JP5429597B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置で、トナー等の樹脂微粒子を溶解又は膨潤させて記録媒体上に定着させる定着液を記録媒体上の樹脂微粒子に付与する定着装置及びこの定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。このため、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、又は、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4に記載の定着装置で用いる定着方式)。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献4の何れの特許文献に記載の定着装置も、接触型の定着液付与手段である塗布ローラを用いて定着液を液状のまま記録媒体に塗布することで、定着液を記録媒体上の未定着トナー像に付与する構成である。このような液状の定着液をトナー像に塗布して定着を行う構成では、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止を両立させることが極めて難しいという問題があった。以下、この問題について説明する。
塗布ローラを用いて記録媒体上の未定着トナー像へ定着液を塗布する構成において、定着液を記録媒体に微量付与するために、塗布ローラ上の定着液の層の厚みが未定着トナー像の層よりも薄くした場合、次のような問題が生じることがあった。塗布ローラの表面が記録媒体と接触した後、塗布ローラの表面が記録媒体から剥離する位置で、記録媒体に付与されず塗布ローラ表面に残った定着液の液膜によって生じる表面張力で記録媒体上のトナー層のトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラの表面にオフセットしたトナー粒子が付着し、塗布ローラと剥離した後の記録媒体上のトナー像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ上の定着液の層の厚みを未定着トナー層よりも十分厚くすると、塗布ローラが記録媒体から剥離する位置では、液量が多いため塗布ローラの表面の液膜による表面張力が記録媒体上のトナー層のトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ側にトナーが付着しにくくなるが、記録媒体の表面に多量の定着液が塗布されるため、記録媒体上で過剰な定着液により定着液の拡散にともないトナー粒子が流れ画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、記録媒体に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液が水を含有するものであると、紙等のセルロースを含有する記録媒体への定着液の塗布量が多い場合、紙等の記録媒体が著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生の恐れがある。
このように、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。
よって、塗布ローラで定着液を塗布する構成では、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために記録媒体上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラへのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、特許文献5には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、特許文献5のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
特許第3290513号 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報 特開2004−109747号公報 特開2007−219105号公報
しかしながら、泡状定着液を記録媒体上のトナーに付与して定着を行う定着装置の場合、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液が泡状となる起泡性が低下し、定着液としての性能が低下することがあった。このように定着液としての性能が低下する原因の一例を以下に示す。
泡状定着液を用いる定着装置では定着液が泡状と成ることを促す起泡剤を含有させており、泡状定着液に適する起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が一般的である。また、定着液は軟化剤や起泡剤を希釈する希釈溶媒として水が含有されていることが一般的である。
このアニオン系界面活性剤の起泡性を最大限に発揮するのは液のpHが7以上の弱アルカリ性領域であるため、定着液は弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。一方、ポリエステルの樹脂成分を含有するトナーを軟化する軟化剤としてはエステル基を有する軟化剤が一般的であるが、希釈溶媒として水を含有する定着液のpHが7以上となるアルカリ性領域では、エステル基が水と反応して加水分解し、軟化剤としての能力が低下する。また、エステル基を有する軟化剤が加水分解すると酸性の化合物が生じるため、pHが下がって6以下となって起泡剤の起泡性も低下する。このように、定着液が含有する軟化剤のエステル基が加水分解すると、定着液がトナー粒子を軟化させる性能や定着液が泡状となる起泡性などが低下し、定着液としての所望の性能が得られなくなる。
このため、エステル基を有する軟化剤と希釈溶媒としての水とを含有する定着液の起泡性を重視して定着液のpHを7以上とすると、定着液の長期保存における信頼性が得られなくなる問題がある。また、pHを6以下の弱酸性とすると軟化剤の加水分解が抑制され、軟化剤の化学的分解は抑制されるが、起泡剤の能力が低下し、定着液の泡化の性能が低下し、所望の泡膜の形成ができず、従来の液状の定着液を使用したものと同様に定着不良や画像不良となる。なお、エステル基はpHが7以上であると軟化剤の加水分解が起こり易いが、pHが6以下の場合では加水分解の反応速度が遅くなるだけであって加水分解は発生する。
上述した例では、アニオン系界面活性剤からなる起泡剤の起泡性を重視した水素イオン指数(pH)の定着液ではエステル基を有する軟化剤が希釈溶媒である水と一緒に存在していることによって経時で加水分解して、定着液の性能が低下するものである。起泡剤、軟化剤、及び希釈溶媒の組み合わせとしては、アニオン系界面活性剤、エステル基を有する軟化剤、及び水に限るものではないが、起泡剤の起泡性を重視した環境で軟化剤と希釈液とを混合した状態で収容していると軟化剤と希釈液との間で何らかの化学反応が生じ、軟化剤が変質し、定着液の性能を低下させることは起こり得る。
また、上述した例では、軟化剤と希釈媒体としての水とが経時で反応し、定着性能が低下する構成について説明したが、複数の成分からなる定着液で、含有する成分間の経時での反応により定着性能が低下する定着液であれば同様の問題が生じる。
このような問題は、樹脂微粒子が記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子である場合に限るものではなく、記録媒体上の樹脂微粒子層に泡状の定着液を付与する構成ではどの場合も生じ得る問題点である。さらに、定着液を塗布する樹脂微粒子層を担持するものは記録媒体に限るものではなく、画像形成装置における中間転写ベルト等のトナー像担持体のように、表面に樹脂微粒子層を担持し、転写位置で樹脂微粒子層を記録媒体に転写する樹脂微粒子担持体であっても良い。このような場合は、樹脂微粒子担持体上で定着液を付与されて軟化した状態の樹脂微粒子層を転写位置で記録媒体に転写することで記録媒体に樹脂微粒子層を定着する。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する泡状定着液を、表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体また樹脂微粒子担持体に付与して、泡状定着液を付与されて軟化した樹脂微粒子を記録媒体に定着させる定着装置で、経時に渡って泡状定着液の定着性能を維持することができる定着装置及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡化手段と、表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体または樹脂微粒子担持体の表面に該泡状定着液を付与する定着液付与手段とを有し、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を該記録媒体に定着する定着装置において、少なくとも、上記軟化剤と、上記定着液に含有させることで該定着液が泡状となることを促す起泡剤と、該軟化剤や該起泡剤を希釈する希釈液とを含む複数成分からなる定着液を収容する定着液収容手段を有し、該定着液は含有する成分間の経時での反応により定着性能が低下する構成であり、該定着液に供給することによって該定着液の成分間の経時の反応によって低下した定着性能を回復させる補助液を該定着液収容手段内の該定着液とは独立して収容する補助液収容手段と、該定着液が該定着液収容手段から排出されてから、上記定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの該定着液の搬送経路内で、該補助液収容手段内の該補助液を該定着液に供給する補助液供給手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記定着液は、含有する成分間の経時での反応により一部の成分が減少するものであり、上記補助液は、該定着液を構成する複数成分のうち経時での反応により減少した成分を含有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の定着装置において、上記定着液は、経時で上記軟化剤と反応し、軟化剤を減少させる軟化剤反応成分を含有し、上記補助液は、該軟化剤を含有し、該軟化剤反応成分を含有しないことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の定着装置において、上記定着液は、含有する成分間の経時の反応により該定着液の定着性能に影響する特性を変化させる成分を含有し、上記補助液は、経時での反応により変化した定着液の特性をもとに戻す成分を含有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の定着装置において、上記定着液は、経時の反応により該定着液を酸性に変化させる成分を含有し、上記起泡剤は、弱アルカリ性の環境で所望の起泡性を発揮するものであり、上記補助液は、酸性に変化した該定着液を弱アルカリ性特性に戻す成分を含有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記定着液が上記定着液収容手段から排出されてから、上記定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの該定着液の搬送経路内に液体を攪拌する液体攪拌手段を有し、該定着液が該定着液収容手段から排出されてから、該液体攪拌手段に該定着液が到達するまでの該定着液の搬送経路内に上記補助液供給手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記定着液泡化手段で定着液を泡状とする動作とともに該定着液泡化手段内に上記補助液を供給することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の定着装置において、上記定着液収容手段が収容する上記定着液の製造時の情報を記録する記録手段と、上記補助液供給手段が上記搬送経路内の該定着液に供給する上記補助液の供給量を制御する補助液供給制御手段とを有し、該補助液供給制御手段は該記録手段に記録された情報に基づき、該定着液の製造時からの経時時間に対応して該補助液の供給量を制御することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の定着装置において、上記定着液収容手段内、または、上記定着液が該定着液収容手段から排出されてから上記定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの該定着液の搬送経路内の液体の電気抵抗を測定する電気抵抗測定手段と、上記補助液供給手段が該搬送経路内の該定着液に供給する上記補助液の供給量を制御する補助液供給制御手段とを有し、該補助液供給制御手段は該電気抵抗測定手段の測定結果に基づいて該補助液の供給量を制御することを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項の定着装置において、上記電気抵抗測定手段を上記定着液収容手段に配置し、該電気抵抗測定手段が該定着液収容手段内の上記定着液の残量を検知する液残量検知手段を兼ねることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、樹脂と色剤を含有する上記樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置を用いることを特徴とするものである
上記請求項1乃至11の発明においては、定着液収容手段から排出されてから、定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの定着液の搬送経路内で補助液を定着液に供給することができるため、定着液収容手段に収容される定着液が経時で変質し、定着液の定着性能が低下したとしても、補助液を供給することによって、含有する成分間の経時の反応によって低下した定着液の定着性能を回復させるため、定着液が含有する成分間の経時の反応によって変質することに起因する影響を軽減することができる。
請求項1乃至11の発明によれば、定着液に含有される軟化剤が経時で変質する影響を軽減することで、定着液の定着性能の低下を抑制することができるため、経時に渡って泡状定着液による定着の定着性能を維持することができるという優れた効果がある。
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置である複写機(以下、複写機100と呼ぶ)に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明の特徴部を備える定着装置を有する画像形成装置が複写機である構成に付いて説明するが、プリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。
まず、実施形態に係る複写機100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る複写機100を示す概略構成図である。この複写機100は、プリンタ部1と、給紙装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ部150と、これに支持される原稿搬送装置たるADF51とを有している。
給紙装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から転写紙Pを送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、プリンタ部1の紙搬送路37に転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、給紙カセット42内の転写紙Pをプリンタ部1内の紙搬送路37内に給紙する。
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ部150は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部151と、移動読取部152とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第一コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第1コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第二コンタクトガラスの直下であって、固定読取部151の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿MSを走査する。
このように、スキャナ部150において原稿MSを走査し、画像読取センサ153で得られた画像情報に基づいて、後述するように光書込装置2では光源を駆動してドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。
図3は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部1は、光書込装置2、K,Y,M,Cの各色のトナー像を形成する四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)、転写ユニット90、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置60等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、潜像担持体たる感光体4(K,Y,M,C)の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。
作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ、潜像担持体たる感光体4と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、複写機100本体に対して着脱可能になっている。ブラック用の作像ユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の一次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15Kなども有している。複写機100では、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)を、後述する中間転写ベルト91に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設したいわゆるタンデム型の構成になっている。
図4は、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)のうちの一つ作像ユニット3の拡大図である。なお、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。図4に示すように、作像ユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置の帯電ローラ5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電装置の除電ランプ22等を有している。
感光体4としては、複写機100では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を現像剤担持体である現像ローラ12に担持し、現像ローラ12と感光体4との対向部である現像領域で感光体4上の静電潜像にトナーを供給して、静電想像を可視像化させる。また、現像装置6は、現像ローラ12の表面に供給する二成分現像剤を収容する現像剤収容部を備え、現像剤収容部は収容する二成分現像剤を攪拌する不図示の攪拌部材が設けられている。
現像ローラ12は回転可能に配置された非磁性の筒状の現像スリーブと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラとから構成される。マグネットローラは、現像スリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、現像剤収容部内の二成分現像剤を現像スリーブ表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブの回転に伴って不図示の現像剤規制部材との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、現像領域に搬送される。そして、現像スリーブに印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像を行う。更に、現像領域を通過した後、現像スリーブの回転に伴って再び現像装置6内に戻った磁気ブラシを構成する二成分現像剤は、マグネットローラの磁極間に形成される反発磁界の影響によって現像スリーブ表面から離脱した後、現像剤収容部内に戻される。現像剤収容部内には、不図示のトナー濃度センサが配置されており、このトナー濃度センサによる検知結果に基づいて、現像剤収容器内の二成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内となるように、不図示のトナー補給装置が制御され、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。
プリンタ部1では図3に示すように、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の感光体4(K,Y,M,C)には、これまで説明してきた作像プロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
図3に示すように四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の下方には、転写ユニット90が配設されている。この転写ユニット90は、複数の張架ローラ(92、93、94)によって張架されたトナー像担持体としての中間転写ベルト91を備え、中間転写ベルト91を挟んで第一張架ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置32が配置されている。ベルトクリーニング装置32は、後述する二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
転写ユニット90では中間転写ベルト91感光体4(K,Y,M,C)に当接させながら図中時計回り方向(図3中の矢印A方向)に無端移動させる。これにより、感光体4(K,Y,M,C)と中間転写ベルト91とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ95(K,Y,M,C)によって中間転写ベルト91を感光体4(K,Y,M,C)に向けて押圧している。四つの一次転写ローラ95(K,Y,M,C)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4(K,Y,M,C)上のトナー像を転写体たる中間転写ベルト91に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト91の表面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト91の表面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
本実施形態の一次転写装置は、一次転写部材として一次転写ローラ95を備えた構成を採用しているが、一次転写部材としては導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
図4において、一次転写ニップを通過した後の感光体4の表面には、中間転写ベルト91に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、作像ユニット3のドラムクリーニング装置15により、感光体4の表面から除去される。
ドラムクリーニング装置15としては、感光体4に当接しているポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16により、転写残トナーを一次転写ニップ通過後の感光体4表面から掻き取って除去するものが用いられている。クリーニングブレード16は、作像ユニット3のケーシングに固定された金属製の支持部材に接着(ホットメルト)されており、感光体4に対してカウンタ方向に当接するようになっている。カウンタ方向とは、支持部材によって片持ち支持されるクリーニングブレード16の先端側を、後端側(自由端側)よりも感光体4の回転方向の上流側に位置させるようなブレードの向きである。
ここで、ドラムクリーニング装置15によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置6に回収され、再利用される。
本実施形態の作像ユニット3が備える除電装置は除電ランプ22を備えた構成であり、光を照射して感光体4の表面電位を初期化する。除電ランプ22によって除電された感光体4の表面は、帯電バイアスの印加によって感光体4との間に放電を発生させる帯電ローラ5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。作像ユニット3が備える帯電装置は帯電ローラ5を採用した接触帯電方式の帯電装置である。この帯電装置は帯電ローラ5を感光体4の表面に接触させて、帯電ローラ5に電圧を印加することにより感光体4の表面を一様に帯電する。なお、感光体4を一様に帯電させる帯電装置としては、帯電ローラ方式のものに代えてスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。
プリンタ部1では図3に示すように、転写ユニット90の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、二次転写ベルトである無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる二次転写ユニットとしての紙搬送ユニット28が設けられている。複写機100では紙搬送ユニット28の二次転写ローラ31と、転写ユニット90の下部張架ローラ94との間に、中間転写ベルト91及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト91の表面と、紙搬送ベルト29の表面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット90の下部張架ローラ94は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。レジストローラ対33はローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト91上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト91上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過し、表面にトナー像が転写された転写紙Pは、中間転写ベルト91から離間して、紙搬送ベルト29の表面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置60へと搬送される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト91の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト91に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
定着装置60に搬送された転写紙Pは、詳細は後述するが定着装置60内で定着液が塗布されることによってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置60から送り出される。
なお、図2に示すように複写機100は、紙搬送ユニット28と定着装置60との下方には、スイッチバック装置36が配設されている。これにより、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pが、切換爪で転写紙Pの進路を転写紙P反転装置側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ10上に排紙される。
次に、定着装置60について説明する。
図1は本実施形態の定着装置60を模式的に示す説明図である。なお、本発明における樹脂微粒子はトナー粒子である。
定着装置60は、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液を含む定着液を、通常の液状から液中に気泡を分散させて泡を多く含んだ泡状とする定着液泡化手段としての定着液泡状化装置500を備える。また、定着液泡状化装置500の定着液供給口501から供給される泡状定着液を転写紙Pに付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を備える。さらに、定着液泡状化装置500に液状の定着液を供給する液状定着液供給部600を備える。
液状定着液供給部600は、少なくとも軟化剤、起泡剤、及び、希釈液からなる液状定着液210を収容する定着液収容手段である定着液ボトル200と、軟化剤を含有し、液状定着液210とは構成する液体の配分が異なる補助液310を液状定着液210とは独立して収容する補助液収容手段である補助液ボトル300とを有する。また、液状定着液供給部600は、定着液ボトル200内の液状定着液210を定着液泡状化装置500まで搬送する搬送経路を構成する定着液搬送管201と、液状定着液210が定着液搬送管201を通って定着液泡状化装置500に向かうように搬送力を付与する定着液搬送ポンプ410とを備える。さらに、液状定着液供給部600は、液状定着液210が定着液ボトル200から排出されてから、定着液泡状化装置500に搬送されるまでの定着液搬送管201内で、補助液310を液状定着液210に供給する補助液供給手段である補助液搬送ポンプ420と補助液搬送管301とを備える。また、定着液搬送ポンプ410の駆動を制御して定着液泡状化装置500への液状定着液210の供給量を制御し、且つ、補助液搬送ポンプ420を制御して定着液泡状化装置500へ供給される液状定着液210への補助液310の供給量を制御する制御部700を備える。
ここで、本実施形態の定着装置60のように泡状定着液を用いる構成の原理について説明する。この構成は、気泡を大量に含有し泡状の液体が極めてかさ密度が低いことに着目した構成である。上述したように、転写紙Pに接触して定着液を塗布する接触塗布手段である塗布ローラを用いて、塗布ローラへのトナーのオフセットが生じない塗布を行うためには、塗布ローラ上の定着液の膜厚を厚く形成する必要がある。このことは、樹脂微粒子のオフセットが生じないように定着液を均一に塗布するためには、塗布ローラ表面に定着液の体積がある程度必要であることを意味している。
一方、定着液を塗布した後の記録媒体上の樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが残液感に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。また、定着液の重量が少ない方が、定着液の水分による紙のカールを防止できたり、使用液量低減によるコストの低減を図ることができたり、といった利点がある。
記録媒体に塗布する際は定着液の体積が多く、かつ塗布後の記録媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、塗布時の定着液の密度が低ければよく、定着液のかさ密度を低くすることにより、塗布時に体積は多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。即ち、かさ密度(定着液の重量をその体積で割った値)の低い定着液を使用すれば、定着液を塗布する際のオフセットを防止しつつ、残液感を良好にすることが可能であり、さらに、紙のカール防止や使用液量低減によるコスト低減等の利点がある。
そして本実施形態の定着装置60は、上述した原理を鑑みた発明を適用した構成であり、塗布時の定着液の嵩密度を低くするために泡状にした定着液を記録媒体である転写紙Pに塗布する構成である。図5は、本実施形態の定着装置60において塗布ローラ61が転写紙Pと接触する部分の拡大説明図である。
図5に示すように、定着液泡状化装置500によって定着液を泡で構成された泡状定着液Fとすることで、定着液のカサ密度を低くでき、少量の定着液で塗布ローラ上の定着液の膜厚を厚くすることができる。これにより、定着液の表面張力による影響が抑えられるため、定着液の量が少量であっても塗布ローラ61への樹脂微粒子のオフセットを防止できることが分かった。
次に、従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上述した特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方式が記載されている。
しかしながら、特許文献1の湿式定着方式においては、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が、定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、特許文献3には、静電気的方式で形成された未定着画像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に固着できる定着方式に用いることのできる定着用溶液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の未定着トナー画像の定着用溶液が提案されている。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状のまま記録媒体状のトナー像に付与していたため、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しいという問題があった。
一方、特許文献5に記載の定着装置では、本実施形態の定着装置60と同様に、定着液を泡状とし、定着液のかさ密度を下げ、トナー像に対する定着液の表面張力の影響をなくすことで、従来よりも極微量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着する技術が開示されている。
また、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、樹脂微粒子の大きさが5[μm]〜10[μm]程度の場合、微粒子層を乱すことなく泡状定着液Fを樹脂微粒子であるトナー層Tに付与するには、泡状定着液Fの泡径範囲が、5[μm]〜50[μm]程度が適していることがわかった。
一般的に、通常の液状の液体から0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな気泡を含んだ泡状液体を生成する場合、単なる撹拌や液層内への送風等により比較的容易に泡状液体を生成可能であり、大きな気泡を含んだ泡状液体は数秒以下の時間(0.1[s]もかからない)で生成することができる。一方、通常の液状の液体から5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだ泡状液体を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、生成するために時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明者らは、この所望の泡径(5[μm]〜50[μm]程度)よりも大きな気泡を含み、目視で観察できる程度の大きさの気泡を含んだ泡状液体の生成が容易で、且つ、すばやく得ることができる点に着目し、泡径が大きな泡状液体から泡径が5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだ泡状液体を素早く生成する方法を鋭意検討した。その結果、大きな気泡を含む泡状液体にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上述したように通常の液状の液体から起泡させて微小な気泡を含有する泡状液体を生成する方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な気泡を含有した泡状液体が生成できることがわかった。
図6は、本実施形態の定着装置60が備える定着液泡状化装置500の概略説明図である。
図6に示す定着液泡状化装置500は、気体・液体混合部510で大きな気泡を含んだ泡状定着液を生成した後に、微小径泡生成部520でこの泡状定着液の大きな泡を分泡して微小な泡径の泡状定着液を生成する装置である。
図6に示すように、定着液が搬送される定着液搬送管201が接続された気体・液体混合部510は、そのケーシング内に多孔質部材である微小孔シート511を備え、このケーシングには空気口512が設けられている。そして、定着液搬送ポンプ410によって搬送力が付与された液状定着液210の流れとともに、空気口512に負圧が発生し、空気口512から発泡用の気体としての空気が気体・液体混合部510内に導入されることにより、液状定着液210と空気とが混合する。更に、混合したものが微小孔シート511を通過することで、泡径のそろった大きな泡の泡状定着液Fを生成することができる。微小孔シート511の孔径は、30[μm]〜100[μm]程度が望ましい。
なお、液状定着液210を泡状定着液Fとする部材としては、定着装置60が備えるような微小孔シート511に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30[μm]〜100[μm]程度の孔を有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、定着液搬送ポンプ410によって供給された液状定着液210と空気口512から供給される空気とを羽根状攪拌子で攪拌しながら、液状定着液210に気泡を巻き込み、大きな気泡を含有する泡状定着液Fを生成させる構成であってもよい。さらに、定着液搬送ポンプ410よって供給された液状定着液210に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を含有する泡状定着液Fを生成する構成であってもよい。
気体・液体混合部510で生成された大きな泡を含有する泡状定着液Fは、図6中の矢印αで示すように泡状化装置内搬送管515を通って微小径泡生成部520へと搬送される。
微小径泡生成部520は、泡状定着液Fの大きな泡を分割して2つ以上に分泡化するために大きな気泡を含有する泡状定着液Fにせん断力を加える構成であり、外側円筒部521と内側円筒部522とからなる閉じた二重円筒で、内側円筒部522が外側円筒部521に対して回転可能な構成となっている。外側円筒部521の一部に開けられた定着液流入孔には泡状化装置内搬送管515が接続されており、この定着液流入口から大きな気泡を含有する泡状定着液Fが外側円筒部521と内側円筒部522との間の隙間に供給される。気体・液体混合部510から微小径泡生成部520に供給された泡状定着液Fは、外側円筒部521と内側円筒部522との間の隙間(ここが流路となる)を通過しながら、内側円筒部522の回転によりせん断力を受ける。このせん断力によって、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒部の一部に設けられた定着液流出口から定着液供給口501へと搬送され、図6中の矢印βで示すように定着液供給口501から塗布ローラ61に小径の気泡を含有する泡状定着液Fが供給される。これにより、所望の微小な泡径を有する泡状定着液Fを得ることができる。
なお、本発明者らの実験の結果、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を効率良く得る液搬送速度は、回転する内側円筒部522の回転数と内側円筒部522の長手方向の長さにより決定されるものであることが分かった。図9に示すように外側円筒部521の内径をd2[mm]、内側円筒部522の長さをL[mm]、内側円筒部522の外径をd1[mm]とし、内側円筒部522の回転数をR[rpm]とすると、微小な泡からなる泡状定着液Fを生成するために望ましい液搬送速度V[mm/s]は、以下の(1)式で決まることがわかった。
V={L×π×(d1−d2)/4}/(1000/R)・・・・(1)
上記(1)式について、例えば、d1が10[mm]、d2が8[mm]、Lが50[mm]、回転数のRが1000[rpm]とすると、液搬送速度は約1400[mm/s](1.4[cc/s])となる。A4の紙を定着するために必要な泡状定着液が3[cc]であるとすると、液状定着液210から必要量の泡状定着液Fを生成するのに立ち上がり時間は約2[s]ですみ、極めて素早く、所望の泡径を有する泡状定着液Fを生成可能となる。なお、内側円筒部522の外周にらせん状の溝を設けて外側円筒部521内での定着液の搬送性を向上させてもよい。
図6に示す定着液泡状化装置500のように、液状の定着液を大きな泡径を含有する泡状定着液Fへと変化させる大径泡生成部である気体・液体混合部510と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を含有する泡状定着液を生成する微小径泡生成部520とを組み合わせることで、液状の定着液から極めて短時間に、5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
次に、定着装置60が備える定着液付与手段である塗布ローラ61について説明する。
図7は、定着装置60が備える塗布ローラ61及び膜厚規制ブレード63とを図1中の矢印B方向から見た斜視説明図である。
図1に示すように、塗布ローラ61の上方には定着液泡状化装置500が配置されており、塗布ローラ61は、定着液泡状化装置500によって生成された所望の微小泡径の泡状定着液Fを転写紙P上のトナー層T(未定着のトナー像)へ付与する定着液付与手段である。また、定着装置60は、塗布ローラ61と対向する位置に加圧ローラ62を備え、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する位置に対して塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面に近接または圧接する膜厚規制ブレード63を備える。なお、本実施形態の定着装置60の膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面に対して近接して配置され、塗布ローラ61とのギャップ幅を制御可能となっている。膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61とのギャップ幅を制御することによって塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御するものである。
本実施形態の定着装置60のように、泡状定着液Fを塗布ローラ61によって転写紙P上のトナー層に塗布することによって、トナー層Tのトナー粒子が塗布ローラ61上にオフセットすることを防止することができる。仮に、泡状定着液Fの膜厚が、樹脂微粒子の層よりも厚い状態で転写紙Pに付与されたとしても、泡状定着液のかさ密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した定着液の樹脂微粒子の層への微量付与とすることができる。所望の微小な泡を含有する泡状定着液は、図6を用いて説明したように、大きな泡を生成する大径泡生成部である気体・液体混合部510と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小径泡生成部520とを含んで構成されている定着液泡状化装置500で生成される。そして、定着液泡状化装置500で生成された泡状定着液Fは定着液供給口501から膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61との間に、または膜厚規制ブレード63と対向する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面上に滴下される。
また、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御する構成としては、図1や図7を用いて説明した膜厚規制ブレード63のようなブレード部材に限らず、ワイヤーバーによって塗布ローラ61上の泡状定着液Fの厚みを制御してもよく、これに限定するものではない。
なお、泡状定着液Fとしては、転写紙Pに塗布するときのかさ密度が、0.01[g/cm]〜0.1[g/cm]程度の範囲となるものが望ましい。更に、保存容器である定着液ボトル200及び補助液ボトル300中では気泡を含有しない液体で、ボトルから液を供給する時点や、転写紙P上のトナー層へ付与するまでの定着液の搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器である定着液ボトル200及び補助液ボトル300中では液体で、ボトルから液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
また、著しいトナー等の樹脂微粒子の接触付与手段へのオフセットを防止するためには、塗布ローラ61等の接触付与手段と転写紙P等の記録媒体とのニップ時間が、トナー等の樹脂微粒子層に定着液が浸透して転写紙P等の記録媒体に到達する時間よりも長いことが重要である。本実施形態の定着装置60において、ニップとは、接触付与手段である塗布ローラ61と記録媒体である転写紙Pとの接触開始点から分離開始点までの間の部分のことを示す。従って、ニップ時間は、転写紙Pの任意の部分について接触開始から分離開始までの時間である。また、ニップ幅は、接触開始点から分離開始点までの間の部分の転写紙Pの搬送方向の長さを示す。ニップ圧はニップに加えられる圧力で、ニップへの加重をニップの面積で割った値を示す。また、上記ニップ時間は紙搬送速度とニップ幅により適宜設定される。
加圧ローラ62には、弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)を用いることで、ニップに加えられる圧力を変化させることによってニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムも適するが、スポンジは、弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ61に対する加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することが出来る。なお、定着液中にはトナーの樹脂成分を軟化または膨潤させる軟化剤が含有されている。このため、スポンジの加圧ローラ62に定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化する等の不具合が発生する恐れがあるため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない素材が望ましい。
また、スポンジ素材の軟化等の不具合を防止するために、加圧ローラ62を、スポンジのローラ表面が可とう性フィルムで覆われた構成としてもよい。スポンジ素材が軟化剤で劣化する素材であっても、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない可とう性フィルムで覆うことでスポンジ素材からなる加圧ローラ62の劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、シリコンなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可とう性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが適する。
また、定着液付与手段のうち転写紙Pに接触して定着液を塗布する接触塗布手段としては、本実施形態の塗布ローラ61のようにローラ状のものに限るものではなく、表面に泡状定着液Fを担持して表面移動する無端移動体で構成すればよい。無端移動体として、ニップ幅をより広く設定可能なベルト構造体であればニップ時間を同じとする条件の場合、より高速に対応できる利点がある。なお、ベルト構造体の場合、ベルトに使用する材料を定着液に対する劣化を防止する材料を選択すれば何ら問題ない。
微粒子間への定着液の浸透は一般に、液体状の定着液の場合、微粒子間を浸透する力は液体の表面張力による毛管現象を利用した浸透である。しかし、本発明者らが観察を行った結果、泡状の定着液の場合、泡は柔軟な連続体のような挙動を示し、微粒子間に浸透した泡をその上部の泡が押しながら連続的に泡が微粒子の隙間を埋めていくことで浸透している。
このため、泡状定着液の膜の厚みが微粒子層の厚みよりも薄い場合、泡を押す力が途中で止まってしまい、泡は記録媒体まですばやく到達できないことも観察された。よって、樹脂含有微粒子層より泡状定着液層のほうを厚く制御する必要がある。
また、トナー等の樹脂含有微粒子層に定着液が浸透して記録媒体に到達するまでの時間は樹脂含有微粒子が5[μm]前後のトナーである場合、各種の泡状定着液及び塗布条件において、浸透時間はおおよそ50[ms]〜300[ms]の範囲にある。そこで、接触塗布手段における転写紙等の記録媒体との接触ニップ時間は、最低でも50[ms]から300[ms]の範囲を確保する必要がある。
次に、液状定着液210として定着液ボトル200収容する定着液について説明する。
定着液は、希釈媒としての水と樹脂を軟化させる軟化剤と定着液を泡化させる起泡剤を含有する。
起泡剤としてアニオン系界面活性剤は、優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができ、起泡剤として優れている。アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩、特に脂肪酸アミン塩は最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適している。
起泡剤としては、アニオン系界面活性剤、特に、ミリスチン酸アミンなどの脂肪酸塩は、水のpHが7から10の範囲の弱アルカリ性領域で、最も起泡剤が高くなる。これは、弱アルカリ性領域で、脂肪酸塩が解離し、脂肪酸が水に溶解しやすくなり、脂肪酸ミセルを作りやすく、泡のプラトー境界が保持できるためである。逆にいうと、弱酸水中では、脂肪酸塩は、解離することができず、所謂酸性石鹸のごとく不溶化してしまい、ミセルの形成ができず、起泡性が極端に悪くなる。
軟化剤としては、樹脂微粒子、特に、電子写真記録技術に用いるトナー粒子に用いる樹脂の代表としてポリエステル樹脂やスチレン・アクリル樹脂に対し、エステル基を持つ有機溶剤が、樹脂軟化性に優れていることを見つけている。
このような軟化剤として、例えば、2塩基酸エステルや、脂肪酸アルコキシアルキルや炭酸プロピレンなどの環状エステルやクエン酸エステルなどは、トナー樹脂の軟化性に特に優れている。しかし、これらのエステル基を有する有機溶剤は、一般に、水中で加水分解しやすいことが知られている。特に、水のpHが8以上のアルカリ性水中で、加水分解が促進される。これは、アルカリ性水に含まれる塩基性の成分(ナトリウムイオン、カリウムイオン、アミンなど)の触媒作用によるためである。
本発明者らは、上述のような起泡剤と軟化剤とを含有する定着液を作成した場合、長期の保存中では軟化剤が加水分解により化学的に分解し、定着液が変質することを発見した。
このような加水分解により、カルボン酸化物およびアルコール化合物が生成される。このため軟化剤の軟化性能が低下するとともに、弱酸性液となり起泡性能も同時に低下することがわかった。
そして、このような問題を解決するための方法として、本実施形態の定着装置60では、上述した軟化性能および起泡性能の低下を補う必要があるため、これらを補う少なくとも第2の液体を定着液に供給し安定した定着性能となるように定着液を調節する。
詳しくは、定着液ボトル200内での長期保存により定着能力が低下した液状定着液210に対して補助液310として供給する液は、定着液を構成する成分で少なくとも軟化剤を含有する液である。
補助液310としては、長期保存により軟化性能が低下した液状定着液210の軟化性能を向上させるために軟化剤単独としてもその効果は得られる。
さらに、泡状の定着液を安定に生成するためには、加水分解により弱酸性化した定着液を弱アルカリ性にし起泡性を向上させることが望ましい。このため定着装置60では、補助液310にアミン類を混合させている。ここでは定着液に含有する起泡剤と同じものを用いているが、アルカリ性の材料であればよくこれに限るものではない。
また、補助液310により定着液の能力を少量で効率良く補うには液状定着液210のpHよりも補助液310のpHを高くする必要があることは明白である。
次に、定着装置60における補助液310の供給方法を説明する。
図1に示すように補助液310を収容する補助液ボトル300は、補助液搬送管301を介して補助液搬送ポンプ420に接続している。また、補助液搬送ポンプ420は、液状定着液210を搬送する搬送経路である定着液搬送管201の定着液搬送ポンプ410よりも上流側に補助液搬送管301を介して接続している。
なお、補助液ボトル300は、定着装置60に対して着脱可能となるように、補助液搬送管301の端部に接続するように不図示のボトル支持体で固定される。
本実施形態では補助液搬送ポンプ420としてチューブポンプ使用している。
補助液搬送ポンプ420としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等が使用可能であるが、チューブポンプが望ましい。チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、補助液310と接する部材はチューブだけであり、チューブに補助液310に対し耐液性を有する部材を用いることで、補助液310の汚染や補助液310によるポンプ系部品の劣化がない。また、搬送する液量が少量の場合にも対応しやすい利点がある。
また、定着液ボトル200から定着液泡状化装置500への液状定着液210の搬送手段である定着液搬送ポンプ410としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ、チューブポンプ等が適用可能である。ここで、定着液搬送ポンプ410としては、ギヤポンプ等のように液状定着液210が通過する経路中に振動機構や回転機構があることが望ましい。これは、長期保存により変質した液状定着液210へ補助液310を供給した後に定着液搬送ポンプ410を通過するときに、液状定着液210と補助液310とを混合させる作用が働くためである。定着液搬送ポンプ410内で液状定着液210と補助液310とを混合させる作用が働くことにより、定着液内での材料の分散性を確保でき、安定した定着能力および起泡性能が得られる効果がある。
また、図1の定着装置60では、定着液搬送管201の定着液搬送ポンプ410よりも上流側で液状定着液210に補助液310を供給する構成であるが、液状定着液210に補助液310を供給する位置としてはこれに限るものではない。
例えば、図8に示すように、補助液搬送ポンプ420に対して下流側の補助液搬送管301の端部を定着液搬送ポンプ410に接続した構成であってもよい。
ここで、液状定着液210に補助液310を供給する位置としては、液状定着液210が定着液ボトル200から排出されてから、定着液泡状化装置500の気体・液体混合部510で泡状定着液Fとなって排出されるまでの間の液状定着液210の搬送経路内であればよい。このため、図9に示すように、補助液搬送ポンプ420に対して下流側の補助液搬送管301の端部を気体・液体混合部510に接続しても同様の効果が得られる。すなわち、液状定着液210と補助液310とを混合させる作用を備えた部材に対して液状定着液210の搬送方向の上流側の搬送経路内であればその効果は得られる。
〔実施例1〕
次に、本実施形態の定着装置60で、液状定着液210に供給する補助液310の供給量の制御を行う構成の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について説明する。
図10は、実施例1の定着装置60の定着液ボトル200の説明図であり、図11は、補助液310の供給量の制御を行う構成のブロック図である。
先に述べたように、定着液ボトル200内の液状定着液210の加水分解による変質は、軟化剤、起泡剤、及び、希釈液とを混合した液状定着液210の製造時からの経時により変化する。このため、実施例1の定着装置60では、この経時情報に基づいて補助液310の供給量を制御する。
図10に示すように、実施例1の定着液ボトル200には、液状定着液210の製造日時を記録した記録手段である記録チップ220を備えている。記録チップ220としてはICチップのような記憶手段を用いる。
定着装置60は、着脱可能な定着液ボトル200を不図示のボトル支持体に装着し、定着液ボトル200を定着液搬送管201に接続したときに、記録チップ220と対向する位置に、記録チップ220の情報を読み取る、読み取り部620を備えている。読み取り部620で読み取られた定着液の製造日時の情報は、図11で示す制御部700へと送られる。制御部700は、この情報に基づいて液状定着液210の製造時からの経過時間を算出する。また、制御部700には、経過時間と定着液の変質との関係に基づいて、経時時間に対する定着液への補助液の適切な供給量の関係を予め算出したデータのテーブルを備えている。
制御部700は、複写機100の画像形成開始による定着開始信号を受けると、液状定着液を泡状化する動作を開始する。すなわち、定着液泡状化装置500の駆動部である泡状化装置駆動部500a及び定着液搬送ポンプ410に駆動開始の信号が送られる。また、液状定着液210の製造時から駆動開始時間までの経過時間に基づいて、制御部700が備える上記データテーブルから補助液310の供給量を算出し、算出した供給量となるように補助液搬送ポンプ420を駆動し、搬送経路内の液状定着液210に補助液310を適正量供給する。
なお、実施例1では、製造日時の情報を定着液ボトル200に配置した記録チップ220に記録し、その情報を読み取り部620で読み取る構成であるが、制御部700に対して情報送信可能に接続したPCや複写機100に備えた入力部等の外部からその情報を入力してもよい。
〔実施例2〕
次に、本実施形態の定着装置60で、液状定着液210に供給する補助液310の供給量の制御を行う構成の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について説明する。
実施例1では、液状定着液210の変質を製造時からの経過時間に起因するものとして、補助液310の供給量を制御するものであるが、液状定着液210の変質は保存環境にも影響される。実施例2では、このような点を鑑み、液状定着液210の変質状態を直接検知する方法である。
図12は、実施例2の定着装置60の定着液ボトル200の説明図であり、図13は、補助液310の供給量の制御を行う構成のブロック図である。
図12に示すように、定着装置60は、着脱可能な定着液ボトル200を不図示のボトル支持体に装着し、定着液ボトル200を定着液搬送管201に接続したときに、定着液ボトル200内の電気抵抗を測定できるようになる液センサ630を備えている。液センサ630は、定着液ボトル200内の所定の位置に設けられた2つの対向する電極の間の電気抵抗を測定することによって定着液ボトル200内の液状定着液210の有無を検出する。液センサ630の2つの電極間には所定の電圧が印加されており、2つの電極の間に液状定着液210が存在し、定着液ボトル200内の所定の位置に液状定着液210が存在する状態では、液センサ630の2つの電極間に電流が流れる。このため、電極間の電気抵抗があまり高くない状態を検出し、制御部700は液状定着液210の残量が十分であることを検出する。一方、定着液ボトル200内の所定の位置に液状定着液210が存在しなくなると、2つの電極間に電流が流れなくなり、液センサ630の2つの電極間の抵抗を無限大に大きくなる。これにより、制御部700は液状定着液210の残量が少なくなったことを検出できる。
このように、電気抵抗測定手段である液センサ630の測定部を定着液ボトル200に配置することによって、定着液ボトル200内の液状定着液210の残量を検出することができる。
なお、本実施形態では、2つの電極間に印加する所定の電圧として、5[V]、5[kHz]の交流電圧を印加している。ここで、2つの電極間に電流が流れている間であっても、液状定着液210の変質の状態によって流れる電流量が変化し、測定される電気抵抗も変化する。
本実施形態で用いる定着液はその成分によりアミン等イオンが多く含まれるため導電性をもつ。定着液の変質要因である加水分解によりイオン成分が増加するため電気伝導度が変化する。このため、定着液の電気抵抗を計測することで定着液の変質状態を検出することが可能になる。
なお、イオンによる電気伝導度を測定するので電極間に直流の電圧を印加すると計測される電気抵抗の値が安定しないが、交流とすることで安定した電気抵抗の値を検出できる。
また、図12に示すように、液センサ630の2つの電極は定着液ボトル200内の液状定着液210の液面に対して垂直方向に配置している。このように配置することで、液状定着液210の減少にともない電極と液状定着液210との接触部が減少することになる。これにより導電性が変化することで液状定着液210の減少が検知でき、定着液の残量を検知できる利点がある。
液センサ630で検知された2つの電極間の電気抵抗の情報は、図13で示す制御部700へと送られる。制御部700には、定着液の変質と電気抵抗の変化との関係に基づいて、検出された電気抵抗に対する定着液への補助液の適切な供給量の関係を予め算出したデータのテーブルを備えている。
制御部700は、複写機100の画像形成開始による定着開始信号を受けると、液状定着液を泡状化する動作を開始する。すなわち、定着液泡状化装置500の駆動部である泡状化装置駆動部500a及び定着液搬送ポンプ410に駆動開始の信号が送られる。また、液センサ630の検出した液状定着液210の電気抵抗の情報に基づいて、制御部700が備える上記データテーブルから補助液310の供給量を算出し、算出した供給量となるように補助液搬送ポンプ420を駆動し、搬送経路内の液状定着液210に補助液310を適正量供給する。
なお、実施例2では、液状定着液210の電気抵抗を測定する箇所が定着液ボトル200内であったが、液状定着液210の電気抵抗を測定する箇所は、液状定着液210の搬送経路上であればその目的は達成できる。
次に、定着液の液処方について説明する。
泡状定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
また、起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5[℃]〜15[℃]までの低気温において、優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において定着の安定を可能とし、また、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中分離を防止することができる。
更に、飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が適する。炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、当該定着液を用いるオフィス・家庭で用いる画像形成機器に適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまう。これらの飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
更に、上記飽和脂肪酸塩又は不飽和脂肪酸塩において、本実施形態の定着装置で定着液の起泡剤として用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切な泡状となっていることが必須であるが、上記脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに他の起泡剤に比べて短時間で起泡し、泡状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を短時間でつくることができる。
樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、トナーを記録媒体への定着した後にも軟化剤はトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log{物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率})を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明の定着装置における定着液において、上記脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含むことが好ましい。上記脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記飽和脂肪族エステルは、
R1COOR2
の一般式で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族ジカルボン酸エステルは、
R3(COOR4)
の一般式で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明における定着液において、好ましくは上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着液において、好ましくは、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、
R5(COOR6−O−R7)
の一般式で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記化合物の臭気指数は、10以下であり、上記化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として適する。
ところで、泡状定着液において、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが望ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適することがわかった。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂含有微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が望ましい。記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙のごとき媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。
上記樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1[重量%]以下である性質を意味する。
また、泡状となった定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20〜30[mN/m]であることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30[mN/m]とすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
また、上述した実施形態の定着装置60では、補助液を収容する補助液収容手段を一つ備える構成であるが、補助液収容手段を複数備える構成であってもよい。さらに、補助液収容手段を複数備える構成の場合、各補助液収容手段によって収容する補助液の含有成分を異ならせて、必要に応じて、定着液に供給する補助液を選択するように構成しても良い。
さらに、上述した実施形態では、定着液付与手段である塗布ローラ61が記録媒体である転写紙P上の未定着トナー像に泡状定着液を付与する構成である。本発明の特徴部を備えた定着装置としては、定着液付与手段が転写紙Pなどの記録媒体に定着液を付与する定着装置に限るものではなく、例えば、特開2004−109749号公報に記載の定着装置のように、樹脂微粒子担持体である中間転写ベルト等のトナー像担持体上の未定着トナー像に定着液を塗布する定着装置にも適用可能である。
以上、本実施形態によれば、トナーが含有する樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーが含有する樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液210を液中に気泡が分散した泡状定着液Fとする定着液泡化手段である定着液泡状化装置500と、表面にトナー層を担持する記録媒体である転写紙Pの表面に泡状定着液Fを付与する定着液付与手段である塗布ローラ61とを有し、泡状定着液Fを付与することで軟化したトナーを転写紙Pに定着する定着装置60において、少なくとも、軟化剤と、定着液に含有させることで定着液が泡状となることを促す起泡剤と、軟化剤や起泡剤を希釈する希釈液とを含む複数成分からなる液状定着液210を収容する定着液収容手段である定着液ボトル200を有し、液状定着液210は含有する軟化剤と希釈液である水との間の経時での反応により定着性能が低下する構成であり、液状定着液210に供給することによって軟化剤と水との経時の反応によって低下した定着性能を回復させる補助液310を定着液ボトル200内の液状定着液210とは独立して収容する補助液収容手段である補助液ボトル300と、液状定着液210が定着液ボトル200から排出されてから、定着液泡状化装置500で泡状定着液Fとなって排出されるまでの液状定着液210の搬送経路である定着液搬送管201内で、補助液310を液状定着液210に供給する補助液供給手段である補助液搬送管301及び補助液搬送ポンプ420とを有することにより、液状定着液210の搬送経路内で補助液310を液状定着液210に供給することができる。これにより、径時による液状定着液210の定着能力の低下に応じて泡生成終了までに定着液の定着性能を補助する成分を補給することができる。よって、定着液ボトル200に収容される液状定着液210が経時で変質し、液状定着液210の定着性能が低下したとしても、補助液310供給することによって、軟化剤と水との間の経時の反応によって低下した定着液の定着性能を回復させるため、液状定着液210に含有される軟化剤が経時で変質することによる影響を軽減することができる。このため、定着液の定着性能の低下を抑制することができるため、液状定着液210が含有する成分間の経時の反応によって変質することに起因する影響を軽減することができる。このため、経時に渡って泡状定着液のよる定着の定着性能を維持することができる。また、定着液泡状化装置500で泡状化するまでの液状定着液210に補助液310を供給することで、泡状化するときの攪拌作用により、補助液310が均一に拡散され、安定した定着能力が得られる。
また、液状定着液210は、含有する軟化剤と水との間の経時での反応により一部の成分である軟化剤が加水分解して減少するものである。そして、軟化剤が減少したままの定着液を用いて定着を行うと、トナーを十分に軟化させることができず、定着不良となるおそれがある。このため、定着装置60は液状定着液210に供給する補助液310としては、液状定着液210を構成する複数成分のうち経時での反応により減少した軟化剤を含有する。これにより、液状定着液210中で減少した軟化剤の量を回復させることができ、加水分解によって軟化剤が減少したことに起因して低下した液状定着液210の定着性能の回復させることができる。
また、液状定着液210は、経時で軟化剤と反応し、軟化剤を減少させる軟化剤反応成分として水を含有する。そして、補助液310は、軟化剤を含有し、且つ、軟化剤反応成分である水を含有しない。これにより、補助液310内では軟化剤の加水分解は生じず、補助液310を液状定着液210に供給することにより、加水分解によって軟化剤が減少したことに起因して低下した液状定着液210の定着性能の回復させることができる。
また、液状定着液210は、含有する成分間の経時の反応である軟化剤と水との加水分解により液状定着液210の定着性能に影響する特性であるpH値が変化する。pH値が変化して、酸性に傾くと起泡剤の起泡性能が低下し、所望の泡状とならない定着液は泡状定着液Fとしたときの定着性能が低下する。このため、補助液310は、経時での反応により酸性にシフトするように変化した定着液のpHをもとに戻す成分としてアルカリ性の材料を含有する。経時の反応で酸性にシフトした液状定着液210に対してアルカリ性の材料を含有する補助液310を供給するため、酸性にシフトした液状定着液210のpH値を弱アルカリ性に戻すことができ、所望の泡状定着液Fを得ることができる。よって、泡状定着液Fを用いた定着が安定する。
また、補助液310は、軟化剤を含有し、液状定着液210とは構成する液体の配分が異なる液体であるため、径時による液状定着液210の軟化能力の低下に応じて補助的に泡生成終了までに定着液を構成する成分を補給することができる。よって、定着液ボトル200に収容される液状定着液210に含有される軟化剤が経時で変質し、定着液の性能が低下したとしても、補助液310に含まれる軟化剤によって軟化剤の含有量が増加するため、液状定着液210の定着性能を補助することができる。
また、補助液310は、液状定着液210に比べて軟化剤の濃度が高い液体である。軟化剤を含む水溶性の液状定着液210の状態では径時変化により、軟化剤の加水分解の影響で定着性能が低下する。これは、軟化剤の軟化能力および弱酸性成分の生成で起泡性能が低下することに起因する。そして、このような液を使用した場合、定着不良となり異常画像が発生する。このような問題に対して、軟化剤の濃度が高い補助液310を液状定着液210に供給することにより、軟化剤を補給することができて軟化能力を向上させることができるので、定着能力を維持することができる。
また、補助液310は、軟化剤のみの液体、または、軟化剤を含んでpH7〜10に調整された液体である。先に述べたように、液状定着液210は経時変化によって定着能力が低下する。このような問題に対して、液状定着液210軟化剤を含んでpH7〜10に調整された補助液310を供給することにより、経時変化した液状定着液210の軟化能力の向上、起泡しやすいアルカリ性にすることで起泡性能を維持しトナーの軟化能力、安定した泡生成を行うことにより、泡状定着液Fによる定着能力を確保できる。
また、液状定着液210が定着液ボトル200から排出されてから、定着液泡状化装置500で泡状定着液Fとなって排出されるまでの液状定着液210の搬送経路内に液体を攪拌する液体攪拌手段としてギヤポンプ等のように液状定着液210が通過する経路中に振動機構や回転機構を有する定着液搬送ポンプ410を備え、この定着液搬送ポンプ410に対して液状定着液210の搬送方向上流側の定着液搬送管201に補助液搬送管301の下流側端部を接続する。液状定着液210に補助液310を供給した混合液を定着液泡状化装置500で泡状とした泡状定着液Fの成分が安定しない場合、十分な定着能力を得られない可能性がある。このような問題に対して、定着液泡状化装置500に搬送される前に液状定着液210に補助液310を供給した混合液を定着液搬送ポンプ410で拡散することで液状定着液210に補助液310を確実に分散することができ安定した定着能力が得られる。
また、図9を用いて説明した構成のように、定着液泡状化装置500の気体・液体混合部510に補助液搬送管301の下流側端部を接続して、定着液泡状化装置500で液状定着液210を泡状とする動作とともに気体・液体混合部510内に補助液310を供給するように構成しても良い。定着液ボトル200から定着液泡状化装置500までの定着液の搬送経路内で補助液310を補給した場合、液の搬送時に十分に補助液310が分散できない可能性があり、十分に分散されていないと定着能力の差が発生する可能性がある。図9に示す構成のように、液状の定着液を大きな気泡を含む泡状の定着液とする泡化手段である気体・液体混合部510内に補助液310を補給することで、泡状化作用の際に働く攪拌作用によって補助液310の拡散を確実にし、安定した定着能力を得ることができる。
また、実施例1の定着装置60は、定着液ボトル200が収容する液状定着液210の製造時の情報を記憶する記憶手段である記録チップ220と、補助液供給手段を構成する補助液搬送ポンプ420が液状定着液210の搬送経路内の液状定着液210に供給する補助液310の供給量を制御する補助液供給制御手段である制御部700とを有し、制御部700は記録チップ220が記憶する情報に基づき、液状定着液210の製造時からの経時時間に対応して補助液310の供給量を制御する、すなわち、制御部700は記録チップ220に記録されている製造日時の情報から算出される経時時間に対応し、補助液310の供給量を決定し、供給量を選択して、供給するように補助液搬送ポンプ420を制御する。
液状定着液210内の軟化剤の加水分解による定着能力の低下は保存期間により異なる。このため、経時時間に対応した補助液310の供給を行うことにより、保存期間によってことなる能力低下に応じた補助液を供給することができる。これにより、定着能力を維持しつつ、無駄に補助液310を消費しないという効果を奏することができる。
また、実施例2の定着装置60は、定着液ボトル200内の液体の電気抵抗を測定する電気抵抗測定手段である液センサ630と、補助液供給手段を構成する補助液搬送ポンプ420が液状定着液210の搬送経路内の液状定着液210に供給する補助液310の供給量を制御する補助液供給制御手段である制御部700とを有し、制御部700は液センサ630の測定結果に基づいて補助液310の供給量を制御する。
液状定着液210内の軟化剤の加水分解による定着能力の低下とは保存期間だけなく保存環境によっても異なる。そして、液状定着液210は軟化剤の加水分解により液体の電気的特性が変化する。これは加水分解によるイオン化生成物が増加するため、電気抵抗が小さくなる。これを測定することで必要な補助液を最適に供給し、安定した定着能力が得られる。
また、実施例2の定着装置60では、液センサ630が定着液ボトル200内の液状定着液210の残量を検知する液残量検知手段を兼ねている。これにより、新たに液状定着液210の残量検知手段を設けることなく、液センサ630が兼ねることで部品コストの低減になる。また、液状定着液210がなくなることによる不良画像の発生を防止できる。
また、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子層を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段である作像ユニット3と、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置としての複写機100であって、定着手段として、本実施形態の定着装置60を用いる。これにより、定着装置60が、泡状定着液Fを用いることで、トナー層Tへの接触付与時の接触付与手段である塗布ローラ61へのトナーのオフセット防止や、微量付与化を安定して実現でき、かつ、非加熱にて従来に比べ極めて低電力定着を可能とする。また、経時に渡って定着能力を維持できるため安定した画像を出力できる。
実施形態に係る定着装置を模式的に示す説明図。 実施形態に係る複写機を示す概略構成図。 同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。 同複写機における四つの作像ユニットのうちの一つを示す部分拡大図。 実施形態に係る定着装置の塗布ローラが転写紙と接触する部分の拡大説明図。 実施形態に係る定着装置が備える定着液泡状化装置の概略説明図。 塗布ローラ及び膜厚規制ブレードの斜視説明図。 補助液搬送管の下流側端部を定着液搬送ポンプに接続した構成の説明図。 補助液搬送管の下流側端部を気体・液体混合部に接続した構成の説明図。 実施例1の定着液ボトルの説明図。 実施例1の補助液の供給量の制御を行う構成のブロック図。 実施例2の定着液ボトルの説明図。 実施例2の補助液の供給量の制御を行う構成のブロック図。
符号の説明
1 プリンタ部
2 光書込装置
3 作像ユニット
4 感光体
5 帯電ローラ
6 現像装置
10 排紙トレイ
12 現像ローラ
15 ドラムクリーニング装置
16 クリーニングブレード
22 除電ランプ
28 紙搬送ユニット
29 紙搬送ベルト
30 駆動ローラ
31 二次転写ローラ
32 ベルトクリーニング装置
33 レジストローラ対
36 スイッチバック装置
37 紙搬送路
40 給紙装置
41 ペーパーバンク
42 給紙カセット
43 送出ローラ
44 給紙路
45 分離ローラ
47 搬送ローラ
50 原稿搬送読取ユニット
51 ADF
60 定着装置
61 塗布ローラ
62 加圧ローラ
63 膜厚規制ブレード
90 転写ユニット
91 中間転写ベルト
92 第一張架ローラ
94 下部張架ローラ
95 一次転写ローラ
100 複写機
150 スキャナ部
151 固定読取部
152 移動読取部
153 画像読取センサ
200 定着液ボトル
201 定着液搬送管
210 液状定着液
220 記録チップ
300 補助液ボトル
301 補助液搬送管
310 補助液
410 定着液搬送ポンプ
420 補助液搬送ポンプ
500 定着液泡状化装置
500a 泡状化装置駆動部
501 定着液供給口
510 気体・液体混合部
511 微小孔シート
512 空気口
515 泡状化装置内搬送管
520 微小径泡生成部
521 外側円筒部
522 内側円筒部
600 液状定着液供給部
620 読み取り部
630 液センサ
700 制御部
F 泡状定着液
MS 原稿
P 転写紙
T トナー層

Claims (11)

  1. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡化手段と、
    表面に樹脂微粒子を担持する記録媒体または樹脂微粒子担持体の表面に該泡状定着液を付与する定着液付与手段とを有し、
    該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を該記録媒体に定着する定着装置において、
    少なくとも、上記軟化剤と、上記定着液に含有させることで該定着液が泡状となることを促す起泡剤と、該軟化剤や該起泡剤を希釈する希釈液とを含む複数成分からなる定着液を収容する定着液収容手段を有し、
    該定着液は含有する成分間の経時での反応により定着性能が低下する構成であり、
    該定着液に供給することによって該定着液の成分間の経時の反応によって低下した定着性能を回復させる補助液を該定着液収容手段内の該定着液とは独立して収容する補助液収容手段と、
    該定着液が該定着液収容手段から排出されてから、上記定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの該定着液の搬送経路内で、該補助液収容手段内の該補助液を該定着液に供給する補助液供給手段とを有することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    上記定着液は、含有する成分間の経時での反応により一部の成分が減少するものであり、
    上記補助液は、該定着液を構成する複数成分のうち経時での反応により減少した成分を含有することを特徴とする定着装置。
  3. 請求項2の定着装置において、
    上記定着液は、経時で上記軟化剤と反応し、軟化剤を減少させる軟化剤反応成分を含有し、
    上記補助液は、該軟化剤を含有し、該軟化剤反応成分を含有しないことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1、2または3の定着装置において、
    上記定着液は、含有する成分間の経時の反応により該定着液の定着性能に影響する特性を変化させる成分を含有し、
    上記補助液は、経時での反応により変化した定着液の特性をもとに戻す成分を含有することを特徴とする定着装置。
  5. 請求項4の定着装置において、
    上記定着液は、経時の反応により該定着液を酸性に変化させる成分を含有し、
    上記起泡剤は、弱アルカリ性の環境で所望の起泡性を発揮するものであり、
    上記補助液は、酸性に変化した該定着液を弱アルカリ性特性に戻す成分を含有することを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
    上記定着液が上記定着液収容手段から排出されてから、上記定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの該定着液の搬送経路内に液体を攪拌する液体攪拌手段を有し、
    該定着液が該定着液収容手段から排出されてから、該液体攪拌手段に該定着液が到達するまでの該定着液の搬送経路内に上記補助液供給手段を備えることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
    上記定着液泡化手段で定着液を泡状とする動作とともに該定着液泡化手段内に上記補助液を供給することを特徴とする定着装置。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7の定着装置において、
    上記定着液収容手段が収容する上記定着液の製造時の情報を記録する記録手段と、
    上記補助液供給手段が上記搬送経路内の該定着液に供給する上記補助液の供給量を制御する補助液供給制御手段とを有し、
    該補助液供給制御手段は該記録手段に記録された情報に基づき、該定着液の製造時からの経時時間に対応して該補助液の供給量を制御することを特徴とする定着装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8の定着装置において、
    上記定着液収容手段内、または、上記定着液が該定着液収容手段から排出されてから上記定着液泡化手段で上記泡状定着液となって排出されるまでの該定着液の搬送経路内の液体の電気抵抗を測定する電気抵抗測定手段と、
    上記補助液供給手段が該搬送経路内の該定着液に供給する上記補助液の供給量を制御する補助液供給制御手段とを有し、
    該補助液供給制御手段は該電気抵抗測定手段の測定結果に基づいて該補助液の供給量を制御することを特徴とする定着装置。
  10. 請求項の定着装置において、
    上記電気抵抗測定手段を上記定着液収容手段に配置し、
    該電気抵抗測定手段が該定着液収容手段内の上記定着液の残量を検知する液残量検知手段を兼ねることを特徴とする定着装置。
  11. 樹脂と色剤を含有する上記樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
    該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置
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