JP2012042643A - クリーニング装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

クリーニング装置、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Tetsuro Sasamoto
哲朗 笹本
Seiji Yamada
征史 山田
Takanori Inatome
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Abstract

【課題】残留泡状定着液等の回収率を向上させることができる。
【解決手段】定着液付与対象の記録媒体114に付与されないで塗布ローラ40に付着した状態の泡状定着液である残留泡状定着液を除去するクリーニング手段43が塗布ローラ40のニップ部より下流側に設けられている。このクリーニング手段43は、塗布ローラ40のローラ面から残留泡状定着液やトナーを除去し、収容ケーシング45の収容空間内に一旦収容する。そして、フィン46を塗布ローラ40のローラ面の表面移動方向に直交する方向である幅方向に移動させ、収容空間内の残留泡状定着液やトナーを塗布ローラ40の一端側へ押し寄せる。そして、フィン46を楔形ブレード47に押し当てる。これにより、フィン46に付着している残留泡状定着液やトナーを楔形ブレード47で剥ぎ取る。よって、残留泡状定着液等の回収率が向上する。
【選択図】図6

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられるクリーニング装置、並びに、これを備えた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広く使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。
一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方法としては、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1の定着方法は、泡状定着液生成手段によって樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤を少なくとも含んだ液状定着液に気泡を大量に含有して生成した泡状定着液が極めて嵩密度が低いことに着目した定着方法である。この定着方法によれば、上記泡状定着液を定着液供給口から塗布手段である塗布ローラ上に付与する。そして、この塗布ローラを記録媒体に当接させて塗布ローラ上の泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子層に塗布することで、樹脂微粒子を記録媒体に定着している。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度を下げることができるため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラの表面上の定着液の膜厚を厚くすることができ、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することができ、泡状定着液は液状定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。
上記特許文献1に記載の定着装置のように、塗布ローラを用いて泡状定着液を記録媒体に塗布する構成の場合、記録媒体に泡状定着液を塗布した後塗布ローラに残った残留泡状定着液を回収する回収部材を設けることが望ましい。これは、記録媒体に泡状定着液を塗布する塗布位置を通過した後の塗布ローラには記録媒体に塗布しきれずに残った残留泡状定着液が付着しており、この残留泡状定着液を回収するためである。この残留泡状定着液は、泡状定着液として塗布ローラに供給された後塗布位置で機械的な力を受けているため、泡の一部が消泡するなど、塗布ローラに供給されたときよりも定着液の密度が上昇する。このため、塗布ローラに残留泡状定着液が残留している状態で新たな泡状定着液を塗布ローラに供給すると、密度が異なる泡状定着液が混ざって記録媒体に泡状定着液を均一に付与することができなくなる虞がある。更に、泡状定着液を用いることにより、オフセットして塗布ローラに付着するトナーは液状定着液を用いる構成に比べて少なくなるものの、オフセットは起こり得るものであり、オフセットしたトナーが記録媒体に再転写され、画像劣化となる虞がある。このように、記録媒体に付与する泡状定着液が不均一になったり、オフセットしたトナーが記録媒体に再転写されたりすることを防止するために、塗布ローラのローラ面に回収ブレードを当接して残留泡状定着液を回収して塗布ローラのローラ面をクリーニングすることが望ましい。更に、泡状定着液は液状定着液に気泡を大量に含有して生成されて嵩が多い状態となっているため、連続印刷時においては回収ブレードで回収した残留泡状定着液がオーバーフローするので随時又は定期的に回収する必要がある。この回収する手段の一例として、特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2の回収手段は、塗布ローラのローラ面に当接しながら塗布ローラの軸に対して略平行に移動可能な泡寄せ板を塗布ローラのローラ軸方向における一端側の移動開始位置から他端側の移動終了位置へ移動させてローラ面上の残留泡状定着液を寄せ集めて回収するものである。そして、回収された残留泡状定着液は他端側に置かれている泡貯蔵部に自重で移動して貯蔵される。残留泡状定着液の回収が終わった後は泡寄せ板を塗布ローラ面の当接を解除し、塗布ローラ面の残留泡状定着液に接しないようにしながら移動終了位置から移動開始位置へ戻して次の泡寄せ移動に準備する。
しかしながら、泡状定着液は粘着性を有しているため、残留泡状定着液の回収が終わった後でも泡貯蔵部に移動せずに泡寄せ板に付着したままの残留泡状定着液が泡寄せ板に残る。このまま泡寄せ板を移動開始位置へ戻すと、付着した泡状定着液の液量だけ回収する泡状定着液の液量が減ることになる。これにより、残留泡状定着液の回収率が悪くなるという不具合があった。
このような問題は、塗布部材の表面上の泡状定着液を用紙などの最終的な記録媒体に塗布する構成の塗布部材のクリーニング装置に限らず、中間転写体などの中間的なトナー像担持体に泡状定着液を塗布する構成でも生じ得る。また、定着液として泡状定着液を塗布する構成に限るものではなく、通常の液状の定着液を塗布する構成でも、塗布部材から定着液を除去し、除去した定着液を移動部材によって幅方向に寄せる構成であれば同様の問題を生じ得る。また、クリーニング装置によってクリーニングを行う被清掃体としては塗布部材に限るものではない。例えば、中間転写体上のトナー像に定着液を付与して、定着液が付与されたトナー像を転写位置で記録媒体に転写し、転写位置を通過した中間転写体の表面に残留した定着液を除去する構成であっても同様の問題は生じ得る。更に、クリーニング装置によって被清掃体から除去される付着物としては、定着液に限るものではない。被清掃体から付着物を除去し、除去した付着物を移動部材によって幅方向に寄せる構成であれば同様の問題を生じ得る。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的は付着物の回収率を向上させることができる、クリーニング装置、定着装置及び画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面移動する被清掃体の表面上の付着物を除去する除去手段と、該除去手段によって除去された上記付着物が進入する開口部及び該開口部から進入した上記付着物を収容する収容空間を形成する収容ケーシングと、上記被清掃体の表面の表面移動方向に直交する方向である幅方向に上記収容空間内で移動部材を移動させることで、上記収容空間内に収容した上記付着物を上記移動部材で押し、上記収容空間の幅方向の端部に上記付着物を寄せる付着物幅方向寄せ手段と、移動してくる上記移動部材に押し当てて、上記移動部材によって押し寄せられた上記付着物を上記移動部材から除去する付着物除去手段と、を有することを特徴とするクリーニング装置である。
また、請求項2の発明は、請求項1記載のクリーニング装置において、少なくとも回動可能な一方の回転体と他の回転体に張架した無端状ベルトに、上記移動部材を取り付け、上記無端状ベルトが回動することで、上記移動部材が上記収容空間内を循環移動することを特徴とするものである。
更に、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、上記移動部材は柔軟性を有する部材で構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1記載のクリーニング装置において、上記付着物除去部材の形状は楔形をなしていることを特徴とするものである。
更に、請求項5の発明は、請求項1記載のクリーニング装置において、上記収容空間内に備えた上記付着物除去部材の下方となる上記収容ケーシングの一部に、上記付着物除去部材によって除去した上記付着物を上記収容ケーシング外に排出する開口部を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂を含有する樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有した液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、上記泡状定着液を定着液付与対象の表面に付与する泡状定着液付与手段とを有し、上記泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、上記定着液泡状化手段によって上記泡状定着液になり、上記定着液付与対象に付与されず、表面移動体に付着した状態の上記泡状定着液である残留泡状定着液を付着物として除去する泡状定着液クリーニング手段を備え、該泡状定着液クリーニング手段として、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする定着装置である。
更に、請求項7の発明は、請求項6記載の定着装置において、上記泡状定着液付与手段は、表面移動する表面に供給された上記泡状定着液を、上記定着液付与対象と対向する塗布位置で定着液付与対象の表面に塗布する塗布部材を有し、上記クリーニング装置を、上記塗布位置を通過した後の上記塗布部材の表面上の残留泡状定着液をクリーニングする塗布部材クリーニング手段に用いることを特徴とするものである。
更に、請求項8の発明は、請求項6又は7に記載の定着装置において、上記クリーニング装置は、上記収容ケーシングの幅方向の端部に、上記付着物幅方向寄せ手段によって収容空間の幅方向の端部に寄せられた上記残留泡状定着液が受け渡され、受け渡された上記残留泡状定着液を消泡して液状とする消泡手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、樹脂と色剤とを含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上に画像情報に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面となる定着液付与対象の表面に泡状定着液を塗布し、上記記録媒体上に上記トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、上記定着手段として、請求項6〜8のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、除去手段によって被清掃体の表面上から除去された付着物はその一部に開口部が設けられた空間に進入し、収容される。開口部が設けられた空間内に収容された付着物は、被清掃体の表面の表面移動方向に直交する方向である幅方向に移動部材が空間内を移動することで幅方向の一端側に寄せられる。この後、移動部材は幅方向の他端側に戻って再び幅方向の一端側に向かって移動して付着物を押し寄せるであるが、付着物の一部が付着したままの移動部材を用いるため回収する量が減ることになる。このため、付着物除去手段を、移動してくる移動部材に押し当てて、移動部材に付着している付着物を除去する。これにより、付着物が付着していない移動部材によって幅方向の一端側に向かって移動して付着物を押し寄せるため、除去される付着物は減らない。よって、付着物の回収率が向上する。
以上、本発明によれば、付着物の回収率が向上するという優れた効果がある。
本実施形態の画像形成装置の構成を示す概略構成図である。 泡状定着液を用いた定着のメカニズムを示す概略図である。 塗布時の泡状定着液の層構成例を示す概略図である。 泡状定着液生成手段の構成を示す概略構成図である。 本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置の構成を示す概略図である。 クリーニング手段の構成を示す概略透視図である。 クリーニング手段の構成を示す斜視図である。 楔形ブレードによるフィンから残留泡状定着液の除去動作の様子を示す概略断面図である。
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は本実施形態の画像形成装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタ、それらの機能の複合機であってもよい。図1の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略構成図であり、図1の(b)は図1の(a)の本実施形態の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す概略構成図である。図1の(a),(b)に示す本実施形態の画像形成装置100はトナー像担持体として中間転写ベルト101を有する。この中間転写ベルト101は、3つの支持ローラ102〜104に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト101に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット105〜108が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ104に対向する位置には、二次転写装置109が設けられている。二次転写装置109は、2つの支持ローラ110,111の間に張架された二次転写ベルト112で構成されている。なお、二次転写装置109としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ102に対向する位置には、ベルトクリーニング装置113が配置されている。ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト101上に残留するトナーを除去するために配置されている。
また、図1の(b)に示す画像形成ユニットについて説明すると、画像形成ユニット105〜108には、感光体ドラム116の周辺に、帯電装置117、露光装置(図示せず)から照射された画像信号に応じたレーザ光L、現像装置118、クリーニング装置119及び除電装置120が配置されている。また、中間転写ベルト101を介して、感光体ドラム116に対向する位置に、一次転写装置121が設けられている。また、帯電装置117は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置117は、帯電ローラを感光体ドラム116に接触させて、感光体ドラム116に電圧を印加することにより、感光体ドラム116の表面を一様に帯電する。この帯電装置117としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置118は、現像剤中のトナーを感光体ドラム116上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は本実施形態における泡状定着液により溶解又は膨潤する材料である。
更に、現像装置118は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置121は、感光体ドラム116上で可視化されたトナーを中間転写ベルト101に転写する。ここでは、一次転写装置121としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト101を挟んで感光体ドラム116に押し当てている。一次転写装置121としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置119は、感光体ドラム116上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置119としては、感光体ドラム116に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置119によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置118に回収され、再利用される。更に、除電装置120は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム116の表面電位を初期化する。
そして、記録媒体としての記録紙114は、図示しない極性基生成部2によってコロナ放電処理を施された後一対の給紙ローラ115で二次転写部へ導かれ、トナー像が記録紙114に転写される。その際に、二次転写ベルト112を中間転写ベルト101に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙114は、二次転写ベルト112によって本実施形態における定着装置1に搬送される。本実施形態の定着装置1において、記録紙114に転写された未定着のトナー像は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる軟化剤を含有した液状定着液から生成された泡状定着液によって表面活性化処理された記録紙104に定着される。
次に、本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置に関して詳細に説明する。
はじめに、泡状定着液を用いた定着方法の原理について概説すると、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を含有した泡状定着液を、媒体上の樹脂微粒子に付与して媒体上の樹脂微粒子を軟化させ、該樹脂微粒子を媒体に定着する定着方法である。言うまでもないことだが、ここで、表記している樹脂微粒子とは、特に何であるかを限定はしないが、画像形成装置に適用した場合であればトナーのことを指す。
そして、泡状定着液を用いた定着のメカニズムを以下に概説すると、図2に示すように、後述する泡状定着液生成手段によって定着液を泡で構成された泡状定着液を用いていることで、定着液のカサ密度を低くできると共に塗布ローラ11上の定着液層を厚くできる。更には、定着液の表面張力による影響が抑えられるため、塗布ローラ11への樹脂微粒子のオフセットを防止できることがわかった。更に、樹脂微粒子の大きさが5[μm]〜10[μm]程度の場合、微粒子層を乱すことなく泡状定着液14を樹脂微粒子層13に付与するには、泡状定着液の泡径範囲が、5[μm]〜50[μm]程度が必要であることがわかった。なお、図3に示すように、気泡22で構成された泡状定着液20は、気泡22のそれぞれを区切る液膜境界(以下、プラトー境界と称す)21から構成される。
定着液は軟化剤を含有しており、この軟化剤は、一般的に消泡作用が強い。このため、本実施形態の定着装置1のように、液状の定着液を泡状定着液として用いる場合、定着液中の軟化剤の濃度が高いほど、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、起泡し難くなったり、泡状定着液が破泡し易くなったりするおそれがある。起泡し難いと嵩密度の低いの泡状定着液を得ることが出来ず、所望の嵩密度の泡状定着液を得たとしても、泡状定着液が破泡し易いと定着ニップで完全に破泡してしまい液状定着液を塗布する構成と同様の問題が生じる。また、起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができ、起泡剤として優れている。アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。ここで、泡沫安定性とは、泡状となった定着液が液状となり難い性質をいう。本実施形態の定着装置で未定着トナーに付与する泡状定着液としては、泡の状態で1分間放置しても消泡せず、泡の状態を保てる程度の泡沫安定性を有することが望ましい。
本発明者らは、定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性及び泡沫安定性の劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献1にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。上記非特許文献1には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
これに対して、本発明者らは、起泡剤として炭素数12から18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12から18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できることを見出した。軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12から18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16、)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。
ここで、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基が定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、炭素数12から18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。このため、定着液中には、単独の脂肪酸塩を含有させても良いが、炭素数12から18の脂肪酸塩を混合して含有させる方がさらに優れている。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが望ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の重量比で、0:6:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1などが適する。
ところで、定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。軟化剤の濃度として、10[wt%]未満では、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、軟化剤の濃度が10[wt%]以上、特に軟化剤の濃度が30[wt%]以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような軟化剤の濃度が30[wt%]となる定着液において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
但し、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、またはは大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5から1:9の範囲とした場合起泡性が優れている。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで、脂肪酸がステアリン酸の組合せや脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸のような炭素数が12から18の範囲で異なる組合せであってもよい。要は、炭素数12から18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、他のアニオン系界面活性剤、例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES)を起泡剤として、炭素数12から18の脂肪酸を含有した定着液であっても、軟化剤濃度増加による起泡性が悪くなるのを防止する効果があることがわかった。但し、最も組み合わせとして優れているのは脂肪酸塩との組合せである。
更に、脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸アミンが適している。更に、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5から1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミンを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
ところで、定着液中の軟化剤濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる。そこで、検討した結果、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、多価のアルコール類の含有量は、1[wt%]から30[wt%]の範囲が適当である。30[wt%]より多い含有量では、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
一方、一般的に0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目した。そして、大きな泡から素早く5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることがわかった。
そして、大きな泡を生成した後大きな泡を分泡し微小な処方の泡を生成する泡状定着液生成手段30における大きな泡生成部としては、図4に示すように、定着液容器31内の液状定着液32を搬送ポンプ33及び液搬送パイプ34等の液輸送手段を用いて気体液体混合部35へ供給する。この気体液体混合部35には、液の流れとともに空気口36に負圧が発生し、空気口36から気体が気体液体混合部35に導入されて液体と気体が混合する。更に、微小孔シート37を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30[μm]〜100[μm]程度が望ましい。図4の微小孔シート37に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30[μm]〜100[μm]程度を有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も望ましい。
次に、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化するために、大きな泡にせん断力を加えるための、図4に示すような泡状定着液生成手段30における微小な泡生成38として、閉じた二重円筒で、内側円筒38−1が回転可能な構成とする。そして、外部円筒の一部より、気体液体混合部35から大きな泡状定着液が供給され、回転する内側円筒38−1と外部円筒38−2の隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受ける。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒38−2に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部を組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
次に、定着液容器から液状定着液を泡化する機構に搬送する手段としては、図4では搬送ポンプを用いている。搬送ポンプとしては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが望ましい。ギヤポンプ等ごとく定着液中で振動機構や回転機構があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。なお、泡状の定着液のかさ密度としては、0.01[g/cm]〜0.1[g/cm]程度の範囲が望ましい。更に、定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂含有微粒子の層への塗布時に泡状となっていればよく、保存容器内で泡状である必要はない。保存容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂含有微粒子の層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器では液体で、容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
次に、本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置の構成について説明する。図5は本実施形態の画像形成装置に搭載された定着装置の構成の一例を示す概略図である。同図において、図1及び図4と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。泡状定着液生成手段30は、上述したように、液体状の定着液から大きな泡を生成した後、大きな泡を分泡して微小な泡を生成することにより、泡状定着液を生成している。この泡状定着液L’は、泡状定着液供給手段39を介して塗布ローラ40上であって膜厚調整手段の膜厚調整用ブレード41が作用する部分の上流側に供給され、塗布ローラ40上に均一に薄層化される。膜厚調整用ブレード41は、泡状定着液L’を薄層化して最適な膜厚を形成している。ここで要求される膜厚は、塗布ローラ上に定着の際に最適値となる膜厚のことである。塗布ローラ40上に均一に薄層化された泡状定着液L’は、媒体上の未定着トナー層Tに付与され、トナー粒子T’を媒体に定着させている。
そして、媒体114は、塗布ローラ40と加圧ローラ42によって挟み込まれて搬送されており、これらの加圧力によって薄層化された泡状定着液L’が媒体上に付与されている。また、塗布ローラ40上において、媒体114へ泡状定着液L’を付与する部分の下流位置にはクリーニング手段43が設けられている。クリーニング手段43は、泡状定着液付与動作後に塗布ローラ40上に残留した泡状定着液L’やオフセットしたトナーTを回収して塗布ローラ40のローラ面をクリーニングするために設けられている。塗布ローラ40は、媒体114上のトナーTに対して、泡状定着液L’をコンタクトしながら付与するという機能を持っている。したがって、理想的な状態としては、媒体114が塗布ローラ40とのコンタクト部を通過した後は、塗布ローラ40上の泡状定着液L’が全て媒体114上のトナーTに付与され、塗布ローラ40がクリーンな状態であるということになる。しかし、現実的には部品や組み付けのばらつき、環境変動、経時変動等の影響により、全てのプロセスが理想どおりに進むとは考えにくい。実際問題としては、塗布ローラ40上に残留泡状定着液L’や、オフセットされたトナーTが残留することが懸念される。残留したままだと、塗布ローラ40が1周したときに、供給する泡状定着液L’の供給量が不安定になったり、またオフセットされたトナーTが媒体114に再転写して、記録画質の低下を招く恐れがある。更には、トナーTを含んだ残留泡状定着液L’が循環することになり、泡状定着液L’が汚れたり、定着液として品質が低下する恐れがある。したがって、塗布ローラ40に残留した残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTをクリーニングする必要がある。そこで、本実施形態の定着装置にはクリーニング手段43を設けている。
図6はクリーニング手段の構成を示す図である。同図は、図5の点線で囲んだ部分の塗布ローラの軸方向から透視した拡大透視図である。また、図7はクリーニング手段の構成を示す平面図である。両図において、図5と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図6、図7に示すクリーニング手段43は、大きく分けると泡状定着液回収手段と泡貯蔵手段に分けられる。泡状定着液回収手段は、塗布ローラ40上の残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを塗布ローラ40から除去し、それを泡貯蔵手段まで運搬する機能を主な機能とする。構成としては、主に、ブレード44、収容ケーシング45、泡寄せ手段としてのフィン46、泡寄せ手段駆動手段としてのプーリー47、ベルト48、駆動源としてのモータ49を含んで構成している。
そして、ブレード44は、塗布ローラ40の軸方向長さと概略同等の長さを持ったものであり、塗布ローラ40のローラ面に適切な圧力で当接されるように、塗布ローラ40の軸方向と概略平行に設けられている。ブレード44の機能は、塗布ローラ40から残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを引き剥がして収容ケーシング45に取り込んで溜めることである。このため、効率のいい引き剥がしが要求される。よって、通常はカウンターポジションで設けられる。つまり、塗布ローラ40の回転方向にブレード44が立っている方向が向かい合っているポジションである(図6参照)。トレーリングポジションに対して、残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTのすり抜け量が小さいということは言うまでもない。ブレード44の材質としては、塗布ローラ40を傷つけないということから、ゴム、樹脂系のものが望ましい。一般的なクリーニングブレードはゴム製のものが多いが、厚さの薄い樹脂のブレードを用いて弾力効果を持たせているものもある。いずれの場合も、泡状定着液L’と接したときに物性変化を起こさないものが望ましいということは言うまでもない。
また、収容ケーシング45は、ブレード44から見て塗布ローラ40の回転方向の上流側に設けられている。これにより、ブレード44により掻き取られた残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTは、塗布ローラ40が回転している限りは収容ケーシング45内に堆積することになる。このため、残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを飛散させずに収容ケーシング45内に留めておくという役割をこなしている。収容ケーシング45の材質に関しても、泡状定着液L’と接したときに物性変化を起こさないものが望ましいということは言うまでもない。当然ながら、装置の小型化を考えれば、収容ケーシング45のサイズは小さいほうが望ましい。しかし、残留泡状定着液L’は泡状であることから、実際の定着液としての量が少量でも泡であることによって嵩が大きいため、何もしなければ連続通紙で収容ケーシング45から回収した残留泡状定着液L’がオーバーフローすることになる。このため、収容ケーシング45がオーバーフローしないように、定期的に収容ケーシング45内の残留泡状定着液L’を排除することが必要になる。
そこで、収容ケーシング45内の残留泡状定着液L’を排除する機能を果たすのが、泡寄せ手段としてのフィン46である。このフィン46は、回転する駆動プーリー47−1と受動プーリー47−2を張架するように設けられたベルト48に取り付けられている。このフィン46は塗布ローラ40の軸に対して概略直角な面を持つ柔軟性を有している。そして、このフィン46は楔形ブレード50に当接しながら、塗布ローラ40の軸方向に沿って移動する。フィン46の形状は収容ケーシング45とブレード44と塗布ローラ40で構成される内側の空間の断面形状に概略等しい形状であることが望ましい。この構成及び動作によって、収容ケーシング45内の残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを、ブレード44に当接しながらブレード44から掻き取りながら移動する。フィン46はベルト48に取り付けられており、ベルト48が一方向に移動することでフィン46は楔形ブレード50に達する。そして、図7の点線で囲んだ部分の拡大図である図8の(a)に示すようにフィン46の腹のおよそ中央部を楔形ブレード50の楔の先端に突き当り、図8の(a)〜(d)に示すようにその後も移動し続けることでフィン46から楔形ブレード50の楔の先端で泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを剥ぎ取る。剥ぎ取った泡状定着液L’やオフセットされたトナーTは、図7に示すように、開口部51を通って廃液タンク52に移動して貯蔵される。なお、泡寄せ手段としてフィン以外にブラシを用いてもよく、フィンとブラシとを併用してもよい。
このようにして剥ぎ取ることで、泡状定着液L’やオフセットされたトナーTの体積が増加する側の、楔形ブレード50とフィン46と収容ケーシング45と構成される空間は残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTの体積が増加するので、圧力が発生し、この圧力で残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーを収容ケーシング45の側面の開口部51から押し出すことができる。この時、残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTの体積が増加する側の、楔形ブレード50とフィン46と収容ケーシング45と構成される空間は反対側の空間と極力分離される構造が良い。なぜなら、空間同士の分離が不十分なほど、フィン46から残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを楔形ブレード50で発生する圧力の全部が収容ケーシング45の外に押し出す力にならず、一部の力が収容ケーシング45の内側に向いてしまい、効率が悪くなる。
フィン46の材質としては、フィン46の腹のおよそ中央部を楔形ブレード50の楔の先端に突き当たった後も移動し続けることで、フィン46から楔形ブレード50の楔の先端で残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを剥ぎ取るので、突き当たった後は逃げる方向に変形する必要があるので、柔らかい材質が望ましい。具体的には、薄い板状のマイラやゴムなど、種々のものが考えられる。また、収容ケーシング45や収容ケーシング内部のパーツは、泡状定着液と接したときに物性変化を起こさないものが望ましいということは言うまでもない。更に、収容ケーシング45の側面の開口部51は1個に限定する必要はないし、場所も収容ケーシング45の端に限定する必要も無いが、実験の結果収容ケーシング45の端に1個設けるだけで残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTを十分収容ケーシング45の外に押し出すことができた。収容ケーシング45の側面の開口部51から排出された残留泡状定着液L’やオフセットされたトナーTは、貯蔵手段としての廃液タンク52(図6及び図7参照)に導かれる。貯蔵手段としての廃液タンク52を構成する材質に関しては、泡状定着液と接したときに物性変化を起こさないものが望ましいということは言うまでもない。当然ながら、装置の小型化を考えれば、廃棄手段の容量は小さいほうが望ましい。しかし、泡状定着液は泡状であることから、実際の定着液としての量が少量でも泡であることによって嵩が大きいため、何もしなければ連続通紙で廃棄手段としての廃液タンク52から泡がオーバーフローすることになる。
そこで、最も好ましい手法としては、泡状定着液を液化、すなわち消泡することである。消泡することによって、泡状定着液のかさは劇的に減少する。また、廃棄手段としての廃液タンク52に至る途中に消泡手段を設け、液化すれば液体になることによって体積あたりの重量が格段に大きくなるので、重力によって容易に下方へ移動するのでポンプを使用しなくても、移動できるようになる。もちろん、ポンプ等を使えば更に単位時間当たりの移動量を多くできる。泡に比べ液体の方が圧縮しても体積変化が少なく、また、チューブ内を移動する際の抵抗が小さいからである。以上のことから、泡状定着液を消泡して液化させることは大きな課題であると考えられる。
一般的に泡は、何もしないまま長時間放置すれば自動的に消えて液化するものが多い。よって、1枚や2枚程度の通紙ならば、泡貯蔵手段内に収まるくらいの回収量で済み、その後長時間使用しないならば問題とはならない。しかし、多数枚の連続通紙や、頻繁に断続的に使用される場合については、泡状定着液が時間と共に自然に消泡されるスピードに対して、泡状定着液回収手段からの泡状定着液の供給の方が速くなり、泡貯蔵手段がオーバーフローしてしまう。故に、強制的に消泡する手段への移送が必要となってくる。強制的に消泡する手段としてはいくつか考えられるが、可能な限り短時間で消泡できる手段が望ましい。アルコール等の溶剤を用いる手段や一つだが、定着装置、画像形成装置では、定着液を用いている以上、用意する液体を増やすのは、機械の取り扱いが煩雑になることが懸念され、しかもアルコール類は引火の恐れがあり、使用が難しい。また、熱による消泡も可能である。一般的に液体に熱を与えると、粘度や表面張力が低下する。その結果、泡の状態を保つことが困難になり、破泡する。この現象を用いれば簡単に泡状定着液の消泡を行うことができる。本発明の大前提が、熱を使わない定着方法であることから、熱を使って消泡をするという方法は、理念に反するとも考えられるが、実験で確かめたところ回収した量の泡を消泡するためには、消費電力が数10[W]で十分であった。熱定着では、150℃以上の高熱で行われる場合が多く、必要な熱量は1000[W]以上なので、比べ物にならない位小電力といえる。
また、クリーニング手段はクリーニングブレードだけとは限らない。例えば、塗布ローラとクリーニングブレードの間に薄いフィルムを挟み、その薄いフィルムをゆっくり巻き上げることで、常に新しいフィルム面で塗布ローラのクリーニングを行うようにしてもよい。これに対しても本発明の適用は可能である。しかし、薄いフィルム貼り付いている泡状定着液やオフセットされたトナーをクリーニングブレードに貼り付いている泡状定着液やオフセットされたトナーを同じように、回転する駆動プーリーと受動プーリーを張架するように設けられたベルトに取り付けた、塗布ローラの軸に対して概略直角な面を持つ柔軟性を有するフィンを、楔形ブレードに当接しながら、塗布ローラの軸方向に沿って移動させると、薄いフィルムに塗布ローラの軸方向の力を加えることになるので、薄いフィルムの偏りや皺を発生させてしまう。そこで、薄いブレードを接触させて、その薄いフィルムをゆっくり巻き上げることで、薄いフィルム貼り付いている泡状定着液やオフセットされたトナーを削ぎ取る。薄いフィルムの移動方向は塗布ローラの軸方向と直角の方向なので薄いフィルムの偏りや皺を発生させる事は無い。一旦、薄いフィルム貼り付いている泡状定着液やオフセットされたトナーを薄いブレードで削ぎ取った後に、このブレードから、回転する駆動プーリーと受動プーリーを張架するように設けられたベルトに取り付けた、塗布ローラの軸に対して概略直角な面を持つ柔軟性を有するフィンを、このブレードに当接しながら、塗布ローラの軸方向に沿って移動させればよい。つまり、薄いフィルムから薄いブレードで泡状定着液やオフセットされたトナーを削ぎ取った後の構造と動作はクリーニングブレードに薄いブレードに置き換わったと考えれば良い。
次に、定着液の液処方について説明する。泡状の定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
また、起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましい。脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。但し、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助け、5℃〜15℃までの低気温において、優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において定着の安定を可能とし、また、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中分離を防止することができる。
更に、飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸が適する。炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、当該定着液を用いるオフィス・家庭で用いる画像形成機器に適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまう。これらの飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
更に、上記飽和脂肪酸塩又は不飽和脂肪酸塩において、当該定着液の起泡剤として用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切な泡状となっていることが必須であるが、上記の脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに最も短時間で起泡し、泡状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を最も短時間でつくることができる。
樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3[g/kg]よりも大きい、更に好ましくは5[g/kg]であることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、 R1COOR2 で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
また、本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、 R3(COOR4) で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本実施形態における定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本実施形態における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、 R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として適する。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂含有微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、媒体は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が望ましい。記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙のごとき媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本実施形態は適用できる。
上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本実施形態の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1重量%以下である性質を意味する。
また、泡状となった定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20〜30[mN/m]であることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30[mN/m]とすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。なお、定着中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
また、トナーの定着装置は、本実施形態における定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
次に、定着液の具体的な処方の例を以下に示す。
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
以上説明したように、本実施形態によれば、図6及び図7に示すように、定着液付与対象の記録媒体114に付与されず、塗布ローラ40に付着した状態の泡状定着液である残留泡状定着液を除去するクリーニング手段43を塗布ローラ40のニップ部より下流側に設ける。このクリーニング手段43は、塗布ローラ40のローラ面から残留泡状定着液やトナーをブレード44により除去し、収容ケーシング45の収容空間内に一旦収容する。そして、フィン46を塗布ローラ40のローラ面の表面移動方向に直交する方向である幅方向に移動させ、収容空間内の残留泡状定着液やトナーを塗布ローラ40の一端側へ押し寄せる。そして、フィン46を楔形ブレード47に押し当てる。これにより、フィン46に付着している残留泡状定着液やトナーを楔形ブレード47で剥ぎ取る。そして、残留泡状定着液やトナーが付着していないフィン46が再び収容空間内を移動して残留泡状定着液やトナーを塗布ローラ40の一端側へ押し寄せる。これにより、除去される付着物が減ることはない。残留泡状定着の回収率を向上させることができる。
また、実施形態によれば、図7に示すように、フィン46は駆動プーリー47−1と従動プーリー47−2との間に張架された無端のベルト48に取り付けられている。そして、無端状のベルト48が2つのプーリーの周りを移動することで、フィン46は収容ケーシング45の収容空間内を循環移動する。よって、同一方向への回転だけでよいため簡単な構成でよく、簡易な回転制御でよい。
更に、実施形態によれば、図8に示すように、フィン46が柔軟性を有する部材で構成されている。これにより、楔形ブレード47に押し当てたときに、楔形ブレード47の先端がフィン46の表面により多く当接され、フィン46に付着している残留泡状定着液やトナーをより多く除去することができる。
また、収容ケーシング45内に備えた楔形ブレード47の下方となる上記収容ケーシング45の一部に、楔形ブレード47によって除去した残留泡状定着液やトナーを収容ケーシング45の外に排出する開口部51を設けた。これにより、収容ケーシング45の収容空間での残留泡状定着液やトナーが溢れ出ることを防止できる。
更に、実施形態によれば、収容ケーシング45の幅方向の端部に、フィン46によって収容空間の幅方向の端部に寄せられた残留泡状定着液やトナーを消泡して液状とすることで、残留泡状定着液の回収許容量を増加することができる。
また、本実施形態の画像形成装置100は、図1に示すように、樹脂と色剤とを含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙上に画像情報に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段である作像部(各色の画像ステーション、中間転写ユニット等)を有する。また、画像形成装置100は、未定着トナーTを担持する記録媒体である転写紙の表面となる定着液付与対象の表面に泡状定着液を塗布し、転写紙上にトナー像を定着せしめる定着手段を備える。そして、この定着手段として、本実施形態のクリーニング装置を備える定着装置を用いることにより、省電力で小型化が可能であり、更に信頼性の高い画像形成装置を実現することができる。
1 定着装置
30 泡状定着液生成手段
39 泡状定着液供給手段
40 塗布ローラ
41 膜厚調整用ブレード
42 加圧ローラ
43 クリーニング手段
44 ブレード
45 収容ケーシング
46 フィン
47 プーリー
48 ベルト
49 モータ
50 楔形ブレード
51 開口部
52 廃液タンク
100 画像形成装置
114 記録媒体
特許第3290513号公報 特開2010−122393号公報
石井淑夫著,「泡のエンジニアリング」初版,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489

Claims (9)

  1. 表面移動する被清掃体の表面上の付着物を除去する除去手段と、
    該除去手段によって除去された上記付着物が進入する開口部及び該開口部から進入した上記付着物を収容する収容空間を形成する収容ケーシングと、
    上記被清掃体の表面の表面移動方向に直交する方向である幅方向に上記収容空間内で移動部材を移動させることで、上記収容空間内に収容した上記付着物を上記移動部材で押し、上記収容空間の幅方向の端部に上記付着物を寄せる付着物幅方向寄せ手段と、
    移動してくる上記移動部材に押し当てて、上記移動部材によって押し寄せられた上記付着物を上記移動部材から除去する付着物除去手段と、
    を有することを特徴とするクリーニング装置。
  2. 請求項1記載のクリーニング装置において、
    少なくとも回動可能な一方の回転体と他の回転体に張架した無端状ベルトに、上記移動部材を取り付け、上記無端状ベルトが回動することで上記移動部材が上記収容空間内を循環移動することを特徴とするクリーニング装置。
  3. 請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
    上記移動部材は柔軟性を有する部材で構成されていることを特徴とするクリーニング装置。
  4. 請求項1記載のクリーニング装置において、
    上記付着物除去部材の形状は楔形をなしていることを特徴とするクリーニング装置。
  5. 請求項1記載のクリーニング装置において、
    上記収容空間内に備えた上記付着物除去部材の下方となる上記収容ケーシングの一部に、上記付着物除去部材によって除去した上記付着物を上記収容ケーシング外に排出する開口部を設けたことを特徴とするクリーニング装置。
  6. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂を含有する樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有した液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、上記泡状定着液を定着液付与対象の表面に付与する泡状定着液付与手段とを有し、上記泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、
    上記定着液泡状化手段によって上記泡状定着液になり、上記定着液付与対象に付与されず、表面移動体に付着した状態の上記泡状定着液である残留泡状定着液を付着物として除去する泡状定着液クリーニング手段を備え、
    該泡状定着液クリーニング手段として、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリーニング装置を用いることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項6記載の定着装置において、
    上記泡状定着液付与手段は、表面移動する表面に供給された上記泡状定着液を、上記定着液付与対象と対向する塗布位置で定着液付与対象の表面に塗布する塗布部材を有し、上記クリーニング装置を、上記塗布位置を通過した後の上記塗布部材の表面上の残留泡状定着液をクリーニングする塗布部材クリーニング手段に用いることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項6又は7に記載の定着装置において、
    上記クリーニング装置は、上記収容ケーシングの幅方向の端部に、上記付着物幅方向寄せ手段によって収容空間の幅方向の端部に寄せられた上記残留泡状定着液が受け渡され、受け渡された上記残留泡状定着液を消泡して液状とする消泡手段を備えることを特徴とする定着装置。
  9. 樹脂と色剤とを含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上に画像情報に基づいてトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面となる定着液付与対象の表面に泡状定着液を塗布し、上記記録媒体上に上記トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、上記定着手段として、請求項6〜8のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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