本発明の実施の形態は、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な定着液、トナーの定着方法、トナーの定着装置、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態による定着液は、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させる定着液において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分を含む粒子が、非水系分散媒に分散されていることを特徴とする。
本発明の実施の形態によるトナーの定着方法は、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させるトナーの定着方法において、本発明の実施の形態による定着液を用いることを特徴とする。
別の本発明の実施の形態によるトナーの定着方法は、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させるトナーの定着方法において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分を含み、かつ、記録媒体を通過しない粒径を有する粒子が、非水系分散媒に分散されている定着液を用いることを特徴とする。
本発明の実施の形態によるトナーの定着装置は、本発明の実施の形態によるトナーの定着方法を用いて、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させることを特徴とする。
本発明の実施の形態による画像形成方法は、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する画像形成方法において、本発明の実施の形態によるトナーの定着方法を用いることを特徴とする。
本発明の実施の形態による画像形成装置は、本発明の実施の形態による画像形成方法を用いて、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成することを特徴とする。
本発明の実施の形態によれば、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な定着液、トナーの定着方法、トナーの定着装置、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
本発明による第一の実施形態は、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させる定着液において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、非水系分散媒(B材)に分散されている。
トナーは、結着樹脂、離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えば、ポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。
記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて、トナーを記録媒体に定着させることができれば、特に限定されない。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、液体の粒子であってもよく、ゲル状の液体の粒子、ワックスのような半固体の粒子であってもよい。トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が液体の場合、その粘度は、好ましくは、1mPa・秒以上100Pa・秒以下である。
非水系分散媒(B材)は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が分散している液体の分散媒であり、非水系とは、室温(20℃)における水に対する溶解度が、0.1重量%以下であることを意味する。非水系分散媒(B材)は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有する。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、非水系分散媒(B材)は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、非水系分散媒(B材)の表面張力は、20〜30mN/mであることが好ましい。このような非水系分散媒(B材)としては、例えば、フッ素系オイル、パラフィン系溶剤、オレフィン系溶剤、シリコーン系溶剤などが挙げられる。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、非水系媒体に溶解しているのではなく、非水系分散媒(B材)に分散している。当該成分(A材)を含む粒子を、非水系分散媒(B材)に分散させるために、分散剤を用いてもよい。トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子を非水系分散媒(B材)に安定して分散させるためには、分散剤は、HLB(親水性・親油性バランス)値が5以下である界面活性剤であることが好ましい。ここで、HLB値は、例えば、グリフィン(Griffin)の式として知られる
HLB値=20×(界面活性剤中の親水性基分子量)/(界面活性剤の分子量)
によって算出された値とする。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子を、非水系分散媒(B材)に分散させるため方法としては、当該成分(A材)を含む材料を、非水系分散媒(B材)に混合し、得られる混合物を機械的に攪拌する又は得られる混合物に振動を与えることによって、本発明による第一の実施形態の定着液を得ることができる。例えば、ホモミキサー、ホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が、挙げられる。なお、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の粒径を0.1μm以上6μm以下とするためには、ホモミキサーのような弱く攪拌する手段を用いることが望ましい。
本発明による第一の実施形態によれば、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な定着液を提供することができる。
例えば、本発明による第一の実施形態による定着液は、非水系媒体を用いているので、記録媒体に提供されたトナーに定着液を付与する際に、定着液の付与によって生じ得る、記録媒体に提供されたトナーによって形成される画像の欠陥を低減することができる。
また、例えば、本発明による第一の実施形態による定着液は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を非水系分散媒(B材)に溶解させるのではなく、当該成分(A材)を含む粒子を非水系分散媒(B材)に分散させているので、非水系分散媒(B材)が、記録媒体中に浸透する又は記録媒体を通過する一方で、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、記録媒体中に浸透せずに又は記録媒体を通過せずに、記録媒体に提供されたトナーと接触する確率が高くなる。この場合には、粒子に含まれる、当該成分(A材)が、記録媒体中に浸透せずに又は記録媒体を通過せずに、記録媒体に提供されたトナーに作用する確率も高くなるため、当該成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して有効に作用させることができる。これにより、記録媒体に提供されたトナーを、より高速に定着させることが可能となり、結果として、記録媒体に提供されたトナーの定着応答性を向上させることが可能となる。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の量を低減することも可能となる。さらに、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の消費の無駄を低減することが可能となる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の粒子は、液体である。トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、液体の粒子であるとき、上記の定着液は、液体の粒子が、非水系分散媒(B材)に分散されているエマルジョンである。この場合には、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、液体の粒子であるので、当該成分(A材)を含む液体の粒子が、記録媒体に提供されたトナーとより容易に作用し、記録媒体に提供されたトナーを、より高速に定着させることが可能となる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の粒子は、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む単一の相からなる。
上記の粒子が、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む単一の相からなる場合には、上記の当該成分(A材)を含む粒子が液体であり水系の場合、定着液は、非水系分散媒(B材)に水系の粒子が分散する油中水(W/O)エマルジョンである。また、当該成分(A材)を含む粒子が液体であり非水系の場合、定着液は、非水系分散媒(B材)に非水系の粒子が分散する油中油(O/O)エマルジョンである。本発明の実施の形態では、W/Oエマルジョン、O/Oエマルジョンのいずれでもよい。
上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む単一の相からなる上記の粒子は、例えば、非水系分散媒(B材)に溶解しない、当該成分(A材)からなる粒子であってもよい。この場合には、上記の当該成分(A材)が、通常、水に可溶性である。
上記の粒子が、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む単一の相からなる場合には、当該成分(A材)が、非水系媒体に溶解しない材料であるとき、当該成分(A材)を含む粒子を、安定して、非水系分散媒(B材)に分散させることができる。
図3は、本発明の実施形態による定着液の一つの例を説明する図である。図3に示す定着液30は、非水系分散媒(B材)31、及び非水系分散媒(B材)31に溶解しない、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む単一の相からなる粒子32を含む。定着液30において、粒子32は、非水系分散媒(B材)31中に分散している。粒子32は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)のみで構成されている。非水系分散媒(B材)31は、例えば、n−アルカン又はジメチルシリコーンやα−オレフィン系溶剤であってもよく、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、例えば、非水系分散媒(B材)31に溶解しない脂肪族エステルであってもよい。また、定着液30は、非水系分散媒(B材)31に粒子32を安定して分散させるための界面活性剤などの分散剤を含んでもよい。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の粒子は、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)及び上記の当該成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)を含む。
上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)及び上記の当該成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)を含む上記の粒子は、例えば、上記の当該成分(A材)及び当該成分(A材)を溶解させる溶媒を含む粒子であってもよく、上記の当該成分(A材)及び上記の当該成分(A材)を分散させる分散媒を含む粒子であってもよい。
なお、上記の当該成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)は、非水系分散媒(B材)に溶解しない液体である。ここで、非水系分散媒(B材)に溶解しない液体は、室温(20℃)での非水系溶媒に対する溶解度が0.1重量%以下である液体である。
また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、非水系分散媒(B材)に溶解する材料であってもよく、非水系分散媒(B材)に溶解しない材料であってもよい。
すなわち、上記の粒子が、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)及び上記の当該成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)を含む場合には、当該成分(A材)が、非水系媒体に溶解する材料又は非水系媒体に溶解しない材料のいずれであっても、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子を、安定して、非水系分散媒(B材)に分散させることができる。
ここで、上記の粒子が、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)及び上記の当該成分(A材)を溶解させる溶媒を含む粒子である場合には、当該成分(A材)の濃度を、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解させる成分を溶解させる溶媒によって調節することができるため、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部の溶解又は膨潤を、より微細に制御することが可能になる。また、この場合には、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、通常、水系であり、定着液は、非水系分散媒(B材)に水系の粒子が分散する油中水(W/O)エマルジョンである。
また、上記の粒子が、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)及び上記の当該成分(A材)を分散させる分散媒を含む場合には、当該成分(A材)は、通常、当該成分(A材)を分散させる分散媒に溶解せず、界面活性剤などの分散剤を用いて、このような分散倍に分散される。この場合には、通常、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、非水系であり、当該成分(A材)を分散させる分散媒は、水系であり、定着液は、非水系分散媒(B材)に水系の粒子が分散し、水系の粒子においては、水系の分散倍に非水系のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)が分散する、油/水/油(O/W/O)型エマルジョンである。
図4は、本発明の実施形態による定着液の別の例を説明する図である。図4に示す定着液40は、非水系分散媒(B材)41、並びにトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)42及び当該成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)43を含む粒子44を含む。定着液40において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)43は、非水系分散媒(B材)41に溶解せず、当該成分(A材)42及びトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)43を含む粒子44は、非水系分散媒(B材)41中に分散している。粒子44は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)42及びトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を溶解させる溶媒43で構成されていてもよく、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)42及びトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を分散させる分散媒43で構成されていてもよい。非水系分散媒(B材)41は、例えば、n−アルカン又はジメチルシリコーンやα−オレフィン系溶剤であってもよい。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)42は、例えば、非水系分散媒(B材)41に溶解する脂肪族エステル及び非水系分散媒(B材)41に溶解しない脂肪族エステルのいずれであってもよい。さらに、非水系分散媒(B材)41に溶解しない、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)43は、水であってもよい。また、定着液40は、非水系分散媒(B材)41に粒子44を安定して分散させるための界面活性剤などの分散剤を含んでもよく、粒子44は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒(C材)43に、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)42を、安定して分散させるために界面活性剤などの分散剤を含んでもよい。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の粒子の体積平均粒径は、0.3μm以上である。トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径が、0.3μm以上である場合には、本発明による第一の実施形態による定着液を、トナーが提供された記録媒体に付与したとき、定着液の非水系分散媒(B材)が、記録媒体中に浸透する又は記録媒体を通過する一方で、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、記録媒体に提供されたトナーの粒子間を通過せずに、又は、記録媒体中に浸透せずに若しくは記録媒体を通過せずに、記録媒体に提供されたトナーの粒子上に付着する又は記録媒体の表面に付着する確率が高くなる。その結果、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)が、記録媒体に提供されたトナーに作用する確率も高くなるため、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して、より有効に作用させることができる。これにより、記録媒体に提供されたトナーを、より高速に定着させることが可能となり、結果として、記録媒体に提供されたトナーの定着応答性を、より向上させることが可能となる。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分の量を、より低減することも可能となる。さらに、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の消費の無駄を、より低減することが可能となる。
なお、このようなトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、記録媒体に提供されたトナーの粒子間を通過しない理由は、トナーが、通常、撥水性処理されている一方で、定着液の非水系分散媒(B材)に分散するトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、通常、水系又は表面張力が30mN/m以上であるため、粒子は、撥水性処理されたトナーに弾かれること、及び、粒子の粒径が、記録媒体に提供されたトナーの粒子間の隙間よりも大きいことである。
一方、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径が、0.3μm未満である場合には、本発明による第一の実施形態による定着液を、トナーが提供された記録媒体に付与したとき、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、定着液の非水系分散媒(B材)と共に、記録媒体に提供されたトナーの粒子間を通過し、記録媒体中に浸透する又は記録媒体を通過する確率が高くなる。その結果、当該成分(A材)が、記録媒体に提供されたトナーに作用する確率が低下し、当該成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して、十分に作用させることができないことがある。これにより、記録媒体に提供されたトナーを、十分に高速に定着させることができなくなり、結果として、記録媒体に提供されたトナーの定着応答性を、あまり向上させることができないことがある。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の量を、十分に低減することができず、当該成分(A材)の一部が、無駄になる可能性がある。
ここで、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径は、例えば、レーザー光回折・散乱法(例えば、マイクロトラック社の装置にて波長780nm・温度25℃における測定)によって測定することができる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の粒子の体積平均粒径は、6μm以下である。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径が、6μm以下である場合には、本発明による第一の実施形態による定着液を、トナーが提供された記録媒体に付与したとき、記録媒体に提供されたトナーを溶解又は膨潤させすぎず、記録媒体に提供されたトナーによって形成された画像の乱れを低減することができる。
逆に、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径が、6μmを超える場合には、本発明による第一の実施形態による定着液を、トナーが提供された記録媒体に付与したとき、記録媒体に提供されたトナーを溶解又は膨潤させ過ぎて、液化したトナーが、記録媒体に浸透し、記録媒体に提供されたトナーによって形成された画像の乱れ(にじみ)が発生することがある。
また、上記の粒子の体積平均粒径は、記録媒体に提供されたトナーの粒子の体積平均粒径よりも小さいことが好ましい。トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径が、トナー粒子の体積平均粒径よりも大きいときには、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)が、記録媒体に提供されたトナーに均一に付与されない可能性もある。
トナーの粒子の体積平均粒径は、例えば、記録媒体における複数のトナー粒子にレーザーを照射し、そのレーザー光の波長及びトナー粒子によって回折されたレーザー光の回折角の平均値から得ることができる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の非水系分散媒(B材)に含まれる上記の粒子の含有量は、0.5重量%以上50重量%以下である。上記の非水系分散媒(B材)に含まれる上記の粒子の含有量は、さらに好ましくは、1重量%以上10重量%以下である。
上記の非水系分散媒(B材)に含まれる上記の粒子の含有量が、0.5重量%未満であると、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を十分に溶解又は膨潤させることができず、トナーを記録媒体に十分に定着させることができない可能性がある。また、上記の非水系分散媒(B材)に含まれる上記の粒子の含有量が、50重量%を超えると、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させ過ぎて、長時間に亘ってトナーの流動性を低下させることができず、定着液を付与したトナーの層が、粘着性を有する可能性がある。
よって、上記の非水系分散媒(B材)に含まれる上記の粒子の含有量が、0.5重量%以上50重量%以下であると、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を適度に溶解又は膨潤させ、トナーを記録媒体に良好に定着させることが可能となる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記のトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、脂肪族エステルを含む。
脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れるため、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、脂肪族エステルを含むことが好ましい。
また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
さらに、記録媒体に対するトナーの定着は、密閉された環境において頻繁に使用される機器で行われ、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、トナーの記録媒体への定着後にも、トナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが、好ましい。すなわち、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。また、脂肪族エステルは、水質汚染を引き起こさないという利点も有する。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。
なお、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)のみならず、定着液に含まれる非水系分散媒(B材)などの材料も、同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。なお、定着液における非水系分散媒(B材)の含有量は、多いため、非水系分散媒(B材)の臭気指数は、好ましくは、7以下であり、さらに好ましくは、3以下である。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。
上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。さらに、飽和脂肪族エステルは、記録媒体上で非水系分散媒(B材)が蒸発した後、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルは、一般式
R1COOR2
で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。
上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上3以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、非水系分散媒(B材)に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、例えば、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルを水に分散させて、水系の分散系を調製し、その水系の分散系を、粒子として非水系媒体に分散させることによって、本発明による第一の実施形態の定着液を得ることができる。すなわち、図4に示すような、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)としての脂肪族モノカルボン酸エステルを水に分散させた水系の粒子を、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液が得られる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。
上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、1秒以内にすることが可能となる。さらに、より少量の、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の含有量を、低減することができる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式
R3(COOR4)2
で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下のアルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)2で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、非水系分散媒(B材)に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルの多くについては、例えば、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルを水に分散させて、水系の分散系を調製し、その水系の分散系を、粒子として非水系媒体に分散させることによって、本発明による第一の実施形態の定着液を得ることができる。すなわち、図4に示すような、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)としての脂肪族ジカルボン酸エステルを水に分散させた水系の粒子を、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液が得られる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。
上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式
R5(COOR6−O−R7)2
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)2で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの多くは、水に若干溶解する(若干水性である)。よって、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの多くについては、例えば、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを、直接、粒子として非水系媒体に分散させることによって、本発明による第一の実施形態の定着液を得ることができる。すなわち、図3に示すような、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)としての脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む水系の粒子を、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液が得られる。
なお、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水に溶解又は分散させて、水系の分散系を調製し、その水系の分散系を、粒子として非水系媒体に分散させることによって、本発明による第一の実施形態の定着液を得ることもできる。すなわち、図4に示すような、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)としての脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水に溶解又は分散させた水系の粒子を、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液を得てもよい。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の非水系分散媒(B材)は、n−アルカンを含む。
上記の非水系分散媒(B材)が、n−アルカンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。すなわち、パラフィン系溶剤であるn−アルカンは、25mN/m以下の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。
その結果、本発明による第一の実施形態の定着液を、記録媒体における撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを、低減することができる。例えば、本発明の発明者らは、n−アルカンのうち、デカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカンは、低い揮発性を有し、これらのn−アルカンのいずれかを非水系分散媒(B材)として含む定着液の液滴を、撥水性処理されたトナーの層へ付与したとき、トナー層の乱れが、ほとんど発生しないことを確認した。
本発明による第一の実施形態の定着液において、好ましくは、上記の非水系分散媒(B材)は、ジメチルシリコーンを含む。
上記の非水系分散媒(B材)が、ジメチルシリコーンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。すなわち、シリコーン系溶剤であるジメチルシリコーンは、20mN/m程度の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。
その結果、本発明による第一の実施形態の定着液を、記録媒体における撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを、低減することができる。
また、ジメチルシリコーンは、無臭であり、人体に対する安全性が高い。このため、非水系分散媒(B材)としてジメチルシリコーンを含む定着液を、人体に対して安全且つ無臭な定着液にすることが可能となる。
例えば、本発明の発明者らは、3mPa・秒以上の粘度を有するジメチルシリコーンは、低い揮発性を有し、ジメチルシリコーンを非水系分散媒(B材)として含む定着液の液滴を、撥水性処理されたトナーの層へ付与したとき、トナー層の乱れが、ほとんど発生しないことを確認した。
本発明による第二の実施形態は、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させるトナーの定着方法において、本発明の第一の実施形態による定着液を用いる。
本発明による第二の実施形態のトナーの定着方法においては、記録媒体における樹脂を含むトナーに、上述した本発明の第一の実施形態による定着液を付与して、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させる。本発明による第二の実施形態によれば、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能なトナーの定着方法を提供することができる。
図5(a)〜(d)は、本発明の実施形態によるトナーの定着方法の具体例を説明する図である。
まず、図5(a)に示すように、記録媒体51に転写された撥水性トナー52に対して、インクジェットノズル及びスプレーガンのような適当な定着液供給手段を使用して、本発明の第一の実施形態による定着液53を提供する。この定着液53は、撥水性トナー52に対して高い親和性を有する非水系媒体54及び非水系分散媒(B材)54に分散された、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む液体の粒子55を含む。
次に、図5(b)に示すように、定着液53が、記録媒体51及び記録媒体51に転写された撥水性トナー52に接触したとき、定着液53は、主として、撥水性トナー52に対して高い親和性を有する非水系分散媒(B材)54を含むため、撥水性トナー52は、定着液53によっては弾かれず、記録媒体51に転写された撥水性トナー52の層の乱れは、ほとんど発生しない。そして、定着液53に含まれる非水系分散媒(B材)54及び液体の粒子55は、記録媒体51及び記録媒体51に転写された撥水性トナー52の層に広がっていく。
次に、図5(c)に示すように、定着液53に含まれる非水系分散媒(B材)54が、撥水性トナー52の層における空隙を通過し、記録媒体51の中に浸透する一方で、定着液53に含まれる液体の粒子55は、撥水性トナー52の層における空隙及び記録媒体51を通過せずに、撥水性トナー52の層又は記録媒体51の表面上に留まる。よって、非水系分散媒(B材)54が、撥水性トナー52の層における空隙を通過し、記録媒体51の中に浸透するとき、定着液53に含まれる液体の粒子55の濃度、すなわち、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の濃度が、増加することになる。
そして、図5(d)に示すように、非水系分散媒(B材)54が、記録媒体51の中に十分に浸透する一方で、複数の液体の粒子55が、互いに結合し、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む液層56を形成する。液層56に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、急速に撥水性トナー52を溶解又は膨潤させる。その結果、撥水性トナー52の層は、フィルム状になり、記録媒体51に定着する。
このように、非水系分散媒(B材)51における、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の濃度が低くても、非水系分散媒(B材)が記録媒体に浸透する一方で、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の濃度が、トナーの層の表面で高くなる。よって、定着液中におけるトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の含有量を、低減することができる。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)は、記録媒体中へは浸透しない。よって、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を無駄に消費しない。さらに、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、高い濃度で、トナーの層に接触させるため、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を非水系溶媒に溶解させた定着液よりも、記録媒体に対するトナーの定着応答性を向上させることができる。
本発明による第三の実施形態は、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させるトナーの定着方法において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含み、かつ、記録媒体を通過しない粒径を有する粒子が、非水系分散媒(B材)に分散されている定着液を用いる。
本発明による第三の実施形態によれば、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能なトナーの定着方法を提供することができる。
本発明による第三の実施形態のトナーの定着方法においては、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含み、かつ、記録媒体を通過しない粒径を有する粒子が、非水系分散媒(B材)に分散されている定着液を、記録媒体における樹脂を含むトナーに付与して、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させる。
ここで、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の粒径以外の、樹脂を含むトナー、記録媒体、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)、粒子、非水系分散媒(B材)、分散などの構成及び効果などは、上述したものと同様である。
本発明による第三の実施形態のトナーの定着方法においては、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、記録媒体を通過しない粒径を有する。
ここで、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の粒径は、体積平均粒径である。トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の体積平均粒径は、例えば、レーザー光回折・散乱法(例えば、マイクロトラック社の装置にて波長780nm・温度25℃における測定)によって測定することができる。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、記録媒体を通過しない粒径を有することは、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、記録媒体における空隙を通過しない粒径、すなわち、記録媒体における空隙の大きさよりも大きい粒径を有することを意味する。例えば、記録媒体が、紙であり、紙の繊維を毛細管とみなすモデルを仮定すると、記録媒体における空隙の大きさである毛細管の口径は、上質紙については、2μm程度であり、コート紙については、0.1μm程度である。よって、記録媒体が、上質紙である場合には、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、おおよそ2μmより大きいことが好ましい。また、記録媒体が、コート紙である場合には、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子は、おおよそ0.1μmより大きいことが好ましい。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、記録媒体を通過しない粒径を有することによって、定着液を、トナーが提供された記録媒体に付与するとき、非水系分散媒(B材)が、記録媒体中に浸透する又は記録媒体を通過する一方で、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子を、トナーが提供された記録媒体の表面に留めることができ、その結果、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して、より十分に作用させることができる。すなわち、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して有効に作用させることができる。これにより、記録媒体に提供されたトナーを、より高速に定着させることが可能となり、結果として、記録媒体に提供されたトナーの定着応答性を向上させることが可能となる。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の量を低減することも可能となる。さらに、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の消費の無駄を低減することが可能となる。
本発明による第三の実施形態のトナーの定着方法において、上記の粒子は、好ましくは、トナーの平均粒径以下の粒径を有する。
すなわち、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、トナーの平均粒径以下の粒径を有する。ここで、トナーの平均粒径は、体積平均粒径であり、例えば、記録媒体における複数のトナー粒子にレーザーを照射し、そのレーザー光の波長及びトナー粒子によって回折されたレーザー光の回折角の平均値から得ることができる。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子が、トナーの平均粒径以下の粒径を有することによって、定着液を、トナーが提供された記録媒体に付与するとき、記録媒体に提供されたトナーを溶解又は膨潤させ過ぎることを低減し、液化したトナーが、記録媒体に浸透し、記録媒体に提供されたトナーによって形成された画像の乱れ(にじみ)が発生することを低減することができる。すなわち、トナーによって形成された画像を、記録媒体に良好に定着させることができる。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに均一に付与することが可能となる。
さらに、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の粒径(体積平均粒径)は、好ましくは、記録媒体に提供されたトナー粒子間の空隙の大きさよりも大きい。
図6(a)及び(b)は、記録媒体に提供されたトナー粒子間の空隙の大きさを説明する図である。図6(a)は、体心立方構造の一面に従って配列しているトナー粒子の間の空隙の大きさを説明する図であり、図6(b)は、立方最密構造の一面に従って配列しているトナー粒子の間の空隙の大きさを説明する図である。
記録媒体に提供されたトナー粒子間の空隙の大きさは、記録媒体に提供されたトナー粒子の配列に依存する。ここで、トナーの粒子を球形であると仮定する。図6(a)に示すように、トナー粒子61が、体心立方構造の一面に従って配列している場合には、四つのトナー粒子61に囲まれた空隙における四つのトナー粒子に対する最小内接円62の直径は、((√2)−1)×(トナー粒子の直径)である。また、図6(b)に示すように、トナー粒子61が、立方最密構造の一面に従って配列している場合には、三つのトナー粒子61に囲まれた空隙における三つのトナー粒子に対する最小内接円62の直径は、(2/(√3)−1)×(トナー粒子の直径)である。記録媒体に提供されたトナー粒子間の空隙の大きさとして、これらの空隙におけるトナー粒子に対する最小内接円の直径を採用することができる。
例えば、トナー粒子の直径が、5μm〜10μmであるとする。この場合には、図6(a)に示すように、トナー粒子61が、体心立方構造の一面に従って配列しているとき、記録媒体に提供されたトナー粒子間の空隙の大きさとしての、四つのトナー粒子61に囲まれた空隙における四つのトナー粒子に対する最小内接円62の直径は、2μm〜4μm程度である。図6(b)に示すように、トナー粒子61が、立方最密構造の一面に従って配列しているとき、記録媒体に提供されたトナー粒子間の空隙の大きさとしての、三つのトナー粒子61に囲まれた空隙における四つのトナー粒子に対する最小内接円62の直径は、0.3μm〜0.7μm程度である。
トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子の粒径が、トナー粒子間の空隙の大きさよりも大きいことによって、定着液を、記録媒体に提供されたトナーに付与するとき、非水系分散媒(B材)が、トナーの粒子間の空隙を通過すると共に記録媒体中に浸透する又は記録媒体を通過する一方で、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を含む粒子を、記録媒体に提供されたトナー上に留めることができ、その結果、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して、より十分に作用させることができる。すなわち、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)を、記録媒体に提供されたトナーに対して有効に作用させることができる。これにより、記録媒体に提供されたトナーを、より高速に定着させることが可能となり、結果として、記録媒体に提供されたトナーの定着応答性を向上させることが可能となる。また、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の量を低減することも可能となる。さらに、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)の消費の無駄を低減することが可能となる。
本発明による第四の実施形態は、トナーの定着装置において、本発明による第二又は第三の実施形態によるトナーの定着方法を用いて、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させる。
本発明による第四の実施形態によれば、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能なトナーの定着装置を提供することができる。
本発明による第四の実施形態によるトナーの定着装置は、例えば、本発明による第二又は第三の実施形態によるトナーの定着方法において使用される本発明による第一の実施形態の定着液を貯蔵する定着液の容器、並びに、記録媒体に提供された未定着のトナーに供給する、スプレーガン及びインクジェットノズルなどの液滴飛翔手段のような適当な定着液供給手段を有する。また、トナーの定着装置は、本発明による第一の実施形態の定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。また、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
図7は、本発明の実施形態によるトナーの定着装置の具体例を説明する図である。図7に示すトナーの定着装置は、定着液71を貯蔵する定着液容器72、記録媒体73に転写されたトナー74に対して定着液71を供給するスプレーガンのような定着液供給手段75、トナー74が提供された記録媒体73を搬送する搬送ローラ76、定着液71によって溶解又は膨潤したトナー77を加圧する一対の平滑化ローラ78を有する。
図7に示すトナーの定着装置においては、トナー74が提供された記録媒体73が、搬送ローラ76によって搬送されており、定着液容器72に貯蔵された定着液71が、定着液供給手段75によって、記録媒体73上のトナー74に供給される。定着液71が、記録媒体73上のトナー74に供給されると、定着液71に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)によって、トナーは、溶解又は膨潤する。定着液71によって溶解又は膨潤したトナー77は、記録媒体73と共に、搬送ローラ76によってさらに搬送される。そして、定着液71によって溶解又は膨潤したトナー77は、一対の平滑化ローラ78によって加圧され、定着トナー79として、記録媒体73に定着される。
本発明による第五の実施形態は、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する画像形成方法において、本発明による第二又は第三の実施形態によるトナーの定着方法を用いる。
本発明による第六の実施形態は、画像形成装置において、本発明による第五の実施形態による画像形成方法を用いて、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する。
本発明による第五の実施形態の画像形成方法及び本発明による第六の実施形態の画像形成装置によれば、それぞれ、上述したように、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
図8(a)及び(b)は、本発明の実施形態による画像形成方法及び画像形成装置の具体例を説明する図である。図8(a)は、複写機又はプリンターであってもよい、カラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置を示す図であり、図8(b)は、図8(a)の画像形成装置の画像形成ユニットの一つを示す。
図8(a)及び(b)に示す画像形成装置は、トナー像担持体として中間転写ベルト101を有する。この中間転写ベルト101は、三つの支持ローラ102、103及び104に張架されており、時計方向に回転する。この中間転写ベルト101に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット105BK、105Y、105M及び105Cが配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示してない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が、複写機である場合には、スキャナーで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム106上に静電潜像を書き込むための各光Lが露光装置により照射される。
中間転写ベルト101の支持ローラ104に対向する位置には、二次転写装置107が設けられている。二次転写装置107は、二つの支持ローラ108及び109の間に張架された二次転写ベルト110で構成されている。なお、二次転写装置107としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト101の支持ローラ102に対向する位置には、ベルトクリーニング装置111が配置されている。ベルトクリーニング装置111は、中間転写ベルト101上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙112は、一対の給紙ローラ113で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙112に転写する際に、二次転写ベルト110を中間転写ベルト101に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。
トナー像が転写された記録紙112は、二次転写ベルト110によって搬送され、記録紙112に転写された未定着のトナー像は、本発明による第四の実施形態によるトナーの定着装置119によって、定着される。すなわち、記録紙112に転写された未定着のトナー像には、トナーの定着装置119から供給される本発明による第一の実施形態である定着液が付与され、定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分(A材)によって、未定着のトナー像を、記録紙112に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図8(b)に示すように、画像形成ユニットには、感光体ドラム106の周辺に、帯電装置114、現像装置115、クリーニング装置116及び除電装置117が配置されている。また、中間転写ベルト101を介して、感光体ドラム106に対向する位置に、一次転写装置118が設けられている。
帯電装置114は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置114は、帯電ローラを感光体ドラム106に接触させて、感光体ドラム106に電圧を印加することにより、感光体ドラム106の表面を一様に帯電する。この帯電装置114としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。
現像装置115は、現像剤中のトナーを感光体ドラム106上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明による第一の実施形態の定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置115は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサーによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。
一次転写装置118は、感光体ドラム106上で可視化されたトナーを中間転写ベルト101に転写する。ここでは、一次転写装置118としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト101を挟んで感光体ドラム106に押し当てている。一次転写装置118としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。
クリーニング装置116は、感光体ドラム106上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置116としては、感光体ドラム116に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置116によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置125に回収され、再利用される。
除電装置117は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム106の表面電位を初期化する。
次に、本発明の実施形態を、実施例及び参考実施例を用いて説明する。なお、実施例、参考実施例、及び比較例におけるトナーを軟化させる液体とは、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる液体であることを意味する。
[実施例1]
トナーを軟化させる液体としての10重量%のコハク酸ジエトキシエチル(LD50=5g/kg)、非水系分散媒(B材)としての89重量%のジメチルシロキサン(粘度:10mPa・秒、LD50=15g/kg)、及び1重量%のW/Oエマルジョン用の分散剤(Span80:HLB値=4.3)の混合物を、ホモミキサーで攪拌し、平均粒径が5μmであるコハク酸ジエトキシエチルの粒子が、ジメチルシロキサン中に分散している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。また、コハク酸ジエトキシエチルの臭気指数が1であり、ジメチルシロキサンの臭気指数が0であり、定着液としての臭気指数は、0であった。なお、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しなかった。さらに、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層が、PPC用紙上に観察された。
[比較例1]
トナーを軟化させる液体としての10重量%のアジピン酸ジイソブチル(LD50=12.3g/kg)及び非水系溶媒としての90重量%のジメチルシロキサン(粘度10mPa・秒、LD50=15g/kg)の混合物を、スターラーで攪拌し、アジピン酸ジイソブチルが、ジメチルシロキサン中に溶解している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、トナー画像の乱れは、観察されなかったものの、20秒後でもウエスで画像の部分を擦ると、ウエスにトナーが付着し、PPC用紙上にトナーが定着しなかった。そのまま、10分間経過後、再びウエスで擦ったところ、ようやくウエスにトナーが付着せず、PPC用紙にトナーが定着していた。
[比較例2]
トナーを軟化させる液体としての7重量%のコハク酸ジエトキシエチル(LD50=5g/kg)、92重量%の水、及び1重量%のノニオン系界面活性剤の混合物を、スターラーで攪拌し、コハク酸ジエトキシエチルが、水中に溶解している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、水が蒸発し、定着液におけるトナーを軟化させる液体の濃度が、増加したため、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。しかしながら、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の所々に、顕著な空白及び若干の画像乱れが観察された。
[実施例2]
トナーを軟化させる液体としての10重量%のコハク酸ジエトキシエチル(LD50=5g/kg)、非水系分散媒(B材)としての89重量%のn−ドデカン(粘度1mPa・秒、LD50>5g/kg)、及び1重量%のW/Oエマルジョン用の分散剤(Span80:HLB値=4.3)の混合物を、ホモミキサーで攪拌し、平均粒径が2μmであるコハク酸ジエトキシエチルの粒子が、n−ドデカン中に分散している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。また、コハク酸ジエトキシエチルの臭気指数が1であり、n−ドデカンの臭気指数が0であり、定着液としての臭気指数は、0であった。なお、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しなかった。さらに、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層が、PPC用紙上に観察された。
[比較例3]
トナーを軟化させる液体としての10重量%のアジピン酸ジイソブチル(LD50=12.3g/kg)及び非水系溶媒としての90重量%のn−ドデカン(粘度1mPa・秒、LD50>5g/kg)の混合物を、スターラーで攪拌し、アジピン酸ジイソブチルが、n−ドデカン中に溶解している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、トナー画像の乱れは、観察されなかったものの、20秒後でもウエスで画像の部分を擦ると、ウエスにトナーが付着し、PPC用紙上にトナーが定着しなかった。そのまま、5分間経過後、再びウエスで擦ったところ、ようやくウエスにトナーが付着せず、PPC用紙にトナーが定着していた。
[参考実施例3]
トナーを軟化させる液体としての30重量%のラウリン酸エチル(LD50=3g/kg)、69重量%の水、及び1重量%のノニオン系界面活性剤の混合物を、ホモジナイザーで攪拌し、ラウリン酸エチルが水中に分散しているO/W型エマルジョン液を調製した。次に、20重量%のこのO/W型エマルジョン液、非水系分散媒(B材)としての79重量%のジメチルシリコーンオイル(粘度10mPa・秒、LD50=15g/kg)、及び1重量%のW/Oエマルジョン用の分散剤(Span80:HLB値=4.3)の混合物を、ホモミキサーで攪拌し、平均粒径が5μmであるO/W型エマルジョン液の粒子が、ジメチルシリコーンオイル中に分散している定着液(O/W/O型エマルジョン液)を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。また、ラウリン酸エチルの臭気指数が13であるが、ジメチルシリコーンオイルの臭気指数が0であり、定着液としての臭気指数は、10であった。なお、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しなかった。さらに、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層が、PPC用紙上に観察された。
[比較例4]
トナーを軟化させる液体としての10重量%のラウリン酸エチル(LD50=3g/kg)及び非水系溶媒としての90重量%のジメチルシロキサン(粘度10mPa・秒、LD50=15g/kg)の混合物を、スターラーで攪拌し、ラウリン酸エチルが、ジメチルシロキサン中に溶解している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、トナー画像の乱れは、観察されなかったものの、20秒後でもウエスで画像の部分を擦ると、ウエスにトナーが付着し、PPC用紙上にトナーが定着しなかった。そのまま、5分間経過後、再びウエスで擦ったところ、ようやくウエスにトナーが付着せず、PPC用紙にトナーが定着していた。
[参考実施例4]
トナーを軟化させる液体としての30重量%のセバシン酸ジブチル(LD50=14.9g/kg)、69重量%の水、及び1重量%のノニオン系界面活性剤の混合物を、ホモジナイザーで攪拌し、セバシン酸ジブチルが水中に分散しているO/W型エマルジョン液を調製した。次に、20重量%のこのO/W型エマルジョン液、非水系分散媒(B材)としての79重量%のn−ドデカン(粘度1mPa・秒、LD50>5g/kg)、及び1重量%のW/Oエマルジョン用の分散剤(Span80:HLB値=4.3)の混合物を、ホモミキサーで攪拌し、平均粒径が2μmであるO/W型エマルジョン液の粒子が、n−ドデカン中に分散している定着液(O/W/O型エマルジョン液)を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。また、セバシン酸ジブチルの臭気指数が13であるが、n−ドデカンの臭気指数が0であり、定着液としての臭気指数は、10であった。なお、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しなかった。さらに、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層が、PPC用紙上に観察された。
[参考実施例5]
トナーを軟化させる液体としての30重量%のアジピン酸ジイソブチル(LD50=12.3g/kg)、69重量%の水、及び1重量%のノニオン系界面活性剤の混合物を、ホモジナイザーで攪拌し、アジピン酸ジイソブチルが水中に分散しているO/W型エマルジョン液を調製した。次に、20重量%のこのO/W型エマルジョン液、非水系分散媒(B材)としての79重量%のn−ウンデカン(粘度1mPa・秒、LD50>5g/kg)、及び1重量%のW/Oエマルジョン用の分散剤(Span80:HLB値=4.3)の混合物を、ホモミキサーで攪拌し、平均粒径が5μmであるO/W型エマルジョン液の粒子が、n−ウンデカン中に分散している定着液(O/W/O型エマルジョン液)を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。また、アジピン酸ジイソブチルの臭気指数が13であるが、n−ウンデカンの臭気指数が0であり、定着液としての臭気指数は、10であった。なお、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しなかった。さらに、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層が、PPC用紙上に観察された。
[実施例6]
トナーを軟化させる液体としての10重量%のセバシン酸ジエトキシエチル(LD50>5g/kg)、非水系分散媒(B材)としての89重量%のジメチルシロキサン(粘度10mPa・秒、LD50=15g/kg)、及び1重量%のW/Oエマルジョン用の分散剤(Span80:HLB値=4.3)の混合物を、ホモミキサーで攪拌し、平均粒径が5μmであるセバシン酸ジエトキシエチルの粒子が、ジメチルシロキサン中に分散している定着液を調製した。
プリンターIpsio CX6100(リコー社製)の定着装置の定着部を加熱することなく、定着装置において、未定着トナー画像が形成されたPPC用紙に、得られた定着液をスプレー塗布し、5秒後、10秒後、20秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、5秒後に、ウエスにはトナーが付着せず、PPC用紙上にトナーが定着していた。また、セバシン酸ジエトキシエチルの臭気指数が1であり、ジメチルシロキサンの臭気指数が0であり、定着液としての臭気指数は、0であった。なお、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しなかった。さらに、定着したトナーの画像の部分を光学顕微鏡で観察したところ、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層が、PPC用紙上に観察された。
実施例1及び比較例1の比較の結果、実施例2及び比較例3の比較の結果、並びに参考実施例3及び比較例4の比較の結果より、トナーを軟化させる液体を、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液が、トナーを軟化させる液体を、非水系溶媒に溶解させた定着液よりも、顕著に高い定着応答性を示すことが確認された。
また、実施例1及び比較例2の比較の結果より、トナーを軟化させる液体を、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液が、トナーを軟化させる液体を、水に分散させた定着液と比較して、定着トナー層の乱れがなく、良好な定着トナー層を提供することができることが確認された。
さらに、参考実施例4、参考実施例5及び実施例6と実施例1、実施例2、及び参考実施例3との比較の結果から、トナーを軟化させる液体を水に分散させて得られる水系の分散系を、粒子として非水系分散媒(B材)に分散させた定着液も、トナーを軟化させる液体を、直接、非水系分散媒(B材)に分散させた定着液と同様に、顕著な定着応答性を示すことが確認された。
なお、実施例1〜実施例2、参考実施例3、参考実施例4、参考実施例5、及び実施例6で得られた定着液の臭気指数は、10以下であり、トナー画像の定着時において、実験室内に不快臭は発生しないことも確認された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
[付記]
付記(1):樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させる定着液において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分を含む粒子が、非水系分散媒に分散されていることを特徴とする定着液。
付記(2):前記粒子は、液体であることを特徴とする付記(1)に記載の定着液。
付記(3):前記粒子は、前記トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分を含む単一の相からなることを特徴とする付記(1)又は(2)に記載の定着液。
付記(4):前記粒子は、前記トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分及び前記トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分を溶解又は分散させる溶媒又は分散媒を含むことを特徴とする付記(1)又は(2)に記載の定着液。
付記(5):前記粒子の体積平均粒径は、0.1μm以上であることを特徴とする付記(1)乃至(4のいずれか一つに記載の定着液。
付記(6):前記粒子の体積平均粒径は、6μm以下であることを特徴とする付記(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(7):前記非水系分散媒に含まれる前記粒子の含有量は、0.5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする付記(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(8):前記トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分は、脂肪族エステルを含むことを特徴とする付記(1)乃至(7)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(9):前記脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含むことを特徴とする付記(8)に記載の定着液。
付記(10):前記飽和脂肪族エステルは、一般式R
1
COOR
2
で表される化合物を含み、R
1
は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R
2
は、炭素数が1以上3以下のアルキル基であることを特徴とする付記(9)に記載の定着液。
付記(11):前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことを特徴とする付記(8)乃至(10)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(12):前記脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式R
3
(COOR
4
)
2
で表される化合物を含み、R
3
は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R
4
は、炭素数が2以上5以下のアルキル基であることを特徴とする付記(11)に記載の定着液。
付記(13):前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことを特徴とする付記(8)乃至(12)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(14):前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R
5
(COOR
6
−O−R
7
)
2
で表される化合物を含み、R
5
は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R
6
は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R
7
は、炭素数が1以上4以下のアルキル基であることを特徴とする付記(13)に記載の定着液。
付記(15):前記非水系分散媒は、n−アルカンを含むことを特徴とする付記(1)乃至(14)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(16):前記非水系分散媒は、ジメチルシリコーンを含むことを特徴とする付記(1)乃至(15)のいずれか一つに記載の定着液。
付記(17):樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させるトナーの定着方法において、付記(1)乃至(16)のいずれか一つに記載の定着液を用いることを特徴とするトナーの定着方法。
付記(18):樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させるトナーの定着方法において、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる成分を含み、かつ、記録媒体を通過しない粒径を有する粒子が、非水系分散媒に分散されている定着液を用いることを特徴とするトナーの定着方法。
付記(19):前記粒子は、トナーの平均粒径以下の粒径を有することを特徴とする付記(18)に記載のトナーの定着方法。
付記(20):付記(17)乃至(19)のいずれか一つに記載のトナーの定着方法を用いて、樹脂を含むトナーを記録媒体に定着させることを特徴とするトナーの定着装置。
付記(21):樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する画像形成方法において、付記(17)乃至(19)のいずれか一つに記載のトナーの定着方法を用いることを特徴とする画像形成方法。
付記(22):付記(21)に記載の画像形成方法を用いて、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成することを特徴とする画像形成装置。