JP5401341B2 - 鞍乗り型車両 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、エンジンから車体のフレームに伝わる振動を簡単な構造で抑制することが可能な鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
この構成によれば、エンジンをフレームに弾性支持すると共に、エンジンをピボット軸で支持し、フレームのピボット軸取付部に第1の弾性部材を介してピボット軸を支持したため、フレームに弾性支持されたエンジンからピボット軸を介してフレームに伝わる振動を第1の弾性部材によって抑制できる。これにより、エンジンから車体のフレームに伝わる振動を簡単な構造で抑制することができる。
この場合、エンジンハンガーブラケットを介してエンジンを支持するため、フレーム側に大きな変更をすることなく、様々な種類のエンジンをフレームに搭載できる。
この場合、ピボット軸が第2の弾性部材を介してエンジンハンガーブラケットを支持するため、エンジン側からピボット軸に伝わる振動を第2の弾性部材によって抑制できる。また、エンジンとスイングアームとが第2の弾性部材を介して結合されており、エンジンとスイングアームとが一体的に動くため、外力を受けた際のエンジンとスイングアームとの相対位置の変位を小さくできる。
この場合、複数の第2の弾性部材の間にディスタンスカラーを設けることで、第2の弾性部材の位置を規制できる。
この場合、ピボット軸が第3の弾性部材を介してスイングアームを軸支するため、エンジンからピボット軸を介して車体のフレームに伝わる振動を第3の弾性部材によって低減できる。また、スイングアームに第3の弾性部材を設けるため、第3の弾性部材の位置を規制するディスタンスカラーを用いる必要がなく、部品点数を削減できる。
また、エンジンハンガーブラケットを介してエンジンを支持するため、フレーム側に大きな変更をすることなく、様々な種類のエンジンをフレームに搭載できる。
また、ピボット軸が第3の弾性部材を介してスイングアームを軸支するため、エンジンから車体のフレームに伝わる振動を第3の弾性部材によって低減できる。また、第3の弾性部材の位置を規制するディスタンスカラーを用いる必要がなく、部品点数を削減できる。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車を示す左側面図である。
自動二輪車1(鞍乗り型車両)は、車体フレーム2(フレーム)と、車体フレーム2のヘッドパイプ3に操舵自在に支持される左右一対のフロントフォーク4と、これらフロントフォーク4の上端部に取り付けられて車体前部の上部に配置された操舵用のハンドル5と、フロントフォーク4に回転自在に支持された前輪6と、車体の略中央で車体フレーム2に支持されたエンジン7と、車体フレーム2に上下に揺動自在に支持されたスイングアーム8と、このスイングアーム8の後部に回転自在に軸支された後輪9と、車体フレーム2の前部に配置された燃料タンク10と、この燃料タンク10の後方に配置された収納ボックス11と、収納ボックス11の上部に設けられた乗員用のシート12とを備えている。
この自動二輪車1は、運転者以外に同乗者が搭乗可能な二人乗りの鞍乗り型車両であり、シート12は、運転者が着座する前部シート12Aと同乗者が着座可能な後部シート12Bとを前後に一体に備えた一体型シートに形成されている。
図1及び図2に示すように、車体フレーム2は、車幅方向に左右一対で設けられるメインフレーム15、15と、各メインフレーム15の後端から車両後方へ延びる左右一対のサブフレーム16、16とを備えている。
左側のピボットプレート17の下端には、折りたたみ自在なサイドスタンド40が設けられている。また、右側のピボットプレート17の下端には、後輪ブレーキ(図示略)を作動させるブレーキペダル41が支持されている。
上サブフレーム21、21は、メインフレーム15、15の前後方向の中間位置に設けられた前部結合部15Aと下サブフレーム20、20の直線部20Bの後部に設けられた後部結合部20Dとを連結し、下サブフレーム20、20を補強するように設けられている。上サブフレーム21、21は下サブフレーム20、20よりも小径のパイプで構成され、下サブフレーム20のテール部20Cに連続するように後上がりに傾斜して直線的に設けられている。
また、下サブフレーム20、20には、下サブフレーム20、20を車幅方向に連結するサブ側第1クロスパイプ29、及び、サブ側第2クロスパイプ129が設けられている。サブ側第1クロスパイプ29は、直線部20Bの後端に位置し、サブ側第2クロスパイプ129は、結合部20Aの下端に位置している。
変速機36の出力軸には、前スプロケット36Aが設けられ、前スプロケット36Aと後輪9に固定された後スプロケット9Aとの間には、左アーム部8Aの上下を通る駆動チェーン19が巻き掛けられている。
エンジン7に供給される空気を取り込むエアクリーナケース45は、車幅方向にも延びる箱状に形成され、シリンダ31とメインフレーム15、15の下縁との間の空間内に、上下に延在するように配置されている。このように、エンジン7を、シリンダ軸線Cを寝かせて設け、エアクリーナケース45をメインフレーム15、15の下方に配置したため、左右のメインフレーム15、15の間に、例えば燃料タンク10等の他の部品を配置するスペースを確保できる。
シリンダヘッド33の下面に設けられた排気口には排気管47が接続され、排気管47は、下方に延びた後、後方に屈曲し、その後、クランクケース30の下方で車幅方向の右側に屈曲し、右側の下サブフレーム20の結合部20Aの後方でマフラー48に接続されている。マフラー48は、側面視においてスイングアーム8にオーバーラップした状態で配置され、スイングアーム8の右側面の外側に位置している。
図3は、エンジン7、エンジンハンガー75、スイングアーム8及び車体フレーム2を示す分解斜視図である。図4は、エンジン7を搭載した車体フレーム2を後方側から見た斜視図である。
図2及び図3に示すように、クランクケース30は、エンジンハンガー75と連結されるエンジン側連結部30A、30B、30Cを有している。エンジン側連結部30Aは、クランクケース30の前後の中間部における上部に設けられ、エンジン側連結部30Bはクランクケース30の後部側の上部に設けられ、エンジン側連結部30Cは、クランクケース30の後部側の下部に設けられている。
エンジンハンガー75は、メインフレーム15、15に連結されるフレーム連結部76と、ピボット軸13に連結されるピボット軸連結部77とを有し、フレーム連結部76及びピボット軸連結部77を介して、これら2箇所の連結部によって車体フレーム2に固定されている。フレーム連結部76は、フレーム連結部76に挿通されるフレーム側固定ボルト91によってメインフレーム15、15に固定される。
また、ピボットプレート17、17には、ピボット軸13を支持するピボット軸取付部85、85が形成されている。ピボット軸取付部85、85は車幅方向に延びるパイプ状に形成されてピボットプレート17、17を貫通し、ピボット軸13はピボット軸取付部85、85の内周面に支持される。
また、補強板84は、補強板84の前端から後端に亘って設けられている。補強板84は肉抜き孔84Aを有して軽量に構成されている。
エンジン側連結部30Aは、クランクケース30の上面に形成された突出部37と、突出部37を車幅方向に貫通する固定孔37Aとを有して構成されている。
ハンガープレート81、81間の距離は、クランクケース30の突出部37の幅と略同等に形成されている。エンジンハンガー75は、ハンガ側エンジン連結部78及び固定孔37Aに挿通されるエンジン固定ボルト78Aと、エンジン固定ボルト78Aの端に締結されるナット78Bとによって、ハンガープレート81、81に両側から挟まれた状態でクランクケース30に連結される。
2つの内径ブッシュ86Aとディスタンスカラー87とを足し合わせた軸方向の長さは、フレーム側連結パイプ82の軸方向の長さよりも大きく形成されており、組み付けられた状態においては、左右の内径ブッシュ86Aの外端部は、フレーム側連結パイプ82の両端部よりも外側に突出する。
エンジン側連結部30Bは、クランクケース30の後面の上部に形成された突出部38と、突出部38を車幅方向に貫通する固定孔38Aとを有して構成されている。
ハンガープレート81、81間の距離は、クランクケース30の突出部38の幅と略同等に形成されている。エンジンハンガー75は、ハンガ側エンジン連結部79及び固定孔38Aに挿通されるエンジン固定ボルト79Aと、エンジン固定ボルト79Aの端に締結されるナット79Bとによって、ハンガープレート81、81に両側から挟まれた状態でクランクケース30に連結される。
ピボット軸連結パイプ83の内径部83A内の両端には、防振機能を有する一対のピボット軸側管ブッシュ89(第2の弾性部材)が設けられている。ピボット軸側管ブッシュ89は、ピボット軸13の軸部13Aに嵌合する内径ブッシュ89Aと、内径部83Aに嵌合する外径ブッシュ89Bと、内径ブッシュ89Aと外径ブッシュ89Bとの間に介在する防振ゴム89Cとを備えて構成されている。内径ブッシュ89Aの軸方向の長さは、外径ブッシュ89B及び防振ゴム89Cの軸方向の長さよりも長く形成されている。
2つの内径ブッシュ89Aとディスタンスカラー90とを足し合わせた軸方向の長さは、ピボット軸連結パイプ83の軸方向の長さよりも大きく形成されており、組み付けられた状態においては、左右の内径ブッシュ89Aの外端部は、ピボット軸連結パイプ83の両端部よりも外側に突出する。
ピボット軸13は、左右のピボット軸取付部85、85に設けられたピボット軸側管ブッシュ89に挿通されて支持され、ねじ部13Cに締結されるピボット軸用ナット13Dによってピボットプレート17、17に固定される。すなわち、ピボット軸13は、左右のピボット軸側管ブッシュ89を介してピボットプレート17、17にラバーマウントされている。
また、ピボット軸連結パイプ83は、左右に二又に分かれたピボット孔部8Dの間に挟まれるようにして配置され、左右のピボット軸側管ブッシュ89を介してピボット軸13に支持されている。すなわち、エンジンハンガー75はピボット軸側管ブッシュ89を介してピボット軸13に連結されており、エンジン側連結部30Bでエンジンハンガー75に連結されたエンジン7は、エンジンハンガー75を介してピボット軸13にラバーマウントされている。このため、エンジンハンガー75及びピボット軸13を介してエンジン7をスイングアーム8に一体的に連結しつつ、エンジン7からピボット軸13に伝わる振動をエンジンハンガー75のピボット軸側管ブッシュ89によって低減できる。
また、後輪9からスイングアーム8を経てピボット軸13に伝達された振動は、ピボットプレート側管ブッシュ88及びピボット軸側管ブッシュ89で減衰されてピボットプレート17、17に伝わる。このため、スイングアーム8側からの振動を効果的に減衰でき、車体フレーム2に伝わる振動を低減できる。
また、エンジン7とスイングアーム8とがピボット軸側管ブッシュ89を有するエンジンハンガー75及びピボット軸13を介して結合されているため、エンジン7から伝達される振動を低減しつつ、エンジン7とスイングアーム8とを一体的に結合でき、外力を受けた際のエンジン7とスイングアーム8との相対位置の変位を小さくできる。例えば、車両の加速時や減速時には、駆動チェーン19に強い張力が生じることがあり、ラバーマウントされたエンジン7が駆動チェーン19の張力によって変位し、前スプロケット36Aと後スプロケット9Aとの間の駆動チェーン19に大きな弛みが生じることが考えられる。しかし、本実施の形態では、フレーム側管ブッシュ86を介してラバーマウントされたエンジン7と、スイングアーム8とがエンジンハンガー75及びピボット軸13を介して結合されており、駆動チェーン19に強い張力が生じた場合には、エンジン7とスイングアーム8とが一体的に動くことができる。このため、エンジン7とスイングアーム8との相対位置に変化が生じにくく、ピボット軸側管ブッシュ89によって防振機能を確保しつつ、駆動チェーン19に大きな弛みが生じることを防止できる。
上記第1の実施の形態では、エンジン7は、エンジンハンガー75を介してメインフレーム15、15に支持されると共にピボット軸13にラバーマウントされるものとして説明したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エンジンハンガー75を設けずにエンジン7を車体フレーム2に直接固定し、エンジン7の後部にピボット軸13に連結される連結部を一体的に形成し、この連結部にピボット軸側管ブッシュ89を設けることで、エンジン7をピボット軸13にラバーマウントしても良い。また、その他の自動二輪車1の細部構成についても任意に変更可能であることは勿論である。
以下、図7を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、エンジンハンガー175がピボット軸13に直接支持され、スイングアーム8がピボット軸13にラバーマウントされた点が上記第1の実施の形態と異なっている。
スイングアーム8の左右のピボット孔部8Dは、ピボット軸13が貫通する内径部8Fをそれぞれ有し、各内径部8Fには、防振機能を有するアーム側管ブッシュ110(第3の弾性部材)がそれぞれ設けられている。アーム側管ブッシュ110は、ピボット軸13の軸部13Aに嵌合する内径ブッシュ110Aと、内径部8Fに嵌合する外径ブッシュ110Bと、内径ブッシュ110Aと外径ブッシュ110Bとの間に介在する防振ゴム110Cとを備えて構成されている。また、アーム側管ブッシュ110の軸方向の長さはピボット孔部8Dの軸方向の長さと略同等に形成されている。
また、スイングアーム8は、アーム側管ブッシュ110を介してピボット軸13にラバーマウントされ、ピボット軸13を中心に揺動自在となっている。
また、後輪9からスイングアーム8に伝わる振動は、アーム側管ブッシュ110を介してピボット軸13に伝達され、その後、ピボットプレート側管ブッシュ88を経てピボットプレート17、17に伝わる。このため、スイングアーム8側からの振動を効果的に減衰でき、車体フレーム2に伝わる振動を低減できる。
また、ピボット軸連結パイプ183の外端部183Bによってアーム側管ブッシュ110の位置を規制できるため、アーム側管ブッシュ110をピボット軸13上に位置決めするためにピボット軸13に嵌合されるカラー等の別部材を設ける必要がなく、部品点数を削減できる。
さらに、エンジン7とスイングアーム8とが、エンジンハンガー175、アーム側管ブッシュ110及びピボット軸13を介して結合されているため、エンジン7から伝達される振動をアーム側管ブッシュ110によって低減しつつ、エンジン7とスイングアーム8とを一体的に結合でき、外力を受けた際のエンジン7とスイングアーム8との相対位置の変位を小さくできる。
上記第2の実施の形態では、エンジン7は、エンジンハンガー175を介してピボット軸13に直接支持されるものとして説明したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エンジンハンガー175を設けずにエンジン7を車体フレーム2に直接固定し、エンジン7の後部にピボット軸13に連結される連結部を一体的に形成し、この連結部にピボット軸13を嵌合させてエンジン7を直接支持しても良い。
2 車体フレーム(フレーム)
3 ヘッドパイプ
7 エンジン
8 スイングアーム
8D ピボット孔部(スイングアームの前端)
9 後輪
13 ピボット軸
75、175 エンジンハンガー(エンジンハンガーブラケット)
85、85 ピボット軸取付部
88 ピボットプレート側管ブッシュ(第1の弾性部材)
89 ピボット軸側管ブッシュ(第2の弾性部材)
90 ディスタンスカラー
110 アーム側管ブッシュ(第3の弾性部材)
Claims (5)
- 車体前部のヘッドパイプから後方に延びるフレームを設け、前記フレームにピボット軸取付部を設け、前記ピボット軸取付部とスイングアームの前端とにピボット軸を貫通させて前記フレームに前記スイングアームの前端を軸支し、前記スイングアームは、前記ピボット軸を中心に揺動可能に枢支され後端に後輪を支持した鞍乗り型車両において、前記ピボット軸は、前記フレームに弾性支持させたエンジンを支持すると共に、前記ピボット軸取付部に第1の弾性部材を介して支持されたことを特徴とする鞍乗り型車両。
- 前記エンジンは前記フレームに対してエンジンハンガーブラケットを介して弾性支持されていることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
- 前記ピボット軸は前記エンジンハンガーブラケットを貫通し、
前記スイングアームは、前記エンジンハンガーブラケットを外側から挟むように前端部が二又に分かれ、
前記ピボット軸は、第2の弾性部材を介して前記エンジンハンガーブラケットを支持することを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両。 - 前記ピボット軸と、前記エンジンハンガーブラケットとに介する前記第2の弾性部材は、前記エンジンハンガーブラケットの端部に複数設けられ、
複数の前記第2の弾性部材の間にディスタンスカラーが設けられていることを特徴とする請求項3記載の鞍乗り型車両。 - 前記ピボット軸は、第3の弾性部材を介して前記スイングアームの前端部を軸支することを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両。
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