JP2012058693A - 泡生成装置、定着装置、画像形成装置、定着方法、及び、画像形成方法 - Google Patents

泡生成装置、定着装置、画像形成装置、定着方法、及び、画像形成方法 Download PDF

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久慶 大島
Shinji Tezuka
伸治 手塚
Koji Takeuchi
弘司 竹内
Makihito Nakajima
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Abstract

【課題】所望の小さな泡径で、且つ、泡径分布がシャープな泡状液を生成できる、小型の泡生成装置、並びに、この泡生成装置を有する定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】一対の対向部材510、520を対向配置して間隙tにより形成される薄層状空間を液状定着液210と空気とを混合して泡状定着液Fを生成する気液混合部530とする。対向部材510、520の外周部を囲むように、周方向全域に並んだ空気用溝541と、周方向全域に並んだ定着液用溝542とを有する第1プレート部材540を無端状に設ける。空気用溝と気液混合部との連通部から気液混合部内に気体を供給し、定着液用溝と気液混合部との連通部から気液混合部内に液体を供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる定着装置に適用可能な泡生成装置に関するものである。詳しくは、トナー等の樹脂微粒子を溶解または膨潤させて記録媒体上に定着させる定着液を定着液泡状化手段によって泡状定着液にして樹脂微粒子に付与する定着装置の定着液泡状化手段として適用可能な泡生成装置、並びにこれを備えた定着装置及び画像形成装置に関するものである。
また、泡状の定着液を生成して定着を行う定着方法、および、この定着方法によって画像の記録媒体への定着を行う画像形成方法に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置としては、定着速度、定着画像品質等の点から、被定着媒体である記録媒体上のトナーを加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。
このような熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、熱定着方式の定着装置においてトナーを加熱処理のために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。このため、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、または、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献6に記載の定着装置で用いる定着方式)。湿式定着方式では、未定着のトナー像に対して定着液を塗布、噴霧または滴下してトナー像を形成するトナーを軟化させた後、軟化したトナーを記録媒体上で乾燥させることにより、トナー像を記録媒体に定着させる。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献4の何れに記載の定着装置も、接触型の定着液付与手段である塗布ローラを用いて定着液を液状のまま記録媒体または中間転写体といった定着液付与対象に塗布することで、定着液を定着液付与対象上の未定着トナー像に付与する構成である。しかしながら、定着液を液状のまま塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために定着液を微量付与すると、塗布部材表面上の定着液による表面張力により、塗布部材の表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。このように、液状の定着液を塗布する構成では、記録媒体上に定着液の微量付与と、トナーオフセットの抑制とを両立することが難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの抑制とを両立することができる定着方式として、特許文献5及び特許文献6には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を定着液付与対象である記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。定着液を泡状とすることにより定着液の密度を下げることができるため、従来よりも少量の定着液で塗布部材表面上の定着液の膜厚を厚くすることができる。よって、微量塗布であっても、塗布部材表面上の定着液による表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、定着液の密度を低くすることで、所望の膜厚を形成するために要する定着液を少量とすることができるため、定着後の記録媒体上の残液感を抑制することができる。さらに、泡状の定着液は液状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。
特許文献5及び特許文献6に記載の定着装置のように、泡状定着液をトナー画像に塗布する構成で良好な定着性を得るためには、泡状定着液の気泡の径がある程度小径であることが求められる。微小な気泡を含んだ泡状定着液を定着液付与対象上のトナー像に塗布することで、良好な定着性を得ることができる。しかし、通常の液状の液体から微小な気泡を含んだ泡状液を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、通常の液状の定着液を起泡させて発泡させる工程(以下、初期発泡と呼ぶ)で、最初から微小な気泡を生成するためには時間がかかる。このため、特許文献5に記載の定着装置のように、初期発泡で生成された泡状定着液をそのまま塗布ローラに供給して定着に用いる構成では、定着に適した微小な気泡を含んだ泡状定着液を生成するために時間がかかるという問題があった。
このような問題に対して、特許文献6に記載の定着装置が備える定着液泡状化装置は、初期発泡によって大きな泡径の泡状定着液を生成する大径泡生成部と、大径泡生成部で生成された泡状定着液を分泡して微小な泡径の泡状定着液を生成する小径泡生成部とを有する。この定着液泡状化装置では、大径泡生成部で通常の液状の定着液(以下、液状定着液と呼ぶ)と空気とを微小孔シートを通過させることで、液状定着液を発泡させて初期発泡を行い、所望の泡径よりも大きい泡径の泡状定着液を生成する。その後、初期発泡で得られた泡状定着液を小径泡生成部に搬送し、小径泡生成部では内部に回転体を備える装置内で大きな泡径の泡状定着液にせん断力を付与することで泡の小径化を行う。このように、大きな気泡を含む泡状定着液を生成した後に、この泡状定着液にせん断力を加えることで大きな泡を分泡して微小な泡径の泡状定着液を得ると、通常の液状の液体から起泡させていきなり微小な気泡を含有する泡状液を生成する方法に比べ、素早く所望の大きさの微小な気泡を含有した泡状定着液を生成できる。
しかしながら、特許文献6の定着装置が備える定着液泡状化装置では、装置が大型になるという問題があった。これは以下の理由による。
特許文献6の定着液泡状化装置は、初期発泡を行う装置と小径化を行う装置とを別々に設けており、初期発泡を行う装置から小径化を行う装置まで大きな泡径の泡状定着液を配管(チューブ)を通して搬送する。このとき、泡状の液体は通常の液体と比べて流体抵抗が大きく、ポンプで圧力を掛けて泡状定着液を圧送しようとすると大きな圧力が必要となる。そして、泡状定着液を搬送する搬送経路を形成する配管が長くなるほど泡状定着液を圧送するときに要する圧力が大きくなる。このため、定着液泡状化装置内で定着液を搬送するために出力の大きなポンプが必要となり、ポンプは出力が大きいものほど大型化する傾向があるため、出力の大きなポンプを要する定着液泡状化装置は大型になる。
また、特許文献6の定着装置が備える定着液泡状化装置では、大きな泡径の泡状定着液に回転体によってせん断力を付与して小径化を行うため、回転体を備える機構と回転体に駆動を伝達する駆動源とが必要となり、装置の大型に繋がる。
そして、定着液泡状化装置が大型になると、それを備える定着装置や画像形成装置の大型化に繋がるため、泡状定着装置としては、所望の小径な泡を生成でき、小型であることが望まれる。
本出願人は、特願2009−114659号(以下、「先願」という。)において、一般的に二種類の液体の混合や反応に使用されるマイクロミキサ(マイクロリアクタともいう)と同様の構成を備えた装置を、液状の定着液を泡状とする泡生成装置として用いる定着装置を提案している。
マイクロミキサは、液体の混合や反応というプロセスを数百ミクロン以下の微細な流路や空間で行うことにより、その効率を向上させるものである。マイクロミキサは、一般に、二種類の液体をそれぞれ供給する流路を備え、それぞれの流路に二種類の液体を供給して混合や反応を行い、結果物を排出口から得る構成である。上記先願の発明者らは、このマイクロミキサの流路の一方を空気流路として空気を送るエアポンプを接続し、他方の流路に液状定着液を供給する定着液供給ポンプを接続して空気と液状定着液とを送り込んで混合すると泡状定着液が得られることを見出した。
上記先願の泡生成装置は、定着液供給ポンプにより供給された液状定着液を流す複数の微細な液体流路と、エアポンプにより供給された空気を流す複数の微細な気体流路と、供給された液状定着液と空気とを混合して泡状定着液を生成する気液混合部とを備えている。気液混合部は長尺なスリット状であり、そのスリット状の一端に、複数の微細な液体流路に連通する複数の液体供給口と、複数の微細な気体流路に連通する複数の気体供給口とが配置されている。また、スリット状の他端は開口であり、生成された泡状定着液を外部に吐出する排出口を形成している。
上記先願に記載の泡生成装置で得られた泡状定着液は、特許文献6に記載の微小孔シートを通過させて初期発泡を行う装置で得られる泡状定着液よりも泡径が十分に小さい泡状定着液であり、このとき得られた泡状定着液では、泡状定着液をトナー画像に塗布する構成で良好な定着性を得ることが出来得る程度に微小な気泡を含んだ泡状定着液であることが確認された。
さらに、この先願に記載の泡生成装置では、特許文献6の定着装置が備える定着液泡状化装置と同等以上に素早く微小な気泡を含有した泡状定着液を生成できることが確認された。
また、この先願に記載の泡生成装置で用いるエアポンプや定着液供給ポンプとして用いたポンプの出力は、特許文献6に記載の定着液泡状化装置が備えるポンプの出力よりも十分に小さいものであることが確認された。
出力の小さいポンプを用いることができるため、ポンプの小型化を図ることができる。さらに、回転体によって泡状定着液にせん断力を付与して小径化を行う装置が不要であるため、せん断力を付与する回転体を備える機構や回転体に駆動を伝達する駆動源も不要となる。
このように、初期発泡を行う装置と小径化を行う装置とをそれぞれ設ける必要がなく、従来よりもポンプの小型化を図ることができ、せん断力を付与する回転体を備える機構や回転体に駆動を伝達する駆動源も不要となるため、従来の定着装置が備える泡生成装置よりも小型化を図ることができる。
しかしながら、上記先願の泡生成装置で生成される泡状液の泡径分布が広く、大径の泡が含まれる割合が多いことが見出された。詳しくは、上記先願の構成では、長尺なスリット状の気液混合部に沿って一列に並んで配置される複数の気体供給口から気体を吐出して泡を生成しているが、スリット状の気液混合部の端部近くなるほど、形成される泡が大径となる傾向がある。スリット状の気液混合部の中央領域では、一列に並んで配置される複数の気体供給口から気体を吐出することで、泡がお互いに成長を阻害し合ってある程度の泡径に抑えられる。しかし、長尺なスリット状の気液混合部混合部の端部領域では、成長を阻害する効果が一方向に関して少なくなるため、生成される泡が大径化し易いと考えられる。大きな気泡を含む大径の泡は塗布ローラ上で破泡してしまう確率が高く、これにより画像抜け等を発生させおそれがある。このため、生成される泡状液中に含まれる大径の泡の割合が少ない、泡径分布のシャープな泡状液を生成することが望まれる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、所望の小さな泡径で、且つ、泡径分布がシャープな泡状液を生成できる、従来よりも小型の泡生成装置、並びに、この泡生成装置を有する定着装置及び画像形成装置を提供することである。
また、第二の目的は、泡状定着液を付与することで軟化した樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法であって、定着液を泡状とする工程を簡素化するとともに、安定した定着を行うことができる定着方法、及び、この定着方法によって画像の定着を行う画像形成方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液体と気体とを混合して泡状液を生成する気液混合部と、液体供給手段により供給される上記液体を該気液混合部に流す液体流路と、気体供給手段により供給される上記気体を該気液混合部に流す気体流路と、該気液混合部で生成された泡状液を外部に排出する泡排出口とを備えた泡生成装置において、上記気液混合部は、微小な間隙を介して対向する面を有する一対の対向部材の間隙により形成される薄層状空間からなり、該一対の対向部材の外周部を無端状に囲むように、周方向全域に並んだ複数の微少な気体流路と、周方向全域に並んだ複数の微少な液体流路とを有する流路形成部材を設け、該複数の微少な気体流路と該気液混合部との連通部から該気液混合部内に気体を供給し、該複数の微少な液体流路と該気液混合部との連通部から該気液混合部内に液体を供給することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の泡生成装置において、上記一対の対向部材の間隙は、300[μm]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の泡生成装置において、上記液体供給手段により供給される液体が導入される液体導入口と上記気体供給手段により供給される気体が導入される気体導入口とを具備する気液導入部材と、上記流路形成部材の外周部に無端状に延在するよう配置され、該気液導入部材の該気体導入口より導入された気体を広げて流す気体バッファ空間と、該気液導入部材の該液体導入口より導入された液体を広げて流す液体バッファ空間とを形成する第2の流路形成部材を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の何れかの泡生成装置において、上記一対の対向部材は円板状であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の何れかの泡生成装置において、上記液体は少なくとも樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、該定着液泡状化手段に該泡状定着液を供給する定着液供給手段、該定着液泡状化手段に気体を供給する気体供給手段と、該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する定着液付与手段とを有し、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、上記定着液泡状化手段として、請求項1、2、3、4または5の何れか1項に記載の泡生成装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の定着装置において、上記液状定着液は複数の定着液構成液から構成され、上記定着液供給手段は、該液状定着液を構成する該複数の定着液構成液をそれぞれ独立して収容する複数の定着液構成液収容部と、該複数の定着液構成液収容部からそれぞれ該複数の定着液構成液が供給され、該複数の定着液構成液を混合して該液状定着液を生成する定着液生成手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6の定着装置において、上記複数の定着液構成液は、少なくとも軟化剤を含有する軟化剤液と、気泡剤を含有する気泡剤液とであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面を上記定着液付与対象の表面として定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、上記定着手段として、請求項5、6、7または8の何れか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を定着液泡化工程で液中に気体を含有させて気泡が分散した泡状定着液とし、該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与して、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法において、上記定着液泡化工程では、気液混合部として、近接する一対の対向部材の間隙により形成される薄層状空間を用い、該一対の対向部材の外周部を無端状に囲む流路形成部材の周方向全域に並んだ複数の微少な気体供給口と複数の微少な液体流路とから気体と液状定着液とを供給して混合することにより、該液状定着液から上記泡状定着液を生成することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着工程とによって記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、上記定着工程では請求項9の定着方法によって定着を行うことを特徴とするものである。
本発明においては、一対の対向部材の外周部を無端状に囲む流路形成部材を設け、この流路形成部材に形成された複数の微少な気体流路と複数の微少な液体流路とから対向部材の間隙からなる気液混合部に気体と液体とを供給して泡状液を生成する。複数の微少な気体流路と複数の微少な液体流路は、それぞれ流路形成部材の周方向全域に並ぶよう形成する。これにより、気液混合部内に気体を供給する複数の微少な気体流路と気液混合部との連通部である複数の気体供給口と、気液混合部内に液体を供給する複数の微少な液体流路と気液混合部との連通部である複数の液体供給口とは、気液混合部の外周部全域に並んで配置される。このため、気液混合部の外周部全域において、複数の気体供給口から吐出された気体により、生成される泡がお互いに成長を阻害し合ってある程度の泡径に抑える効果を得ることができる。これにより、先願のように、長尺なスリット状の気液混合部の端部領域で、生成される泡がお互いに成長を阻害し合う効果が得難く、泡が大径化してしまうというおそれがない。よって、生成される泡状液中に含まれる大径泡の割合が少なくなり、泡径分布のシャープな泡状液を得ることができる。また、この構成は、先願と同様の理由で、従来の泡生成装置に比べて小型化が可能である。
本願請求項1の構成を備えた発明であれば、所望の小さな泡径で、且つ、泡径分布がシャープな泡状液を生成できる、従来よりも小型の泡生成装置を実現することができるため、上記一つ目の目的を達成することができるという優れた効果がある。
さらに、本願請求項10の構成を備えた発明であれば、初期発泡を行う工程と小径化を行う工程とを別々に設けておらず、定着液を泡状とする工程を簡素化するとともに、安定した定着を行うことができるため、上記二つ目の目的を達成することができるという優れた効果がある。
本実施形態の定着液泡状化装置の説明図。 実施形態に係る複写機を示す概略構成図。 同複写機におけるプリンタ部の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図。 同複写機における四つの作像ユニットのうちの一つを示す部分拡大図。 実施形態に係る定着装置を模式的に示す説明図。 実施形態に係る定着装置の塗布ローラが転写紙と接触する部分の拡大説明図。 泡状定着液の拡大模式図。 図1の定着液泡状化装置の断面図。 図1の定着液泡状化装置の連通状態をしめす断面図。 実験に用いた定着液泡状化手段の説明図。 実験に用いた本実施形態の定着液泡状化装置の説明図。 実験に用いた本実施形態の定着液泡状化装置の内部の斜視図。 実験に用いた先願に記載の構成を備えた定着液泡状化装置の説明図。 実験の各条件により生成された泡状定着液の泡形分布を示すグラフ。 複数の定着液構成液を混合して定着液として用いる定着装置の説明図。 塗布ローラ及び膜厚規制ブレードの斜視説明図。 膜厚規制ブレードによる泡状定着液の膜厚制御の概略図、(a)は、ギャップ幅を狭くしたときの説明図、(b)は、ギャップ幅を広くしたときの説明図。 泡状定着液膜厚規制部材としてワイヤ−バーを用いる構成の説明図。 変形例の定着装置の説明図。 二つ目の変形例の定着装置の説明図。 三つ目の変形例の定着装置の説明図。 液状定着液を用いる定着装置で定着液の膜厚が薄いときの説明図、(a)は、定着装置の概略説明図、(b)は、転写紙に接触して定着液を塗布する塗布ローラと転写紙とが接触する塗布位置の拡大説明図。 液状定着液を用いる定着装置で定着液の膜厚が十分に厚いときの説明図。
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置である複写機(以下、複写機100と呼ぶ)に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明の泡生成装置を備える定着装置を有する画像形成装置が複写機である構成に付いて説明するが、プリンタ、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。
まず、実施形態に係る複写機100の基本的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る複写機100を示す概略構成図である。この複写機100は、プリンタ部1と、給紙装置40と、原稿搬送読取ユニット50とを備えている。原稿搬送読取ユニット50は、プリンタ部1の上に固定された原稿読取装置であるスキャナ部150と、これに支持される原稿搬送装置であるADF51とを有している。
給紙装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から転写紙Pを送り出す送出ローラ43、送り出された転写紙Pを分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、プリンタ部1の紙搬送路37に転写紙Pを搬送する複数の搬送ローラ46等も有している。そして、給紙カセット42内の転写紙Pをプリンタ部1内の紙搬送路37内に給紙する。
プリンタ部1の上に固定されたスキャナ部150は、原稿MSの画像を読み取るための読取手段として、固定読取部151と、移動読取部152とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第一コンタクトガラスの直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス上を通過する際に、光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSを走査する。
一方、移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ部150のケーシング上壁に固定された図示しない第二コンタクトガラスの直下であって、固定読取部151の図中右側方に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス上に載置された図示しない原稿で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ本体に固定された画像読取センサ153で受光する。これにより、光学系を移動させながら、原稿MSを走査する。
このように、スキャナ部150において原稿MSを走査し、画像読取センサ153で得られた画像情報に基づいて、後述するように光書込装置2では光源を駆動してドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。
図3は、プリンタ部1の内部構成の一部を拡大して示す部分拡大構成図である。プリンタ部1は、光書込装置2、K,Y,M,Cの各色のトナー像を形成する四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)、転写ユニット90、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置60等を備えている。光書込装置2は、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の上方に配置されており、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の四つの感光体4(K,Y,M,C)に向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、潜像担持体である感光体4(K,Y,M,C)の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK,Y,M,Cという添字は、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン用の仕様であることを示している。各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料の少なくとも一部は、後述する定着装置60の定着液により溶解または膨潤し、トナーが軟化する。
作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ、潜像担持体である感光体4と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体によって支持するものであり、複写機100本体に対して着脱可能になっている。ブラック用の作像ユニット3Kを例にすると、これは、感光体4Kの他、これの表面に形成された静電潜像をブラックトナー像に現像するための現像装置6Kを有している。また、後述するK用の一次転写ニップを通過した後の感光体4Kの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするドラムクリーニング装置15Kなども有している。複写機100では、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)を、後述する中間転写ベルト91に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
図4は、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)のうちの一つ作像ユニット3の拡大図である。なお、四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図4においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。図4に示すように、作像ユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置の帯電ローラ5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電装置の除電ランプ22等を有している。
また、中間転写ベルト91を挟んで感光体4と対向する位置には一次転写装置の一次転写ローラ95が配置されている。
感光体4としては、複写機100では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、感光体としては無端ベルト状のものを用いても良い。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を現像剤担持体である現像ローラ12に担持する。そして、現像ローラ12と感光体4との対向部である現像領域で感光体4上の静電潜像にトナーを供給して、静電想像を可視像化させる。また、現像装置6は、現像ローラ12が配置された現像部と、現像ローラ12の表面に供給する二成分現像剤を収容する現像剤収容部とを備える。現像剤収容部は収容する二成分現像剤を攪拌する不図示の攪拌部材が設けられている。
現像ローラ12は回転可能に配置された非磁性の筒状の現像スリーブと、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラとから構成される。マグネットローラは、現像スリーブの回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これらの磁極は、それぞれ現像スリーブ上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、現像剤収容部内の二成分現像剤を現像スリーブ表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
磁気ブラシは、現像スリーブの回転に伴って不図示の現像剤規制部材との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、現像領域に搬送される。そして、現像スリーブに印加される現像バイアスと感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像を行う。更に、現像領域を通過した後、現像スリーブの回転に伴って再び現像装置6内に戻った磁気ブラシを構成する二成分現像剤は、マグネットローラの磁極間に形成される反発磁界の影響によって現像スリーブ表面から離脱した後、現像剤収容部内に戻される。現像剤収容部内には、不図示のトナー濃度センサが配置されており、このトナー濃度センサによる検知結果に基づいて、現像剤収容器内の二成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内となるように、不図示のトナー補給装置が制御され、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。
図3に示すように四つの作像ユニット3(K,Y,M,C)の下方には、転写ユニット90が配設されている。この転写ユニット90は、複数の張架ローラ(92、93、94)によって張架されたトナー像担持体としての中間転写ベルト91を備え、中間転写ベルト91を挟んで第一張架ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置32が配置されている。ベルトクリーニング装置32は、後述する二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
転写ユニット90では中間転写ベルト91を感光体4(K,Y,M,C)に当接させながら図中時計回り方向(図3中の矢印A方向)に無端移動させる。これにより、感光体4(K,Y,M,C)と中間転写ベルト91とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写装置の一次転写ローラ95(K,Y,M,C)によって中間転写ベルト91が感光体4(K,Y,M,C)に向けて押圧されている。四つの一次転写ローラ95(K,Y,M,C)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップでは、感光体4(K,Y,M,C)上のトナー像を転写体である中間転写ベルト91に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト91の表面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト91の表面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
本実施形態の一次転写装置は、一次転写部材として一次転写ローラ95を備えた構成を採用しているが、一次転写部材としては導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
図4において、一次転写ニップを通過した後の感光体4の表面には、中間転写ベルト91に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、作像ユニット3のドラムクリーニング装置15により、感光体4の表面から除去される。
ドラムクリーニング装置15としては、感光体4に当接しているポリウレタンゴム製のクリーニングブレード16により、転写残トナーを一次転写ニップ通過後の感光体4表面から掻き取って除去するものが用いられている。クリーニングブレード16は、作像ユニット3のケーシングに固定された金属製の支持部材に接着(ホットメルト)されており、感光体4に対してカウンタ方向に当接するようになっている。カウンタ方向とは、支持部材によって片持ち支持されるクリーニングブレード16の先端側を、後端側(自由端側)よりも感光体4の回転方向の上流側に位置させるようなブレードの向きである。
ここで、ドラムクリーニング装置15によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置6に回収され、再利用される。
本実施形態の作像ユニット3が備える除電装置は除電ランプ22を備えた構成であり、光を照射して感光体4の表面電位を初期化する。除電ランプ22によって除電された感光体4の表面は、帯電バイアスの印加によって感光体4との間に放電を発生させる帯電ローラ5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。
作像ユニット3が備える帯電装置は帯電ローラ5を採用した接触帯電方式の帯電装置である。この帯電装置は帯電ローラ5を感光体4の表面に接触させて、帯電ローラ5に電圧を印加することにより感光体4の表面を一様に帯電する。なお、感光体4を一様に帯電させる帯電装置としては、帯電ローラ方式のものに代えてスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。
プリンタ部1では図3に示すように、転写ユニット90の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、二次転写ベルトである無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる二次転写ユニットとしての紙搬送ユニット28が設けられている。複写機100では紙搬送ユニット28の二次転写ローラ31と、転写ユニット90の下部張架ローラ94との間に、中間転写ベルト91及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト91の表面と、紙搬送ベルト29の表面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット90の下部張架ローラ94は接地され、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。なお、中間転写ベルト91と接触して二次転写ニップを形成する部材としては、紙搬送ベルト29のようなベルト状の部材に限らず、ローラ状の転写ローラを用いてもよい。
二次転写ニップの図中右側には、レジストローラ対33が配設されている。給紙カセット42からプリンタ部1内の紙搬送路37内に給紙された転写紙Pは、レジストローラ対33のローラ間に挟み込まれて停止する。
レジストローラ対33はローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト91上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト91上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過し、表面にトナー像が転写された転写紙Pは、中間転写ベルト91から離間して、紙搬送ベルト29の表面に保持され、その無端移動に伴って定着装置60へと搬送される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト91の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト91に当接するように配置されたベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
定着装置60に搬送された転写紙Pは、詳細は後述するが定着装置60内で定着液が塗布されることによってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置60から送り出され、排紙トレイ10上に排紙される。
図2に示すように複写機100は、紙搬送ユニット28と定着装置60との下方には、転写紙反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。両面に画像形成を行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pの進路を、切換爪を制御することによってスイッチバック装置36側に切り換え、そこで転写紙Pを反転させて再び二次転写転写ニップに向けて搬送する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された転写紙Pは、排紙トレイ10上に排紙される。
次に、本発明の特徴部を備えた定着装置60について説明する。
図5は本実施形態の定着装置60を模式的に示す説明図である。なお、本発明における樹脂微粒子はトナー粒子である。
定着装置60は、樹脂材料からなるトナーの少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子であるトナー粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液210を収容する定着液ボトル220を備える。また、定着装置60は、液状定着液210を液中に気泡が分散した泡状定着液Fとする定着液泡状化手段である定着液泡状化装置500を備える。さらに、定着装置60は、定着液供給ポンプ200とエアポンプ300とを備える。定着液供給ポンプ200は定着液泡状化装置500に液状定着液を供給する定着液供給手段であり、エアポンプ300は定着液泡状化装置500に気体として空気を供給する気体供給手段である。また、定着装置60は、未定着トナー像Tとしてトナー粒子を担持する定着液付与対象である転写紙Pの表面に泡状定着液Fを付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を備える。さらに、定着装置60は、転写紙Pを挟んで塗布ローラ61と対向する位置に加圧ローラ62を備える。
定着液供給ポンプ200は、定着液ボトル220内の液状定着液210を吸引し、定着液搬送管230に対して圧送することで液状定着液210を定着液泡状化装置500に供給する。また、エアポンプ300は、エアフィルタ310を介して外気の空気を吸引し、空気搬送管330に対して圧送することで空気を定着液泡状化装置500に供給する。そして、液状定着液210及び空気が供給された定着液泡状化装置500は、詳細は後述する構成によって泡状定着液Fを生成し、泡状定着液排出口(不図示)から泡状定着液Fを排出することで、塗布ローラ61の表面に泡状定着液Fを供給する。
塗布ローラ61の表面上に供給された泡状定着液Fは、図5中の矢印B方向に回転する塗布ローラ61の表面移動によって膜厚規制ブレード63と対向する位置を通過し、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する塗布位置Cに到達する。そして、塗布位置Cで塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fが転写紙P上の未定着トナー像Tに塗布される。塗布位置Cで泡状定着液Fを未定着トナー像Tに塗布することで、軟化したトナー粒子を転写紙Pに定着する。
このように、定着装置60では、未定着トナー像Tを担持する転写紙Pは、塗布ローラ61と加圧ローラ62とによってニップが形成される塗布位置Cで塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fと接触する。そして、加圧ローラ62で加えられた圧力によって泡状定着液Fが未定着トナー像Tのトナー層に浸透していく。浸透した定着液は、トナーの少なくとも一部を溶解または膨潤させて転写紙Pに対してトナーを定着させる。
ここで、本実施形態の定着装置60のように通常の液状ではなく、泡状の定着液を未定着トナー像Tに付与して転写紙Pに定着する定着方法の利点について説明する。
まず、本実施形態の定着装置60とは異なり通常の液状の定着液を塗布する従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上記特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いる湿式定着方式の定着装置が記載されている。この定着装置では、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面に対して定着液を噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させる構成である。
しかし、上記特許文献1の定着装置では、水に不溶または難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いている。このため、多量の定着液を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(被定着物)が、定着液の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着液に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着液から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解または膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が、従来より、いくつか提案されている。その一つとして、例えば上記特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解または膨潤させる材料の成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を、希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。また、上記特許文献3には、未定着トナー画像の定着液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100の容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の定着液が提案されている。このような定着液を用いることにより、静電気的方式で形成された未定着トナー像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に記録媒体上に固着できる。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解または膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状のまま記録媒体状のトナー像に付与していたため、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と定着ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しいという問題があった。この問題について図22及び図23を用いて説明する。
図22は、従来の湿式定着方式の液状定着液を用いる定着装置600の説明図である。図22(a)は液状定着液を用いる定着装置600の概略説明図である。また、図22(b)は、液状定着液を用いる定着装置600における記録媒体である転写紙Pと転写紙Pに接触して液状定着液210を塗布する塗布部材である塗布ローラ61との近接部の拡大説明図である。
図22(a)に示すように、塗布ローラ61を用いて転写紙P上の未定着トナー像Tへ液状定着液210を塗布する構成において、液状定着液210を転写紙Pに微量付与するために、塗布ローラ61表面上の液状定着液210の膜厚が未定着トナー像Tのトナー層の厚みよりも薄くなる場合、図22(b)のようになる。塗布ローラ61表面上の液状定着液210には、塗布ローラ61の表面が転写紙Pと接触する塗布位置で塗布ローラ61から転写紙Pに付与されるものの他に、図22(b)中の矢印F1で示すように塗布位置を通過した後も塗布ローラ61の表面に残留するものがある。そして、塗布ローラ61の表面が転写紙Pから分離する位置で、塗布ローラ61表面に残留する液状定着液210の液膜によって生じる表面張力(図22中の矢印F2方向に働く)で未定着トナー像Tのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ61の表面にオフセットしたトナー粒子Tbが付着し、塗布ローラ61と剥離した後の転写紙P上の定着トナー像Taの画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ61表面上の液状定着液210の膜厚を未定着トナー像Tの層厚よりも十分厚くすると、図23のようになる。塗布ローラ61の表面が転写紙Pから分離する位置では、液状定着液210の液量が多いため塗布ローラ61表面の液膜による表面張力が未定着トナー像Tのトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ61側にオフセットしたトナーが付着しにくくなる。しかし、転写紙Pの紙面に多量の液状定着液210が塗布されるため、過剰な液状定着液210により転写紙P上のトナー粒子が流され画質劣化を生じたり、転写紙Pに付与した液状定着液210の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、転写紙Pに著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。さらに、液状定着液210が水を含有するものであると、記録媒体として紙等のセルロースを含有する転写紙Pへの液状定着液210の塗布量が多い場合、紙等の転写紙Pが著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラ61を用いて液状定着液210を塗布する構成では、液状定着液210の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、液状定着液210の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下という問題が生じる。さらに、記録媒体の材質によっては紙詰まりが発生しやすくなるという問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために液状定着液210を微量塗布する構成とすると、図22を用いて述べたように塗布ローラ61の表面にオフセットしたトナー粒子Tbが付着し、画像が乱れてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために転写紙P上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラ61へのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、上記特許文献5及び上記特許文献6には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を塗布ローラによって記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の密度(定着液の重量をその体積で割った値、以下、「嵩密度」とよぶ)を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来る。さらに、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、上記特許文献5及び上記特許文献6のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
そして、本実施形態の定着装置60も上記特許文献5及び上記特許文献6と同様に定着液を泡状にして液状定着液210に比べて嵩密度の低い泡状定着液Fを記録媒体である転写紙P上の未定着トナー像Tに塗布する構成である。
図6は、本実施形態の定着装置60において塗布ローラ61が転写紙Pと接触する部分(塗布位置C)の拡大説明図である。
図6に示すように、定着液泡状化装置500によって液状定着液210を液中に気泡が分散した泡状定着液Fとすることで、定着液の嵩密度を低くでき、少量の定着液で塗布ローラ61表面上の定着液の膜厚を厚くすることができる。更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、定着液の量が少量であっても塗布ローラ61への樹脂微粒子のオフセットを防止できることが分かった。
また、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、樹脂微粒子の大きさが5[μm]〜10[μm]程度の場合、微粒子層を乱すことなく泡状定着液Fを樹脂微粒子である未定着トナー像Tのトナー粒子に付与するには、泡状定着液Fの泡径範囲が、5[μm]〜50[μm]程度が適していることがわかった。
図7は、泡状定着液Fの拡大模式図であり、図7に示すように、液中に多くの気泡Fbが分散されて泡状となった泡状定着液Fは、気泡Fbと気泡のそれぞれを区切る液膜境界(以下、プラトー境界Faと称す)とから構成される。
なお、塗布ローラ61に供給される泡状定着液Fの嵩密度としては、0.01[g/cm]〜0.1[g/cm]程度の範囲となるものが望ましい。
一般的に、通常の液状の液体から0.5[mm]〜1[mm]程度の大きな気泡を含んだ泡状液体を生成する場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡からなる泡状液体は数秒以下の時間(0.1[s]もかからない)で生成することができる。一方、通常の液状の液体から5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだ泡状液体を生成する場合、気泡の小径化が困難であり、生成するために時間がかかるという問題があった。
そこで、この所望の泡径(5[μm]〜50[μm]程度)よりも大きな気泡を含み、目視で観察できる程度の大きさの気泡を含んだ泡状液体の生成が容易で、かつすばやく得ることができる点に着目した。そして、泡径が大きな泡状液体から泡径が5[μm]〜50[μm]程度の微小な気泡を含んだ泡状液体を素早く生成する方法を鋭意検討した。その結果、大きな気泡を含む泡状液体にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上述したように通常の液状の液体から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な気泡を含有した泡状液体が生成できることがわかった。
このように、通常の液状の液体から大きな泡状液体を生成する初期発泡を行う装置と大きな泡を分泡して小径化を行う装置とを備える定着液泡状化装置としては、上記特許文献6に記載の定着装置が備える定着液泡状化装置がある。この定着液泡状化装置では、初期発泡を行う装置で生成した泡径の大きな泡からなる泡状定着液を搬送管(チューブ)に通して小径化を行う装置まで搬送している。さらに、小径化を行う装置で生成した泡径の小さな泡からなる泡状定着液を他の搬送管に通して塗布ローラの表面と対向する定着液供給位置まで搬送している。
上記特許文献6に記載の定着液泡状化装置であれば所望の泡径の小さい泡状定着液Fを生成することができるが、この定着液泡状化装置では、新たな課題が発生した。
一つ目の課題として、泡状となった液体を配管に通して搬送するために、ポンプによって圧力を付与することで圧送しようとすると、泡の流体抵抗で大きな圧力が必要となることがある。上記特許文献6に記載の定着液泡状化装置では、初期発泡を行う装置から小径化を行う装置までと、小径化を行う装置から定着液供給位置まで泡状定着液が配管内を圧送されるため、大きな圧力が必要であり、それを発生させる大容量のポンプが必要になってしまう。また、泡状定着液を記録体に対して均一に塗布するには、塗布ローラ上に形成する定着液の膜厚よりも小さな泡径が必要であるが、泡径が小さくなるほど泡状定着液を圧送するときの流体抵抗が増加する。また、記録媒体上の定着液重量を少なくするためには、嵩密度を低くする必要があるが、嵩密度の低く泡径が小さい泡は非常に流体抵抗が高い。そのため、小径化を行う装置から定着液供給位置まで配管で圧送しようとすると特に大きな圧力が必要となる。
また、二つ目の課題として、泡の経時劣化がある。通常の液状の定着液を発泡させて生成した泡状定着液は、経時的に破泡を繰り返し、泡径が徐々に大きくなってしまう。そして、定着を一定時間以上しなかった場合、初期発泡を行う装置から定着液供給位置までの泡状定着液の搬送経路内の泡状定着液は所望の特性を備えた状態ではないため、定着に使用することができず、泡生成の系の外に排出する必要がある。このため、初期発泡を行う位置から定着液供給位置までの搬送経路の容積が大きいほど定着を一定時間以上しなかった場合に破棄して無駄になる定着液の量が多くなる。
さらに、塗布ローラに対して泡状定着液を全面塗布した場合、未定着トナー像を担持する記録媒体のサイズ以外の部分(記録媒体の幅方向端部よりも幅方向外側の部分、または、記録媒体と記録媒体との間のいわゆる紙間の部分)に塗布された泡状の定着液は定着に使用されない。塗布位置を通過した後の塗布ローラ表面に付着した泡状定着液はクリーニングする必要が有るが、泡状定着液は体積が液状定着液に比して非常に大きく(液の状態の数十倍)、嵩張るため、回収した泡状定着液は直ぐに液化する必要がある。ここで、上述した破棄される定着液は定着に用いるには適さない程度に劣化しているものの、回収するときには液化する必要があり、この定着に使用されずに破棄される泡状定着液の量が多いと回収機構の負荷が非常に大きくなってしまうという問題が生じる。
上記一つ目の課題を解決するには、初期発泡の位置から定着液供給位置までの搬送経路をできる限り短くし、上記二つ目の課題を解決するには、初期発泡を行う位置から定着液供給位置までの搬送経路の容積をできる限り小さくする必要がある。
次に、本発明の特徴部を有する泡生成装置である定着液泡状化装置500について説明する。
図1は、本実施形態の複写機100の定着装置60が備える定着液泡状化装置500の全体構成を模式的に示す説明図である。また、図8は、定着液泡状化装置500の断面図である。
この定着液泡状化装置500は、円板状の一対の対向部材510、520を微小な間隙を介して対向配置する。対向部材510、520の微小な間隙は、円形状の薄層状空間を形成し、この薄層状空間が、後述するように液状定着液210と空気とを混合して泡状定着液Fを生成する気液混合部530を成す。対向部材510、520は互いに平行に配置されており、その間隙である薄層状空間厚さtは300.0[μm]以下程度が望ましい。また、下側の対向部材520の中央部には、気液混合部530で生成された泡状定着液Fを排出するための泡状定着液排出口545が形成されている。
また、この定着液泡状化装置500では、円板状の対向部材510、520の外周を流路形成部材としての第1プレート部材540で無端状に囲む。さらに、第1プレート部材540の外周部に延在するように、第2の流路形成部材としての第2プレート部材550が無端状に配置され、第2プレート部材550の外周部に半円弧状の気液導入部材560a、bを配置する。
気液導入部材560a、bには、定着液搬送管230に接続され、定着液供給ポンプ200から供給される液状定着液210を導入する定着液導入口570と、空気搬送管330に接続され、エアポンプ300から供給される空気を導入する空気導入口580とがそれぞれ上下に並んで設けられている。
第2プレート部材550には、図1の拡大図(a)に示すように、上下に並んだ開口部が、周方向の半分づつに分かれてそれぞれ設けられており、これらの開口部により、定着液と空気とをそれぞれ流す2つの薄層流路が形成される。上側の薄層流路は、気液導入部材560a,bの空気導入口580と連通し、導入された空気の流路を広げる空気バッファ空間551となっている。また、下側の薄層流路は、気液導入部材560a,bの定着液導入口570と連通し、導入された液状定着液210の流路を広げる定着液バッファ空間552となっている。
第1プレート550には、図1の拡大図(b)に示すように、複数の微細なスリット状の貫通孔からなる空気用溝541と、複数の微細なスリット状の貫通孔からなる定着液用溝542とが、周方向全域に交互に設けられている。空気用溝541は第2プレート部材550の空気バッファ空間551と連通するように上方側に設けられ、定着液用溝542は第2プレート部材550の空気バッファ空間551と連通するように下方側に設けられている。この空気用溝541と定着液用溝542とは、それぞれ対向部材510、520の間隙で形成される薄層状空間である気液混合部530と、図1の拡大図(b)の領域tで連通し、気液混合部530と空気用溝541とが交わる部分が空気供給口543となり、気液混合部530と定着液用溝542が交わる部分が定着液供給口544となる。これにより、気液混合部530の外周部で、気液混合部530内に空気を供給する微少な空気供給口543と、液状定着液210を供給する微少な定着液供給口544とが、周方向全域に渡って交互に無端状に配置された状態となる。
図9は、図1の定着液泡状化装置500を構成する、対向部材510、520、第1プレート部材540、第2プレート部材550の流路連通状態を示す断面図であり、(a)は空気を流す流路の連通状態を示し、(b)は液体定着液を流す流路の連通状態を示す。図9(b)に示すように、定着液導入口570から液状定着液を供給すると、液状定着液は、第2プレート部材550の定着液バッファ空間552で広がり、第1プレート部材540の複数の定着液用溝542を通って各定着液供給口544から対向部材510、520の間隙である気液混合部530内に供給される。一方、図9(a)に示すように、空気導入口580から空気を供給すると、空気は、第2プレート部材550の空気バッファ空間551で広がり、第1プレート部材540の複数の空気用溝541を通って各空気供給口543から気液混合部530内に供給される。
このように、本実施形態の定着液泡状化装置500では、対向部材510、520の外周部を無端状に囲む第1プレート部材540に形成された複数の微少な空気用溝541と複数の微少な定着液用溝542とから、対向部材の間隙から形成される気液混合部530に空気と液状定着液210とを供給して泡状定着液Fを生成する。空気用溝541と定着液用溝542とは、それぞれ第1プレート部材540の周方向全域に並ぶよう形成されており、気液混合部530に気体を供給する微少な空気供給口543と液体を供給する微少な液体供給口544とが気液混合部530の外周部全域に並んで無端状に配置される。この構成では、気液混合部530の外周部全域において、複数の微小な空気供給口543から吐出された気体により、生成される泡がお互いに成長を阻害し合ってある程度の泡径に抑える効果を得ることができる。よって、生成される泡状定着液F中に含まれる大径泡の割合が少なくなり、泡径分布のシャープな泡状液を得ることができる。これに対して、先願には、長尺なスリット状の気液混合部に沿って、複数の空気用溝に連通する複数の気体供給口と、複数の定着液用溝に連通する複数の液体供給口とが交互に配置される構成が記載されている。この構成では、長尺なスリット状の気液混合部の端部領域で、生成される泡がお互いに成長を阻害し合う効果が得難く、泡が大径化してしまう。
気液混合部530で生成された泡状定着液Fは、下側の対向部材520に設けられた泡状定着液排出口545が排出される。図1の定着液泡状化装置500では、泡状定着液排出口545は円柱状のパイプであるので、泡状定着液排出口545の泡状定着液Fの排出方向には、マニホールドスリット部材590が配置されている。マニホールドスリット部材590は、泡状定着液排出口545から排出される泡状定着液Fが通過し、泡状定着液Fの通過方向に直交する断面が一方向(幅方向)に長尺なスリット状開口部である排出口571を備える。マニホールドスリット部材590を泡状定着液Fが通過することによって、泡状定着液Fが広がり、排出口571から塗布ローラ61の表面に向けて、均一に吐出される。
本発明は上述した定着液泡状化装置500に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載であれば多種の変形や置換可能であることはいうまでもない。また、発泡に用いる気体は、空気に限るものではないが、エアポンプで外部から空気を吸引して発泡に用いる構成であれば発泡に用いる気体を収容する収容容器が不要となる。
以下、実験に基づき、さらに具体的に説明する。
[実験]
実験では、図10に示す装置の定着液泡状化装置500に供給する定着液及び空気の流量の条件を異ならせて泡状定着液Fを生成し、生成した泡状定着液Fの嵩密度、並びに、泡の平均粒径、泡系分布の測定を行った。
図11は、実験に用いた、本実施形態の図1の構成の定着液泡状化装置500の条件を模式的に示す説明図である。気液混合部530は、半径rが4.8[mm]の円板状の対向部材510、520を、微少な間隙tとして100[μm]を介して対向させて形成した薄層状空間よりなる。対向部材510、520の外周部を無端状に囲むように第1プレート部材540を設け、第1プレート部材の外周部を囲むように第2プレート部材550のを設け、さらにその外周部を囲むように、定着液導入口570と空気導入口580を具備する気液導入部材560a、bとを設けている。第1プレート部材540、第2プレート部材550は、それぞれ100[μm]の板厚であり、周方向長さは30[mm]となる。図11の拡大図(b)に示すように、第1プレート部材540に形成された空気用溝541と定着液用溝542の流路ピッチ間隔は110[μm]であり、流路溝幅は80[μm]、流路本数は280本である。図12は、図11の定着液泡状化装置500の内部の斜視図である。100[μm]の薄層円柱状空間である気液混合部530の外周部に、幅80[μm]の空気供給口543と定着液供給口544とが、110[μm]の間隔で無端状に配置される。
図10に示す装置の定着液供給ポンプ200として、マイクロシリンジポンプ(KdScientific社製、型番KDS−100)を用い、ハミルトンガスタイトシリンジ(アズワン株式会社製、型番2−435−04)を用いて液状定着液210を定着液泡状化装置500に導入した。また、定着液搬送管230には液体圧力計251として圧力センサ(keyence社製、型番AP−13S)を配置した。
一方、図10に示す装置のエアポンプ300として、電磁式エアポンプ(榎本マイクロポンプ製作所製、型番MV−10H)を用いた。空気搬送管330に、気体流量制御手段350として、マスフローメータ(株式会社山武製、型番MQV0002)を設置した。また、空気搬送管330には空気圧力計351としてハンディマノメータ(アズワン株式会社製、型番PG−100−102GP)を配置した。
実験1で用いた液状定着液210の処方を以下に示す。
<定着液の処方>
軟化剤:
炭酸プロピレン 20.0[wt%]
希釈溶媒:
イオン交換水 60.0[wt%]
増粘剤:
ジプロピレングリコール 15.0[wt%]
増泡剤:
ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.50[wt%]
起泡剤:
パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
脂肪酸アミンは、脂肪酸とジエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
<泡状定着液の嵩密度測定方法>
図10中の矢印E2で示すように定着液泡状化装置500の泡状定着液排出口より排出された泡状定着液Fを10[ml]の容積のカップに充填する。この泡状定着液Fを充填したカップの重量を測定し、カップのみの重量との差から10[ml]当たりの泡状定着液Fの重量を算出し、この値から泡状定着液Fの嵩密度を算出する。同様の作業を2回施行し、算出された値の平均値を嵩密度平均値とした。
<泡径測定方法>
生成した泡状定着液Fをプレパラート上に乗せ、光学顕微鏡(digital micro scope VHX−100 キーエンス社製)を用いて、泡状定着液Fの付いたプレパラートを裏側から撮像し、付属の計測ソフトにより泡径を測定した。サンプル毎に20回測定を行い、それらの平均値を泡径平均値とした。
また、この実験で、比較例として上記先願に記載の構成を備えた定着液泡状化装置650を用いて、定着液泡状化装置650に供給する定着液及び空気の流量の条件を異ならせて泡状定着液Fを生成し、生成した泡状定着液Fの嵩密度、並びに、泡の平均粒径、泡系分布の測定を行った。図13に基づき、上記先願に記載の構成を備えた定着液泡状化装置650の構造および条件を説明する。
図13(a)に示すように、この定着液泡状化装置650は、定着液導入口620と空気導入口630とを具備する気液導入部材610と、泡状定着液出口部材614との間に、定着液と空気との流路を形成する第3プレート部材611および第4プレート部材612ととをを挟んだ構造である。泡状定着液出口部材614には、定着液が通過する空間の通過方向に直交する断面が一方向に長尺なスリット状となるスリット状搬送路640が形成されている。
気液導入部材610の定着液導入口620は、定着液搬送管230に接続され、定着液供給ポンプ200から供給される液状定着液210を定着液泡状化装置650内に導入する。また、空気導入口630は、空気搬送管330に接続され、空気供給ポンプ300から供給される空気を定着液泡状化装置650内に導入する。
第3プレート部材611には、断面が三角形の2つの薄層流路が形成されている。この2つの流路は、第1液体流路と第1気体流路とであり、第1液体流路は液状定着液の流路を広げる定着液バッファ空間621と、第1気体流路は空気の流路を広げる空気バッファ空間631となっている。定着液バッファ空間621は定着液導入口620と連通し、空気バッファ空間631は空気導入口630と連通する。
第4プレート部材612には、微細な液体流路としての定着液用溝622と微細な気体流路としての空気用溝623とが交互に複数配置されている。定着液用溝622は定着液バッファ空間621及びスリット状搬送路640と連通し、空気用溝632は空気バッファ空間631及びスリット状搬送路640と連通する。スリット状搬送路640と定着液用溝622とが交わる部分が定着液供給口となり、スリット状搬送路640と空気用溝632が交わる部分が空気供給口となる。そして、スリット状搬送路640の入口で、スリット状搬送路640内に液状定着液210を供給する定着液供給口と空気を供給する空気供給口とが、スリット状搬送路640の断面の長尺方向に沿って交互に配置された状態となる。
泡状定着液出口部材614のスリット状搬送路640には、交互に配置された定着液供給口及び空気供給口から液状定着液210及び空気が流入する。スリット状搬送路640内では、液状定着液210と空気とが混合され泡状定着液Fとなる。そして、生成された泡状定着液Fは出口から外部に吐出される。
第3プレート部材611、第4プレート部材612は、それぞれ200[μm]の板厚である。図13(b)に、第4プレート部材612の拡大図を示す、図13(b)に示すように、第4プレート部材612に形成された空気用溝632と定着液用溝622の流路ピッチ間隔は110[μm]であり、流路溝幅は80[μm]、流路本数は280本である。すなわち、空気用溝632、定着液用溝622同士のピッチ間隔は220[μm]であり、流路本数は各140本である。
すなわち、図13の定着液泡状化装置650では、気液混合部であるスリット状搬送路640の長尺方向に沿って、微少な空気供給口と微少な定着液供給口とが一列に並んで交互に配置されている。
実験1の測定結果を表1および図14に示す。
に示す。
Figure 2012058693
表1に示すように、実験1で用いた全ての定着液泡状化装置において、空気及び定着液の流量を設定することにより、嵩密度が0.02〜0.04[g/cm]のドライフォーム状の泡状定着液Fが作成可能であることがわかる。また、泡径平均値が50[μm]以下の泡状定着液Fが作成可能であることがわかる。しかし、泡系分布に関しては、図14に示すように、図11にしめす構成の定着液泡状化装置500では、図13にしめす比較例の構成の定着液泡状化装置650に比べて、50[μm]を超える大径の泡が少なくなっている。すなわち、生成される泡状定着液F中に含まれる大径泡の割合が少なくなり、泡径分布のシャープな泡状液を得ることができる。
この実験によって、本発明の構成の構成を備えた泡生成装置を用いることで、定着に良好なドライかつ小粒径の泡の作成が可能であり、上記先願に示す構成の泡生成装置よりも、泡径分布のシャープになると言うことができる。
泡状定着液排出口545から排出された泡状定着液Fは、図1のマニホールドスリット部材590を介してすぐに塗布ローラ61に塗布される。このように塗布ローラ61に供給する直前で泡状定着液Fを生成するため、泡状定着液Fを圧送する距離が短くなり、従来の定着液泡状化装置に比べて大容量のポンプが必要なくなる。
また、一度生成した泡状定着液Fは経時劣化するため、生成してから一定時間以上経過した泡状定着液Fは泡生成の系外に排出しなければならない。よって、泡状定着液Fを圧送する距離が長いと、初期発泡を行う位置から定着液供給位置までの搬送経路の容積が大きくなり、一定時間以上経過すると、大量の泡状定着液Fを排出しなければならなくなる。
これに対して本実施形態の定着液泡状化装置500では、容積の小さい微細流路及び薄層空間である気液混合部530の内部空間内に残った少量の泡状定着液Fを排出するだけで済み、液状定着液210の浪費を抑制することができる。さらに、泡状定着液Fを回収する回収機構の負荷が非常に大きくなることを抑制することができる。
このように、本実施形態の定着液泡状化装置500であれば、従来よりも省スペースの定着液泡状化装置によって泡状定着液Fのロスを軽減しつつ、低密度ならびに小粒径の泡状定着液Fを生成することができる。
定着装置60の液状定着液210は発泡させて泡状定着液Fとして用いるものであり、軟化剤、起泡剤、増泡剤及び、希釈液等を含有する。このような液状定着液210を定着液として使用し得る状態のまま長時間保管していると、加水分解が生じるなどにより定着液が経時で変質し、所望の定着性や所望の発泡性を得ることができなくなる場合がある。
このような定着液を用いる場合、定着液を構成する成分のうち、混合させると経時で変質するおそれがある成分同士を、それぞれ異なる複数の定着液構成液に含有させて個別に収容し、定着液として使用するときに混合することが望ましい。
図15は、複数の定着液構成液を個別に保管し、泡状定着液Fを生成する直前に複数の定着液構成液を混合して定着液として用いる定着装置60を模式的に示す説明図である。
図15に示す定着装置60は、定着液供給手段として、第一定着液ボトル220a、第二定着液ボトル220b、第一定着液供給ポンプ200a、第二定着液供給ポンプ200b、及び、定着液混合部700を備える。第一定着液ボトル220a及び第二定着液ボトル220bは、液状定着液210を構成する複数の定着液構成液である第一定着液構成液210a及び第二定着液構成液210bをそれぞれ独立して収容する複数の定着液構成液収容部である。
図15に示す定着装置60では、第一定着液供給ポンプ200aを駆動することにより第一定着液ボトル220a内の第一定着液構成液210aが、第一定着液搬送管230a内を圧送されて定着液混合部700に供給される。また、第二定着液供給ポンプ200bを駆動することにより第二定着液ボトル220b内の第二定着液構成液210bが、第二定着液搬送管230b内を圧送されて定着液混合部700に供給される。このような構成の定着装置60で、第一定着液供給ポンプ200a及び第二定着液供給ポンプ200bを同時に駆動することによって、定着液混合部700内に供給された2つの定着液構成液(210a及び210b)を混合して、液状定着液210を生成する。そして、生成した液状定着液210はすぐに定着液泡状化装置500に供給されるため、泡状とする直前に2つの定着液構成液を混合することができる。
次に、定着装置60が備える定着液付与手段である塗布ローラ61について説明する。
図16は、定着装置60が備える塗布ローラ61及び膜厚規制ブレード63とを図5中の矢印I方向から見た斜視説明図である。
図5に示すように、塗布ローラ61の上方には定着液泡状化装置500が配置されており、塗布ローラ61は、定着液泡状化装置500によって生成された所望の微小泡径の泡状定着液Fを転写紙P上の未定着トナー像を形成するトナー粒子層へ付与する定着液付与手段である。
定着装置60は、塗布ローラ61と対向する位置に加圧ローラ62を備え、塗布ローラ61と加圧ローラ62とが対向する塗布位置Cに対して塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面に近接または圧接する膜厚規制ブレード63を備える。
本実施形態の定着装置60の膜厚規制ブレード63は塗布ローラ61の表面に対して近接して配置され、詳細は後述するが塗布ローラ61とのギャップ幅を制御可能となっている。このように、膜厚規制ブレード63の塗布ローラ61とのギャップ幅を制御することにより、塗布ローラ61の表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御することができる。
転写紙Pと対向する塗布位置Cの塗布ローラ61表面上には膜厚規制ブレード63との対向部を通過して形成された泡状定着液Fの膜がある。
定着液を未定着トナー像Tに塗布する構成の場合、転写紙P等の記録媒体上のトナー層の厚み、記録媒体の種類及び環境温度等、定着環境によって未定着トナー像に対する定着液の浸透し易さが異なる。
一方、塗布ローラ61に対して加圧ローラ62が圧接することで形成される定着ニップの幅と記録媒体の搬送速度とが一定である場合、記録媒体が転写ニップを通過する時間は一定である。定着ニップを通過する間に記録媒体上のトナー像を形成するトナー粒子が軟化され、加圧されることで記録媒体に定着するため、定着ニップを通過する間にトナー粒子が十分に軟化される必要がある。
このとき、記録媒体上のトナー像に塗布する定着液の膜厚を厚くすることによって、定着液がトナー粒子に浸透する時間の短縮を図ることができるが、過剰に定着液を塗布することは定着液の不要な消費となる。さらに、泡状で嵩密度が低くなった定着液であっても過剰に塗布すると、過剰な定着液によりトナー粒子が流されて画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりするおそれがある。このため、トナー粒子に定着液が浸透し易い定着条件であれば、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚が薄くなるように制御し、定着液が浸透し難い定着条件であれば、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚が厚くなるように制御することが望ましい。
本実施形態の定着装置60では、膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61とのギャップ幅を制御し、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御することができるので、定着条件に適した泡状定着液Fの膜厚にすることができる。よって、膜厚規制ブレード63によって転写紙P上の未定着トナーの層厚の定着液の浸透時間に対して最適化した定着液量となるような膜厚の泡状定着液Fの膜となる。
本実施形態の定着装置60のように、泡状定着液Fを塗布ローラ61によって転写紙P上のトナー層に塗布することによって、トナー粒子が塗布ローラ61表面上にオフセットすることを防止できる。仮に、泡状定着液Fの膜厚が、樹脂微粒子の層よりも厚い状態で転写紙Pに付与されたとしても、泡状定着液Fの嵩密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した定着液の樹脂微粒子の層への微量付与とすることができる。定着液泡状化装置500によって生成された所望の微小な泡を含有する泡状定着液Fは、泡状定着液排出口545から膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61との間に、または膜厚規制ブレード63と対向する位置よりも塗布ローラ61の表面移動方向上流側の塗布ローラ61の表面上に滴下される。
定着装置60の加圧ローラ62は弾性層を備え、弾性層としては、弾性多孔質体(以下、スポンジと記す)を用いることで、加圧力を変化させることによってニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムも適するが、スポンジは、弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、加圧ローラ62の弾性層としてスポンジを用いることで、塗布ローラ61に対する加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することが出来る。
定着液中にはトナーの樹脂成分を軟化または膨潤させる軟化剤が含有されている。このため、万が一、加圧ローラ62のスポンジ部分に定着液が付着した場合、スポンジ素材の軟化等の不具合が発生する恐れがあるため、スポンジ素材の樹脂材は、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない素材であることが望ましい。
また、スポンジ素材の軟化等の不具合を防止するために、加圧ローラ62をスポンジのローラ表面を可とう性フィルムで覆った構成としてもよい。スポンジ素材が軟化剤で劣化する素材であっても、軟化剤によって軟化や膨潤を示さない可とう性フィルムでスポンジ素材を覆うことでスポンジ素材からなる加圧ローラ62の劣化を防止することができる。
スポンジ素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの樹脂の多孔質体などが適する。また、スポンジを覆う可とう性フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・バーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが適する。
図5に示す定着装置60の塗布ローラ61と加圧ローラ62とが常時接触している構成の場合、転写紙Pが搬送されていないときに塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fが加圧ローラ62に付着し汚す恐れがある。このような不具合をその防止のため、定着装置60に向かって搬送される転写紙Pの先端を検知する紙先端検知手段(図示せず)を、定着装置60に対して転写紙Pの搬送方向上流側に設け、紙先端検知手段が発する紙先端検知信号に応じて、転写紙Pの先端から後方にのみ定着液が塗布されるようなタイミングとなるように塗布ローラ61表面上に泡状定着液Fを形成することが望ましい。
更に、図5に示す定着装置60において、不図示の駆動機構により、待機時は塗布ローラ61とスポンジの加圧ローラ62とを離間させ、塗布時のみ紙先端検知手段の紙先端検知信号に応じて塗布ローラ61と加圧ローラ62とを接触させる構成としても良い。塗布ローラ61と加圧ローラ62とを接離させる構成の場合、紙先端検知手段によって転写紙Pの後端検知も行い、紙後端検知信号に応じて塗布ローラ61と加圧ローラ62とを離間させる制御を行うことが望ましい。
定着装置60では、塗布ローラ61表面とギャップを形成するように配置された膜厚規制ブレード63と塗布ローラ61表面とのギャップ幅を調節することにより、塗布ローラ61表面上での泡状定着液Fの膜厚を制御する。
図17は、膜厚規制ブレード63の位置を制御することにより、塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの膜厚を制御する様子を示す概略図である。
図17(a)は、塗布ローラ61と膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を狭くしたときの説明図であり、図17(b)は、塗布ローラ61と膜厚規制ブレード63とのギャップ幅を広くしたときの説明図である。
定着装置60では、膜厚規制ブレード63の塗布ローラ61に近接する側とは反対側の端部がブレード回転軸63aに固定されている。ブレード回転軸63aは、不図示の駆動源から駆動を伝達されることにより回動する部材であり、この駆動源の駆動制御することによってブレード回転軸63aと共に回動する膜厚規制ブレード63の回動方向の位置を制御する。このように、膜厚規制ブレード63の回動方向の位置を制御することにより、膜厚規制ブレード63の塗布ローラ61に近接する側の端部と塗布ローラ61とのギャップ幅を調節することができる。
塗布ローラ61の表面上に供給され、膜厚規制ブレード63との対向部を通過した後の泡状定着液膜Fdを薄くするときは、図17(a)に示すように、ギャップ幅を狭くする。一方、泡状定着液膜Fdを厚くするときは、図17(b)に示すように、ギャップ幅を広くする。
このように、泡状定着液膜Fdの膜厚を制御することにより、転写紙P上の未定着トナー像のトナー層の層厚に最適な膜厚の泡状定着液膜Fdを未定着トナー像に塗布することができる。
定着装置60のように、塗布位置Cでの泡状定着液Fの膜厚が未定着トナー像Tのトナー層の層厚に適した膜厚となるように、膜厚規制ブレード63を制御する構成では、光書込装置2で用いる画像情報に基づいて膜厚規制ブレード63のギャップ幅を制御する。
例えば、いまから泡状定着液Fの塗布を行う転写紙P上のトナー像がフルカラー画像である場合は、未定着トナー像Tのトナー層の層厚が厚くなるため、膜厚規制ブレード63のギャップ幅を広げるように制御する。一方、黒単色の画像であれば、未定着トナー像Tのトナー層の層厚が薄くなるため、膜厚規制ブレード63のギャップ幅を狭めるように制御する。
本実施形態の定着装置60が備える定着液供給ポンプ200(図15に示す定着装置60では、第一定着液供給ポンプ200a及び第二定着液供給ポンプ200b)としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ等が適用可能であるが、チューブポンプが望ましい。
ギヤポンプ等のように、定着液が通過する経路中で振動機構や回転機構を構成する部品があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、定着液の経路中に機構を構成する部品があると、その部品等が定着液を汚染したり、逆にその部品を劣化させたりする恐れがある。
一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、チューブとして耐液性を有する部材を用いることで、定着液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけで内部を通過する液に搬送力を付与する構成なので、定着液が起泡せず、起泡に起因する搬送能力の低下を防止できる。
なお、定着液供給ポンプ200としては、上述した各種ポンプに限らず、定着液を搬送するために必要な圧力を付与することができる出力を有するものであればどのようなものでもよい。また、圧縮による内圧ならびに流量の脈動を防ぐために、圧力センサ、パルスダンパ等を具備した脈流の少ないポンプが好適である。
本実施形態の定着装置60は、泡状定着液膜厚規制部材としてブレード状の膜厚規制ブレード63を用いる。泡状定着液膜厚規制部材としてはブレード状の部材に限るものではなく、ワイヤーバーによって塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの厚みを制御する構成であってもよい。
図18は、図17を用いて説明した膜厚規制ブレード63の代わりに、泡状定着液膜厚規制部材としてワイヤーバー64を用いる構成の説明図である。ワイヤーバー64を用いた構成でも、図17を用いて説明した膜厚規制ブレード63を用いる構成と同様に、ワイヤーバー64によって塗布ローラ61表面上の泡状定着液Fの厚みを制御して、所望の厚みに泡状定着液膜Fdとする。
定着装置60の泡状定着液Fは、上述した定着液泡状化装置500で生成され、泡状定着液排出口545より、膜制御用のワイヤーバー64と塗布ローラ61との間に滴下する。ワイヤーバー64を泡状定着液膜厚規制部材として用いることで、ブレードを用いる構成に比べ、塗布ローラ61表面の軸方向の泡状定着液膜Fdの均一性が向上する。
〔変形例〕
次に、転写紙Pに泡状定着液Fを塗布する構成が、図5を用いて説明した実施形態の定着装置60とは異なる変形例について説明する。
図19は、変形例の定着装置60の概略説明図である。
変形例の定着装置60は上述した実施形態の定着装置60の塗布ローラ61に代わりに、定着液塗布部材として塗布ベルト65を用いて、転写紙P上の未定着トナー像Tに泡状定着液Fを塗布する構成である。さらに、変形例の定着装置60は図19に示すように、実施形態の定着装置60の加圧ローラ62に代えて加圧ベルト66を備える。
変形例の定着装置60においても、上述した実施形態と同様の定着液泡状化装置500の泡状定着液排出口545より、所望の泡径を有する泡状定着液Fが塗布ベルト65上に供給される。塗布ベルト65上に供給された泡状定着液Fは、膜厚規制ブレード63と塗布ベルト65との間を通過する。このとき、膜厚規制ブレード63と塗布ベルト65とのギャップ幅を調節しておくことで、塗布ベルト65上の泡状定着液Fの膜厚を最適な状態に制御することができる。
塗布ベルト65としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETフィルムなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いることができる。
図19に示す塗布ベルト65のように、ローラ状の塗布部材の代わりにベルト状の塗布部材を用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。
転写紙Pに泡状定着液Fを塗布する定着ニップを形成する部材にベルト部材を用いる構成としては、図19に示す構成に限るものではない。
図20に示す定着装置60ように加圧側をベルト状ではなくローラ状の加圧ローラ62とし、塗布ベルト65と加圧ローラ62とによって定着ニップを形成する構成であっても良い。
さらに、図21に示す定着装置60ように、塗布側を塗布ローラ61として、加圧側を加圧ベルト66として、塗布ローラ61と加圧ベルト66とによって定着ニップを形成する構成であっても良い。
図19、図20及び図21を用いて説明した構成のように、塗布側もしくは加圧側の少なくとも一方の無端移動体をベルト構成とすることで、定着ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。これにより、定着ニップを形成する部材間に紙にしわが発生するような無理な力をかけることがなくなる。さらに、定着ニップで定着液を浸透させるために要する時間、すなわち、転写紙Pがニップを通過する時間が同じだとすると、同じ時間で長い距離を移動させることができるため、転写紙Pの搬送速度を速くすることが可能となり、定着の高速化を図ることが可能となる。
次に、定着液の液処方について説明する。
泡状定着液Fは、上述したように、軟化剤を含有した定着液中に気泡を含有した構造である。定着液は、泡状としたときに気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成する泡状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。
起泡剤としては、陰イオン界面活性剤、特に、脂肪酸塩が望ましい。脂肪酸塩は界面活性を有するため、水を含有する定着液の表面張力を下げ、定着液を発泡しやすくするとともに、泡表面で脂肪酸塩が層状ラメラ構造をとるため泡壁(プラトー境界Fa)が他の界面活性剤よりも強くなり、泡沫安定性が極めて高くなる。
また、脂肪酸塩の起泡性を効果的にするため、定着液には水を含有することが望ましく、脂肪酸としては、大気中での長期安定性の観点から酸化に強い飽和脂肪酸が望ましい。
ただし、飽和脂肪酸塩を含有する定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで脂肪酸塩の水に対する溶解・分散性を助けることができる。これにより、5[℃]〜15[℃]の低温環境下においても優れた起泡性を有することができ、広い環境温度範囲において安定した定着が可能となる。また、定着液に若干の不飽和脂肪酸塩を含有することで、定着液長期放置中の脂肪酸塩の定着液中での分離を防止することができる。
飽和脂肪酸塩に用いる脂肪酸としては、炭素数12、14、16及び18の飽和脂肪酸が適しており、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等がある。
炭素数が11以下の飽和脂肪酸塩は臭気が大きくなり、オフィス・家庭で用いる画像形成機器で用いる定着液には適さない。また、炭素数19以上の飽和脂肪酸塩は、水に対する溶解性が低下し、定着液の放置安定性を著しく低下させてしまうため適さない。
上述した使用に適した飽和脂肪酸による飽和脂肪酸塩を、単独もしくは混合して起泡剤として用いる。
また、起泡剤に用いる脂肪酸塩としては、不飽和脂肪酸塩を用いてもよく、炭素数18で2重結合数が1から3の不飽和脂肪酸が望ましい。具体的には、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸が適する。不飽和脂肪酸の2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が低下してしまう。
これらの使用に適した不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を単独もしくは混合して起泡剤として用いる。また、上述した飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩を混合して起泡剤として用いてもよい。
本実施形態の定着装置60で用いる定着液の起泡剤として、上述した飽和脂肪酸塩または上述した不飽和脂肪酸塩を用いる場合、ナトリウム塩、カリウム塩もしくはアミン塩であることが望ましい。
ここで、定着装置に電源を投入後、素早く定着可能な状態にすることは定着装置の商品価値として重要な要素である。定着装置において定着可能な状態とするためには、定着液が適切な泡状となっていることが必須であるが、上述した脂肪酸塩は素早く起泡することで、電源投入後に定着可能な状態を短時間でつくることができる。特に、アミン塩とすることで、定着液にせん断力を加えたときに他の起泡剤に比べて短時間で起泡し、泡状定着液を容易に作製することが可能であり、定着装置への電源投入後の定着可能な状態を短時間でつくることができる。
樹脂を溶解または膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる溶解性または膨潤性に優れている。
記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、トナーを記録媒体に定着した後にも軟化剤はトナー中に残留する。このため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。
すなわち、定着液に含まれる軟化剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。
軟化剤として使用することができる脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log{物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率})を用いることができる。そして、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は10以下であることが好ましい。臭気指数が10以下であれば、通常のオフィス環境では不快臭を感じなくなる。
また、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本実施形態の定着装置60で用いる定着液において、上述した脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含むことが好ましい。これは、脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができるためである。また、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解または膨潤させることができる。さらに、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解または膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、定着液としては、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。
この化合物の一般式におけるR1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基を示しており、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基を示している。
R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
このため、定着液として、上記飽和脂肪族エステルが「R1COOR2」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記一般式「R1COOR2」で表される化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記一般式「R1COOR2」で表される化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記一般式「R1COOR2」で表される化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、水性溶媒を用いる場合には、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
また、定着液としては、上記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含むものを用いることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができる。
例えば、60[ppm]程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1[秒]以内であることが望ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1[秒]以内にすることが可能となる。さらに、より少量の、軟化剤の添加によってトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基を示しており、R4は、炭素数が3以上5以下の直鎖型または分岐型アルキル基を示している。R3及びR4の炭素数が、それぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸エステルが「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物の臭気指数は、10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。「R3(COOR4)」の一般式で表される化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、水性溶媒を用いる場合には、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
さらに、本実施形態の定着装置60で用いる定着液において、上記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むものであることが好ましい。上記脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本実施形態の定着装置60で用いる定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることが望ましい。この化合物の一般式におけるR5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基を示しており、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基を示し、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基を示している。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
定着液としては、上記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが「R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物を含むものを用いることにより、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性または膨潤性を向上させることができる。また、R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物の臭気指数は10以下であり、不快臭及び刺激臭を有さない。
R5(COOR6−O−R7)」の一般式で表される化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合には、グリコール類を溶解助剤として定着液に含有し、溶解またはマイクロエマルジョンの形態とする。
また、脂肪酸エステルではないが、クエン酸エステルや炭酸エチレンや炭酸プロピレンも軟化もしくは膨潤剤として用いることができる。
ところで、泡状定着液において、塗布位置に到達する前に泡状定着液が破泡すると液状定着液を塗布する構成と同様の問題が生じる。そこで生成した泡状定着液が泡の状態で塗布位置まで到達できるような泡沫安定性に優れる泡が求められる。このため、定着液中に脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型を含有することが望ましい。脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、本発明における泡沫安定性には(1:1)型が適することがわかった。
定着液は軟化剤を含有しており、この軟化剤は、一般的に消泡作用が強い。このため、本実施形態の定着装置60のように、液状の定着液を泡状定着液として用いる場合、定着液中の軟化剤の濃度が高いほど、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、起泡し難くなったり、泡状定着液が破泡し易くなったりするおそれがある。起泡し難いと嵩密度の低いの泡状定着液を得ることが出来ず、所望の嵩密度の泡状定着液を得たとしても、泡状定着液が破泡し易いと定着ニップで完全に破泡してしまい液状定着液を塗布する構成と同様の問題が生じる。
また、起泡剤としては、アニオン系界面活性剤が優れた起泡性と泡沫安定性とを実現することができ、起泡剤として優れている。アニオン系界面活性剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
本発明者らは、定着液中の軟化剤濃度を高めたときの起泡性及び泡沫安定性の劣化問題を解決するため、アニオン系界面活性剤の種類や濃度を因子として多種の試作を行った。また、非特許文献1にも記載されている「スーパーファット」と呼称される技術、つまり固形洗浄剤(石鹸)に含有されている遊離脂肪酸に着目して試作を行った。
ここで、スーパーファットと呼称される技術について概説すると、酸化されにくい遊離脂肪酸を少量加え、過剰油脂分を増やす方法であり、ケン化されない油脂を少量分残すことによって、例えば保湿作用を高めるなどの効果があるとされている。上記非特許文献1には、石鹸水溶系に極少量の脂肪酸を添加すると、起泡性能が向上する上、泡質が一層クリーミィになることが知られており、スーパーファットソープと呼ばれていると記載されている。このスーパーファットと同様に軟化剤を有する定着液に極少量の脂肪酸を添加して泡化しようとしたが起泡性及び泡沫安定性のいずれも悪かった。
これに対して、本発明者らは、起泡剤として炭素数12から18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12から18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、軟化剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性が劣化しない泡状定着液を提供できることを見出した。
軟化剤を含有した定着液において、単に水を起泡する場合に比較して、脂肪酸塩の炭素数としては、12から18が起泡性に優れている。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、パルミチン酸塩(炭素数16、)、ステアリン酸塩(炭素数18)が適する。また、ペンタデシル酸(炭素数15)、マルガリン酸(炭素数17)なども適する。
ここで、脂肪酸と軟化剤との作用について説明すると、軟化剤はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、軟化剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基が定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させている。
また、炭素数12から18の範囲においても、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。このため、定着液中には、単独の脂肪酸塩を含有させても良いが、炭素数12から18の脂肪酸塩を混合して含有させる方がさらに優れている。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが望ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の重量比で、0:6:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1などが適する。
ところで、定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで軟化剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。軟化剤の濃度として、10[wt%]未満では、脂肪酸を含有しなくても起泡性は問題ない。しかし、軟化剤の濃度が10[wt%]以上、特に軟化剤の濃度が30[wt%]以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる。このような軟化剤の濃度が30[wt%]となる定着液において、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
但し、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる。そこで、脂肪酸塩のモル数を、脂肪酸のモル数と同じに、またはは大きくするほうがよい。あるいは、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5から1:9の範囲とした場合起泡性が優れている。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩の組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンで、脂肪酸がステアリン酸の組合せや脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムで脂肪酸がステアリン酸のような炭素数が12から18の範囲で異なる組合せであってもよい。要は、炭素数12から18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の軟化剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、嵩密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、他のアニオン系界面活性剤、例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES)を起泡剤として、炭素数12から18の脂肪酸を含有した定着液であっても、軟化剤濃度増加による起泡性が悪くなるのを防止する効果があることがわかった。但し、最も組合せとして優れているのは脂肪酸塩との組合せである。
更に、脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸アミンが適している。更に、最も適している脂肪酸アミンは、具体的には、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで作製することができる。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5から1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミンを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
ところで、定着液中の軟化剤濃度が高くなると希釈溶媒である水に軟化剤が溶解しにくくなる。そこで、検討した結果、多価のアルコール類、具体的にはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリンなどを定着液中に含有させることで、軟化剤が高濃度でも溶解し、かつ脂肪酸塩による起泡性を劣化させず、むしろ起泡性が向上することがわかった。また、多価のアルコール類の含有量は、1[wt%]から30[wt%]の範囲が適当である。30[wt%]より多い含有量では、起泡性がむしろ劣化するため適さない。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂含有微粒子でもよい。また、記録媒体は、転写紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。但し、定着液塗布対象は定着液に対し浸透性を有することが望ましく、定着液塗布対象の基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する定着液塗布対象が望ましい。定着液塗布対象が記録媒体である場合の記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。
また、紙のごとき定着液塗布対象に透明樹脂微粒子を均一に定着させ紙面を保護する(所謂、ニスコート)用途においても、本発明は適用できる。
上記樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本実施形態の定着装置60の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。離型剤としては、例えばカルバナウワックスやポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。
トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。定着液塗布対象のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20[℃])における水に対する溶解度が、0.1[重量%]以下である性質を意味する。
また、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、泡状となった定着液は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカや疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20[mN/m]程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30[mN/m]であると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、泡状となった定着液の表面張力は、20〜30[mN/m]であることが好ましい。
水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30[mN/m]とすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。また、これらの単価または多価のアルコール類を含有することで紙等の吸水性のある記録媒体のカール防止に効果を有する。
また、定着液中に浸透性改善や紙等の記録媒体のカール防止のために油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成も望ましく、その場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステレート、及び、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルや、ショ糖ラウリン酸エステル、及び、ショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
なお、定着液中での軟化剤を溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を定着液中の軟化剤に加えることで溶解もしくはマイクロエマルジョン分散させる。
また、定着装置60としては、塗布位置Cで泡状定着液Fをトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる成分(軟化剤)によって溶解または膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を設けてもよい。
一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を用いて、溶解または膨潤したトナーを加圧することによって、トナーの層の表面を平滑化して、定着後のトナー層の表面に光沢を付与することが可能となる。さらに、記録媒体内へ溶解または膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
以上、本実施形態の泡生成装置としての定着液泡状化装置500によれば、液体としての液状定着液210と、液状定着液210を泡状化させるための気体である空気とを混合して泡状定着液Fを生成する気液混合部530は、一対の対向部材510、520の間隙tにより形成される薄層状空間からなる。この一対の対向部材510、520の外周部を囲むように、周方向全域に並んだ複数の微少な気体流路である空気用溝541と、周方向全域に並んだ複数の微少な液体流路である定着液用溝542とを有する流路形成部材である第1プレート部材540を無端状に設ける。この空気用溝541と定着液用溝542とは、それぞれ対向部材510、520の間隙で形成される薄層状空間である気液混合部530と連通し、気液混合部530と空気用溝541とが交わる部分が空気供給口543となり、気液混合部530と定着液用溝542が交わる部分が定着液供給口544となる。これにより、気液混合部530の外周部で、気液混合部530内に空気を供給する微少な空気供給口543と、液状定着液210を供給する微少な定着液供給口544とが、周方向全域に渡って交互に無端状に配置された状態となる。この構成では、気液混合部530の外周部全域において、複数の微小な空気供給口543から吐出された気体により、生成される泡がお互いに成長を阻害し合ってある程度の泡径に抑える効果を得ることができる。よって、生成される泡状定着液F中に含まれる大径泡の割合が少なくなり、泡径分布のシャープな泡状液を得ることができる。このため、先願の構成のように、長尺なスリット状の気液混合部の端部領域で、生成される泡がお互いに成長を阻害し合う効果が得難く、泡が大径化してしまう虞がない。また、このような定着液泡状化装置500では、初期発泡を行う装置と小径化を行う装置とをそれぞれ設ける必要がなく、従来よりもポンプの小型化を図ることができ、せん断力を付与する回転体を備える機構や回転体に駆動を伝達する駆動源も不要となる。このため、従来の定着装置が備える定着液泡状化装置500よりも小型化を図ることができる。
また、本実施形態の定着液泡状化装置500によれば、対向部材510、520の間隙tを300[μm]以下とすることにより、生成する泡状定着液Fの小径化を図ることができる。
また、本実施形態の定着液泡状化装置500は、定着液導入口570と空気導入口580とを具備する気液導入部材560a,bと、第1プレート部材540の外周部に無端状に延在するよう配置される第2の流路形成部材としての第2プレート部材550を有している。第2プレート部材550には、空気導入口580と連通し、導入された空気の流路を広げる空気バッファ空間551と、定着液導入口570と連通し、導入された液状定着液210の流路を広げる定着液バッファ空間552を形成される。このような構成により、泡径分布のシャープな泡状液を得ることができる、小型な泡状定着液生成装置が具現化できる。
また、本実施形態の定着液泡状化装置500は、一対の対向部材510,520は円板状である。これにより、気液混合部530の外周部全域において、一様に空気供給口543から気体が吐出されるようになり、生成される泡状定着液Fの泡径を効果的に均一にすることができる。
また、本実施形態の定着液泡状化装置500は、少なくとも樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液210と、空気とを混合して、小径の泡状定着液Fを安定して生成することができる。なお、これは、上記定着液に限らず、固形成分を含有する液体から小径の泡状液を生成する泡生成装置であれば、適用可能であり、同様に小径の泡状液を安定して生成することができるという効果が得られる。
また、本実施形態の定着装置60は、樹脂微粒子からなるトナーの樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有した液状定着液210を液中に気泡が分散した泡状定着液Fとする定着液泡状化手段である定着液泡状化装置500と、定着液泡状化装置500に液状定着液210を供給する定着液供給手段である定着液供給ポンプ200と、定着液泡状化装置500に空気を供給する気体供給手段であるエアポンプ300と、未定着トナー像Tを担持する定着液付与対象である転写紙Pの表面に泡状定着液Fを付与する定着液付与手段としての塗布ローラ61を有する。そして、泡状定着液Fを付与することで軟化した未定着トナー像Tを形成するトナー層を転写紙Pに定着する。この定着装置60が備える定着液泡状化装置500は、キメ細やかな小さな泡径の泡状定着液Fを生成し、且つ、従来よりも小型化することができる泡生成装置であるため、定着装置60は、未定着トナー像Tに対して定着液の適正な微量塗布の実現と、装置の小型化を図ることができる。また、本実施形態の定着液泡状化装置500は、初期発泡の位置から泡状定着液排出口545までの泡状定着液Fの移動距離が短い。このため、長期放置後に破棄する泡状定着液Fの量を少なくすることができ、定着液の無駄を抑制することができる。さらに、通常の液状に比べて流体抵抗が大きくなる泡状定着液Fの搬送に要する圧力を軽減した上で、低密度で、且つ、小さな泡径の泡状定着液Fを未定着トナー像Tに付与することができる。さらに、本実施形態の定着液泡状化装置500は、液状定着液の流路での目詰まりが生じにくく、泡状定着液Fを安定的に生成することができるため、本実施形態の定着装置60は、経時での性能低下が生じにくく、安定した定着性能を維持することができる。
また、本実施形態の図15に示す例の定着装置60は、液状定着液210は2つの定着液構成液(210a及び210b)から構成され、定着液供給手段は、2つの定着液供給ポンプ(200a及び200b)と、2つの定着液構成液(210a及び210b)をそれぞれ独立して収容する定着液構成液収容部としての2つの定着液ボトル(220a及び220b)と、2つの定着液ボトル(220a及び220b)からそれぞれ定着液構成液が供給され、2つの定着液構成液(210a及び210b)を混合して液状定着液210を生成する定着液生成手段である定着液混合部700とを有する。このような構成により、定着液として使用し得る状態では、加水分解が生じるなどにより変質し得る定着液が、定着液構成成分を混合した際に起こり得る加水分解などの化学反応を回避することができる。これにより、定着液の変質に起因する定着性や発泡性の変化を防止することができる。なお、図15に示す定着装置60では、2つの定着液ボトル(220a及び220b)を備え、2つの定着液構成液(210a及び210b)を混合して、液状定着液210を生成する構成であるが、3つ以上の定着液ボトルを備え、3つ以上の定着液構成液を混合して液状定着液210を得る構成であっても良い。
また、本実施形態の複写機100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段である作像ユニット3と、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、定着手段として、本発明の特徴部を備えた泡生成装置である定着液泡状化装置500を有する定着装置60を用いる。定着装置60が、泡状定着液を用いることで、トナー層への接触付与時の接触付与手段である塗布ローラ61へのトナーのオフセット防止や、微量付与化を安定して実現でき、かつ、非加熱にて従来に比べ極めて低電力定着を可能とする。また、また、小型の定着液泡状化装置500を用いることで、それを備えた定着装置60及び複写機100の小型化を図ることができる。さらに、泡状となった定着液が通過する管状の搬送路の距離を短くすることができ、ポンプに要する出力を抑制することができる。さらに、長期放置後に破棄する泡状定着液Fの量を少なくすることができ、定着液の無駄を抑制することができる。また、安定した定着性能を維持することができるため、安定した品質の画像形成を行うことができる。
1 プリンタ部
3 作像ユニット
28 紙搬送ユニット
40 給紙装置
50 原稿搬送読取ユニット
60 定着装置
61 塗布ローラ
62 加圧ローラ
63 膜厚規制ブレード
90 転写ユニット
91 中間転写ベルト
100 複写機
200 定着液供給ポンプ
210 液状定着液
220 定着液ボトル
230 定着液搬送管
300 エアポンプ
330 空気搬送管
500 定着液泡状化装置
510、520 対向部材
530 気液混合部
540 第1プレート部材
541 空気用溝
542 定着液用溝
543 空気供給口
544 定着液供給口
550 第2プレート部材
551 空気バッファ空間
552 定着液バッファ空間
560a,b 定着液導入部材
545 泡状定着液出口部材
570 定着液導入口
580 空気導入口
590 マニホールドスリット部材
610 気液導入部材
611 第3プレート部材
612 第4プレート部材
614 泡状定着液出口部材
620 定着液導入口
621 定着液バッファ空間
622 定着液用溝
630 空気導入口
631 空気バッファ空間
632 空気用溝
640 スリット状搬送路(気液混合部)
650 定着液泡状化装置(比較例)
700 定着液混合部
C 塗布位置
F 泡状定着液
P 転写紙
特許第3290513号 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報 特開2004−109747号公報 特開2007−219105号公報 特開2008−197188号公報
石井淑夫著,「泡のエンジニアリング」初版,株式会社テクノシステム,2005年3月25日発行,P.489

Claims (11)

  1. 液体と気体とを混合して泡状液を生成する気液混合部と、液体供給手段により供給される上記液体を該気液混合部に流す液体流路と、気体供給手段により供給される上記気体を該気液混合部に流す気体流路と、該気液混合部で生成された泡状液を外部に排出する泡排出口とを備えた泡生成装置において、
    上記気液混合部は、微小な間隙を介して対向する面を有する一対の対向部材の間隙により形成される薄層状空間からなり、該一対の対向部材の外周部を無端状に囲むように、周方向全域に並んだ複数の微少な気体流路と、周方向全域に並んだ複数の微少な液体流路とを有する流路形成部材を設け、該複数の微少な気体流路と該気液混合部との連通部から該気液混合部内に気体を供給し、該複数の微少な液体流路と該気液混合部との連通部から該気液混合部内に液体を供給することを特徴とする泡生成装置。
  2. 請求項1の泡生成装置において、上記一対の対向部材の間隙は、300[μm]以下であることを特徴とする泡生成装置。
  3. 請求項1または2の泡生成装置において、上記液体供給手段により供給される液体が導入される液体導入口と上記気体供給手段により供給される気体が導入される気体導入口とを具備する気液導入部材と、上記流路形成部材の外周部に無端状に延在するよう配置され、該気液導入部材の該気体導入口より導入された気体を広げて流す気体バッファ空間と、該気液導入部材の該液体導入口より導入された液体を広げて流す液体バッファ空間とを形成する第2の流路形成部材を有することを特徴とする泡生成装置。
  4. 請求項1、2または3の何れかの泡生成装置において、上記一対の対向部材は円板状であることを特徴とする泡生成装置。
  5. 請求項1、2、3または4の何れかの泡生成装置において、上記液体は少なくとも樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液であることを特徴とする泡生成装置。
  6. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とする定着液泡状化手段と、該定着液泡状化手段に該泡状定着液を供給する定着液供給手段、該定着液泡状化手段に気体を供給する気体供給手段と、該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する定着液付与手段とを有し、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、
    上記定着液泡状化手段として、請求項1、2、3、4または5の何れか1項に記載の泡生成装置を用いることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項6の定着装置において、上記液状定着液は複数の定着液構成液から構成され、上記定着液供給手段は、該液状定着液を構成する該複数の定着液構成液をそれぞれ独立して収容する複数の定着液構成液収容部と、該複数の定着液構成液収容部からそれぞれ該複数の定着液構成液が供給され、該複数の定着液構成液を混合して該液状定着液を生成する定着液生成手段とを有することを特徴とする定着装置。
  8. 請求項6の定着装置において、上記複数の定着液構成液は、少なくとも軟化剤を含有する軟化剤液と、気泡剤を含有する気泡剤液とであることを特徴とする定着装置。
  9. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面を上記定着液付与対象の表面として定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、
    上記定着手段として、請求項5、6、7または8の何れか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  10. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を含有する液状定着液を定着液泡化工程で液中に気体を含有させて気泡が分散した泡状定着液とし、該樹脂微粒子を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与して、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法において、
    上記定着液泡化工程では、気液混合部として、近接する一対の対向部材の間隙により形成される薄層状空間を用い、該一対の対向部材の外周部を無端状に囲む流路形成部材の周方向全域に並んだ複数の微少な気体供給口と複数の微少な液体流路とから気体と液状定着液とを供給して混合することにより、該液状定着液から上記泡状定着液を生成することを特徴とする定着方法。
  11. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成工程と、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着工程とによって記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、
    上記定着工程では請求項9の定着方法によって定着を行うことを特徴とする画像形成方法。
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