JP3375729B2 - 食品の物性改良剤及びその製造法 - Google Patents
食品の物性改良剤及びその製造法Info
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Description
品、ハム、ソーセージ、クリーム等の食品に増粘、起
泡、乳化、結着、増量等の目的で添加される風味良好な
食品の物性改良剤及びその製造法に関する。本明細書に
おいて、百分率の表示は、特に断りの無い限り重量によ
る値であり、蛋白質は、ケルダール法により測定した全
窒素量に、非蛋白態窒素化合物は10%トリクロロ酢酸
可溶性窒素量に、それぞれ6.38を乗じて得た値であ
る。
位は、PUN単位であり、ミルクカゼイン[例えば、メ
ルク社製のハマーシュタイン(Hemmersten)]に酵素を作
用させ、30℃で1分間に1μgのチロシンに相当する
アリルアミノ酸のフォリン試薬での呈色反応を示す酵素
活性度が1単位である。
ミノ酸スコアが高く、栄養学的に優れた蛋白質であるこ
とは知られている。更に、カゼインは、ゲル化性、乳化
性、起泡性、結着性等の種々な機能を有することも公知
であり、これらの機能を利用して、麺及びパンの品質改
良剤、水産練製品、ハム、ソーセージ等の結着剤、ポー
ションクリーム及びドレッシングの乳化剤、菓子及びケ
ーキ等の起泡剤等として利用されている。
は、食品のテクスチュアーを変化させるためには必ずし
も十分ではない場合があり、更に、カゼイン特有の風味
が官能上の障害となって、機能を発揮させるために十分
な量を対象食品に添加できない場合もある。従って、カ
ゼインの優れた栄養価を生かし、食品への応用を拡大す
るためには、これらカゼインの特性を増強させることと
共に、風味を改良することが必要とされていた。
び物性改良法については、従来から種々の物質及び方法
が開示されている。例えば、水産練製品に関しては、ホ
エー蛋白質に増粘多糖類、カルシウム塩類及びpH調整
剤を配合してなる水産練製品の品質改良剤(特開平5−
260933号公報)、ホエー蛋白質を加熱して変性ゲ
ル化したものを水産練製品の製造過程に添加する水産練
製品の製造方法(特開昭63−141566号公報)等
が開示されている。また、麺類に関しては、熱凝固性を
有するラクトアルブミンを添加する麺類の製造法(特公
昭56−41222号公報)、ホエー蛋白質に増粘多糖
類、乳清ミネラル、澱粉類を配合してなる麺用品質改良
剤及び品質改良方法(特開平5−328922号公
報)、カゼインに酸性多糖類、多価カチオン含有溶液を
添加してpH7.3〜10.5で70℃以上で3分間以
上加熱する麺類の品質改良剤(特開昭63−15794
9号公報)、小麦粉に対して脱脂粉乳を5%程度添加す
る乾燥麺の製造法(特開昭61−88848)等が開示
されている。
を如何にして引き出すかを目的として開発されたもので
あり、基本的には配合される乳蛋白質はカゼイン、乳清
蛋白質又はこれらの変性物である。即ち、これらの従来
技術には、乳蛋白質を修飾した場合の物性変化について
は何ら記載されていない。
による食品の物性改良剤及び物性改良法にも種々な方法
が知られている。例えば、乳脂肪及び乳蛋白質を含有す
る基質に乳酸菌、リパーゼ、プロテアーゼを反応させる
ことにより得られるパン類の風味改良剤(特開平5−4
9385号公報)、パン生地に醗酵乳を添加するパン類
及び菓子類の製造法(特開平2−215334号公
報)、パン生地にエマルジョン型の乳酸菌醗酵物を添加
するパンの製造法(特開平2−92231号公報)等が
開示されている。
期待するか、蛋白質と脂肪が共存する系で乳酸菌を作用
させて醗酵による望ましい香気を強化するか、又は醗酵
乳の風味を利用するかのいずれかである。これらの従来
技術に開示されている風味改良剤は、脂肪含量が高く、
蛋白質含量が低いという特徴を有し、香気が強いため、
パンの品質改良剤としては適切であっても、広く種々の
食品に利用することは不可能である。
臭を低減する方法として、酢酸菌を添加して素材臭を除
去する方法(特公平6−6029号公報)が開示されて
いるが、この方法に記載されている菌種は酢酸菌のみで
あり、カゼインに乳酸菌を添加することによるカゼイン
臭の除去効果、カゼインに乳酸菌を添加して修飾した乳
蛋白質組成物の物性、及び該乳蛋白質組成物を食品に添
加した場合の物性改良効果については何ら記載されてい
ない。
て、乳蛋白質を原料とする物性改良剤としては、乳蛋白
質とその他の物質との組み合わせ、熱変性による機能増
強作用、又は醗酵による香気の増強が開示されているの
みであり、種々の食品の物性改良に、広範囲に応用可能
であり、風味の良好な物性改良剤は知られていない。従
って、優れた栄養価を有するカゼインを原料として用
い、種々の食品に、広範囲に応用可能であり、原料に起
因する素材臭が低減された物性改良剤が待望されてい
た。
ゼインを原料とした食品の物性改良剤について鋭意検討
を行った結果、それぞれ2%以下の脂肪及び乳糖を含有
し、純度80%以上のカゼインを、乳酸菌及び/又は乳
酸菌破砕物及び/又は乳酸菌由来のプロテアーゼで処理
し、該処理物1g当りの非蛋白態窒素化合物を5〜10
0mgに増加させることにより、未処理のカゼインに比
して素材臭が低減すること、未処理のカゼインに比し
て、増粘性、乳化性等の機能が顕著に増強されること、
を見い出し、本発明を完成した。
ハム、ソーセージ、ポーションクリーム等の種々の食品
に増粘、起泡、乳化、結着、増量等の目的で添加され、
風味良好な食品の物性改良剤を提供することである。
品、ハム、ソーセージ、ポーションクリーム等の種々の
食品に増粘、起泡、乳化、結着、増量等の目的で添加さ
れ、風味良好な食品の物性改良剤を製造する方法を提供
することである。
明の第1の発明は、食品の食感及び風味を改良するため
の食品の物性改良剤であって、それぞれ2%(重量)以
下の脂肪及び乳糖を含有し、かつ純度が80%(重量)
以上のカゼインを、カゼイン1g当り0.0025〜
0.5単位の乳酸菌由来プロテアーゼ、カゼインに対し
て0.005〜1%(重量)の乳酸菌又はカゼインに対
して0.005〜1%(重量)の乳酸菌破砕物のいずれ
か一つ、又はこれらの2以上の混合物で処理してなるカ
ゼインの処理物、及び該カゼインの処理物1g当り5〜
100mgの非蛋白態窒素化合物を主成分とする食品の
物性改良剤であり、カゼインの処理物を、固形分中少な
くとも90%(重量)含有すること、及び乳酸菌が、ラ
クトコッカス属に属する微生物、ラクトバシラス属に属
する微生物、ストレプトコッカス属に属する微生物及び
ビフィドバクテリウム属に属する微生物からなる群より
選択される微生物又はそれらの混合微生物であることを
望ましい態様としてもいる。
は、それぞれ2%(重量)以下の脂肪及び乳糖を含有
し、純度が80%(重量)以上であるカゼインを水に溶
解し、カゼイン1g当り0.0025〜0.5単位の乳
酸菌由来プロテアーゼ、カゼインに対して0.005〜
1%(重量)の乳酸菌又はカゼインに対して0.005
〜1%(重量)の乳酸菌破砕物のいずれか一つ、又はこ
れらの2以上の混合物を添加し、処理することを特徴と
するカゼイン処理物、及び該カゼインの処理物1g当り
5〜100mgの非蛋白態窒素化合物を主成分とする食
品の物性改良剤の製造法であり、処理が、30〜60℃
で0.5〜10時間行われること、及び乳酸菌が、ラク
トコッカス属に属する微生物、ラクトバシラス属に属す
る微生物、ストレプトコッカス属に属する微生物及びビ
フィドバクテリウム属に属する微生物からなる群より選
択される微生物又はそれらの混合微生物であることを望
ましい態様としてもいる。
いて出発原料として使用するカゼインは、脂肪及び乳糖
をそれぞれ2%以下の濃度で含有し、かつ純度が80%
以上であり、市販品、常法により分離された乳酸カゼイ
ン、塩酸カゼイン等の酸カゼイン、ナトリウムカゼイネ
イト、カリウムカゼイネイト等のカゼイネイト、これら
の任意の割合の混合物を使用することができる。
場合、酸カゼインを5%以上15%以下、望ましくは1
0%以上13%以下の濃度で水又は温湯に分散し、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、リン酸
カリウム等の溶解塩を添加し、溶液のpHを7.0±
1.0、望ましくは7.0±0.5、に調整して溶解す
る。溶解時の濃度が5%未満の場合は製造上の効率が悪
く、15%を超える場合は溶液の粘度が上昇するために
製造が困難となるので、いずれも望ましくない。また、
溶液のpHが6.0未満の場合は、酸カゼインを溶解す
ることが困難であり、pHが8.0を越える場合は、製
造した最終製品を目的とする食品に添加したとき、該食
品のpHに与える影響が大きくなるため、いずれも望ま
しくない。
る場合には、そのまま5%以上15%以下、望ましくは
10%以上13%以下、の濃度で水又は温湯に溶解し、
溶液のpHを7.0±1.0、望ましくは7.0±0.
5、に調整する。カゼインを溶解後、カゼイン1g当り
0.0025〜0.5単位の乳酸菌由来の未精製及び又
は精製プロテアーゼ、カゼインに対して0.005〜1
%の乳酸菌又はカゼインに対して0.005〜1%の乳
酸菌破砕物のいずれか一つ、又はこれらの2以上の混合
物(以下乳酸菌由来の未精製プロテアーゼ、乳酸菌由来
の精製プロテアーゼ、乳酸菌及び乳酸菌破砕物をまとめ
て乳酸菌等と記載することがある)を添加する。
る微生物、ラクトバシラス属に属する微生物、ストレプ
トコッカス属に属する微生物及びビフィドバクテリウム
属に属する微生物からなる群より選択される微生物、又
はこれらの混合微生物であり、生菌菌体、死菌菌体、菌
体破砕物及び又は菌体抽出物として添加することができ
る。また、乳酸菌由来のプロテアーゼを未精製又は精製
して添加してもよく、これらを前記生菌菌体、死菌菌体
又は菌体破砕物と混合して添加することもできる。
0(ストレプトコッカス・フェカリスの乾燥菌体。森永
乳業社製)、Bifilon−10(ビフィドバクテリ
ウム・ロンガムの乾燥菌体。森永乳業社製)、Lact
oacid−10(ラクトバシラス・アシドフィラスの
乾燥菌体。森永乳業社製)等を例示することができ、乳
酸菌由来プロテアーゼとしては、例えば、宮川らの方法
[ジャーナル・オブ・デイリー・サイエンス(Jornal of
Dairy Science)、第74巻、第2375〜2381ペ
ージ、1991年]により乳酸菌から精製したプロテア
ーゼ等を例示することができる。
用する乳酸菌等のプロテアーゼ活性により決定される
が、カゼイン1g当たり0.0025〜0.5単位、望
ましくは0.005〜0.25単位である。この活性単
位を乳酸菌又は乳酸菌菌体破砕物で得る場合、通常、カ
ゼインの0.005〜1%、望ましくは0.01〜0.
5%である。使用する乳酸菌等の中で、製造コストを考
慮すれば、プロテアーゼの抽出、精製を行っていない、
乳酸菌菌体又は乳酸菌菌体破砕物が望ましいことはいう
までもないことである。
所定量の乳酸菌等を添加し、30〜60℃、望ましくは
35〜55℃、の温度で0.5〜10時間、望ましくは
1〜8時間、保持し、カゼインを処理する。処理後に溶
液を常法により加熱し、乳酸菌の殺菌又はプロテアーゼ
を失活させ、次いで冷却し、そのまま液状の最終製品、
必要に応じて濃縮して濃縮状の最終製品、更に乾燥して
粉末状の最終製品とすることもできる。又、カゼイン臭
を更に低減する必要がある場合には、溶液を冷却後に樹
脂吸着等の工程で脱臭することもできる。
物性改良剤は、脂肪及び乳糖含量がそれぞれ2%以下、
カゼインの処理物含量が固形分中90%以上、非蛋白態
窒素化合物含量がカゼインの処理物1g当り5〜100
mgであり、後述する試験例、実施例から明らかなよう
に、カゼインに起因する臭気成分が未処理のカゼインに
比べて低減され、優れた増粘性、乳化性、起泡性を示
し、食品に添加した場合に優れた物性改良効果を示す。
ば、ラーメン、マカロニ、スパゲッティー等の麺製品
類、パン、ケーキ、マシュマロ等の製菓製品類、蒲鉾、
魚肉ソーセージ、ハンペン、擂り身、竹輪等の水産練製
品類、ハム、ソーセージ等の食肉製品類、クリーム、プ
リン、アイスクリーム等の乳製品類、マーガリン、スプ
レッド等の油脂製品類、インスタント・スープ等のイン
スタント製品類等の食品に増粘、起泡、乳化、結着、増
量等の目的で広範囲に添加され、常法により加工するこ
とができる。本発明の食品の物性改良剤の使用量は、添
加する食品の種類、添加する目的により異なるが、通
常、使用する全原料の20%以下の範囲で適宜決定する
ことができる。
窒素化合物量、粘度、起泡性、乳化性、官能による風味
との関係を調べるために行なった。 (1)試料の調製 市販の乳酸カゼイン(ニュージーランドデイリーボード
製。純度85%)を10%の濃度で水に分散させ、水酸
化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.0に調整し、
80℃で10分間加熱してカゼインを完全に溶解した。
のち溶液の温度を45℃に冷却し、ラクトバシラス・ヘ
ルベチカス菌体の濃縮凍結液(以下FC−Hと記載する
ことがある)を固形分量でカゼイン当り0.001〜
2.0%の範囲で添加して、45℃で5時間保持し、次
いで80℃で10分間加熱して殺菌し、冷却し、試料と
した。
酸をTCAと記載することがある)5mlを添加して十
分に撹拌し、溶液中のTCA濃度を10%に調整し、3
0分間静置し、常法により10%TCA可溶窒素量を測
定し、得られた値に6.38を乗じて非蛋白態窒素化合
物量として蛋白質量1g当たりの非蛋白態窒素化合物量
(mg/g)を算出した。
B型粘度計(東京計器社製)を用いて25℃における粘
度を測定した。 3)起泡性の測定 2%濃度に希釈した試料10mlを50mlのネスラー
管に分注し、ネスラー管振とう器(池本理科工業社製)
を用い、振とう幅40mm、240回/分の条件で5分
間振とうし、のち泡沫の高さを測定して起泡性の指標と
した。
ーム油の混合物)10gを添加し、ホモミキサー(東京
理科工業社製)を用いて均質化し、25℃で5時間静置
し、液上層部に分離した脂肪層を目視により観察し、乳
化性の指標とした。
施し、評点法による官能検査を行った。官能検査結果は
次の評価基準により数値化し、評点は10人のパネラー
の平均値とした。 2:素材臭を感じない。 1:素材臭を僅かに感じる。 0:素材臭を少し感じる。 −1:素材臭を感じる。 −2:素材臭を強く感じる。
なように、粘度、起泡性、乳化性をカゼインよりも向上
させ、かつカゼインに特有の素材臭を低減させるために
は、カゼインに対するラクトバシラス・ヘルベチカス菌
体の固形分量を0.005〜1.0%、望ましくは0.
01〜0.5%、とすること及びこの様にして調製され
た物性改良剤の蛋白質当たりの非蛋白態窒素化合物量は
5〜100mg/gであることが判明した。尚、カゼイ
ンの代わりにカゼイネイトを原料とした場合及びラクト
バシラス・ヘルベチカス以外の乳酸菌を添加した場合に
もほぼ同様の結果が得られた。
離なし、△は若干の脂肪分離あり、をそれぞれ示す。 2) 乳酸菌添加量が1.5 %以上では、カゼイン臭以外の
香気(異臭ではない)が若干認められるという感想あ
り。
ゼ量と、非蛋白態窒素化合物量、粘度、起泡性、乳化
性、官能による風味との関係を調べるために行なった。 (1)試料の調製 試験例1と同様の方法でカゼインを溶解し、溶液の温度
を45℃に冷却し、ラクトバシラス・ヘルベチカス菌由
来のプロテアーゼをカゼイン1g当り0.001〜1単
位の範囲で添加し、45℃で5時間保持し、次いで80
℃で10分間加熱して失活及び殺菌し、冷却し、試料と
した。 (2)試験方法 試験例1と同一の方法により、非蛋白態窒素化合物量、
粘度、起泡性、乳化性及び風味を試験した。
なように、粘度、起泡性、乳化性をカゼインよりも向上
させ、かつカゼインに特有の素材臭を低減させるために
は、カゼイン1g当たりの乳酸菌由来プロテアーゼ量を
0.0025〜0.5単位、望ましくは0.005〜
0.25単位、であること及びこの様にして調製された
物性改良剤の蛋白質当たりの非蛋白態窒素化合物量は5
〜100mg/gであることが判明した。尚、カゼイン
の代わりにカゼイネイトを原料とした場合及びラクトバ
シラス・ヘルベチカス以外の乳酸菌由来プロテアーゼを
添加した場合にもほぼ同様の結果が得られた。
離なし、△は若干の脂肪分離あり、をそれぞれ示す。
が認められた試料中の臭気成分をクロマトグラムで調べ
ること、及び、該試料をさらに樹脂吸着させて精製した
場合の脱臭効果を調べるために行なった。 (1)試料の調製 試験例1と同様の方法でカゼインを溶解し、溶液の温度
を45℃に冷却し、FC−Hを固形分量でカゼイン当た
り0.1%の割合で添加し、45℃で5時間保持し、次
いで80℃で10分間加熱して殺菌し、冷却し、試料1
とした。また、試料1を吸着樹脂(北越炭素工業社製。
KS−35)に樹脂量の20倍量をSV=5で通液して
精製し、試料2とした。尚、カゼインを水に溶解したま
まの試料(試料3)も調製した。
スをパージ・アンド・トラップ法(Purge and Trap Meth
od)によって濃縮して臭気成分を次の分析条件により分
析した。 機種 :ヒューレット・パッカード社 HP5890
シリーズII インジェクター:クロムパック社 パージ&トラップ
インジェクター カラム :PEG-20M 50m×0.32mm I.D. 分析温度 :カラム;40℃,インジェクション; 2
00℃,トラップ;-130℃ パージ条件 :パージ時間; 5 min,パージ流量; 5
ml/min 検出器 :FPD
ロマトグラムであり、図中A)、B)及びC)は、それ
ぞれ試料3、試料1及び試料2の試験結果を示してい
る。図1から明らかなように、試料3に比して試料1は
臭気成分が低減していること及び試料1を樹脂吸着させ
て調製した試料2は臭気が更に低減されていることが明
らかになった。
るが、本発明は以下の実施例により限定されるものでは
ない。
製。純度85%)20gを180gの水に分散し、水酸
化カリウムを添加して溶液のpHを6.8に調整し、8
5℃で10分間加熱してカゼインを完全に溶解した。の
ち溶液の温度を40℃に冷却し、FC−Hを固形分量で
カゼイン当たり0.5%の割合で添加し、40℃で3時
間保持し、80℃で10分間加熱し、次いで冷却し、濃
縮し、乾燥し、食品の物性改良剤約20gを得た。得ら
れた物性改良剤のカゼイン処理物1g当たりの非蛋白態
窒素化合物量を試験例1と同様の方法により測定した結
果、55mg/gであった。
麦粉(日清製粉社製。商品名「特 No.1」)1000g
とを均一に混合し、食塩4g及び粉末かん水15gを溶
解した水469gを添加し、10分間攪拌混合し、得ら
れた生地を圧延ロールにより圧延して麺帯を調製し、1
8番切刃で切り出して生麺線となし、室温で12時間熟
成し、生中華麺約1000gを得た。
で、茹で麺試料とした(試料A)。また、何も添加せず
に製造した茹で麺試料(試料B)及び実施例1で得られ
た食品の物性改良剤の代わりにカゼインナトリウム(ニ
ュージーランドデイリーボード製)を添加し、同様に得
た茹で麺試料(試料C)をそれぞれ製造した。
ルテストで各試料の外観(色調、光沢、肌荒れ等)、風
味、食感(こしの強さ、滑らかさ、湯伸びしにくさ等)
を評価し(2:良い、1:やや良い、0:普通、−1:
やや劣る、−2:劣る)、評点法による官能検査を行っ
た。この試験の結果は表3に示すとおりであり、本発明
の食品の物性改良剤を使用することにより、麺の風味を
損なわずに食感を向上させ得ることが確認された。
製。純度83%)50gを350gの水に溶解し、75
℃で15秒間殺菌し、50℃に冷却した。溶液のpHが
6.8であったのでpHを調整せずに、SF−10(森
永乳業社製。ストレプトコッカス・フェカリスの乾燥菌
体)をカゼイネイト当たり0.1%の割合で添加し、5
0℃で6時間保持し、85℃で10分間加熱し、次いで
冷却し、乾燥し、食品の物性改良剤約50gを得た。得
られた食品の物性改良剤のカゼイン処理物1g当たりの
非蛋白態窒素化合物量を試験例1と同様の方法により測
定した結果、46mg/gであった。
粉(日本製粉社製。商品名「イーグル」)1000g、
砂糖50g、脱脂粉乳20g、食塩20g、ショートニ
ング50gを均一に混合し、イースト20gを分散させ
た水700gを添加し、14分間攪拌混合し、発酵30
分後に分割整形し、ベンチタイム20分、ホイロ温度3
8℃、55分の処理を行い、のち200℃で40分間焼
成し、食パンを得た。
剤を添加しないで同様に食パンを調製した試料(試料
B)、本発明の物性改良剤の代わりにカゼインナトリウ
ムを添加して同様に調製した試料(試料C)を用いて次
の試験を行なった。
ルテストで各試料の外観(膨らみ、生目等)、風味、食
感(弾力、口溶け等)を評価し(2:良い、1:やや良
い、0:普通、−1:やや劣る、−2:劣る)、評点法
による官能検査を行った。この試験の結果は、表4に示
すとおりであり、本発明の食品の物性改良剤を使用する
ことにより、パンの風味を損なわずに生目を均一化し、
食感を向上させ得ることが確認された。
製。純度90%)20gを350gの水に分散し、リン
酸カリウムを添加して溶液のpHを6.5に調整し、6
0℃で30分間加熱してカゼインを完全に溶解した。溶
液の温度を35℃に冷却し、Bifilon−10(森
永乳業社製。ビフィドバクテリウム・ロンガムの乾燥菌
体)をカゼイン当たり1.0%の割合で添加し、35℃
で5時間保持し、のち冷却し、液状の食品の物性改良剤
約370gを得た。得られた食品の物性改良剤のカゼイ
ン処理物1g当たりの非蛋白態窒素化合物量を試験例1
と同様の方法により測定した結果、78mg/gであっ
た。
ッターで5分間粉砕し、食塩30gを添加して5分間攪
拌し、これに実施例3で得られた液状の食品の物性改良
剤370g、水400g及び副原料の澱粉50g、冷凍
卵白20g、調味料80gを添加して6分間攪拌して混
合した。得られた混合物をケーシング詰め、10℃に一
晩静置し、90℃で30分間加熱後放冷し、かまぼこを
得た。
の代わりに水350gを添加して同様に調製した試料
(試料B)及び本発明の物性改良剤の代わりにカゼイン
ナトリウム20g及び水350gを添加して同様に調製
した試料(試料C)を用いて次の試験を行なった。
ルテストで各試料の外観(色調、光沢)、風味、食感
(弾力等)を評価し(2:良い、1:やや良い、0:普
通、−1:やや劣る、−2:劣る)、評点法による官能
検査を行った。この試験の結果はを表5に示すとおりで
あり、本発明の物性改良剤を使用することにより、かま
ぼこの風味を損なわずに弾力を向上させ、食感を向上さ
せ得ることが確認された。
製。純度85%)50gを450gの水に分散し、水酸
化ナトリウムを添加して溶液のpHを7.5に調整し、
80℃で10分間加熱してカゼインを完全に溶解した。
溶液の温度を50℃に冷却し、FC−Hを超音波破砕器
(アメリカ・ブランソン社製。SONIFIERModel 250) で
処理した菌体破砕物を固形分量でカゼイン当たり0.0
5%の割合で添加し、40℃で3時間保持し、更に50
℃で3時間保持し、80℃で10分間加熱し、次いで冷
却し、濃縮し、乾燥し、食品の物性改良剤約50gを得
た。得られた食品の物性改良剤のカゼイン処理物1g当
たりの非蛋白態窒素化合物量を試験例1と同様の方法に
より測定した結果、35mg/gであった。
糖30g、リン酸塩10g、ショ糖脂肪酸エステル5g
及び安定剤5gを混合倍散し、水700gと混合加温
(80℃)し、完全に溶解した水相部を、予め植物性油
脂250gとレシチン1g、グリセリン脂肪酸エステル
2g、香料0.2gを混合加温(80℃)した油相部と
混合し、均質化(1段目:100kg/cm2 、2段
目:20kg/cm2 )し、85℃で15秒間殺菌し、
冷却し、コーヒーホワイトナーを調製した。
を添加しないで同様に調製した試料(試料B)及び本発
明の物性改良剤の代わりにカゼインナトリウムを添加し
て同様に調製した試料(試料C)を用いて次の試験を行
なった。
ルテストで各試料をコーヒーに一定割合で混合し、外観
(白濁性、オイルオフ、フェザリング)、風味を評価し
(2:良い、1:やや良い、0:普通、−1:やや劣
る、−2:劣る)、評点法による官能検査を行った。こ
の試験の結果は表6に示すとおりであり、本発明の食品
の物性改良剤を使用することにより、コーヒーホワイト
ナーの乳化性及び風味を向上させ得ることが確認され
た。
物性改良剤及びその製造法に係るものであり、本発明に
より奏せられる効果は、次のとおりである。 1)カゼインに由来する素材臭が低減されている。 2)食品の増粘、起泡、乳化、結着、増量等広範囲な目
的で使用することができ、1剤で多様な物性の改良が可
能である。 3)合成の物性改良剤と異なる天然の物質であり、優れ
た栄養価を有している。
スクロマトグラムである。
Claims (6)
- 【請求項1】 食品の食感及び風味を改良するための食
品の物性改良剤であって、それぞれ2%(重量)以下の
脂肪及び乳糖を含有し、かつ純度が80%(重量)以上
のカゼインを、カゼイン1g当り0.0025〜0.5
単位の乳酸菌由来プロテアーゼ、カゼインに対して0.
005〜1%(重量)の乳酸菌又はカゼインに対して
0.005〜1%(重量)の乳酸菌破砕物のいずれか一
つ、又はこれらの2以上の混合物で処理してなるカゼイ
ンの処理物、及び該カゼインの処理物1g当り5〜10
0mgの非蛋白態窒素化合物を主成分とする食品の物性
改良剤。 - 【請求項2】 カゼインの処理物を、固形分中少なくと
も90%(重量)含有する請求項1に記載の食品の物性
改良剤。 - 【請求項3】 乳酸菌が、ラクトコッカス属に属する微
生物、ラクトバシラス属に属する微生物、ストレプトコ
ッカス属に属する微生物及びビフィドバクテリウム属に
属する微生物からなる群より選択される微生物又はそれ
らの混合微生物である請求項1又は請求項2に記載の食
品の物性改良剤。 - 【請求項4】 それぞれ2%(重量)以下の脂肪及び乳
糖を含有し、かつ純度が80%(重量)以上であるカゼ
インを水に溶解し、カゼイン1g当り0.0025〜
0.5単位の乳酸菌由来プロテアーゼ、カゼインに対し
て0.005〜1%(重量)の乳酸菌又はカゼインに対
して0.005〜1%(重量)の乳酸菌破砕物のいずれ
か一つ、又はこれらの2以上の混合物を添加し、処理す
ることを特徴とするカゼイン処理物、及び該カゼインの
処理物1g当り5〜100mgの非蛋白態窒素化合物を
主成分とする食品の物性改良剤の製造法。 - 【請求項5】 処理が、30〜60℃で0.5〜10時
間行われる請求項4に記載の食品の物性改良剤の製造
法。 - 【請求項6】 乳酸菌が、ラクトコッカス属に属する微
生物、ラクトバシラス属に属する微生物、ストレプトコ
ッカス属に属する微生物及びビフィドバクテリウム属に
属する微生物からなる群より選択される微生物又はそれ
らの混合微生物である請求項4又は請求項5に記載の食
品の物性改良剤の製造法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12295894A JP3375729B2 (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | 食品の物性改良剤及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP12295894A JP3375729B2 (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | 食品の物性改良剤及びその製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07303455A JPH07303455A (ja) | 1995-11-21 |
JP3375729B2 true JP3375729B2 (ja) | 2003-02-10 |
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WO2001076391A1 (en) * | 2000-04-07 | 2001-10-18 | Societe Des Produits Nestle S.A. | Cultured protein hydrolysate |
JP6727051B2 (ja) * | 2016-07-15 | 2020-07-22 | 学校法人 埼玉医科大学 | 増粘剤、組成物キット及び組成物を増粘させる方法 |
-
1994
- 1994-05-12 JP JP12295894A patent/JP3375729B2/ja not_active Expired - Fee Related
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