JP2010091663A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー像に付与されなかった定着液の霧状液滴を適切に回収して霧状液滴による汚染を抑制する定着装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着液付与手段41において、定着液溜め43に貯蔵された定着液44は、噴霧手段45により液滴46として噴霧される。噴霧された液滴46は気流供給手段47で発生する気流に乗って、噴霧室48の開口部48aから、搬送ベルト61により搬送されてくる記録材P上のトナー像に付与される。定着液回収手段42において、記録材P上のトナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、気流に沿って定着液回収管50を通って、回収容器53に回収される。この時、定着液回収管50には第2帯電手段51が設けられており、トナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、第2帯電手段51との電位差により回収管50内に引き寄せられ、回収容器53に回収される。
【選択図】図4

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機などの画像形成装置に使用される定着装置に係り、特に、定着液を用いて記録材上のトナー像を定着する定着装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置では、画像情報に基づいて、用紙、布、OHPフィルム等の記録材に、文字や記号等を含む画像を記録する。このような画像形成装置には、種々の方式のものがあるが、そのうち、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で記録することができる点から、オフィスで現在広く使用されている。
電子写真方式の画像形成装置は、光導電性のドラム状やベルト状の像担持体の周囲に帯電装置、書込み装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置、除電装置などを配置し、像担持体の移送とともに像担持体の表面を一様に帯電した後、光書込みを行って像担持体表面に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像にトナーを付着させることによりその静電潜像を現像して像担持体上にトナー像を形成し、そのトナー像を直接、またはベルト状等の中間転写体を介して間接的に転写して記録材に画像を記録する。トナー像転写後の記録材は定着装置に導かれ、未定着トナーを記録材上に定着する一方、画像転写後の像担持体表面はクリーニング装置で清掃するとともに除電し、再度の画像形成に備えるようになっている。
この種の電子写真方式の画像形成装置では、定着装置として、定着速度が速く、定着画像品質が良好なことなどから、記録材上のトナー像をハロゲンヒータやセラミックヒータなどの発熱体で加熱して溶解し、溶解したトナーを加圧することで記録材上に定着させる熱定着方式が広く普及している。しかしながら、このような熱定着方式の定着装置を用いる画像形成装置では、トナーを加熱することから多量の電力が消費されており、省エネルギーが叫ばれている今日、熱定着方式のものに代えて低消費電力の定着装置の採用が強く望まれている。また、熱定着方式の定着装置には、定着開始までの立ち上げ時間が長いなどの問題もあった。
上記要望に対し、例えば、トナーを溶解または膨潤させる定着液を記録材上のトナー像に付与して、トナー像を記録材上に定着させる定着装置及び画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この湿式定着方式は、熱定着方式のようにトナーを溶融させるための加熱処理が不要であることから、消費電力が低く、省エネルギー対策として優れた定着方式である。この場合に、定着液をトナーに付与する方法としては、ローラなどで接触塗布する方法、噴霧器などで非接触塗布する方法がある。
定着液を非接触で塗布する方法はトナー画像に塗布部材が直接触れないため、トナー画像を乱さず好ましい。その一方で、噴霧された定着液のうち、トナー像に付与されなかった定着液は液滴状態のまま浮遊し、定着装置周辺部に付着したり、さらには定着装置から離れた部材にまで達して付着することがある。
画像形成装置に用いられているプラスチック、ゴム部材の中には、定着液によって劣化するものがあるため、トナー像に付与されなかった定着液を確実に回収し、定着液による汚染や装置の故障を防止する必要がある。また、トナー像に付与されなかった定着液を回収して再利用できれば、定着液の無駄な消費を抑えることができる。
トナー像に付与されなかった定着液の回収方法としては、特許文献2に記載されているように、霧状定着液を非直線的に構成されたダクトに吸引ファンで誘導し、ダクト内壁に衝突、液化させて回収する方法や、特許文献3に記載されているように、定着液をトナー像の担持面にほぼ水平に吐出し、トナー像に付着しない定着液を板状回収部材に付着させて回収する方法が提案されている。しかしながら、特許文献2記載のものでは、ダクトの経路が非直線的で、経路の途中で断面積が変化する構造になっているため、霧状定着液をダクト内に吸引する気流に乱れるが生じると、流体抵抗の大きいダクト下流側に霧状定着液が移動できず、ダクト入口開口から霧状定着液が漏れ出す問題がある。また、特許文献3記載のものでは、定着液をトナー像の担持面にほぼ水平に吐出し、定着液吐出口の対向面に定着液回収部材を配置する構成になっているため、定着液付与手段と定着液回収手段の配置はトナー像担持体の屈曲部に制限される問題がある。
また、定着液を液滴化してトナー像に噴霧する定着液霧化ユニットを画像形成装置の定着装置として使用し、定着液の霧化液滴を記録材のトナー像に噴霧して供給すると共に、トナー像に付着されない定着液の霧化液滴を噴霧ダクトを通じて還流、回収することが提案されている。そして、この定着液霧化ユニット本体は導電性材料で構成し、このユニット本体に電圧を印加して定着液の霧状液滴を帯電させ、トナー像に付与されなかった定着液の霧状液滴を記録材上のトナー像に適切に付与可能としている(例えば、特許文献4参照)。
特開2004−109747公報 特開2007−199309公報 特開2006−251527公報 特開2007−121448公報
しかしながら、この特許文献4記載のものでは、定着液の霧状液滴をトナー像と逆極性に帯電させて定着液の霧状液滴をトナー像に電界的に吸引させて効率的に定着液をトナー像に付与するものである。そのため、トナー像に付与されなかった定着液の霧状液滴は、霧化ユニットと同じ帯電特性を有することになり、霧化ユニットと電気的に反発して霧化ユニット内から漏出し、定着液を適切に回収することができず、定着装置の周囲を汚染する等の問題を招く。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、トナー像に付与されなかった定着液の霧状液滴を適切に回収して霧状液滴による汚染を抑制することが可能な定着装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、トナーを溶解または膨潤させる定着液を記録材上に形成されたトナー像に付与して、当該トナー像を記録材上に定着させる定着装置において、前記定着装置は、前記定着液を噴霧して得られた液滴を前記トナー像に付与する定着液付与手段と、前記トナー像に付与されなかった定着液の液滴を回収する定着液回収手段とを有し、前記定着液付与手段と前記定着液回収手段は、それぞれ独立に前記定着液の液滴を帯電可能な帯電手段を有しており、前記定着液回収手段の帯電手段による定着液の液滴との電位差を前記定着液付与手段の帯電手段による定着液の液滴との電位差よりも大きく設定することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の定着装置において、前記定着液回収手段は、前記定着液の液滴を独立に帯電可能な帯電手段を2個以上有し、前記トナー像に付与されなかった定着液の液滴を回収する方向に向かって、下流側の帯電手段による定着液の液滴との電位差を上流側の帯電手段による定着液の液滴との電位差より大きくなるように設定することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の定着装置において、前記定着液を噴霧して得られた液滴を前記定着液付与手段の帯電手段によって帯電することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置において、前記トナー像に付与されなかった定着液の液滴を前記定着液回収手段に誘導するための気流を制御する気流制御手段を前記定着液回収手段に備えたことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項記載の定着装置において、前記定着液付与手段は、定着液の液滴を前記トナー像に付与するための開口部を有しており、前記定着液の液滴を前記トナー像に付与しない間は前記開口部を閉じるためのシャッターを備えたことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の定着装置において、前記定着液回収手段は、回収した定着液の液滴を液化し、当該液化された定着液を前記定着液付与手段に供給して再利用することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像化する現像装置と、当該像担持体上に形成されたトナー像を直接又は間接的に記録材表面に転写する転写手段と、当該記録材表面に転写されたトナー像を当該記録材表面に定着する定着装置を備えた画像形成装置において、前記定着装置は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の定着装置であることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、トナーに付与されなかった定着液の液滴は定着液付与手段よりも定着液回収手段との電位差が大きい状態にあるので、浮遊している定着液の液滴は定着液回収手段に引き寄せられていき、定着液の液滴を効率的に回収することができる。これにより、トナーに付与されなかった定着液の液滴で装置内が汚染されることを防ぐことができる。また、定着液の液滴は電位差を利用して回収されるので、回収経路の構造をシンプルにすることができる。また、定着液付与手段と定着液回収手段の配置は任意に設計することができる。
請求項2に記載の発明によれば、定着液回収手段の下流側は上流側よりも定着液の液滴との電位差が大きくなっているので、定着液の液滴が回収途中で滞留せずに引き寄せられ、定着液の液滴をより確実に回収することができる。
請求項3に記載の発明によれば、定着液を噴霧して得られた液滴が帯電しているので、定着液付与手段、及び定着液回収手段との電位差を任意に設定することができ、電位差を利用した定着液の液滴の回収をより容易に行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、トナーに付与されなかった定着液の液滴を定着液回収手段に誘導する気流制御手段が設けられているので、定着液の液滴をより確実に定着液回収手段に移送することができる。
請求項5に記載の発明によれば、定着液付与手段の開口部に開閉自在のシャッターが設けられているので、定着液の液滴をトナーに付与しない間は開口部を閉めて、定着液の液滴が定着装置周辺部や定着装置から離れた部材に付着して装置内を汚染することを防ぐことができる。また、定着液付与手段の開口部を閉めた状態で定着液の液滴を定着液回収手段に誘導することができるので、定着液の液滴をより確実に回収することができる。
請求項6に記載の発明によれば、回収した定着液の液滴を液化し、再利用できるので、定着液の無駄な消費を抑えることができる。また、定着液の補充サイクルを延ばすことができ、メンテナンス性が向上する。
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置内がトナーに付与されなかった定着液の液滴で汚染されることがなく、かつ、定着液の無駄な消費を抑えることができる画像形成装置ができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係る画像形成装置の内部機構の全体概略構成を示す図である。図2は、図1で示す画像形成装置の画像形成手段の概略構成を示す図である。図3は、図1で示す画像形成装置で使用される1個の作像装置の概略構成を示す図である。図示画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であり、電子写真式の像担持体タンデム配置型のものである。図示画像形成装置は、画像形成装置本体100と、その画像形成装置本体100上に取り付けられるスキャナ200と、このスキャナ200の上に取り付けられる自動原稿搬送装置(ADF)300とから構成されている。なお、この画像形成装置からスキャナ200と自動原稿搬送装置(ADF)300とを取り外すと、プリンタ単体機として使用することができる。
画像形成装置本体100内には、画像形成手段400が設置されている。画像形成手段400は、図2にも示すように、イエロ(Y)、シアン(C)マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つの作像装置500(500Y、500C、500M、500K)と、中間転写装置600とから構成されている。
中間転写装置600は、エンドレスの中間転写ベルト10が4つのローラ11〜14に掛けまわされてなり、その図中左側にベルトクリーニング装置15が配置されている。4つの作像装置500Y、500C、500M、500Kは、使用するトナーの色が相違するのみで同一構成をなし、中間転写装置600の下に中間転写ベルト10の移送方向に沿ってタンデム式に並べて設けられている。
各作像装置500には、ドラム状の感光体からなる像担持体20が備えられている。像担持体20のまわりには、帯電ローラよりなる帯電装置21、現像装置22、中間転写ベルト10を挟んで転写ローラよりなる一次転写装置16、除電ランプ等よりなる除電装置23、クリーニング装置24などが配置されている。ここで、帯電装置21は、像担持体20に接触して電圧を印加することにより、像担持体20の表面を一様に帯電する。
図示例では、帯電装置21として帯電ローラを用いた接触帯電方式であったが、この他、ブラシ帯電方式、スコロトロン帯電方式などであってもよい。現像装置22は、撹拌部と現像部とで構成されており、現像に使用されなかった現像剤は、撹拌部に戻されて再利用される。撹拌部のトナー濃度は、トナー濃度センサで検出され、濃度が一定になるように制御されている。また、一次転写装置16は、転写ローラ方式を採用しており、図2中符号16Y、16C、16M、16Kで示すように中間転写ベルト10を挟んでそれぞれ像担持体20Y、20C、20M、20Kに押し当てるように配置されている。一次転写装置16としては、この他に導電性ブラシ形状のもの、非接触のコロナチャージャ等を採用することもできる。
画像形成手段400の下には、図1に示すように、露光装置26が配置されている。この露光装置26は、例えば、スキャナ200で読み取った原稿の画像情報に基づいて、各作像装置500に設けられている像担持体20上に静電潜像を形成するためのものである。そして、像担持体20の図中時計まわりの回転とともに、帯電装置21で像担持体20の表面が一様に帯電される。次いで、画像信号に基づき露光装置26により書込み光L(図3参照)が照射されて、像担持体20上に静電潜像が形成される。その後、現像装置22の現像スリーブ27(図3参照)でトナーが像担持体20の静電潜像に付着され、静電潜像がトナー像化されて現像される。このようにして像担持体20の表面に形成されたトナー像が一次転写装置16により一次転写位置N1で中間転写ベルト10上に一次転写される。
このとき、転写されずに像担持体20上に残留したトナーは、除電装置23により像担持体20の表面電位が初期化されて除電された後、ドラムクリーニング装置24のクリーニングブレード等のクリーニング部材28(図3参照)により掻き落として除去され、再度の画像形成に備えられる。ドラムクリーニング装置24で回収されたトナーは、不図示の回収スクリュやトナーリサイクル装置で現像装置22に回収され、再利用することができる。
さて、図1に示すように、露光装置26の下方には、給紙トレイ30が多段に(図示例では2段に)備えられている。各給紙トレイ30には、それぞれ対応して、それに収納する記録材Pを一枚ずつ繰り出す給紙手段31が設けられており、給紙手段31で繰り出した記録材Pを搬送する搬送路32が形成されている。
各給紙トレイ30からの搬送路32は、合流して上方に向けて延び、画像形成装置本体100とスキャナ200との間の胴内排紙スタック部33まで続いている。搬送路32には、中間転写装置600と対向して二次転写装置34の転写ローラが配置され、二次転写位置N2が形成されている。二次転写位置N2の上流には、レジストローラ対36が設けられている。二次転写位置N2の下流には定着装置40が配置され、さらにその下流に二対の搬送ローラ対37に続けて排紙ローラ対38が備えられている。二次転写装置34は、転写ローラ以外にも、転写ベルトや転写チャージャなどを用いて構成することもできる。
そして、中間転写ベルト10の図中反時計まわりの回転とともに、各作像装置500の像担持体20上に形成されたイエロ、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナー像が上述したごとく一次転写位置N1で順次転写されて重ね合わされ、中間転写ベルト10上にカラー画像が形成される。
他方、給紙手段31により繰り出された記録材Pは、搬送路32を通してレジストローラ対36でタイミングを取って二次転写位置N2に送り込まれる。
二次転写位置N2に送り込まれた記録材Pには、二次転写装置34により中間転写ベルト10上のカラー画像が二次転写される。その後、記録材Pは、定着装置40に搬送され、そこでトナー像が定着されてさらに搬送ローラ対37で搬送され、排紙ローラ対38により胴内排紙スタック部33上に排出される。このとき、転写されずに中間転写ベルト10上に残留したトナーは、ベルトクリーニング装置15のクリーニングブレード等のクリーニング部材により掻き落として除去される。
ところで、図示した画像形成装置には、画像形成装置本体100内に通常設置される除湿用の加熱手段として、図1に示すように、画像形成装置本体100内に3つ、スキャナ200内に1つの計4つのヒータ17が設置されている。ヒータ17としては、公知のヒータを使うことができる。
例えば、シースヒータ、シートヒータ(面状発熱体)などで、スイッチがオンされることにより熱を発して画像形成装置の除湿を行う。もちろん、加熱手段としてのヒータ17の数および配置は、図示例に限らず、画像形成装置本体100やスキャナ200内に適宜、計3つ以下、または5つ以上配置してもよい。
また、図1中符号18Y、18C、18M、18Kは、画像形成装置本体100内に交換可能に設けるトナーボトルであり、それぞれ作像装置500Y、500C、500M、500Kに補給するトナーを収容している。また、符号19は、手差し用の給紙トレイである。
図4には、図1に示す画像形成装置に備える第1実施形態に係る定着装置40の概略構成を示す。定着装置40は、定着液を噴霧して得られた液滴46を記録材P上のトナー像に付与する定着液付与手段41と、当該トナー像に付与されなかった定着液の液滴52を回収する定着液回収手段42とを含んで構成される。
定着液付与手段41において、定着液溜め43に貯蔵された定着液44は、噴霧手段45により液滴46として噴霧される。噴霧された液滴46は気流供給手段47で発生する気流(矢印A参照)に乗って、噴霧室48の開口部48aから、搬送ベルト61により搬送されてくる記録材P上のトナー像に付与される。
この時、噴霧された液滴46は帯電していないか、もしくはわずかに帯電していることがある。そこで、液滴46の帯電電位に応じ、噴霧室48に設けられた第1帯電手段49で、液滴46と第1帯電手段49との電位差が0〜0.5kVの範囲になるように設定する。特に、液滴46と第1帯電手段49との電位差がゼロの場合、又は、液滴46と第1帯電手段49とが同極性であり、かつ、第1帯電手段49の帯電電位が液滴46よりも0.3kV以下の範囲で大きい場合、液滴46と第1帯電手段49とが電気的に反発して、噴霧された液滴46のトナー像への付与が促進されるため好ましい。また、気流供給手段47で発生する気流が乱れても、電気的反発を利用して噴霧された液滴46をトナー像に適切に付与することができるため好ましい。
一方、定着液回収手段42において、記録材P上のトナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、矢印Bで示すように気流に沿って定着液回収管50を通って、回収容器53に回収される。この時、定着液回収管50には第2帯電手段51が設けられており、噴霧された液滴46と0.5〜10kVの範囲の電位差を持つように設定する。
噴霧された液滴46の内、トナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、第2帯電手段51との電位差により回収管50内に引き寄せられ、回収容器53に回収される。特に、液滴46と第2帯電手段51とが逆極性であり、かつ、液滴46と第2帯電手段51との電位差が0.5〜10kVの範囲であり、しかも、液滴46と第2帯電手段51との電位差が液滴46と第1帯電手段49との電位差よりも大きい場合、トナー像に付与されなかった液滴52が第2帯電手段51側に電気的に引き寄せられ、回収容器53への回収が促進されるため好ましい。
回収容器53に回収された定着液の液滴52は、回収容器53の内壁に付着して液化する。この時、回収容器53の内壁を定着液に対して撥液性を有する材料にすると、回収容器53の側面に付着した定着液が自重で落下しやすく、定着液を集めやすいので好適である。
定着液付与工程後には、記録材Pを挟圧する一対の加圧ローラ(図示省略)を付設することで、トナー像表面の平滑化による光沢付与や記録材Pの繊維内へのトナー押し込みによる定着性向上を図ることもできる。
以上のように、この第1実施形態に係る定着装置においては、トナー像に付与されなかった定着液の液滴は、定着液付与手段41よりも定着液回収手段42との電位差が大きい状態にあるので、浮遊している定着液の液滴は電気的に定着液回収手段42に引き寄せられていき、定着液の液滴を効率的に回収することができる。これにより、トナー像に付与されなかった定着液の液滴で画像形成装置内が汚染されることを防ぐことができる。また、定着液の液滴は電位差を利用して回収されるので、回収経路の構造をシンプルにすることができる。また、定着液付与手段41と定着液回収手段42の配置は任意に設計することができる。
次に、本発明による第2実施形態に係る定着装置について、図5に基づいて説明する。図5は、本発明による第2実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。この第2実施形態に係る定着装置においては、定着液回収管50にトナー像に付与されなかった定着液の液滴の回収方向(矢印B)に沿って第2帯電手段51a、51bが2個並設されている。そして、この2つの第2帯電手段51a、51bは、互いに独立してトナー像に付与されなかった定着液の液滴52を帯電可能になっている。
この時、トナー像に付与されなかった定着液の液滴52の回収方向に向かって下流側の第2帯電手段51bは、上流側の第2帯電手段51aよりも噴霧された液滴46との電位差が大きくなるように設定されている。これにより、トナー像に付与されなかった定着液の液滴52は回収管50の途中で滞留することなく下流側の第2帯電手段51b側に引き寄せられ、トナーに付与されなかった液滴52をより確実に回収容器53へ回収することができる。
この場合、第2帯電手段51は2個以上設置されていても良く、その場合、下流側の第2帯電手段は上流側の第2帯電手段よりも噴霧された液滴46との電位差が段階的に大きくなるように設定されることが好ましい。
以上のように、この第2実施形態に係る定着装置においては、定着液回収手段42の下流側は上流側よりも定着液の液滴との電位差が大きくなっているので、定着液の液滴が回収途中で定着液回収管50に滞留せずに回収容器53へ引き寄せられ、定着液の液滴をより確実に回収することができる。
次に、本発明による第3実施形態に係る定着装置について、図6に基づいて説明する。図6は、本発明による第3実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。この第3実施形態に係る定着装置においては、定着液付与手段41において定着液を噴霧して得られる液滴46を任意の帯電電位に帯電することができる第3帯電手段54が設けられている。これにより、噴霧された液滴46と第1帯電手段49、第2帯電手段51との電位差の制御をより容易に行える。
また、噴霧された液滴46の帯電極性を記録材P上のトナー像と逆極性にすることで、液滴46が電気的にトナー像に引き寄せられ、トナー像が付着している部分に集中的に液滴46を付与することができる。これにより、トナー像が付着していない部分には定着液の液滴46がほとんど付着しないため、紙等の記録材を用いてもカールやシワの発生が抑制される。同様の効果は、噴霧する液滴46とトナー像との電位差を大きくすることでも得られる。この時、液滴46とトナー像との電位差は、液滴46と第2帯電手段51との電位差よりも大きくなるように設定すると、液滴46のトナー像への付与がより促進されて好ましい。さらに、定着液を噴霧して得られた液滴46が帯電しているので、定着液付与手段41、及び定着液回収手段42との電位差を任意に設定することができ、電位差を利用した定着液の液滴の回収をより容易に行うことができる。
また、搬送ベルト61の内側に第4帯電手段55を配置して、記録材Pの裏側から液滴46と逆極性の電圧を印加し、液滴46のトナー像への付与を促進することもできる。この時、液滴46と第4帯電手段55との電位差は、液滴46と第2帯電手段51との電位差よりも大きくなるように設定すると、液滴46のトナー像への付与がより促進されて好ましい。
次に、本発明による第4実施形態に係る定着装置について、図7に基づいて説明する。図7は、本発明による第4実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。この第4実施形態に係る定着装置においては、前記第3実施形態の定着装置にトナー像に付与されなかった定着液の液滴52を定着液回収手段42に誘導するための気流制御手段56を定着液回収容器53に配設している。これにより、トナー像に付与されなかった液滴52は、上述のような電気的作用以外にも、気流制御手段56により発生した気流に乗って回収管50内に吸引され、より確実に回収容器53へ回収することができる。
以上のように、この第4実施形態に係る定着装置においては、トナー像に付与されなかった定着液の液滴を定着液回収手段42に誘導する気流制御手段56が設けられているので、定着液の液滴をより確実に定着液回収容器53に移送することができる。
次に、本発明による第5実施形態に係る定着装置について、図8及び図9に基づいて説明する。図8は、本発明による第5実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図で、噴霧室の開口部を開閉するシャッターを開放した状態を示す模式図ある。図9は、図8におけるシャッターを閉塞した状態を示す模式図である。
この第5実施形態に係る定着装置においては、前述の第4実施形態の定着装置に噴霧室48の開口部48aに開閉自在のシャッター57を配設している。図8に示すように、定着液の液滴46をトナー像に付与している間、シャッター57は開いた状態にあり、図9に示すように、液滴46のトナー像への付与が終了するとシャッター57は閉じるように制御されている。
シャッター57を閉じることで、トナー像に付与されなかった定着液の液滴52は噴霧室48から漏れ出すことがなく、定着装置40の周辺部や遠隔部への定着液による汚染を防ぐことができる。また、シャッター57を閉じることで、定着液付与手段41と定着液回収手段42とが連結し、トナー像に付与されなかった液滴52をより確実に回収容器53へ回収することができる。
次に、本発明による第6実施形態に係る定着装置について、図10に基づいて説明する。図10は、本発明による第6実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。
この第6実施形態に係る定着装置においては、回収容器53に回収した定着液を定着液付与手段41の定着液溜め43に供給するための定着液循環管58を配設している。図10に示すように、回収容器53に回収されたトナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、回収容器53の内壁に付着して液化し、定着液循環管58を通って、定着液付与手段41の定着液溜め43に供給され、定着液44として再利用されるようになっている。これにより、定着液の無駄な消費を抑えることができ、定着液の補充サイクルを延ばすことができ、メンテナンス性が向上する。
なお、定着液溜め43には、定着液供給管(図示省略)を介して定着液タンク(図示省略)が接続され、定着液44を補給することができる。その際、定着液溜め43内に設けられた水位検知手段(図示省略)の検知結果に基づき、定着液タンクからの供給量、及び回収容器53からの供給量を制御し、定着液44の水位が一定になるように調整している。
また、定着液溜め43には、定着液44の温度を調整するために液温調整手段(図示省略)が設置されていてもよい。液温調整手段が設置されることで、画像形成装置の使用環境によらず定着液44の温度を所定温度に調整することができ、定着液44の噴霧量が安定する。その際、定着液の温度は20〜60℃の範囲となるように調節するのが好ましい。定着液の温度が20℃より低いと、定着液の粘度が高くなって噴霧量が減り、定着不良を起こす可能性がある。一方、定着液の温度が60℃より高いと、定着液の粘度が低くなって定着液が必要量以上に噴霧され、記録媒体にカールやシワを発生させる可能性がある。また、定着液の温度が60℃より高いと、定着液が変質し、定着性能が悪化する可能性がある。定着液44、及びトナーについては、後述する。
噴霧手段45としては、例えば、周波数100〜3000kHzの超音波振動子、静電気を用いる静電噴霧方式の噴霧器、インクジェットノズルを用いるインクジェット方式の噴霧器、圧縮空気を用いるエアースプレー方式の噴霧器等が挙げられる。噴霧された液滴46の粒径は、大きすぎると凝集して記録材60上のトナー像を乱すことがある。このため、粒径は20μm以下が好ましい。
気流供給手段47としては、例えば、ファン、送風ポンプが挙げられる。第1〜第4帯電手段49、51、54、55としては、例えば、イオナイザー、コロナチャージャー、ワイヤ、金属メッシュ、金属板、導電性高分子材料に通電したものが挙げられる。気流制御手段56としては、例えば、ファン、吸引ポンプが挙げられる。
回収容器53は、定着装置に脱着自在にすることができる。回収容器53の内壁に用いる定着液に対して撥液性を有する材料としては、フッ素系材料が挙げられる。定着液に対して撥液性を有する材料は、定着装置40を構成する全部材に用いることができる。定着液付与手段41、定着液回収手段42には、埃、紙粉等の異物の侵入を防止するために、フィルターを設けてもよい。特に、噴霧室48の開口部、気流供給手段47、気流制御手段56にフィルタ−を設けると、異物の侵入を効果的に防ぐことができる。
次に、本発明による第7実施形態に係る定着装置について、図11に基づいて説明する。図11は、本発明による第7実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。この第7実施形態に係る定着装置においては、図11に示すように、定着液付与手段41と定着液回収手段42とが一体化している。気流制御手段56は気流供給手段を兼ねている。回収されたトナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、フィルター59により液化して、定着液溜め43に直接戻される。この第7実施形態に係る定着装置においては、回収容器53が不要となるため、定着装置40を小型化できる利点を有する。
次に、本発明による第8実施形態に係る定着装置について、図12に基づいて説明する。図12は、本発明による第8実施形態に係る定着装置の概略構成を示す模式図である。この第8実施形態に係る定着装置においては、図12に示すように、噴霧手段45が定着液溜め43の外部に設けられている。定着液溜め43に貯蔵された定着液44は、定着液供給管62を介して噴霧手段45に移送され、噴霧手段45によって矢印Aで示すように噴霧室48の開口部48aから液滴46として噴霧される。噴霧された液滴46は第3帯電手段54により帯電し、直接、記録材P上のトナー像に付与される。噴霧室48には2つ第1帯電手段49a、49bが設けられており、噴霧された液滴46を上下で挟み、電気的反発を増幅させて、液滴46のトナー像への付与を促進している。
トナー像に付与されなかった定着液の液滴52は、第2帯電手段51との電位差による電気的作用と気流制御手段56の気流によって回収管50内に誘導され、フィルター59により液化して、定着液溜め43に直接戻される。このような第8実施形態に係る定着装置においては、定着液付与手段41、定着液回収手段42を定着液溜め43から脱着自在にすることができるため、メンテナンス性に優れる。
次に、本発明で用いるトナーには、以下の材料が好適である。
[結着樹脂]
結着樹脂としては、後述する定着液により溶解もしくは膨潤する樹脂であれば特に制限されずに使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などの、スチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン樹脂、線状飽和ポリエステル、パラフィンなどが挙げられる。上記樹脂の中でも、ポリエステル樹脂は、保存性、耐久性に優れ、本発明の定着液との相溶性が高く、主たる記録媒体である紙との親和性が高く、定着性が良好であることから、好適に用いられる。
また、上記樹脂以外に、生分解性樹脂も使用することができる。「生分解性」とは、細菌、真菌などの微生物、酵素などにより分子の結合が切断されることをいい、「生分解性樹脂」とは、生分解性を有し、生分解することにより環境を汚染することがなく、生態系のリサイクルに組み込まれる樹脂をいう。生分解性樹脂はその製造方法により、(1)微生物生産系、(2)化学合成系、(3)天然物系に大別される。
(1)微生物生産系
ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸の共重合体、3−ヒドロキシ酪酸と4−ヒドロキシ酪酸の共重合体等のポリ酪酸が挙げられる。
また、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリヒドリキシパリレート、及びこれらの共重合体等のポリヒドロキシアルカノエートが挙げられる。
(2)化学合成系
脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステルとポリアミドの共重合体、脂肪族ポリエステルとポリウレタンの共重合体、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルの共重合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(β−プロピオラクトン)、ポリ(γ−バレロラクトン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレート、及びこれらの共重合体等が挙げられる。脂肪族ポリエステルとポリアミドの共重合体としては、上記の脂肪族ポリエステルとナオロン6、ナイロン46、ナイロン66のようなポリアミドとの共重合体が挙げられる。脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルの共重合物としては、上記の脂肪族ポリエステルとテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシエチル安息香酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸等の芳香族ジカルボン酸や芳香族オキシカルボン酸との共重合体が挙げられる。
(3)天然物系
パルプ、木綿、羊毛等から得られるセルロース、カニ、エビ等の甲殻類から得られるキチン、キトサン、コーンスターチ等から得られる澱粉、及びそれらを合成高分子にブレンドしたものが挙げられる。
上記の生分解性樹脂の中でも、ポリ酪酸、ポリヒドロキシアルカノエート、脂肪族ポリエステル、その中でも特にポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)は、微生物等の作用で完全に容易に分解さる上、本発明の定着液との相溶性が高く、主たる記録材である紙との親和性が高く、定着性が良好であることから、好適に用いられる。上記結着樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、環境保全や人体に対する安全性などを考慮した場合には、生分解性樹脂を含有するトナーは不用となった記録材、使用済み廃トナーを廃棄しても、環境を汚染せず、人体に対して無害であり、安全性が高いので好ましい。また、トナーに含まれる生分解性樹脂は廃棄した場合にも微生物等の作用で分解され易く、従来実施されているアルカリ加水分解による脱墨が容易に行え、普通紙のリサイクルに有用である。
生分解性樹脂に生分解性を示さない樹脂を混合して用いる場合、その混合量は生分解性樹脂の種類によって異なるが、通常、生分解性樹脂100重量部に対して生分解性を示さない樹脂70重量部以下である。生分解性を示さない樹脂が70重量部を超えると、生分解性が阻害される。生分解性樹脂により得られる共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体のいずれであっても良い。生分解性を損なわない点でブロック共重合体が好ましい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、ナフトールブルーブラック、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、食用緑色3号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用赤色102号アルミニウムレーキ、食用赤色104号アルミニウムレーキ、食用赤色105号アルミニウムレーキ、食用赤色106号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、食用緑色3号アルミニウムレーキなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、環境保全や人体に対する安全性などを考慮した場合には、特に、ナフトールブルーブラックや各種の食用色素、食用レーキを使用することが好ましい。前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、上記の生分解性樹脂、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、水添ホホバ油ワックス、木ロウ、キャンデリラワックス、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。
このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、等が挙げられる。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。該含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
前記無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用することができる。前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、20〜500m2/gが好ましい。前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.01〜2.0質量%がより好ましい。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。前記シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等が挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
トナーの平均粒子径は、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、また、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。1μmよりも小さい場合には、感光体との付着力が大きくなり、一次転写性が不十分になる場合があり、逆に20μmより大きい場合には、トナー重量に対するトナーの表面積が小さくなるため、定着液の吸収が速やかに行なわれず、定着速度の高速化への対応が困難になることがある。
本発明で使用される定着液は、トナーを溶解または膨潤させる軟化物質と、軟化物質を溶解または分散できる溶媒とから主に構成されている。
本発明で使用される軟化物質は、トナー中の樹脂成分に対して充分な相溶性を有するものであれば、特に限定されず任意のものを用いることができる。その中でも、エステル化合物は多くのトナーに対して充分な相溶性を有することから好適に用いられる。エステル化合物としては、脂肪族エステルと芳香族エステルが挙げられる。
脂肪族エステルとしては、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等のモノカルボン酸エステル化合物、コハク酸エチル、アジピン酸エチル、アジピン酸イソブチル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸イソデシル、セバシン酸エチル、セバシン酸ブチル、コハク酸エトキシエチル、コハク酸ブトキシエチル、アジピン酸エトキシエチル、アジピン酸ブトキシエチル、セバシン酸エトキシエチル等のジカルボン酸モノエステル化合物、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル、セバシン酸ジブトキシエチル等のジカルボン酸ジエステル化合物が挙げられる。
芳香族エステルとしては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル等のジエステル化合物、トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル)等のトリエステル化合物が挙げられる。
また、上記エステル化合物以外に、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、グリセロール1、2−カルボナート、4−メトキシメチル−1、3−ジオキソラン−2−オン、リモネンが挙げられる。上記軟化物質の中でも、コハク酸ジエトキシエチル、ジアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、炭酸エチレン、炭酸プロピレンはトナーとの相溶性が高いので好ましく、その中でも炭酸エチレン、炭酸プロピレンは無臭、無害であり、水に対して溶解性を示すことから特に好ましい。
また、本発明において、軟化物質は流動性を有する液体の他に、ゲル状の液体やワックスのような半固体でも構わない。また、固体の場合は、適当な溶媒に溶解または分散させて用いることができる。定着液中の軟化物質の含有量は、0.5重量%以上80重量%以下程度であることが好ましく、1重量%以上70重量%以下がさらに好ましい。軟化剤の含有量が0.5重量%より小さいと、トナーを溶解又は膨潤させる効果が不十分となり、80重量%より大きいと、長時間に亘り、トナーの流動性を低下させることができず、定着トナー層が粘着性を有する可能性がある。
本発明において、定着液の溶媒としては、主成分として水を含有することが好ましい。これにより、臭気を減少させることができる。水は、揮発性有機化合物(VOC)に非該当であり、オフィス環境に対して極めて有利である。また、溶媒として、水と水溶性の溶媒との混合溶媒を用いることもできる。水溶性の溶媒としては、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
また、溶媒として、疎水性溶媒を用いることもできる。疎水性の溶媒としては、シリコーンオイル類、オレフィン系溶剤、パラフィン系溶剤、フッ素系溶剤等が挙げられる。シリコーンオイル類としては、粘度が1〜10mPa・s程度のポリジメチルシロキサン、メチルシクロシロキサンの4量体、5量体等が適する。パラフィン系としては、n−デカン、n−ドデカン、n−ウンデカン等が適する。フッ素系溶剤としては、ハイドロフルオロエーテル等が適する。
本発明で使用される定着液には、必要に応じて可溶化剤、分散助剤、界面活性剤、pH調整剤を使用することができる。
可溶化剤としては、軟化物質を溶媒に可溶化するする物質であれば、特に限定されず任意のものを用いることができる。例えば、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、コハク酸エチル、モノアセチン、ジアセチン、ジエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、グリセロール1、2−カルボナートが挙げられ、これらは軟化物質を水に可溶化することができる。
分散助剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1、3−ブタンジオール等が挙げられ、軟化物質の分散性、トナーとの濡れ性を向上することができる。
界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、高級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸誘導体硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられ、軟化物質の分散性、トナーとの濡れ性を向上することができる。pH調整剤としては、リン酸水素二ナトリウムが挙げられ、軟化物質の加水分解を抑制することができる。
本発明において、定着液の臭気指数は10以下であることが好ましい。ここで臭気指数とは、臭いのついた気体や液体がその臭いを感じられなくなるまで無臭の空気や無臭の液体(水)で薄められた時の希釈倍率(以下、臭気濃度と呼ぶ)を求め、その常用体数値に10を乗じた数値である。臭気指数の算出式は次のとおりである。
臭気指数=10×Log(臭気濃度)
例えば、臭いを含んだ気体や液体を、臭いのない気体または液体で100倍に希釈して、臭いが感じられなくなった場合、その臭気濃度は100であり、下記の式よりその臭気指数は20となる。
臭気指数=10×Log(100)=10×2=20
臭いに対する規制基準として臭気指数を採用している多くの地方自治体では、工場や事業場の敷地境界線上の臭気指数を10以下にするように規制している。また、臭気指数10とは、異臭を持つ気体を10倍に薄めた気体を20人が嗅いで、18人は無臭と判定するレベルである。よって、臭気指数が10以下であれば無臭であるということができ、通常のオフィス環境では不快感が無くなる。
本発明において、定着液の急性経口毒性試験LD50は3g/kg以上であることが好ましい。ここで、LD50とは、AmericanIndustrial Hygiene Associationの毒性表示で50Percent Lethal Doseのことであり、すなわち50%致死量のことである。これは、ラットやモルモットに試験溶媒、試験物を一定量投与して個体数の50%が死亡する量のことである。例えばジメチルシリコーンオイルはLD50経口投与15g/kg以上である。個体の重量1kgあたりの50%致死量が15g以上であるので、63kgの人間でのシリコーンオイルの推定致死量は945g以上となる。また、食塩のLD50の値は3g/kgである。よって、食塩より安全なものを用いれば人体に対して無害であると言うことができる。
本発明で用いられる定着液の一例を示す。
<定着液1>
蒸留水45重量%、グリセロール1、2−カルボナート20重量%、炭酸プロピレン(LD50=29g/kg)35重量%を攪拌し、定着液1を得た。定着液1の臭気指数は0であった。
(実施例1)
定着液1を用い、図10に示すような定着装置を有する図1に示すような画像形成装置でPPC用紙上にトナー画像を形成した。その際、定着液1の液滴には帯電装置54で−1kVを印加し、PPC用紙には帯電装置55で+1kVを印加した。また、噴霧室に設置した帯電装置49には−1kVを印加し、回収管に設置した2つの帯電装置には上流側の帯電装置51aに+0.3kV、下流側の帯電装置51bに+0.5kVを印加した。100回画像形成を繰り返し、定着装置周辺部を調べたが、定着液の付着は見られなかった。また、回収容器にはトナー像に付与されなかった定着液が回収されていた。
(実施例2)
定着液1を用い、図11に示すような定着装置を有する図1に示すような画像形成装置でPPC用紙上にトナー画像を形成した。その際、定着液1の液滴には帯電装置54で+0.5kVを印加し、PPC用紙には帯電装置55で−1kVを印加した。また、噴霧室に設置した帯電装置49には+0.6kVを印加し、回収管に設置した2つの帯電装置には上流側の帯電装置51aには電圧を印加せず、下流側の帯電装置51bに−0.5kVを印加した。100回画像形成を繰り返し、定着装置周辺部を調べたが、定着液の付着は見られなかった。
(実施例3)
定着液1を用い、図12に示すような定着装置を有する図1に示すような画像形成装置でPPC用紙上にトナー画像を形成した。その際、定着液1の液滴には帯電装置54で−0.5kVを印加し、PPC用紙には帯電装置55で+0.5kVを印加した。また、噴霧室に設置した2つの帯電装置49a、49bには共に−0.5kVを印加し、回収管に設置した帯電装置51には+0.2kVを印加した。100回画像形成を繰り返し、定着装置周辺部を調べたが、定着液の付着は見られなかった。
(比較例1)
実施例1において、回収管に設置した2つの帯電装置51a、51bに電圧を印加しなかった以外は同じ条件でトナー画像を形成した。100回画像形成を繰り返し、定着装置周辺部を調べたところ、定着液が付着していた。また、回収容器にはトナーに付与されなかった定着液がわずかに回収されていた。
以上の結果から、比較例1で示す定着液回収手段42に帯電手段を有していない定着装置においては、定着液の液滴が適切に回収されておらず、定着装置の周辺部を汚染している。これに対し、本発明による各実施例の定着装置は、定着液の液滴が適切に回収されて、定着液の液滴による定着装置周辺部の汚染を抑制していることが明らかである。
本発明による一実施形態に係る画像形成装置の内部機構の全体概略構成図である。 図1で示す画像形成装置の画像形成手段の概略構成図である。 図1で示す画像形成装置で使用される1個の作像装置の概略構成図である。 図1に示す画像形成装置に備える第1実施形態に係る定着装置40の概略構成模式図である。 本発明による第2実施形態に係る定着装置の概略構成模式図である。 本発明による第3実施形態に係る定着装置の概略構成模式図である。 本発明による第4実施形態に係る定着装置の概略構成模式図である。 本発明による第5実施形態に係る定着装置の概略構成を示し、噴霧室の開口部を開閉するシャッターを開放した状態を示す模式図ある。 図8におけるシャッターを閉塞した状態を示す模式図である。 本発明による第6実施形態に係る定着装置の概略構成模式図である。 本発明による第7実施形態に係る定着装置の概略構成模式図である。 本発明による第8実施形態に係る定着装置の概略構成模式図である。
符号の説明
10 中間転写ベルト、20、20Y、20C、20M、20K 像担持体、21 帯電装置、22 現像装置、23 除電装置、24 クリーニング装置、26 露光装置、40 定着装置、41 定着液付与手段、42 定着液回収手段、43 定着液溜め、44 定着液、45 噴霧手段、46 液滴、47 気流供給手段、48 噴霧室、48a 開口部、49 第1帯電手段、51、51a、51b 第2帯電手段、52 液滴、53 回収容器、54 第3帯電手段、55 第4帯電手段、56 気流制御手段、57 シャッター、58 定着液循環管、59 フィルター、61 搬送ベルト

Claims (7)

  1. トナーを溶解または膨潤させる定着液を記録材上に形成されたトナー像に付与して、当該トナー像を記録材上に定着させる定着装置において、
    前記定着装置は、前記定着液を噴霧して得られた液滴を前記トナー像に付与する定着液付与手段と、前記トナー像に付与されなかった定着液の液滴を回収する定着液回収手段とを有し、
    前記定着液付与手段と前記定着液回収手段は、それぞれ独立に前記定着液の液滴を帯電可能な帯電手段を有しており、前記定着液回収手段の帯電手段による定着液の液滴との電位差を前記定着液付与手段の帯電手段による定着液の液滴との電位差よりも大きく設定することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1記載の定着装置において、
    前記定着液回収手段は、前記定着液の液滴を独立に帯電可能な帯電手段を2個以上有し、前記トナー像に付与されなかった定着液の液滴を回収する方向に向かって、下流側の帯電手段による定着液の液滴との電位差を上流側の帯電手段による定着液の液滴との電位差より大きくなるように設定することを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1又は2記載の定着装置において、
    前記定着液を噴霧して得られた液滴を前記定着液付与手段の帯電手段によって帯電することを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置において、
    前記トナー像に付与されなかった定着液の液滴を前記定着液回収手段に誘導するための気流を制御する気流制御手段を前記定着液回収手段に備えたことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載の定着装置において、
    前記定着液付与手段は、定着液の液滴を前記トナー像に付与するための開口部を有しており、前記定着液の液滴を前記トナー像に付与しない間は前記開口部を閉じるためのシャッターを備えたことを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載の定着装置において、
    前記定着液回収手段は、回収した定着液の液滴を液化し、当該液化された定着液を前記定着液付与手段に供給して再利用することを特徴とする定着装置。
  7. 表面に静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像化する現像装置と、当該像担持体上に形成されたトナー像を直接又は間接的に記録材表面に転写する転写手段と、当該記録材表面に転写されたトナー像を当該記録材表面に定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
    前記定着装置は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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