JP2012003100A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
定着装置及び画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012003100A JP2012003100A JP2010138924A JP2010138924A JP2012003100A JP 2012003100 A JP2012003100 A JP 2012003100A JP 2010138924 A JP2010138924 A JP 2010138924A JP 2010138924 A JP2010138924 A JP 2010138924A JP 2012003100 A JP2012003100 A JP 2012003100A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- foam
- fixing
- liquid
- fixer
- supply
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Fixing For Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】所定の供給量の泡状定着液を接触付与手段に供給できる。
【解決手段】液状定着液に気体を混合させて生成した泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に塗布する接触付与手段の塗布ローラ40のローラ面上に、泡状定着液供給手段39によって所望の膜厚に相当する所定の液量の泡状定着液を付与しようとする定着装置であって、この泡状定着液供給手段39には無脈動ポンプの一つであるモーノポンプ46が用いられている。このモーノポンプ46を用いることによって、圧力を加えずに泡状定着液を供給口47に至る流路内を破泡せずに搬送でき、所望の膜厚に相当する所定の供給量の泡状定着液を塗布ローラ40のローラ面上に供給することができる。
【選択図】図6
【解決手段】液状定着液に気体を混合させて生成した泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に塗布する接触付与手段の塗布ローラ40のローラ面上に、泡状定着液供給手段39によって所望の膜厚に相当する所定の液量の泡状定着液を付与しようとする定着装置であって、この泡状定着液供給手段39には無脈動ポンプの一つであるモーノポンプ46が用いられている。このモーノポンプ46を用いることによって、圧力を加えずに泡状定着液を供給口47に至る流路内を破泡せずに搬送でき、所望の膜厚に相当する所定の供給量の泡状定着液を塗布ローラ40のローラ面上に供給することができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置などのような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
このような熱定着方式では、画像形成装置全体の消費電力の約半分以上が定着部での加熱処理のために消費される。よって、定着部での電力消費を抑えることが画像形成装置全体の省エネ対策として有効である。従来、熱定着方式を採用しない定着方式も、種々提案されている。その中には、トナーを溶解又は膨潤させる定着液を用いて定着処理を行う湿式定着方式が知られている。この湿式定着方式においては、上記熱定着方式のような大量の電力消費を伴う加熱処理が不要となるため、省エネ対策として非常に優れた定着方式であると言える。この湿式定着方法としては特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1の湿式定着方法は、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面に、未定着トナーを溶解または膨潤可能な液状の定着剤を噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させる定着方法である。
また、この湿式定着方法において液状定着液を未定着トナー層に塗布する構成の一例について図面を用いて説明すると、図12の(a),(b)に示すように、液状定着液を未定着トナー層に塗布する構成の一例として塗布ローラ201を用いている。そして、この塗布ローラ201に液状定着液を付与し、塗布ローラ201上の液状定着液を記録媒体202上の未定着トナー層203へ塗布する。液状定着液を記録媒体202に微量塗布するために塗布ローラ201上の定着液層204の厚みが未定着トナー層203よりも薄い場合には、塗布ローラ201が記録媒体202から分離する位置で、定着液が未定着トナー層の層間を通って記録媒体202と接する未定着トナーまで到達しきれない。そのため全ての未定着トナーが溶解又は膨潤できずに完全に定着できた状態とならない。その結果、塗布ローラ201の表面の液状定着液の液膜によって生じる表面張力で未定着トナー粒子が引っ張られてしまい塗布ローラ201の表面にトナー粒子がオフセットする。その結果、記録媒体202上の画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、図13に示すように、塗布ローラ201上の定着液層204の厚みが未定着トナー層203よりも十分厚い場合、塗布ローラ201が記録媒体202から分離する位置で、液量が多いため塗布ローラ201の表面の液膜による表面張力が直接トナー粒子に作用しにくくなる。その結果塗布ローラ側にトナーはオフセットしない。しかし、記録媒体202の表面に多量の液状定着液が塗布されるため、トナー粒子が過剰な定着液により記録媒体202上で流され画質劣化を生じたり、乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じてしまう。また、記録媒体に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。更に、液状定着液が水を含有する場合、紙等のセルロースを含有する媒体への塗布量が多い場合、紙等の媒体が著しくカールし、画像形成装置などにおける装置内の紙等の媒体搬送時に紙ジャム発生の恐れがある。このように、上記特許文献1の液状定着液で定着を行う場合、トナーオフセット防止のためにはトナー層厚より厚い定着液の塗布が必要である。一方、定着応答性向上や残液感低減やカール防止ためにはトナー層への定着液の微量塗布が必要である。このように液状定着液の塗布に伴う各課題を共に解決することは極めて難しい。
このような液状定着液を用いた湿式定着方法の上記各課題を共に解決するために、液状定着液を泡状にした泡状定着液を用いた定着方法が従来より提案されている。この泡状定着液を用いた定着方法として、特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2の定着方法によれば、泡状定着液生成手段によって液状定着液に気体を混合させてかさ密度を小さくした泡状定着液を生成する。そして、泡状定着液生成手段によって生成された泡状定着液を接触付与手段の塗布面上に供給する泡状定着液供給手段は、泡状定着液を吐出する供給口を備えており、この供給口には泡状定着液の吐出を制御する弁が設けられている。そして、この供給口の弁を開いた状態にし上記供給口から吐出された泡状定着液は接触付与手段の塗布面上に直接に付与される。そして、上記接触付与手段が媒体に当接することで、上記接触付与手段の塗布面に付与されている泡状定着液は所望の膜厚で媒体上の樹脂微粒子に塗布される。泡状定着液を塗布された樹脂微粒子は溶解又は膨潤して媒体に定着する。これにより、樹脂微粒子の泡状定着液付与手段へのオフセット付着を防止すると共に、定着応答性向上、残液感低減やカール防止を実現している。
しかしながら、上記特許文献2における泡状定着液供給のON/OFFの切替え動作は、上述したように上記供給口の弁を開閉することで行われている。上記供給口の弁を開いたON時の供給量を所定の量に制御することは内圧に依存するため極めて難しい。内圧に変化が生じたとき上記供給口からの供給量が変化する。特に、弁を閉じたまま長い時間が経過すると内圧が高くなる方向に働く。内圧が高くなった状態で弁を開けたときの供給量は一気に増加する。このように圧力変動を伴うような液供給機構では、所望の膜厚に相当する所定の供給量の泡状定着液を上記接触付与手段に供給することは非常に困難となる。
また、上記特許文献2では上述のように上記供給口の弁の開閉によって泡状定着液の供給を行っていることから、上記泡状定着液供給手段における供給口までの泡状定着液の流路内には泡を押し出しながら搬送するため圧力がかけられている。例えば圧力ポンプによる圧力が流路内の泡状定着液の塊全体に加えられる。これにより、泡状定着液が流路内を移送して上記供給口から吐出する。このとき、上記圧力が泡状定着液の泡の全面に加わることになる。そして、泡の粘性によっては上記圧力に対して泡の状態を保つことができなくなり破泡しまう虞がある。このため、上記供給口から吐出する泡状定着液の供給量が破泡した液量分減少するため、所望の膜厚に相当する所定の供給量の泡状定着液を上記接触付与手段に供給することができないという課題があった。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、所定の供給量の泡状定着液を接触付与手段に供給できる定着装置及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を少なくとも含有した液状定着液に気体を混合させて生成した泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に塗布して、該樹脂微粒子層を媒体に定着する定着装置において、上記液状定着液を泡化する泡状定着液生成手段と、該泡状定着液生成手段によって生成された上記泡状定着液を所望の膜厚で上記媒体上の樹脂微粒子層に付与する接触付与手段と、該接触付与手段に上記泡状定着液を供給する泡状定着液供給手段とを有し、上記泡状定着液供給手段は、上記泡状定着液を上記接触付与手段に供給する供給口と、所望の膜厚に相当する所定の供給量の上記泡状定着液を上記供給口に無脈動で搬送する無脈動定量搬送手段とを具備することを特徴とする定着装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の定着装置において、上記接触付与手段上の泡状定着液の膜厚を所望の膜厚に調整する厚み調整手段を有することを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は、請求項1記載の定着装置において、上記無脈動定量搬送手段は、モーノポンプであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置において、上記泡状定着液供給手段を上記媒体の搬送方向に対して直交する方向に複数配列して設け、上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御する駆動制御手段を備えることを特徴とするものである。
更に、請求項5の発明は、請求項4記載の定着装置において、上記駆動制御手段は、選択的に泡状定着液を上記接触付与手段上に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5記載の定着装置において、上記駆動制御手段は、上記媒体の規格サイズに応じて泡状定着液を上記接触付与手段に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とするものである。
更に、請求項7の発明は、請求項5記載の定着装置において、上記駆動制御手段は、上記媒体上の樹脂微粒子による画像パターンに応じて泡状定着液を上記接触付与手段に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、樹脂含有微粒子が色剤を含有したトナーで静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置により上記未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段とを具備することを特徴とする画像形成装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の定着装置において、上記接触付与手段上の泡状定着液の膜厚を所望の膜厚に調整する厚み調整手段を有することを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は、請求項1記載の定着装置において、上記無脈動定量搬送手段は、モーノポンプであることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置において、上記泡状定着液供給手段を上記媒体の搬送方向に対して直交する方向に複数配列して設け、上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御する駆動制御手段を備えることを特徴とするものである。
更に、請求項5の発明は、請求項4記載の定着装置において、上記駆動制御手段は、選択的に泡状定着液を上記接触付与手段上に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5記載の定着装置において、上記駆動制御手段は、上記媒体の規格サイズに応じて泡状定着液を上記接触付与手段に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とするものである。
更に、請求項7の発明は、請求項5記載の定着装置において、上記駆動制御手段は、上記媒体上の樹脂微粒子による画像パターンに応じて泡状定着液を上記接触付与手段に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、樹脂含有微粒子が色剤を含有したトナーで静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置により上記未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段とを具備することを特徴とする画像形成装置である。
本発明においては、泡状定着液生成手段によって液状定着液が泡化されて泡状定着液が生成される。そして、泡状定着液供給手段の無脈動定量搬送手段によって所望の膜厚に相当する所定の供給量の泡状定着液が供給口から接触付与手段に供給される。泡状定着液供給手段に備わっている無脈動定量搬送手段は、供給口に連通する流路内に圧力を加えずに無脈動で所定の供給量の泡状定着液が搬送可能である。このため、泡状定着液には泡の状態を維持でき泡状定着液は流路内で破泡することなく供給口まで搬送される。これにより、供給口からの泡状定着液の供給量は減らないため所定の供給量の泡状定着液を接触付与手段に供給することができる。
以上、本発明によれば、所定の供給量の泡状定着液を接触付与手段に供給できるという優れた効果がある。
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は本実施形態の画像形成装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタ、それらの機能の複合機であってもよい。図1の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略構成図であり、図1の(b)は図1の(a)の本実施形態の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す概略構成図である。図1の(a),(b)に示す本実施形態の画像形成装置100はトナー像担持体として中間転写ベルト101を有する。この中間転写ベルト101は、3つの支持ローラ102〜104に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト101に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット105〜108が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ104に対向する位置には、二次転写装置109が設けられている。二次転写装置109は、2つの支持ローラ110,111の間に張架された二次転写ベルト112で構成されている。なお、二次転写装置109としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ102に対向する位置には、ベルトクリーニング装置113が配置されている。ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト101上に残留するトナーを除去するために配置されている。
図1は本実施形態の画像形成装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタ、それらの機能の複合機であってもよい。図1の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略構成図であり、図1の(b)は図1の(a)の本実施形態の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す概略構成図である。図1の(a),(b)に示す本実施形態の画像形成装置100はトナー像担持体として中間転写ベルト101を有する。この中間転写ベルト101は、3つの支持ローラ102〜104に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト101に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット105〜108が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ104に対向する位置には、二次転写装置109が設けられている。二次転写装置109は、2つの支持ローラ110,111の間に張架された二次転写ベルト112で構成されている。なお、二次転写装置109としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ102に対向する位置には、ベルトクリーニング装置113が配置されている。ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト101上に残留するトナーを除去するために配置されている。
また、図1の(b)に示す画像形成ユニットについて説明すると、画像形成ユニット105〜108には、感光体ドラム116の周辺に、帯電装置117、露光装置(図示せず)から照射された画像信号に応じたレーザ光L、現像装置118、クリーニング装置119及び除電装置120が配置されている。また、中間転写ベルト101を介して、感光体ドラム116に対向する位置に、一次転写装置121が設けられている。また、帯電装置117は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置117は、帯電ローラを感光体ドラム116に接触させて、感光体ドラム116に電圧を印加することにより、感光体ドラム116の表面を一様に帯電する。この帯電装置117としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置118は、現像剤中のトナーを感光体ドラム116上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は本実施形態における泡状定着液により溶解又は膨潤する材料である。
更に、現像装置118は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置121は、感光体ドラム116上で可視化されたトナーを中間転写ベルト101に転写する。ここでは、一次転写装置121としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト101を挟んで感光体ドラム116に押し当てている。一次転写装置121としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置119は、感光体ドラム116上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置119としては、感光体ドラム116に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置119によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置118に回収され、再利用される。更に、除電装置120は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム116の表面電位を初期化する。
そして、記録媒体としての記録紙114は、極性基生成部2によってコロナ放電処理を施された後一対の給紙ローラ115で二次転写部へ導かれ、トナー像が記録紙114に転写される。その際に、二次転写ベルト112を中間転写ベルト101に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙114は、二次転写ベルト112によって本実施形態における定着装置1に搬送される。本実施形態の定着装置1において、記録紙114に転写された未定着のトナー像は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤を含有した液状定着液から生成された泡状定着液によって表面活性化処理された記録紙104に定着される。
次に、本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置に関して詳細に説明する。
はじめに、泡状定着液を用いた定着方法の原理について概説すると、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を含有した泡状定着液を、媒体上の樹脂微粒子に付与して媒体上の樹脂微粒子を軟化させ、該樹脂微粒子を媒体に定着する定着方法である。言うまでもないことだが、ここで、表記している樹脂微粒子とは、特に何であるかを限定はしないが、画像形成装置に適用した場合であればトナーのことを指す。
はじめに、泡状定着液を用いた定着方法の原理について概説すると、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を含有した泡状定着液を、媒体上の樹脂微粒子に付与して媒体上の樹脂微粒子を軟化させ、該樹脂微粒子を媒体に定着する定着方法である。言うまでもないことだが、ここで、表記している樹脂微粒子とは、特に何であるかを限定はしないが、画像形成装置に適用した場合であればトナーのことを指す。
そして、泡状定着液を用いた定着のメカニズムを以下に概説すると、図2に示すように、後述する泡状定着液生成手段によって定着液を泡で構成された泡状定着液を用いていることで、定着液のカサ密度を低くできると共に塗布ローラ11上の定着液層を厚くできる。更には、定着液の表面張力による影響が抑えられるため、塗布ローラ11への樹脂微粒子のオフセットを防止できることがわかった。更に、樹脂微粒子の大きさが5[μm]〜10[μm]程度の場合、微粒子層を乱すことなく泡状定着液14を樹脂微粒子層13に付与するには、泡状定着液の泡径範囲が、5[μm]〜50[μm]程度が必要であることがわかった。なお、図3に示すように、気泡22で構成された泡状定着液20は、気泡22のそれぞれを区切る液膜境界(以下、プラトー境界と称す)21から構成される。
定着液は軟化剤を含有しており、この軟化剤は、一般的に消泡作用が強い。このため、本実施形態の定着装置1のように、液状の定着液を泡状定着液として用いる場合、定着液中の軟化剤の濃度が高いほど、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、起泡し難くなったり、泡状定着液が破泡し易くなったりするおそれがある。起泡し難いと嵩密度の低いの泡状定着液を得ることが出来ず、所望の嵩密度の泡状定着液を得たとしても、泡状定着液が破泡し易いと定着ニップで完全に破泡してしまい液状定着液を塗布する構成と同様の問題が生じる。また、起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができ、起泡剤として優れている。アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。ここで、泡沫安定性とは、泡状となった定着液が液状となり難い性質をいう。本実施形態の定着装置で未定着トナーに付与する泡状定着液としては、泡の状態で1分間放置しても消泡せず、泡の状態を保てる程度の泡沫安定性を有することが望ましい。
本発明者らは、定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性及び泡沫安定性の劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献1にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。上記非特許文献1には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
これに対して、本発明者らは、起泡剤として炭素数12から18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12から18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できることを見出した。軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12から18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16、)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。
ここで、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基が定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、炭素数12から18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。このため、定着液中には、単独の脂肪酸塩を含有させても良いが、炭素数12から18の脂肪酸塩を混合して含有させる方がさらに優れている。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが望ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の重量比で、0:6:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1などが適する。
ところで、定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。軟化剤の濃度として、10[wt%]未満では、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、軟化剤の濃度が10[wt%]以上、特に軟化剤の濃度が30[wt%]以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような軟化剤の濃度が30[wt%]となる定着液において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
但し、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、またはは大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5から1:9の範囲とした場合起泡性が優れている。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで、脂肪酸がステアリン酸の組合せや脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸のような炭素数が12から18の範囲で異なる組合せであってもよい。要は、炭素数12から18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、他のアニオン系界面活性剤、例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES)を起泡剤として、炭素数12から18の脂肪酸を含有した定着液であっても、軟化剤濃度増加による起泡性が悪くなるのを防止する効果があることがわかった。但し、最も組み合わせとして優れているのは脂肪酸塩との組合せである。
更に、脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸アミンが適している。更に、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5から1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミンを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
ところで、定着液中の軟化剤濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる。そこで、検討した結果、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、多価のアルコール類の含有量は、1[wt%]から30[wt%]の範囲が適当である。30[wt%]より多い含有量では、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
一方、一般的に0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目した。そして、大きな泡から素早く5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることがわかった。
そして、大きな泡を生成した後大きな泡を分泡し微小な処方の泡を生成する泡状定着液生成手段30における大きな泡生成部としては、図4に示すように、定着液容器31内の液状定着液32を搬送ポンプ33及び液搬送パイプ34等の液輸送手段を用いて気体液体混合部35へ供給する。この気体液体混合部35には、液の流れとともに空気口36に負圧が発生し、空気口36から気体が気体液体混合部35に導入されて液体と気体が混合する。更に、微小孔シート37を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30[μm]〜100[μm]程度が望ましい。図4の微小孔シート37に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30[μm]〜100[μm]程度を有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も望ましい。
次に、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化するために、大きな泡にせん断力を加えるための、図4に示すような泡状定着液生成手段30における微小な泡生成38として、閉じた二重円筒で、内側円筒38−1が回転可能な構成とする。そして、外部円筒の一部より、気体液体混合部35から大きな泡状定着液が供給され、回転する内側円筒38−1と外部円筒38−2の隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受ける。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒38−2に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。
また、回転する内側円筒38−1の回転数と内側円筒38−1の長手方向の長さにより液搬送速度は決定される。外側円筒38−2の内径をd1[mm]、円筒長さがL[mm]とし、内側円筒38−1の外径をd2[mm]とし、回転数をR[rpm]とすると、微小な泡を生成するための液搬送速度V[mm3/秒]は、
V=L×π×(d12−d22)/4/(1000/R)
の式で決まることがわかった。
V=L×π×(d12−d22)/4/(1000/R)
の式で決まることがわかった。
例えば、d1が10[mm]、d2が8[mm]、Lが50[mm]、回転数が1000[rpm]とすると、液搬送速度は約1400[mm3/秒](1.4[cc/秒])となる。A4の紙を定着するために必要な泡状定着液が3[cc]であるとすると、液状定着液から必要量の泡状定着液を生成するのに立上がり時間は約2秒ですみ、極めて素早く、所望の泡径を有する泡状定着液を生成可能となる。内側円筒にらせん状の溝を設けて、円筒内での液搬送性をよくしてもよい。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部を組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
次に、定着液容器から液状定着液を泡化する機構に搬送する手段としては、図4では搬送ポンプを用いている。搬送ポンプとしては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが望ましい。ギヤポンプ等ごとく定着液中で振動機構や回転機構があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。なお、泡状の定着液のかさ密度としては、0.01[g/cm3]〜0.1[g/cm3]程度の範囲が望ましい。更に、定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂含有微粒子の層への塗布時に泡状となっていればよく、保存容器内で泡状である必要はない。保存容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂含有微粒子の層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器では液体で、容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
次に、本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置の構成について説明する。図5は本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置の構成の一例を示す概略図である。同図において、図1及び図4と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。泡状定着液生成手段30は、上述したように、液体状の定着液から大きな泡を生成した後、大きな泡を分泡して微小な泡を生成することにより、泡状定着液を生成している。この泡状定着液は、泡状定着液供給手段39を介して塗布ローラ40上であって膜厚調整手段のブレード41が作用する部分の上流側に供給され、塗布ローラ40上に均一に薄層化される。ブレード41は、泡状定着液を薄層化して最適な膜厚を形成している。ここで要求される膜厚は、塗布ローラ上に定着の際に最適値となる膜厚のことである。塗布ローラ40上に均一に薄層化された泡状定着液は、媒体上のトナー粒子層に付与され、トナー粒子を媒体に定着させている。
そして、媒体114は、塗布ローラ40と加圧ローラ42によって挟み込まれて搬送されており、これらの加圧力によって薄層化された泡状定着液が媒体に付与されている。また、塗布ローラ40上において、媒体114へ泡状定着液を付与する部分の下流位置にはクリーニング手段43が設けられている。クリーニング手段43は、泡状定着液付与動作後に塗布ローラ40上に残留した泡状定着液やオフセットしたトナーを除去するために設けられている。これらが正常に除去されていなければ、ブレード41の部分で安定した泡状定着液の薄膜形成に支障をきたすからである。
図6は泡状定着液供給手段の構成を示す正面図である。また、図7は泡状定着液供給手段の構成を示す斜視図である。両図において、図5と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す泡状定着液供給手段39は、複数個の泡状定着液搬送手段44が媒体搬送方向に直交する幅方向に沿って並んで構成されている。各泡状定着液搬送手段44は、図7に示すように、スターター及びロータを備え、モータ45によって回動するロータが特種なサイクロド運動を行うことで、搬送流路内の圧力が変動することなく泡状定着液を定量で供給可能な無脈動ポンプの一例であるモーノポンプ46を具備している。このモーノポンプの具体的な構成に関しては、各種文献が出ているので、詳細はここでは割愛するが、基本的な機能として、一定の体積のものを、その体積を維持したまま密閉状態で連続的に搬送するという機能を持っている。このモーノポンプ46は、それ自体が流体搬送の動力であるので、ポンプ前後の圧力差は必要ない。すなわちポンプ前後とも大気開放圧で搬送が可能である。そのことが流量変動を抑える決定的な要素となっている。また、圧力差があっても搬送流体体積を常に一定にすることができる。但し、本実施形態によれば、圧縮性流体である泡状定着液を用いているのでポンプ前後の圧力差をなくすることが望ましい。したがって、モーノポンプ46では常に一定の搬送量を維持できる。このモーノポンプは定量供給が必要なものを搬送するときによく用いられているポンプであるが、流路内の圧力変動がなく定量供給可能なポンプであればこれに限らない。そして、モーノポンプ46は、回転した分だけ、その回転量に応じた流量の搬送を行い、回転量に応じた定量の泡状定着液が供給口47から吐出される。すなわち、モーノポンプ46の回転量を駆動制御部49によって制御することで泡状定着液流量制御を簡単に行うことができる。また、泡状定着液の場合、圧縮性流体なので、泡状定着液生成手段30から泡状定着液供給手段39までの間の流路内に生じる圧力によって泡状定着液の体積も変動する。そこで、本実施形態の構成に関しては、モーノポンプ46の出口は、泡状定着液塗布の位置であるのでほぼ大気圧に等しく、モーノポンプ46の上流側も大気圧に等しくする必要がある。上流側は絶えず泡状定着液を送り込む必要があるので、その過程で圧力上昇がないようにすればいい。その手段は多種あるが、例えば図8に示すように泡状定着液の搬送流路の壁の一部を、例えばフィルムなどの薄膜による可動流体隔壁48で構成すれば、泡状定着液を送り込む量が多少ばらついても薄膜の変位で当該ばらつきが緩和されるので、常に大気圧状態を維持することができる。
また、泡状定着液搬送手段44により搬送量が制御された泡状定着液は、膜厚調整手段のブレード41により塗布ローラ40上で所望の膜厚に調整され薄層化される。膜厚は定着性に関して非常の重要なファクターであることは先にも述べたとおりで、これは常に一定にする必要がある。膜厚が一定だとすれば、塗布ローラ40上での塗布エリアの広さは、各泡状定着液搬送手段44からの泡状定着液の供給量に依存する。つまり、各泡状定着液搬送手段から正確な量の泡状定着液が供給されなければ、図9の(a)に示すように、泡状定着液の塗布量が不足してしまい未定着トナーが残ってしまう。また、図9の(b)のように、泡状定着量の塗布量が過剰となり、媒体搬送手段に余分な定着液が広がってしまうことになる。媒体上の樹脂微粒子の存在する領域にのみ、正確な泡状定着液の供給量を付与することができなくなる。そこで、無脈動定量搬送ポンプの一例であるモーノポンプ46である。モーノポンプ46はロータの駆動回転数を制御することによって正確な体積を供給することができるからである。その結果、図9の(c)に示すように、トナー未定着部分に対して正確な泡状定着液の塗布エリアを得ることができる。
図10は泡状定着液供給手段の別の構成を示す斜視図である。同図に示す泡状定着液供給手段は、膜厚調整手段のブレードも塗布ローラ40の軸方向に何枚かに分割して構成したブレード51とし、それぞれが独自に制御できるものである。つまり、塗布エリアごとに膜厚を可変できるようになっている。これは、トナー付着量の多いカラー画像のエリアと、トナー付着量の少ないモノクロ画像のエリアとで、膜厚を変えるためである。泡状定着液は、供給量が少なすぎるとオフセットが発生し、多すぎるとタックが出てくる。当然オフセットはあってはならないので、トナー付着量の最も多い部分に合わせて供給量すなわち膜厚を調整することになるので、タックに関しては残課題(割り切り)となってしまう。このような課題に対して、エリアごとに膜厚を可変できれば、あらゆるエリアに対して最適な膜厚を付与することができるので、タックを防止することができるだけでなく、全体としての泡状定着液の供給量低減にも繋がる。
そして、泡状定着液生成手段30で生成された泡状定着液は、図10に示すように、各泡状定着液搬送手段44に分配される。モーノポンプ46を有する複数の泡状定着液搬送手段44を選択的に動作を行えるように、各泡状定着液搬送手段44に駆動制御部49からの駆動制御信号50をそれぞれ供給する。そして、駆動制御部49によって、泡状定着液搬送手段44の並んでいる方向において選択的な動作を行って正確な供給量の泡状定着液の個別付与が可能となる。更に、選択的な動作を時間的に動作を制御してやれば、塗布ローラ40上に任意の塗布パターンを形成することができる。これを、トナー画像が形成された媒体に転写することによって、媒体上に任意の塗布パターンを形成することができる。この塗布パターンが、トナー画像が形成された部分の全てをカバーしていれば、定着を目的どおりに果たすことができる。
図10に示す本実施形態によれば、各泡状定着液搬送手段44に対してそれぞれ独立に膜厚制御を行うことが可能なブレード51を各々に設けていることによって、上述したように塗布エリアごとに膜厚を可変できるようになる。当然ながら、このとき各泡状定着液搬送手段44からの供給量もそれに追従するように可変させる必要があるが、これについてもモーノポンプ46を用いて実現できる。つまり、上述したように、駆動制御部49によって制御することで各々のモーノポンプ46の駆動回転数をそれぞれ可変して適正な供給量の制御を行うことができる。
次に、図10に示す本実施形態の定着装置における泡状定着液供給動作について図11のフローチャートに従って概説する。
先ず、プリンタモードにおける画像データ、あるいはコピーモードにおける画像データ、及び画像処理に関する情報を取得する(ステップS101)。取得した画像データ及び画像処理情報に基づいて画像処理を反映させてトナー画像パターンを生成する。生成されたトナー画像パターンによる出力画像データに基づいた媒体上の未定着トナー部分の範囲、未定着トナーの層厚に関する情報を取得する(ステップS102)。そして、取得した未定着トナー部分の範囲に対応する泡状定着液搬送手段44のモーノポンプ46の駆動を決定する(ステップS103)。また、上記画像データに基づいて未定着トナーの層厚に対する適正な泡状定着液の膜厚を決定する(ステップS104)。次に、上記画像データに基づいて画像形成部においてトナー画像が媒体に形成される。そのトナー画像が形成された媒体が塗布ローラ40と加圧ローラのニップ部に搬送される。そして、塗布ローラ40上には、決定された泡状定着液搬送手段44のモーノポンプ46によって泡状定着液が付与される(ステップS105)。また、決定されたモーノポンプ46によって塗布ローラ40上に付与された泡状定着液の膜厚は、決定されたモーノポンプ46に対応するブレード51によって、取得した画像データに基づいて適正な膜厚に調整される。そして、付与された適正な膜厚であって未定着トナー部分のみに対応する泡状定着液が当該未定着トナー部分に塗布される。
先ず、プリンタモードにおける画像データ、あるいはコピーモードにおける画像データ、及び画像処理に関する情報を取得する(ステップS101)。取得した画像データ及び画像処理情報に基づいて画像処理を反映させてトナー画像パターンを生成する。生成されたトナー画像パターンによる出力画像データに基づいた媒体上の未定着トナー部分の範囲、未定着トナーの層厚に関する情報を取得する(ステップS102)。そして、取得した未定着トナー部分の範囲に対応する泡状定着液搬送手段44のモーノポンプ46の駆動を決定する(ステップS103)。また、上記画像データに基づいて未定着トナーの層厚に対する適正な泡状定着液の膜厚を決定する(ステップS104)。次に、上記画像データに基づいて画像形成部においてトナー画像が媒体に形成される。そのトナー画像が形成された媒体が塗布ローラ40と加圧ローラのニップ部に搬送される。そして、塗布ローラ40上には、決定された泡状定着液搬送手段44のモーノポンプ46によって泡状定着液が付与される(ステップS105)。また、決定されたモーノポンプ46によって塗布ローラ40上に付与された泡状定着液の膜厚は、決定されたモーノポンプ46に対応するブレード51によって、取得した画像データに基づいて適正な膜厚に調整される。そして、付与された適正な膜厚であって未定着トナー部分のみに対応する泡状定着液が当該未定着トナー部分に塗布される。
なお、図11の動作フローではトナー画像パターンをソースにしているが、媒体の無いところに泡状定着液を付与しないということであるならば、トナー画像パターンの代わりに媒体のサイズをソースとしても良い。また、塗布エリアの大きさに関しては特に限定しない。600[dpi]といった画素密度と同等クラスであっても、紙幅対応のみのおよそ50[mm]ピッチであってもよい。現実的には、媒体の幅方向は、モーノポンプが並ぶ必要があるので、さほど細かいピッチにはできないが、媒体の搬送方向については、モーノポンプの応答性の限界まで細かいピッチに刻むことができる。更に、媒体上に画像が形成されてから、定着装置に導かれるまでの媒体搬送精度を考慮した場合、画素密度と同等クラスのピッチであることの必要性は感じられないので、代表的な値としては、5〜20[mm]ピッチの範囲が適切である。もちろん、この範囲内に限定はしない。
次に、定着液の液処方について説明する。泡状の定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
また、起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5℃〜15℃までの低気温において、優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において定着の安定を可能とし、また、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中分離を防止することができる。
更に、飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が適する。炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、当該定着液を用いるオフィス・家庭で用いる画像形成機器に適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまう。これらの飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
更に、上記飽和脂肪酸塩又は不飽和脂肪酸塩において、当該定着液の起泡剤として用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切な泡状となっていることが必須であるが、上記の脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに最も短時間で起泡し、泡状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を最も短時間でつくることができる。
樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3[g/kg]よりも大きい、更に好ましくは5[g/kg]であることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、 R1COOR2 で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、 R3(COOR4)2 で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)2で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本実施形態における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、 R5(COOR6−O−R7)2で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)2で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として適する。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂含有微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が望ましい。記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙のごとき媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本実施形態は適用できる。
上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本実施形態の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1重量%以下である性質を意味する。
また、泡状となった定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20〜30[mN/m]であることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30[mN/m]とすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。なお、定着中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
また、トナーの定着装置は、本実施形態における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
次に、定着液の具体的な処方の例を以下に示す。
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
以上説明したように、本実施形態によれば、図6に示すように、液状定着液に気体を混合させて生成した泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に塗布する塗布ローラ40のローラ面上に、泡状定着液供給手段39によって所定の液量の泡状定着液が付与される。この泡状定着液供給手段39には、図8に示すようなモーノポンプ46が用いられている。このモーノポンプ46は定量の液量を無脈動で移送できる無脈動ポンプの一つである。このモーノポンプ46は、搬送流路内に圧力を加えることなく所定の供給量の泡状定着液を搬送できる。そのため、所定の供給量の泡状定着液は搬送流路内で破泡することなく供給口47まで搬送できる。これにより供給量が減らないため所望の膜厚に相当する所定の供給量の泡状定着液を供給口47から塗布ローラ40のローラ面上に供給することができる。そして、所定の膜厚の泡状定着液が塗布ローラ40を介して媒体上の樹脂微粒子層に塗布され定着される。
また、本実施形態によれば、図6及び図7に示すように、モーノポンプ46を記録媒体の搬送方向に対して直交する方向に複数個並べて設ける。更には、各モーノポンプ46に対応してブレード51をそれぞれ設ける。これにより、選択的に泡状定着液を塗布ローラ40上に供給できる。また、記録媒体の規格サイズ、記録媒体上の樹脂微粒子による画像パターンに対応して泡状定着液の塗布ローラ40上における付与位置や供給量を制御して泡状定着液を供給する。これにより、無駄な泡状定着液をなくし、所定の供給量の泡状定着液を塗布ローラ40に供給できる。
更に、本実施形態によれば、樹脂含有微粒子が色剤を含有したトナーで静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段によって形成された未定着トナー像に塗布ローラ40を介して所定の供給量の泡状定着液を供給することができる。
1 定着装置
30 泡状定着液生成手段
39 泡状定着液供給手段
40 塗布ローラ
41 ブレード
42 加圧ローラ
43 クリーニング手段
44 泡状定着液搬送手段
45 モータ
46 モーノポンプ
47 供給口
48 可動流体隔壁
49 駆動制御部
50 駆動制御信号
51 ブレード
100 画像形成装置
114 記録媒体
30 泡状定着液生成手段
39 泡状定着液供給手段
40 塗布ローラ
41 ブレード
42 加圧ローラ
43 クリーニング手段
44 泡状定着液搬送手段
45 モータ
46 モーノポンプ
47 供給口
48 可動流体隔壁
49 駆動制御部
50 駆動制御信号
51 ブレード
100 画像形成装置
114 記録媒体
石井淑夫著,「泡のエンジニアリング」初版,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489
Claims (8)
- 樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を少なくとも含有した液状定着液に気体を混合させて生成した泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に塗布して、該樹脂微粒子層を媒体に定着する定着装置において、
上記液状定着液を泡化する泡状定着液生成手段と、
該泡状定着液生成手段によって生成された上記泡状定着液を所望の膜厚で上記媒体上の樹脂微粒子層に付与する接触付与手段と、
該接触付与手段に上記泡状定着液を供給する泡状定着液供給手段とを有し、
上記泡状定着液供給手段は、上記泡状定着液を上記接触付与手段に供給する供給口と、所望の膜厚に相当する所定の供給量の上記泡状定着液を上記供給口に無脈動で搬送する無脈動定量搬送手段とを具備することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
上記接触付与手段上の泡状定着液の膜厚を所望の膜厚に調整する厚み調整手段を有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1記載の定着装置において、
上記無脈動定量搬送手段は、モーノポンプであることを特徴とする定着装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置において、
上記泡状定着液供給手段を上記媒体の搬送方向に対して直交する方向に複数配列して設け、上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御する駆動制御手段を備えることを特徴とする定着装置。 - 請求項4記載の定着装置において、
上記駆動制御手段は、選択的に泡状定着液を上記接触付与手段上に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とする定着装置。 - 請求項5記載の定着装置において、
上記駆動制御手段は、上記媒体の規格サイズに応じて泡状定着液を上記接触付与手段に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とする定着装置。 - 請求項5記載の定着装置において、
上記駆動制御手段は、上記媒体上の樹脂微粒子による画像パターンに応じて泡状定着液を上記接触付与手段に供給するように上記各泡状定着液供給手段による上記泡状定着液の供給駆動を制御することを特徴とする定着装置。 - 樹脂含有微粒子が色剤を含有したトナーで静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置により上記未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010138924A JP2012003100A (ja) | 2010-06-18 | 2010-06-18 | 定着装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010138924A JP2012003100A (ja) | 2010-06-18 | 2010-06-18 | 定着装置及び画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012003100A true JP2012003100A (ja) | 2012-01-05 |
Family
ID=45535124
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010138924A Withdrawn JP2012003100A (ja) | 2010-06-18 | 2010-06-18 | 定着装置及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012003100A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013218212A (ja) * | 2012-04-11 | 2013-10-24 | Canon Inc | 画像形成装置、及びその制御方法 |
-
2010
- 2010-06-18 JP JP2010138924A patent/JP2012003100A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013218212A (ja) * | 2012-04-11 | 2013-10-24 | Canon Inc | 画像形成装置、及びその制御方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4795379B2 (ja) | 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 | |
JP4302700B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4276269B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4948290B2 (ja) | 定着装置 | |
JP2008058550A (ja) | 定着装置、定着方法、画像形成装置、画像形成方法及び定着液 | |
JP4358896B2 (ja) | 定着液 | |
JP2009103778A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP5263672B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012003100A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP5252288B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP5429597B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012155022A (ja) | 泡生成装置、定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012003110A (ja) | 泡生成装置、定着装置、画像形成装置、定着方法及び画像形成方法 | |
JP5333929B2 (ja) | 泡生成装置、定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012002964A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP5347435B2 (ja) | 定着液、定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置 | |
JP5327612B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4324242B2 (ja) | 定着方法及び画像形成方法 | |
JP2012242568A (ja) | 定着液、定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012150256A (ja) | 泡生成装置、定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012150352A (ja) | 泡生成装置、定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP2010271503A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2011022571A (ja) | 泡生成装置、定着装置、画像形成装置、定着方法及び画像形成方法 | |
JP2012093467A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012042643A (ja) | クリーニング装置、定着装置及び画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20130903 |