JP5381885B2 - 射出成形装置 - Google Patents
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Description
可動型130は、固定型120に対して近接離間可能に構成される。エジェクタプレート135は、可動型130の内側に配置され、エジェクタロッド136の駆動により固定型120に近接する方向へ移動可能である。
エジェクタプレート135は、エジェクタピン140に取り付けられるバネ144によって、固定型120から離間する方向に付勢される。図12(b)に示すように、エジェクタピン140は、一端部が可動型130に形成されるピン孔132に挿通され、他端部がエジェクタプレート135に支持される。エジェクタピン140は、その一端面が可動型130の端面に沿うように(すなわち面一となるように)配置される。
このように射出成形装置110では、クリアランス145に樹脂160が侵入することで、作動不良が発生する問題があった。このような場合には、射出成形装置110をメンテナンスして、クリアランス145に侵入した樹脂160を取り除く必要があった。
このような製造コストの観点から、メンテナンス成形を行う頻度を下げる、つまり通常の射出成形を行う回数を多く行った後でメンテナンス成形を行うことが考えられるが、この場合、クリアランスに樹脂が侵入する可能性が増大する。つまり、前述したような射出成形装置の作動不良が発生する可能性が増大してしまう。
Y=7.98×10 -5 N−0.039
cot(y/Y)≦θ≦cot{(W+y)/Y}
第一エジェクタピン41・41は、その先端面41aが、成形面31aに沿うように配置される。つまり、第一エジェクタピン41・41の先端面41aと第一ピン孔32・32が形成される面である成形面31aとは、同一直線上に配置されており、面一となっている。
本実施形態では、第一ピン孔32の内周面から第一エジェクタピン41の外周面までの、第一エジェクタピン41の径方向に沿った第一クリアランス45の長さは5〜10μmとなるように設定される。つまり、第一ピン孔32の内径と第一エジェクタピン41の外径との差は、10〜20μmとなるように設定される。
第二エジェクタピン42は、その先端面42aが成形面31aよりも所定の距離だけ右方に配置される(図2(b)に二点鎖線で示す、成形面31aと面一に配置されるエジェクタピン140参照)。つまり、第二エジェクタピン42の先端面42aは成形面31aよりも所定の距離だけ凹んだ位置に配置されており、成形面31aの第二エジェクタピン42に対応する部分には、凹部52が形成される。
本実施形態では、第二ピン孔33の内周面から第二エジェクタピン42の外周面までの、第二エジェクタピン42の径方向に沿った第二クリアランス46の長さは、第一クリアランス45と同様に設定される。
第三エジェクタピン43・43は、その先端面43aが成形面31aよりも所定の距離だけ右方に配置される(図2(c)に二点鎖線で示す、成形面31aと面一に配置されるエジェクタピン140参照)。つまり、第三エジェクタピン43・43の先端面43a・43aは成形面31aよりも所定の距離だけ凹んだ位置に配置されており、成形面31aの第三エジェクタピン43・43に対応する部分には、それぞれ凹部53が形成される。
本実施形態では、第三ピン孔34の内周面から第三エジェクタピン43の外周面までの、第三エジェクタピン43の径方向に沿った第三クリアランス47の長さは、第一クリアランス45と同様に設定される。
また、第二エジェクタピン42および第三エジェクタピン43の各先端面42a・43aは、同一の距離だけ成形面31aより右方に配置される(図2(b)および図2(c)に示す矢印Y参照)。
つまり、第三クリアランス47の左方に死水域80が形成されることにより、樹脂60を注入するときには、第三エジェクタピン43の左方だけに樹脂60が流入することとなり、当該樹脂60が第三クリアランス47の左方に流入することを防止できる。このように、第三エジェクタピン43の先端側に形成される凹部53においては、先端面43aに対応する部分にのみ樹脂60が流入し、第三クリアランス47に対応する部分は死水域80となって樹脂60が流入しない。
一方、成形面31aに凹部を形成しない状態で、エジェクタピン40が挿通されるピン孔上を流れる樹脂60の流速がある程度遅い場合には、樹脂60が侵入できないようにクリアランスの長さ(ピン孔の内周面からエジェクタピン40の外周面までの、エジェクタピン40の径方向に沿った長さ)を設定するだけで、樹脂60の侵入を防止できる。
また、樹脂60が射出される金型は加熱されており、キャビティ部64に充填された樹脂60は金型により加熱され硬化する。
このような作動不良としては、例えば、エジェクタピン40をピン孔より突出させるために要する力が増大し、ひいては、成形品71を押し出せなくなる場合等がある。これは、バネ44によってエジェクタピン40をピン孔に戻すときにエジェクタピン40が戻りきらず、エジェクタピン40がピン孔より突出した状態となることに起因する。
また、従来技術にあるようなメンテナンス成形を行うことなく、連続して成形品71を成形できるため、作業効率を向上できる。
この場合、成形面31aに凹部を形成しない状態で樹脂60を注入した場合でも、樹脂60がクリアランスに侵入しない。これによれば、成形時に用いる樹脂量を低減できるため、射出成形の製造コストを低減できる。
また、成形面31aからエジェクタピン40の先端面までの左右方向の長さ(図2(b)に示す符号Y参照)、つまり、エジェクタピン40の先端面を成形面31aから低下させる距離(エジェクタピン40の低下距離)Yを所定の長さに設定した。
一方、エジェクタピン40の低下距離Yが長い場合、多いショット数で不具合が発生した。例えば、エジェクタピン40の低下距離YがY4である場合、ショット数が約N5(回)で不具合が発生した。
Y=7.98×10-5N−0.039
ここで、Yはエジェクタピン40の先端面を成形面31aから低下させる距離(mm)、Nは樹脂60を固定型20および可動型30に注入して成形品71を成形する回数(回)である。
これは、エジェクタピン40の低下距離Yが長くなることに伴って死水域80の形状が、エジェクタピン40の径方向内側に向かって大きくなることに起因する。しかし、これに伴って、射出成形に用いる樹脂量が増大してしまう(エジェクタピン40先端部の凹部に充填される樹脂量が増大する)、つまり、射出成形の製造コストが増大してしまう。
これによれば、凹部を形成することによる樹脂量の増大を必要最低限に抑制することができるため、射出成形の製造コストの増大を抑制できる。つまり、上記式は、死水域80を形成することにより低減されたクリアランスへ侵入する樹脂量と、累積射出量(不具合が発生しない上限値)との間の間接的な相関関係を示す式である。
また、樹脂60の粘度および流動圧等に変化やバラツキがあった場合でも、安定してピン孔全体に死水域80を形成できる。
また、下流側における、第三ピン孔34の内周面から第三エジェクタピン43の外周面までの、第三エジェクタピン43の径方向に沿った第三クリアランス47の長さが短くなる(図9(b)に二点鎖線で示す第三エジェクタピン43参照)。
また、第三エジェクタピン43の軸方向と、第三ピン孔34の上流側端部から第三エジェクタピン43の先端面43aの下流側端部までの方向R4とが成す角度を「角度θ2」とする。
そして、第三エジェクタピン43の軸方向と、樹脂60が凹部53に向かって流入する方向R5とが成す角度を「流入角度θ」とする。
本実施形態においては、死水域80(図4参照)は、樹脂60の粘度等の成形条件の影響で形成されないものとする。
また、流入角度θが、角度θ2よりも大きい場合(つまり、角度θ2<流入角度θである場合)、樹脂60は、第三エジェクタピン43の下流側と第三ピン孔34との間の第三クリアランス47に向かって流入する。この場合、第三クリアランス47の下流側において樹脂60が侵入する可能性がある。
仮に、第三エジェクタピン43の先端面43aに接触した樹脂60が、第三ピン孔34の下流側端部に接触し、第三クリアランス47に向かって流入した場合、当該樹脂60の流速は遅いため、樹脂60が第三クリアランス47に侵入しない。
cot(y/Y)≦θ≦cot{(W+y)/Y}
さらに、射出成形に用いる材料としてアルミ等の金属を用いても構わない。この場合、ピン孔の内周面からエジェクタピン40の外周面までの、エジェクタピン40の径方向に沿ったクリアランスの長さは、保圧時にアルミ等が侵入できないような長さに設定される。
20 固定型(金型)
30 可動型(金型)
31a 成形面
33 第二ピン孔
34 第三ピン孔
40 エジェクタピン
42 第二エジェクタピン(成形面から低下させるエジェクタピン)
43 第三エジェクタピン(成形面から低下させるエジェクタピン)
46 第二クリアランス(クリアランス)
47 第三クリアランス(クリアランス)
52 凹部
53 凹部
60 樹脂(材料)
71 成形品
80 死水域
Claims (4)
- 金型を型閉めして該金型に材料を注入し、該材料を固化させて前記金型を型開きした後で、少なくとも一つ以上のエジェクタピンの先端面を、前記金型の成形面に形成されるピン孔より突出させて前記材料を押し出す射出成形装置であって、
前記金型に前記材料を注入するときに、
前記エジェクタピンの先端面を、前記材料を押し出す方向の反対方向に所定の距離だけ前記成形面から低下させて、
前記成形面における前記エジェクタピンの先端面に対応する部分に凹部を形成し、
前記エジェクタピンの先端面を前記成形面から低下させる距離をY(mm)とし、
前記材料を前記金型に注入して成形品を成形する回数をN(回)としたとき、
前記エジェクタピンの先端面は、次式を満たす条件にて、前記成形面より低下させる、
射出成形装置。
Y=7.98×10 -5 N−0.039 - 前記成形面から低下させる前記エジェクタピンに対応するピン孔の内周面には、前記材料の流動方向上流側であるとともに前記エジェクタピンの先端面よりも前記成形面側に、前記エジェクタピンの径方向内側に向かって突出する突起部が形成され、
該突起部の突出寸法は、前記エジェクタピンの突出動作に干渉しない長さに設定される、
請求項1に記載の射出成形装置。 - 前記エジェクタピンの先端面には、
前記材料を押し出す方向に向かって突出する少なくとも一つ以上の突起部が形成される、
請求項1または請求項2に記載の射出成形装置。 - 前記成形面から低下させる前記エジェクタピンの直径をW(mm)とし、
該エジェクタピンの前記材料の流動方向上流側端部から、前記エジェクタピンに対応するピン孔の前記材料の流動方向上流側端部までのクリアランスの長さをy(mm)とし、
前記エジェクタピンの先端面を前記成形面から低下させる距離をY(mm)とし、
前記エジェクタピンの軸方向と前記材料が前記凹部に流入する方向とが成す角度をθ(°)としたとき、
次式を満たす条件となるように、前記材料の流動を制御する、
請求項1に記載の射出成形装置。
cot(y/Y)≦θ≦cot{(W+y)/Y}
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