JP2012088597A - 定着液、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着液、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】泡状として定着工程に用いられるときに、環境温度10[℃]〜40[℃]の範囲で安定した定着を行うことができる定着液、並びに、このような定着液を用いる定着装置及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置30は、トナーを軟化させる軟化剤と、軟化剤を含む液体に起泡性を付与する脂肪酸塩からなる起泡剤と、起泡剤の起泡性を補助する増泡剤とを水からなる溶媒に含有する液状定着液310を液中に気泡が分散した泡状定着液Buとする定着液供給部130と、泡状定着液Buを転写紙Pに塗布する定着液塗布部140とを有し、定着液収容器31内の液状定着液310は、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー等の樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させる定着液、このような定着液を用いて記録媒体上に樹脂成分を定着させる定着装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、電子写真方式の画像形成装置が普通紙に高精細な画像を高速で形成することができる点から広くオフィスで使用されている。この電子写真方式の画像形成装置では、定着速度、定着画像品質等の点から記録媒体上のトナーを加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱するために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。そこで、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、または、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4に記載の定着装置で用いる定着方式)。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献4の何れの特許文献に記載の定着装置も、接触型の定着液付与手段である塗布ローラを用いて定着液を液状のまま記録媒体に塗布することで、定着液を記録媒体上の未定着トナー像に付与する構成である。このような液状の定着液をトナー像に塗布して定着を行う構成では、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止とを両立させることが極めて難しいという問題があった。以下、この問題について説明する。
塗布ローラを用いて記録媒体上の未定着トナー像へ定着液を塗布する構成において、定着液を記録媒体に微量付与するために、塗布ローラ上の定着液の層の厚みが未定着トナー像の層よりも薄くした場合、次のような問題が生じることがあった。塗布ローラの表面が記録媒体と接触した後、塗布ローラの表面が記録媒体から剥離する位置で、記録媒体に付与されず塗布ローラ表面に残った定着液の液膜によって生じる表面張力で記録媒体上のトナー層のトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラの表面にオフセットしたトナー粒子が付着し、塗布ローラと剥離した後の記録媒体上のトナー像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ上の定着液の層の厚みを未定着トナー層よりも十分厚くすると、塗布ローラが記録媒体から剥離する位置では、液量が多いため塗布ローラの表面の液膜による表面張力が記録媒体上のトナー層のトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ側にトナーが付着しにくくなるが、記録媒体の表面に多量の定着液が塗布されるため、記録媒体上で過剰な定着液により定着液の拡散にともないトナー粒子が流れ画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、記録媒体に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液が水を含有するものであると、紙等のセルロースを含有する記録媒体への定着液の塗布量が多い場合、紙等の記録媒体が著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生の恐れがある。
このように、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。
よって、塗布ローラで定着液を塗布する構成では、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために記録媒体上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラへのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、特許文献5〜特許文献7には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、特許文献5等のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
定着液を用いる定着装置では、熱定着方式と異なり定着を行う位置の温度が100[℃]を超えるようなことはないが、装置の設置環境の温度や装置駆動部の発熱等により定着位置の温度が40[℃]近くになることがあるため、40[℃]における定着安定性が求められる。さらに、定着装置を備える画像形成装置の設置環境としては、冬季等には10[℃]台となることがあるため、10[℃]における定着安定性が求められる。
しかしながら、特許文献5〜特許文献7に記載の定着装置で用いる定着液は、泡状定着液として使用するときの特性が使用環境温度の影響を受け易く、使用環境温度によっては所望の定着品質を得ることができない場合があった。例えば、常温(25[℃])では良好な定着画像が出力できていたとしても、使用環境温度が10[℃]や40[℃]に変化すると、オフセットや画像流れ等が生じ、画像品質が低下することがあった。
使用環境温度が10[℃]と低温のときは定着液の粘度が上がり、トナー層への泡状定着液の浸入抵抗が増加するために、記録媒体上のトナー層下部までに泡状定着液が浸入しにくくなる。トナー層下部まで泡状定着液が浸入しにくいと、記録媒体と接触するトナーの軟化が不十分となり、記録媒体に定着せず、オフセットが生じる。また、粘度が上がることで、泡を形成する気泡同士の間に液膜が厚くなり、泡状定着液の泡密度が高くなって塗布量が増え、残液感、タック、カール等が生じる。
一方、使用環境温度が40[℃]と高温のときは定着液の粘度が下がり、泡状定着液が破泡しやすくなり、トナー層へ十分浸入する前に液状化してしまう。このため、従来の液状定着液を塗布する構成と同様に、微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することが困難になる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その第一の目的は、泡状として定着工程に用いられるときに、環境温度10[℃]〜40[℃]の範囲で安定した定着を行うことができる定着液を提供することである。
また、第二の目的は、定着液を泡状として定着するときに、環境温度10[℃]〜40[℃]の範囲で安定した定着を行うことができる定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる脂肪酸エステルからなる軟化剤と、該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する脂肪酸塩からなる起泡剤と、該起泡剤の起泡性を補助する増泡剤とを水からなる溶媒に含有し、該樹脂成分を軟化して記録媒体に定着する定着工程に使用されるときには、泡状液の状態で該樹脂成分に付与される定着液において、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、上記増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着液において、上記定着工程に使用されないときには、該軟化剤を含む水媒体の軟化剤液と、該起泡剤を含む起泡剤液とを独立した状態で保存され、該定着工程に使用されるときには、該軟化剤液と該起泡剤液とを混合して生成されることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の定着液において、上記軟化剤液は、上記軟化剤と、上記表面調整剤と、上記溶媒とを含有し、上記起泡剤液は、上記起泡剤と、上記第一の増泡剤と、上記第二の増泡剤と、上記溶媒とを含有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤と、該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する脂肪酸塩からなる起泡剤と、該起泡剤の起泡性を補助する増泡剤とを水からなる溶媒に含有する定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする泡状定着液生成手段と、該樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段とを有し、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、上記定着液は、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、上記増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の定着装置において、上記軟化剤を含有する軟化剤液を収容する軟化剤液収容器と、上記起泡剤を含有する起泡剤液を該軟化剤液とは独立して収容する起泡剤液収容器と、該軟化剤液と該起泡剤液とを混合して定着液を生成する定着液生成手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の定着装置において、上記軟化剤液は、上記表面調整剤と、上記溶媒とを含有し、上記起泡剤液は、上記第一の増泡剤と、上記第二の増泡剤と、上記溶媒とを含有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面、である定着液付与対象の表面に泡状定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、該定着手段として、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とするものである。
表1〜表4を用いて後述する本発明者らの実験の結果、定着液にアルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有することで、環境温度10[℃]〜40[℃]の範囲で安定した定着を行うことができることがわかった。また、表面調整剤、第一の増泡剤及び第二の増泡剤のうち、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有していない定着液では、環境温度10[℃]における定着性が低下することを確認した。さらに、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤またはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤のいずれかの増泡剤を含有しない定着液では、環境温度10[℃]及び40[℃]における定着性が低下することを確認した。
本発明によれば、環境温度10[℃]〜40[℃]の範囲で安定した定着を行うことができるという優れた効果がある。
実施形態1の定着装置の概略構成図。 本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。 同プリンタのプロセスユニットを示す拡大構成図。 実施形態1の定着装置の定着液供給部の構成図。 実施形態1の定着装置の定着液塗布部の構成図。 同定着装置における膜厚調整ブレードと塗布ローラとを示す拡大模式図。 図6よりも膜厚調整ギャップを狭くした状態の膜厚調整ブレードと塗布ローラとを示す拡大模式図。 塗布ニップにおける塗布ローラ表面と転写紙とを拡大して示す拡大模式図。 泡状定着液を示す拡大模式図。 実施形態2の定着装置の概略構成図。 実施形態2の定着装置の定着液供給部の構成図。 実施形態2の定着装置で液混合部を備える定着液供給部の構成図。 流路だけからなる液混合部の拡大説明図。 実施形態2の定着装置で加圧部材がベルト状である構成の説明図。 (a)は、従来の定着装置において、比較的薄定着液の層を塗布ローラから転写紙に塗布している状態を示す模式図、(b)は、同状態における塗布ローラと転写紙との間の拡大して示す拡大模式図。 従来の液定着方式の定着装置における定着液塗布部を拡大して示す拡大構成図(液層厚みが比較的大きいとき)。
以下、本発明を適用可能な画像形成装置として、電子写真方式のタンデム方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタ100という)の実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成について説明する。図2は、プリンタ100の要部を示す概略構成図である。同図において、プリンタ100は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3Y,M,C,K、転写ユニット20、紙搬送ユニット28、レジストローラ対15、定着装置30、図示しない光書込装置などを備えている。また、転写ユニット20は、トナー像担持体としての中間転写ベルト25を備えており、この中間転写ベルト25の上部の張架面に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニットである4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kが配列されている。
4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kの上方には、図示しない光書込装置が配置されている。例えば、プリンタ100が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、光書込装置のレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3Y,M,C,Kにおけるドラム状の感光体4Y,M,C,Kに向けて各レーザー光L1〜L4を照射する。この照射により、感光体4Y,M,C,Kの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像になる。なお、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。
プロセスユニット3Y,M,C,Kはそれぞれ、潜像担持体たる感光体4と、その周囲に配設される各種機器とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ100本体に対して着脱可能になっている。プロセスユニット3Y,M,C,Kは使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成であり、図3は、4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kのうちの一つのプロセスユニット3の拡大説明図である。図3に示すように、4つのプロセスユニット3はそれぞれ、感光体4の他、現像装置6、帯電装置7、除電装置の除電ランプ8、ドラムクリーニング装置9等を備えている。また、中間転写ベルト25を挟んで感光体4と対向する位置には、一次転写装置の一次転写ローラ26が設けられている。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。感光体としてはドラム状のものに限らず、無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて感光体4上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得ることで、静電潜像を現像して可視化する二成分現象方式のものである。二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行うタイプのものを使用してもよい。感光体4の表面上で現像されたトナー像は、後述する一次転写ニップで中間転写ベルト25に一次転写される。
ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂微粒子からなり、これらの樹脂微粒子は、後述する定着液により溶解または膨潤する。現像装置6は、二成分現像剤を収容し撹拌する攪拌部と、現像ローラが配置された現像部とを有し、現像ローラの表面に供給され現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部における二成分現像剤のトナー濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナー濃度が、一定となるように制御されている。
一次転写ニップを通過した後の感光体4表面に付着している転写残トナーは、ドラムクリーニング装置9によって感光体4表面から除去される。ドラムクリーニング装置9によって感光体4表面から除去されたトナーは、不図示の回収スクリュ及びトナーリサイクル装置によって現像装置6に搬送され、再利用される。本実施形態では、ドラムクリーニング装置9として、ポリウレタンゴム製のクリーニングブレードによって転写残トナーを掻き取る方式のものを示しているが、他の方式によって転写残トナーを除去するものを用いてもよい。
除電ランプ8は、光照射によって感光体4を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置7によって一様に帯電せしめられることで、初期化する。本実施形態の帯電装置7は、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させる接触型帯電方式である。帯電装置7は、帯電ローラに帯電バイアスを印加して感光体4に当接させることにより、感光体4の表面を一様に帯電する。帯電装置7としては、接触型帯電方式に限るものではなく、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を用いてもよい。
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kの感光体4Y,M,C,Kには、これまで説明してきたプロセスによってY,M,C,Kトナー像が形成される。4つのプロセスユニット3Y,M,C,Kの下方には、転写ユニット20が配設されている。この転写ユニット20は、複数の張架ローラ(21、22、23)によって張架している中間転写ベルト25を、感光体4Y,M,C,Kに当接させてY,M,C,K用の一次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト25は駆動ローラ21の回転駆動によって図中時計回り方向(図2中の矢印A方向)に無端移動する。
Y,M,C,K用の一次転写ニップの近傍では、中間転写ベルト25のベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26Y,M,C,Kによって中間転写ベルト25を感光体4Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26Y,M,C,Kには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の一次転写ニップには、感光体4Y,M,C,K上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップで各色トナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
本実施形態の一次転写装置は、ローラ状の一次転写ローラ26を備える構成であるが、一次転写装置としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
転写ユニット20の図中下方の中間転写ベルト25を挟んで、転写バックアップローラ23に対向する位置には、二次転写装置として機能する紙搬送ユニット28が設けられている。紙搬送ユニット28は、搬送ベルト駆動ローラ29bと二次転写ローラ29aとの間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる構成である。この紙搬送ユニット28は、自らの二次転写ローラ29aと、転写ユニット20の中間転写ベルト25との間に、紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写装置としては、ベルト状の部材を中間転写ベルト25に対向させる構成に限らず、ローラ状の部材を中間転写ベルト25に対向させる構成であってもよい。
紙搬送ユニット28の二次転写ローラには図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット20の中間転写ベルト25のループ内で、中間転写ベルト25が掛け回されている転写バックアップローラ23は、接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対15が配設されており、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置30へと搬送される。
中間転写ベルト25の複数の張架ローラ(21、22、23)のうちのクリーニング対向ローラ22に対して中間転写ベルト25を挟んで対向する位置には、ベルトクリーニング装置24が配置されている。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着しており、この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置24によって掻き取り除去される。
〔実施形態1〕
次に、本発明を適用した定着装置30の一つ目の実施形態(以下、実施形態1と呼ぶ)について説明する。
図1は、実施形態1に係る定着装置30の概略構成図である。この定着装置30は、転写紙Pに定着液を塗布する定着液付与手段である定着液塗布部140と、泡状定着液生成手段である定着液供給部130とからなる。定着液塗布部140は、塗布ローラ41、加圧ローラ43などを備える。実施形態1の定着装置30では、軟化剤と起泡剤とを含有した液状定着液310を定着液収容器31内で保管し、この液状定着液310から泡状定着液生成手段によって泡状定着液Buを生成する構成である。実施形態1の定着装置30では、複数の定着液成分液を混合して定着液を作製する定着液作製手段が不要であるため、装置の構成を簡略化できる。
本発明を適用する定着装置30としては、液状定着液310を構成する軟化剤液610と起泡剤液620とを独立して保管する構成(後述の実施形態2の定着装置)が好ましいが、まずは、装置構成が簡単な実施形態1の定着装置30を例にとり、定着装置30全体の説明を行う。
図4は、実施形態1の定着装置30の定着液供給部130を示す拡大構成図であり、図5は、実施形態1の定着装置30の定着液塗布部140を示す拡大構成図である。
定着液供給部130は、定着液収容器31内に収容されている液状定着液310を泡化させながら、得られた泡状定着液Buを塗布ローラ41に供給するものである。具体的には、定着液収容器31内に収容されている液状定着液310を、液搬送ポンプ33及び液搬送パイプ34等からなる定着液輸送手段によって気体・液体混合手段であるバブリング槽35に送る。
液搬送ポンプ33としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ、チューブポンプ等を用いることが可能であるが、中でもチューブポンプを用いることが望ましい。ギヤポンプ等などのように、振動機構や回転機構といった定着液中で駆動する機構があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下するおそれがある。また、前述の駆動する機構の部品を構成する材料によって定着液を汚染したり、逆に駆動する機構の部品を定着液で劣化させたりするおそれもある。これに対し、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であり、定着液内で駆動する機構がない。このため、定着液と接する部材はチューブだけであり、チューブとして定着液に対して耐液性を有する部材を用いることで、定着液の汚染や液搬送ポンプ33を構成する部品の劣化を防止することが出来る。また、チューブを変形させるだけであるため、定着液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。なお、液搬送ポンプ33が搬送する液体が液状定着液である場合に限らず、混合することで定着液を生成する軟化剤液や起泡剤液を搬送する液搬送ポンプ33としてもチューブポンプを用いることが望ましい。この場合、チューブとして搬送する液に対して耐液性を有する部材を用いることで液の汚染や液搬送ポンプ33を構成する部品の劣化を防止することが出来る。
定着装置30の稼動時には、液搬送ポンプ33を駆動することにより、液状定着液310をバブリング槽35に搬送する。ここで、液状定着液310がバブリング槽35に到達するタイミングで空気ポンプ36を作動させることで、液状定着液310をバブリングして、定着液を泡化させる。このときに得られる泡状定着液Buは目視でも泡の粒が確認できるくらいの大きな泡からなる。別の大きな泡の生成方法としては、バブリング槽35内で空気ともに液状定着液310を微小孔シートに通すことで、泡径がそろった大きな泡を生成することが出来る。微小孔シートの孔径は、30〜100[μm]程度であることが望ましい。また、微小孔シートの代わりに、連泡構造の多孔質部材も用いることができ、孔径が30〜100[μm]程度である焼結セラミックス板、不織布、発泡樹脂シート等を用いてもよい。また、バブリング槽35内で液状定着液310と空気とを羽根状攪拌子で攪拌して液状定着液310に気泡を巻き込むことで大きな泡の泡状定着液Buを生成する構成を採用してもよい。
気体・液体混合手段としては上述の何れの構成であっても、例えば0.5〜1[mm]程度の比較的大きな泡径の泡をごく短時間で生成することができる。但し、後述するように、定着用の泡としては、できるだけ細かくする方が望ましい。そこで、定着装置30では、バブリング槽35で得られた比較的大きな泡の泡状定着液Buを、泡微細化部38で微細化させる。
バブリング槽35で生成された比較的大きな泡の泡状定着液Buは、泡搬送パイプ38cを通って泡微細化部38に供給される。
泡微細化部38は、比較的大きな泡径の泡をせん断力の付与によって2つ以上に分割して微細化させる。泡微細化部38は、閉じた外側円筒38aの中に内側円筒38bを内包する二重円筒構造になっており、泡搬送パイプ38cを通過した泡状定着液Buを、不動の外側円筒38aと、回転する内側円筒38bとの隙間に供給し、この隙間を通すことで、泡状定着液Buの比較的大きな泡径の泡に対して回転する内側円筒38bによりせん断力を付与する。このせん断力により、大きな泡が2つ以上の微小な泡に分割され、大きな泡を分割された泡状定着液Buは、外側円筒38aに設けられた排出パイプ38dからノズル39へと搬送される。これにより、ノズル39から所望の微小な泡径を有する泡状定着液Buを排出する。
液搬送速度は、回転する内側円筒38bの回転数や、内側円筒38bの軸線方向長さに基づいて決定することが望ましい。外側円筒38aの内径をd1[mm]、内側円筒38bの軸線方向長さをL[mm]で表し、且つ内側円筒38bの外径d2[mm]、回転数をR[rpm]で表すと、微小な泡を生成するための液搬送速度V[mm/秒]は、「V=L×π×(d1−d2)/4/(1000/R)」という演算式で決まることがわかった。
例えば、d1が10[mm]、d2が8[mm]、Lが50[mm]、回転数が1000[rpm]とすると、液搬送速度は約1400[mm/秒](1.4[cc/秒])となる。A4サイズの転写紙Pに定着処理を施すために必要な泡状定着液の量が3[cc]であると仮定すると、液状定着液310から必要量の泡状定着液Buを生成するのに、約2[秒]の立ち上がり時間ですみ、極めて素早く、所望の泡径を有する泡状定着液Buを生成可能となる。また、内側円筒38bにらせん状の溝を設けて、外側円筒38a内での搬送性を向上させてもよい。
一般的に、泡径が0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1[秒]もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、液状態から起泡させて微小な泡径の泡状定着液を生成する方法に比べて、極めて素早く所望の大きさの微小な泡径の泡状定着液が生成できることがわかった。
実施形態1の定着装置30では、液状定着液310を大きな泡径の泡からなる泡状定着液Buへと泡化させる大きな泡生成部であるバブリング槽35と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡に分割する泡微細化部38とを組み合わせることで、液状定着液310を極めて短時間に5〜50[μm]程度の微小な泡径の泡からなる泡状定着液Buに変化させることができる。
図1及び図5に示すように、ノズル39から排出される所望の微小な泡径を有する泡状定着液Buは、定着液塗布部140の塗布ローラ41の表面に供給される。定着液塗布部140は、図5に示すように、泡状定着液Buを転写紙P上の樹脂微粒子である未定着トナーTに付与する塗布ローラ41を備える。また、定着液塗布部140は、塗布ローラ41の表面上に供給された泡状定着液Buの膜厚を転写紙P上の未定着トナーTのトナー層の厚さに応じて制御し、泡状定着液Buの膜厚を最適な膜厚に制御する泡状定着液膜厚制御手段である膜厚調整ブレード42を備える。さらに、定着液塗布部140は、膜厚調整ブレード42が対向する位置に対して塗布ローラ41の表面移動方向下流側で、塗布ローラ41と対峙する位置に加圧ローラ43を備える。
図5に示すように、塗布ローラ41上の泡状定着液Buは、膜厚調整ブレード42との対向部を通過することにより、泡状定着液Buの気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーTの層厚に応じて、泡状定着液Buの未定着トナーTのトナー層への浸透時間に対して最適化した膜厚の泡状定着液膜Bu1となる。定着液供給部130で所望の泡径となった泡状定着液Buは、泡状定着液供給口を備えたノズル39より塗布ローラ41と膜厚調整ブレード42との間に滴下される。
泡状定着液Buのかさ密度としては、0.01〜0.1[g/cm]の範囲が望ましい。さらに、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、泡の密度として、0.01[g/cm]〜0.02[g/cm]が好ましく、0.02[g/cm]以下がより好ましい。これは以下の理由による。
すなわち、塗布ローラ41が転写紙Pに泡状定着液Buを塗布する塗布ニップCでの泡状定着液膜Bu1は、転写紙P上の未定着トナーTのトナー層の厚み以上であることが必須条件であるため(トナー層の隙間を泡状定着液Buで埋めるため)、泡状定着液膜Bu1の膜厚は、おおよそ、50[μm]〜80[μm]が好ましい。一方、転写紙Pの表面への定着液の付与による定着後の残液感(ぬれたような感触)がないためには、定着液付着量として、0.1[mg/cm]以下が好ましい。このことから、泡状定着液Buのかさ密度としては、0.0125[g/cm]〜0.02[g/cm]の範囲が好ましく、0.02[g/cm]以下がより好ましい。
また、定着液は、転写紙P上のトナー等の樹脂含有微粒子の層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液収容器31内で泡状である必要はない。定着液収容器31中では気泡を含有しない液体の状態にしておき、容器から液を供給する時点や、樹脂含有微粒子の層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にすることで、定着液の輸送体積や保存体積の減容を図って、輸送コストや保存コストを低減することができる。
泡微細化部38で得られた微細な泡状定着液Buは、図1及び図5に示したように、ノズル39から、塗布ローラ41表面に供給される。供給された泡状定着液Buは、塗布ローラ41表面に対して自らの先端を所定の間隙を介して対向させている膜厚調整ブレード42により、塗布ローラ41表面上での膜厚が調整される。この膜厚調整ブレード42は、図6、図7に示すように、片持ち支持された状態で、固定端側のブレード回動軸42aを中心にして回動することで、自らの先端と、塗布ローラ41との間隙を変化させる。図示しない制御部は、モータ駆動によってブレード回動軸42aを回転させることで膜厚調整ブレード42を回転させて前述の間隙を調整する。泡状定着液膜Bu1の膜厚を薄くするときには、図6に示すように膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を狭くし、泡状定着液膜Bu1の膜厚を厚くするときには、図7に示すように膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を広くする。このように膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を調整することにより、トナー層の厚さや環境温度等、さらには泡状定着液Buの気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーTのトナー層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調製するために最適な泡状定着液膜Bu1の膜厚を制御することができる。
また、定着装置30では、図示していない光書込装置で用いる画像情報に基づいて、膜厚調整ブレード42の回転を制御し、泡状定着液膜Bu1の膜厚を調整する。すなわち、転写紙Pに転写されたトナー像を形成する未定着トナーTには、図示していない光書込装置で用いる画像情報(例えば、カラー画像または黒ベタ画像)に基づいて泡状定着液膜Bu1の膜厚が調整された泡状定着液Buが塗布される。これにより、各トナー像を形成する未定着トナーTのトナー層の層厚に応じた泡状定着液Buの塗布を行うことができ、適切な定着条件でトナー像を転写紙Pに定着させることができる。
膜厚調整の構成としては、膜厚調整ブレード42の代わりに、ワイヤーバーによって膜厚を調整してもよい。ワイヤーバーによって膜厚を調整する場合、上述した定着液供給部130で所望の泡径となった泡状定着液Buは、泡状定着液供給口を備えたノズル39より塗布ローラ41とワイヤーバーとの間に滴下される。このように、ワイヤーバーを泡状定着液膜厚制御手段として用いた場合、膜厚調整ブレード42に比べ、塗布ローラ41表面上における軸線方向の膜厚を均一にすることが可能になる。
トナー像が形成された転写紙Pに泡状定着液Buを塗布するための塗布ローラ41には、弾性ローラ部を具備する加圧ローラ43が当接して塗布ニップCを形成している。上述した紙搬送ベルト29によって二次転写ニップから定着装置30に向けて搬送される転写紙Pは、画像面を塗布ローラ41に向けた状態でこの塗布ニップC内に挟み込まれる。そして、塗布ニップC内において、塗布ローラ41上の泡状定着液Buが画像面に塗布される。
次に本発明に係る定着装置30の定着の原理について概説する。
本発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を含有した泡状定着液を、記録媒体等の定着液塗布対象の表面上の樹脂微粒子に付与する。これにより、定着液塗布対象の表面上の樹脂微粒子を軟化させ、樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法を取っている。言うまでもないことだが、ここで、表記している樹脂微粒子とは、特に何であるかを限定はしないが、画像形成装置に適用した場合だと、トナーのことを指す。
ここで、従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上記特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いる湿式定着方式の定着装置が記載されている。この定着装置では、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面に対して定着液を噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させる構成である。
しかし、上記特許文献1の定着装置では、水に不溶または難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いている。このため、多量の定着液を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(被定着物)が、定着液の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着液に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着液から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解または膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が従来よりいくつか提案されている。その一つとして例えば、上記特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解または膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、上記特許文献3には、定着液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100の容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の未定着トナー画像の定着液が提案されている。これにより、静電気的方式で形成された未定着トナー像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に記録媒体上に固着できる。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解または膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状のまま記録媒体状のトナー像に付与していたため、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止とを両立することが極めて難しいという問題があった。この問題について図15及び図16を用いて説明する。
図15は、従来の湿式定着方式の液状定着液を塗布する定着装置60の説明図である。図15(a)は液状定着液を塗布する定着装置60の概略説明図である。また、図15(b)は、液状定着液を塗布する定着装置60における記録媒体である転写紙Pと転写紙Pに接触して液状定着液310を塗布する塗布部材である塗布ローラ41との近接部の拡大説明図である。
図15(a)に示すように、塗布ローラ41を用いて転写紙P上の未定着トナーTへ液状定着液310を塗布する構成において、液状定着液310を転写紙Pに微量付与するために、塗布ローラ41上の液状定着液310の膜厚が未定着トナーTの厚みよりも薄くなる場合、図15(b)のようになる。塗布ローラ41上の液状定着液310には、塗布ローラ41の表面が転写紙Pと接触する塗布位置で塗布ローラ41から転写紙Pに付与されるものの他に、図15(b)中の矢印F1で示すように塗布位置を通過した後も塗布ローラ41の表面に残留するものがある。そして、塗布ローラ41の表面が転写紙Pから分離する位置で、塗布ローラ41表面に残留する液状定着液310の液膜によって生じる表面張力(図15(b)中の矢印F2方向に働く)で未定着トナーTのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ41の表面にオフセットトナーTaが付着し、塗布ローラ41と剥離した後の転写紙P上の定着トナー層Tbによって形成される画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ41上の液状定着液310の膜厚を未定着トナーTよりも十分厚くすると、図16のようになる。塗布ローラ41の表面が転写紙Pから分離する位置では、液状定着液310の液量が多いため塗布ローラ41表面の液膜による表面張力が未定着トナーTのトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ41側にオフセットしたトナーが付着しにくくなるが、転写紙Pの紙面に多量の液状定着液310が塗布されるため、過剰な液状定着液310により転写紙P上のトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、転写紙Pに付与した液状定着液310の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、転写紙Pに著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。さらに、液状定着液310が水を含有するものであると、記録媒体として紙等のセルロースを含有する転写紙Pへの液状定着液310の塗布量が多い場合、紙等の転写紙Pが著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラ41を用いて液状定着液310を塗布する構成では、液状定着液310の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、液状定着液310の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下という問題が生じる。さらに、記録媒体の材質によっては紙詰まりが発生しやすくなるという問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために液状定着液310を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラ41の表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減及びカール防止のために転写紙P上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラ41へのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。なお、記録媒体に接触して定着液を塗布する接触塗布手段として、ダイコート手段、ブレード塗布手段、ワイヤーバー塗布手段を用いた場合も、定着液が微量になると接触塗布手段に表面張力でトナーが付着してしまい、画像劣化が生じる。
以上のように、接触塗布手段によって液状定着液310を塗布する構成では、定着応答性を向上するための紙上のトナー層への定着液微量塗布とトナー画像を乱さず均一塗布することとを両立することが極めて難しい。また、液状定着液を塗布するときの定着液微量塗布と樹脂微粒子層を乱さず均一塗布することとを両立することが極めて難しいという問題は、記録媒体上のトナーに限ったことではなく、媒体上の樹脂微粒子層に液状定着液を付与する構成ではどの場合も生じる問題である。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、上記特許文献5には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を塗布ローラを用いて記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、従来よりも定着液を少量とすることで、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、上記特許文献5のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
そして、本実施形態の定着装置30も上記特許文献5と同様に定着液を泡状にして記録媒体上のトナー層に塗布する構成である。
また、上記特許文献5に記載の定着装置は、塗布部材である塗布ローラ上の泡状定着液の膜厚を制御する泡状定着液膜厚制御手段を備えている。そして、塗布ローラが記録媒体に接して泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子に付与している時間が、塗布ローラによって塗布される泡状定着液が記録媒体上の樹脂微粒子層を浸透して記録媒体に到達する浸透時間と同じまたはこの浸透時間より長くなるように膜厚を制御する。これにより、樹脂微粒子の塗布ローラへのオフセット付着を防止でき、樹脂微粒子を乱すことなく、かつ樹脂微粒子を担持した記録媒体に定着液を塗布した後は素早く樹脂微粒子の記録媒体への定着が可能となる。このため、定着応答性に優れた定着を行うことができる。
図8は、本実施形態の定着装置30において塗布ローラ41が転写紙Pと接触する部分(塗布ニップC)の拡大説明図である。
定着液を、少量であっても厚みの嵩張る泡状定着液Buの状態で転写紙Pに塗布することで、図示のように、液状の場合に比べてニップ出口から遠い位置で塗布ローラ41表面上の定着液と転写紙P上の定着液とを分離させることができる。さらに、泡状にすることで、塗布ローラ41表面上の定着液の表面張力によるトナーの引き込みを解消する。これらの結果、塗布ローラ41へのトナーのオフセットを有効に抑えることができ、オフセットによる白抜け画像の発生を解消することができた。
未定着トナーTのトナー粒子Tpの平均粒径が5〜10[μm]程度である場合、未定着トナーTのトナー層を乱すことなく泡状定着液Buを未定着トナーTに付与するには、泡状定着液Buの泡径範囲を5〜50[μm]程度にすることが望ましい。プリンタ100では、泡微細化部38での泡微細化により、このような微細な径の泡をつくり出している。
また、泡微細化部38で微細化した泡は、図9に示すように、気泡Bu−Aと、それぞれの気泡Bu−Aを区切る液膜境界Bu−B(以下、プラトー境界と称することがある)とから構成されている。
定着装置30の加圧ローラ43は、弾性層としてスポンジ素材を用いている。ここで、塗布ニップCでは、泡状定着液Buが樹脂微粒子である未定着トナーTのトナー層に浸透して、記録媒体である転写紙Pまで到達した後に、塗布ローラ41とトナー層とが分離するように、転写紙Pの塗布ニップ通過時間のタイミングを設定するする必要がある。
定着装置30では、転写紙Pの塗布ニップ通過時間(例えば先端が塗布ニップCの入口に進入してから先端が塗布ニップCの出口から排出される間での時間)を、50[ms](ミリ秒)から300[ms]の範囲に設定している。これにより、転写紙Pの塗布ニップ通過時間を、泡状定着液Buの浸透時間と同じかそれ以上にしている。そして、この範囲の転写紙Pの塗布ニップ通過時間を確保するために、小さな加圧力の変化で比較的大きく変形可能なスポンジ素材からなる弾性層を備えた加圧ローラ43を用いている。
塗布ニップ通過時間(以下、ニップ時間という)については、「ニップ時間=(ニップ幅)/(紙の搬送速度)」という数式によって算出することが可能である。転写紙Pの搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、転写紙Pを塗布ローラ41及び対峙する加圧ローラ43に挟んで加圧(ローラは回転させない状態で)し、転写紙Pに着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。転写紙Pの搬送速度に応じて、ニップ幅を調整することでニップ時間を泡状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。
図1に示す実施形態1の定着装置30では、加圧ローラ43を弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)とすることで、転写紙Pの搬送速度に応じて、塗布ローラ41とスポンジの加圧ローラ43の軸間距離を変更してニップ幅を変えることが容易となる。加圧ローラ43のスポンジの代わりに、弾性ゴムも適するが、スポンジは、弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ41の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
定着液中には樹脂を軟化させる軟化剤または樹脂を膨潤させる膨潤剤が含有されており、スポンジ素材で形成された加圧ローラ43に定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化する等の不具合が発生する恐れがある。このため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤または膨潤剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が望ましい。また、ローラ部がスポンジ素材からなる加圧ローラ43については、ローラ表面を可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。このような構成であれば、スポンジ素材が軟化剤または膨潤剤で劣化する素材であっても、軟化剤または膨潤剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが適する。
図1に示す定着装置30において、塗布ローラ41とローラ部がスポンジからなる加圧ローラ43とが常時接触している場合、転写紙Pが搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液Buがスポンジの加圧ローラ43に付着し汚す恐れがある。この付着を防止する狙いから、紙先端検知手段(図示せず)を塗布ニップCに転写紙Pが搬送される手前に設け、紙先端検知信号に応じて、転写紙Pの先端から後方にのみ泡状定着液Buが塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液Buを供給することが望ましい。
また、定着装置30においては、不図示の接離機構により、待機時には塗布ローラ41と加圧ローラ43とを互いに離間させ、塗布時のみ、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを当接させる構成とすることが望ましい。このような構成では、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを互いに離間させた待機時の状態から上記紙先端検知手段による転写紙Pの先端検知の検知結果に基づいて、接離機構を駆動し、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを当接させる。そして、紙先端検知手段による転写紙Pの後端検知、または、別に設けた不図示の紙後端検知手段による転写紙Pの後端検知の検知結果に基づいて、接離機構を駆動し、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを離間させる。
次に、液状定着液310の組成について説明する。
先ず、液状定着液310が含有する軟化剤について説明する。
軟化剤は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる機能を有する。
軟化剤としては、エステル化合物であることが好ましい。エステル化合物は、トナー等の樹脂微粒子に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる溶解性または膨潤性に優れている。上記エステル化合物の中でも、脂肪族エステルや炭酸エステルが、樹脂の軟化能力が優れている点で特に好ましい。また、これらのエステル化合物は、後述する起泡剤としてのアニオン系界面活性剤による起泡性を阻害しない点からも好ましい。
また、記録媒体に対する樹脂微粒子としてのトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)の発生及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。さらに、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
上記脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1[秒]以内で溶解または膨潤させることができる。さらに、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解または膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、定着液としては、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式における「R1」は、炭素数が11以上14以下のアルキル基を示しており、「R2」は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基を示している。「R1」及び「R2」の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。定着液としては、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記化合物を含む上記飽和脂肪族エステルである脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、などが挙げられる。上記化合物を含むこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについて、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
また、定着液としては、上記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含むものを用いることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができる。例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1[秒]以内であることが好ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1[秒]以内にすることが可能となる。さらに、より少量の軟化剤を添加することによって、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができるため、定着液に含まれる軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式における「R3」は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基を示しており、「R4」は、炭素数が3以上5以下の直鎖型または分岐型アルキル基を示している。「R3」及び「R4」の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R3(COOR4)」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記一般式「R3(COOR4)」で表される化合物を含む上記脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記一般式「R3(COOR4)」で表される化合物を含むこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒では、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
さらに、本発明における定着液において、上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことがより好ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式における「R5」は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基を示しており、「R6」は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、「R7」は、炭素数が1以上4以下のアルキル基を示している。「R5」、「R6」及び「R7」の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R5(COOR6−O−R7)」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記一般式「R5(COOR6−O−R7)」で表される化合物を含む上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジカルビトール、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。上記一般式「R5(COOR6−O−R7)」で表される化合物を含むこれらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合には、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
上記炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
また、上記以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステルが挙げられる。また、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物が挙げられる。さらに、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物などが挙げられる。
液状定着液310における上記軟化剤の含有量は、0.5[質量%]〜50[質量%]が好ましく、5[質量%]〜40[質量%]がより好ましい。上記軟化剤の含有量が、0.5[質量%]未満であると、トナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させる効果が不十分になることがあり、50[質量%]を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
次に、液状定着液310が含有する溶解助剤について説明する。
液状定着液310中の軟化剤の濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる場合がある。そこで、溶解助剤として、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、液状定着液310における上記多価のアルコール類の含有量は、1[質量%]〜30[質量%]の範囲が好ましい。上記多価のアルコール類の含有量が、30[質量%]を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
次に、液状定着液310が含有する起泡剤について説明する。
アニオン系界面活性剤は優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができ、起泡剤として用いられる。
上記アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。一方、軟化剤は、消泡作用が強く、定着液中で軟化剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、なかなか起泡しなくなり、泡が直ぐに破泡するため泡密度の低い泡状定着液を得ることができなくなる。
そこで、この定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献1にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。上記非特許文献1には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
ところが、後述するように、起泡剤として炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、さらに炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できることが分かった。
ここで、軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12〜18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。一方、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基が定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、脂肪酸塩の炭素数12〜18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に優れている。そこで、定着液中で、単独の脂肪酸塩でもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩を混合する方がさらに好ましい。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1などが適する。
上記アニオン系界面活性剤の液状定着液310中の含有量は、0.1[質量%]〜20[質量%]が好ましく、0.5[質量%]〜10[質量%]がより好ましい。上記アニオン系界面活性剤の液状定着液310中の含有量が、0.1[質量%]未満であると、起泡性が不十分になることがあり、上記アニオン系界面活性剤の液状定着液310中の含有量が、20[質量%]を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。液状定着液310中における上記軟化剤の濃度が10[質量%]未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、液状定着液310中における軟化剤の濃度が10[質量%]以上、特に軟化剤の濃度が30[質量%]以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような液状定着液310中の軟化剤の含有量が30[質量%]である場合において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、上記脂肪酸の液状定着液310における含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、後述する具体例からわかるように、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、または大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲とした場合は、良好な起泡性を得ることができる。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組み合わせだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで、脂肪酸がステアリン酸の組み合わせや脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸のような炭素数が12〜18の範囲で異なる組み合わせであってもよい。要は、炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
さらに、上記脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、脂肪酸アミン塩が適している。さらに、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱して中和反応させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、中和反応後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩を混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
なお、定着液中で、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上記飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いてもよい。
起泡剤としては、上述した脂肪酸塩以外のアニオン系界面活性剤として、例えば、アルキルーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、スルホン酸塩、タウリン酸塩、サルコシン酸塩、グルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩も用いることができる。これらの起泡剤は起泡性に優れるものの、泡沫安定性は脂肪酸塩よりもやや劣る。また、軟化剤濃度の増加による起泡性が悪くなることがある。そこで、これらの起泡剤とともに後述する増泡剤を含有した定着液とすることで、起泡性と泡沫安定性を維持することができる。
次に、液状定着液310が含有する増泡剤について説明する。
泡状定着液Buにおいて、塗布ニップCにてトナー層に泡状定着液Buを押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで泡沫安定性に優れた泡が求められる。このため、定着液中に増泡剤を含有することが好ましい。増泡剤としては、脂肪酸アルカノールアミドと、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体とを用いる。
脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、泡状定着液Buの泡沫安定性の向上には(1:1)型が好適である。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、例えば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミド、パーム核湯脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドなどが挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
ベタイン誘導体としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタイン、パルミチン酸アミドプロピルベタイン、ステアリン酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
上記増泡剤を定着液に添加する構成としては、定着液収容器31に収容された液状定着液310に増泡剤を添加する構成に限るものではない。後述する実施形態2のように、混合することで定着液を生成する軟化剤液と起泡剤液とを分けて収容する構成では、軟化剤液と起泡剤液との両方またはどちらか一方に添加することができる。
上記増泡剤の液状定着液310中の含有量は、0.01[質量%]〜1[質量%]が好ましく、0.05[質量%]〜0.5[質量%]がより好ましい。上記増泡剤の液状定着液310中の含有量が、0.01[質量%]未満であると、定着液の増泡効果が不十分であり、上記増泡剤の液状定着液310中の含有量が、1[質量%]を超えると、定着液の粘度が高くなり過ぎて流動性が低下し、起泡性が低下する可能性がある。
次に、液状定着液310が含有する表面調製剤について説明する。
表面調製剤としては、アルコールアルコキシレートが好ましく、中でもアルコールアルコキシレートは定着液のトナー層への濡れ性を向上する効果が高いため好ましい。表面調製剤は起泡剤の分散安定性を低下するため、軟化剤液と起泡剤液とを分けて収容する構成では、軟化剤液に添加することが好ましい。
上記表面調製剤の液状定着液310中の含有量は、0.01[質量%]〜1[質量%]が好ましく、0.05[質量%]〜0.5[質量%]がより好ましい。上記表面調製剤の液状定着液310中の含有量が、0.01[質量%]未満であると、定着液の濡れ性の向上する効果が不十分であり、上記増表面調製剤の液状定着液310中の含有量が、1[質量%]を超えると、定着液の起泡性が低下する可能性がある。
定着液を泡状として記録媒体に塗布する構成としては、特許文献6、特許文献7においては、定着液に増泡剤を添加し、定着液の起泡性並びに泡沫安定性を向上させる構成が提案されている。これにより、泡密度の低い泡状定着液が生成でき、定着液の塗布量を低減できる。また、本出願人は、特願2009−288053号において、定着液に表面調整剤を添加し、定着液のトナー層への濡れ性を向上させる構成を提案している。これにより、定着液がトナー層下部まで浸入しやすくなり、オフセットを防止できる。また、本出願人は、特願2009−030590号においては、定着液を軟化剤液と起泡剤液とに分けて収容し、軟化剤の加水分解を防ぐ構成を提案している。これにより、定着液の長期保存性を高めることができる。
定着液を用いる定着装置では、熱定着方式と異なり定着を行う位置の温度が100[℃]を超えるようなことはないが、装置の設置環境の温度や装置駆動部の発熱等により定着位置の温度が40[℃]近くになることがあるため、40[℃]における定着安定性が求められる。さらに、定着装置を備える画像形成装置の設置環境としては、冬季等には10[℃]台となることがあるため、10[℃]における定着安定性が求められる。
しかしながら、特許文献5〜特許文献7、特願2009−288053号及び特願2009−030590号に記載の定着装置で用いる定着液は、泡状定着液として使用するときの特性が使用環境温度の影響を受け易く、使用環境温度によっては所望の定着品質を得ることができない場合があった。例えば、常温(25[℃])では良好な定着画像が出力できていたとしても、使用環境温度が10[℃]や40[℃]に変化すると、オフセットや画像流れ等が生じ、画像品質が低下することがあった。
これは、低温のときは定着液の粘度が上がり、トナー層への泡状定着液の浸入抵抗が増加するために、トナー層下部までに泡状定着液が浸入しにくくりオフセットが生じる。また、粘度が上がることで、泡を形成する気泡同士の間に液膜が厚くなり、泡状定着液の泡密度が高くなって塗布量が増え、残液感、タック、カール等が生じることがあった。さらに、特許文献5の定着液は低温環境下でゲル状化し、起泡性が著しく低下する。
一方、高温の時は定着液の粘度が下がり、泡状定着液が破泡しやすくなりトナー層へ十分浸入する前に液状化してしまうため、トナー層下部までに泡状定着液が浸入しにくくなり、オフセットが生じる。さらに、液状化した定着液により画像が乱される状態、いわゆる、画像流れが生じる。さらに、特許文献6や特許文献7の定着液に含有する増泡剤は、高温環境下での泡沫安定性を向上させる効果がなかった。
このような環境温度変化による定着性の変動を防止するために、実施形態1の液状定着液310は、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールまたはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤と、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤とを含有する。
次に、液状定着液310が含有する溶媒について説明する。
上記溶媒としては、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、などが好ましい。
水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。
上記水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加することで、表面張力を20[mN/m]〜30[mN/mと]することが好ましい。上記アルコール類としては、泡状定着液Buにおける気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点から、例えばセタノール等の単価アルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。また、これらの単価または多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止の効果を奏する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も好ましい。その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステレート及びソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルや、ショ糖ラウリン酸エステル及びショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが好ましい。
なお、定着液中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液収容器31内の液状定着液310に加えることで軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
次に、液状定着液310が含有するpH調整剤について説明する。
液状定着液310は、pH7以上で良好な起泡性を有するため、必要に応じて、pH調整剤を添加しても良い。pH調整剤としては、アミン類や有機酸が望ましい。
また、液状定着液310を、軟化剤を含有する液(以下、軟化剤液と称す)と起泡剤を含有する液(以下、起泡剤液と称す)とに分けて保管する場合、その各々にpH調整剤を添加しても良い。軟化剤液のpHは6〜7の弱酸に設定すると、軟化剤の加水分解が抑制されるためより望ましい。軟化剤液に用いるpH調整剤としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸が望ましい。起泡剤液のpHは7〜10の弱アルカリ性に設定すると、軟化剤と混合した際のpHが7以上になるため望ましい。起泡剤液に用いるpH調整剤としては、トリエタノールアミンなどのアミン類が望ましい。
本実施形態で用いる樹脂微粒子はトナーであるが、定着の対象となる樹脂を含有する樹脂微粒子としては、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよく、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。上記樹脂微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着に対する効果が高い。
また、上記トナーは、着色剤と、帯電制御剤と、結着樹脂と、離型剤とを含有し、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。上記トナーが含有する上記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、及びポリエステル樹脂等が挙げられる。また、上記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。また、上記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができる。
また、上記トナーが含有する上記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体またはその化合物、タングステンの単体またはその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記トナーが含有する上記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、及び金属石鹸等が挙げられる。
また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカや疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
また、泡状定着液Buは、撥水性処理されたトナー粒子に対して、十分な親和性を有することが好ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。即ち、定着液が泡状となった泡状定着液Buは、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20[mN/m]〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状定着液Buの表面張力は、20[mN/m]〜30[mN/m]であることが好ましい。
実施形態1では、媒体として転写紙Pを用いているが媒体としては、転写紙に限定されるものではなく、金属、樹脂、セラミックス等の何れでもよい。ただし、媒体は定着液に対し浸透性を有することが好ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が好ましい。
上記媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。例えば、紙等の媒体に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。
上記媒体のうち、記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。
実施形態1の定着装置30は、図1に示すように、定着液保持手段である定着液収容器31、泡状定着液生成手段である定着液供給部130、及び、泡状定着液付与手段である定着液塗布部140を備える。
図1に示す定着装置30が備える定着液収容器31は密封容器であり、密閉容器の先端には、液状定着液310をバブリング槽35に供給するための供給口313が設けられており、液搬送パイプ34に接続されている。
定着液収容器31に用いる密封容器としては、樹脂フィルムからなる密閉容器が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、及び四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられ、それらを組み合わせて多層構造にしても良い。樹脂フィルムにはガスバリア性を持たせるために、アルミ等の金属を蒸着しても良い。
実施形態1の定着装置30では、軟化剤と起泡剤とを含有した液状定着液310を定着液収容器31内で保管し、この液状定着液310から泡状定着液生成手段によって泡状定着液Buを生成する構成である。実施形態1の定着装置30では、複数の定着液成分液を混合して定着液を作製する定着液作製手段が不要であるため、装置の構成を簡略化できる。
実施形態1の定着装置30では、使用環境温度が変化しても粘度、起泡性、泡沫安定性、泡密度の安定した泡ができ、オフセットを防止できるため、安定した定着性能を維持することができる。
〔実施形態2〕
次に、本発明を適用した定着装置30の二つ目の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)について説明する。
図10は、実施形態2に係る定着装置30の概略構成図であり、図11は、実施形態2の定着装置30の定着液供給部130を示す拡大構成図である。
実施形態2の定着装置30は、液状定着液310を構成する軟化剤液610と起泡剤液620とを独立して保管し、泡状定着液Buを生成するときに軟化剤液610と起泡剤液620とを混合し、この混合によって得られた液状定着液310を定着液供給部130に供給して、泡状定着液Buを生成する構成である。実施形態2の定着装置30は、バブリング槽35に液状定着液310を供給する前の構成が実施形態1の定着装置30と異なり、バブリング槽35で大きな泡の泡状定着液Buを生成した後の定着液供給部130や定着液塗布部140の構成は、実施形態1と同様の構成である。よって、実施形態2の定着装置30については、実施形態1の定着装置30との相違点について説明し、共通する構成については説明を省略する。
実施形態2の定着装置30は、定着液保持手段、定着液作製手段、泡状定着液生成手段及び泡状定着液付与手段を有してなり、さらに必要に応じてその他の手段を有してなる。
図10に示すように、実施形態2の定着装置30は、軟化剤液610を収容する軟化剤液収容器61と、起泡剤液620を収容する起泡剤液収容器62とを備え、軟化剤液610と起泡剤液620とを独立して保管する構成である。軟化剤液収容器61内の軟化剤液610は、軟化剤液搬送ポンプ33aを駆動することによって軟化剤液搬送パイプ34aを通ってバブリング槽35に供給される。また、起泡剤液収容器62内の起泡剤液620は、起泡剤液搬送ポンプ33bを駆動することによって起泡剤液搬送パイプ34bを通ってバブリング槽35に供給される。このとき、軟化剤液搬送ポンプ33aと起泡剤液搬送ポンプ33bとの駆動を制御して、軟化剤液610の搬送量と起泡剤液620の搬送量との比を調節することにより、2つの液を混合して成る液状定着液310における軟化剤液610と起泡剤液620との混合比を調節することが出来る。軟化剤液搬送ポンプ33a及び起泡剤液搬送ポンプ33bとしては、実施形態1の液搬送ポンプ33と同様のものを用いることができる。
上述した環境温度に対するロバスト性の課題以外にも、泡状定着液を用いる構成では次のような課題がある。
特許文献5〜特許文献7や特願2009−288053号に記載の定着液には、起泡剤として脂肪酸塩などのアニオン系界面活性剤が好適に用いられている。このアニオン系界面活性剤は、液のpHが7以上のアルカリ性領域で起泡性が最大限に発揮できるため、定着液のpHは7以上に調製されている。一方、定着液中の軟化剤としては、脂肪族エステルが好適に用いられている。この脂肪族エステルはエステル基を有しているため、pHが7以上のアルカリ性領域ではエステル基が加水分解を起こして軟化剤が化学的に分解してしまい、軟化剤としての能力が失われる。このため、定着液の起泡性を重視して液のpHを7以上とすると、定着液の長期保存において、保存容器内で軟化剤が化学的に分解し、定着性能がなくなり、定着装置としての信頼性が得られなくなる問題がある。pHを6以下の弱酸性とすると軟化剤の化学的分解は抑制されるが、起泡剤の能力が低下し、定着液の泡化がうまくいかなくなり、泡膜の形成が劣化し、定着不良を発生させてしまう。
これに対して、実施形態2の定着装置30では、軟化剤液610と起泡剤液620とを独立して保管することにより、長期保管しても軟化剤の化学分解を防止することができる。
実施形態2の定着装置30では、稼動時に、2つの液搬送ポンプ33(軟化剤液搬送ポンプ33a及び起泡剤液搬送ポンプ33b)によって軟化剤液610と起泡剤液620とが所望の混合比となるようにバブリング槽35に供給し、バブリング槽35で供給された2つの液が混合する。
ここで、2つの液がバブリング槽35に到達するタイミングで空気ポンプ36を作動させることで、2つの液をバブリングの振動によって混合し、混合して得られる液状定着液310をバブリングして、定着液を泡状にする。このときに得られる泡状定着液Buは目視でも泡の粒が確認できるくらいの大きな泡からなる。
バブリング槽35で生成された比較的大きな泡の泡状定着液Buは、空気ポンプ36からの空気圧によって泡搬送パイプ38c内を搬送され、泡微細化部38に送られる。そして、泡微細化部38に送られた泡状定着液Buは実施形態1と同様に、二重円筒構造の泡微細化部38によって大きな泡にせん断力が加えられ細かな泡となり、ノズル39から所望の微小な泡径の泡状定着液Buとして排出される。
実施形態2の定着装置30では、バブリング槽35よりも下流側の液搬送路(バブリング槽35、泡搬送パイプ38c、外側円筒38aと回転する内側円筒38bとの隙間、排出パイプ38d及びノズル39)内では、軟化剤液610と起泡剤液620とが混合した定着液の状態で存在する。定着液の状態で長期放置すると軟化剤の化学的分解が起こるおそれがある。このため、定着終了時もしくは、定着開始時に、バブリング槽35から泡状定着液供給口を備えたノズル39までの液搬送路内の定着液を廃棄しておくことが望ましい。この液搬送路内の定着液を廃棄する方法としては、2つの液搬送ポンプ33の駆動を停止した状態で空気ポンプ36を所定の時間駆動し続ける方法がある。これにより、この液搬送路内の定着液をノズル39から廃棄することができる。さらに、この廃棄により定着液が無駄に消費されるため、バブリング槽35からノズル39までの液搬送路内の容積は極力小さいことが望ましい。
軟化剤液610と起泡剤液620とを混合して液状定着液310を生成する方法では、軟化剤液610と起泡剤液620とが、十分均一に混合されないと混合後の液状定着液310の泡化のときに起泡性が悪くなる。液状定着液310の起泡性が悪くなると泡化して得られる泡状定着液Buの密度が所望の値よりも高くなり、泡膜形成ができなくなる恐れがある。また、軟化剤が泡のプラトー境界にて不均一に分布し、定着が不均一になる恐れがある。
軟化剤液610と起泡剤液620とを混合して液状定着液310を得る方法としては、図11に示す構成のようにバブリングの振動によって軟化剤液610と起泡剤液620とを混合する方法もあるが、軟化剤液610と起泡剤液620とを混合する液混合部を別途設けることが望ましい。
図12は、2つの液搬送ポンプ33とバブリング槽35との間に、軟化剤液610と起泡剤液620とを混合する液混合部63を備え、液混合部63とバブリング槽35とを定着液搬送パイプ34cで接続した構成の説明図である。液混合部63は、軟化剤液搬送パイプ34aを通過した軟化剤液610と起泡剤液搬送パイプ34bを通過した起泡剤液620とが合流する流路に回転する不図示の混合撹拌羽根を組み込んだ構成である。このような液混合部63を備えることにより、泡化を行うバブリング槽35に到達する前に軟化剤液610と起泡剤液620とを均一に混合した液状定着液310を得ることができる。このようにして得た液状定着液310をバブリング槽35で泡化することにより、所望の起泡性を得ることができるとともに、生成した泡状定着液Buのプラトー境界内の軟化剤の分布が均一になって均一な定着を行うことが出来る。液混合部63において、2つの液を混合するために撹拌する構成としては、混合撹拌羽根を組み込む構成の他に、超音波振動などが望ましい。
また、液混合部63としては、駆動する撹拌部材を設けず流路だけから構成されるものであってもよい。
図13は、流路だけからなる液混合部63の拡大説明図である。
図13に示す液混合部63は、軟化剤液搬送パイプ34aに接続された軟化剤液610の流路と、起泡剤液搬送パイプ34bに接続された起泡剤液620の流路と、定着液搬送パイプ34cに接続され、軟化剤液610の流路と起泡剤液620の流路とが合流する混合液の流路とから構成する。図13に示す液混合部63では、図中矢印G1及びG2で示すように2つの流路に軟化剤液610及び起泡剤液620がそれぞれ流入し、2つの流路が合流する一つの流路内で軟化剤液610と起泡剤液620とを混合し、液状定着液310として図中矢印Gで示すように定着液搬送パイプ34cに向けて排出する。この液混合部63では、軟化剤液610の流路の流体抵抗と起泡剤液620の流路の流体抵抗とに比べて混合液の流路の流体抵抗が小さくなるように設定する。このように設定することにより、混合液の流路内での流速が速くなって乱流が形成されるため、軟化剤液610と起泡剤液620とが十分に混合される。
実施形態2の定着装置30では、独立して保管された軟化剤液610と起泡剤液620とを混合して、液状定着液310を生成する構成が定着液作製手段である。また、図13に示すような流路だけからなる液混合部63であれば駆動部がないため、極めて簡便な構成で混合が可能となる。
実施形態1と同様に、実施形態2の液状定着液310は、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールまたはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤と、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤とを含有する。これにより、実施形態1と同様に、環境温度変化による定着性の変動を防止することができる。
また、特願2009−288053号に記載の定着液には、定着液のトナー層への濡れ性を向上させるために、表面調整剤としてアルコールアルコキシレートが含有されている。アルコールアルコキシレートは、他の表面調整剤よりも濡れ性改善効果が高いため、好適に用いられている。しかし、アルコールアルコキシレートは起泡剤であるアニオン系界面活性剤の分散安定性を低下させることがわかり、長期保存において、定着液内での起泡剤の分離を引き起こしてしまう。起泡剤が分離した液状定着液を泡状定着液にしようとしても、定着液の起泡性や泡沫安定性が低下しているため、所望の泡状定着液を得ることができず、定着不良を発生させてしまう。
このような問題に対して、実施形態2の定着装置30では、アルコールアルコキシレートを軟化剤液610に含有させ、軟化剤液収容器61に収容する。これにより、アルコールアルコキシレートに起因して起泡剤液収容器62内の起泡剤液620で軟化剤が分離することを防止できる。
このように、実施形態2の定着装置30では、定着液の保存安定性の向上させることができる。
図14は、実施形態2と同様に、液状定着液310を構成する軟化剤液610と起泡剤液620とを独立して保管する定着装置30の他の構成例の概略説明図である。
図14に示す定着装置30は、実施形態2と同様に軟化剤液610と起泡剤液620とは定着液作製手段の液混合部63で十分に混合され、続く泡状定着液生成手段である定着液供給部130によって所望の泡径を有する泡状定着液Buとなり、泡状定着液付与手段である定着液塗布部140に供給される。そして、定着液塗布部140では泡状定着液Buの膜厚が制御され、膜厚が制御された泡状定着液Buが未定着トナーTに付与され、定着が行われる。
また、図14に示す定着装置30では、実施形態2の定着装置30が備える加圧ローラ43の代わりに、加圧ベルト430を備えている。加圧ベルト430としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイルなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いる。
図14に示す定着装置30のように、塗布ニップCを形成する部材にベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。従って、塗布ニップCを形成する部材にベルトを用いる構成としては、図14に示すように加圧部材にベルト部材を用いる構成に限らず、塗布ローラ41の代わりにベルト状の塗布部材を用い、加圧部材をローラ状の部材を用いる構成であっても良い。
このように、塗布側または加圧側の少なくとも一方をベルト状の部材とする構成にすることで、ニップ幅を容易に広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることもなく、ニップ時間が同じだとすると紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
また、定着装置30としては、トナーに定着液を付与する塗布ニップCを通過した転写紙Pに対して、転写紙P上で溶融また軟化したトナーを加圧する一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を配置してもよい。一対の平滑化ローラによって、転写紙P上で溶融また軟化したトナーを加圧することによって、溶融または軟化したトナーの層の表面を平滑化して、定着後のトナー像に光沢を与えることが可能となる。さらに、溶融または軟化したトナーを転写紙Pに押し込むことによって、転写紙Pに対するトナーの定着性を向上させることができる。
実施形態2の定着装置30では、使用環境温度が変化しても粘度、起泡性、泡沫安定性、泡密度の安定した泡ができ、オフセットを防止できるため、安定した定着性能を維持することができる。さらに、定着液の保存安定性が向上しているため、さらに安定した定着性能を維持することができる。
〔実験〕
実施形態2の定着装置30を用いた実施例及び比較例について行った実験について説明する。
なお、後述する実施例1〜4では、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
−軟化剤液(1)の調製−
以下の材料を室温にて1時間撹拌し、軟化剤液(1)を調製した。
・軟化剤:コハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、ハイアクオスターDCS)を50[wt%]
・溶媒助剤:トリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製)を25[wt%]
・表面調整剤:アルコールアルコキシレート(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK−DYNWET800)を0.75[wt%]
・pH調整剤:乳酸ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬、50[%])を0.03[wt%]
・pH調整剤:乳酸(関東化学株式会社製、試薬、50[%])を0.02[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.05[wt%]
・溶媒:イオン交換水を24.15[wt%]
コハク酸ジカルビトールは本発明における脂肪酸エステルである。
〔製造例2〕
−軟化剤液(2)の調製−
以下の材料を室温にて1時間撹拌し、軟化剤液(2)を調製した。
・軟化剤:コハク酸ジカルビトール(高級アルコール工業株式会社製、ハイアクオスターDCS)を50[wt%]
・溶媒助剤:トリプロピレングリコール(旭硝子株式会社製)を25[wt%]
・pH調整剤:乳酸ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬、50[%])を0.03[wt%]
・pH調整剤:乳酸(関東化学株式会社製、試薬、50[%])を0.02[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.05[wt%]
・溶媒:イオン交換水を24.9[wt%]
軟化剤液(2)は、表面調整剤であるアルコールアルコキシレートを含有しない点でのみ軟化剤液(1)と異なる。
〔製造例3〕
−脂肪酸ジエタノールアミン塩の調製−
ミリスチン酸(関東化学株式会社製、試薬)、パルミチン酸(関東化学株式会社製、試薬)及びステアリン酸(関東化学株式会社製、試薬)の質量比を4:3:1とした脂肪酸と、中和剤であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製、試薬)とのモル比が1:0.7になるように計量し、それを液温80[℃]のイオン交換水中で、1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、脂肪酸ジエタノールアミン塩を調製した。
脂肪酸ジエタノールアミン塩は本発明における脂肪酸塩である。
〔製造例4〕
−起泡剤液(1)の調製−
以下の材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(1)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・第一の増泡剤:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(松本油脂製薬株式会社製、マーポンCMA)を0.5[wt%]
・第二の増泡剤:セタノール(高級アルコール工業株式会社製)を0.17[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・溶媒:イオン交換水を75.01[wt%]
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドは、本発明における脂肪酸アルカノールアミドであり、セタノールは、本発明における脂肪族アルコールである。
〔製造例5〕
−起泡剤液(2)の調製−
下記材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(2)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・第一の増泡剤:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(松本油脂製薬株式会社製、マーポンCMA)を0.5[wt%]
・第二の増泡剤:ステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社製)を0.33[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・溶媒:イオン交換水を74.85[wt%]
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドは、本発明における脂肪酸アルカノールアミドであり、ステアリルアルコールは、本発明における脂肪族アルコールである。
〔製造例6〕
−起泡剤液(3)の調製−
以下の材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(3)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・第一の増泡剤:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(松本油脂製薬株式会社製、マーポンCMA)を0.5[wt%]
・第二の増泡剤:ステアリン酸アミドプロピルベタイン(松本油脂製薬株式会社製)を2.53[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・溶媒:イオン交換水を72.65[wt%]
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドは、本発明における脂肪酸アルカノールアミドであり、ステアリン酸アミドプロピルベタインは、本発明におけるベタイン誘導体である。
〔製造例7〕
−起泡剤液(4)の調製−
以下の材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(4)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・第一の増泡剤:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(松本油脂製薬株式会社製、マーポンCMA)を0.5[wt%]
・第二の増泡剤:パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタイン(松本油脂製薬株式会社製)を0.24[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・溶媒:イオン交換水を74.94[wt%]
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドは、本発明における脂肪酸アルカノールアミドであり、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタインは、本発明におけるベタイン誘導体である。
〔製造例8〕
−起泡剤液(5)の調製−
以下、材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(5)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・増泡剤:セタノール(高級アルコール工業株式会社製)を0.33[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・溶媒:イオン交換水を75.35[wt%]
起泡剤液(5)は、増泡剤がセタノールのみであり、脂肪族アルカノールアミドからなる増泡剤を備えていない点で起泡剤液(1)〜(4)と異なる。
〔製造例9〕
−起泡剤液(6)の調製−
以下、材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(6)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・増泡剤:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(松本油脂製薬株式会社製、マーポンCMA)を0.5[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・溶媒:イオン交換水を75.18[wt%]
起泡剤液(6)は、増泡剤がヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドのみであり、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる増泡剤を備えていない点で起泡剤液(1)〜(4)と異なる。
〔製造例10〕
−起泡剤液(7)の調製−
以下の材料を液温80[℃]にて1時間撹拌し、室温になるまで放冷して、起泡剤液(7)を調製した。
・起泡剤:脂肪酸ジエタノールアミン塩(製造例3で調整)を16[wt%]
・粘度調整剤:ポリエチレングリコール4000(関東化学株式会社製、試薬)を8.3[wt%]
・第一の増泡剤:ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(松本油脂製薬株式会社製、マーポンCMA)を0.5[wt%]
・第二の増泡剤:セタノール(高級アルコール工業株式会社製)を0.33[wt%]
・防腐剤:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(株式会社ケミクレア製、ZONEN−MT、50[%])を0.02[wt%]
・表面調整剤:アルコールアルコキシレート(ビックケミー・ジャパン株式会社製、BYK−DYNWET800)を0.5[wt%]
・溶媒:イオン交換水を74.35[wt%]
起泡剤液(7)は、表面調整剤であるアルコールアルコキシレートを含有する点でのみ起泡剤液(1)と異なる。
軟化剤液(1)、軟化剤液(2)、及び、起泡剤液(1)〜(6)は、室温で1ヶ月間放置しても安定であった。しかし、起泡剤液(7)は、調製から1週間後には分離していた。このことから、表面調整剤であるアルコールアルコキシレートを起泡剤液に添加すると、起泡剤液の分散安定性を低下させることが分かる。一方、軟化剤液(1)より、表面調整剤であるアルコールアルコキシレートを軟化剤液に添加しても、分散安定性を低下させないことが分かる。
以下、実施例及び比較例で用いた各定着液の調整を示す。
〔実施例1〕
実施例1として、上記製造例1で調整した軟化剤液(1)と上記製造例4で調整した起泡剤液(1)とを2:3の混合比で混合して定着液(1)を調製した。
〔実施例2〕
実施例2は、起泡剤液として、上記製造例5で調整した起泡剤液(2)を用いた点以外は実施例1の定着液(1)と同様にして定着液(2)を調整した。
〔実施例3〕
実施例3は、起泡剤液として、上記製造例6で調整した起泡剤液(3)を用いた点以外は実施例1の定着液(1)と同様にして定着液(3)を調整した。
〔実施例4〕
実施例4は、起泡剤液として、上記製造例7で調整した起泡剤液(4)を用いた点以外は実施例1の定着液(1)と同様にして定着液(4)を調整した。
〔比較例1〕
比較例1は、起泡剤液として、上記製造例8で調整した起泡剤液(5)を用いた点以外は実施例1の定着液(1)と同様にして定着液(5)を調整した。比較例1で用いた起泡剤液(5)は、含有する増泡剤が一種類で有る点で、二種類の増泡剤を併用した起泡剤液(1)〜(4)と異なる。
〔比較例2〕
比較例2は、起泡剤液として、上記製造例9で調整した起泡剤液(6)を用いた点以外は実施例1の定着液(1)と同様にして定着液(6)を調整した。比較例2で用いた起泡剤液(6)は、含有する増泡剤が一種類で有る点で、二種類の増泡剤を併用した起泡剤液(1)〜(4)と異なる。
〔比較例3〕
比較例2は、軟化剤液として、上記製造例2で調整した軟化剤液(2)を用いた点以外は実施例1の定着液(1)と同様にして定着液(7)を調整した。比較例3で用いた軟化剤液(2)は、表面調整剤を含有していない点で軟化剤液(1)と異なる。
実施例1〜4及び比較例1〜3とした定着液(1)〜(7)についての軟化剤液と起泡剤液との組み合せを表1に示す。
Figure 2012088597
<粘度測定>
定着液(1)〜(7)について、粘度を測定した。粘度計にはTV−22形粘度計(東機産業株式会社製)を用いた。測定条件の回転数は10[rpm]とした。測定温度は10[℃]、25[℃]、40[℃]とした。粘度測定の結果を表2に示す。
Figure 2012088597
次に、図10を用いて説明した実施形態2の定着装置30に図12を用いて説明した液混合部63を備えた構成おいて、定着液(1)〜(7)を構成する軟化剤液及び起泡剤液を、100[mL]ずつ各々ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム製の密閉容器に収容し、軟化剤液収容器61及び起泡剤液収容器62として定着装置30に装着した。
続いて、チューブポンプからなる軟化剤液搬送ポンプ33a及び起泡剤液搬送ポンプ33bを稼動させる。このとき、軟化剤液の流量が2[mL/分]、起泡剤液の流量が3[mL/分]となるように設定し、各液搬送ポンプ33を5秒間稼動させ、液混合部63を経由して、バブリング槽35へ液状定着液310を供給した。2つの液搬送ポンプ33を停止した後、ダイヤフラム型エアーポンプからなる空気ポンプ36を稼動させ、バブリング槽35内で15[秒間]バブリングして大きな泡径の泡状定着液Buを作製した。
続いて、二重円筒構造の泡微細化部38を稼動させて、微小な泡径の泡状定着液Buを作製した。泡微細化部38の内側円筒38bは不図示の回転軸に固定されており、回転駆動モータにより回転する構造になっている。泡微細化部38の外側円筒38a及び内側円筒38bは、PET樹脂とした。外側円筒38aは内径d1を10[mm]、軸線方向の長さを120[mm]とし、内側円筒38bの外径d2を8[mm]、軸線方向の長さLを100[mm]とした。内側円筒38bの回転数は1000[rpm]とし、回転時間は10[秒間]とした。
そして、得られた泡径の微小な泡状定着液Buについて、以下に示す評価基準に基づいて起泡性、泡沫安定性、定着画像品質を評価した。評価環境の温度は10[℃]、25[℃]、40[℃]とした。起泡性の結果を表3に、泡沫安定性の結果を表4に、定着画像品質の結果を表5に示す。
<起泡性の評価>
ここで起泡性の評価について説明する。本実験では、起泡性を評価するために、微小な泡状定着液の泡密度を測定した。
塗布ローラのように、接触型の定着液付与手段の表面の定着液の泡膜は、記録媒体上の樹脂微粒子層の厚み以上であることが必須条件であり(樹脂微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは50[μm]〜80[μm]が望まれる。一方、記録媒体表面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)を防止するためには、定着液付着量として、0.1[mg/cm]以下が望まれる。このことから、泡の密度としては、0.0200[g/cm]以下が好ましく、0.0125[g/cm]〜0.0200[g/cm]がより好ましい。
そこで、微小な泡径の泡状定着液Buの泡密度の値から、起泡性を以下に示す評価基準で評価した。なお、泡密度は容積が既知である容器に泡を隙間なく充填して重量を測定し、算出した。
〔評価基準〕
0.0125〜0.0200[g/cm]:○(起泡性良好)
0.0201〜0.0300[g/cm]:△
0.0301〜0.0500[g/cm]:×(起泡性不良)
0.0501以上[g/cm]:××
実施例1〜4及び比較例1〜3についての起泡性の評価結果を表3に示す。
Figure 2012088597
<泡沫安定性の評価>
次に、泡沫安定性の評価について説明する。本実験では、起泡性を評価するために、泡沫安定性を評価するために、微小な泡径の泡状定着液Buを5[分間]放置し、泡の状態を目視で観察し、以下に示す評価基準で評価した。
〔評価基準〕
5[分間]放置後も泡の状態が変化しない場合:○(泡沫安定性良好)
5[分間]放置後に泡の一部が消泡した場合 :×(泡沫安定性不良)
実施例1〜4及び比較例1〜3についての泡沫安定性の評価結果を表4に示す。
Figure 2012088597
<定着画像品質の評価>
定着画像品質を評価するために、未定着トナーTのトナー像が形成された転写紙Pの上に微小な泡径の泡状定着液Buを付与した。ここで、未定着トナーTのトナー像が形成された転写紙Pとしては、電子写真方式のプリンタ(株式会社リコー製、imagioMPC2500)を用い、未定着トナーのカラー画像をPPC用紙(株式会社リコー製、T−6200)に形成した。
このように形成したカラー画像において、未定着トナーTのトナー層の厚みは30[μm]〜40[μm]であった。続いて、定着開始にあわせ、図1を用いて説明した実施形態1のように、ノズル39から微小な泡径の泡状定着液Buを塗布ローラ41と膜厚調整ブレード42との間に供給した。微小な泡径の泡状定着液Buが塗布ローラ41と膜厚調整ブレード42との間に供給開始され始めたタイミングで、塗布ローラ41を駆動しながら、未定着トナーTからなる未定着画像が形成された転写紙Pを塗布ニップCに挿入した。
このとき、塗布ローラ41の表面には膜厚約80[μm]の泡状定着液膜Bu1が均一に形成され、転写紙Pの表面に微小な泡径の泡状定着液Buが均一に付与された。また、膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41との間隙は50[μm]とし、転写紙Pに対する定着液の塗布量は100[mg/A4]前後とした。加圧ローラ43としては、アルミニウム合金製ローラ(直径10[mm])を芯金とし、外径50[mm]のポリウレタンフォーム材(イノアック社製、商品名「カラーフォームEMO」)を形成したスポンジローラを用いた。塗布ローラ41としては、PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(直径30[mm])を用いた。そして、2つのローラの線速は300[mm/s]とした。
また、膜厚調整ブレード42は、アルミニウム合金製支持板に厚み1[mm]の平板ガラスを接着し、ガラス面を塗布ローラ41側に向け、10[μm]〜100[μm]の範囲で塗布ローラ41とガラス面の隙間を制御できるようにした。紙搬送速度は300[mm/s]とした。
このようにして定着された画像の定着性は、以下に示す評価基準で評価した。
〔評価基準〕
トナーオフセットが発生せず、良好な画像が得られる場合:○(画像品質良好)
トナーオフセットが発生するが、画像は認識可能である場合:△
トナーオフセットが発生し、画像が大きく乱れている場合:×(画像品質不良)
実施例1〜4及び比較例1〜3についての定着画像品質の評価結果を表5に示す。
Figure 2012088597
表5における「※」で示す欄は、表3で示す起泡性の評価や表4で示す泡沫安定性の評価が悪かったため、定着液画像品質の評価を行わなかった条件の欄である。
表2〜5に示す実験結果から、本発明の定着液(実施例1〜4)は、使用環境温度が変化しても起泡性、泡沫安定性の安定した泡ができ、良好な定着画像品質を示した。一方、増泡剤を併用しなかった定着液(比較例1及び比較例2)は、使用環境温度により、起泡性、泡沫安定性が変化した。また、表面調整剤を起泡剤液に添加した定着液(比較例3)は、10[℃]での粘度上昇、定着画像のオフセットが見られた。
各実施例では、本発明の定着装置30を備えた画像形成装置がカラープリンタである構成について説明した。本発明の定着装置30を備えた画像形成装置としては、プリンタに限るものではなく、例えばレーザープリンタ、ダイレクトデジタル製版機、直接又は間接の電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンタ、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く適用可能である。
また、本実施形態の画像形成装置としてのプリンタ100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上に未定着トナーTを形成するトナー像形成手段であるプロセスユニット3等と、トナー像を担持する転写紙Pの表面に泡状定着液Buを塗布し、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備え、定着手段として、実施形態1や実施形態2に記載の定着装置30を用いる。実施形態1や実施形態2に記載の定着装置30は、経時に渡って安定した定着性を維持することができるので、プリンタ100は、経時に渡って定着不良や画像品質の低下を防止することができ、経時に渡って良好な画像形成を行うことができる。さらに、定着装置30は非加熱の定着方式であるため、熱定着方式の定着装置を備えた構成よりも省エネルギー化を実現できる。
以上、本実施形態の定着装置30は、定着液供給部130と定着液塗布部140とを有する。定着液供給部130は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子であるトナーを軟化させる軟化剤と、軟化剤を含む液体に起泡性を付与する脂肪酸塩からなる起泡剤と、起泡剤の起泡性を補助する増泡剤とを水からなる溶媒に含有する液状定着液310を液中に気泡が分散した泡状定着液Buとする泡状定着液生成手段である。定着液塗布部140は、トナー層を担持する定着液付与対象である転写紙Pの表面に泡状定着液Buを付与する泡状定着液付与手段である。そして、定着装置30では、泡状定着液Buを付与することで軟化したトナーを記録媒体である転写紙Pに定着するものである。このような定着装置30において、液状定着液310は、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有する。
従来の泡状定着液を用いる定着装置では、10[℃]〜40[℃]の範囲の環境温度の変化で泡特性(起泡性、泡沫安定性、泡密度)の変化が大きく、さらに、10[℃]〜40[℃]の範囲の環境温度の変化で定着液の粘度変化も大きかった。このため、温度変化によって、オフセットや画像流れが発生し、定着品質が安定しないという不具合が発生することがあった。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを併用することで、10〜40[℃]で定着液の起泡性、泡沫安定性が向上し、さらに泡密度の安定した泡ができるため、定着液の環境温度ロバスト性が向上することが判明した。脂肪族アルカノールアミドは、常温(25[℃])において脂肪酸塩などの起泡剤の泡沫安定性を向上する効果が高いものの、低温(10[℃])や高温(40[℃])ではむしろ起泡剤の起泡性や泡沫安定性を低下させることが検討結果によりわかった。一方、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体は、単独では常温(25[℃])における起泡剤の泡沫安定性を向上する効果は低いものの、脂肪族アルカノールアミドと併用することで、低温(10[℃])から高温(40[℃])までの温度領域で起泡剤の泡沫安定性を向上することが検討結果によりわかった。
このように定着液の環境温度ロバスト性が向上するメカニズムの詳細は不明であるが、脂肪族アルカノールアミドは常温では起泡剤分子と強く分子間相互作用し、高密度に分子が配向したミセル構造を形成し、泡沫安定性を高めていると考えられる。しかし、低温では脂肪族アルカノールアミドの溶解度が低下して分子として存在できなくなり、泡膜を形成する分子配向から外れてしまうため、泡沫安定性が低下すると考えられる。一方、高温では脂肪族アルカノールアミドが起泡剤を可溶化して、ミセル構造ができにくくなるため、起泡性や泡沫安定性が低下すると考えられる。脂肪族アルカノールアミドに脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体を併用した場合、起泡剤と脂肪族アルカノールアミドの分子間に脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体がさらに配向して、分子間相互作用をより強くし、温度変化によるミセル構造の変動を受けにくくなると考えられる。
さらに、表面調整剤であるアルコールアルコキシレートを併用することで、低温での定着液の粘度上昇が抑えられ、10〜40[℃]の環境温度変化での定着液の粘度変化が小さくなることが判明した。増泡剤の添加により、定着液は特に低温領域で増粘するが、アルコールアルコキシレートを添加した定着液は、アルコールアルコキシレートが未添加の定着液よりも、低温領域の粘度が低いことが検討結果によりわかった。定着液のトナー層への濡れ性を向上させるために添加したアルコールアルコキシレートが、定着液の粘度上昇を抑えることができることは、従来は知られていなかった新しい効果である。また、アルコールアルコキシレートを含有した定着液になっているため、定着液はトナー層に濡れやすくなっており、定着液がトナー層の下部まで浸入し、オフセットしにくくなっている。
特に、実施形態2の定着装置30では、軟化剤を含有する軟化剤液610を収容する軟化剤液収容器61と、起泡剤を含有する起泡剤液620を軟化剤液610とは独立して収容する起泡剤液収容器62と、軟化剤液610と起泡剤液620とを混合して定着液を生成する定着液生成手段として機能するバブリング槽35とを有する。このように、脂肪族エステル系軟化剤の加水分解を引き起こす原因である脂肪酸塩系起泡剤を、軟化剤と分けて収容することで、軟化剤の加水分解を抑制できる。
さらに、実施形態2の定着装置30では、軟化剤液610は、表面調整剤であるアルコールアルコキシレートと、溶媒である水とを含有し、起泡剤液620は、第一の増泡剤である脂肪族アルカノールアミドと、第二の増泡剤である脂肪族アルコールまたはベタイン誘導体と、溶媒である水とを含有する。このように、脂肪酸塩系起泡剤の分離を引き起こす原因であるアルコールアルコキシレートを軟化剤液に入れることで、長期保管時の起泡剤液の分離を抑制することができる。
また、本実施形態の画像形成装置としてのプリンタ100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上に未定着トナーTを形成するトナー像形成手段であるプロセスユニット3等と、トナー像を担持する転写紙Pの表面に泡状定着液Buを塗布し、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備え、定着手段として、実施形態1や実施形態2に記載の定着装置30を用いる。実施形態1や実施形態2に記載の定着装置30は、10[℃]〜40[℃]の環境温度の変化に対して安定した定着性を維持することができるため、プリンタ100では、10[℃]〜40[℃]の環境温度の変化に対して安定した画像形成を行うことが出来る。
3 プロセスユニット
15 レジストローラ対
20 転写ユニット
25 中間転写ベルト
28 紙搬送ユニット
30 定着装置
31 定着液収容器
33 液搬送ポンプ
33a 軟化剤液搬送ポンプ
33b 起泡剤液搬送ポンプ
34c 定着液搬送パイプ
34 液搬送パイプ
34a 軟化剤液搬送パイプ
34b 起泡剤液搬送パイプ
35 バブリング槽
36 空気ポンプ
38a 外側円筒
38b 内側円筒
38d 排出パイプ
38 泡微細化部
38c 泡搬送パイプ
39 ノズル
41 塗布ローラ
42 膜厚調整ブレード
42a ブレード回動軸
43 加圧ローラ
60 液状定着液を塗布する定着装置
61 軟化剤液収容器
62 起泡剤液収容器
63 液混合部
100 プリンタ
130 定着液供給部
140 定着液塗布部
310 液状定着液
610 軟化剤液
620 起泡剤液
特許第3290513号 特許第4185742号 特開昭59−119364号公報 特許第4354164号 特開2009−008967号公報 特開2009−251476号公報 特許第4402742号
「泡のエンジニアリング」初版(石井淑夫著,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489)

Claims (7)

  1. 樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる脂肪酸エステルからなる軟化剤と、
    該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する脂肪酸塩からなる起泡剤と、
    該起泡剤の起泡性を補助する増泡剤とを水からなる溶媒に含有し、
    該樹脂成分を軟化して記録媒体に定着する定着工程に使用されるときには、泡状液の状態で該樹脂成分に付与される定着液において、
    アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、
    上記増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有することを特徴とする定着液。
  2. 請求項1の定着液において、
    上記定着工程に使用されないときには、該軟化剤を含む水媒体の軟化剤液と、該起泡剤を含む起泡剤液とを独立した状態で保存され、
    該定着工程に使用されるときには、該軟化剤液と該起泡剤液とを混合して生成されることを特徴とする定着液。
  3. 請求項2の定着液において、
    上記軟化剤液は、上記軟化剤と、上記表面調整剤と、上記溶媒とを含有し、
    上記起泡剤液は、上記起泡剤と、上記第一の増泡剤と、上記第二の増泡剤と、上記溶媒とを含有することを特徴とする定着液。
  4. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤と、該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する脂肪酸塩からなる起泡剤と、該起泡剤の起泡性を補助する増泡剤とを水からなる溶媒に含有する定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする泡状定着液生成手段と、
    該樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段とを有し、
    該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、
    上記定着液は、アルコールアルコキシレートからなる表面調整剤を含有し、
    上記増泡剤として、脂肪族アルカノールアミドからなる第一の増泡剤と、脂肪族アルコールもしくはベタイン誘導体からなる第二の増泡剤とを含有することを特徴とする定着装置。
  5. 請求項4の定着装置において、
    上記軟化剤を含有する軟化剤液を収容する軟化剤液収容器と、
    上記起泡剤を含有する起泡剤液を該軟化剤液とは独立して収容する起泡剤液収容器と、
    該軟化剤液と該起泡剤液とを混合して定着液を生成する定着液生成手段とを有することを特徴とする定着装置。
  6. 請求項5の定着装置において、
    上記軟化剤液は、上記表面調整剤と、上記溶媒とを含有し、
    上記起泡剤液は、上記第一の増泡剤と、上記第二の増泡剤と、上記溶媒とを含有することを特徴とする定着装置。
  7. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて、記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面、である定着液付与対象の表面に泡状定着液を付与し、
    該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、
    該定着手段として、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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