JP2012189881A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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豊志 澤田
Masayuki Ishii
雅之 石井
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陽一郎 渡辺
Yasusada Shidara
泰禎 設楽
Yasuo Katano
泰男 片野
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Abstract

【課題】軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる際に、さらに迅速に定着することができる静電荷像現像用トナー、定着方法および画像形成方法を提供すること。
【解決手段】当該静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に定着される静電荷像現像用トナーであって、トナー母体と、該トナー母体表面に付着してなる外添剤と、を備え、前記外添剤は、表面に無機層を有する樹脂微粒子を含有し、予め前記樹脂微粒子の表面に無機層を形成し、次いで、当該表面に無機層を有する樹脂微粒子をトナー母体表面に付着して得られることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、定着液を用いて記録媒体に定着される静電荷像現像用トナー、定着方法および画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、定着速度、定着画像品質等の点から、記録媒体上のトナーを加熱溶融し、加圧することで定着させる熱定着方式が広く普及している。
しかしながら、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、トナーの加熱のために消費されており、環境問題の観点から低消費電力(省エネ)の定着装置が望まれている。
このような定着装置として、特許文献1(特開2006−133306号公報)には、定着液でトナーを溶解又は膨潤させ、乾燥させることでトナーを定着させる方法が提案されている。
また、特許文献2(特開2009−008967号公報)には、トナーの樹脂を溶解または膨潤させる軟化剤を含有した泡状定着液を調合し、泡状定着液を均一塗布することでトナー画像を乱すことなく非加熱定着させる方法が提案されている。
さらに、特許文献3(特開2008−139504号公報)には、トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体にトナーを定着させる定着方式において、トナーを高速かつ少量で定着することが可能な定着方法を提供する目的で、軟化剤をトナー重量に対して3重量%で添加してDSC測定を行なった際に、トナーの吸熱ショルダーのシフト幅ΔTが30℃以上である軟化剤とトナーを用いる定着方法が記載されている。この条件を満たすトナーと軟化剤を用いることで、軟化剤が少量の場合でもトナーと軟化剤の相溶性が充分であるため、トナーを充分軟化させることが可能となり、定着速度の高速化への対応が可能となる。
これらの定着方式では、熱定着方式のように、トナーを溶融させるための加熱処理が不要であることから、消費電力が低く、省エネ対策として優れた定着方式である。
しかしながら、このように定着液でトナーを溶解又は膨潤させ、乾燥させることでトナーを定着させる非加熱方式は、熱定着方式と比べて定着に要する時間が長いという問題があった。換言すると、プリント速度の高速化に対応できないという問題があった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる際に、さらに迅速に定着することができる静電荷像現像用トナー、定着方法および画像形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る静電荷像現像用トナー、定着方法および画像形成方法は、具体的には下記(1)〜(6)に記載の技術的特徴を有する。
(1):当該静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に定着される静電荷像現像用トナーであって、トナー母体と、該トナー母体表面に付着してなる外添剤と、を備え、前記外添剤は、表面に無機層を有する樹脂微粒子を含有し、予め前記樹脂微粒子の表面に無機層を形成し、次いで、当該表面に無機層を有する樹脂微粒子をトナー母体表面に付着して得られることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
(2):前記無機層は、シリカ微粒子で形成されていることを特徴とする上記(1)に記載の静電荷像現像用トナーである。
(3):前記樹脂微粒子は、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマーまたはメタクリル酸エステルモノマーからなる重合体を含み、架橋されてなることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の静電荷像現像用トナーである。
(4):前記樹脂微粒子は、ソープフリー重合法により製造され、かつ、個数平均粒径が50〜1000nmであることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
(5):上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に当該静電荷像現像用トナーを定着させることを特徴とする定着方法である。
(6):上記(5)に記載の定着方法を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法である。
本発明によれば、軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる際に、さらに迅速に定着することができる静電荷像現像用トナー、定着方法および画像形成方法を提供することができる。
本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置の一態様を示す概略図である。 図1に示す画像形成装置の画像形成部の拡大図である。 図1に示す画像形成装置の定着部の拡大図である。 本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置のその他の態様を示す概略図である。 本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置のさらにその他の態様における定着液塗布部の構成を示す概略図である。 図5における泡状定着液の構成を模式的に示した図である。 本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置のさらにその他の態様における泡状定着液生成部の構成を示す概略図である。 本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置のさらにその他の態様における泡状定着液付与部の構成を示す概略図である。 図8に示す画像形成装置の泡状定着液付与部の拡大図である。 本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置のさらにその他の態様における膜厚調整部の構成を示す概略図である。 図10に示すよりも厚い膜厚としたときの構成を示す概略図である。 本発明に係る画像形成方法を実施するための画像形成装置のさらにその他の態様における定着部の構成を示す概略図である。 図12に示す定着部の変形例である。 図12に示す定着部のその他の変形例である。
非加熱定着方式を採用した電子写真方式の画像形成装置では、定着方式のみが変更され、定着以外の工程(トナー補給、現像、転写、クリーニング)は変更されない。従って、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電性については非加熱定着方式の装置においても必要である。
トナーに流動性、帯電性を付与して、トナー補給性や現像性、転写性を向上させるために外添剤が用いられる。この外添剤には主として疎水化処理されたシリカやチタニア、アルミナ等の無機微粒子が用いられている。
本発明者らは、トナー母体粒子の表面に外添剤が存在することにより、定着液がトナー母体に接触する(トナー母体が定着液で濡れる)ことを阻害し、非加熱定着方式における定着速度を低下させていることを見出した。ところが、外添剤を添加しなければ定着速度は向上するが、補給性や現像性、転写性が低下する。
(樹脂微粒子の効果)
そこで、水系定着液と親和性の高い水系で造粒された親水性の樹脂微粒子を外添剤として使用することにより、定着速度の向上と補給性や現像性、転写性の両立が図れることを見出した。親水性の樹脂微粒子は水系定着液と接触しやすく、かつ定着液により軟化しやすいことから、疎水系の無機微粒子に較べて外添剤自身が定着液により軟化しやすい。さらに、親水性の樹脂微粒子がトナー母体表面に存在することで、外添剤が変形し、トナー層の空隙が減少し定着液とトナー母体の接触も容易となり、高トナー付着量の画像を少量の定着液と短時間の定着時間でも定着しやすくなる。
(表面にシリカやチタニア、アルミナ等の無機微粒子を付着させた表面処理樹脂微粒子の効果)
また、本発明者らは、樹脂微粒子表面にシリカやチタニア、アルミナ等の無機微粒子を付着させた表面処理樹脂微粒子を外添剤として用いることで、樹脂微粒子を外添剤として用いた場合に較べていわゆるオフセットなどの定着不良部位の発生が起こりにくくなることを見出した。
樹脂微粒子を外添剤として用いた場合に較べて、樹脂微粒子表面に存在する無機微粒子が有する高帯電性・高流動性によりトナー母体への付着性が向上した結果、トナー母体粒子への付着性を向上させることができる(=トナー表面に付着せず遊離した樹脂微粒子が減る、もしくは樹脂微粒子がより均一のトナー母体表面に付着している)効果により、定着液とトナー母体の接触がより均一になる(=遊離した樹脂微粒子の存在に起因する定着液とトナー母体との接触不良個所の発生が減る)ため、高トナー付着量の画像を少量の定着液と短時間の定着時間で定着した場合にも、定着不良個所のオフセットの発生を抑制することができると考えられる。さらに、トナー母体よりも比重の大きい無機微粒子のみをトナー母体に混合する場合に較べ、無機微粒子を付着させた表面処理樹脂微粒子をトナー母体と混合した場合のほうがトナー母体との比重差が小さいことからより、ミキサー等での外添剤混合工程で均一な付着状態を得ることができると考えられる。
(非加熱定着との組み合わせで顕著に効果がある理由)
ここに挙げた疎水性樹脂微粒子を外添剤として用いる事例も多くあり、また熱定着方式においても樹脂微粒子は無機微粒子に較べて熱により軟化する効果が期待される。しかし、熱定着方式では外添剤が溶けなくとも、すなわち定着ローラとトナー母体が直接接触しなくとも、定着ローラにより与えられる熱量が外添剤を経由してトナー母体に伝導すればトナー母体が溶融しトナーが定着する。すなわち、外添剤が溶けなくとも、外添剤の熱伝導効率が優れていれば、外添剤の存在が大きく定着性を損なうことはない。
これに対して、非加熱定着方式では定着液がトナー母体に直接接触することがなければトナー母体が軟化しない。すなわち、定着液とトナー母体の直接接触を外添剤が妨げることが問題であるため、外添剤は定着時には存在しない状態が理想である。
そこで、外添剤に樹脂微粒子を用いることで、樹脂微粒子自身が定着液との接触で軟化し、トナー母体とほぼ一体化しうること、定着液とトナー母体の直接接触が容易となり少量の定着液塗布量・短時間の定着時間でも定着しやすくなることなど、外添剤として樹脂微粒子を用いる効果は熱定着方式に較べ著しく大きいものである。
また、前述のように、無機微粒子を付着させた表面処理樹脂微粒子をトナー母体と混合した場合のほうが、無機微粒子をトナー母体と混合した場合、あるいは樹脂微粒子をトナー母体と混合した場合に較べてミキサー等での外添剤混合工程で均一な付着状態を得ることができる。このように均一な付着状態のトナーを定着した場合には定着液の浸透が均一であるためオフセットが発生しにくいのみでなく、定着後の画像の変化(定着後に、画像内で偏在する定着液が画像内部で徐々に拡散浸透し、定着液濃度の不均一さを解消しようとする現象、定着液の塗布量が多いときに生じる)、具体的には画像のべたつきなどの不具合が生じにくいため、非表面処理樹脂微粒子よりもさらに好ましい。
一方、外添剤のトナー母体への付着性が悪く、付着せずに遊離した外添剤が多い/付着状態にムラがある場合にはこのような不具合が生じやすい。1次粒径が30nmより大きい外添剤(樹脂微粒子)ではトナー母体との付着性が低くこのような不具合が生じやすい。また、トナーとの比重差が大きい外添剤(無機微粒子)でもトナー母体との付着性が低くこのような不具合が生じやすい。これに対して、樹脂微粒子表面にシリカ微粒子を付着させることでトナー母体への外添剤の付着性が大幅に向上し、オフセットや定着後の画像のべたつきが生じにくいため、より好ましい。このような不具合は通常の熱定着では起こらない、非加熱定着特有の問題であるといえる。
そして、本発明に係る静電荷像現像用トナーは、当該静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に定着される静電荷像現像用トナーであって、トナー母体と、該トナー母体表面に付着してなる外添剤と、を備え、前記外添剤は、表面に無機層を有する樹脂微粒子を含有し、予め前記樹脂微粒子の表面に無機層を形成し、次いで、当該表面に無機層を有する樹脂微粒子をトナー母体表面に付着して得られることを特徴とする。
次に、本発明に係る静電荷像現像用トナーについてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
〔トナー用材料〕
トナー材料としては、外添剤以外は従来の静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーとも称する。)と全く同じ物が使用できる。
すなわち、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂、等の結着樹脂中に着色剤等を分散させることによって得られたトナー母体粒子に、ミキサーなどを用いて外添剤を均一に付着させることによりトナーが得られる。
以下に本発明で使用できるトナー材料についてより詳細に説明する。
<樹脂微粒子外添剤>
本発明において外添剤として用いる樹脂微粒子としては、後述するトナー母体の結着樹脂に通常用いられる樹脂からなる微粒子であることが好ましいが、微粒子を製造するという観点から、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマー、またはメタクリル酸エステルモノマーからなる重合体を含み、架橋された樹脂微粒子がより好ましく使用される。
また、樹脂微粒子の表面性・製法については、定着液が水系のため、樹脂微粒子は親水性表面を持つことが好ましい。その面からは、水系でモノマーが重合・粒子化する重合法・製法で製造されることが好ましい。具体的にはソープフリー重合法が上記の要件を満たす製法として挙げられる。
樹脂微粒子の粒径・比重は、トナー表面への付着性という観点から個数平均粒径50〜1000nm、真比重が0.8〜2.0g/cmであることが好ましい。真比重が0.8g/cm未満では材料の強度が不足する場合があり、2.0g/cmを超えると、混合時の混合性(混合の均一性)に劣る場合があるからである。
ここで、個数平均粒径は、例えば、電子顕微鏡用観察基板に樹脂微粒子を外添したトナーを付着させ、トナーの付着した観察基板を金でコーティングし、トナーの表面を電子顕微鏡(日立製作所製走査電子顕微鏡S−4500)で観察した。トナー表面を3万倍に拡大した画像をプリントして1次粒子をサンプルとして任意に50サンプル抽出し、その長軸径の個数平均値を樹脂微粒子の粒径とした。また、無機微粒子の粒径についても同様にして求めた。
真比重は、例えば、乾式自動密度計(島津製作所社製、アキュピック1330)により測定することができる。
樹脂粒微子のガラス転移温度が65℃未満では高温高湿下でのトナーとしての保管性に問題が発生する場合があり、好ましくない。
樹脂微粒子の具体例としては、綜研化学株式会社のMP−300、MP−1451、MP−2200、MP−1000、MP−2701、MP−5000、MP−5500、MP−4009、MP−1600等が挙げられる。
<表面にシリカ層を有する樹脂微粒子外添剤>
本発明において外添剤として用いる樹脂微粒子は、表面に無機層を有することが好ましく、特に、表面にシリカ層を有することが好ましい。この表面にシリカ層を有する外添剤としては、前述の樹脂微粒子の表面に、樹脂微粒子より粒径の小さなシリカ微粒子を付着させる、あるいは析出させることで表面にシリカ被膜層を形成することにより作られる。
尚、以下においては特に好ましい例として、無機層としてのシリカ層(シリカ微粒子が付着してなる層、あるいはシリカを析出させて形成するシリカ被膜層)について述べるが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、シリカ層以外にも周知慣用の無機材料を用いて無機層を形成しても良く、例えば、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミ(アルミナ)、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
具体的な製法としては、下記(i)及び(ii)に記載の方法が挙げられる。
(i)樹脂微粒子の表面にシリカ微粒子を付着する方法
樹脂微粒子の表面に、この樹脂微粒子よりも粒径が小さいシリカ微粒子を加え、粉体混合装置、例えばOMダイザー、タービュラーミキサー、レーディゲミキサー、ヘンシェルミキサー等に投入し、混合撹拌して静電気的に樹脂微粒子の表面にシリカ微粒子を付着させ、次いで、樹脂微粒子とシリカ微粒子の均一な混合物を通常の衝撃式粉砕装置を改良した装置に移し、混合物に衝撃力を1〜20分間にわたり繰返して付与する方法である。この方法は機械的な衝撃力をもって大きな樹脂微粒子の表面に小さなシリカ微粒子を付着させる。
シリカ微粒子としては、シリカ(酸化ケイ素)また疎水化されたシリカを用いることができ、例えば後述する無機微粒子外添剤に用いられるものが具体例として挙げられる。
ここで、シリカ微粒子による樹脂微粒子の表面被覆は、表面を完全に一層被覆する量未満であることが好ましい。樹脂微粒子の表面に、シリカ微粒子(被覆部位)と樹脂微粒子(未被覆部位)とが同時に存在することで樹脂微粒子表面にシリカ微粒子の特性を付与するためである。これより、表面にシリカ微粒子を有する樹脂微粒子製造時のシリカ微粒子の添加量については、樹脂微粒子およびシリカ微粒子をおのおの1次粒子径の直径を有する球形粒子であると仮定して、次式で定義される被覆率より求める。
被覆率=(投入したシリカ微粒子の総投影面積)/(投入した樹脂微粒子の総表面積)
この式において、計算上シリカ微粒子が樹脂微粒子を被覆可能な添加量は被覆率が1以下の範囲であり、好ましくは0.01〜0.4であることが好ましい。
被覆率が0.01より少ないと、シリカ微粒子の被膜が充分でなくなってしまい、シリカ微粒子による被覆効果が損なわれてしまう。一方、0.4より多くなってしまうとシリカ微粒子の被膜量が過剰になってしまい、樹脂微粒子の特性が失われてしまう。
(ii)樹脂微粒子表面にシリカを析出させシリカ被膜層を形成する方法
水系溶媒中にシランアルコキサイドを溶解させると共に樹脂微粒子を分散させた状態でアルカリを滴下し、シランアルコキサイドを加水分解させる方法。この方法では加水分解・重縮合したシランアルコキサイドは樹脂微粒子上に堆積しシリカ被膜層となる。
<無機微粒子外添剤>
本発明では、前述の樹脂微粒子または表面に無機層を有する樹脂微粒子と共に、無機微粒子外添剤を用いることができる。
本発明でいう無機微粒子外添剤とは、無機微粒子及びその疎水処理された微粒子をいう。例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミ(アルミナ)、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、特に酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミ(アルミナ)が好ましく用いられる。
これらの無機微粒子の製法は任意のもので良く、気相法、湿式法(沈降法)、ゾルゲル法などによって得ることができる。
疎水化処理剤としては以下のものが例示される。
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンジル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジブセニル−ジクロルシラン、ジビニルジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルペンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン、アミノシラン、シリコンオイルなど。
無機微粒子外添剤、樹脂微粒子外添剤ともに、母体トナーに対して0.1〜7質量%が好ましく、0.3〜4質量%がより好ましい。
外添剤の混合は、一般の粉体の混合機を適宜選択して使用することができ、例えば、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。
<トナー母体>
トナー母体は、結着樹脂と、着色剤と、を含有し、磁性体、その他、帯電制御剤等の周知慣用の材料を含有しても良い。
<トナー製造方法>
トナー母体粒子の製造は混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合・凝集法、乳化・収斂法、噴射造粒法など従来公知の方法を用いることができる。
<結着樹脂>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー。
本発明に係る静電荷像現像用トナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用結着樹脂に定着性、耐オフセット性を付与できる点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明では、ビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布10万以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5千〜3万の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5千〜2万の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量(数平均分子量換算)3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在することが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
本発明において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
本発明に係る静電荷像現像用トナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれかの中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1):試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2):300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3):0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4):この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定してこの時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式(A)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W ・・・式(A)
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であることが好ましく、40〜75℃であることがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明に係る静電荷像現像用トナーで用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練される樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、この他、先にあげた結着樹脂に用いられる樹脂などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤と共に混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
<顔料分散剤>
本発明に係る静電荷像現像用トナーには、顔料分散剤を含有することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100000が好ましく、顔料分散性の観点から、3000〜100000がより好ましい。特に、5000〜50000が好ましく、5000〜30000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
<磁性体>
本発明で使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
磁性体として具体的に例示すると、Fe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe1219、NiFe、NdFe、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が好適に挙げられる。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、などが挙げられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されていることが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、磁性体の磁気特性としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、前述の着色剤としても使用することができる。
<帯電制御>
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
帯電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、添加剤の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。0.1重量部未満であると帯電制御剤の効果が充分得られない。
これらの帯電制御剤はマスターバッチ、結着樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
<キャリア>
本発明に係る静電荷像現像用トナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。前記キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。
該被覆材に使用する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆(コート)材として使用できる樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。
前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の割合としては、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
2種以上の混合物の被覆(コート)剤で磁性体を被覆する使用例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものが挙げられる。
前記樹脂中、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂が好適に使用され、特にシリコーン樹脂が好ましい。
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの合金を用いることができる。
また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの中でも特に、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが好適に挙げられる。
前記キャリアの抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して10〜1010Ω・cmにするのがよい。
前記キャリアの粒径としては、4〜200μmのものが使用できるが、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。特に、樹脂コートキャリアは、50%粒径が20〜70μmであることが好ましい。
2成分系現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明の静電荷像現像用トナー1〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、静電荷像現像用トナー2〜50質量部で使用することがより好ましい。
<液状定着液>
トナー定着液としての液状定着液は、静電荷像現像用トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分と水系分散媒と、非水系分散媒からなる。
即ち、液状定着液は、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分を水系分散媒に分散させて調整した水系の分散媒を非水系分散媒に分散して形成され、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させてトナーを記録媒体に定着させる。
ここで、樹脂の少なくとも一部とは、静電荷像現像用トナーに含有される結着樹脂及び樹脂微粒子の少なくとも一部のことを指し、特に結着樹脂及び樹脂微粒子のそれぞれの少なくとも一部を含むことが好ましい。
即ち、以下において樹脂を軟化させる軟化剤とは、静電荷像現像用トナーに含有される結着樹脂及び樹脂微粒子の少なくとも一部を軟化させることが好ましく、特に結着樹脂及び樹脂微粒子のそれぞれの少なくとも一部を軟化させることが好ましい。
静電荷像現像用トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分、換言すると、静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤としては特に限定されないが、具体例としては脂肪族エステルを使用する。
この脂肪族エステルは飽和脂肪族エステルを含むことが好ましい。脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルを含む場合にはトナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を膨潤・軟化させる成分の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。
前記飽和脂肪族エステルは、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は炭素数が1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。この飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は炭素数が1以上3以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
前記脂肪族エステルである脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは非水系分散媒に溶解するが、水系分散媒には溶解しない。したがって脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては水系分散媒に分散させてトナー定着液を得ることができる。
また、脂肪族エステルは脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解または膨潤させることができる。
また、脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含むことが好ましい。ここでR3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が2以上5以下のアルキル基である。脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物を含み、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が2以上5以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
前記脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。前記脂肪族エステルであるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは非水系分散媒に溶解するが、水系分散媒には溶解しない。したがって脂肪族ジカルボン酸エステルの多くについては、水系分散媒に分散させてトナー定着液を得ることができる。
さらに、トナー定着液を形成する脂肪族エステルは脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含むことが好ましい。脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物を含み、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナー3に含まれる樹脂に対する膨潤・軟化性を向上させることができる。
前記脂肪族エステルである脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。前記脂肪族エステルであるこれらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの多くは水に若干溶解する(若干水性である)。したがって前記脂肪族エステルである脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの多くについては、直接、粒子として非水系媒体に分散させることによってトナー定着液を得ることができる。
水系分散媒は単価又は多価のアルコール類、例えばエタノール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン等を含んでいても構わない。水系分散媒がエタノールを含む場合は、エタノールは人体に対して極めて安全な材料であり、揮発性有機物の中で唯一、オフィス環境でも使用が可能となる材料である。しかも各種の多孔質部材に対して優れた浸透性を示す材料であり、分散媒として記録媒体への優れた浸透性が得られ、定着応答性の向上が図れる。
非水系分散媒はn−アルカンを含むことが好ましい。n−アルカンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを顕著に濡らすことができる。すなわち、パラフィン系溶剤であるn−アルカンは25mN/m以下の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。その結果、トナー定着液を記録媒体に載せた撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを低減することができる。例えば、n−アルカンのうちデカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカンは低い揮発性を有し、これらのn−アルカンのいずれかを用いることが好ましい。
また、非水系分散媒はジメチルシリコーンを含んでいてもよい。非水系分散媒がジメチルシリコーンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。すなわち、シリコーン系溶剤であるジメチルシリコーンは20mN/m程度の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。その結果、トナー定着液を記録媒体に載せた撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを低減することができる。例えば、3mPa・秒以上の粘度を有するジメチルシリコーンは低い揮発性を有し好ましい。
<泡状定着液>
泡状定着液は、定着液を泡状とする起泡剤と、トナー等の樹脂を軟化させる可塑剤(静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤)と、を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<固体可塑剤>
固体可塑剤は、常温で固体であり、かつ、後述の希釈剤に可溶であって、この希釈剤に溶解している状態でトナーなどの樹脂を軟化させる得る限り、特に制限はない。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃であることが好ましい。この常温の範囲内であると、固体可塑剤は固体状態となる。すなわち、泡状態の定着液においては水を含むために固体可塑剤は溶融している状態にあるが、未定着のトナーに付与され、該トナーに浸透し、さらにトナーに浸透した定着液の水分が気化などにより量が低下した場合には、前記固体可塑剤は固体の状態に変化する。固体可塑剤を含む定着液を用いた場合には、このように、固体可塑剤が固体の状態に変化する点に注目し、この特性を利用することで定着液付与後のトナー固さを高めることができる。また、常温における適当な条件下で固体可塑剤が樹脂に対する可塑能力を発揮するとともに、可塑能力を失い固体の状態となると、それ自体が硬化し、タックの防止に寄与することとなる点で、好ましい。
固体可塑剤としては、例えば、被定着物である樹脂と一定の相溶性を有するなどの親和性を有する官能基を有することが好ましい。ここでいう親和性を有する官能基とは、好ましくは、樹脂を構成する分子に含まれる官能基と、固体可塑剤に含まれる官能基とが同一である場合に加え、これらの官能基間で一定の相互作用をし得る官能基を有することを意味する。固体可塑剤に含まれる官能基が樹脂を構成する分子と一定の相互作用をし得る官能基を有すると、これらの官能基の相互作用により樹脂を構成する分子間に固体可塑剤が進入するきっかけとなり、結果として、固体可塑剤と樹脂との間でいわゆるポリマーブレンドの状態を形成し、固体可塑剤がトナーなどの樹脂の少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる際に効果的であるためである。具体的な例を挙げると、固体可塑剤がポリエチレングリコールであって、該ポリエチレングリコールにエチレンオキサイド基が含まれる。そして、対応する樹脂には、樹脂分子中にエチレンオキサイド基を含む組合せがそれに相当する。このような場合、固体可塑剤と樹脂の両者にエチレンオキサイド基が含まれ、これにより親和性を高めることで、両者の相溶性を高める効果を奏するものである。一方、この考え方は、固体可塑剤と樹脂の両者に親和性を有する官能基を有することで成り立つため、前記エチレンオキサイド基に限定されることはなく、他の例としては、プロピレンオキサイド基を利用してもよく、さらには、公知のトナーに含まれる官能基を固体可塑剤内に含ませる場合も有効に作用する。
固体可塑剤としては、上記の要件のほか、一定の条件下で可塑能力を発揮するものが挙げられ、例えば、下記のものが挙げられる。
(1)後述の希釈剤に溶解することで可塑能力が発揮されるもの:
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が1,000〜2,000のもの
(2)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが後述の液体可塑剤が少量存在すると可塑能力が発揮されるもの:
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000のもの
(3)希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが若干の加温(例えば、50℃〜100℃程度)により可塑能力が発揮されるもの:
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、分子量が2,000〜10,000のもの
ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類:ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノセチルエーテルなど
上記(1)で例示したポリエチレングリコールの分子量が、1,000未満であると、周囲環境によって定着画像が溶融する場合があり、2,000を超えると、前記常温状態で固体状態ではなくなるため、固体可塑剤のみを利用し、任意成分である後述の液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては十分な可塑能力が発揮できない場合がある。このような技術的な意義のもと、前記分子量は、1000〜2000であることが好ましい。
上記(2)で例示したポリエチレングリコールの分子量が、10,000を超えると、常温状態で明らかに固体状態ではなくなるため、被定着物である樹脂間に粒界が生じてしまう場合がある。このような観点から、固体可塑剤のみを利用し、液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては、分子量が10000以上である場合は使用が困難であることを明らかにすると共に、定着液に水を含む態様にて使用される場合には、分子量を1000から10000が使用可能な分子量であることを見出した。
上記(3)に例示の固体可塑剤の加温の温度としては、可塑能力が発揮できる範囲であれば、特に制限はないが、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
固体可塑剤の含有量としては、特に制限はないが、定着液の質量に対して、5質量%〜30質量%であることが好ましい。含有量が、5質量%未満であると、定着が困難となるためであり、30質量%を超えると、定着液及び泡状定着液としての粘度が高くなり、加えて泡立ちの悪さや、泡としての安定性に欠け、品質上問題が生じる。
<液体可塑剤>
定着液は、液体可塑剤を有してもよい。希釈剤に可溶であって、一定の条件下で可塑能力を発揮するものであれば、特に制限はなく、例えば、単独で可塑能力を発揮してトナーを構成する樹脂の少なくとも一部を溶解乃至膨潤させることで樹脂を軟化させるものであってもよいが、上記の固体可塑剤と組み合わせることで可塑能力を発揮するものであってもよい。液体可塑剤の例としては、一定の条件下で溶解性乃至膨潤性に優れている点で、エステル化合物が挙げられる。このエステル化合物のなかでも、樹脂の軟化能力が優れている点、又は後述する希釈剤による起泡性の阻害の程度が低い点で、脂肪族エステル又は炭酸エステルが、より好ましい。
液体可塑剤は、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましく、5g/kg以上であることがより好ましい。液体可塑剤として、前記の脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高いものであることから、特に好ましい。
また、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、液体可塑剤は、トナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。この点で、液体可塑剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。前記の脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し刺激臭を持たない点で、より好ましい。
−脂肪族エステル−
前記の脂肪族エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであってもよい。
−−飽和脂肪族エステル−−
前記の脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルである場合には、液体可塑剤の保存安定性(酸化、加水分解等に対する耐性)を向上させることができる。また、前記の飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内等の短時間で溶解乃至膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解乃至膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
定着液において、好ましくは、前記の飽和脂肪族エステルの一般式は、R1COOR2で表される化合物であってもよく、ここでR1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R1及びR2の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、前記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物であり、R1が、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2が、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。
−−脂肪族モノカルボン酸エステル−−
前記の脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族モノカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸エステル−−
前記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルであってもよい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解乃至膨潤させることができる。
定着液において、好ましくは、前記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、R3(COOR4)で表される化合物であって、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基であってもよい。R3及びR4の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
前記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)で表される化合物であって、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂微粒子に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。
前記の脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばコハク酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族ジカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル−−
更に、本発明による定着液において、前記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであることが好ましい。前記の脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルである場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
定着液に含まれる液体可塑剤において、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物であって、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基であってもよい。R5、R6及びR7の炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)で表される化合物であって、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。あるいは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルではないが、R7を炭素数1以上4以下のアルコキシ基としてもよく、例えば、脂肪酸ジカルビトール類などのコハク酸ジカルビトールが挙げられる。
−炭酸エステル−
液体可塑剤の一例である炭酸エステルとしては、例えば炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)などの環状エステル類、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
また、前記以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物等が挙げられる。
液体可塑剤の含有量は、定着液の質量に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましい。含有量が、0.5質量%未満であると、トナーに含まれる樹脂を溶解乃至膨潤させる効果が不十分になることがあり、50質量%を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
<溶解助剤>
定着液は、定着液中の液体可塑剤を溶解する目的で、溶解助剤を含有してもよい。
溶解助剤としては、液体可塑剤を溶解させ得るものであれば、特に制限はなく、多価のアルコール類が挙げられる。この多価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが挙げられる。なかでも、液体可塑剤が高濃度でも溶解可能であり且つ起泡剤の起泡性を劣化させない点で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールであることが好ましい。
前記多価のアルコール類の含有量は、定着液の質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。含有量が、30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化するため適さず、1質量%未満では、定着液中の液体可塑剤濃度が高くなると希釈溶液である水に液体可塑剤が溶解しにくくなる場合がある。
<増泡剤>
定着液は、泡状化されて、後述の泡状定着液として、トナーの定着に用いられるところ、塗布接触ニップ部にてトナー等の微粒子層に泡状定着液を押し込みながら浸透させる際に泡が破泡すると浸透阻害となる。そこで、本発明による定着液は、このような現象を抑え泡沫安定性を向上させる目的で、増泡剤をさらに有してもよい。
増泡剤としては、特に制限はないが、脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましく、泡沫安定性の点で、脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型であることがより好ましい。
増泡剤の含有量としては、定着液の質量に対して、0.01質量%〜3質量%であることが好ましい。
<起泡剤>
本発明における定着液に含まれる起泡剤としては、定着液を泡状化するものであれば、特に制限はなく、優れた起泡性と泡沫安定性を実現することができる。
起泡剤としては、飽和若しくは不飽和の脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩若しくはアルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、又はモノアルキルリン酸塩等のリン酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
−脂肪酸塩−
起泡剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩又は脂肪酸アミン塩であることが好ましく、脂肪酸アミン塩であることがより好ましい。
これらの脂肪酸塩の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで製造してもよい。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩とを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
起泡剤として用い得る不飽和脂肪酸塩としては、特に制限はないが、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸塩が好ましい。具体的には、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩が挙げられる。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を一種単独又は二種以上を混合して起泡剤として用いてもよい。また、上記の飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩とを混合して起泡剤として用いてもよい。
液体可塑剤は、消泡作用が強く、定着液中で液体可塑剤の濃度上昇と共に、定着液の起泡性及び泡沫安定性が悪くなり、なかなか起泡しなくなり、泡が直ぐに破泡するため、泡密度の低い泡状定着液を得ることができなくなることがある。
そこで、定着液中の液体可塑剤濃度を高めたときの起泡性が劣化してしまうことを解消するため、起泡剤としてアニオン系界面活性剤のうちで炭素数12〜18の脂肪酸塩を用い、更に炭素数12〜18の脂肪酸を定着液中に含有することにより、液体可塑剤の濃度が高くなっても、定着液の起泡性を維持できる。
ここで、定着液に含まれる起泡剤において、脂肪酸塩の炭素数としては、単に水を起泡する場合と比較して起泡性に優れている点で、12〜18であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸塩(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸塩(炭素数18)が挙げられる。
起泡剤として用いられる脂肪酸塩と共に用いられる脂肪酸と、液体可塑剤との作用について説明する。液体可塑剤としてエステル化合物を用いた場合、エステル化合物はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、液体可塑剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基とが定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させると考えられる。
起泡剤として用い得る炭素数12〜18の脂肪酸塩において、炭素数が少ないほうが起泡性に優れているが泡沫安定性が悪く、炭素数が多いほうが起泡性にあまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、この脂肪酸塩としては、単独の脂肪酸塩を用いてもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩であって異なる炭素数を有する複数の脂肪酸塩を混合する方がより好ましい。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、ラウリン酸塩(炭素数12)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましいが、これに限られるものではない。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ラウリン酸塩:ミリスチン酸塩:パルミチン酸塩:ステアリン酸塩の質量比で、0:6:3:1、0:4:3:1、1:5:3:1、1:4:4:1等が適する。
起泡剤の含有量は、定着液の質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、起泡性が不十分になることがあり、20質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで、液体可塑剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。液体可塑剤の濃度が、10質量%未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性に問題はない。しかし、液体可塑剤の濃度が10質量%以上、特に液体可塑剤の濃度が30質量%以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる場合がある。起泡性が悪くなった場合であっても、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる場合がある。このような場合、起泡性が優れている点で、脂肪酸塩のモル数は、脂肪酸のモル数以上のモル数としてもよく、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、5:5〜1:9の範囲としてもよい。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩との組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンであり脂肪酸がステアリン酸である組合せや、脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムであり脂肪酸がステアリン酸である組み合わせのように、炭素数が12〜18の範囲で脂肪酸塩と脂肪酸との炭素数が異なる組合せであってもよい。炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の液体可塑剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、起泡性が悪化するのを防止し得る点で、他のアニオン系界面活性剤(例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES))を起泡剤とし、炭素数12〜18の脂肪酸をさらに含有してもよい。
<希釈剤>
本発明による定着液に含まれる希釈剤としては、水を含む限り特に制限はなく、例えば、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、等が好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
希釈剤として水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加してもよく、なかでも、定着液の表面張力を20mN/m〜30mN/mとすることが好ましい。前記アルコール類としては、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする点で、例えばセタノール等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止に効果を有する。
希釈剤は、浸透性改善や紙等媒体のカール防止と目的として、油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成であることも好ましい。この油性成分としては、公知の種々の材料を用いることができる。油性成分を含有する希釈剤の場合、分散剤を用いてエマルジョンを形成してもよく、このエマルジョンの形成に用いる分散剤としては、公知の種々の材料を用いることができるが、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖エステル等が好ましい。
分散剤を用いて定着液をエマルジョンの形態に分散させる方法として、特に制限はなく、公知の種々の方法を用いればよい。例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。なかでも、定着液中の軟化剤に強いせん断応力を加える方法であることが好ましい。
<噴霧方式の画像形成装置>
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図1には、複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機などの画像形成装置の要部構成を示す。図示のものは、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置であって、中間転写体を用いずに、像担持体上のトナー像を記録材である用紙に直接画像転写する直接転写方式のものである。
図1中符号10は、無端ベルト状の搬送ベルトである。搬送ベルト10は、図1に示す例では駆動ローラ12と従動ローラ13間に掛けまわして図1中反時計まわりに回転走行可能に設ける。もちろん、搬送ベルト10を掛けまわすローラは、2つに限らず、別途搬送ベルト10の片寄りを調整するローラや、テンションローラなどを設けて、3つ以上のローラに掛けまわすようにしてもよい。
搬送ベルト10のまわりには、駆動ローラ12と従動ローラ13間の水平張り渡し部分上に、搬送ベルト10の走行方向に沿って順に、ブラック・マゼンタ・シアン・イエロの4つの作像手段15K・15M・15C・15Yを横に並べて設置し、タンデム作像装置16を構成する。タンデム作像装置16の上には、図示省略するが、さらに露光装置などを設けてなり、この露光装置からのレーザ光L(Lk・Lm・Lc・Ly)により各色に対応した静電荷像が形成される。
搬送ベルト10とタンデム作像装置16間には、搬送ベルト10の反時計まわりの走行とともに図1中右から左へと、記録媒体である用紙17を搬送する用紙搬送路を形成する。用紙搬送路に沿って、上流には図示しないレジストローラを配置し、下流には定着装置18を設置する。
図2には、図1に示す画像形成装置に備える1つの作像手段15の概略構成を示す。4つの作像手段15K・15M・15C・15Yは、それぞれ図2に示すような同一構成とする。
図2中符号20は、ドラム状の像担持体である感光体である。感光体20のまわりには、左上方に配置する帯電装置21から図2中矢示する回転方向(時計回り方向)に順に、現像装置22、転写装置23、クリーニング装置24、除電装置25などを配置する。
ここで、帯電装置21は、図2に示す例では帯電チャージャを用いて均一なマイナス帯電を与える非接触帯電方式を採用したが、もちろん帯電ローラを用いる接触帯電方式を採用してもよい。現像装置22は、この例では、プラス帯電キャリア26とマイナス帯電トナー27とからなる二成分現像剤を使用し、それを現像スリーブ28で担持して感光体20にトナー27のみを付着し、感光体20上の静電潜像を可視像化する。
また、転写装置23は、図2に示す例では非接触のプラス転写コロナチャージャ方式を採用し、搬送ベルト10を挟んで感光体20に対向するように配置するが、非接触のコロナチャージャ方式の他に導電性ブラシや転写ローラなどを用いることもできる。また、クリーニング装置24には、クリーニング部材として、クリーニングブラシ30と、クリーニングブレード31を設ける。これにより、クリーニングブラシ30やクリーニングブレード31で掻き落としたトナーは、不図示の回収スクリュやトナーリサイクル装置で現像装置22に回収して再利用することができる。また、除電装置25としては、例えば除電ランプを用いる。
そして、感光体20の時計まわりの回転とともに、感光体20の表面を帯電装置21で一様に帯電し、不図示の露光装置で書込み光L(図1ではLk・Lm・Lc・Ly)を照射してそれぞれ感光体20上に静電潜像を形成して後、現像装置22で各色トナーを付着してその静電潜像を可視像化し、各感光体20上に各色の単色トナー像を形成する。
記録材(用紙)17は、用紙搬送路を通して搬送し、感光体20上に形成した各色トナー像にタイミングを合わせてレジストローラで搬送ベルト10上に送り込む。そして、搬送ベルト10の走行とともにさらに記録材(用紙)17を搬送してその搬送する用紙17にそれぞれ転写装置23で、各感光体20上の単色トナー像を順次転写し、その用紙17上に各色の単色トナー像を重ね合わせて合成カラー画像を形成する。トナー像転写後の感光体20は、表面をクリーニング装置24で清掃して後、除電装置25で除電して初期化し、再び帯電装置21からはじまる再度の画像形成に備える。
合成カラー画像を形成する用紙17上のマイナス帯電トナー27は、この時点では電気的に用紙17に付いているだけであり、強い衝撃を受けたり擦ったりすると、用紙17上から離れてしまうことから、合成カラー画像を形成した用紙17は、搬送ベルト10で搬送して定着装置18へと導き、その定着装置18で転写画像を定着して後、不図示の排紙スタック部へと排出する。
定着装置18には、図1に示すように、トナー定着液が定着液滴として噴霧される噴霧手段33と、その噴霧手段33で噴霧された定着液滴に未定着トナーと同極性のマイナスの電荷を付与させる液滴帯電手段34と、その液滴帯電手段34で電荷を付与させた定着液滴の雰囲気中を通して、未定着トナーが載っている用紙17を搬送する媒体搬送手段35と、その媒体搬送手段35で搬送する用紙17を未定着トナーおよび定着液滴とは逆極性のプラスに帯電させる記録材帯電手段36とが備えられている。
図3には、図1に示す定着装置18を拡大して示す。
図3から判るとおり、噴霧手段33は、筐体37で区画された噴霧室38内に向けて設置されており、不図示の定着液貯留部に貯留されるトナー定着液が、最頻値の滴径が15μm以下の定着液滴として噴霧されて、噴霧室38が定着液滴で満たされる。
液滴帯電手段34としては、イオナイザなどを用い、噴霧室38内に空気イオンを噴霧して、噴霧手段33で噴霧された定着液滴に混ぜ合わせ、定着液滴を未定着トナーと同極性のマイナスに帯電させる。図3に示す例とは異なり、未定着トナーがプラスに帯電しているときは、定着液滴もプラスに帯電させる。
媒体搬送手段35は、複数のローラ40と、それらのローラ40に掛けまわされて静電吸着して用紙17を搬送する搬送ベルト41とで構成されている。そして、転写装置23で転写されて図3に示すように残留電荷がマイナスの未定着トナー42が乗っている用紙17が、搬送ベルト10により搬送されて定着装置18に送り込まれ、定着装置18の媒体搬送手段35の搬送ベルト41で引き続いて図3中右から左に、液滴帯電手段34で電荷を付与させた定着液滴の雰囲気中を通して搬送される。
記録材帯電手段36は、ローラ40に掛けまわされている搬送ベルト41の内側に配置される電極44と、その電極44に接続される電源45とで構成されている。そして、電源45により搬送ベルト41の内側に配置される電極44に電圧が印加されて、搬送ベルト41で搬送される用紙17を未定着トナー42および定着液滴とは逆極性のプラスに帯電させる。このとき、もちろん搬送ベルト41は、用紙17の帯電を妨げない材料で形成される。これにより、クーロン力で用紙17の裏側から吸引することで、用紙17に付着された定着液滴がさらに用紙17の裏側まで浸透するようにし、用紙17の表裏でなお一層液濃度を均等にして用紙17のカールを少なくすることができる。
なお、図3中符号46は、定着装置18から出た用紙17に接触して除電する除電部材としての除電ローラであり、もちろんローラに限らずブラシなどでもよい。
以上のとおり、図3に示す例によれば、噴霧手段33で噴霧された定着液滴に、液滴帯電手段34で用紙17上の未定着トナー42と同極性の電荷を付与させる一方、電荷を付与させた定着液滴の雰囲気中を通して、媒体搬送手段35で、未定着トナー42が載っている用紙17が搬送され、その搬送される用紙17を記録材帯電手段36で未定着トナー42および定着液滴とは逆極性に帯電させ、クーロン力で強制的に吸引されて記録材(用紙)17に未定着トナー42および定着液滴が吸着され、記録材(用紙)17に定着される。
噴霧手段33でトナー定着液が、最頻値の滴径が15μm以下の定着液滴として噴霧されると、噴霧された定着液滴がドライミストとして空間に均一に浮遊して、用紙17に無駄なくムラなく付着されるので、定着液滴を用紙17に無駄なく付着して定着液の有効使用を図るとともに定着ムラを解消することができる。
<接触塗布手段方式の画像形成装置>
図4に示すものは、電子写真方式のタンデム型カラー画像形成装置であって、中間転写体を用いて、像担持体20(Bk,Y,M、C)上のトナー像をいったん中間転写体に一次転写した後、その中間転写体上のトナー像を記録材に二次転写する間接転写方式のものである。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の定着手段としての定着装置を含む部分の概略構成図である。
本実施形態の画像形成装置は、中間転写ベルト10の表面移動方向において2次転写部(中間転写ベルト10と搬送ベルト22との対向位置)の上流側に定着装置90が配置されている。この定着装置90は、中間転写ベルト10の表面と微小間隔を開けて対向するように配置される定着液供給手段としての供給ローラ91を備えている。定着装置90は、供給ローラ91が中間転写ベルト10の表面に対して近接したり離間したりできるように、図示しない駆動機構によって移動可能な構成となっている。また、定着装置90の定着液タンク93の内部には定着液92が収容されており、この定着液92に供給ローラ91が浸った状態で配置されている。供給ローラ91は、トナーに定着液92を付与する際には図4中矢印の方向に回転駆動する。これにより、供給ローラ91の表面に定着液92が汲み上げられる。このようにして汲み上げられた定着液92は、メータリングブレード94によって規制され、供給ローラ91の表面に付着する定着液が適量に調整される。そして、供給ローラ91上の定着液は、供給ローラ91の回転に伴って中間転写ベルト10の表面との対向位置まで搬送され、中間転写ベルト10の表面に定着液を供給する。
また、中間転写ベルト10上のトナーに定着液を供給する定着液供給手段として供給ローラ91を用いた場合、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像を乱してしまうおそれがある。そのため、本実施形態では、導電性材料で構成した基体を絶縁層又は高抵抗層で覆った供給ローラ91を用い、その供給ローラ91に電界形成手段としての電源95を接続している。具体的には、例えば、ステンレス製の芯金に導電性のゴム層を形成し、その表面を絶縁性のPFAチューブで覆ったものを用いることができる。このような構成により、供給ローラ91と中間転写ベルト10との間には、トナーを中間転写ベルト側に押し付ける方向の電界が形成される。このような電界を形成することで、液供給位置における中間転写ベルト10上のトナーの中間転写ベルト10側への拘束力を高めることができる。これにより、中間転写ベルト10上に担持されたトナー像を乱すことなく、そのトナーに対して定着液92を供給することができる。
<泡状定着液を用いた方式の画像形成装置>
(定着方法及び定着装置)
泡状定着液を用いた場合の定着方法は、泡状定着液生成工程と、膜厚調整工程と、泡状定着液付与工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
泡状定着液を用いた場合の定着装置は、泡状定着液生成手段と、泡状定着液付与手段と、膜厚調整手段とを有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
<泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段>
泡状定着液生成工程は、定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する工程であり、泡状定着液生成手段により実施される。
図5に示すように、泡状定着液生成手段によって定着液を泡で構成された泡状定着液14とすることで、定着液のかさ密度を低くできると共に塗布ローラ11上の定着液層を厚くすることができ、更には定着液の表面張力による影響が抑えられるため、塗布ローラ11へのトナーのオフセットを防止しながら記録媒体12上のトナー層に均一に泡状定着液14を塗付することができる。
図6は塗布時の泡状定着液の層構成例を示す概略図である。図6に示す液体21は軟化剤を含有し、液体中に気泡22を含有した泡状の構成である。このように、気泡22を大量に含有することで、定着液20のかさ密度は極めて低くすることができる。この構成とすることで、定着液塗布時は、体積が多い状態で塗布しても、かさ密度が低く、塗布重量は小さいため、その後気泡22が破泡してしまえば、実質的な塗布量は極めて少なくすることができる。なお、本発明における泡状とは、液体中に気泡が分散し、液体が圧縮性を帯びた状態を示す。
泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段としては、上記の本発明における定着液を泡状化して泡状定着液を生成し得るものであれば、特に制限はない。その一態様について、図7を参照して、説明する。
図7は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。図7に示す泡状定着液生成手段30は、上記の本発明における定着液等の液状定着液32を貯留する定着液容器31と、液状定着液32を液搬送する液搬送パイプ34と、液搬送するための駆動を得る搬送ポンプ33と、気体と液体とを混合する気体・液体混合部35と、液状定着液32を泡状化して所望の泡状定着液を得る泡生成部38とを有する。
定着液容器31に貯留された液状定着液32は、搬送ポンプ33の駆動力によって液搬送パイプ34を液搬送され、気体・液体混合部35へと送られる。搬送ポンプとしては、液状定着液を液搬送し得るものであれば、特に制限はなく、ギヤポンプ、ベローズポンプ等があるが、チューブポンプが好ましい。ギヤポンプ等の振動機構や回転機構があると、ポンプ内で定着液が起泡し、定着液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させたりする恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
気体・液体混合部35には、空気口36が設けられ、液の流れとともに、空気口36に負圧が発生し、空気口36から気体が気体・液体混合部35に導入され、液体と気体が混合される。更に、微小孔シート37を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30μm〜100μmが好ましい。図7の微小孔シート37に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30μm〜100μmを有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も好ましい。
次に、空気と混合された液状定着液32は、所望の泡状定着液を得る泡生成部38に送液される。泡生成部38において、空気と混合された液状定着液32には、せん断力が加えられ、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化される。泡生成部38の構成としては、このように行われ得るものであれば、特に制限はないが、閉じた二重円筒で、内側円筒が回転可能な構成とし、外部円筒の一部より、大きな泡状定着液を供給し、内部の回転する円
筒と外部円筒との隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受けるような構成であってもよい。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。また、内側円筒にらせん状の溝を設けて、円筒内での液搬送能力を高くしてもよい。
定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液容器内で泡状である必要はない。定着液容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が好ましい。これは、定着液容器では液体であり容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
定着液は、泡状化され、泡状化された定着液からなる泡状定着液層の厚みは、定着されるトナー層の厚みに応じて、記録媒体面全体に対し後述するように泡状定着液付与手段の面において、調整される。例えば、記録媒体上にトナーからなるカラー画像や白黒文字が混在する場合、記録媒体面全体を同じ厚みの泡状定着液層で付与すると、カラー写真画像のような厚いトナー層では、定着不良や画像抜けが生じたり、白黒文字部に粘着感が生じて印刷物同士がくっついたりする部分不具合が生じる場合がある。以下に、その不具合の原因について詳細に説明する。
一般的に0.5mm〜1mm程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、且つすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5μm〜50μm程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることを見出した。この点、上記のような泡状定着液生成手段30の構成は、これを実現するために好ましい態様である。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部とを組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5μm〜50μmの微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
特に、トナーの平均粒径が5μm〜10μm程度の場合、記録媒体12上のトナー層13を乱すことなく泡状定着液14をトナー層13に付与するには、泡状定着液14の泡径範囲が、5μm〜50μmであることが好ましい。なお、図6に示すように、気泡22で構成された泡状定着液20は、気泡22のそれぞれを区切る液膜境界21から構成される。
<膜厚調整工程及び膜厚調整手段>
本発明による定着方法における膜厚調整工程は、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する工程であり、膜厚調整手段により実施される。
膜厚調整手段としては、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば膜厚調整用ブレード、ブレードと塗布ローラとの組み合わせが挙げられる。なお、膜厚調整工程及び膜厚調整手段の態様については、後述する。
<泡状定着液付与工程及び泡状定着液付与手段>
本発明による定着方法における泡状定着液付与工程は、所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上の樹脂微粒子層に付与する工程であり、泡状定着液付与手段により実施される。
図8及び図9は、本発明による定着方法を実施するための定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。図8に示す定着装置40は、上述した泡状定着液生成手段30によって生成された所望の微小な泡の泡状定着液を、トナーからなるトナー粒子層へ付与するための塗布ローラ41と、塗布ローラ面に所望の微小な泡の泡状定着液の膜厚を、記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて調整し、泡状定着液の最適な膜厚の調整を行う膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42と、塗布ローラ41と対峙する位置に加圧ローラ43とを有する。
未定着トナーを表面上に有する記録媒体は、塗布ローラ41と加圧ローラ43とからなるニップ部を通過する。一方、泡状定着液生成手段30で生成された泡状定着液は、膜厚調整用ブレード42によって膜厚調整され、所望の厚みの泡状定着液層として塗布ローラ41に配置される。このように塗布ローラ41上に形成された泡状定着液層は、未定着トナーを有する記録媒体のニップ部の通過に同期して、未定着トナー上に付与される。
また、図9は、塗布ローラ41及び膜厚調整用ブレード42を拡大した概略図であって、泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラ41上には、泡状定着液の層が記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42を通じて形成される。この膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42によって泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間に対して最適化した定着液層の膜厚となる。所望の微小な泡の泡状定着液は、上記のように、大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され、液供給口より塗布ローラ41と膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42との間に滴下される。
泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整は、図10及び図11に示すように、塗布ローラ41とギャップを設けた膜厚調整用ブレード42を用い、図10に示すように膜厚を薄くするときはギャップを狭くし、図11に示すように膜厚を厚くするときはギャップを広くするように行ってもよい。ギャップの調整は、膜厚調整用ブレード42の端部に、駆動可能な回転軸を用い、トナー層の厚さや環境温度等、更には泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調整するための最適な膜厚を調整してもよい。
泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラの形状、構造、大きさ及び材質としては、泡状定着液を付与し得る限り、特に制限はないが、曲面部を少なくともその表面の一部に有するものであることが好ましい。
膜厚調整用ブレードとしては、図10及び図11の膜厚調整用ブレードのほかに、ワイヤーバーであってもよい。ワイヤーバーによって、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みを調整し、泡状定着液は、上記のごとく、大きな泡を生成する大きな泡生成部とその大きな泡をせん断力で分泡する微小な泡生成部とを有する泡状定着液生成手段によって生成され、液供給口より、膜調整ワイヤーバーと塗布ローラとの間に滴下する。ワイヤーバーを膜厚調整手段として用いることで、ブレードに比べ、塗布ローラ面の軸方向の泡状定着液膜均一性が向上する。
泡状定着液のかさ密度としては、0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲が好ましい。更に、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、0.01g/cm〜0.02g/cmが好ましい。なぜならば、図8及び図9の塗布ローラ41のように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、記録媒体上のトナー層の厚み以上であることが必須条件で(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが好ましい。一方、記録媒体面への定着液付着における残液感(ぬれたような感触)を生じさせないためには、定着液付着量として、記録媒体の単位面積当たり、0.1mg/cm以下が好ましい。このことから、泡のかさ密度としては、0.0125g/cm〜0.02g/cmの範囲が好ましい。
図12は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の構成を示す概略構成図である。図12に示す実施の形態の定着装置40において、加圧ローラ43は、弾性層として弾性多孔質体(以下、スポンジ素材とも称する。)を用いて構成してもよい。泡状定着液がトナー層を浸透して紙等の媒体まで到達した後に塗布ローラとトナー層とが剥離するようにニップ時間のタイミングを取る必要がある。この点、スポンジ素材からなる加圧ローラ43は、ニップ時間として50ミリ秒〜300ミリ秒の範囲を確保し、且つ弱い加圧力で大きく変形可能であることから、好ましい。
なお、ニップ時間は、ニップ時間=ニップ幅/紙の搬送速度により算出される。紙の搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、記録媒体を塗布ローラ41及び対峙する加圧ローラ43に挟んで加圧(各ローラは回転させない状態で)し、記録媒体に着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。
記録媒体の搬送速度に応じてニップ幅を調整することで、ニップ時間を泡状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。図12に示す例では、加圧ローラ43を弾性層としてスポンジ素材とすることで、記録媒体の搬送速度に応じて、塗布ローラ41と加圧ローラ43との軸間距離を変更しニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムを加圧ローラ43の素材として用いてもよいが、スポンジは弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、塗布ローラ41の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
なお、定着液中には液体可塑剤が含有されており、スポンジ素材で形成された加圧ローラに定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材が軟化等の不具合が発生する恐れがある。そのため、スポンジ素材の樹脂材は、液体可塑剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が好ましい。また、スポンジ素材を用いた加圧ローラは、可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。スポンジ素材が液体可塑剤で劣化する素材であっても、液体可塑剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂の多孔質体が挙げられる。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、可撓性を有する限り、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
図12において、塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とが常時接触している構成の場合、記録媒体が搬送されていない時に塗布ローラ41上の泡状定着液が加圧ローラ43に付着し汚す恐れがある。これを防止するため、塗布ローラ41からみて記録媒体の搬送方向の上流に紙先端検知手段(不図示)を設け、先端検知信号に応じて、記録媒体の先端から後方にのみ泡状定着液が塗布されるようなタイミングで塗布ローラ41に泡状定着液を形成することが好ましい。
図12に記載の定着装置40は、待機時は塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とはそれぞれ離れており、図示していない駆動機構により、塗布時のみ、記録媒体の先端検知手段に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを接触させる構成であることも好ましい。また、図12に記載の定着装置40は、記録媒体の後端検知も行い、記録媒体の後端検知信号に応じて塗布ローラ41とスポンジ素材を用いた加圧ローラ43とを離すように構成することも好ましい。
図13は、本発明の一実施の形態に係る定着装置の別の構成を示す概略構成図である。図13に示す実施の形態の定着装置40は、図12の加圧ローラ43の代わりに加圧ベルト44を用いたものである。大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている泡状定着液生成手段30で生成され液供給口より所望の泡径を有する泡状定着液を、膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード42の供給口へチューブ等を用いて供給する。そして、膜厚調整手段の膜厚調整用ブレード42と塗布ローラ41とのギャップを調整して塗布ローラ41上の泡状定着液の層膜厚を調整し、泡状定着液の最適膜厚の調整を行う。加圧ベルト44の材料としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイル等の基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いてもよい。
このように、ベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。したがって、ベルトを用いる構成としては、図13に限らず、塗布ローラをベルトとし、加圧手段をベルトではなくローラとする構成も好ましい。また、塗布側又は加圧側の少なくとも一方をベルトとする構成とすることで容易にニップ幅を広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることがない。また、ニップ時間と紙の搬送速度とが同様であると、紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、少なくともその一部が軟化乃至膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、軟化乃至膨潤した上記のトナーを加圧することによって、軟化乃至膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ軟化乃至膨潤したこのトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
<その他の工程及びその他の手段>
<<加温工程及び加温手段>>
本発明による定着方法及びこれに用いられる定着装置は、泡状定着液が付与された樹脂微粒子層を加温する加温工程及び加温手段をさらに有してもよい。加温工程及び加温手段における加温の温度としては、十分な定着特性の得られる範囲であれば、特に制限はないが、例えば、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
加温手段の形態としては、上記の態様を実施できるものであれば、ローラなど、適宜選択すればよい。加温手段45をローラで構成する場合、例えば図14に示すように、加圧ローラ46と加圧ローラ48とで構成し、被定着物と接する側のローラに赤外線ヒータ47などの加温媒体を設けたものであってもよい。
さらに、本発明について実施例をあげてより詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<トナー母体粒子の作成例>
〔トナー原材料処方〕
・結着樹脂としてポリエステル樹脂 88.5質量部
(重量平均分子量:Mw=30000、THF不溶分=0、Tg=60℃)
・着色剤としてカーボンブラック 10質量部
(MOGUL L キャボット社製)
・帯電制御剤としてサリチル酸誘導体亜鉛塩 1.5質量部
(ボントロンE−84 オリエント化学社製)
上記処方に記載のトナー原材料をヘンシェルミキサー(「MF20C/I型」、三井三池加工機株式会社製)に仕込み、十分攪拌混合した後、2軸押出機(東芝機械株式会社製)にて混練し、冷却した2本ロールで圧延した後、スチールベルト上で冷却した。ここで、前記混練は、2軸押出機出口での混練生成物の温度が120℃前後となるように設定して行った。
次いで、ロートプレックスにて粗粉砕し、ジェットミルにて微粉砕し、風力分級により粒度分布を整え、重量平均粒径が6.5μm、重量平均粒径/個数平均粒径(D4/Dn)が1.25の粉砕法トナー母体粒子を作製した。
[測定方法]
<粒度分布>
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(Dn)で除したD4/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
<樹脂の重量平均分子量Mw>
結着樹脂のTHF溶解分の分子量分布はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー) 測定装置GPC−150C(ウォーターズ社製)によって測定した。カラムにはKF801〜807(ショウデックス社製)を使用した。測定は以下の方法で行う。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流した。結着樹脂0.05gをTHF5gに十分に溶かした後、前処理用フィルター(例えば、孔径0.45μm クロマトディスク(クラボウ製))で濾過し、最終的に試料濃度として0.05〜0.6質量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。結着樹脂のTHF溶解分の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、ピークトップ分子量Mpの測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressureChemical Co.、あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
<定着液の処方例>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒(希釈剤):イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM)
0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V)
1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199)
1wt%
なお、分散剤は、軟化剤の希釈溶媒への溶解性を助長するために用いた。脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
上記成分比にて、先ずは、液温120℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、軟化剤を混合し、超音波ホモジナイザーを用いて軟化剤が溶解した定着液(フォーム化する前の原液)を作製した。
<塗布装置例>
◇大きな泡生成部
図12を基に作製した。
上記の液状定着液保存容器:PET樹脂からなるボトル
液搬送ポンプ:チューブポンプ(チューブ内径2mm、チューブ材質:シリコーンゴム)
搬送流路:内径2mmのシリコーンゴムチューブ
大きな泡を作るための微小孔シート:#400のステンレス製メッシュシート(開口部約40μm)
◇微小な泡生成部
図12を基に作製した。
2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モーターにより回転する。2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒内径:10mm・長さ120mm、内側円筒外形:8mm・長さ100mmとした。回転数は、1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。
◇定着液付与手段
図12を基に作製した。上記の微小な泡を生成する微小な泡生成部を用い、泡状の定着液を作成し液膜厚制御用ブレードに供給する構成とした。液膜厚制御用ブレードと塗布ローラとのギャップは25μmと40μmの2通り実施した。
加圧ローラ:アルミ合金製ローラ(φ10mm)を芯金とし、外径Φ50mmのポリウレタンフォーム材(イノアック社商品名「カラーフォームEMO」)を形成した。
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)
膜厚制御用ブレード:アルミ合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着。ガラス面を塗布ローラ側に向け、10μm〜100μmの範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。
紙搬送速度:150mm/s
[シリカ被覆樹脂微粒子の製造例−1]
・疎水化処理シリカHDK H−2000 (ヘキストジャパン社製、平均粒子径0.012μm) 6質量部、
・有機樹脂微粒子MP1451(綜研化学株式会社製、アクリル系微粒子、平均粒子径0.15μm) 100質量部
をヘンシェルミキサーに投入し、攪拌周速32m/sで10分間の攪拌、次いで10分間静置のサイクルを5回繰り返したものをシリカ被覆樹脂微粒子(A)とした。シリカ被覆樹脂微粒子(A)のシリカ被覆率は0.1である。なお、H−2000については、攪拌サイクルごとに5回に分けて分割投入することでMP1451上に均一にH−2000が付着するようにした。
[シリカ被覆樹脂微粒子の製造例−2]
HDK H−2000 を24質量部に変更した以外はシリカ被覆樹脂微粒子の製造例−1と同様にシリカ被覆樹脂微粒子を作成し、シリカ被覆樹脂微粒子(B)とした。シリカ被覆樹脂微粒子(B)のシリカ被覆率は0.4である。
[シリカ被覆樹脂微粒子の製造例−3]
HDK H−2000 を18質量部に変更した以外はシリカ被覆樹脂微粒子の製造例−1と同様にシリカ被覆樹脂微粒子を作成し、シリカ被覆樹脂微粒子(C)とした。シリカ被覆樹脂微粒子(C)のシリカ被覆率は0.3である。
[シリカ被覆樹脂微粒子の製造例−4]
HDK H−2000 を1質量部に変更した以外はシリカ被覆樹脂微粒子の製造例−1と同様にシリカ被覆樹脂微粒子を作成し、シリカ被覆樹脂微粒子(D)とした。ものをシリカ被覆樹脂微粒子(D)とした。シリカ被覆樹脂微粒子(D)のシリカ被覆率は0.01である。
[実施例1]
トナー母体粒子の作成例で得られたトナー母体粒子100質量部に対して、疎水化処理シリカHDK H−2000 0.8質量部、疎水性チタニアT805(日本アエロジル社製)0.5質量部、シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部をヘンシェルミキサーにて攪拌周速20m/sで10秒間の攪拌、次いで10秒間静置のサイクルを5回繰り返したトナーを作成した。
粒径50μmの球状マグネタイトにシリコーン樹脂(オルガノストレートシリコ−ン):γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン:カーボンブラック=85:5:10からなる被覆層を設けた磁性キャリア95質量部と得られたトナー5質量部を混合して2成分現像剤を作成した。
この現像剤を用いて、下記評価方法に示した方法にて現像・転写性及び定着性を評価した。定着性評価には定着装置1を用いた。
〔評価方法〕
<現像性・転写性>
電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)に実施例1の現像剤を入れて、プリント中に電源を切って感光体に現像されたトナー像により現像性を、用紙に転写されたトナー像及び転写後に感光体に残留しているトナー像により転写性を目視により評価した。
現像性の評価結果は、画像濃度が高く、細線の再現性が良好な画像であった場合は○、画像濃度、細線の再現性のいずれかが不良であった場合は△、両者とも不良であった場合は×で示した。
転写性の評価結果は用紙へのトナーの転写量が良好であった場合は○、やや少なかった場合は△、顕著な減少がみられた場合は×で示した。
<定着装置1による定着液による定着性、経時放置におけるべたつき評価>
定着装置を除去した電子写真方式のプリンタ(リコー社製 IpsioColorCX8800)に実施例1の現像剤を入れて、未定着トナー画像(紙上トナー量0.85mg/cm)が形成されたPPC用紙に、図12に示す定着装置を用いてローラ塗布し、定着液の処方例で得られた定着液を搭載した塗布装置例からなる定着装置にてスポンジの加圧ローラと塗布ローラとの軸間距離を変えて、ニップ幅15mm(ニップ時間100ms)、21mm(ニップ時間140ms)にて定着を行った。
定着5秒後に、画像の表面を1cmφの綿布で擦り、綿布の汚れを反射濃度計(X−Rite 939)にて測定し、0.2未満であれば○、0.2以上0.4未満であれば△、0.4以上であれば×とした。
また、目視でのコールドオフセットの発生度合いを評価し、○:コールドオフセット発生せず、△:わずかに発生、×:顕著に発生とした。
また、経時放置におけるべたつき評価として、画像部同士が接触するように2枚の定着画像を重ね合わせ、上部から1kg重の分銅で加圧して、気温30℃、湿度80%の雰囲気下で24時間放置した。放置後の重ね合わせた紙を引き離す際の、定着画像同士のべたつきを以下の基準で判断した。
○・・・べたつきが発生することなく、引き離せるレベル
△・・・引き離す際にべたつきに由来する紙のたわみが認められる
×・・・引き離す際にべたつきに由来する紙の付着と画像の変化が認められる
<定着装置2による熱による定着性、経時放置におけるべたつき評価>
<定着液による定着性>と同様にして作成した未定着トナー画像を加熱ローラと加圧ローラからなる熱定着装置に通紙した。加熱ローラ周速、紙搬送速度ニップを調整してニップ時間100ms、ニップ時間140msにて定着を行った。
以上の評価結果を表1にまとめた。また、実施例2〜8および比較例1〜10の評価結果についても同様に表1にまとめた。
[実施例2]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を0.2質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[実施例3]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を0.5質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[実施例4]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を3質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[実施例5]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を4質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[実施例6]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部をシリカ被覆樹脂微粒子(B) 1.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[実施例7]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部をシリカ被覆樹脂微粒子(C) 1.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[実施例8]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部をシリカ被覆樹脂微粒子(D) 1.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例1]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例2]
HDK H−2000処方量を1.0質量部に、シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例3]
HDK H−2000処方量を1.2質量部に、シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例4]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部を ゾルゲル法で作られた疎水性シリカ(粒径0.12μm) 1.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例5]
シリカ被覆樹脂微粒子(A) 1.0質量部をMP1451 4質量部に変更した以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例6]
定着性評価には定着装置2を用いた以外は実施例1と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例7]
定着性評価には定着装置2を用いた以外は比較例3と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例8]
定着性評価には定着装置2を用いた以外は比較例4と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例9]
定着性評価には定着装置2を用いた以外は実施例5と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
[比較例10]
定着性評価には定着装置2を用いた以外は比較例5と同様にトナー、二成分現像剤を作成し評価を行った。
Figure 2012189881
以上の実施例および比較例から明らかなように、本発明に係る静電荷像現像用トナー、定着方法および画像形成方法によれば、軟化剤を含有する定着液を用いてトナーを定着させる際に、さらに迅速に定着することができると共に、画像のべたつきを抑制し、現像性および転写性に優れることがわかった。
(図1〜図3について)
15K、15M、15C、15Y 作像手段
17 用紙(記録材)
18 定着装置
20 潜像担持体(感光体)
23 転写手段
33 噴霧手段
34 液滴帯電手段
35 媒体搬送手段
36 記録材帯電手段
38 噴霧室
40 ローラ
41 搬送ベルト
42 未定着トナー
44 電極
45 電源
50 印加手段
53 定着液滴
64 中間転写体
67 二次転写手段
69 一次転写手段
(図4について)
10 中間転写ベルト
20 潜像担持体(感光体)
22 搬送ベルト
90 定着装置
91 供給ローラ
92 定着液92
93 定着液タンク
94 メータリングブレード
95 電源
(図5〜図14について)
11 塗布ローラ
12 記録媒体
13 樹脂微粒子層
14 泡状定着液
20 泡状定着液
21 液膜境界
22 気泡
30 泡状定着液生成手段
31 定着液容器
32 液状定着液
33 搬送ポンプ
34 液搬送パイプ
35 気体・液体混合部
36 空気口
37 微小孔シート
38 泡生成部
40 定着装置
41 塗布ローラ
42 膜厚調整用ブレード
43 加圧ローラ
44 加圧ベルト
45 加温手段
46 加圧ローラ
47 赤外線ヒータ
48 加圧ローラ
50 画像形成装置
51 中間転写ベルト
52 支持ローラ
53 支持ローラ
54 支持ローラ
55 画像形成ユニット
56 画像形成ユニット
57 画像形成ユニット
58 画像形成ユニット
59 二次転写装置
60 支持ローラ
61 支持ローラ
62 二次転写ベルト
63 ベルトクリーニング装置
64 記録紙
65 給紙ローラ
66 感光体ドラム
67 帯電装置
68 現像装置
69 クリーニング装置
70 除電装置
71 一次転写装置
81 塗布ローラ
82 記録媒体
83 未定着トナー層
84 定着液層
特表2006−133306号公報 特開2009−008967号公報 特開2008−139504号公報

Claims (6)

  1. 当該静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に定着される静電荷像現像用トナーであって、
    トナー母体と、該トナー母体表面に付着してなる外添剤と、を備え、
    前記外添剤は、表面に無機層を有する樹脂微粒子を含有し、
    予め前記樹脂微粒子の表面に無機層を形成し、次いで、当該表面に無機層を有する樹脂微粒子をトナー母体表面に付着して得られることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記無機層は、シリカ微粒子で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記樹脂微粒子は、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマーまたはメタクリル酸エステルモノマーからなる重合体を含み、架橋されてなることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記樹脂微粒子は、ソープフリー重合法により製造され、かつ、個数平均粒径が50〜1000nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを軟化させる軟化剤を含む定着液を用いて記録媒体に当該静電荷像現像用トナーを定着させることを特徴とする定着方法。
  6. 請求項5に記載の定着方法を用いて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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