JP7139850B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
まず、実施例の冷凍サイクル装置1で使用される冷媒について説明する。実施例の冷凍サイクル装置1は、「炭素原子間の結合として、単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒」、「炭素の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒」、「エーテル結合を持つ冷媒」のうち、少なくとも一つを含む低GWP冷媒を20重量%以上含む混合冷媒を作動流体として用いる。炭素原子間に単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒は、例えば、炭素原子間の二重結合を有するHFO冷媒や、炭素原子間の三重結合を有するトリフルオロプロピンがある。また、炭素の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒としては、トリフルオロヨードメタンがあり、エーテル結合(HFE冷媒とも言う)を持つ冷媒としてはHFE-143m等が挙げられる。これらの冷媒は、冷凍サイクル装置の中での安定性が低い。また、これらの冷媒は、大気中での安定性も低く、GWPが比較的低い傾向がある。その代わり、当該冷媒は、圧力が比較的低い。圧力の低い冷媒は、冷凍サイクル装置の作動流体として用いると、冷媒性能の指標の一つである体積能力(単位はkJ/m3)が低くなる。そのため、冷凍サイクル装置の作動流体として用いる場合は、他の冷媒性能の高い冷媒(例えば、R32)と混合して用いることが考えられている。本実施例では、炭素原子間に単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒の「GWPが低い」という、環境負荷が小さいという特性を十分に発揮するため、炭素原子間の結合として単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒を少なくとも20重量%以上含む混合冷媒を作動流体として用いる。
ハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒は、塩素(原子量:35.5)と炭素との結合を有するR12を代表としたクロロフルオロカーボン、臭素(原子量:79.9)と炭素との結合を持つハロン1301、ヨウ素(原子量:126.9)と炭素との結合を持つトリフルオロヨードメタン(CF3I)がある。
塩素を含むR12は、GWPが10900である。臭素を含むハロン1301は、GWPが7140である。ヨウ素を含むトリフルオロヨードメタンは、GWPが1以下である。このことからわかるように、ハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒は、ハロゲン族元素の原子量が大きい程、GWPが低い。なお、上記した各冷媒のGWPは、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行規則第一条第三項及びフロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令第二条第三号の規定に基づき、国際標準化機構の規格八一七等に基づき、環境大臣及び経済産業大臣が定める種類並びにフロン類の種類ごとに地球の温暖化をもたらす程度の二酸化炭素に係る当該程度に対する比を示す数値として国際的に認められた知見に基づき環境大臣及び経済産業大臣が定める係数(フロン類GWP告示)(平成28年経済産業省・環境省告示第2号)」において定められたものである。トリフルオロヨードメタンのGWPは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、略称:NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)[平成30年8月13日検索]のインターネットサイト<URL:http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201207f_tech/index.html>において定められたものである。
(原子量)=-4.0×10-8×(GWP)2-3.0×10-4×(GWP)+10.58
上記式から、GWPをR134a(GWP:1430)よりも低くするためには、炭素(原子量:12)の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒であることが必要だとわかる。
説明の便宜上、以下の説明において単に冷媒と称した場合には、上述した混合冷媒を指す。
図1に示すように、実施例の冷凍サイクル装置1は、室外機2と、室外機2に液管8及びガス管9を介して接続された室内機5と、を備えている。液管8は、一端が室外機2の閉鎖弁25に接続され、他端が分岐して室内機5の各液管接続部53にそれぞれ接続されている。ガス管9は、一端が室外機2の閉鎖弁26に接続され、他端が分岐して室内機5の各ガス管接続部54にそれぞれ接続されている。以上により、冷凍サイクル装置1が有する冷媒回路100が構成されている。
図2は、実施例の冷凍サイクル装置のスクロール圧縮機を示す部分断面図である。スクロール圧縮機21は、筐体211と圧縮部212とモータ213とトップシェル温度センサ214と圧縮部側面部温度センサ215とを備えている。筐体211は、概ね円筒形に形成され、圧縮部212を主とした機械部、およびモータ213を主としてモータ部を格納する。また、筐体211は、圧縮部212から高温高圧の冷媒が吐出される内部空間218を形成している。内部空間218は、概ね円柱状に形成されている。筐体211は、筐体211を水平面上に垂直に置いたとき内部空間218の円柱の軸が鉛直方向になるように、配置されている。筐体211は、さらに、内部空間218が吐出管41に接続されるように、形成されている。モータ213は、内部空間218のうちの下部に配置されている。モータ213は、室外機制御回路200に制御されることにより、所定の回転数の回転動力を圧縮部212に供給する。
次に、本実施形態における冷凍サイクル装置1の空調運転時の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について、図1を用いて説明する。図1における矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
実施例の冷凍サイクル装置1は、スクロール圧縮機21と膨張弁24とトップシェル温度センサ214と室外機制御回路200とを備えている。スクロール圧縮機21は、固定スクロール216に対して旋回スクロール217を旋回させることにより、低GWP冷媒を20重量%以上含む冷媒を圧縮する。膨張弁24は、開度に対応した流量に絞ることで、冷媒を減圧する。トップシェル温度センサ214は、スクロール圧縮機21が配置される内部空間218を密閉する筐体211のトップシェル温度を測定する。室外機制御回路200は、冷媒が2相状態でスクロール圧縮機21に吸入されるように、トップシェル温度に基づいて膨張弁24の開度を制御する。トップシェル温度センサ214により測定されたトップシェル温度は、吐出温度センサ33により測定された吐出温度に比較して、圧縮部212により圧縮された冷媒の温度がより早く、より高精度に反映される。このため、冷凍サイクル装置1は、膨張弁24の膨張弁操作がトップシェル温度に基づいて実行されるときに、気体と液体との2相状態の冷媒をスクロール圧縮機21に流入させる湿り吸入制御をより適切に行うことができる。
21 :スクロール圧縮機
24 :膨張弁
31 :吐出圧力センサ
32 :吸入圧力センサ
33 :吐出温度センサ
34 :吸入温度センサ
35 :熱交温度センサ
36 :外気温度センサ
61 :熱交中間温度センサ
63 :吸込温度センサ
64 :吹出温度センサ
211 :筐体
212 :圧縮部
213 :モータ
214 :トップシェル温度センサ
215 :圧縮部側面部温度センサ
216 :固定スクロール
217 :旋回スクロール
218 :内部空間
Claims (3)
- 炭素原子間の結合として単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒、炭素の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒、エーテル結合を持つ冷媒、のうち、少なくとも一つを含む低GWP冷媒を20重量%以上含む混合冷媒を、固定スクロールに対して旋回スクロールを旋回させることにより圧縮するスクロール圧縮機と、
前記混合冷媒を減圧させる膨張弁と、
前記スクロール圧縮機が配置される空間を密閉する筐体の圧縮機シェル温度を測定するシェル温度センサと、
本冷凍サイクル装置の運転状態を検出するセンサと、
前記運転状態により特定された本冷凍サイクル装置の負荷状態に基づいて、前記混合冷媒が前記スクロール圧縮機から吐出されるときの前記混合冷媒の理論吐出温度を算出し、前記理論吐出温度が目標温度に等しいときに前記混合冷媒が2相状態で前記スクロール圧縮機に吸入されるように、前記目標温度を算出する制御回路とを備え、
前記制御回路は、さらに、
前記圧縮機シェル温度が閾値温度より小さいときで、かつ、前記目標温度が前記閾値温度より小さいときに、前記理論吐出温度が前記目標温度に近づくように、前記膨張弁の開度を調整し、
前記圧縮機シェル温度が前記閾値温度より小さいときで、かつ、前記目標温度が前記閾値温度より大きいときに、前記理論吐出温度が前記閾値温度に近づくように、前記開度を調整し、
前記圧縮機シェル温度が前記閾値温度より大きいときに、前記旋回スクロールの旋回が停止するように、前記スクロール圧縮機を制御する
冷凍サイクル装置。 - 前記制御回路は、前記理論吐出温度が100℃より小さくなるように、前記開度を調整する
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記混合冷媒が前記スクロール圧縮機から吐出されるときの前記混合冷媒の吐出温度を測定する吐出温度センサをさらに備え、
前記制御回路は、前記吐出温度にさらに基づいて前記開度を調整する
請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
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