JP2012053358A - 定着液、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着液、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】起泡剤液収容部内の起泡剤液の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した定着性を維持することができる定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】軟化剤液収容器31と起泡剤液収容器32とを備えた定着装置30で、起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤であるカール防止剤及び浸透剤は起泡剤液収容器32以外の定着液構成液収容部である軟化剤液収容器31内の軟化剤液310に含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー等の樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させる定着液、並びに、このような定着液を用いて記録媒体上に樹脂成分を定着させる定着装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。画像形成装置には種々の方式があるが、電子写真方式の画像形成装置は普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため広くオフィスで使用されている。この電子写真方式の画像形成装置では、定着速度、定着画像品質等の点から記録媒体上のトナーを加熱して軟化あるいは溶融させ、軟化等させたトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような熱定着方式を採用した定着装置を備えた電子写真方式の画像形成装置における消費電力の半分以上は、定着装置でトナーを加熱するために消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の画像形成装置が望まれている。そこで、従来の画像形成装置における消費電力の半分以上を消費する定着装置での省エネルギー化が求められている。従来の熱定着方式の定着装置では加熱処理に多くの電力を消費していたため、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させる定着方式、または、トナーを加熱することを必要としない定着方式が望まれている。特に、トナーを加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方式が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方式としては、トナーの樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させることでトナーを軟化させる軟化剤を含有する定着液を記録媒体表面上のトナー像に付与してトナー像を定着させる湿式定着方式が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献4に記載の定着装置で用いる定着方式)。このように、湿式定着方式の定着装置ではトナーを軟化させるために加熱処理を行う必要がないため、熱定着方式に比べて省エネルギー化を実現することができる。
特許文献1〜特許文献3の何れの特許文献に記載の定着装置も、接触型の定着液付与手段である塗布ローラを用いて定着液を液状のまま記録媒体に塗布することで、定着液を記録媒体上の未定着トナー像に付与する構成である。このような液状の定着液をトナー像に塗布して定着を行う構成では、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止を両立させることが極めて難しいという問題があった。以下、この問題について説明する。
塗布ローラを用いて記録媒体上の未定着トナー像へ定着液を塗布する構成において、定着液を記録媒体に微量付与するために、塗布ローラ上の定着液の層の厚みが未定着トナー像の層よりも薄くした場合、次のような問題が生じることがあった。塗布ローラの表面が記録媒体と接触した後、塗布ローラの表面が記録媒体から剥離する位置で、記録媒体に付与されず塗布ローラ表面に残った定着液の液膜によって生じる表面張力で記録媒体上のトナー層のトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラの表面にオフセットしたトナー粒子が付着し、塗布ローラと剥離した後の記録媒体上のトナー像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ上の定着液の層の厚みを未定着トナー層よりも十分厚くすると、塗布ローラが記録媒体から剥離する位置では、液量が多いため塗布ローラの表面の液膜による表面張力が記録媒体上のトナー層のトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ側にトナーが付着しにくくなる。しかし、記録媒体の表面に多量の定着液が塗布されるため、記録媒体上で過剰な定着液により定着液の拡散にともないトナー粒子が流れ画質劣化を生じたり、定着液の乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、記録媒体に著しい残液感(紙を手で触れたときの湿った感触)が発生する。また、定着液が水を含有するものであると、紙等のセルロースを含有する記録媒体への定着液の塗布量が多い場合、紙等の記録媒体が著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生の恐れがある。
このように、塗布ローラを用いて液状の定着液を塗布する構成では、定着液の塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、定着液の乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下、記録媒体によっては紙詰まりが発生しやすくなる、といった問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために液状の定着液を微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラの表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。
よって、塗布ローラを用いて液状の定着液を塗布する構成では、定着応答性向上、残液感低減及びカール防止のために記録媒体上のトナー層に定着液を微量塗布することと、塗布ローラに対するトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、特許文献4には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の嵩密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状定着液は液状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、特許文献4のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
起泡させて泡状定着液として用いる液状定着液には、トナー等の樹脂成分を軟化させる軟化剤と、液状定着液が泡状と成ることを促す起泡剤とが含有している。泡状定着液として使用する定着液に含有させる起泡剤としては、一般的にアニオン系界面活性剤が適する。また、定着液は軟化剤や起泡剤を希釈する希釈溶媒として水が含有されていることが一般的である。
アニオン系界面活性剤の起泡性を最大限に発揮するのは定着液のpHが7以上の弱アルカリ性領域であるため、定着液は弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。一方、樹脂成分を軟化する軟化剤としては、エステル基を有する軟化剤が一般的である。しかし、希釈溶媒として水を含有する定着液のpHが7以上となるアルカリ性領域では、エステル基が水と反応して加水分解を起こし、軟化剤が化学的に分解してしまい、軟化剤としての能力が低下する。
このように、起泡性を重視して液状定着液のpHを7以上とすると、液状定着液の長期保存において、保存容器内で軟化剤が化学的に分解して定着性能が低下し、定着装置としての信頼性が得られなくなる問題がある。一方、液状定着液のpHを6以下の弱酸性とすると、軟化剤の化学的分解は抑制されるが、起泡剤の能力が低下し、液状定着液から所望の状態の泡状定着液を得られなくなり、定着不良を発生させてしまう。
定着液の起泡性と定着性とを両立できる定着装置として、特許文献6には、軟化剤を含有する軟化剤液と起泡剤を含有する起泡剤液とをそれぞれ独立した収容器で保存する定着装置が記載されている。この定着装置は、定着動作を行うときに独立した状態で保存された軟化剤液と起泡剤液とを混合して液状定着液を生成し、この液状定着液を発泡させて泡状定着液を得るものである。この定着装置では、軟化剤液は予めpHを7以下の弱酸性に調節された状態で独立した容器に収容されているため、加水分解を防止し、長期保存しても軟化剤が化学的に分解せず、起泡剤液と混合して生成される定着液の定着性を維持することができる。また、起泡剤液は予めpHを8程度の弱アルカリ性に調節された状態で独立した容器に収容されているため、軟化剤液と混合して生成される定着液の起泡性を維持することができる。
泡状として使用する液状定着液には、軟化剤及び起泡剤以外の複数種の補助剤も含有している。そして、液状定着液を軟化剤液と起泡剤液とに分けて独立して保存する構成では、補助剤を軟化剤液または起泡剤液に振り分けて含有させている。このような構成で、本発明者らが長期保存に対する定着液の安定性を評価したところ、起泡剤としてアニオン系界面活性剤の脂肪酸塩を用いた場合、起泡剤液の組成によっては起泡剤液中に起泡剤の分子を含んだ凝集体が発生することがあった。
この凝集体は、起泡剤液の温度を70[℃]程度まで加熱したり、起泡剤液を激しく撹拌したりすることで解消することができることを確認した。しかし、起泡剤液の加熱手段を設けることは非加熱定着の利点が損なわれ、また、凝集体を解消できる程度の撹拌手段を起泡剤液の保存容器に設けることは装置の複雑化に繋がる。
起泡剤液中に凝集体が発生した状態では、起泡剤が凝集体の形成に用いられているため、凝集体以外の液状部分の起泡剤液中の起泡剤の濃度は低下した状態となる。この状態の起泡剤液を軟化剤と混合して生成した液状定着液は起泡剤の含有率が所望量よりも少ないため、起泡性が低下し、液状定着液から所望の状態の泡状定着液を得られなくなり、定着不良を発生させてしまう。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その第一の目的は、軟化剤液に対して独立して保存される起泡剤液の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した性能を維持することができる定着液を提供することである。
また、第二の目的は、起泡剤液収容部内の起泡剤液の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した定着性を維持することができる定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる軟化剤と、該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する起泡剤と、定着性の補助のために添加される補助剤とを含有し、該樹脂成分を軟化して記録媒体に定着する定着工程に使用されないときには、混合することで定着液となる複数種の定着液構成液が独立した状態で保存され、複数種の該定着液構成液としては少なくとも該軟化剤を含む軟化剤液と、該起泡剤を含む起泡剤液とがあり、該定着工程に使用されるときには、複数種の該定着液構成液を混合して生成され、泡状液の状態で該樹脂成分に付与される定着液において、上記起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、上記補助剤のうち、該脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤は上記起泡剤液以外の上記定着液構成液に含有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着液において、複数種の上記定着液構成液は、上記起泡剤液と上記軟化剤液との二種類であり、上記補助剤のうち、上記脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤を該軟化剤液に含有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着液において、上記補助剤として、グリコール類を含有し、該グリコール類は上記起泡剤液以外の上記定着液構成液に含有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の定着液において、上記グリコールエーテル類は、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールであることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着液において、上記補助剤として、上記樹脂成分の粒子間への定着液の浸透を補助する浸透剤を含有し、該浸透剤は上記起泡剤液以外の上記定着液構成液に含有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤、該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する起泡剤及び定着性の補助のために添加される補助剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液にする定着液泡状化手段と、該樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段と、混合することで液状定着液となる複数種の定着液構成液を独立した状態で保存する複数の定着液構成液収容部と、複数種の該定着液構成液を混合して該液状定着液を生成する定着液生成手段とを有し、複数の該定着液構成液収容部として、該軟化剤を含有する軟化剤収容部と、該起泡剤を含有する起泡剤液を収容する起泡剤液収容部とを少なくとも備え、該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、上記起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、上記補助剤のうち、該脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤は上記起泡剤液収容部以外の上記定着液構成液収容部内の上記定着液構成液に含有させることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の定着装置において、複数の上記定着液構成液収容部は、上記起泡剤液収容部と上記軟化剤液収容部との二つであり、上記補助剤のうち、上記脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤を該軟化剤液収容部中の上記軟化剤液に含有させることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の定着装置において、上記補助剤として、グリコール類を含有し、該グリコール類は上記起泡剤液収容部以外の上記定着液構成液収容部内の上記定着液構成液に含有させることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の定着装置において、上記グリコールエーテル類は、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールであることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6乃至9のいずれか1項に記載の定着装置において、上記補助剤として、上記樹脂成分の粒子間への定着液の浸透を補助する浸透剤を含有し、該浸透剤は上記起泡剤液収容部以外の上記定着液構成液収容部内の上記定着液構成液に含有させることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面に定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とするものである。
本発明者らが上記凝集体を顕微鏡で確認したところ、脂肪酸塩のミセルが棒状あるいは層状の構造となって液晶化して、ゲル化した状態で起泡剤液に浮いてきたものであることが分かった。
そして、定着液に含有させる補助剤の起泡剤液に含有させる組合せを変えて長期保存を行ったところ、起泡剤液に含有させると脂肪酸塩の液晶化を助長する補助剤があることが分かった。このような補助剤の一例としては、紙等のセルロースを含むシート状の記録媒体に定着液を付与したときに、記録媒体にカールが生じることを防止するカール防止剤として定着液に含有させるグリコール類があった。グリコール類が起泡剤液中の起泡剤の液晶化を助長する具体的なメカニズムは不明であるが、グリコール類を含有しない起泡剤液はグリコール類を含有するものに比べて、飛躍的に起泡剤の液晶化を抑制できることを確認した。
このように、起泡剤液に含有させることで起泡剤の液晶化を助長する補助剤はグリコール類に限るものではなく、他の目的で定着液に添加する種々の補助剤においても液晶化は生じ得る。よって、起泡剤液に対しては、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を含有させないことが望まれる。
本願請求項1の構成を備えた発明においては、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤は起泡剤液以外の定着液構成液に含有するため、起泡剤液に対して、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を含有させない構成を実現することができる。
よって、本願請求項1の構成を備えた発明によれば、軟化剤液に対して独立して保存される起泡剤液における起泡剤の液晶化を抑制でき、起泡剤液の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した性能を維持することができるため、上記第一の目的を達成することができるという優れた効果がある。
本願請求項6の構成を備えた発明においては、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤は起泡剤液収容部以外の定着液構成液収容部内の定着液構成液に含有するため、起泡剤液に対して、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を含有させない構成を実現することができる。
よって、本願請求項6の構成を備えた発明によれば、起泡剤液収容部内の起泡剤液における起泡剤の液晶化を抑制でき、起泡剤液の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した定着性を維持することができるため、上記第二の目的を達成することができるという優れた効果がある。
実施形態に係る定着装置の概略構成図。 本実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。 同プリンタの画像形成ユニットを示す拡大構成図。 定着装置の泡状定着液供給部を示す拡大構成図。 初期発泡部に撹拌機構を備える構成の説明図。 塗布ニップにおける塗布ローラ表面と転写紙とを拡大して示す拡大模式図。 泡状定着液を示す拡大模式図。 定着液保存容器の一例の概略説明図。 定着液保存容器の他の例の概略説明図。 脂肪酸塩のイメージ図、(a)は、脂肪酸塩の1分子のイメージ図、(b)は、液晶化していない状態の脂肪酸塩のミセル構造のイメージ図。 脂肪酸塩が液晶化した状態のイメージ図、(a)は、液晶化した脂肪酸塩の拡大イメージ図、(b)は、液晶化する前後の脂肪酸塩の分布のイメージ図。 液状定着液を用いる定着装置で定着液の膜厚が薄いときの説明図、(a)は、定着装置の概略説明図、(b)は、転写紙に接触して定着液を塗布する塗布ローラと転写紙とが接触する塗布位置の拡大説明図。 液状定着液を用いる定着装置で定着液の膜厚が十分に厚いときの説明図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のタンデム方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタ100という)の実施形態について説明する。なお、本発明を適用した画像形成装置としては、プリンタに限るものではなく、複写機、ファクシミリ等、定着装置を備えた画像形成装置であれば適用可能である。
まず、実施形態に係るプリンタ100の基本的な構成について説明する。
図2は、プリンタ100の要部を示す概略構成図である。同図において、プリンタ100は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像を形成する4つの画像形成ユニット3(Y,M,C,K)、転写ユニット20、二次転写装置28、レジストローラ対15、定着装置30、図示しない光書込装置などを備えている。
転写ユニット20は、トナー像担持体としての中間転写ベルト25を備えており、この中間転写ベルト25の上部の張架面に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応した4つの画像形成ユニット3(Y,M,C,K)が配列されている。
4つの画像形成ユニット3(Y,M,C,K)の上方には、図示しない光書込装置が配置されている。例えば、プリンタ100が複写機の一部である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込む。そして、この画像情報に応じて、光書込装置のレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、画像形成ユニット3(Y,M,C,K)におけるドラム状の感光体4(Y,M,C,K)に向けて各レーザー光L1〜L4を照射する。この照射により、感光体4(Y,M,C,K)の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像になる。なお、符号の後に付されたY,M,C,Kという添字は、イエロー,マゼンタ,シアン,黒用の仕様であることを示している。
画像形成ユニット3(Y,M,C,K)はそれぞれ、潜像担持体たる感光体4と、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ本体に対して着脱可能になっている。画像形成ユニット3(Y,M,C,K)は使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成である。
図3は、4つの画像形成ユニット3(Y,M,C,K)のうちの一つの画像形成ユニット3の拡大説明図である。
図3に示すように、4つの画像形成ユニット3はそれぞれ、感光体4を備え、感光体4の周囲に現像装置6、帯電装置7、除電装置の除電ランプ8及びドラムクリーニング装置9等を備えている。また、中間転写ベルト25を挟んで感光体4と対向する位置には、一次転写装置の一次転写ローラ26が設けられている。本実施形態の一次転写装置は、一次転写部材としてローラ状の一次転写ローラ26を備え、中間転写ベルト25を挟んで一次転写ローラ26が感光体4に当接することで、感光体4の表面上に形成されたトナー像を中間転写ベルト25に転写する一次転写ニップを形成する。一次転写部材としては、一次転写ローラ26のようなローラ部剤に限るものではなく、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。感光体としてはドラム状に限らず、無端ベルト状のものを用いても良い。
本実施形態の帯電装置7は、帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させる接触型帯電方式の帯電装置である。帯電装置7は、感光体4に当接させた帯電ローラに帯電バイアスを印加することにより、感光体4の表面を一様に帯電する。帯電装置7としては、接触型帯電方式に限るものではなく、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を用いてもよい。
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて感光体4上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を得ることで、静電潜像を現像して可視化する二成分現象方式のものである。二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像を行う一成分現象方式のものを使用してもよい。現像によって感光体4の表面上に形成されたトナー像は、一次転写ニップで中間転写ベルト25に一次転写される。
ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂微粒子からなり、これらの樹脂微粒子は、後述する定着液により溶解または膨潤する。現像装置6は、二成分現像剤を収容し撹拌する攪拌部と、現像ローラが配置された現像部とを有し、現像ローラの表面に供給され現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部における二成分現像剤のトナー濃度は、不図示のトナー濃度センサによって検出され、トナー濃度が一定となるように制御されている。
一次転写ニップを通過した後の感光体4表面に付着している転写残トナーは、ドラムクリーニング装置9によって感光体4表面から除去される。ドラムクリーニング装置9によって感光体4表面から除去された転写残トナーは、不図示の回収スクリュ及びトナーリサイクル装置によって現像装置6に搬送され、再利用される。本実施形態では、ドラムクリーニング装置9として、先端を感光体4の表面に押し付けられたクリーニングブレードによって転写残トナーを掻き取る方式のものを示しているが、ブラシローラ等の他の方式によって転写残トナーを除去するものを用いてもよい。
除電ランプ8は、ランプで構成されており、ドラムクリーニング装置9によってクリーニングされた感光体4の表面を光照射によって除電し、感光体4の表面電位を初期化する。
画像形成ユニット3で感光体4の表面にトナー像を形成するときには、図2及び図3中の反時計回り方向に回転する感光体4の表面が帯電装置7によって一様帯電される。一様帯電がなされた感光体4の表面は不図示の光書込装置から画像情報に基づいたレーザー光Lが照射され、感光体4の表面に静電潜像が形成される。その後、感光体4の表面は現像装置6によって静電潜像が現像され、感光体4の表面にトナー像を形成される。
トナー像が形成された感光体4の表面は、一次転写ローラ26との対向部である一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト25に転写し、一次転写ニップを通過した感光体4の表面に残留する転写残トナーはドラムクリーニング装置9によって除去される。転写残トナーが除去された感光体4の表面は、除電ランプ8の光照射によって除電されて初期化され、帯電装置7による一様帯電から始まる次の画像形成に備える。
図2において、4つの画像形成ユニット3(Y,M,C,K)の感光体4(Y,M,C,K)には、上述したプロセスによってY,M,C,Kトナー像が形成される。4つの画像形成ユニット3(Y,M,C,K)の下方には、感光体4の表面上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写ユニット20が配設されている。転写ユニット20は、複数の張架ローラ(21、22、23)によって張架され、駆動ローラ21の回転駆動によって図中時計回り方向(図中の矢印A方向)に無端移動する中間転写ベルト25をそなえる。そして、中間転写ベルト25を、感光体4(Y,M,C,K)に当接させてY,M,C,K用の一次転写ニップを形成している。
Y,M,C,K用の一次転写ニップの近傍では、中間転写ベルト25のベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26(Y,M,C,K)によって中間転写ベルト25を感光体4(Y,M,C,K)に向けて押圧している。これら一次転写ローラ26(Y,M,C,K)には、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,M,C,K用の一次転写ニップには、感光体4(Y,M,C,K)上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図2中の時計回り方向の無端移動に伴ってY,M,C,K用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップで各色トナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
転写ユニット20の図中下方の中間転写ベルト25を挟んで、転写バックアップローラ23に対向する位置には、二次転写装置28が設けられている。二次転写装置28は、駆動ローラ29bと二次転写ローラ29aとの2つの支持ローラの間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる構成である。プリンタ100では、二次転写装置28が備える二次転写ローラ29aと、転写ユニット20が備える転写バックアップローラ23との間に、紙搬送ベルト29と中間転写ベルト25とを挟み込んでいる。このような構成により、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写装置28としては、ベルト状の部材を中間転写ベルト25に対向させる構成に限らず、ローラ状の部材を中間転写ベルト25に対向させる構成であってもよい。
二次転写装置28の二次転写ローラ29aには図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット20の中間転写ベルト25のループ内で、中間転写ベルト25が掛け回されている転写バックアップローラ23は、接地されている。これにより、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写ローラ29a側に向かうように作用する二次転写電界が二次転写ニップに形成される。
二次転写ニップでは、中間転写ベルト25上の4色トナー像が不図示の給紙装置から供給された記録媒体である転写紙Pに転写される。
図2中の二次転写ニップの右側には、レジストローラ対15が配設されており、レジストローラ対15のローラ間に挟み込んだ転写紙Pを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させるタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙Pに一括二次転写され、転写紙Pの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置30へと搬送される。定着装置30へ搬送された転写紙Pは、詳細は後述する定着装置30で定着液を付与され、そのおもて面に形成されたトナー像が定着される。
中間転写ベルト25の複数の張架ローラ(21、22、23)のうちのクリーニング対向ローラ22に対して中間転写ベルト25を挟んで対向する位置には、ベルトクリーニング装置24が配置されている。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25の表面には、二次転写ニップで転写紙Pに転写されなかったベルト転写残トナーが付着しており、このベルト転写残トナーは、ベルトクリーニングブレード24aが中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置24によって掻き取り除去される。
次に、定着装置30について説明する。図1は、実施形態に係る定着装置30の概略構成図である。
以下では、便宜上、泡を含まない通常の液体の状態の定着液を「液状定着液TL」といい、液中に気泡を含有して泡状となった定着液を「泡状定着液Bu」という。また、泡状定着液Buのうち、液状定着液TLの状態から起泡されて泡径が所望の泡径よりも大きい状態の泡状定着液Buを「初期泡状定着液Bu1」といい、初期泡状定着液Bu1の状態から分泡して所望の泡径となった泡状定着液Buを「小径泡状定着液Bu2」という。さらに、後述する塗布ローラ41の表面上で泡状定着液膜厚制御手段によって規制され所望の膜厚の状態の小径泡状定着液Bu2を泡状定着液膜Bu3という。また、詳細は後述する塗布ニップCを通過した後の塗布ローラ41の表面上に残留する泡状定着液Buを残留泡状定着液Bu4という。そして、何れの状態にも限定しない定着液を定着液Fという。
図1に示す定着装置30は、転写紙Pに定着液Fを塗布する定着液付与手段である泡状定着液塗布部140と、泡状定着液生成手段である泡状定着液供給部130とを備える。そして、泡状定着液供給部130で生成した泡状定着液Buを、泡状定着液塗布部140で転写紙P上の未定着トナーTに塗布する。泡状定着液塗布部140は、塗布ローラ41や加圧ローラ43などを備える。
泡状定着液供給部130は、初期泡状定着液Bu1を生成する初期発泡部36と、初期泡状定着液Bu1にせん断力を付与して小径泡状定着液Bu2を生成する泡微細化部37とを備える。
定着装置30では、液状定着液TLを構成する二つの定着液構成液として、軟化剤を含有する液(以下、軟化剤液310と称す)と起泡剤を含有する液(以下、起泡剤液320と称す)とを独立して保管している。そして、泡状定着液Buを生成するときに軟化剤液310と起泡剤液320とを混合し、この混合によって得られた液状定着液TLを泡状定着液供給部130で、泡状定着液Buとする構成である。
樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤としては、液のpHの値が7以上の弱アルカリ性領域であると水と反応して加水分解してしまうものがある。また、定着液の起泡性を向上させる起泡剤としては、その起泡性を最大限に発揮するのが定着液のpHが7以上の弱アルカリ性領域となるものがある。このため、起泡剤液320と軟化剤液310とは、本実施形態の定着装置30のように、別々に保管し、使用時の泡状定着液Buを生成する直前に混合して使用することが望ましい。
図4は、定着装置30の泡状定着液供給部130を示す拡大構成図である。
泡状定着液供給部130は、軟化剤液収容器31内に収容されている軟化剤液310と起泡剤液収容器32内に収容されている起泡剤液320とを混合して得られる液状定着液TLを泡化させ、得られた泡状定着液Buを塗布ローラ41の表面上に供給するものである。
軟化剤液収容器31内の軟化剤液310は、軟化剤液搬送ポンプ33aを駆動することで軟化剤液搬送パイプ34aを通って初期発泡部36に供給される。また、起泡剤液収容器32内の起泡剤液320は起泡剤液搬送ポンプ33bを駆動することで起泡剤液搬送パイプ34bを通って初期発泡部36に供給される。
このとき、軟化剤液搬送ポンプ33aと起泡剤液搬送ポンプ33bとの駆動を制御して、軟化剤液310の搬送量と起泡剤液320の搬送量との比を調節する。このように2つの液の搬送量の比を調節することにより、2つの液を混合して成る液状定着液TLにおける軟化剤液310と起泡剤液320との混合比を調節することが出来る。これにより、軟化剤液310と起泡剤液320とが初期発泡部36に所定の混合比で供給される。
液搬送ポンプ33(33a及び33b)としては、ギヤポンプ、ベローズポンプ、チューブポンプ等を用いることが可能であるが、中でもチューブポンプを用いることが望ましい。ギヤポンプ等のように、定着液構成液が通過する経路内に振動機構や回転機構を構成する部品があると、ポンプ内で液が起泡し、液に圧縮性が出て、搬送能力が低下するおそれがある。また、定着液構成液の経路内に振動機構や回転機構を構成する部品があると、その部品の材料が溶け込んで定着液構成液を汚染したり、逆に定着液構成液がその部品を劣化させたりする恐れがある。
一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であり、定着液構成液の経路内に振動機構や回転機構を構成する部品がなく、定着液構成液と接する部材はチューブだけである。このため、チューブとして搬送する定着液構成液に対して耐液性を有する部材を用いることで、定着液構成液の汚染や液搬送ポンプ33を構成する部品の劣化を防止することが出来る。また、チューブを変形させるだけであるため、定着液構成液が起泡せず、液の起泡に起因する搬送能力の低下を防止できる。
初期発泡部36は、液状定着液TLをバブリングによって泡状定着液Buを生成する構成である。初期発泡部36には、空気搬送パイプ35aを介して空気ポンプ35が接続されており、軟化剤液310及び起泡剤液320が初期発泡部36に到達するタイミングに合わせて空気ポンプ35を行動させる。これにより、初期発泡部36内で2つの液の混合液である液状定着液TLをバブリングし、定着液Fを泡状にする。このときに得られる泡状定着液Buは、目視でも泡を確認できるぐらいの泡径の大きな初期泡状定着液Bu1である。
軟化剤液310と起泡剤液320とは、十分均一に混合されないと混合後の泡化の際に起泡性が悪くなり、泡状定着液Buの密度が所望の値よりも高くなり、泡膜形成ができなくなる恐れがある。また、軟化剤が泡のプラトー境界にて不均一に分布し、定着が不均一になる恐れがある。このため、初期発泡部36では、図1及び図4に示すように、バブリングの振動で軟化剤液310と起泡剤液320とを混合する構成もよいが、混合時の液どうしの均一性を高めるため、図5に示すように、液同士を混合する撹拌機構を設けることが望ましい。図5に示す構成では、回転する初期発泡撹拌羽根36aを初期発泡部36の混合容器内に組み込み、泡化を行うバブリングを行う前に十分に起泡剤液と軟化剤液を撹拌して均一に混合する構成とした。撹拌の仕方としては、そのほかに、超音波振動などが望ましい。
また、上述した構成では、軟化剤液310と起泡剤液320とをそれぞれ初期発泡部36に供給する構成となっているが、軟化剤液310と起泡剤液320と混合して液状定着液TLを生成する液混合部を設けてもよい。液混合部で軟化剤液310と起泡剤液320とが十分に混合して生成された液状定着液TLを初期発泡部36に供給して泡状定着液Buを生成することで、定着液Fの均一性を高め、安定した泡状定着液Buを生成することが出来る。
液状定着液TLから大きな泡からなる初期泡状定着液Bu1を生成する別の生成方法としては、液状定着液TLと空気とを羽根状攪拌子で攪拌する方法がある。この方法では、羽根状攪拌子を配置した撹拌容器内に液状定着液TLと空気と送り込み、羽根状攪拌子で攪拌することで液状定着液TLに気泡を巻き込み、初期泡状定着液Bu1を生成する。
また、微小孔シート、孔径30[μm]〜100[μm]程度の連通孔を有する焼結セラミックス板や不織布、発泡樹脂シート等の連泡構造の多孔質部材に、液状定着液TLと空気とを同時に通過させることにより、初期泡状定着液Bu1を生成する方法を採用してもよい。
初期発泡部36としては何れの構成であっても、例えば0.5〜1[mm]程度の比較的大きな泡径の泡からなる初期泡状定着液Bu1をごく短時間で生成することができる。ただし、泡状定着液Buを定着に用いるときの泡としては、泡径が小さい方が望ましい。このため、定着装置30では、初期発泡部36で得られた初期泡状定着液Bu1を、泡微細化部37で微細な泡径の泡からなる小径泡状定着液Bu2とする構成である。
初期発泡部36で生成された初期泡状定着液Bu1は、空気ポンプ35からの空気圧によって泡搬送パイプ37cを通って泡微細化部37に供給される。泡微細化部37は、初期泡状定着液Bu1にせん断力を付与することによって径の大きな一つの泡を二つ以上に分割して泡の微細化を行う。
泡微細化部37は、外側円筒37aの中に内側円筒37bを内包する二重円筒構造になっており、固定された外側円筒37aに対して内側円筒37bが回転可能な構成となっている。外側円筒37aの泡搬送パイプ37cが接続された箇所から外側円筒37aと内側円筒37bとの隙間に初期泡状定着液Bu1を供給し、この隙間を通過させることで内側円筒37bの回転により泡状定着液Buに対してせん断力を付与する。このせん断力の付与により、一つの大きな泡を二つ以上の微小な泡に分割し、泡状定着液Buを外側円筒37aと内側円筒37bとの隙間を通過させる間に、所望の微小な泡径を有する小径泡状定着液Bu2を生成する。外側円筒37aと内側円筒37bとの隙間を通過して小径泡状定着液Bu2となった泡状定着液Buは、外側円筒37aに設けられた出口から泡供給パイプ37dへ、さらに、泡供給パイプ37dの先端の泡供給ノズル38から塗布ローラ41の表面へと排出される。
二重円筒構造の泡微細化部37としては、内側円筒37bにらせん状の溝を設けて、外側円筒37a内での泡状定着液Buの搬送性を向上させてもよい。
一般的に、初期泡状定着液Bu1のように泡径が0.5[mm]〜1[mm]程度で目視によって観察できる程度の大きな泡からなる泡状定着液の場合、液状定着液を単に撹拌する等により比較的容易に泡を生成可能である。このような大きな泡からなる泡状定着液の生成には、液状定着液から数秒以下の時間(0.1[秒]もかからない)で生成することができる。
そこで、本発明者らは、このように所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡からなる泡状定着液の生成は容易に、且つ、素早く生成できる点に着目した。そして、大きな泡からなる泡状定着液の状態から、泡径が5[μm]〜50[μm]程度の微小な泡からなる泡状定着液を素早く生成する方法を鋭意検討した。その結果、大きな泡からなる泡状定着液にせん断力を加えることで、液状定着液の状態から起泡させて微小な泡径の泡状定着液を生成する方法に比べて、極めて素早く所望の大きさの微小な泡径の泡状定着液が生成できることがわかった。このとき、大きな泡からなる泡状定着液にせん断力を加えることで、大きな泡を分泡して小さな泡となっていると考えられる。
定着装置30は、大きな泡生成部である初期発泡部36と、泡微細化部37とを組み合わせた構成である。初期発泡部36では、液状定着液TLを大きな泡径の泡からなる初期泡状定着液Bu1へと泡化させ、泡微細化部37では、初期泡状定着液Bu1に剪断力を加えての大きな泡を微小な泡に分割する。このように、初期発泡部36と、泡微細化部37とを組み合わせることで、液状定着液TLを5〜50[μm]程度の微小な泡径の泡からなる小径泡状定着液Bu2に極めて短時間で変化させることができる。
図1に示すように、泡微細化部37の泡供給ノズル38から排出される小径泡状定着液Bu2は、泡状定着液塗布部140の塗布ローラ41の表面に供給される。泡状定着液塗布部140は、小径泡状定着液Bu2を転写紙P上の未定着トナーTに付与する塗布ローラ41を備える。また、泡状定着液塗布部140は、塗布ローラ41の表面上に供給された小径泡状定着液Bu2の膜厚を制御する泡状定着液膜厚制御手段を構成する膜厚調整ブレード42を備える。さらに、泡状定着液塗布部140は、塗布ローラ41と膜厚調整ブレード42とが対向する位置に対して、塗布ローラ41の表面移動方向下流側で塗布ローラ41と対向する位置に加圧ローラ43を備える。
泡状定着液Buの嵩密度としては、0.01〜0.1[g/cm]の範囲が望ましい。更に、定着液Fを付与した後に転写紙Pの表面に残液感を生じないようにするためには、泡の嵩密度としては、0.01[g/cm]〜0.02[g/cm]の範囲となることが好ましい。特に、少なくとも0.02[g/cm]以下の嵩密度であることが望まれる。
これは以下の理由による。
すなわち、塗布ローラ41が転写紙Pに泡状定着液Buを塗布する塗布ニップCでの泡状定着液膜Bu3の膜厚は、トナー層の隙間を泡状定着液Buで埋めるために転写紙P上の未定着トナーTのトナー層の厚み以上であることが必須条件である。このため、泡状定着液膜Bu3の膜厚は、おおよそ、50[μm]〜80[μm]が好ましい。一方、転写紙Pの表面への定着液Fの付与による定着後の残液感(ぬれたような感触)を抑制するためには、転写紙Pの単位面積当たりの定着液Fの付着量として、0.1[mg/cm]以下が好ましい。このことから、泡状定着液Buの嵩密度としては、0.0125[g/cm]〜0.02[g/cm]の範囲が好ましく、少なくとも0.02[g/cm]以下の密度となることが望まれる。
また、定着液Fは、転写紙P等の記録媒体上のトナー等の樹脂含有微粒子の層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液構成液として定着液構成液収容器(31及び32)内で泡状である必要はない。このため、定着液構成液収容器中では気泡を含有しない液体の状態にしておき、容器から定着液構成液を供給する時点や、樹脂含有微粒子の層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にすることが望ましい。これは、定着液構成液として定着液構成液収容器から定着液構成液を取り出した後に泡状とする構成により、定着液構成液の輸送体積や保存体積の減容を図って、輸送コストや保存コストを低減することができるためである。
また、図1に示す定着装置30では、初期発泡部36や泡搬送パイプ37c、泡微細化部37では、起泡剤液320と軟化剤液310とは混合しており、長期放置において軟化剤の化学的分解が起こる。従って、定着終了時もしくは、定着開始時に、密封容器である軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32から泡供給ノズル38の泡状定着液供給口までの流路内の定着液を破棄しておくことが望ましい。さらに、破棄によって定着に寄与しない定着液が消費されるため、密封容器から泡状定着液供給口までの流路内の容積は極力小さいことが望ましい。
図1に示すように、泡状定着液供給部130で生成された所望の泡径の小径泡状定着液Bu2は、泡状定着液供給口を備えた泡供給ノズル38より塗布ローラ41と膜厚調整ブレード42との間に滴下され、塗布ローラ41の表面に供給される。塗布ローラ41の表面に供給された小径泡状定着液Bu2は、膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41との対向部に到達する。
膜厚調整ブレード42はその先端が所定の間隙を介して塗布ローラ41の表面に対向するように配置されている。そして、塗布ローラ41の表面上の小径泡状定着液Bu2が膜厚調整ブレード42の先端と塗布ローラ41の表面との間隙を通過することで、塗布ローラ41表面上での膜厚が調整される。また、定着装置30では、膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41の表面との間隙を調節することで、小径泡状定着液Bu2を、転写紙P上の未定着トナーTのトナー層の厚さに応じて最適な膜厚に制御された泡状定着液膜Bu3とすることが出来る。泡状定着液膜Bu3の膜厚としては、小径泡状定着液Bu2の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーTの層厚に応じて、泡状定着液Buの未定着トナーTのトナー層への浸透時間に対して最適化した膜厚となることが求められる。
膜厚調整ブレード42は、片持ち支持された状態で、固定端側の回動軸を中心にして回動することで、自らの先端と、塗布ローラ41との間隙を変化させることができる。図示しない制御部が、不図示のブレード回動軸駆動モータの駆動を制御し、回動軸を回転させることによって、膜厚調整ブレード42を回転させて前述の間隙を調整する。
ここで、泡状定着液膜Bu3の膜厚を薄くするときには、膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を狭くする。一方、泡状定着液膜Bu3の膜厚を厚くするときには、膜厚調整ブレード42と塗布ローラ41表面との間の間隙を広くする。このように膜厚調整ブレード42の先端と塗布ローラ41表面との間の間隙を調整することにより、泡状定着液膜Bu3の膜厚を制御することができる。
よって、未定着トナーTのトナー層厚や環境温度等、更には泡状定着液Buの気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力等に応じて、定着液Fの未定着トナー層での浸透時間を調製するために最適な膜厚に泡状定着液膜Bu3を制御することができる。
また、定着装置30では、図示していない光書込装置で用いる画像情報に基づいて、膜厚調整ブレード42の回転を制御し、泡状定着液膜Bu3の膜厚を調整する。すなわち、転写紙Pに転写されたトナー像を形成する未定着トナーTには、図示していない光書込装置で用いる画像情報(例えば、カラー画像または黒ベタ画像)に基づいて泡状定着液膜Bu3の膜厚が調整された泡状定着液Buが塗布される。これにより、各トナー像を形成する未定着トナーTのトナー層の層厚に応じた泡状定着液Buの塗布を行うことができ、適切な定着条件でトナー像を転写紙Pに定着させることができる。
膜厚調整の構成としては、膜厚調整ブレード42の代わりに、ワイヤーバーによって膜厚を調整してもよい。ワイヤーバーによって膜厚を調整する場合、上述した泡状定着液供給部130で生成される所望の泡径の小径泡状定着液Bu2は、泡状定着液供給口を備えた泡供給ノズル38から塗布ローラ41とワイヤーバーとの間に滴下される。このように、ワイヤーバーを泡状定着液膜厚制御手段として用いた場合、膜厚調整ブレード42に比べ、塗布ローラ41表面上における軸線方向の膜厚をより均一にすることが可能になる。
トナー像が形成された転写紙Pに泡状定着液Buを塗布するための塗布ローラ41には、弾性ローラ部を具備する加圧ローラ43が当接して塗布ニップCを形成している。上述した紙搬送ベルト29によって二次転写ニップから定着装置30に向けて搬送される転写紙Pは、未定着トナー像を担持した画像面を塗布ローラ41に向けた状態で塗布ニップC内に挟み込まれる。そして、塗布ニップC内において、塗布ローラ41上の泡状定着液Buが転写紙Pの画像面に塗布される。
定着装置30の塗布ニップCで泡状定着液Buを塗布された転写紙P上のトナー像は、塗布された定着液Fの作用によって軟化し、再び固化する。これにより、加熱することなくトナー像を転写紙Pに対して定着することができる。トナー像が定着された転写紙Pは、プリンタ100の装置外部に排出される。
次に定着装置30の定着の原理について概説する。
定着装置30は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂を含有する微粒子を軟化させる軟化剤を含有した泡状定着液Buを、記録媒体等の定着液塗布対象の表面上の樹脂微粒子に付与する。これにより、定着液塗布対象の表面上の樹脂微粒子を軟化させ、樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着方法を取っている。
言うまでもないことだが、ここで、表記している樹脂微粒子とは、特に何であるかを限定はしないが、画像形成装置に適用した場合だと、トナーのことを指す。
ここで、液状定着液を付与する従来の湿式定着方式を用いた定着装置について説明する。
上記特許文献1には、トナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶である有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いる湿式定着方式の定着装置が記載されている。この定着装置では、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面に対して定着液を噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させる構成である。
しかし、上記特許文献1の定着装置では、水に不溶または難溶である有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着液を用いている。このため、多量の定着液を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(被定着物)が、定着液の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送性を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着液に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着液から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解または膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液が、従来からいくつか提案されている。その一つとして例えば、上記特許文献2には、トナーを構成する樹脂成分を溶解または膨潤させる成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を、希釈液(溶媒)である不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が提案されている。
また、上記特許文献3には、定着液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤の100の容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の定着液が提案されている。これにより、静電気的方式で形成された未定着トナー像を形成するトナー粒子を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に記録媒体上に固着できる。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解または膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
このような従来の湿式定着方式では定着液を通常の液体状(液状定着液)のまま記録媒体上のトナー像に付与していた。このため、記録媒体上のトナー像に定着液を付与する構成として、塗布ローラを用いて定着液を塗布する構成の場合、記録媒体上のトナー像への定着液の微量塗布と塗布ローラへのトナーオフセット防止を両立することが極めて難しいという問題があった。この問題について図12及び図13を用いて説明する。
図12は、従来の湿式定着方式の定着装置で、液状定着液TLを塗布する液状塗布定着装置60で定着液の膜厚が薄いときの説明図である。図12(a)は液状塗布定着装置60の概略説明図である。また、図12(b)は、液状塗布定着装置60における塗布ローラ41と転写紙Pとが接触する塗布ニップ近傍の拡大説明図である。
塗布ローラ41を用いて転写紙P上の未定着トナーTへ液状定着液TLを塗布する構成において、液状定着液TLを転写紙Pに微量付与するには、塗布ローラ41上の液状定着液TLの膜厚を薄くする必要がある。ここで、図12(a)に示すように、塗布ローラ41上の液状定着液TLの膜厚を未定着トナーTの厚みよりも薄くした場合、図12(b)のようになる。すなわち、塗布ローラ41上の液状定着液TLには、塗布ニップで塗布ローラ41から転写紙Pに付与されるものの他に、図12(b)中の矢印F1で示すように塗布位置を通過した後も塗布ローラ41の表面に残留するものがある。そして、塗布ローラ41の表面が転写紙Pから分離する位置で、塗布ローラ41の表面に残留する液状定着液TLの液膜によって生じる表面張力(図12(b)中の矢印F2方向に働く力)で転写紙P上の未定着トナーTのトナー粒子が引っ張られてしまう。これにより、塗布ローラ41の表面にオフセットトナーTaが付着し、塗布ローラ41と剥離した後の転写紙P上の定着トナー層Tbによって形成される画像が大幅に乱れてしまう。
逆に、塗布ローラ41上の液状定着液TLの膜厚を未定着トナーTよりも十分厚くすると、図13のようになる。図13は、液状塗布定着装置60で定着液の膜厚が十分に厚いときの説明図である。
図13に示すように、塗布ローラ41の表面が転写紙Pから分離する位置では、液状定着液TLの液量が多いため塗布ローラ41表面の液膜による表面張力が未定着トナーTのトナー粒子に作用しにくくなる。これにより、塗布ローラ41側にオフセットしたトナーが付着しにくくなる。しかし、転写紙Pの紙面に多量の液状定着液TLが塗布されるため、過剰な液状定着液TLにより転写紙P上のトナー粒子が流されて画質劣化を生じたり、転写紙Pに付与した液状定着液TLの乾燥時間が長くなり定着応答性に問題が生じたりしてしまう。また、転写紙Pに著しい残液感(手で触ったときの湿った感触)が発生する。さらに、転写紙P上の定着画像に粘着感(タック感とも言う)が生じてしまうため、定着後の転写紙Pの画像面側に他の転写紙P等の何らかの他の媒体が重なった場合、画像面のトナー像がその媒体に張り付いてしまう問題(ブロッキング)が生じる。そして、貼り付いた後、この他の媒体と転写紙Pとを剥がそうとすると、定着画像を形成するトナーと媒体とが完全に剥がれず、定着画像が乱れることがある。
さらに、液状定着液TLが水を含有するものであると、記録媒体として紙等のセルロースを含有する転写紙Pへの液状定着液TLの塗布量が多い場合、紙等の転写紙Pが著しくカールし、画像形成装置などの装置内における記録媒体搬送時に紙詰まりが発生する恐れがある。
このように、塗布ローラ41を用いて液状定着液TLを塗布する構成では、液状定着液TLの塗布量が多すぎると、トナー粒子が流されることによる画質劣化、液状定着液TLの乾燥時間が長くなることによる定着応答性の低下という問題が生じる。さらに、記録媒体の材質によっては紙詰まりが発生しやすくなるという問題が生じる。一方、これらの問題を防止するために液状定着液TLを微量塗布する構成とすると、上述したように塗布ローラ41の表面にトナー粒子がオフセットしてしまう。よって、定着応答性向上や残液感低減やカール防止のために転写紙P上のトナー層に定着液を微量塗布することと塗布ローラ41へのトナーオフセットを防止することとを両立することが極めて難しい。なお、記録媒体に接触して定着液を塗布する接触塗布手段として、ダイコート手段、ブレード塗布手段、ワイヤーバー塗布手段を用いた場合も、定着液が微量になると接触塗布手段に表面張力でトナーが付着してしまい、画像劣化が生じる。
以上のように、接触塗布手段によって液状定着液TLを塗布する構成では、定着応答性を向上するための紙上のトナー層への定着液微量塗布とトナー画像を乱さず均一塗布することとを両立することが極めて難しい。また、液状定着液を塗布するときの定着液微量塗布と樹脂微粒子層を乱さず均一塗布することとを両立することが極めて難しいという問題は、記録媒体上のトナーに限ったことではなく、媒体上の樹脂微粒子層に液状定着液を付与する構成ではどの場合も生じる問題である。
定着液の微量塗布とトナーオフセットの防止とを両立することができる定着方式として、上記特許文献4には、定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液とし、この泡状定着液を塗布ローラを用いて記録媒体上のトナー像に塗布する構成が記載されている。このように、定着液を泡状とすることにより定着液の嵩密度を下げることが出来るため、従来よりも少量の定着液で塗布ローラ表面上の定着液の膜厚を厚くすることが出来、液体の表面張力の記録媒体上のトナー粒子に対する影響を軽減することができる。また、少量の定着液であるため、記録媒体上の残液感を抑制することが出来、泡状の定着液は通常の液体状の定着液よりも流れ難いため、定着液によってトナー粒子が流されることによる画像劣化も防止することができる。よって、上記特許文献4のように泡状定着液を用いて定着を行うことにより、従来よりも少量の定着液塗布量でトナー画像を乱すことなく定着することができる。
そして、本実施形態の定着装置30も上記特許文献4と同様に定着液を泡状にして記録媒体上のトナー層に塗布する構成である。
また、上記特許文献4に記載の定着装置は、塗布部材である塗布ローラ上の泡状定着液の膜厚を制御する泡状定着液膜厚制御手段を備えている。そして、塗布ローラが記録媒体に接して泡状定着液を記録媒体上の樹脂微粒子に付与している時間が、塗布ローラによって塗布される泡状定着液が記録媒体上の樹脂微粒子層を浸透して記録媒体に到達する浸透時間より同じ又は長くなるように膜厚を制御する。これにより、樹脂微粒子の塗布ローラへのオフセット付着を防止でき、樹脂微粒子を乱すことなく、かつ樹脂微粒子を担持した記録媒体に定着液を塗布した後は素早く樹脂微粒子の記録媒体への定着が可能となる。このため、定着応答性に優れた定着を行うことができる。
図6は、本実施形態の定着装置30において塗布ローラ41が転写紙Pと接触する部分(塗布ニップC)の拡大説明図である。
定着装置30は、定着液Fを嵩密度の低い泡状定着液Buの状態で転写紙Pに塗布することで、少量であっても、転写紙P上のトナー層よりも定着液Fの層を厚くすることができる。更に、泡状にすることで、塗布ローラ41表面上の定着液Fの表面張力によるトナーの引き込みを防止することができる。これらの結果、塗布ローラ41へのトナーのオフセットを有効に抑えることができ、オフセットによる白抜け画像の発生を解消することができる。
未定着トナーTのトナー粒子の平均粒径が5〜10[μm]程度である場合、未定着トナーTのトナー層を乱すことなく泡状定着液Buを未定着トナーTに付与するには、泡状定着液Buの泡径範囲を5〜50[μm]程度にすることが望ましい。定着装置30では、泡微細化部37での泡微細化により、このような微細な径の泡をつくり出している。
また、泡微細化部37で微細化した泡は、図7に示すように、気泡Bu−Aと、それぞれの気泡Bu−Aを区切る液膜境界Bu−B(以下、プラトー境界と称することがある)とから構成されている。
図1に示す定着装置30において、塗布ローラ41とローラ部がスポンジからなる加圧ローラ43とが常時接触している場合、転写紙Pが搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液Buがスポンジの加圧ローラ43に付着し汚す恐れがある。この付着を防止する狙いから、紙先端検知手段(図示せず)を塗布ニップCに転写紙Pが搬送される手前に設け、紙先端検知信号に応じて、転写紙Pの先端から後方にのみ泡状定着液Buが塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液Buを供給することが望ましい。
また、定着装置30においては、不図示の接離機構により、待機時には塗布ローラ41と加圧ローラ43とを互いに離間させ、塗布時のみ、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを当接させる構成とすることが望ましい。このような構成では、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを互いに離間させた待機時の状態から上記紙先端検知手段による転写紙Pの先端検知の検知結果に基づいて、接離機構を駆動し、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを当接させる。そして、紙先端検知手段による転写紙Pの後端検知、または、別に設けた不図示の紙後端検知手段による転写紙Pの後端検知の検知結果に基づいて、接離機構を駆動し、塗布ローラ41と加圧ローラ43とを離間させる。
図1に示すように定着装置30は、塗布ニップCを通過した後の塗布ローラ41の表面上をクリーニングする泡回収装置80を備える。泡回収装置80は、泡回収ブレードによって塗布ニップCで塗布ローラ41から転写紙Pに移行しきれなかった泡状定着液Buである残留する残留泡状定着液Bu4、及び転写紙Pから移行した少量のオフセットトナーを除去する。
次に、本発明の定着装置30に適する定着液保存容器について説明する。
図8は、定着液構成液収容器(31及び32)を収容し、定着装置30に対して着脱可能な定着液保存容器50の一例の概略説明図である。
図8に示す定着液保存容器50内には、軟化剤液310を密封した軟化剤液収容器31と起泡剤液320を密封した起泡剤液収容器32とが独立した状態で設けられている。各定着液構成液収容器(31及び32)は、アルミ箔をラミネートした樹脂のラミネード容器などが適する。軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32の先端には、軟化剤液供給口54及び起泡剤液供給口55がそれぞれ設けられている。軟化剤液供給口54及び起泡剤液供給口55には、連通手段としての軟化剤液封止ゴム56及び起泡剤封止ゴム57がそれぞれ設けられて液を封止している。
また、定着液保存容器50を着脱する定着装置30側には、軟化剤液搬送ポンプ33aに接続された軟化剤液供給パイプ58と、起泡剤液搬送ポンプ33bに接続された起泡剤液供給パイプ59とが配置されている。
このような構成で定着液保存容器50を定着装置30に装着すると、定着装置30側から先端が針状となった供給パイプ(58および59)が定着液保存容器50の各供給口(54および55)にそれぞれ対峙し、供給パイプ(58および59)の針状の先端が各封止ゴム(56および57)をやぶって各定着液構成液収容器(31及び32)内とつながる。この構成では、各定着液構成液収容器(31及び32)内の液の混合は定着装置30内で行われ、液搬送ポンプ33も定着装置30内に設置する。このような定着液保存容器50によれば、軟化剤液310と起泡剤液320とを独立した状態で分離して保存でき、かつ液漏れもなく、着脱自在で交換が容易となる。
図9は、定着液構成液収容器(31及び32)を収容し、定着装置30に対して着脱可能な定着液保存容器50の他の例の概略説明図である。
図9に示す定着液保存容器50内には、樹脂ラミネートで形成されたジャバラ構造の容器である軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32を備える。また、平行可動してジャバラ構造の軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32の底側(図9中の左側)から加圧して収納されている液を押し出すための軟化剤液加圧板64及び起泡剤液加圧板65を備える。さらに、定着液保存容器50は、軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32の先端の軟化剤液供給口54及び起泡剤液供給口55からそれぞれ供給される2つの液を混合する混合液流路68を備える。また、混合液流路68と定着装置30側の液状定着液搬送パイプ76との連通手段としての混合液封止ゴム69を具備する混合液供給口70を有している。
また、定着液保存容器50の外部ケーシングには、加圧板(64及び65)に圧力を加えるための軟化剤液加圧アクチュエータ71及び起泡剤液加圧アクチュエータ72を挿入するための、軟化剤液加圧孔73及び起泡剤液加圧孔74が設けられている。各定着液構成液収容器(31及び32)の各供給口(54および55)は混合液流路68につながっており、混合液流路68には少なくとも一つの回転可能な撹拌羽根75が設けられている。
このような構成を有する定着液保存容器50を定着装置30に装着すると、加圧孔(73及び74)から定着装置30側の加圧アクチュエータ(71及び72)が進入し、加圧板(64及び65)を押す機構となっている。一方、混合液供給口70は混合液封止ゴム69で封止され、定着装置30に定着液保存容器50が装着されると定着装置30側の液状定着液搬送パイプ76の針状の先端が、混合液封止ゴム69をやぶって液状定着液搬送パイプ76と混合液流路68とが連通する。定着装置30の稼動時には、加圧アクチュエータ(71及び72)が作動して加圧板(64及び65)を押圧する。これにより、樹脂ラミネートで形成されたジャバラ構造の容器である軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32が変形することで各液が各供給口(54及び55)から混合液流路68に供給される。供給後、撹拌羽根75のところで液同士が十分に混合され、定着液保存容器50の混合液供給口70より軟化剤液310と起泡剤液320とが均一に混合した液状定着液TLが液状定着液搬送パイプ76内に供給される。なお、撹拌羽根75は回転のための駆動源を持っていても良いが、液の流れで自然に回転する構成でも十分な撹拌能力は得られる。図9の構成では、定着液保存容器50内で既に軟化剤液310と起泡剤液320との均一混合がなされているため、定着装置30側は、泡化機構のみ設置すればよく、定着装置30の簡素化が可能となる。
次に、定着液Fの組成について説明する。定着装置30で用いる定着液Fは、少なくとも軟化剤、起泡剤及び希釈溶媒としての水を含有する。
本実施形態の定着液Fが含有する軟化剤はトナー中の樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させるものであり、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させる溶解性またはは膨潤性に優れている。一方、液状定着液TLから泡状定着液Buを生成するために欠かせない起泡剤としては、アニオン系界面活性剤であるミリスチン酸アミンなどの脂肪酸塩を用いる。
本実施形態の定着液Fのように、アニオン系界面活性剤のうち、特に、ミリスチン酸アミンなどの脂肪酸塩を起泡剤として使用する場合、その起泡性を最大限に発揮するためには、泡状定着液供給部130で液状定着液TLを泡状定着液Buとするときの定着液FのpHが7以上の弱アルカリ性の状態とすることが望ましい。
これは、弱アルカリ性領域で、脂肪酸塩が解離し、脂肪酸が水に溶解しやすくなり、脂肪酸ミセルを作りやすく、泡のプラトー境界が保持できるためである。逆にいうと、弱酸水中では、脂肪酸塩は、解離することができず、所謂酸性石鹸のごとく不溶化してしまい、ミセルの形成ができず、起泡性が極端に悪くなる。
一方、本実施形態の定着液Fの軟化剤として用いる脂肪族エステルのように、エステル基を有する化合物は、その水溶液のpHが7以上となるアルカリ性領域では、エステル基が水と反応して加水分解を起こし易くなる。
このため、軟化剤、起泡剤及び希釈溶媒としての水を混合した定着液Fの状態で一つの容器で保存した場合、起泡性を重視して液状定着液のpHを7以上とすると、液状定着液の長期保存において、保存容器内で軟化剤が化学的に分解して定着性能が低下し、定着装置としての信頼性が得られなくなる問題がある。逆に、液状定着液のpHを6以下の弱酸性とすると、軟化剤の化学的分解は抑制されるが、起泡剤の能力が低下し、液状定着液TLから所望の嵩密度の泡状定着液Buを得られなくなり、定着不良を発生させてしまう。
このような問題に対して、本実施形態の定着装置30は、液状定着液TLを泡状定着液供給部130で泡化する前は定着液Fの状態では保存せずに、軟化剤を含有する軟化剤液310と起泡剤を含有する起泡剤液320とをそれぞれ独立した状態で保存している。
本実施形態の定着装置30では、図1に示すように、軟化剤液310及び起泡剤液320といった定着液Fを構成する2つの定着液構成液をそれぞれ独立した容器である軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32内に収容する。そして、泡状定着液供給部130に供給するときに2つの定着液構成液を混合して定着液Fとし、泡状定着液Buを生成する。このような構成であれば、軟化剤液310は予めpHを7以下の弱酸性に調節された状態で軟化剤液収容器31内に収容することができ、加水分解を防止し、長期保存しても軟化剤が化学的に分解せず、起泡剤液320と混合して生成される定着液Fの定着性を維持することができる。また、起泡剤液320は予めpHを8程度の弱アルカリ性に調節された状態で起泡剤液収容器32に収容することができ、軟化剤液310と混合して生成される定着液Fの起泡性を維持することができる。
本実施形態の定着装置30で用いる定着液Fは、軟化剤、起泡剤及び希釈媒としての水の他に、増泡剤、カール防止剤及び浸透剤を含有する。ここで、カール防止剤とは、紙等のセルロースを含むシート状の記録媒体である転写紙Pに定着液Fを付与したときに転写紙Pにカールが生じることを防止するものであり、本実施形態では、トリプロピレングリコールを用いた。また、浸透剤は、未定着トナー層の表面に付与された定着液Fのトナー粒子表面との濡れ性を向上させ、トナー粒子の間に定着液Fを浸透し易くさせるものであり、浸透剤としての効果は、定着液のトナー粒子に対する接触角測定を行い、濡れ性を見て判断するものである。本実施形態では、浸透剤として、ビックケミージャパン社製のBYK−DYNWET800を用いた。
そして、軟化剤及び起泡剤以外の各部剤は、軟化剤液310または起泡剤液320のいずれかに含有させて保存する。このとき、起泡剤液320に、カール防止剤や浸透剤を含有させると、起泡剤液320中で起泡剤分子どうしの配向によるの液晶化(ミドル相)が確認された。
ここで起泡剤の液晶化について説明する。
図10(a)は、起泡剤として使用する脂肪酸塩の1分子のイメージ図である。図10(a)に示すように、脂肪酸塩は、親水基と疎水基と備える。そして、カール防止剤や浸透剤を含有した起泡剤液310を処方した当初は、図10(b)に示すように、脂肪酸塩はミセルと呼ばれる集合体を形成するものの、その大きさはあまり大きくなく、起泡剤液320は透明であった。
このような起泡剤320を常温(25[℃])で2週間もしくは5[℃]で1日間、長期保存したところ、起泡剤液320に凝集体が形成された。この凝集体を偏光顕微鏡で確認したところ、脂肪酸塩のミセルが図11(a)に示すような構造となり、棒状または層状の構造となって液晶化して、ゲル化した状態で図11(b)に示すように起泡剤液320に浮いてきたものであることが分かった。
以下、定着装置30で用いる定着液Fを構成する軟化剤液310及び起泡剤液320の処方を示す。
先ず、軟化剤液310の処方を以下に示す。
軟化剤:コハク酸ジエトキシエトキシエチル 50[wt%]
pH調整剤:乳酸Na 0.15[wt%]
pH調整剤:乳酸 0.08[wt%]
カール防止剤:トリプロピレングリコール 25[wt%]
希釈液:イオン交換水 24.02[wt%]
浸透剤:
ビックケミージャパン社製 BKY−DNYWET800 0.75[wt%]
次に、起泡剤液320の処方を以下に示す。
希釈媒:水 95[wt%]
増泡剤:
ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5[wt%]
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5[wt%]
ミリスチン酸アミン 1.5[wt%]
ステアリン酸アミン 0.5[wt%]
上記の処方で混合し、ジエタノ−ルアミンをごく少量添加してpHが9となるように調整し、起泡剤液320とした。
実際に上記処方の起泡剤液320を、液晶化を加速する条件である5[℃]環境下で2ヵ月間放置(常温(25[℃])で1年以上に相当)し、起泡剤の液晶化は認められないことを確認した。このような軟化剤液310と起泡剤液320との組合せであれば、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤であるカール防止剤及び浸透剤を起泡剤液320以外の定着液構成液である軟化剤液310に含有させている。このため、起泡剤液320に対して、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を含有させない構成を実現することができる。よって、起泡剤液収容器32内保存される起泡剤液320における起泡剤の液晶化を抑制でき、起泡剤液320の長期保存に対する保存安定性を向上し、定着液Fを構成する定着液構成液を長期保存しても定着液として安定した性能を維持する。定着液Fの性能が安定することにより、定着装置30が安定した定着性を維持することができる。
起泡剤液320に含有させることで起泡剤の液晶化を助長する補助剤はカール防止剤や浸透剤に限るものではなく、他の目的で定着液に添加する種々の補助剤においても液晶化は生じ得る。よって、定着液に含まれる補助剤のうち、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を軟化剤液310に含有させることで、定着液構成液を長期保存しても定着液Fの性能が安定し、定着装置30が安定した定着性を維持することができる。
定着装置30で使用可能な軟化剤液310の処方の他の例を以下に示す。
軟化剤:コハク酸ジエトキシエトキシエチル 50[wt%]
pH調整剤:乳酸Na 0.15[wt%]
pH調整剤:乳酸 0.08[wt%]
カール防止剤:ジプロピレングリコール 25[wt%]
希釈液:イオン交換水 24.02[wt%]
浸透剤:
ビックケミージャパン社製 BKY−DNYWET800 0.75[wt%]
軟化剤を含有した水性液である軟化剤液310は、軟化剤分子中に軟化剤分子中に「−(CHO)−」で示されるエチレンオキサイド基(以下、EO基と示す)を有していると、水に対する溶解性が高く、ポリエステル系のトナーに対して優れた軟化性を示すことがわかった。そこで、EO基を有する軟化剤を基剤とした定着液Fを検討したところ、EO基を有する軟化剤を含有する軟化剤液310は、高温(40[℃]以上)放置下で、急激に軟化剤の不溶化が起こり、軟化剤が分離してしまう不具合があることが分かった。
そこで、本発明者らが、高温になっても軟化剤が不溶化しない軟化剤液310を検討したところ、可溶化剤として、分子中に「−C(CH)O−」で示されるプロピレンオキサイド基(以下、PO基と示す)と、EO基とを有する部剤を、軟化剤液310に含有させることで高温になっても軟化剤が不溶化しないことが分かった。
そして、上述した処方で、起泡剤液320における起泡剤の液晶化を防止するために、軟化剤液310に含有させたカール防止剤であるトリプロピレングリコールは、PO基とEO基とを有する。このため、上記処方の定着液Fにおいては、カール防止剤が、軟化剤液310における軟化剤の可溶化剤としても作用し、高温時の軟化剤液310中の軟化剤の不溶化を防止することができる。
本発明者らは、樹脂微粒子、特に、電子写真記録技術に用いるトナー粒子に用いる樹脂の代表例であるポリエステル樹脂やスチレン・アクリル樹脂に対し、エステル基を持つ有機溶剤が、樹脂軟化性に優れていることを見つけている。例えば、2塩基酸エステルや、脂肪酸アルコキシアルキルや炭酸プロピレンなどの環状エステルやクエン酸エステルなどは、トナー樹脂軟化性に特に優れている。一方、これらのエステル基を有する有機溶剤は、一般に、水中で加水分解しやすいことが知られている。特に、水のpHが8以上のアルカリ性水中で、加水分解が促進される。これは、アルカリ性水に含まれる塩基性部材(ナトリウムイオン、カリウムイオン、アミンなど)の触媒作用によるためである。そこで、水中でこれらの塩基性部材を中和し、若干、酸が多めとなる弱酸性状態とすると、エステルの加水分解を飛躍的に抑制できる。
更に、軟化剤のうち、分子中にEO基を有することで、水に対する溶解性が良くなり、また、ポリエステル系樹脂を基材としたトナーに対して軟化性に優れる。
軟化剤としては、分子中にEO基を1モル付加した「R1(COO(CH−O)−R2)」の一般式で現される脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが望ましい。この一般式における「R1」は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、「R2」は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。「R1」及び「R2」の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。具体的には、コハク酸ジエトキシメチル、アジピン酸ジエトキシメチル、コハク酸ジエトキシエチル及びアジピン酸ジエトキシエチルなどが適する。
さらに、軟化剤としては、分子中にEO基を2モル付加した「R3(COO(CH−O)−R4)」の一般式で現される脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルコキシアルキルが望ましい。この一般式における「R3」は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、「R4」は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。「R3」及び「R4」の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。また、EO基を2モル付加することで、水に対する溶解性が飛躍的に向上する。具体的には、コハク酸ジエトキシエトキシメチル、アジピン酸ジエトキシエトキシメチル、コハク酸ジエトキシエトキシエチル及びアジピン酸ジエトキシエトキシエチルなどが適する。
カール防止剤としては、「HO(CHO)(C(CH)O)OH」の一般式で表されるEO基とPO基とを有する部剤が望ましい。この一般式における「n」は、0から2程度で、「m」は1から4程度が望ましい。「m」が多くなると水に不溶化し、「n」が多いと親水性が強すぎて疎水性相互作用がおきにくくなり軟化剤に結合しにくくなると考えられる。このようなカール防止剤として、具体的には、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、エチレングリコール・ジプロピレングリコール及びジエチレングリコール・トリプロピレングリコールなどである。
軟化剤液310に含有させる軟化剤とカール防止剤との組合せとしては、軟化剤がコハク酸ジエトキシエトキシエチルであり、カール防止剤がジプロピレングリコールもしくはトリプロピレングリコールである組合せが望ましい。
コハク酸ジエトキシエトキシエチルは、水に対して60[w%]以上可溶であり、且つ、トナーをすばやく軟化し定着応答性に優れる。カール防止剤としてジプロピレングルコールやトリプロピレングルコールは、10[w%]程度の少量混合で70[℃]程度の高温でもコハク酸ジエトキシエトキシエチルの不溶化を防止し、特段の効果を示す。
定着装置30で用いる起泡剤液320は、起泡剤と増泡剤と希釈媒としての水とpH調整剤を含有することが望ましい。起泡剤としては、アニオン系界面活性剤、特に脂肪酸塩が望ましく、更に、脂肪酸塩としては、脂肪酸アミン塩が望ましい。脂肪酸はアルキル基の炭素数12、14、16、18であるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸の中から最適な組合せを選ぶ。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩やアミン塩がよく、特に、トリエタノールアミン塩やジエタノールアミン塩が望ましい。増泡剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、特に脂肪酸アルカノールアミドには(1:1)型と(1:2)型があるが、泡状定着液Buの泡沫安定性には(1:1)型が適する。更に、増泡剤として多価アルコール類、特に、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びグリセリンなどを単独もしくは混合することが適する。液のpHを7から10の弱アルカリ性に維持するためのpH調整剤としてはアミン類が適する。
一方、軟化剤液310は、水を含有しておくと引火性が低減する利点がある。水を含有する場合、軟化剤液のpHは6から7の弱酸に設定することが望ましい。但し、起泡剤液320と軟化剤液310とを混合して定着液Fとしたときに、定着液F全体のpHが7以下とならない程度に弱酸とするためのpH調整剤の濃度を設定することが望ましい。軟化液中のpH調整剤としては、有機酸が望ましく、乳酸、クエン酸、リンゴ酸及びそれらのナトリウム塩が適する。
また、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー像中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。
オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を用いることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。さらに、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
また、本実施形態の定着装置30では、軟化剤液310を収容する軟化剤液収容器31と起泡剤液320を収容する起泡剤液収容器32との2つの液収容部を独立して備える構成について説明した。互いに独立して内部の定着液構成液の混合を防止する定着液構成液収容部が3つ以上で3種類以上の定着液構成液を混合して、定着液Fを生成する構成であっても、適用可能である。3つ以上の定着液構成液収容部を備える構成の場合、脂肪酸塩の液晶化を助長する補助剤を含有させる定着液構成液としては、軟化剤液310に限るものではない。すなわち、脂肪酸塩の液晶化を助長する補助剤を起泡剤液収容器32以外の定着液構成液収容部内の定着液構成液に含有させる構成であればよい。
以上、本実施形態の定着液Fは、樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる軟化剤と、軟化剤を含む液体に起泡性を付与する起泡剤と、定着液Fの定着性の補助のために添加させる補助剤とを含有する。また、定着液Fは、樹脂成分である未定着トナーTを軟化して記録媒体である転写紙Pに定着する定着装置30における定着工程に使用されないときには、軟化剤を含む水媒体の軟化剤液310と、起泡剤を含む起泡剤液320とを独立した状態で軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32に保存される。すなわち、混合することで定着液Fとなる複数種の定着液構成液は、軟化剤液310及び起泡剤液320である。そして、定着液Fは、定着装置30における定着工程に使用されるときには、軟化剤液310と起泡剤液320とを混合して生成され、泡状液の状態で未定着トナーTに付与される。このような定着液Fにおいて、起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤であるカール防止剤及び浸透剤は起泡剤液320以外の定着液構成液である軟化剤液310に含有する。これにより、起泡剤液320に対して、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を含有させない構成を実現することができる。よって、軟化剤液310に対して独立して保存される起泡剤液320における起泡剤の液晶化を抑制でき、起泡剤液320の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した性能を維持することができる。
また、本実施形態の定着装置30は、軟化剤液収容器31と、起泡剤液収容器32と、初期発泡部36と、泡状定着液供給部130と、泡状定着液塗布部140とを有する。軟化剤液収容器31は、樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子である未定着トナーTを軟化させる軟化剤を含有する軟化剤液310を収容する軟化剤液収容部である。起泡剤液収容器32は、軟化剤液310に混合して生成する液状定着液TLに起泡性を付与する起泡剤を含有する起泡剤液320を軟化剤液310に対して独立して収容する起泡剤液収容部である。また、軟化剤収容器31及び起泡剤収容器32は、混合することで液状定着液TLとなる2種の定着液構成液である軟化剤液310及び起泡剤液320を独立した状態で保存する2つのの定着液構成液収容部である。泡状定着液供給部130の初期発泡部36は、軟化剤液310及び起泡剤液320を混合して液状定着液TLを生成する定着液生成手段として機能し、泡状定着液供給部130は、液状定着液TLを液中に気泡が分散した泡状定着液Buにする定着液泡状化手段である。泡状定着液塗布部140は、未定着トナーTからなる樹脂微粒子層である未定着のトナー画像を担持する定着液付与対象である転写紙Pの表面に泡状定着液Buを付与する泡状定着液付与手段である。そして、定着装置30では、泡状定着液Buを付与することで軟化した未定着トナーTを記録媒体である転写紙Pに定着する構成である。このような定着装置30では、泡状定着液Buを用いることで、樹脂含有微粒子層への接触付与時の接触付与手段である塗布ローラ41への樹脂含有微粒子であるトナーのオフセット防止や、微量付与化を安定して実現でき、かつ、非加熱にて従来に比べ極めて低電力定着を可能とする。さらに、定着装置30は、起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤であるカール防止剤及び浸透剤は起泡剤液収容器32以外の定着液構成液収容部である軟化剤液収容器31内の軟化剤液310に含有させる。このような構成により、起泡剤液320に対して、起泡剤の液晶化を助長する補助剤を含有させない構成を実現することができる。よって、起泡剤液収容器32の起泡剤液320における起泡剤の液晶化を抑制でき、起泡剤液320の長期保存に対する保存安定性を向上し、長期保存しても安定した定着性を維持することができる。
また、定着装置30では、複数種の定着液構成液は、起泡剤液320と軟化剤液310との二種類であり、補助剤のうち、脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤を軟化剤液310に含有させている。このような構成により、軟化剤液収容器31及び起泡剤液収容器32以外に新たな定着液構成液収容部を設けることなく、起泡剤液320の長期保存に対する保存安定性を向上することができる。さらに、新たな定着液構成液収容部を設けることがないため、装置の省スペース化、低コスト化を図ることができる。
また、定着装置30は、補助剤として、カール防止剤として機能するグリコール類を含有する。グリコール類を起泡剤液320に含有させると、起泡剤の液晶化を助長するおそれがあるが、定着装置30では、グリコール類を起泡剤液310以外の定着液構成液である軟化剤液320に含有させることで、定着液Fにグリコール類を含有させることに起因する軟化剤の液晶化を防止できる。
また、定着装置30は、補助剤として、カール防止剤として機能するジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールである。ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールといった化合物を起泡剤液320に含有させると、起泡剤の液晶化を助長するおそれがあるが、定着装置30では、これらの化合物を軟化剤液320に含有させることで、定着液Fにジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールを含有させることに起因する軟化剤の液晶化を防止できる。
また、定着装置30は、補助剤として、未定着トナーの粒子間への定着液Fの浸透を補助する浸透剤を含有する。浸透剤を起泡剤液320に含有させると、起泡剤の液晶化を助長するおそれがあるが、定着装置30では、浸透剤を軟化剤液320に含有させることで、定着液Fに浸透剤を含有させることに起因する軟化剤の液晶化を防止できる。
また、本実施形態のプリンタ100は、樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体である転写紙P上にトナー像を形成するトナー像形成手段である作像部(各色の画像形成ユニット3、中間転写ベルト25等)を有する。さらに、プリンタ100は、トナー像を担持する転写紙Pの表面に定着液Fを付与し、転写紙P上にトナー像を定着せしめる定着手段を備える。そして、プリンタ100は定着手段として、定着装置30を用いることにより、長期保存に対して安定した定着性を維持するができ、長期保存後であっても安定した画像形成を行うことができる。
3 画像形成ユニット
4 感光体
6 現像装置
20 転写ユニット
25 中間転写ベルト
28 二次転写装置
30 定着装置
31 軟化剤液収容器
32 起泡剤液収容器
33 液搬送ポンプ
33a 軟化剤液搬送ポンプ
33b 起泡剤液搬送ポンプ
34 液搬送パイプ
34a 軟化剤液搬送パイプ
34b 起泡剤液搬送パイプ
35 空気ポンプ
36 初期発泡部
37 泡微細化部
38 泡供給ノズル
41 塗布ローラ
42 膜厚調整ブレード
43 加圧ローラ
100 プリンタ
130 泡状定着液供給部
140 泡状定着液塗布部
310 軟化剤液
320 起泡剤液
Bu 泡状定着液
C 塗布ニップ
F 定着液
P 転写紙
T 未定着トナー
TL 液状定着液
特許第3290513号 特許第4185742号 特開昭59−119364号公報 特開2007−219105号公報 特開平09−94561号公報 特願2009−167327号

Claims (11)

  1. 樹脂成分の少なくとも一部を溶解または膨潤させて軟化させる軟化剤と、
    該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する起泡剤と、
    定着性の補助のために添加される補助剤とを含有し、
    該樹脂成分を軟化して記録媒体に定着する定着工程に使用されないときには、混合することで定着液となる複数種の定着液構成液が独立した状態で保存され、
    複数種の該定着液構成液としては少なくとも該軟化剤を含む軟化剤液と、該起泡剤を含む起泡剤液とがあり、
    該定着工程に使用されるときには、複数種の該定着液構成液を混合して生成され、泡状液の状態で該樹脂成分に付与される定着液において、
    上記起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、
    上記補助剤のうち、該脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤は上記起泡剤液以外の上記定着液構成液に含有することを特徴とすることを特徴とする定着液。
  2. 請求項1の定着液において、
    複数種の上記定着液構成液は、上記起泡剤液と上記軟化剤液との二種類であり、
    上記補助剤のうち、上記脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤を該軟化剤液に含有することを特徴とする定着液。
  3. 請求項1または2の定着液において、
    上記補助剤として、グリコール類を含有し、
    該グリコール類は上記起泡剤液以外の上記定着液構成液に含有することを特徴とすることを特徴とする定着液。
  4. 請求項3の定着液において、
    上記グリコールエーテル類は、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールであることを特徴とする定着液。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着液において、
    上記補助剤として、上記樹脂成分の粒子間への定着液の浸透を補助する浸透剤を含有し、
    該浸透剤は上記起泡剤液以外の上記定着液構成液に含有することを特徴とすることを特徴とする定着液。
  6. 樹脂の少なくとも一部を溶解または膨潤させることで樹脂微粒子を軟化させる軟化剤、該軟化剤を含む液体に起泡性を付与する起泡剤及び定着性の補助のために添加される補助剤を含有する液状定着液を液中に気泡が分散した泡状定着液にする定着液泡状化手段と、
    該樹脂微粒子からなる樹脂微粒子層を担持する定着液付与対象の表面に該泡状定着液を付与する泡状定着液付与手段と、
    混合することで液状定着液となる複数種の定着液構成液を独立した状態で保存する複数の定着液構成液収容部と、
    複数種の該定着液構成液を混合して該液状定着液を生成する定着液生成手段とを有し、
    複数の該定着液構成液収容部として、該軟化剤を含有する軟化剤収容部と、該起泡剤を含有する起泡剤液を収容する起泡剤液収容部とを少なくとも備え、
    該泡状定着液を付与することで軟化した該樹脂微粒子を記録媒体に定着する定着装置において、
    上記起泡剤は、アニオン系界面活性剤の脂肪酸塩であり、
    上記補助剤のうち、該脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤は上記起泡剤液収容部以外の上記定着液構成液収容部内の上記定着液構成液に含有させることを特徴とすることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項6の定着装置において、
    複数の上記定着液構成液収容部は、上記起泡剤液収容部と上記軟化剤液収容部との二つであり、
    上記補助剤のうち、上記脂肪酸塩の液晶化を助長する部剤を該軟化剤液収容部中の上記軟化剤液に含有させることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項6または7の定着装置において、
    上記補助剤として、グリコール類を含有し、
    該グリコール類は上記起泡剤液収容部以外の上記定着液構成液収容部内の上記定着液構成液に含有させることを特徴とすることを特徴とする定着液。
  9. 請求項8の定着装置において、
    上記グリコールエーテル類は、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールであることを特徴とする定着装置。
  10. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の定着装置において、
    上記補助剤として、上記樹脂成分の粒子間への定着液の浸透を補助する浸透剤を含有し、
    該浸透剤は上記起泡剤液収容部以外の上記定着液構成液収容部内の上記定着液構成液に含有させることを特徴とする定着装置。
  11. 樹脂と色剤を含有する樹脂微粒子を含むトナーを用いて記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    記録媒体に転写するトナー像を担持するトナー像担持体の表面、または、トナー像を担持する記録媒体の表面に定着液を付与し、該記録媒体上に該トナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
    該定着手段として、請求項6乃至10のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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