JP5366527B2 - 反応液、インクと反応液とのセット、インクジェット記録装置、及び画像記録方法 - Google Patents

反応液、インクと反応液とのセット、インクジェット記録装置、及び画像記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、反応液、インクと前記反応液とのセット、前記反応液を用いたインクジェット記録装置及び画像記録方法に関する。特に、反応液とインクとを併用して記録媒体に記録を行う際に用いる反応液、インクと前記反応液とのセット、前記反応液を用いたインクジェット記録装置及び画像記録方法に関する。
インクジェット記録方法として、通常のインクジェット用のインクとは別に、画像品位を向上するための液体をインクの付与に先立って記録媒体に付与して画像を記録する様々な方法が提案されている。例えば、塩基性ポリマーを有する液体を記録媒体に付与した後、アニオン性染料を含有するインクで記録する方法(特許文献1参照)に関する提案がある。また、反応性化学種を含有する第1の液体と、前記反応性化学種と反応を起こす化合物を含有する液体とを、記録媒体において混合する記録方法(特許文献2参照)に関する提案がある。また、1分子あたり2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有する液体を記録媒体に付与した後、アニオン性染料を含有するインクで記録する方法(特許文献3参照)に関する提案がある。また、コハク酸などを含有する酸性液体を記録媒体に付与した後、アニオン性染料を含有するインクで記録する方法(特許文献4参照)や、染料を不溶化させる液体をインクに先だって記録媒体に付与する方法(特許文献5参照)に関する提案がある。
上述のいずれの方法も、記録媒体において染料を析出させることによって、画像の滲みの抑制や、画像の耐水性を向上させようとするものである。しかし、複数のカラーインク間のブリーディングを抑制する効果は不十分であり、また、析出した染料が記録媒体において不均一に分布し易いために、画質の均一感が低下することがあった。特に、記録媒体として普通紙などを用いる場合には、パルプ繊維に対する析出した染料の被覆性が低いことから、この傾向が顕著に生じる場合がある。
一方、インクの色材として顔料を用いる場合、多色記録物での滲みを軽減する目的で、顔料分散体を含有するインクと、多価金属を含有するインクとを組み合わせて用いるインクセットに関する提案がある(特許文献6参照)。しかし、この場合には、多価金属を含有するインクとして、多価金属と色材との相性、すなわち、インクの安定性を考慮した多価金属を用いる必要があるなどの制約があり、十分な画像濃度が得られない場合があるなどの別の課題があった。
これらの課題を解決し、画像の均一性や画像濃度の向上を達成しようとする様々な方法が提案されている。具体的には、多価金属イオンを含有する液体組成物を予め記録媒体に付与した後、前記液体組成物との反応性を有するインクで記録する方法などに関する提案がある(特許文献7〜11参照)。しかし、これらの何れの方法を用いても、近年のさらなる高画質化の要求をも満足するような高い画像濃度を得ることができなかったり、初期と経時後に得られる画質が異なってしまったりすることがあった。
また、インクが付与された記録媒体が、該インク中の水や水溶性有機溶剤などにより反る、丸まるといった、所謂カールが起きるという別の課題がある。このカールを抑制する方法として、従来から幾つかの方法が提案されている。例えば、分子構造中に水酸基を4個以上有し、水又は水性有機溶媒に溶解可能である固体物質を含有するインクジェット用インクに関する提案がある(特許文献12参照)。また、カール防止剤として、糖類、糖アルコール類、特定のアミド化合物を含有するインクに関する提案がある(特許文献13参照)。また、特定の多価アルコールとグリセリンを組み合わせて含有するインクに関する提案がある(特許文献14参照)。また、溶媒、高分子バインダ、媒染剤、水溶性カール防止化合物、水溶性糊抜き化合物、耐光性化合物、消泡剤などを含有するインクに関する提案がある(特許文献15参照)。
特開昭63−60783号公報 特開昭63−22681号公報 特開昭63−299971号公報 特開昭64−9279号公報 特開昭64−63185号公報 特開平9−118850号公報 特開昭63−299970号公報 特公平6−86142号公報 特開平9−207424号公報 特開平11−349873号公報 特開2000−94825公報 特開平4−332775号公報 特開平6−157955号公報 特開平10−130550号公報 特開2000−19826号公報
本発明者らの検討の結果、記録媒体における反応液からの成分などの蒸発や反応液の定着性が不十分であることに起因する、記録媒体の表面の湿った感じ(以下、「しっとり感」と呼ぶ)が発生し、記録物の風合いが損なわれる場合があることが明らかとなった。また、反応液中の水や水溶性有機溶剤による記録媒体のカールも発生することが明らかとなった。さらに、上記で挙げたような従来の何れの技術をもってしても、このしっとり感とカールの発生は抑制できず、記録物の風合いが低下することもわかった。さらに、例えば、塗布ローラーなどによって反応液を記録媒体の全面に付与するような場合は、インクを付与しない部分(=紙白部分)においてもしっとり感がより顕著に発生することもわかった。
また、本発明者らの検討によれば、互いに液体状態でインクと接触する反応液の記録媒体への浸透性を向上させるために、反応液中の界面活性剤の含有量を増やすと、記録した画像に滲み、すなわちフェザリングが発生し易くなることが判明した。
更に、反応液に関しては、反応液中の成分などが蒸発した場合においても、析出物が発生しないことも重要である。インクジェット方式により反応液を記録媒体に付与する場合、記録ヘッドのノズル内における目詰まりを抑制するためにも、析出物の発生が抑制されていることが重要である。また、塗布ローラーにより反応液を記録媒体に付与する場合、ローラーの表面への析出物による傷を防止し、記録休止後にローラーを再度稼動させる場合などにおけるモーターの負荷を低減するためにも、析出物の発生が抑制されていることが重要である。
したがって、本発明の目的は、記録物におけるしっとり感やカールの発生が抑制され、また、反応液における析出物の発生が抑制され、さらにはフェザリングの発生が抑制された優れた画質を得ることができる反応液を提供することにある。また、本発明の別の目的は、インクと反応液とのセット、反応液を用いたインクジェット記録装置及び画像記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかる反応液は、色材を含有するインクと共に用いられ、記録媒体において前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液であって、
前記反応液が、カルシウムイオン、グリセリン、及び平均分子量が200以上1,000以下のポリエチレングリコールを少なくとも含有してなり、かつ、前記反応液の表面張力が25℃において27mN/m以上30mN/m以下であり、前記カルシウムイオンの含有量A(質量%)が、反応液全質量を基準として2.7質量%以上4.3質量%以下であり、反応液全質量を基準とした、前記グリセリンの含有量B(質量%)及び前記ポリエチレングリコールの含有量C(質量%)の合計が、前記カルシウムイオンの含有量A(質量%)に対して6倍以上11倍以下であり、前記グリセリンの含有量B(質量%)及び前記ポリエチレングリコールの含有量C(質量%)の合計に対する前記グリセリンの含有量B(質量%)の割合(B/(B+C))が、0.3以上0.7以下であることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクと反応液とのセットは、色材を含有するインクと、記録媒体において前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液と、を有するインクと反応液とのセットであって、前記反応液が、上記構成の反応液であることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、色材を含有するインクを吐出する記録ヘッド、インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジ、及び記録媒体において前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液を記録媒体に付与する手段、を少なくとも有するインクジェット記録装置であって、前記反応液が、上記構成の反応液であることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかる画像記録方法は、記録媒体において色材を含有するインクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液を、記録媒体における前記インクと接触し得る領域を少なくとも含むように記録媒体に付与する工程、及び前記インクをインクジェット方式により前記記録媒体に付与する工程、を少なくとも有する画像記録方法であって、前記反応液が、上記構成の反応液であることを特徴とする。
本発明によれば、記録物におけるしっとり感やカールの発生が抑制され、また、反応液における析出物の発生が抑制され、さらにはフェザリングの発生が抑制された優れた画質を得ることができる反応液が提供される。また、本発明の別の実施態様によれば、インクと反応液とのセット、反応液を用いたインクジェット記録装置及び画像記録方法が提供される。
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、反応液中に存在するカルシウムを便宜上、「カルシウムイオン」と表現しているが、これは、反応液中においてカルシウムイオンの少なくとも一部が塩の状態で存在する場合も包含するものである。
<反応液>
本発明の反応液は、色材を含有するインクと共に用いられ、前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液であり、以下の特徴を有するものである。反応液を構成する成分としては、カルシウムイオン、グリセリン、及び平均分子量が200以上1,000以下のポリエチレングリコールを少なくとも含有することが必須である。そして、反応液中の各成分の含有量やそれらの質量比率が以下のように特定されていることを特徴とする。先ず、カルシウムイオンの含有量A(質量%)が、反応液全質量を基準として2.7質量%以上4.3質量%以下である。次に、反応液全質量を基準とした、グリセリンの含有量B(質量%)及びポリエチレングリコールの含有量C(質量%)の合計が、カルシウムイオンの含有量A(質量%)に対して6倍以上11倍以下である。最後に、グリセリンの含有量B(質量%)及びポリエチレングリコールの含有量C(質量%)の合計に対する前記グリセリンの含有量B(質量%)の割合(B/(B+C))が、0.3以上0.7以下である。なお、上記のように色材の溶解状態又は分散状態が不安定化するのは、反応液中のカルシウムイオンと、インク中のアニオン性の成分(顔料粒子の表面に化学的に結合したアニオン性基やアニオン性の樹脂分散剤)の反応が生じるためである。より具体的には、反応液中のカルシウムイオンと、インク中の色材の溶解状態又は分散状態を維持している成分と、の反応が生じるためである。
インクと共に用いる反応液の構成を上記のようにすることによって、本発明の顕著な効果、すなわち、記録物におけるしっとり感やカールの発生が抑制される。また、反応液における析出物の発生が抑制され、さらにはフェザリングの発生が抑制された優れた画質を得ることができる。
上述の通り、反応液を付与した記録媒体におけるしっとり感の発生は、記録媒体における反応液の乾燥性や、反応液の定着性、すなわち浸透性に大きく影響を受ける。
先ず、反応液の乾燥性は環境の影響、特には環境の湿度に大きく影響を受けるので、しっとり感を抑制するためには、反応液の組成よりは、反応液を付与した記録媒体に対して加熱処理や送風処理などを施すことがより効果的である。しかし、加熱や送風などの処理を行うことは、記録方法や記録装置の構成が複雑となるため、あまり好ましいとは言えない。このため、簡易な構成でしっとり感を抑制するためには、反応液の組成を工夫することが必要となる。
一方、反応液の記録媒体への浸透性は、反応液の組成による影響を強く受ける。この浸透性を高めるためには、反応液の表面張力を下げることが特に有効である。反応液の表面張力を下げるためには、例えば、反応液に界面活性剤を含有させることが一般的に知られている。しかし、本発明者らの検討の結果、界面活性剤の含有量を適正化するだけでは、しっとり感の抑制とフェサリングの抑制とを両立するためには不十分であることがわかった。
インクと反応液の反応は、インク中の色材を分散状態又は溶解状態にさせる成分、例えばアニオン性成分と、インク中の色材の分散状態又は溶解状態を不安定化させる反応液中のカルシウムイオンとの凝析反応である。しかし、反応液中の界面活性剤の含有量が多いと、記録媒体において反応液とインクとが混合された際に、凝析反応により生じた凝析物や凝析反応の過程にある色材に界面活性剤が吸着することによりそれらが混合液中に分散安定化される。その結果、記録媒体の表面方向や深さ(厚さ)方向への液体成分の浸透に伴って、凝析物や凝析反応の過程にある色材が拡散することによって、フェザリングが発生しやすくなる。
このような理由から、しっとり感の発生を抑制するためには反応液の表面張力を低くすることが好ましいが、フェザリングの発生を抑制するためには、界面活性剤の含有量は極力減らすことが好ましいと言える。
そこで、上述のように処理を複雑化させることなく、また、界面活性剤を使用することによるメリットとデメリットとを考慮したうえで、本発明者らがさらに検討を行った結果、以下のことがわかった。すなわち、しっとり感の抑制とフェザリングの抑制を両立するためには、反応液に含有させる水溶性有機溶剤として、適切な水溶性有機溶剤を選択することが非常に重要であるという知見を得た。このことを、実験により得られた事実に基づいて詳細に説明する。
先ず、インクジェット用途として一般的な水溶性有機溶剤を用いて、以下に示す組成を有する反応液を調製した。具体的には、以下に示す各成分をそれぞれ混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して、各反応液を得た。
・硝酸カルシウム・4水和物 21.8質量%
・下記表1に示す水溶性有機溶剤のいずれか1種 34.6質量%
・アセチレノールE100 1.0質量%
(界面活性剤;アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物:川研ファインケミカル製)
・水 42.6質量%
このようにして調製した、下記表1に示す水溶性有機溶剤をそれぞれ含有する反応液について、温度25℃における表面張力を、CBVP−A3(協和界面科学製)を用いて測定した。
Figure 0005366527
表1より、グリセリンを含有する反応液の表面張力が最も低く、次いでポリエチレングリコール類を含有する反応液の表面張力が低くなっていたことがわかる。さらに、ポリエチレングリコール類はその平均分子量が大きいほど、反応液の表面張力が低くなっていたこともわかる。また、ポリエチレングリコール類よりも反応液の表面張力が高くなる水溶性有機溶剤としては、グリセリン以外のトリオール類(1,2,6−ヘキサントリオールやトリメチロールプロパン)が挙げられた。これらよりもさらに表面張力が高い水溶性有機溶剤としては、両末端型のアルカンジオールが挙げられた。
この実験結果から、反応液の表面張力を例えば30mN/mに調整しようとする場合、グリセリンは最も少ない界面活性剤の含有量で上記表面張力に調整できることになる。また、ポリエチレングリコール類は、グリセリンに次いで少ない界面活性剤の含有量で上記表面張力に調整できることになる。
反応液の表面張力を低下させやすいグリセリンとカルシウムイオンと、含有量が適切に設定された界面活性剤を含有する反応液を用いることで、しっとり感の発生とインクと併用して記録した画像におけるフェザリングの発生とを抑制することができる。
しかし、本発明者らの検討の結果、このような反応液を用いても、カールの発生を抑制することと、反応液中の成分などが蒸発した場合においても析出物が発生しないこと、という課題は依然として解決できないことがわかった。
反応液中の成分が蒸発した場合における析出物の発生に関しては、反応液中の水溶性有機溶剤に対するカルシウムイオンの溶解度が支配的と考えられる。特にグリセリンは比誘電率が高く、カルシウム塩の溶解性という観点からも理想的な水溶性有機溶剤である。しかし、本発明者らの検討の結果、グリセリンとカルシウムイオンとを含有する反応液を低湿の環境に放置すると、析出物が発生する場合があることが明らかとなった。そこで、本発明者らは、しっとり感の発生とフェザリングの発生とを共に抑制するために、グリセリンに次いで好ましい水溶性有機溶剤であるポリエチレングリコール類を、グリセリンとカルシウムイオンとを含有する反応液についての検討を行った。その結果、上記と同様の低湿の環境に反応液を放置した場合でも析出物が発生することはなかった。
このように、カルシウムイオン、グリセリン、及びポリエチレングリコール類を含有する反応液とすることで、しっとり感とフェザリングとの発生が共に抑制され、さらに析出物の発生もが抑制されるメカニズムは明らかではない。しかし、本発明者らはこの理由を以下のように推測している。グリセリンはその分子構造が3個の水酸基を有するため、分子間の水素結合力が極めて高い。これは、グリセリンの沸点や粘度が高いことからも明らかである。カルシウムイオン及びグリセリンを含有する反応液の場合、反応液中の成分が蒸発した際に、グリセリンはカルシウムイオンに溶媒和するよりも、グリセリンの分子同士が水素結合により集合する特性が強い。このため、カルシウムイオンは陰イオンと結合して塩として析出する。ところが、この反応液にさらにポリエチレングリコール類を添加することで、これらの成分が相乗的に作用し、グリセリンの分子同士の集合を阻害することで、グリセリンはカルシウムイオンを溶媒和するようになり、析出物の発生を抑制するものと考えている。ただし、反応液がグリセリンを含有せず、カルシウムイオンとポリエチレングリコール類とを含有する場合、ポリエチレングリコール類の平均分子量によらずに低湿の環境において析出物が発生する。
(ポリエチレングリコール類の平均分子量)
本発明の反応液において、グリセリンと併用するポリエチレングリコール類の平均分子量は200以上1,000以下であることが必須である。平均分子量が200未満であると、反応液とインクとを併用して作製した記録物のカールが抑制できない場合があり、また、グリセリンとポリエチレングリコール類との質量比率にもよるが、しっとり感とフェザリングとを共に抑制するのが難しい場合がある。一方、平均分子量が1,000を超えると、反応液の粘度が高くなるため、反応液の表面張力が低くても、反応液の記録媒体への浸透性が低下し、その結果として、しっとり感が抑制できない場合がある。本発明においては、ポリエチレングリコールの平均分子量が400乃至600程度であることがより好ましく、さらには平均分子量が600程度であることが特に好ましい。なお、本発明におけるポリエチレングリコールの平均分子量とは、その値の上下30の範囲を包含するものである。例えば、平均分子量600のポリエチレングリコールの場合、分子量が570乃至630程度のものを平均分子量が600であるとする。より詳細には、後述する測定方法により決定した平均分子量が570乃至630程度のものを、平均分子量600のポリエチレングリコールとする。
本発明におけるポリエチレングリコール類の平均分子量は、下記のようにして測定した値である。測定対象のポリエチレングリコール試料1g(0.1mgの桁まで秤量)を、共栓付きフラスコで正確に秤量した無水フタルピリジン溶液25mL中に入れ、共栓をして沸騰水浴中で2時間加熱した後、室温になるまで放置する。その後、このフラスコに0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mL(正確に秤量する)及び滴定用フェノールフタレイン溶液10滴を入れる。このフラスコ中の液体を、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定を行い、液体が15秒間紅色を保つ点を終点とする。このようにして得られた本試験の滴定量M(mL)と、ポリエチレングリコール試料を用いない以外は上記と同様にして行った空試験により得られた滴定量R(mL)から、下記式に基づいて平均分子量を算出する。
Figure 0005366527
(カルシウムイオンとその含有量)
反応液中のカルシウムイオンの含有量A(質量%)は、反応液全質量を基準として2.7質量%以上4.3質量%以下であることが必須である。なお、本発明においては、カルシウムイオンの含有量は、カルシウム分、すなわちカルシウム原子として算出した値とする。含有量が2.7質量%未満であると、反応液とインクとを併用して記録した画像におけるフェザリングが抑制できない場合がある。一方、含有量が4.3質量%を越えても、反応液とインクとを併用して記録した画像に対しては特に影響を与えるものではないが、カルシウムイオンの含有量をこれ以上増加させても、プラスの効果も得られない。
本発明においては、反応液にカルシウムイオンを含有させるためには、カルシウムイオンが陰イオンと結合した水溶性の化合物、すなわち水溶性のカルシウム塩を反応液に添加することで達成できる。このように、水溶性のカルシウム塩を添加すると、反応液中においては前記カルシウム塩の少なくとも一部がカルシウムイオンと陰イオンとに解離して存在するようになるためである。なお、上述の通り、本発明においては、反応液中に存在するカルシウムを便宜上、「カルシウムイオン」と表現しているが、反応液中においてカルシウムイオンの一部が陰イオンと結合してカルシウム塩の状態で存在する場合も包含するものである。本発明において用いることができる前記陰イオンの具体例としては、例えば、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO-、ClO3-、ClO4-、及びCH3COO-などが挙げられる。これらの陰イオンの中でも、反応液を構成する水性媒体への溶解性が優れているため、NO3 -を用いることが特に好ましい。
(カルシウムイオンの含有量に対する、グリセリンとポリエチレングリコール類との含有量の合計)
反応液全質量を基準とした、グリセリンの含有量B(質量%)及びポリエチレングリコール類の含有量C(質量%)の合計が、前記カルシウムイオンの含有量A(質量%)に対して6倍以上11倍以下であることが必須である。すなわち、質量基準で、(B+C)/Aの値が6以上11以下であることが必要である。(B+C)/Aの値が6未満であると、反応液からカルシウム塩が析出し、(B+C)/Aの値が11倍を越えると、反応液とインクとを併用して記録した画像におけるフェザリングが抑制できない
(グリセリンとポリエチレングリコール類との含有量の質量比率)
反応液全質量を基準とした、グリセリンの含有量B(質量%)の割合が、グリセリンの含有量B(質量%)及びポリエチレングリコール類の含有量C(質量%)の合計に対して、0.3以上0.7以下であることが必須である。すなわち、質量基準で、B/(B+C)の値が0.3以上0.7以下であることが必要である。B/(B+C)の値が0.3未満であると、反応液からカルシウム塩が析出する場合があり、B/(B+C)の値が0.7を越えると、反応液とインクとを併用して作製した記録物のカールが抑制できない場合がある。
本発明においては、反応液中の各成分の含有量や比率を上述の範囲とすることが必須であるが、これの範囲を満足すれば、グリセリンの含有量及びポリエチレングリコール類の含有量は特に限定されるものではなく、以下のような含有量の範囲とすることができる。すなわち、反応液中のグリセリンの含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として4.0質量%以上30.0質量%以下、さらには10.0質量%以上25.0質量%以下、特には15.0質量%以上20.0質量%以下とすることが好ましい。また、反応液中のポリエチレングリコール類の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として4.0質量%以上30.0質量%以下、さらには10.0質量%以上25.0質量%以下、特には15.0質量%以上20.0質量%以下とすることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明の反応液に用いることができる界面活性剤は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されるものではなく、アセチレングリコール系、フッ素系、及びシリコン系の界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを用いることができる。本発明においては、界面活性剤として例えばアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(具体的には、アセチレノールE100;川研ファインケミカル製)を用いる場合は、反応液中の界面活性剤の含有量(質量%)を以下のようにすることが好ましい。具体的には、反応液中の界面活性剤の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として0.30質量%以上0.80質量%以下であることが好ましい。
(反応液の表面張力)
本発明の反応液の表面張力は、使用する界面活性剤の種類によって適切に決定することが好ましい。本発明においては、界面活性剤として例えばアセチレングリコールエチレンオキサイド付加物(具体的には、アセチレノールE100;川研ファインケミカル製)を用いる場合は、反応液の表面張力が27mN/m以上30mN/m以下であることが好ましい。反応液の表面張力は、温度25℃で常法により測定した値である。
(緩衝剤)
本発明の反応液は、上記成分に加えて、pHの変化に対して緩衝作用を有する化合物、すなわち緩衝剤を含有することが好ましい。反応液がpHの変化に対して緩衝作用を有することで、反応液中の成分などが蒸発した場合に生じやすいpHの変化が抑制され、反応液の安定性が保たれるという観点から特に好ましい。反応液中の緩衝剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
緩衝剤は、具体的には、例えば、酢酸塩、リン酸水素塩、炭酸水素塩、フタル酸水素塩などの多価カルボン酸塩などを用いることができる。さらに、多価カルボン酸の具体例としては、前記フタル酸水素塩以外にも、以下のようなものが挙げられる。例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などが挙げられる。
より詳細には、以下のような緩衝剤を用いることができる。酢酸塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウムなどを用いることができる。また、リン酸水素塩としては、例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素リチウムなどを用いることができる。また、炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムなどを用いることができる。また、多価カルボン酸塩としては、ここではフタル酸水素塩を例に挙げて説明するが、例えば、フタル酸水素ナトリウム、フタル酸水素カリウム、フタル酸水素リチウムなどを用いることができ、同様に上記で列挙した多価カルボン酸の塩を用いることができる。
これらの緩衝剤以外であっても、添加することによって反応液のpHの変化を抑制できる化合物であれば、従来公知のpHの変化に対して緩衝作用を有する化合物は、いずれも本発明の反応液に用いることができる。ただし、本発明においては、緩衝剤として、インクと併用させる反応液のpHとして適当なpH領域において緩衝作用を示すことから、酢酸塩、特には酢酸リチウムを用いることが好ましい。
(水性媒体)
反応液には、上記で説明した成分の他に、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有することが好ましい。反応液中の水や水溶性有機溶剤の含有量は、これらを添加することによる効果が得られ、かつ本発明の目的効果を損なわない範囲とすればよい。具体的には、反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、16.2質量%以上60.0質量%以下、さらには20.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。なお、この水溶性有機溶剤の含有量の範囲は、上記で説明したグリセリン及びポリエチレングリコール類を含むものである。水溶性有機溶剤としては、反応液の乾燥を抑制することができるものを用いることが特に好ましい。具体的には、例えば、以下のような水溶性有機溶剤を用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4の1価アルコール類。1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。平均分子量1,000超のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を有するアルキレングリコール類。チオジグリコール。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキルエーテルアセテート。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど。
また、水としては、脱イオン水を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として40.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
(反応液の色調)
本発明の反応液は、インクと併用して画像を記録するために用いるものであるため、色材を含有しないことが好ましく、さらには画像への影響を考慮すると、反応液が可視域に吸収を有さない、すなわち無色であることが特に好ましい。勿論、本発明の反応液は可視域に吸収を有さないことに限定されるものではなく、可視域に吸収を有するものであっても、画像に影響を与えない程度であれば、淡色であってもよい。
(その他の成分)
本発明の反応液には、上述のような物性値を持つ反応液とするために、これらを添加することによる効果が得られ、かつ本発明の目的効果を損なわない範囲で、上記成分の他に、その他の添加剤などを添加してもよい。このような添加剤の具体例としては、消泡剤、防腐剤、防黴剤などが挙げられる。
<インク>
本発明の反応液は、色材を含有するインクと共に用いられるものである。本発明の反応液は、特に、イオン性基の作用により水性媒体中に分散又は溶解させられている状態の色材を含有するインクと組み合わせて画像の記録に用いることで、先に述べた好ましい効果を与える。本発明で好適に使用することのできるインクとしては、色材として顔料を含有するインクが挙げられる。本発明の反応液は、顔料がイオン性基によって水性媒体に安定に分散してなるインクと組み合わせて画像の記録に用いることで、色材の溶解又は分散の状態が不安定化されることにより記録媒体において色材の凝析物が形成され、高品質の画像の記録を可能にする。
(顔料)
顔料としては、分散剤を用いて顔料を分散する樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散型顔料)や、顔料粒子の表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散型顔料)を用いることができる。また、顔料粒子の表面に高分子を含む有機基を化学的に結合した顔料(樹脂結合型の自己分散型顔料)、マイクロカプセル型顔料、着色微粒子なども用いることができる。本発明では、顔料粒子の表面にアニオン性基が化学的に結合されている顔料やアニオン性の樹脂分散剤(以下、分散剤と呼ぶ)などにより分散された顔料を用いることが特に好ましい。勿論、これらの分散方法の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。さらに、インクの色調の調整などを目的として、顔料に加えて、従来公知の染料を色材として添加してもよい。
ブラックインクには、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックを顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下の市販品などを用いることができる。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1250、1255、1500、2000、3500、5000ULTRA、5250、5750、7000(以上、コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000、ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:4、4A、5、6(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA7、MA8、MA100、MA600(以上三菱化学製)。
また、新たに調製したカーボンブラックを用いることもできる。勿論、インクに用いるカーボンブラックはこれらに限定されるものではなく、従来のカーボンブラックをいずれも用いることができる。また、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライトなどの磁性体微粒子や、チタンブラックなどをブラックインクの顔料として用いてもよい。
カラーインクには、有機顔料を顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料。インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料。チオインジゴ系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。その他の有機顔料など。
また、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、例えば、以下のものを用いることができる。C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117など。同:120、125、137、138、147、148、151、153、154、166、168、180、185など。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71など。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175など。同:176、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272など。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50など。C.I.ピグメントブルー:15、15:3、15:1、15:4、15:6、22、60、64など。C.I.ピグメントグリーン7、36など。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26など。勿論、上記以外でも従来公知の有機顔料を用いることができる。
(分散剤)
顔料として上記で挙げたカーボンブラックや有機顔料を用いる場合には、分散剤を併用することができる。分散剤としては、アニオン性基の作用によって上記の顔料を水性媒体中に分散させられるものが好適である。
分散剤としては、具体的には、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体。スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体、又はこれらの塩など。
分散剤として用いる樹脂は、その重量平均分子量が1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下であることが好ましい。吐出安定性や保存安定性などのインクとしての信頼性と、インクと反応液との反応性とを両立するためには、分散剤として用いる樹脂は、その酸価が300mgKOH/g以下、さらには100mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。また、上記の酸価と同様の理由から、分散剤の含有量(質量%)が、インク中の色材の含有量(質量%)を基準として(分散剤/色材)、0.1倍以上3倍以下、さらには0.2倍以上2倍以下であることがより好ましい。
インクとしての信頼性の観点から分散剤の酸価を高めたり又はその含有量を増やしたりすることにより、反応液に対するインクの安定性も増す傾向がある。その場合には反応液中のカルシウムイオンの含有量を増やすことで優れた画像性能が得られるが、反応液のpHが低下しやすくなる傾向があるため、反応液中の緩衝作用を有する化合物の含有量も必要に応じて増やすことが好ましい。
(自己分散型顔料)
顔料として上記で挙げたカーボンブラックや有機顔料を用いる場合には、顔料粒子の表面にイオン性基(アニオン性基)を結合させることにより分散剤を使用することなく水性媒体中に分散させることができる顔料、すなわち自己分散型顔料を用いることもできる。このような顔料としては、例えば、自己分散型カーボンブラックが挙げられる。自己分散型カーボンブラックとしては、例えば、アニオン性基が粒子の表面に結合したカーボンブラック(以下、アニオン性カーボンブラックと呼ぶ)が挙げられる。以下、顔料としてカーボンブラックを例に挙げて説明するが、これに限られるものではなく、自己分散型の有機顔料を用いることもできる。
〔アニオン性カーボンブラック〕
アニオン性カーボンブラックとしては、カーボンブラック粒子の表面に、例えば、−COOM、−(COOM)2、−SO3M、−PO3HM、及び−PO32からなる群から選ばれる少なくとも1つのアニオン性基を結合させたものが挙げられる。なお、上記式中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。これらの中でも特に、−COOM、−(COOM)2、−SO3Mがカーボンブラック粒子の表面に結合されてアニオン性に帯電しているカーボンブラックは、インク中における分散性に優れるため、特に好適である。
上記アニオン性基において「M」として表したもののうち、アルカリ金属の具体例としては、例えば、Li、Na、K、Rb、及びCsなどが挙げられる。また、有機アンモニウムの具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。すなわち、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メタノールアンモニウム、ジメタノールアンモニウム、トリメタノールアンモニウムなどが挙げられる。これらの「M」をアンモニウム又は有機アンモニウムとしたアニオン性カーボンブラックを含有するインクを用いる場合、記録した画像の耐水性をより向上させることができるため、特に好適である。これは当該インクが記録媒体に付与されると、アンモニウム又は有機アンモニウムが分解して、アンモニアが蒸発することによるものと考えられる。
なお、上記「M」をアンモニウム又は有機アンモニウムとしたアニオン性カーボンブラックは、以下のような方法により調製することができる。先ず、アニオン性に帯電しているカーボンブラックを、例えば、カーボンブラックを次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法などにより得る。この方法によってカーボンブラック粒子の表面に−COONa基を化学結合させることができる。次に、このようにして、例えば、「M」がアルカリ金属であるアニオン性カーボンブラックを調製し、イオン交換法により「M」をアンモニウム又は有機アンモニウムに置換する方法が挙げられる。また、「M」がアルカリ金属であるアニオン性カーボンブラックを調製し、酸を加えてH型とした後に水酸化アンモニウムなどを添加して「M」をアンモニウム又は有機アンモニウムにする方法などによっても得ることができる。
上記で挙げたような種々の親水性基は、カーボンブラック粒子の表面に直接結合していてもよく、又はカーボンブラック粒子の表面と親水性基との間に他の原子団を介在させ、前記親水性基がカーボンブラック粒子の表面に間接的に結合していてもよい。他の原子団の具体例としては、例えば、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、又は置換若しくは未置換のナフチレン基が挙げられる。ここで、フェニレン基及びナフチレン基の置換基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。また、他の原子団と親水性基の組み合わせの具体例としては、例えば、−C24COOM、−Ph−SO3M、−Ph−COOM、−Ph−(COOM)2など(Phはフェニレン基であり、Mは上記と同様に定義される)が挙げられる。
(着色微粒子/マイクロカプセル型顔料)
インクの色材としては、上記で挙げたものの他に、樹脂などでマイクロカプセル化された顔料や樹脂粒子の周囲を色材で被覆した着色微粒子なども用いることができる。マイクロカプセルは、本来的に水性媒体に対する分散性を有するが、分散安定性をより高めるために、上記で挙げたような分散剤をさらにインク中に添加してもよい。また、色材として着色微粒子を用いる場合には、上記で挙げたような分散剤などを用いることが好ましい。
(水性媒体)
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。また、インクをインクジェット法(例えば、バブルジェット(登録商標)法など)によって記録媒体に付与する場合には、優れたインクジェット吐出特性を有するように、インクが、所望の粘度、表面張力を有するように調整することが好ましい。
インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、インクの乾燥を抑制することができるものを用いることが特に好ましい。具体的には、例えば、以下のような水溶性有機溶剤を用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類。アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2乃至6個の炭素原子を有するアルキレングリコール類。チオジグリコール。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキルエーテルアセテート。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類。1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど。
また、水としては、脱イオン水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
インクには、上記成分の他に、必要に応じて保湿剤などを添加することは勿論、所望の物性を有するインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤などを添加してもよい。インクのpHは6以上10以下、さらには7以上9以下であることが好ましい。また、本発明においては、インクと反応液とをより効果的に反応させることで、ベタ画像の均一性の向上や裏抜けを抑制できるため、反応液のpHがインクのpHよりも低いことが特に好ましい。
<インクと反応液とのセット>
本発明のインクと反応液とのセット(以下、セットと呼ぶことがある)は、本発明の反応液と上記で説明したインクとを有するものである。前記インクの色調は特に限定されるものではなく、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー、及びブラックから選ばれる1つの色調を有するインクであればよい。具体的には、所望の色調のインクとなるように上述の色材の中から適宜選択して用いることができる。また、反応液と組み合わせるインクは、1種類に限定されるものでなく、異なるインクを2種類以上組み合わせて多色画像の記録に適したインクセットとした態様がより好ましい。なお、この場合は、2種類以上のインクのうち、少なくとも1種類のインクが反応液と反応する形態であればよい。
例えば、色材がイオン性基の作用によって水性媒体中に分散させられているインクを1種類用いれば、他のインクが色材として染料を含有するインクであってもよい。勿論、インクセットを構成する全てのインクが、水性媒体中に色材がイオン性基の作用によって分散させられているインクであってもよい。このような構成を有する本発明のセットを用いれば、多色画像を記録する場合に問題とされる、異なる色調のインクが記録媒体上で隣接して付与された際のブリーディングの発生を抑制することができる。
本発明においては、下記のようなセットとすることがさらに好ましい。多色画像を記録する際には、ブラックインクと他のカラーインク(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、及びブルーなどの各インクから選ばれる少なくとも1つのインク)との間におけるブリーディングが特に顕著に認識される。したがって、本発明の反応液と接触することによって色材の溶解状態又は分散状態が不安定化されるインクとしては、水性媒体中にイオン性基の作用によって顔料が分散されたブラックインクを用いることが好ましい。この場合、他のカラーインクとしては、色材として染料を含有するインクであってもよい。勿論、他の全てのインクを、上記のブラックインクと同様に、水性媒体中にイオン性基の作用によって色材が分散されたインクとしてもよい。
<インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び画像記録方法>
本発明の反応液は、色材を含有するインクと共に用いられるものであるが、少なくともインクはインクジェット記録方式で記録媒体に付与することが好ましい。また、記録媒体において、反応液が付与される領域は、少なくともインクが付与される領域を含むことが好ましく、さらには記録媒体の全領域に付与することが特に好ましい。より具体的には、記録媒体にインクが付与される領域を少なくとも含むように反応液を記録媒体に付与して、記録媒体においてインクと反応液とが接触するようにすることが特に好ましい。
反応液の記録媒体への付与量は、反応液中のカルシウムイオンの含有量や、反応させるインクの構成によって適切に決定すればよい。特に、本発明においては、ベタ画像の均一性や定着性を向上できるため、反応液の記録媒体への付与量が0.5g/m2以上3g/m2以下であることが好ましい。また、反応液の記録媒体への付与量の下限が1g/m2以上、さらには1.6g/m2以上、特には2g/m2以上であることがより好ましい。また、反応液の記録媒体への付与量の上限が2.4g/m2以下であることがより好ましい。なお、記録媒体の大きさ(面積:m2)に対して、反応液を付与する領域が、ある一部分のみである場合は、記録媒体の全面に塗布したと仮定して、反応液の付与量の値(g/m2)を求め、この値が上記の範囲を満足することが好ましい。
本発明の反応液を記録媒体に付与する方法は、インクと同様にインクジェット方式を用いる方法や塗布ローラーなどで塗布する方法などが挙げられる。本発明においては特に、反応液の吐出性などを考慮する必要がなく、さらに記録媒体へ反応液を効果的に付与できるため、反応液の記録媒体への付与は塗布ローラーによって行われることが特に好ましい。この塗布ローラーを用いた反応液の付与方法の詳細については後述する。
以下、インクジェット記録装置などの構成の一例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示すものである。ここでは、インクはインクジェット方式により、反応液は塗布ローラーにより、それぞれ記録媒体に付与する態様を例に挙げて説明する。
図1のインクジェット記録装置は、シリアル型のインクジェット記録方式を採用し、記録ヘッド1、給紙カセット16、記録媒体の搬送方向と直交する方向へ記録ヘッドを往復移動させるための駆動手段、これらの構成要素の駆動を制御する制御手段を有する。給紙カセット16は、記録媒体19を給紙するための給紙トレイ17と、先に説明した本発明の反応液を塗布するための塗布手段とが一体的に形成されている。そして、反応液が、給紙トレイ17から給紙された記録媒体19に、均一かつ調整された塗布量で塗布される構造となっている。反応液を記録媒体に付与する手段(反応液塗布手段)の詳細については後述する。
記録ヘッド1は、吐出口が形成された面がプラテン11側に配向されるようにしてキャリッジ2に搭載されている。図示しないが、記録ヘッド1は、上記吐出口と、インクを加熱するための複数の電気熱変換体(例えば、発熱抵抗素子)と、これを支持する基板を有する。なお、記録ヘッド1が搭載されたキャリッジの内部にはインクカートリッジを装着している。
キャリッジ2は、記録ヘッド1を搭載し、かつ記録媒体19の幅方向に沿って平行に延びる2本のガイド軸9に沿って往復移動することができる。また、記録ヘッド1は、このキャリッジ2の往復移動と同期して駆動し、インクを記録媒体19に吐出(付与)して画像を記録する。
給紙カセット16は、インクジェット記録装置本体から着脱することができる。記録媒体19は、この給紙カセット16内の給紙トレイ17上に積載収納される。給紙時には、給紙トレイ17を上方向に押圧するスプリング18により最上位のシートが給紙ローラー10に圧接される。この給紙ローラー10は、断面形状が概略半月形のローラーであり、図示しないモーターによって駆動回転し、不図示の分離爪により最上位のシート(記録媒体19)のみを給紙する。
分離給紙された記録媒体19は、大径の中間ローラー12と、それに圧接している小径の塗布ローラー6とによって、給紙カセット16の搬送面16Aとペーパーガイド27の搬送面27Aとに沿って搬送される。これらの搬送面は、中間ローラー12と同心的な円弧を描くようにして湾曲した面からなる。したがって、給紙された記録媒体19は、これらの搬送面16A及び27Aを通過することによって、その搬送方向を逆転する。すなわち、記録媒体19の記録がなされる面は、給紙トレイ17から搬送されて中間ローラー12に達するまでは、下方向を向いているが、記録ヘッド1に対向する時点では、上方向(記録ヘッド側)を向く。したがって、記録媒体の記録面は、常にインクジェット記録装置の外側方向に向いている。
図1の装置では、反応液を記録媒体に付与する手段(反応液塗布手段)は、先に述べたように給紙カセット16内に設けられているが、これについて説明する。反応液塗布手段は、反応液15を供給する補充タンク22とこれに周面の一部を浸した状態で回転自在に支持された供給ローラー13、供給ローラー13と平行となるように配置され、かつ供給ローラー13と接触し、同一方向へ回転する塗布ローラー6を有する。そして、前記塗布ローラー6は、記録媒体19を搬送するための中間ローラー12と周面が接触、かつ平行となるようにして配置している。したがって、記録媒体19が搬送される際、中間ローラー12の回転に伴って中間ローラー12及び塗布ローラー6が回転する。その結果、供給ローラー13によって塗布ローラー6の周面に反応液15が供給され、さらに、塗布ローラー6と中間ローラー12とによって挟持された記録媒体19の記録面に、満遍なく反応液が塗布ローラー6によって塗布される。
また、図1のインクジェット記録装置では、補充タンク22内にフロート14が設けられている。このフロート14は、反応液15より比重の軽い物質であり、反応液15の液面に浮かぶことにより透明部材である残量表示窓21を通して外から反応液15の残量を目視で確認できる。
図2は残量表示部を正面から見た図である。残量表示部は、残量表示窓21の長手方向に沿って、残量の程度を表す表示が設けられている。図中、「Full」と表示された位置に、反応液15の液面又はフロート14が達している場合が満杯の状態である。一方、「Add」と表示された位置に、反応液15の液面又はフロート14がある場合は、反応液15が残り少ないことを示している。したがって、この残量表示窓21を外部から観察すれば、反応液15が徐々に減り、フロート14がAddラインまで下がったときに反応液を補充すればよいことが一目瞭然でわかる。
補充タンク22内への反応液15の補充方法としては、以下のような方法が挙げられる。例えば、図3に示すように、給紙カセット16をインクジェット記録装置から引き出した状態で、注入機具23の先端を切れ目の入ったゴム部材で構成される注入口20に差し込むことにより補充タンク22内に反応液を注入することができる。
上述の反応液塗布手段によって、反応液15が塗布された記録媒体19は、その後、主搬送ローラー7とそれに圧接しているピンチローラー8により所定量送られて記録部へと搬送され、記録ヘッド1からインクを付与される。以上の構成において給紙、記録された記録媒体19は、排紙ローラー3とこれに圧接する拍車4とによって排出搬送され、排紙トレイ5上にスタックされる。
また、反応液15をローラーなどにより付与する場合には特に、反応液15の粘度が、インクの粘度よりも高くなるようにすることが好ましい。このようにすれば、反応液15の付与量が少なくても、インクと効率的に反応することができ、かつ定着性などにも好適であるため、好ましい。より具体的には、インクの粘度よりも反応液の粘度が高い方が、反応液中のカルシウムイオンがより記録媒体の表面近傍に留まりやすくなり、インクと効率的に反応しやすくなる。一方、インクは反応液と反応した後に、インク中の色材は記録媒体の表面近傍に留まり、またインク中の水性媒体などは速やかに記録媒体の深さ(厚さ)方向に浸透する、すなわち、固液分離が速やかに行われることが特に好ましい。このため、インクの粘度は相対的に低い方が記録物の定着性などの観点から好ましい。
具体的には、反応液を塗布ローラーなどにより記録媒体に付与する場合には、反応液の粘度が3mPa・s以上100mPa・s以下、さらには5mPa・s以上60mPa・s以下であることが好ましい。一方、インクの粘度は、1mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましい。インクの粘度をこのように設定することは、インクジェット吐出特性、特にインクの吐出安定性の観点からも好ましい。なお、本発明においては、反応液やインクの粘度は、温度25℃で常法により測定した値である。
本態様では、反応液とインクとを効率的に接触させて、これらを反応させやすくするため、反応液を記録媒体に付与した後に、インクをインクジェット方式で記録媒体に付与することが特に好ましい。この場合、反応液とインクとの反応性を十分に得るためには、記録媒体に反応液を付与してからインクを付与するまでの時間的な間隔は、1〜2秒乃至2〜3分であることが好ましい。
以下、インクジェット記録装置などの構成の別の一例について図面を参照して説明する。ここでは、インクと反応液とを共にインクジェット方式により記録媒体に付与する態様を例に挙げて説明する。
図4は、本発明のインクジェット記録装置の別の一例を示すものである。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本態様の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。さらに、63はブレード61に隣接して設けられる吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及び吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及び吸収体63によって吐出口面の水分、塵埃などの除去が行われる。また、キャップを介して不図示のポンプによって記録へッドの吐出口からインクや反応液を吸引して、記録ヘッドの吐出性能を回復させる回復系ユニットを構成している。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体にインクや反応液を付与して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。51は記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。
これらの構成により記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。なお、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記で述べたワイピングのときの位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。
上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
本態様では、インクと反応液とを共にインクジェット方式で記録媒体に付与するが、これらを記録媒体に付与する順序は、下記の(a)〜(d)の方法や、これらの方法の組み合わせなどが挙げられ、適宜選択することができる。なお、反応液とインクとの反応性を十分に得るためには、記録媒体に反応液とインクとを付与する時間的な間隔は、1〜2秒乃至2〜3分であることが好ましい。
(a):反応液を付与した後にインクを付与する。
(b):インクを付与した後に反応液を付与する。
(c):インクを付与した後に反応液を付与し、さらにインクを付与する。
(d):反応液を付与した後にインクを付与し、さらに反応液を付与する。
本態様においても、反応液とインクとを効率的に接触させて、これらを反応させやすくするため、反応液を記録媒体に付与した後にインクを付与する工程を含む、(a)や(d)の方法を用いることが特に好ましい。
以下、上記の各態様に適用することができるカートリッジについて説明する。図5は、記録ヘッドにインクや反応液を供給するための供給部材、前記記録ヘッドに例えばチューブや針を介して供給されるインクや反応液を収容する収容部を有するカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用のインクや反応液を収納する収容部、例えば、袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。なお、カートリッジがインクを収容する場合、上記収容部はインク収容部となる。栓42に針(不図示)を挿入することにより、袋40中のインクや反応液を記録ヘッドに供給可能にする。44は廃インクや廃反応液を吸収する吸収体である。収容部40としてはインクや反応液との接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。カートリッジは、例えば、図6に示すように、インクや反応液を吐出する記録ヘッド901に着脱可能に構成されてなるとともに、前記カートリッジ45を記録ヘッドに装着した状態ではインクや反応液が記録ヘッド901に供給されるように構成されている。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、以下の記載で「%」や「部」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。反応液の表面張力の測定は、温度25℃の条件で、CBVP−A3(協和界面科学製)を用いて行った。また、反応液の粘度の測定は、温度25℃の条件で、RE−80L(東機産業)を用いて行った。また、使用したポリエチレングリコール類の平均分子量は、上述の方法により測定して得られた値である。
<反応液の調製>
下記表2〜表4に示す各成分をそれぞれ混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、各反応液を得た。なお、表2〜表4には、反応液中の各成分などの特性、並びに各反応液の表面張力及び粘度の値を併せて示した。
Figure 0005366527
Figure 0005366527
Figure 0005366527
<インクの調製>
反応液と共に使用するインクとして、下記の手順にしたがってブラックインクを調製した。
カーボンブラック(商品名:Nipex170;デグサ製)10部、分散剤40部(樹脂固形分:8部)、純水50部を混合した。分散剤としては、酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000であるアニオン性樹脂(ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体)を水酸化カリウムで中和した、樹脂固形分の含有量が20%である水溶液を用いた。この混合物をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、0.3mm径のジルコニアビーズ150部を充填して、水冷しながら5時間の分散処理を行った。得られた分散液を遠心分離することにより粗大粒子を除去して顔料分散体を得た。得られた顔料分散体中の固形分の含有量は約18%(顔料の含有量:約10%、樹脂の含有量:約8%)であり、顔料の重量平均粒子径は95nmであった。
上記で得られた顔料分散体を用い、下記の各成分を混合して、色材としてカーボンブラックを含有するブラックインクを調製した。得られたブラックインク中の顔料の含有量は約3%、樹脂の含有量は約2.4%であり、インクの粘度は2.4mPa・sであった。
(インク組成)
・顔料分散体 30.0%
・グリセリン 10.0%
・2−ピロリドン 2.5%
・ポリエチレングリコール 2.0%
(平均分子量:1,000)
・アセチレノールE100 0.3%
(界面活性剤:アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物;川研ファインケミカル製)
・水 55.2%
<評価>
(しっとり感)
各反応液を塗布ローラーにより記録媒体(商品名:オフィスプランナー;キヤノン製)に塗布した。なお、この際の反応液の付与量は2g/m2とした。塗布から1分後に、反応液を塗布した記録媒体に指で触れて、しっとり感の状態を評価した。しっとり感の評価基準は下記の通りである。結果を表5に示す。
AA:記録媒体が湿った(ぬれた)感触がなく、しっとり感を感じなかった。
A:記録媒体が湿った(ぬれた)感触がほとんどなく、しっとり感をほとんど感じなかった。
B:記録媒体が湿った(ぬれた)感触がややあり、しっとり感をやや感じた。
C:記録媒体が湿った(ぬれた)感触がかなりあり、しっとり感をかなり感じた。
(フェザリング)
上記で得られたブラックインクと各反応液とをそれぞれ組み合わせてセットとし、これらのセットを用いて画像を記録した。ブラックインクを充填したインクカートリッジを、インクジェット記録装置(商品名:BJS700;キヤノン製)のブラックインクの位置に搭載した。
先ず、各反応液を塗布ローラーにより記録媒体(商品名:SW−101;キヤノン製)に塗布した。なお、この際の反応液の付与量は2g/m2とした。その直後に、前記インクジェット記録装置により、反応液が塗布された記録媒体に36ポイントの文字と罫線とを記録した。その後、Personal IAS(Quality Engineering Associates製)を用いて、文字及び罫線エッジのラジェッドネス値を測定した。フェザリングの評価基準は下記の通りである。結果を表5に示す。なお、ラジェッドネス値とは、文字や罫線などの画像の境界部(端部)の粗さの状態を標準偏差により表す指標であり、ラジェッドネス値が小さいほど粗さが低減されていることを示す。
A:ラジェッドネス値が13未満であった。
B:ラジェッドネス値が13以上15未満であった。
C:ラジェッドネス値が15以上であった。
(カール)
下記のカラーインクと各反応液とをそれぞれ組み合わせてセットとし、これらのセットを用いて画像を記録した。PGI−2 Cyan(キヤノン製)から抜き取ったシアンインクと、PGI−2 Magenta(キヤノン製)から抜き取ったマゼンタインクとを、インクジェット記録装置BJS700(キヤノン製)のシアン及びマゼンタの各インクの位置に搭載した。
先ず、各反応液を塗布ローラーにより記録媒体(商品名:オフィスプランナー;キヤノン製)に塗布した。なお、この際の反応液の付与量は2g/m2とした。その直後に、反応液が塗布された記録媒体にマゼンタインクとシアンインクとで2次色のベタ画像を記録した。得られた記録物を温度24℃/湿度50%RHの環境で3日間放置した後、記録媒体のカールの程度を、凹状となるように置いた記録媒体の先端から記録媒体の接地面までの距離を定規で測定することにより評価した。カールの評価基準は以下の通りである。結果を表5に示す。
AA:記録媒体の先端から接地面までの距離が33mm以下であった。
A:記録媒体の先端から接地面までの距離が33mmより大きく43mm以下であった。
B:記録媒体の先端から接地面までの距離が43mmより大きく50mm以下であった。
C:記録媒体の先端から接地面までの距離が50mmより大きいか、又は記録媒体の先端が内側にまるまった状態であった。
(析出)
直径6cmのシャーレ2つに各反応液10.0gをそれぞれ入れ、これらのシャーレを下記の2つの環境にそれぞれ放置した。
・環境−1
温度15℃/湿度10%RHの環境と、温度30℃/湿度10%RHの環境とに、前記シャーレをそれぞれ14時間ずつ放置し、このサイクルを3回繰り返した。その後、1日のうちに、温度23℃/湿度35%RHの環境から温度23℃/湿度6%RHの環境に条件が変化する室内に、前記シャーレを2週間放置した。その後、反応液の状態を目視で確認した。
・環境−2
温度60℃/湿度20%RHの環境に前記シャーレを24時間放置した。その後、反応液の状態を目視で確認した。析出の評価基準は以下の通りである。結果を表5に示す。
A:環境−1及び環境−2のどちらの環境においても、析出物の発生がなかった。
C:環境−1及び環境−2の少なくとも一方の環境において、析出物が発生した。
Figure 0005366527
なお、実施例1及び8の反応液をそれぞれショット瓶に入れて密栓し、温度60℃の環境に2週間放置したところ、実施例8の反応液はpHが上昇したため、反応液8の安定性が実施例1の反応液と比較して相対的に劣っていた。
(反応液の付与量)
上記で得られた反応液1を塗布ローラーにより記録媒体(商品名:オフィスプランナー;キヤノン製)に塗布した。なお、この際、反応液の付与量は下記表6に示す値とした。そして、反応液の塗布から1分後に、上記と同様の方法及び評価基準によりしっとり感の状態を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0005366527
なお、実施例9及び10のしっとり感の評価結果は共にAAであったが、反応液を付与した記録媒体に上記で得られたブラックインクを用いて記録したベタ画像を目視で確認したところ、ベタ画像の均一性は実施例9の場合のほうがやや劣っていた。
インクジェット記録装置の一例を示す概略側断面図である。 図1のインクジェット記録装置に設けられた反応液残量表示部の正断面図である。 図1のインクジェット記録装置への反応液補充状態を示す概略側断面図である。 インクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。 インクカートリッジの一例を示す縦断面図である。 インクカートリッジが記録ヘッドに装着された状態を示す概略平面図である。
符号の説明
1:記録ヘッド
2:キャリッジ
3:排紙ローラー
4:拍車
5:排紙トレイ
6:塗布ローラー
7:主搬送ローラー
8:ピンチローラー
9:ガイド軸
10:給紙ローラー
11:プラテン
12:中間ローラー
13:供給ローラー
14:フロート
15:反応液
16:給紙カセット
16A:給紙カセットの搬送面
17:給紙トレイ
18:スプリング
19:記録媒体
20:注入口
21:残量表示窓
22:補充タンク
23:注入機具
27:ペーパーガイド
27A:ペーパーガイドの搬送面
40:袋
42:栓
44:吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
901:記録ヘッド

Claims (10)

  1. 色材を含有するインクと共に用いられ、記録媒体において前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液であって、
    前記反応液が、カルシウムイオン、グリセリン、及び平均分子量が200以上1,000以下のポリエチレングリコールを少なくとも含有してなり、かつ、前記反応液の表面張力が25℃において27mN/m以上30mN/m以下であり、
    前記カルシウムイオンの含有量A(質量%)が、反応液全質量を基準として2.7質量%以上4.3質量%以下であり、
    反応液全質量を基準とした、前記グリセリンの含有量B(質量%)及び前記ポリエチレングリコールの含有量C(質量%)の合計が、前記カルシウムイオンの含有量A(質量%)に対して6倍以上11倍以下であり、
    前記グリセリンの含有量B(質量%)及び前記ポリエチレングリコールの含有量C(質量%)の合計に対する前記グリセリンの含有量B(質量%)の割合(B/(B+C))が、0.3以上0.7以下であることを特徴とする反応液。
  2. 前記反応液が、さらに緩衝剤を含有してなる請求項1に記載の反応液。
  3. 前記反応液中の前記グリセリンの含有量B(質量%)が、反応液全質量を基準として4.0質量%以上30.0質量%以下である請求項1又は2に記載の反応液。
  4. 前記反応液中の前記ポリエチレングリコールの含有量C(質量%)が、反応液全質量を基準として4.0質量%以上30.0質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反応液。
  5. 前記反応液が、さらに界面活性剤を含有し、前記界面活性剤がアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、かつ、反応液中の前記界面活性剤の含有量(質量%)が、反応液全質量を基準として0.30質量%以上0.80質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反応液。
  6. 色材を含有するインクと、記録媒体において前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液と、を有するインクと反応液とのセットであって、
    前記反応液が、請求項1乃至のいずれか1項に記載の反応液であることを特徴とするインクと反応液とのセット。
  7. 色材を含有するインクを吐出する記録ヘッド、インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジ、及び記録媒体において前記インクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液を記録媒体に付与する手段、を少なくとも有するインクジェット記録装置であって、
    前記反応液が、請求項1乃至のいずれか1項に記載の反応液であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 記録媒体において色材を含有するインクと接触することによって前記インク中の前記色材の溶解状態又は分散状態を不安定化させる反応液を、記録媒体における前記インクと接触し得る領域を少なくとも含むように記録媒体に付与する工程、及び前記インクをインクジェット方式により前記記録媒体に付与する工程、を少なくとも有する画像記録方法であって、
    前記反応液が、請求項1乃至のいずれか1項に記載の反応液であることを特徴とする画像記録方法。
  9. 前記反応液の記録媒体への付与量が、0.5g/m2以上3g/m2以下である請求項に記載の画像記録方法。
  10. 前記反応液の前記記録媒体への付与が、塗布ローラーによって行われる請求項又はに記載の画像記録方法。
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