JP7192347B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
まず、実施例の冷凍サイクル装置1で使用される冷媒について説明する。実施例の冷凍サイクル装置1は、「炭素原子間の結合として、単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒」、「炭素の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒」、「エーテル結合を持つ冷媒」のうち、少なくとも一つを含む低GWP冷媒を20重量%以上含む混合冷媒を作動流体として用いる。炭素原子間に単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒は、例えば、炭素原子間の二重結合を有するHFO冷媒や、炭素原子間の三重結合を有するトリフルオロプロピンがある。また、炭素の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒としては、トリフルオロヨードメタンがあり、エーテル結合(HFE冷媒とも言う)を持つ冷媒としてはHFE-143m等が挙げられる。これらの冷媒は、冷凍サイクル装置の中での安定性が低い。また、これらの冷媒は、大気中での安定性も低く、GWPが比較的低い傾向がある。その代わり、当該冷媒は、圧力が比較的低い。圧力の低い冷媒は、冷凍サイクル装置の作動流体として用いると、冷媒性能の指標の一つである体積能力(単位はkJ/m3)が低くなる。そのため、冷凍サイクル装置の作動流体として用いる場合は、他の冷媒性能の高い冷媒(例えば、R32)と混合して用いることが考えられている。本実施例では、炭素原子間に単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒の「GWPが低い」という、環境負荷が小さいという特性を十分に発揮するため、炭素原子間の結合として単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒を少なくとも20重量%以上含む混合冷媒を作動流体として用いる。
ハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒は、塩素(原子量:35.5)と炭素との結合を有するR12を代表としたクロロフルオロカーボン、臭素(原子量:79.9)と炭素との結合を持つハロン1301、ヨウ素(原子量:126.9)と炭素との結合を持つトリフルオロヨードメタン(CF3I)がある。
塩素を含むR12は、GWPが10900である。臭素を含むハロン1301は、GWPが7140である。ヨウ素を含むトリフルオロヨードメタンは、GWPが1以下である。このことからわかるように、ハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒は、ハロゲン族元素の原子量が大きい程、GWPが低い。なお、上記した各冷媒のGWPは、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律施行規則第一条第三項及びフロン類算定漏えい量等の報告等に関する命令第二条第三号の規定に基づき、国際標準化機構の規格八一七等に基づき、環境大臣及び経済産業大臣が定める種類並びにフロン類の種類ごとに地球の温暖化をもたらす程度の二酸化炭素に係る当該程度に対する比を示す数値として国際的に認められた知見に基づき環境大臣及び経済産業大臣が定める係数(フロン類GWP告示)(平成28年経済産業省・環境省告示第2号)」において定められたものである。トリフルオロヨードメタンのGWPは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、略称:NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)[平成30年8月10日検索]のインターネットサイト<URL:http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201207f_tech/index.html>において定められたものである。
(原子量)=-4.0×10-8×(GWP)2-3.0×10-4×(GWP)+10.58
上記式から、GWPをR134a(GWP:1430)よりも低くするためには、炭素(原子量:12)の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒であることが必要だとわかる。
説明の便宜上、以下の説明において単に冷媒と称した場合には、上述した混合冷媒を指す。
図1に示すように、実施例の冷凍サイクル装置1は、室外機2と、室外機2に接続配管としての液管8及びガス管9を介して接続された室内機5と、を備えている。液管8は、一端が室外機2の閉鎖弁25に接続され、他端が分岐して室内機5の各液管接続部53にそれぞれ接続されている。ガス管9は、一端が室外機2の閉鎖弁26に接続され、他端が分岐して室内機5の各ガス管接続部54にそれぞれ接続されている。以上により、冷凍サイクル装置1が有する冷媒回路100が構成されている。
次に、本実施形態における冷凍サイクル装置1の空調運転時の冷媒回路100における冷媒の流れや各部の動作について、図1を用いて説明する。以下、室内機5が暖房運転を行う場合について説明し、冷房/除霜運転を行う場合については詳細な説明を省略する。また、図1における矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
次に、実施例の冷凍サイクル装置1の室外機2の特徴的な構成について説明する。冷凍サイクル装置1で用いられる混合冷媒は、上述したような低GWP冷媒を20重量%以上含む混合冷媒であり、高温環境下での安定性が低く、高温環境下で分解されたときや、冷媒回路100に残留する水分や酸素と反応することで酸化、分解を起こしたときに、混合冷媒から酸が発生するおそれがある。また、圧縮機21から混合冷媒が吐出される際、圧縮機21内の冷凍機油10は、圧縮機21から混合冷媒と共に流出する傾向がある。
冷凍サイクル装置1のシステムサイズは、冷凍サイクル装置1において室内機2と室外機5とを接続するための接続配管(液管8、ガス管9)の最大長さ(配管長)に依存する。このため、冷凍サイクル装置1の冷凍能力が大きい場合には、接続配管の最大長さも長くなり、接続配管内における容積(配管の容積)が大きい程、接続配管内に空気中の酸素や水分が侵入するおそれが高まる傾向にある。
上述の冷媒回路100を冷媒が循環する際、油分離器37によって、圧縮機21からの冷媒の流れの上流側において、圧縮機21から吐出された混合冷媒中から冷凍機油10を分離し、除去部38によって、圧縮機21へ送られる混合冷媒中から酸素または水分を除去する。このように、圧縮機21から吐出された冷媒中から冷凍機油10を除去することで、冷凍機油10が除去部38に付着することが避けられるので、除去部38によって冷媒中の水分を効率的に除去することが可能になる。冷凍機油10が除去部38の除去剤の表面に付着すると、除去剤の水分や酸素を除去する能力が低下する。例えば、乾燥剤の表面に冷凍機油10が付着すると、水分を吸着させることが可能な表面積が小さくなるため、冷媒中の水分を効率的に除去することができない。また、圧縮機21の冷媒吸入側に除去部38が配置されることで、圧縮機21へ送られる冷媒中の水分を除去することができる。これにより、冷媒が高温になる圧縮機21内において、冷媒中の水分や酸素によって冷媒に酸化や分解が起こることが抑えられる。
2 室内機
5 室外機
8 液管(接続配管)
9 ガス管(接続配管)
10 冷凍機油(潤滑油)
21 圧縮機
25、26 閉鎖弁
37 油分離器
38 除去部
46 冷媒配管(配管)
47 バイパス配管
48 切換弁(流路切換部材)
100 冷媒回路
100A 高圧回路部
100B 低圧回路部
200 室外機制御回路(制御部)
Claims (4)
- 炭素原子間の結合として単結合以外の炭素間結合を持つ冷媒、炭素の10倍を超える原子量のハロゲン族元素と炭素との単結合を持つ冷媒、エーテル結合を持つ冷媒、のうち、少なくとも一つを含む低GWP冷媒を20重量%以上含む混合冷媒が充填された冷媒回路と、
前記冷媒回路に接続され、内部に潤滑油が貯留された圧縮機と、
前記圧縮機に前記混合冷媒を送るアキュムレータと、
前記冷媒回路に接続された室外機及び室内機と、
前記冷媒回路において前記室外機と前記室内機とを接続する接続配管に設けられた閉鎖弁と、
前記圧縮機から前記混合冷媒が流入する第1ポートと、暖房運転時に前記室内機から前記混合冷媒が流入すると共に冷房運転時に前記室内機へ前記混合冷媒を送る第2ポートと、前記アキュムレータへ前記混合冷媒を送る第3ポートと、前記暖房運転時に前記室内機へ前記混合冷媒を送ると共に前記冷房運転時に前記室内機から前記混合冷媒が流入する第4ポートと、を有し、前記冷媒回路における前記圧縮機と前記閉鎖弁との間に配置された四方弁と、
前記四方弁の前記第3ポートと前記アキュムレータとの間に配置され、前記混合冷媒中から水分または酸素の少なくとも一方を除去する除去部と、
前記圧縮機と前記四方弁の前記第1ポートとの間に配置され、前記混合冷媒中から前記潤滑油を分離する油分離器と、を備え、
前記除去部は、前記油分離器で分離された前記潤滑油が流れる油流路と、前記除去部を通過した前記混合冷媒が流れる冷媒流路との合流部と、前記四方弁との間に設けられている、冷凍サイクル装置。 - 前記除去部は、脱酸素剤及び乾燥剤の少なくとも一方を含む除去剤を有し、
前記除去剤の体積は、前記冷媒回路の管内容積に応じて定められている、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記冷媒回路は、前記除去部が設けられた配管に、前記除去部を迂回して前記混合冷媒を流すバイパス配管が設けられている、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。 - 前記配管に設けられ、冷媒の流れを前記除去部へ向かう流れと前記バイパス配管へ向かう流れとに切り換える流路切換部材と、
前記流路切換部材の切換動作を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記圧縮機の運転開始時に前記除去部へ前記混合冷媒を流し、前記除去部へ前記混合冷媒を所定時間流した後に前記混合冷媒が前記バイパス配管へ流れるように前記流路切換部材を制御する、
請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
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