より好ましい。
前記第1の可塑剤は、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましく、5g/kg以上であることがより好ましい。前記第1の可塑剤として、前記の脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高いものであることから、特に好ましい。
また、記録媒体に対する樹脂微粒子としてのトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、前記第1の可塑剤は、トナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。この点で、前記第1の可塑剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。前記の脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し刺激臭を持たない点で、より好ましい。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を臭気の指標としてもよい。また、液体可塑剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、液体可塑剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も、液体可塑剤と同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
−−脂肪族エステル−−
前記脂肪族エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであってもよい。
−−飽和脂肪族エステル−−
前記脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルである場合には、液体可塑剤の保存安定性(酸化、加水分解等に対する耐性)を向上させることができる。また、前記の飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内等の短時間で溶解乃至膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解乃至膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
本発明による定着液において、好ましくは、前記の飽和脂肪族エステルの一般式は、RCOORで表される化合物であってもよく、ここでRは、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rは、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、前記の飽和脂肪族エステルが、一般式RCOORで表される化合物であり、Rが、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rが、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式RCOORで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
−−脂肪族モノカルボン酸エステル−−
前記脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族モノカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸エステル−−
前記脂肪族エステルとしては、脂肪族ジカルボン酸エステルであってもよい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが好ましい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の液体可塑剤を添加することによって、トナーに含まれる樹脂微粒子を溶解乃至膨潤させることができるため、定着液に含まれる液体可塑剤の含有量を低減することができる。
本発明による定着液において、好ましくは、前記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、R(COORで表される化合物であって、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基であってもよい。R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
前記脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R(COORで表される化合物であって、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂微粒子に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式R(COORで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
前記の脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族ジカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル−−
更に、本発明による定着液において、前記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであることが好ましい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルである場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明による定着液に含まれる液体可塑剤において、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物であって、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基であってもよい。R、R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物であって、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式R(COOR−O−Rで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、脂肪酸ジカルビトール類などのコハク酸ジカルビトール、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
前記以外のエステル化合物としては、液体可塑剤の一例である炭酸エステルとしては、例えばグリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
また、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル等が挙げられる。
また、飽和脂肪族カルボン酸と飽和脂肪族アルコールのエステルとして、一般式
(COOROR10OR11
(式中、Rは、炭素数が2〜8のアルキレン基であり、R及びR10は、それぞれ独立に、炭素数が2又は3のアルキレン基であり、R11は、炭素数が1〜4のアルキル基である。)で表されるジエステルが好ましい。これを用いると、さらに短時間で樹脂粒子を溶解又は膨潤させることができる。具体的には、樹脂粒子がトナーである場合に、60ppm程度の高速印字において、記録媒体に形成された未定着のトナー像に定着液が付与されてからトナー像が定着するまでの時間を0.1秒以内にすることができる。さらに、定着液中の軟化剤の含有量を低減することができる。このとき、Rの炭素数が1である場合、Rの炭素数が1である場合及びR10の炭素数が1である場合は、臭気指数が10を超えることがある。一方、Rの炭素数が8を超える場合、Rの炭素数が3を超える場合、R10の炭素数が3を超える場合及びR11の炭素数が4を超える場合は、樹脂粒子を溶解又は膨潤させる能力が低下することがある。
このようなジエステルとしては、特に限定されないが、コハク酸ジエトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシエトキシエチル、アジピン酸ジメトキシエトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエトキシエチル等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
さらに、前記飽和脂肪族カルボン酸と飽和脂肪族アルコールのエステルとして、一般式
12(OCOR13
(式中、R12は、炭素数が2〜8のアルキレン基であり、R13は、炭素数が2〜5の直鎖型又は分岐型のアルキル基である。)
で表されるジエステルが好ましい。これを用いると、さらに短時間で樹脂粒子を溶解又は膨潤させることができる。具体的には、樹脂粒子がトナーである場合に、60ppm程度の高速印字において、記録媒体に形成された未定着のトナー像に定着液が付与されてからトナー像が定着するまでの時間を0.1秒以内にすることができる。さらに、定着液中の軟化剤の含有量を低減することができる。このとき、R12の炭素数が1である場合及びR13の炭素数が1である場合は、臭気指数が10を超えることがある。一方、R12の炭素数が8を超える場合、R13の炭素数が5を超える場合は、樹脂粒子を溶解又は膨潤させる能力が低下することがある。
このようなジエステルとしては、特に限定されないが、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジジアセテート、プロピレングリコールジブチレート、ブチレングリコールジブチレート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
また、前記飽和脂肪族カルボン酸と飽和脂肪族アルコールのエステルとして、一般式
14(OR15OCOR16
(式中、R14は、炭素数が2〜4のアルキレン基であり、R15は、炭素数が2又は3の直鎖型又は分岐型のアルキレン基であり、R16は、炭素数が1〜4のアルキル基である。)で表されるジエステルが好ましい。これを用いると、さらに短時間で樹脂粒子を溶解又は膨潤させることができる。具体的には、樹脂粒子がトナーである場合に、60ppm程度の高速印字において、記録媒体に形成された未定着のトナー像に定着液が付与されてからトナー像が定着するまでの時間を0.1秒以内にすることができる。さらに、定着液中の軟化剤の含有量を低減することができる。このとき、R14の炭素数が1である場合及びR15の炭素数が1である場合は、臭気指数が10を超えることがある。一方、R14の炭素数が4を超える場合、R15の炭素数が3を超える場合及びR16の炭素数が4を超える場合は、樹脂粒子を溶解又は膨潤させる能力が低下することがある。
このようなジエステルとしては、特に限定されないが、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート、トリプロピレングリコールジジアセテート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
2価の飽和脂肪族アルコールの炭酸エステルとして、一般式
(式中、R17は、アルキレン基である。)
で表される化合物が好ましい。これを用いると、短時間で樹脂粒子を溶解又は膨潤させることができる。具体的には、樹脂粒子がトナーである場合に、60ppm程度の高速印字において、記録媒体に形成された未定着のトナー像に定着液が付与されてからトナー像が定着するまでの時間を1秒以内にすることができる。さらに、このような炭酸エステルは、トナー像の粘着感を低下させることができる。これは、溶解又は膨潤したトナー像の表面に、炭酸エステルが油膜を形成するためであると考えられる。
このような炭酸エステルとしては、特に限定されないが、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
<第2の可塑剤>
前記第2の可塑剤は、分子内にエーテル基を有してなる。該第2の可塑剤としては、常温で液体の可塑剤(液体可塑剤)であることが好ましい。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃が該当する。
前記第2の可塑剤としては、前記希釈剤に可溶であって、一定の条件下で可塑能力を発揮するものであれば、特に制限はないが、後述する固体可塑剤と組み合わせることで可塑能力を発揮するものであってもよい。
前記第2の可塑剤は、分子内にエーテル基を有する限り、特に制限はないが、前記第1の可塑剤の加水分解を抑制して、定着液の保存性を向上させる観点から、グリコールエーテル化合物が好ましい。
具体的には、下記一般式(1)〜(5)で表される化合物が好ましく、なかでも、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。
ただし、前記一般式(1)中、mは、1〜3の整数を示す。
ただし、前記一般式(2)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキル直鎖を示し、mは、1〜3の整数を示す。
ただし、前記一般式(3)中、R及びRは、それぞれ、炭素数が1〜4のアルキル直鎖のいずれかを示し、互いに同一でも異なっていてもよく、mは、1〜3の整数を示す。
ただし、前記一般式(4)中、Rは、炭素数が1〜4のアルキル直鎖を示し、m及びnは、それぞれ1〜3の整数を示す。
ただし、前記一般式(5)中、R及びRは、それぞれ炭素数が1〜4のアルキル直鎖を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、m及びnは、それぞれ1〜3の整数を示す。
<第3の可塑剤>
前記可塑剤としては、特に制限はなく、常温で固体の固体可塑剤を第3の可塑剤として含むこととしてもよい。
前記固体可塑剤を前記第1の可塑剤及び前記第2の可塑剤と併用する場合、タックを軽減することができるとともに、色再現性に優れた定着画像を定着性よく形成でき、例えば、カラー画像の定着に好ましく用いることができる。
前記固体可塑剤は、常温で固体であり、かつ、後述の希釈剤に可溶であって、この希釈剤に溶解している状態でトナーなどの樹脂微粒子を軟化させる得る限り、特に制限はない。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃が該当する。この常温の範囲内であると、固体可塑剤は固体状態となる。すなわち、泡状態の定着液においては水を含むために固体可塑剤は溶融している状態にあるが、未定着のトナーに付与され、該トナーに浸透し、さらにトナーに浸透した定着液の水分が気化などにより量が低下した場合には、前記固体可塑剤は固体の状態に変化する。本発明では、このように、固体可塑剤が固体の状態に変化する点に注目し、この特性を利用することで定着液付与後のトナー固さを高め、タックに関する課題を解決している。また、常温における適当な条件下で固体可塑剤が樹脂微粒子に対する可塑能力を発揮するとともに、可塑能力を失い固体の状態となると、それ自体が硬化し、タックの防止に寄与することとなる点で、好ましい。
前記固体可塑剤としては、例えば、被定着物である樹脂微粒子と一定の相溶性を有するなどの親和性を有する官能基を有することが好ましい。ここでいう親和性を有する官能基とは、好ましくは、樹脂微粒子を構成する分子に含まれる官能基と、固体可塑剤に含まれる官能基とが同一である場合に加え、これらの官能基間で一定の相互作用をし得る官能基を有することを意味する。固体可塑剤に含まれる官能基が樹脂微粒子を構成する分子と一定の相互作用をし得る官能基を有すると、これらの官能基の相互作用により樹脂微粒子を構成する分子間に固体可塑剤が進入するきっかけとなり、結果として、固体可塑剤と樹脂微粒子との間でいわゆるポリマーブレンドの状態を形成し、固体可塑剤がトナーなどの樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる際に効果的であるためである。具体的な例を挙げると、固体可塑剤がポリエチレングリコールであって、該ポリエチレングリコールにエチレンオキサイド基が含まれる。そして、対応する樹脂微粒子には、樹脂分子中にエチレンオキサイド基を含む組合せがそれに相当する。このような場合、固体可塑剤と樹脂微粒子の両者にエチレンオキサイド基が含まれ、これにより親和性を高めることで、両者の相溶性を高める効果が奏するものである。一方、この考え方は、固体可塑剤と樹脂微粒子の両者に親和性を有する官能基を有することで成り立つため、前記エチレンオキサイド基に限定されることはなく、他の例としては、プロピレンオキサイド基を利用してもよく、さらには、公知のトナーに含まれる官能基を固体可塑剤内に含ませる場合も有効に作用する。
前記固体可塑剤としては、上記の要件のほか、一定の条件下で可塑能力を発揮するものが挙げられ、例えば、下記のものが挙げられる。
(1)後述の希釈剤に溶解することで可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が1,000〜2,000のもの
(2)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが後述の液体可塑剤が少量存在すると可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000のもの
(3)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが若干の加温(例えば、50℃〜100℃程度)により可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000のもの
ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類:ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノセチルエーテルなど
上記(1)で例示したポリエチレングリコールの分子量が、1,000未満であると、周囲環境によって定着画像が溶融する場合があり、2,000を超えると、前記常温状態で固体状態ではなくなるため、固体可塑剤のみを利用し、任意成分である後述の液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては十分な可塑能力が発揮できない場合がある。このような技術的な意義のもと、前記分子量は、1,000〜2,000であることが好ましい。
上記(2)で例示したポリエチレングリコールの分子量が、10,000を超えると、常温状態で明らかに液体状態ではなくなるため、被定着物である樹脂微粒子間に粒界が生じてしまう場合がある。このような観点から、固体可塑剤のみを利用し、液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては、分子量が10,000以上である場合は使用が困難であり、定着液に水を含む態様にて使用される場合には、分子量を1,000から10,000が使用可能な分子量である。
上記(3)に例示の固体可塑剤の加温の温度としては、可塑能力が発揮できる範囲であれば、特に制限はないが、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
−含有量−
前記第1の可塑剤と前記第2の可塑剤を併用したときの前記定着液における前記可塑剤の全含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%〜40質量%が好ましい。
15質量%未満であると、トナー層の可塑剤による軟化が不十分で定着不良が発生し、40質量%を超えると、トナー層の可塑剤による軟化が過剰になり画像に粘着性が出てしまし、重ねた印刷物どうしが張付く不具合が発生する。
また、前記第1の可塑剤と前記第2の可塑剤と第3の可塑剤を併用したときの前記定着液における前記可塑剤の全含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%〜40質量%が好ましい。
15質量%未満であると、トナー層の可塑剤による軟化が不十分で定着不良が発生し、40質量%を超えると、トナー層の可塑剤による軟化が過剰になり画像に粘着性が出てしまし、重ねた印刷物どうしが張付く不具合が発生する。
前記第1の可塑剤と前記第2の可塑剤を併用したときの、前記可塑剤におけるこれらの質量比としては、第1の可塑剤:第2の可塑剤の順に、4:6〜6:4が好ましい。
前記第1の可塑剤の前記可塑剤における質量比が、4未満であると、トナー粒子を構成する樹脂内部への可塑剤の浸透性が遅くなり、定着に時間がかかり印刷直後に定着不良が発生する恐れがある。前記第2の可塑剤の前記可塑剤における質量比が、4未満であると、第1の可塑剤の加水分解による可塑能力の低下分を第2の可塑剤が補いきれなくなり、定着不良が発生する。
以上から、この場合、前記第1の可塑剤の前記定着液における含有量としては、6質量%〜24質量%が好ましい。また、前記第2の可塑剤の前記定着液における含有量としては、6質量%〜24質量%が好ましい。
前記第1の可塑剤と前記第2の可塑剤と前記第3の可塑剤を併用したときの、これらの質量比としては、第1の可塑剤:第2の可塑剤:第3の可塑剤の順に、2:2:6〜3:3:4が好ましい。
前記第1の可塑剤の前記可塑剤における質量比が、2未満であると、トナー粒子を構成する樹脂内部への可塑剤の浸透性が遅くなり、定着に時間がかかり印刷直後に定着不良が発生する恐れがある。前記第2の可塑剤の前記可塑剤における質量比が、2未満であると、第1の可塑剤の加水分解による可塑能力の低下分を第2の可塑剤が補いきれなくなり、定着不良が発生する恐れがある。前記第3の可塑剤の前記可塑剤における質量比が、4未満であると、液体可塑剤によるトナー粒子の軟化がいつまでも持続し、重ねた印刷物どうしが張付く恐れがある。
以上から、この場合、前記第1の可塑剤の前記定着液における含有量としては、3質量%〜12質量%が好ましい。また、前記第2の可塑剤の前記定着液における含有量としては、3質量%〜12質量%が好ましい。また、前記第3の可塑剤の前記定着液における含有量としては、4質量%〜24質量%が好ましい。
<希釈剤>
本発明による定着液に含まれる希釈剤としては、水を含む限り特に制限はなく、例えば、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、等が好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記希釈剤として水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加してもよく、なかでも、定着液の表面張力を20mN/m〜30mN/mとすることが好ましい。前記アルコール類としては、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする点で、例えばセタノール等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
前記希釈剤は、浸透性改善や紙等媒体のカール防止と目的として、油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成であることも好ましい。この油性成分としては、公知の種々の材料を用いることができる。油性成分を含有する希釈剤の場合、分散剤を用いてエマルジョンを形成してもよく、このエマルジョンの形成に用いる分散剤としては、公知の種々の材料を用いることができるが、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖エステル等が好ましい。
前記分散剤を用いて定着液をエマルジョンの形態に分散させる方法として、特に制限はなく、公知の種々の方法を用いればよい。例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。なかでも、定着液中の軟化剤に強いせん断応力を加える方法であることが好ましい。
<起泡剤>
本発明による定着液に含まれる起泡剤としては、定着液の泡状化するものであれば、特に制限はなく、優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができる。起泡剤としては、飽和若しくは不飽和の脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩若しくはアルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、又はモノアルキルリン酸塩等のリン酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
−脂肪酸塩−
前記起泡剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
前記脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩又は脂肪酸アミン塩であることが好ましく、脂肪酸アミン塩であることがより好ましい。これらの脂肪酸塩の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで製造してもよい。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩とを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
前記起泡剤として用い得る不飽和脂肪酸塩としては、特に制限はないが、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸塩が好ましい。具体的には、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩が挙げられる。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を一種単独又は二種以上を混合して起泡剤として用いてもよい。また、上記の飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩とを混合して起泡剤として用いてもよい。
前記液体可塑剤は、消泡作用が強く、定着液中で液体可塑剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、なかなか起泡しなくなり、泡が直ぐに破泡するため、泡密度の低い泡状定着液を得ることができなくなることがある。
そこで、定着液中の液体可塑剤濃度を高めたときの起泡性が劣化してしまうことを解消するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行ったところ、起泡剤として炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、液体可塑剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しないことを見出した。これにより、安定した泡状定着液を提供できる。
ここで、定着液に含まれる起泡剤において、脂肪酸塩の炭素数としては、単に水を起泡する場合と比較して起泡性に優れている点で、12〜18であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸塩(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸塩(炭素数18)が挙げられる。
前記起泡剤として用いられる脂肪酸塩と共に用いられる脂肪酸と、液体可塑剤との作用について説明する。液体可塑剤としてエステル化合物を用いた場合、エステル化合物はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、液体可塑剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基とが定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させると考えられる。
前記起泡剤として用い得る炭素数12〜18の脂肪酸塩において、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、この脂肪酸塩としては、単独の脂肪酸塩を用いてもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩であって異なる炭素数を有する複数の脂肪酸塩を混合する方がより好ましい。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1、0:4:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1等が適する。
前記起泡剤の含有量としては、定着液の質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、起泡性が不十分になることがあり、20質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
前記定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで、液体可塑剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。液体可塑剤の濃度が、10質量%未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性に問題はない。しかし、液体可塑剤の濃度が10質量%以上、特に液体可塑剤の濃度が30質量%以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる場合がある。起泡性が悪くなった場合であっても、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、前記脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる場合がある。このような場合、起泡性が優れている点で、脂肪酸塩のモル数は、脂肪酸のモル数以上のモル数としてもよく、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲としてもよい。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩との組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンであり脂肪酸がステアリン酸である組合せや、脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムであり脂肪酸がステアリン酸である組合わせのように、炭素数が12〜18の範囲で脂肪酸塩と脂肪酸との炭素数が異なる組合せであってもよい。炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の液体可塑剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、前記起泡性が悪化するのを防止し得る点で、他のアニオン系界面活性剤(例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES))を起泡剤とし、炭素数12〜18の脂肪酸をさらに含有してもよい。
<その他の成分>
−溶解助剤−
本発明による定着液は、定着液中の液体可塑剤を溶解する目的で、溶解助剤を含有してもよい。溶解助剤としては、液体可塑剤を溶解させ得るものであれば、特に制限はなく、多価のアルコール類が挙げられる。この多価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが挙げられる。なかでも、液体可塑剤が高濃度でも溶解可能であり且つ起泡剤の起泡性を劣化させない点で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールであることが好ましい。前記多価のアルコール類の含有量は、定着液の質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。含有量が、30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さず、1質量%未満では、定着液中の液体可塑剤濃度が高くなると希釈溶液である水に液体可塑剤が溶解しにくくなる場合がある。
−増泡剤−
本発明による定着液は、泡状化されて、後述の泡状定着液として、樹脂微粒子の定着に用いられるところ、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで、本発明による定着液は、このような現象を抑え泡沫安定性を向上させる目的で、増泡剤をさらに有してもよい。増泡剤としては、特に制限はないが、脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましく、泡沫安定性の点で、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型であることがより好ましい。増泡剤の含有量としては、定着液の質量に対して、0.01質量%〜3質量%であることが好ましい。
<樹脂微粒子>
本発明において、樹脂微粒子としては、樹脂からなる微粒子の形態のものであれば、その構成、材料に制限はない。また、樹脂微粒子は、電子写真用等の各種トナーを構成してもよく、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。
前記樹脂微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着に対する効果が高い。
本発明において、トナーとしては、樹脂微粒子を有する限り、特に制限はなく、例えば、着色剤と、帯電制御剤と、結着樹脂と、離型剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるものであってもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものから目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、等が挙げられる。なかでも、エチレンオキサイド基又はプロピレンオキサイド基を有するポリエステル樹脂が好ましい。なかでも、エチレンオキサイド基を有するポリエステル樹脂としては、定着液との親和性の観点で、ポリオールポリエステル樹脂、がより好ましい。ポリエステル樹脂にこれらの置換基を有する場合、固体可塑剤がこれらの置換基と親和性を有する官能基を有すると、エステル樹脂の官能基と固体可塑剤の置換基との相互作用によりトナーの樹脂を構成する分子間に固体可塑剤が進入するきっかけとなり、結果として、固体可塑剤と樹脂との間でいわゆるポリマーブレンドの状態を形成し、固体可塑剤がトナーなどの樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる際に効果的であるためであると考えられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカルナウバワックス、ポリエチレンワックス等のワックス成分等が挙げられる。
前記のその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
また、前記トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
<泡状化>
本発明による定着液は、後述の所定の手段によって泡状化して用いられる。泡状化することで、上記図10A及び10Bで言及したような表面張力と内部流とのバランスにより、オフセットが発生しにくくなる。ここで、本発明による定着液の表面張力としては、上記した通り、20mN/m〜30mN/mであることが好ましい。
泡状化された本発明による定着液は、撥水性処理されたトナー粒子に対して、十分な親和性を有することが好ましい。ここでいう親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。即ち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20mN/m〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20mN/m〜30mN/mであることが好ましい。
<記録媒体>
本発明において、記録媒体としては、トナー等を構成する樹脂微粒子を定着させ得るものであれば、特に制限はない。なかでも、記録媒体としては、定着液に対して浸透性を有するものであることが好ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が好ましい。記録媒体の形態としては、特に制限はなく、シート状の他、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙等の媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護したもの(いわゆる、ニスコート)であってもよい。記録媒体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布等を構成する一般的な繊維、液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルム、金属、樹脂、セラミックスが挙げられる。
(定着方法及び定着装置)
本発明による定着方法は、泡状定着液生成工程と、膜厚調整工程と、泡状定着液付与工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明による定着装置は、泡状定着液生成手段と、泡状定着液付与手段と、膜厚調整手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明による定着方法は、本発明による定着装置により好適に実施することができ、泡状定着液生成工程は、泡状定着液生成手段により行うことができ、膜厚調整工程は、膜厚調整手段により行うことができ、泡状定着液付与工程は、泡状定着液付与手段により行うことができ、前記のその他の工程は、前記のその他の手段により行うことができる。
<泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段>
泡状定着液生成工程は、本発明による定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する工程であり、泡状定着液生成手段により実施される。
本発明において、図1に示すように、泡状定着液生成手段によって定着液を泡で構成された泡状定着液14とすることで、定着液のかさ密度を低くできると共に塗布ローラ11上の定着液層を厚くすることができ、更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、塗布ローラ11への樹脂微粒子のオフセットを防止できる。
ここで、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を、図面を参照しながら説明する。図10A及び10Bは、従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略図であって、図10Bは、図10Aを部分的に拡大した図である。これら図を参照すると、定着液層84が液体の形態である場合、塗布ローラ81上の定着液層84の液面には、ローラ面に沿って強い表面張力が働いている。更に、塗布ローラ81上の定着液層内部には塗布ローラの移動方向に内部流が生じている。このため、塗布ローラ81上の定着液層の厚みがトナー層と同等かそれ以下の薄い層である場合、未定着トナー層83を塗布ローラ81の表面に引っ張り込むように表面張力が強く働き、また上記の内部流も塗布ローラ面に沿ってトナーを運ぶように働くため、塗布ローラ81に未定着トナーが固着/付着し、トナーオフセットが生じてしまう。塗布ローラ81上の定着液層がトナー層よりも2倍以上に厚くなると、この液体の表面張力や内部流の影響はトナーへ及ぼしにくくなるため、塗布ローラ81上の定着液層が厚い場合は、トナーオフセットが低減する。逆に、樹脂微粒子のオフセットが生じない均一塗布には、塗布ローラ81の表面に定着液層がある程度厚くする必要があることを意味している。一方、塗布後の媒体上の樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが定着応答性や残液感やカール防止に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。塗布する際は定着液層の厚みが厚くて層の体積が多く、且つ塗布後の媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、定着液の密度が低ければよく、塗布時に体積が多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。
本発明では、上記のような構成を採用することで、例えば図1に示すように、定着時の樹脂微粒子のオフセットを防止することができる。
本発明による定着方法及び定着装置において、泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段としては、上記の本発明による定着液を泡状化して泡状定着液を生成し得るものであれば、特に制限はない。その一態様について、図3を参照して、説明する。
図3は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。図3に示す泡状定着液生成手段30は、上記の本発明による定着液等の液状定着液32を貯留する定着液容器31と、液状定着液32を液搬送する液搬送パイプ34と、液搬送するための駆動を得る搬送ポンプ33と、気体と液体とを混合する気体・液体混合部35と、液状定着液32を泡状化して所望の泡状定着液を得る泡生成部38とを有する。
定着液容器31に貯留された液状定着液32は、搬送ポンプ33の駆動力によって液搬送パイプ34を液搬送され、気体・液体混合部35へと送られる。搬送ポンプとしては、液状定着液を液搬送し得るものであれば、特に制限はなく、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが好ましい。ギヤポンプ等の振動機構や回転機構があると、ポンプ内で定着液が起泡し、定着液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
気体・液体混合部35には、空気口36が設けられ、液の流れとともに、空気口36に負圧が発生し、空気口36から気体が気体・液体混合部35に導入され、液体と気体が混合される。更に、微小孔シート37を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30μm〜100μmが好ましい。図3の微小孔シート37に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30μm〜100μmを有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も好ましい。
次に、空気と混合された液状定着液32は、所望の泡状定着液を得る泡生成部38に送液される。泡生成部38において、空気と混合された液状定着液32には、せん断力が加えられ、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化される。泡生成部38の構成としては、このように行われ得るものであれば、特に制限はないが、閉じた二重円筒で、内側円筒が回転可能な構成とし、外部円筒の一部より、大きな泡状定着液を供給し、内部の回転する円筒と外部円筒との隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受けるような構成であってもよい。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。また、内側円筒にらせん状の溝を設けて、円筒内での液搬送能力を高くしてもよい。
前記定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液容器内で泡状である必要はない。定着液容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が好ましい。これは、定着液容器では液体であり容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
本発明による定着液は、泡状化され、泡状化された定着液からなる泡状定着液層の厚みは、定着される樹脂微粒子層の厚みに応じて、記録媒体面全体に対し後述するように泡状定着液付与手段の面において、調整される。例えば樹脂微粒子がトナーを構成し、記録媒体上にカラー画像や白黒文字が混在する場合、記録媒体面全体を同じ厚みの泡状定着液層で付与すると、カラー写真画像のような厚いトナー層では、定着不良や画像抜けが生じたり、白黒文字部に粘着感が生じて印刷物同士がくっついたりする部分不具合が生じる場合がある。以下に、その不具合の原因について詳細に説明する。
一般的に0.5mm〜1mm程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、且つすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5μm〜50μm程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることを見出した。この点、上記のような泡状定着液生成手段30の構成は、これを実現するために好ましい態様である。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部とを組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5μm〜50μmの微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
特に、樹脂微粒子の平均粒径が5μm〜10μm程度の場合、記録媒体12上の樹脂微粒子層13を乱すことなく泡状定着液14を樹脂微粒子層13に付与するには、泡状定着液14の泡径範囲が、5μm〜50μmであることが好ましい。なお、図2に示すように、気泡22で構成された泡状定着液20は、気泡22のそれぞれを区切る液膜境界21から構成される。
<膜厚調整工程及び膜厚調整手段>
本発明による定着方法における膜厚調整工程は、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する工程であり、膜厚調整手段により実施される。
前記膜厚調整手段としては、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば膜厚調整用ブレード、ブレードと塗布ローラとの組み合わせが挙げられる。なお、膜厚調整工程及び膜厚調整手段の態様については、後述する。
<泡状定着液付与工程及び泡状定着液付与手段>
本発明による定着方法における泡状定着液付与工程は、所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する工程であり、泡状定着液付与手段により実施される。
図4A及び図4Bは、本発明による定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。図4Aに示す本発明の定着装置40は、上述した泡状定着液生成手段30によって生成された所望の微小な泡の泡状定着液を、トナー等を構成する樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層(トナー粒子層)へ付与するための塗布ローラ41と、塗布ローラ面に所望の微小な泡の泡状定着液の膜厚を、記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて調整し、泡状定着液の最適な膜厚の調整を行う膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42と、塗布ローラ41と対峙する位置に加圧ローラ43とを有する。未定着トナー(樹脂微粒子からなるもの)を表面上に有する記録媒体は、塗布ローラ41と加圧ローラ43とからなるニップ部を通過する。一方、泡状定着液生成手段30で生成された泡状定着液は、膜厚調整用ブレード42によって膜厚調整され、所望の厚みの泡状定着液層として塗布ローラ41に配置される。このように塗布ローラ41上に形成された泡状定着液層は、未定着トナーを有する記録媒体のニップ部の通過に同期して、未定着トナー上に付与される。
また、図4Bは、塗布ローラ41及び膜厚調整用ブレード42を拡大した概略図であって、泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラ41上には、泡状定着液の層が記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42を通じて形成される。この膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42によって泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間に対して最適化した定着液層の膜厚となる。所望の微小な泡の泡状定着液は、上記のように、大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され、液供給口より塗布ローラ41と膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42との間に滴下される。
前記泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整は、図5A及び図5Bに示すように、塗布ローラ41とギャップを設けた膜厚調整用ブレード42を用い、図5Aに示すように膜厚を薄くするときはギャップを狭くし、図5Bに示すように膜厚を厚くするときはギャップを広くするように行ってもよい。ギャップの調整は、膜厚調整用ブレード42の端部に、駆動可能な回転軸を用い、トナー層の厚さや環境温度等、更には泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調整するための最適な膜厚を調整してもよい。
前記泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラの形状、構造、大きさ及び材質としては、泡状定着液を付与し得る限り、特に制限はないが、曲面部を少なくともその表面の一部に有するものであることが好ましい。
膜厚調整用ブレードとしては、図5A及び図5Bの膜厚調整用ブレードのほかに、ワイヤーバーであってもよい。ワイヤーバーによって、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みを調整し、泡状定着液は、上記のごとく、大きな泡を生成する大きな泡生成部とその大きな泡をせん断力で分泡する微小な泡生成部とを有する泡状定着液生成手段によって生成され、液供給口より、膜調整ワイヤーバーと塗布ローラとの間に滴下する。ワイヤーバーを膜厚調整手段として用いることで、ブレードに比べ、塗布ローラ面の軸方向の泡状定着液膜均一性が向上する。
泡状定着液のかさ密度としては、0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲が好ましい。更に、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、0.01g/cm〜0.02g/cmが好ましく、0.02g/cm以下がより好ましい。なぜならば、図4A及び図4Bの塗布ローラ41のように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、記録媒体上の微粒子層の厚み以上であることが必須条件で(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが好ましい。一方、記録媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)を生じさせないためには、定着液付着量として、記録媒体の単位面積当たり、0.1mg/cm以下が好ましい。このことから、泡のかさ密度としては、0.0125g/cm〜0.02g/cmの範囲が好ましく、0.02g/cm以下の泡の密度がより好ましい。
図6は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。図6に示す実施の形態の定着装置40において、加圧ローラ43は、弾性層として弾性多孔質体(以下、スポンジ素材とも称する。)を用いて構成してもよい。泡状定着液がトナー等の樹脂微粒子層を浸透して紙等の媒体まで到達した後に塗布ローラと樹脂微粒子層とが剥離するようにニップ時間のタイミングを取る必要がある。この点、スポンジ素材からなる加圧ローラ43は、ニップ時間として50ミリ秒〜300ミリ秒の範囲を確保し、且つ弱い加圧力で大きく変形可能であることから、好ましい。
なお、ニップ時間は、ニップ時間=ニップ幅/紙の搬送速度により算出される。紙の搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、記録媒体を塗布ローラ41及び対峙する加圧ローラ43に挟んで加圧(各ローラは回転させない状態で)し、記録媒体に着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。
記録媒体の搬送速度に応じてニップ幅を調整することで、ニップ時間を泡状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。図6に示す例では、加圧ローラ43を弾性層としてスポンジ素材とすることで、記録媒体の搬送速度に応じて、塗布ローラ41と加圧ローラ43との軸間距離を変更しニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムを加圧ローラ43の素材として用いてもよいが、スポンジは弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ41の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
なお、定着液中には液体可塑剤が含有されており、スポンジ素材で形成された加圧ローラに定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化等の不具合が発生する恐れがある。そのため、スポンジ素材の樹脂材は、液体可塑剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が好ましい。また、スポンジ素材を用いた加圧ローラは、可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。スポンジ素材が液体可塑剤で劣化する素材であっても、液体可塑剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂の多孔質体が挙げられる。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、可撓性を有する限り、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
図6において、塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とが常時接触している構成の場合、記録媒体が搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液が加圧ローラ43に付着し汚す恐れがある。これを防止するため、塗布ローラ41からみて記録媒体の搬送方向の上流に紙先端検知手段(不図示)を設け、先端検知信号に応じて、記録媒体の先端から後方にのみ泡状定着液が塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液を形成することが好ましい。
図6に記載の定着装置40は、待機時は塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とはそれぞれ離れており、図示していない駆動機構により、塗布時のみ、記録媒体の先端検知手段に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを接触させる構成であることも好ましい。また、図6に記載の定着装置40は、記録媒体の後端検知も行い、記録媒体の後端検知信号に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを離すように構成することも好ましい。
図7は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。図7に示す実施の形態の定着装置40は、図6の加圧ローラ43の代わりに加圧ベルト44を用いたものである。大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され液供給口より所望の泡径を有する泡状定着液を、膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42の供給口へチューブ等を用いて供給する。そして、膜厚調整手段の膜厚調整用ブレード42と塗布ローラ41とのギャップを調整して塗布ローラ41上の泡状定着液の層膜厚を調整し、泡状定着液の最適膜厚の調整を行う。加圧ベルト44の材料としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイル等の基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いてもよい。
このように、ベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。したがって、ベルトを用いる構成としては、図7に限らず、塗布ローラをベルトとし、加圧手段をベルトではなくローラとする構成も好ましい。また、塗布側又は加圧側の少なくとも一方をベルトとする構成とすることで容易にニップ幅を広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることがない。また、ニップ時間と紙の搬送速度とが同様であると、紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、少なくともその一部が軟化乃至膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、軟化乃至膨潤した上記のトナーを加圧することによって、軟化乃至膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ軟化乃至膨潤したこのトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
<その他の工程及びその他の手段>
<<加温工程及び加温手段>>
本発明による定着方法及び定着装置は、泡状定着液が付与された樹脂微粒子層を加温する加温工程及び加温手段をさらに有してもよい。加温工程及び加温手段における加温の温度としては、十分な定着特性の得られる範囲であれば、特に制限はないが、例えば、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
前記加温手段の形態としては、上記の態様を実施できるものであれば、ローラなど、適宜選択すればよい。加温手段をローラで構成する場合、例えば図8に示すように、加圧ローラ46と加圧ローラ48とで構成し、被定着物と接する側のローラに赤外線ヒータ47などの加温媒体を設けたものであってもよい。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明による画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明による画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明による画像形成方法は、本発明による画像形成装置により好適に実施することができ、静電潜像形成工程は、静電潜像形成手段により行うことができ、現像工程は、現像手段により行うことができ、転写工程は、転写手段により行うことができ、定着工程は、定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」、「像担持体」とも称する。)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものから適宜選択することができる。その形状としては、ドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体が挙げられる。これらのなかでも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成としては、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電としては、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた、それ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器が好ましい。
前記露光としては、例えば、露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が好ましい。なお、本発明において、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像することにより行うことができ、現像手段により行うことができる。
前記現像手段としては、例えば、トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものから適宜選択することができ、例えば、トナーを収容し、静電潜像にトナーを有する現像剤を接触的又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器としては、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視像が形成される。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程であって、特に制限はないが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、この可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。また、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、この複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写としては、例えば、転写帯電器を用いて静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、転写手段により行うことができる。転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、この複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(第一次転写手段、第二次転写手段)としては、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる、転写器を少なくとも有するものが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)から適宜選択することができ、上記の本発明による定着液で説明したものを用いてもよい。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された転写像を定着させる工程であり、本発明による定着方法により行われてもよい。
前記定着手段は、記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であり、本発明による定着装置を用いて行われてもよい。
<その他の工程及び手段>
<<除電工程及び除電手段>>
前記除電工程は、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
<<クリーニング工程及びクリーニング手段>>
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体上に残留する電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナから適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
<<リサイクル工程及びリサイクル手段>>
前記リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
<<制御工程及び制御手段>>
前記制御工程は、本発明による画像形成方法の各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、本発明による画像形成装置の各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明による画像形成方法を用いて、樹脂微粒子からなるトナーの画像を記録媒体に形成してもよい。したがって、この本発明の一実施の形態例の画像形成装置によれば、それぞれ、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
ここで、図9A及び図9Bは、本発明による画像形成装置の構成を示す概略図であって、図9Aは、カラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図9Bは図9Aの画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図9A及び図9Bに示す画像形成装置50は、複写機又はプリンタであってもよい。
図9A及び図9Bに示す画像形成装置50は、トナー像担持体として中間転写ベルト51を有する。中間転写ベルト51は、3つの支持ローラ52〜54に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。中間転写ベルト51に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット55〜58が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト51の支持ローラ54に対向する位置には、二次転写装置59が設けられている。二次転写装置59は、2つの支持ローラ60,61の間に張架された二次転写ベルト62で構成されている。なお、二次転写装置59としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト51の支持ローラ52に対向する位置には、ベルトクリーニング装置63が配置されている。ベルトクリーニング装置63は、中間転写ベルト51上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙64は、一対の給紙ローラ65で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙64に転写する際に、二次転写ベルト62を中間転写ベルト51に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙64は、二次転写ベルト62によって搬送され、記録紙64に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいて泡状の定着液の膜厚を調整する、本発明による定着装置によって定着される。即ち、記録紙64に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいて泡状定着液層の膜厚が調整されたトナーの定着装置から供給される本発明における泡状定着液が付与され、泡状定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる部剤(固体可塑剤及び/又は液体可塑剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙64に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図9Bに示すように、画像形成ユニット55〜58には、感光体ドラム66の周辺に、帯電装置67、現像装置68、クリーニング装置69及び除電装置70が配置されている。また、中間転写ベルト51を介して、感光体ドラム66に対向する位置に、一次転写装置71が設けられている。また、帯電装置67は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置であってもよい。帯電装置67は、帯電ローラを感光体ドラム66に接触させて、感光体ドラム66に電圧を印加することにより、感光体ドラム66の表面を一様に帯電する。帯電装置67としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置68は、現像剤中のトナーを感光体ドラム66上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。
ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂微粒子からなり、これらの樹脂微粒子は、本発明による定着液により膨潤乃至軟化される。なお、現像装置68は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置71は、感光体ドラム66上で可視化されたトナーを中間転写ベルト51に転写する。ここでは、一次転写装置71としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト51を挟んで感光体ドラム66に押し当てている。一次転写装置71としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置69は、感光体ドラム66上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置69としては、感光体ドラム66に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置69によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置68に回収され、再利用される。更に、除電装置70は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム66の表面電位を初期化する。
本発明による画像形成方法及び画像形成装置は、本発明による定着液並びに定着方法及び定着装置を用いているので、定着性が良好で紙等の記録媒体がカールすることなく、高品質な画像が形成できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
<モノクロ画像における定着性試験>
以下のように、定着液を調製し、モノクロ画像における定着性試験を行った。
(実施例1)
<定着液の処方>
下記の各成分を、下記の希釈液に対し、起泡剤、湿潤剤、第1の可塑剤(液体可塑剤)、第2の可塑剤(液体可塑剤)を各成分が溶解するごとに、この順序で撹拌しながら添加して、実施例1における定着液を製造した。
・第1の可塑剤(液体可塑剤):コハク酸ジエトキシエトキシエチル 10質量%
(ハイアクオスターDCS、高級アルコール工業株式会社製)
・第2の可塑剤(液体可塑剤):ジエチレングリコールモノブチルエーテル 6質量%
(関東化学試薬品)
・起泡剤:脂肪酸アミン塩 2質量%
・湿潤剤:グリセリン 10質量%
(関東化学試薬品)
・希釈剤:イオン交換水 72質量%
(比較例1)
実施例1の定着液の処方において、第2の可塑剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加せず、第1の可塑剤としてのコハク酸ジエトキシエトキシエチルの添加量を10質量%から15質量%に変え、希釈剤としてのイオン交換水の添加量を72質量%から73質量%に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1における定着液を製造した。
(比較例2)
実施例1の定着液の処方において、第1の可塑剤としてのコハク酸ジエトキシエトキシエチルを添加せず、第2の可塑剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量を6質量%から15質量%に変え、希釈剤としてのイオン交換水の添加量を72質量%から73質量%に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2における定着液を製造した。
(定着性試験)
<未定着トナー画像の出力>
リコー社製モノクロプリンターSP3100から付着の定着ユニットを外した改造機を用いて、未定着トナー画像を出力した。トナーとしては、モノクロトナーを用い、紙としては、リコー社製PPC用紙「MyPaper」を用い、黒ベタパッチ画像から、80%濃度、50%濃度のハーフトーンのパッチ画像を形成した。このときのトナーの付着量としては、黒ベタ画像で0.4mg/cm、50%ハーフトーン画像で0.24mg/cmであった。
<定着液の未定着トナー画像に対する塗布>
泡状定着液塗布装置を用い、前記未定着トナー画像に対して、実施例1及び比較例1、2における定着液を泡状化させた後、これを塗布して定着を行った。なお、塗布ローラ上の泡状定着液の塗布量は、約100mg/A4に設定した。
<定着性の評価>
前記定着して得られた定着画像に対し、以下のように定着性の評価を行った。
即ち、定着画像における画像のはがれを、クロックメータによるスミア定着試験にて評価することとし、具体的には、定着画像を綿布で擦り、擦った部分の綿布の汚れを反射型濃度計X−LITE938により濃度測定し、汚れ度合い(汚れが少ないほど良好)で定着性を判定した。結果を下記表1に示す。
綿布の汚れの濃度が0.3以下ならば、汚れは目立たず、定着性が良好であるとみなすことができる。
<タック性の評価>
上記の通り定着して得た定着画像について、タックメータ引っ張り試験機(株式会社レスカ 製)を用いてタック値を測定した。具体的には、前記定着性評価と同様のサンプルにおいて、泡状定着液塗布後の画像部(記録媒体上トナー)に円柱形ステンレスプローブ(φ8.0mm)を圧縮荷重100gfで20秒間押付けた後、120mm/分の速度で引抜き、引抜き時にかかる応力(kPa)を測定した。結果を下記表1に示す。
タック値が4.0kPa以下ならば、ほぼタックはなく粘着感のない定着とみなすことができる。
(高温保存性)
前記定着性及びタック性は、実施例1及び比較例1、2における定着液の製造直後と、製造後70℃1ヶ月放置した状態とで行うことで、高温保存性の評価に供した。
また、前記製造後70℃1ヶ月放置した状態の定着液に対して、ガスクロマトグラフ(島津製作所社製、GCMS−QP2010)を用いてガスクロマトグラフィーによる液成分の分析を実施した。
比較例1における定着液は、70℃1ヶ月放置した状態で、黒ベタパッチ画像部及び50%ハーフトーンのパッチ画像部のいずれにおいても、スミア定着性が0.3を超えており、高温保存性に劣る結果となった。
また、比較例2における定着液は、70℃1ヶ月放置した状態で、黒ベタパッチ画像部のスミア定着性が0.3を超えており、高温保存性に劣る結果となった。また、定着液製造直後の状態で、黒ベタパッチ画像部のスミア定着性が0.3を超えており、初期定着についても劣る結果となった。
一方、実施例1における定着液は、70℃1ヶ月放置した状態でも、黒ベタパッチ画像部及び50%ハーフトーンのパッチ画像部のそれぞれにおいて、スミア定着性が0.3以下となり、タックを抑制しつつ良好な定着性が得られており、優れた高温保存性が得られている。
また、比較例1における定着液に対して前記ガスクロマトグラフィーによる液分析を行ったところ、コハク酸ジエトキシエトキシエチルは、40%程度分解していた。
<カラー画像における定着性試験>
次に、カラー画像における定着性試験を行った。
(実施例2)
<定着液の処方>
下記の各成分を、下記の希釈液に対し、起泡剤、湿潤剤、第1の可塑剤(液体可塑剤)、第2の可塑剤(液体可塑剤)を各成分が溶解するごとに、この順序で撹拌しながら添加して、実施例1における定着液を製造した。
・第1の可塑剤(液体可塑剤):コハク酸ジエトキシエトキシエチル 10質量%
(ハイアクオスターDCS、高級アルコール工業株式会社製)
・第2の可塑剤(液体可塑剤):ジエチレングリコールモノブチルエーテル 8質量%
・第3の可塑剤(常温で固体の固体可塑剤):ポリエチレングリコール 18質量%
(ポリエチレングリコール#2000、関東化学社製)
・起泡剤:脂肪酸アミン塩 2質量%
・湿潤剤:グリセリン 10質量%
(関東化学社製)
・希釈剤:イオン交換水 52質量%
(比較例3)
実施例2の定着液の処方において、第2の可塑剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加せず、第1の可塑剤としてのコハク酸ジエトキシエトキシエチルの添加量を10質量%から17質量%に変え、第3の可塑剤としてのポリエチレングリコールの添加量を18質量%から17質量%に変え、希釈剤としてのイオン交換水の添加量を52質量%から54質量%に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例3における定着液を製造した。
(比較例4)
実施例2の定着液の処方において、第1の可塑剤としてのコハク酸ジエトキシエトキシエチルを添加せず、第2の可塑剤としてのジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加量を8質量%から17質量%に変え、第3の可塑剤としてのポリエチレングリコールの添加量を18質量%から17質量%に変え、希釈剤としてのイオン交換水の添加量を52質量%から54質量%に変えたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例4における定着液を製造した。
(定着性試験)
<未定着トナー画像の出力>
リコー社製カラー複合機MCP3300から付着の定着ユニットを外した改造機を用いて、未定着トナー画像を出力した。トナーとしては、マゼンタトナーとしてリコー製IPSiOトナー マゼンタ タイプ3000、イエロートナーとしてリコー製IPSiOトナー イエロー タイプ3000を用い、紙としては、リコー社製PPC用紙「MyPaper」を用い、マゼンタトナー層とイエロートナー層からなる赤ベタパッチ画像から、80%濃度、50%濃度の赤色ハーフトーンのパッチ画像を形成した。このときのトナーの付着量としては、赤ベタ画像で0.8mg/cm、50%ハーフトーン画像で0.28mg/cmであった。
この条件以外は、モノクロ画像における定着性試験と同様にして、カラー画像における定着性試験を行った。
<定着性の評価>
モノクロ画像における定着性試験と同様にして、カラー画像における定着性の評価を行った。結果を下記表2に示す。
ただし、カラー画像(赤画像)においては、綿布に同程度のトナーが付着していても赤色は黒色ほど濃度が高くならないため、濃度の基準を厳しくする必要があり、綿布の汚れの濃度が0.2以下ならば、トナーがそれほど綿布に付着せず、定着性が良好であるとみなすこととした。
<タック性の評価>
モノクロ画像における定着性試験と同様にして、カラー画像における定着性の評価を行った。結果を下記表2に示す。
(高温保存性)
モノクロ画像における定着性試験と同様にして、カラー画像における定着性の評価を行った。結果を下記表2に示す。
比較例3における定着液は、70℃1ヶ月放置した状態で赤ベタパッチ画像部及び50%ハーフトーンのパッチ画像部のいずれにおいても、スミア定着性が0.2を超えており、高温保存性に劣る結果となった。
また、比較例4における定着液は、70℃1ヶ月放置した状態で、赤ベタパッチ画像部のスミア定着性が0.2を超えており、高温保存性に劣る結果となった。また、定着液製造直後の状態で、赤ベタパッチ画像部及び50%ハーフトーンのパッチ画像部のいずれにおいても、スミア定着性が0.2を超えており、初期定着についても劣る結果となった。
一方、実施例1における定着液は、70℃1ヶ月放置した状態でも、赤ベタパッチ画像部及び50%ハーフトーンのパッチ画像部のそれぞれにおいて、スミア定着性が0.2以下となり、タックを抑制しつつ良好な定着性が得られており、優れた高温保存性が得られている。
また、比較例3における定着液に対して前記ガスクロマトグラフィーによる液分析を行ったところ、コハク酸ジエトキシエトキシエチルは、40%程度分解していた。
本発明の定着液は、非熱定着方式を採用する電子写真形成技術に使用し得る定着液として、好適に利用可能である。
11 塗布ローラ
12 記録媒体
13 樹脂微粒子層
14 泡状定着液
20 泡状定着液
21 液膜境界
22 気泡
30 泡状定着液生成手段
31 定着液容器
32 液状定着液
33 搬送ポンプ
34 液搬送パイプ
35 気体・液体混合部
36 空気口
37 微小孔シート
38 泡生成部
40 定着装置
41 塗布ローラ
42 膜厚調整用ブレード
43 加圧ローラ
44 加圧ベルト
45 加温手段
46 加圧ローラ
47 赤外線ヒータ
48 加圧ローラ
50 画像形成装置
51 中間転写ベルト
52 支持ローラ
53 支持ローラ
54 支持ローラ
55 画像形成ユニット
56 画像形成ユニット
57 画像形成ユニット
58 画像形成ユニット
59 二次転写装置
60 支持ローラ
61 支持ローラ
62 二次転写ベルト
63 ベルトクリーニング装置
64 記録紙
65 給紙ローラ
66 感光体ドラム
67 帯電装置
68 現像装置
69 クリーニング装置
70 除電装置
71 一次転写装置
81 塗布ローラ
82 記録媒体
83 未定着トナー層
84 定着液層
特開2007−219105号公報

Claims (12)

  1. 樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着液であって、
    前記定着液は、水を含む希釈剤と、前記定着液を泡状とする起泡剤と、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて軟化させる可塑剤と、を含有し、
    前記可塑剤は、分子内にエステル基を有する第1の可塑剤と、分子内にエーテル基を有する第2の可塑剤とを含むことを特徴とする定着液。
  2. 第1の可塑剤及び第2の可塑剤のいずれもが、常温で液体の液体可塑剤である請求項1に記載の定着液。
  3. 第2の可塑剤が、グリコールエーテル化合物である請求項1から2のいずれかに記載の定着液。
  4. グリコールエーテル化合物が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである請求項3に記載の定着液。
  5. 可塑剤が、第3の可塑剤を更に含み、該第3の可塑剤は、常温で固体の固体可塑剤である請求項1から4のいずれかに記載の定着液。
  6. 固体可塑剤が、エチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基の少なくともいずれかを有する化合物である請求項5に記載の定着液。
  7. エチレンオキサイド基を有する化合物が、ポリエチレングリコールである請求項6に記載の定着液。
  8. ポリエチレングリコールの分子量が、2,000〜10,000である請求項7に記載の定着液。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成工程と、
    前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚調整工程と、
    前記の所望の厚みに形成された泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与工程と、
    を含むことを特徴とする定着方法。
  10. 請求項1から8のいずれかに記載の定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
    前記泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層に付与する泡状定着液付与手段と、
    前記泡状定着液付与手段の泡状定着液の膜厚を調整する膜厚調整手段と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  11. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
    を含む画像形成方法であって、
    前記定着工程が、請求項9に記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法。
  12. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像を、樹脂微粒子を有するトナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記定着手段が、請求項10に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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