JP2012003110A - 泡生成装置、定着装置、画像形成装置、定着方法及び画像形成方法 - Google Patents

泡生成装置、定着装置、画像形成装置、定着方法及び画像形成方法 Download PDF

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久慶 大島
Koji Takeuchi
弘司 竹内
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Abstract

【課題】所望の小さな泡径の泡状液を生成でき、従来よりも小型化を図ることができる泡生成装置、並びに、この泡生成装置を有する定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】泡生成装置である定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511を形成するスリット搬送管510を備え、スリット搬送管510の一端は泡状定着液排出口501を形成し、他端は、スリット状搬送路511の断面の長尺方向(スリット幅Wの方向)に沿ってピッチ幅としての開口ピッチ幅P1が110[μm]となる複数の開口部からなる定着液供給口521及び空気供給口531を形成し、スリット状搬送路511の流路断面積が、気液混合部502に比べて、泡状定着液排出口501の方が小さい形状である。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置に適用可能な泡生成装置に関するものである。詳しくは、トナー等の樹脂微粒子を溶解又は膨潤させて記録媒体上に定着させる定着液を定着液泡状化手段によって泡状定着液にして樹脂微粒子に付与する定着装置の定着液泡状化手段として適用可能な泡生成装置、並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
また、泡状の定着液を生成して定着を行う定着方法、および、この定着方法によって画像の記録媒体への定着を行う画像形成方法に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置としては、定着速度、定着画像品質等の点から、被定着媒体である記録媒体上のトナーを加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。
しかし、このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。このため、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、または、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献6に記載の定着装置で用いる定着方式)。湿式定着方式では、未定着のトナー像に対して定着液を塗布、噴霧または滴下してトナー像を形成するトナーを軟化させた後、軟化したトナーを記録媒体上で乾燥させることにより、トナー像を記録媒体に定着させる。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献4の何れの特許文献に記載の定着装置も、接触型の定着液付与手段である塗布ローラを用いて定着液を液状のまま記録媒体または中間転写体といった定着液付与対象に塗布することで、定着液を定着液付与対象上の未定着トナー像に付与する構成である。このような液状の定着液をトナー像に塗布して定着を行う構成では、定着液付与対象上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止を両立させることが極めて難しいという問題があった。以下、この問題について説明する。
塗布ローラを用いて定着液付与対象上の未定着トナー像へ定着液を塗布する構成において、定着液を定着液付与対象に微量付与するために、塗布ローラ上の定着液の層の厚みを未定着トナー像の層よりも薄くした場合、次のような問題が生じることがあった。塗布ローラの表面が定着液付与対象と接触した後、塗布ローラの表面が定着液付与対象から剥離する位置で、定着液付与対象に付与されず塗布ローラ表面に残った定着液の液膜によって生じる表面張力で定着液付与対象上のトナー層のトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラの表面にオフセットしたトナー粒子が付着し、塗布ローラと剥離した後の定着液付与対象上のトナー像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ上の定着液の層の厚みを未定着トナー層よりも十分厚くすると、塗布ローラが定着液付与対象から剥離する位置では、液量が多いため塗布ローラの表面の液膜による表面張力が定着液付与対象上のトナー層のトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ側にトナーが付着しにくくなるが、定着液付与対象の表面に多量の定着液が塗布される。このため、定着液付与対象上で過剰な定着液により定着液の拡散にともないトナー粒子が流れ画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、記録媒体に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液が水を含有するものであると、紙等のセルロースを含有する記録媒体への定着液の付与量が多い場合、紙等の記録媒体が著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラを用いて定着液を付与する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。
よって、塗布ローラで定着液を塗布する構成では、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために定着液付与対象上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラへのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、特許文献5及び特許文献6には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を定着液付与対象である記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度(定着液の重量をその体積で割った値、以下、嵩密度とよぶ)を下げることが出来る。このため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の定着液付与対象上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来る。さらに、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によって定着液付与対象上のトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、特許文献5及び特許文献6に記載の定着装置のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
特許文献5及び特許文献6に記載の定着装置のように、泡状定着液をトナー画像に塗布する構成で良好な定着性を得るためには、泡状定着液の気泡の径がある程度小径であることが求められる。微小な気泡を含んだ泡状定着液を定着液付与対象上のトナー像に塗布することで、良好な定着性を得ることができる。しかし、通常の液状の液体から微小な気泡を含んだ泡状液を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、通常の液状の定着液を起泡させて発泡させる工程(以下、初期発泡と呼ぶ)で、最初から微小な気泡を生成するためには時間がかかる。このため、特許文献5に記載の定着装置のように、初期発泡で生成された泡状定着液をそのまま塗布ローラに供給して定着に用いる構成では、定着に適した微小な気泡を含んだ泡状定着液を生成するために時間がかかるという問題があった。
このような問題に対して、特許文献6に記載の定着装置が備える定着液泡状化装置は、初期発泡によって大きな泡径の泡状定着液を生成する大径泡生成部と、大径泡生成部で生成された泡状定着液を分泡して微小な泡径の泡状定着液を生成する小径泡生成部とを有する。詳しくは、大径泡生成部で通常の液状の定着液(以下、液状定着液と呼ぶ)と空気とを微小孔シートを通過させることで、液状定着液を発泡させて初期発泡を行い、所望の泡径よりも大きい泡径の泡状定着液を生成する。その後、初期発泡で得られた泡状定着液を小径泡生成部に搬送し、小径泡生成部では内部に回転体を備える装置内で大きな泡径の泡状定着液にせん断力を付与することで泡の小径化を行う。すなわち、特許文献6の定着液泡状化装置では、初期発泡を行う装置(大径泡生成部)と小径化を行う装置(小径泡生成部)とを別々に設けている。このように、大きな気泡を含む泡状定着液を生成した後に、この泡状定着液にせん断力を加えることで大きな泡を分泡して微小な泡径の泡状定着液を得ると、通常の液状の液体から起泡させていきなり微小な気泡を含有する泡状液を生成する方法に比べ、素早く所望の大きさの微小な気泡を含有した泡状定着液を生成できる。
しかしながら、特許文献6の定着装置が備える定着液泡状化装置では、装置が大型になるという問題があった。これは以下の理由による。
特許文献6の定着液泡状化装置は、初期発泡を行う装置と小径化を行う装置とを別々に設けており、初期発泡を行う装置から小径化を行う装置まで大きな泡径の泡状定着液を配管(チューブ)を通して搬送する。このとき、泡状の液体は通常の液体と比べて流体抵抗が大きく、ポンプで圧力を掛けて泡状定着液を圧送しようとすると大きな圧力が必要となる。そして、泡状定着液を搬送する搬送経路を形成する配管が長くなるほど泡状定着液を圧送するときに要する圧力が大きくなる。このため、定着液泡状化装置内で定着液を搬送するために出力の大きなポンプが必要となり、ポンプは出力が大きいものほど大型化する傾向があるため、出力の大きなポンプを要する定着液泡状化装置は大型になる。
また、特許文献6の定着装置が備える定着液泡状化装置では、大きな泡径の泡状定着液に回転体によってせん断力を付与して小径化を行うため、回転体を備える機構と回転体に駆動を伝達する駆動源とが必要となり、装置の大型に繋がる。
そして、定着液泡状化装置が大型になると、それを備える定着装置や画像形成装置の大型化に繋がるため、泡状定着装置としては、所望の小径な泡を生成でき、小型であることが望まれる。
初期発泡を行う装置の構成としては、上述のように、定着液と空気とを微小孔シートに通過させるものに限るものではない。例えば、貯留された定着液に差し込まれた空気吐出口より定着液内に空気を送り込んでバブリングによって発泡させる構成であっても初期発泡を行うことができる。また、微小孔シートの代わりに回転する攪拌羽を備えた搬送路内に液状定着液と空気とを通過させる構成であっても、撹拌によって液状定着液に空気を巻き込んで初期発泡を行うことができる。これらの構成は、微小孔シートを用いた初期発泡で得られる泡状定着液と比べて、泡径が同等以上の大きさとなり、上述の定着液泡状化装置と同様に初期発泡を行う装置とは別に小径化を行う装置が必要であり、装置が大型になるという問題が生じる。
上述の課題では、通常の液状の定着液を泡状定着液とする定着液泡状化装置の問題について説明したが、通常の液体から泡状とする対象となる液体が定着液である場合に限らず、小径の泡状液を生成する泡生成装置であれば同様の問題は生じ得る。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、第一の目的は、所望の小さな泡径の泡状液を生成でき、従来よりも小型化を図ることができる泡生成装置、並びに、この泡生成装置を有する定着装置及び画像形成装置を提供することである。
また、第二の目的は、泡状定着液を付与することで軟化した樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法であって、定着液を泡状とする工程を簡素化することができる定着方法、及び、この定着方法によって画像の定着を行う画像形成方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液体と気体とを混合させて泡状液を生成する泡生成部と、液供給手段から供給される上記液体を上記泡生成部に供給する液搬送路と、気体供給手段から供給される上記気体を上記泡生成部に供給する気体搬送路とを有する泡生成装置において、上記泡生成部は、上記泡状液が通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリトッ状となるスリット状搬送路を備え、該スリット状搬送路の該通過方向の一端はスリット状の開口部であり、該スリット状搬送路の該通過方向の他端は上記液搬送路と該スリット状搬送路とを接続する液体供給口、及び、上記気体搬送路と該スリット状搬送路とを接続する気体供給口を備え、該液体供給口及び該気体供給口は、それぞれ、該スリット状搬送路の断面の長尺方向に沿ってピッチ幅が2[mm]未満となる複数の開口部からなり、該泡生成部は、上記液体供給手段及び上記気体供給手段から上記液体及び上記気体が同時に供給されることで該スリット状搬送路内で該液体と該気体とが混合して該泡状液が生成され、該スリット状搬送路の上記一端の上記開口部から生成された該泡状液が排出される構成であり、上記スリット状搬送路の上記通過方向に直交する断面の断面積である流路断面積が、上記液体供給口及び上記気体供給口を備える上記他端に比べて、上記開口部が形成された上記一端の方が小さいことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の泡生成装置において、上記スリット状搬送路の上記通過方向に直交する断面の上記長尺方向の長さが、上記液体供給口及び上記気体供給口を備える上記他端に比べて、上記開口部が形成された上記一端の方が短いことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の泡生成装置において、上記スリット状搬送路の上記一端には上記開口部が複数形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の泡生成装置において、上記スリット状搬送路の上記通過方向に直交する流路断面の上記長尺方向と直交する方向の長さが、上記液体供給口及び上記気体供給口を備える上記他端に比べて、上記開口部が形成された上記一端の方が短いことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の泡生成装置において、上記スリット状搬送路内の上記泡状液が生成される位置から上記一端の上記開口部までの間に配置され、該開口部に向かう該泡状液の泡が接触し、接触した泡状液の泡に対してさらに該開口部側に向かおうとする力が作用することで、接触した泡状液の一つの泡を二つ以上の泡に分泡する分泡部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の泡生成装置において、上記スリット状搬送路の上記他端側の端面に、上記長尺方向に沿って、上記液体供給口と上記気体供給口とが交互に並んでいることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、該定着液泡状化手段に該液状定着液を供給する定着液供給手段と、該定着液泡状化手段に該気体を供給する気体供給手段と、該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する定着液付与手段とを有し、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、上記定着液泡状化手段として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の泡生成装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の定着装置において、複数の上記液体供給口のそれぞれに対して上記液状定着液を供給する該液体供給口と同数の上記定着液供給手段及び上記液搬送路と、複数の上記気体供給口のそれぞれに対して上記気体を供給する該気体供給口と同数の上記気体供給手段及び上記気体搬送路とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項7の定着装置において、一つの上記定着液供給手段が複数の上記液体供給口に対して上記液状定着液を供給するように少なくとも一つの該定着液供給手段を備え、一つの上記気体供給手段が複数の上記気体供給口に対して上記気体を供給するように少なくとも一つの該気体供給手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の定着装置において、上記液状定着液は複数の定着液構成液から構成され、上記定着液供給手段は、該液状定着液を構成する該複数の定着液構成液をそれぞれ独立して収容する複数の定着液構成液収容部と、該複数の定着液構成液収容部からそれぞれ該複数の定着液構成液が供給され、該複数の定着液構成液を混合して該液状定着液を生成する定着液生成手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項7乃至10のいずれか1項に記載の定着装置において、上記定着液付与手段は、表面移動する定着液供給対象の表面に対向する位置に上記泡生成装置の上記スリット状搬送路の上記一端の上記開口部が位置するように配置し、該定着液供給対象の表面における表面移動方向と直交する方向である幅方向と上記長尺方向とが同方向であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の定着装置において、上記定着液供給対象として、上記泡状定着液を表面に担持して表面移動し、上記定着液付与対象と対向する位置で表面上の該泡状定着液を該定着液付与対象に塗布する定着液塗布部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面を上記定着液付与対象の表面として定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項7乃至12のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を定着液泡化工程で液中に気体を含有させて気泡が分散した泡状定着液とし、該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与して、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法において、定着液泡化工程では、上記泡状定着液が通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリット状で、該通過方向の一端はスリット状の開口部であり、該通過方向の他端に、該空間のスリット状の断面の長尺方向に沿ってピッチ幅が2[mm]未満となる複数の開口部からなる、上記液状定着液を該空間に供給する定着液供給口と、上記気体を該空間に供給する気体供給口と、を備え、上記泡状定着液が通過する空間の通過方向に直交する断面の断面積が上記他端に比べて上記一端のほうが小さくなるように形成された泡生成部のスリット状搬送路に、該液状定着液と該気体とを供給することによって該液状定着液から該泡状定着液を生成し、上記スリット状の開口部から排出することで定着液を泡状化することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着工程とによって記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、上記定着工程では請求項14の定着方法によって定着を行うことを特徴とするものである。
本出願人は、特願2009−114659号(以下、「先願」という。)において、一般的に二種類の液体の混合や反応に使用されるマイクロミキサ(マイクロリアクタともいう)と同様の構成を備えた装置を、液状の定着液を泡状とする泡生成装置として用いる定着装置を提案している。
一般に、マイクロミキサは、二種類の液体をそれぞれ供給する液供給路を二つ備え、それぞれの液供給路に二種類の液体を供給することで液体の混合や反応を行い、結果物を排出口から得る構成である。上記先願の発明者らは、このマイクロミキサの液供給路の一方を空気供給路として空気を送るエアポンプを接続し、他方の液供給路に液状の定着液を供給する定着液供給ポンプを接続して空気と定着液とを送り込むと泡状定着液が得られることを見出した。
また、上記先願に記載の泡生成装置で得られた泡状定着液は、特許文献6に記載の微小孔シートを通過させて初期発泡を行う装置で得られる泡状定着液よりも泡径が十分に小さい泡状定着液であり、このとき得られた泡状定着液では、泡状定着液をトナー画像に塗布する構成で良好な定着性を得ることが出来得る程度に微小な気泡を含んだ泡状定着液であることが確認された。
さらに、この先願に記載の泡生成装置では、特許文献6の定着装置が備える定着液泡状化装置と同等以上に素早く微小な気泡を含有した泡状定着液を生成できることが確認された。
また、この先願に記載の泡生成装置で用いるエアポンプや定着液供給ポンプとして用いたポンプの出力は、特許文献6に記載の定着液泡状化装置が備えるポンプの出力よりも十分に小さいものであることが確認された。
上記先願に記載の定着装置が備える泡生成装置と本願請求項1に記載の泡生成装置とは次のような構成を備える。
すなわち、液体と気体とを混合させて泡状液を生成する泡生成部と、液体を泡生成部に供給する液搬送路と、気体を泡生成部に供給する気体搬送路とを有する。この泡生成部は、泡状液が通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリット状となるスリット状搬送路を備え、このスリット状搬送路の通過方向の一端がスリット状の開口部となっている。また、スリット状搬送路の通過方向の他端は液搬送路とスリット状搬送路とを接続する液体供給口、及び、気体搬送路とスリット状搬送路とを接続する気体供給口を備えている。さらに、液体供給口及び気体供給口は、それぞれ、スリット状搬送路の断面の長尺方向に沿ってピッチ幅が2[mm]未満となる複数の開口部からなる。そして、泡生成部は、液搬送路と気体搬送路とから液体と気体とが同時に供給されることでスリット状搬送路内で液体と気体とが混合して泡状液が生成され、スリット状搬送路の一端開口部から生成された泡状液が排出される構成である。
このような泡生成装置は、上述したように特許文献6に記載の定着液泡状化装置のような泡生成装置よりも出力の小さいポンプを用いることができるため、ポンプの小型化を図ることができる。さらに、回転体によって泡状定着液にせん断力を付与して小径化を行う装置が不要であるため、せん断力を付与する回転体を備える機構や回転体に駆動を伝達する駆動源も不要となる。
このように、初期発泡を行う装置と小径化を行う装置とをそれぞれ設ける必要がなく、従来よりもポンプの小型化を図ることができ、せん断力を付与する回転体を備える機構や回転体に駆動を伝達する駆動源も不要となるため、従来の定着装置が備える泡生成装置よりも小型化を図ることができる。
上記先願に記載の泡生成装置のスリット状の開口部から排出される泡状定着液は特許文献6に記載の初期発泡を行う装置よりも十分に小さな泡径の泡状定着液であった。しかし、本発明者らがさらに小さな泡径の泡状定着液を得るために鋭意検討を重ねた結果、次のことを見出した。すなわち、上記先願に記載の泡生成装置のスリット状搬送路の流路断面積を、液体供給口及び気体供給口を備える他端に比べて、開口部が形成された一端の方を小さくすることで、流路断面積が一様な泡生成装置よりもさらに小さな泡径の泡状液を得ることができた。
このとき得られた泡状定着液は、トナー画像に塗布する構成で良好な定着性を得ることができる程度に、所望の小さな泡径の泡状定着液であった。
本願請求項1に記載の泡生成装置は、上述した先願に記載の定着装置が備える泡生成装置の構成に加えて、スリット状搬送路の流路断面積が液体供給口及び気体供給口を備える他端に比べて、開口部が形成された一端の方を小さい。すなわち、スリット状搬送路の流路断面積が、泡状液の通過方向の上流端に比べて下流端の方が小さい構成となっている。
このような構成では、流路断面積の大きいスリット状搬送路の上流端に存在していた泡状液が、流路断面積の小さい下流端を通過しようとすると、泡同士の間でせん断力が働くことで泡が小径化し、流路断面積が一様な構成よりも小さな泡径の泡状液を得ることができたと考えられる。
また、泡生成装置のスリット状搬送路の流路断面積を上流端と下流端とで異ならせた構成であるため、泡生成装置の大きさ自体は上記先願に記載の泡生成装置と同程度にでき、上記先願に記載の泡生成装置と同様に従来の泡生成装置よりも小型化を図ることができる。
本願請求項1の構成を備えた発明であれば、所望の小さな泡径の泡状液を生成でき、従来よりも小型化を図ることができる泡生成装置を実現することができるため、上記一つ目の目的を達成することができるという優れた効果がある。
さらに、本願請求項14の構成を備えた発明であれば、初期発泡を行う工程と小径化を行う工程とを別々に設けておらず、定着液を泡状とする工程を簡素化することができるため、上記二つ目の目的を達成することができるという優れた効果がある。
実施例1の定着液泡状化装置の説明図。 実施形態に係る複写機を示す概略構成図。 同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。 同複写機における四つの作像ユニットのうちの一つを示す部分拡大図。 実施形態に係る定着装置を模式的に示す説明図。 実施形態に係る定着装置の塗布ローラが転写紙と接触する部分の拡大説明図。 泡状定着液の拡大模式図。 実施例1の定着液泡状化装置の斜視説明図。 実施例1のスリット状搬送路の説明図、(a)は、液体及び気体の流れの説明図、(b)は、上流端と下流端との流路断面積を比較する図。 実施例2のスリット状搬送路の説明図、(a)は、液体及び気体の流れの説明図、(b)は、上流端と下流端との流路断面積を比較する図。 実施例3のスリット状搬送路の説明図、(a)は、液体及び気体の流れの説明図、(b)は、上流端と下流端との流路断面積を比較する図。 実施例4の定着液泡状化装置の説明図。 実施例5の定着液泡状化装置の説明図。 実施例5の定着液泡状化装置の説明図。 実験で用いた装置の説明図。 実験例1の定着液泡状化装置の斜視説明図。 実験例1の定着液泡状化装置の寸法説明図、(a)はY−Z平面の説明図、(b)はZ−X平面の説明図。 実験例2の定着液泡状化装置の寸法説明図、(a)はY−Z平面の説明図、(b)はZ−X平面の説明図。 実験例3の定着液泡状化装置の斜視説明図。 実験例3の定着液泡状化装置の寸法説明図、(a)はY−Z平面の説明図、(b)はZ−X平面の説明図。 複数の定着液構成液を混合して定着液として用いる定着装置の説明図。 塗布ローラ及び膜厚規制ブレードの斜視説明図。 膜厚規制ブレードによる泡状定着液の膜厚制御の概略図、(a)は、ギャップ幅を狭くしたときの説明図、(b)は、ギャップ幅を広くしたときの説明図。 泡状定着液膜厚規制部材としてワイヤ−バーを用いる構成の説明図。 変形例の定着装置の説明図。 二つ目の変形例の定着装置の説明図。 三つ目の変形例の定着装置の説明図。 実施形態の定着装置の流体の供給経路の説明図。 実施形態とは流体の供給経路が異なる構成の説明図。 液状定着液を用いる定着装置で定着液の膜厚が薄いときの説明図、(a)は、定着装置の概略説明図、(b)は、転写紙に接触して定着液を塗布する塗布ローラと転写紙とが接触する塗布位置の拡大説明図。 液状定着液を用いる定着装置で定着液の膜厚が十分に厚いときの説明図。
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置である複写機(以下、複写機100と呼ぶ)に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明の泡生成装置を備える定着装置を有する画像形成装置が複写機である構成に付いて説明するが、プリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。
まず、実施形態に係る複写機100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る複写機100を示す概略構成図である。この複写機100は、プリンタ部1と、給紙装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置たるスキャナ部150と、これに支持される原稿搬送装置たるADF51とを有している。
給紙装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から転写紙Pを送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、プリンタ部1の紙搬送路37に転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ46等も有している。そして、給紙カセット42内の転写紙Pをプリンタ部1内の紙搬送路37内に給紙する。
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ部150は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部151と、移動読取部152とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第一コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第二コンタクトガラスの直下であって、固定読取部151の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿MSを走査する。
このように、スキャナ部150において原稿MSを走査し、画像読取センサ153で得られた画像情報に基づいて、後述するように光書込装置2では光源を駆動してドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。
図3は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部1は、光書込装置2、K,Y,M,Cの各色のトナー像を形成する四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)、転写ユニット90、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置60等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、潜像担持体たる感光体4(K,Y,M,C)の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。なお、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、後述する定着装置60の定着液により溶解又は膨潤する。
作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ、潜像担持体たる感光体4と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体によって支持するものであり、複写機100本体に対して着脱可能になっている。ブラック用の作像ユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の一次転写ニップを通過した後の感光体4K表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15Kなども有している。複写機100では、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)を、後述する中間転写ベルト91に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
図4は、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)のうちの一つ作像ユニット3の拡大図である。なお、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。図4に示すように、作像ユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置の帯電ローラ5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電装置の除電ランプ22等を有している。
感光体4としては、複写機100では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、感光体としては無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を現像剤担持体である現像ローラ12に担持し、現像ローラ12と感光体4との対向部である現像領域で感光体4上の静電潜像にトナーを供給して、静電想像を可視像化させる。また、現像装置6は、現像ローラ12の表面に供給する二成分現像剤を収容する現像剤収容部を備え、現像剤収容部は収容する二成分現像剤を攪拌する不図示の攪拌部材が設けられている。
現像ローラ12は回転可能に配置された非磁性の筒状の現像スリーブと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラとから構成される。マグネットローラは、現像スリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これらの磁極は、それぞれ現像スリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、現像剤収容部内の二成分現像剤を現像スリーブ表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブの回転に伴って不図示の現像剤規制部材との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、現像領域に搬送される。そして、現像スリーブに印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像を行う。更に、現像領域を通過した後、現像スリーブの回転に伴って再び現像装置6内に戻った磁気ブラシを構成する二成分現像剤は、マグネットローラの磁極間に形成される反発磁界の影響によって現像スリーブ表面から離脱した後、現像剤収容部内に戻される。現像剤収容部内には、不図示のトナー濃度センサが配置されており、このトナー濃度センサによる検知結果に基づいて、現像剤収容器内の二成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内となるように、不図示のトナー補給装置が制御され、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。
プリンタ部1では図3に示すように、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の感光体4(K,Y,M,C)には、これまで説明してきた作像プロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
図3に示すように四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の下方には、転写ユニット90が配設されている。この転写ユニット90は、複数の張架ローラ(92、93、94)によって張架されたトナー像担持体としての中間転写ベルト91を備え、中間転写ベルト91を挟んで第一張架ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置32が配置されている。ベルトクリーニング装置32は、後述する二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
転写ユニット90では中間転写ベルト91を感光体4(K,Y,M,C)に当接させながら図中時計回り方向(図3中の矢印A方向)に無端移動させる。これにより、感光体4(K,Y,M,C)と中間転写ベルト91とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写装置の一次転写ローラ95(K,Y,M,C)によって中間転写ベルト91が感光体4(K,Y,M,C)に向けて押圧されている。四つの一次転写ローラ95(K,Y,M,C)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップでは、感光体4(K,Y,M,C)上のトナー像を転写体たる中間転写ベルト91に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト91の表面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト91の表面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
本実施形態の一次転写装置は、一次転写部材として一次転写ローラ95を備えた構成を採用しているが、一次転写部材としては導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
図4において、一次転写ニップを通過した後の感光体4の表面には、中間転写ベルト91に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、作像ユニット3のドラムクリーニング装置15により、感光体4の表面から除去される。
ドラムクリーニング装置15としては、感光体4に当接しているポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16により、転写残トナーを一次転写ニップ通過後の感光体4表面から掻き取って除去するものが用いられている。クリーニングブレード16は、作像ユニット3のケーシングに固定された金属製の支持部材に接着(ホットメルト)されており、感光体4に対してカウンタ方向に当接するようになっている。カウンタ方向とは、支持部材によって片持ち支持されるクリーニングブレード16の先端側を、後端側(自由端側)よりも感光体4の回転方向の上流側に位置させるようなブレードの向きである。
ここで、ドラムクリーニング装置15によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置6に回収され、再利用される。
本実施形態の作像ユニット3が備える除電装置は除電ランプ22を備えた構成であり、光を照射して感光体4の表面電位を初期化する。除電ランプ22によって除電された感光体4の表面は、帯電バイアスの印加によって感光体4との間に放電を発生させる帯電ローラ5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。作像ユニット3が備える帯電装置は帯電ローラ5を採用した接触帯電方式の帯電装置である。この帯電装置は帯電ローラ5を感光体4の表面に接触させて、帯電ローラ5に電圧を印加することにより感光体4の表面を一様に帯電する。なお、感光体4を一様に帯電させる帯電装置としては、帯電ローラ方式のものに代えてスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。
プリンタ部1では図3に示すように、転写ユニット90の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、二次転写ベルトである無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる二次転写ユニットとしての紙搬送ユニット28が設けられている。複写機100では紙搬送ユニット28の二次転写ローラ31と、転写ユニット90の下部張架ローラ94との間に、中間転写ベルト91及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト91の表面と、紙搬送ベルト29の表面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット90の下部張架ローラ94は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。なお、中間転写ベルト91と接触して二次転写ニップを形成する部材としては、紙搬送ベルト29のようなベルト状の部材に限らず、ローラ状の転写ローラを用いてもよい。
この二次転写ニップの図中右側には、レジストローラ対33が配設されている。レジストローラ対33はローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト91上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト91上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過し、表面にトナー像が転写された転写紙Pは、中間転写ベルト91から離間して、紙搬送ベルト29の表面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置60へと搬送される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト91の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト91に当接するように配置されたベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
定着装置60に搬送された転写紙Pは、詳細は後述するが定着装置60内で定着液が塗布されることによってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置60から送り出され、排紙トレイ10上に排紙される。
なお、図2に示すように複写機100は、紙搬送ユニット28と定着装置60との下方には、転写紙反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。両面に画像形成を行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pの進路を、切換爪を制御することによってスイッチバック装置36側に切り換え、そこで転写紙Pを反転させて再び二次転写転写ニップに向けて搬送する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された転写紙Pは、排紙トレイ10上に排紙される。
次に、本発明の特徴部を備えた定着装置60について説明する。
図5は本実施形態の定着装置60を模式的に示す説明図である。なお、本発明における樹脂微粒子はトナー粒子である。
定着装置60は、樹脂材料からなるトナーの少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子であるトナー粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液210を液中に気泡が分散した泡状定着液Fとする定着液泡状化手段である定着液泡状化装置500を備える。また、定着液泡状化装置500に液状定着液を供給する定着液供給手段である定着液供給ポンプ200と、定着液泡状化装置500に気体として空気を供給する気体供給手段であるエアポンプ300とを備える。さらに、未定着トナー像Tとしてトナー粒子を担持する定着液付与対象である転写紙Pの表面に泡状定着液Fを付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を備える。
定着液供給ポンプ200は、定着液ボトル220内の液状定着液210を吸引し、定着液搬送管230に対して圧送することで液状定着液210を定着液泡状化装置500に供給する。また、エアポンプ300は、エアフィルタ310を介して外気の空気を吸引し、空気搬送管330に対して圧送することで空気を定着液泡状化装置500に供給する。そして、液状定着液210及び空気が供給された定着液泡状化装置500は、詳細は後述する構成によって泡状定着液Fを生成し、泡状定着液排出口501から泡状定着液Fを排出することで、塗布ローラ61の表面に泡状定着液Fを供給する。
塗布ローラ61の表面上に供給された泡状定着液Fは、図中矢印B方向に回転する塗布ローラ61の表面移動によって膜厚規制ブレード63と対向する位置を通過し、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する塗布位置Cに到達する。そして、塗布位置Cで塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fが転写紙P上の未定着トナー像Tに塗布される。塗布位置Cで泡状定着液Fを未定着トナー像Tに塗布することで、軟化したトナー粒子を転写紙Pに定着する。
このように、定着装置60では、未定着トナー像Tを担持する転写紙Pは、塗布ローラ61と加圧ローラ62とによってニップが形成される塗布位置Cで塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fと接触する。そして、加圧ローラ62で加えられた圧力によって泡状定着液Fが未定着トナー像Tのトナー層に浸透していく。浸透した定着液は、トナーの少なくとも一部を溶解又は膨潤させて転写紙Pに対してトナーを定着させる。
ここで、本実施形態の定着装置60のように通常の液状ではなく、泡状の定着液を未定着トナー像Tに付与して転写紙Pに定着する定着方法の利点について説明する。
まず、本実施形態の定着装置60とは異なり通常の液状の定着液を塗布する従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上述した上記特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いる湿式定着方式の定着装置が記載されている。この定着装置では、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面に対して定着液を噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させる構成である。
しかし、上記特許文献1の定着装置では、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いている。このため、多量の定着液を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(被定着物)が、定着液の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着液に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着液から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、上記特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、上記特許文献3には、未定着トナー画像の定着液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100の容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の定着液が提案されている。これにより、静電気的方式で形成された未定着トナー像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に記録媒体上に固着できる。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状のまま記録媒体状のトナー像に付与していたため、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しいという問題があった。この問題について図30及び図31を用いて説明する。
図30は、従来の湿式定着方式の液状定着液を用いる定着装置600の説明図である。図30(a)は液状定着液を用いる定着装置600の概略説明図である。また、図30(b)は、液状定着液を用いる定着装置600における記録媒体である転写紙Pと転写紙Pに接触して液状定着液210を塗布する塗布部材である塗布ローラ61との近接部の拡大説明図である。
図30(a)に示すように、塗布ローラ61を用いて転写紙P上の未定着トナー像Tへ液状定着液210を塗布する構成において、液状定着液210を転写紙Pに微量付与するために、塗布ローラ61表面上の液状定着液210の膜厚が未定着トナー像Tのトナー層の厚みよりも薄くなる場合、図30(b)のようになる。塗布ローラ61表面上の液状定着液210には、塗布ローラ61の表面が転写紙Pと接触する塗布位置で塗布ローラ61から転写紙Pに付与されるものの他に、図30(b)中の矢印F1で示すように塗布位置を通過した後も塗布ローラ61の表面に残留するものがある。そして、塗布ローラ61の表面が転写紙Pから分離する位置で、塗布ローラ61表面に残留する液状定着液210の液膜によって生じる表面張力(図30中の矢印F2方向に働く)で未定着トナー像Tのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ61の表面にオフセットしたトナー粒子Tbが付着し、塗布ローラ61と剥離した後の転写紙P上の定着トナー像Taの画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ61表面上の液状定着液210の膜厚を未定着トナー像Tの層厚よりも十分厚くすると、図31のようになる。塗布ローラ61の表面が転写紙Pから分離する位置では、液状定着液210の液量が多いため塗布ローラ61表面の液膜による表面張力が未定着トナー像Tのトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ61側にオフセットしたトナーが付着しにくくなる。しかし、転写紙Pの紙面に多量の液状定着液210が塗布されるため、過剰な液状定着液210により転写紙P上のトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、転写紙Pに付与した液状定着液210の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、転写紙Pに著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。さらに、液状定着液210が水を含有するものであると、記録媒体として紙等のセルロースを含有する転写紙Pへの液状定着液210の塗布量が多い場合、紙等の転写紙Pが著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラ61を用いて液状定着液210を塗布する構成では、液状定着液210の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、液状定着液210の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下という問題が生じる。さらに、記録媒体の材質によっては紙詰まりが発生しやすくなるという問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために液状定着液210を微量塗布する構成とすると、図30を用いて述べたように塗布ローラ61の表面にオフセットしたトナー粒子Tbが付着し、画像が乱れてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために転写紙P上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラ61へのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、上記特許文献5及び上記特許文献6には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を塗布ローラによって記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度(定着液の重量をその体積で割った値、以下、「嵩密度」とよぶ)を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、上記特許文献5及び上記特許文献6のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
そして、本実施形態の定着装置60も上記特許文献5及び上記特許文献6と同様に定着液を泡状にして液状定着液210に比べて嵩密度の低い泡状定着液Fを記録媒体である転写紙P上の未定着トナー像Tに塗布する構成である。
図6は、本実施形態の定着装置60において塗布ローラ61が転写紙Pと接触する部分(塗布位置C)の拡大説明図である。
図6に示すように、定着液泡状化装置500によって液状定着液210を泡で構成された泡状定着液Fとすることで、定着液の嵩密度を低くでき、少量の定着液で塗布ローラ61表面上の定着液の膜厚を厚くすることができる。更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、定着液の量が少量であっても塗布ローラ61への樹脂微粒子のオフセットを防止できることが分かった。
また、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、樹脂微粒子の大きさが5[μm]〜10[μm]程度の場合、微粒子層を乱すことなく泡状定着液Fを樹脂微粒子である未定着トナー像Tのトナー粒子に付与するには、泡状定着液Fの泡径範囲が、5[μm]〜50[μm]程度が適していることがわかった。
図7は、泡状定着液Fの拡大模式図であり、図7に示すように、液中に多くの気泡Fbが分散されて泡状となった泡状定着液Fは、気泡Fbと気泡のそれぞれを区切る液膜境界(以下、プラトー境界Faと称す)とから構成される。
なお、塗布ローラ61に供給される泡状定着液Fの嵩密度としては、0.01[g/cm]〜0.1[g/cm]程度の範囲となるものが望ましい。
一般的に、通常の液状の液体から0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな気泡を含んだ泡状液体を生成する場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡からなる泡状液体は数秒以下の時間(0.1[s]もかからない)で生成することができる。一方、通常の液状の液体から5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだ泡状液体を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、生成するために時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明者らは、この所望の泡径(5[μm]〜50[μm]程度)よりも大きな気泡を含み、目視で観察できる程度の大きさの気泡を含んだ泡状液体の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目した。そして、泡径が大きな泡状液体から泡径が5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだ泡状液体を素早く生成する方法を鋭意検討した。その結果、大きな気泡を含む泡状液体にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上述したように通常の液状の液体から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な気泡を含有した泡状液体が生成できることがわかった。
このように、通常の液状の液体から大きな泡状液体を生成する初期発泡を行う装置と大きな泡を分泡して小径化を行う装置とを備える定着液泡状化装置としては、上記特許文献6に記載の定着装置が備える定着液泡状化装置がある。この定着液泡状化装置では、初期発泡を行う装置で生成した泡径の大きな泡からなる泡状定着液を搬送管(チューブ)に通して小径化を行う装置まで搬送している。さらに、小径化を行う装置で生成した泡径の小さな泡からなる泡状定着液を他の搬送管に通して塗布ローラの表面と対向する定着液供給位置まで搬送している。
このように、上記特許文献6に記載の定着液泡状化装置であれば所望の泡径の小さい泡状定着液Fを生成することができるが、この定着液泡状化装置では、新たな課題が発生した。
一つ目の課題として、泡状となった液体を配管に通して搬送するために、ポンプによって圧力を付与することで圧送しようとすると、泡の流体抵抗で大きな圧力が必要となることがある。上記特許文献6に記載の定着液泡状化装置では、初期発泡を行う装置から小径化を行う装置までと、小径化を行う装置から定着液供給位置まで泡状定着液が配管内を圧送されるため、大きな圧力が必要であり、それを発生させる大容量のポンプが必要になってしまう。また、泡状定着液を記録体に対して均一に塗布するには、塗布ローラ上に形成する定着液の膜厚よりも小さな泡径が必要であるが、泡径が小さくなるほど泡状定着液を圧送するときの流体抵抗が増加する。また、記録媒体上の定着液重量を少なくするためには、嵩密度を低くする必要があるが、嵩密度の低く泡径が小さい泡は非常に流体抵抗が高い。そのため、小径化を行う装置から定着液供給位置まで配管で圧送しようとすると特に大きな圧力が必要となる。
また、二つ目の課題として、泡の経時劣化がある。通常の液状の定着液を発泡させて生成した泡状定着液は、経時的に破泡を繰り返し、泡径が徐々に大きくなってしまう。そして、定着を一定時間以上しなかった場合、初期発泡を行う装置から定着液供給位置までの泡状定着液の搬送経路内の泡状定着液は所望の特性を備えた状態ではないため、定着に使用することができず、泡生成の系の外に排出する必要がある。このため、初期発泡を行う位置から定着液供給位置までの搬送経路の容積が大きいほど定着を一定時間以上しなかった場合に破棄して無駄になる定着液の量が多くなる。
さらに、塗布ローラに対して泡状定着液を全面塗布した場合、未定着トナー像を担持する記録媒体のサイズ以外の部分(記録媒体の幅方向端部よりも幅方向外側の部分、または、記録媒体と記録媒体との間のいわゆる紙間の部分)に塗布された泡状の定着液は定着に使用されない。塗布位置を通過した後の塗布ローラ表面に付着した泡状定着液はクリーニングする必要が有るが、泡状定着液は体積が液状定着液に比して非常に大きく(液の状態の数十倍)、嵩張るため、回収した泡状定着液は直ぐに液化する必要がある。ここで、上述した破棄される定着液は定着に用いるには適さない程度に劣化しているものの、回収するときには液化する必要があり、この定着に使用されずに破棄される泡状定着液の量が多いと回収機構の負荷が非常に大きくなってしまうという問題が生じる。
上記一つ目の課題を解決するには、初期発泡の位置から定着液供給位置までの搬送経路をできる限り短くし、上記二つ目の課題を解決するには、初期発泡を行う位置から定着液供給位置までの搬送経路の容積をできる限り小さくする必要がある。
[実施例1]
次に、本発明の特徴部を有する泡生成装置である定着液泡状化装置500の一つ目の実施例(以下、実施例1と呼ぶ)について説明する。
図1は、本実施形態の複写機100の定着装置60が備える実施例1の定着液泡状化装置500を模式的に示す説明図である。また、図8は、図1に示す定着液泡状化装置500の気液混合部502近傍の斜視説明図である。
図1及び図8に示すように、定着液泡状化装置500は、泡状定着液Fが通過する空間であるスリット状搬送路511の通過方向(図中矢印E方向)に直交する断面が、スリット奥行きDに対してスリット幅W(W1及びW2)の方向に長尺なスリット状となるスリット搬送管510を備える。このスリット搬送管510が内部で液状定着液210と空気とを混合させて泡状定着液Fを生成する泡生成部となる。
また、定着液泡状化装置500は、定着液搬送管230に接続し、定着液供給ポンプ200から供給される液状定着液210をスリット状搬送路511に供給する液状定着液流路520を有する。さらに、定着液泡状化装置500は、空気搬送管330に接続し、エアポンプ300から供給される空気をスリット状搬送路511に供給する空気流路530とを有する。
スリット搬送管510の通過方向の一端はスリット状の開口部からなる泡状定着液排出口501である。一方、スリット搬送管510の通過方向の他端の端面は、スリット状搬送路511に液状定着液210を供給する定着液供給口521とスリット状搬送路511に空気を供給する空気供給口531とをスリット幅Wの方向に交互に備える気液混合部502である。定着液供給口521は、液状定着液流路520とスリット状搬送路511とを接続し、空気供給口531は、空気流路530とスリット状搬送路511とを接続する。
定着液供給口521及び空気供給口531は、それぞれ、スリット幅Wの方向に沿って開口ピッチ幅P1が2[mm]未満となるように設けられた複数の開口部からなる。実施例1の定着液泡状化装置500では定着液供給口521及び空気供給口531の開口ピッチ幅P1が110[μm]である。
スリット状搬送路511では、定着液供給ポンプ200及びエアポンプ300から液状定着液210及び空気が同時に供給されることにより、定着液供給口521からは定着液が流入し、空気供給口531からは空気が流入する。これにより、定着液供給口521と空気供給口531とが交互に並んだ気液混合部502において液状定着液210と空気とが混合して泡状定着液Fが生成される。気液混合部502で生成された泡状定着液Fは、スリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511を通過して図中矢印Eで示すように泡状定着液排出口501から、塗布ローラ61の表面に向けて排出される。
図8に示すように、定着液泡状化装置500の液状定着液流路520と空気流路530とは、流路形成部材505と流路蓋部材506とによって形成される。流路形成部材505は流路蓋部材506にスリット搬送管510が設けられている位置と対向する位置に、定着液泡状化装置500の液状定着液流路520と空気流路530との空間を仕切る流路仕切り部材503を備えている。流路仕切り部材503は仕切りピッチP3が110[μm]の波状の部材である。そして、流路仕切り部材503の波状の中央部近傍の図中の破線(502a)と流路蓋部材506の気液混合部502とが一致する構成である。
このような定着液泡状化装置500では、図中矢印E1で示すように液状定着液流路520内に供給された液状定着液210は波状の流路仕切り部材503に突き当たり、気液混合部502からスリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511に流入する。一方、図中矢印E2で示すように空気流路530内に供給された空気は波状の流路仕切り部材503に突き当たり、気液混合部502からスリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511に流入する。
このとき液状定着液210流入する流入口と空気が流入する流入口とは、仕切りピッチP3の幅に合わせて交互に形成されるため、図1で示すように、スリット搬送管510の気液混合部502で定着液供給口521と空気供給口531とをスリット幅Wの方向に交互に備える形状となる。
そして、交互に並んだ定着液供給口521と空気供給口531とからは定着液と空気とが吐出することにより、気液混合部502において定着液と空気とが混合して泡状定着液Fが生成される。
図9は、実施例1のスリット状搬送路511の説明図である。図9(a)は、スリット状搬送路511での定着液と空気との流れの説明図であり、図9(b)は、スリット状搬送路511の上流端と下流端との流路断面積Aを比較する図である。
図1及び図9に示すように、実施例1の定着液泡状化装置500のスリット状搬送路511は、スリット奥行きDが一定であるが、スリット幅Wが、上流端部である気液混合部502から下流側端部である泡状定着液排出口501まで連続的に狭くなる形状である。
すなわち、気液混合部502におけるスリット幅W(以下、上流端スリット幅W1とよぶ)よりも、泡状定着液排出口501におけるスリット幅W(以下、下流端スリット幅W2とよぶ)の方が狭くなっている。
このため、図9(b)に示すように、上流端流路断面積A1(W1×D)に比べて、下流端流路断面積A2(W2×D)の方が小さくなっている。
スリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511を、上流端から下流端まで流路断面が一様な構成であってもある程度の小さな泡径の泡状定着液Fの生成は可能である。しかし、実施例1のように、上流端流路断面積A1(W1×D)に比べて、下流端流路断面積A2(W2×D)の方が小さくくなるように、流路断面積を減少させる構成とすることで、より小さな泡径の泡状定着液Fを生成することが可能となる。
実施例1の定着液泡状化装置500で、所望の小さな泡径(5[μm]〜50[μm]程度)の泡状定着液Fを得るためには、スリット長さHは1〜10[mm]程度、スリット奥行きDは30〜150[μm]程度、開口ピッチ幅P1は100〜600[μm]程度が望ましい。
[実施例2]
次に、本発明の特徴部を有する泡生成装置である定着液泡状化装置500の二つ目の実施例(以下、実施例2と呼ぶ)について説明する。
図10は、本実施形態の複写機100の定着装置60が備える実施例2の定着液泡状化装置500のスリット状搬送路511の説明図である。図10(a)は、実施例2のスリット状搬送路511での定着液と空気との流れの説明図であり、図10(b)は、実施例2のスリット状搬送路511の上流端と下流端との流路断面積Aを比較する図である。
図10に示すように、実施例2の定着液泡状化装置500のスリット状搬送路511は、スリット奥行きDが一定である。しかし、上流端部である気液混合部502からスリット長さHの方向にH1の位置で流路が二つに分かれ、下流側端部である第一泡状定着液排出口501a及び第二泡状定着液排出口501bまで二つの流路のスリット幅Wが連続的に狭くなる形状である。
すなわち、気液混合部502におけるスリット幅W(以下、上流端スリット幅W1とよぶ)よりも、二つの泡状定着液排出口501におけるスリット幅Wの合計(第一下流端スリット幅W21+第二下流端スリット幅W22)の方が狭くなっている。
このため、図10(b)に示すように、上流端流路断面積A1に比べて、下流端流路断面積A2(A21+A22)の方が小さくなっている。ここで、A1はW1×Dで求まる値であり、A21はW21×D、A22はW22×Dで求まる値である。
スリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511を、上流端から下流端まで流路断面が一様な構成であってもある程度の小さな泡径の泡状定着液Fの生成は可能である。しかし、実施例2のように、上流端流路断面積A1に比べて、下流端流路断面積A2の方が小さくくなるように、流路断面積を減少させる構成とすることで、実施例1と同様に、より小さな泡径の泡状定着液Fを生成することが可能となる。
[実施例3]
次に、本発明の特徴部を有する泡生成装置である定着液泡状化装置500の三つ目の実施例(以下、実施例3と呼ぶ)について説明する。
図11は、本実施形態の複写機100の定着装置60が備える実施例3の定着液泡状化装置500のスリット状搬送路511の説明図である。図10(a)は、実施例2のスリット状搬送路511での定着液と空気との流れの説明図であり、図10(b)は、実施例2のスリット状搬送路511の上流端と下流端との流路断面積Aを比較する図である。
図11に示すように、実施例3の定着液泡状化装置500のスリット状搬送路511は、スリット幅Wが一定であるが、スリット奥行きDが、上流端部である気液混合部502から下流側端部である泡状定着液排出口501まで連続的に狭くなる形状である。
すなわち、気液混合部502におけるスリット奥行きD(以下、上流端スリット奥行きD1とよぶ)よりも、泡状定着液排出口501におけるスリット奥行きD(以下、下流端スリット奥行きD2とよぶ)の方が狭くなっている。
このため、図11(b)に示すように、上流端流路断面積A1(W×D1)に比べて、下流端流路断面積A2(W×D2)の方が小さくなっている。
スリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511を、上流端から下流端まで流路断面が一様な構成であってもある程度の小さな泡径の泡状定着液Fの生成は可能である。しかし、実施例3のように、上流端流路断面積A1に比べて、下流端流路断面積A2の方が小さくくなるように、流路断面積を減少させる構成とすることで、実施例1と同様に、より小さな泡径の泡状定着液Fを生成することが可能となる。
[実施例4]
次に、本発明の特徴部を有する泡生成装置である定着液泡状化装置500の四つ目の実施例(以下、実施例4と呼ぶ)について説明する。
図12は、本実施形態の複写機100の定着装置60が備える実施例1の定着液泡状化装置500を模式的に示す説明図である
図12に示すように、実施例4の定着液泡状化装置500は、実施例1と同様にスリット状搬送路511が上流端スリット幅W1よりも下流端スリット幅W2の方が狭くなっている。さらに、スリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511の気液混合部502から泡状定着液排出口501までの間に複数の分泡部材550を有する。
この分泡部材550は、気液混合部502から泡状定着液排出口501に向かう泡状定着液Fの泡が接触する位置に配置されている。そして、接触した泡状定着液Fの泡に対してさらに泡状定着液排出口501側に向かおうとする力が作用することで、接触した泡状定着液Fの一つの泡を二つ以上の泡に分泡するものである。
実施例4の定着液泡状化装置500では、スリット状搬送路511内に泡状定着液Fの一つの泡を二つ以上の泡に分泡する分泡部材550を配置することで、分泡部材550を備えない定着液泡状化装置500よりもさらに小さな泡径の泡状定着液Fを得ることができる。
実施例4の定着液泡状化装置500では、図12に示すように、スリット搬送管510の内部空間であるスリット状搬送路511におけるスリット幅Wの方向と直交するスリット奥行きDの方向で対向し合う二つの内壁面同士を結ぶように形成された棒状の分泡部材550が設けられている。
図12に示す例では、分泡部材550の形状は円柱であるが、分泡部材550の形状としては三角柱や他の形状であってもよい。さらに、分泡部材としては、格子状の部材をスリット搬送管510の内部空間の一部、あるいは全域に渡って設けても良い。
実施例4では、実施例1と同様に、泡状定着液排出口501側ほどスリット幅Wが狭くなる構成のスリット状搬送路511に、分泡部材を設ける構成について説明したが、実施例2や実施例3の構成のスリット状搬送路511に分泡部材を設けてもよい。
[実施例5]
次に、本発明の特徴部を有する泡生成装置である定着液泡状化装置500の五つ目の実施例(以下、実施例5と呼ぶ)について説明する。
図13は、本実施形態の複写機100の定着装置60が備える実施例5の定着液泡状化装置500を三方向から見た断面説明図である。図13(a)は、図13(b)及び(c)におけるZ−Z´断面の説明図、図13(b)は、図13(a)及び(c)におけるX−X´断面の説明図、図13(c)は、図13(a)及び(b)におけるY−Y´断面の説明図である。また、図14は、実施例5の定着液泡状化装置500における気液混合部502近傍の定着液及び空気が通過する空間(液状定着液流路520、空気流路530、及び、スリット状搬送路511)を実線で示した斜視説明図である。
図13及び図14中の「511f」は、スリット状搬送路511の図14中の手前側の内壁面を指しており、「511b」は、スリット状搬送路511の図14中の奥側の内壁面を指している。
図13に示すように、実施例5の定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511が形成された排出側ケーシング560と定着液搬送管230及び空気搬送管330に接続される供給側ケーシング570とから構成される。供給側ケーシング570には、液状定着液供給路520aと空気供給路530aとが形成されている。また、供給側ケーシング570の排出側ケーシング560と対向する面には、液状定着液マニホールド部520b及び空気マニホールド部530bとなる溝が形成されている。一方、排出側ケーシング560の供給側ケーシング570と対向する面には、複数の液状定着液分岐流路520c及び空気分岐流路530cとなる溝が形成されている。
このような形状の排出側ケーシング560と供給側ケーシング570とを接着等により図13のように固定することで、液状定着液マニホールド部520b、空気マニホールド部530b、液状定着液分岐流路520c及び空気分岐流路530cが形成される。
このとき、液状定着液供給路520a、液状定着液マニホールド部520b及び液状定着液分岐流路520cが液状定着液流路520となり、空気供給路530a、空気マニホールド部530b及び空気分岐流路530cが空気流路530となる。
そして、複数の液状定着液分岐流路520cがスリット状搬送路511に接続される複数の開口部が定着液供給口521となり、複数の空気分岐流路530cがスリット状搬送路511に接続される複数の開口部が空気供給口531となる。なお、実施例2では、スリット状搬送路511が形成された排出側ケーシング560がスリット搬送管となる。
上述した実施例1の定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511の泡状定着液排出口501とは反対側の端面に、定着液供給口521と空気供給口531とを交互備える構成である。一方、実施例5の定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511の泡状定着液排出口501とは反対側の端面は壁面となっている。そして、この壁面となった端面側の端部におけるスリット状搬送路511でスリット奥行きDの方向で対向し合う二つの内壁面(511fと511b)のうちの一方(511f)に定着液供給口521を備え、他方(511b)に空気供給口531を備える。
定着液供給口521と空気供給口531とは、互いに対向する位置にあり、それぞれ、スリット幅Wの方向に沿って定着液供給口521と定着液供給口521との開口ピッチ幅P1が2[mm]未満である。実施例5においても実施例1と同様に定着液供給口521と定着液供給口521との開口ピッチ幅P1が110[μm]である。
実施例5の定着液泡状化装置500では、定着液供給ポンプ200及びエアポンプ300から液状定着液210及び空気が同時に供給されることにより、定着液供給口521からは定着液が吐出し、空気供給口531からは空気が吐出する。これにより、複数の定着液供給口521と空気供給口531とが対向するように位置する気液混合部502において液状定着液210と空気とが混合して泡状定着液Fが生成される。気液混合部502で生成された泡状定着液Fは、スリット状搬送路511を通過して図中矢印Eで示すように泡状定着液排出口501から排出される。
図13に示す実施例5の定着液泡状化装置500では、複数の定着液供給口521と空気供給口531とが互いに対向するように位置している。定着液供給口521と空気供給口531との位置としては、互いに対向する位置ではなく、定着液供給口521と定着液供給口521との開口ピッチ幅P1の半分だけ位相をずらした位置としてもよい。
実施例5は、スリット奥行きDの方向で対向し合うスリット状搬送路511の二つの内壁面のそれぞれに定着液供給口521と空気供給口531とを備える構成を、実施例1と同様に、泡状定着液排出口501側ほどスリット幅Wが狭くなる構成に適用した構成である。スリット奥行きDの方向で対向し合う二つの内壁面のそれぞれに、定着液供給口521と空気供給口531とを備える構成としては、実施例2や実施例3の構成のスリット状搬送路511に適用してもよい。さらに、実施例4のように分泡部材550を備える構成と組合せてもよい。
[実験]
実験として、図15に示す装置を用いて泡状定着液Fを生成し、スリット状搬送路511の流路断面積Aが下流側ほど小さくなるものと、流路断面積Aが一様なものとで、生成される泡状定着液Fの嵩密度、ならびに泡の平均径を測定した。実験の詳細を以下に記す。
<定着液泡状化装置500の構成>
〔実験例1〕
実験例1の定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511の流路断面積Aが一様な構成である。
図16及び図17に実験例1の定着液泡状化装置500を示す。図16は、実験例1の定着液泡状化装置500の気液混合部502近傍の斜視説明図である。図17は、実験例1の定着液泡状化装置500の寸法説明図であり、図17(a)はY−Z平面、図17(b)は、Z−X平面の説明図である。以下、図17に示す実験例1の定着液泡状化装置500の各寸法を示す。
スリット長さH: 1.0[mm]
スリット奥行きD: 100[μm]
スリット幅W: 約7.0[mm]
開口ピッチ幅P1(=P3): 110[μm]
流路形成部材内高さG: 0.25[mm]
流路形成部材内幅J: 5.0[mm]
〔実験例2〕
実験例2の定着液泡状化装置500は、上記実施例1の構成であり、スリット状搬送路511の上流端スリット幅W1よりも下流端スリット幅W2の方が狭く、上流端流路断面積A1に比べて下流端流路断面積A2の方が小さい構成である。
実験例2の定着液泡状化装置500の気液混合部502近傍の斜視説明図は、上記図8である。また、図18は、実験例2の定着液泡状化装置500の寸法説明図であり、図18(a)はY−Z平面、図18(b)は、Z−X平面の説明図である。以下、図18に示す実験例2の定着液泡状化装置500の各寸法を示す。
スリット長さH: 1.0[mm]
スリット奥行きD: 100[μm]
上流端スリット幅W1: 10[mm]
下流端スリット幅W2: 1.25[mm]
開口ピッチ幅P1(=P3): 110[μm]
流路形成部材内高さG: 0.25[mm]
流路形成部材内幅J: 5.0[mm]
〔実験例3〕
実験例3の定着液泡状化装置500は、上記実施例2の構成である。すなわち、上流端部である気液混合部502からスリット長さHの方向にH1の位置でスリット状搬送路511が二つに分かれ、下流側端部である第一泡状定着液排出口501a及び第二泡状定着液排出口501bまで二つの流路のスリット幅Wが連続的に狭くなる形状である。
図19及び図20に実験例3の定着液泡状化装置500を示す。図19は、実験例3の定着液泡状化装置500の気液混合部502近傍の斜視説明図である。図20は、実験例3の定着液泡状化装置500の寸法説明図であり、図20(a)はY−Z平面、図20(b)は、Z−X平面の説明図である。以下、図20に示す実験例3の定着液泡状化装置500の各寸法を示す。
スリット長さH: 1.0[mm]
流路分離位置距離H1: 0.5[mm]
スリット奥行きD: 100[μm]
上流端スリット幅W1: 7.0[mm]
第一下流端スリット幅W21: 1.0[mm]
第二下流端スリット幅W22: 1.0[mm]
開口ピッチ幅P1(=P3): 110[μm]
流路形成部材内高さG: 0.25[mm]
流路形成部材内幅J: 5.0[mm]
<定着液の処方>
軟化剤:
コハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業(株)、試薬) 30.0[wt%]
希釈溶媒:
イオン交換水 65.0[wt%]
増泡剤:
ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.50[wt%]
起泡剤:
パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
定着液供給ポンプ200として、マイクロシリンジポンプ(KdScientific社製、型番KDS−100)を用い、ハミルトンガスタイトシリンジ(アズワン株式会社製、型番2−435−04)を用いて液状定着液を定着液泡状化装置500に導入した。
また、定着液搬送管230には液体圧力計251として圧力センサ(keyence社製、型番AP−13S)を配置した。
一方、エアポンプ300として、電磁式エアポンプ(榎本マイクロポンプ製作所製、型番MV−10H)を用いた。空気搬送管330に、気体流量制御手段350として、マスフローメータ(株式会社山武製、型番MQV0002)を設置した。また、空気搬送管330には空気圧力計351としてハンディマノメータ(アズワン株式会社製、型番PG−100−102GP)を配置した。
<泡状定着液の嵩密度測定方法>
図15中の矢印Eで示すように泡状定着液排出口501より排出された泡状定着液Fを10[ml]の容積のカップに充填する。この泡状定着液Fを充填したカップの重量を測定し、カップのみの重量との差から10[ml]当たりの泡状定着液Fの重量を算出し、この値から泡状定着液Fの嵩密度を算出する。同様の作業を2回施行し、算出された値の平均値を測定値とした。
<泡径測定方法>
生成した泡状定着液Fをプレパラート上に乗せ、光学顕微鏡(digital micro scope VHX−100 キーエンス社製)を用いて、泡状定着液Fの付いたプレパラートを裏側から撮像し、付属の計測ソフトにより泡径を測定した。サンプル毎に20回測定を行い、それらの平均値を測定値とした。
本実験の測定結果を表1に示す。
Figure 2012003110
表1に示すように、本実験で用いた全ての定着液泡状化装置500において、嵩密度が0.03[g/cm]以下のドライフォーム状の泡状定着液Fが作成可能であり、泡径も100[μm]以下の小径の泡の生成が達成出来ていることが分かる。
さらに、スリット状搬送路511の上流端流路断面積A1に比べて下流端流路断面積A2の方が小さい、という本発明の特徴部を備えた実験例2及び実験例3の定着液泡状化装置500では、泡径平均値が50[μm]程度である。これは、スリット状搬送路511の流路断面積Aが一様な実験例1の定着液泡状化装置500よりも泡の小径化を図ることが可能であるということができる。
また、図5に示すように、本実施形態の定着装置60では泡状定着液排出口501と塗布ローラ61の表面が対向するように各部材を配置している。このため、泡状定着液排出口501から排出された泡状定着液Fはすぐに塗布ローラ61に塗布される。
このように塗布ローラ61に供給する直前で泡状定着液Fを生成するため、泡状定着液Fを圧送する距離が短くなり、従来の定着液泡状化装置に比べて大容量のポンプが必要なくなる。
また、一度生成した泡状定着液Fは経時劣化するため、生成してから一定時間以上経過した泡状定着液Fは泡生成の系外に排出しなければならない。このため、泡状定着液Fを圧送する距離が長いと、初期発泡を行う位置から定着液供給位置までの搬送経路の容積が大きくなるため、大量の泡状定着液Fを排出しなければならなくなる。これに対して本実施形態の定着液泡状化装置500では、容積の小さいスリット搬送管510の内部空間内に残った少量の泡状定着液Fを排出するだけで済み、液状定着液210の浪費を抑制することができる。さらに、泡状定着液Fを回収する回収機構の負荷が非常に大きくなることを抑制することができる。
このように、本実施形態の定着液泡状化装置500であれば、従来よりも省スペースの定着液泡状化装置によって泡状定着液Fのロスを軽減しつつ、低密度ならびに小粒径の泡状定着液Fを生成することができる。
実施例1〜5の定着液泡状化装置500では、上流端流路断面積A1に比べて下流端流路断面積A2の方が小さくなるようにスリット状搬送路511を形成するという簡易な構成で、スリット状搬送路511が一様な構成に比べて小さな泡径の泡状定着液Fを得ることができる。
定着装置60の液状定着液210は発泡させて泡状定着液Fとして用いるものであり、軟化剤、起泡剤、増泡剤及び、希釈液等を含有する。このような液状定着液210を定着液として使用し得る状態のまま長時間保管していると、加水分解が生じるなどにより定着液が経時で変質し、所望の定着性や所望の発泡性を得ることができなくなる場合がある。
このような定着液を用いる場合、定着液を構成する成分のうち、混合させると経時で変質するおそれがある成分同士を、それぞれ異なる複数の定着液構成液に含有させて個別に収容し、定着液として使用するときに混合することが望ましい。
図21は、複数の定着液構成液を個別に保管し、泡状定着液Fを生成する直前に複数の定着液構成液を混合して定着液として用いる定着装置60を模式的に示す説明図である。
図21に示す定着装置60は、定着液供給手段として、第一定着液ボトル220a、第二定着液ボトル220b、第一定着液供給ポンプ200a、第二定着液供給ポンプ200b、及び、定着液混合部700を備える。第一定着液ボトル220a及び第二定着液ボトル220bは、液状定着液210を構成する複数の定着液構成液である第一定着液構成液210a及び第二定着液構成液210bをそれぞれ独立して収容する複数の定着液構成液収容部である。
図21に示す定着装置60では、第一定着液供給ポンプ200aを駆動することにより第一定着液ボトル220a内の第一定着液構成液210aが、第一定着液搬送管230a内を圧送されて定着液混合部700に供給される。また、第二定着液供給ポンプ200bを駆動することにより第二定着液ボトル220b内の第二定着液構成液210bが、第二定着液搬送管230b内を圧送されて定着液混合部700に供給される。このような構成の定着装置60で、第一定着液供給ポンプ200a及び第二定着液供給ポンプ200bを同時に駆動することによって、定着液混合部700内に供給された2つの定着液構成液(210a及び210b)を混合して、液状定着液210を生成する。そして、生成した液状定着液210はすぐに定着液泡状化装置500に供給されるため、泡状とする直前に2つの定着液構成液を混合することができる。
次に、定着装置60が備える定着液付与手段である塗布ローラ61について説明する。
図22は、定着装置60が備える塗布ローラ61及び膜厚規制ブレード63とを図5中の矢印I方向から見た斜視説明図である。
図5に示すように、塗布ローラ61の上方には定着液泡状化装置500が配置されており、塗布ローラ61は、定着液泡状化装置500によって生成された所望の微小泡径の泡状定着液Fを転写紙P上の未定着トナー像を形成するトナー粒子層へ付与する定着液付与手段である。
定着装置60は、塗布ローラ61と対向する位置に加圧ローラ62を備え、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する塗布位置Cに対して塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面に近接または圧接する膜厚規制ブレード63を備える。
本実施形態の定着装置60の膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面に対して近接して配置され、詳細は後述するが塗布ローラ61とのギャップ幅を制御可能となっている。このように、膜厚規制ブレード63の塗布ローラ61とのギャップ幅を制御することにより、塗布ローラ61の表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御することができる。
転写紙Pと対向する塗布位置Cの塗布ローラ61表面上には膜厚規制ブレード63との対向部を通過して形成された泡状定着液Fの膜がある。
定着液を未定着トナー像Tに塗布する構成の場合、転写紙P等の記録媒体上のトナー層の厚み、記録媒体の種類及び環境温度等、定着環境によって未定着トナー像に対する定着液の浸透し易さが異なる。
一方、塗布ローラ61に対して加圧ローラ62が圧接することで形成される定着ニップの幅と記録媒体の搬送速度とが一定である場合、記録媒体が転写ニップを通過する時間は一定である。定着ニップを通過する間に記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子が軟化され、加圧されることで記録媒体に定着するため、定着ニップを通過する間にトナー粒子が十分に軟化される必要がある。
このとき、記録媒体上のトナー像に塗布する定着液の膜厚を厚くすることによって、定着液がトナー粒子に浸透する時間の短縮を図ることができるが、過剰に定着液を塗布することは定着液の不要な消費となる。さらに、泡状で嵩密度が低くなった定着液であっても過剰に塗布すると、過剰な定着液によりトナー粒子が流されて画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりするおそれがある。このため、トナー粒子に定着液が浸透し易い定着条件であれば、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚が薄くなるように制御し、定着液が浸透し難い定着条件であれば、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚が厚くなるように制御することが望ましい。
本実施形態の定着装置60では、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61とのギャップ幅を制御し、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御することができるので、定着条件に適した泡状定着液Fの膜厚にすることができる。よって、膜厚規制ブレード63によって転写紙P上の未定着トナーの層厚の定着液の浸透時間に対して最適化した定着液量となるような膜厚の泡状定着液Fの膜となる。
本実施形態の定着装置60のように、泡状定着液Fを塗布ローラ61によって転写紙P上のトナー層に塗布することによって、トナー粒子が塗布ローラ61表面上にオフセットすることを防止できる。仮に、泡状定着液Fの膜厚が、樹脂微粒子の層よりも厚い状態で転写紙Pに付与されたとしても、泡状定着液Fの嵩密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した定着液の樹脂微粒子の層への微量付与とすることができる。定着液泡状化装置500によって生成された所望の微小な泡を含有する泡状定着液Fは、泡状定着液排出口501から膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61との間に、または膜厚規制ブレード63と対向する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面上に滴下される。
定着装置60の加圧ローラ62は弾性層を備え、弾性層としては、弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)を用いることで、加圧力を変化させることによってニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムも適するが、スポンジは、弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、加圧ローラ62の弾性層としてスポンジを用いることで、塗布ローラ61に対する加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することが出来る。
定着液中にはトナーの樹脂成分を軟化または膨潤させる軟化剤が含有されている。このため、万が一、加圧ローラ62のスポンジ部分に定着液が付着した場合、スポンジ素材の軟化等の不具合が発生する恐れがあるため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない素材であることが望ましい。
また、スポンジ素材の軟化等の不具合を防止するために、加圧ローラ62をスポンジのローラ表面を可とう性フィルムで覆った構成としてもよい。スポンジ素材が軟化剤で劣化する素材であっても、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない可とう性フィルムでスポンジ素材を覆うことでスポンジ素材からなる加圧ローラ62の劣化を防止することができる。
スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可とう性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが適する。
図5に示す定着装置60の塗布ローラ61と加圧ローラ62とが常時接触している構成の場合、転写紙Pが搬送されていないときに塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fが加圧ローラ62に付着し汚す恐れがある。このような不具合をその防止のため、定着装置60に向かって搬送される転写紙Pの先端を検知する紙先端検知手段(図示せず)を、定着装置60に対して転写紙Pの搬送方向上流側に設け、紙先端検知手段が発する紙先端検知信号に応じて、転写紙Pの先端から後方にのみ定着液が塗布されるようなタイミングとなるように塗布ローラ61表面上に泡状定着液Fを形成することが望ましい。
更に、図5に示す定着装置60において、不図示の駆動機構により、待機時は塗布ローラ61とスポンジの加圧ローラ62とを離間させ、塗布時のみ紙先端検知手段の紙先端検知信号に応じて塗布ローラ61と加圧ローラ62とを接触させる構成としても良い。塗布ローラ61と加圧ローラ62とを接離させる構成の場合、紙先端検知手段によって転写紙Pの後端検知も行い、紙後端検知信号に応じて塗布ローラ61と加圧ローラ62とを離間させる制御を行うことが望ましい。
定着装置60では、塗布ローラ61表面とギャップを形成するように配置された膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61表面とのギャップ幅を調節することにより、塗布ローラ61表面上での泡状定着液Fの膜厚を制御する。
図23は、膜厚規制ブレード63の位置を制御することにより、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御する様子を示す概略図である。
図23(a)は、塗布ローラ61と膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を狭くしたときの説明図であり、図23(b)は、塗布ローラ61と膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を広くしたときの説明図である。
定着装置60では、膜厚規制ブレード63の塗布ローラ61に近接する側とは反対側の端部がブレード回転軸63aに固定されている。ブレード回転軸63aは、不図示の駆動源から駆動を伝達されることにより回動する部材であり、この駆動源の駆動制御することによってブレード回転軸63aと共に回動する膜厚規制ブレード63の回動方向の位置を制御する。このように、膜厚規制ブレード63の回動方向の位置を制御することにより、膜厚規制ブレード63の塗布ローラ61に近接する側の端部と塗布ローラ61とのギャップ幅を調節することができる。
塗布ローラ61の表面上に供給され、膜厚規制ブレード63との対向部を通過した後の泡状定着液膜Fdを薄くするときは、図23(a)に示すように、ギャップ幅を狭くする。一方、泡状定着液膜Fdを厚くするときは、図23(b)に示すように、ギャップ幅を広くする。
このように、泡状定着液膜Fdの膜厚を制御することにより、転写紙P上の未定着トナー像のトナー層の層厚に最適な膜厚の泡状定着液膜Fdを未定着トナー像に塗布することができる。
定着装置60のように、塗布位置Cでの泡状定着液Fの膜厚が未定着トナー像Tのトナー層の層厚に適した膜厚となるように、膜厚規制ブレード63を制御する構成では、光書込装置2で用いる画像情報に基づいて膜厚規制ブレード63のギャップ幅を制御する。
例えば、いまから泡状定着液Fの塗布を行う転写紙P上のトナー像がフルカラー画像である場合は、未定着トナー像Tのトナー層の層厚が厚くなるため、膜厚規制ブレード63のギャップ幅を広げるように制御する。一方、黒単色の画像であれば、未定着トナー像Tのトナー層の層厚が薄くなるため、膜厚規制ブレード63のギャップ幅を狭めるように制御する。
本実施形態の定着装置60が備える定着液供給ポンプ200(図21に示す定着装置60では、第一定着液供給ポンプ200a及び第二定着液供給ポンプ200b)としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等が適用可能であるが、チューブポンプが望ましい。
ギヤポンプ等のように、定着液が通過する経路中で振動機構や回転機構を構成する部品があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、定着液の経路中に機構を構成する部品があると、その部品等が定着液を汚染したり、逆にその部品を劣化させたりする恐れがある。
一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、チューブとして耐液性を有する部材を用いることで、定着液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけで内部を通過する液に搬送力を付与する構成なので、定着液が起泡せず、起泡に起因する搬送能力の低下を防止できる。
なお、定着液供給ポンプ200としては、上述した各種ポンプに限らず、定着液を搬送するために必要な圧力を付与することができる出力を有するものであればどのようなものでもよい。また、圧縮による内圧ならびに流量の脈動を防ぐために、圧力センサ、パルスダンパ等を具備した脈流の少ないポンプが好適である。
本実施形態の定着装置60は、泡状定着液膜厚規制部材としてブレード状の膜厚規制ブレード63を用いる。泡状定着液膜厚規制部材としてはブレード状の部材に限るものではなく、ワイヤーバーによって塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの厚みを制御する構成であってもよい。
図24は、図23を用いて説明した膜厚規制ブレード63の代わりに、泡状定着液膜厚規制部材としてワイヤーバー64を用いる構成の説明図である。ワイヤーバー64を用いた構成でも、図23を用いて説明した膜厚規制ブレード63を用いる構成と同様に、ワイヤーバー64によって塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの厚みを制御して、所望の厚みに泡状定着液膜Fdとする。
定着装置60の泡状定着液Fは、上述した定着液泡状化装置500で生成され、泡状定着液排出口501より、膜制御用のワイヤーバー64と塗布ローラ61との間に滴下する。ワイヤーバー64を泡状定着液膜厚規制部材として用いることで、ブレードを用いる構成に比べ、塗布ローラ61表面の軸方向の泡状定着液膜Fdの均一性が向上する。
〔変形例〕
次に、転写紙Pに泡状定着液Fを塗布する構成が、図5を用いて説明した実施形態の定着装置60とは異なる変形例について説明する。
図25は、変形例の定着装置60の概略説明図である。
変形例の定着装置60は上述した実施形態の定着装置60の塗布ローラ61に代わりに、定着液塗布部材として塗布ベルト65を用いて、転写紙P上の未定着トナー像Tに泡状定着液Fを塗布する構成である。さらに、変形例の定着装置60は図25に示すように、実施形態の定着装置60の加圧ローラ62に代えて加圧ベルト66を備える。
変形例の定着装置60においても、上述した実施形態と同様の定着液泡状化装置500の泡状定着液排出口501より、所望の泡径を有する泡状定着液Fが塗布ベルト65上に供給される。塗布ベルト65上に供給された泡状定着液Fは、膜厚規制ブレード63と塗布ベルト65との間を通過する。このとき、膜厚規制ブレード63と塗布ベルト65とのギャップ幅を調節しておくことで、塗布ベルト65上の泡状定着液Fの膜厚を最適な状態に制御することができる。
塗布ベルト65としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETフィルムなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いることができる。
図25に示す塗布ベルト65のように、ローラ状の塗布部材の代わりにベルト状の塗布部材を用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。
転写紙Pに泡状定着液Fを塗布する定着ニップを形成する部材にベルト部材を用いる構成としては、図25に示す構成に限るものではない。
図26に示す定着装置60ように加圧側をベルト状ではなくローラ状の加圧ローラ62とし、塗布ベルト65と加圧ローラ62とによって定着ニップを形成する構成であっても良い。
さらに、図27に示す定着装置60ように、塗布側を塗布ローラ61として、加圧側を加圧ベルト66として、塗布ローラ61と加圧ベルト66とによって定着ニップを形成する構成であっても良い。
図25、図26及び図27を用いて説明した構成のように、塗布側もしくは加圧側の少なくとも一方の無端移動体をベルト構成とすることで、定着ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。これにより、定着ニップを形成する部材間に紙にしわが発生するような無理な力をかけることがなくなる。さらに、定着ニップで定着液を浸透させるために要する時間、すなわち、転写紙Pがニップを通過する時間が同じだとすると、同じ時間で長い距離を移動させることができるため、転写紙Pの搬送速度を速くすることが可能となり、定着の高速化を図ることが可能となる。
次に、定着液の液処方について説明する。
泡状定着液Fは、上述したように、軟化剤を含有した定着液中に気泡を含有した構造である。定着液は、泡状としたときに気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界Fa)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。
また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましく、脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。
ただし、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助けることができる。これにより、5[℃]〜15[℃]の低温環境下においても優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において安定した定着が可能となる。また、定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中での分離を防止することができる。
飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸が適しており、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等がある。
炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、オフィス・家庭で用いる画像形成機器で用いる定着液には適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまうため適さない。
上述した使用に適した飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を、単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、起泡剤に用いる脂肪酸塩としては、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。不飽和脂肪酸の2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が低下してしまう。
これらの使用に適した不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上述した飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いてもよい。
本実施形態の定着装置60で用いる定着液の起泡剤として、上述した飽和脂肪酸塩または上述した不飽和脂肪酸塩を用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。
ここで、定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切な泡状となっていることが必須であるが、上述した脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後に定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに他の起泡剤に比べて短時間で起泡し、泡状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を短時間でつくることができる。
樹脂を溶解または膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる溶解性または膨潤性に優れている。
記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、トナーを記録媒体に定着した後にも軟化剤はトナー中に残留する。このため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。
すなわち、定着液に含まれる軟化剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。
軟化剤として使用することができる脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log{物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率})を用いることができる。そして、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は10以下であることが好ましい。臭気指数が10以下であれば、通常のオフィス環境では不快臭を感じなくなる。
また、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本実施形態の定着装置60で用いる定着液において、上述した脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含むことが好ましい。これは、脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができるためである。また、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。さらに、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解または膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、定着液としては、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。
この化合物の一般式におけるR1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基を示しており、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基を示している。
R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
このため、定着液として、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記一般式「R1COOR2」で表される化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記一般式「R1COOR2」で表される化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒を用いる場合には、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
また、定着液としては、上記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含むものを用いることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができる。
例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1[秒]以内であることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1[秒]以内にすることが可能となる。さらに、より少量の、軟化剤の添加によってトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基を示しており、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型または分岐型アルキル基を示している。R3及びR4の炭素数が、それぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒を用いる場合には、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
さらに、本実施形態の定着装置60で用いる定着液において、上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むものであることが好ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本実施形態の定着装置60で用いる定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基を示しており、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基を示している。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物の臭気指数は10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合には、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として用いることができる。
ところで、泡状定着液において、塗布位置に到達する前に泡状定着液が破泡すると液状定着液を塗布する構成と同様の問題が生じる。そこで生成した泡状定着液が泡の状態で塗布位置まで到達できるような泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが望ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適することがわかった。
定着液は軟化剤を含有しており、この軟化剤は、一般的に消泡作用が強い。このため、本実施形態の定着装置のように、液状の定着液を泡状定着液として用いる場合、定着液中の軟化剤の濃度が高いほど、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、起泡し難くなったり、泡状定着液が破泡し易くなったりするおそれがある。起泡し難いと嵩密度の低いの泡状定着液を得ることが出来ず、所望の嵩密度の泡状定着液を得たとしても、泡状定着液が破泡し易いと定着ニップで完全に破泡してしまい液状定着液を塗布する構成と同様の問題が生じる。
また、起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が優れた起泡性と泡沫安定性とを実現することができ、起泡剤として優れている。アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
ここで、泡沫安定性とは、泡状となった定着液が液状となり難い性質をいう。本実施形態の定着装置で未定着トナーに付与する泡状定着液としては、泡の状態で1分間放置しても消泡せず、泡の状態を保てる程度の泡沫安定性を有することが望ましい。
本発明者らは、定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性及び泡沫安定性の劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献1にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。
ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。上記非特許文献1には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
これに対して、本発明者らは、起泡剤として炭素数12から18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12から18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できることを見出した。
軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12から18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16、)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。
ここで、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基が定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、炭素数12から18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。このため、定着液中には、単独の脂肪酸塩を含有させても良いが、炭素数12から18の脂肪酸塩を混合して含有させる方がさらに優れている。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが望ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の重量比で、0:6:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1などが適する。
ところで、定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。軟化剤の濃度として、10[wt%]未満では、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、軟化剤の濃度が10[wt%]以上、特に軟化剤の濃度が30[wt%]以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような軟化剤の濃度が30[wt%]となる定着液において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
但し、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、またはは大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5から1:9の範囲とした場合起泡性が優れている。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで、脂肪酸がステアリン酸の組合せや脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸のような炭素数が12から18の範囲で異なる組合せであってもよい。要は、炭素数12から18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、嵩密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、他のアニオン系界面活性剤、例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES)を起泡剤として、炭素数12から18の脂肪酸を含有した定着液であっても、軟化剤濃度増加による起泡性が悪くなるのを防止する効果があることがわかった。但し、最も組合せとして優れているのは脂肪酸塩との組合せである。
更に、脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸アミンが適している。更に、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5から1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミンを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
ところで、定着液中の軟化剤濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる。そこで、検討した結果、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、多価のアルコール類の含有量は、1[wt%]から30[wt%]の範囲が適当である。30[wt%]より多い含有量では、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂含有微粒子でもよい。また、記録媒体は、転写紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、定着液塗布対象は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、定着液塗布対象の基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する定着液塗布対象が望ましい。定着液塗布対象が記録媒体である場合の記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。
また、紙のごとき定着液塗布対象に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。
上記樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本実施形態の定着装置60の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。
トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。定着液塗布対象のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1[重量%]以下である性質を意味する。
また、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカや疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20〜30[mN/m]であることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30[mN/m]とすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価または多価のアルコール類を含有することで紙等の吸水性のある記録媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等の記録媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステレート、及び、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルや、ショ糖ラウリン酸エステル、及び、ショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
なお、定着液中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
また、定着装置60としては、塗布位置Cで泡状定着液Fをトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(軟化剤)によって溶解または膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を設けてもよい。
一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を用いて、溶解または膨潤したトナーを加圧することによって、トナーの層の表面を平滑化して、定着後のトナー層の表面に光沢を付与することが可能となる。さらに、記録媒体内へ溶解または膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明は上述した各実施例や各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変形や置換可能であることはいうまでもない。また、発泡に用いる気体は、空気に限るものではないが、エアポンプで外部から空気を吸引して発泡に用いる構成であれば発泡に用いる気体を収容する収容容器が不要となる。
以上、本実施形態の定着装置60が備える定着液泡状化装置500は、スリット搬送管510と、液状定着液流路520と、空気流路530とを有する泡生成装置である。スリット搬送管510は、液体である液状定着液210と気体である空気とを混合させて泡状液である泡状定着液Fを生成する泡生成部である。液状定着液流路520は、液供給手段である定着液供給ポンプ200から供給される液状定着液210をスリット搬送管510内に供給する液搬送路である。空気流路530は、気体供給手段であるエアポンプ300から供給される空気をスリット搬送管510内に供給する気体搬送路である。
この定着液泡状化装置500のスリット搬送管510は、泡状定着液Fが通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリット状となるスリット状搬送路511を備える。スリット状搬送路511の通過方向の一端はスリット状の開口部からなる泡状定着液排出口501である。スリット状搬送路511の通過方向の他端は液状定着液流路520とスリット状搬送路511とを接続する液体供給口である定着液供給口521、及び、空気流路530とスリット状搬送路511とを接続する気体供給口である空気供給口531を備える。定着液供給口521及び空気供給口531は、それぞれ、スリット状搬送路511の断面の長尺方向(スリット幅Wの方向)に沿ってピッチ幅としての定着液供給口521と定着液供給口521との開口ピッチ幅P1が2[mm]未満(各実施例では110[μm])となる複数の開口部からなる。
スリット搬送管510は、定着液供給ポンプ200及びエアポンプ300から液状定着液210及び空気が同時に供給されることでスリット状搬送路511内で液状定着液210と空気とが混合して泡状定着液Fが生成される。そして、スリット状搬送路511の泡状定着液排出口501から生成された泡状定着液Fが排出される構成である。このような定着液泡状化装置500では、初期発泡を行う装置と小径化を行う装置とをそれぞれ設ける必要がなく、従来よりもポンプの小型化を図ることができ、せん断力を付与する回転体を備える機構や回転体に駆動を伝達する駆動源も不要となる。このため、従来の定着装置が備える定着液泡状化装置500よりも小型化を図ることができる。
さらに、本実施形態の定着装置60が備える定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511の上流端流路断面積A1に比べて、下流端流路断面積A2の方が小さくなっている。すなわち、スリット状搬送路511の通過方向に直交する断面の断面積である流路断面積Aが、定着液供給口521及び空気供給口531を備える他端に比べて、泡状定着液排出口501が形成された一端の方が小さくなっている。このような構成により、スリット状搬送路511の流路断面積Aが一様な構成よりもさらに小さな泡径のキメ細やかな泡状定着液Fを得ることが可能となる。
また、実施例1の定着液泡状化装置500は、図1及び図9に示すように、スリット状搬送路511の通過方向に直交する断面の長尺方向の長さWが、定着液供給口521及び空気供給口531を備える他端に比べて、泡状定着液排出口501が形成された一端の方が短い。すなわち、図1中の上流端スリット幅W1よりも下流端スリット幅W2の方が短い形状である。一方、スリット奥行きDは一定である。このような構成により、上流端スリット幅W1とスリット奥行きDとの積である上流端流路断面積A1に比べて、下流端スリット幅W2とスリット奥行きDとの積である下流端流路断面積A2の方が小さくなる。このような構成により、スリット状搬送路511の流路断面積Aが一様な構成よりもさらに小さな泡径の泡状定着液Fを得ることが可能となる。
また、実施例1の定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511の上流端部である気液混合部502から下流側端部である泡状定着液排出口501まで、スリット幅Wが連続的に狭くなる形状である。このような形状では、気液混合部502に流入する液状定着液と空気とによって形成される泡状定着液Fは、スリット幅Wの方向の中央に向かって斜めに進行する。このため、気液混合部502での泡の生成時に、スリット幅が一様な構成に比べて、隣り合う泡同士が接触し易くなる。このような構成では、気液混合部502で泡が発生し始めてから、気液混合部502から泡が分離するまでの時間が短くなることを確認した。このように、一つの泡を生成する時間が短くなることで、一つの泡に対する空気の流入量が減少し、気液混合部502での初期発泡時の泡の小径化を図ることができ、最終的に泡状定着液排出口501から排出される泡状定着液Fの小径化を図ることができる。
また、実施例2の定着液泡状化装置500は、図10に示すように、スリット状搬送路511の一端には、複数の開口部である第一泡状定着液排出口501a及び第二泡状定着液排出口501bが形成されている。さらに、スリット状搬送路511は、気液混合部502からスリット長さHの方向にH1の位置から第一泡状定着液排出口501a及び第二泡状定着液排出口501bまで二つの流路のスリット幅Wが連続的に狭くなる形状である。一方、スリット奥行きDは一定である。このような構成により、上流端スリット幅W1とスリット奥行きDとの積である上流端流路断面積A1に比べて、第一下流端スリット幅W21と第二下流端スリット幅W22と足したものとスリット奥行きDとの積である下流端流路断面積A2の方が小さくなる。このような構成により、スリット状搬送路511の流路断面積Aが一様な構成よりもさらに小さな泡径の泡状定着液Fを得ることが可能となる。
また、実施例2の定着液泡状化装置500は、スリット状搬送路511の気液混合部502からスリット長さHの方向にH1の位置から下流側端部である第一泡状定着液排出口501a及び第二泡状定着液排出口501bまで、スリット幅Wが連続的に狭くなる形状である。このような形状では、気液混合部502に流入する液状定着液と空気とによって形成される泡状定着液Fは、第一泡状定着液排出口501a及び第二泡状定着液排出口501bの中央に向かって斜めに進行する。このため、実施例1と同様に、気液混合部502での泡の生成時に、スリット幅が一様な構成に比べて、隣り合う泡同士が接触し易くなる。このような構成では、一つの泡を生成する時間が短くなり、一つの泡に対する空気の流入量が減少し、気液混合部502での初期発泡時の泡の小径化を図ることができる。よって、最終的に泡状定着液排出口501から排出される泡状定着液Fの小径化を図ることができる。
また、実施例3の定着液泡状化装置500は、図11に示すように、スリット状搬送路511の通過方向に直交する断面の長尺方向と直交する方向の長さであるスリット奥行きDが、定着液供給口521及び空気供給口531を備える他端に比べて、泡状定着液排出口501が形成された一端の方が短い。すなわち、図10中の上流端スリット奥行きD1よりも下流端スリット奥行きD2の方が短い形状である。一方、スリット幅Wは一定である。このような構成により、スリット幅Wと上流端スリット奥行きD1との積である上流端流路断面積A1に比べて、スリット幅Wと下流端スリット奥行きD2との積である下流端流路断面積A2の方が小さくなる。このような構成により、スリット状搬送路511の流路断面積Aが一様な構成よりもさらに小さな泡径の泡状定着液Fを得ることが可能となる。
また、実施例4の定着液泡状化装置500は、図12に示すように、スリット状搬送路511の泡状定着液Fが生成される位置である気液混合部502から泡状定着液排出口501までの間に複数の分泡部材550を備える。分泡部材550は、泡状定着液排出口501に向かう泡状定着液Fの泡が接触し、接触した泡状定着液Fの泡に対してさらに泡状定着液排出口501側に向かおうとする力が作用することで、接触した泡状定着液Fの一つの泡を二つ以上の泡に分泡する。このような構成により、スリット状搬送路511の気液混合部502で生成された泡状定着液Fが分泡部材550によって分泡し、よりキメ細やかな小さな泡径の泡状定着液Fを生成することが可能となる。
また、実施例4の定着液泡状化装置500では、分泡部材550は、スリット状搬送路511の長尺方向と直交する方向で対向し合う二つの内壁面同士を結ぶように配置された複数の棒状の部材である。さらに、分泡部材550は、スリット幅Wの方向に沿って開口ピッチ幅P1と同等またはそれ以下の分泡部材ピッチ幅P2で配置されている。このような構成により、スリット幅Wの方向に沿ってスリット状搬送路511を横断するように配置された棒状の部材という簡易な構成の分泡部材550によって、キメ細やかな小さな泡径の泡状定着液Fを生成することが可能となる。
また、実施例1〜4の定着液泡状化装置500は、図1等に示すように、気液混合部502側のスリット状搬送路511の端面に、スリット幅Wの方向に沿って、定着液供給口521と空気供給口531とが交互に並んでいる。このような構成により、スリット状搬送路511の気液混合部502で従来の初期発泡を行う構成よりも小さな泡径の泡状定着液Fを生成する初期発泡を行うことができた。
また、実施例5の定着液泡状化装置500は、図13及び図14に示すように、気液混合部502側のスリット状搬送路511の端部における内部空間の長尺方向(スリット幅Wの方向)と直交する方向であるスリット奥行きDの方向で対向し合う二つの内壁面(511fと511b)のうちの一方(511f)に定着液供給口521を備え、他方(511b)に空気供給口531を備える。このような構成であっても実施例1と同様に、スリット状搬送路511の気液混合部502で従来の初期発泡を行う構成よりも小さな泡径の泡状定着液Fを生成する初期発泡を行うことができた。
本実施形態の定着装置60は、樹脂微粒子からなるトナーの樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有した液状定着液210を液中に気泡が分散した泡状定着液Fとする定着液泡状化手段である定着液泡状化装置500と、定着液泡状化装置500に液状定着液210を供給する定着液供給手段である定着液供給ポンプ200と、定着液泡状化装置500に空気を供給する気体供給手段であるエアポンプ300と、未定着トナー像Tを担持する定着液付与対象である転写紙Pの表面に泡状定着液Fを付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を有する。そして、泡状定着液Fを付与することで軟化した未定着トナー像Tを形成するトナー層を転写紙Pに定着する。この定着装置60が備える定着液泡状化装置500は、上述したようにキメ細やかな小さな泡径の泡状定着液Fを生成し、且つ、従来よりも小型化することができる泡生成装置であるため、定着装置60は、未定着トナー像Tに対して定着液の適正な微量塗布の実現と、装置の小型化を図ることができる。また、本実施形態の定着液泡状化装置500は、初期発泡の位置から泡状定着液排出口501までの泡状定着液Fの移動距離が短い。このため、長期放置後に破棄する泡状定着液Fの量を少なくすることができ、定着液の無駄を抑制することができる。さらに、通常の液状に比べて流体抵抗が大きくなる泡状定着液Fの搬送に要する圧力を軽減した上で、低密度で、且つ、小さな泡径の泡状定着液Fを未定着トナー像Tに付与することができる。
本実施形態の定着装置60は、一つの定着液供給手段である定着液供給ポンプ200が複数の定着液供給口521に対して液状定着液210を供給するように少なくとも一つの定着液供給ポンプ200と、一つの気体供給手段であるエアポンプ300が複数の空気供給口531に対して空気を供給するように少なくとも一つのエアポンプ300とを備える。
このような定着装置60の液状定着液210及び空気の供給経路を模式的示したものが図28である。
図28に示す構成では、定着液泡状化装置500の複数の定着液供給口521に対して一つの定着液供給ポンプ200とそれぞれの定着液供給口521に対して液状定着液210を搬送するための複数の定着液搬送管230とを有する。また、複数の空気供給口531に対して一つのエアポンプ300とそれぞれの空気供給口531に対して空気を搬送するための複数の空気搬送管330とを有する。
このように、一つの定着液供給ポンプ200によって複数の定着液供給口521に液状定着液210を供給し、一つのエアポンプ300によって複数の空気供給口531に空気を供給することにより、装置の小型化、省スペース化の達成が可能となる。
また、供給経路の構成としては図28に示すものに限らず図29のような構成であってもよい。
図29に示す定着装置60は、複数の定着液供給口521のそれぞれに対して液状定着液210を供給する定着液供給口521と同数の定着液供給ポンプ200及び定着液搬送管230を備える。さらに、複数の空気供給口531のそれぞれに対して空気を供給する空気供給口531と同数のエアポンプ300及び空気搬送管330とを備える。
このような構成により、定着液供給口521及び空気供給口531のそれぞれに対して定着液供給ポンプ200及びエアポンプ300が備えられていることになり、定着液または空気の搬送に要する圧力を抑制することができ、さらに、各ポンプから各供給口までの流体の流路を短くすることができる。
また、図21に示す例の定着装置60は、液状定着液210は2つの定着液構成液(210a及び210b)から構成され、定着液供給手段は、2つの定着液供給ポンプ(200a及び200b)と、2つの定着液構成液(210a及び210b)をそれぞれ独立して収容する定着液構成液収容部としての2つの定着液ボトル(220a及び220b)と、2つの定着液ボトル(220a及び220b)からそれぞれ定着液構成液が供給され、2つの定着液構成液(210a及び210b)を混合して液状定着液210を生成する定着液生成手段である定着液混合部700とを有する。
このような構成により、定着液として使用し得る状態では、加水分解が生じるなどにより変質し得る定着液が、定着液構成成分を混合した際に起こり得る加水分解などの化学反応を回避することができる。これにより、定着液の変質に起因する定着性や発泡性の変化を防止することができる。
なお、図21に示す定着装置60では、2つの定着液ボトル(220a及び220b)を備え、2つの定着液構成液(210a及び210b)を混合して、液状定着液210を生成する構成であるが、3つ以上の定着液ボトルを備え、3つ以上の定着液構成液を混合して液状定着液210を得る構成であっても良い。
2つに限らない、
また、本実施形態の定着装置60は、定着液付与手段は、表面移動する定着液供給対象である塗布ローラ61の表面に対向する位置に定着液泡状化装置500のスリット状搬送路511の一端の泡状定着液排出口501が位置するように配置し、塗布ローラ61の表面における表面移動方向と直交する方向である幅方向とスリット幅Wの方向とが同方向である。塗布ローラ61の表面と泡状定着液排出口501とが対向するように配置することにより、泡状となった定着液が通過する管状の搬送路の距離を短くすることができ、ポンプに要する出力を抑制することができる。さらに、長期放置後に破棄する泡状定着液Fの量を少なくすることができ、定着液の無駄を抑制することができる。
また、定着装置60では、定着液供給対象として、泡状定着液Fを表面に担持して表面移動し、定着液付与対象である転写紙Pと対向する塗布位置Cで表面上の泡状定着液Fを転写紙Pに塗布する定着液塗布部材である塗布ローラ61を備える。従来の液状の定着液ではなく泡状定着液Fを塗布するため、塗布ローラ61と転写紙Pとが接触する構成であっても、オフセットの発生を防止することができる。
なお、本実施形態の定着装置60では、定着液付与手段は、泡状定着液Fを表面に担持して転写紙Pに塗布する塗布部材としての塗布ローラ61を備える構成であるが、本発明の特徴部を備えた定着液泡状化装置500は塗布部材を備えない定着装置であっても適用可能である。例えば、定着液泡状化装置500の泡状定着液排出口501から未定着トナー像Tを担持する転写紙Pに直接泡状定着液Fを付与する構成の定着装置に対しても本発明の特徴部を備えた定着液泡状化装置500は適用可能である。
また、本実施形態の定着装置60は、定着液塗布部材である塗布ローラ61が泡状定着液Fを塗布する定着液塗布対象が未定着トナー像Tを担持する記録媒体としての転写紙Pの表面である。泡状定着液Fを用いてトナー像を転写紙Pに定着させる定着装置60としては、トナー像を担持する中間転写ベルト等のトナー像担持体に泡状定着液Fを塗布して、トナー像担持体上のトナー像を泡状定着液Fとともに転写紙Pに転写するものであっても適用可能である。
また、本実施形態の複写機100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段である作像ユニット3と、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、定着手段として、本発明の特徴部を備えた泡生成装置である定着液泡状化装置500を有する定着装置60を用いる。定着装置60が、泡状定着液を用いることで、トナー層への接触付与時の接触付与手段である塗布ローラ61へのトナーのオフセット防止や、微量付与化を安定して実現でき、かつ、非加熱にて従来に比べ極めて低電力定着を可能とする。また、画像形成時に転写紙P上のトナー量や記録媒体の種類に応じて生じる画像定着不良の発生の抑制を可能とし、なおかつ、従来よりも、定着液の保存信頼性が高く、飛躍的に定着液の保存安定性が向上する。また、小型の定着液泡状化装置500を用いることで、それを備えた定着装置60及び複写機100の小型化を図ることができる。さらに、泡状となった定着液が通過する管状の搬送路の距離を短くすることができ、ポンプに要する出力を抑制することができる。さらに、長期放置後に破棄する泡状定着液Fの量を少なくすることができ、定着液の無駄を抑制することができる。
1 プリンタ部
2 光書込装置
3 作像ユニット
31 二次転写ローラ
33 レジストローラ対
50 原稿搬送読取ユニット
60 定着装置
61 塗布ローラ
62 加圧ローラ
63 膜厚規制ブレード
90 転写ユニット
91 中間転写ベルト
100 複写機
200 定着液供給ポンプ
210 液状定着液
220 定着液ボトル
230 定着液搬送管
300 エアポンプ
330 空気搬送管
500 定着液泡状化装置
501 泡状定着液排出口
502 気液混合部
510 スリット搬送管
511 スリット状搬送路
520 液状定着液流路
521 定着液供給口
530 空気流路
531 空気供給口
A 流路断面積
A1 上流端流路断面積
A2 下流端流路断面積
C 塗布位置
D スリット奥行き
F 泡状定着液
H スリット長さ
P1 開口ピッチ幅
W スリット幅
W1 上流端スリット幅
W2 下流端スリット幅
特許第3290513号 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報 特開2004−109747号公報 特開2007−219105号公報 特開2008−197188号公報
石井淑夫著,「泡のエンジニアリング」初版,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489

Claims (15)

  1. 液体と気体とを混合させて泡状液を生成する泡生成部と、
    液供給手段から供給される上記液体を上記泡生成部に供給する液搬送路と、
    気体供給手段から供給される上記気体を上記泡生成部に供給する気体搬送路とを有する泡生成装置において、
    上記泡生成部は、上記泡状液が通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリトッ状となるスリット状搬送路を備え、
    該スリット状搬送路の該通過方向の一端はスリット状の開口部であり、
    該スリット状搬送路の該通過方向の他端は上記液搬送路と該スリット状搬送路とを接続する液体供給口、及び、上記気体搬送路と該スリット状搬送路とを接続する気体供給口を備え、
    該液体供給口及び該気体供給口は、それぞれ、該スリット状搬送路の断面の長尺方向に沿ってピッチ幅が2[mm]未満となる複数の開口部からなり、
    該泡生成部は、上記液体供給手段及び上記気体供給手段から上記液体及び上記気体が同時に供給されることで該スリット状搬送路内で該液体と該気体とが混合して該泡状液が生成され、該スリット状搬送路の上記一端の上記開口部から生成された該泡状液が排出される構成であり、
    上記スリット状搬送路の上記通過方向に直交する断面の断面積である流路断面積が、上記液体供給口及び上記気体供給口を備える上記他端に比べて、上記開口部が形成された上記一端の方が小さいことを特徴とする泡生成装置。
  2. 請求項1の泡生成装置において、
    上記スリット状搬送路の上記通過方向に直交する断面の上記長尺方向の長さが、上記液体供給口及び上記気体供給口を備える上記他端に比べて、上記開口部が形成された上記一端の方が短いことを特徴とする泡生成装置。
  3. 請求項1または2の泡生成装置において、
    上記スリット状搬送路の上記一端には上記開口部が複数形成されていることを特徴とする泡生成装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の泡生成装置において、
    上記スリット状搬送路の上記通過方向に直交する流路断面の上記長尺方向と直交する方向の長さが、上記液体供給口及び上記気体供給口を備える上記他端に比べて、上記開口部が形成された上記一端の方が短いことを特徴とする泡生成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の泡生成装置において、
    上記スリット状搬送路内の上記泡状液が生成される位置から上記一端の上記開口部までの間に配置され、該開口部に向かう該泡状液の泡が接触し、接触した泡状液の泡に対してさらに該開口部側に向かおうとする力が作用することで、接触した泡状液の一つの泡を二つ以上の泡に分泡する分泡部材を有することを特徴とする泡生成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の泡生成装置において、
    上記スリット状搬送路の上記他端側の端面に、上記長尺方向に沿って、上記液体供給口と上記気体供給口とが交互に並んでいることを特徴とする泡生成装置。
  7. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、
    該定着液泡状化手段に該液状定着液を供給する定着液供給手段と、
    該定着液泡状化手段に該気体を供給する気体供給手段と、
    該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する定着液付与手段とを有し、
    該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、
    上記定着液泡状化手段として、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の泡生成装置を用いることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項7の定着装置において、
    複数の上記液体供給口のそれぞれに対して上記液状定着液を供給する該液体供給口と同数の上記定着液供給手段及び上記液搬送路と、
    複数の上記気体供給口のそれぞれに対して上記気体を供給する該気体供給口と同数の上記気体供給手段及び上記気体搬送路とを備えることを特徴とする定着装置。
  9. 請求項7の定着装置において、
    一つの上記定着液供給手段が複数の上記液体供給口に対して上記液状定着液を供給するように少なくとも一つの該定着液供給手段を備え、
    一つの上記気体供給手段が複数の上記気体供給口に対して上記気体を供給するように少なくとも一つの該気体供給手段を備えることを特徴とする定着装置。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記液状定着液は複数の定着液構成液から構成され、
    上記定着液供給手段は、該液状定着液を構成する該複数の定着液構成液をそれぞれ独立して収容する複数の定着液構成液収容部と、該複数の定着液構成液収容部からそれぞれ該複数の定着液構成液が供給され、該複数の定着液構成液を混合して該液状定着液を生成する定着液生成手段とを有することを特徴とする定着装置。
  11. 請求項7乃至10のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記定着液付与手段は、表面移動する定着液供給対象の表面に対向する位置に上記泡生成装置の上記スリット状搬送路の上記一端の上記開口部が位置するように配置し、
    該定着液供給対象の表面における表面移動方向と直交する方向である幅方向と上記長尺方向とが同方向であることを特徴とする定着装置。
  12. 請求項11の定着装置において、
    上記定着液供給対象として、上記泡状定着液を表面に担持して表面移動し、上記定着液付与対象と対向する位置で表面上の該泡状定着液を該定着液付与対象に塗布する定着液塗布部材を備えることを特徴とする定着装置。
  13. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面を上記定着液付与対象の表面として定着液を付与し、
    該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
    該定着手段として、請求項7乃至12のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  14. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を定着液泡化工程で液中に気体を含有させて気泡が分散した泡状定着液とし、
    該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与して、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法において、
    定着液泡化工程では、上記泡状定着液が通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリット状で、該通過方向の一端はスリット状の開口部であり、該通過方向の他端に、該空間のスリット状の断面の長尺方向に沿ってピッチ幅が2[mm]未満となる複数の開口部からなる、上記液状定着液を該空間に供給する定着液供給口と、上記気体を該空間に供給する気体供給口と、を備え、上記泡状定着液が通過する空間の通過方向に直交する断面の断面積が上記他端に比べて上記一端のほうが小さくなるように形成された泡生成部のスリット状搬送路に、該液状定着液と該気体とを供給することによって該液状定着液から該泡状定着液を生成し、上記スリット状の開口部から排出することで定着液を泡状化することを特徴とする定着方法。
  15. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成工程と、
    該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着工程とによって記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、
    上記定着工程では請求項14の定着方法によって定着を行うことを特徴とする画像形成方法。
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