JP2010271503A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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夕子 有住
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史育 金子
Yukimichi Someya
幸通 染矢
Takahiko Matsumoto
貴彦 松本
秀和 ▲柳▼沼
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Abstract

【課題】 本発明は、定着前は高い定着能力を維持し、定着時は樹脂微粒子を素早く媒体へ定着させ、定着後は定着能力が低下して定着画像同士のブロッキングが生じない定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本発明の定着装置は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂含有微粒子を軟化させる定着液をフォーム化し、フォーム化したフォーム状定着液の膜厚を制御して樹脂含有微粒子に付与し定着させる。そして、本発明の定着装置は、少なくとも軟化剤を含有する軟化剤含有液を収納する軟化剤含有液収納手段と、少なくとも起泡剤とアルカリ性物質を含有する起泡剤含有液を収納する起泡剤含有液収納手段と、各収納手段によって独立した状態で収納された液同士を混合しながらフォーム化してフォーム状定着液を生成する混合フォーム状定着液生成手段とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は定着装置及び画像形成装置に関し、詳細には樹脂を含有した微粒子を媒体に定着させる定着液を用いて樹脂を含有した微粒子であるトナーを定着する技術に関する。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方法としては、例えばトナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方法が、特許文献1に提案されている。
しかしながら、特許文献1の湿式定着方法においては、水に不溶又は難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が、定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、特許文献3には、静電気的方法で形成された未定着画像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に固着できる定着方法に用いることのできる定着用溶液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤100容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の未定着トナー画像の定着用溶液が提案されている。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
しかしながら、上記いずれの特許文献においても、定着液を未定着トナー層に付与する構成であるが、図8に示すように接触付与手段として、塗布ローラ1を用いて、記録媒体2上の未定着トナー層3へ定着液を塗布する構成において、定着液を記録媒体2に微量付与するために、図8の(a)に示すように、塗布ローラ1上の定着液層4の厚みが未定着トナー層3よりも薄い場合、塗布ローラ1が記録媒体2から剥離する位置で、塗布ローラ1の表面の定着液の液膜によって生じる表面張力で未定着トナー粒子が引っ張られてしまい塗布ローラ1の表面にトナー粒子が付着し、記録媒体2上の画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、図8の(b)に示すように、塗布ローラ1上の定着液層4の厚みを未定着トナー層3よりも十分厚くすると、塗布ローラ1が記録媒体2から剥離する位置で、液量が多いため塗布ローラ1の表面の液膜による表面張力が直接トナー粒子に作用しにくくなり、ローラ側にトナーが付着しなくなるが、紙面に多量の定着液が塗布されるため、記録媒体2上で過剰な定着液によりトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じてしまう。また、紙に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。更に、定着液が水を含有する場合、紙等のセルロースを含有する媒体への塗布量が多い場合、紙等の媒体が著しくカールし、画像形成装置などにおける装置内の紙等の媒体搬送時に紙ジャム発生の恐れがある。よって、このような定着液でローラ塗布を行う構成では、定着応答性向上や残液感低減やカール防止ための紙上のトナー層への定着液微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しい。接触塗布手段として、ダイコート手段やブレード塗布手段やワイヤーバー塗布手段を用いた場合も、定着液が微量になると接触塗布手段に表面張力でトナーが付着してしまい、画像劣化が生じる。
以上のように、接触塗布手段にて、従来の定着液処方では、定着応答性を向上するための紙上のトナー層への定着液微量塗布とトナー画像を乱さず均一塗布することを両立することが極めて難しい。また、記録媒体上のトナーに限ったことではなく、媒体上の樹脂含有微粒子層に液状の定着液を付与する構成ではどの場合も生じる問題点である。
そこで、これらの問題点を解決するために、特許文献4によれば、泡状の定着液を紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子に付与することにより、媒体上の樹脂微粒子層を乱すことなく、かつ該樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残液感が発生しない程度の微量塗布が可能になった。
ところで、上記特許文献4の定着液で用いられている軟化剤としての脂肪酸エステルとしては、オフィス環境での使用を考慮し、揮発性有機化合物(VOC)に該当しない材料が選ばれている。そのため、泡状の定着液を塗布して定着を行った場合、脂肪酸エステルは揮発せず、定着画像にとどまることになる。定着液が必要量だけ安定に塗布されていれば問題はないが、定着液が必要量を超えて塗布されてしまうと、例え定着画像に残液感が感じられなくとも、定着画像に過重な圧力が加えられた状態で長時間放置されると、定着画像同士がはりつく、ブロッキングと称する現象が生じる。これは、余剰の脂肪酸エステルにより、媒体上の樹脂微粒子が長期に亘って粘着性を有し、圧力で樹脂微粒子が媒体にはりついてしまうためと考えられる。
このようなブロッキングを防止する手段としては、定着画像にとどまっている余剰の脂肪酸エステルを分解させ、樹脂微粒子に対する軟化能力を低下させる手段が考えられる。なお、エステル化合物が水により加水分解されることは既に公知であり、公知文献の一つの非特許文献1には、エステル化合物が酸性条件や塩基性条件で加水分解される例が記載されている。
また、上記特許文献4の定着液には、溶媒としての水、pH調整剤としてのトリエタノールアミンが含有されているので、軟化剤としての脂肪酸エステルは定着後に徐々に加水分解され軟化能力が低下すると考えられるが、実際はブロッキングを防止できていない。更に、上記特許文献4の定着液は、水とトリエタノールアミンと脂肪酸エステルが一緒に容器に収容されているため、定着前の状態から徐々に加水分解が起こってしまう。それにより、定着前の定着性能が徐々に低下し、定着不良が発生するという問題がある。また、軟化剤の分解物は、定着液の起泡性、泡沫安定性を低下させることがあるため、泡状定着液の泡密度が徐々に高くなり、定着液の塗布量が増え、残液感やカールが発生するという問題がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、定着前は高い定着能力を維持し、定着時は樹脂微粒子を素早く媒体へ定着させ、定着後は定着能力が低下して定着画像同士のブロッキングが生じない定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するために、本発明の定着装置は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂含有微粒子を軟化させる定着液をフォーム化し、フォーム化したフォーム状定着液の膜厚を制御して樹脂含有微粒子に付与し定着させる。そして、本発明の定着装置は、少なくとも軟化剤を含有する軟化剤含有液を収納する軟化剤含有液収納手段と、少なくとも起泡剤とアルカリ性物質を含有する起泡剤含有液を収納する起泡剤含有液収納手段と、各収納手段によって独立した状態で収納された液同士を混合しながらフォーム化してフォーム状定着液を生成する混合フォーム状定着液生成手段とを有することに特徴がある。よって、定着前は高い定着能力を維持し、定着時は樹脂微粒子を素早く媒体へ定着させ、定着後は定着能力が低下して定着画像同士のブロッキングが生じない定着装置を提供することができる。
また、起泡剤はアニオン系界面活性剤であり、炭素数12〜18の脂肪族アルコールを含有することにより、起泡性に優れた泡状定着液を作製できるとともに、生成した泡は泡沫安定性に優れている。
更に、軟化剤がエステル化合物であることにより、樹脂含有微粒子の軟化能力が高く、樹脂含有微粒子を媒体へ素早く定着できる。
また、エステル化合物が脂肪族エステル又は炭酸エステルであることが好ましい。特に、エステル化合物が炭酸エステルであることにより、高濃度になってもアニオン系界面活性剤による起泡性を阻害しない。
更に、別の発明としての画像形成装置は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含む現像剤で静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、上記定着装置により未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段とを具備することに特徴がある。よって、定着液の保存安定性が高く、定着液を安定して微量塗布でき、定着信頼性の高い画像形成装置を提供することができる。
本発明の定着装置によれば、定着前は高い定着能力を維持し、定着時は樹脂微粒子を素早く媒体へ定着させ、定着後は定着能力が低下して定着画像同士のブロッキングが生じない定着液が可能となる。また、定着液の保存安定性が高く、定着液を安定して微量塗布でき、定着信頼性の高い定着が可能となる。
本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。 本実施の形態の定着装置の部分構成を示す概略構成図である。 本実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。 液混合部の構成を示す概略構成図である。 本発明の定着装置における定着液保存容器の構成を示す概略構成図である。 本発明の定着装置における定着液保存容器の別の構成を示す概略構成図である。 別の発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。 従来の定着装置において生じたオフセットの様子を示す概略断面図である。
図1は本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す本実施の形態の定着装置10において、定着液を生成する軟化剤含有液は軟化剤含有液密封容器11に、また起泡剤と少なくともアニオン系界面活性剤とを含有する起泡剤含有液は起泡剤含有液密封容器12にそれぞれ独立した状態で分離して保存されている。定着装置の稼動時に、後述する主制御部22からの駆動制御信号に基づいて液搬送ポンプ13、14によって軟化剤含有液密封容器11からの軟化剤含有液と起泡剤含有液密封容器12からの起泡剤含有液は所望の混合比となるように供給され、所望の混合比の混合液はバブリング槽15へと送られる。そして、後述する主制御部22からの駆動制御信号に基づいてバブリング槽15では混合液が到達するタイミングで空気ポンプ16を作動させ、混合液をバブリングし、大きな泡径のフォーム状定着液を生成する。このときの泡は目視でもわかるくらいの大きな泡である。生成した大きな泡は、泡にせん断力を加えて細かな泡とするフォーム状定着液生成手段17に送られてフォーム状定着液を形成する。このフォーム状定着液生成手段17は2重の円筒部材を有し、内部の円筒部材が軸回転することで内部の円筒部材における外周面と外部の円筒部材における内周面とに発生するせん断力によって大きな泡から所望の泡径の小さな泡を生成するものである。なお、内部の円筒部材の外周面に螺旋状の溝を設けて円筒内での液搬送能力を高くしてもよい。このように生成されたフォーム状定着液は、供給口18から、塗布ローラ19に密接した泡膜厚制御用ブレード20と塗布ローラ19との密接部に供給され、塗布ローラ19上に所望の泡膜を形成する。塗布ローラ19とそれに対峙する加圧ローラ21との間を未定着トナー画像が形成された媒体の記録紙を通すことで、フォーム状定着液の泡膜を未定着トナーに付与し、定着液中の軟化剤によりトナー樹脂が軟化し、加熱することなくトナー画像を紙に定着する。また、主制御部22は、定着装置の起動信号を受けて、液搬送ポンプ13、14の駆動、空気ポンプ16の駆動を制御することで、未定着トナー画像が形成された記録媒体の紙が搬送されるタイミングに合わせて混合、フォーム化を行い、フォーム状定着液を生成することができる。
なお、媒体としては、図1のような記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等の何れでもよい。ただし、媒体は定着液に対し浸透性を有することが好ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が好ましい。媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙等の媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。媒体のうち、記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、加圧ローラ21は弾性層としてスポンジ素材を用いて構成し、媒体の搬送速度に応じて塗布ローラとのニップ幅又はニップ時間を調整可能となる。更には、加圧ローラ21のようなローラ型でなく、ニップ幅を容易に広くすることができる無端状ベルト型でもよい。
ここで、本発明の定着装置において、定着液を泡状化する媒体面全体に対し樹脂微粒子層の厚みに応じて、定着液付与手段である塗布ローラ19の面における泡状定着液の膜厚を制御している。しかし、例えば樹脂微粒子がトナーであり、媒体上にカラー画像や白黒文字が混在する場合、媒体面全体を同じ厚みの泡状定着液層で付与するとカラー写真画像のごとく厚いトナー層では定着不良や画像抜けが生じたり、白黒文字部に粘着感が生じて印刷物同士がくっついたりする部分不具合が生じる場合がある。以下に、その不具合の原因について詳細に説明する。
一般的に0.5mm〜1mm程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5μm〜50μm程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できる。
図1のごとく、主制御部22によって、バブリング槽15へ軟化剤含有液と起泡剤含有液の2つの液が到達するタイミングで空気ポンプを作動させ、2つの液の混合液をバブリングし、定着液を泡状にする。このときの泡は目視でもわかるくらいの大きな泡である。また、別の大きな泡の生成方法としては、バブリング槽内で微小孔シートを通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30μm〜100μm程度が望ましい。微小孔シートに限らず、連泡構造の多孔質部材も適しており、孔径30μm〜100μm程度を有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、バブリング槽内で羽根状攪拌子を用いて攪拌しながら、定着液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成も望ましい。
なお、泡状の定着液のかさ密度としては、0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲が好ましい。更に、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、泡の密度として、0.01g/cm〜0.02g/cmが好ましく、0.02g/cm以下がより好ましい。なぜならば、図1の塗布ローラ19のように、接触付与手段である塗布ローラ19のローラ面の定着液の泡膜は、媒体上の微粒子層の厚み以上であることが必須条件で(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが好ましい。一方、媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)がないためには、定着液付着量として、0.1mg/cm以下が好ましい。このことから、泡の密度としては、0.0125g/cm〜0.02g/cmの範囲が好ましく、0.02g/cm以下の泡の密度がより好ましい。
更に、定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子層への塗布時に泡状となっていればよく、保存容器内で泡状である必要はない。保存容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が好ましい。これは、保存容器では液体で、容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
また、泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚制御は、図1に示すように、塗布ローラ19とギャップを設けた泡膜厚制御用ブレード20を用い、膜厚を薄くするときはギャップを狭くし、膜厚を厚くするときはギャップを広くする。ギャップの制御は泡膜厚制御用ブレード20の端部に駆動を有する回転軸(図示せず)を用い、トナー層の厚さや環境温度等、更には泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調製するための最適な膜厚を制御する。
また、図1の泡膜厚制御用ブレード20のほかに、ワイヤーバーによって塗布ローラ上の泡状定着液の厚みを制御し、泡状定着液は上記のごとく、大きな泡を生成する大きな泡生成部とその大きな泡をせん断力で分泡する微小な泡生成部を有する泡状定着液生成手段によって生成され、液供給口より、泡膜厚制御用ワイヤーバーと塗布ローラの間に滴下する。ワイヤーバーを膜制御手段として用いることで、ブレードに比べ、塗布ローラ面の軸方向の泡状定着液膜均一性が向上する。
なお、本実施の形態の定着装置10の構成において、液搬送部、バブリング槽や泡をフォーム状にする部分では、起泡剤含有液と軟化剤含有液は混合しており、長期放置において軟化剤の化学的分解が起こる。従って、定着終了時もしくは定着開始時に、密封容器からフォーム状定着液供給口までの流路内の定着液は廃棄しておくことが望ましい。更に、廃棄により定着液が無駄に消費されるため、密封容器からフォーム状定着液供給口までの流路内の容積は極力小さいことが望ましい。また、定着液保存容器から軟化剤含有液と起泡剤含有液を搬送する手段としては、図1では液搬送ポンプ13、14を用いている。この液搬送ポンプとしては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが望ましい。ギヤポンプ等ごとく振動機構や回転機構があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が軟化剤含有液や起泡剤含有液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、軟化剤含有液や起泡剤含有液と接する部材はチューブだけであり、軟化剤含有液や起泡剤含有液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
また、起泡剤含有液と軟化剤含有液は、十分均一に混合されないと混合後の泡化の際に起泡性が悪くなり、フォーム状定着液の密度が所望の値よりも高くなり、泡膜形成ができなくなる恐れがある。更には、軟化剤が泡のプラトー境界にて不均一に分布し、定着が不均一になる恐れがある。そこで、図2に示すように、バブリング槽15でも攪拌手段23による攪拌とバブリングの振動で起泡剤含有液と軟化剤含有液を混合する構成もよい。つまり、起泡剤含有液と軟化剤含有液の混合液部と泡化バブリングを発生させる泡化バブリング部を共通とし、その混合泡化バブリング部に回転する撹拌羽根などの撹拌機構を設けている。まず、液同士を撹拌羽根で撹拌し、撹拌しながら空気ポンプより空気を送りこむことで液をバブリングして定着液を泡化する。このようにすることで、起泡性を損なうことなく、泡化しながら泡のプラトー境界で軟化剤を均一にすることができる。また、混合時の液同士の均一性を高めるため、図3に示すように、液同士を混合する際に撹拌機構31を別に設けることが望ましい。この図3では、回転する撹拌羽根を混合容器内に組み込み、泡化バブリングを行う前に十分に起泡剤含有液と軟化剤含有液を撹拌して均一に混合する構成とした。撹拌の仕方としては、その他に、超音波振動などが望ましい。
また、図4に示すように、流路だけの液混合部を設けることも適する。駆動部がないため極めて簡便な混合が可能となる。液混合部40として軟化剤含有液流路41と起泡剤含有液流路42が合流して混合する混合液流路43で構成する。軟化剤含有液流路41の流体抵抗と起泡剤含有液流路42の流体抵抗に対して混合液流路43の流体抵抗を小さくする。このようにすることで混合液流路43の流速が速くなり乱流が形成されるため、起泡剤含有液と軟化剤含有液が十分に混合される。
また、図4の(b)に示すように、軟化剤含有液流路41の流体抵抗Rと起泡剤含有液流路42の流体抵抗Rの逆比率を、軟化剤含有液流路41の体積Iと起泡剤含有液流路42の体積Iの比率に近い設定((1/R):(1/R)≒I:I)とすると、互いの液の供給圧力P1とP2を同じにするだけで、混合後のお互いの体積比率がいつも安定に保つことができ、混合比率の制御を容易にできる。
図5は本発明の定着装置における定着液保存容器の構成を示す概略構成図である。同図に示す定着液保存容器51内には、起泡剤と少なくともアニオン系界面活性剤とを含有する起泡剤含有液を密封した容器52と、軟化剤含有液を密封した容器53とが独立した状態で設けられている。各容器は、アルミ箔をラミネートした樹脂のラミネード容器などが適する。各液容器52,53の先端には各供給口54,55が設けられ、その供給口54,55には連通手段としての封止ゴム56,57がそれぞれ設けられて液を封止している。このような構成を有する定着液保存容器51を定着装置に着脱可能に装着すると、定着装置側から先端が針状となった供給パイプ58,59が定着液保存容器51の各供給口54,55にそれぞれ対峙し、供給パイプ58,59の針状の先端が封止ゴム56,57をやぶって各液容器内とつながる。この構成では、各液容器内の液の混合は定着装置内で行われ、液供給のポンプも定着装置内に設置する。このような定着液保存容器によれば、泡剤液と軟化剤含有液を独立した状態で分離して保存でき、かつ液漏れもなく、着脱自在で交換が容易である。
図6は本発明の定着装置における定着液保存容器の別の構成を示す概略断面図である。同図に示す定着液保存容器61は、樹脂ラミネートで形成されたジャバラ構造の容器である起泡剤含有液保存容器62及び軟化剤含有液保存容器63と、平行可動してジャバラ構造の起泡剤含有液保存容器62及び軟化剤含有液保存容器63の底側から加圧して収納されている液を押し出すための加圧板64,65と、各容器の供給口66,67と、各供給口から供給される2つの液を混合する混合液流路68と、連通手段としての封止ゴム69を具備する混合液供給口70とを有している。また、加圧板64,65に圧力を加えるための加圧アクチュエータ71,72を挿入するために、定着液保存容器61の容器外壁には、孔73,74が設けられている。各供給口66,67は混合液流路68につながり、当該混合液流路68には少なくとも一つの回転可能な撹拌羽根75が設けられている。
このような構成を有する定着保存容器61を本発明の定着装置に装着すると、容器外壁の孔73,74から定着装置内の加圧アクチュエータ71,72が侵入し、加圧板64,65を押す機構となっている。一方、混合液供給口70は封止ゴム69で封止され、定着装置に定着保存容器61が装着されると定着装置側から針を有する供給パイプ76が封止ゴムをやぶって混合流路内に侵入する。定着装置稼動時に、加圧アクチュエータ71,72が作動して加圧板64,65を押し、樹脂ラミネートで形成されたジャバラ構造の容器である起泡剤含有液保存容器62及び軟化剤含有液保存容器63が変形することで各液が各供給口66,67から混合液流路68に供給される。供給後、撹拌羽根75のところで液同士が十分に混合され、定着液保存容器の混合液供給口70より起泡剤と少なくともアニオン系界面活性剤とを含有する起泡剤含有液と、軟化剤含有液とが均一に混合した定着液が供給される。なお、撹拌羽根は回転のための駆動源を持っていても良いが、液の流れで自然に回転する構成でも十分な撹拌能力は得られる。図6の構成では、定着保存容器内で既に起泡剤含有液と軟化剤含有液の均一混合がなされているため、定着装置側は、泡化バブリング機構のみ設置すればよく、定着装置の簡素化が可能となる。
次に、本発明の定着装置における定着液について概説する。本発明の定着装置において用いられる定着液は、軟化剤と、アニオン系界面活性剤と、アルカリ性物質と、溶媒とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
先ず、軟化剤は、樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで該樹脂を含有する微粒子を軟化させる機能を有する。軟化剤としては、エステル化合物であることが好ましい。このエステル化合物は、トナー等の樹脂微粒子に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。エステル化合物の中でも、脂肪族エステル、炭酸エステルが、樹脂の軟化能力が優れている点で特に好ましい。また、後述する起泡剤としてのアニオン系界面活性剤による起泡性を阻害しない点からも好ましい。
軟化剤は、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましく、5g/kg以上であることがより好ましい。脂肪酸エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高いものである。
また、記録媒体に対する樹脂微粒子としてのトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。即ち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明の定着装置における定着液において、好ましくは、飽和脂肪族エステルの一般式は、R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性、膨潤性を向上させることができる。また、一般式R1COOR2で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、該化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、などが挙げられる。これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについて、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解、膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが好ましい。脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の軟化剤を添加することによって、トナーに含まれる樹脂を溶解、膨潤させることができるため、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明の定着液において、好ましくは、脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、一般式R3(COOR4)で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、該化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、本発明の定着装置における定着液において、好ましくは、脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
また、本発明の定着装置における定着液において、好ましくは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
即ち、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、該化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジカルビトール、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
また、これ以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物などが挙げられる。
軟化剤の含有量は、0.5質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜40質量%がより好ましい。含有量が、0.5質量%未満であると、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させる効果が不十分になることがあり、50質量%を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
定着液中の軟化剤濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる場合がある。そこで、溶解助剤として、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、多価のアルコール類の含有量は、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。含有量が、30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
本発明の定着装置における定着液には、軟化剤の分解を促進するために、アルカリ性物質が含有されている。軟化剤はエステル基を有しているため、水と徐々に反応して加水分解されるが、定着液のpHが8以上になるようにアルカリ性物質を含有させると軟化剤と水との反応が飛躍的に促進される。逆に、アルカリ性物質を含有していても定着液のpHが8未満であると、軟化剤の加水分解は非常に遅い。
軟化剤の分解を促進するアルカリ性物質としては、例えば、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア、アミン化合物等が挙げられる。アミン化合物としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、アミルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらの中でも、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンは、軟化剤の分解促進効果が高く、定着液の起泡性、泡沫安定性を低下させないため、特に好ましい。
アルカリ性物質の含有量は、定着液のpHが8〜11となる範囲が好ましく、pH9〜10がより好ましい。定着液のpHが8未満となるアルカリ性物質の含有量だと、軟化剤の分解を十分に促進することができないことがあり、定着液のpHが11を超えるアルカリ性物質の含有量だと、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
アルカリ性物質は、定着液の保存安定性を高めるために、軟化剤とは分離した状態で保管される。アルカリ性物質は、後述するアニオン系界面活性剤とは反応しないため、アニオン系界面活性剤と一緒に保管する構成をとることができる。
アニオン系界面活性剤は優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができ、起泡剤として用いられる。アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。一方、軟化剤は、消泡作用が強く、定着液中で軟化剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、なかなか起泡しなくなり、泡が直ぐに破泡するため泡密度の低い泡状定着液を得ることができなくなる。
そこで、この定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献2にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。また、非特許文献2には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
ところが、後述するように、起泡剤として炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できる。
ここで、軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12〜18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。一方、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基が定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、炭素数12〜18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、定着液中で、単独の脂肪酸塩でもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩を混合する方が更に優れている。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1などが適する。
アニオン系界面活性剤の含有量は、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、起泡性が不十分になることがあり、20質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。軟化剤の濃度として、10質量%未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、軟化剤の濃度が10質量%以上、特に軟化剤の濃度が30質量%以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような軟化剤の含有量が30質量%において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、後述する具体例からわかるように、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、又は大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲とした場合起泡性が優れている。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組み合わせだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで、脂肪酸がステアリン酸の組み合わせや脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸のような炭素数が12〜18の範囲で異なる組み合わせであってもよい。要は、炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、他のアニオン系界面活性剤、例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES)を起泡剤として、炭素数12〜18の脂肪酸を含有した定着液であっても、軟化剤濃度の増加による起泡性が悪くなるのを防止する効果があることがわかった。ただし、最も組み合わせとして優れているのは脂肪酸塩との組み合わせである。
更に、脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、脂肪酸アミン塩が適している。更に、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩を混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
なお、定着液中で、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いても構わない。
泡状定着液において、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が好適である。
本発明の定着装置における定着液においては、起泡剤として脂肪酸塩と脂肪酸を組み合わせて用いているが、アルカリ性物質を加えると起泡性及び泡沫安定性が悪くなることがある。これは、脂肪酸がアルカリ性物質と反応してケン化され、遊離脂肪酸によるスーパーファット効果が低下するためと考えられる。ここに、脂肪族アルコールを少量加えると、起泡性及び泡沫安定性を向上させることがわかった。これは、脂肪族アルコールが遊離脂肪酸と同様の働きをするためと考えられる。脂肪族アルコールとしては、炭素数が12〜18のものが優れている。具体的には、ラウリルアルコール(炭素数12)、ミリスチルアルコール(炭素数14)、セチルアルコール(炭素数16)、ステアリルアルコール(炭素数18)が適する。また、ペンタデシルアルコール(炭素数15)、ヘプタデシルアルコール(炭素数17)なども適する。炭素数が12〜18の脂肪族アルコールの含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%が好ましい。含有量が0.01質量%未満であると、起泡性及び泡沫安定性を向上させる効果が不十分になることがあり、1質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
溶媒としては、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、などが好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加することで、表面張力を20mN/m〜30mN/mとすることが好ましい。アルコール類としては、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点から、例えばセタノール等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。また、これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も好ましい。その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが好ましい。
なお、定着中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
定着の対象となる樹脂を含有する樹脂微粒子としては、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよく、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。
樹脂微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着装置における定着液との組合せにおいて最も定着に対する効果が高い。
トナーは、着色剤と、帯電制御剤と、結着樹脂と、離型剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、などが挙げられる。離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができる。帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
また、泡状となった定着液は、好ましくは、撥水性処理されたトナー粒子に対して、十分な親和性を有することが好ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。即ち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20mN/m〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20mN/m〜30mN/mであることが好ましい。
図7は別の発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略構成図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタであってもよい。図7の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図7の(b)は図7の(a)の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図7の(a),(b)に示す画像形成装置100はトナー像担持体として中間転写ベルト101を有する。この中間転写ベルト101は、3つの支持ローラ102〜104に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト101に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット105〜108が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ104に対向する位置には、二次転写装置109が設けられている。二次転写装置109は、2つの支持ローラ110,111の間に張架された二次転写ベルト112で構成されている。なお、二次転写装置109としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト101を挟んで中間転写ベルト101の支持ローラ102に対向する位置には、ベルトクリーニング装置113が配置されている。ベルトクリーニング装置113は、中間転写ベルト101上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙114は、一対の給紙ローラ115で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙114に転写する際に、二次転写ベルト112を中間転写ベルト101に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙114は、二次転写ベルト112によって搬送され、記録紙114に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する本発明のトナーの定着装置によって定着される。すなわち、記録紙114に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙104に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図7の(b)に示すように、画像形成ユニット105〜108には、感光体ドラム116の周辺に、帯電装置117、露光装置(図示せず)から照射された画像信号に応じたレーザ光L1〜L4、現像装置118、クリーニング装置119及び除電装置120が配置されている。また、中間転写ベルト101を介して、感光体ドラム116に対向する位置に、一次転写装置121が設けられている。また、帯電装置117は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置117は、帯電ローラを感光体ドラム116に接触させて、感光体ドラム116に電圧を印加することにより、感光体ドラム116の表面を一様に帯電する。この帯電装置117としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置118は、現像剤中のトナーを感光体ドラム116上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置118は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置121は、感光体ドラム116上で可視化されたトナーを中間転写ベルト101に転写する。ここでは、一次転写装置121としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト101を挟んで感光体ドラム116に押し当てている。一次転写装置121としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置119は、感光体ドラム116上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置119としては、感光体ドラム116に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置119によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置118に回収され、再利用される。更に、除電装置120は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム116の表面電位を初期化する。
このような本発明の画像形成装置は、上述した本発明の定着装置を用いているので、定着性が良好で紙等の記録媒体がカールすることなく、高品質な画像が形成できる。
次に、本発明の定着装置における軟化剤の残存率の測定実験について概説する。
定着液中の軟化剤の残存率を測定するため、後述する具体例と比較例の定着液を調合し、ガスクロマトグラフィー測定を実施した。各定着液を蓋付きのポリプロピレン容器に入れ、25℃で1時間保存し、保存前後の定着液について、ガスクロマトグラフィー測定を実施した。ガスクロマトグラフィー測定条件について、装置はHEWLETT PACKARD 5890 SERIESII、使用したカラムはHEWLETT PACKARD HP−1(30m×0.25mm×0.25μm)、カラム温度は50℃〜250℃、インジェクション温度は200℃、ディテクター温度は200℃、試料量は1μLとした。なお、ガスクロマトグラフィー測定は、装置内でガス化するものしか検出しない。
保存前後の軟化剤のピークエリアから、下記数式により軟化剤の残存率を求めた。
軟化剤の残存率(%)=(保存後の軟化剤のピークエリア/保存前の軟化剤のピークエリア)×100
(製造例1)
−脂肪酸トリエタノールアミン塩の調製−
ミリスチン酸(関東化学株式会社製、試薬)、パルミチン酸(関東化学株式会社製、試薬)、ステアリン酸(関東化学株式会社製、試薬)の質量比を4:3:1とした脂肪酸と、中和剤であるトリエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)のモル比が1:0.7になるように計量し、それを液温80℃のイオン交換水中で、30分間撹拌し、室温になるまで放冷して、脂肪酸トリエタノールアミン塩を調製した。
(製造例2)
−脂肪酸ジエタノールアミン塩の調製−
上記製造例1において、中和剤をジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)にした以外は、上記製造例1と同様にして、脂肪酸ジエタノールアミン塩を調製した。
(製造例3)
−脂肪酸ナトリウム塩の調製−
上記製造例1において、中和剤を水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬)にした以外は、上記製造例1と同様にして、脂肪酸ナトリウム塩を調製した。
(具体例1)
−定着液の作製−
軟化剤であるプロピレンカーボネート(関東化学株式会社製、試薬)40質量%、可溶化剤であるジプロピレングリコール(関東化学株式会社製、試薬)10質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸トリエタノールアミン塩(製造例1で調整)4.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、アルカリ性物質であるトリエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)1.0質量%、希釈剤であるイオン交換水44.5質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。具体例1の定着液のpHは8.9であった。
(具体例2)
−定着液の作製−
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)30質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)4.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)3.0質量%、起泡助剤であるn−テトラデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.2質量%、希釈剤であるイオン交換水62.3質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。具体例2の定着液のpHは9.3であった。
(具体例3)
−定着液の作製−
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)30質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸ナトリウム塩(製造例3で調整)4.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、アルカリ性物質である水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬)1.0質量%、起泡助剤であるn−ヘキサデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.1質量%、希釈剤であるイオン交換水64.4質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。具体例3の定着液のpHは9.0であった。
(具体例4)
−定着液の作製−
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)35質量%、可溶化剤であるトリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、試薬)5質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)3.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)4.0質量%、起泡助剤であるn−テトラデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.3質量%、希釈剤であるイオン交換水52.2質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。具体例4の定着液のpHは10.3であった。
(具体例5)
−定着液の作製−
軟化剤であるトリエチレングリコールジアセタート(東京化成株式会社製、試薬)30質量%、可溶化剤であるトリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、試薬)10質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)2.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)2.0質量%、起泡助剤であるn−テトラデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.2質量%、希釈剤であるイオン交換水55.3質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。具体例5の定着液のpHは9.5であった。
(比較例1)
−定着液の作製−
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)30質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)4.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、希釈剤であるイオン交換水65.5質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。比較例1の定着液のpHは7.6であった。
(比較例2)
−定着液の作製−
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)30質量%、アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)4.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.5質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)0.1質量%、希釈剤であるイオン交換水65.4質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。比較例2の定着液のpHは7.8であった。
得られた具体例1〜5の各定着液、また比較例1、2の各定着液について、軟化剤の残存率の結果を以下の表1に示す。
Figure 2010271503
上記表1の結果から、アルカリ性物質を含有した具体例1〜5の各定着液は、アルカリ性物質を含有していない比較例1の定着液よりも軟化剤の残存率低く、軟化剤の分解が促進されていることが示された。また、アルカリ性物質を含有した定着液であっても、定着液のpHが8未満である比較例2の定着液は、軟化剤の分解が促進されていなかった。
<起泡性の評価>
定着液の起泡性を評価するために、後述する微小な泡状定着液を作製し、その泡密度を測定した。
ここで、塗布ローラのように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、媒体上の微粒子層の厚み以上であることが必須条件であり(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが望まれる。一方、媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)がないためには、定着液付着量として、0.1mg/cm以下が望まれる。このことから、泡の密度としては、0.0200g/cm以下が好ましく、0.0125g/cm〜0.0200g/cmがより好ましい。
そこで、微小な泡状定着液の泡密度の値から、起泡性を下記基準で評価した。なお、泡密度は容積が既知である容器に泡を隙間なく充填して重量を測定し、算出した。
〔評価基準〕
0.0125〜0.0200g/cm:○(起泡性良好)
0.0201〜0.0300g/cm:△
0.0301〜0.0500g/cm:×
0.0501g/cm以上 :××(起泡性不良)
<泡沫安定性の評価>
上記の微小な泡を1分間放置し、泡の状態を目視で観察して、下記基準で泡沫安定性を評価した。
〔評価基準〕
1分間放置後も泡の状態が変化しない場合:○(泡沫安定性良好)
1分間放置後に泡が消泡した場合 :×(泡沫安定性不良)
<定着性の評価>
定着性を評価するために、後述する微小な泡状定着液を、未定着トナーが形成された紙の上に付与した。即ち、未定着トナーが形成された紙について、電子写真方式のプリンタ(株式会社リコー製、imagioMPC2500)を用い、未定着トナーのカラー画像をPPC用紙(株式会社リコー製、T−6200)に形成した。この際、トナー層の厚みは30μm〜40μmであった。続いて、定着開始にあわせ、図14に示すごとく、フォーム状定着液供給口から微小な泡状定着液を塗布ローラと膜厚制御ブレードとの間に供給した。微小な泡状定着液が膜制御ブレードに供給開始され始めたタイミングで、塗布ローラを駆動しながら、上記トナー未定着画像が形成された紙を塗布ローラに挿入した。塗布ローラ面には膜厚約80μmの微小な泡状定着液膜が均一に形成され、紙面に均一に微小な泡状定着液が付与された。この際、ブレードと塗布ローラとのギャップは50μmとし、定着液の塗布量は100mg/A4前後とした。加圧ローラは、アルミニウム合金製ローラ(直径10mm)を芯金とし、外径50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社製、商品名「カラーフォームEMO」)を形成したスポンジローラを用いた。塗布ローラは、PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(直径30mm)を用いた。ローラの線速は300mm/sとした。膜厚制御ブレードは、アルミニウム合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着し、ガラス面を塗布ローラ側に向け、10μm〜100μmの範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。紙搬送速度は300mm/sとした。
定着性は下記基準で評価した。
〔評価基準〕
トナーが紙に定着しており、紙がカールしていない場合 :○(定着性良好)
トナーが紙に定着しているが、紙がカールしている場合 :△
トナーが紙に定着しておらず、紙がカールしていない場合:×
トナーが紙に定着しておらず、紙がカールしている場合 :××(定着性不良)
<ブロッキングの評価>
ブロッキングを評価するために、上記定着画像上に紙を1000枚(4kg)のせた。24時間後、定着画像にのせた紙を取り除き、下記基準でブロッキングを評価した。
〔評価基準〕
定着画像が重ねた紙に張り付かず、トナーが剥がれていない場合:○(ブロッキングなし)
定着画像が重ねた紙に張り付き、トナーが剥がれている場合 :×(ブロッキングあり)
(具体例6)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるプロピレンカーボネート(関東化学株式会社製、試薬)80質量%、可溶化剤であるジプロピレングリコール(関東化学株式製、試薬)20質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、軟化剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸トリエタノールアミン塩(製造例1で調整)8.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)1.0質量%、アルカリ性物質であるトリエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)2.0質量%、希釈剤であるイオン交換水89.0質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
図1に示すように、軟化剤含有液入りの容器と起泡剤含有液入りの容器それぞれにシリコーンゴム製の供給パイプをつなぎ、各々の供給ゴムをチューブポンプに接続して、バブリング槽へと接続した。各々のチューブポンプの流量を軟化剤含有液は3mL/分、起泡剤含有液1は3mL/分と設定し、5秒間ポンプを駆動して、バブリング槽へ供給した。この動作によりバブリング槽内に軟化剤を約40wt%含有した定着液(定着液1とほぼ同組成)0.5mLが供給されたことになる。5秒間チューブポンプを作動後停止し、ダイヤフラム型エアーポンプを作動して、バブリング槽内でバブリングにより軟化剤含有液と起泡剤含有液を撹拌しながら泡化して大泡の定着液とした。
続いて、図1に示す泡状定着液生成手段に基づいて、大泡状態の定着液から、微小な泡状定着液を作製した。図1の2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モータにより回転する。2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒は内径10mm、長さ120mmとし、内側円筒は外形8mm、長さ100mmとした。回転数は1000rpmとした。回転時間は10秒間とした。
(具体例7)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)を軟化剤含有液として、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)5.7質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.7質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)4.3質量%、起泡助剤であるn−テトラデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.3質量%、希釈剤であるイオン交換水89.0質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
図1に示すように、軟化剤含有液入りの容器と起泡剤含有液入りの容器それぞれにシリコーンゴム製の供給パイプをつなぎ、各々の供給ゴムをチューブポンプに接続して、バブリング槽へと接続した。各々のチューブポンプの流量を軟化剤含有液は2mL/分、起泡剤含有液2は4.6mL/分と設定し、5秒間ポンプを駆動して、バブリング槽へ供給した。この動作によりバブリング槽内に軟化剤を約30wt%含有した定着液(定着液2とほぼ同組成)0.55mLが供給されたことになる。5秒間チューブポンプを作動後停止し、ダイヤフラム型エアーポンプを作動して、バブリング槽内でバブリングにより軟化剤含有液と起泡剤含有液を撹拌しながら泡化して大泡の定着液とした。
続いて、図1に示す泡状定着液生成手段に基づいて、大泡状態の定着液から、微小な泡状定着液を作製した。図1の2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モータにより回転する。2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒は内径10mm、長さ120mmとし、内側円筒は外形8mm、長さ100mmとした。回転数は1000rpmとした。回転時間は10秒間とした。
(具体例8)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)を軟化剤含有液として、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸ナトリウム塩(製造例3で調整)5.7質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.7質量%、アルカリ性物質である水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬)1.4質量%、起泡助剤であるn−ヘキサデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.1質量%、希釈剤であるイオン交換水92.1質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
具体例7と同様にして、軟化剤を約30wt%含有した定着液(具体例3の定着液とほぼ同組成)の微小な泡を作製した。
(具体例9)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)70質量%、可溶化剤であるトリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、試薬)10質量%、希釈剤であるイオン交換水20質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、軟化剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)6.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)1.0質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)8.0質量%、起泡助剤であるn−テトラデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.6質量%、希釈剤であるイオン交換水84.4質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
具体例6と同様にして、軟化剤を約35wt%含有した定着液(具体例4の定着液とほぼ同組成)の微小な泡を作製した。
(具体例10)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるトリエチレングリコールジアセタート(東京化成株式会社製、試薬)60質量%、可溶化剤であるトリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、試薬)20質量%、希釈剤であるイオン交換水20質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、軟化剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)4.0質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)1.0質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)4.0質量%、起泡助剤であるn−テトラデシルアルコール(関東化学株式会社製、試薬)0.4質量%、希釈剤であるイオン交換水90.6質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
具体例6と同様にして、軟化剤を約30wt%含有した定着液(具体例5の定着液とほぼ同組成)の微小な泡を作製した。
(比較例3)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)を軟化剤含有液として、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)5.7質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.7質量%、希釈剤であるイオン交換水93.6質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
具体例7と同様にして、軟化剤を約30wt%含有した定着液(比較例1の定着液とほぼ同組成)の微小な泡を作製した。
(比較例4)
◇軟化剤含有液の調整
軟化剤であるコハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、試薬)を軟化剤含有液として、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇起泡剤含有液の調整
アニオン系界面活性剤である脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例2で調整)5.7質量%、増泡剤であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂製薬株式会社製、マーポンMM)0.7質量%、アルカリ性物質であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)0.1質量%、希釈剤であるイオン交換水93.5質量%を超音波ホモジナイザーにて10分間撹拌し、起泡剤含有液を調製して、アルミ蒸着ポリエチレン樹脂製の容器に入れた。
◇微小な泡状定着液の作製
具体例7と同様にして、軟化剤を約30wt%含有した定着液(比較例2の定着液とほぼ同組成)の微小な泡を作製した。
得られた具体例6〜10と比較例3、4の微小な泡状定着液について、起泡性、泡沫安定性、定着性、ブロッキングの結果を以下の表2に示す。
Figure 2010271503
上記表2の結果から、アルカリ性物質を含有した具体例6〜10の微小な泡状定着液は良好な起泡性と泡沫安定性を示し、アルカリ性物質が定着液の起泡性と泡沫安定性を低下させないことが示された。また、アルカリ性物質を含有した具体例6〜10の微小な泡状定着液で定着された画像は、定着性が良好であり、ブロッキングしていなかった。これは、定着時は軟化剤がほとんど分解されていないため、定着液は高い定着能力を有しており、定着後はアルカリ性物質が余剰の軟化剤を分解して、トナーの粘着性を低下させたためと考えられる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換、応用が可能である。
10,30;定着装置、11;軟化剤含有液密封容器、
12;起泡剤含有液密封容器、13,14;液搬送ポンプ、
15;バブリング槽、16;空気ポンプ、
17;フォーム状定着液生成手段、18;供給口、
19;塗布ローラ、20;泡膜厚制御用ブレード、21;加圧ローラ、
22;主制御部、23;攪拌手段、31;攪拌機構、
40;液混合部、41;軟化剤含有液流路、42;起泡剤含有液流路、
43,68;混合液流路、51,61;定着液保存容器、
52,53;容器、56,57,69;封止ゴム、
58,59;供給パイプ、62;起泡剤含有液保存容器、
63;軟化剤含有液保存容器、64,65;加圧板、
71,72;加圧アクチュエータ、100;画像形成装置。
特許第3,290,513号公報 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報 特開2007−219105号公報
社団法人日本化学会編集,「第5版 実験化学講座16 有機化合物の合成IV カルボン酸・アミノ酸・ペプチド」,丸善株式会社,2005年発行,P.10 石井淑夫著,「泡のエンジニアリング」初版,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489

Claims (5)

  1. 樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させることで樹脂を含有する樹脂含有微粒子を軟化させる定着液をフォーム化し、フォーム化したフォーム状定着液の膜厚を制御して前記樹脂含有微粒子に付与し定着させる定着装置において、
    少なくとも前記軟化剤を含有する軟化剤含有液を収納する軟化剤含有液収納手段と、
    少なくとも起泡剤とアルカリ性物質を含有する起泡剤含有液を収納する起泡剤含有液収納手段と、
    前記各収納手段によって独立した状態で収納された液同士を混合しながらフォーム化してフォーム状定着液を生成する混合フォーム状定着液生成手段と
    を有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記起泡剤はアニオン系界面活性剤であり、炭素数12〜18の脂肪族アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記軟化剤が、エステル化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記エステル化合物が、脂肪族エステル又は炭酸エステルであることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含む現像剤で静電記録プロセスを行い媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着装置により前記未定着トナー画像を媒体に定着させる定着手段と
    を具備することを特徴とする画像形成装置。
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