JP4124146B2 - 冷凍空調装置、冷凍空調装置の断熱材取り付け方法 - Google Patents

冷凍空調装置、冷凍空調装置の断熱材取り付け方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷凍空調装置に関し、特に例えばR32冷媒のように吐出温度が高くなる冷媒を用いたものに関するものである。
従来、冷凍空調装置に主として用いられてきたHCFC系冷媒は、近年、オゾン層保護の観点から、HFC系冷媒への代替化が図られている。しかしこのHFC系代替冷媒の中には、地球温暖化係数(以下、GWP)が従来のHCFC系冷媒より大きいものが存在し、さらにGWPが小さい冷媒への更なる代替化が検討されている。例えばHCFC系冷媒の代表であるR22冷媒のGWPより、HFC系冷媒の代表であるR410A冷媒のGWPが大きいため、R410A冷媒よりGWPの小さいHFC系冷媒であるR32冷媒への転換が検討されている。このR32冷媒は、配管内の冷媒圧力損失が小さくシステムCOP(成績係数)の向上を図れるという特徴があるが、冷媒物性上、R22やR410Aに比べて、圧縮機での吐出温度が理論上15℃程度上昇する。このため、R22やR410Aを使用している装置について、冷媒をR32に入れ換えると共に、冷凍機油をR32用に変更しただけでは、信頼性や性能が低下してしまうという問題がある。
従来のR32冷媒を用いた冷凍空調装置では、圧縮機吸入の冷媒乾き度を0.65程度として吐出温度を低下させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の四方弁で、内部の高温冷媒と低温冷媒での熱交換が生じるのを解決するため、銅よりも熱伝導率の低い材料で四方弁内の部材を構成するものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−194015号公報(第4頁、図2、図5) 特開平1−314870号公報(第3頁、図3)
圧縮機吸入の冷媒乾き度を小さくして運転するという従来装置は、吐出温度低下には有効ではあるが、圧縮機吸入状態が冷媒乾き度1.0以下となることにより、圧縮機効率の低下や蒸発器での冷媒熱伝達率低下などが生じる。このため、システムCOPが低下し、配管内の冷媒圧力損失が小さくCOP向上を図ることができるR32冷媒の特徴を相殺してしまうという問題点がある。さらに圧縮機吸入の冷媒乾き度を0.65程度とすることにより液圧縮気味の運転となる可能性があり、圧縮機構部の損傷などの信頼性上の新たな課題が生じてくる。
また、四方弁に熱伝導率の低い材料を用いた従来装置では、伝熱に寄与する面積の改善がなく、熱伝導率が低くても伝熱面積が大きければ伝熱量は多くなり、能力低下を防ぐことはできない。また、従来の四方弁の弁体では、一方の面に高温高圧冷媒が流れているので、弁体の周囲に高温高圧冷媒が接して弁体外側から冷媒流路への熱進入が生じていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、吐出温度が高くなる冷媒を用いても、その冷媒の特徴を生かしつつ、システムCOPの向上や信頼性確保を図ることができる冷凍空調装置を得ることを目的とする。
また、吐出温度が高くなる冷媒を用いても、弁体周囲からの熱進入を低減し、システムCOP向上や信頼性確保を図ることができる四方弁を得ることを目的とする。
本発明に係る冷凍空調装置は、圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を配管で接続し、冷媒としてR32冷媒を用いる冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機、前記凝縮器、前記絞り装置を格納する筐体と、前記蒸発器での冷熱を利用するときの前記蒸発器から前記圧縮機の吸入口に至る配管又はその間の冷媒回路を形成する容器の少なくとも前記筐体内に収納される前記配管又は前記容器を、前記圧縮機と熱的に分離するように覆う低温側断熱材と、を備え
使用冷媒であるR32と能力を比較する比較対象冷媒としてR410A冷媒を設定し、前記使用冷媒の圧縮機冷媒吐出温度が前記比較対象冷媒の圧縮機冷媒吐出温度よりも高いとき、前記比較対象冷媒を循環させた時の前記配管又は前記容器の吸熱量Qをその部分の表面積Aとその部分における配管系の熱通過率Kと圧縮機冷媒吐出温度と圧縮機冷媒吸入温度の温度差DTの積とし、前記比較対象冷媒と前記使用冷媒の前記圧縮機冷媒吸入温度を同等として、前記比較対象冷媒の前記温度差DT1よりも大きくなる前記使用冷媒の前記温度差DT2の増大分に対して、前記使用冷媒を循環させる前記配管又は前記容器の熱通過率K2が前記比較対象冷媒を循環させる前記配管又は前記容器の熱通過率K1よりも減少するような材質又は厚さの低温側断熱材を前記配管又は前記容器に設けて、前記使用冷媒を循環させた時の前記低温側断熱材を含む前記配管又は前記容器の吸熱量Q2が前記比較対象冷媒を循環させた時の前記配管又は前記容器の吸熱量Q1以下になるになるとともに、圧縮機吸入の冷媒状態が乾き度1.0程度となるように構成したことを特徴とするものである。
また、本発明に係る四方弁は、円筒形の四方弁本体の一底面を構成し4つの冷媒配管にそれぞれ接続する4つの接続口を有する弁座と、前記接続口と同様の開口を有し前記弁座と密着するシール材、前記四方弁本体内に内蔵され回転可能であって前記弁座との間に前記シール材を介して摺動面を成し前記冷媒配管のうちの隣合う2つづつの冷媒配管を接続するように2つの冷媒流路を構成する弁体と、前記弁体を回転させる駆動手段と、前記弁体を前記シール材を介して前記弁座に押圧する押え込み部材と、を備え、前記駆動手段によって前記弁体を回転することで前記弁体が接続する2つの冷媒配管を、隣合う2つづつの冷媒配管と他方の隣合う2つづつの冷媒配管とで切換え可能とするとともに、四方弁本体内における高温冷媒と低温冷媒の流路面積を同等とすることを特徴とするものである。
本発明に係る冷凍空調装置は、吐出温度が高くなる冷媒を用いても、低温冷媒と高温冷媒との間の熱移動や、低温冷媒又は高温冷媒の熱損失を低減でき、システムCOPの向上を図ることができる。また、冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態を冷媒乾き度1.0程度で運転することができ、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部が損傷するのを防止して、信頼性確保を図ることができる。
また、本発明に係る四方弁は、四方弁内で低温冷媒と高温冷媒間の熱移動を極力低減でき、システムCOPの向上を図ることができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置として例えば冷暖房運転が可能な空気調和機の構成を示す冷媒回路図であり、蒸発器の冷熱を利用する冷房運転の場合を示す。図1に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機1、冷房運転と暖房運転とで冷媒の流れ方向を切り換える流路切換手段である四方弁2、凝縮器として動作して圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮する室外熱交換器3、室外熱交換器3で凝縮した冷媒を減圧すると共に冷媒の流量を制御する絞り装置である膨張弁4、蒸発器として動作して減圧した冷媒を蒸発し室内空気を冷却する室内熱交換器5、を冷媒配管で接続して冷媒回路を構成する。この冷媒回路の作動流体としてはGWPが小さいHFC系冷媒のR32、圧縮機摺動部を潤滑する冷凍機油(以下では、冷凍機油を単に油と記す)としてアルキルベンゼン油を封入し、冷凍空調装置を構成している。
この冷凍空調装置には各配管や容器に断熱材が設けられている。例えば、断熱材13が圧縮機1の吸入口と四方弁2を接続する配管11及びこの配管11に必要に応じて存在する容器12を覆うように設けられている。また、例えば配管11に必要に応じて吸入マフラー容器7が圧縮機1の吸入口に圧縮機1に近接して配置されており、断熱材8で吸入マフラー容器7を覆っている。また、断熱材16で膨張弁4と室内熱交換器5との間の配管14及びこの配管14に必要に応じて存在する容器15を覆っている。また、断熱材19で室内熱交換器5より下流でかつ四方弁2との間の配管17及びこの配管17に必要に応じて存在する容器18を覆っている。冷房運転では、これらの断熱材13、8、16、19は低温の冷媒が循環する配管及び容器を覆う低温側断熱材である。この低温側断熱材13、8、16、19は、例えばその配管及び容器よりも熱伝導率の低い断熱材料で構成されている。ここでは、配管及び容器の材料は例えば銅や鉄であり、低温側断熱材は例えば熱伝導率λ=0.04W/m・Kであるフェルト製の断熱材を用いる。低温側断熱材13、8、16、19は、これらが設けられた配管及び容器内の低温冷媒が、これらの配置場所の冷媒よりも高温になる周囲空気から吸熱するのを防止するように作用する。
また、圧縮機1のシェルには圧縮機用断熱材6が設けられており、圧縮機1内の高温冷媒の熱が周囲空気に放熱するのを防止するように作用する。また、断熱材23で圧縮機1の吐出口と四方弁2を接続する配管21及びこの配管21に必要に応じて存在する容器22を覆い、断熱材26で四方弁2と室外熱交換器3との間に存在する配管24及びこの配管24に必要に応じて存在する容器25を覆い、断熱材29で室外熱交換器3と絞り装置4の間に存在する配管27及びこの配管27に必要に応じて存在する容器28を覆っている。冷房運転では、これらの圧縮機用断熱材6や、高温側断熱材23、26、29は高温の冷媒が循環する配管及び容器を覆うように設けられ、例えばその配管及び容器よりも熱伝導率の低い材料で構成されている。ここでは、配管及び容器の材料は例えば銅や鉄であり、断熱材料は例えばフェルト製の断熱材を用いる。高温側断熱材23、26、29は、これらが設けられた配管及び容器内を流れる高温冷媒の熱が、これらの配置場所の周囲空気に放熱するのを防止するように作用する。
圧縮機用断熱材、高温側断熱材、低温側断熱材は、いずれもその断熱材を設ける配管及び容器より熱伝導率の低い材料で構成されており、さらに例えば断熱材の厚さもその断熱材を設ける配管及びや容器の肉厚よりも厚く設け、高温側の配管及び容器と、低温側の配管及び容器とを、熱的に分離する。即ち、圧縮機用断熱材、高温側断熱材、低温側断熱材は同一の材料で構成されていてもよいが、高温側の配管及び容器と、低温側の配管及び容器との間に、断熱材が存在するような構成になっている。断熱材の材質は、上記で記載したフェルト製の他に、例えば熱伝導率λ=0.002W/m・Kの発泡ウレタンやλ=0.0002W/m・Kの真空断熱材などを用いることができる。また、熱伝導率/厚さでその断熱材による熱通過率を概算でき、例えば断熱材料の中でも比較的熱伝導率の高いものを用いる場合には断熱材の肉厚を厚くし、逆に断熱材の肉厚を薄くしたければ熱伝導率の低いものを用いれば、断熱材を含む配管系の熱通過率を低くすることができる。
各機器や配管や容器は、図1に示した一点鎖線内で室内機33と室外機34の2つの筐体に格納される。室内側で少なくとも必要な機器、例えば蒸発器として動作する室内熱交換器5、室内送風機31、配管14、17の一部が、筐体である室内機33に格納されている。一方、主に圧縮機1、凝縮器として動作する室外熱交換器3、膨張弁4、及びそれらを接続する配管21、24、27、11、9や、配管14、17の一部、容器22、25、28、15、18、12、7や室外送風機32などが、筐体である室外機34に格納されている。
以下、冷房運転の動作について説明する。
冷房運転では、冷媒は圧縮機1で圧縮されて高温高圧となり、配管21、容器22、四方弁2、配管24、容器25を通って室外熱交換器3に流入する。室外熱交換器3で冷媒は凝縮し、高温の気液ニ相冷媒又は液冷媒になって室外熱交換器3から流出し、配管27、容器28を通過して膨張弁4で減圧される。膨張弁4で減圧された低温冷媒は、容器15、配管14を通って室内機33の室内熱交換器5に流入する。ここで冷媒は蒸発して乾き度1.0程度の冷媒ガスとなり、配管17、容器18を通って再び室外機34へ流入し、四方弁2、配管11、容器12、容器7、配管9を通って、圧縮機1の吸入口に循環する。室外送風機32は室外空気を室外熱交換器3に送風し、室内送風機31は室内空気を室内熱交換器5に送風して、冷媒と空気を熱交換させる。また、冷媒配管に複数設けられている容器22、25、28、15、18、12、7は、この冷凍サイクルを利用する用途等に応じて、循環冷媒量を制御する冷媒溜めや、冷媒音を防止するためのバッファー容器などとして設けられているもので、必ず備わっているとは限らない。
冷房運転において、圧縮機1の吐出口から膨張弁4までは高温の冷媒が流れ、膨張弁4から圧縮機1の吸入口までは低温の冷媒が流れる。また、圧縮機1のシェルは内部に圧縮された高温冷媒が存在するため、高温になる。
Figure 0004124146
ここでは冷媒として例えばR32を用いる。表1に示すように、理論冷凍サイクルにおいて、R32冷媒の吐出温度は、従来一般的に用いられているR410A冷媒より15℃以上高くなる。室外機34内では狭所空間に圧縮機1、四方弁2、冷媒配管、必要に応じて複数の容器が格納されているため、圧縮機1、配管、容器などを全く断熱しない場合、圧縮機1から吐出された高温冷媒の熱が室外機34の空間内にこもってしまう。このため、吐出温度が97.8℃程度になる高温冷媒の熱が循環する配管及び容器を通過して放熱され、圧縮機1の吸入口と四方弁2を接続する配管11やこの配管11上に存在する容器12及び吸入マフラー容器7、膨張弁4の下流でかつ蒸発器として作用する室内熱交換器5との間に存在する配管14や容器15、室内熱交換器5より下流でかつ四方弁2との間に存在する配管17や容器18などのうちで、少なくとも室外機34に格納される配管及び容器、特に圧縮機1の近傍に配置される配管11や吸入マフラー容器7に熱が伝達され、システムCOPの低減を招く可能性がある。
そこで、図1に示した構成では、圧縮機シェルには圧縮機用断熱材6を設け、低温冷媒が循環する配管及び容器の全てに低温側断熱材を設けると共に、高温冷媒が循環する配管及び容器の全てに高温側断熱材を設けている。少なくとも室外機34内で最も高温になる圧縮機1と、圧縮機1の近くに配置される低温冷媒の配管や容器を、断熱材によって熱的に分離することで、吐出温度が高い冷媒を用いた時の冷房能力の対する損失を低減できる。この効果について表2に示す。ここでは、圧縮機シェルに付属する吸入マフラー容器7が圧縮機1に近接して配置される構成で、図2に示すように圧縮機シェルと吸入マフラー容器7とを熱的に分離するように圧縮機用断熱材6及び低温側断熱材8を設ける。圧縮機1のシェルは表面積が大きく最も高温になるため、圧縮機シェルの周囲に圧縮機用断熱材6を施して高温冷媒から圧縮機シェルを通過して放熱するのを低減する。
Figure 0004124146
表2には、4種類の構成の場合の冷房能力の損失を示しているが、いずれの場合にも圧縮機シェルを、シェルを構成する材料より熱伝導率の低い圧縮機用断熱材6で覆っている。そして、圧縮機シェルに付属する吸入マフラー容器7を低温側断熱材8で覆う場合と、低温側断熱材8を設けない場合において、R410A冷媒とR32冷媒での熱伝達評価結果を示している。運転条件は、圧縮機電動機出力0.75kWの空気調和機において、外気温35℃、室内温度27℃で冷房運転を実施したとし、定格能力が2.8kWの場合の一例である。冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、R410A冷媒とR32冷媒で同等、即ち両冷媒とも乾き度1.0程度の冷媒を吸入して圧縮しており、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷の恐れはないように運転している。このため、冷媒吸入温度はR410A冷媒とR32冷媒とでほぼ同じである。図2に示すように、圧縮機1は高圧シェルで、ロータリー方式であり、吸入マフラー容器7が圧縮部への配管9を介して圧縮機1に接続されている。圧縮機1及び圧縮機1に付属する吸入マフラー容器7には断熱材6、8が個別に巻かれており、いずれも厚さ10mm、熱伝導率0.04W/m・Kのフェルト製断熱材を使用し、吸入マフラー容器7の表面積は0.033m2とする。
表1の吐出温度と表2の吸入マフラー周囲温度とを比較すると、圧縮機用断熱材6を設けたことで、R410A冷媒及びR32冷媒共に圧縮機の周囲温度は冷媒吐出温度よりも15℃程度低くなっている。
本実施の形態では、さらに低温冷媒が循環する配管及び容器のうちで圧縮機シェルに近接して配置される部分に、圧縮機シェルと熱的に分離するように低温側断熱材8を設けることで、吸入マフラー容器7の周囲の高温空気の熱量が吸入マフラー容器7の内部の低温冷媒へ熱移動するのを低減している。
吸入マフラー容器7の吸熱量Q(W)は次式(1)で与えられる。
Q = A・K・(TD−T) ・・・(1)
ただし、
1/K=1/hd+tc/λc+ti/λi+1/hs
A:吸入マフラー容器7の表面積(m2
K:吸入マフラー容器7の熱通過率(W/K・m2
TD:圧縮機1からの冷媒の吐出温度又はそれに相当する温度として、ここでは吸入マフラー容器7の周囲空気温度(℃)
T:圧縮機1への冷媒の吸入温度又はそれに相当する温度(℃)
hd:吐出冷媒の熱伝達率(W/K・m2
hs:吸入冷媒の熱伝達率(W/K・m2
tc:吸入マフラー容器7の厚さ(m)
ti:断熱材8の厚さ(m)
λc:吸入マフラー容器7の熱伝導率(W/K・m)
λi:断熱材8の熱伝導率(W/K・m)
この式(1)において、吸入マフラー容器7に断熱材8を巻いた場合の吸入マフラー容器7の周囲空気との熱通過率Kは5W/m2・K、断熱材8を使用しない場合の吸入マフラー容器7の周囲空気との熱通過率Kは12W/m2・Kとなる。冷凍サイクルの圧縮機1の吐出温度は、表1に示すようにR410A冷媒では81.5℃、R32冷媒では97.8℃となり、この熱により圧縮機用断熱材6を設けても室外機34内の狭所空間における吸入マフラー容器7の周囲温度は表2に示す値となる。収入マフラー容器7内の冷媒温度は、R410A冷媒及びR32冷媒のどちらにおいても圧縮機1への吸入冷媒温度とほぼ同じであり、15℃とする。これらを式1に代入すると、吸入マフラー容器7の吸熱量Qを計算でき、吸熱量Q/定格能力(2.8KW)から冷房能力に対する損失割合を計算できる。
表2に基づいて比較すると、R410A冷媒とR32冷媒を使用したどちらにおいても、圧縮機シェルに近接して配置される配管及び容器、ここでは例えば吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を設けることで、冷房能力に対する損失割合は小さくなり、R410A冷媒では0.4%程度、R32冷媒では0.5%程度小さくなった。さらには、冷房能力に対する損失を防ぐために低温側断熱材8を設けることによって、R410A冷媒よりR32冷媒の方が損失低減の効果は大きい。
表2において、吸熱量を計算する際、圧縮機冷媒吐出温度に相当する温度として吸入マフラー周囲温度で計算したが、これは圧縮機用断熱材6を設けているためである。圧縮機用断熱材6を設けない場合には、圧縮機冷媒吐出温度を用いて吸熱量を演算した方がよい。さらには圧縮機シェルの外表面の温度や吐出配管の温度を用いてもよい。いずれにしても低温側断熱材8を設けることによる冷房能力損失割合低減の程度を予め算出できる。ただし、R410A冷媒とR32冷媒で損失割合を比較する場合には、同様の条件での温度を用いることが必要である。
低温側断熱材8を設けることによる冷房能力損失割合の低減効果は、冷凍サイクルを用いたどのような冷凍空調装置、例えば空気調和機の他に冷蔵庫や除湿機などに適用しても、またどのような冷媒を用いても同様の効果が得られる。
表3は別の観点からの吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を巻いた効果を示す。低温側断熱材8を設けない構成では、表2に示す熱量が吸入マフラー容器7に侵入することにより、吸入マフラー容器7の温度が上昇して内部のガス冷媒が加熱される。このため圧縮機1内の圧縮機構部へ吸入される冷媒密度が低くなり、冷媒循環量が減少して冷房能力の低下を招く。表3は、圧縮機シェルに近接して配置される吸入マフラー容器7を低温側断熱材8で覆う場合と、低温側断熱材8を設けない場合において、R410A冷媒とR32冷媒での冷媒循環量減少に伴う冷房能力損失の評価結果を示す。ここで例えば吸入マフラー容器7内の温度は、R410A冷媒では低温側断熱材8を設けない場合には、18℃から19℃に上昇し、低温側断熱材8によって18℃から18.3℃に上昇するというように温度上昇が押えられるとしている。また、例えばR32冷媒でも低温側断熱材8を設けない場合には、18℃から19℃に上昇し、低温側断熱材8によって18℃から18.3℃に上昇するというように温度上昇が押えられるとした場合の冷媒吸入密度で計算したものである。
Figure 0004124146
表3に示すように、R410A冷媒において、低温側断熱材8を設けない場合に対して設けた場合の冷房能力に対する損失割合は0.4%小さくなる。一方、R32冷媒において、低温側断熱材8を設けない場合に対して設けた場合の冷房能力に対する損失割合は0.5%小さくなる。従って、表2の値を加えると、冷房能力に対する損失を防ぐために吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を巻くことで、R410A冷媒とR32冷媒とで共に損失割合を減少できる効果がある。
さらに用いる冷媒に関しては、損失割合の減少は、R410A冷媒では0.8%であるのに対して、R32冷媒では1.0%となりその効果は大きくなる。即ち、吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を設けない場合、R410A冷媒では1.3%、R32冷媒では1.8%の冷房能力損失があり、R32冷媒のほうが大きいが、吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を別に巻くことによりその差は減少し、R410A冷媒では0.5%、R32冷媒では0.8%となる。このように、低温側断熱材8を巻くことで、R32冷媒の方がR410A冷媒より大きな効果が得られる。
表2、表3の計算は、吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を設けた場合の効果を示したものである。もちろん、吸入マフラー容器7だけでなく、他の低温冷媒が循環する配管及び容器に低温側断熱材を設ければ、さらに低温側と高温側との熱伝達を低減して冷房能力損失の低減を図ることができ、システムCOPの向上を図ることができる。
例えば、図1に示すように、吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を設けると共に、冷房運転時、室外機34内の雰囲気温度より温度が低い部分である、圧縮機1吸入口と四方弁2を接続する配管11及びこの配管上に存在する容器13や、膨張弁4下流でかつ蒸発器5との間に存在する配管14及び容器15の少なくとも一部や、蒸発器5と四方弁2との間に存在する配管17及び容器18の少なくとも一部を、低温側断熱材13、16、19で覆ってもよい。この時、これらの配管及び容器を覆う低温側断熱材は、圧縮機シェルを覆う圧縮機用断熱材6と分離させる。圧縮機シェルに圧縮機用断熱材6、低温冷媒が循環する部分に低温側断熱材13、16、19をそれぞれ設けることで、室外機34内の雰囲気温度が高温になっても、冷凍サイクルを循環する低温冷媒が通る配管及び容器の吸熱量が低減され、さらに大きな効果を得ることができる。
また、室外機34内のみではなく、室内機33内や室内機33と室外機34との接続部の低温冷媒が循環する配管14、17に低温側断熱材を設けると、この配管における熱損失も防止でき、さらに冷房能力損失を低減できる。
また、室外機34内の雰囲気温度より温度が高い圧縮機シェルを圧縮機用断熱材6で覆うと共に、高温冷媒が循環する配管及び容器に高温側断熱材を設けてもよい。即ち、圧縮機1の吐出口と四方弁2を接続する配管21及びこの配管21に必要に応じて設けられている容器22、四方弁2と凝縮器3との間に存在する配管24及びこの配管24に必要に応じて設けられている容器25、凝縮器3と膨張弁4との間に存在する配管27及びこの配管27に必要に応じて設けられている容器28にも、図1に示すように高温側断熱材23、26、29を設ければ、室外機34内で高温高圧冷媒から室外機34内の周囲空気に熱が伝達するのを低減できるので、高温側から低温側への熱移動を防止できる。このため、冷房能力損失の低減を図りつつ、システムCOP向上を図ることができる。
高温側断熱材を設けることにより、吐出温度が高い冷媒を用いても、冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来の冷媒であるR410A冷媒を用いたときと同様、乾き度1.0程度で運転でき、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷の招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。この高温側断熱材23、26、29は配管及び容器のすべてに設けるのが好ましいが、低温冷媒が循環する冷媒回路に近接する一部分に設けるだけでも、高温高圧冷媒から低温低圧冷媒への熱移動を防ぐことができ、システムCOPの向上を図ることができる効果がある。
なお、上記では、圧縮機部に、圧縮機1の吸入側に吸入マフラー容器7を設けた構成の空気調和機について説明したが、図3に示すような構成の圧縮機部についても、同様である。例えば、図3は、吸入配管11と吐出配管21が設けられている場合に、吸入配管11に低温側断熱材8を設けた例である。圧縮機用断熱材6によって圧縮機1内の高温冷媒とその周囲空気との間の熱交換を低減し、さらに低温側断熱材8によって、周囲空気と冷媒配管11内の低温冷媒の間の熱交換を低減する。このように構成することで、吐出冷媒温度の高くなる冷媒を循環させても、吸入冷媒温度を低く保ち、圧縮機吸入状態が冷媒乾き度1.0程度にできる。
また、GWPの観点からR32冷媒を用いる効果は大きいものであり、社会的な必要性からもR410A冷媒を用いるよりもR32冷媒が好ましい。そこで、低温冷媒が循環する配管及び容器のうちで、圧縮機シェルに近接して配置される部分に低温側断熱材を設けるという本実施の形態における構成で、式(2)を満たすように、低温側断熱材の厚さや熱伝導率を選定する。式(2)に基づくことで、確実に熱移動量を許容熱移動量Qmaxよりも低くでき、吐出温度が高くなるR32冷媒を用いた場合にも冷房能力に対する損失割合を低減できる。
A・K・(TD−T)≦Qmax ・・・(2)
ただし、
1/K=1/hd+tc/λc+ti/λi+1/hs ・・(2−1)
Qmax:許容熱移動量(W)
A:低温側断熱材を設ける配管及び容器の表面積(m2
K:低温側断熱材を設ける配管及び容器の内部と周囲空気との熱通過率(W/K・m2
TD:圧縮機1からの冷媒の吐出温度又はそれに相当する温度、例えば低温側断熱材を設ける配管及び容器の周囲空気温度(℃)
T:圧縮機1への冷媒の吸入温度又はそれに相当する温度(℃)
hd:吐出冷媒の熱伝達率(W/K・m2
hs:吸入冷媒の熱伝達率(W/K・m2
tc:低温側断熱材を設ける配管及び容器の厚さ(m)
ti:低温側断熱材の厚さ(m)
λc:低温側断熱材を設ける配管及び容器の熱伝導率(W/K・m)
λi:低温側断熱材の熱伝導率(W/K・m)
なお、式(2−1)において、低温側断熱材の熱伝導率が非常に小さい場合、例えば低温側断熱材として真空断熱した部材で覆う場合(熱伝導率0.001W/K・m)や、非常に厚い断熱材料で覆う場合、式(2−1)は、近似的に下式(2−2)で表わされる。
1/K=ti/λi ・・・(2−2)
図4は本実施の形態に係る低温側断熱材を決定する過程の一例を示すフローチャートである。ここで対象とする冷凍空調装置は、図1、表2、表3で示した空気調和機、即ち、圧縮機電動機出力0.75kWの空気調和機において、外気温35℃、室内温度27℃で冷房運転を実施し、定格能力が2.8kWの場合で、冷媒としてR32冷媒を用いる時の低温側断熱材を設ける配管及び容器の表面積A、熱伝導率λ、厚さtを決定する。
図4のステップST1で、冷房能力に対する許容損失割合を、例えば0.6%に設定する。次にステップST2では、実際に循環させる冷媒、この場合にはR32冷媒を用いて、圧縮機1の吸入口での冷媒乾き度が1.0程度になるように冷凍サイクルを構成し、圧縮機1から吐出される冷媒吐出温度又はそれに相当する温度を得る。この温度は、表1から97.8℃であり、圧縮機用断熱材6が設けられているとして、表2から冷媒吐出温度に相当する温度として吸入マフラー容器周囲温度の80℃とする。そして、定格能力2.8KWと許容損失割合(0.6%)から許容熱移動量として許容吸熱量16.8KWを得る。
ここで、ステップST1〜ステップST3では、空気調和機の定格能力に対する許容損失割合及び所定の冷媒乾き度条件から、冷媒回路における許容吸熱量を演算する熱量演算ステップである。
ステップST4では、式(2)を満たすように低温側断熱材を設ける配管及び容器の表面積A、熱通過率Kを決定し、熱通過率Kから低温断熱材の熱伝導率λ、厚さtを決定する。このステップST4は、熱量演算ステップで演算した許容吸熱量以下になるように、冷媒回路の配管又は容器の表面を覆う断熱材の表面積及び厚さを演算する断熱材演算ステップである。
例えば図2に示したように吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を設けるとし、A=0.033m2とすると、式(2)からK≦7.83となる。そこでλ=0.04W/m・Kの熱伝導率であるフェルト製断熱材を用いると、式(2−2)よりt≧5.2mmとなる。従ってだいたい厚さが6mm以上になるように吸入マフラー容器7に低温側断熱材8を設ければよい。
特に、圧縮機1に近接して配置される吸入マフラー容器7での冷房能力損失を低減する手法を定量的に規定することで、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷の招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、使用する冷媒の圧縮機吐出温度に応じて冷媒回路を覆う断熱材の表面積及び厚さを設定することで、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる断熱材取り付け方法が得られる。
ステップST1で設定した損失割合は、表2でR410A冷媒の断熱材なしの場合の損失割合(0.7%)を考慮して、冷房能力に対する許容損失割合を0.6%として計算したが、この数値に限るものではない。許容損失割合はもちろん少ない方が望ましいが、冷凍空調装置の動作や用いる場所の状況に応じて、設定すればよい。常識的には1.0%程度以下が好ましい。
また、図1において、四方弁2から圧縮機1の吸入口に至る配管11及び容器12、7に低温側断熱材13、8を設けることにして、低温側断熱材13、8について、式(2)を満たすように低温側断熱材を設ける配管及び容器の表面積A、熱通過率Kを決定し、熱通過率Kから低温断熱材の熱伝導率λ、厚さtを決定してもよい。また、低温側断熱材16、19に関しても同様であり、その断熱材の構成を冷房能力損失を低減するように定量的に規定して、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図り、信頼性を確保することができる。このとき、装置全体としての冷房能力損失は、それぞれの部分における冷房能力損失を加算して求められる。
次に、既存の冷凍空調装置において、吐出温度が高い冷媒に変更する際、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができ、かつ変更前の冷媒と同等の乾き度1.0程度で運転でき、圧縮機構部損傷を招く恐れのない装置を構成する方法について記載する。
ある冷媒が充填されて動作している冷凍空調装置に対し、GWPが小さく、オゾン層保護もできる冷媒として効果のあるR32冷媒に変更する場合、例えば、四方弁2から圧縮機1の吸入口に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積及びこれらの熱通過率を、以下のようにして決める。
まず、既に動作している冷凍空調装置の場合の、四方弁2から圧縮機1の吸入に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積をA1、四方弁2から圧縮機1の吸入に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率をK1、圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度をTD1、圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度をT1とする。さらにR32冷媒を用いる時の圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度をTD2とする。ここでR410A冷媒からR32冷媒に変更する場合、TD2>TD1である。圧縮機1の吸入状態は液圧縮を防止するように今までの装置と同等の乾き度にするとして、圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度をT2=T1とする。そして式(3)を満足するように、四方弁2から圧縮機1の吸入口に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積A2と、四方弁2から圧縮機1の吸入口に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率K2とを設定する。
A2・K2・(TD2−T2)≦A1・K1・(TD1−T1) ・・(3)
ただし、
1/K1=1/hd1+tc1/λc1+ti1/λi1+1/hs1
1/K2=1/hd2+tc2/λc2+ti2/λi2+1/hs2
hd:周囲空気(又は吐出冷媒)の熱伝達率(W/K・m2
hs:吸入冷媒の熱伝達率(W/K・m2
tc:低温側断熱材を設ける配管及び容器の厚さ(m)
ti:低温側断熱材の厚さ(m)
λc:低温側断熱材を設ける配管及び容器の熱伝導率(W/K・m2
λi:低温側断熱材の熱伝導率(W/K・m2
添え字1:冷媒1又は冷媒1を循環させた装置での各値
添え字2:冷媒2又は冷媒1を循環させた装置での各値
式(3)を満足するように、四方弁2から圧縮機1の吸入に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積A2を変更したり、四方弁2から圧縮機1の吸入に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率K2となるように低温側断熱材を設けると、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ冷房能力損失の低減を図ることができる。さらに、四方弁2から圧縮機1の吸入に至る配管及び容器での冷房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができ、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。またR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、室外機34に格納されている配管のうちの冷房運転時に低温冷媒が循環する配管で、他の部分、例えば、膨張弁4下流から蒸発器5の入口に至る配管及び容器の冷媒流路についても、上記と同様に式(3)に基づいてその構成を定量的に決めることができる。
即ち、既に動作している冷凍空調装置の場合の、膨張弁4から蒸発器5の入口に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積をA1、膨張弁4から蒸発器5の入口に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率をK1、圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度として室外機34内の周囲温度をTD1、圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度として膨張弁4で低温になった冷媒の温度をT1とする。さらにR32冷媒を用いる時の圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度として室外機34内の周囲温度をTD2とする。ここでR410A冷媒からR32冷媒に変更する場合、TD2>TD1である。圧縮機1の吸入状態は液圧縮を防止するように今までの装置と同等の乾き度にするとして、圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度をT2=T1とする。そして式(3)を満足するように、膨張弁4から蒸発器5の入口に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積A2を変更したり、膨張弁4から蒸発器5の入口に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率K2となるように低温側断熱材16を設ける。
ここでは、少なくとも室外機34に格納される配管及び容器での熱損失を防止しているが、室内機33でも熱損失を防止してもよい。即ち、膨張弁4から蒸発器5の入口に至る配管及び容器での配管とは、配管14の室外機34内に位置する配管及び容器15でもよく、また、室内機33内や、室外機34と室内機33とを接続する部分の配管を含んでもよい。冷房運転を行う場合には低温冷媒の温度は15℃程度以下であり、室内や室外の温度はこれ以上である可能性が高いので、この部分にも低温側断熱材を設けることで、その周囲空気からの吸熱を断熱することによって熱損失を低減できる。
このように式(3)に基づいて冷凍空調装置を構成することで、冷房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができ、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる装置が得られる。
また、使用冷媒としてR32冷媒を用い、配管及び容器、例えば吸入マフラー容器8に低温側断熱材を新たに設けようとする場合に式(3)に基づいて低温側断熱材の厚さや材質を決定することができる。この場合には、低温側断熱材を設ける配管及び容器の表面積はA1=A2として変更しないものとし、また、変更前の冷媒を比較対象冷媒とし、変更後の冷媒を使用冷媒とする。さらに、冷媒を変更する前には低温側断熱材を設けていなかったとして、変更前の冷媒における熱通過率の式で、断熱材の項ti1/λi1をゼロとして計算できる。
具体的には、冷媒回路を循環させる使用冷媒、例えばR32冷媒とは異なり、能力を比較する比較対象冷媒として例えばR410A冷媒を設定すると、使用冷媒の圧縮機冷媒吐出温度95℃程度が比較対象冷媒の圧縮機冷媒吐出温度80℃程度よりも高くなる。式(1)では、配管及び容器の吸熱量Qをその部分の表面積Aとその部分における配管系の熱通過率Kと圧縮機冷媒吐出温度と圧縮機冷媒吸入温度の温度差DTの積としている。比較対象冷媒と使用冷媒の圧縮機冷媒吸入温度を15℃で同等として、比較対象冷媒の温度差50℃よりも大きくなる使用冷媒の温度差65℃の増大分は15℃程度となる。そこで、使用冷媒を循環させる配管及び容器の熱通過率K2、例えば表1では5W/mKが比較対象冷媒を循環させる前記配管及び容器の熱通過率K1、例えば12W/mKよりも減少するような材質及び厚さの低温側断熱材を配管及び容器に設ける。これにより、使用冷媒を循環させた時の低温側断熱材を含む配管及び容器の吸熱量Q2、例えば表1では10.7Wが比較対象冷媒を循環させた時の配管及び容器の吸熱量Q1、例えば19.8W以下になるように構成できる。
上記のような手法でR410A冷媒からR32冷媒に入れ替えると、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を低減して冷房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。さらにR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
図4に示した工程では、能力に対する許容損失割合を予め設定して、これを満たすように断熱材を取りつけたが、同様の工程で、能力を比較する比較対象冷媒を設定して、使用冷媒の場合に比較対象冷媒での能力以下にならないように断熱材の取り付けてもよい。例えば、ステップST1〜ステップST3の熱量演算ステップでは、冷媒回路に使用する使用冷媒である例えばR32冷媒とは異なり、能力を比較する冷媒として例えばR410A冷媒を比較対象冷媒として設定し、所定の冷媒乾き度条件での比較対象冷媒の許容吸熱量を演算し、次の断熱材演算ステップ(ステップST4)では、熱量演算ステップで演算した許容吸熱量以下になるように、R32冷媒の冷媒回路の配管又は容器の表面を覆う低温側断熱材の表面積及び厚さを演算する。このステップST1〜ステップST4によって、圧縮機吐出温度のR32冷媒とR410A冷媒との温度差に応じて冷媒回路を覆う低温側断熱材の表面積及び厚さを設定しており、断熱材を適切で効果的に設けることができる。また断熱材を設けることで、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を低減して冷房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。さらにR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる空気調和機の断熱材取り付け方法が得られる。
このとき、冷媒回路のほぼ全体の配管又は容器を覆うように断熱材を設けると、吸熱量を極力小さくでき最もよい効果が得られるが、高価になったり、断熱材で覆う空間が必要となるので、吸熱量を考慮して少なくとも室外機34に格納される部分で、周囲空気の温度が高温になる部分に設けるとよい。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る冷凍空調装置として例えば冷暖房運転が可能な空気調和機の構成を示す冷媒回路図であり、凝縮器の温熱を利用する暖房運転の場合を示す。図5において、図1と同一符号は同一、又は相当部分であり、四方弁2内での冷媒流路の接続が異なっている。冷媒を圧縮する圧縮機1、冷房運転と暖房運転とで冷媒の流れ方向を切り換える四方弁2、凝縮器として動作して圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮し室内空気を加熱する室内熱交換器5、室内熱交換器5で凝縮した冷媒を減圧すると共に冷媒の流量を制御する絞り装置である膨張弁4、蒸発器として動作して減圧した冷媒を蒸発させる室外熱交換器3、を冷媒配管で接続して冷媒回路を構成する。この冷媒回路の作動流体としてはGWPが小さいHFC系冷媒のR32、圧縮機摺動部を潤滑する油としてアルキルベンゼン油を封入し、冷凍空調装置を構成している。
この冷凍空調装置には各配管及び容器に断熱材が設けられている。例えば圧縮機用断熱材6が圧縮機1のシェルを覆うように設けられている。また、断熱材23が圧縮機1の吐出口と四方弁2を接続する配管21及びこの配管21に必要に応じて存在する容器22を覆っている。また、断熱材19で四方弁2と室内熱交換器5との間に存在する配管17及びこの配管17に必要に応じて存在する容器18を覆っている。また、断熱材16で室内熱交換器5と膨張弁4との間に存在する配管14及びこの配管14に必要に応じて存在する容器15を覆っている。暖房運転では、これらの高温側断熱材23、19、16及び圧縮機用断熱材6は高温冷媒が循環する配管及び容器を覆う断熱材であり、例えばその配管及び容器より熱伝導率の低い材料で構成されている。ここでは、配管及び容器の材料は例えば銅や鉄であり、高温側断熱材は例えば熱伝導率λ=0.04W/m・Kであるフェルト製の断熱材を用いる。高温側断熱材23、19、16は、これらが設けられた配管及び容器内の高温冷媒の熱が、これらの配置場所の周囲空気に放熱するのを防止するように作用する。
また、断熱材29が膨張弁4より下流でかつ室外熱交換器3との間の配管27及びこの配管27に必要に応じて存在する容器28を覆うように設けられている。また、断熱材26で四方弁2と室外熱交換器3との間の配管24及びこの配管24に必要に応じて存在する容器25を覆っている。また、断熱材13で圧縮機吸入口と四方弁2を接続する配管11及びこの配管11に必要に応じて存在する容器12を覆っている。また、例えば配管11に必要に応じて吸入マフラー容器7が圧縮機1の吸入口に圧縮機1に近接して配置されており、断熱材8で吸入マフラー容器7を覆っている。暖房運転では、これらの断熱材29、26、13、8は低温の冷媒が循環する配管及び容器を覆う低温側断熱材である。この低温側断熱材29、26、13、8は、例えばその配管及び容器よりも熱伝導率の低い材料で構成されている。ここでは、配管及び容器の材料は例えば銅や鉄であり、断熱材は例えば熱伝導率λ=0.04W/m・Kであるフェルト製の断熱材を用いる。低温側断熱材29、26、13、8は、これらが設けられた配管及び容器内の低温冷媒が、これらの配置場所の周囲空気から吸熱するのを防止するように作用する。
圧縮機用断熱材、低温側断熱材、高温側断熱材の材質と厚さの関係については、実施の形態1で記載したことと同様のことが言える。
以下、暖房運転の動作について説明する。
暖房運転では、冷媒は圧縮機1で圧縮されて高温高圧となり、配管21、容器22、四方弁2、配管17、容器18を通って室内機33の室内熱交換器5に流入する。室内熱交換器5で冷媒は凝縮し、高温の気液ニ相冷媒又は液冷媒になって室内熱交換器5から流出し、室外機34の配管14、容器15を通過して膨張弁4で減圧される。膨張弁4で減圧された低温冷媒は、容器28、配管27を通って室外熱交換器3に流入する。ここで冷媒は蒸発して乾き度1.0程度の冷媒ガスとなり、配管24、容器25を通って四方弁2、配管11、容器12、容器7、配管9を通り、圧縮機1の吸入口に循環する。室外送風機32は室外空気を室外熱交換器3に送風し、室内送風機31は室内空気を室内熱交換器5に送風して、冷媒と空気を熱交換させる。また、冷媒配管に複数設けられている容器22、18、15、28、25、12、7は、この冷凍サイクルを利用する用途等に応じて、循環冷媒量を制御する冷媒溜めや、冷媒音を防止するためのバッファー容器などとして設けられているもので、必ず備わっているとは限らない。
暖房運転において、圧縮機1の吐出口から膨張弁4までは高温の冷媒が流れ、膨張弁4から圧縮機1の吸入口までは低温の冷媒が流れる。また、圧縮機1のシェルは内部に圧縮された高温冷媒が存在するため、高温になる。
ここでは冷媒として例えばR32を用いる。表1に示すように、理論冷凍サイクルにおいて、R32冷媒の吐出温度は、従来一般的に用いられているR410A冷媒より15℃以上高くなる。即ち高温冷媒が循環している配管及び容器の周囲空気の温度と冷媒温度との温度差が、R32冷媒の方がR410A冷媒のときよりも大きくなり、放熱量も大きくなる。本実施の形態に係る空気調和機は、圧縮機シェルを圧縮機用断熱材6で覆うと共に、高温側断熱材23、19、16を設け、圧縮機1から吐出された高温冷媒が凝縮器5に至るまでの配管及び容器を流れる際の放熱量を低減する。そして、高温冷媒の高温を極力保持したまま凝縮器である室内熱交換器5に循環させ、暖房能力の低下を防止する。
以下に、例えば圧縮機1のシェルに圧縮機用断熱材6を設けた場合の暖房能力の損失割合低減について概算する。
Figure 0004124146
表4に、圧縮機1のシェルを、シェルを構成する材質である例えば銅や鉄よりも熱伝導率の低い断熱材、例えばフェルト製の圧縮機用断熱材6で覆う場合と圧縮機用断熱材6を使用しない場合で、R410A冷媒とR32冷媒での熱伝達評価結果を示す。運転条件は、圧縮機電動機出力0.75kWの空気調和機において、外気温7℃、室内温度20℃で暖房運転を実施したとし、定格能力が4.0kWの場合の一例である。冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、R410A冷媒とR32冷媒で同等、即ち両冷媒とも乾き度1.0程度の冷媒を吸入して圧縮しており、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷の恐れはないように運転している。このため、冷媒吸入温度はR410A冷媒とR32冷媒とでほぼ同じである。圧縮機シェルに巻かれた圧縮機用断熱材6は、厚さ10mm、熱伝導率0.04W/m・Kのフェルト製断熱材を使用し、圧縮機シェルの表面積は0.090m2とする。
圧縮機シェルの周囲空気への放熱量Q(W)は次式(4)で与えられる。
Q = A・K・(TD−T) ・・・(4)
ただし、
1/K=1/hd+tc/λc+ti/λi+1/ha
A:圧縮機シェルの表面積(m2
K:圧縮機シェルの熱通過率(W/K・m2
TD:圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度(℃)
T:圧縮機シェルの周囲空気温度又はそれに相当する温度(℃)
hd:吐出冷媒の熱伝達率(W/K・m2
ha:周囲空気の熱伝達率(W/K・m2
tc:圧縮機シェルの厚さ(m)
ti:圧縮機用断熱材6の厚さ(m)
λc:圧縮機シェルの熱伝導率(W/K・m)
λi:圧縮機用断熱材6の熱伝導率(W/K・m)
この式(4)において、圧縮機シェルを圧縮機用断熱材6で覆った場合の熱通過率は5W/m2・K、圧縮機用断熱材6を設けない場合の熱通過率は12W/m2・Kとなる。また、圧縮機シェルの周囲温度を15℃として計算している。これらを式(4)に代入すると、圧縮機シェルからの放熱量Qを計算でき、放熱量Q/定格能力(4.0KW)から暖房能力に対する損失割合を計算できる。
表4に基づいて比較すると、R410A冷媒とR32冷媒を使用したどちらにおいても、圧縮機シェルに圧縮機用断熱材6を設けることで、暖房能力に対する損失割合は小さくなり、R410A冷媒では0.9%程度、R32冷媒では1.2%程度小さくなった。さらには、暖房能力に対する損失を防ぐために圧縮機用断熱材6を設けることによって、R410A冷媒よりR32冷媒の方が損失低減の効果は大きい。
表4では例えば圧縮機用断熱材6を設けることによる暖房能力損失割合の低減効果を算出したが、圧縮機用断熱材6を設けると共に、圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器に高温側断熱材23、19を設けており、この部分の配管及び容器での放熱量も低減する。特に、高温の冷媒を利用する暖房運転では、少なくとも圧縮機1と圧縮機吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器の放熱を低減することで、暖房能力に対する損失を防ぐことができる。これに加えて、凝縮器5から膨張弁4に至る配管14及び容器14を高温側断熱材16で覆うと、さらに損失を低減できる。
また、図5に示すように膨張弁4から蒸発器として作用する室外熱交換器3との間に存在する配管27及び容器28を覆う低温側断熱材29、室外熱交換器3より下流でかつ四方弁2との間に存在する配管24及び容器25を覆う低温側断熱材26、四方弁2から圧縮機吸入口に至る配管11及び容器12を覆う低温側断熱材13、吸入マフラー容器7を覆う低温側断熱材8を設けてもよい。このように、圧縮機用断熱材6、高温側断熱材23、19、26を設けると共に、低温側断熱材29、26、13、8を設けることで、周囲空気より温度の低い低温冷媒が流れる部分で低温冷媒への吸熱を防止でき、暖房能力損失の低減を図ることができる。
このように、圧縮機1で高温高圧となる冷媒の温熱を利用する暖房装置などの冷凍空調装置において、圧縮機1のシェルを圧縮機用断熱材6で覆うと共に、高温冷媒が循環する配管及び容器、即ち圧縮機1の吐出口と凝縮器である室内熱交換器5に至る配管及び容器をこの配管や容器より熱伝導率の低い材料による高温側断熱材で覆うことにより、高温冷媒から配管及び容器を通って移動する熱量を低減し、温熱を有効に利用する。このため、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温冷媒からの暖房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。また、R32冷媒を循環させた時でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機1の吸入口付近の冷媒状態を乾き度1.0程度で運転することで、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
さらに、低温冷媒が循環する配管及び容器、即ち圧縮機1の吸入口と蒸発器である室外熱交換器3との間に存在する配管および容器や、膨張弁4の下流でかつ蒸発器3との間に存在する配管および容器のうちの少なくとも室外機34に格納されかつ圧縮機1に近接して配置される配管および容器を、これらの配管や容器より熱伝導率の低い断熱材による低温側断熱材で覆うことにより、高温冷媒から配管及び容器を通って移動する熱量を低減すると共に、配管及び容器を通って低温冷媒に移動する熱量を低減して、温熱を有効に利用する。このため、暖房能力損失の低減を図りつつ、システムCOP向上を図ることができる。また、R32冷媒を循環させても冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機1の吸入口付近の冷媒状態を従来と同等の乾き度1.0程度で運転することで、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、実施の形態1と同様、GWPの観点からR32冷媒を用いる効果は大きいものであり、社会的な必要性からもR410A冷媒を用いるよりもR32冷媒が好ましい。そこで、圧縮機のシェル及び圧縮機1の吐出口から凝縮器5の入口に至る高温冷媒が循環する配管及び容器に圧縮機用断熱材や高温側断熱材を設けるという本実施の形態における構成で、断熱材を設ける部分における配管及び容器の放熱量が、冷凍空調装置本体の能力の許容損失割合分の放熱量以下になるように、断熱材を設ける配管及び容器の冷媒流路の表面積及び断熱材の厚さや熱伝導率を決定する。例えば、許容損失割合分の放熱量をQmaxとし、式(4)におけるQが許容損失割合分の放熱量Qmax以下になるように圧縮機用断熱材6及び高温側断熱材を設けることで、放熱量を低減でき、R32冷媒を用いた場合にも暖房能力に対する損失割合を低減できる。
断熱材を設ける配管及び容器の冷媒流路の表面積及び断熱材の厚さや熱伝導率を決定する際の手順は図4に示すフローチャートと同様である。この場合、式(2)を用いる代わりに式(4)に基づいて放熱量を計算すればよい。また、許容損失割合分の放熱量Qmaxを計算する時の許容損失割合は、例えば1.0%程度以下とする。式(4)を用い、図4と同様の手法で断熱材の材質や熱伝導率を決定することで、圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器での暖房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができ、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。
また、使用する冷媒の圧縮機吐出温度に応じて冷媒回路を覆う断熱材の表面積及び厚さを設定することで、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる断熱材取り付け方法が得られる。
この許容損失割合分の放熱量Qmaxを計算する時の暖房能力に対する許容損失割合を、例えばR410A冷媒を用いた場合における損失割合と同等またはそれよりも小さく設定すれば、R32冷媒を用いることによって吐出温度が上昇しても、損失割合をR410A冷媒と同程度以下にできる。
次に、既存の冷凍空調装置において、吐出温度が高い冷媒に変更する際、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができ、かつ変更前の冷媒と同等の乾き度1.0程度で運転でき、圧縮機構部損傷を招く恐れもない装置を構成する方法について記載する。
例えば、ある冷媒が充填されて動作している冷凍空調装置に対し、GWPが小さく、オゾン層保護もできる冷媒として効果のあるR32冷媒に変更する場合、四方弁2から圧縮機1の吸入口に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積及びこれらの熱通過率を、以下のようにして決める。
まず、既に動作している冷凍空調装置の場合の、圧縮機1と圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積をA1、その部分の冷媒流路の熱通過率をK1、圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度をTD1、配管及び容器の周囲空気温度またはそれに相当する温度をT1とする。さらにR32冷媒を用いる時の圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度をTD2とする。ここでR410A冷媒からR32冷媒に変更する場合、TD2>TD1である。圧縮機1の吸入状態は液圧縮を防止するように今までの装置と同等の乾き度にするとして、R410A冷媒とR32冷媒の場合の周囲空気温度は同等とする。そして式(5)を満足するように、圧縮機1と圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積A2と、この部分の熱通過率K2とを設定する。
A2・K2・(TD2−Ta)≦A1・K1・(TD1−Ta) ・・(5)
ただし、
1/K1=1/h1+tc1/λc1+ti1/λi1+1/ha1
1/K2=1/h2+tc2/λc2+ti2/λi2+1/ha2
h:吐出冷媒の熱伝達率(W/K・m2
ha:周囲空気の熱伝達率(W/K・m2
tc:圧縮機用断熱材及び高温側断熱材を設ける配管及び容器の厚さ(m)
ti:圧縮機用断熱材及び高温側断熱材の厚さ(m)
λc:圧縮機用断熱材及び高温側断熱材を設ける配管及び容器の熱伝導率(W/K・m)
λi:圧縮機用断熱材及び高温側断熱材の熱伝導率(W/K・m)
添え字1:冷媒1又は冷媒1を循環させた装置での各値
添え字2:冷媒2又は冷媒1を循環させた装置での各値
式(5)を満足するように、圧縮機シェルや圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積A2を変更したり、圧縮機シェルや圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率K2となるように圧縮機用断熱材6や高温側断熱材を設けると、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ暖房能力損失の低減を図ることができる。さらに、圧縮機シェルや圧縮機1の吐出口から凝縮器5に至る配管及び容器での暖房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができ、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。またR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、暖房運転時に高温冷媒が循環する配管で、他の部分、例えば、凝縮器5から膨張弁4に至る配管及び容器の冷媒流路についても、上記と同様に式(5)に基づいてその構成を定量的に決めることができる。
即ち、既に動作している冷凍空調装置の場合の、凝縮器5の出口から膨張弁4に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積をA1、凝縮器5の出口から膨張弁4に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率をK1、圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度として室外機34内の周囲温度をTD1、圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度として膨張弁4で低温になった冷媒の温度をT1とする。さらにR32冷媒を用いる時の圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度として室外機34内の周囲温度をTD2とする。ここでR410A冷媒からR32冷媒に変更する場合、TD2>TD1である。圧縮機1の吸入状態は液圧縮を防止するように今までの装置と同等の乾き度にするとして、圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度をT2=T1とする。そして式(5)を満足するように、凝縮器5の出口から膨張弁4に至る配管及び容器の冷媒流路の表面積A2を変更したり、凝縮器5の出口から膨張弁4に至る配管及び容器の冷媒流路の熱通過率K2となるように低温側断熱材16を設ける。
このように式(5)に基づいて冷凍空調装置を構成することで、暖房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができ、システムCOPの向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる装置が得られる。
また、使用冷媒としてR32冷媒を用い、配管及び容器、例えば圧縮機シェルに圧縮機用断熱材6を新たに設けようとする場合に式(5)に基づいて断熱材の厚さや材質を決定することができる。この場合には、断熱材を設ける配管及び容器の表面積はA1=A2として変更しないものとし、また、変更前の冷媒を比較対象冷媒とし、変更後の冷媒を使用冷媒とする。さらに、冷媒を変更する前には低温側断熱材を設けていなかったとして、変更前の冷媒における熱通過率の式で、断熱材の項ti1/λi1をゼロとして計算できる。
具体的には、冷媒回路を循環させる使用冷媒、例えばR32冷媒とは別に比較対象冷媒として例えばR410A冷媒を設定し、使用冷媒の圧縮機冷媒吐出温度90℃程度が比較対象冷媒の圧縮機冷媒吐出温度75℃程度よりも高くなる。式(4)では、配管及び容器の放熱量Qをその部分の表面積Aとその部分における配管系の熱通過率Kと圧縮機冷媒吐出温度と配管及び容器外の空気温度との温度差DTの積としている。比較対象冷媒と使用冷媒の配管及び容器外の空気温度を15℃で同等として、比較対象冷媒の温度差60℃よりも大きくなる使用冷媒の温度差75℃の増大分は15℃程度となる。そこで、使用冷媒を循環させる配管及び容器の熱通過率K2、例えば表1では5W/mKが比較対象冷媒を循環させる前記配管及び容器の熱通過率K1、例えば12W/mKよりも減少するような材質及び厚さの圧縮機用断熱材6を圧縮機シェルに設ける。これにより、使用冷媒を循環させた時の断熱材を含む圧縮機シェルの放熱量Q2、例えば表4では34Wが比較対象冷媒を循環させた時の圧縮機シェルの放熱量Q1、例えば65Wよりも小さくなるように構成できる。
上記のような手法でR410A冷媒からR32冷媒に入れ替えると、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を低減して冷房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。またR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
図4と同様の工程でこの場合の断熱材取り付け方法を説明すると、ステップST1〜ステップST3の熱量演算ステップでは、冷媒回路に使用する使用冷媒である例えばR32冷媒とは異なり、能力を比較する冷媒として例えばR410A冷媒を比較対象冷媒として設定し、所定の冷媒乾き度条件での比較対象冷媒の許容放熱量を演算し、次の断熱材演算ステップ(ステップST4)では、熱量演算ステップで演算した許容放熱量以下になるように、R32冷媒の冷媒回路の配管又は容器の表面を覆う高温側断熱材の表面積及び厚さを演算する。図4と同様のステップST1〜ステップST4によって、圧縮機吐出温度のR32冷媒とR410A冷媒との温度差に応じて冷媒回路を覆う高温側断熱材の表面積及び厚さを設定しており、断熱材を適切で効果的に設けることができる。また断熱材を設けることで、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温冷媒から低温冷媒への熱移動を低減して冷房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。さらにR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる空気調和機の断熱材取り付け方法が得られる。
このとき、冷媒回路のほぼ全体の配管又は容器を覆うように断熱材を設けると、放熱量を極力小さくでき最もよい効果が得られるが、高価になったり、断熱材で覆う空間が必要となるので、放熱量を考慮して少なくとも圧縮機1の吐出口から温熱を利用する部分である凝縮器5に至る配管又は容器に設けるとよい。
この暖房能力低減の効果は、冷凍サイクルを用いたどのような冷凍空調装置、例えば空気調和機の他に冷蔵庫や除湿機などに適用しても、またどのような冷媒を用いても同様の効果が得られる。
また、実施の形態1、実施の形態2において、圧縮機用断熱材6、低温側断熱材、高温側断熱材のすべてをフェルト製断熱材で構成したが、断熱材の材料として、λ=0.002W/m・Kの発泡ウレタンや、λ=0.0002W/m・Kの真空断熱材などを用いてもよい。また、圧縮機用断熱材6、低温側断熱材、高温側断熱材を全て同じ材料を使用しなくてもよく、一部の材質を変えてもよい。
実施の形態1及び実施の形態2では、高温側断熱材や低温側断熱材を設ける際、配管及び容器を覆うとして記述したが、配管及び容器の少なくともいずれか一方を覆うように設けられていてもいいし、さらには配管又は容器のいずれかの全てや一部分に設けられていてもいいし、ある領域では配管に設けられ、ある領域では容器に設けられるというように、どのように組合わせてもよい。
ただし、式(1)、(4)からも明かではあるが、表面積が大きい容器は大きな熱容量となるので、配管及び容器の少なくとも一部に断熱材を設ける際、この熱容量の大きな配管及び容器に設けるのが好ましい。通常、容器は配管よりも表面積が大きいため、配管よりも容器に断熱材を設ける方が大きな効果を得ることができる。
また、実施の形態1、実施の形態2では式(3)、式(5)に基づいてR410A冷媒からR32冷媒に入れ替える場合について説明したが、冷媒を限るものではない。冷媒1から、冷媒1よりも吐出温度の高くなる冷媒2に冷媒を変更する際に、これらの式に基づくことで、冷房又は暖房の能力損失を低下させずに、断熱材を設ける部分の表面積とか断熱材の材質とか断熱材の厚さを決定することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3は、実施の形態1や実施の形態2に係る冷凍空調装置のように、蒸発器での冷熱を利用する運転と凝縮器での温熱を利用する運転を有し、それぞれの運転で冷媒の流路を切換える際、流路切換に用いる四方弁の構成に関するものである。図1、図5に示した四方弁2は、その内部において高温冷媒の流路と低温冷媒の流路を仕切ると共に、2つの入口側冷媒流路と2つの出口側冷媒流路を有し、入口側冷媒流路と出口側冷媒流路の接続を暖房運転と冷房運転の運転モードによって切換えることができるように構成する。図6は本実施の形態に係る四方弁2を分解して示す斜視図、図7は図6のVII−VII線における縦断面図、図8は図6のVIII−VIII線における横断面図である。また、図7は図8のVII−VII線における断面に該当する。図8では外周に存在するシール材や弁本体カバーを省略し、弁体のみを示す。
図6、図7に示すように、本実施の形態による四方弁2は円筒形を成し、弁体51が回転することによって冷媒流路を切換える。弁本体カバー53内に回転可能な弁体51と、弁体51を回転駆動する駆動手段であるモータ52が内蔵され、弁体51はモータ52に接続された回転軸56により回転し、冷房運転と暖房運転の冷媒流路57の切換えを行う。四方弁本体の一方の底面を構成する弁座55は、4つの冷媒配管61、62、63、64に接続する4つの接続口を有する。四方弁本体の他方の底面は弁本体カバー53によって壁面を構成している。弁体51の一方側(図6、図7では下方)に2つの冷媒流路57a、57bが形成され、他方側(図6、図7では上方)に弁体51を回転するモータ52を配置する。モータ52の軸方向で冷媒流路と反対側には、その中央部分を冷媒流路側に押圧する押え込み部材54が設けられている。これは例えばバネなどの弾性部材で構成されており、モータ52を介して弁本体カバー53側から弁体51を弁座55に押圧する。弁体51と弁座55との間にはシール材60を介在させる。シール材60は弁座55の接続口と同様の位置に冷媒配管61、62、63、64に接続する開口を有し、弁座55に密着して配置される。シール材60の材質は、例えばテフロン(R)シートやメタルシールであり、冷媒配管61、62、63、64を流れる冷媒が摺動面59の隙間を通って漏れるのを防止する。弁体51の外周で弁本体カバー53のすぐ内側には、冷媒流路57を流れる冷媒が外部に漏れるのを防止するシール材58を備えている。シール材58は例えばテフロン(R)シートやメタルシールであり、その内側にモータ52と弁体51が収納される。
弁体51が駆動手段であるモータ52によって回転する際、弁座55との間にシール材60を介して摺動面59が形成される。弁体51が弁座55に密着するシール材60と摺動しながら回転することで、弁体51が接続する2つの冷媒配管を、隣合う2つづつの冷媒配管と他方の隣合う2つづつの冷媒配管とで切換え可能とする。例えば、図8に示すように、冷媒配管61、62が冷媒を四方弁本体に流入する配管、冷媒配管64、63が冷媒を四方弁本体から流出する配管とすると、矢印Bに示すように、配管61から配管64へ冷媒流路57aが形成され、配管62から配管63へ冷媒流路57bが形成される。冷媒流路57a、57bは、一方が高温冷媒の流路となり、他方が低温冷媒の流路となる。
また、モータ52に接続された回転軸56により弁体51を例えば矢印A方向に回転して図8に点線で示したように冷媒配管を接続すると、例えば冷媒配管61、64が冷媒を四方弁本体へ流入する配管、冷媒配管62、63が冷媒を四方弁本体から流出する配管となり、配管61から配管62へ流れる冷媒流路と配管64から配管63へ流れる冷媒流路が形成される。
この例では、向かい合う一対の接続口に接続する冷媒配管61、63は流路切換前後で冷媒の流れ方向は同一であり、他の向かい合う一対の接続口に接続する冷媒配管62、64は流路切換前後で冷媒の流れ方向が逆方向になる。
そこで、配管61を圧縮機の吐出口と接続し、配管63を圧縮機1の吸入口に接続し、配管64を室外熱交換器3と接続し、配管62を室内熱交換器5と接続する。このとき、冷房運転では配管61から配管64へ高温冷媒が流れ、配管62から配管63へ低温冷媒が流れる。一方、暖房運転では配管61から配管62へ高温冷媒が流れ、配管64から配管63へ低温冷媒が流れる。
弁体51は、銅より熱伝導率の低い材料で、かつ冷媒による腐食性がない材料で構成され、例えば金属材料であるステンレス材料や非金属材料であるシリコン材料を用いる。
図7に示すように、弁体51は弁本体カバー53内にシール材58を介して配置され、さらに押え込み部材54によってモータ52を介して弁本体カバー53側から弁座55に押圧されている。さらに摺動面59にシール材60を設けたことで、弁座55と弁体51の間の摺動面59から冷媒が漏れ出すことを防止できる。
上記の例では、弁座55に設けた4つの冷媒配管のうち、高温高圧冷媒が冷媒配管61から流入して冷媒流路57aを通って冷媒配管64へ流れ、低温低圧冷媒が冷媒配管62から流入して冷媒流路57bを通って冷媒配管63へ流れる。即ち、四方弁2の弁体51では、高温高圧冷媒の流路と低温低圧冷媒の流路が存在し、この流路を同時に冷媒が流れるため、高温高圧冷媒から低温低圧冷媒への熱移動が生じる。当然高温高圧冷媒と低温低圧冷媒の温度差が大きい方が熱移動量は大きい。従って、吐出温度が高いR32冷媒における熱移動量は、これよりも吐出温度が低い例えばR410A冷媒より多く、実施の形態1で述べた吸熱による冷房能力損失や、実施の形態2で述べた放熱による暖房能力損失が生じやすい。そこで、本実施の形態に係る四方弁は、弁体51の材質として、銅より熱伝導率が低い材料を用いるので、弁体51周囲からの熱進入を極力低減することができる。
特に、高温高圧冷媒の圧力により弁体51を弁座55へ押圧して流路切換時の冷媒漏洩を防止してきた従来の四方弁では、弁体の一方側のほぼ前面に高温高圧冷媒が面する構成であり、この高温冷媒が面する面積が広く、弁体の周囲に高温高圧冷媒が接して弁体外側から冷媒流路への熱進入が生じていた。これに対し、本実施の形態では、シール材60を配し、かつ押え込み部材54によって摺動面59からの冷媒漏洩を防止しているので、四方弁本体内における高温冷媒と低温冷媒の流路面積を同等にでき、熱移動はほぼ2つの冷媒流路57a、57bの間の仕切り壁のみで生じる。このように、弁体51周囲からの熱進入を低減することで、暖房時や冷房時の熱移動を減少させ能力損失を減らすことができ、吐出温度が高い冷媒を用いてもシステムCOP向上を図ることができる。
なお、4つの冷媒流路を構成する配管に別々に断熱材を設ければ、さらにシステムCOPの向上を図ることができる。また、シール材60を弁座55に密着して配置したが、弁体51側に密着してもよい。また弁座55と弁体51の両方に設けてもよい。また、上記では弁体51は回転可能としたが、両方向に回転可能、即ちモータ52で回動可能に構成してもよい。
以上のように、本実施の形態では、円筒形の四方弁本体の一底面を構成し4つの冷媒配管にそれぞれ接続する4つの接続口を有する弁座と、前記接続口と同様の開口を有し前記弁座と密着するシール材、前記四方弁本体内に内蔵され回転可能であって前記弁座との間に前記シール材を介して摺動面を成し前記冷媒配管のうちの隣合う2つづつの冷媒配管を接続するように2つの冷媒流路を構成する弁体と、前記弁体を回転させる駆動手段と、前記弁体を前記シール材を介して前記弁座に押圧する押え込み部材と、を備え、前記駆動手段によって前記弁体を回転することで前記弁体が接続する2つの冷媒配管を、隣合う2つづつの冷媒配管と他方の隣合う2つづつの冷媒配管とで切換え可能とすることで、冷媒の漏れが少なく、高温冷媒と低温冷媒間の熱移動を低減できる四方弁が得られる。
また、冷房運転と暖房運転とで冷媒の流路を切換える冷凍空調装置において、本実施の形態に係る四方弁を備え、4つの冷媒配管61、62、63、64のうち、その接続口が向かい合って配置されている1対の冷媒配管61、63を、圧縮機の吐出口と前記圧縮機の吸入口に接続し、他の2つの冷媒配管62、64の一方を凝縮器に接続し他方を蒸発器に接続することで、吐出温度の高い冷媒を使用冷媒として循環させても、冷房及び暖房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。特に、循環冷媒として吐出温度の高くなるR32冷媒を用いたときにその効果が有効に発揮され、信頼性確保を図ることができる冷凍空調装置が得られる。
この実施の形態で記載した四方弁は、実施の形態1や実施の形態2に示した冷凍空調装置に適用してもよいし、また、他の冷凍空調装置に適用することもできる。特に低温冷媒と高温冷媒とが循環する冷媒回路で、その温度差が大きい場合に効果的である。
なお、実施の形態1〜実施の形態3に説明した冷凍空調装置において、冷凍機油として熱安定性に優れたアルキルベンゼン油、又はアルキルベンゼンを主成分とし(混合比50%以上)、粘性や溶解性を補充するため、エステルやエーテルを混合した油を用いるとさらなる効果がある。アルキルベンゼン油により吐出温度が高く圧縮機摺動部での潤滑条件が厳しくなる冷媒を用いても、熱劣化による潤滑性低下を防止することができ、異常磨耗の防止、高寿命化などの信頼性向上を達成することができる。さらに、冷媒として吐出温度が高いR32冷媒を用いても安定した信頼性の高い冷凍空調装置を構成でき、R32冷媒の特徴であるGWPが小さいという利点を生かすことができる。
また、実施の形態1〜実施の形態3に記載した冷凍空調装置は、実施の形態1、実施の形態2で説明したような空気調和機に限るものではない。冷凍サイクルを用いたどのような冷凍空調装置、例えば空気調和機の他に冷蔵庫や除湿機などに適用しても、またどのような冷媒を用いても同様の効果が得られる。
なお、実施の形態1に係る冷凍空調装置は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器、を冷媒配管で接続した冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒としてR32を用いるとともに、冷房運転時、室外機内雰囲気温度より温度が低い、圧縮機吸入と四方弁を接続する配管およびこの配管上に存在する容器や、膨張弁下流でかつ蒸発器との間に存在する配管および容器や、蒸発器と四方弁との間に存在する配管および容器や、圧縮機シェルに付属する吸入マフラー容器を、これら配管や容器より肉厚が厚く熱伝導率の低い断熱材料で覆い、これら配管や容器を覆う断熱材料は、圧縮機シェルを覆う断熱材料と分離させることを特徴とすることで、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、低温低圧側からの冷房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。またR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、実施の形態1に係る冷凍空調装置は、室外機内雰囲気温度より温度が高い圧縮機シェルや、圧縮機吐出と四方弁を接続する配管およびこの配管上に存在する容器、四方弁と凝縮器との間に存在する配管および容器を、これら配管や容器より熱伝導率の低い断熱材料で覆い、これら配管や容器を覆う断熱材料は、圧縮機シェルを覆う断熱材料と分離させることで、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温高圧冷媒から低温低圧冷媒への熱移動を防ぐことができ、冷房能力損失の低減を図りつつ、システムCOP向上を図ることができる。またR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、従来冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、実施の形態1に係る冷凍空調装置は、四方弁から圧縮機吸入に至る配管および容器の冷媒流路の表面積又はこれらの熱通過率を、下記の式を考慮して選定するで、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、冷房能力損失の低減を図ることができる。加えて、四方弁から圧縮機吸入に至る配管および容器での冷房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができたので、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
A2・K2・(TD2−T2)≦A1・K1・(TD1−T1)
1/Kj=1/hdj+tc/λc+ti/λi+1/hsj
A:表面積、K:配管系の熱通過率、TD:圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度、T:圧縮機冷媒吸入温度又はそれに相当する温度、h:冷媒熱伝達率、t:厚さ、λ:熱伝導率、添え字1:冷媒1、添え字2:冷媒2、ただしTD2>TD1、T2=T1、添え字c:配管および容器、添え字i:断熱材、添え字d:吐出冷媒、添え字s:吸入冷媒、添え字j:1又は2。
また、実施の形態1の構成の冷凍空調装置は、膨張弁下流から蒸発器入口に至る配管および容器の冷媒流路の表面積又はこれらの熱通過率を、下記の式を考慮して選定するので、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、冷房能力損失の低減を図ることができる。加えて、膨張弁下流から蒸発器入口に至る配管および容器からの熱移動による冷房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができたので、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。またR32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
A2・K2・(TD2−T2)≦A1・K1・(TD1−T1)
1/Kj=1/hdj+tc/λc+ti/λi+1/hLj
A:表面積、K:配管系の熱通過率、TD:圧縮機冷媒吐出温度又はそれに相当する温度、T:膨張弁下流から蒸発器入口に至る冷媒温度、h:冷媒熱伝達率、t:厚さ、λ:熱伝導率、添え字1:冷媒1、添え字2:冷媒2、ただしTD2>TD1、T2=T1、添え字c:配管および容器、添え字i:断熱材、添え字d:吐出冷媒、添え字L:膨張弁下流から蒸発器入口に至る冷媒、添え字j:1又は2。
また、実施の形態2に係る冷凍空調装置は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器、を冷媒配管で接続した冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒としてR32を用いると共に、暖房運転時、圧縮機吐出と四方弁との間に接続された配管および容器、四方弁と凝縮器に至る配管および容器を、この配管や容器より肉厚が厚く熱伝導率の低い断熱材料で覆うことを特徴とすることにより、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温高圧冷媒からの暖房能力損失の低減を図ることができ、システムCOP向上を図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷の招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、実施の形態2に係る冷凍空調装置は、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器、を冷媒配管で接続した冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、圧縮機吸入と四方弁を接続する配管およびこの配管上に存在する容器や、膨張弁下流でかつ蒸発器との間に存在する配管および容器や、蒸発器と四方弁との間に存在する配管および容器や、圧縮機シェルに付属する吸入マフラー容器を、これら配管や容器より肉厚が厚く熱伝導率の低い断熱材料で覆い、これら配管や容器を覆う断熱材料は、圧縮機シェルを覆う断熱材料と分離させることを特徴とすることにより、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、高温高圧冷媒から低温低圧冷媒への熱移動を防ぐことができ、暖房能力損失の低減を図りつつ、システムCOP向上を図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、冷媒R410Aと同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
また、実施の形態2に係る冷凍空調装置は、圧縮機、および圧縮機吐出から凝縮器入口に至る配管および容器の冷媒流路の表面積またはこれらの熱通過率を、下記の式で与えることを特徴とすることにより、吐出温度が高いR32冷媒の特徴を生かしつつ、暖房能力損失の低減を図ることができる。加えて、圧縮機、および圧縮機吐出から四方切換弁に至る配管および容器での暖房能力損失を低減する手法を定量的に規定することができたので、システムCOP向上を迅速にかつ有効効果的に図ることができる。また、R32冷媒でも冷凍サイクル運転状態の目安となる圧縮機吸入の冷媒状態は、R410A冷媒と同等の乾き度1.0程度であり、乾き度低下による液圧縮により圧縮機構部損傷を招く恐れもなく、信頼性確保を図ることができる。
A2・K2・(TD2−Ta)≦A1・K1・(TD1−Ta)
1/Kj=1/hj+tc/λc+ti/λi+1/ha
A:表面積、K:配管系の熱通過率、TD:圧縮機冷媒吐出温度またはそれに相当する温度、Ta:周囲空気温度またはそれに相当する温度、h:冷媒熱伝達率、t:厚さ、λ:熱伝導率、添え字1:冷媒1、添え字2:冷媒2、ただしTD2>TD1、添え字c:配管および容器、添え字i:断熱材、添え字j:1または2、添え字a:周囲空気。
本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置を示す冷媒回路図である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮機部の構成を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る圧縮機部の他の構成を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る断熱材の設定過程を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る冷凍空調装置を示す冷媒回路図である。 本発明の実施の形態3に係る四方弁を分解して示す斜視図である。 本発明の実施の形態3に係り、図6のVII−VII線での縦断面図である。 本発明の実施の形態3に係り、図6のVIII−VIII線での横断面図である。
符号の説明
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器(凝縮器、蒸発器)
4 絞り装置
5 室内熱交換器(蒸発器、凝縮器)
6 圧縮機用断熱材
9、11、14、17、21、24、27 配管
7、12、15、18、22、25、28 容器
8、13 低温側断熱材
23 高温側断熱材
51 弁体
52 駆動手段
54 押え込み部材
55 弁座
56 回転軸
57 冷媒流路
58 シール材
60 シール材
61、62、63、64 冷媒配管。

Claims (5)

  1. 圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を配管で接続し、冷媒としてR32冷媒を用いる冷媒回路と、少なくとも前記圧縮機、前記凝縮器、前記絞り装置を格納する筐体と、前記蒸発器での冷熱を利用するときの前記蒸発器から前記圧縮機の吸入口に至る配管又はその間の冷媒回路を形成する容器の少なくとも前記筐体内に収納される前記配管又は前記容器を、前記圧縮機と熱的に分離するように覆う低温側断熱材と、を備え
    使用冷媒であるR32と能力を比較する比較対象冷媒としてR410A冷媒を設定し、前記使用冷媒の圧縮機冷媒吐出温度が前記比較対象冷媒の圧縮機冷媒吐出温度よりも高いとき、前記比較対象冷媒を循環させた時の前記配管又は前記容器の吸熱量Q1をその部分の表面積Aとその部分における配管系の熱通過率K1と圧縮機冷媒吐出温度と圧縮機冷媒吸入温度の温度差DT1の積とし、前記比較対象冷媒と前記使用冷媒の前記圧縮機冷媒吸入温度を同等として、前記比較対象冷媒の前記温度差DT1よりも大きくなる前記使用冷媒の前記温度差DT2の増大分に対して、前記使用冷媒を循環させる前記配管又は前記容器の熱通過率K2が前記比較対象冷媒を循環させる前記配管又は前記容器の熱通過率K1よりも減少するような材質又は厚さの低温側断熱材を前記配管又は前記容器に設けて、前記使用冷媒を循環させた時の前記低温側断熱材を含む前記配管又は前記容器の吸熱量Q2が前記比較対象冷媒を循環させた時の前記配管又は前記容器の吸熱量Q1以下になるとともに、圧縮機吸入の冷媒状態が乾き度1.0程度となるように構成したことを特徴とする冷凍空調装置。
  2. 前記圧縮機の吐出口から前記凝縮器に至る配管又はその間の冷媒回路を形成する容器の少なくとも前記筐体内に収納される前記配管又は前記容器を覆う高温側断熱材と、を備えたことを特徴とする請求項に記載の冷凍空調装置。
  3. 圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を配管で接続し、冷媒としてR32冷媒を用いる冷媒回路と、前記圧縮機を覆う圧縮機用断熱材と、前記凝縮器での温熱を利用するときの前記圧縮機の吐出口と前記凝縮器に至る配管又はその間の冷媒回路を形成する容器を覆う高温側断熱材と、を備え、
    使用冷媒であるR32と能力を比較する比較対象冷媒としてR410A冷媒を設定し、前記使用冷媒の圧縮機冷媒吐出温度が前記比較対象冷媒の圧縮機冷媒吐出温度よりも高いとき、前記比較対象冷媒を循環させた時の前記配管又は前記容器の吸熱量Q1をその部分の表面積Aとその部分における配管系の熱通過率K1と圧縮機冷媒吐出温度と圧縮機冷媒吸入温度の温度差DT1の積とし、前記比較対象冷媒と前記使用冷媒の前記配管又は前記容器外の空気温度を同等として、前記比較対象冷媒の前記温度差DT1よりも大きくなる前記使用冷媒の前記温度差DT2の増大分に対して、前記使用冷媒を循環させる前記配管又は前記容器の熱通過率K2が前記比較対象冷媒を循環させる前記配管又は前記容器の熱通過率K1よりも減少するような材質又は厚さの高温側断熱材を前記配管又は前記容器に設けて、前記使用冷媒を循環させた時の前記高温側断熱材を含む前記配管又は前記容器の放熱量Q2が、前記比較対象冷媒を循環させた時の前記配管又は前記容器の放熱量Q1以下になるになるとともに、圧縮機吸入の冷媒状態が乾き度1.0程度となるように構成したことを特徴とする冷凍空調装置。
  4. 前記絞り装置から前記圧縮機の吸入口に至る配管又はその間の冷媒回路を形成する容器を覆う低温側断熱材と、を備えたことを特徴とする請求項に記載の冷凍空調装置。
  5. 圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器を配管で接続し、冷媒としてR32冷媒を用いる冷媒回路と、を有する冷凍空調装置において、使用冷媒であるR32と能力を比較する比較対象冷媒としてR410Aを設定し、冷媒乾き度が1.0程度の条件での、前記比較対象冷媒の前記冷媒回路における許容吸熱量又は許容放熱量を演算する熱量演算ステップと、前記熱量演算ステップで演算した前記許容吸熱量又は前記許容放熱量程度以下になるように、前記使用冷媒の前記冷媒回路の配管又は容器の表面を覆う断熱材の表面積及び厚さを演算する断熱材演算ステップと、を備え、前記圧縮機吐出温度の前記使用冷媒と前記比較対象冷媒との温度差に応じて前記冷媒回路を覆う前記断熱材の表面積及び厚さを設定することを特徴とする冷凍空調装置の断熱材取り付け方法。
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