JP2012032529A - トナー、並びにトナーの製造方法、定着方法、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

トナー、並びにトナーの製造方法、定着方法、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Yasuo Katano
泰男 片野
Tsuneo Kurotori
恒夫 黒鳥
Yuko Arisumi
夕子 有住
秀和 ▲柳▼沼
Hidekazu Yaginuma
Yukimichi Someya
幸通 染矢
Hidenori Tomono
英紀 友野
Yasushi Matsuoka
康司 松岡
Fuminari Kaneko
史育 金子
Takeshi Hihara
健 日原
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Abstract

【課題】泡状化した定着液を用いた定着方法において、形状が複雑な塗布部材を用いることなく一定の厚みの定着液を付与でき、記録媒体の残液感を防止し、かつオフセットを防止できるトナー、及び定着方法などの提供。
【解決手段】水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、前記定着液と接触して気体を発生する気体発生剤とを含有するトナーにより形成されるトナー層に付与し、前記トナーにおける前記気体発生剤から気体を発生させつつ、前記トナーを記録媒体に定着する定着方法である。
【選択図】図6

Description

本発明は、トナー、並びにトナーの製造方法、定着方法、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらのうちの複数の機能を有する複合機等の画像形成装置には、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができる電子写真方式の画像形成装置が広く使用されている。
電子写真方式の画像形成装置では、定着速度、定着画像品質等の点から、記録媒体上のトナーを加熱溶融し、加圧することでトナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く普及している。しかし、熱定着方式を用いた電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、トナーの加熱のために消費されており、環境問題の観点から低消費電力(省エネルギー)の定着方式が望まれている。
そこで、熱定着方式に代わる低消費電力の定着方式として、定着液を用いた定着方式が提案されている。例えば、定着液を泡状形態にし、生成した泡状の定着液の膜厚を制御して記録媒体上のトナーに塗布しトナーの一部を溶解又は膨潤させ記録媒体に定着する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、この提案の技術では、定着液を多量に用いることによる記録媒体の残液感(手で記録媒体に触れたときの湿った感触)を低減するために記録媒体における泡状定着液の付着量を少なくすると、定着液を塗布する塗布ローラなどの塗布部材上へトナーがオフセットするという問題がある。
定着液を用いた定着方式において、所望の厚みの定着液を塗布可能にし、塗布部材へのオフセットを防止する技術として、塗布ローラと未定着トナー層との間のギャップを一定に保つギャップ材を具備する定着液塗布装置が提案されている(特許文献2)。しかし、この提案の技術では、ローラ状のギャップ材と塗布ローラとが一体化した構成の塗布部材を用いており、このような構成では塗布部材の形状が複雑となり、塗布部材のクリーニングを行うことが困難であるという問題がある。一方、塗布部材を複雑な形状にしないよう塗布ローラ表面に単に溝を設けるだけでは、トナーのオフセットを抑制することは困難である。
したがって、泡状化した定着液を用いた定着方法において、形状が複雑な塗布部材を用いることなく一定の厚みの定着液を付与でき、記録媒体の残液感を防止し、かつオフセットを防止できるトナー、並びに該トナーの製造方法、定着方法、画像形成方法、及び画像形成装置が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、泡状化した定着液を用いた定着方法において、形状が複雑な塗布部材を用いることなく一定の厚みの定着液を付与でき、記録媒体の残液感を防止し、かつオフセットを防止できるトナー、並びに該トナーの製造方法、定着方法、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、前記定着液と接触して気体を発生する気体発生剤とを含有するトナーにより形成されるトナー層に付与し、前記トナーにおける前記気体発生剤から気体を発生させつつ、前記トナーを記録媒体に定着することを特徴とする定着方法である。
<2> トナーが、前記トナー表面に気体発生剤を有してなる前記<1>に記載の定着方法である。
<3> トナーが、トナー母体粒子100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部の気体発生剤を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の定着方法である。
<4> トナーにおける前記トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合が、0.1%〜40%である前記<1>から<3>のいずれかに記載の定着方法である。
<5> 気体発生剤が、重炭酸ナトリウム、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、及びヒドラゾジカルボンアミドから選択される少なくともいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の定着方法である。
<6> 定着液が、下記一般式で表される可塑剤を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の定着方法である。
(COO−(R−O)−R10
ただし、前記一般式中、nは1以上3以下であり、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R10は炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
<7> 所望の厚みの定着液がトナー層へ付与される前記<1>から<6>のいずれかに記載の定着方法である。
<8> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
を含む画像形成方法であって、
前記定着工程が、前記<1>から<7>のいずれかに記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法である。
<9> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記定着手段が、水を含む希釈剤と、起泡剤と、可塑剤とを含有する定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚調整手段と、
前記所望の厚みに形成された泡状定着液を記録媒体上のトナー層に付与する泡状定着液付与手段とを有し、
前記定着手段が、前記<1>から<7>のいずれかに記載の定着方法で行われることを特徴とする画像形成装置である。
<10> 水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を記録媒体上のトナー層に付与してトナーを記録媒体に定着させるのに用いられるトナーであって、
少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、前記定着液と接触して気体を発生する気体発生剤とを含有し、
前記トナー表面に前記気体発生剤を有してなることを特徴とするトナーである。
<11> 気体発生剤の含有量が、トナー母体粒子100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部である前記<10>に記載のトナーである。
<12> トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合が、0.1%〜40%である前記<10>から<11>のいずれかに記載のトナーである。
<13> 結着樹脂が、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルを含有する前記<10>から<12>のいずれかに記載のトナーである。
<14> 前記<10>から<13>のいずれかに記載のトナーの製造方法であって、
気体発生剤がトナー表面に存在するように前記気体発生剤を外添する気体発生剤外添工程を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、泡状化した定着液を用いた定着方法において、形状が複雑な塗布部材を用いることなく一定の厚みの定着液を付与でき、記録媒体の残液感を防止し、かつオフセットを防止できるトナー、並びに該トナーの製造方法、定着方法、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することができる。
図1は、定着液付与後のトナーの定着の様子を示す概略断面図である。 図2は、塗布時の泡状定着液の層構成例を示す概略図である。 図3は、定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。 図4Aは、定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。 図4Bは、定着装置における塗布ローラ及び膜厚調整用ブレードを拡大した概略図である。 図5Aは、泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整方法を示す概略図である。 図5Bは、泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整方法を示す概略図である。 図6は、定着装置の一例を示す概略図である。 図7は、定着装置の他の一例を示す概略図である。 図8Aは、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。 図8Bは、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の構成の1つの画像形成ユニットの一例を示す概略図である。
(トナー)
本発明のトナーは、水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を記録媒体上のトナー層に付与してトナーを記録媒体に定着させるのに用いられ、トナー母体粒子と、気体発生剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明のトナーは、後述する本発明の定着方法に用いられる。
<トナー母体粒子>
前記トナー母体粒子は、結着樹脂と、着色剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、定着される記録媒体との親和性から、ポリエステル樹脂を使用することが特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂を構成する成分としては、例えば、2価のアルコール成分、3価以上の多価アルコール成分、酸成分などが挙げられる。
前記2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
前記3価以上の多価アルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
前記酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、3価以上の多価カルボン酸成分などが挙げられる。
前記3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
−−活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル−−
前記結着樹脂としては、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルを含有してもよい。活性水素基含有化合物は、トナー製造過程において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルが伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルが伸張反応して高分子量化することにより、トナーの耐熱保存性や、定着後の画像のべたつきを効果的に低減させることができる。この場合、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルとしては、活性水素基含有化合物と反応可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、などを有する変性ポリエステルが挙げられる。これらの中でも、イソシアネート基を含有する変性ポリエステルが好ましい。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルがイソシアネート基含有変性ポリエステルである場合には、該イソシアネート基含有変性ポリエステルと伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、アミン類が好適である。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、などが挙げられる。また、これらのアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、などが挙げられる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、3質量部〜10質量部がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、帯電制御剤、離型剤、磁性体、気体発生助剤などが挙げられる。
−−帯電制御剤−−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて、正又は負の荷電制御剤を適宜選択して用いることができる。
−−−負の帯電制御剤−−−
前記負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体などが挙げられる。
前記負の帯電制御剤の市販品としては、例えば、ボントロン(品番:S−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A)(いずれも、オリエント化学工業株式会社製)、カヤチャージ(品番:N−1、N−2)、カヤセットブラック(品番:T−2、004)(いずれも、日本化薬株式会社製);アイゼンスピロンブラック(T−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2)(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ、(いずれも、藤倉化成株式会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−−正の帯電制御剤−−−
前記正の帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物;4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物;高級脂肪酸の金属塩などが挙げられる。
前記正の帯電制御剤の市販品としては、例えば、ボントロン(品番:N−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B)(いずれも、オリエント化学工業株式会社製);TP−302、TP−415、TP−4040(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX−VP−435、NX−VP−434)(いずれも、ヘキスト社製);FCA(品番:201、201−B−1、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301)(いずれも、藤倉化成株式会社製);PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(いずれも、四国化成工業株式会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法などに応じて適宜選択することができ、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、電子写真用現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.1質量部未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
−−離型剤−−
前記離型剤としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等を用いてもよいが、離型剤を用いない方が好ましい。従来の加熱加圧定着方式で用いられるトナーには、定着時のホットオフセット等を防止することを目的に、トナー材料として、離型剤とよばれる、熱ローラ定着を行う際に溶融し、ローラと被定着材上のトナーとの付着を防止する効果を有する物質(低分子量ポリオレフィンワックス等)が用いられてきた。しかし、これら離型剤はトナーのバインダー樹脂中への均一分散は困難であり、離型剤がトナー表面などに多く存在する場合には、耐ブロッキング性の低下、感光体、キャリア等へのフィルミング、スペント化、経時での部材汚染等の問題を生ずる原因ともなりうる。
トナーを軟化させる可塑剤を含む定着液を用いて記録媒体にトナーを定着させる方法に用いられるトナーは、非加熱の定着方法に用いられるものであるから、熱ローラ定着を行う際に溶融し、ローラと被定着材上のトナーとの付着を防止する効果を有する物質を有する必要がなく、離型剤を用いなくてもよい。
−−磁性体−−
前記磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、又は他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)又はこれらの混合物、などが用いられる。
前記磁性体としては、例えばFe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が特に好ましい。
前記磁性体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、10質量部〜200質量部が好ましく、20質量部〜150質量部がより好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
<気体発生剤>
本発明のトナーは、前記気体発生剤を含有する。
泡状定着液を用いた定着方法においては、図1に示すように、定着液を泡で構成された泡状定着液114にして定着液のかさ密度を低くすると共に、塗布ローラ111上の定着液層を厚くし、更には定着液の表面張力による影響を抑えて、前記塗布ローラ111へのトナーのオフセットを防止しながら記録媒体112上のトナー層113に均一に前記泡状定着液114を付与できることが望ましい。
しかしながら、図1のような状態を維持することは困難である。泡状定着液を用いた定着方法について本発明者らが検討した結果、記録媒体の残液感(手で記録媒体に触れたときの湿った感触)を低減するために泡状定着液の付着量を少なくしようとすると、トナー層に泡状定着液を付与した際に、泡状定着液のほとんど全てがトナー層間に浸透してしまいトナーと塗布ローラが直接接触し、そのことで、トナーのオフセットが発生しやすくなることが明らかとなった。また、塗布ローラ上で泡状定着液が破泡することによって、塗布ローラ上の定着液層が薄くなり、トナーと塗布ローラが直接接触し、そのことで、トナーのオフセットが発生しやすくなっていることも推察される。
そのため、オフセットを防止するためには、泡状定着液が過剰にトナー層間に浸透しないようにし、更に泡状定着液の破泡を防止する又は泡を発生させることで、塗布ローラとトナー層の間に泡状定着液を一部残す必要があると推察される。
そこで、本発明のトナーは、前記気体発生剤を含有している。本発明のトナーを用いると、泡状定着液を用いた定着方法において、オフセットを防止することができる。
オフセットが防止できる理由としては、以下のことが考えられる。本発明のトナーを用いると、前記定着液を用いた定着工程において、前記気体発生剤と前記定着液が接触した際に、前記定着液に含まれる水と前記気体発生剤との反応などにより気体が発生する。発生した気体の一部が、トナー層と定着部材(塗布ローラ)間や、トナー層と泡状定着液間に留まることで、泡状定着液がトナー層間に浸透し尽くして泡状定着液の層が無くなりトナー層と定着部材(塗布ローラ)が直接接触することを防止していると考えられる。これにより、塗布ローラとトナー層の間に泡状定着液が残り、トナーと塗布ローラが直接接触することが避けられ、オフセットが防止されると推察される。
前記気体発生剤としては、前記定着液と接触して気体を発生するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水と反応して水素、窒素、酸素、及び二酸化炭素のいずれかを発生する気体発生剤などが挙げられる。
前記水と反応して水素、窒素、酸素、及び二酸化炭素のいずれかを発生する気体発生剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウム、アルミニウムやマグネシウム等の軽金属類、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソペンタメチレンジアミン、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド及びその誘導体、パラトルエンスルホニルセミカルバジドなどが挙げられる。
これらの中でも、重炭酸ナトリウム、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミドが気体の発生効率の点で好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記気体発生剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー母体粒子100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部が好ましく、0.2質量部〜4.5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、オフセットの防止が十分でないことがあり、5質量部を超えると、定着後のトナーに残存する気体発生剤により画像品質が低下することがある。前記含有量が、前記より好ましい範囲であると、オフセットの防止、残液感、及び画像品質の全てに優れる点で有利である。
前記トナー表面を被覆する前記気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1%〜40%の範囲にあることが好ましい。前記面積占有割合(%)が、0.1%未満であると、所望の効果が得られず、40%を超えると、トナーの流動性や帯電性の低下が著しく、トナーを使用することが困難になることがある。
ここで、トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)は、トナー表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、画像処理することにより求めることができる。
前記気体発生剤の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一次粒径で10nm〜500nmが好ましく、10nm〜200nmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、10nm未満であると、前記気体発生剤の粒子同士が結着し易いためトナー表面に均一に添加することが非常に難しくなり、トナー粒子間で気体発生量に大きな差が出ることがあり、500nmを超えると、前記気体発生剤の粒子同士の結着は起き難いが、トナー表面への固定が難しく、トナー表面への均一な添加が困難となることがある。前記体積平均粒子径が、前記より好ましい範囲であると、トナー粒子に前記気体発生剤を均一に添加することができるため、大面積画像や中高速の画像形成装置に対応できる点で有利である。
ここで、体積平均粒子径は、例えば、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、外添剤などが挙げられる。
−外添剤−
前記外添剤としては、トナーに流動性、耐熱保存性、現像性、転写性、帯電性等を付与するための無機微粒子が挙げられる。
なお、前記無機微粒子は、前記気体発生剤を除く無機微粒子である。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどが挙げられる。また、シリコーンオイルやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理されたシリカ微粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタンなどが挙げられる。
前記シリカ微粒子の市販品としては、例えば、アエロジル(品番:130、200V、200CF、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、RX200、RY200、R972、R974、R976、R805、R811、R812、T805、R202、VT222、RX170、RXC、RA200、RA200H、RA200HS、RM50、RY200、REA200)(いずれも、日本アエロジル株式会社製)、HDK(品番:H20、H2000、H3004、H2000/4、H2050EP、H2015EP、H3050EP、KHD50)、HVK2150(いずれも、ワッカーケミカル社製)、カボジル(品番:L−90、LM−130、LM−150、M−5、PTG、MS−55、H−5、HS−5、EH−5、LM−150D、M−7D、MS−75D、TS−720、TS−610、TS−530)(いずれも、キャボット社製)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の含有量としては、トナー母体粒子100質量部に対し、0.1質量部〜5.0質量部が好ましく、0.8質量部〜3.2質量部がより好ましい。
前記トナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜10μmが好ましく、3μm〜8μmがより好ましい。前記体積平均粒径が、3μm未満であると、電子写真用現像剤では現像装置における長期の撹拌において電子写真用キャリアの表面にトナーが融着し、電子写真用キャリアの帯電能力を低下させることがあり、10μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用いて測定することができる。
具体的には、ガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩、ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5mL添加し、各トナー0.5gを添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加する。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II、本多電子株式会社製)で10分間分散処理する。前記分散液を、前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定を行う。測定は、装置が示す濃度が8±2%となるように、前記トナーサンプル分散液を滴下する。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
<定着液>
前記定着液は、水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記定着液は泡状にして使用される。
−希釈剤−
前記定着液に含まれる希釈剤としては、水を含む限り特に制限はなく、例えば、水、水にアルコール類等を添加した水性溶媒、等が好ましい。水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
希釈剤として水性溶媒を用いる場合には、界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤は、表面張力を調整する役割を有する。前記定着液の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mN/m〜30mN/mが好ましい。
前記アルコール類としては、泡状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする点で、例えばセタノール等の単価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましい。これらの単価又は多価のアルコール類を含有することで紙等の媒体のカール防止の効果も有する。
前記希釈剤は、浸透性改善や紙等媒体のカール防止と目的として、油性成分を含有してO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する構成であることも好ましい。この油性成分としては、公知の種々の材料を用いることができる。油性成分を含有する希釈剤の場合、分散剤を用いてエマルジョンを形成してもよく、このエマルジョンの形成に用いる分散剤としては、公知の種々の材料を用いることができるが、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレート等のソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖エステル等が好ましい。
分散剤を用いて定着液をエマルジョンの形態に分散させる方法として、特に制限はなく、公知の種々の方法を用いればよい。例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段などが挙げられる。これらの中でも、定着液中の可塑剤に強いせん断応力を加える方法であることが好ましい。
−起泡剤−
前記起泡剤としては、定着液を泡状化するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飽和若しくは不飽和の脂肪酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩若しくはアルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、又はモノアルキルリン酸塩等のリン酸塩等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
−−脂肪酸塩−−
前記起泡剤のなかでも、脂肪酸塩は、最も泡沫安定性に優れ、定着液の起泡剤として最も適する。
前記脂肪酸塩としては、脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩又は脂肪酸アミン塩であることが好ましく、脂肪酸アミン塩であることがより好ましい。これらの脂肪酸塩の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、水を加熱し、脂肪酸を添加し、その後トリエタノールアミンを添加して、一定時間撹拌しながら加熱してケン化反応させることで製造してもよい。このとき、脂肪酸とトリエタノールアミンとのモル比を、1:0.5〜1:0.9の範囲と脂肪酸比率を高くすることで、ケン化後、未反応の脂肪酸が残留し、定着液中に脂肪酸と脂肪酸アミン塩とを混合させることができる。同じことは、ナトリウム塩やカリウム塩でも可能である。
起泡剤として用い得る不飽和脂肪酸塩としては、特に制限はないが、炭素数18で2重結合数が1〜3の不飽和脂肪酸塩が好ましい。具体的には、オレイン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩が挙げられる。2重結合が4以上では反応性が強いため、定着液の放置安定性が劣ってしまう。これらの不飽和飽和脂肪酸による不飽和脂肪酸塩を一種単独又は二種以上を混合して起泡剤として用いてもよい。また、上記の飽和脂肪酸塩と不飽和脂肪酸塩とを混合して起泡剤として用いてもよい。
ここで、前記起泡剤において、脂肪酸塩の炭素数としては、単に水を起泡する場合と比較して起泡性に優れている点で、12〜18であることが好ましい。具体的には、ラウリン酸塩(炭素数12)、ミリスチン酸塩(炭素数14)、ペンタデシル酸(炭素数15)、パルミチン酸塩(炭素数16)、マルガリン酸(炭素数17)、ステアリン酸塩(炭素数18)が挙げられる。
前記起泡剤として用いられる脂肪酸塩と共に用いられる脂肪酸と、液体可塑剤との作用について説明する。液体可塑剤としてエステル化合物を用いた場合、エステル化合物はエステル基を化学構造中に有しており、脂肪酸はカルボニル基を化学構造中に有している。この点から、液体可塑剤のエステル基と脂肪酸のカルボニル基とが定着液の系内で、電気的な作用を示し、またそれが分子間の結合作用を生じさせ、定着液の特性として起泡性及び泡沫安定性を向上させると考えられる。
前記起泡剤として用い得る炭素数12〜18の脂肪酸塩において、炭素数が少ないと起泡性に優れているものの泡沫安定性が悪く、炭素数が多いと起泡性があまりよくないが泡沫安定性に極めて優れている。そこで、この脂肪酸塩としては、単独の脂肪酸塩を用いてもよいが、炭素数12〜18の脂肪酸塩であって異なる炭素数を有する複数の脂肪酸塩を混合する方がより好ましい。混合比率としては、ミリスチン酸塩(炭素数14)を最も多く含み、パルミチン酸塩(炭素数16)、ステアリン酸塩の割合を低くすることが好ましい。より具体的な脂肪酸塩の比率としては、ミリスチン酸:パルミチン酸:ステアリン酸の質量比で、4:3:1等が適する。
前記起泡剤の含有量は、前記定着液の質量に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。含有量が、0.1質量%未満であると、起泡性が不十分になることがあり、20質量%を超えると、定着液の粘度が高くなり、起泡性が低下する可能性がある。
前記定着液中に起泡剤である脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有することで、液体可塑剤の濃度が高くなっても起泡性及び泡沫安定性を維持することができる。液体可塑剤の濃度が、10質量%未満であると、脂肪酸を含有しなくても起泡性に問題はない。しかし、液体可塑剤の濃度が10質量%以上、特に液体可塑剤の濃度が30質量%以上になると、脂肪酸塩だけでは、ほとんど起泡しなくなり起泡性が悪くなる場合がある。起泡性が悪くなった場合であっても、脂肪酸塩と同じ炭素数の脂肪酸を含有させると、起泡性を維持できる。
ただし、脂肪酸の含有量が多くなりすぎると、起泡剤である脂肪酸塩の比率が下がり、起泡性が再び悪くなる場合がある。このような場合、起泡性が優れている点で、脂肪酸塩のモル数は、脂肪酸のモル数以上のモル数としてもよく、脂肪酸と脂肪酸塩の比率を、モル比で、5:5〜1:9の範囲としてもよい。
なお、同じ炭素数の脂肪酸と脂肪酸塩との組合せだけでなく、例えば、脂肪酸塩がミリスチン酸アミンであり脂肪酸がステアリン酸である組合せや、脂肪酸塩がパルミチン酸カリウムであり脂肪酸がステアリン酸である組み合わせのように、炭素数が12〜18の範囲で脂肪酸塩と脂肪酸との炭素数が異なる組合せであってもよい。炭素数12〜18の範囲の脂肪酸を定着液に含有することで、高濃度の液体可塑剤を含有しても、起泡性が悪くならず、泡沫安定性に優れ、密度の極めて低い泡化を可能とする。
また、起泡性が悪化するのを防止し得る点で、他のアニオン系界面活性剤(例えばアルキルエーテル硫酸塩(AES))を起泡剤とし、炭素数12〜18の脂肪酸を更に含有してもよい。
−可塑剤−
前記可塑剤としては、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体可塑剤、固体可塑剤などが挙げられる。
−−固体可塑剤−−
前記固体可塑剤は、常温で固体であり、かつ前記希釈剤に可溶であって、前記希釈剤に溶解している状態でトナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させ得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、「常温」とは、熱したり冷やしたりせずに達成される温度のことをいい、例えば、JIS Z8703にて定義されている、5℃〜35℃であることが好ましい。この常温の範囲内であると、固体可塑剤は固体状態となる。即ち、泡状態の定着液においては水を含むために固体可塑剤は溶融している状態にあるが、未定着のトナーに付与され、該トナーに浸透し、更にトナーに浸透した定着液の水分が気化などにより量が低下した場合には、前記固体可塑剤は固体の状態に変化する。このように、固体可塑剤が固体の状態に変化する点に注目し、この特性を利用することで定着液付与後のトナー固さを高め、タックに関する課題を解決できる。また、常温における適当な条件下で固体可塑剤がトナーに対する可塑能力を発揮するとともに、可塑能力を失い固体の状態となると、それ自体が硬化し、タックの防止に寄与することとなる点で、好ましい。
前記固体可塑剤としては、例えば、被定着物であるトナーと一定の相溶性を有するなどの親和性を有する官能基を有することが好ましい。ここでいう親和性を有する官能基とは、好ましくは、トナーを構成する分子に含まれる官能基と、固体可塑剤に含まれる官能基とが同一である場合に加え、これらの官能基間で一定の相互作用をし得る官能基を有することを意味する。固体可塑剤に含まれる官能基がトナーを構成する分子と一定の相互作用をし得る官能基を有すると、これらの官能基の相互作用によりトナーを構成する分子間に固体可塑剤が進入するきっかけとなり、結果として、固体可塑剤とトナーとの間でいわゆるポリマーブレンドの状態を形成し、固体可塑剤がトナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる際に効果的であるためである。具体的な例を挙げると、固体可塑剤がポリエチレングリコール系化合物であって、該ポリエチレングリコールにエチレンオキサイド基が含まれる。そして、対応するトナーには、樹脂分子中にエチレンオキサイド基を含む組合せがそれに相当する。このような場合、固体可塑剤とトナーの両者にエチレンオキサイド基が含まれ、これにより親和性を高めることで、両者の相溶性を高める効果が奏するものである。一方、この考え方は、固体可塑剤とトナーの両者に親和性を有する官能基を有することで成り立つため、前記エチレンオキサイド基に限定されることはなく、他の例としては、プロピレンオキサイド基を利用してもよく、更には、公知のトナーに含まれる官能基を固体可塑剤内に含ませる場合も有効に作用する。
前記固体可塑剤としては、上記の要件のほか、一定の条件下で可塑能力を発揮するものが挙げられ、例えば、下記のものが挙げられる。
(1)前記希釈剤に溶解することで可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、ピーク分子量が1,000〜2,000のもの
(2)前記希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが後述の液体可塑剤が少量存在すると可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、ピーク分子量が2,000〜10,000のもの
(3)前記希釈剤に溶解されても可塑能力は発揮されないが若干の加温(例えば、50℃〜100℃程度)により可塑能力が発揮されるもの
エチレンオキサイド基を有する部剤:ポリエチレングリコールのうち、ピーク分子量が2,000〜10,000
ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類:ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノセチルエーテルなど
前記(1)で例示したポリエチレングリコールのピーク分子量が、1,000未満であると、周囲環境によって定着画像が溶融する場合があり、2,000を超えると、前記常温状態で固体状態ではなくなるため、後述の液体可塑剤を共有しない定着液の系内においては十分な可塑能力が発揮できない場合がある。このような技術的な意義のもと、前記ピーク分子量は、1,000〜2,000であることが好ましい。
前記(2)で例示したポリエチレングリコールのピーク分子量が、10,000を超えると、常温状態で明らかに固体状態ではなくなるため、被定着物であるトナー間に粒界が生じてしまう場合がある。
前記(3)に例示の固体可塑剤の加温の温度としては、可塑能力が発揮できる範囲であれば、特に制限はないが、50℃〜100℃が好ましい。上記加温の温度が、50℃未満であると、定着が不十分である場合があり、100℃を超えると、エネルギー消費の点で、不経済である。
前記固体可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着液の質量に対して、5質量%〜30質量%であることが好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、定着が困難となるためであり、30質量%を超えると、定着液及び泡状定着液としての粘度が高くなり、加えて泡立ちの悪さや、泡の安定性に欠け、品質上問題が生じることがある。
−−液体可塑剤−−
前記定着液は、可塑剤として液体可塑剤を含有してもよい。前記液体可塑剤は、前記希釈剤に可溶であって、一定の条件下で可塑能力を発揮するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単独で可塑能力を発揮してトナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させるものであってもよいし、前記固体可塑剤と組み合わせることで可塑能力を発揮するものであってもよい。前記液体可塑剤の例としては、一定の条件下で軟化性乃至膨潤性に優れている点で、エステル化合物が挙げられる。このエステル化合物のなかでも、樹脂の軟化能力が優れている点、又は希釈剤による起泡性の阻害の程度が低い点で、脂肪族エステル、炭酸エステルがより好ましい。
前記液体可塑剤は、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きいことが好ましく、5g/kg以上であることがより好ましい。液体可塑剤として、前記の脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高いものであることから、特に好ましい。
また、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、液体可塑剤は、トナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。この点で、液体可塑剤は、揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。前記の脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し刺激臭を持たない点で、より好ましい。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数〔10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率)〕を臭気の指標としてもよい。また、液体可塑剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、液体可塑剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も、液体可塑剤と同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
−−−脂肪族エステル−−−
前記脂肪族エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飽和脂肪族エステル、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルが挙げられる。
−−−−飽和脂肪族エステル−−−−
前記脂肪族エステルが飽和脂肪族エステルである場合には、液体可塑剤の保存安定性(酸化、加水分解等に対する耐性)を向上させることができる。また、前記飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内等の短時間で溶解乃至膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、軟化乃至膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
前記定着液において、好ましくは、前記飽和脂肪族エステルの一般式は、RCOORで表される化合物であってもよく、ここでRは、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rは、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。即ち、前記の飽和脂肪族エステルが、一般式RCOORで表される化合物であり、Rが、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、Rが、炭素数が1以上6以下の直鎖型又は分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式RCOORで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
−−−−脂肪族モノカルボン酸エステル−−−−
前記脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えばラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族モノカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−−−脂肪族ジカルボン酸エステル−−−−
前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルであってもよい。前記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、より短い時間でトナーを軟化乃至膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが好ましい。前記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸エステルである場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の液体可塑剤を添加することによって、トナーを軟化乃至膨潤させることができるため、定着液に含まれる液体可塑剤の含有量を低減することができる。
前記定着液において、好ましくは、前記脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、R(COORで表される化合物であって、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基であってもよい。R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
前記脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R(COORで表される化合物であって、Rは炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が3以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに対する軟化性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式R(COORで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えばアジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。なお、これらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。このことから、脂肪族ジカルボン酸エステルを用いて水性溶媒からなる定着液とする場合、後述の溶解助剤としてグリコール類を定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態としてもよい。
−−−−脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル−−−−
前記定着液において、前記脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルであってもよい。前記脂肪族エステルが脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルである場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
前記定着液に含まれる液体可塑剤において、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物であって、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基であってもよい。R、R及びRの炭素数がそれぞれ所望の範囲よりも少ないと臭気が発生し、所望の範囲よりも多いと樹脂軟化能力が低下する。
前記脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R(COOR−O−Rで表される化合物であって、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに対する軟化性乃至膨潤性を向上させることができる。また、前記一般式R(COOR−O−Rで表される化合物の臭気指数は、不快臭及び刺激臭を有さない点で、10以下であることが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えばコハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチルなどが挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを水性溶媒で用いる場合、必要に応じてグリコール類を溶解助剤として定着液に含有させ、溶解又はマイクロエマルジョンの形態とする。
更に、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの類似構造として、一般式(5)で表される化合物は、エーテル基の分子内での割合が高くなるため、希釈剤である水に対する溶解性が非常に高くなり、高濃度の液体可塑剤を含有した定着液とすることができる点で好ましい。
(COO−(R−O)n−R10 一般式(5)
ただし、前記一般式(5)中のnは1以上3以下であり、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R10は炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
前記一般式(5)で表される化合物としては、例えばコハク酸ビスエトキシジグリコール、アジピン酸ジエトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシエトキシエチル、コハク酸ジメトキシメトキシプロピルなどが挙げられる。
−−−炭酸エステル−−−
液体可塑剤の一例である炭酸エステルとしては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン(プロピレンカーボネート)などの環状エステル類、グリセロール1,2−カルボナート、4−メトキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
また、前記以外のエステル化合物としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート等のグリコールをエステル化した化合物;モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリンをエステル化した化合物等が挙げられる。
前記液体可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着液の質量に対して、0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜40質量%であることがより好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、トナーを軟化乃至膨潤させる効果が不十分になることがあり、50質量%を超えると、長時間に亘りトナーに含まれる樹脂の流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
−その他の成分−
−−溶解助剤−−
前記定着液は、定着液中の液体可塑剤を溶解する目的で、溶解助剤を含有してもよい。溶解助剤としては、液体可塑剤を溶解させ得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価のアルコール類が挙げられる。前記多価のアルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。これらの中でも、液体可塑剤が高濃度でも溶解可能であり且つ起泡剤の起泡性を劣化させない点で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
前記多価のアルコール類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記定着液の質量に対して、1質量%〜30質量%の範囲が好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、定着液中の液体可塑剤濃度が高くなると希釈溶液である水に液体可塑剤が溶解しにくくなることがあり、30質量%を超えると、起泡性がむしろ劣化することがある。
−−増泡剤−−
前記定着液は、泡沫安定性を向上させる目的で、増泡剤を更に有してもよい。増泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましく、泡沫安定性の点で、ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型であることがより好ましい。
前記増泡剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記定着液の質量に対して、0.01質量%〜3質量%が好ましい。
−−気体発生助剤−−
前記気体発生助剤としては、前記定着液の気体発生を助長する前記気体発生剤以外の助剤であり、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、安息香酸、ホウ酸などの酸や、尿素及びその誘導体、気泡調整剤などが挙げられる。
前記気体発生助剤は、前記定着液のpHを調整する役割を兼ねることもできる。
前記発泡助剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記定着液100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.05質量部〜8質量部がより好ましい。
なお、前記気体発生助剤は、前記トナーに添加することもできる。
<記録媒体>
前記記録媒体としては、トナーを定着させ得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着液に対して浸透性を有するものであることが好ましく、媒体基板が液浸透性を持たない場合は、基板上に液浸透層を有する媒体が好ましい。前記記録媒体の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シート状の他、平面及び曲面を有する立体物でも構わない。前記記録媒体としては、例えば、紙等の媒体に透明トナーを均一に定着させ紙面を保護したもの(いわゆる、ニスコート)であってもよい。前記記録媒体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布等を構成する一般的な繊維、液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルム、金属、樹脂、セラミックスなどが挙げられる。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、前記トナーの製造方法であって、前記気体発生剤がトナー表面に存在するように前記気体発生剤を外添する気体発生剤外添工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記気体発生剤外添工程は、前記気体発生剤が前記トナー表面に存在するように前記気体発生剤を外添する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー母体粒子と前記外添剤とを混合した後に、更に前記気体発生剤を混合する第1の混合工程、前記トナー母体粒子と前記外添剤と前記気体発生剤とを混合する第2の混合工程が好ましい。
<トナー母体粒子の製造方法>
前記トナー母体粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法、特定の重合性単量体を含有する単量体組成物を水相中で直接的に重合する重合法(懸濁重合法、乳化重合法)、水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法、溶剤で溶解し脱溶剤して粉砕する方法、溶融スプレー法などが挙げられる。
−粉砕法−
前記粉砕法は、例えば、トナー材料を溶融し、混練した後、粉砕し、分級等することにより、前記トナー母体粒子を得る方法である。
前記粉砕法の場合、前記トナーの平均円形度を高くする目的で、得られたトナー母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、前記機械的衝撃力は、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いて前記トナー母体粒子に付与することができる。
前記トナー材料の溶融、混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸の連続混練機、二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などが挙げられる。例えば、株式会社神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、有限会社ケイシーケイ製二軸押出機、株式会社池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターとの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。
−懸濁重合法−
前記懸濁重合法は、油溶性重合開始剤、重合性単量体中に着色剤、離型剤などを分散し、界面活性剤、その他固体分散剤などが含まれる水系媒体中で、後述する乳化法によって乳化分散する。その後重合反応を行い粒子化し、前記トナー母体粒子を得る。
その後後述する前記トナー母体粒子表面に前記外添剤、前記気体発生剤を付着させる処理を行えばよい。その際、余剰にある界面活性剤等を洗浄除去したトナー母体粒子に処理を施すことが好ましい。
前記重合性単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのアミノ基を有するアクリレート、メタクリレートなどを一部用いることによってトナー粒子表面に官能基を導入できる。
また、使用する分散剤として酸基や塩基性基を有するものを選ぶことよってトナー母体粒子表面に分散剤を吸着残存させ、官能基を導入することができる。
−乳化重合法−
前記乳化重合法としては、水溶性重合開始剤、重合性単量体を水中で界面活性剤を用いて乳化し、通常の乳化重合の手法によりラテックスを合成する。別途着色剤、離型剤等を水系媒体中分散した分散体を用意し、混合の後にトナーサイズまで凝集させ、加熱融着させることによりトナー母体粒子を得る。その後、後述する前記トナー母体粒子表面に前記外添剤、前記気体発生剤を付着させる処理を行えばよい。ラテックスとして懸濁重合法に使用される単量体と同様なものを用いればトナー母体粒子表面に官能基を導入できる。
−水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法−
前記水系媒体中に特定の結着樹脂溶解液を乳化乃至分散させる方法としては、少なくとも結着樹脂を有するトナー材料の溶解液乃至分散液を水系媒体中に乳化乃至分散させ、乳化液乃至分散液を調製した後、トナーを造粒(水系造粒)する方式である。この方式としては、例えば以下の工程〔1〕〜〔4〕からなる。
<<工程〔1〕:トナー材料の溶解液乃至分散液の調製>>
前記トナー材料の溶解液乃至分散液は、着色剤、結着樹脂等のトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させることにより調製される。なお、前記有機溶剤は、トナーの造粒時乃至造粒後に除去される。
<<工程〔2〕:水系媒体の調製>>
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば水、該水と混和可能なアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類等の溶剤、又はこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水系媒体の調製は、例えば、樹脂微粒子のような分散安定化剤を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。樹脂微粒子の水系媒体中への添加量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成し得る樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも微細な球状の樹脂微粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されているのが好ましい。
また、前記水系媒体においては、必要に応じて、後述の乳化乃至分散時における、前記溶解液乃至分散液の油滴を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が特に好ましい。
<<工程〔3〕:乳化乃至分散>>
前記トナー材料を含む溶解液乃至分散液を前記水系媒体中で乳化乃至分散させる際、トナー材料を含む溶解液乃至分散液を前記水系媒体中で攪拌しながら分散させるのが好ましい。分散の方法としては、特に限定されるものではないが、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(在原製作所製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機株式会社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工株式会社製)等の連続式乳化機、マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機、膜乳化機(冷化工業株式会社製)等の膜乳化機、バイブロミキサー(冷化工業株式会社製)等の振動式乳化機、超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機、などが挙げられる。これらの中でも、粒径の均一化の観点から、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが特に好ましい。
なお、前記溶解液乃至分散液に含まれる結着樹脂として活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルを含む場合においては、乳化乃至分散時に反応が進行する。反応条件としては特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組合せに応じて適宜選択することができるが、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
<<工程〔4〕:溶剤の除去>>
次に、前記乳化乃至分散により得られた乳化スラリーから有機溶剤を除去する。有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法等が挙げられる。
<気体発生剤外添工程>
前記気体発生剤外添工程は、前記気体発生剤が前記トナー表面に存在するように前記気体発生剤を外添する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー母体粒子と前記外添剤とを混合した後に、更に前記気体発生剤を混合する第1の混合工程、前記トナー母体粒子と前記外添剤と前記気体発生剤とを混合する第2の混合工程が好ましい。
前記トナー母体粒子と前記外添剤とを混合した後に、更に前記気体発生剤を混合する第1の混合工程、及び前記トナー母体粒子と前記外添剤と前記気体発生剤とを混合する第2の混合工程は、得られる前記トナーにおいて前記気体発生剤を前記トナー表面に有することができ、かつ前記トナー内部に前記気体発生剤が埋没することを防ぐことができる。
一方、前記トナー母体粒子と前記気体発生剤とを混合した後に、更に前記外添剤を混合する混合工程とした場合、前記トナー母体粒子と前記気体発生剤との混合により前記トナー母体粒子表面に付着した前記気体発生剤の上に、前記外添剤が付着することで、前記気体発生剤が前記トナーの最表面に存在する状態ではなくなることがある。その結果、得られる前記トナーにおいて、本発明の効果が低下することがある。
前記混合工程においては、一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等を装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、前記外添剤、前記気体発生剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次前記外添剤、前記気体発生剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。まず、はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
(定着方法)
本発明の定着方法は、水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、前記定着液と接触して気体を発生する気体発生剤とを含有するトナーにより形成されるトナー層に付与し、前記トナーにおける前記気体発生剤から気体を発生させつつ、前記トナーを記録媒体に定着する定着方法であり、好ましくは泡状定着液生成工程と、膜厚調整工程と、泡状定着液付与工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の定着方法においては、本発明の前記トナーが用いられる。
本発明の定着方法においては、前述した前記定着液が用いられる。
本発明で用いられる定着装置は、泡状定着液生成手段と、膜厚調整手段と、泡状定着液付与手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の定着方法は、本発明で用いられる定着装置により好適に実施することができ、泡状定着液生成工程は、泡状定着液生成手段により行うことができ、膜厚調整工程は、膜厚調整手段により行うことができ、泡状定着液付与工程は、泡状定着液付与手段により行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により行うことができる。
<泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段>
前記泡状定着液生成工程は、前記定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する工程であり、泡状定着液生成手段により実施される。
図2は塗布時の泡状定着液の層構成例を示す概略図である。図2に示す液体121は可塑剤を含有し、液体中に気泡122を含有した泡状の構成である。このように、前記気泡122を大量に含有することで、定着液120のかさ密度を極めて低くすることができる。この構成とすることで、定着液塗布時は、体積が多い状態で塗布しても、かさ密度が低く、塗布質量は小さいため、その後前記気泡122が破泡してしまえば、実質的な塗布量は極めて少なくすることができる。なお、本発明における泡状とは、液体中に気泡が分散し、液体が圧縮性を帯びた状態を示す。
泡状定着液生成工程及び泡状定着液生成手段としては、本発明による前記定着液を泡状化して泡状定着液を生成し得るものであれば、特に制限はない。その一態様について、図3を参照して、説明する。
図3は、本発明による定着装置における泡状定着液生成手段の構成を示す概略図である。図3に示す泡状定着液生成手段130は、本発明による前記定着液等の液状定着液132を貯留する定着液容器131と、前記液状定着液132を液搬送する液搬送パイプ134と、液搬送するための駆動を得る搬送ポンプ133と、気体と液体とを混合する気体・液体混合部135と、前記液状定着液132を泡状化して所望の泡状定着液を得る泡生成部138とを有する。
前記定着液容器131に貯留された前記液状定着液132は、前記搬送ポンプ133の駆動力によって前記液搬送パイプ134を液搬送され、前記気体・液体混合部135へと送られる。搬送ポンプとしては、液状定着液を液搬送し得るものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばギヤポンプ、ベローズポンプなどが挙げられるが、チューブポンプが好ましい。ギヤポンプ等の振動機構や回転機構があると、ポンプ内で定着液が起泡し、定着液に圧縮性が出て、搬送能力が低下する恐れがある。また、上記の機構部品等が定着液を汚染したり、逆に機構部品を劣化させる恐れがある。一方、チューブポンプは、チューブ内の液を、チューブを変形させながら押し出す機構であるため、定着液と接する部材はチューブだけであり、定着液に対し耐液性を有する部材を用いることで、液の汚染やポンプ系部品の劣化がない。また、チューブを変形させるだけなので、液が起泡せず、搬送能力の低下を防止できる。
前記気体・液体混合部135には、空気口136が設けられ、液の流れとともに、前記空気口136に負圧が発生し、前記空気口136から気体が前記気体・液体混合部135に導入され、液体と気体が混合される。更に、微小孔シート137を通過することで、泡径の揃った大きな泡を生成させることができる。孔径は、30μm〜100μmが好ましい。図3の前記微小孔シート137に限らず、連泡構造の多孔質部材であればよく、孔径30μm〜100μmを有する焼結セラミックス板や不織布や発泡樹脂シートであってもよい。また、別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状定着液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も好ましい。
次に、空気と混合された前記液状定着液132は、所望の泡状定着液を得る前記泡生成部138に送液される。前記泡生成部138において、空気と混合された前記液状定着液132には、せん断力が加えられ、大きな泡を分割して2つ以上に分泡化される。前記泡生成部138の構成としては、このように行われ得るものであれば、特に制限はないが、閉じた二重円筒で、内側円筒が回転可能な構成とし、外部円筒の一部より、大きな泡状定着液を供給し、内部の回転する円筒と外部円筒との隙間(ここが流路となる)を通過しながら、回転円筒によりせん断力を受けるような構成であってもよい。このせん断力により、大きな泡は微小な泡へと変化し、外側円筒に設けられた泡の出口より、所望の微小な泡径を有する泡状定着液を得ることができる。また、内側円筒にらせん状の溝を設けて、円筒内での液搬送能力を高くしてもよい。
定着液は、紙等の記録媒体上のトナー層への塗布時に泡状となっていればよく、定着液容器内で泡状である必要はない。定着液容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、トナー層へ付与するまでの液搬送経路で泡状にする手段を設ける構成が好ましい。これは、定着液容器では液体であり容器から液を取り出した後に泡状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
一般的に0.5mm〜1mm程度の大きな泡の場合、単なる撹拌等により比較的容易に泡を生成可能であり、大きな泡の生成には数秒以下の時間(0.1秒もかからない)で生成することができる。そこで、この所望の泡径よりも大きな泡であって、目視で観察できる程度の大きさの泡の生成が容易で、且つすばやく得ることができる点に着目し、大きな泡から素早く5μm〜50μm程度の微小な泡を生成する方法を鋭意検討した結果、大きな泡にせん断力を加えることで大きな泡を分泡すると、上記のような液状態から微小な泡を起泡させる方法に比べ、極めて素早く所望の大きさの微小な泡が生成できることを見出した。この点、上記のような泡状定着液生成手段130の構成は、これを実現するために好ましい態様である。
このように、液状定着液を大きな泡径を有する液へと変化させる大きな泡生成部と、大きな泡にせん断力を加えて微小な泡を生成する微小な泡生成部とを組み合わせることで、液状定着液を極めて短時間に5μm〜50μmの微小な泡径を有する泡状定着液を生成させることができる。
特に、トナーの平均粒径が5μm〜10μm程度の場合、図1に示すように、前記記録媒体112上の前記トナー層113を乱すことなく前記泡状定着液114を前記トナー層113に付与するには、前記泡状定着液114の泡径範囲が、5μm〜50μmであることが好ましい。なお、図2に示すように、前記気泡122で構成された前記泡状定着液120は、前記気泡122のそれぞれを区切る前記液体121から構成される。
<膜厚調整工程及び膜厚調整手段>
前記定着方法における膜厚調整工程は、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する工程であり、膜厚調整手段により実施される。
前記膜厚調整手段としては、泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成し得る限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば膜厚調整用ブレード、ブレードと塗布ローラとの組み合わせなどが挙げられる。なお、前記膜厚調整工程及び前記膜厚調整手段の態様については、後述する。
<泡状定着液付与工程及び泡状定着液付与手段>
前記定着方法における泡状定着液付与工程は、所望の厚みに形成された泡状定着液を媒体上のトナー層に付与する工程であり、泡状定着液付与手段により実施される。
図4A及び図4Bは、本発明による定着装置における膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段の一例を示す概略構成図である。図4Aに示す本発明の定着装置140は、前記泡状定着液生成手段130によって生成された所望の微小な泡の泡状定着液を、トナー等を構成するトナー層へ付与するための塗布ローラ141と、塗布ローラ面に所望の微小な泡の泡状定着液の膜厚を、記録媒体上の未定着のトナー層の厚さに応じて調整し、泡状定着液の最適な膜厚の調整を行う膜厚調整手段である膜厚調整用ブレード142と、前記塗布ローラ141と対峙する位置に加圧ローラ143とを有する。
未定着トナーを表面上に有する記録媒体は、前記塗布ローラ141と前記加圧ローラ143とからなるニップ部を通過する。一方、前記泡状定着液生成手段130で生成された泡状定着液は、前記膜厚調整用ブレード142によって膜厚調整され、所望の厚みの泡状定着液層として前記塗布ローラ141に配置される。このように前記塗布ローラ141上に形成された泡状定着液層は、未定着トナーを有する記録媒体のニップ部の通過に同期して、未定着トナー(トナー層)上に付与される。
本発明の定着方法においては、前記気体発生剤を含有する前記トナーを用いることにより、前記泡状定着液付与工程における泡状定着液付与手段(例えば、塗布ローラ)へのトナーのオフセットを防止することができる。
オフセットが防止できる理由としては、以下のことが考えられる。本発明の前記トナーを用いると、前記泡状定着液付与工程において、前記気体発生剤と前記泡状定着液が接触した際に、前記泡状定着液に含まれる水と前記気体発生剤との反応などにより気体が発生する。発生した気体の一部が、トナー層と泡状定着液付与手段(例えば、塗布ローラ)間や、トナー層と泡状定着液間に留まることで、泡状定着液がトナー層間に浸透し尽くして泡状定着液の層が無くなりトナー層と泡状定着液付与手段が直接接触することを防止していると考えられる。これにより、泡状定着液付与手段とトナー層の間に泡状定着液が残り、トナーと泡状定着液付与手段が直接接触することが避けられ、オフセットが防止されると推察される。
また、図4Bは、前記塗布ローラ141及び前記膜厚調整用ブレード142を拡大した概略図であって、泡状定着液付与手段を構成する前記塗布ローラ141上には、泡状定着液の層が記録媒体上の未定着のトナー層の厚みに応じて膜厚調整手段である前記膜厚調整用ブレード142を通じて形成される。この膜厚調整手段である前記膜厚調整用ブレード142によって泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの厚みに応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間に対して適した定着液層の厚みとなる。所望の微小な泡の泡状定着液は、上記のように、大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている前記泡状定着液生成手段130で生成され、液供給口より前記塗布ローラ141と膜厚調整手段である前記膜厚調整用ブレード142との間に滴下される。
泡状定着液の塗布ローラ上での膜厚調整は、図5A及び図5Bに示すように、前記塗布ローラ141とギャップを設けた前記膜厚調整用ブレード142を用い、図5Aに示すように膜厚を薄くするときはギャップを狭くし、図5Bに示すように膜厚を厚くするときはギャップを広くするように行ってもよい。ギャップの調整は、前記膜厚調整用ブレード142の端部に、駆動可能な回転軸を用い、トナー層の厚さや環境温度等、更には泡状定着液の気泡の大きさ、泡粘度及び塗布加圧力並びに未定着トナーの層厚に応じた泡状定着液の未定着トナー層での浸透時間を調整するための最適な膜厚を調整してもよい。
泡状定着液付与手段を構成する塗布ローラの形状、構造、大きさ及び材質としては、泡状定着液を付与し得る限り、特に制限はないが、曲面部を少なくともその表面の一部に有するものであることが好ましい。
膜厚調整用ブレードとしては、図5A及び図5Bの膜厚調整用ブレードのほかに、ワイヤーバーであってもよい。ワイヤーバーによって、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みを調整し、泡状定着液は、上記のごとく、大きな泡を生成する大きな泡生成部とその大きな泡をせん断力で分泡する微小な泡生成部とを有する泡状定着液生成手段によって生成され、液供給口より、膜調整ワイヤーバーと塗布ローラとの間に滴下する。ワイヤーバーを膜厚調整手段として用いることで、ブレードに比べ、塗布ローラ面の軸方向の泡状定着液膜均一性が向上する。
泡状定着液のかさ密度としては、0.01g/cm〜0.1g/cm程度の範囲が好ましい。更に、定着液付与時に媒体面に残液感を生じないようにするためには、0.01g/cm〜0.02g/cmが好ましく、0.02g/cm以下がより好ましい。なぜならば、図4A及び図4Bの塗布ローラ141のように、接触付与手段面の定着液の泡膜は、記録媒体上のトナー層の厚み以上であることが必須条件で(微粒子層の隙間を泡状定着液で埋めるため)、おおよそ、泡膜厚みは、50μm〜80μmが好ましい。一方、記録媒体面への定着液付着における残液感(手で記録媒体に触れたときの湿った感触)を生じさせないためには、定着液付着量として、記録媒体の単位面積当たり、0.1mg/cm以下が好ましい。このことから、泡のかさ密度としては、0.0125g/cm〜0.02g/cm3の範囲が好ましく、0.02g/cm以下の泡の密度がより好ましい。
図6は、定着装置の一例を示す概略図である。図6に示す実施の形態の前記定着装置140において、前記加圧ローラ143は、弾性層として弾性多孔質体(以下、スポンジ素材とも称する)を用いて構成してもよい。泡状定着液がトナー層を浸透して紙等の媒体まで到達した後に塗布ローラとトナー層とが剥離するようにニップ時間のタイミングを取る必要がある。この点、スポンジ素材からなる加圧ローラ43は、ニップ時間として50ミリ秒〜300ミリ秒の範囲を確保し、且つ弱い加圧力で大きく変形可能であることから、好ましい。
なお、ニップ時間は、ニップ時間=ニップ幅/紙の搬送速度により算出される。紙の搬送速度は、紙搬送駆動機構の設計データにより求めることができる。ニップ幅は、塗布ローラ全面に乾燥しない着色塗料を薄くつけて、記録媒体を前記塗布ローラ141及び対峙する前記加圧ローラ143に挟んで加圧(各ローラは回転させない状態で)し、記録媒体に着色塗料を付着させ、着色部(通常長方形の形に着色)における紙搬送方向の長さをニップ幅として測定することで求めることができる。
記録媒体の搬送速度に応じてニップ幅を調整することで、ニップ時間を泡状定着液のトナー層浸透時間と同じかそれ以上にする必要がある。図6に示す例では、前記加圧ローラ143を弾性層としてスポンジ素材とすることで、記録媒体の搬送速度に応じて、前記塗布ローラ141と前記加圧ローラ143との軸間距離を変更しニップ幅を変えることが容易となる。スポンジの代わりに弾性ゴムを前記加圧ローラ143の素材として用いてもよいが、スポンジは弾性ゴムよりも弱い力で変形させることが可能であり、前記塗布ローラ141の加圧力を過剰に高くすることなく長いニップ幅を確保することができる。
なお、定着液中には可塑剤が含有されており、スポンジ素材で形成された加圧ローラに定着液が万が一付着した場合、スポンジ素材に軟化等の不具合が発生する恐れがある。そのため、スポンジ素材の樹脂材は、液体可塑剤に対し軟化や膨潤を示さない素材が好ましい。また、スポンジ素材を用いた加圧ローラは、可撓性フィルムで覆った構成であってもよい。スポンジ素材が液体可塑剤で劣化する素材であっても、液体可塑剤により軟化や膨潤を示さない可撓性フィルムで覆うことでスポンジローラの劣化を防止することができる。スポンジ素材としては、特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂の多孔質体が挙げられる。また、スポンジを覆う可撓性フィルムとしては、可撓性を有する限り、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
図6において、前記塗布ローラ141とスポンジ素材を用いた前記加圧ローラ143とが常時接触している構成の場合、記録媒体が搬送されていない時に前記塗布ローラ141上の泡状定着液が前記加圧ローラ143に付着し汚す恐れがある。これを防止するため、前記塗布ローラ141からみて記録媒体の搬送方向の上流に紙先端検知手段(不図示)を設け、先端検知信号に応じて、記録媒体の先端から後方にのみ泡状定着液が塗布されるようなタイミングで前記塗布ローラ141に泡状定着液を形成することが好ましい。
図6に記載の前記定着装置140は、待機時は前記塗布ローラ141とスポンジ素材を用いた前記加圧ローラ143とはそれぞれ離れており、図示していない駆動機構により、塗布時のみ、記録媒体の先端検知手段に応じて前記塗布ローラ141とスポンジ素材を用いた前記加圧ローラ143とを接触させる構成であることも好ましい。また、図6に記載の前記定着装置140は、記録媒体の後端検知も行い、記録媒体の後端検知信号に応じて前記塗布ローラ141とスポンジ素材を用いた前記加圧ローラ143とを離すように構成することも好ましい。
図7は、定着装置の他の一例を示す概略図である。図7に示す実施の形態の前記定着装置140は、図6の前記加圧ローラ143の代わりに加圧ベルト144を用いたものである。大きな泡を生成する大きな泡生成部と大きな泡をせん断力で分泡して微小な泡を生成する微小な泡生成部とを含んで構成されている前記泡状定着液生成手段130で生成され液供給口より所望の泡径を有する泡状定着液を、膜厚調整手段である前記膜厚調整用ブレード142の供給口へチューブ等を用いて供給する。そして、膜厚調整手段の前記膜厚調整用ブレード142と前記塗布ローラ141とのギャップを調整して前記塗布ローラ141上の泡状定着液の層膜厚を調整し、泡状定着液の最適膜厚の調整を行う。前記加圧ベルト144の材料としては、例えばシームレスニッケルベルト、シームレスPETファイル等の基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いてもよい。
このように、ベルトを用いる構成では、ニップ幅を容易に広くすることが可能となる。したがって、ベルトを用いる構成としては、図7に限らず、塗布ローラをベルトとし、加圧手段をベルトではなくローラとする構成も好ましい。また、塗布側又は加圧側の少なくとも一方をベルトとする構成とすることで容易にニップ幅を広くすることが可能となり、紙にしわが発生するような無理な力をかけることがない。また、ニップ時間と紙の搬送速度とが同様であると、紙の搬送速度を速くすることが可能となり、高速定着が可能となる。
また、トナーの定着装置は、本発明における定着液をトナーに供給した後、少なくともその一部が軟化乃至膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、軟化乃至膨潤した上記のトナーを加圧することによって、軟化乃至膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ軟化乃至膨潤したこのトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は、前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は、前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により行うことができる。
<静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。前記静電潜像担持体(以下、「感光体」とも称する。)としては、その材質、形状、構造、大きさなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その形状としては、ドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体が挙げられる。これらのなかでも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた、それ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器が好ましい。
前記露光は、例えば、露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。前記露光器としては、帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が好ましい。なお、本発明において、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像工程及び現像手段>
前記現像工程は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像することにより行うことができ、現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものから適宜選択することができ、例えば、トナーを収容し、静電潜像にトナーを有する現像剤を接触的又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるものが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視像が形成される。
<転写工程及び転写手段>
前記転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はないが、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、この可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。また、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、この複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、転写帯電器を用いて静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、この複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(第一次転写手段、第二次転写手段)は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる、転写器を少なくとも有するものが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
なお、記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)から適宜選択することができ、上記の本発明による定着液で説明したものを用いてもよい。
<定着工程及び定着手段>
前記定着工程は、記録媒体に転写された転写像を定着させる工程であり、本発明の前記定着方法により行われる。
前記定着手段は、記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であり、本発明による前記定着装置により行われる。
<その他の工程及び手段>
前記その他の工程としては、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、静電潜像担持体上に残留する電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナから適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、本発明による画像形成方法の各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、本発明による画像形成装置の各手段の動きを制御することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、図8A及び図8Bは、本発明による画像形成装置の構成を示す概略図であって、図8Aは、カラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図8Bは図8Aの画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図8A及び図8Bに示す画像形成装置50は、複写機又はプリンタであってもよい。
図8A及び図8Bに示す前記画像形成装置50は、トナー像担持体として中間転写ベルト51を有する。前記中間転写ベルト51は、3つの支持ローラ52〜54に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。前記中間転写ベルト51に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット55〜58が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。前記中間転写ベルト51を挟んで前記中間転写ベルト51の前記支持ローラ54に対向する位置には、二次転写装置59が設けられている。前記二次転写装置59は、2つの支持ローラ60,61の間に張架された二次転写ベルト62で構成されている。なお、前記二次転写装置59としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、前記中間転写ベルト51を挟んで前記中間転写ベルト51の前記支持ローラ52に対向する位置には、ベルトクリーニング装置63が配置されている。前記ベルトクリーニング装置63は、前記中間転写ベルト51上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙64は、一対の給紙ローラ65で二次転写部へ導かれ、トナー像を前記記録紙64に転写する際に、前記二次転写ベルト62を前記中間転写ベルト51に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された前記記録紙64は、前記二次転写ベルト62によって搬送され、前記記録紙64に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいて泡状の定着液の膜厚を調整する、本発明による定着装置によって定着される。即ち、前記記録紙64に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいて泡状定着液層の膜厚が調整されたトナーの定着装置から供給される本発明における泡状定着液が付与され、泡状定着液に含まれる、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤(固体可塑剤及び/又は液体可塑剤)によって、未定着のトナー像を、前記記録紙64に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図8Bに示すように、前記画像形成ユニット55〜58には、感光体ドラム66の周辺に、帯電装置67、現像装置68、クリーニング装置69及び除電装置70が配置されている。また、前記中間転写ベルト51を介して、前記感光体ドラム66に対向する位置に、一次転写装置71が設けられている。また、前記帯電装置67は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置であってもよい。前記帯電装置67は、帯電ローラを前記感光体ドラム66に接触させて、前記感光体ドラム66に電圧を印加することにより、前記感光体ドラム66の表面を一様に帯電する。前記帯電装置67としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、前記現像装置68は、現像剤中のトナーを前記感光体ドラム66上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。
なお、前記現像装置68は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、前記一次転写装置71は、前記感光体ドラム66上で可視化されたトナーを前記中間転写ベルト51に転写する。ここでは、前記一次転写装置71としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、前記中間転写ベルト51を挟んで前記感光体ドラム66に押し当てている。前記一次転写装置71としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、前記クリーニング装置69は、前記感光体ドラム66上の不要なトナーを除去する。前記クリーニング装置69としては、前記感光体ドラム66に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、前記クリーニング装置69によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、前記現像装置68に回収され、再利用される。更に、前記除電装置70は、ランプで構成されており、光を照射して前記感光体ドラム66の表面電位を初期化する。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるもの
ではない。
(調製例1)
<定着液の調製>
下記の各成分を混合し、超音波ホモジナザーにて10分間撹拌し、定着液を調製した。
−定着液の組成−
・液体可塑剤
コハク酸ジカルビトール 30質量%
(商品名:ハイアクオスターDCS、高級アルコール工業株式会社製、コハク酸ビスエトキシジグリコール)
・起泡剤
下記方法により調整した脂肪酸ジエタノールアミン塩 4質量%
ミリスチン酸(関東化学株式会社製)、パルミチン酸(関東化学株式会社製)、及びステアリン酸(関東化学株式会社製)が質量比で4:3:1となるように混合した脂肪酸混合物と、中和剤であるジエタノールアミン(関東化学株式会社製)をモル比で1:0.7になるように計量し、それを80℃のイオン交換水中で、30分間撹拌し、室温になるまで放冷して、脂肪酸ジエタノールアミン塩を調製した。
・増泡剤
ヤシ油脂肪酸アルカノールアミド(1:1)型 0.5質量%
(松本油脂製薬「マーポンMM」)
・希釈液
イオン交換水 65.5質量%
(調製例2)
<トナー母体粒子Aの調製>
−樹脂微粒子分散液の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、下記成分を仕込み、3,800回転/分で30分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。
水 683質量部
メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩 11質量部
(エレミノールRS−30、三洋化成工業社製)
メタクリル酸 166質量部
アクリル酸ブチル 110質量部
過硫酸アンモニウム 1質量部
該乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温して4時間反応させた。次いで、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃にて6時間熟成して、ビニル樹脂粒子(メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(樹脂微粒子分散液)を調製した。
得られた樹脂微粒子分散液に含まれる微粒子の体積平均粒径を、レーザー光散乱法を用いた粒径分布測定装置(「LA−920」;堀場製作所製)により測定したところ、110nmであった。また、該樹脂微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のガラス転移温度(Tg)を測定したところ、58℃であり、重量平均分子量(Mw)を測定したところ130,000であった。
−活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルの調製−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、下記成分を仕込み、常圧下で、230℃にて7時間反応させた。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 682質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 81質量部
テレフタル酸 283質量部
無水トリメリット酸 22質量部
ジブチルチンオキサイド 2質量部
次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,200、重量平均分子量(Mw)が9,700、ガラス転移温度(Tg)が54℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、下記成分を仕込み、100℃にて5時間反応させて、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルを合成した。
前記中間体ポリエステル 410質量部
イソホロンジイソシアネート 89質量部
酢酸エチル 500質量部
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53%であった。
−ケチミン(活性水素基含有化合物)の合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて4時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。得られたケチミン化合物(活性水素機含有化合物)のアミン価は417であった。
−トナーコア粒子スラリーの調製−
−−水相の調製−−
下記成分を、混合撹拌し、乳白色の液体(水相)を得た。
水 990質量部
前記樹脂微粒子分散液 83質量部
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業社製) 37質量部
酢酸エチル 90質量部
−−未変性ポリエステル(結着樹脂A)の調製−−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、下記成分を投入し、常圧下、230℃にて7時間反応させた。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 149質量部
ビスフェノールAプロピオンオキサイド2モル付加物 90質量部
テレフタル酸 183質量部
エチレンオキサイド 234質量部
プロピレンオキサイド 315質量部
ジブチルチンオキサイド 2質量部
次いで、該反応液を10mmHg〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させ、未変性ポリエステルを合成した。
得られた未変性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が1,050、重量平均分子量(Mw)が6,200、ガラス転移温度(Tg)が67℃であった。
−−マスターバッチ(MB)の調製−−
下記成分をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し混合物を得た。
着色剤としてのカーボンブラック 540質量部
(Printex35、デクサ社製、DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5)
前記未変性ポリエステル 1,200質量部
水 1,200質量部
該混合物を二本ロールで110℃にて1時間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
−−有機溶剤相(油相)の調製−−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、下記成分を仕込み、1時間撹拌して原料溶解液を得た。
前記マスターバッチ 500質量部
酢酸エチル 500質量部
得られた原料溶解液543質量部と酢酸エチル500質量部を混合した後、反応容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして、前記カーボンブラックの分散を行った。次いで、該分散液に前記未変性ポリエステルの65質量%酢酸エチル溶液2,076質量部を添加した。上記同様の条件のビーズミルで1パスし、分散させ、有機溶剤相を調製した。得られた有機溶剤相の固形分濃度(130℃、30分の加熱による)は、50質量%であった。
−−乳化及び脱溶剤−−
前記有機溶剤相979質量部を容器内にいれ、TKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で、5,000rpmで2分間混合した後、容器内に前記水相1,200質量部を加え前記TKホモミキサーで、回転数13,000rpmにて25分間混合して、分散液(乳化スラリー)を調製した。
次に、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤し、トナーコア粒子スラリーを得た。固形分濃度(130℃、30分の加熱による)は23質量%であった。
得られたトナーコア粒子スラリーは、マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)で測定した体積平均粒径が3μmであった。
−トナーシェル粒子スラリーの調製−
−−結着樹脂Bの合成−−
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器に、下記成分を仕込み、常圧下230℃で8時間反応した。
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 553質量部
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 196質量部
テレフタル酸 220質量部
アジピン酸 45質量部
ジブチルチンオキサイド 2質量部
さらに、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸46部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、結着樹脂Bを得た。
得られた結着樹脂Bは、数平均分子量3,200、重量平均分子量5,600、Tg43℃であった。
−−乳化及び脱溶剤−−
下記の成分を混合した。
水 990質量部
ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液
(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製) 15質量部
2質量%の水酸化ナトリウム水溶液 20質量部
上記成分を混合した混合物へ、前記結着樹脂B 500質量部を酢酸エチル500質量部へ溶解させた溶解液を投入して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、乳化スラリーを得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、前記乳化スラリーを投入し、25℃で8時間脱溶剤して、トナーシェル粒子スラリーを得た。
得られたトナーコア粒子スラリーの体積平均粒径は0.2μmであった。
−トナー母体粒子Aの調製−
容器内の前記トナーコア粒子スラリーに、前記トナーシェル粒子スラリーを、前記トナーコア粒子スラリーの固形分100質量部に対して前記トナーシェル粒子スラリーの固形分が20質量部となるように加え、30分間で70℃に昇温した。そこへ、イオン交換水100質量部に塩化マグネシウム6水和物100質量部を溶解した液を少量ずつ加えながら70℃に保ち、4時間後に塩酸水溶液を加えてpH5に調整した後、2時間後冷却し、トナーコア粒子上へ、シェル粒子を付着・固定させたトナースラリーを得た。
得られたトナースラリー100質量部を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い濾過ケーキを得た。
得られた濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩いトナー母体粒子Aを調製した。
(実施例1)
<トナー1の調製>
調製例2で得られたトナー母体粒子A 100質量部と、疎水性シリカ(H2000、ワッカーケミカル社製)0.7質量部と、疎水性酸化チタン(MT−150EX、テイカ社製)0.3質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて、10分間混合した。
続いて、得られた混合物に、トナー母体粒子A 100質量部に対して重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて5分間混合し、トナー1を調製した。
得られたトナー1について、以下の方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、7%であった。
<測定>
−気体発生剤のトナー表面の面積占有割合−
トナー表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、画像処理を行うことにより、トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めた。
なお、気体発生剤以外の成分が気体発生剤と共にトナー表面に共存した状態では、気体発生剤以外の成分の存在により、トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めることが困難な場合がある。そのような場合は、モデル的に、トナー母体粒子に直接気体発生剤を所望量添加したトナーであって、気体発生剤以外の成分がトナー表面に存在していないトナーを作製し、このトナー表面をSEMで観察し、画像処理を行うことにより、トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めてもよい。
<評価>
得られたトナーを下記方法により記録媒体上に定着させ、トナーオフセット、残液感、及び画像品質を評価した。結果を表1に示す。
−未定着のトナー像の作製−
電子写真方式のプリンタIpsioColorCX8800(株式会社リコー製)の定着ユニットを本発明の定着装置に変更した改造機、及び前記トナー1を用いて、未定着のトナー像(モノクロベタ画像、紙上トナー付着量:0.6mg/cm)をA4判のPPC用紙(株式会社リコー製マイペーパー)に形成した。このとき、未定着のトナー像の厚さを30μm〜40μmとした。
−定着−
図4Aの定着装置を用いて、調製例1で得られた定着液を泡状化して泡状定着液を得て、該泡状定着液を記録媒体上の前記未定着のトナー像に付与してトナー像を定着させた。なお、泡状定着液生成手段には図3に示す泡状定着液生成手段を用いた。各装置の条件などは以下の通りである。
−−泡状定着液生成手段−−
・定着液容器:PET樹脂製のボトル
・搬送ポンプ:チューブの材質がシリコーンゴム、内径が2mmであるチューブポンプ
・液搬送パイプ:内径が2mmのシリコーンゴムチューブ
・泡生成部:内側の円筒及び外側の円筒を有し、それぞれがPET樹脂製
内側の円筒は外径が8mm、長さが100mm
外側の円筒は内径が10mm、長さが120mm
なお、泡生成部の内側の円筒は回転軸に固定され、不図示の回転駆動モータにより回転させることにより泡状定着液を作成した。このとき泡密度が0.04g/cmとなるように回転速度を設定した。
−−膜厚調整手段及び泡状定着液付与手段−−
・膜厚調整手段:アルミ合金製の支持板に厚さが1mmの平板ガラスを接着したもの
・塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装した直径が50mmのSUS製ローラ
・加圧ローラ:直径22mmのSUS製ローラ(芯金)に、外径が40mmとなるように、シリコンスポンジを形成したもの
膜厚調整手段のガラス面を塗布ローラの側に向け、塗布ローラ上の泡状定着液の厚みが約50μmとなるように塗布ローラとのギャップを設定した。
また、加圧ローラの押し当て力は、ニップ幅が7mm、面圧が0.27kgf/cmとなるように設定した。
これによって定着液の塗布量はA4用紙1枚当たり100mg前後となった。なお、記録媒体の搬送速度は300mm/秒とした。
−トナーオフセット−
100枚定着を行った後の塗布ローラを目視により観察しトナーオフセットを下記基準により評価した。
◎:全くオフセットが発生しない
○:僅かにオフセットするが、機能的に問題ない
△:さらにオフセットし、ローラ表面が初期よりも粘性を帯びる
×:オフセットしたトナーが再度紙につくなど画像欠陥が発生した
−残液感−
100枚定着を行った後の紙を排紙直後に触り、残液感を下記基準により評価した。
○:乾燥している
△:若干湿り気を感じる状態
×:明らかに湿った感触がある
−画像品質−
100枚定着を行った後の記録媒体上に定着させた定着画像について、目視により画像品質を下記基準により評価した。
○:高解像度画像で問題ないレベル
△:文字のみの画像、又は600dpi未満の低解像度画像ならば使用できるレベル
×:使用できないレベル
(実施例2)
<トナー2の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製、永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)の配合量をトナー母体粒子A 100質量部に対して4.5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー2を調製した。
得られたトナー2について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、28%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
<トナー3の調製>
調製例2で得られたトナー母体粒子A 100質量部と、疎水性シリカ(H2000、ワッカーケミカル社製)0.7質量部と、疎水性酸化チタン(MT-150EX、テイカ社製)0.3質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)と、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて10分間混合し、トナー3を調製した。
前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
<トナー4の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部を4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(三協化成社製のセルマイクSをさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)1.0質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー4を調製した。
得られたトナー4について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、10%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
<トナー5の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部をN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(永和化成社製のセルラーGX−Nをさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径80nmとしたもの)1.5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー5を調製した。
得られたトナー5について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、12%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
<トナー6の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部をアゾジカルボンアミド(永和化成社製のビニホールFE−788をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径130nmとしたもの)1.0質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー6を調製した。
得られたトナー6について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、19%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
<トナー7の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部をヒドラゾジカルボンアミド(三協化成社製のセルマイク142をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径70nmとしたもの)1.5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー7を調製した。
得られたトナー7について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、15%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
<トナー8の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)の配合量をトナー母体粒子A 100質量部に対して0.05質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー8を調製した。
得られたトナー8について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、0.08%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
<トナー9の調製>
調製例2で得られたトナー母体粒子A 100質量部と重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)4.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて10分間混合した。
続いて、得られた混合物に、トナー母体粒子A 100質量部に対して疎水性シリカ(H2000、ワッカーケミカル社製)0.7質量部と、疎水性酸化チタン(MT−150EX、テイカ社製)0.3質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて、5分間混合し、トナー9を調製した。
得られたトナー9について、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)は実施例2と同等であり、28%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
<トナー10の調製>
調製例2で得られたトナー母体粒子A 100質量部と重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて10分間混合した。
続いて、得られた混合物に、トナー母体粒子A 100質量部に対して疎水性シリカ(H2000、ワッカーケミカル社製)0.7質量部と、疎水性酸化チタン(MT−150EX、テイカ社製)0.3質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて、5分間混合し、トナー10を調製した。
得られたトナー10について、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)は実施例1と同等であり、7%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
<トナー11の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製、永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)の配合量をトナー母体粒子A 100質量部に対して2.5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー11を調製した。
得られたトナー11について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、20%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
<トナー12の調製>
実施例1において、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製、永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)の配合量をトナー母体粒子A 100質量部に対して5.5質量部に代えた以外は、実施例1と同様にして、トナー12を調製した。
得られたトナー12について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、27%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
<トナー13の調製>
調製例2で得られたトナー母体粒子A 100質量部と、疎水性シリカ(H2000、ワッカーケミカル社製)0.7質量部と、疎水性酸化チタン(MT−150EX、テイカ社製)0.3質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて、10分間混合し、トナー13を調製した。
得られたトナー13について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、0%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
<トナー14の調製>
調整例1のマスターバッチの調整において、カーボンブラック、前記変性ポリエステル樹脂、及び水の合計量1,000質量部に対し、重炭酸ナトリウム微粉末(永和化成社製のセルボンSC−53をさらに微粉砕化した後に分級して体積平均粒子径90nmとしたもの)0.2質量部を添加した以外は、調整例1と同様にしてトナー母体粒子Bを得た。 このトナー母体粒子Bは、粒子の中央部(コア部)に気体発生剤を含有するが、表面のシェル部に気体発生剤をほとんど含有していなかった。
このトナー母体粒子B 100質量部と、疎水性シリカ(H2000、ワッカーケミカル社製)0.7質量部と、疎水性酸化チタン(MT−150EX、テイカ社製)0.3質量部とをヘンシェルミキサー(20B型、三井三池化工社製)を用いて、10分間混合し、トナー14を調製した。
得られたトナー14について、前記方法により、気体発生剤のトナー表面の面積占有割合(%)を求めたところ、0%であった。また、前記トナー1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。

表1の結果から、本発明のトナーを用いることでオフセットの無い良好な画像を得られることが確認できた。
本発明は、泡状化した定着液を用いた定着方法において、形状が複雑な塗布部材を用いることなく一定の厚みの定着液を付与でき、記録媒体の残液感を防止し、かつオフセットを防止できるため、低消費電力(省エネルギー)が要求される電子写真方式の画像形成に好適に使用される。
50 画像形成装置
51 中間転写ベルト
52 支持ローラ
53 支持ローラ
54 支持ローラ
55 画像形成ユニット
56 画像形成ユニット
57 画像形成ユニット
58 画像形成ユニット
59 二次転写装置
60 支持ローラ
61 支持ローラ
62 二次転写ベルト
63 ベルトクリーニング装置
64 記録紙
65 給紙ローラ
66 感光体ドラム
67 帯電装置
68 現像装置
69 クリーニング装置
70 除電装置
71 一次転写装置
111 塗布ローラ
112 記録媒体
113 トナー層
114 泡状定着液
120 定着液
121 液体
122 気泡
130 泡状定着液生成手段
131 定着液容器
132 液状定着液
133 搬送ポンプ
134 液搬送パイプ
135 気体・液体混合部
136 空気口
137 微小孔シート
138 泡生成部
140 定着装置
141 塗布ローラ
142 膜厚調整用ブレード
143 加圧ローラ
144 加圧ベルト
特開2007−219105号公報 特開2007−127885号公報

Claims (14)

  1. 水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、前記定着液と接触して気体を発生する気体発生剤とを含有するトナーにより形成されるトナー層に付与し、前記トナーにおける前記気体発生剤から気体を発生させつつ、前記トナーを記録媒体に定着することを特徴とする定着方法。
  2. トナーが、前記トナー表面に気体発生剤を有してなる請求項1に記載の定着方法。
  3. トナーが、トナー母体粒子100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部の気体発生剤を含有する請求項1から2のいずれかに記載の定着方法。
  4. トナーにおける前記トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合が、0.1%〜40%である請求項1から3のいずれかに記載の定着方法。
  5. 気体発生剤が、重炭酸ナトリウム、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、及びヒドラゾジカルボンアミドから選択される少なくともいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の定着方法。
  6. 定着液が、下記一般式で表される可塑剤を含有する請求項1から5のいずれかに記載の定着方法。
    (COO−(R−O)−R10
    ただし、前記一般式中、nは1以上3以下であり、Rは炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、Rは炭素数が1以上3以下のアルキレン基であり、R10は炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
  7. 所望の厚みの定着液がトナー層へ付与される請求項1から6のいずれかに記載の定着方法。
  8. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
    前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、
    を含む画像形成方法であって、
    前記定着工程が、請求項1から7のいずれかに記載の定着方法により行われることを特徴とする画像形成方法。
  9. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記定着手段が、水を含む希釈剤と、起泡剤と、可塑剤とを含有する定着液を泡状化して、泡状定着液を生成する泡状定着液生成手段と、
    前記泡状定着液を泡状定着液付与手段の接触面上に所望の厚みに形成する膜厚調整手段と、
    前記所望の厚みに形成された泡状定着液を記録媒体上のトナー層に付与する泡状定着液付与手段とを有し、
    前記定着手段が、請求項1から7のいずれかに記載の定着方法で行われることを特徴とする画像形成装置。
  10. 水を含む希釈剤と、起泡剤と、トナーの少なくとも一部を軟化乃至膨潤させる可塑剤とを含有する定着液を記録媒体上のトナー層に付与してトナーを記録媒体に定着させるのに用いられるトナーであって、
    少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、前記定着液と接触して気体を発生する気体発生剤とを含有し、
    前記トナー表面に前記気体発生剤を有してなることを特徴とするトナー。
  11. 気体発生剤の含有量が、トナー母体粒子100質量部に対して、0.1質量部〜5質量部である請求項10に記載のトナー。
  12. トナー表面を被覆する気体発生剤のトナー表面の面積占有割合が、0.1%〜40%である請求項10から11のいずれかに記載のトナー。
  13. 結着樹脂が、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステルを含有する請求項10から12のいずれかに記載のトナー。
  14. 請求項10から13のいずれかに記載のトナーの製造方法であって、
    気体発生剤がトナー表面に存在するように前記気体発生剤を外添する気体発生剤外添工程を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
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JP2017009757A (ja) * 2015-06-19 2017-01-12 花王株式会社 静電荷像現像用トナー

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