実施の形態1.
図1乃至図4は実施の形態1を示す図で、図1は真空断熱材7の模式図であって、不織布シートを複数積層した真空断熱材7の芯材5の斜視図、図2は真空断熱材7の模式図であって、不織布シート1枚における繊維の配向を表した側面図、図3は真空断熱材7の模式図であって、芯材5に厚みがある場合の繊維の配向具合を示す側面図、図4は真空断熱材7の構成を示す分解斜視図である。
(積層構造)
図1において、芯材5は、例えば、少なくとも1つの端面がカットされたシート状の繊維集合体1(例えば、有機繊維2を使用した有機繊維集合体)を積層した積層構造を有している。すなわち、図1に示す芯材5は、略長方形状の繊維集合体1(例えば、有機繊維集合体)が複数積層されたのち、略長方形の4辺のうちの少なくと1辺がカットされたシート状を形成している。あるいは、略長方形状の繊維集合体1の4辺の少なくとも1辺がカットされた後に複数積層されて略長方形のシート状を形成している。尚、芯材5を、単に芯材と呼ぶ場合もある。
図2において、繊維集合体1は、本実施の形態では、例えば、有機繊維2が使用された有機繊維集合体であり、所定の間隔を空けて配置された複数本の有機繊維2xと、有機繊維2xと略直交する方向で、所定の間隔をあけて配置された複数本の有機繊維2yと、から形成されている。
このとき、有機繊維2xと有機繊維2yとは、ほぼ点接触している。有機繊維2y間には、断熱空間である空気層3が形成されている。
有機繊維2xと有機繊維2yとの総称として、有機繊維2とする。
ここで、図3に示されるように、一枚のシート(繊維集合体1)の厚さが厚くなると、繊維が伝熱方向である厚さ方向を向くように配向されやすくなる。特に有機繊維2(単に、繊維と呼ぶ場合もある)が、繊維長の短い短繊維(繊維長が例えば5〜150mm程度)の場合には、短繊維が伝熱方向である厚さ方向を向くように配向されやすくなる。この短繊維を介してシートの表側から裏側へ熱が伝達されて(図3に矢印で示す)断熱性能が悪化する。
したがって、繊維集合体1を薄く積層して厚さの薄いシート状にすることで、繊維が伝熱方向(繊維集合体1の繊維の積層方向、シート状の繊維集合体1の厚さ方向)へ向いて配向されるのを抑えることができる。それにより、伝熱方向へ向いて配向された繊維を熱が伝わって断熱性能が低下するのを抑制できる。そのため、芯材5の熱伝導率を、小さくでき、断熱性能を向上させることができる。
図2において、実線矢印と点線矢印が、熱の伝わる方向を示している。有機繊維2xと有機繊維2yとが略直交しているため、有機繊維2xと有機繊維2yとの接触部分が点接触になり熱抵抗が増加して断熱性能が向上する。
なお、以上は、有機繊維2xと有機繊維2yとが互いに略直交する場合を示しているが、本実施の形態は、これに限定するものではない。有機繊維2xと有機繊維2yとが、互い直角でない角度で交わってもよい。有機繊維2xと有機繊維2yのすべてが、平行配置になっていなければよい。伝熱方向へ向いて配向された繊維を熱が伝わって断熱性能が低下するのを若干でも抑制できれば、断熱性能を向上させることができる。また、平行配置であっても必要な断熱性能が確保できれば問題ない。
図4において、真空断熱材7は、空気遮断性を有するガスバリア性容器(以下、「外包材4」と称す)と、外包材4の内部に封入された芯材5および吸着剤6(例えばガス吸着剤や水分吸着剤(CaO)など)と、を有している。そして、外包材4の内部は、所定の真空度(数Pa(パスカル)〜数百Pa程度)に減圧されている。尚、真空断熱材7を、単に真空断熱材と呼ぶ場合もある。
(使用される繊維)
真空断熱材7の芯材5を形成する有機繊維2として本実施形態では有機繊維2を使用するようにしているが、この有機繊維2に用いる材料として、ポリエステルや、その他に、ポリプロピレン、ポリ乳酸、アラミド、LCP(液晶ポリマー)、PPS、ポリスチレンなどを用いることができる。また、芯材5の耐熱性を向上させたい場合は、有機繊維2にLCP(液晶ポリマー)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)など耐熱性のある樹脂を使用すれば良い。また、圧縮クリープ特性を向上させたい場合は、繊維径の大きなものを使用すれば良い。また、上記の樹脂を混合させて使用すれば、圧縮クリープ特性の優れた耐熱性が高く断熱性の高い真空断熱材7が得られる。ポリスチレンは、固体熱伝導率が小さく断熱材の断熱性能の向上が期待でき、しかも安価に製造できる。
ポリプロピレンは、吸湿性が低いため、乾燥時間や真空引き時間を短縮でき生産性の向上が可能である。また、ポリプロピレンは、固体熱伝導が小さいので真空断熱材7の断熱性能の向上が期待できる。
また、ポリ乳酸には生分解性があるので、製品の使用後に解体、分別された芯材は埋め立て処理を行うこともできる。
また、アラミドやLCPは剛性が高いので、真空包装されて大気圧を受けたときの形状保持性が良く、空隙率を高めることができ断熱性能の向上が期待できるなどのメリットがある。
芯材5は、例えば、プラスチックラミネートフィルムを外包材4に用いる真空断熱材7においては、大気圧を支えて真空断熱材7内の空間を確保する役割と、空間を細かく分割してガスの熱伝導などを低減する役割を担っている。なお、ガスの熱伝導抑制の観点から、この空間の距離をその真空度における空気分子の自由行程距離より小さくなるようにすることが望ましい。
本実施の形態では、真空断熱材7の芯材5には、例えば有機繊維2を使用しているので、従来のように硬くて脆いガラス繊維が芯材として使用されている場合に比べて、真空断熱材7の製造時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着して刺激を与えるということも無くなり取り扱い性、作業性が向上する。
(繊維集合体素材(原反ロール素材)の製造方法)
芯材5を形成する繊維集合体1(有機繊維集合体、シート状集合体に同じ)は、製造したい幅に対して横一列に並んだいくつものノズルから加熱溶融したポリエステル樹脂やポリスチレン樹脂などの樹脂を、コンベア上に自由落下させ、コンベアを任意の速度で動かしながら加圧ローラで加圧して円筒状の原反用ローラに巻き取って略円筒状の原反ロール素材を製造する。繊維集合体1の嵩密度は、溶融樹脂の吐出量とコンベアの速度により調整し、厚さの異なる繊維集合体1を得ることができる。
また、繊維集合体1である長繊維不織布は、押出機で溶融させて紡糸ノズルから押出した連続繊維を、コンベア上に捕集し、コンベアを任意の速度で送りシート状に形成することで、原反用ローラに巻き取り可能な連続した長繊維不織布が得られる。連続した有機繊維2で形成され連続したシート状の繊維集合体1が得られるので、円筒状の原反用ローラに連続してコイル状に巻き付け可能となり、長繊維不織布の原反ロールを得ることが可能になる。
また、紡糸には、ノズル直下で樹脂を冷風などで冷却した後、圧縮空気などで延伸を行って繊維化する方法や、ノズル穴脇から樹脂の溶融温度と同等の高温エアで吹いて繊維化する方法を用いることができる。
なお、上記の方法で得た繊維集合体1は、有機繊維2同士がばらばらなため真空断熱材7の製造時の取り扱い性が悪い場合がある。そこで、加圧時に、有機繊維2同士を加熱溶着しても良い。この際、過度の加圧、加熱溶着は、有機繊維2間の接触面積を増大し、伝熱の増加を招き、溶着部からの熱伝導が発生して断熱性能の低下を引き起こす。そのため、有機繊維2間の接触面積をできるだけ少なくした方が良い。有機繊維2間の接触面積は、全面積(シート面積)の20%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは8%以下に抑えることが望ましい。
加熱溶着の占める割合が全面積(シート面積)の20%を超えると熱伝導率が大きくなり、断熱性能が悪くなっていくことが確認できたため、加熱溶着の占める割合は全面積(シート面積)の20%以下にした方が好ましい。ここで、全面積(シート面積)に対して加熱溶着の占める割合を小さくすれば、断熱性能が格段に向上するので、加熱溶着の占める割合を全面積(シート面積)の15%以下、さらには全面積(シート面積)の8%以下に抑えることが望ましい。
加熱溶着は、熱ローラなどで、例えばドット状の溶着部をつけるエンボス加工110を行うことで、取り扱い強度を確保しながら巻き取り可能で断熱性能の良い長繊維不織布(繊維集合体1)が得られる。なお、本実施の形態では、熱ローラの温度は約195℃とすればよい。
ここで、加熱溶着の代わりにフックのついた多数の針を垂直に突き刺したり引き上げたりすることを繰り返し、繊維同士を互いに絡ませることにより繊維同士がばらばらにならないようにシート状にするニードルパンチ法でも良いが、加熱溶着(例えばエンボス加工)によりシート状に形成した方が簡単な設備で対応可能であり、コンベア上での作業も容易なため良い。
(繊維径)
本実施の形態1では繊維集合体1として、例えば、有機繊維集合体を使用するが、この有機繊維集合体の繊維径は、これを成形するノズル径により調整し、約15μmとした。断熱性能上は、繊維径はより細い方が良い。理論的に繊維径は、真空断熱材7の内部真空度と繊維で細分化される空間距離、気体分子の自由行程距離の関係から小さいほうが好ましい。繊維径は、15μm以下が望ましく、好ましくは10μm以下が良く、平均繊維径が9μm程度のものを使用すれば良い。
平均繊維径の測定は、マイクロスコープを用いて数箇所〜数十箇所(例えば十箇所)測定し、平均値を使用するようにすれば良い。また、重量目付け(1m2あたりの繊維の重量(g))は、シート1枚の面積と重量を測定して、シート1枚の単位面積あたりの重量として求めればよい。
本実施の形態では、例えば、断熱方向である厚さ方向に対して略垂直となる方向に繊維の配向方向を整えて、繊維集合体1を複数重ねた多層構造としている。
また、繊維集合体1に短繊維不織布を使用すると繊維の長さが短いため有機繊維2xや有機繊維2yが断熱方向(シートの厚さ方向)へ向いて配向されやすくなる。断熱方向へ向いて配向された繊維を熱が伝わって断熱性能が低下するのを抑制するために、長繊維を使用した長繊維不織布(例えばシートの長さや幅以上の長繊維不織布)としている。
本実施の形態では、繊維の長さはシートの長さと略同等以上のものを使用するようにしているので、シートの途中で繊維が切れて繊維の一部(途中)や端部が断熱方向に配向されにくくなるようにして断熱性能が低下しないようにしている。
(繊維集合体の積層方法、芯材の製造方法1)
次に、得られたシート状の繊維集合体1を、例えば所定の大きさであるA4サイズ(幅210mm×長さ297mm)になるように端面1aをカット(裁断)する。これらを、複数層(例えば25層)に積層して端面5aがカットされた所定の大きさと厚さの芯材5が形成される。芯材5は、シート状の繊維集合体1を複数積層した後に端面5aをカットして所定の大きさに形成しても良い。なお、積層する枚数は、得られた繊維集合体1の厚さと製造したい真空断熱材7の厚さを基に任意に設定して良い。
(外包材)
真空断熱材7の外包材4(図4)には、厚さ5μm以上100μm以下のラミネートフィルムを使用している。本実施の形態では、例えば、ナイロン(6μm)、アルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)(10μm)、アルミ箔(6μm)、高密度ポリエチレン(50μm)で構成されるガスバリア性のあるプラスチックラミネートフィルムを使用している。
真空断熱材7の外包材4に、その他に、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンの構成などのアルミ箔を含まないラミネートフィルムを用いると、ヒートブリッジによる断熱性能の低下を抑制できる。なお、外包材4の四辺のうち三辺がシール包装機によってヒートシールされている。残りの一辺は芯材5を挿入後にヒートシールされる。
(真空断熱材の製造方法1)
真空断熱材7の製造は、先ず開口部4aを有する袋状である外包材4に所定の大きさと厚さの芯材5を挿入し、開口部4aが閉まらないように固定して恒温槽にて約105℃の温度下で半日(約12時間)乾燥を行った。その後、真空包装後の残存ガスや経時的に放出される芯材5からのアウトガス、外包材4のシール層を通して進入する透過ガスを吸着するための吸着剤6(ガス吸着剤や水分吸着剤など)をフィルム袋(外包材4)内に挿入し、柏木式真空包装機(NPC社製;KT−650)にて真空引き(減圧処理)を行った。真空引きは、チャンバ内真空度が1〜10Pa程度になるまで行い、そのままチャンバ内でフィルム袋(外包材)4の開口部4aをヒートシールして板状の真空断熱材7を得た。
(繊維集合体の積層方法、芯材の製造方法2)
上述のようにシート状の繊維集合体1を所定の大きさにカットして複数枚積層して芯材5を形成して真空断熱材7を製造しても良いし、シート状の繊維集合体1を複数積層した後に端面5aをカットして所定の大きさに形成して芯材5を形成して真空断熱材7を製造しても良いが、ここでは、芯材5の別の製造方法について説明する。連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取って芯材5を製造する方法について説明する。
図5、図6は実施の形態1を示す図で、図5は真空断熱材7を形成する芯材5の積層状態を模式的に示す斜視図、図6は真空断熱材7を形成する芯材5の積層装置の原反ローラと巻枠について模式的に示す斜視図である。
図5、図6において、連続した繊維(例えば有機繊維2)で形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体、厚さは30μm程度以上500μm程度以下、好ましくは80μm以上300μm以下)が巻き取り途中で切断されたり、切断されないまでも伸びきって繊維として必要な特性が不足しないような所定の張力で巻枠1311にコイル状に巻き取られた後(巻枠1311に連続して巻回された後)に平板状に成形されて芯材5が製造される。すなわち、芯材5は、長さ方向(巻き方向)に連続したシート状繊維集合体1Jが内側から外側に向かって連続して巻きつけられた繊維集合体の積層構造で構成されている。
芯材5は、例えば略円筒状の原反ローラ1301にコイル状に巻かれた所定の幅を有し長さ方向に連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に連続してコイル状に複数回巻いた状態(連続して所定回数だけ巻き取った状態)で巻枠1311を巻枠1311の軸心方向(巻き取り方向に対して略90度ずれた回転軸1315の軸心方向)に抜き取って略円筒状に巻かれた連続したシート状繊維集合体1Jを平板状(シート状)につぶすようにして成形される。この平板状の芯材5は、連続したシート状繊維集合体1Jが複数積層されて平板状(平滑状)を形成する平板部5g(平滑部)と、この平板部5gの長さ方向に対する両側端部(連続したシート状繊維集合体1Jが巻き取り方向に連続した状態で巻かれているため平板状の巻き取り方向両端側で連続したシート状繊維集合体1Jが折れ曲がって巻かれた状態になっている)で連続したシート状繊維集合体1Jが折れ曲がった状態に形成された折れ曲がり端部5fとを有する平板状(シート状、平滑状)に成形されている。ここで、通常は原反ローラ1301の幅方向の端面1aは所定幅でカットされたものが使用される。
このとき、芯材5は、平板状に成形されて外包材4内で略真空状態でシールされた状態で所定の厚さtになるように巻枠1311に巻きつける回数Rが決められている。例えば、芯材5の必要な厚さ(芯材5の所定の厚さ)tが8mmで連続したシート状繊維集合体1Jの1枚の厚さが80μmだとすれば、必要な積層枚数が100枚(8mm/80μm)となるので、巻枠1311に巻きつけなければならない必要な所定巻き付け回数Rは連続したシート状繊維集合体1Jの50枚分に相当する50回となる。芯材5の厚さtは、巻枠1311が抜き取られた状態(円筒状、コイル状)の芯材5を押しつぶすようにして平板状(シート状)に成形するので、原反ローラ1301に巻かれた回数Rである50回の2倍に相当する枚数100枚分の厚さになり、芯材5は、連続したシート状繊維集合体1Jが複数枚積層(所定枚数である100枚積層)された状態となる。
また、芯材5は、平板状に成形された状態で、連続したシート状繊維集合体1Jが原反ローラ1301から巻枠1311に所定の厚さtが得られる所定枚数分Rだけ巻き取られた後に、巻き終わり端部1Jeで原反ローラ1301側の不要となる残りの連続したシート状繊維集合体1Jが切断される。すなわち、連続したシート状繊維集合体1Jが原反ローラ1301と巻枠1311の途中で切断されるので、巻枠1311側の連続したシート状繊維集合体1Jの切断された端部が巻き終わり端部1Je(切断端部)となる。ここで、本実施の形態では、巻き終わり端部1Jeが折れ曲がり端部5fの近傍位置になるように連続したシート状繊維集合体1Jを切断するようにしている。このように連続したシート状繊維集合体1Jの巻き終わり端部1Jeが芯材5の折れ曲がり端部5fの近傍位置に配置されているので、芯材5の平板部5gに巻き終わり端部1Jeが位置しないので平板部5gに段差ができない。
したがって、真空断熱材7としても平板部5g(平面部、平滑部)に段差が無くなるので、真空断熱材7を製品に貼り付けたり固定したりして断熱する場合に貼り付けやすくなる。しかも平板部5gが製品などの真空断熱材7の貼り付け箇所に密着や固定がしやすくなるので、真空断熱材7ががたついてはずれたりすることがなくなり、真空断熱材7が製品などから取れにくくはずれにくいという効果が得られる。また、ウレタンなどを発泡させて断熱材として使用する断熱箱体に真空断熱材7を併用するような冷蔵庫などの機器の場合は、真空断熱材7の平板部5g(平面部、平滑部)に段差が無いため、ウレタンが断熱箱体内に流動する場合に段差が障害になってウレタンの流動を阻害することがない。したがって、ウレタンの流動不足による断熱性能の低下が抑制できる。
また、芯材5を外包材4に挿入する場合には、長さ方向(連続したシート状繊維集合体1Jの長さ方向)の2つの折れ曲がり端部5fのうち、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き終わり端部1Jeが外包材の開口部4aに引っ掛かってばらけない方の折れ曲がり端部5faから挿入するようにしている。例えば、図5に示すように巻き終わり端部1Jeに対し、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き方向上流側(巻き方向反対側)の折れ曲がり端部5fa側から挿入すれば良い。このようにすれば、芯材5を外包材4の開口部4aから挿入する場合に芯材5が開口部に引っ掛かったりしないので、芯材5が外包材4にスムーズに挿入でき、挿入性が大幅に改善でき、短時間で真空断熱材7が製造できる。
また、芯材5に必要な幅L(所定の幅)は、原反ローラ1301に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jの幅や巻枠1311の幅により適宜調整される。例えば、芯材5の必要な幅(所定の幅)Lが1500mmだとすれば、巻枠1311の幅を所定の幅である1500mm程度、あるいは所定の幅である1500mmより若干大きい幅(例えば1520mm程度)に設定して余分な部分(両幅部分)を切断するようにしても良い。
図7、図8は実施の形態1を示す図で、図7は真空断熱材製造装置の巻枠の構造を表す図であり、図7(a)は有機繊維集合体を巻き取るときの巻枠の状態を表し、図7(b)は連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取り終了後に連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠を取り除く(取り去る)場合の巻枠の状態を表した図、図8は真空断熱材製造装置の巻枠に巻き取られた有機繊維集合体をクランプするクランプ部材を表す図である。
本実施の形態では、巻枠1311は、例えば略円筒状をしており、円周方向に例えば複数の円周部材1312にて複数分割(例えば4分割(円周部材1312a〜1312d))されている。ここで、円周部材1312は、複数に分割された円周部材1312a〜1312dの個々の周方向略中央近傍内周側に巻枠1311の回転軸1315に接続された円周部材保持軸1316(円周部材保持軸1316a〜1316d)がそれぞれに設けられており、複数の円周部材1312が円周部材保持軸1316を介して巻枠1311の回転軸1315に接続・保持されている。巻枠1311の回転軸1315は、電動機などで駆動される駆動軸が挿入・接続されている。
複数に分割された円周部材1312(本実施の形態では、4つの円周部材1312a〜1312d)のうち少なくと1つの円周部材(本実施の形態では、半径方向に対向する2つの円周部材1312a,1312b)は、半径方向に伸縮・可動できる円周部材保持軸1316(本実施の形態では、円周部材保持軸1316a,1316b)が設けられているので、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き付けた後に円周部材保持軸1316a,1316bを半径方向中心側に向かって縮む方向に可動させることで、所定の張力をもって巻枠1311に略円筒状(コイル状)に巻きつけられている連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめることができ、巻枠1311から略円筒状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを回転軸1315の軸芯方向に抜き取ることができる。すなわち、巻枠1311に所定の張力を持って巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめることにより巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311から抜き取りやすくなるので、連続したシート状繊維集合体1Jを傷つけることなく容易に抜き取ることができる。
ここで、巻枠1311には少なくとも1箇所に巻枠1311を抜き取った後に略円筒状の繊維集合体1を保持あるいは固定するクランプ部材1320が設けられている。本実施の形態では、クランプ部材1320は、少なくとも2箇所(対向する2箇所)の円周部材1312c,1312d、あるいは円周部材保持軸1316c,1316dにそれぞれ設けられたクランプ部材設置部1313c,1313dに着脱自在にそれぞれ設けられる。また、2つのクランプ部材設置部1313c,1313dは、半径方向に伸縮・可動できる円周部材保持軸(本実施の形態では、円周部材保持軸1316a,1316b)とは異なる部位(例えば、異なる円周部材保持軸1316c,1316d)に設けられている。
このクランプ部材1320は、巻枠1311に連続したシート状繊維集合体1Jが略円筒状(コイル状)に巻きつけられた状態で、略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの内周側と巻枠1311の外周側との間に、連続したシート状繊維集合体1Jを保持あるいは固定(挟みこんで保持あるいは固定)できるように設けられている。このクランプ部材1320は、例えば棒状や板状であって連続したシート状繊維集合体1Jが巻きつけられる前から巻枠1311とは着脱自在に巻枠1311側に設けておいても良いし、巻枠1311に連続したシート状繊維集合体1Jがコイル状に巻きつけられた状態で後から連続したシート状繊維集合体1J(内周側)と巻枠1311(外周側)との間に、例えば2箇所のクランプ部材設置部1313(例えば円周部材1312c,1312dや円周部材保持軸1316c,1316dにそれぞれ設けられたクランプ部材設置部1313c,1313d)に回転軸1315の軸方向から挿入するように設けて連続したシート状繊維集合体1Jを保持しても良いし、連続したシート状繊維集合体1Jを2箇所のクランプ部材設置部(例えばクランプ部材設置部1313c,1313d)で2箇所を挟み込んで保持するようにしても良い。
ここで、本実施の形態では、巻枠1311のうち、クランプ部材1320が設けられる円周部材(例えば半径方向に可動しない円周部材1312c,1312d)の外周面側には、巻枠1311の回転軸1315の軸方向にクランプ部材が収納可能あるいは挿入可能なクランプ部材設置部1313(例えば回転軸1315方向に向かって例えば所定の幅(あるいは長さ)を有するように設けられる凹部や切り欠きなど)が設けられている。
クランプ部材設置部1313(例えば、クランプ部材設置部1313c,1313d)に収納あるいは挿入されるクランプ部材1320は、例えば棒状や板状であって、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に巻きつけられる前に、クランプ部材設置部1313(クランプ部材設置部1313c,1313d)に設けておいて連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き取り後に円周部材1312a,1312bを半径方向の中心方向(縮む方向)へ可動させて巻枠1311に所定の張力で巻き付けられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめてから連続したシート状繊維集合体1Jをクランプ部材1320でクランプして(本実施の形態では少なくとも2箇所(クランプ部材設置部1313c,1313d)でクランプして)から巻枠1311から抜き取るようにすれば良い。
または、巻枠1311に所定の張力で連続したシート状繊維集合体1Jが略円筒形状(コイル状)に巻きつけられた後、連続したシート状繊維集合体1Jの内周側と巻枠1311の外周側との間に位置する巻枠1311の可動しない円周部材1312c,1312dに設けられたクランプ部材設置部1313(クランプ部材設置部1313c,1313d)の凹部や切り欠きなどに巻枠1311の回転軸1315の軸方向から少なくとも1つのクランプ部材1320を挿入して略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jをクランプして(本実施の形態では少なくとも2箇所(クランプ部材設置部1313c,1313d)でクランプして)から円周部材1312a、1312bを半径方向の中心方向(縮む方向)へ可動させて巻枠1311に所定の張力で巻き付けられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめて巻枠1311を抜き取るようにしても良い。
ここで、少なくとも1つのクランプ部材1320(本実施の形態では、2つのクランプ部材1320,1320d)は、巻枠1311とは着脱自在に設けられており、巻枠1311の可動しない少なくとも1つの円周部材(本実施の形態では、2つの円周部材1312c,1312d)に設けられている。
このように少なくとも1つの可動可能な円周部材1312a,1312bを張力がゆるむ方向に可動させることで、巻枠1311に所定の張力で巻き付けられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの張力を容易に緩めることが可能である。したがって、連続したシート状繊維集合体1Jや有機繊維2を傷つけたり痛めたりすることなく簡単に連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から取り外すことができるので、構造簡単で信頼性の高い巻き取り装置を得ることができ、しかも低コストで信頼性の高い連続したシート状繊維集合体1Jや真空断熱材7を得ることができる。
ここで、連続したシート状繊維集合体1Jをクランプする位置は、略円筒状に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jの断面円の円周方向の周長を略同等長さに略2等分する位置の2箇所(巻枠1311の回転軸1315の軸方向に対して略直角方向の断面を考えた時の断面形状(略円筒形の場合は断面形状は略円形になる)において、巻枠1311の回転軸1315の回転中心を通る直線が断面形状(断面の外形形状、円の場合は円周)と交わる2箇所(円の場合は円周と交わる2箇所))にしている。
したがって、クランプする位置が略円筒状の断面の外形形状(略円筒形状の場合は、円形)の周長さを略2等分する2箇所の位置であるため、2つのクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)で連続したシート状繊維集合体1Jをクランプした状態のままで巻枠1311から取り外して2つのクランプ部材1320c,1320dを略直線方向反対側方向(略180度反対方向)に可動あるいは移動させることで複数回巻き付けられて複数積層された連続したシート状繊維集合体1Jは2つのクランプ部材1320c,1320dにより相反する方向に引っ張られるので、クランプ部材1320c,1320dにてクランプされる部分より連続したシート状繊維集合体1Jが折れ曲がった平板状に形成される。その後、クランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)が複数層積層された状態で平板状に形成された連続したシート状繊維集合体1Jから抜き取られることで、連続したシート状繊維集合体1Jが連続したシート状のまま複数積層され、折れ曲がり端部5fで折れ曲がり平板(シート)状の平板部5gを有する所定の幅Lと長さHを有する平板状の芯材5が形成される。
(真空断熱材の製造方法2)
次に図9に基づいて、本実施の形態での真空断熱材7の製造方法について説明する。図9は真空断熱材の製造方法を表す図である。図9において、図9(a)〜(i)は、真空断熱材7の製造の工程を表している。
図9(a)は、連続したシート状繊維集合体1J(例えば、連続した有機繊維2で製造された有機繊維集合体、不織布シート)を巻枠1311に巻き始める巻き始めステップである。連続したシート状繊維集合体1Jがコイル状に複数回巻きつけられて形成され、所定の幅に切断された原反ローラ1301と、原反ローラ1301にコイル状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを(例えば、コイル状に)巻き取る所定幅を有する巻枠1311と、を備え、原反ローラ1301、巻枠1311を回転させることにより原反ローラ1301に巻きつけられている連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き付け始めるが、この工程が巻き始めステップである。
図9(b)は、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に所定回数Rだけ(略円筒状、あるいはコイル状に)巻き付けられて巻き取りが終了する巻き終わりステップである。巻き始めステップにて、原反ローラ1301より巻枠1311に連続したシート状繊維集合体1Jが巻きつけられていくが、このとき、連続したシート状繊維集合体1Jの巻枠1311に巻き付けられた厚さaが、芯材5の必要な所定厚さtの半分の厚さt/2に相当するようになるので、所定の厚さaに相当する所定回数R回分だけ巻き付けられると、原反ローラ1301、巻枠1311の回転が停止し、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き取りが終了するが、この工程が巻き終わりステップである。
図9(c)は、連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体)を切断する切断ステップである。巻き終わりステップにて、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に巻き付けられるが、巻きつけられる回数Rが、芯材5の必要な所定厚さtの半分の厚さt/2に相当する回数に達すると、原反ローラ1301、巻枠1311の回転が停止するので、切断ステップでは、連続したシート状繊維集合体1Jを所定箇所で切断するステップであり、連続したシート状繊維集合体1Jを原反ローラ1301と巻枠1311との間の所定の切断箇所において、所定の切断箇所の前後をクランプした状態で切断して、原反ローラ1301を巻枠1311から切り離すステップである。
ここで、巻枠1311に巻き取られた略円筒状(あるいはコイル状)の連続したシート状繊維集合体1Jは、クランプ部材1320(クランプ部材1320c、1320d)によりクランプされて保持されるが、このとき、巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jの切断された切断端面(巻き終わり端部1Je)がばらけたりしないように、あるいは切断端面(巻き終わり端部1Je)が芯材5に成形された時に、図5に示すように、折り曲がり端部5fに配置されるように(すなわち平板部5gに位置しないように)連続したシート状繊維集合体1Jはクランプ部材1320でクランプされる位置の後位置(例えば、クランプされる位置の直後)で切断されることが望ましい。
図9(d)は略円筒状(あるいはコイル状)の連続したシート状繊維集合体1J(例えば有機繊維集合体)をクランプ部材1320にてクランプする芯材固定ステップである。切断ステップにて連続したシート状繊維集合体1Jが切断された後、巻枠1311に設けられた凹部や切り欠きなどのクランプ部材設置部1313(クランプ部材設置部1313c,1313d、)にクランプ部材1320が挿入されて、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き終わり端部1Jeがばらけたりはがれたりしないように巻き終わり端部1Je近傍がクランプされる。
図9(e)は巻枠1311の周方向に設けられた複数の円周部材1312a〜1312dのうち、少なくとも1つの円周部材1312a,1312bを半径方向中心方向に可動・変形させて巻枠1311に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jの巻きつけ張力をゆるめる巻枠変形ステップである。芯材固定ステップにて、巻き終わり端部1Je(切断端面)近傍がクランプされるが、巻枠変形ステップでは、連続したシート状繊維集合体1Jは、巻枠1311に所定の厚さ(t/2)相当分の回数Rだけ巻き取られてクランプ部材1320(クランプ部材1320c、1320d)によりクランプされた状態で、巻枠1311の複数の円周部材1312(円周部材1312a〜1312d)のうち、少なくと1つの円周部材(本実施の形態では、半径方向に対向する2つの円周部材1312a,1312b)が、巻枠1311の半径方向中心側に向かって縮む方向に可動する。すなわち連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に巻き付けられた後に円周部材保持軸1316a,1316bが半径方向中心側に向かって縮む方向に可動することで、円周部材1312a,1312bも半径方向中心側に向かって縮む方向に可動する。
したがって、円周部材1312a,1312bが半径方向中心側に向かって縮む方向に可動することで、所定の張力をもって巻枠1311に略円筒状に巻きつけられていた連続したシート状繊維集合体1Jの張力がゆるむので、巻枠1311から略円筒状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを容易に抜き取ることができる。(巻枠1311の回転軸1315の軸芯方向からクランプされた連続したシート状繊維集合体1Jを容易に抜き取ることができる。)すなわち、巻枠1311に所定の張力を持って巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1J(例えば有機繊維集合体)の張力をゆるめることにより巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311から抜き取りやすくなる。
図9(f)は巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠1311を抜き取って、略円筒状(あるいはコイル状)の連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠を分離する巻枠分離ステップである。巻枠変形ステップにて巻枠1311の少なくとも1つの円周部材1312a,1312bが半径方向中心側に可動・変形して巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jの巻きつけにより発生した張力がゆるめられるので、巻枠分離ステップでは、張力がゆるめられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から回転軸1315の軸心方向に抜き取る。あるいは、巻枠1311を略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jからクランプした状態のまま抜き取っても良い。
図9(g)は巻枠1311と分離された略円筒状(あるいはコイル状)の連続したシート状繊維集合体1Jを成形部材であるクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)にて略反対方向(逆方向)に引っ張って平板状の芯材5を成形する芯材成形ステップである。巻枠分離ステップにて巻枠1311から成形部材であるクランプ部材1320にてクランプされた状態で連続したシート状繊維集合体1Jが分離されるが、芯材成形ステップでは、巻枠1311から2つのクランプ部材1320c,1320dにてクランプされた状態で抜き取られた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jを、2つのクランプ部材1320c,1320dを略直線方向反対側にそれぞれ逆方向側に引っ張ることで略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jが成形部材であるクランプ部材1320のクランプ位置で折りたたまれるので、折れ曲がり端部5f(折りたたみ部)と平板部5gを有する平板状(シート状)の芯材5に成形される。成形部材であるクランプ部材1320によって平板状に成形された連続したシート状繊維集合体1Jから構成される芯材5は、2つのクランプ部材1320で折れ曲がり端部5f(折りたたみ部)をクランプされた状態でコンベア1400上に移されて、クランプ部材1320が取り除かれることで芯材5として成形される。すなわち、連続した繊維(例えば有機繊維2)から形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば有機繊維集合体)が内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状の芯材5が形成、製造され、コンベア1400上を移動する。
図9(h)は、コンベア1400上で成形された芯材5が、一端が開口した開口部4aを有するガスバリア性の外包材4に挿入された後に内部が減圧された状態で略密封されて真空断熱材7を製造する真空断熱材製造ステップである。連続したシート状繊維集合体1Jが複数層積層され、内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成された芯材5は、少なくとも一端が開口した開口部4aを有するガスバリア性の外包材4内に挿入され、真空炉内に運搬されて略真空状態で外包材4のシール部(例えば開口部4a)がヒートシールされることで真空断熱材7が完成する。
ここで、巻枠1311の円周部材1312が巻き付け方向(円周方向)にほぼ連続した円筒形状(コイル状)を成しているので、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き付けた時に巻きつけにより発生する張力が巻き付け方向(円周方向)に略均一になり、巻き付け時に連続したシート状繊維集合体1Jに傷付や切断などが発生せず、信頼性の高い芯材5、真空断熱材7が得られる。
また、芯材5を外包材4に挿入する場合には、連続したシート状繊維集合体1Jの長さ方向の2つの折れ曲がり端部5fのうち、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き終わり端部1Jeが外包材の開口部4aに引っ掛かってばらけない方の折れ曲がり端部5faから挿入するようにしている。例えば、図5に示すように巻き終わり端部1Jeの位置に対し、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き方向上流側(巻き方向反対側)の折れ曲がり端部5fa側から挿入すれば良い。すなわち、本実施の形態では、所定の幅を有し、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体1Jを内側から外側に向かって巻きつけて平板状に形成した芯材5を、芯材5の長さ方向の2つの折れ曲がり端部5fのうち、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き終わり端部1Je位置に対して巻き方向上流側の折れ曲がり端部5fa側からガスバリア性を有する外包材4の開口部4aから外包材4内に挿入する芯材挿入ステップと、芯材5が挿入された状態の外包材4の内部を減圧し開口部4aをシールする外包材シールステップと、を備えている。このようにすれば、芯材5を外包材4の開口部4aから挿入する場合に巻き終わり端部1Jeがばらけて開口部4aに引っ掛かったりしないので、芯材5が外包材4にスムーズに挿入でき、挿入性が大幅に改善でき、短時間で真空断熱材7が製造できる。また、巻き終わり端部1Jeがはがれたり、あるいはばらけないように接着剤などで芯材5に固定する必要もなくなるので、安価にできる。
本実施形態では、巻枠1311に巻き付け方向(円周方向)がほぼ連続して略円筒状(コイル状)を成す円周部材1312を使用したが、略円筒形状でなくてもよく多角形(8角形状、6角形状、平板状など)でも良い。図10は実施の形態1を示す図で、別の巻枠の模式図である。図10において、(a)は8角形の巻枠の一例を表す図であり、(b)は8角形の巻枠に連続したシート状繊維集合体1J(例えば繊維集合体1)を巻きつけた状態を表す図である。図に示すように円周部材1312は巻き付け方向(円周方向)に連続していなくても良い。図において巻枠1311は棒状(例えば角柱や円柱)の円周部材1312が円周方向に8箇所略均等に設けられており、回転軸1315を中心に回転することで原反ローラ1301から連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取るようにしている。図に示すように、例えば複数(例えば、8箇所)の円周部材1312が巻きつけ方向に連続していない場合は、巻き付け方向に略等間隔で配置された角柱状や円柱状などの複数の円周部材1312間(円周部材1312と円周部材1312の間)の空間にクランプ部材1320を挿入して巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jをクランプすることが可能となるので、クランプ部材設置部1313が不要となり、構造が簡単で軽量でしかも低コストの巻枠1311が得られる。
本実施の形態では、連続した有機繊維2で形成された連続したシート状繊維集合体1Jが略円筒状(コイル状)の原反用ローラに連続して巻き付けられて得られる長繊維不織布の原反ローラ1301と、原反ローラ1301とは別に設けられ、原反ローラ1301の長繊維不織布の連続したシート状繊維集合体1Jを(例えば略円筒状やコイル状に)巻き取る所定の幅を有する巻枠1311と、を備えている。巻枠1311に原反ローラ1301に巻きつけられている連続したシート状繊維集合体1J(例えば有機繊維集合体)を所定回数R(芯材5の必要な所定厚さtの半分の厚さt/2に相当)分だけ巻きつけることで芯材5の必要な所定厚さtだけ連続したシート状繊維集合体1Jが積層されるので、所定の大きさ(幅や長さ)にカットされた不織布シート(繊維集合体1)を1枚づつ積層する必要がなく、安価な製造設備で簡単に低コストで芯材5を製造できる。
すなわち、芯材5が、連続した繊維(例えば有機繊維2)から形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば有機繊維集合体)が内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成されており、略長方形状で平板状の芯材5の4つある端面のうち長さ方向の端部(折れ曲がり端部5f)は連続したシートが折り曲げ(折りたたみ)成形されているので、折り曲げ加工(折りたたみ加工)された2つの長さ方向端面(折れ曲がり端部5f)は、端面がカッとされたものではないので折れ曲がり端部5fから有機繊維2がはみだしたりしないし、また端面がみだれたりしていないため端面をカットする必要がない。
また、カットする箇所(部位)が少なくなり、低コストで加工が容易な芯材5や真空断熱材7が得られる。また、原反ローラ1301を必要な所定幅にカットして使用する場合は、略長方形状で平板状の芯材5の4つある端面のうち、幅方向の2つの端面が芯材5の幅方向端面に相当することになり、芯材5の幅方向の2つの端面も原反ローラ1301の時に予め所定幅にカットされていることになるため、芯材5に形成された後でカットする必要がなくなり、芯材5の製造ラインが簡略になり、低コストな芯材5、真空断熱材7が得られる。
また、芯材5が内側から外側に向かって連続して巻かれているため、繊維集合体1の長さ方向の両端部(折れ曲がり部5f)が平板部5gと連続してつながっているため、繊維集合体を1枚づつ積層した場合のように両端部と平板部がつながっていない場合に比べて芯材5、真空断熱材7の剛性強度(特に曲げ強度)が増加する。したがって、冷蔵庫などの断熱箱体を構成する場合に真空断熱材だけで剛性強度が得られるため、ウレタン発泡材などを併用しなくても強度(曲げ剛性)が得られるので、ウレタンなどが不要か少量で良くなり、低コストで厚さの薄くできる断熱箱体や冷蔵庫などの機器が得られる。
また、端面から有機繊維2がはみだしたり、端面がみだれたりしていないため端面をカットする必要がなくなるので、端面をカットすることにより残存繊維の繊維長が短くなり、残存繊維がカットした端面からはみ出して外包材4のシール部のシール性を損なうことも無くなる。
また、図11に示されるように真空断熱材7,750,760に内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に積層された芯材5を使用した場合には、芯材5の長さ方向端部(折れ曲がり端部5f)の長さ方向の断面(幅方向に直角な断面)形状が略三角形状になる。図11は実施の形態1を示す図で、真空断熱材の形状を示す模式図で、図11(a)は真空断熱材7,750,760の長さ方向の断面(幅方向に直角な断面)図であり、図11(b)は真空断熱材7,750,760の長さ方向端部を長さ方向に直角な方向から見た要部正面図である。
図11において、真空断熱材7,750,760に内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に積層された芯材5を使用した場合には、芯材5の長さ方向の両端面(折れ曲がり端部5f)が外包材4に挿入されて減圧された状態でシールされると、平板状の平滑部Lg(長さL1の部分)と断面が略三角形状の長さ方向両端部Lf(長さL2の部分)とから構成される。このとき、芯材5の長さ方向の両端部(折れ曲がり端部5f)が外包材4に挿入されて減圧された状態でシールされると、長さ方向両端部Lfの断面形状(幅方向に直角(垂直)な断面形状)が長さ方向に対し長さ方向外側に向かって徐々に厚さが小さくなるような略三角形状となるので、外包材4にしわがよりにくく、またやぶれにくくなるので、信頼性の高い真空断熱材が得られる。すなわち、所定の幅を有し、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が内側から外側に向かって巻かれた状態で平板状に形成された積層構造の芯材5と、芯材5を開口部4aから内部に収納し、内部が減圧された状態で開口部4aがシールされるガスバリア性の外包材4と、を備え、芯材5が外包材4内で減圧された状態で前記芯材5の長さ方向端部(長さ方向の両端部である折れ曲がり端部5f)における幅方向に直角な断面形状が、長さ方向外側に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形である真空断熱材が得られる。また、1つの真空断熱材7,750,760を円筒形状に折り曲げるなどして加工する場合に長さ方向の端面同士を突き合わせて接続使用する場合や、2つ以上の複数の真空断熱材7,750,760の端面同士を突き合わせて使用する場合に、複数の真空断熱材7の略三角形状の端面の斜面部分(図11の斜面部Lfs)同士が接触するように接続すれば、接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材7,750,760、真空断熱材7,750,760を搭載した冷蔵庫などの機器を得ることができる。
(繊維集合体の積層方法、芯材の製造方法3)
次に原反ローラ1301を複数組み合わせて芯材5,550を製造する方法について説明する。図12乃至図15は実施の形態1を示す図で、図12は原反ロールを複数組み合わせて1つの大きな幅を有する組み合わせ原反ロールの構成を表す図、図13は組み合わせ原反ロールを2つ使用して巻枠に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図、図14は組み合わせ原反ロールを2つ(上側原反ロール、下側原反ロール)使用する巻き取り装置にて巻き取られる有機繊維集合体の構成を表す模式図、図15は組み合わせ原反ロールを2つ使用する巻き取り装置にて巻き取られた芯材の断面図である。
例えば、ほぼ同じ巻き回数(同じ積層枚数)だけ巻きつけられた略円筒状(あるいはコイル状)の複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)を幅方向(横方向)に隣接(隙間無く並べることが望ましいが後述するようにすきまが必要な場合は所定すきまを設けても良い)するように組み合わせ、所定幅を有する第1の原反ロール1305(上側ロール)を形成し、第1の原反ロールと同じように同じ巻き回数(同じ積層枚数)だけ巻きつけられた複数の原反ロール(例えば本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)を幅方向(横方向)に隣接(隙間無く並べることが望ましいが、所定すきまを設けても良い)するように組み合わせ、所定幅を有する第2の原反ロール1306(下側ロール)を形成する。
ここで、複数の略円筒状(あるいはコイル状)の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)は同じ幅であっても異なる幅であっても良い。同様に複数の原反ロール(例えば、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)も同じ幅であっても異なる幅であっても良く、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロールの数と第2の原反ロール1306に使用される複数の原反ロールの数は同じでも異なっても良い。
第1の原反ロール1305、及び第2の原反ロール1306は、ともに複数の原反ロール(例えば、複数の本体部)が隣接するように幅方向に並べられているので、隣り合う本体部間(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bなど)にはすきま(微小隙間、所定すきま)が存在し、隣り合う本体部は連続しておらず断続するためスリット部(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bとの間のスリット部A、本体部B1301bと本体部C1301cの間のスリット部B、本体部C1301cと本体部D1301dの間のスリット部Cなど)が存在する。また、本実施の形態では、第1の原反ロール1305、第2の原反ロール1306の少なくとも1つは複数の原反ロールのうちの幅方向の端側に配置される原反ロール(例えば本体部A1301aや本体部D1301d、本体部E1301eや本体部H1301hなど)に原反ロール素材を所定の幅にカットしたときに発生する稜線の揃っていない耳部を有する耳部原反ロールを使用している。
本実施の形態では、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロールの数(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの4つ)と第2の原反ローラ306に使用される複数の原反ロールの数(本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301hの4つ)は同じにしている。また、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)と第2の原反ロール1306に使用される複数の原反ロール(本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)はそれぞれ幅方向に所定量Xbだけずらして配置されており、第1の原反ロール1305に巻かれている繊維集合体1Kと第2の原反ロール1306に巻かれている繊維集合体1Hが上下(シート面に対して略直角方向)に重なるようにしてシート面の幅方向に所定量Xbだけずれた状態で一緒に巻枠1311に巻き取られる。このとき、第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306は、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの移動方向(巻き取られる方向)に対して前後方向、あるいは上下方向や斜め方向に配置される。第1の原反ロール1305の複数の原反ロールに対応する第2の原反ロール1306の複数の原反ロールの幅は略同等にして所定量Xbだけずらしている。
すなわち、第1の原反ロール1305を構成する個々の原反ロール(例えば、本体部A1301a)とこの第1の原反ロール1305の後方(あるいは下方など)に配置される第2の原反ロール1306を構成する個々の原反ロール(例えば、本体部E1301e)の幅は略同等にしている。同様に個々の原反ロール(本体部B1301bと本体部F1301f、本体部C1301cと本体部G1301g、本体部D1301dと本体部H1301hはそれぞれ略同等幅に設定されている。ただし、第1の原反ロール1305(上ロール)の所定幅と第2の原反ロール1306(下側ロール)の所定幅は略同等が望ましい。
また、本実施の形態では、図13に示すように芯材製造装置の第1の原反ロール1305(上側ロール)と第2の原反ロール1306(下側ロール)の配置は、第1の原反ロール1305(上ロール)を第2の原反ロール1306(下側ロール)よりも巻枠1311方向(繊維集合体1の送り方向)に対して後ろ側(あるいは上側や斜め上側など)に配置している。すなわち巻枠1311方向に向かって、第2の原反ロール1306(下側ロール)、第1の原反ロール1305(上側ロール)の順に配置されている。このとき、第1の原反ロール1305(上側ロール)に巻かれている第1の(有機)繊維集合体1Kが第2の原反ロール1306(下側ロール)に巻かれている第2の(有機)繊維集合体1Hよりも上側に配置されている。巻枠1311で巻き取られるため、第1の原反ロール1305(上側ロール)に巻かれている第1の(有機)繊維集合体1Kが第2の原反ロール1306(下側ロール)に巻かれている第2の(有機)繊維集合体1Hに対して常に巻枠1311の半径方向外側に位置する状態で、例えば略円筒状(あるいはコイル状)に巻き取られるようにしている。ここで、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hが上下に重なった状態で巻枠1311に巻き取られる構成となるように、第1の原反ロール1305(上側ロール)と第2の原反ロール1306(下側ロール)を配置すれば良い。
ここで、製品で必要な所定幅が小さい場合(例えば、100mmとか200mm程度)であれば、原反ロールの製造も場所を必要とせず容易だが、製品で必要な所定幅が大きい場合(例えば、1100mmとか2000mmなど)には、原反ロールの製造が困難となる。また、製品によっては、幅の異なる真空断熱材7が必要な場合があるが、1つの原反ロールで対応しようとすると必要な所定幅の数だけ原反ロールが必要となり、原反ロールの製造が困難であるばかりか原反ロールの種類が多くなりコストアップとなる。したがって、本実施の形態では、複数の原反ロールを幅方向に隣接するように組み合わせて組み合わせロール(例えば、第1の原反ロール1305、第2の原反ロール1306)として使用している。
本実施の形態のように複数の幅の(幅の異なる)原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)を幅方向に隣接させて1つの大きな幅の原反ロール(例えば、第1の原反ロール1305)として使用するようにすれば、個々の原反ロールの幅が小さくて良くなるので原反ロール(例えば、本体部A1301aや本体部B1301bなど)の製造場所を選ばず容易に製造でき、しかも大きな幅の原反ロールが必要なときには、小さな幅の原反ロールを複数組み合わせて大きな幅の1つの原反ロール(例えば、第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306など)を製造することができるようになり、原反ロールの製造場所を選ばず、また原反ロールの種類を低減でき、低コストで設計の自由度の大きな芯材5、真空断熱材7を得ることができる。例えば、幅の異なる原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b)などを複数組み合わせたり、幅が略同等の小さな原反ロール(例えば、本体部B1301bなど幅の同じ1つの原反ロール)を複数組み合わせて1つの大きな幅の原反ロールとしても良い。
また、本実施の形態では、複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)から構成される組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305(上ロール)に巻きつけられている第1の(有機)繊維集合体1Kと、複数の原反ロール(例えば、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)から構成される組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール1306(下ロール)に巻きつけられている第2の(有機)繊維集合体1Hを幅方向(横方向)に所定量Xb(例えば5mm〜40mm程度、好ましくは10mm〜20mm)だけずらして配置しているが、その理由は、以下による。
(1)例えば第1の原反ロール1305を構成する複数の原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dのうち幅方向に隣接する原反ロール(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bなど)の接続部位は、実際には若干の隙間が存在するがもしも隙間無く接しているとしても隣接部位にはスリット部(例えば、本体部Aと本体部Bとの間にはスリット部A)が存在するため連続していないため、所定量Xbだけずらさずに複数枚積層するとスリット部(接続部、隣接部)が略同等位置にくるため、スリット部で分断されるようになる。すなわち、スリット部(接続部、隣接部)が連続していないためスリット部から折れたりちぎれたりするため芯材5としての必要曲げ強度が得られないし、スリット部(隣接部)が連続しておらず切れ目になっているのでそこからばらばらになってしまい外包材4がやぶれるなどして必要な幅の芯材5が得られなくなり、また、真空断熱材7としての性能も得られなくなる。本実施の形態では、第1の原反ロール1305(上ロール)に対して第2の原反ロール1306(下ロール)を所定量Xbだけラップするようにずらして複数層積層しているので、所定量Xbだけずれた部分の摩擦などによりスリット部(隣接部位)でばらばらになったり、分断されることがなくなり、必要な断熱性能を有する必要な所定の大きさの芯材5を得ることができる。
(2)隣接部位で第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306を所定量Xbだけラップするようにずらしているが、スリット部(隣接部位)が存在するため、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hはそれぞれ同一平面上では連続していない。したがって、スリット部分で折れ曲がりやすくなる。従来の真空断熱材では、折り曲げるために凹溝加工を施すなど特別な工夫を行っており、製造コストがアップしているが、本実施の形態では、製造過程で隣接する部位(スリット部)が折れ曲がりやすく製造されるので、この折れ曲がりやすくなった部位を製品の折り曲げ必要な部位に配置して有効に利用している。例えば、冷蔵庫の場合では、背面壁と上面壁など所定の角度(例えば略90度)に折れ曲がった壁面間に跨って真空断熱材を配置することが考えられるが、そのためには大きな真空断熱材が必要で、しかも折り曲げることが必要なため、原反ロール素材を製造するための大きな製造設備が必要なため製造場所が限定されたり製造困難であり、折り曲げるための特別な加工が必要になるためコストアップにもなり対応困難であったが、本実施の形態の真空断熱材7では、複数の原反ロールを幅方向に隣接させて大きな1つの原反ロールとして使用することが可能であり、しかも折り曲げが必要な部位にスリット部(隣接部)を配置すれば良いので、原反ロールの幅を小さな幅の原反ロールの組み合わせで自由に選定でき、また、折り曲げのための特別な加工が不要であり、また、小さな幅の原反ロールを複数組み合わせることで大きな幅の芯材5を製造できるので、従来は困難であった冷蔵庫などの所定の角度で折れ曲がった壁面間に跨って真空断熱材7を配置することが可能となる。
(3)幅方向両端をカットする前の原反ロール素材の幅方向の両側端部は、耳部と言われ、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの有機繊維2が必要な厚さ分だけ存在せず厚さにバラツキが生じたり、幅方向端面の稜線が揃っていないため、原反ロールとして使用するに際しては、原反ロール素材をあらかじめ必要な所定幅で両側をカッとして原反ロールとして使用している。したがって、この原反ロール素材から幅方向の両側部分の耳部がカットされた耳部原反ロールは、強度が弱く端面(稜線)が揃っていないため従来は廃棄されていた。本実施の形態では、従来は廃棄されていた耳部原反ロール(本実施の形態では、例えば本体部A1301aや本体部D1301dが相当する)を、図12に示すように、第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306を構成する複数の原反ロールのうち幅方向両側に使用される原反ロール(例えば、本体部A1301aや本体部D1301dなど)に使用しており、第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306を所定量Xbだけずらして複数層積層するので、交互に耳部と耳部でない部分が積層されるようになり、耳部位置がずれて配置されるので、耳部と耳部が連続して積層されることがない。よって耳部原反ロールを使用しても、芯材5に必要な強度が得られる。
ここで、図12に示すように、第1の原反ロール1305は、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dが幅方向に順に隣接するように配置されているが、ここで、本体部A1301、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの幅はそれぞれT1、T2、T3、T4であり、第1の原反ロール1305の幅はTA(TA=T1+T2+T3+T4)である。したがって、製品に必要な所定幅に合わせて第1の原反ロール1305の個々の原反ロールの幅(T1、T2、T3、T4)を決定すれば良い。同様に第2の原反ロール1306の個々の原反ロールの幅も決定すればよい。すなわち、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの幅(本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)の幅を選定すればよい。このとき幅T1、T2、T3、T4は同じでも異なっても良い。
したがって、複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)の幅を個別に適宜選定できるので、設計の自由度が増加し、低コストな芯材5、真空断熱材7、および冷蔵庫などの機器が得られる。また、第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306を所定量Xbだけずらして巻枠1311に巻き取って芯材5を製造するので、スリット部で折り曲げ容易となり、折り曲げ可能な真空断熱材7を特別な加工などが不要で容易に製造でき、所定角度で折れ曲がったような断熱壁面を有する冷蔵庫などの機器の断熱壁にも容易に設置することができ、したがって、真空断熱材7の被覆率を大きくすることが可能であり、高性能で低コストな真空断熱材7や機器を得ることができる。
図14に示すように、連続したシート状繊維集合体1J(第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1H)は巻枠1311に(例えば、略円筒状あるいはコイル状に)巻き取られるときには、第1の原反ロール1305(上側ロール)よりの第1の(有機)繊維集合体1K(上側有機繊維集合体、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd)と第2の原反ロール1306(下側ロール)よりの第2の(有機)繊維集合体1H(下側有機繊維集合、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1hd)は所定量Xbだけずれた状態で巻枠1311に巻き取られる。巻枠1311に巻き取られた状態での巻き取り方向に垂直な断面での第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hは、図15に示すように所定量Xbだけずれた状態で交互に積層されており、内側から外側に向かって連続的に巻き付けられて積層されている。したがって、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hとが所定量Xbだけずれているので、第1の(有機)繊維集合体1K(上側有機繊維集合体)のスリット部(第1のスリット部57(上側スリット部))と、第2の(有機)繊維集合体1H(下側有機繊維集合体)のスリット部(第2のスリット部58(下側スリット部))との距離がずれ量Xbに相当し、このXbの量だけ第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hが重なって積層されることになり摩擦などにより第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hが分離しにくくなっている。
ここで、繊維集合体1(連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1H)が複数積層された芯材5は、真空引きされた状態(減圧された状態)での厚さtが厚くなればなるほど折り曲げにくくなるが、本実施の形態では、所定量Xbだけ離れた位置に2つのスリット部(第1のスリット部57、第2のスリット部58)が存在するため、これら2つのスリット部(第1のスリット部57、第2のスリット部58)で2段階に折り曲げることで厚さが厚くなっても容易に折り曲げる(所定の折り曲げ角度を得る)ことが可能になる。
本実施の形態では、芯材5の厚さに応じてラップ代Xbを決定している。すなわち芯材5の厚さが小さいときは所定量Xbは小さくて良いが、芯材5の厚さが大きくなれば曲げにくくなるため所定量Xbを適宜大きくして対応している。ここで、所定量Xbは小さすぎると重なる長さ(ラップ代)が短くなり摩擦力が得られなくなって第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hがラップ部(本体部間)で分離してしまい所定幅の芯材5が得られなくなるので、本実施の形態では、ラップ代Xbは7mm以上(好ましくは10mm以上)としている。ラップ代が5mmの場合には、ラップ代が短いために必要な摩擦力が得られず第1の(有機)繊維集合体1Kの個々の第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd、第2の(有機)繊維集合体1Hの個々の第2の(有機)繊維集合体11Ha〜1hdがスリット部より分離してしまい、所定の幅を有する芯材5が得られなかった。ここで、ラップ代Xbが10mm以上の場合は、ラップ部に耳部を使用しても安定して摩擦力を得ることができ、しかも熱伝導率の低下も小さく抑えられることが分かった。
また、ラップ代Xbは大きければ大きいほど必要な摩擦力が大きく得られるので芯材5としては信頼性が向上して良いが、真空断熱材7の厚さに対してラップ代Xbが大きすぎると折り曲げ時に2つのスリット部間の距離(Xb)が大きくなり折り曲げ部の幅が大きくなり、また、折り曲げにくくなるので、真空断熱材7を折り曲げる場合には、ラップ代Xbは真空断熱材7の厚さの3倍程度以下が良い(例えば、真空断熱材の厚さtが10mmのときはラップ代Xbは30mm程度以下が良い)。
図16は実施の形態1を示す図で、原反ロールを3つ組み合わせた組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って芯材を製造した場合の芯材の斜視図である。図16において、第1の原反ロール1305(上側ロール)よりの第1の(有機)繊維集合体1K(上側有機繊維集合体、第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kd)と第2の原反ロール1306(下側ロール)よりの第2の(有機)繊維集合体1H(下側有機繊維集合体、第2の(有機)繊維集合体1Ha,1Hb,1Hd)は所定量Xbだけずれた状態で巻枠1311に巻き取られ、内側から外側に向かって連続的に巻き付けられて積層される。そして、2つのクランプ部材1320で2箇所をクランプされてクランプされた部分で折り曲げられて平板状の芯材550が製造される。尚、芯材550を、単に芯材と呼ぶ場合もある。
芯材550は、クランプ部材1320によって折り曲げられた(折りたたまれた)2つの折り曲げ部551f(折り曲げ端部、折りたたみ部)と2つの折り曲げ部551f間に設けられる平板状の平板部551g(平滑部)とから構成される。また、第1の(有機)繊維集合体1K(上側有機繊維集合体)の個々の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kdの隣接部が、図15に示した第1のスリット部57(上側スリット部)であり、第2の(有機)繊維集合体1H(下側有機繊維集合体)の個々の第2の(有機)繊維集合体1Ha,1Hb,1Hdの隣接部が、第2のスリット部58(下側スリット部)である。この第1のスリット部57と第2のスリット部58との幅方向の距離(長さ)がずれ量Xbに相当する。したがって、この第1のスリット部57及び第2のスリット部58にて容易に折り曲げ加工が行える。
ここで、巻き終わり端部551Jeは、図16では平板部551g上に配置されているが、折り曲げ部551f近傍に配置されることが望ましい。巻き終わり端部551Jeが平板部551gに配置されると平板部551gに段差が生じやすくなるので好ましくなく、また、クランプ部材1320によって芯材551を平板状に形成するときに巻き終わり端部551Jeがクランプ部材1320の位置から離れるためこのクランプ部材1320の位置と巻き終わり端部551Jeまでの長さが長くなる。このクランプ部材1320の位置と巻き終わり端部551Jeまでの第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの部分はクランプされていないため芯材550からばらけて折れ曲がったりする恐れがあるので、巻き終わり端部551Jeはクランプ部材1320でクランプ可能な折り曲げ部551f近傍になるようにカッとした方が好ましい。クランプ部材1320にてクランプした後(直後が好ましい)でカットするのが好ましく、折り曲げ部551f近傍で平板部551gに段差が生じない範囲でカットするのが好ましい。ばらばらになって折れ曲がったりする恐れが低減し、しかも平板部551gに段差が生じにくく、段差がひっかかったりせず、また見た目も良い。
ここで、図17に示すように複数の原反ロールで構成される組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306に3つの原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部D1301d)を使用する場合に、幅方向両側の原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)に片側が耳部である耳部原反ロールを使用しても良い。この場合には、耳部原反ロールの耳部が中央に配置される耳部を有さない原反ロールである本体部原反ロールである本体部B1301b側を向くように並べても良い。
図17は実施の形態1を示す図で、別の組み合わせ原反ロールの構成について説明するための図である。図17において、組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305(上側ロール)は、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部D1301dから構成され、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部D1301dの順に隣接するように幅方向に並べられている。すなわち、幅方向中央位置には耳部を有さない本体部原反ロールである本体部B1301b、その両側に耳部を有する耳部原反ロールである本体部A1301a、本体部D1301dが配置されており、耳部原反ロールの耳部側が、中央位置に配置される耳部を有さない本体部B1301b側に隣接するように配置されている。
このように耳部原反ロールに巻かれている耳部有機繊維集合体の耳部が組み合わせロールである第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306の幅方向両端側に配置されないようにしているので、巻枠1311に巻き取られて芯材5が成形されたときに、幅方向両側には、耳部でなくカット面がくるので芯材5の幅方向の両側をカットする必要がなくなり、低コストの真空断熱材が得られる。このとき、幅方向中央位置に耳部を有さない本体部原反ロール(本体部B1301b)、その両側に耳部を有する耳部原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)を配置する場合に、耳部原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)の耳部のうち、どちらか1つの耳部が中央位置の本体部原反ロール(本体部B)側に隣接するように配置しても良い。組み合わせ原反ロールの片側にのみ耳部がくるように耳部原反ロールを配置してもよく、この場合には、組み合わせ原反ロールの両側に耳部原反ロールを配置する場合に比べて一方の幅方向側のみをカットすればよいので、低コストな真空断熱材が得られる。もちろん、耳部を有する耳部原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)であっても、耳部の有機繊維2が必要な厚さ分だけ存在して厚さのバラツキが小さかったり、端面位置(稜線)のバラツキが小さく芯材5や真空断熱材7の断熱性能や製造上問題ないレベルであれば、耳部原反ロールを組み合わせ原反ロールの幅方向端側に使用しても幅方向端面をカットする必要はない。
したがって、本実施の形態では、芯材550の製造に関し、1枚ずつ積層する必要がなく、繊維集合体を巻き取るだけの簡単な設備で製造できるので、組み合わせ繊維集合体である第1の(有機)繊維集合体1K(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd)あるいは第2の(有機)繊維集合体1H(例えば、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)を構成する複数の繊維集合体1(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd1、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)の少なくとも1つに、従来は廃棄されていた幅方向端側に稜線の揃っていない(カット面ではない)耳部を有する耳部繊維集合体(例えば、耳部原反ロールである本体部Aや本体部Dに巻かれている繊維集合体)を容易に使用することができる。よって、従来は廃棄されていた耳部を有する耳部繊維集合体(耳部原反ロールに巻かれている繊維集合体)をカットしたりすることなく、耳部原反ロールをそのまま利用でき、無駄が生じない。したがって、低コストな芯材5,550や真空断熱材7,750が得られる。
すなわち、第1の(有機)繊維集合体1K(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd)あるいは第2の(有機)繊維集合体1H(例えば、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)を構成する複数の繊維集合体の少なくとも1つに稜線の揃っていない繊維集合体素材(例えば耳部を有する原反ロール素材に巻きつけられている繊維集合体)の幅方向両側端部(耳部)を含む耳部繊維集合体(例えば、耳部原反ロールである本体部A1301a(本体部A)や本体部D1301d(本体部D)に巻かれている繊維集合体)を使用するようにしているので、原反ロール素材を所定幅でカットして耳部を含む耳部原反ロールを廃棄する必要がなく、使用することができるので、素材の有効利用ができ、低コストな真空断熱材が得られる。
図18は実施の形態1を示す図で、真空断熱材を折り曲げた様子を表した斜視図である。図18において、図18(a)は真空断熱材7を折り曲げた状態の斜視図、図18(b)は真空断熱材7の折り曲げ部の要部拡大図である。真空断熱材750は、芯材550がガスバリア性を有する外包材4内に挿入され、内部が減圧された状態でシールされている。真空断熱材750は芯材550の第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分で2段階で折り曲げられて折り曲げ部59を形成している。このとき、折り曲げ部59の幅はラップ代Xbの幅で折り曲げられている。ラップ代Xbの幅は、第1のスリット部57と第2のスリット部58との距離(長さ)に相当し、略同等長さである。尚、真空断熱材750を、単に真空断熱材と呼ぶ場合もある。
また、真空断熱材750は、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを幅方向にラップ代Xbだけずらして2枚重ねて複数積層しているので、ラップ代Xbだけずらしたことにより第1のスリット部57、第2のスリット部58が外包材4内に挿入されて減圧したときに外包材4が第1のスリット部57、第2のスリット部58でそれぞれ凹んで凹み部751,752が形成される。また、この2つの第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分がそれぞれ凹んだ2つの凹み部751,752間に突出するように略台形形状の突出部753が形成される。折り曲げ部59は、2つのスリット部57,58の部分がそれぞれ凹んだ凹み部751,752と、2つの凹み部751,752間に突出するように形成される略台形形状の突出部753と、からなるので、この凹み部751,752を基点にして略台形形状の突出部753の斜面を利用することで容易に折り曲げることができる。また、第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分の凹み部751,752とこれら凹み部間に形成される台形形状の突出部753が真空断熱材750の厚さ方向の両側にできるため、例えば、真空断熱材750の厚さが厚くなった場合であってもシーと面の両側に形成される第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分で容易に折り曲げ可能となるため折り曲げても外包材4が破れたり傷ついたりして断熱性能が低下することもなくなるので、信頼性が高く、断熱性能の低下を抑制でき、厚さによらず曲げ加工が可能な設置の自由度の高い真空断熱材が得られる。
本実施形態のように複数の第1のスリット部57、第2のスリット部58により形成される凹み部751,752とこのスリット部に形成される略台形形状の突出部753とによって構成される折り曲げ部59を備えた真空断熱材750において、厚さtが5mm、7mm、10mm、30mmで折り曲げ確認を行ったが、いずれも問題なかった。ただし、真空断熱材750の厚さtが厚くなると(例えばt=30mmの場合は)、図13や図14に示されるように繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J(第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1H)の重ねる枚数が2枚(図13では、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの2枚)だと1箇所の折り曲げ部59に対してスリット部が2箇所のため凹み部も2箇所と少なく曲げづらいので、重ねる枚数は3枚以上にして1箇所の折り曲げ部59に対するスリット部を3箇所以上にしてスリットによる凹み部を3箇所以上にした方がよく、真空断熱材7の厚さtや繊維集合体1の材料や特性や外包材4の材質や引っ張り強度などによって適宜選定すればよい。
以上より、本実施の形態のように、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを複数枚(例えば2枚)重ねて幅方向に所定長さ(ラップ代Xb)だけずらして複数回積層して芯材5,550を製造するようにすれば、1箇所の折り曲げ部に対するスリットの数も繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを重ねた枚数の数(複数個、例えば、3枚重ねてずらした場合は1箇所の折り曲げ部に対してスリットは3つ)できるので、真空断熱材の厚さが厚くなってもシート面の両面側に設けられるスリット部により形成される凹み部によって折り曲げ部59より容易にシート面の両側に折り曲げることが可能となる。
ここで、ラップ代Xbが大きくなると、図19に示すように真空断熱材750の幅方向の薄肉部750aにラップ代Xbと略同等長さ分だけ厚さの薄い部分が生じる。図19は実施の形態1を示す図で、真空断熱材を幅方向から見た図である。真空断熱材750は、所定の厚さtを有する所定厚さ部750cと所定の厚さtの約1/2の厚さを有し、所定厚さ部750cの幅方向両側に設けられた薄肉部750a,750bを有する。この薄肉部750a,750bは所定厚さ部750cよりも断熱厚さが薄いので、所定厚さ部750cに比べて断熱性能が若干低下する。したがって、ラップ代Xbが大きくなると、薄肉部750a,750bの幅H1(ラップ代Xbの長さと略同等長さ)が大きくなるので、ラップ代はあまり大きすぎない方が良い。すなわち、ラップ代Xbは、真空断熱材750を折り曲げて使用する場合には、7mm以上30mm程度以下が好ましい。
また、折り曲げて使用しない場合には、ラップ代Xbは大きければ大きいほど摩擦力が大きくなり信頼性が向上するので、ラップ代Xbは7mm以上、好ましくは10mm以上が良く、ラップ代Xbが大きくなればなるほど薄肉部750a、750bの長さが大きくなり、断熱性能が若干低下する部分が大きくなるので、ラップ代Xbは30mm程度以下が好ましい。また、ラップ代Xbは真空断熱材750の厚さtにも影響されるので、真空断熱材750の所定厚さtの1倍以上5倍以下(好ましくは3倍以下)程度が良い。本実施の形態では、所定量Xbを7mm以上として芯材がばらばらになることを抑制し、所定量Xbを外包材4内で略真空状態の芯材550の厚さtの3倍程度以下として折り曲げ性が良好でしかも芯材5の幅方向両端部の幅を小さくして断熱性能の低下を抑制するようにしている。また、減圧時の芯材5の厚さによってラップ代Xbの範囲を設定すれば、信頼性(芯材550がスリット部で分離やバラけたりしない)が得られ、また、折り曲げやすく断熱性能の良い芯材や真空断熱材750が得られる。
本実施の形態では、2つのスリット部(第1のスリット部57、第2のスリット部58)で2段階に折り曲げた例を示したが、原反ロールを複数組み合わせた組み合わせ原反ロールを2つ使用するのでなく複数個使用して複数の組み合わせ原反ロールを所定量Xbだけずらした状態で重ねて巻枠に巻き取るようにすればスリット部が複数存在するので、複数段階で折り曲げることが可能となり、1個のスリット部での折り曲げ角度を小さくできるので、芯材550や外包材4に折り曲げ時に無理な力がかからず容易に所定の角度に折り曲げることが可能となる。また、1箇所の折り曲げ部59に対して複数段階で折り曲げることが可能となるため、鋭角にも折り曲げることが可能となりあらゆる機器の断熱材として適用が可能となる。したがって、冷蔵庫や空調機などの機器の凝縮パイプなどの配管を断熱することも可能となる。また、本実施の形態の真空断熱材は曲げ加工性に優れるので、真空断熱材と真空断熱材の間に凝縮パイプなどの配管を挟みこんで断熱しても配管形状に沿って曲げ変形させることができ、真空断熱材間とパイプとのすきまからの熱漏れを抑制でき、断熱性能の低下も抑制できる。
すなわち、本実施の形態の真空断熱材7,750は、長さ方向に連続したシート状繊維集合体1Jが幅方向に複数隣接して並んだ第1の(有機)繊維集合体1Kと、第1の(有機)繊維集合体1Kに対して上下あるいは前後あるいは左右に重なるように設けられ、長さ方向に連続したシート状繊維集合体1J幅方向に複数隣接して並んだ第2の(有機)繊維集合体1Hと、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hが幅方向に所定量Xbだけずれた状態で内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成された繊維集合体の積層構造で構成される芯材5,550と、芯材5,550を内部に収納し、内部が減圧された状態で周囲がシールされるシール部を有するガスバリア性の外包材4と、を備え、外包材4の内部を略真空状態にしてシール部をシールすることで外包材4を密封するので、小さな幅の繊維集合体(原反ロールの本体部に巻かれた繊維集合体)を複数組み合わせることで大きな幅の芯材5,550を形成できる。また、複数の繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの数や複数の繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの幅を適宜選定することによって、繊維集合体の幅にとらわれずに芯材5,550の幅を自由に設定できるので、芯材5,550や真空断熱材7,750の設計の自由度が大きくなる。また、繊維集合体を複数層積層するためにわざわざ1枚ごとに所定の大きさにカットして1枚ずつ積層する必要もないので、切断設備や積層設備などが不要であり、芯材5,550の製造が繊維集合体を巻き取るだけの簡単な設備で短時間で容易に芯材5,550が製造できる。
また、外包材4内に挿入されて減圧された状態で第1の(有機)繊維集合体1K、あるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体間(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Kaと第1の(有機)繊維集合体1kbとの間)の第1のスリット部57、第2のスリット部58が平板状の芯材5,550の表面、裏面において長さ方向に凹んだ形状であるので、この凹んだ形状の第1のスリット部57、第2のスリット部58から真空断熱材7,750を平板状(シート状)の芯材5,550の表面、裏面のどちら側に対しても容易に折り曲げることができる。
また、折り曲げが必要な部位にスリット部(隣接部)が配置できるように繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの幅(原反ロールの本体部の幅)を適宜選定でき、また、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hのラップ代(所定量Xb)を適宜選定することが可能であり、折り曲げのための特別な加工が不要となる。また、折り曲げ部59がシート面に対して表裏両面に形成されるので、第1のスリット部57、第2のスリット部58を利用してシート面に対して表裏両方向に容易に折り曲げることが可能となる。
また、第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)間の接続部で折り曲げ可能としたので、別途、折り曲げのための凹部などの加工を行う必要がなく、芯材550を製造する過程で形成される第1のスリット部57、第2のスリット部58による凹み部751,752で容易に折り曲げることが可能となる。また、第1のスリット部57、第2のスリット部58により形成される凹み部751,752が真空断熱材750の厚さ方向の両側(シート面の表裏)にできるため、例えば芯材の厚さが厚くなった場合であってもシート面の両面側に第1のスリット部57、第2のスリット部58が形成されるので、片面側に形成される場合に比べて容易に折り曲げ可能となるため、折り曲げ時に芯材や外包材4が破れたり傷ついたりすることもなくなり、断熱性能が低下することが抑制せきる。
また、所定量(ラップ代)Xbを7mm以上、外包材内で略真空状態の芯材の厚さtの3倍以下とすれば、ラップ代Xbが7mm以上のため、芯材がばらばらになるのを抑制でき、しかもばらばらになって断熱性能が低下するのも抑制できる。また、ラップ代Xbを外包材4内で略真空状態の芯材の厚さtの3倍以下としているので、折り曲げ部59での折り曲げ性も良好にできる。したがって、冷蔵庫などの所定の角度で連続した2つの壁面を有する機器の断熱材として容易に適用でき、しかも断熱性能の低下が抑制できる。
また、第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hを構成する複数の繊維集合体(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)の少なくとも1つに幅方向端側に稜線の揃っていない(カット面ではない)耳部を有する耳部繊維集合体を使用するようにした場合、従来は廃棄されていた耳部を有する耳部繊維集合体(耳部原反ロールに巻かれている繊維集合体)を使用することができ、素材の無駄が生じない。したがって、低コストな芯材5,550や真空断熱材7,750が得られる。
また、本実施の形態の真空断熱材7,750を適用した冷蔵庫や機器は、真空断熱材7,750を第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体間の接続部(スリット部)で所定角度(例えば、略90度)に折り曲げ、上面、両側面、背面、底面を有する断熱箱体の少なくとも2つの連続する壁面に配置するようにしたので、従来は真空断熱材7,750を自由に必要な所定角度に折り曲げることが困難だったため連続する2つの壁面への適用も困難だったが、本実施の形態の真空断熱材7,750を使用すれば必要な箇所で折り曲げ容易となるため、所定の角度を有する2つの連続する壁面へも適用可能となる。したがって、所定の角度を有する2つの連続する壁面間の角部にも真空断熱材を連続して配置できるので、冷蔵庫などの機器の扉を除いた箱体(外箱)の外表面積に対する真空断熱材の被覆率を大幅に向上させることができる。例えば、冷蔵庫の場合であれば、従来は困難であった外箱表面積に対する被覆率80%以上が可能となる。
(芯材の製造方法4)
以上は、シート状の繊維集合体1を所定の大きさにカットして複数枚積層して芯材5を形成して真空断熱材7を製造したり、シート状の繊維集合体1を複数積層した後に端面5aをカットして所定の大きさに形成して芯材5を形成して真空断熱材7を製造する場合(芯材の製造方法1)や、連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取って芯材5を製造する方法(芯材の製造方法2)や、原反ロールを幅方向に複数組み合わせて1つの大きな幅を有する組み合わせ原反ロール(たとえば組み合わせ原反ロール1305,1306)を複数組み合わせてシート面に対して略直角方向に重ねた状態で巻き取って芯材5,550を製造する方法(芯材の製造法3)について説明した。
上述した芯材の製造方法3では、複数の原反ロールを幅方向に複数並べて1つの所定幅を有する組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール(上側原反ロール)1305と、複数の原反ロールを幅方向に複数並べて1つの所定幅を有する組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール(下側原反ロール)1306と、少なくとも1つづつ使用し、第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kと第2の原反ロール1306の繊維集合体1Hをシート面に対して略直角方向(巻枠1311の半径方向)に重ねて巻枠1311に巻き取って芯材5を製造する方法について説明したが、ここでは、組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール1306の代わりに第1の所定幅を有する単一の原反ロールである第3の原反ロール1307を使用する場合について説明する。
すなわち、少なくとも1つの原反ロールが所定幅を有する連続したシート状の繊維集合体1、1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取った第1の所定幅を有する第3の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jと、第1の所定幅よりも小さい幅を有し連続したシート状の繊維集合体を幅方向に複数組み合わせて略第1の所定幅とする組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kとをシート面に略直角方向に重ねた状態で第1の原反ロール1305が第3の原反ロール1307に対して巻枠1311の半径方向外側になるように巻き取って芯材560を製造する方法について図42〜図45を用いて説明する。
図42は、第1の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロール1307と、第1の所定幅よりも小さな幅の原反ロールを第1の所定幅と略同等になるように幅方向に組み合わせた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール1305とを使用して巻枠1311に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図であり、本実施の形態の別の芯材の製造法を表す図である。図43は少なくとも1つの所定幅を有する原反ロール1307と、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材の斜視図である。図44は少なくとも1つの所定幅を有する原反ロールと、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材の断面図であり、図45は少なくとも1つの所定幅を有する原反ロールと、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材を使用した真空断熱材の斜視図である。
複数の原反ロールのうち、少なくとも1つの原反ロールが第1の所定幅を有する長さ方向に連続したシート状の繊維集合体1、1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取った第1の所定幅を有する第3の原反ロール1307と、第1の所定幅よりも小さい第2の所定幅を有する長さ方向に連続した繊維集合体が第1の所定幅と略同等幅となるように複数組み合わされた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール(たとえば第1の所定幅よりも小さい幅である第2の所定幅の原反ロールのみの組み合わせ、あるいは第2の所定幅の原反ロールと第2の所定幅よりも小さい幅の第3の所定幅の原反ロールとの組み合わせ,あるいは耳部原反ロールとの組み合わせなど)である第1の原反ロール1305とを繊維集合体1、1J、1Kのシート面に略直角方向で第3の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jが巻枠1311の半径方向内側になるように重ねた状態で巻き取って芯材560を製造する場合について説明する。
図において、第1の原反ロール1301は、図12で説明した第1の原反ロール1305(あるいは第2の原反ロール1306)と同等であり同等部分は同一の符号を付して詳細説明は省略するが、ほぼ同じ巻き回数(同じ積層枚数)だけ巻きつけられた略円筒状(あるいはコイル状)の複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)を幅方向にすきま(微小すきまとなるように隣接させて並べても良いし、隙間無く並べても良いし、所定すきまを設けるようにスペーサを介して並べても良い)するように組み合わせて第1の所定幅と略同等の幅を有するように形成されている。
第3の原反ロール1307は、図6〜図9で説明した所定幅を有する長さ方向に連続した繊維集合体1、1Jが巻かれた所定幅を有する略円筒状の原反ロール1301と同等であり同等部分は同一の符号を付して詳細説明は省略する。第3の原反ロール1307は、第1の所定幅を有し、長さ方向に連続した繊維集合体1、1Jがコイル状に連続して巻かれて第1の所定幅を有するように形成されている。ここで、第3の原反ロール1307に巻かれている繊維集合体1、1Jは幅方向に連続しており芯材560の幅Hと同等寸法に設定されている。ここで、第3の原反ロール1307は、第1の所定幅の繊維集合体1、1Jを巻いて製造しても良いし、あるいは、第1の所定幅よりも大きな幅の繊維集合体を略円筒状に巻いたあとで幅寸法が第1の所定幅となるように幅方向をカットすることにより製造してもよい。
ここで、第1の原反ロール1305の複数の略円筒状(あるいはコイル状)の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)は同じ幅であっても良いし異なる幅であっても良い。また、図12に示すような耳部原反ロールであっても良い。
第1の原反ロール1305は、図12に示すように第1の原反ロール1301と同等構造であり、複数の原反ロール(例えば、複数の本体部)が隣接するように幅方向に並べられている組み合わせ原反ロールなので、隣り合う本体部間(例えば、本体部A(1301a)と本体部B(1301b)との間)には微小すきまあるいは所定すきまが存在し、隣り合う本体部は連続しておらず断続するためスリット部(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bとの間のスリット部A、本体部B1301bと本体部C1301cの間のスリット部B、本体部C1301cと本体部D1301dの間のスリット部Cなど)が存在する。また、第3の原反ロール1307は複数の原反ロールのうちの幅方向の端側に配置される原反ロール(例えば本体部A1301aや本体部D1301dなど)に原反ロール素材を所定の幅にカットしたときに発生する稜線の揃っていない耳部を有する耳部原反ロールを使用しても良い。
したがって、第1の所定幅を有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が巻かれた少なくとも1つの第1の所定幅と略同等幅の単一の原反ロール(例えば第3の原反ロール1307)と第1の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が幅方向に複数並べられて第1の所定幅と略同等の幅となるように幅方向に複数組み合わされた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール(例えば第1の原反ロール1305)とを備え、第1の所定幅を有する単一の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jと組み合わせ原反ロール1305の繊維集合体1Kをシート面に対して略直角方向に単一の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jが巻枠1311の半径方向内側になるように重ねた状態で内から外へ連続してコイル状に巻き取られて芯材560が形成される。
したがって、連続した繊維集合体1、1J、1Kをシート面に略直角方向に重ねて巻き取るだけで芯材560を容易に製造することができるまた、従来は廃却される耳部原反ロールを有効に利用でき、低コストで無駄を生じない芯材560、真空断熱材760が得られる。
第1の所定幅を有し、長さ方向に連続したシート状の第3の繊維集合体(第3の原反ロール1307に巻かれた繊維集合体1,1J)と、第1の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が第1の所定幅と略同等幅となるように幅方向に所定すきまを介して複数並んだ第1の繊維集合体(組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305の繊維集合体1K)と、
第1の繊維集合体と第3の繊維集合体が、第1の繊維集合体1Kあるいは第3の繊維集合体1、1Jのシート面に対して略直角方向に重ねられた状態で内側から外側に向かって連続してコイル状に巻かれて平板状に成形された繊維集合体の積層構造から構成された芯材と、
芯材を内部に収納し、内部が減圧された状態で周囲がシールされるシール部を有するガスバリア性の外包材と、
外包材の内部が略真空状態でシール部をシールすることで外包材を密封して製造された真空断熱材を備えたので、原反ロールを所定幅にカットした残りの耳部原反ロールなどの端材を効率良く使用できるので、従来は廃却していた耳部などの端材の有効活用が行える。
また、組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305の個々の原反ロール間(たとえば本体部Aと本体部Bとの間、本体部Bと本体部Cとの間、本体部Cと本体部Dとの間など)に所定幅のスペーサなどを設けて第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kの個々の繊維集合体間(たとえば繊維集合体1Kaと1Kbとの間、1Kbと1Kcとの間、1Kcと1Kdとの間など)にスペーサの幅だけの所定すきまが設定されることになるので、真空断熱材560にも略所定幅の凹部が形成され、この凹部に配管を埋設したり位置決めすることができ、配管の断熱や配管設置の作業時間が低減でき、高効率で低コストの真空断熱材や機器が得られる。
ここで、図42に示すように組み合わせロールである第1の原反ロール1305の第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd)と第3の原反ロール1307の第3の繊維集合体1,1Jをシート面に対して略直角方向に重ねて巻枠1311に巻き取る場合は、第1の原反ロール1305の第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd)を第3の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jよりも巻枠1311の回転軸1315に対して半径方向外側になるように重ねた方が良い。
図9(e)に示すように巻枠1311に連続したシート状の第3の繊維集合体1,1Jと連続したシート状の第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd)が重なった状態で所定の張力で巻枠1311に略円筒形状(コイル状)に巻きつけられ、クランプ部材1320で略円筒状の繊維集合体1,1J,1Kをクランプした後に張力をゆるめて巻枠1311を抜き取る場合に、幅方向に切れ目などの無い第1の所定幅を有する第4の繊維集合体を複数の繊維集合体を隣接させて幅方向に組み合わせたことによって幅方向に切れ目やすきまなどが存在する第1の繊維集合体よりも略円筒状の繊維集合体の最内周側にくるように第3の繊維集合体を第1の繊維集合体よりも巻枠1311の半径方向内側になるようにシート面に対して略直角方向に重ねて巻き取った方が、略円筒状の繊維集合体を巻枠1311から抜き取る場合に最内周側に繊維集合体がばらけて乱れたり、巻枠にひっかかったりしないので良い。
すなわち、第1の繊維集合体と第3の繊維集合体を重ねた状態で巻く場合に、第3の繊維集合体が第1の繊維集合体に対して内側になるように重ねた状態で巻枠1311に内側から外側に向かって巻くようにしているので、巻枠1311に巻かれた略円筒状の繊維集合体を巻枠1311から抜き取るときに、第1の所定幅を有し、幅方向に連続した第3の繊維集合体1,1Jが略円筒状の繊維集合体の最も内側に配置されるようになるため、最も内側に配置される繊維集合体が幅方向に連続していることから幅方向に複数並べられた第1の所定幅よりも小さい幅の繊維集合体を組み合わせた第1の繊維集合体が最内側に配置される場合と比べて繊維集合体がばらけて乱れたり、乱れた繊維集合体が巻枠1311から抜き取る時に巻枠1311にひっかかったりしないので抜き取りやすく芯材560の製造が容易であり作業性が向上し製造時間が短縮できる。また、巻枠1311から抜き取った略円筒状の繊維集合体1,1J,1Kが平板状に成形されて製造される芯材560の品質が安定する。
ここで、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロールの幅や使用する数(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの4つ)については、第1の所定幅を有する第3の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jの第1の所定幅と略同等となるように適宜設定すれば良いが、幅方向に複数並べたときの第1の原反ロール1305の幅(複数の原反ロールと原反ロール間のすきまを加えた合計の幅)は、第3の原反ロール1305の第1の所定幅よりも若干小さい幅に設定した方が第1の原反ロール1305に巻かれた繊維集合体1Kと第3の原反ロール1307に巻かれた繊維集合体1,1Jを第1の原反ロールの繊維集合体1Kが第3の原反ロールの繊維集合体1,1Jよりもシート面に対して略直角方向外側になるように重ねて巻枠1311に巻き取った方が、巻枠1311に巻き取る場合にも個々の繊維集合体がばらばらになりにくく巻き取りやすい。
また、第1の原反ロール1305と第3の原反ロール1307は、第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kが第3の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jよりも巻枠1311に巻き取る場合にシート面に対して略直角方向外側になるように重ねて巻き取られるが、真空断熱材560の製造方法は図9と同等である。図9において巻枠1311に巻き取られる1つの原反ロール1301の代わりに、シート面に対して略直角方向に重ねられた少なくとも2つの原反ロール(例えば図12〜図18にて示した第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306を重ねた場合や、図42〜図45に示した第1の原反ロール1305と第3の原反ロール1307を重ねた場合など)の組み合わせであっても巻き取り方法や芯材の製造方法や真空断熱材の製造方法などは図9に示す工程と同等である。
以上のように、第1の所定幅を有し長さ方向に連続した繊維集合体が巻かれた少なくとも1つの幅方向に単一の原反ロール(例えば第3の原反ロール1307)と第1の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続した繊維集合体が巻かれた原反ロールが幅方向に複数並べられて第1の所定幅と略同等の幅となるように幅方向に複数組み合わされた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール(例えば第1の原反ロール1305)とを備え、組み合わせ原反ロールである第1の原反ロールに耳部原反ロールなどの端材が使用できるので、従来廃棄していた端材などを廃棄する必要がなくなり、低コストで効率よく芯材や真空断熱材が製造できる。
また、単一の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jと組み合わせ原反ロール1305の繊維集合体1Kをシート面に対して略直角方向に複数枚重ねて略円筒状の巻枠1311に所定の張力で内から外へ向かって巻きとり、その後に略円筒状の繊維集合体をクランプ部材1320でクランプしてから張力を緩めて巻枠1311から抜き取って芯材560を製造するようにしたので、簡単な設備で容易に芯材が製造できる。
以上のようにして製造された芯材560の斜視図を、図43に示す。図43において、第1の原反ロール1305(上側ロール)の第1の(有機)繊維集合体1K(たとえば第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke)と第3の原反ローラ1307(下側ロール)の第3の繊維集合体1,1J(下側繊維集合体)は所定すきまXKを介して幅方向に5つの原反ロールが並べられた状態で巻枠1311に巻き取られ、内側から外側に向かって連続的に巻き付けられて積層される。芯材560は、繊維集合体1、1Jのシート面に対して略直角方向に組み合わせ繊維集合体集合体である第1の繊維集合体が単一の第3の繊維集合体の外側に重ねられて巻かれているので、芯材560の外表面には組み合わせ繊維集合体である第1の繊維集合体を構成する複数の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Keが幅方向にすきま(微小隙間であっても良いし所定すきまであっても良い)を介して並んで配置されている。
ここで、第3の繊維集合体の幅と第1の(有機)繊維集合体1Kの幅を略同等にしても良いが、図43に示すように第3の繊維集合体の幅を第1の(有機)繊維集合体1Kの幅よりも大きくして、第1の(有機)繊維集合体1Kの幅方向外側に長さXT(たとえばXTaやXTe)分だけの所定すきまが得られるように第1の繊維集合体1Kを配置しても良い。このように配置すると、第3の繊維集合体の幅方向の少なくとも一方の端側には、長さXTの部分において第1の繊維集合体1Kが無いので、長さXTの部分においては第3の繊維集合体のみが存在する。
したがって、第1の(有機)繊維集合体1Kと第3の繊維集合体とを重ねて内から外へ巻いて平板状に成形したときに、少なくとも一方の幅方向端側の長さXTの部分には第1の(有機)繊維集合体1Kが存在しない芯材560が製造される。よって第1の(有機)繊維集合体1Kと第3の繊維集合体とを重ねて内から外へ巻いて平板状に成形された芯材を外包材4内に挿入し減圧した状態で外包材4をシールして真空断熱材760を製造した場合、図19に示す真空断熱材750と同様に真空断熱材760には幅方向端側に薄肉部H1,H2を有する。この場合、薄肉部H1の長さがXTaと略同等であり、薄肉部H2の長さがXTeと略同等であり、中央部分の幅H3が第1の繊維集合体1Kの幅と略同等となる。薄肉部は真空断熱材760の幅方向両端側に設けてもよいが、少なくとも一方の幅方向端側に設けても良い。
すなわち、第1の繊維集合体1Kにおいて幅方向に所定すきまXKを介して隣接して並んだ複数の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Keのうちの幅方向両端側に配置される幅方向端側繊維集合体1Ka,1Keと第3の繊維集合体の幅方向の端部との間の長さXT(たとえば図43においては、第3の繊維集合体の2つの幅方向端部のうち、一方の幅方向端部と幅方向端側繊維集合体である繊維集合体1Kaの第3の繊維集合体の一方の幅方向端部側の端部との長さXTa、あるいは第3の繊維集合体の他方の幅方向端部と幅方向端側繊維集合体である繊維集合体1Keの第3の繊維集合体の他方の幅方向端部側の端部との長さXTe)分だけ少なくとも第3の繊維集合体の幅が第1の(有機)繊維集合体1Kの幅よりも大きくなるので、真空断熱材760に真空断熱材750と同様に少なくとも幅方向の一方の端側に薄肉部H1(あるいはH2)が得られる。
すなわち、真空断熱材750,760は、芯材550,560が外包材4内で減圧されてシールされた状態で所定厚さtを有し、芯材550,560の幅方向端部の幅方向の断面形状が幅方向外側に向かって突出する薄肉の段部形状(薄肉部H1あるいはH2)となる。
以上のように真空断熱材750,760には、特別な加工などを行わなくても芯材550、560の幅方向の一方の端側あるいは幅方向両端側に真空断熱材750,760の厚さ(芯材5,550,560の厚さt)よりも薄い厚さの薄肉部(図19におけるH1やH2)が得られるので、1つの真空断熱材750,760を円筒形状に折り曲げる場合などに幅方向の端面(薄肉部(H1やH2))同士を厚さ方向に重ね合わせて真空断熱材750,760を接続して使用する場合や、2つ以上の複数の真空断熱材750,760の幅方向端面(薄肉部)同士を厚さ方向に重ね合わせて連続して使用する場合に、複数の真空断熱材750,760の幅方向の端面の薄肉部の厚さ方向の表面同士が接触するように重ねるようにすれば、芯材550,560の存在する部分で接触させることができ、しかも厚さの薄い薄肉部(2枚重ねで1枚がずれている場合は厚さが約半分)を重ねることになるので接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材750,760や真空断熱材750,760を搭載した圧縮機や冷蔵庫や給湯機などの機器を得ることができる。
また、複数の真空断熱材7,700,701,750,760の長さ方向における端面の幅方向に略直角断面での断面形状が長さ方向外側に向かって厚さが小さくなる略三角形状であるので、略三角形状の斜面部分(図11の長さL2の斜面部分)同士が接触するように接続すれば、芯材550,560の存在する部分で接触させることができ、しかも接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材7,700,701,750,760、真空断熱材7,700,701,750,760を搭載した冷蔵庫などの機器を得ることができる。
ここで、長さ方向端部の形状に関しては、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jは長さ方向に連続していなくてもよく、繊維集合体が積層された状態で略三角形状の断面形状であれば良い。すなわち、外包材4の内部で芯材5,550,560が減圧された状態で密封され、所定の長さLと所定の幅Hと所定の厚さtを有する真空断熱材7,700,701,750,760において、芯材5,550,560が繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの積層構造で構成され、長さ方向あるいは幅方向の少なくとも一部の端部の断面が外側に向かって厚さが小さくなる略三角形状であれば良い。また、芯材5,550,560が、所定の幅Hを有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体1,1Jが内から外に向かって連続して巻かれた積層構造であり、芯材5,550,560が外包材4内に密封された状態で芯材5,550,560の長さ方向端部が略三角形状であれば、同様の効果が得られる。
また、幅方向の薄肉部形状(薄肉の突出形状)においても、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jは長さ方向に連続していなくてもよく、長さLの繊維集合体を複数積層しても良い。すなわち、外包材4の内部で芯材5,550,560が減圧された状態で密封され、所定の長さLと所定の幅Hと所定の厚さtを有する真空断熱材7,700,701,750,760において、長さ方向あるいは幅方向のいずれかの端部に厚さの薄い薄肉部750a,750bを有し、薄肉部750a,750bが外側に向かって突出していれば良い。また、芯材5,550,560は所定の幅Hを有する複数のシート状の繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jが重った状態で積層された積層構造であり、薄肉部750aは複数の繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jのうちの少なくとも1つが幅方向に所定量だけずれた状態で複数積層されることで形成されていれば同等の効果が得られる。
以上より本実施の形態の真空断熱材750,760は、所定厚さを有する平板状であり、平板状の一方向(たとえば長さ方向)端部の断面形状が外方に向かって厚さが小さくなる略三角形状とし、あるいは他方向(たとえば幅方向)端部の断面形状が厚さの薄い薄肉部を有する段部形状としているので、芯材550,560を重ねて巻き取るだけの簡単な方法で容易に製造でき、端材を有効に利用できる。
また、長さ方向や幅方向に特別な加工など施さなくても端部形状を接続可能な形状にできるので、端部を接触させて接続すれば接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材750,760や真空断熱材750,760を搭載した圧縮機や冷蔵庫や給湯機などの機器を得ることができる。
ここで、芯材560は、図9に示された芯材5や芯材550と同様に2つのクランプ部材1320で2箇所をクランプされた状態で2つのクランプ部材1320を相反する方向(離間する方向)へ移動させるため、クランプされた部分で繊維集合体が折れ曲がり端部560fで折りたたまれて(折り曲げられて)平板状に製造される。芯材560の長さ方向の端部である折れ曲がり端部560fで折りたたまれた芯材560は、図9に示された芯材5と同様に繊維集合体1,1J,1Kの巻き方向上流側560fa側から外包材4の開口部4a内に挿入され、内部が減圧された状態でシールされて真空断熱材760が完成する。
図44は、平板状に折りたたまれた芯材560の幅方向の断面形状を示しており、芯材560は内側から外側に向かって長さ方向に連続し、幅方向にも連続した幅方向に単一の繊維集合体1,1Jと長さ方向に連続し、幅方向に複数に分割された幅方向に複数の第1の(有機)繊維集合体1Kとがシート面に略直角方向に重なった状態で連続して巻き取られ、平板状に折りたたまれている。そして、幅方向に連続し幅方向に単一の繊維集合体1、1Jが、幅方向に複数の繊維集合体が並んだ第1の(有機)繊維集合体1Kよりも内側になるように重ねて内側よりコイル状に巻き取られているので、第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke)が芯材560の外表面にくるように巻かれる。このとき、第1の(有機)繊維集合体1Kの個々の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Keの間は所定隙間XKに設定されており、スリット部560K(第3のスリット部)が形成されている。所定すきまXKは、個々の所定すきまXKab,XKbc,XKcd,XKdeであって、この個々の所定すきまXKab,XKbc,XKcd,XKdeは、同じであっても異なっていても良い。
図45は、芯材560が外包材4の内部に挿入され、内部が減圧された状態で外包材4の開口部4aがシールされて密封された真空断熱材760を表している。真空断熱材760には、幅方向に芯材560に設けられている所定すきまXKと略同等幅の凹み部760x(溝部であって、たとえば、第1の凹み部760x1,第2の凹み部760x2,第3の凹み部760x3,第4の凹み部760x4)が長さ方向に連続して幅方向に複数設けられている。ここで、第1の凹み部760x1,第2の凹み部760x2,第3の凹み部760x3,第4の凹み部760x4の幅は、同じでも異なっても良く、配管の大きさなどにより適宜設定すれば良い。
ここで、所定すきまXKは、芯材560の巻き方向(長さ方向)に連続しているので、芯材560を使用して真空断熱材760を製造すれば、所定すきまXKと略同等幅で長さ方向に連続し、深さが真空断熱材760の厚さの約1/4の凹み部560X(溝部)が平板状の真空断熱材760の平板面の両側(両側の凹み部の凹み深さを合わせると真空断熱材760の厚さの約半分(約1/2)の深さとなる)はにできるので、この凹み部内に配管(たとえば凝縮パイプや吸入配管や吐出配管など)やリード線などの少なくとも一部を配置することで配管の断熱や、リード線の収納が別部材を用いなくても容易にできる。また、配管やリード線などの位置決めが凹み部760x内に配置するだけで位置決めも同時に可能となるため、位置決めのための別部材が不要であり、作業性も大幅に向上する。また、別途、レーザー加工などで折り曲げのための凹部を設けることなく、凹み部760xより容易に折り曲げることもできる。
以上説明したように、本発明の真空断熱材の製造装置は、所定幅にカットされた略円筒形状の原反ローラ1301に巻きつけられた所定の幅を有する繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを所定回数R分だけ略円筒状あるいはコイル状あるいは多角形状に巻き取る巻枠1311と、巻枠1311に巻き取られた繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを切断する切断手段と、巻枠1311に所定回数R分だけ巻き取られて切断された繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311より抜き取った後に繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを平板状の芯材5に成形する成形部材(例えばクランプ部材1320)と、を備えたので、簡単な構成で容易に芯材550を製造することができ、製造時間も短縮できる。また、巻き方向に連続して巻かれるため、長さ方向端面をカットする必要がなくなり、幅方向も予めカットされた原反ロールを使用するのでカットする必要がないので、芯材550をカットする必要がない。また、芯材550の端面をカットするための製造設備も不要であり、カットする時間も不要となるので、製造設備も安価にでき、低コストな芯材550、真空断熱材7,750が得られる。また、小さな幅の原反ロールの本体部(繊維集合体)を複数組み合わせることで大きな幅の芯材5,550を製造できる。また、複数の原反ロールの数や複数の原反ロールの幅を適宜選定することによって、原反ロールの幅にとらわれずに芯材5,550の幅を自由に設定できるので、芯材5,550の設計の自由度が大きくなる。また、幅の小さな原反反ロールから幅の大きな芯材を製造できるので、原反ロールの保管場所が小さくて済み、大きな保管場所が必要ない。また、繊維集合体を複数積層するためにわざわざ1枚ごとに所定の大きさにカットする必要がなく、また、1枚ずつ積層する必要もない。また、連続した帯状のシート状部材を交互に異なった方向に折り返して折り目をつけて重ね合わせるように積層して芯材5,550を形成する場合に比べて、高価な折り目をつけて折り返す装置などが不要である。したがって、積層設備などが不要であり、芯材5,550の製造が繊維集合体を巻き取るだけの簡単な設備で短時間で容易に芯材5,550を製造できる。
また、本発明の真空断熱材の製造装置は、巻枠1311が複数分割された円周部材1312を備え、複数の円周部材1312のうちの少なくとも1つ(例えば可動可能な円周部材1312a,1312b)を回転中心(回転軸1315)方向に可動とし、巻枠1311に繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jが巻き取られた後に可動可能な円周部材1312a,1312bを回転中心方向に稼動させて繊維集合体1、1Jの張力をゆるめて繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から抜き取るようにしたので、所定の張力をもって巻枠1311に、例えば略円筒状に巻きつけられていた連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめてから、略円筒状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から容易に抜き取ることができる。すなわち、巻枠1311に所定の張力を持って巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめることにより巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311から抜き取りやすくなる。
また、本発明の真空断熱材の製造装置は、繊維集合体1、1Jを巻枠1311から抜き取る場合にクランプ部材1320にてクランプして抜き取るようにしたので、簡単な構成で容易に巻枠1311から繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを抜き取ることが可能となる。また、2つのクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)を使用して連続したシート状繊維集合体1Jを2箇所でクランプした状態のままで2つのクランプ部材1320c,1320dを略直線方向反対側方向(略180度反対方向)に可動あるいは移動させるようにすれば、複数回巻き付けられて複数積層された連続したシート状繊維集合体1Jが2つのクランプ部材1320c,1320dにより相反する方向に引っ張られてクランプされた部分より折れ曲がった平板状に形成されるので、連続したシート状繊維集合体1Jが内側から外側に向かって連続的に巻かれて複数層積層された平板状の芯材550が簡単な設備で容易に成形できる。
また、本発明の真空断熱材の製造方法によれば、所定幅にカットされた略円筒形の原反ローラ1301に巻きつけられた所定の幅を有する連続したシート状繊維集合体1Jを所定回数R分だけ巻枠1311に巻き取る巻き取りステップと、巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jを切断する切断ステップと、巻枠1311に所定回数R分だけ巻き取られて切断された連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311より抜き取る分離ステップと、分離ステップにて巻枠1311より抜き取られた連続したシート状繊維集合体1Jを平板状の芯材550に成形する成形ステップと、ガスバリア性を有する外包材4の内部に芯材550を収納して内部を減圧した状態でシールする外包材シールステップと、を備えたので、簡単な方法で芯材550を短時間で製造できる。また、巻き方向に連続して巻かれるため、長さ方向端面をカットする必要がなくなり、幅方向も予めカットされた原反ロールを使用するのでカットする必要がないので、芯材550をカットする必要がない。したがって、芯材550の端面をカットするための製造設備も不要であり、カットする時間も不要となるので、低コストな芯材550、真空断熱材7,750が得られる。
また、本発明の真空断熱材の製造方法によれば、分離ステップが、巻枠1311に所定回数R分だけ巻き取られて切断された連続したシート状繊維集合体1Jをクランプ部材にてクランプするクランプステップと、クランプステップにてクランプされた連続したシート状繊維集合体1Jの巻枠1311に対する張力をゆるめる繊維集合体張力緩和ステップと、張力緩和ステップにて張力が緩められた連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311より抜き取る巻枠除去ステップ、とから構成されてなるので、簡単な方法で容易に巻枠1311から連続したシート状繊維集合体1Jを抜き取ることができる。
また、本発明の真空断熱材の製造方法によれば、成形ステップが、クランプ部材1320を2つ(クランプ部材1320c、1320d)使用して連続したシート状繊維集合体1Jを2箇所でクランプして2つのクランプ部材を略反対方向に可動させて芯材を平板状に成形するようにしたので、クランプ部材1320を使用するだけの簡単な方法で容易にシート状の芯材550を製造できる。
また、連続したシート状繊維集合体1Jが連続した有機繊維をシート状に形成したものであるので、無機繊維であるガラス繊維を使用した場合に比べて粉塵による人体への悪影響が抑制でき、リサイクル性も良好な芯材550、真空断熱材7,750が得られる。
本実施の形態では、繊維に連続した有機繊維2を使用し、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを使用して内側から外側に向かって連続的に巻枠に巻きつけて芯材5や真空断熱材7などを製造する製造装置や製造方法であっても良く、本実施の形態の製造装置や製造方法においては、使用する繊維は連続した長繊維でなくてもよい。ただし繊維集合体は連続したシート状であればよく、巻枠に所定の張力で巻きつけるときにシート状の繊維集合体が破損などしなければ良い。したがって繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jでなくても良く、無機繊維集合体であっても良い。本実施の形態の製造装置や製造方法においては、連続したシート状の繊維集合体であれば、同様の効果を奏する。なお、連続したシート状の繊維集合体をそのまま使用しても良いが、連続したシート状の繊維集合体が原反ローラに巻かれた原反ロールの状態であれば、製造が容易でしかも取り扱い性が向上するのでさらに良い。
ここで、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを重ねて巻き取って芯材5,550を製造する場合、所定量Xbだけラップさせずに巻き取って芯材5,550を製造しても良い。繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの重ねる枚数を多くすれば、重ねる枚数分だけ繊維集合体の種類を変更することができる。すなわち、繊維集合体の重量目付けの異なる繊維集合体を使用したり、繊維集合体に使用する繊維の種類が異なる繊維集合体(例えば温度特性の異なる繊維や、繊維径の異なる繊維や、引っ張り強度の良い繊維や、熱伝導率特性の異なる繊維など)を機器の使用環境に合わせて混在させることができるので、使用形態に合わせた芯材や真空断熱材が得られる。したがって、断熱性能の確保と高温耐力の両立や、断熱性能の確保と人体への悪影響の回避、リサイクル性の向上の両立が可能となる。この場合は複数枚繊維集合体を重ねるとしても所定量Xbだけずらす必要がないので、同じ幅の繊維集合体をずらさずに重ねて巻き取って芯材5を形成すれば良い。また、異なる幅の繊維集合体を重ねて巻き取って芯材5を形成しても良い。
ここで、高温貯湯される給湯機の貯湯タンクや高温になる部分を有する圧縮機などの高温部(例えば70℃以上)を有する機器の断熱に使用される真空断熱材が必要な場合は、高温耐力(耐熱性)のある繊維(有機繊維であるLCPやPPS、あるいは無機繊維であるガラス繊維などを単独、あるいは組み合わせた繊維)を少なくとも1枚の繊維に使用するようにすれば良い。この場合、高温耐力(耐熱性)のある繊維を使用した繊維集合体を芯材が形成されたときの表面側に配置されるように重ねて真空断熱材を製造すれば良い。このようにすれば、真空断熱材としても表面側には高温耐力(耐熱性)のある繊維を使用した繊維集合体が配置されるので、高温耐力(耐熱性)のある繊維を使用した繊維集合体が機器の高温部側に配置されるように真空断熱材を設置すれば、高温部を有する機器の断熱が可能となる。
また、高断熱性能が要求される冷蔵庫などの機器や断熱箱体などの断熱に使用される真空断熱材の場合は、断熱性能が要求されるので、固体熱伝導率が小さく断熱性能の向上が期待できる繊維(例えば有機繊維であるポリスチレンや無機繊維であるガラス繊維など)を少なくとも1枚の繊維に使用するようにすれば良い。
また、リサイクル性が要求される冷蔵庫や空調機や給湯機などの機器の断熱に使用される真空断熱材の場合には、無機繊維であるガラス繊維を使用すると、例えば冷蔵庫では、リサイクル工場で製品ごと粉砕されるので、ガラス繊維は、ウレタン屑などに混じってサーマルリサイクルに供されるが、ガラス繊維は、燃焼効率を落としたり、残渣となるなど、リサイクル性が良くないので、ポリエステルやポリスチレンやLCPなどの有機繊維を使用するようにすれば良い。
また、環境問題や人体への悪影響を考えた場合でも、ガラス繊維は硬くて脆いため、真空断熱材の製造時や解体時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着すると刺激を受ける可能性があり、その取り扱い性、作業性が課題となるので、有機繊維を使用した方が良いのは言うまでもない。
また、有機繊維2がシート状に形成された繊維集合体1の積層構造で構成され、所定の長さあるいは幅で端面がカットされたカット部を有する芯材5、550と、芯材5、550を内部に収納し、芯材5、550よりもシール長さ分だけ大きい範囲のシール部を有し、内部を減圧した状態でシールするガスバリア性の外包材4と、を備え、有機繊維2に芯材5、550の長さLあるいは幅Hと同等程度以上に連続した繊維を使用し、カットにより生じた残存繊維がカット部よりはみ出すのを抑制するようにしたので、芯材に長繊維の繊維集合体を使用しているため、不織布シートである繊維集合体1のカット部(例えば、シートの端面のカット部や穴加工のカット部や切り欠き加工部のカット部など)にカットにより発生した残存繊維がはみ出して出てくるのを抑制でき、芯材に短繊維を使用した場合に発生するカット部よりのカットにより発生した残存繊維のはみ出しだしなどが発生しない。したがって、芯材を外包材に挿入してシールするときにはみ出した残存繊維によりシール性が損なわれることがない。
また、芯材550が、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hが内側から外側に向かって連続して巻かれた積層構造で構成され、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hが折り曲げ部で折り曲げられた平板状に構成されているので、所定の大きさ(幅や長さ)にカットされた不織布シート(繊維集合体)を1枚づつ積層する必要がなく、安価な製造設備で簡単に低コストで芯材5を製造できる。
また、芯材5,550は、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの巻き終わり端部1Je,551Jeが折れ曲がり端部5f(折り曲げ部)近傍に位置するようにしているので、芯材5の平板部5gに巻き終わり端部1Jeが位置しないので平板部5gに段差ができず、見栄え良い。また、ウレタンを断熱箱体内に流動させる場合などに段差が障害になってウレタンの流動を阻害することがない。したがって、ウレタンの流動不足による断熱性能の低下が抑制できる。
また、外包材4は、芯材5,550を挿入する開口部4aを備え、繊維集合体1(例えば、有機繊維)の巻き終わり端部1Je,551Jeが長さ方向に2つある折れ曲がり端部5f(折り曲げ部)のうち、一方の折れ曲がり端部5f近傍に位置する場合には、巻き終わり端部1Je,551Jeが位置しない他方の折れ曲がり端部5fa(折り曲げ部)側から芯材5を外包材4内に挿入するようにすれば、芯材5,550を外包材4の開口部4aから挿入する場合に芯材5,550が開口部4aに引っ掛かったりせず、芯材5,550が外包材4にスムーズに挿入でき、挿入性が大幅に改善でき、短時間で真空断熱材7,750が製造できる。
また、外包材4は、芯材5,550を挿入する開口部4aを備え、繊維集合体1の巻き終わり端部1Je,551Jeが折り折れ曲がり端部5f近傍に位置していない場合には、繊維集合体1の巻き終わり端部1Je,551Jeの位置に対して繊維集合体1の巻き方向上流側(反巻き方向側)の折れ曲がり端部5fa側から芯材5を外包材4内に挿入するようにすれば、芯材5,550を外包材4の開口部4aから挿入する場合に芯材5,550が開口部4aに引っ掛かったりせず、芯材5,550が外包材4にスムーズに挿入でき、挿入性が大幅に改善でき、短時間で真空断熱材7,750が製造できる。
また、所定の幅になるように幅方向端面がカットされた端面1aを有し、長さ方向に連続したシート状に形成された繊維集合体1が内側から外側に向かって長さ方向に連続して巻かれた積層構造で構成された芯材5,550と、芯材5,550を内部に収納し、芯材5,550の端面1aよりもシール長さ分だけ大きい範囲で、端面1aの周囲をシールするシール部分45を有するガスバリア性の外包材4と、を備え、繊維集合体1を形成する有機繊維2に芯材5,550の幅と同等かそれ以上の長さの長繊維を使用するようにしたので、芯材5,550に長繊維の有機繊維集合体を使用しているため、不織布シートである繊維集合体1のカット部(例えば、シートの端面のカット部や穴加工のカット部や切り欠き加工部のカット部など)にカットにより発生した残存繊維がはみ出して出てくるのを抑制でき、芯材に短繊維を使用した場合に発生するカット部よりのカットにより発生した残存繊維のはみ出しだしなどが発生しない。したがって、芯材を外包材4に挿入してシールするときにはみ出した残存繊維によりシール性が損なわれることがない。また、リサイクル時に真空断熱材7,750の芯材5,550が有機繊維で形成されているので、ウレタン屑などに混じってサーマルリサイクルに供されても燃焼効率を落とすことがなく、また残渣の発生を抑制できるので、リサイクル性に優れる冷蔵庫や給湯機や電気温水器や冷凍・空調装置などの機器が得られる。また、分解時や解体時にガラス繊維の破砕粉による粉塵も発生しないので、吸込んだり皮膚に刺さったりすることがなくなり人体への悪影響も抑制でき、環境にやさしい真空断熱材や機器が得られる。
(断熱性能1)
(繊維集合体の厚さ)
以下、繊維に長繊維の有機繊維2を使用し、繊維集合体1に有機繊維集合体を使用した場合について説明する。まず、有機繊維集合体の厚さの断熱性能に及ぼす影響をについて、本実施の形態の繊維集合体1を積層した芯材5,550を使用した真空断熱材7,750を実施例1〜4として、比較例1(綿状芯材)との比較を行った。その比較結果について説明する。
比較例1は、本実施の形態の繊維集合体1を使用した実施例1〜4の繊維径(約15μm)と略同等の径である綿状ポリエステルを芯材に用い、上述した製造方法で実施例1〜4と同様の方法で真空断熱材7を製造した。
製作した実施例1〜4および比較例1(いずれも真空断熱材7)は、熱伝導率計「AutoΛ HC−073(英弘精機(株)製)」を用いて、上温度37.7℃、下温度10.0℃の温度差における熱伝導率を測定した。なお、測定は真空引き工程を実施し、その後外包材内のガスや水分が吸着剤6に吸着されて真空断熱材(外包材内)の熱伝導率が安定するまで1日程度放置してから測定した。
ここで、繊維集合体1の一枚の厚さは、真空断熱材7の厚さから外包材4の厚さの2倍を引いた後、積層枚数で割った値である。
また、平均繊維径は、マイクロスコープを用いて測定した100箇所の測定値の平均値とした。真空引き後の一枚の厚さを平均繊維径で割った結果を表1に示す。
図20は実施の形態1を示す図で、真空断熱材7,750の断熱性能を説明する相関図である。図20の横軸は繊維集合体1の厚さを平均繊維径で割った数値、縦軸は断熱性能比である。なお、断熱性能比は、比較例1の熱伝導率を実施例1〜4の熱伝導率で、それぞれ割った数値(実施例1〜4の熱伝導率を比較例の熱伝導率で割った値の逆数に同じ)である。すなわち、この断熱性能比は、数値が大きいほど断熱性能が良いことを表す。
図20より、繊維集合体1の厚さが平均繊維径の18倍未満(図の[断熱性能比]が略1[繊維集合体の厚さ/平均繊維径]に相当)になると、綿状繊維を芯材にした比較例1の場合よりも断熱性能が向上していることがわかる。これは、繊維集合体1の厚さが小さいほど、繊維が断熱方向(シート状繊維集合体の厚さ方向)と略直角方向である面方向(シート状の繊維集合体1の長さや幅方向)に配向しやすく、すなわち断熱方向への真空断熱材7,750内の固体伝熱のパスが長くできるので、断熱性能が向上できたと考えられる。
また、繊維集合体1の厚さは、平均繊維径の1倍に近づけば近づくほど断熱性能がよくなる。よって、繊維集合体1の厚さは平均繊維径の1〜18倍がよいことがわかった。
なお、繊維集合体1の厚さが、繊維径の8倍以下になると断熱性能が急に(極端に)向上する。そのため、繊維集合体1の厚さは、平均繊維径の1〜8倍であることがより望ましい。ここで、繊維集合体1の厚さに対して平均繊維径は小さいほど断熱性能は向上することが分かったが、繊維集合体1の厚さが平均繊維径の1倍では製造困難となることから、平均繊維径は繊維集合体1の厚さの3倍以上が望ましい。
ここで、繊維集合体1の厚さが平均繊維径の3倍未満では繊維集合体1の生産性が悪くなり製造時のラインスピードを極端に遅くしなければならなくなり生産効率が極端に低下するので、繊維集合体1の厚さは平均繊維径の3倍以上が好ましい。
以上より、繊維集合体1の厚さが、平均繊維径の1倍以上18倍以下になるように製造された繊維集合体1を真空断熱材7,750の芯材5,550に使用すれば、綿状繊維を芯材に使用した場合よりも断熱性能が向上する。
特に、繊維集合体1の厚さが、平均繊維径の1倍以上8倍以下になるように製造された繊維集合体1を真空断熱材7,750の芯材5,550に使用すれば、さらに断熱性能が向上する。
また、繊維集合体1の厚さが、平均繊維径の3倍以上18倍以下(好ましくは平均繊維径の3倍以上8倍以下)になるように製造された繊維集合体1を真空断熱材7,750の芯材5,550に使用すれば、上記断熱性能向上の効果に加えて生産性が向上し、生産コストが安価にでき、低コストで高性能で信頼性の高い真空断熱材7が得られる。
(断熱性能2)
(繊維直径と繊維間距離)
次に有機繊維2の直径と繊維間距離とが断熱性能に及ぼす影響について説明する。
図21は実施の形態1を示す図で、例えば真空断熱材7に使用される芯材5の縦断面構成を拡大して示す概略図である。図21に基づいて、芯材5の構成について詳細に説明する。図21においては、芯材5は、例えば繊維集合体1の各層を、有機繊維2がシート状不織布の厚さ方向への重なりがないように一方向に配向した状態にし、上下に積層される各層は有機繊維2が略直交するように重ねることで構成した場合である。
具体的には、芯材5について、例えば、紡糸した繊維を繊維同士の重なりがないように一方向へ配向して並べて形成した繊維集合体1を、繊維の方向が略直交するように交互に積層して形成した場合である。ここで、平均繊維径をd、平均繊維間隔(平均繊維間距離、繊維と繊維との間の間隔)をPとしている。
繊維集合体1の各層は、フィルムを延伸して分子配向させた後に、割り裂くようにして製造してもよい。このような方法を用いれば、フィルムを割り裂く際、繊維を完全に分離させずに、部分的に繊維間の連結部を残すようにすることができる。割り裂き後のシートを、繊維方向と略直交する方向に引き伸ばして、繊維と繊維との間に間隔Pを持つようにすることで繊維集合体1を製造することができる。それにより、芯材5の取り扱い性が向上する。なお、繊維集合体1を構成する繊維の材質には、例えばポリエステル等を使用するとよい。
次に、得られた芯材5を、プラスチックラミネートフィルムの外包材4に挿入する。それから、芯材5を挿入した外包材4を、温度100℃で5hr程度乾燥させる。その後、不織布袋に入ったCaO(吸着剤6)を5(g)程度、外包材4内に配置してから、芯材5及び吸着剤6が収容された外包材4を真空チャンバ内にセットする。そして、真空チャンバ中で3Pa程度まで真空引きし、そのまま真空チャンバ内で開口部をヒートシールして真空断熱パネルとしての真空断熱材7が完成する。
図22、図23は実施の形態1を示す図で、図22は真空断熱材7の熱伝導率の測定結果を示す図、図23は図22で示した測定結果をグラフ化した図である。図22及び図23に基づいて、上記方法で得られた真空断熱材7の断熱性能評価として行った熱伝導率の測定結果について説明する。
図22及び図23は、各層内の平均繊維間隔(P)/真空断熱材7の平均繊維径(d)と、熱伝導率[W/mK]との関係を示している。なお、図22には、比較例として綿状繊維(例えば、ポリエステル繊維)を芯材5に用いた真空断熱材7の熱伝導率を合わせて示している。また、図23において、横軸は平均繊維間隔/平均繊維径(P/d)、縦軸は熱伝導率[W/mK]である。
図22及び図23に示す測定結果から、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の2.5倍乃至8.5倍の範囲(P/dが2.5倍以上8.5倍以下の範囲)で、比較例である綿状芯材を使用した真空断熱材7の熱伝導率0.0030[W/mK]よりも、この実施の形態1に係る真空断熱材7の熱伝導率は小さくなる。すなわち、この実施の形態1に係る真空断熱材7が、断熱性能に優れていることが分かる。
これは、比較例の綿状繊維を芯材5に用いた真空断熱材7では、繊維の配列が不規則なため繊維が伝熱方向(断熱方向)である厚さ方向に向かっている箇所がある。この繊維が厚さ方向に向かっている部分から熱が伝わって漏洩して断熱性能が悪化する。それに対し、この実施の形態1に係る真空断熱材7は、伝熱方向である厚さ方向には、別の繊維との接点を介して点接触でしか伝熱することがないので、接触熱抵抗の効果が得られる。
この実施の形態1に係る真空断熱材7は、伝熱方向である厚さ方向の熱の漏洩が少なく、それに伴って芯材5を伝わる固体伝熱を低減できる。そのため、この実施の形態1に係る真空断熱材7は、熱伝導率を低減でき、すなわち断熱性能が向上する。
一方、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の2.5倍より小さい場合(P/dが2.5倍未満の場合)には、小さくなればなるほど比較例である綿状繊維を芯材5に用いたものよりも、この実施の形態1に係る真空断熱材7の熱伝導率が急激に大きくなり、すなわち断熱性能が急激に悪化していくことが分かる。
これは、比較例である綿状繊維を芯材5に用いたものに比べて、この実施の形態1に係る真空断熱材7の繊維が密になるためであり、伝熱の経路が短くなり、また真空断熱材7中での固体の体積分率が高くなったからであると考えられる。
ここで、平均繊維間隔(P)を広く、すなわち平均繊維径(d)の2.5倍以上(P/dが2.5倍以上)にしていくと、真空断熱材7中の固体の体積分率を小さくでき、また伝熱距離を長くすることができるので、熱伝導率が次第に小さくなったということからも理解できる。
また、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の4倍乃至7倍の範囲(P/dが4倍以上7倍以下)では、ほとんど熱伝導率が0.0020[W/mK]程度で変わらない。熱伝導率がガラス繊維を芯材5に用いた従来の一般的な真空断熱材7の熱伝導率である0.0020[W/mK]程度と同等となり、優れた断熱性能を発揮することができる。平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)が7倍を越えたところ(P/dが7倍より大きくなったところ)から熱伝導率が急激に大きくなる。すなわち、この実施の形態1に係る真空断熱材7の伝熱性能が急激に悪化してくることが分かる。これは、平均繊維間隔(P)を広くするにつれて、繊維どうしの接点を支点とする繊維のたわみが大きくなり、厚さ方向へ繊維が向いてしまい、各層の間をまたいで繊維同士の接触が発生してしまったからだと推定される。
以上より、この実施の形態1に係る真空断熱材7は、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の2.5倍乃至8.5倍の範囲(P/dが2.5倍以上8.5倍以下の範囲)で、従来の綿状芯材を使用した真空断熱材7、750の熱伝導率0.0030[W/mK]よりも熱伝導率が小さくなり、すなわち断熱性能に優れる。
また、この実施の形態1に係る真空断熱材7は、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の4倍乃至7倍の範囲(P/dが4倍以上7倍以下)で使用すれば、熱伝導率がガラス繊維を芯材5に用いた従来の一般的な真空断熱材7、750の熱伝導率である0.0020[W/mK]と略同等となり、優れた断熱性能を発揮することができる。
したがって、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の2.5倍以上8.5倍以下に設定すれば断熱性能の優れた真空断熱材7を得ることができる。好ましくは、平均繊維間隔(P)が平均繊維径(d)の4倍以上7倍未満に設定すれば、更なる断熱性能の向上が見込める。
(断熱性能3)
(加熱溶着の影響)
次に芯材5,550に繊維集合体1を使用し、繊維集合体1がエンボス加工110による熱溶着を施した不織布である場合の目付けの断熱性能への影響を説明する。
上述したように、繊維集合体1である長繊維不織布は、押出機で溶融させて紡糸ノズルから押出した連続繊維を、コンベア上に捕集し、コンベアを任意の速度で送り、熱ローラで例えばドット状の熱溶着部をつけるエンボス加工110を行うことで、シートを構成する繊維がばらけたり繊維がはがれたりしにくくなるため不織布シート(繊維集合体1)の取り扱い性が向上し、取り扱い強度を確保しながら巻き取り可能な長繊維不織布が得られる。
図24は実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の繊維集合体1である不織布の断面図である。図24において、シート状の繊維集合体1には、適宜、エンボス加工110が設けられて熱溶着されている。この図では、エンボス加工110は、シート状の繊維集合体1の表面から裏面まで貫通(シートの厚さ方向へ貫通)して設けられている。
エンボス加工110による熱溶着工程では、エンボス加工110の熱溶着部が表面から裏面、つまり厚さ方向へ貫通するように、捕集コンベアの速度などの製造条件を調整し、重量目付け(単位面積あたりの繊維の重量)を変えることで繊維集合体1である長繊維不織布を製造できる。ここで、エンボス加工110については、シートに熱溶着が確実に行えるようにその大きさ(略円形の場合は直径、多角形の場合は一辺の長さ))は、0.3mm程度以上必要である。またエンボス加工110を伝わって熱伝導が発生して断熱性能が低下しないように、エンボス加工110の大きさは、5mm程度以下が望ましい。
例えば、エンボス加工110が円形の場合は直径が0.3mm以上5mm程度以下、多角形の場合は一辺が0.3mm以上5mm程度以下となるように設定した方が良く、好ましくは0.5mm以上1.5mm以下が良い。
本実施の形態では、エンボス加工110を、略円形で直径0.5〜1mm程度となるように設定して断熱性能が向上し、熱溶着が確実に実施できる仕様とした。シートに占めるエンボス加工110の占める割合は、断熱性能の低下の少ない8%程度とした。また、平均繊維径の測定は、マイクロスコープを用いて数箇所〜数百箇所(例えば十箇所)測定し、平均値を使用するようにすれば良い。また、重量目付け(1m2あたりの繊維の重量(g))は、シート1枚の面積と重量を測定して、シート1枚の単位面積あたりの重量として求めればよい。
次に、得られた不織布を例えば、それぞれ300枚積層して芯材5とし、アルミ箔ラミネートフィルムの外包材4に挿入して約100℃で、約5時間乾燥させる。乾燥後、芯材5の入った外包材4内に、通気性袋に入った水分吸着剤(CaO)5gやガス吸着剤などの吸着剤6を配置して、チャンバ式の真空包装機内にセットし、真空引きを行った。真空引きは、チャンバ内が3Paになるまで行い、真空チャンバ内で開口部をヒートシールして真空断熱パネルとして真空断熱材を7,750製造した。
得られた真空断熱材7の熱伝導率測定結果を図25、図26のグラフに示す。図25、図26は実施の形態1を示す図で、図25は真空断熱材7の重量目付けと熱伝導率の相関を表す図、図26は真空断熱材7,750の重量目付けと熱伝導率の相関を表す図である。
図25、図26において、縦軸は熱伝導率[W/mK]、横軸は重量目付け[g/m2]である。通常、目付けは、1m2あたりの繊維の重量(g)を示す重量目付け[g/m2]で表される。また、繊維の材質が比重の異なるその他の材質でも比較できるように、1m2あたりの繊維の占める体積(cc)を示す体積目付け[cc/m2]で表すこともできる。ここで体積目付け[cc/m2]で表す場合には、繊維の体積は、重量を測定して比重(例えばPETの場合は自重は1.34)より換算するなどして求めれば良い。
図25は表2に示す実施例5〜8の有機繊維を芯材5,550として使用した場合の重量目付けと熱伝導率の関係を表している。
図26より、70[g/m2]以下の重量目付けで、従来の綿状の芯材5,550を用いた場合の真空断熱材7の熱伝導率0.003[W/mK]と、本実施の形態の繊維集合体1を使用した不織布を芯材5,550とした場合の熱伝導率が同等となる。従って、重量目付けを70[g/m2]以下とすれば、従来の綿状の芯材5を用いた場合の真空断熱材7の熱伝導率0.003[W/mK]よりも、本実施の形態1に係る真空断熱材7の熱伝導率を小さくでき、すなわち断熱性能が高くなることが分かった。
これは、目付けを低くすることで、繊維の占める割合が少なくなり、不織布の厚さが薄くなり、不織布中の繊維が断熱方向と略直交する方向である面方向(長さ方向や幅方向)により向きやすくなる。したがって繊維が厚さ方向(断熱方向)に向きにくくなるため、繊維の厚さ方向への熱伝導が抑制されるためであると考えられる。したがって、本実施の形態では、綿状芯材の場合の熱伝導率0.003[W/mK]よりも小さくなる範囲で製造バラツキ等を考慮して重量目付けの上限を70[g/m2](以下)としている。そのため、断熱性能が損なわれず、製造容易でリサイクル性に優れた真空断熱材7,750が得られる。
70[g/m2]を超える重量目付けでは、繊維の配向方向が断熱方向である厚さ方向に向きやすいことと、エンボス加工110の熱溶着部が厚さ方向への伝熱経路となってエンボス加工110の熱溶着部の影響が増加し断熱性能が低下したためと考えられる。
ここで、図25より、重量目付けが26[g/m2]より高くなると、急激に熱伝導率が0.002[W/mK]程度より大きくなるので、重量目付けは26[g/m2]以下が好ましい。重量目付けを26[g/m2]以下にすれば、熱伝導率がガラス繊維を芯材5にした従来の一般的な真空断熱材7の熱伝導率である0.002[W/mK]程度と同等以下にできるので、断熱性能の高い真空断熱材7が得られる。
なお、目付けは小さくするほど不織布中の繊維が面方向(長さ方向や幅方向)に向きやすくなり、また、熱溶着部の影響も小さくできると考えられる。しかし、目付けを低くしすぎると製造しにくくなるとともに、また不織布の均一性が低下するなどの要因で強度が弱くなり、重量目付けが4.7[g/m2]より低い目付けでは不織布として巻き取ることができず途中で繊維が切れてしまう場合が発生する。
したがって、本実施の形態では、真空断熱材7として、エンボス加工110を施こす場合は、不織布の重量目付けを不織布の巻き取り可能限界である4.7[g/m2]以上70[g/m2]以下となるようにすれば、芯材5の取り扱い性が良く、断熱性能の高い真空断熱材7が得られる。好ましくは重量目付けを4.7[g/m2]以上26[g/m2]以下となるようにすれば、更なる断熱性能の向上が見込める。
したがって、本実施の形態で説明したような熱伝導率が小さく、断熱性能が高い真空断熱材7を用いた断熱箱や断熱壁は、断熱性能が良い分だけ箱や壁の厚みを薄くすることができる。従って、外形が同じ従来の断熱箱と比べ、内容積を大きくすることができるので、大容量の冷蔵庫などの機器が提供できる。また、内容積を従来と同じにすれば、外形を小さくすることができるので、小形でコンパクトな冷蔵庫などの機器が得られる。
ここで、図26は表3に示す実施例5〜実施例9の有機繊維2を芯材5,550に使用したものの重量目付けと熱伝導率の相関を表している。
図26において、横軸は重量目付けを表し、縦軸は熱伝導率を表している。図26より重量目付け70[g/m2]以下、および140[g/m2]以上で熱伝導率が従来の綿状芯材の熱伝導率である0.0030[W/mK]より小さくなり、断熱性能が向上することがわかった。
ここで、重量目付けが所定値である140[g/m2]以上になればなるほど熱伝導率が小さくなり断熱性能が向上するのは、繊維に連続した長繊維を用いたため、製造時に伝熱方向と垂直な方向(シートの巻き取り方向、シートの長さ方向、幅方向)に繊維を配向しやすくなったと考えられる。
また、重量目付けが高くなるとシート一枚当たりの厚みが厚くなり、シートが厚い分だけ積層時にシートが折り曲がりにくくなり伝熱方向と垂直な方向(シートの巻き取り方向、シートの長さ方向、幅方向)に繊維が配向しやすくなる。そのため伝熱方向の熱伝導率が小さくなり、断熱性能が向上したものと思われる。
逆に、重量目付けが所定値である70[g/m2]以下になるにつれ断熱性能が向上するのは、シート一枚当たりの厚みが小さくなり伝熱方向(厚さ方向)に繊維が配向されにくくなり、伝熱方向と垂直な方向(シートの巻き取り方向、シートの長さ方向、幅方向)に繊維が配向しやすくなり伝熱方向の熱伝導率が小さくなり、断熱性能が向上する効果が大きくなったためと思われる。
したがって、本実施の形態では、真空断熱材7として、エンボス加工110を施こす場合は、不織布の重量目付けを不織布の巻き取り可能限界以上である4.7[g/m2]以上70[g/m2]以下となるようにすれば、芯材の取り扱い性が良く、断熱性能の高い真空断熱材7が得られる。好ましくは重量目付けを4.7[g/m2]以上26[g/m2]以下となるようにすれば、更なる断熱性能の向上が見込める。また、不織布の重量目付けを140[g/m2]以上198[g/m2]以下となるようにすれば、芯材5の取り扱い性が良く、断熱性能の高い真空断熱材7が得られる。重量目付け198[g/m2]以下としたのは、表3の実施例9の測定結果であり、ここまでは測定により断熱性能が従来の綿状芯材よりも良いことが確認できているためである。
したがって、本実施の形態で説明したような熱伝導率が小さく、断熱性能が高い真空断熱材7を用いた断熱箱や断熱壁は、断熱性能が良い分だけ箱や壁の厚みを薄くすることができる。そのため、外形が同じ従来の断熱箱と比し、内容積を大きくすることができるので、大容量の冷蔵庫などの機器が提供できる。また、内容積を従来と同じにすれば、外形を小さくすることができるので、小形でコンパクトな冷蔵庫などの機器が得られる。
(断熱性能4)
(長繊維、短繊維)
ここで、連続した長繊維を用いたために重量目付けが140[g/m2]以上で断熱性能がよくなることを実証するため、比較例2のような仕様の短繊維を芯材5とした真空断熱材7を作成して比較した。ここで、比較例2の芯材5に使用した有機繊維2は、繊維長が1枚のシート厚さよりも長く積層後のシートの厚さ(5mm〜10mm程度)と同等程度以下である5〜7mm程度の短い繊維長の短繊維を使用した。
表3より重量目付けが同等の長繊維の実施例9と短繊維の比較例2を比較した結果、短繊維の繊維集合体1を芯材5に使用した場合の比較例2での熱伝導率(0.0045[W/mK])よりも連続した長繊維の繊維集合体1を芯材5に使用した場合の実施例9での熱伝導率(0.0025[W/mK])の方が断熱性能が約1.8倍も良いことが分かった。したがって、連続した長繊維を用いると、重量目付けが140[g/m2]で熱伝導率が向上すること分かった。この場合、重量目付けが高いため、製造しやすく製造ラインのスピードを早くでき、生産効率が上昇する。
ここで、本実施に形態では、長繊維としてシートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さ以上の連続した繊維長の繊維を使用しており、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さよりも短い短繊維を使用した場合よりも断熱性能が向上する。また、繊維長としては、連続した長繊維の方が好ましい。繊維集合体1の製造過程で繊維が途中で切れてしまうことが考えられる。また、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さ以上に連続しない繊維長の短い繊維も混入することが考えられる。本実施の形態では、連続した繊維長の繊維のシート内に占める割合が50%以上含まれれば、断熱性能が向上する。そのため、本実施の形態では、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さ以上に連続した長繊維のシートに占める割合が、50%以上(好ましくは70%以上)である長繊維で構成された繊維集合体1を使用するようにしている。
比較例2のような短繊維を使用した場合は、繊維長が短く繊維が傾きやすいため、高目付け(シートの厚さを厚く)にするに従って、繊維が伝熱方向に配向しやすくなり、断熱性能が悪くなったと考えられる。
逆に、繊維集合体1の繊維長が長いと、繊維が断熱方向(厚さ方向)と略直角方向である面方向(巻き取り方向、長さ方向、幅方向)に配向しやすくなる。すなわち断熱方向(厚さ方向)への真空断熱材7,750内の固体伝熱のパスが長くできるので、断熱性能が向上する。さらに目付が高いことで、シートが厚いので積層時にシートが折り曲がりにくくなり伝熱方向と垂直な方向(シートの巻き取り方向、シートの長さ方向、幅方向)に繊維が配向しやすくなる。そのため伝熱方向の熱伝導率が小さくなり、断熱性能が向上できたものと考えられる。よって、短繊維ではなく、長さ方向に連続した有機繊維2から形成された繊維集合体1を芯材5に用いた真空断熱材7,750のほうが、短繊維を芯材5に使用した場合よりも断熱性能が優れる。
(断熱性能5)
(加熱溶着貫通、非貫通)
次にエンボス加工110が厚さ方向に貫通する場合と貫通しない場合での断熱性能の比較を行ったので、その結果を説明する。上述の真空断熱材7では、エンボス加工110が貫通した場合に低目付け(70[g/m2]以下が良く、好ましくは26[g/m2]以下)にすることで断熱性能を向上することができることを説明した。ここでは、エンボス加工110が一枚のシートの厚さ方向に貫通する場合と、シートの厚さ方向に貫通しない場合(シートの表裏面のみにエンボス加工を設ける場合)とで、断熱性能が変化するかの確認を行った。
そこで、エンボス加工110の熱溶着部が厚さ方向へ貫通しないように、熱ローラの温度、熱ローラ間のクリアランスを調整して、目付けを変えて不織布(繊維集合体1)を製造した。ここでは、熱ローラの温度を180℃とし、熱ローラ間のクリアランスは熱溶着を施す前の不織布の厚さの1/2となるように設定した。
図27は実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の繊維集合体1である不織布の断面図である。図27において、シート状の繊維集合体1には、適宜、エンボス加工110が厚さ方向に貫通しないで表面(表面と裏面)のみに設けられて熱溶着されている。尚、「表面(表面と裏面)」とは、「おもて面とうら面の少なくとも一方の面」という意味である。
得られた不織布(有機繊維集合体)は上述と同様の方法で真空断熱材7,750に製造した。そして、エンボス加工110の熱溶着部が厚さ方向へ貫通しない(厚さ方向に連続して設けられていない)ものと貫通したもの(厚さ方向に連続して設けられたもの、比較例)との間で断熱性能の比較を行った。ここで、不織布は、エンボス加工110を施したものは、エンボス加工110の大きさや同一面積に設けられるエンボス加工110の個数は同等となるように製造した。
得られた真空断熱材7の断熱性能の評価結果を、図28のグラフに示す。図28は実施の形態1を示す図で、真空断熱材7、750の重量目付けと熱伝導率の関係を表す図である。図28においても、前述の図28と同様、縦軸は熱伝導率[W/mK]、横軸は重量目付け[g/m2]である。図28において、実線で示されるのはエンボス加工110が貫通したもの(図25で実線で示したもの)を表す。また、点線で示したものが、エンボス加工110がシート1枚の厚さ方向に貫通しないもの(表面のみ)を表す。
ここで、図28において、エンボス加工110の熱溶着部を繊維集合体1の厚さ方向へ貫通した場合は、重量目付けが約26[g/m2]を超えるあたりから急激に熱伝導率が上昇して断熱性能が悪化し始める。重量目付けが、約70[g/m2]を超えると従来の綿状芯材の熱伝導率である0.003[W/mK]を超えて断熱性能が極端に悪化する。しかし、点線で示すようにエンボス加工110の熱溶着部を不織布の厚さ方向へ貫通しない構造としたものは、重量目付けが50[g/m2]程度までは熱伝導率が0.002[W/mK]程度でほぼ一定で断熱性能が良い。点線で示すエンボス加工110の熱溶着部を不織布(繊維集合体1)の厚さ方向へ貫通しない構造としたものは、重量目付けが50[g/m2]程度を超えると、急激に熱伝導率が上昇し始めるが、重量目付けが約130[g/m2](熱伝導率約0.0029[W/mK])程度までは、綿状の繊維芯材の熱伝導率0.003[W/mK]を超えないので、従来の綿状繊維よりも断熱性能に優れた真空断熱材7を得ることができる。ここで、重量目付けが約100[g/m2]の時で熱伝導率が約0.0028[W/mK]程度である。
以上より、エンボス加工110の熱溶着部がシート状の不織布の厚さ方向に貫通しない場合には、重量目付けを約4.7[g/m2]以上約130[g/m2]以下にすれば、熱伝導率を従来の綿状芯材の熱伝導率0.003[W/mK]以下にできる。そのため、必要な断熱性能を確保でき、しかも製造しやすく、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材7、断熱箱、真空断熱材7を使用した冷蔵庫や給湯機やジャーポットなどの機器が得られる。なお、重量目付けを約4.7[g/m2]以上約50[g/m2]以下にすれば、熱伝導率がガラス繊維を芯材5,550とした従来の一般的な真空断熱材7,750の熱伝導率である0.002[W/mK]と同等程度にできる。従って、断熱性能が良好で、高効率でしかも製造しやすく、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材7,750、断熱箱、真空断熱材7,750を使用した冷蔵庫や給湯機やジャーポットなどの機器が得られる。
また、エンボス加工110の熱溶着部がシート状の不織布の厚さ方向に貫通する場合には、重量目付けを約4.7[g/m2]以上約70[g/m2]以下にすれば、熱伝導率を従来の綿状芯材の熱伝導率0.003[W/mK]以下にできる。従って、必要な断熱性能を確保でき、しかも製造しやすく、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材7,750、断熱箱、真空断熱材7,750を使用した冷蔵庫や給湯機やジャーポットなどの機器が得られる。なお、重量目付けを約4.7[g/m2]以上約26[g/m2]以下にすれば、熱伝導率がガラス繊維を芯材とした従来の一般的な真空断熱材7,750の熱伝導率である0.002[W/mK]と同等程度にできるので、更に断熱性能が良好で、高効率でしかも製造しやすく、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材7,750、断熱箱、真空断熱材7,750を使用した冷蔵庫や給湯機やジャーポットなどの機器が得られる。
また、エンボス加工110の熱溶着部がシート状の不織布の厚さ方向に貫通する場合や貫通しない場合において、上述した目付けの範囲内で目付けを大きくすることで不織布シート一枚の厚さが厚くできる。それにより、所望の厚さ(必要な所定の厚さ)の真空断熱材7,750を得るための繊維集合体1である不織布の積層枚数を低減できるので、生産性が向上する。
なお、重量目付けが4.7[g/m2]以上26[g/m2]以下の範囲では、エンボス加工110の熱溶着部がシート状の繊維集合体1の厚さ方向に貫通する場合と貫通しない場合で熱伝導率との差は小さい。よって、生産性に支障がなければ低目付けの不織布を用いることで、エンボス加工110の熱溶着部がシート状の不織布の厚さ方向に貫通しても貫通しなくても、断熱性能に殆ど差がなく良好となる。したがって、生産性に支障がなければ、重量目付けはできるだけ小さい4.7[g/m2]以上26[g/m2]以下の範囲に設定すれば、エンボス加工110の自由度が増え断熱性能も良好となる。
なお、生産性を考慮する場合は、目付けはできるだけ大きい方が良い。その場合は、エンボス加工110の熱溶着部がシート状の不織布の厚さ方向に貫通しないようにし、製造バラツキ等を考慮して綿状の芯材の熱伝導率約0.003[W/mK]よりも小さくなる範囲として重量目付けの範囲を約4.7[g/m2]以上130[g/m2]以下とすれば良い。
また、このように熱伝導率が小さく、断熱性能が高い本実施の形態の真空断熱材7,750を用いた断熱箱や断熱壁は、断熱性能が良い分だけ箱や壁の厚みを薄くすることができる。従って、外形が同じ従来の断熱箱と比し、内容積を大きくすることができるので、大容量の冷蔵庫などの機器が提供できる。また、内容積を従来と同じにすれば、外形を小さくすることができるので、小形でコンパクトな冷蔵庫などの機器が得られる。
ここで、芯材5,550のエンボス加工などの熱溶着部にシートの厚さ方向に貫通する穴加工(例えば貫通穴)をレーザー加工などで施すと加熱溶着部の実質的な大きさ(伝熱面積)が穴加工分だけ小さくなるため、加熱溶着部を通っての熱伝導が低減できるので、断熱性能を向上できる。シートに施された加熱溶着部の大きさよりも小さな貫通穴を施すことで加熱溶着部に穴加工がない場合に比べて断熱性能が向上する。例えば、加熱溶着部の大きさが直径約2mmの略円形の場合、貫通穴の大きさを直径約1mmとすればよい。加熱溶着部の大きさよりも貫通穴の方が小さいので、貫通孔を開けても繊維集合体1を構成する有機繊維2は溶着された状態を維持できるので、シートの取り扱い性は良好のままである。
すなわち、シートの厚さ方向に施されたエンボス加工などの加熱溶着部に有機繊維集合体であるシートを構成する有機繊維2同士が溶着された状態を維持できる程度(加熱溶着が維持できる程度)の小さな貫通穴を施せば、シートの取り扱い性や生産性は良好のままで、しかも断熱性能を向上できる真空断熱材を得ることができる。エンボス加工などの熱溶着部はシートの厚さ方向に貫通していても貫通していなくても加熱溶着部に穴加工を施すことで断熱性能は向上できる。また、穴加工としては貫通穴でなくても良く凹部加工でも断熱性能向上の効果は得られる。よって、加熱溶着部に加熱溶着部の大きさよりも小さく、有機繊維集合体の加熱溶着が維持できる程度の小さな貫通穴や凹部を有機繊維集合体であるシーとの厚さ方向に設ければ、シートの取り扱い性や生産性は良好のままで、しかも断熱性能を向上できる真空断熱材を得ることができる。
(断熱性能6)
(加熱溶着なし)
ここで、芯材5,550の取り扱い性の問題から、繊維集合体1のシートを形成する場合に、有機繊維2x、有機繊維2y同士を熱ローラーなどで加熱溶融(エンボス加工110)をする場合が多い。エンボス加工110を行う場合は、上述のように低目付けで断熱性能が良くなることを説明したが、低目付けの不織布では、一枚のシートの厚さが薄くなり、所定の厚さの真空断熱材7,750を得るための積層枚数が多くなってしまう。そのため、不織布製造ラインのスピードが不足したり、積層工程の時間が長くなるなど、生産性が低下する。したがって、本実施の形態に係る繊維集合体1は、ここでは、エンボス加工110などによる加熱溶着をしない場合の断熱性能について説明する。エンボス加工110などによる加熱溶着をしていない場合は、伝熱パスを減らせるため、断熱性能が向上すると考えられる。
ここで、繊維集合体1にエンボス加工110などで加熱融着しない場合には、繊維集合体1である長繊維不織布は、押出機で溶融させて紡糸ノズルから押出した連続繊維を、コンベア上に捕集し、コンベアを任意の速度で送りながら巻き取って製造すれば良い。繊維集合体1の繊維密度は、溶融樹脂の吐出量とコンベアの速度により調整し、厚さの異なる繊維集合体1を製造することができる。
そして、得られた繊維集合体1を、例えばA4サイズに裁断し、あるいは、内側から外側に向かって連続して巻き取って芯材5,550を形成する場合を考える。積層する枚数は、得られた繊維集合体1の厚さと、製造したい真空断熱材7,750の厚さとを基準に任意に設定する。有機繊維2は、断熱性能上は繊維径がより細い方が良い。理論的に繊維径は、10μm以下が望ましい。なお、要求される芯材5の厚さによっては、繊維集合体1である不織布シートを積層しなくてもよく、1枚でも良い。
次に、繊維集合体1の熱溶着の有無による断熱性能への影響を説明する。なお、使用した有機繊維2は、約10μm〜13μmの直径のポリエステルである。また、上述した製造方法と同等の製造工程にて真空断熱材7、750を製造した。
この際、熱溶着なしの不織布を製造する場合は、製造工程において熱溶着を施さず、長尺方向に連続した有機繊維2から形成されたシート状の繊維集合体1からなる真空断熱材7,750の2つのサンプルa、サンプルbを製造した。比較例として熱溶着ありの不織布を製造する場合は、製造工程において熱溶着処理を施し、長尺方向に連続した有機繊維2から形成されたシート状の繊維集合体1からなる真空断熱材7,750を製造した。なお、芯材5,550は、繊維集合体1を裁断せずに、長尺方向に連続したシート状のまま形成した。
そして、製作したサンプルa、サンプルb及び比較例の繊維集合体1は、熱伝導率計「AutoΛ HC−073(英弘精機(株)製)」を用いて、上温度37.7℃、下温度10.0℃の温度差における熱伝導率を測定した。なお、測定は、真空引き工程を実施し、その後に外包材4内のガスや水分が吸着剤6に吸着されて真空断熱材7,750の熱伝導率が安定するまで1日程度時間をおいて測定を行った。ここで、平均繊維径は、マイクロスコープを用いて測定した10箇所の測定値の平均値とした。
ここでは、エンボス加工110による加熱溶着の有無による断熱性能を、単位面積当たりの重量である重量目付け[g/m2]で比較した。
エンボス加工110による熱溶着が無い場合の真空断熱材7、750について、重量目付けが異なる2つのサンプルで確認した。長繊維を使用したエンボス加工110なしの場合のサンプルの重量目付けは、サンプルaが約70[g/m2]、サンプルbが約924[g/m2]である。サンプルa、サンプルbのいずれの場合も、熱伝導率は0.0019〜0、0020[W/mK]である。サンプルa、サンプルbは、比較例である長繊維を使用したエンボス加工110ありの場合(表3の実施例5〜9、図14参照)に比較して断熱性能が向上した。したがって、エンボス加工110による熱溶着が無い方が、エンボス加工110による熱溶着がある場合よりも断熱性能が良好となることがわかった。
この理由は、繊維集合体1の有機繊維2同士の熱溶着がないため、その分、熱のパスが短くなっているためと考えられる。ここで、長繊維の有機繊維2を芯材5,550に使用した真空断熱材7,750では、重量目付けが924[g/m2]と極端に高くても熱伝導率が小さく断熱性能が向上している。従って、重量目付けを増やしてシート状不織布の一枚の厚さを厚くすることで、芯材5の積層枚数を減らすことができ、生産スピードを早くでき、また、生産性も向上する。
以上より、真空断熱材7,750の芯材5,550には、エンボス加工110による熱溶着が施されてなく、シートの長さ以上に連続した長繊維を芯材5に使用した繊維集合体1で真空断熱材7,750を製造した方が断熱性能が良好となる。もちろん、エンボス加工110による熱溶着が施されている場合でも、シートの長さ以上に連続した長繊維で繊維集合体1を製造した方が短繊維を芯材5、550に使用した場合よりも断熱性能が良好となることは言うまでもない。
(断熱性能7)
(繊維の断面形状)
次に、有機繊維2の断面形状と断熱性能の関係について説明する。上述した有機繊維2の断面形状は略円形であったが、繊維集合体1を構成する有機繊維2の断面形状を略円形以外の異形断面である三角形断面とした場合について説明する。異形断面の有機繊維2を用いて繊維集合体1を製造し、300枚積層して芯材5,550を得、上述の方法と同様の方法で真空断熱材7,750を製造した場合を例に説明する。
異形断面、例えば三角形断面の有機繊維2を用いた繊維集合体1を適用した真空断熱材7,750の断熱性能評価として、熱伝導率の測定を行った。比較例として略同等の断面積を有する略円形断面の有機繊維2を芯材5に用いた真空断熱材7,750の熱伝導率も測定した。略三角形断面を有する有機繊維2を用いた繊維集合体1を適用した真空断熱材7,750では、熱伝導率が0.0017[W/m2]であった。それに対し、略円形断面を有する有機繊維2を用いた繊維集合体1を適用した真空断熱材7,750の熱伝導率は、0.0020[W/m2]であった。したがって、略円形断面の有機繊維2を用いるよりも、略円形断面の繊維と同等の断面積を有した断面形状が略三角形断面の有機繊維2の方が断熱性能が向上できることが分かった。
真空断熱材7の内部は略真空状態にあるので、芯材5を構成する繊維集合体1は外包材4を介して大気圧を受けている。接触している有機繊維2同士の任意の接点を基準にして見てみると、有機繊維2は他の繊維とも接しているので他の繊維との接点を支点として圧力を受けて撓んで多くの他の繊維と接触するようになり、熱伝導率が大きくなり断熱性を悪化する。
したがって、異形断面にして伝熱性能が向上したのは、有機繊維2の断面形状を、略円形断面の繊維と略同等の断面積を有する略三角形形状としたことにより、略同等の断面積を有する略円形断面を有する繊維に比べて剛性が向上し、大気圧を受けた時の繊維の撓みが減少したことによると考えられる。
このことから、有機繊維2の断面形状は略円形でなく異形断面(例えば略三角形形状)にした方が、断熱性能が向上する。また、略円形断面の繊維と略同等の断面積でしかも断面二次モーメントが大きくなるような異形の断面形状(例えば略三角形や多角形形状など)の有機繊維2であれば、真空断熱材7,750中で大気圧を受けた時の変形を小さくでき、真空断熱材7,750中の固体の体積分率を低減できるため、断熱性能が向上した真空断熱材7を得ることができる。
また、真空引き前の有機繊維2の断面形状を略C形形状とし、真空引き後には圧力により変形してつぶれてC形の開口部が閉じた中空のパイプ形状(C形の開口部が閉じた状態の該径が略円形の外径と略同等)となるような有機繊維2を使用すれば、略円形断面の繊維を使用するよりも断面がパイプ形状(中心部が中空の略円形形状)のため熱伝達が悪くなり、断熱性能が向上する。
この場合、初期の繊維に中空のパイプ状のものを使用すると、中空部の空気が真空引きを行なっても抜けにくく、真空引きに時間がかかる。また、中空部の真空度が低下しないという課題が発生するが、本実施の形態では、真空引き前の有機繊維2の断面形状を、開口部を有する略C形形状とし、真空引き後には圧力により変形してつぶれてC形の開口部が閉じた中空のパイプ形状(C形の開口部が閉じた状態の該径が略円形の外径と略同等)となるような有機繊維2を使用するので、真空引き時間が低減でき、所定の真空到達度が得られ、しかも断熱性の良い真空断熱材7,750を得ることができる。
ここで、C形断面の有機繊維2を使用した場合、真空引き後には圧力により変形してつぶれてC形の開口部が閉じた中空のパイプ形状(C形の開口部が閉じた状態の該径が略円形の外径と略同等)となる。このつぶれてC形の開口部が閉じた中空のパイプ形状においては、C形の開口部が閉じた状態で内径に対する外径の比率(この比率が0%の場合は内径が0であり、内部に開口や中空部のない中実の円形断面であることを表す)が30%〜70%の範囲で熱伝導率が0.0016〜0.0019(W/mK)と小さく、断熱性能が向上することが分かった。内径に対する外径の比率が20%以下の場合と、80%以上の場合でも確認したが、30%〜70%の場合に比べて熱伝導率が大きく、断熱性能が悪くなった。
(断熱性能8)
(貫通穴、切り欠きなどの開口部)
次に真空断熱材7,750の製造工程でのクリープによる歪の大きさや変形などを比較するために、上述した方法で真空断熱材7、750を作成した後、真空断熱材7,750の厚みを測定した。そして約60℃の恒温槽に入れた後、約11時間温度加熱してから取り出し、再度真空断熱材7,750の厚みを測定した。
図29は実施の形態1を示す図で、芯材5,550を構成する繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hに加熱溶着が設けられている場合の真空断熱材7,750の重量目付けと圧縮歪の関係を表した相関図である。圧縮歪σは、例えば下記のようにして求めることができる。
圧縮歪σ=(tB−tA)/tA
ここで、
tA:加熱する前の真空断熱材7の厚み
tB:60℃、11時間加熱した後の真空断熱材7の厚み
図29より圧縮歪[%]に関しては、重量目付けが13[g/m2]から85[g/m2]程度までは重量目付けが増加するにしたがって、圧縮歪が急激に減少する。また、重量目付けが85[g/m2]程度以上からは重量目付けが増加するにしたがって、圧縮歪の減少がゆっくりとなる。重量目付けが110[g/m2]以上では、圧縮歪がほぼ一定となり、余り変化しないようになることが分かる。すなわち、重量目付けが、85[g/m2]程度で圧縮歪の減少度合いが変化しており、変極点が存在する。
これは重量目付けが小さいほうが薄いシートの積層となるので、重量目付けが小さければ小さいほどやわらかく、圧縮に対する剛性が小さく剛性を保ちにくくなり変形しやすくなるため歪が大きくなると思われる。
逆に重量目付けが85[g/m2]程度(あるいは110[g/m2]程度)を超えると、一枚のシートの厚さもそこそこ厚くなり、圧縮に対する剛性が得られ、変形しにくく歪にくくなるためと考えられる。
また、図29では、芯材5,550に加熱溶着(エンボス加工110)が設けられている場合であるので、加熱溶着の施されていない場合と比較を行ったところ、加熱溶着が施されている場合の方が、加熱溶着が施されていない場合に対して圧縮歪が約10%〜30%程度小さくなることが確認できた。これは、エンボス加工110が施されることにより圧縮に対する剛性が向上し、変形しにくくなったためと考えられる。このとき加熱溶着部(エンボス加工110)は、シート面の厚さ方向に貫通した方が、表面だけの場合よりも圧縮やねじりに対してシートの剛性が増加し、圧縮歪が低減できる。
ただし、加熱溶着は、有機繊維2間の接触面積を増大し、伝熱の増加を招き、溶着部からの熱伝導が発生して断熱性能の低下を引き起こす恐れがあるため、有機繊維2間の接触面積をできるだけ少なくした方が良い。したがって、加熱溶着による有機繊維2間の接触面積は、全面積(シート面積)の20%以下(好ましくは15%以下、さらに好ましくは8%以下)に抑えることで圧縮歪が小さく断熱性能の高い真空断熱材7,750が得られる。加熱溶着の占める割合が全面積(シート面積)の20%を超えると熱伝導率が大きくなり、断熱性能が悪くなっていくことが確認できたため、加熱溶着の占める割合は全面積(シート面積)の20%以下にした方が好ましい。
すなわち、真空断熱材7,750の芯材5,550に使用される繊維集合体1(例えば、有機繊維集合体)、連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hは、加熱溶着を施すことで繊維集合体として有機繊維2がばらばらにならず、しかも加熱溶着の占める割合を全面積(シート面積)の20%以下(繊維集合体1がばらばらにならないためには、加熱溶着を施す面積は全面積(シート面積)の3%以上は必要)にすることで圧縮ひずみが小さいため変形しにくく、しかも熱伝導率も小さく断熱性能の向上も図れる真空断熱材7が得られる。さらに重量目付けを85[g/m2]程度(あるいは110[g/m2]程度)以上にすることで圧縮歪をより低減できる。
よって、繊維集合体1である不織布の重量目付けを、85g/m2以上198g/m2以下にすれば、一枚のシートの厚さが厚くなり歪にくくなるため圧縮に対する剛性が得られ、真空成形時に変形しにくくなる。そのため、変形による形状不良などが発生せず信頼性の高い真空断熱材7が得られる。
図30は実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の重量目付けと積層枚数(真空断熱材7の厚みが所定の厚さ、例えば真空引き後の厚さが所定の厚さのときの積層枚数)の関係を表した線図である。目付けが高いほど、積層枚数が少なくなっている。つまり、目付けが高ければ積層枚数が少なく生産性に優れるので、図30における線の傾きが小さく(ゆるやかに)なってくる重量目付けである98[g/m2]以上が望ましい。
ここで、重量目付けの上限値は特に記載しないが、積層枚数一枚となる目付けが好ましい。積層枚数が少なければ少ないほど、生産中に積層工程を省けるため、生産性が良いので、可能な限り目付けを高くして積層枚数を減らした方が生産性は向上する。
以上より生産性の観点から重量目付けが98[g/m2]以上が望ましいことが分かる。一方、断熱性能向上の観点からは、重量目付けが4.7[g/m2]以上70[g/m2]以下、あるいは重量目付けが140[g/m2]以上で積層枚数一枚となる目付け以下が良い。また、圧縮歪を考慮したクリープ特性の観点からは、重量目付けが85[g/m2]以上が良く、望ましくは110[g/m2]以上で積層枚数一枚となる目付け以下である方が良い。
また、長繊維を使用して重量目付けを98[g/m2]以上198[g/m2]以下にすれば、断熱性能を維持したまま、圧縮歪を小さく抑えることができるので、変形の少ない高信頼性の真空断熱材7,750を得る事が出来る。
また、重量目付けの高い第1の芯材と、重量目付けの低い第2の芯材とを組み合わせて積層(例えば、第1の芯材と第2の芯材とを交互に組み合わせる)すれば、同じ厚さのものを積層した場合に比べて、積層後の厚さが同じ厚さであれば、芯材5、550全体としても歪を小さくでき、しかも目付けの高いものを同じ枚数だけ積層した場合よりも厚さを薄くできる。従って、断熱性能が良く、積層厚さが薄く、歪による変形の少ない信頼性の高い真空断熱材7,750が得られる。
さらに、目付けの低いものを同じ枚数だけ積層した場合よりも必要な断熱性能を確保できるとともに、所定の剛性が得られるので断熱性能が良く、変形の少ない高性能で信頼性の高い真空断熱材7,750が得られる。ここでは第1の芯材と第2の芯材との組み合わせ例について説明したが、目付けの異なる複数のシート状の芯材5,550を組み合わせて積層させても同様の効果が得られる。
例えば、図13〜図16の場合で説明するとすれば、第1の繊維集合体1Kに目付けが高く(例えば、圧縮歪の小さい範囲である重量目付けが110[g/m2]以上198[g/m2]以下)、圧縮歪の小さいシートを使用し、第2の繊維集合体1Hに目付けが低く(例えば、断熱性能比が4.7[g/m2]以上70[g/m2]以下)、圧縮歪が若干大きいシートを使用して交互に重ねて一枚の芯材550を構成する。このようにすれば、目付けが高い第1の(有機)繊維集合体1Kにより圧縮歪が抑制され、目付けの低く断熱性能の良い第2の(有機)繊維集合体1Hにより芯材550のトータルの厚さを薄くでき、しかも曲げやすくなる。したがって、一枚のシートの厚さが異なる複数種類のシートを混合して積層した真空断熱材7,750の厚さを一枚のシート厚さが同じものを積層した真空断熱材7,750と同等厚さにすれば、断熱性能の良い第2の繊維集合体1Hが積層されるので、芯材5,550の断熱性能が向上し、剛性も小さくなるので、曲げ加工なども行いやすくなる。また、圧縮歪の小さい第1の繊維集合体1Kが積層されるので、圧縮歪が小さく剛性も高くなるので、使い勝手が良く、断熱性能の良い真空断熱材7,750が得られる。
また、第1の(有機)繊維集合体1Kにおいて、幅方向に順に隣接して並べられる複数の第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kdを交互に目付けや圧縮強度や引っ張り強さなどが異なるものを並べ、また、第2の(有機)繊維集合体1Hにおいて、幅方向に順に隣接して並べられる複数の第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hdを交互に目付けや圧縮強度や引っ張り強さなどが異なるものを並べても同様の効果を得ることが可能である。また、第1の(有機)繊維集合体1Kの複数の第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kdの幅方向の並べ方と第2の(有機)繊維集合体1Hの複数の第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hdの幅方向の並べ方を異なるようにしても良いし、同じにしても良い。
ここで、真空断熱材7,750の芯材5,550には、エンボス加工110による熱溶着が施されてなく、シートの長さ以上に連続した長繊維で繊維集合体1を製造した方が断熱性能が良好となる。もちろん、エンボス加工110による熱溶着が施されている場合でも、シートの長さ以上に連続した長繊維で繊維集合体1を製造した方が断熱性能が良好となることは言うまでもない。
(断熱性能9)
(貫通穴、切り欠き)
本実施の形態では、真空断熱材7に貫通穴や切り欠きなどの貫通する開口部70を設けるようにしている。図31乃至図33は実施の形態1を示す図で、図31は開口部を有する真空断熱材7,750の正面図、図32は芯材5,550に短繊維を使用した場合の真空断熱材7,750の芯材5,550の開口部の様子を表す図、図33は真空断熱材7,750の芯材5,550の開口部外周周辺にエンボス加工110などの熱溶着部を設ける例を示す図である。
図31乃至図33において、所定の大きさ(例えばA4サイズ)に端面5a(1a)がカットされた芯材5,550に予め芯材5,550の大きさよりも小さく必要な大きさ以上の、所定の大きさの貫通穴や切り欠きなどの芯材5,550を貫通する芯材開口部51が設けられている。
ここで、図31に示すように、使用される芯材5,550や有機繊維2などは本実施の形態で説明した上述の芯材5,550や有機繊維2などを使用しているので、断熱性能が優れる。
芯材5,550を外包材4に挿入して乾燥、真空引きして外包材4の挿入口のシール部分45を熱溶着などによりシールする。その後に、真空引きして貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51の内側部分(真空断熱材開口部シール部分78)を熱溶着してシールし、必要な所定のシール長さ分である真空断熱材開口部シール代75分だけ芯材開口部51と略相似形状で芯材開口部51よりも小さな大きさでカットして貫通穴である外包材開口部41を設ける。それにより、最終的に真空断熱材7,750に貫通穴や切り欠きなどの真空断熱材開口部71を設けるようにしている。
ここで、外包材4に、芯材5,550が挿入されたときに芯材5,550の芯材開口部51と略同等位置に芯材開口部51の大きさよりも真空断熱材開口部シール代75分だけ小さな外包材開口部41を設けておいて、芯材5,550を外包材4に挿入して外包材4と芯材5,550との間の真空断熱材開口部シール部分78(真空断熱材開口部シール代75の長さ分)を熱溶着してから乾燥、真空引きして、外包材4の挿入口のシール部分45(挿入部)をシールしても良い。
ここで、図32に示すように、従来のように芯材5,550に使用する有機繊維2に所定の大きさのシートの長さや幅よりも短い短繊維(例えば5〜150mm程度の繊維長の繊維)を使用すると、芯材5,550に貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51を設ける場合には、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51がカット(切り取り)により繊維集合体1(シート)から取り除かれるときに、芯材開口部51にまたがる(カットされて取り除かれる部分と取り除かれずにシートに残る部分にまたがる)有機繊維2は、カットにより残存有機繊維2aと切断有機繊維2bとに分離され、残存有機繊維2aはシートに残り、切断有機繊維2bがシートより取り除かれることになる。
切断された切断有機繊維2b以外(取り除かれる部分以外)でシート側に残る残存有機繊維2aはカット(切断)されているため、初期の繊維長X(短繊維であり、例えば5〜150mm程度)よりも短い長さYとなる。
特に初期の繊維長Xが短い場合には、シート部分に残った残存有機繊維2aの繊維長Yが極端に短くなる恐れもある。この場合には、残存有機繊維2aは繊維長Yが短いためにシート部分の既存繊維とからまることができず、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51の内側周辺にほつれて飛び出してくる可能性がある。そうすると芯材開口部51周辺の外包材4の真空断熱材開口部シール代75を熱溶着などでシールした場合、このほつれて飛び出した残存有機繊維2aが真空断熱材開口部シール代75にはさまりシール不良が発生し、断熱性能が著しく低下する可能性がある。
例えば、初期の繊維長Xが55mmの短繊維を使用し、芯材開口部51である貫通穴を直径略50mmとした場合、初期の繊維長Xの55mmのうちの50mmが貫通穴で切断されて取り除かれる場合も想定できる。この場合には、貫通穴以外で芯材5である繊維集合体1(シート)に残る部分の残存有機繊維2aの繊維長Y(長さ)は約5mmとなる。繊維長が5mmではシート内部の既存繊維とからまることができず、芯材開口部51である貫通穴周辺にほつれて飛び出してくる可能性がある。貫通穴51周辺の外包材4を熱溶着などでシールした場合、ほつれて芯材開口部51である貫通穴部分に飛び出した繊維が真空断熱材開口部シール代75に飛び出してはさまり、シール不良が発生し、断熱性能が著しく低下する。また、真空引き工程で、切断されて繊維長が短くなった残存有機繊維2a(繊維長がYになった残存有機繊維2a)が真空引きにより飛び出しやすくなっており、真空ポンプに吸込まれて真空ポンプが故障する恐れもある。
しかしながら、本実施の形態では、繊維集合体1(不織布シート)に連続した有機繊維2の長繊維を用いているので、芯材5,550が所定の大きさ(例えばA4サイズ)にカット(切断)された状態で初期の繊維長Xが不織布シートの長さ(例えばA4サイズの長辺あるいは短辺の長さ)以上あることになる。そのため、繊維集合体1の幅(例えば、短辺の長さ)以下の貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51をカットしても、繊維長が長いため(連続しているため)、芯材開口部51でカット(切り取り)されても切り取りにより取り除かれる部分の切断有機繊維2b以外のシート側に残った残存有機繊維2aの繊維長Yが長く確保できるため、残存有機繊維2aが繊維集合体1内部の既存繊維とからまって芯材開口部51からはみ出して出て来ることはない。
すなわち、長繊維(例えば連続した繊維や、シートの長さと同等かそれ以上の長さを有する繊維)を使用する場合には、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51をカットすることにより設けたとしても、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51のカット部分の残存有機繊維2aの繊維長Yが長く確保できる。したがって、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51のカット部分の内側周辺にカットしたことによりシートに残った部分の残存有機繊維2aの繊維くずがでてくることがないので、シール不良が発生せず、時間が経過しても断熱性能の低下しない真空断熱材7,750、真空断熱材7,750を用いた断熱箱、機器などが得られる。
また、本実施の形態では、初期の繊維長Xが繊維集合体1(不織布シート)の長さ(あるいは幅)と同等以上の長繊維を使用するようにしているので、真空断熱材7に貫通穴や切り欠きなどの真空断熱材開口部71を設けても、シール不良などが発生せず、断熱性能が劣化しにくい真空断熱材7,750が得られる。
ここでは、繊維長として繊維集合体1(不織布シート)の長さ(あるいは幅)と同等以上の長さのものを使用するようにしたが、長繊維の繊維長としては、残存有機繊維2aの繊維長Yが真空断熱材7,750に貫通穴や切り欠きなどの真空断熱材開口部71を設けた場合に、ほつれなどにより貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51の内側(外部)などに飛び出しにくい繊維長であれば良い。貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51よりも十分に長い繊維長(繊維長は貫通穴の直径や切り欠きの大きさよりも長ければ長い方が良く、例えば、残存有機繊維2aの繊維長Yが芯材開口部51である貫通穴の直径や切り欠きの大きさよりも10mm程度以上(好ましくは15mm以上)長い繊維長)であれば貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51を設けても、芯材開口部51で取り除かれた場合に芯材開口部51以外に芯材5に残る部分の残存有機繊維2aの長さYが少なくとも10mm以上(好ましくは15mm以上)となり、貫通穴周辺にほつれて飛び出してくる可能性が減少するので、シール性が悪化しにくくなり、シール不良による断熱性能の低下も抑制できる。
また、本実施の形態では、真空断熱材7の芯材開口部51をカット(切断)する場合について説明したが、別に芯材開口部51でなくてもよく、シールする部分の芯材5のシート端面(例えば所定の大きさに端面5a(あるいは端面1a)がカットされた繊維集合体1の少なくとも1つの端面)などに適用すればシール不良が発生せず、断熱性能の低下を抑制できることはいうまでもない。
例えば、端面がカットされて所定の大きさ(例えばA4サイズ)となった芯材5を外包材4に挿入して外包材の挿入口4aをシールする場合において、外包材4の挿入口4aに対応する芯材5や繊維集合体1(不織布シート)の端面5a、端面1a(切断面)へ適用しても良い。外包材4の芯材5を挿入する挿入口4aも、芯材5を挿入した後は熱溶着などでシール部分45がシールされる。そのため、本実施の形態のように長繊維(例えば、端面5a(あるいは端面1a、あるいは芯材開口部51)がカットされた繊維集合体1(不織布シート)の長さや幅と同等以上の初期繊維長の繊維、好ましくは端面5a(あるいは端面1a、あるいは芯材開口部51)を切断したあとにシートに残る残存有機繊維2aの繊維長Yが10mm以上(好ましく15mm以上、さらに好ましくは20mm以上)となる初期繊維長の繊維)を使用するようにしているので、芯材5,550をカットして所定長さの芯材5や繊維集合体1を製造しても残存有機繊維2aの繊維長Yが所定の長さ(例えば、切断したあとにシートに残る残存有機繊維2aの繊維長が10mm以上(好ましく15mm以上、さらに好ましくは20mm以上))を確保できる。従って、芯材5や繊維集合体1の切断面から残存有機繊維2aがはみ出してくることがなくなり、シール不良などが発生せず、長期間に渡って断熱性能が劣化しにくい信頼性の高い真空断熱材7,750が得られる。
ここで、長有機繊維の繊維長は、例えば、カット(切断)したあとにシートに残る残存有機繊維2aの繊維長Yが10mm以上(好ましく15mm以上、さらに好ましくは20mm以上)となる初期繊維であれば良い。好ましくは、不織布シートの長さ(あるいは幅)と同等かそれ以上の長繊維が良く、更に好ましくは、シートの長さ(あるいは幅)の一端から他端まで連続した長繊維の方が好ましい。
したがって、有機繊維2は端面がカットされて所定の大きさと幅を有する繊維集合体1の長さ方向あるいは幅方向に連続している長繊維を使用しているので、繊維集合体1(不織布シート)のカット部(例えば、芯材5や繊維集合体1のシート端面の端面5a、端面1aや穴加工の芯材開口部51や切り欠き加工の芯材開口部51など)にカットにより発生した残存有機繊維2aの長さを長く確保できるため、芯材5に従来のような短繊維を使用した場合に発生する端面5a、端面1a、芯材開口部51よりのカットにより発生した残存有機繊維2aのはみ出しだしなどを抑制できるので、従来の短繊維を使用した場合のように残存有機繊維2aのはみ出しを考慮してシール部分45や真空断熱材開口部シール部分78のシール長さを長くする必要がなくなり、したがって外包材4のシール部分45、真空断熱材開口部シール部分78のシール長さを短くできるので、コンパクトで低コストの真空断熱材7を得ることができる。また、外包材4の大きさが同じであれば、従来の短繊維を使用した場合に比べて残存有機繊維2aのはみ出し分の長さ分(例えば1mm〜10mm程度)だけ、芯材5の大きさ(シートの長さや幅)を大きくでき、断熱できる面積が大きく取れるため断熱性能が向上する。
また、芯材5,550については、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを積層した後にカットするようにした方が長さ方向、あるいは幅方向の端面の稜線が揃うため断熱性能の低下が少なく、さらに外包材4に挿入する場合にも端面がカットにより若干押圧されて有機繊維2同士がからまったりくっついたりしてばらけにくいので挿入しやすい。
また、図33に示すように芯材5,550の切断される貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51の切断されない部分(例えば、切断される部分が芯材開口部51であり、芯材開口部51の内側部分が切断により取り除かれるのであれば芯材開口部51の外周)の周辺に連続して、または所定の間隔を設けてエンボス加工110などの熱溶着部を設けるようにすれば、残存有機繊維2aのはみ出しが抑制出来る。また、切断される部分が繊維集合体1の端面の場合は、切断される部分でなく切断されずに残るシート部分(繊維集合体1を形成する部分)の端面の切断面近傍に連続してエンボス加工110などの熱溶着部を設けるようにするか、または所定の間隔を設けてエンボス加工110などの熱溶着部を設けるようにすれば、エンボス加工110などによる熱溶着によって切断部分近傍がくっつき有機繊維2同士がばらけにくくなるため残存有機繊維2aのはみ出しが抑制出来る。このようにエンボス加工110などを設けることにより、さらなるシール不良が低減でき、更なる断熱性能の抑制効果が向上する。ここで、エンボス加工110などによる熱溶着部は、切断部近傍のみ設けても良いが、切断部近傍に集中して設ける必要はなく、シート状の繊維集合体1全体に所定の間隔で複数設けるようにしても効果が得られる。また、エンボス加工110などの熱溶着部は繊維集合体1の厚さを貫通して設けた方が効果が大きく、熱溶着部の大きさは大きい方が効果が大きいが、貫通しなくても実験などにより熱溶着部の厚さ方向の長さについて熱溶着部の大きさとともにシール不良が発生しない範囲で適宜設定すれば良い。
ここで、本実施に形態では、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシート(繊維集合体1)の最短長さ以上の連続した繊維長の長繊維を使用するようにした方が、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さよりも短い短繊維を使用した場合よりも断熱性能が向上し、また、連続した長繊維を使用した方が好ましいことを説明したが、繊維集合体1の製造過程で繊維が途中で切れてしまうことが考えられ、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さ以上に連続しない繊維も混入することが考えられる。本実施の形態では、シートの長さ方向、あるいは幅方向のうち短い方のシートの長さ以上に連続した繊維がシートを形成する全繊維に占める割合が60%以上含まれれば、断熱性能が向上し、シール不良の低下も抑制できる。(シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さ以上に連続した繊維がシートを形成する全繊維に占める割合が55%以上であれば、シール不良の発生率が短繊維を使用した場合に比べて良くなることが確認できたので、本実施の形態では、ばらつきなどを考慮して占める割合を60%以上になるようにしている。)従って、本実施の形態では、シートの長さ方向、あるいは幅方向などシートの最短長さ以上に連続した長繊維のシートに占める割合が60%以上(好ましくは70%以上)である長繊維で構成された繊維集合体1を使用するようにしている。
(断熱箱)
次に本発明の真空断熱材7の冷蔵庫への適用の一実施例について説明する。
図34は実施の形態1を示す図で、断熱箱を説明するものであって、冷蔵庫への適用例を模式的に示す正面視の側断面図である。ここで使用される真空断熱材7,750や芯材5,550や繊維集合体1などは本実施の形態で説明した上述の真空断熱材7,750や芯材5,550や繊維集合体1などを使用しているので、断熱性能が優れる。
図34において、冷蔵庫100は、外箱9と、外箱9の内部に配置された内箱10と、外箱9と内箱10との間の隙間に配置された真空断熱材7,750およびポリウレタンフォームなどの発泡断熱材11と、内箱10内に冷熱を供給する圧縮機などを有する冷凍ユニット(図示しない)と、を有している。なお、外箱9および内箱10によって形成される断熱箱体には、前面に開口部が形成され、当該開口部に開閉扉が設置されている(何れも図示しない)。
ここで、真空断熱材7,750の外包材4に、アルミ箔を含んでいる外包材4を使用すると、アルミ箔を含んでいるため、該アルミ箔を通って熱が回り込むヒートブリッジが生じて断熱性能が低下するおそれがある。このため、該ヒートブリッジの影響を抑制するため、真空断熱材7は樹脂成形品であるスペーサ8を用いて、外箱9の塗装鋼板から離して配設するようにしている。なお、スペーサ8は後工程で断熱壁内に注入されるポリウレタンフォームにボイドが残らないように、流動を阻害しないための孔が、適宜設けられている。
すなわち、冷蔵庫100は、真空断熱材7,750、スペーサ8および発泡断熱材11によって形成された断熱壁12を有している。なお、真空断熱材7を含む断熱壁12が配置される範囲は限定されるものではなく、外箱9と内箱10との間に形成される隙間の全範囲であっても一部であってもよく、また、前記開閉扉の内部に配置されてもよい。
冷蔵庫100は、使用済みとなった場合、家電リサイクル法に基づき、各地のリサイクルセンターで解体・リサイクルされる。このとき、本実施の形態の冷蔵庫100に、例えば、繊維集合体1(有機繊維2によって形成されている)からなる芯材5にて形成された真空断熱材7を使用するようにすれば、サーマルリサイクルに際して燃焼効率を下げたり、残渣となったりすることがなく、リサイクル性が良いので、真空断熱材7を取り外すことなく破砕処理を行うことができる。
また、真空断熱材7を断熱箱に配設した冷蔵庫100において、当該真空断熱材7の芯材5が無機粉末である真空断熱パネルの場合には、粉末が飛散してしまうため、箱体のまま破砕処理は行えず、大変な手間をかけて冷蔵庫箱体から真空断熱材7を取り外さなければならない。
また、芯材5,550がガラス繊維である真空断熱パネルの場合には、箱体のまま破砕処理は行えるものの、破砕後のガラス繊維はポリウレタンフォームの粉砕物に混じって、サーマルリサイクルに供される。この際、燃焼効率を低下させたり、燃焼後の残渣になったりするなどリサイクル性に難点がある。
また、芯材5,550に有機繊維2を使用するようにしてガラス繊維などの無機繊維を含有しないようにすれば、破砕してもガラスなどの粉末が発生しない。そのため、ガラス粉などによる人体への悪影響を抑制でき、しかも大変な手間をかけて冷蔵庫箱体から真空断熱材7を取り外さなくても良いので、解体時間が大幅に短縮でき、リサイクル性も良好であり、リサイクル効率が格段に向上する。
なお、以上は、断熱箱として冷蔵庫100を例示しているが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。保温庫、車両空調機、給湯器、貯湯タンクなどの冷熱機器あるいは温熱機器に適用しても上述したさまざまな効果が得られる。さらには、所定の形状を具備する箱体に替えて、変形自在な外袋および内袋を具備する断熱袋(断熱容器)であってもよい。
(冷蔵庫)
図35乃至図37は実施の形態1を示す図で、図35は冷蔵庫100の断面図、図36は図35に示す冷蔵庫100の断熱仕切りに使用される真空断熱材7,700,750の芯材5,550を表す模式図、図37は冷蔵庫100の断熱仕切りに使用される真空断熱材7を表す模式図である。
ここで使用される真空断熱材7,700,750や芯材5や繊維集合体1などは本実施の形態で説明した上述の真空断熱材7,700,750や芯材5や繊維集合体1などを使用しているので、断熱性能が優れる。
図において、冷蔵庫100の食品貯蔵室は、最上部に開閉ドアである冷蔵室扉160を備えて配置される冷蔵室150、冷蔵室150の下方に冷凍温度帯(−18℃)から冷蔵、野菜、チルド、ソフト冷凍(−7℃)などの温度帯に切り替えることのできる引き出しドア式の切替室扉210を備える切替室200、切替室200と並列に引き出しドア式の製氷室扉510を備える製氷室500、最下部に配置される引き出しドア式の冷凍室扉310を備えた冷凍室300、冷凍室300と切替室200及び製氷室500との間に引き出しドア式の野菜室扉410を備えた400等から構成される。冷蔵庫100の冷蔵室扉160の前面側表面には、各室の温度や設定を調節する操作スイッチと、そのときの各室の温度を表示する液晶などから構成される操作パネル180が設けられている。
冷蔵庫100の背面側には、下部に冷凍サイクルを構成する圧縮機600を配置する機械室601及び冷却器650、および冷却器650により冷却された冷気を冷蔵室150や切替室200に送風するためのファン660などが配置される冷却器室640が設けられる。
この冷却器室640から、冷却器650により冷却された冷気を冷蔵室150内に導入するための冷却風路680や冷却器650により冷却された冷気を冷凍室300内に導入するための風路690などが設けられている。
また、冷蔵庫100の上部で冷蔵室150の背面の断熱壁背面において、制御基板収納室910に制御基板900が収納される。この制御基板900には、圧縮機600や冷却風路の開閉を行なうダンパなどと接続されて圧縮機600や冷却風路の開閉制御を行って冷蔵室150や冷凍室300などの貯蔵室内の温度制御を行うための制御用のリード線や電源線などが設けられている。
なお、切替室200には収納ケース201が、冷凍室300には収納ケース301が、野菜室400には収納ケース401が、それぞれ設置されており、それらのケース内に食品を収納することができる。
ここで、冷蔵庫100下部の機械室601と冷却器室640との間の断熱壁には、真空断熱材700が設けられている。この真空断熱材700は単独でも、あるいは発泡断熱材11中に埋め込まれたり、配置される構成であっても良い。
すなわち、本実施の形態の冷蔵庫100は、開閉式の冷蔵室扉160備えた冷蔵室150や、引き出し式の切替室扉210、冷凍室扉310、野菜室扉410、製氷室扉510を備えた切替室200、冷凍室300、野菜室400、製氷室500などを含む複数の貯蔵室と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、貯蔵室に冷気を生成する冷却器650と、冷却器650及び冷却器650で生成された冷気を各貯蔵室へ送風する庫内ファン660と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、冷却器と庫内ファンを収容する冷却器室640と、冷蔵庫100本体の下部あるいは上部に設けられ、冷凍サイクルを構成する圧縮機600を収容する機械室601と、機械室601と冷却器室640との間に設けられた第1の断熱壁と、機械室と貯蔵室の間に設けられた第2の断熱壁と、貯蔵室の扉あるいは第1の断熱壁あるいは第2の断熱壁に設けられ、有機繊維2をシート状に形成した繊維集合体1の積層構造で構成され、端面がカットされたカット部を有する芯材5,550を外包材4内に挿入してシート周囲の外包材のシール部をシールすることで内部が略真空状態で密封して形成された真空断熱材7,700と、を備え、有機繊維2に繊維集合体1の長さと同等かそれ以上の長繊維を使用するようにしている。
この機械室601と冷却器室640との間の断熱壁に設けられる真空断熱材700は、図37に示すように二箇所で折れ曲がったZ字状の複雑な構造をしている。真空断熱材700は、外包材4内に長繊維で形成された繊維集合体1が積層された芯材5が端面がカット(切断)された所定の大きさのシート状態で挿入されており、乾燥、真空引き後に外包材4の挿入部分が熱溶着などによりシールされて完成する。
本実施の形態では、芯材5に繊維集合体1を使用し、少なくとも折り曲げたい側の面にレーザー加工などにより複数の貫通しない程度で断熱性能が得られる程度の浅い小さな穴加工や連続した溝加工などの曲げ加工部55,56(例えば溶融による穴加工や溝加工など)が設けられている。従って、真空断熱材700が完成後に芯材5の曲げ加工部55,56より容易に必要な所定角度で折り曲げることができる。
このとき、曲げ加工部55,56の大きさ、溝幅、深さなどは、折り曲げる角度や折り曲げ量などに基づいて実験などで適宜決定される。
また、折り曲げ部の両面に貫通しな範囲で曲げ加工部55,56を設けると、折り曲げやすくなるので、大きな角度での曲げ加工が可能となり、しかも曲げ加工部55,56が芯材5を貫通しないので、断熱性能も維持できる。また、芯材5に所定の大きさのシートの長さ(シートの長辺あるいは短辺長さ)よりも長い長繊維を使用しているので、断熱性能が良い。また、芯材5に有機繊維を使用しているので、ガラス繊維を芯材に使用した場合に比べて、人体への悪影響がなく、リサイクル性も良好である。
レーザー加工を使用すれば、複雑な形状の穴加工であっても容易に加工でき、また、溶融時の温度上昇も抑制可能なので必要な部分だけ必要な大きさや幅や深さの穴加工や連続溝加工ができる。このレーザー加工をエンボス加工にも適用すれば、熱ローラを別途準備する必要がなくなり、設備投資が低減でき、低コストの真空断熱材7,700,冷蔵庫100が得られる。
ここで、レーザー加工の代わりに図13乃至図19で説明したように、繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを複数枚(例えば2枚)幅方向に所定長さ(ラップ代Xb)だけずらして重ねた状態で複数回積層して芯材5,550を製造するようにすれば、スリットの数も繊維集合体1、1Jを重ねた枚数の数(複数個、3枚重ねてずらした場合はスリットは3つ)できるので、真空断熱材の厚さが厚くなっても折り曲げ部59(第1のスリット部57、第2のスリット部58)で容易にシート面の両側に折り曲げることが可能となる。また、第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分が凹んだ台形形状になり、しかも真空断熱材750の厚さ方向の両側にできるため、例えば厚さが厚くなった場合であってもシーと面の両側に形成される第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分で容易に折り曲げ可能となるため外包材4が破れたり傷ついたりすることもなくなる。また、Z字形状やC字形状やW字形状などの複雑な形状でも容易に製造できる。
ここで、図42乃至図45で説明したように、折り曲げ部59(第1のスリット部57、第2のスリット部58)を有する芯材550の代わりに凹み部760Xを有する芯材560を使用しても同様に真空断熱材の厚さが厚くなっても凹み部760Xがシート面の両側に設けられるため容易にシート面の両側に折り曲げることが可能となる。また、凹み部760Xの断面形状が凹んだ台形形状になり、しかも真空断熱材760の厚さ方向の両側にできるため、例えば厚さが厚くなった場合であってもシーと面の両側に形成される凹み部760Xの部分で容易に折り曲げ可能となるため外包材4が破れたり傷ついたりすることもなくなる。また、Z字形状やC字形状やW字形状などの複雑な形状でも容易に製造できる。
したがって、本実施の形態の真空断熱材750,760を第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体間の接続部(スリット部)で所定の角度(例えば略90度)で折り曲げ、例えば冷蔵庫の上面、両側面、背面、底面を有する断熱箱体の少なくとも2つの連続する壁面に配置することが可能となる。具体的には、冷蔵庫の場合には、所定の角度を略90度としてL字状に折り曲げた場合には、(1)側壁と背面壁、(2)上面壁と背面壁、(3)上面壁と側壁、(4)底面壁と側壁、(5)底面壁と背面壁などの連続した2壁面に適用できる。また、2箇所折り曲げてコ字状とした場合には、(1)背面壁と両側壁、(2)上面壁と両側壁、(3)底面壁と両側壁、(4)上面壁、背面壁、底面壁などの連続した3壁面に適用できる。
図38は実施の形態1を示す図で、冷蔵庫100の別の断面図である。図38において、図35と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。図において、真空断熱材700、750、760がレーザー加工などにより形成される曲げ加工部55,56や第1のスリット部57、第2のスリット部58などにより形成される折り曲げ部59や第1の(有機)繊維集合体1Kの個々の繊維集合体(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke)間の所定のすきまXKにより形成される凹み部760XによりL字状に折り曲げられて冷蔵庫100の上面壁と背面壁に跨って配置されており、さらにW字状に折り曲げられて冷蔵庫100の背面壁と底面壁に跨って配置されている。このように本実施の形態で説明した真空断熱材7,700,750,760を折り曲げるなどして使用するようにすれば、冷蔵庫の圧縮機600を収納する機械室601のように複雑な形状をした壁面であっても容易に適用できる。冷蔵庫以外の圧縮機や貯湯タンクなどの円筒形容器の周囲の断熱や空調機の室外機や給湯機の熱源機の筐体(容器)の断熱であっても容易に適用できるのは言うまでもない。
本実施の形態では、冷蔵庫についての適用事例について説明したが、冷蔵庫以外の給湯機や冷凍・空調装置などの機器であっても適用できる。また、本実施の形態では、二箇所で折れ曲がった「Z」状の複雑な構造をした真空断熱材700について説明したが、一箇所で折れ曲がった「L」状でも良く、また、2箇所で折れ曲がった「コ」状や複数箇所で折れ曲がった「C」状や「J」状や「W」状であっても容易に適用できる。したがって、本実施の真空断熱材は、今まで曲げ加工や穴加工などが困難であったため真空断熱材の搭載が困難であった複雑な形状の箇所(「Z」状、「コ」状、「C」状、「J」状や「W」状などの箇所やあるいは突起や配管などがあるような箇所)にも適用可能であり、あらゆる機器に搭載可能である。本実施の真空断熱材を搭載した冷蔵庫などの機器は、リサイクル性が良好で人体への悪影響もなく、断熱性能の向上が見込める。
ここで、機械室601と冷却器室640との間の断熱壁は、圧縮機600と冷却器650とを接続する配管が貫通する場合がある。この場合は、図39に示すように真空断熱材7,700,750,760に貫通穴72(真空断熱材開口部71)を設けるようにすれば良い。
図39は実施の形態1を示す図で、冷蔵庫100の断熱仕切りに使用される真空断熱材700を表す模式図である。この場合には、芯材5に芯材開口部51を設け、外包材4には芯材開口部51よりもシールに必要なシール代分だけ小さな外包材開口部41を設けることで、真空断熱材開口部71を備えた真空断熱材700が得られる。このとき、真空断熱材700の真空断熱材開口部71である貫通穴72は、断熱壁を貫通させたい吸入配管や吐出配管などの配管や制御用や電源用のリード線などの貫通させたい大きさよりも大きな穴径の貫通穴であればよく、切り欠き形状であってもよい。
また、本実施の形態の真空断熱材700では、折り曲げ加工部55,56と真空断熱材開口部71である貫通穴72は別の箇所に設けた例を示しているが、折り曲げ加工部55,56に配管などを貫通させる貫通穴72を設けても良い。この場合、芯材5の曲げ加工部55,56の部分に芯材開口部51である芯材貫通穴52を設ければ容易に貫通穴を備えた真空断熱材7を得ることができる。
すなわち、本実施の形態の冷蔵庫100は、開閉式、あるいは引き出し式の扉(冷蔵室扉160、切替室扉210、冷凍室扉310、野菜室扉410、製氷室扉510)を備えた冷蔵室150や冷凍室300などを含む複数の貯蔵室(冷蔵室150、切替室200、冷凍室300、野菜室400、製氷室500)と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、貯蔵室に冷気を生成する冷却器と650、冷却器650及び冷却器650で生成された冷気を各貯蔵室へ送風する庫内ファン660と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、冷却器と庫内ファンを収容する冷却器室640と、冷蔵庫本体の下部あるいは上部に設けられ、冷凍サイクルを構成する圧縮機600を収容する機械室601と、機械室601と冷却器室640との間に設けられた断熱壁と、貯蔵室の扉あるいは断熱壁に設けられ、有機繊維2をシート状に形成した繊維集合体1の積層構造で構成され、端面がカットされたカット部を有する芯材5を外包材4内に挿入してシート周囲の外包材4のシール部をシールすることで内部が略真空状態で密封して形成された真空断熱材7,700と、を備え、有機繊維2にシート1の長さと同等かそれ以上の長繊維を使用するようにしている。したがって、真空断熱材7,700の断熱性能が良く、リサイクル性に優れ、シール不良などが発生せず信頼性が高いので、この真空断熱材を適用した冷蔵庫などの機器も長期間にわたり高性能でリサイクル性が良い。
ここでは、真空断熱材700を機械室601と冷却器室640との間の断熱壁に設ける例を示したが、真空断熱材開口部71を冷却風路に適用しても良く、この場合は、冷却風路を有する区画壁や仕切り壁や断熱壁に真空断熱材700を使用すれば良い。また、冷却器室640を構成する断熱壁に設けても良い。
また、冷蔵庫背面や側面の断熱壁内に真空断熱材700を配置して、熱溶着やレーザー加工などで凝縮パイプなどの配管が収納可能な凹溝(凝縮パイプなどの配管の直径程度の幅と深さを有する連続した凹溝)を設け、この凹溝内に凝縮パイプなどの配管を配置させて凝縮パイプなどの断熱をおこなっても良い。
特に凝縮パイプの直径程度(直径以下でも良い)の幅と直径の略半分程度(直径以下でも良い)の深さを有する連続した凹溝を設けた真空断熱材700を少なくとも二つ使用して、この二つの真空断熱材7の凹溝間に凝縮パイプなどの配管を挟み込むように固定すれば、凝縮パイプなどの配管の更なる断熱性能を向上させることができ、凝縮パイプなどの配管の放熱や吸熱による貯蔵室内への温度上昇の影響を低減でき少エネルギーな冷蔵庫100が得られる。
機械室601と冷却器室640との間の断熱壁など冷却器650から落下してくる除霜水を受けて除霜水を冷蔵庫100の外部や機械室601に排出する排水口を備えたドレンパン機能を有する場合であっても、本発明の真空断熱材701は、真空断熱材開口部71を備えるので、排水口の一に真空断熱材開口部71の位置が略一致するように真空断熱材700を配置すれば良い。
ここで、一般に発泡樹脂を外箱9と内箱10の間に充填する場合には、発泡樹脂の充填のためにガス抜き孔が必要であるが、従来は真空断熱パネルを外箱と内箱との間などの断熱壁に配設すると外箱のガス抜き孔は真空断熱パネルの配置エリアを避けて設けなくてはならず、発泡樹脂が断熱箱体内を上手く回らなくなり製造不良が生じる。そこで、内箱にもガス抜き孔を設けることが考えられるがこれでも不十分であるため、真空断熱材を内箱に貼り付けることも考えられるが、凹凸のある内箱内面に真空断熱材を貼り付けるのが困難となる。よって、真空断熱材7,700,750,760と外箱の間にガス抜き孔を確保する必要から、ガス抜き孔を塞がないように真空断熱材を外箱から浮かせるためのスペーサを設けることも考えられているが、この場合は、スペーサが必要であるし、コストアップにもなり、さらに組立性が悪くなる。
これに対し、本発明では、真空断熱材7,700,750,760の貫通穴や切り欠きなどの真空断熱材真空断熱材開口部71を設けることが容易であり、この真空断熱材開口部71を外箱のガス抜き孔と略同等位置に配置すれば良いので、外箱に真空断熱材7,700,750,760をスペーサなどを設けなくてもガス抜き孔を塞ぐことが無いように外箱と内箱との隙間の外箱表面に貼り付けることが可能となる。また、本発明の真空断熱材7,700,750,760は、複雑な形状に折り曲げ可能なので、凹凸のある外箱と内箱との隙間の内箱内表面にも容易に貼り付けることができる。したがって、本発明の真空断熱材7,700,750,760は、外箱9と真空断熱材7,700,750,760との間にも、内箱10と真空断熱材7,700,750,760との間にもにもスペーサなどを設けないで真空断熱材7,700,750,760を直接貼り付けることができ、低コストで断熱性能の良い真空断熱材を備えた断熱箱、冷蔵庫を得ることができる。
ここで、本発明の真空断熱材7,700,750,760は、冷蔵室扉160、切替室扉210、冷凍室扉310、野菜室扉410、製氷室扉510などの貯蔵室扉の断熱材に設けても良い。この場合、貯蔵室扉に設けられたハンドルなどの手掛け部を固定するネジ等が断熱材を貫通する場合であっても、ハンドル固定用のネジ部の位置と略同等位置に真空断熱材7,700,750,760の真空断熱材開口部71が配置されるようにすれば良い。また、本発明の真空断熱材7,700,750,760は断熱性能が良いので薄く製造することが可能であり、冷蔵庫100の天板の断熱にも適用できる。
ここで、真空断熱材開口部71は、芯材開口部51の周囲の外包材4がシール部(シール代75)でシールされ、その後に外包材4のシール部(シール代75)の内側の芯材5の無い不要部分がカットされることで形成され、その結果真空断熱材7,700,750,760に貫通穴72が形成される。このとき、真空断熱材7,700,750,760は、外包材4のシール部(シール代75)の内側の芯材5の無い不要部分をカットせずそのまま残して真空断熱材開口部71としても良い。この場合には、真空断熱材7,700,750,760には真空断熱材開口部71に貫通穴72は存在しないが、外包材4のシール部(シール代75)の内側の芯材5の無い不要部分が真空断熱材開口部71に相当する。
したがって、芯材開口部51は有するが真空断熱材貫通穴72を有さない真空断熱材7,700,750,760を、貫通穴72を設けずにそのまま断熱箱や冷蔵庫などの機器に使用して断熱箱や冷蔵庫などの機器に組み込んだ状態でシール部75のシール性に影響を与えない範囲に組み込んだ後から穴加工やネジ止めなどを行うことが可能となり、外包材4の貫通穴加工が不要になり、低コストな真空断熱材や断熱箱、冷蔵庫などの機器が得られる。
したがって、本実施の形態の芯材には芯材開口部51を有するが真空断熱材としては貫通穴72を有さない真空断熱材7,700,750,760を住宅の壁面の断熱材として使用する場合おいては、通常、エアコンの冷媒配管やドレン配管用の貫通穴は住宅完成後にエアコンの取り付け時にエアコンの取り付位置に合わせて穴加工する場合が多いが、エアコンの取り付位置や冷媒配管やドレン配管の取り出し位置は予めある程度想定できるので、予め想定される冷媒配管やドレン配管の取り出し位置近傍に芯材には芯材開口部51を有するが真空断熱材としては貫通穴72を有さない真空断熱材7,700,750,760の貫通穴72を配置させておけば、冷媒配管やドレン配管の取り出しを住宅完成後に真空断熱材7,700,750,760の貫通穴72の部分に穴加工を行なえば良い。このようにすれば、もしもその場所にエアコンを取り付けなかったとしても貫通穴72には包装材4が存在するので住宅の内外が貫通することがなくなり断熱性能などを著しく損なうことはない。
本実施の形態の真空断熱材700(あるいは真空断熱材750,760)では、折り曲げ加工部55,56(あるいは折り曲げ部59,凹み部760X)と真空断熱材開口部71である貫通穴72を同時に一枚の真空断熱材に設けることができるので、冷蔵庫100の機械室601と冷却器室640との間の断熱壁や仕切り壁など複雑な形状をしている壁面形状であっても、容易に加工でき、また、断熱壁を貫通して設けられる配管やリード線や排水口などの貫通穴部や手掛け部固定用のネジ部などがあっても容易に適用できる。この場合、芯材5(あるいは芯材550,560)に曲げ加工部55,56(あるいはスリット部57,58,560X)と芯材開口部51の両方を設ければ、容易に開口部を備えた折り曲げ加工が容易な真空断熱材7を得ることができ、したがって、断熱効率が良く冷却効率が良くしかも取り扱いや加工性も良く、少エネルギーで低コストの冷蔵庫、機器を得ることができる。
図40、図41は実施の形態1を示す図で、図40は真空断熱材701の芯材5を表す模式図、図41は圧縮機600や給湯機の貯湯タンクなどの断熱に使用される真空断熱材701を表す模式図である。
ここで使用される真空断熱材701や芯材5や繊維集合体1などは、本実施の形態で説明した上述の真空断熱材7、700、750、760や芯材5、550、560や繊維集合体1,1J,1Kなどを使用しているので、断熱性能が優れる。
図において、真空断熱材701に使用される芯材5は繊維集合体1である不織布シートの積層構造より構成されている。芯材5には、エンボス加工110などの熱溶着部が設けられた熱ローラあるいはレーザー加工などにより複数の貫通しない程度で断熱性能が得られる程度の浅い小さな穴加工(あるいは連続した溝加工)などの曲げ加工部55(例えば、溶融などによる穴加工や溝加工など)が所定の間隔あるいは必要な間隔で複数設けられている。そのため、真空断熱材701が完成後に芯材5の曲げ加工部55より容易に必要な所定角度で折り曲げることができるので、曲げたい部分で確実に曲げることができ、曲げたくない部分が曲がったり変形したりするのが抑制できる。
本実施の形態では、芯材5に幅方向にある程度密な間隔(折り曲げ可能な間隔と深さを有する)で複数の穴加工(あるいは連続した溝加工)が設けられた曲げ加工部55が芯材5の長さ方向に所定の間隔あるいは必要な長さを有した間隔で複数設けられている。この曲げ加工部55より折り曲げることで略円筒形の真空断熱材701が得られる。この真空断熱材701は、冷蔵庫100や冷凍・空調装置などの圧縮機600の密閉容器外周部まわりの断熱や給湯機の貯湯タンクの外周部まわりの断熱など略円筒形の容器の断熱などに使用される。
このとき、曲げ加工部55の大きさ、溝幅、深さなどは、折り曲げる角度や折り曲げ量などに基づいて実験などで適宜決定される。また、折り曲げたい位置の芯材5の両面に貫通しない範囲で曲げ加工部55を設けると、折り曲げやすくなるので、大きな角度での曲げ加工が可能となる。しかも曲げ加工部55が芯材5を貫通しないので、断熱性能も維持できる。レーザー加工を使用すれば、複雑な形状の曲面加工や穴加工であっても容易にでき、また、溶融時の温度上昇も抑制可能なので必要な部分だけ必要な大きさや幅や深さの穴加工や連続溝加工ができる。このレーザー加工をエンボス加工110にも適用すれば、熱ローラを別途準備する必要がなくなり、設備投資が低減でき、低コストの真空断熱材701、冷蔵庫100、冷凍空調装置、給湯装置などの機器が得られる。
また、本実施の形態の真空断熱材701では、芯材5に設けられた折り曲げ加工部55と真空断熱材開口部71である貫通穴72は別の箇所に設けた例を示しているが、折り曲げ加工部55,56に配管などを貫通させる貫通穴72を設けても良い。この場合、芯材5の曲げ加工部55,56の部分に芯材開口部51である芯材貫通穴52を設ければ容易に貫通穴を備えた真空断熱材701を得ることができる。
ここで、本実施の形態の真空断熱材700は、圧縮機600と冷却器650との間の断熱壁でなくても良く、制御基板900などが収容された制御基板収納室910と冷蔵室150などの貯蔵室との間の断熱壁に配設しても良い。この場合には、加工性が容易で配設の自由度が大きく高断熱性能の真空断熱材7,700を使用できるので、制御基板収納室910内に露がつくことが無くなり、高性能で高信頼性の冷蔵庫100が得られる。また、断熱性能が必要な貯蔵室間や冷却器室640と貯蔵室間の断熱壁や仕切り壁に配設しても効果が得られる。また、本実施の形態の真空断熱材7,700は断熱性能が良いので薄くでき、しかも曲げ加工と開口部の加工が容易なため、冷蔵庫100の天板や仕切り板や風路のも適用できる。
ここで、本実施の形態では、図39乃至図41に示すように芯材5に芯材開口部51である芯材貫通穴52と切り欠き53が設けられており、真空断熱材701に真空断熱材開口部71である貫通穴72と切り欠き73が設けられている。この場合、芯材5に芯材貫通穴52や切り欠き53を設け、外包材4には芯材貫通穴52や切り欠き53よりもシールに必要なシール代分だけ小さな外包材開口部41である貫通穴72や切り欠き73を設けることで、真空断熱材開口部71である真空断熱材貫通穴や真空断熱材切り欠きを備えた真空断熱材701が得られる。ここで、本実施の形態では、上述したように芯材5に長繊維な有機繊維で形成された繊維集合体1の積層構造を使用して端面をカットして所定の大きさのシートとしているので、端面のカットによる残存有機繊維2aのはみ出しや飛び出しなどが発生しにくいので、外包材4のシール部に残存有機繊維2aが飛び出して挟まってシール不良を起こすことがなくなるので、外包材4のシール代75を短くでき、低コストでシール不良の発生しない信頼性の高い真空断熱材が得られる。また、同様に、貫通穴52,72や切り欠き73のシール代75も短くできるので、断熱箱、冷蔵庫などの機器に組み込む場合に貫通穴52,72を大きく使用できるので、使い勝手の良い真空断熱材が得られる。また、逆に外包材4のシール代75を小さくできるため、芯材開口部51である貫通穴52、72の穴径や切り欠き53,73の開口幅(長さ)を小さくできるので、貫通穴52,73や切り欠き53,73を有する真空断熱材7,700,701,750であっても芯材5を大きく取れ断熱性能の高い真空断熱材が得られる。
この真空断熱材701は、冷蔵庫100や冷凍・空調装置などの圧縮機600の密閉容器外周部まわりの断熱や給湯機の貯湯タンクの外周部まわりの断熱など略円筒形の容器の断熱などに使用される。(略円筒形の容器回りの少なくとも一部を覆うように真空断熱材7,700,701,750,760が配置される。)このとき、真空断熱材701の真空断熱材開口部71である貫通穴72や切り欠き73は、真空断熱材701を貫通させたい吸入配管や吐出配管などの配管や制御用リード線や電源用リード線など、貫通させたい配管やリード線などの大きさよりも大きな穴径の貫通穴や切り欠き形状であれば良い。
また、略直方体状や略円筒形状をした筐体と、筐体内に収納されて水やお湯を溜める略円筒形の貯湯タンクと、前記貯湯タンクの水を加熱する冷凍サイクル(例えば、圧縮機、第1熱交換器(水加熱用熱交換器)、絞り装置、第2熱交換器(蒸発器)を環状に接続した冷凍サイクル)を備えた熱源機と、を備えたヒートポンプ式給湯装置においては、貯湯タンクの周りに直接真空断熱材7,700,701,750,760を覆うように配置しなくても良く、筐体内面壁の全部、あるいは少なくとも一部に本発明の真空断熱材7,700,701,750,760を配置して筐体内壁を覆うことによって、筐体内の断熱効果が向上し、貯湯タンク内のお湯の温度を長期間所定温度に維持することが可能となり省エネルギーな給湯装置(給湯機)が得られる。また、騒音低減が可能となり、また、リサイクル性も良好となる。
また、冷媒にR410Aや二酸化炭素(CO2)や可燃性冷媒(HC冷媒など)や微燃性である低GWP冷媒(R32やHFO冷媒など)などが使用され、圧縮機、凝縮器(あるいはガスクーラ)、減圧装置、蒸発器を順次接続して構成される冷凍・空調装置や給湯装置などの室外機や熱源機などは略直方体状の形状をした筐体内をファンが収容されるファン室と圧縮機が収容された機械室とを仕切る仕切り壁が設けられている構造の場合には、機械室内面に本発明の真空断熱材7,700,701,750,760を貼り付けたり、筐体と一体で形成しても良い。この場合、真空断熱材7,700,701,750,760を筐体の内面前面に貼った方が良いが、底面を除く5面(前面、2側面(仕切り壁含む)、背面、上面)に貼っても良いし、少なくとも筐体の1面に貼り付けても良いし、1面の中での一部に適用しても良い。このとき、圧縮機の吸入配管や吐出配管、室内機や貯湯タンクと接続される冷媒配管や給湯配管、圧縮機の制御や給湯温度の制御などを行う制御用リード線などの配管やリード線などは、従来の真空断熱材では取り出すことが困難であったが、本発明では真空断熱材7,700,701,750,760の真空断熱材開口部71から筐体の外部に取り出すことが容易となっている。このようにすることで、圧縮機の断熱性能の向上や騒音防止の効果が得られる。
また、微燃性である低GWP冷媒(R32やHFO冷媒など地球温暖化係数の小さな冷媒)を使用する場合であっても本実施の形態の真空断熱材の外包材4に着火しにくく難燃性の材料を使用すれば、冷媒漏れが発生しても真空断熱材には着火しにくいため装置への着火などが抑制でき安全な給湯機や冷凍・空調装置などの機器が得られる。
また、略直方体状の形状をした筐体内をファンが収容されるファン室と圧縮機が収容された機械室とを仕切る仕切り壁が設けられて、機械室内部(あるいは外部)の少なくとも一部が本発明の真空断熱材7,700,750,760で覆ったり、あるいは略円筒形の圧縮機の周りの全てあるいは少なくと一部を覆っているので、温水温度や暖房能力を向上させることができ、エネルギー効率の良い冷蔵庫、冷凍・空調装置、機器を提供できる。また、略円筒形の圧縮機を有する冷蔵庫や自動販売機や保冷庫や給湯機や冷凍・空調装置などの機器については、略円筒形の圧縮機の周りの全てあるいは少なくと一部を本発明の真空断熱材7,700,750,760で覆うことによって、断熱効果が向上し、しかも騒音低減が可能となり、また、リサイクル性も良好となる。
また、冷凍サイクルを備えたヒートポンプ式給湯装置の熱源機においては、上記のように略直方体状の形状をした筐体内をファンが収容されるファン室と圧縮機が収容された機械室とを仕切る仕切り壁が設けら、筐体内部の例えばファン室や機械室の下部や側部にガスクーラが配置されている構造の場合であっても、機械室内部の内面すべてや機械室内部(あるいは外部)の少なくとも一部に本発明の真空断熱材7,700,750,760を設けて覆ったり、あるいは、略円筒形の圧縮機の周りの全てあるいは少なくと一部を覆うようにしているので、圧縮機で圧縮した高圧の冷媒ガスを熱損失無くガスクーラや凝縮器に送り込むことができ、温水温度や暖房能力を向上させることができ、エネルギー効率の良いヒートポンプ式給湯機や温水器を提供できる。また、筐体内部に本発明の真空断熱材7,700,750,760を設けることで、ファンや圧縮機の騒音を低減できる効果も有する。
また、本発明の真空断熱材7,700,701,750,760を、ジャーポットなどの略円筒形の容器の断熱材として使用しても断熱性能が向上することから長時間の保温が可能でさり、エネルギー効率の良いジャーポットなどの機器が得られる。
ここで、真空断熱材700,701,750,760の外包材4に、絶縁性のプラスチックラミネートフィルムを使用するようにすれば、制御用リード線や電源用リード線近傍の断熱材として使用する場合や真空断熱材開口部71に制御用リード線や電源用リード線などを貫通させて断熱材として使用する場合に、絶縁材としても機能するので、安全で断熱性能の大きな真空断熱材700,701,750,760およびこの真空断熱材700,701,750,760を備えた断熱箱、圧縮機600、自動販売機、保冷庫、冷蔵庫100、給湯機、冷凍・空調装置などの機器が得られる。特に電源接続部近傍や制御基板近傍など電気部品が配置された部分の近傍や制御基板などが収納される電源ボックスの周囲の少なくとも一部に本実施形態の断熱材に使用すれば、更なる安全な機器が得られる効果が得られる。特にサービスマン(あるいはユーザ)が触りやすい電源ボックスの周囲や機械室の内壁や圧縮機の周囲や給湯機の貯湯タンクの周囲などに本実施の形態の真空断熱材750,760を使用すれば、仮に漏電した場合にサービスマン(あるいはユーザ)が触ったとしても感電する恐れがなくなるので、更なる安全な機器が得られる。
また、本実施の形態の冷蔵庫100や給湯機や冷凍・空調装置などの機器には、真空断熱材が配置されている部位が分解時やリサイクル時に目視にて簡単に分かるように機器本体の背面や側面(冷蔵庫100であれば冷蔵庫本体の裏面や側面、給湯機であれば、熱源機側面や裏面、貯湯タンクの周面、電気温水器ではタンク周面など)や電源ボックスなどに機器全体の断面図や展開図や立体図や斜視図などの全体図や部分表示図を表示し、この全体図や部分表示図に真空断熱材の配置位置やゲッター剤の配置位置や吸着剤の配置位置などを表示するようにして分解時やリサイクル時に有用となる情報を表示して目視にて即座に理解してもらえるようにしている。
また、使用されている真空断熱材の大きさや厚さ、真空断熱材の芯材の種類や目付けなども表示するようにすれば、リサイクル時に再利用可能な芯材の量や種類が容易に把握できる。
また、機器に使用されている真空断熱材7の芯材5の材料名や使用量を表示し、芯材5がガラス繊維でなく有機繊維である旨も表示するようにしている。例えば、「本製品に使用されている真空断熱材の芯材には、ガラス繊維は使用されていません。芯材には有機繊維(例えばPET)が使用されていますので、分解時やリサイクル解体時にガラス繊維の破砕粉が発生しません。」などの表示を行うことで、分解や解体が容易に行える冷蔵庫100や給湯機や機器が得られる。したがって、リサイクル時に真空断熱材7,700,750,760の芯材5,550,560(有機繊維)がウレタン屑などに混じってサーマルリサイクルに供されても燃焼効率を落とすことがなく、また残渣の発生を抑制できるので、リサイクル性に優れる冷蔵庫100や給湯機や電気温水器や冷凍・空調装置などの機器が得られる。また、分解時や解体時にガラス繊維の破砕粉による粉塵も発生しないので、吸込んだり皮膚に刺さったりすることがなくなり人体への悪影響も抑制できる。
以上説明したように、本実施の形態は、芯材5に連続した長繊維の繊維集合体1を使用しているので、不織布シートのカット部(例えば、シート端面のカット部や穴加工のカット部や切り欠き加工のカット部など)にカットにより発生した残存繊維の長さがを長く確保できる。そのため残存繊維がカット部端面よりはみ出してくるのを抑制でき、芯材に短繊維を使用した場合に発生するカット部よりのカットにより発生した残存繊維のはみ出しだしなどが発生しない。したがって、芯材5を外包材4に挿入してシールするときにはみ出した残存繊維によりシール性が損なわれることがない。また、有機繊維2の不織布シートを芯材5に使用しているので、加工性、取り扱い性、断熱性能や生産性に優れた真空断熱材7,700,750,760およびこの真空断熱材7,700,750,760を備えた断熱箱、自動販売機、保冷庫、冷蔵庫100、給湯機、冷凍・空調装置などの機器を提供できる。
また、本実施の形態では、真空断熱材7の芯材5に、有機繊維2を使用しているので、従来のように硬くて脆いガラス繊維が芯材5として使用されている場合に比べて、真空断熱材7の製造時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着して刺激を与えるということも無くなり取り扱い性、作業性が向上する。
また、本実施の形態では、繊維集合体1の不織布シートを複数積層して芯材5に使用した場合に、積層枚数が多くて硬くなり真空後に曲げにくくなっても、曲げが必要な部分に曲げ加工部55,56を設けて曲げやすくしている。そのため、曲げたい部分のみを曲げることができ、曲げたくない部分が変形してしまうということがなくなる。従って、信頼性の高い真空断熱材7,700,750,760およびこの真空断熱材7,700,750,760を備えた断熱箱、自動販売機、保冷庫、冷蔵庫100、給湯機、冷凍・空調装置などの機器が得られる。
また、真空断熱材7の芯材5に、有機繊維2を使用しているので、従来のように硬くて脆いガラス繊維が芯材として使用されている場合に比べて、真空断熱材7の製造時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着して刺激を与えるということも無くなり取り扱い性、作業性が向上する。
また、本実施の形態では、長繊維を使用した繊維集合体1の不織布シートを複数積層して芯材5に使用しているので、真空断熱材7に穴加工や切り欠き加工を設けても、繊維くずがシール部分に侵入したり入り込んだりしない。従って、芯材5に穴加工や切り欠き加工が容易でシール性も良好で取り扱いが容易な真空断熱材7,700,750,760および該真空断熱材7,700,750を具備する断熱箱、自動販売機、保冷庫、冷蔵庫100、給湯機、冷凍・空調装置などの機器を提供できる。
また、本実施の形態では、芯材5に熱ローラやレーザー加工を施して真空断熱材7に凹溝を形成することにより配管形状に略相似形状の凹溝(断面略半円形状の凹溝)を設けることができるので、この凹溝に配管を配置することができる。また、芯材550,560の繊維集合体を幅方向に所定すきまを介して並べることで真空断熱材750,760に凹み部(第1のスリット部57、第2のスリット部58、凹み部760X))を形成することによりこの凹み部に配管を配置するようにしたので、配管からの熱漏洩の少ない真空断熱材7,700,750,760、真空断熱材7,700,750,760を具備する断熱箱、自動販売機、保冷庫、冷蔵庫100、給湯機、冷凍・空調装置などの機器を得ることができる。
本発明の真空断熱材は、住宅や店舗などの壁面や天井や床面などに設けても良い。本発明の真空断熱材7,700,750,760は、芯材5にガラス繊維を使用していないので、住宅の建設時や解体時にガラス繊維の粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着して刺激を与えるということも無くなり取り扱い性、作業性、安全性、リサイクル性が向上する。また、真空断熱材開口部71を設けることが可能なので、エアコンなどの冷凍・空調装置用の冷媒配管や制御用リード線の取り出し部や換気用の穴部や、電源線や給水配管や排水配管の取り出し用穴部や、電話やインターネット用の配線の取り出し用穴部などにも容易に配置・設置することができる。また、折り曲げ加工も容易なため、曲面や折曲がった部位への設置も容易である。
以上より、繊維としてたとえば有機繊維2を使用し、有機繊維2がシート状に形成された繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの積層構造で構成され、所定の長さあるいは幅で端面がカットされた端面1aを有する芯材5,550,560と、芯材5,550,560を内部に収納し、芯材5,550,560よりもシール長さ分だけ大きい範囲のシール部分を有し、内部を減圧した状態でシールするガスバリア性の外包材4と、を備え、(有機)繊維2に芯材5,550,560の長さあるいは幅以上に連続した(有機)繊維2を使用し、カットにより生じた残存有機繊維2aがカット部よりはみ出すのを抑制するようにしたので、シール部45に対向する芯材5,550,560のシート端面のカット面(端面5a)から残存繊維2aがはみ出してくることがなくなり、シール不良などが発生せず、リサイクル性が良好で断熱性能が劣化しにくい高性能で信頼性の高い真空断熱材7,700,701,750,760が得られる。
また、本実施の形態では、繊維2としてたとえば有機繊維2を使用し、有機繊維2をシート状に形成した繊維集合体1の積層構造で構成され、所定の長さが得られるように端面がカットされたカット部(例えば端面5a)を有する芯材5(例えば、有機繊維2をシート状に形成し、所定の長さに端面1aがカットされて形成された繊維集合体1の積層構造で構成された芯材5,550,560、あるいは有機繊維2をシート状に形成した繊維集合体1を積層した後に所定の長さ(あるいは幅)に端面5aがカットされて構成された芯材5など)と、芯材5を内部に収納し、芯材5の外形の大きさ(たとえば、芯材が長方形の場合は長さ、幅であり、芯材が円形の場合は直径)よりもシール長さ分だけ大きい範囲で、カット部(例えば端面5a)を含む外形の周囲をシールするシール部分45を有するガスバリア性の外包材4と、外包材4のシール部分45をシールすることで外包材4の内部が略真空状態で密封される真空断熱材7,700,701,750,760と、を備え、有機繊維2に端面がカットされた芯材5,550,560(あるいは端面がカットされたシート)の長さ(あるいは幅)と同等かそれ以上の長さ(あるいは幅)の長繊維を使用するようにしたので、シール部分45に芯材5のシート端面のカット面(端面5a)から残存有機繊維2aがはみ出してくることがなくなり、シール不良などが発生せず、リサイクル性が良好で断熱性能が劣化しにくい高性能で信頼性の高い真空断熱材7,700,701,750,760が得られる。
また、有機繊維2をシート状に形成し、所定の長さに端面1aがカットされて形成された繊維集合体1の積層構造で構成され、あるいは有機繊維2をシート状に形成した繊維集合体1を積層した後に所定の長さ(あるいは幅)に端面5aがカットされて構成され、貫通穴52や切り欠き53などの開口部がカットして設けられた芯材開口部51を有する芯材5,550,560と、芯材5を内部に収納し、芯材5,550,560(あるいはシート状の繊維集合体1)の外形(例えば端面5a,1a)の周囲及び芯材開口部51の周囲をシールするシール部分45,78を有し、シール部78をシールすることで内部を略真空状態で密封するガスバリア性の外包材4と、芯材5(あるいはシート状の繊維集合体1)の外形(たとえば端面5a,1a)の周囲及び芯材開口部51の周囲に設けられたシール部分45,78がシールされた状態の外包材4に設けられ、芯材開口部51の大きさよりもシール代75の長さ分だけ穴の大きさ(開口部が円形の場合は直径)や長さ(あるいは幅)が小さい貫通穴や切り欠きなどの開口である外包材開口部41と、を備え、有機繊維2に端面5a,1a)がカットされた芯材5,550,560のシートの長さ(あるいは幅)と同等かそれ以上の長さの長繊維を使用するようにしたので、長繊維(例えば、連続した繊維や、シートの長さと同等かそれ以上の長さを有する繊維)を使用しているため、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51をカット(切断)により設けたとしても、貫通穴や切り欠きなどの芯材開口部51のカット部分の内側周辺にカットにより切断された切断有機繊維2bやシートに残った部分の残存有機繊維2aの繊維くずが飛び出してでてくることがなくなり、シール不良が発生せず、リサイクル性が良好で断熱性能の低下しない真空断熱材7,700,701,750,760、真空断熱材7,700,701,750,760を用いた断熱箱、機器などが得られる。
また、繊維集合体1の厚さが、ガスバリア性容器(外包材4)の内部に略真空状態(減圧状態)で収容された際、有機繊維2の繊維直径の3倍以上18倍以下であるので、綿状繊維を芯材に使用した場合よりも断熱性能が向上する。また、生産性も向上するので、低コストで高性能で信頼性の高い真空断熱材7が得られる。
また、繊維集合体1に有機繊維をシート状に形成して加熱溶着が施された有機繊維集合体を使用し、繊維集合体1は、有機繊維2を加熱溶着してシート状に形成されたものであり、加熱溶着の占める割合を全面積(シート面積)の3%以上20%以下としたので、圧縮歪による変形と断熱性能低下の両方を抑制することができる。すなわち、加熱溶着を施す面積を全表面積(シート表面積)の3%以上にすることで繊維集合体2がばらばらにならないため取り扱い強度が増して繊維集合体1の取り扱い性が向上し、加熱溶着の占める割合を全面積(シート面積)の20%以下とすることで圧縮ひずみを小さく抑制し、しかも熱伝導率も小さくできる。したがって、変形しにくく、しかも断熱性能の向上が図れる真空断熱材が得られる。さらに、繊維集合体1に有機繊維集合体を使用して繊維集合体1の重量目付けを85[g/m2]以上とすれば、圧縮歪をより低減でき、198[g/m2]以下にすれば断熱性能を維持できるので、変形しにくく必要な断熱性能が得られる真空断熱材7,700,701,750,760が得られる。
また、繊維集合体1,1Jは、連続したたとえば有機繊維2を加熱溶着してシート状に形成されたものであり、繊維集合体1である不織布の重量目付けが4.7g/m2以上70g/m2以下、あるいは140g/m2以上198g/m2以下であり、加熱溶着部が繊維集合体1の表面から裏面へシートの厚さ方向へ貫通するようにしたので、必要な断熱性能を確保でき、しかも製造しやすく、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材7,700,750,760、断熱箱、真空断熱材7を使用した冷蔵庫100や給湯機やジャーポットなどの機器が得られる。また、芯材5の取り扱い性が良く、断熱性能の高い真空断熱材7が得られる。
また、繊維集合体1は、連続した有機繊維2を加熱溶着してシート状に形成されたものであり、繊維集合体1である不織布の重量目付けが4.7g/m2以上130g/m2以下であり、加熱溶着部が繊維集合体1の表面から裏面へシートの厚さ方向へ貫通しないようにしたので、必要な断熱性能を確保でき、しかも製造しやすく、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材7,700,750,760、断熱箱、真空断熱材7,700,750,760を使用した冷蔵庫100や給湯機やジャーポットなどの機器が得られる。また、芯材5の取り扱い性が良く、断熱性能の高い真空断熱材7,700,750,760が得られる。
また、繊維集合体1である不織布の重量目付けが85g/m2以上198g/m2以下として、真空成形時の温度や圧縮力による繊維集合体1の変形を小さくするようにしたので、一枚のシートの厚さが厚くなり歪にくくなるため圧縮に対する剛性が得られ、真空成形時に変形しにくくなるため、変形による形状不良などが発生せず信頼性の高い真空断熱材7が得られる。
また、断熱性能を重視する場合(熱伝導率を従来のガラス繊維が芯材に使用されているものと同等である0.002[W/mK]以下にしたい場合)は、不織布シート(繊維集合体1)の重量目付けを4.7[g/m2]以上26[g/m2]以下となるようにすればよく、断熱性能の向上が見込める。また、不織布シートの変形(圧縮ひずみ)を抑制したい場合は、不織布シートの重量目付けを110[g/m2]以上で積層枚数1枚となる目付け以下(例えば198[g/m2]以下)とすればよく、変形が小さく取り扱い性の良い真空断熱材が得られる。また、不織布シートの変形(圧縮ひずみ)を抑制し、しかも断熱性能もある程度良くしたい場合(熱伝導率を従来の綿状繊維が芯材に使用されているものと同等である0.003[W/mK]以下にしたい場合)は、不織布シートの重量目付けを140[g/m2]以上198[g/m2]以下となるようにすれば、変形(圧縮歪)の少なく、芯材の取り扱い性が良く、断熱性能の高い真空断熱材が得られる。
また、有機繊維をシート状に形成して加熱溶着が施された繊維集合体1の積層構造で構成され、所定の長さになるように端面5aがカットされたカット部を有する芯材5と、芯材5を内部に収納し、カット部を有する芯材5の外形の大きさ(たとえば芯材が長方形の場合は長さ寸法や幅寸法、円形の場合は直径寸法)よりもシール長さ(シール代75)分だけ大きい範囲で、カット部を含む外形の周囲をシールするシール部78を有するガスバリア性の外包材4と、外包材4のシール部分45,78をシールすることで外包材4の内部が略真空状態で密封された真空断熱材7,700,701,750,760と、を備え、繊維集合体1(不織布シート)の厚さを平均繊維径の3倍以上18倍以下、繊維集合体1(不織布シート)の重量目付けを4.7g/m2以上70g/m2以下、繊維集合体(不織布シート)に加熱溶着部を設ける範囲をシート面積の20%以下(好ましくは8%以下)になるようにすれば、熱伝導率が小さく高断熱性能で、しかも生産性が良好で製造しやすくシートの取り扱い性が良好で、リサイクル性が良好な不織布、真空断熱材、真空断熱材を使用した断熱箱、冷蔵庫、給湯機、ジャーポット、冷凍・空調装置、ショーケースなどの機器が得られる。また、有機繊維2同士を加熱溶着しているので、繊維集合体1がばらばらになりにくくなり取り扱い性が向上し、さらに適度の加圧、加熱溶着を施すため、有機繊維2間の接触面積の増大を抑制でき、伝熱の増加による加熱溶着部からの熱伝導を抑制して断熱性能の低下を抑制できる。また、断熱性能向上の効果に加えて生産性が向上し、生産コストが安価にでき、低コストで高性能で信頼性の高い真空断熱材、真空断熱材を使用した断熱箱、冷蔵庫、給湯機、ジャーポット、冷凍・空調装置、ショーケースなどの機器が得られる。
また、繊維集合体1(不織布シート)の厚さを平均繊維径の3倍以上18倍以下、繊維集合体1(不織布シート)の重量目付けを98[g/m2]以上(好ましくは140[g/m2]以上)198[g/m2]以下、繊維集合体1(不織布シート)に加熱溶着部を設ける範囲をシート面積の3%以上20%以下(好ましくは8%以下)になるようにすれば、所定の断熱性能が得られ、しかも変形が少なく生産性が良好で製造しやすくシートの取り扱い性が良好で、信頼性が高くリサイクル性が良好な不織布、真空断熱材、真空断熱材を使用した断熱箱、冷蔵庫、給湯機、ジャーポット、冷凍・空調装置、ショーケースなどの機器が得られる。また、有機繊維2同士を加熱溶着しているので、繊維集合体1がばらばらになりにくくなり取り扱い性が向上し、さらに適度の加圧、加熱溶着を施すため、有機繊維2間の接触面積の増大を抑制でき、伝熱の増加による加熱溶着部からの熱伝導を抑制して断熱性能の低下を抑制できる。また、断熱性能向上の効果に加えて生産性が向上し、生産コストが安価にでき、低コストで高性能で信頼性の高い真空断熱材、真空断熱材を使用した断熱箱、冷蔵庫、給湯機、ジャーポット、冷凍・空調装置、ショーケースなどの機器が得られる。
また、繊維集合体1を構成する繊維の断面形状を略三角形状や略C形形状や略Y字形状などの異形断面形状としており、有機繊維2の断面形状を略円形断面の繊維と略同等の断面積を有する略三角形形状とすれば、略同等の断面積を有する略円形断面を有する繊維に比べて断面二次モーメントが大きく剛性が向上し、大気圧を受けた時の繊維の撓みが減少し真空断熱材7の断熱性能が向上する。また、略C形形状や略Y字形状などの異形断面形状としても同様の効果が得られる。
また、有機繊維2の断面がC形断面の場合は、成形時の圧力によりつぶれたときの断面形状がパイプ形状(中心部が中空の略円形形状)になるため、略円形断面の繊維を使用するよりも断面がパイプ形状のため熱伝達が悪くなり、真空断熱材7,700,701,750の断熱性能が向上する。
また芯材5,550,560は、目付けの異なる複数種類の芯材5、550を組み合わせて積層したので、同じ厚さのものを積層した場合に比べて、積層後の厚さが同じ厚さであれば、芯材5全体としても歪を小さくでき、しかも目付けの高いものを同じ厚さに積層した場合よりも、断熱性能が良く、歪による変形の少ない信頼性の高い真空断熱材7,700,750が得られる。さらに目付けの低いものを同じ厚さに積層した場合よりも必要な断熱性能を確保でき、しかも所定の剛性が得られるので断熱性能が良く、変形の少ない高性能で信頼性の高い真空断熱材7,700,701,750,760が得られる。
また、芯材5,550,560は、第1の(有機)繊維集合体1Kと、第2の(有機)繊維集合体1Hとの積層構造で形成され、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hとが、互いに交わるように重ねれば、シートとシートの間も点接触に近づき断熱性能がより向上する。また、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hを異なる目付けのものとすれば、同じ厚さのものを積層した場合に比べて同じ厚さであれば、芯材5全体としても歪を小さくでき、しかも目付けの高いものを同じ枚数だけ積層した場合よりも厚さを薄くできるので、断熱性能が良く、積層厚さが薄く、歪による変形の少ない信頼性の高い真空断熱材7が得られる。さらに目付けの低いものを同じ枚数だけ積層した場合よりも必要な断熱性能を確保できながらしかも所定の剛性が得られるので断熱性能が良く、変形の少ない高性能で信頼性の高い真空断熱材7,700,701,750,760が得られる。
また、有機繊維2は繊維集合体1の長さ方向あるいは幅方向に連続しているので、繊維集合体1の不織布シートのカット部(例えば、シート端面のカット部(端面1a,5a)や穴加工のカット部(貫通穴52)や切り欠き加工のカット部(切り欠き53)など)にカットにより発生した残存有機繊維2aの長さがを長く確保できる。そのため残存有機繊維2aがカット部端面よりはみ出してくるのを抑制でき、芯材5に短繊維を使用した場合に発生するカット部よりのカットにより発生した残存有機繊維2aのはみ出しだしなどが発生しない。したがって、芯材5,550,560を外包材4に挿入してシールするときにはみ出した残存有機繊維2aによりシール性が損なわれることがない。
また、本発明では、有機繊維2は繊維集合体1の長さ方向あるいは幅方向に連続している長繊維を使用しているので、繊維集合体1(不織布シート)のカット部(例えば、芯材5,550や繊維集合体1のシート端面のカット部(端面5a,1a)や穴加工のカット部(貫通穴52)や切り欠き加工のカット部(切り欠き53)など)にカットにより発生した残存有機繊維2aの長さがを長く確保できるため、芯材に短繊維を使用した場合に発生するカット部よりのカットにより発生した残存繊維のはみ出しだしなどを抑制できるので、従来の短繊維を使用した場合のように残存繊維のはみ出しを考慮してシール長さを長くする必要がなくなり、したがって外包材4のシール部のシール長さを短くできるので、コンパクトで低コストの真空断熱材を得ることができる。また、外包材4の大きさが同じであれば、従来の短繊維を使用した場合に比べて残存繊維のはみ出し分の長さ分(例えば1mm〜10mm程度)だけ、芯材5,550,560の大きさ(シートの長さや幅)を大きくでき、断熱できる面積が大きく取れるため断熱性能が向上する。
また、繊維集合体1の有機繊維2が、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、アラミド、および液晶ポリマーのいずれかであるので、加工性、取り扱い性、断熱性能や生産性に優れる。
また、外箱9と、外箱9の内部(内側)に配置された内箱10とを備え、外箱9と内箱10との隙間に上述した本実施の形態の真空断熱材7,700,750,760を配設したので、加工性、取り扱い性、断熱性能や生産性に優れ、しかも断熱性能の良い真空断熱材7を備えた断熱箱、断熱箱を備えた冷蔵庫100が得られる。
また、外箱9と真空断熱材7,700,750,760との間にスペーサ8を配設したので、外部よりの熱の進入をスペーサ8を介して真空断熱材7,700,750,760で断熱するので、断熱効率が向上する。また、内箱10への熱の進入もウレタンなどを介するので、真空断熱材7,700,750,760で断熱した後にさらにウレタンなどで断熱できるので庫内に侵入する熱量が低減でき、断熱効率が向上する。また、外箱9、内箱10、発泡断熱材11(ウレタン)、スペーサ8により箱体の強度も確保できる。
また、圧縮機600を収容する機械室601と冷気を生成する冷却器650を収容する冷却器室640との間の断熱壁に二箇所で折れ曲がったZ字状、あるいは3箇所以上で折れ曲がった複雑な形状(例えばW形状や曲面形状など)であり、芯材5に本実施の形態の真空断熱材7,700,750,760を配設したので、冷蔵庫100の断熱壁など折れ曲がった形状であっても低コストでリサイクル性が良好で高断熱性能の真空断熱材を容易に配設できる。
また、真空断熱材700,750,760を完成後に芯材5の曲げ加工部55,56、あるいは芯材550の第1のスリット部57、第2のスリット部58、あるいは芯材560の第3のスリット部560Kより容易に必要な所定角度で折り曲げることができ、加工が容易で断熱性能の良い真空断熱材700,750を配設できるので、低コストで高断熱性能の冷蔵庫100を提供できる。
また、所定の長さ(あるいは幅)が得られるように端面5aがカットされたシート状の芯材5に端面がカットされた状態での芯材シートの長さ(あるいは幅)と同等かそれ以上の長さの有機繊維2の長繊維を使用し、真空断熱材7,700,750,760に貫通穴72あるいは切り欠き73などの真空断熱材開口部71を設けて真空断熱材7,700,750,760の真空断熱材開口部71を圧縮機600と冷却器650を接続する配管が真空断熱材7,700,750,760の真空断熱材開口部71を通過するように真空断熱材7,700,750,760を配設したので、吸入配管や吐出配管などの配管や制御用や電源用のリード線などの真空断熱材7,700,750,760を配設する上で障害となるものがあっても低コストで貫通穴72や切り欠き73などの開口部の加工が容易な真空断熱材7,700,750,760を配設できるので、低コストで配設の自由度が高く、高断熱性能を有する冷蔵庫100を提供できる。
また、本実施の形態の空気調和機などの冷凍・空調装置は、室内に据え付けられ、室内の空調を行う室内機と、略直方体状の形状をした筐体と、筐体内をファンが収容されるファン室と圧縮機が収容される機械室とに仕切る仕切り壁と、を有する室外機と、を備え、筐体と仕切り壁とで構成される機械室の内部(機械室内の仕切り壁や筐体、あるいは圧縮機周りなど)あるいは外部(機械室を構成する筐体や仕切り壁の外壁など)の少なくとも一部に本実施の形態の真空断熱材7,700,701,750,760を配設したので、機械室や圧縮機の断熱が行えるため、暖房能力を向上させることができ、エネルギー効率の良い冷凍・空調装置や機器を提供できる。
また、少なくとも上面、両側面、背面、前面、底面のうち、2つの連続する壁面を有する略直方体状の箱体を備えた冷蔵庫や冷凍・空調装置や給湯装置などの機器においては、芯材5,550,560に曲げ加工部55,56(レーザー加工などにより形成される凹部など)や隣接する繊維集合体間の第1のスリット部57、第2のスリット部58や隣接する繊維集合体間の第3のスリット部560Kを設け、真空断熱材7,700,701,750,760を曲げ加工部55,56や折り曲げ部59や凹み部760xより所定角度(例えば略90度)に折り曲げて少なくとも2つの連続する壁面に配置するようにしているので、従来は真空断熱材を自由に必要な所定角度に折り曲げることが困難だったため連続する2つの壁面への適用も困難だったが、本実施の形態の真空断熱材700,750,760を使用すれば必要な箇所で折り曲げ容易となるため、所定の角度を有する2つの連続する壁面へも適用可能となり、断熱性能高い機器が得られる。特に隣接する繊維集合体間に形成される凹部形状を成す第1のスリット部57、第2のスリット部58により構成される折り曲げ部59、第3のスリット部560Kにより構成される凹み部760xより所定角度に折り曲げる方が、レーザー加工などの特別な凹部加工を施さなくても良いので、低コストで設備投資の少ない真空断熱材が得られる。
したがって、所定の角度を有する2つの連続する壁面間の角部にも真空断熱材を連続して配置できるので、冷蔵庫などの機器の扉部を除く外箱の外表面積に対する真空断熱材の被覆率を大幅に向上させることができる。例えば、冷蔵庫の場合であれば、従来は困難であった外箱表面積に対する真空断熱材の被覆率80%を越えることが可能となる。また、冷蔵庫に限らず外箱方面席に対して真空断熱材の被覆率が80%を越える断熱箱体を形成することが可能となる。さらに貫通穴72や切り欠き73などの加工を併用すれば、従来は真空断熱材を適用するのが困難であった制御用リード線や配管などが壁面を貫通して設けられていたとしても制御用リード線や配管などを貫通穴72や切り欠き73で避けることができるので、さらなる真空断熱材の被覆率の向上を図ることができる。
また、圧縮機600やタンクなどの略円筒形の容器を備え、芯材5に端面がカットされた芯材シート(あるいは繊維集合体1)の長さと同等かそれ以上の有機繊維2の長繊維を使用した上述の本実施の形態の真空断熱材を略円筒形の容器の回りに配設したので、断熱性能の良い機器が得られる。ここで、圧縮機や貯湯タンクなど高温(約80℃程度以上)になる部分の断熱を行う場合は、有機繊維2に高温耐力のある樹脂繊維(例えば、LCPやPPSを使用すれば良いが、略円筒形の容器の回りに高温耐力のある発泡ウレタンや発泡スチロールなどの別部材の断熱材を配設するようにして、この別部材の断熱材の外側に本実施の形態の真空断熱材を例えば囲むように配設するようにしても良い。このようにすると、別部材の断熱材で高温耐力を持たして真空断熱材で断熱性能を持たすことが可能となり、高性能で断熱性能を有する圧縮機や給湯機などの機器を得ることができる。
また、圧縮機600や貯湯タンクなどの略円筒形の容器を備え、芯材5,550,569に曲げ加工部55,56(レーザー加工による凹部など)や折り曲げ部59(第1のスリット部57、第2のスリット部58による凹部)や凹み部760x(第3のスリット部560Kによる凹部)を設け、真空断熱材700,701,750,760を曲げ加工部55,56や折り曲げ部59や凹み部760xより所定角度(例えば略30度)に折り曲げて略円筒形の周壁に連続して配置するようにしているので、従来は真空断熱材を自由に必要な所定角度に折り曲げることが困難だったため圧縮機やタンクなどの円形断面の連続する周壁への適用も困難だったが、本実施の形態の真空断熱材7,700,701,750,760を使用すれば必要な箇所で折り曲げ容易となるため、所定の角度を有する円筒形の容器の連続する周壁(容器回り、壁面)へも適用可能となり、断熱性能高い機器が得られる。
また、吸入配管や吐出配管や給湯配管などの配管や制御用や電源用のリード線などの真空断熱材を配設する上で障害となるものがあっても、低コストで貫通穴72や切り欠き73などの開口部の加工が容易な真空断熱材を配設できるので、低コストで配設の自由度が高く、リサイクル性が良好で高断熱性能を有する機器を提供できる。
また、本実施の形態の真空断熱材の製造方法によれば、加熱されて溶融したポリエステルやポリスチレンなどの有機質の樹脂を所定の幅で横一列に並んだ複数のノズルから連続した状態で押し出して複数の有機繊維(繊維直径が3μm以上15μm以下程度の繊維)としてコンベア上で捕集する捕集工程と、コンベアを所定の速度で送り、複数の有機繊維をローラーで加圧しながら加熱溶着(例えばエンボス加工)して巻き取りシート状の繊維集合体1を製造する巻き取り工程と、巻き取り工程にて製造された繊維集合体1の端面を裁断して所定の大きさの芯材5に加工する芯材加工工程と、芯材5を外包材4内に挿入口4aより挿入して内部を略真空状態に減圧する減圧工程と、減圧工程にて内部が略真空状態まで減圧された状態の外包材4の挿入口4aのシール部分45をシールする外包材シール工程と、を備えているので、有機繊維の連続成形が容易に行え、有機繊維が連続した長繊維による繊維集合体1も容易に成形できる。また、溶融樹脂の押し出し量(吐出量)とコンベアの速度を調整することで、容易に厚さの異なる繊維集合体1や重量目付けの異なる繊維集合体1を製造できる。また、ノズルの穴直径を変更することで、容易に有機繊維の繊維直径を変更できる。また、芯材5あるいは繊維集合体1に長繊維の有機繊維を使用しているため、端面を裁断しても端面から残存有機繊維2aが外包材4のシール部分45にはみ出したり飛び出したりすることがなくなり、シール不良の発生しにくい長期間に渡って真空度の低下しにくい信頼性の高い真空断熱材を得ることができる。
また、本実施の形態の真空断熱材の製造方法によれば、加熱されて溶融したポリエステルやポリスチレンなどの有機質の樹脂を所定の幅で横一列に並んだ複数のノズルから連続して押し出す押し出し工程と、押し出し工程にてノズルから連続して押し出された樹脂を冷却空気などで冷却した後に圧縮空気などで延伸して繊維化する繊維化工程、あるいは、ノズルから押し出された樹脂にノズルの穴近傍(例えばノズルの押し出し穴の脇)から樹脂の溶融温度と略同等の高温の空気を前記ノズルの穴近傍(穴脇)から吹き付けることで樹脂を繊維化する繊維化工程と、繊維化工程にて繊維化された複数の有機繊維(繊維直径が3μm以上15μm以下程度の繊維)をコンベア上で捕集する繊維捕集工程と、を備えるので、簡単構成で溶融樹脂を連続した有機繊維の長繊維として製造できる。また、溶融樹脂の押し出し量(吐出量)とコンベアの速度を調整することで、容易に厚さの異なる繊維集合体1や重量目付けの異なる繊維集合体1を製造できる。また、ノズルの穴直径を変更することで、容易に有機繊維の繊維直径を変更できる。
また、本実施の形態の真空断熱材の製造方法によれば、芯材加工工程が、繊維集合体1を複数積層した後に端面を裁断して所定の大きさの芯材5に加工することにしたので、繊維集合体1を複数積層するだけで簡単に所定の大きさの連続した有機繊維を使用した繊維集合体1を製造できる。
また、本実施の形態の真空断熱材の製造方法によれば、芯材加工工程が、繊維集合体1を略円筒形のローラーで巻き取った筒状の状態のままの繊維集合体1をシート状に成形した後に端面を裁断して所定の大きさの芯材に加工することにしたので、芯材5を製造する場合に筒状の開口端面のみを切断すればよくなり、切断箇所が少なくて済むので低コストで作業性の改善が行える真空断熱材が得られる。
また、本実施の形態の真空断熱材の製造方法によれば、加熱溶着を施す面積範囲を繊維集合体1の全面積の20%以下(好ましくは15%以下、さらに好ましくは8%以下)の範囲としたので、有機繊維2同士を加熱溶着しており、繊維集合体1がばらばらになりにくくなり取り扱い性や取り扱い強度が向上し、さらに適度の加圧、加熱溶着を施すため、有機繊維2間の接触面積の増大を抑制でき、伝熱の増加による加熱溶着部からの熱伝導を抑制して断熱性能の低下を抑制できる。
また、本実施の形態の真空断熱材の製造方法によれば、繊維集合体1の重量目付けが4.7g/m2以上26g/m2以下となるように芯材を製造しているので、連続した有機繊維の繊維集合体1が容易に製造できる。また、重量目付けを4.7g/m2以上としているので、有機繊維2をローラーで巻き取っても有機繊維2が切れたりすることなく信頼性の高い連続した有機繊維の長繊維が得られる。また、重量目付けを26g/m2以下としているので、熱伝導率がガラス繊維を芯材5にした従来の一般的な真空断熱材7の熱伝導率である0.002[W/mK]程度と同等以下にできるので、断熱性能の高い真空断熱材7,700,750,760が得られる。