JP4531717B2 - 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4531717B2
JP4531717B2 JP2006113193A JP2006113193A JP4531717B2 JP 4531717 B2 JP4531717 B2 JP 4531717B2 JP 2006113193 A JP2006113193 A JP 2006113193A JP 2006113193 A JP2006113193 A JP 2006113193A JP 4531717 B2 JP4531717 B2 JP 4531717B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing
toner
recording medium
fixing solution
unfixed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006113193A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007286327A (ja
Inventor
泰男 片野
恒夫 黒鳥
友康 平澤
博道 駒井
琢磨 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2006113193A priority Critical patent/JP4531717B2/ja
Priority to US11/734,446 priority patent/US7989133B2/en
Publication of JP2007286327A publication Critical patent/JP2007286327A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4531717B2 publication Critical patent/JP4531717B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2096Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using a solvent
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G13/00Electrographic processes using a charge pattern
    • G03G13/20Fixing, e.g. by using heat

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、樹脂を含有した微粒子を媒体に定着させる定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ及び複写装置などのような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。
このような非加熱定着方法としては、例えばトナーを溶解または膨潤可能で、水に不溶または難溶な有機化合物が水に分散混合された水中油滴型の定着剤を、未定着のトナーが所定位置に配設された被定着物の表面から噴霧または滴下してトナーを溶解または膨潤させた後、被定着物を乾燥させるトナーの湿式定着方法が、特許文献1に開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示される湿式定着方法においては、水に不溶または難溶な有機化合物が、水に分散混合された水中油滴型の定着剤を用いているため、多量の定着剤を未定着トナーに付与した場合には、転写紙などの記録媒体(非定着物)が、定着剤の水分を吸収し、記録媒体にシワやカールが発生する。これにより、画像形成装置に必要とされる安定かつ高速な記録媒体の搬送を著しく損なうこととなる。そこで、乾燥装置を用いて、定着剤に含まれる多量の水を蒸発させることにより、記録媒体に付与された定着剤から水分を除去しようとすると、熱定着方式を用いる画像形成装置の消費電力に匹敵する電力を必要とすることとなる。
また、大気中の水分を吸着することによってトナー粒子が互いに凝集することを予防し、トナーの流動性を維持するために、トナー粒子の表面は、通常、疎水性シリカなどを用いて、撥水性処理されている。このため、記録媒体上の未定着トナーに、上記定着剤のような分散媒として水を含む水系の定着液を噴霧又は滴下すると、撥水性処理されたトナー粒子は、水性の定着液によって弾かれてしまう。その結果、トナーによる画像に空白部分が形成され、画像に欠陥が生じる。また、水系の定着液は希釈溶媒である水が定着装置内で蒸発し、定着液中の成分比率が変化する不具合が生じやすい。以下、記録媒体上の撥水性処理されたトナーに水系の定着液を付与する定着の様子について図面を用いて説明する。
図6は記録紙上の撥水性処理された未定着トナーへの水系定着液を塗布した場合の定着の様子を示す概略図である。同図の(a)に示すように、記録媒体としての記録紙81上に転写された撥水性処理された未定着トナー層82に、図示していない定着液供給手段によって、水系の定着液83の液滴を滴下する。このとき、同図の(b)に示すように、撥水性処理された未定着トナー層82に、水系の定着液83の液滴が接触すると、撥水性処理された未定着トナー層82のトナー粒子は、水系の定着液83の液滴によって弾かれてしまう。その結果、同図の(c)に示すように、水系の定着液83の液滴によって弾かれた撥水性処理された未定着トナー層82のトナー粒子は、記録紙81における水系の定着液83の拡散に伴って、水系の定着液83の液滴の周辺に移動する。そして、記録紙に転写された撥水性処理された未定着トナー層82には、望まれない撥水性処理されたトナーの空白部分84が形成され、トナーによる画像に欠陥が生じることになる。このように、水系の定着液を用いた場合には、記録紙上に転写された未定着トナー層が、乱れ易いという問題点がある。
そこで、撥水性処理された未定着トナーを弾かない定着液として、油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液がある。例えば、トナーを構成する樹脂成分を溶解又は膨潤させる材料を成分としての脂肪族二塩基酸エステル等を希釈液(溶媒)として不揮発性のジメチルシリコーンで希釈した(溶解させた)定着液が、特許文献2に開示されている。また、静電気的方法で形成された未定着画像を、画像を乱すことなく鮮明にかつ容易に受像シート上に固着できる定着方法に用いることのできる定着用溶液として、トナーを溶解し、かつシリコーンオイルと相溶性を有する溶剤100容量に対し、シリコーンオイル8〜120容量部を混合してなる相溶状態の未定着トナー画像の定着用溶液が、特許文献3に開示されている。このような油性の定着液は、撥水性処理された未定着トナーとの高い親和性を有する油性溶媒を含むため、撥水性処理された未定着トナーを弾くことなく、トナーを溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に定着させることができる。
ここで、油性の定着液に使用される油性溶媒として、VOC(揮発性有機化合物)の使用は、人体に対する悪影響を及ぼし、不快な臭気を発生させるために、好ましくない。よって、油性の定着液に使用される油性溶媒としては、実際には不揮発性の油性溶媒が使用される。
特許第3,290,513号明細書 特開2004−109749号公報 特開昭59−119364号公報
しかしながら、不揮発性の油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液は、記録媒体に対して高い浸透性を有する。このため、記録媒体上の未定着トナーに、上記のような油性の定着液を噴霧又は滴下すると、油性の定着液は、記録媒体に拡散及び記録媒体を通過する速度が高く、油性の定着液に含まれるトナーを溶解又は膨潤させる材料の一部分のみが、記録媒体上の未定着トナーを溶解又は膨潤させることになる。そして、トナーを溶解又は膨潤させる材料の残りの部分は、トナーを溶解又は膨潤させることに利用されることなく、油性溶媒と共に記録媒体に拡散又は記録媒体を通過してしまう。このように、油性の定着液に含まれるトナーを溶解又は膨潤させる材料の一部分のみが、記録媒体上の未定着トナーを溶解又は膨潤させることになるため、油性溶媒に含まれるトナーを溶解又は膨潤させる材料の濃度を高くする必要がある。例えば、特許文献3に開示される定着用溶液については、油性溶媒としてのシリコーンオイルに溶解させる溶剤の濃度は、20重量%以上であることが必要である。よって、不揮発性の油性溶媒にトナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液については、トナーを溶解又は膨潤させる材料の、トナーを溶解又は膨潤させる効率が低い。以下、記録媒体上の撥水性処理されたトナーに油性の定着液を付与する定着の様子について図面を用いて詳細に説明する。
図7は記録紙上の撥水性処理された未定着トナーへの油性の定着液を塗布した場合の定着の様子を示す概略図である。同図の(a)に示すように、記録媒体としての記録紙91上に転写された撥水性処理された未定着トナー層92に、図示していない定着液供給手段によって、不揮発性の油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液93の液滴を滴下する。このとき、同図の(b)に示すように、記録紙91に接触した油性の定着液93は、記録紙91に対して高い浸透性を有し、記録紙91の中に急速に浸透する。その結果、同図の(c)に示すように、油性の定着液93に含まれるトナーを溶解又は膨潤させる材料の一部は、記録紙91上の未定着トナー層92を溶解又は膨潤させることができるが、トナーを溶解又は膨潤させる材料の残りの部分は、記録紙91上の未定着トナー層92を溶解又は膨潤させることなく、不揮発性の油性溶媒と共に記録紙内に浸透し拡散する。このように、不揮発性の油性溶媒に、トナーを溶解又は膨潤させる材料を溶解させた油性の定着液を用いた場合には、トナーを溶解又は膨潤させる材料の利用効率が低いという問題点がある。また、不揮発性の油性溶媒を用いているため、定着部での蒸発による成分比変化はないものの、記録紙中に拡散した定着液は放置後長期間に渡り記録紙中に残存するため、未定着トナーへの定着液の塗布量が多い場合、定着後の記録紙に残油感(指で記録紙を触ったときの僅かなベトツキ感)が発生し、また、水性ペンによる筆記性を悪くするなどの不具合を生じてしまう。従って、特許文献2及び3に記載の定着液では定着液中のトナーを溶解又は膨潤させる材料の割合を多くして、極めて少ない量を未定着画像上に塗布する必要がある。また、記録紙に残油感が発生しない量はA4版紙1枚当り50mg以下であることがわかり、不揮発性の定着液をこのような極めて少ない塗布量で記録紙に均一に塗布することは極めて難しいことであり、定着不良が発生しやすくなる。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、樹脂を含有するトナー等の微粒子層を乱すことなく、また放置時に定着液の成分比が変化せずに保存性に優れ、かつ記録媒体に塗布後は素早く樹脂を含有するトナー等の微粒子の記録媒体への定着が行われ、更に記録媒体に残油感が発生せず、少量塗布で効率的に記録媒体に樹脂を含有するトナー等の微粒子を定着させることが可能となる、定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するために、本発明の定着液は、樹脂微粒子を媒体に定着させる定着液であって、樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて樹脂微粒子を軟化させる軟化剤の脂肪族エステルが少なくとも一部を構成する連続相の油相と、該油相中に分散している分離相の水相とを含む油中水型から構成され、脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含んでいる。よって、定着液の放置時保存性と、定着液塗布後は媒体上での定着液の乾燥性とが両立し、更に塗布時の残油感がなく、従来より定着応答性に優れる定着液を提供することができる。
更に、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式 R5(COOR6−O−R7) で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
更に、別の発明としての定着方法によれば、上記定着液を媒体上に付着している未定着樹脂微粒子に塗布して当該未定着樹脂微粒子の定着を行うことに特徴がある。よって、定着液の放置時保存性と、定着液塗布後は媒体上での定着液の乾燥性とが両立し、更に塗布時の残油感がなく、従来よりも定着応答性に優れる定着方法を提供することができる。
また、別の発明としての定着装置は、上記定着液を媒体上に付着している未定着樹脂微粒子に塗布する塗布手段を有することに特徴がある。よって、樹脂を含有するトナー等の微粒子層を乱すことなく、また放置時に定着液の成分比が変化せずに保存性に優れ、かつ記録媒体に塗布後は素早く樹脂を含有するトナー等の微粒子の記録媒体への定着が行われ、更に記録媒体に残油感が発生せず、少量塗布で効率的に記録媒体に樹脂を含有するトナー等の微粒子を定着させることが可能となる定着装置を提供できる。
更に、別の発明としての画像形成方法によれば、上記定着液を記録媒体上に付着している未定着トナーに塗布して当該未定着トナーの定着を行い、記録媒体上に画像を形成する。よって、定着応答性に優れ、トナー等の微粒子層を乱すことなく、よって画像の空白部発生を防止できる画像形成方法を提供できる。
また、別の発明としての画像形成装置は、樹脂を含むトナーで静電記録プロセスを行い記録媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、上記定着装置により未定着トナー画像を記録媒体に定着させる定着手段とを具備することに特徴がある。よって、樹脂を含有するトナー等の微粒子層を乱すことなく、また放置時に定着液の成分比が変化せずに保存性に優れ、かつ記録媒体に塗布後は素早く樹脂を含有するトナー等の微粒子の記録媒体への定着が行われ、更に記録媒体に残油感が発生せず、少量塗布で効率的に記録媒体に樹脂を含有するトナー等の微粒子を定着させることが可能となり、定着応答性に優れ、かつ画像の空白部発生を防止でき、画像品質を向上させることができる画像形成装置を提供できる。
本発明の定着液は、定着液の放置時保存性と定着液塗布後は媒体上での定着液の乾燥性とが両立し、塗布時の残油感がなく、従来よりも定着応答性に優れている。
図1は本発明の一実施の形態例に係る定着液を示す概略図である。同図に示すように、本実施の形態例の定着液10は、トナー等の樹脂を含有する微粒子を付着した記録媒体等の媒体にトナー等の樹脂を含有する微粒子を定着させる定着液であり、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(以下、軟化剤と称す)が油性溶媒に含有された状態で連続相である油相11を形成し、分離相である水相12が油相中に分散する油中水型(以下、W/Oエマルジョン型と称す)の定着液である。ここで、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。また、媒体は、記録紙に限定されず、樹脂、セラミックス等何れでもよい。媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。
なお、上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えば、ポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
また、媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。更に、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)は、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて樹脂を軟化し、トナー等を記録媒体に定着させることができれば、特に限定されない。軟化剤を含有し油相を形成する油性溶媒は、油相中の軟化剤を希釈する目的で用い、本発明における油性とは、室温(20℃)における水に対する溶解度が、0.1重量%以下である性質を意味する。そして、油性溶媒及び軟化剤は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、油性溶媒及び軟化剤は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ20〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、油性溶媒及び軟化剤の表面張力は、20〜30mN/mであることが好ましい。このような油性溶媒としては、例えば、フッ素系オイル、パラフィン系溶剤、オレフィン系溶剤、シリコーン系溶剤などが挙げられる。この内、特に、オレフィン系化合物からなる溶剤は、低粘度であっても不揮発であることから、増粘剤の添加で粘度調整ができる点で優れている。また、シリコーン系溶剤のうちジメチルシリコーンは表面張力が極めて小さく、トナーとの親和性が最も優れている。また、本発明における当該油性溶媒及び軟化剤は、不揮発性であって、更には不揮発性無極性が望ましい。本発明における不揮発性とは、大気圧下で、沸点が260℃以上を有する状態を意味する。沸点が260℃以上であれば、簡易で安価な容器にて定着液を保存していても、定着能力の低下や定着装置を有する画像形成装置内の汚染になるような揮発が発生しない。沸点が260℃未満では、保存容器の密閉性や定着装置への液補給経路の密閉性を確保する必要があり、装置コストが高くなる。
このように、本発明のW/Oエマルジョン型の定着液において、軟化剤は油相中に含有されている。このとき、油相中への含有状態は、油相を形成する油性溶媒へ軟化剤が溶解した状態でも油性溶媒に軟化剤が分散した状態のどちらでもよい。溶解の状態の方は、保存中の軟化剤の油性溶媒中での含有安定性に優れ、分散の状態では、トナー等の微粒子層へ定着液塗布時に分散している軟化剤がトナー等の微粒子層に選択的にトラップされトナー等の樹脂の軟化が加速するため、定着応答性向上に優れる。
また、軟化剤は、油相に含有すると同時に水相側にも含有しても構わない。油相及び水相の両方に軟化剤を含有させることで、トナー等の微粒子と軟化剤が接する機会を増加させるため、より効率よくトナーに含有する樹脂を溶解又は膨潤して軟化でき、より定着応答性を上げることができる。
更に、水相は水から構成され、1〜10wt%程度の電解質を含有する。電解質としては、硫酸マグネシウム等が望ましい。また、水相に多価アルコールを増粘や凍結防止、蒸発防止の目的で添加しても構わない。
また、軟化剤を含有した油相中に水相を安定に分散させるための分散剤は、HLB(親水性・親油性バランス)値が5以下である界面活性剤であることが好ましい。ここで、HLB値は、例えば、グリフィン(Griffin)の式として知られる以下の式によって算出される値とする。
HLB値=20×(界面活性剤中の親水性基分子量)/(界面活性剤の分子量)
ここで、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
また、油相中での水相を分散させるため方法としては、油相を構成する液を回転羽根等で攪拌しながら、所望の水相/油相比率まで水相を構成する液を徐々に加えたのち、混合物を機械的に攪拌する又は得られる混合物に振動を与えることによって、本発明における第1の実施の形態例の定着液を得ることができる。例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を油相中の水相に加えることで分散させる。
更に、油相中にセタノールやセテアリルアルコールやステアリルアルコールなどの安定化剤や疎水性シリカや疎水性チタンなどの超微粒子を添加してW/Oエマルジョン型の定着液の安定化を行ってもよい。
本発明のW/Oエマルジョン型の定着液における水相と油相の比率は、重量比で水相/油相=5/5〜9/1の範囲が望ましく、更には、6/4〜7/3の範囲が望ましい。5/5未満では、油相中に軟化剤を含有するエマルジョンの放置安定性が悪くなり水相と油相が分離しやすくなり、9/1を超える場合ではW/Oエマルジョン型の定着液が20Pa・s以上に高粘度となり記録媒体への浸透性が悪くなる。特に、6/4〜7/3では、記録媒体への浸透性を疎外しない程度の0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲の粘度が得られ、なおかつ放置中の分散安定性が確保できる。
ところで、ユーザが記録媒体への残油感を感じない不揮発性油性液の塗布量分は50mg/A4版1枚当り以下であることがわかった。一方、各種塗布手段において現実的な均一塗布量の最低値は100mg/A4版1枚当り以上であることもわかった。これより少ない塗布量では、媒体が上質紙のごとく凹凸のある記録紙では凹部に塗布できない領域が発生する。このことから、従来の油性溶媒に軟化剤を含有する構成の定着液では、例え軟化剤含有量が100%であっても定着液を塗布後に記録紙に残油感が発生してしまう。これは軟化剤自身も不揮発性であり油性感があるためである。
これに対し、本発明の定着液はW/Oエマルジョンの構成であり、水相の割合が多いため、例えば記録媒体への残油感がない油相塗布量分が50mg/A4版1枚当り程度とすると、W/O比が6/4では定着液塗布量125mg/A4でよく、W/O比が8/2では定着液塗布量250mg/A4でよく、残油感が発生することなく現実的に均一塗布可能な塗布量を確保することができる。
このように、本実施の形態例によれば、トナー層を乱さず、保存性に優れ、記録媒体に残油感が発生することなく、より効率的にトナーを記録媒体に定着させる可能な定着液を提供することができる。また、本実施の形態例による定着液はW/Oエマルジョンであり、トナー層に定着液を付与した際に、トナー粒子に最初に触れるのはトナーと親和性を有する油相であり、トナーを乱す力が生じないため、定着液の付与によって生じ得る、記録媒体に提供されたトナーによって形成される画像の欠陥を低減することができる。
また、本実施の形態例による定着液は、空気と接する液面では連続相である油相で覆われており、油相が不揮発性であれば油相に分散している水相の蒸発が防止でき、保存性に優れる。
更に、定着液中の水相と油相の比率が6/4〜8/2の範囲で上記のごとく現実的な均一塗布量範囲で、残油感のない塗布が可能となる。
また、塗布後、記録媒体上で、油相と水相が直ちに分離し、トナーと親和性を有する油相が選択的に素早く浸透し、余分な水相が表面で蒸発するため、単なる油性溶媒に軟化剤を溶解した定着液を塗布する場合に比べ定着応答性が向上する。
図2は本発明による定着液による媒体への塗布後の定着までの過程を示す概略図である。同図において、図1と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図2の(a)に示す定着液10は、軟化剤を含有させた油相中に水相を分散させたW/Oエマルジョン型の定着液である。上述のごとく、油相11に対し水相12が同程度もしくは多い割合である。図2の(b)に示すごとく、記録紙等の媒体21上のトナー等の未定着微粒子層22に定着液10が接触時、W/Oエマルジョン中の油相11とトナー等の未定着微粒子層22は親和性を有するために選択的に微粒子間を浸透し、微粒子の配列は乱さない。一方、W/Oエマルジョン中に分散している水相12は、トナー等の微粒子が疎水性であるため、反発しあい、微粒子層を浸透しにくくなり、図2の(c)に示すごとく、油相11はトナー等の未定着微粒子層22及び媒体21の中に浸透し、水相12はトナー等の未定着微粒子層22の表面にトラップされ、水相12は水の蒸発とともに消滅する。油相11は媒体21の中に浸透し、そのまま滞留する。そして、図2の(d)に示すごとく、トナー等の未定着微粒子層22は油相11の中の軟化剤の作用で軟化され、未定着微粒子同士が結合し、定着微粒子23として媒体21に定着する。このように、不揮発性である油相11は、図7の(c)に示す従来例のプロセスと同じく記録紙等の媒体中に滞留するが、定着液中の油相濃度が従来例の100%に対し、本発明ではW/Oエマルジョン化したことにより水相分の濃度で希釈されるため定着液中の油相濃度は上記のごとく10%〜50%とすることができるため、媒体中に滞留する油相量を大幅に減らすことができ、なおかつ応答性よく定着を行うことができる。
また、W/Oエマルジョン型の定着液中の水相の分散において、分散している水相の微粒子の粒径は、0.1μm以上で6μm以下であることが望ましい。0.1μm未満の粒径では水相もトナー等の未定着微粒子層を通過しやすくなり水の蒸発が遅くなることや、記録紙を構成するパルプ繊維を膨潤してシワやカールを発生させる恐れがある。また、逆に6μmより大きくなると、水相の微粒子そのものでトナー等の未定着微粒子の配列を乱す恐れがある。なお、粒子の平均粒径は、平均値を出すときの重み付けにより異なり、一般に、面積平均粒径と体積平均粒径は異なる値を示す。本発明において、微粒子は全て球形であり、粒径とは直径のことを指す。また、本発明における体積平均粒径とは、粒子の大きさの波長の光を微粒子分散液に照射したときの回折・散乱角度と強度により分布を求めて、それを体積で平均するレーザ光回折散乱法、又はブラウン運動する粒子の速度をドップラー散乱光から求めて粒子径に換算するドップラー散乱光法により求めた値のことを示す。そして、W/Oエマルジョン型の定着液中の水相の分散において、分散している水相微粒子の粒子の体積平均粒径は、例えば、レーザ光回折・散乱法(例えば、マイクロトラック社の装置(MicroTrac HRA)にて波長780nm・温度25℃における測定)や、ドップラー散乱法例えば、マイクロトラック社の装置((MicroTrac UPA))にて波長780nm・温度25℃における測定)によって測定することができる。
この軟化剤が油相の少なくとも一部を構成する場合、油相中での油性溶媒と含有させた軟化剤との比率は、W/Oエマルジョンの分散安定性やトナー等の未定着微粒子中の樹脂の溶解又は膨潤速度に応じて決定する。但し、油性溶媒の比率が高いとトナー等微粒子中の樹脂の溶解又は膨潤速度が下がる傾向にあり、油相中の油性溶媒と軟化剤の重量比は7/3以下が望ましい。最も定着応答性が高くなるのは油性溶媒を含まず、該軟化剤のみの場合である。したがって、油相は、分散剤と該軟化剤のみであっても構わない。なお、油相中の油性溶媒と軟化剤の重量比8/2以上では、油性溶媒がトナー等の未定着微粒子中の樹脂の溶解又は膨潤の阻害因子となり、定着までの時間が時間オーダーとなり、実用面で不利となる。
なお、本発明の定着液において、好ましくは、上記のトナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)は、脂肪族エステルを含む。脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れる。
また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密閉された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが、好ましい。すなわち、軟化剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。また、脂肪族エステルは、水質汚染を引き起こさないという利点も有する。
ここで、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。
軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。なお、軟化剤のみならず、W/Oエマルジョン型定着液に含まれる油性溶媒などの材料も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。
そして、上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
本発明の定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルは、一般式
R1COOR2
で表される化合物を含む。但し、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。
上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、例えば、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルを油性溶媒に溶解又は分散させて油相とし、水を主体とする水相とW/Oエマルジョンを作製し定着液が得られる。
本発明の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。
そして、上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を、低減することができる。
本発明の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式
R3(COOR4)
で表される化合物を含む。但し、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含む。但し、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって脂肪族ジカルボン酸エステルを油性溶媒に溶解又は分散させて油相とし、水を主体とする水相とW/Oエマルジョンを作製し定着液が得られる。
本発明の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。
上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式
R5(COOR6−O−R7)
で表される化合物を含む。但し、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを油性溶媒に溶解又は分散させて、油相とし、水を主体とする水相とW/Oエマルジョンを作製し定着液が得られる。
本発明の定着液において、好ましくは、上記のW/Oエマルジョン型の定着液中の油相を形成する油性溶媒はオレフィン系化合物を含む。油性溶媒が、オレフィン系化合物を含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。即ちオレフィン系化合物は、25mN/m以下の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。
その結果、本発明の定着液を、記録媒体における撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを、低減することができる。例えば、オレフィン系化合物のうち、ポリαオレフィンは、極めて低い揮発性を有し、これらのポリαオレフィンを油相の油性溶媒としたW/Oエマルジョン型の定着液の液滴を、撥水性処理されたトナーの層へ付与したとき、トナー層の乱れが、ほとんど発生しないことを確認した。このことは疎水性処理されたトナーに限らず、疎水性処理された樹脂微粒子や疎水性樹脂そのもので形成された樹脂微粒子の場合も同様の効果を有する。
本発明の定着液において、好ましくは、上記のW/Oエマルジョン型の定着液中の油相を形成する油性溶媒は、ジメチルシリコーンを含む。
上記の油性溶媒が、ジメチルシリコーンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。すなわち、シリコーン系溶剤であるジメチルシリコーンは、20mN/m程度の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。その結果、本実施の形態例の定着液を、記録媒体における撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを、低減することができる。
また、ジメチルシリコーンは無臭であり、人体に対する安全性が高い。このため、油性溶媒としてジメチルシリコーンを含む定着液を、人体に対して安全、かつ無臭な定着液にすることが可能となる。例えば、20mPa・秒以上の粘度を有するジメチルシリコーンは、低い揮発性を有し、ジメチルシリコーンを油性溶媒として含む定着液の液滴を、撥水性処理されたトナーの層へ付与したとき、トナー層の乱れが、ほとんど発生しないことを確認されている。
次に、別の発明の定着方法において、上述した本発明の定着液を用い、油中水型の定着液を保持する容器と容器から塗布手段まで当該定着液を搬送する手段と記録媒体上に付着しているトナーに定着液を塗布する塗布手段とを有する定着装置により定着が行なわれる。よって、本発明の定着方法によれば、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能なトナーの定着方法を提供することができる。
次に、別の発明の定着装置は、上述した本発明の定着液を貯蔵する定着液の容器、並びに記録媒体に提供された未定着のトナーに供給する、スプレーガン及びインクジェットノズルなどの液滴飛翔手段やローラ塗布などの接触塗布手段のような定着液供給手段を有する。また、本発明の定着装置は、上述した本発明の定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。また、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
図3は別の発明の一実施の形態に係る定着装置の構成の一例を示す概略図である。同図に示す本実施の形態の定着装置30は、定着液を貯蔵する定着液容器31と、記録媒体32に転写された未定着トナー33に対して定着液34を供給する、例えばスプレーガンのような定着液供給手段35と、未定着トナー33が提供された記録媒体32を搬送する搬送ローラ36と、定着液34によって溶解又は膨潤したトナー37を加圧する一対の平滑化ローラ38とを含んで構成されている。同図に示す本実施の形態例の定着装置30においては、未定着トナー33が提供された記録媒体32が搬送ローラ36によって搬送されて、定着液容器31に貯蔵された定着液34が、定着液供給手段35によって、記録媒体32上の未定着トナー33に供給される。定着液34が記録媒体32上の未定着トナー33に供給されると、定着液34に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、トナーは溶解又は膨潤する。定着液34によって溶解又は膨潤したトナー37は、記録媒体32と共に、搬送ローラ36によって更に搬送される。そして、定着液34によって溶解又は膨潤したトナー37は、一対の平滑化ローラ38によって加圧され、定着トナー39として、記録媒体32に定着される。
図4は別の発明の一実施の形態に係る定着装置の構成の他の例を示す概略図である。同図に示す定着装置40においては、未定着トナー41が提供された記録媒体42が、搬送ローラ(図示せず)によって搬送されて、定着液充填タンク43に貯蔵された定着液44が、ポンプ等の定着液供給手段(図示せず)によって、定着液塗布パッド45に供給され、塗布ローラ46に接した定着液塗布パッド45から微量の定着液が塗布ローラ46上に形成される。定着液が記録媒体42上のトナーに供給されると、定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、トナーは溶解又は膨潤し、未定着トナー41が軟化し、そして記録媒体42を挟んで塗布ローラ46に対向して設けられた平滑化ローラ47によって加圧され、定着トナー48として記録媒体42に定着される。
次に、別の本発明に係る画像形成装置において、上述した本発明による画像形成方法を用いて、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する。よって、この別の発明に係る画像形成装置によれば、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能となる。
図5は別の発明の一実施の形態例の画像形成装置の構成を示す概略図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタであってもよい。図5の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図5の(b)は図5の(a)の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図5の(a),(b)に示す画像形成装置50はトナー像担持体として中間転写ベルト51を有する。この中間転写ベルト51は、3つの支持ローラ52〜54に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト51に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット55〜58が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト51の支持ローラ54に対向する位置には、二次転写装置59が設けられている。二次転写装置59は、2つの支持ローラ60,61の間に張架された二次転写ベルト62で構成されている。なお、二次転写装置59としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト51を挟んで中間転写ベルト51の支持ローラ52に対向する位置には、ベルトクリーニング装置63が配置されている。ベルトクリーニング装置63は、中間転写ベルト51上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙64は、一対の給紙ローラ65で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙64に転写する際に、二次転写ベルト62を中間転写ベルト51に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙64は、二次転写ベルト62によって搬送され、記録紙64に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいてフォーム状の定着液の膜厚を制御する本発明のトナーの定着装置によって定着される。すなわち、記録紙64に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙64に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図5の(b)に示すように、画像形成ユニット55〜58には、感光体ドラム66の周辺に、帯電装置67、現像装置68、クリーニング装置69及び除電装置70が配置されている。また、中間転写ベルト51を介して、感光体ドラム66に対向する位置に、一次転写装置71が設けられている。また、帯電装置67は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置67は、帯電ローラを感光体ドラム66に接触させて、感光体ドラム66に電圧を印加することにより、感光体ドラム66の表面を一様に帯電する。この帯電装置67としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置68は、現像剤中のトナーを感光体ドラム66上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置68は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が一定であるように制御されている。更に、一次転写装置71は、感光体ドラム66上で可視化されたトナーを中間転写ベルト51に転写する。ここでは、一次転写装置71としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト51を挟んで感光体ドラム66に押し当てている。一次転写装置71としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置69は、感光体ドラム66上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置69としては、感光体ドラム66に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置69によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置68に回収され、再利用される。更に、除電装置70は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム66の表面電位を初期化する。
次に、本発明における定着液の具体例と比較例について説明する。なお、具体例及び比較例におけるトナーを軟化させる軟化剤とは、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤であることを意味する。
[具体例1]
<W/Oエマルジョン型の定着液の作製>
◇油相の調合
油性溶媒:ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 24wt%
軟化剤:アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業 KAK DIBA)
56wt%
分散剤:ソルビタンモノオレエート(花王 レオドールSP-010V)
10wt%
ソルビタントリオレエート(花王 レオドールSP-030V)
10wt%
上記成分比にて混合攪拌し油相液を作製した。
◇水相の調合
イオン交換水 95wt%
硫酸マグネシウム 5wt%
上記成分比にて混合攪拌し、水相液を作製した。
そして、回転羽根にて油相を入れたビーカーの油相液を200rpmで攪拌しながら、水相を徐々に油相中に注ぎ、粗い水相微粒子のW/Oエマルジョン液を作製した。次に、この粗い水相微粒子が分散した混合液に8000rpmで回転羽根にて攪拌を10分間行い、水相微粒子径が0.1μmから1μmの範囲で分布するW/Oエマルジョン型の定着液を作製した(マイクロトラック社の装置((MicroTrac UPA))にて波長780nm・温度25℃における測定))。作製した定着液の粘度はコーンプレート式回転粘度計で測定し、コーン角1°コーン径60mm、回転1/10(s−1)、温度25℃にて測定した。また、紙の残油感は、100名に手触り評価し、紙に油感があるか否かをアンケートし、70名以上が否となった場合に残油感なしと判定した。
水相と油相の比率を表1のごとく変化させて定着液1〜定着液5のW/Oエマルジョン型の定着液を作製した。
Figure 0004531717
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、上記の処方で作製した定着液を図4のごとき定着装置を用いてローラ塗布し(塗布量0.2g/A4版1枚当り)、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、定着液2〜定着液5の何れもウエスにトナーが付着しなかった。定着液1では、塗布後30秒後であればウエスで擦ってもウエスにトナーの付着がなかった。定着液6は、紙が若干油紙のようになり大きく残油感があった。定着液5では、塗布後に紙に変化はなく、残油感はややあるものの許容できる範囲であった。定着液2〜定着液4では、残油感がなかった。このことから、W/Oの比率として5/5〜9/1の範囲が、残油感が発生せず定着応答性に優れた定着が行われることを確認した。
更に、定着液3及び定着液4は、定着液2に比べて水分が少ないため、紙のカールがほとんど発生しなかった。
また、定着液1〜6を開放容器に入れて、1ヶ月間放置し、最初の1週間で質量の減衰が10wt%程度発生したが、その後、質量変化がほとんどなく、1ヶ月間放置後の定着液で定着性能を阻害するほどの成分比変化は起こらなかった。
[比較例1]
油性溶媒:ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 30wt%
軟化剤:アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業 KAK DIBA)
70wt%
上記処方で、油性溶媒に軟化剤を溶解したものを定着液とした。
未定着画像の作製及び定着性の評価は具体例1と同じとした。また、定着液の未定着トナー画像への塗布も具体例1と同じ定着装置を用い、塗布量も具体例1と同じく塗布量0.2g/A4版1枚当りとした。
その結果、定着液塗布後30秒経過してもウエスで擦るとウエスにトナーが付着し定着不良であった。ウエスにトナーが付着しなくなるまでの時間は1分かかった。更に、紙に大きく残油感があった。
[具体例2]
<W/Oエマルジョン型の定着液の作製>
◇油相の調合
油性溶媒:ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 表2参照
軟化剤:アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業 KAK DIBA)
表2参照
分散剤:ソルビタンモノオレエート(花王 レオドールSP-010V)
10wt%
ソルビタントリオレエート(花王 レオドールSP-030V)
10wt%
上記成分比にて混合攪拌し油相液を作製した。
◇水相の調合
イオン交換水 95wt%
硫酸マグネシウム 5wt%
上記成分比にて混合攪拌し、水相液を作製した。
W/Oの重量比を6/4と固定して、油相中の油性溶媒と軟化剤の比率を表2のごとく変化させたW/Oエマルジョン型の定着液を作製した。
Figure 0004531717
回転羽根にて油相を入れたビーカーの油相液を200rpmで攪拌しながら、水相を徐々に油相中に注ぎ、粗い水相微粒子のW/Oエマルジョン液を作製した。次に、この粗い水相微粒子が分散した混合液に8000rpmで回転羽根にて攪拌を10分間行い、水相微粒子径が0.1μmから1μmの範囲で分布するW/Oエマルジョン型の定着液を作製した。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、上記の処方で作製した定着液を図3のごとき定着装置を用いてスプレー塗布し(塗布量0.2g/A4版1枚当り)、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。残油感の判定は、具体例1と同じくアンケートによる官能評価とした。
その結果、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、定着液7〜定着液9の何れもウエスにトナーが付着しなかった。定着液10では、塗布後1分後であればウエスで擦ってもウエスにトナーの付着がなかった。定着液7〜定着液10では、塗布後に紙に変化はなく、残油感は許容できる範囲であった。このことから、油相中の油性溶媒と軟化剤の比率は、0/100〜7/3とすることで定着応答性に優れた定着が行われることを確認した。
[具体例3]
<W/Oエマルジョン型の定着液の作製>
◇油相の調合
油性溶媒:ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 40wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダジャパン クロダモルDES)
40wt%
分散剤:ソルビタンモノオレエート(花王 レオドールSP-010V)
10wt%
ソルビタントリオレエート(花王 レオドールSP-030V)
10wt%
上記成分比にて混合攪拌し、その後超音波ホモジナイザーを用いて、軟化剤が粒子径1μm〜10μmの範囲で分布する軟化剤分散油相液を作製した。
◇水相の調合
イオン交換水 95wt%
硫酸マグネシウム 5wt%
上記成分比にて混合攪拌し、水相液を作製した。
回転羽根にて油相を入れたビーカーの油相液を200rpmで攪拌しながら、水相を徐々に油相中に注ぎ、粗い水相微粒子のW/Oエマルジョン液を作製した。次に、この粗い水相微粒子が分散した混合液に8000rpmで回転羽根にて攪拌を10分間行い、水相微粒子径が0.1μmから1μmの範囲で分布するW/Oエマルジョン定着液を作製した。水相と油相の重量比は、6/4とした。粘度は、0.9Pa・sであった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、上記の処方で作製した定着液を図3のごとき定着装置を用いてスプレー塗布し(塗布量0.2g/A4版1枚当り)、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。残油感の判定は、具体例1と同じくアンケートによる官能評価とした。
その結果、定着液塗布後5秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。このことから、油相の油性溶媒に軟化剤を分散する構成とすることで軟化剤を溶解する構成よりも定着応答性に優れることを確認した。
[具体例4]
<W/Oエマルジョン型の定着液の作製>
◇油相の調合
油性溶媒:ジメチルシリコーン(東レダウコーニングシリコーン SH200-50cs)
12wt%
ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 12wt%
軟化剤:ラウリン酸ヘキシル(高級アルコール工業 KAK HL)
56wt%
分散剤:ソルビタンモノオレエート(花王 レオドールSP-010V)
10wt%
ソルビタントリオレエート(花王 レオドールSP-030V)
10wt%
上記成分比にて混合攪拌し、油相液を作製した。
◇水相の調合
イオン交換水 95wt%
硫酸マグネシウム 5wt%
上記成分比にて混合攪拌し、水相液を作製した。
回転羽根にて油相を入れたビーカーの油相液を200rpmで攪拌しながら、水相を徐々に油相中に注ぎ、粗い水相微粒子のW/Oエマルジョン液を作製した。次に、この粗い水相微粒子が分散した混合液に8000rpmで回転羽根にて攪拌を10分間行い、水相微粒子径が0.1μmから1μmの範囲で分布するW/Oエマルジョン型の定着液を作製した。水相と油相の重量比は、6/4とした。粘度は、1Pa・sであった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、上記の処方で作製した定着液を図4のごとき定着装置を用いてローラ塗布し(塗布量0.2g/A4版1枚当り)、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。
[具体例5]
<W/Oエマルジョン型の定着液の作製>
◇油相の調合
油性溶媒:ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 80wt%
分散剤:ソルビタンモノオレエート(松本油脂製薬 シルバンS80)
10wt%
ソルビタントリオレエート(花王 レオドールSP-030V)
10wt%
上記成分比にて混合攪拌し油相液を作製した。
◇水相の調合
イオン交換水 89wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル 6wt%
硫酸マグネシウム 5wt%
上記成分比にて混合攪拌し、水相液を作製した。このとき、水相には軟化剤であるコハク酸ジエトキシエチルが溶解していた。
回転羽根にて油相を入れたビーカーの油相液を200rpmで攪拌しながら、水相を徐々に油相中に注ぎ、粗い水相微粒子のW/Oエマルジョン液を作製した。次に、この粗い水相微粒子が分散した混合液に12000rpmで回転羽根にて攪拌を10分間行い、水相微粒子径が0.1μmから1μmの範囲で分布するW/Oエマルジョン型の定着液を作製した。作製した定着液の粘度はコーンプレート式回転粘度計で測定し、コーン角1°コーン径60mm、回転1/10(s−1)、温度25℃にて0.8Pa・sであった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、上記の処方で作製した定着液を図4のごとき定着装置を用いてローラ塗布し(塗布量0.2g/A4版1枚当り)、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。残油感の判定は、具体例1と同じくアンケートによる官能評価とした。
その結果、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。更に、5秒後擦りでもウエスにトナーが付着しなかった。残油感は、若干あるものの許容できる範囲で問題なかった。
[具体例6]
<W/Oエマルジョン型の定着液の作製>
◇油相の調合
油性溶媒:ポリαオレフィン系化合物(エクソンモービル Spectrasyn2) 24wt%
軟化剤:セバシン酸ジブチル(関東化学) 56wt%
分散剤:ソルビタンモノオレエート(松本油脂製薬 シルバンS80)
10wt%
ソルビタントリオレエート(花王 レオドールSP-030V)
10wt%
上記成分比にて混合攪拌し油相液を作製した。
◇水相の調合
イオン交換水 89wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル 6wt%
硫酸マグネシウム 5wt%
上記成分比にて混合攪拌し、水相液を作製した。このとき、水相にも軟化剤であるコハク酸ジエトキシエチルが溶解していた。
回転羽根にて油相を入れたビーカーの油相液を200rpmで攪拌しながら、水相を徐々に油相中に注ぎ、粗い水相微粒子のW/Oエマルジョン液を作製した。次に、この粗い水相微粒子が分散した混合液に12000rpmで回転羽根にて攪拌を10分間行い、水相微粒子径が0.1μmから1μmの範囲で分布するW/Oエマルジョン型の定着液を作製した。作製した定着液の粘度はコーンプレート式回転粘度計で測定し、コーン角1°コーン径60mm、回転1/10(s−1)、温度25℃にて0.8Pa・sであった。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、上記の処方で作製した定着液を図4のごとき定着装置を用いてローラ塗布し(塗布量0.2g/A4版1枚当り)、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。残油感の判定は、具体例1と同じくアンケートによる官能評価とした。
その結果、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。更に、5秒後擦りでもウエスにトナーが付着しなかった。残油感は、若干あるものの許容できる範囲で問題なかった。
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施の形態例に係る定着液を示す概略図である。 本発明による定着液による媒体への塗布後の定着までの過程を示す概略図である。 別の発明の一実施の形態に係る定着装置の構成の一例を示す概略図である。 別の発明の一実施の形態に係る定着装置の構成の他の例を示す概略図である。 別の発明の一実施の形態例の画像形成装置の構成を示す概略図である。 記録紙上の撥水性処理された未定着トナーへの水系定着液を塗布した場合の定着の様子を示す概略図である。 記録紙上の撥水性処理された未定着トナーへの油性の定着液を塗布した場合の定着の様子を示す概略図である。
符号の説明
10;定着液、11;油相、12;水相。

Claims (6)

  1. 樹脂微粒子を媒体に定着させる定着液であって、
    該定着液は、前記樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて前記樹脂微粒子を軟化させる軟化剤の脂肪族エステルが少なくとも一部を構成する連続相の油相と、該油相中に分散している分離相の水相とを含む油中水型から構成され、
    前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことを特徴とする定着液
  2. 記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式
    R5(COOR6−O−R7)
    で表される化合物を含み、
    R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、
    R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、
    R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である請求項記載の定着液
  3. 求項1又は2に記載の定着液を媒体上に付着している未定着樹脂微粒子に塗布して当該未定着樹脂微粒子の定着を行うことを特徴とする定着方法。
  4. 請求項1又は2に記載の定着液を媒体上に付着している未定着樹脂微粒子に塗布する塗布手段を有することを特徴とする定着装置。
  5. 樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する画像形成方法において、
    請求項1又は2に記載の定着液を記録媒体上に付着している未定着トナーに塗布して当該未定着トナーの定着を行い、記録媒体上に画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
  6. 樹脂を含むトナーで静電記録プロセスを行い記録媒体上に未定着トナー画像を形成する画像形成手段と、
    請求項記載の定着装置により前記未定着トナー画像を記録媒体に定着させる定着手段と
    を具備することを特徴とする画像形成装置。
JP2006113193A 2006-04-17 2006-04-17 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP4531717B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006113193A JP4531717B2 (ja) 2006-04-17 2006-04-17 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
US11/734,446 US7989133B2 (en) 2006-04-17 2007-04-12 Fixing liquid, fixing device using the fixing liquid, and image forming apparatus comprising the fixing device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006113193A JP4531717B2 (ja) 2006-04-17 2006-04-17 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007286327A JP2007286327A (ja) 2007-11-01
JP4531717B2 true JP4531717B2 (ja) 2010-08-25

Family

ID=38605208

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006113193A Expired - Fee Related JP4531717B2 (ja) 2006-04-17 2006-04-17 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7989133B2 (ja)
JP (1) JP4531717B2 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7713622B2 (en) * 2004-11-02 2010-05-11 Ricoh Company, Ltd. Fixing solution, capsule structure, fixing method, fixing device and image forming apparatus
JP4302700B2 (ja) * 2006-02-16 2009-07-29 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
JP5075300B2 (ja) * 2007-07-06 2012-11-21 株式会社リコー 画像形成装置
JP4863946B2 (ja) * 2007-07-19 2012-01-25 株式会社リコー 交換ユニット、画像形成装置、および画像形成装置の交換ユニット取り付け方法
JP2009069256A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Ricoh Co Ltd 定着液の定温保持装置、および画像形成装置
EP2070710B1 (en) * 2007-12-12 2014-10-29 Ricoh Company, Ltd. Image forming apparatus and foam application device
JP5233369B2 (ja) * 2008-04-01 2013-07-10 株式会社リコー 画像形成装置
JP2010260228A (ja) * 2009-05-01 2010-11-18 Ricoh Co Ltd 焼成絵柄画像形成用転写用紙及びその製造方法、並びに焼成画像形成方法
JP2011215564A (ja) * 2009-07-01 2011-10-27 Ricoh Co Ltd 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
JP5247660B2 (ja) * 2009-11-12 2013-07-24 キヤノン株式会社 トナー画像定着方法
JP5476978B2 (ja) * 2009-12-21 2014-04-23 株式会社リコー トナーを用いた定着方法
JP5565674B2 (ja) * 2010-03-04 2014-08-06 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
JP2011203712A (ja) * 2010-03-04 2011-10-13 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2011186235A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2011237506A (ja) 2010-05-07 2011-11-24 Ricoh Co Ltd 定着装置、画像形成装置及び定着方法
JP2011242449A (ja) 2010-05-14 2011-12-01 Ricoh Co Ltd 定着装置および画像形成装置
US20130025483A1 (en) 2011-07-29 2013-01-31 Omer Gila Substrate treatment apparatus, printers, and methods to treat a print substrate
JP2015129364A (ja) 2013-12-03 2015-07-16 株式会社リコー 捺染方法、捺染用インクジェットインク、捺染用電子写真トナー

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0744034A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Yuniko Kk トナーの湿式定着方法
JP2004109749A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3907695A (en) * 1969-07-01 1975-09-23 Alan B Amidon Liquid developer
JPS59119364A (ja) 1982-12-27 1984-07-10 Fuji Xerox Co Ltd 未定着トナ−画像の定着用溶液および定着方法
JP2824684B2 (ja) 1990-04-06 1998-11-11 三井造船鉄構工事株式会社 橋脚梁点検補修足場
JP2002258544A (ja) * 2001-03-01 2002-09-11 Ricoh Co Ltd 液体現像剤の定着液及びそれを用いた画像形成方法
JP4009513B2 (ja) * 2002-09-20 2007-11-14 株式会社リコー 定着装置及び画像形成装置
US7713622B2 (en) 2004-11-02 2010-05-11 Ricoh Company, Ltd. Fixing solution, capsule structure, fixing method, fixing device and image forming apparatus
JP4413818B2 (ja) 2005-05-20 2010-02-10 株式会社リコー 定着液及びトナーの定着装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0744034A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Yuniko Kk トナーの湿式定着方法
JP2004109749A (ja) * 2002-09-20 2004-04-08 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007286327A (ja) 2007-11-01
US20070243483A1 (en) 2007-10-18
US7989133B2 (en) 2011-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4531717B2 (ja) 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
JP4413818B2 (ja) 定着液及びトナーの定着装置
JP4410226B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP4960630B2 (ja) 定着液、トナーの定着方法、トナーの定着装置、画像形成方法、及び画像形成装置
JP4302700B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP4795379B2 (ja) 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
JP4393988B2 (ja) 定着方法、定着装置及び画像形成装置
JP4358896B2 (ja) 定着液
JP4988302B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2011128457A (ja) 定着液、定着方法、定着装置、画像形成方法及び画像形成装置
JP4402742B2 (ja) 定着液
JP4486160B2 (ja) 定着方法、画像形成方法、定着装置及び画像形成装置
JP4410308B2 (ja) 定着方法及び画像形成方法
JP4324242B2 (ja) 定着方法及び画像形成方法
JP5347435B2 (ja) 定着液、定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置
JP5263678B2 (ja) 定着方法、定着装置及び画像形成装置
JP2012155205A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2011085639A (ja) 定着装置及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090219

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20091207

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100312

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100528

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100609

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130618

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees