JP5354635B2 - 魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物、その製造方法、ならびにこの乳酸発酵物を含む食品および健康食品 - Google Patents
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Description
近年、乳酸発酵食品を含む種々の食品中からACE阻害ペプチドが見出され、牛乳カゼイン、発酵乳、魚肉の加水分解物由来のペプチドがACE阻害活性を有することが知られている(特許文献6、非特許文献4、5、特許文献7参照)。
このような乳酸菌の胆汁酸結合能を利用した機能性食品も提案されている(特許文献8参照)。
なれずし等における発酵は、桶や倉等の環境中に存在する未知の微生物が作用したものであるのに対し、選択した微生物を魚介類に作用させ、その効果を利用しようとする試みも行われている(特許文献9〜11参照)。
また、積極的に選択した乳酸菌等の微生物により魚介類を発酵させた発酵物の保健機能については、これまで殆ど知られておらず、食品等への応用もなされていない。
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィを含む少なくとも1種類の乳酸菌を用いて乳酸発酵させることにより得られ、アンジオテンシン変換酵素に対するIC50値が0.06〜2mg/mLであり、前記乳酸菌の菌体を含まない状態で胆汁酸結合能を有する。
ここで「アンジオテンシン変換酵素に対するIC50値」とは、後述する方法で測定を行った場合における、アンジオテンシン変換酵素阻害率が50%となるときの乳酸発酵物の濃度をいう。
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィ(Pediococcus acidilactici)を含んでいる。
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィを含む少なくとも1種類の乳酸菌を用いて魚肉または魚肉由来タンパク質を発酵させる発酵工程を有する。
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィを含んでいる。
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィを含んでいるので、ACEに対するIC50値および胆汁酸結合能をともに向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物(以下「乳酸発酵物」という)は、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、およびペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択される少なくとも1種類の乳酸菌を用いて魚肉または魚肉由来タンパク質を乳酸発酵させることにより得られる。
これらの乳酸菌のうち、ペディオコッカス・アシディラクティシィ(Pediococcus acidilactici)、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)、およびラクトバチルス属に属する乳酸菌が好適に用いられる。
グラム陽性で四連球菌または双球菌の形態を示す。また、MRS寒天培地上での肉眼的性質は、直径1〜2mmの円形で白色のコロニーを形成する。
(2)生理学的性質
(a) カタラーゼ −
(b) 生育温度 10℃ ±
40℃ +
50℃ −
(c) 食塩耐性 10% ±
(d) pH 4.5 +
8.5 +
(e) アルギニンからのアンモニア生成 −
(f) 馬尿酸ナトリウムの分解性 −
(g) グルコースからのガス産生 −
(h) 糖の発酵性の有無
L−アラビノース +
D−リボース +
D−キシロース −
D−ラムノース −
D−グルコース +
D−マンノース +
D−フラクトース +
D−ガラクトース +
マルトース +
セロビオース +
シュークロース +
ラクトース +
トレハロース +
メリビオース +
ラフィノース +
メレジトース −
D−ソルビトール −
D−マンニトール −
グルコン酸ナトリウム ±
エスクリン +
アミグダリン +
サリシン +
(i)発酵形式 ホモ型
(j)乳酸の旋光性 DL
(3)化学分類学的性質
16S rDNA−500塩基配列解析の結果から、相同率100%でPediococcus acidilacticiの基準菌株と一致した。
また、発酵に使用する乳酸菌は、予め乳酸菌スターターの形態で調製しておいてもよい。
魚肉は、必要に応じて切り身、すり身等の任意の形態で用いることができる。
また、必要に応じて、さらに空ずり、塩ずり等のらいかい処理を行ってもよい。らいかい処理は、食品、特に練り製品の製造に用いられる任意の手段により行うことができる。また、必要に応じて、発酵基質としてさらに糖類を添加してもよい。
加熱は、レトルト、オートクレーブ等の食品製造分野において用いられる任意の手段により行うことができる。
酵素の添加量は、使用される酵素の種類に応じて適宜選択されるが、通常、魚肉の質量の0.01〜0.1質量%である。
酵素反応の温度および時間も、使用される酵素の種類に応じて適宜選択(例えば、25〜40℃、5〜30分間)されるが、たとえば40℃で5分間である。所定の反応時間経過後、加熱することにより酵素を失活させて酵素反応を停止させる。なお、加熱による酵素の失活処理を上述の加熱殺菌と同時に行ってもよい。
それ以外の乳酸菌(例えば、ペディオコッカス・アシディラクティシィおよびエンテロコッカス・フェーカリス)の場合、好適な発酵温度は35〜40℃である。好適な発酵時間は、いずれの乳酸菌についても24〜72時間である。
必要に応じて、原料の配合や加工工程に対し適宜変更を加えてもよい。
実施例1:アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を有する乳酸発酵物の製造およびACEに対するIC50値の評価
(1)乳酸菌スターターの調製
供試菌株であるペディオコッカス・アシディラクティシィ(受託番号FERM P−21086)およびエンテロコッカス・フェーカリス(大豆を原料とする発酵食品であるテンペより分離)の保存培地から1白金耳をそれぞれMRS培地4.5mL(ミリリットル、以下同じ)に接種して37℃、1日間培養した。培養液から1白金耳を同培地に接種し、37℃、1日間の継代培養を数回繰り返すことにより生育を安定させた。その後、遠心分離(3,000rpm、10分)により菌体を回収後、さらに生理食塩水4.0mLに懸濁することにより、ペディオコッカス・アシディラクティシィおよびエンテロコッカス・フェーカリスの乳酸菌スターターを得た。
予め冷凍しておいたホッケすり身を解凍し、フードカッターで1分間空ずり後、すり身の質量の2.0%の食塩を添加し、フードカッターで3分間塩ずりした。次に、すり身の質量の400%の蒸留水、すり身の質量の1.67%のD−グルコース、およびすり身の質量の1.67%のラクトースを添加し、ホモゲナイズを行った。さらに遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)し上清を回収後、メンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過滅菌し、発酵基質を得た。
上記方法で得られた発酵基質5mLと、上記(1)記載の方法により調製したペディオコッカス・アシディラクティシィおよびエンテロコッカス・フェーカリスの乳酸菌スターターまたは蒸留水0.1mLを、滅菌した試験管に加え、37℃で24時間発酵させた。得られた乳酸発酵物に加熱滅菌を施し、pHを測定した。発酵を行わなかった発酵基質および乳酸菌スターターの混合物についても同様にpHを測定した。
こうして得られた乳酸発酵物および乳酸発酵を行わなかった発酵基質および乳酸菌スターターの混合物のpHを表1に示す。
ここで、ペディオコッカス・アシディラクティシィおよびエンテロコッカス・フェーカリスの乳酸菌スターターを添加した発酵基質を、それぞれ「ペディオコッカス・アシディラクティシィ接種群」および「エンテロコッカス・フェーカリス接種群」といい、蒸留水を添加した発酵基質を「乳酸菌無接種群」という。また、「培養前」および「培養後」はそれぞれ、乳酸発酵を行わなかった発酵基質および乳酸菌スターターの混合物、および24時間発酵を行った乳酸発酵物を表す。
溶媒としてホウ酸緩衝液(pH8.3)を用いて、下記の溶液をそれぞれ調製した。
(a)乳酸発酵物溶液:上記(2)において調製した乳酸発酵物の凍結乾燥粉末を所定の濃度となるようにホウ酸緩衝液に溶解することにより調製した。濃度の異なる複数種類の乳酸発酵物溶液を調製した。
(b)ACE基質溶液:ヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン(Hip−L−His−L−Leu)(ペプチド研究所製)を、濃度が7.6mMとなるように608mM塩化ナトリウム含有ホウ酸緩衝液に溶解することにより調製した。
(c)ACE溶液:アンジオテンシン変換酵素(ACE)(シグマ社製:EC3.4.15.1)60mUをホウ酸緩衝液1mLに溶解することにより調製した。
上記のようにして調製した乳酸発酵物溶液または精製水0.03mL、ACE基質溶液0.25mL、およびACE溶液0.1mLを混合した反応溶液を、異なる乳酸発酵物の濃度毎に6検体ずつ調製し、うち3検体には、インキュベート前にACEを失活させるために1N塩酸0.25mLを添加した。
上記(3)において調製した反応溶液を37℃で30分間インキュベートした後、塩酸未添加の検体に1N塩酸0.25mLを添加してACEを失活させ反応を停止させた。その後、各反応溶液に酢酸エチル1.5mLを混和して20秒間振盪し、酵素反応により生成した遊離の馬尿酸を抽出した。遠心分離(3,000rpm、10分)により浮遊物を沈殿させた後、酢酸エチル層0.5mLを分取し、デシケーター内で減圧乾固させた後、残留物を蒸留水4.0mLに溶解し、測定溶液を調製した。
溶液中の遊離の馬尿酸濃度を定量するために、紫外可視分光光度計を用いて、各測定溶液の228nmにおける吸光度を測定した。
このようにして得られた吸光度の測定値から、下記の式よりACE阻害率を求めた。
ここで、
Aは、乳酸発酵物を含まない精製水、ACE基質溶液およびACE溶液を混合し、インキュベート後1N塩酸を加え反応を停止させた反応溶液より得られた測定溶液の吸光度を、
Bは、乳酸発酵物溶液、ACE基質溶液およびACE溶液を混合し、インキュベート後1N塩酸を加え反応を停止させた反応溶液より得られた測定溶液の吸光度を、
Cは、乳酸発酵物を含まない精製水、ACE基質溶液、ACE溶液および1N塩酸を混合した反応溶液より得られた測定溶液の吸光度を、
Dは、乳酸発酵物溶液、ACE基質溶液、ACE溶液および1N塩酸を混合して得られた反応溶液より得られた測定溶液の吸光度をそれぞれ表す。
上記(4)のようにして得られたACE阻害率と反応溶液中に含まれる乳酸発酵物濃度の関係をグラフにプロットし、ACE阻害率が50%となるときに反応溶液中に含まれる乳酸発酵物の濃度(mg/mL)を求め、これをIC50値とした。
なお、表2において、ペディオコッカス・アシディラクティシィおよびエンテロコッカス・フェーカリスの乳酸菌スターターを添加した反応液を、それぞれ「ペディオコッカス・アシディラクティシィ接種群」および「エンテロコッカス・フェーカリス接種群」といい、蒸留水を加えた反応液を「乳酸菌無接種群」という。また、「培養前」および「培養後」はそれぞれ、乳酸発酵を行わなかった場合、および37℃で24時間発酵を行った場合を表しており、乳酸発酵のACEに対するIC50値に及ぼす効果を検討するため、乳酸発酵を行わなかった発酵基質および乳酸菌スターターの混合物を添加した反応液についても同様にACEに対するIC50値を求めている。
上記(2)記載の方法を用いて調製した発酵基質5mLと、上記(1)記載のように調製したエンテロコッカス・フェーカリス、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei、熱帯果実の一種であるパンレインより分離)、ラクトバチルス・アシッドフィルス(Lactobacillus acidophilus、チーズより分離)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum、パイナップルより分離)、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus、発酵乳より分離)の乳酸菌スターター0.1mLを滅菌チューブへ加え、35℃で24時間発酵させた。得られた乳酸発酵物に加熱滅菌を施し、pH測定およびACE阻害活性測定を行った。
こうして得られた乳酸発酵物のpHおよびACE阻害活性率(%)を表3および表4に示す。
ホッケ、スケソウダラ、イトヨリおよびタチウオの冷凍すり身を用いて、上記(2)記載の方法を用いて作成し、蛋白質含有量がそれぞれ同量となるように生理食塩水にて調整した発酵基質5mLと、上記(1)記載のように調製したペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターまたは蒸留水0.1mLを滅菌チューブへ加え、35℃で48時間発酵させた。得られた乳酸発酵物に加熱滅菌を施し、pH測定およびACE阻害活性測定を行った。こうして得られた乳酸発酵物のpHおよびACE阻害活性率(%)を表5および表6に示す。ここで、上記乳酸菌スターターを添加した発酵基質を「ペディオコッカス・アシディラクティシィ接種群」といい、蒸留水を添加した発酵基質を「乳酸菌無接種群」という。
上記(2)に記載の方法と同様の方法を用いて空ずりおよび塩ずり処理を行い、蒸留水、D−グルコースおよびラクトースを添加したホッケすり身を70℃で15分間加熱滅菌したものを発酵基質とし、これに乳酸菌スターターを接種して35℃で45時間発酵させた。得られた乳酸発酵物を加熱滅菌後、上記(2)〜(5)に記載の方法と同様の方法により、pHおよびACEに対するIC50値を求めた。
こうして得られた、乳酸発酵物のpHおよびACE阻害率(%)を、それぞれ表7および表8に示す。
このことより、添加した乳酸菌による乳酸発酵の結果、乳酸が産生されたことがわかる。
これらの結果から、乳酸発酵による乳酸の産生およびACE阻害活性の発現は、接種した乳酸菌スターターの作用によるものであることが確認された。
また、いずれの供試菌株についても、滅菌の有無に関わらずACEに対するIC50値がほぼ同一であることから、産生された乳酸により他の菌の繁殖が抑制されていることがわかる。
比較のため、魚肉の乳酸発酵物として公知の鮒ずしについてもACEに対するIC50値を測定した。鮒ずしとして滋賀県産のものを用い、これを凍結乾燥後粉砕したものを用いて、上記(3)〜(5)に記載の方法と同様の方法によりACE阻害率を測定したところ、ACEに対するIC50値として、9.08mg/mLという値が得られた。このことから、上記(2)のようにして得た乳酸発酵物が鮒ずしよりも高いACE阻害活性を有することがわかる。
(1)乳酸菌スターターの調製
供試菌株であるペディオコッカス・アシディラクティシィの保存培地から1白金耳をそれぞれMRS培地5mLに接種して37℃、1日間培養した。培養液から1白金耳を同培地に接種し、37℃、1日間の継代培養を数回繰り返すことにより生育を安定させた。その後、遠心分離(3,000rpm、10分)により菌体を回収後、さらに生理食塩水5mLに懸濁することにより、ペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターを得た。
予め冷凍しておいたホッケすり身を解凍し、10gをケーシングに充填後両端を結さつし、121℃のオートクレーブ中で15分間加熱殺菌した。クリーンベンチ内で、D−グルコースおよびラクトース各75mgを含む滅菌済の糖溶液1mL、および上記(1)の方法で調製したペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターター0.2mL(ホッケすり身に対して2重量%)を加え、均一に撹拌しながら35℃で48時間培養した。その後、沸騰水中で15分間加熱殺菌し、凍結乾燥した。
また、対照サンプルとして、ペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターの添加および培養を行わず、他の処理は上記と同様に行ったホッケすり身凍結乾燥物を調製した。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末および対照サンプル凍結乾燥粉末各50mgを、1.5mLマイクロチューブ内で1.25mMタウロコール酸ナトリウム水溶液(10mMリン酸緩衝溶液、pH6.8)1mLと混合し、37℃で2.5時間インキュベートした。インキュベート後、遠心分離(10,000rpm、10分間、4℃)を行い、上清中に残留したタウロコール酸ナトリウムの濃度を、酵素反応法(和光純薬製、胆汁酸テストワコーキットを使用)により定量した。
上清の560nmにおける吸光度を測定し、下記の式より胆汁酸結合能(%)を求めた。
ここで、
Aは、乳酸発酵物凍結乾燥粉末および対照サンプル凍結乾燥粉末のいずれも添加せず、リン酸緩衝液に溶解した胆汁酸のみを上記のように処理した溶液(上清)の560nmにおける吸光度を、
Bは、乳酸発酵物凍結乾燥粉末または対照サンプル凍結乾燥粉末を添加し、上記のように処理した溶液(上清)の560nmにおける吸光度を、
Cは、乳酸発酵物凍結乾燥粉末、対照サンプル凍結乾燥粉末、タウロコール酸ナトリウムいずれをも含まない緩衝溶液を上記のように処理した溶液(上清)の560nmにおける吸光度をそれぞれ表す。
上記の測定法により胆汁酸結合能を測定した結果、乳酸発酵物を添加した場合について76.5%、対照サンプルを添加した場合について25.6%という値が観測された。このことから、ホッケすり身の胆汁酸結合能は、乳酸発酵を行うことにより向上することがわかる。
ペディオコッカス・アシディラクティシィを10mLのMRS培地上で48時間培養後、加熱殺菌した。3,000rpmで10分間遠心分離することにより沈殿を回収後、凍結乾燥した。このようにして得られたペディオコッカス・アシディラクティシィの死菌体10mg(乾燥重量)について、上記の方法により胆汁酸結合能を測定した。
その結果、観測された胆汁酸結合能は8.56%であった。
このことから、乳酸発酵物について観測された胆汁酸結合能の大部分は、乳酸発酵生成物に由来するものであることが確認された。
冷凍ホッケすり身を解凍し、フードカッターで1分間空ずり後、すり身の重量の500%の蒸留水を添加しホモゲナイズを行ったものを試験管へ分注した。すり身の中心の温度が70℃に到達後15分間加熱殺菌をした後、上記(2)記載の方法を用いて、基質への糖溶液および乳酸菌スターター(ペディオコッカス・アシディラクティシィ)の接種、培養、殺菌、および凍結乾燥を行った。
また、対照サンプルとして、乳酸菌スターターの添加および培養を行わず、他の処理は上記と同様に行ったホッケすり身凍結乾燥物を併せて調製した。
上記のように調製した凍結乾燥サンプルを50mg測り取り、上記(3)記載の方法によって胆汁酸結合能を測定した結果、乳酸菌発酵物の胆汁酸結合能平均値は60.78%(n=3)であり、対照サンプルの胆汁酸結合能平均値は12.67%(n=3)であった。このことから、ホッケすり身基質へ70℃加熱殺菌を施した場合、乳酸発酵によって胆汁酸結合能が向上することがわかる。
主原料(魚肉すり身65%、豚脂肪7%)を凍結のままブロックカッターにかけ、チョッパー(チョッパー目6mm)に通し、高速バキュームサイレントカッターに入れた。この時、水18.3%、食塩1.6%、香辛料1%、砂糖2%、大豆タンパク5%、色素液0.1%を加え、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液または凍結乾燥物)を加え、練り肉を作成した。なお、必要に応じて、結着力を増大させるために、大豆タンパクを増量あるいはさらにデンプン3〜5%を追加してもよい。こうして得られた練り肉を、ケーシングに定量自動充填(100g/本)し、クーラーに入れ、熱水レトルト(120℃、4分間)後、冷却処理を行うことにより、魚肉ソーセージを得た。
原料(小麦粉25%、ポリリン酸0.1%、乳酸0.05%、プロピレングリコール0.5%、食塩1%、水7%)、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液または凍結乾燥物)を混合撹拌混練機に入れてよく混練し、生地を作った。麺質を向上させる為にフィダー中で熟成させた。複合機によって生地帯状の物を2枚作りその後2枚を1枚にする事によって生地の組織を均一にした。その後、圧延機により数度圧延を行い、所定の厚さの麺生地を得た。こうして得られた麺生地を、切出機で所定の幅にカットした。
原料(小麦粉70%)を篩通しし、水38%、その水の一部にイースト2%とイースト・フード0.13%を十分に懸濁した液、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液または凍結乾燥物)をミキサーに入れ、混合しグルテンが十分に発展するまで混合した。なお、捏上温度は24℃〜25℃が標準である。その後発酵槽に移し、室温25〜26℃、湿度70〜80%に保たれた第一発酵室で3〜4時間発酵させ中種を得た。中種は残りの小麦粉30%と水22%および副原料(食塩2%、砂糖3%、D−グルコース3%、ショートニング3%、脱脂粉乳2%)、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液または凍結乾燥物)とともにミキサーで混捏した。生地の捏上温度は27〜28℃が標準である。捏ね上がった生地はトローに移し、室温で10〜20分間寝かせた後、ディバイダーで所定量の生地片に分割し、生地丸め機で団子状に丸めてから中間発酵機(28℃〜30℃)で10〜20分間寝かせて、生地の伸びをよくした。寝かせ終わった生地は、生地成型機でガス抜き整形し、焼型に詰めた。焼型に詰めた生地を、温度40℃前後、湿度80〜90%の最終発酵室に入れ、40〜50分間の発酵を行った。その後オーブンに入れ温度220〜230℃、時間40〜50分間で焼いた。型から取り外し、中心が常温になるまで冷却し、必要に応じてスライサーで所定の厚さにスライスした。
主原料である小麦粉(全原料の85%)は、シフターを通し異物を除去した後計量した。これに、他の諸原料(デンプン15%、粉糖30%、加糖練乳5%、水あめ1%、ショートニング25%、膨張剤0.8%、食塩1%、香料:適量、色素:適量、水15〜20%)および適量の乳酸発酵物(すり身、上清液または凍結乾燥物)とともにミキサーで混合した。得られた混合物をラミネーターによって展延積層し、ゲージロールによって必要な厚さに圧延した。続いてカッティングマシンによって型抜きを行い、オーブンで焼成した。
スープ製品には、洋風、和風、中華風、あるいはエスニック風等の多くの種類があり、その性状も、液体、固体、ペースト、粉末等様々であるが、例として液体状のクリーム・トマトスープの製造例について記載する。
肉類(骨付き牛脛肉3kg、骨付き鶏肉2kg)、野菜類(香味野菜類0.4kg)を水から煮熟し、冷却後ろ過しスープストックを得た。バター0.6kgで小麦粉0.8kgを炒め、これを、牛乳3.6kgおよびスープストックでのばし、トマトピューレ4kg、香辛料0.006kgを加えて煮込んだ後、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液または凍結乾燥物)を加え裏漉した。これに生クリーム1.2kgを良く混和し、味を調整して仕上げを行った。
ここではフレンチドレッシングの製造例について説明する。
原料(でん粉10%、砂糖3%、適量の食酢(所望の酸味が得られるよう、乳酸発酵物の添加量に合わせて調整する)、水25%、適量の乳化剤、および適量の乳酸発酵物(上清液または凍結乾燥粉末))をスラリータンクに入れ十分に混合し熱交換器に送り、でん粉の糊化を行った。なお、この工程は、同時に殺菌工程も兼ねている。ここでさらに食酢10%、卵黄5%、調味香辛料10%、植物油12%、サラダ油10%を十分混合した。この工程で乳化の為にプレミックスを行った。ついで乳化機で十分乳化することにより、ドレッシングを得た。
原料の卵黄8kg、食塩1kg、砂糖1.5kg、適量の食酢(所望の酸味が得られるよう、乳酸発酵物の添加量に合わせて調整する)、香辛料2kg、および適量の乳酸発酵物(上清液または凍結乾燥粉末)をミキサーに投入した。混合物を撹拌しつつサラダ油80kgを入れ簡単な乳化を行った後、コロイドミルを通して仕上げの乳化を行った。ミキサーでの撹拌は常圧下、真空下、不活性ガス中のいずれかの条件下で、15〜20℃で行った。このようにしてマヨネーズを得た。
下記組成により、常法にしたがって1錠あたり200mgの錠剤を得た。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末 10mg
コーンスターチ 140mg
カルボキシメチルセルロース 40mg
ポリビニルピロリドン 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
合計 200mg
下記組成により、常法に従って1包あたり1000mgの顆粒剤を得た。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末 100mg
水溶性食物繊維 500mg
乳糖 400mg
合計 1000mg
下記組成により、常法に従って1瓶あたり30mLの飲料を製造した。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末 300mg
クエン酸 160mg
ビタミンC 4mg
ブドウ糖果糖液糖 3000mg
蒸留水 適量
合計 30mL
Claims (7)
- 魚肉または魚肉由来タンパク質を、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、およびペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択され、必須成分としての受託番号FERM
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィを含む少なくとも1種類の乳酸菌を用いて乳酸発酵させることにより得られ、
アンジオテンシン変換酵素に対するIC50値が0.06〜2mg/mLであり、
前記乳酸菌の菌体を含まない状態で胆汁酸結合能を有することを特徴とする血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物。 - ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、およびペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択され、必須成分としての受託番号FERM
P−21086であるペディオコッカス・アシディラクティシィを含む少なくとも1種類の乳酸菌を用いて魚肉または魚肉由来タンパク質を発酵させる発酵工程を有することを特徴とする血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。 - 請求項2に記載の血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記発酵工程を行う前に、前記魚肉または魚肉由来タンパク質を70〜120℃で加熱殺菌する加熱殺菌工程を行うことを特徴とする血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項2または3に記載の血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記乳酸菌がバクテリオシン産生菌を含むことを特徴とする血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項2〜4のいずれか1項に記載の血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記発酵工程を行う前に、前記魚肉または魚肉由来タンパク質をタンパク分解酵素により処理する酵素処理工程を行うことを特徴とする血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項1に記載の血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物を含む食品。
- 請求項1に記載の血圧上昇抑制機能および血中コレステロール濃度の低下機能を有する魚肉または魚肉由来タンパク質の乳酸発酵物を含む健康食品。
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