JP2008178398A - 動物性タンパク質の乳酸発酵物、その製造方法、ならびにこの乳酸発酵物を含む食品及び健康食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、及びペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌から選択される少なくとも1種類の乳酸菌を用いて動物性タンパク質を乳酸発酵することにより、血液中及び肝臓中の脂質濃度低下能を有し、かつ/又は乳酸菌の菌体を含まない状態で胆汁酸結合能を有する乳酸発酵物を得る。
【選択図】なし
Description
近年、乳酸発酵食品を含む種々の食品中からACE阻害ペプチドが見出され、牛乳カゼイン、発酵乳、魚肉の加水分解物由来のペプチドがACE阻害活性を有することが知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。
このような乳酸菌の胆汁酸結合能を利用した機能性食品も提案されている(特許文献6参照)。
なれずし等における発酵は、桶や倉等の環境中に存在する未知の微生物が作用したものであるのに対し、選択した微生物を魚介類(特許文献7〜9参照)及び畜肉(特許文献10、11参照)に作用させ、その効果を利用しようとする試みも行われている。
また、積極的に選択した乳酸菌等の微生物により魚介類及び畜肉等の動物性タンパク質を発酵させた発酵物の保健機能については、これまで殆ど知られておらず、食品等への応用もなされていない。
また、第2の発明に係る動物性タンパク質の乳酸発酵物において、前記動物性タンパク質が魚肉又は畜肉であることが好ましい。
また、第3の発明に係る動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記動物性タンパク質が魚肉又は畜肉であることが好ましい。
本発明の一実施の形態に係る動物性タンパク質の乳酸発酵物(以下「乳酸発酵物」という)は、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、及びペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択される少なくとも1種類の乳酸菌を用いて動物性タンパク質を乳酸発酵させることにより得られる。
これらの乳酸菌のうち、ラクトバチルス属に属する乳酸菌、ペディオコッカス・アシディラクティシィ(Pediococcus acidilactici)、及びエンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)が好適に用いられ、ラクトバチルス・ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)等のラクトバチルス属に属する乳酸菌が特に好適に用いられる。
また、発酵に使用する乳酸菌は、予め乳酸菌スターターの形態で調製しておいてもよい。スターターの調製に用いることができる培地としては、MRS等の合成培地以外に、スキムミルクが挙げられるが、好ましくはスキムミルク培地である。
魚肉及び畜肉は、必要に応じて切り身、すり身、ミンチ等の任意の形態で用いることができる。
また、必要に応じて、さらに空ずり、塩ずり等のらいかい処理を行ってもよい。らいかい処理は、食品、特に練り製品の製造に用いられる任意の手段により行うことができる。また、必要に応じて、発酵基質としてさらに糖類を添加してもよい。
加熱は、レトルト、オートクレーブ等の食品製造分野において用いられる任意の手段により行うことができる。
酵素の添加量は、使用される酵素の種類に応じて適宜選択されるが、通常、魚肉の質量の0.01〜0.1質量%である。
酵素反応の温度及び時間も、使用される酵素の種類に応じて適宜選択(例えば、25〜40℃、5〜30分間)されるが、たとえば40℃で5分間である。所定の反応時間経過後、加熱することにより酵素を失活させて酵素反応を停止させる。なお、加熱による酵素の失活処理を上述の加熱殺菌と同時に行ってもよい。
なお、「胆汁酸結合能」とは、タウロコール酸塩等の胆汁酸に結合する活性をいい、後述する方法により求められる胆汁酸結合率によって定量的に表される。
必要に応じて、原料の配合や加工工程に対し適宜変更を加えてもよい。
(1)乳酸菌スターターの調製[1]
供試菌株であるペディオコッカス・アシディラクティシィの保存培地から1白金耳をそれぞれMRS培地5mLに接種して37℃、1日間培養した。培養液から1白金耳を同培地に接種し、37℃、1日間の継代培養を数回繰り返すことにより生育を安定させた。その後、遠心分離(3,000rpm、10分)により菌体を回収後、さらに生理食塩水5mLに懸濁することにより、ペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターを得た。
供試菌株の保存培地から1白金耳を、スキムミルク及びグルコースにて調製した培地(以下スキムミルク培地とする)5mLに接種して、37℃で1日間培養した。培養液から1白金耳を同培地に接種し、37℃で1日間の継代培養を数回繰り返すことにより生育を安定させた。その後遠心分離等の処理を行わず、試験管内にて培地を懸濁したものをスターターとした。なお、スキムミルク培地は、スキムミルク10重量%、グルコース1.5重量%となるように蒸留水にて調整し、試験管へ5mLずつ分注後、121℃で15分間加熱という条件でオートクレーブ滅菌を施し作成した。
予め冷凍しておいたホッケすり身を解凍し、10gをケーシングに充填後両端を結さつし、121℃のオートクレーブ中で15分間加熱殺菌した。クリーンベンチ内で、D−グルコース及びラクトース各75mgを含む滅菌済の糖溶液1mL、及び上記(1)の方法で調製したペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターター0.2mLを加え、均一に撹拌しながら35℃で48時間培養した。その後、沸騰水中で15分間加熱殺菌し、凍結乾燥した。
また、対照サンプルとして、ペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターの添加及び培養を行わず、他の処理は上記と同様に行ったホッケすり身凍結乾燥物を調製した。
解凍したホッケすり身を適当量量り取り、フードプロセッサでカットし、ホッケすり身重量の3倍重量の蒸留水を加えホモゲナイズしたものを10gずつ試験管に分注し、121℃のオートクレーブ中で15分滅菌を施した。クリーンベンチ内で、D−グルコース及びラクトース各75mgを含む滅菌済みの糖溶液1mL、及び上記(2)記載の方法で調整したラクトバチルス・アシッドフィルス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティクスの乳酸菌スターター0.2mL(発酵基質に対して2重量%)を加え均一に攪拌し、35℃で48時間培養した。その後、沸騰水中で15分加熱殺菌し、凍結乾燥を施した。また、対照サンプルとして、乳酸菌スターターの添加及び培養を行わず、他の処理は上記と同様に行ったホッケすり身の凍結乾燥物を調製した。
(3)及び(4)で調製した乳酸発酵物凍結乾燥粉末及び対照サンプル凍結乾燥粉末各50mgを、1.5mLマイクロチューブ内で1.25mMタウロコール酸ナトリウム水溶液(10mMリン酸緩衝溶液、pH6.8)1mLと混合し、37℃で2.5時間インキュベートした。インキュベート後、遠心分離(10,000rpm、10分間、4℃)を行い、上清中に残留したタウロコール酸ナトリウムの濃度を、酵素反応法(和光純薬製、胆汁酸テストワコーキットを使用)により定量した。
上清の560nmにおける吸光度を測定し、下記の式より胆汁酸結合能(%)を求めた。
ここで、
Aは、乳酸発酵物凍結乾燥粉末及び対照サンプル凍結乾燥粉末のいずれも添加せず、リン酸緩衝液に溶解した胆汁酸のみを上記のように処理した溶液(上清)の560nmにおける吸光度を、
Bは、乳酸発酵物凍結乾燥粉末又は対照サンプル凍結乾燥粉末を添加し、上記のように処理した溶液(上清)の560nmにおける吸光度を、
Cは、乳酸発酵物凍結乾燥粉末、対照サンプル凍結乾燥粉末、タウロコール酸ナトリウムいずれをも含まない緩衝溶液を上記のように処理した溶液(上清)の560nmにおける吸光度をそれぞれ表す。
上記の測定法により胆汁酸結合能を測定した結果、上記(2)記載の方法にて調整した乳酸発酵物を添加した場合について76.5%、対照サンプルを添加した場合について25.6%という値が観測された。また、上記(B)記載の方法にて調整した乳酸発酵物を添加した場合についてラクトバチルス・アシッドフィルスを用いた場合は85.8%、ラクトバチルス・プランタラムを用いた場合は82.3%、ラクトバチルス・ヘルベティクスを用いた場合は87.7%であり、対照サンプルを添加した場合について22.4%という値が観測された。このことから、ホッケすり身の胆汁酸結合能は、乳酸発酵を行うことにより向上することがわかる。
さらに、豆乳10gを発酵基質として用い、上記の方法により胆汁酸結合能を測定した結果、乳酸発酵物を添加した場合について14.5%、対照サンプルを添加した場合について−0.3%という測定値が観測された。
このことから、ホッケすり身の乳酸発酵物は、発酵乳よりも高い胆汁酸結合能を有していることがわかる。
ペディオコッカス・アシディラクティシィを10mLのMRS培地上で48時間培養後、加熱殺菌した。3,000rpmで10分間遠心分離することにより沈殿を回収後、凍結乾燥した。このようにして得られたペディオコッカス・アシディラクティシィの死菌体10mg(乾燥重量)について、上記の方法により胆汁酸結合能を測定した。
その結果、観測された胆汁酸結合能は8.56%であった。
このことから、乳酸発酵物について観測された胆汁酸結合能の大部分は、乳酸発酵生成物に由来するものであることが確認された。
イトヨリ、ヒメジ、タチウオ、グチ、タラ、エソ、アジ落とし身、スケソウダラ(有リン)、スケソウダラ(無リン)、ホッケ(有リン)、及びホッケ(無リン)の冷凍すり身を原料として、上記(2)記載の方法によってペディオコッカス・アシディラクティシィを接種及び培養し、凍結乾燥を施した各種すり身の乳酸発酵物の凍結乾燥粉末を調製した。ここで、「有リン」とは、すり身の製造時にリン酸塩を添加したものをいい、「無リン」とは、添加していないものをいう。
また、対照サンプルとして、ペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターの添加及び培養を行わず、他の処理は上記と同様に行った前記各種すり身の凍結乾燥物を調製した。
この様にして得られた乳酸発酵物凍結乾燥粉末及び対照サンプル凍結乾燥粉末について、上記(5)に記載の方法により胆汁酸結合能を測定した。
こうして得られた乳酸発酵物及び対照サンプルのpH及び胆汁酸結合能を表1〜表4に示す。なお、表1〜表4において、「乳酸菌接種群」及び「対照群」は、それぞれ乳酸発酵物及び対照サンプルを表す。
このことからすり身の種類によってpH、胆汁酸結合能に差があり、特にホッケ(無リン)すり身において高い胆汁酸結合能が観測された。
上記(1)及び(2)記載のように調製したエンテロコッカス・フェーカリス、ペディオコッカス・アシディラクティシィ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシッドフィルス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ロイコノストック属に属する4菌株(CM307、AB202、AB203、及びBM301株)の乳酸菌スターター及び予め冷凍してあったホッケすり身を用いて、乳酸発酵物凍結乾燥粉末及び対照サンプル凍結乾燥粉末を調製した。調製の方法は、乳酸菌スターターの添加量がホッケすり身に対して1重量%及び10重量%である点、及びロイコノストック属に属する4菌株の発酵温度が25℃である点以外は上記(3)及び(4)に記載の方法と同一である。
このようにして得られた乳酸発酵物凍結乾燥粉末及び対照サンプル凍結乾燥粉末について、上記(5)に記載の方法によりpH及び胆汁酸結合能を測定した。
こうして得られた乳酸発酵物のpH及び胆汁酸結合能(%)を表5〜表8に示す。なお、表5〜表8において、「乳酸菌接種群」及び「対照群」は、それぞれ乳酸発酵物及び対照サンプルを表す。
アメリカ産白ブタの腕肉(CL78)をフードプロセッサでカットし、3倍容の蒸留水を加えホモゲナイズした後、10gずつ試験管に取り、121℃のオートクレーブ中で15分間加熱殺菌した。クリーンベンチ内で、D−グルコース及びラクトース各75mgを含む滅菌済の糖溶液1mL、及び上記(1)に記載の方法で調製したエンテロコッカス・フェーカリス、ペディオコッカス・アシディラクティシィ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシッドフィルス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ヘルベティクス、ロイコノストック属に属する4菌株(CM307、AB202、AB203、及びBM301株)の乳酸菌スターター0.2mL(発酵基質に対して2重量%)を加え、均一に撹拌しながら、ロイコノストック属に属する4菌株を添加した試料は25℃、他の乳酸菌を添加した試料は35℃で48時間培養した。その後、沸騰水中で15分間加熱殺菌し、凍結乾燥した。
また、対照サンプルとして、乳酸菌スターターの添加及び培養を行わず、他の処理は上記と同様に行ったアメリカ産白ブタの腕肉凍結乾燥物(対照サンプル凍結乾燥粉末)を調製した。
このようにして得られた乳酸発酵物凍結乾燥粉末及び対照サンプル凍結乾燥粉末について、上記(5)に記載の方法によりpH及び胆汁酸結合能を測定した。
こうして得られた乳酸発酵物のpH及び胆汁酸結合能(%)を表9〜表12に示す。なお、表9〜表12において、「乳酸菌接種群」及び「対照群」は、それぞれ乳酸発酵物及び対照サンプルを表す。
ホッケすり身の乳酸発酵物の場合と異なり、ロイコノストック属のスターターを用いて得られた乳酸発酵物についても、約70%という高い胆汁酸結合能が観測された。他のスターターを用いた場合には、約90%という極めて高い胆汁酸結合能が観測され、菌株の相違による顕著な胆汁酸結合能の変化は観測されなかった。
冷凍ホッケすり身を解凍し、フードカッターで1分間空ずり後、すり身の重量の500%の蒸留水を添加しホモゲナイズを行ったものを試験管へ分注し、中心温度70℃達温より15分間加熱した。その後、上記(3)記載の方法で基質へ糖溶液及びペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターターを接種し、培養、殺菌、及び凍結乾燥を行った。
また、対照サンプルとして、ペディオコッカス・アシディラクティシィの乳酸菌スターター接の添加及び培養を行わず、他の処理は上記と同様に行ったホッケすり身凍結乾燥物を調製した。
調製した凍結乾燥サンプルを50mg測り取り、上記(5)記載の方法によって胆汁酸結合能を測定した結果、乳酸菌発酵物の胆汁酸結合能平均値は60.78%(n=3)であり、対照サンプルの胆汁酸結合能平均値は12.67%(n=3)であった。このことから、ホッケすり身基質へ70℃加熱殺菌を施した場合、乳酸発酵によって胆汁酸結合能が向上することがわかる。
主原料(魚肉すり身65%、豚脂肪7%)を凍結のままブロックカッターにかけ、チョッパー(チョッパー目6mm)に通し、高速バキュームサイレントカッターに入れた。この時、水18.3%、食塩1.6%、香辛料1%、砂糖2%、大豆タンパク5%、色素液0.1%を加え、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液又は凍結乾燥物)を加え、練り肉を作成した。なお、必要に応じて、結着力を増大させるために、大豆タンパクを増量あるいはさらにデンプン3〜5%を追加してもよい。こうして得られた練り肉を、ケーシングに定量自動充填(100g/本)し、クーラーに入れ、熱水レトルト(120℃、4分間)後、冷却処理を行うことにより、魚肉ソーセージを得た。
原料(小麦粉25%、ポリリン酸0.1%、乳酸0.05%、プロピレングリコール0.5%、食塩1%、水7%)、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液又は凍結乾燥物)を混合撹拌混練機に入れてよく混練し、生地を作った。麺質を向上させる為にフィダー中で熟成させた。複合機によって生地帯状の物を2枚作りその後2枚を1枚にする事によって生地の組織を均一にした。その後、圧延機により数度圧延を行い、所定の厚さの麺生地を得た。こうして得られた麺生地を、切出機で所定の幅にカットした。
原料(小麦粉70%)を篩通しし、水38%、その水の一部にイースト2%とイースト・フード0.13%を十分に懸濁した液、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液又は凍結乾燥物)をミキサーに入れ、混合しグルテンが十分に発展するまで混合した。なお、捏上温度は24℃〜25℃が標準である。その後発酵槽に移し、室温25〜26℃、湿度70〜80%に保たれた第一発酵室で3〜4時間発酵させ中種を得た。中種は残りの小麦粉30%と水22%及び副原料(食塩2%、砂糖3%、D−グルコース3%、ショートニング3%、脱脂粉乳2%)、さらに、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液又は凍結乾燥物)と共にミキサーで混捏した。生地の捏上温度は27〜28℃が標準である。捏ね上がった生地はトローに移し、室温で10〜20分間寝かせた後、ディバイダーで所定量の生地片に分割し、生地丸め機で団子状に丸めてから中間発酵機(28℃〜30℃)で10〜20分間寝かせて、生地の伸びをよくした。寝かせ終わった生地は、生地成型機でガス抜き整形し、焼型に詰めた。焼型に詰めた生地を、温度40℃前後、湿度80〜90%の最終発酵室に入れ、40〜50分間の発酵を行った。その後オーブンに入れ温度220〜230℃、時間40〜50分間で焼いた。型から取り外し、中心が常温になるまで冷却し、必要に応じてスライサーで所定の厚さにスライスした。
主原料である小麦粉(全原料の85%)は、シフターを通し異物を除去した後計量した。これに、他の諸原料(デンプン15%、粉糖30%、加糖練乳5%、水あめ1%、ショートニング25%、膨張剤0.8%、食塩1%、香料:適量、色素:適量、水15〜20%)及び適量の乳酸発酵物(すり身、上清液又は凍結乾燥物)と共にミキサーで混合した。得られた混合物をラミネーターによって展延積層し、ゲージロールによって必要な厚さに圧延した。続いてカッティングマシンによって型抜きを行い、オーブンで焼成した。
スープ製品には、洋風、和風、中華風、あるいはエスニック風等の多くの種類があり、その性状も、液体、固体、ペースト、粉末等様々であるが、例として液体状のクリーム・トマトスープの製造例について記載する。
肉類(骨付き牛脛肉3kg、骨付き鶏肉2kg)、野菜類(香味野菜類0.4kg)を水から煮熟し、冷却後ろ過しスープストックを得た。バター0.6kgで小麦粉0.8kgを炒め、これを、牛乳3.6kg及びスープストックでのばし、トマトピューレ4kg、香辛料0.006kgを加えて煮込んだ後、適量の乳酸発酵物(すり身、上清液又は凍結乾燥物)を加え裏漉した。これに生クリーム1.2kgを良く混和し、味を調整して仕上げを行った。
ここではフレンチドレッシングの製造例について説明する。
原料(でん粉10%、砂糖3%、適量の食酢(所望の酸味が得られるよう、乳酸発酵物の添加量に合わせて調整する)、水25%、適量の乳化剤、及び適量の乳酸発酵物(上清液又は凍結乾燥粉末))をスラリータンクに入れ十分に混合し熱交換器に送り、でん粉の糊化を行った。なお、この工程は、同時に殺菌工程も兼ねている。ここでさらに食酢10%、卵黄5%、調味香辛料10%、植物油12%、サラダ油10%を十分混合した。この工程で乳化の為にプレミックスを行った。ついで乳化機で十分乳化することにより、ドレッシングを得た。
原料の卵黄8kg、食塩1kg、砂糖1.5kg、適量の食酢(所望の酸味が得られるよう、乳酸発酵物の添加量に合わせて調整する)、香辛料2kg、及び適量の乳酸発酵物(上清液又は凍結乾燥粉末)をミキサーに投入した。混合物を撹拌しつつサラダ油80kgを入れ簡単な乳化を行った後、コロイドミルを通して仕上げの乳化を行った。ミキサーでの撹拌は常圧下、真空下、不活性ガス中のいずれかの条件下で、15〜20℃で行った。このようにしてマヨネーズを得た。
下記組成により、常法にしたがって1錠あたり200mgの錠剤を得た。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末 10mg
コーンスターチ 140mg
カルボキシメチルセルロース 40mg
ポリビニルピロリドン 5mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
合計 200mg
下記組成により、常法に従って1包あたり1000mgの顆粒剤を得た。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末 100mg
水溶性食物繊維 500mg
乳糖 400mg
合計 1000mg
下記組成により、常法に従って1瓶あたり30mLの飲料を製造した。
乳酸発酵物凍結乾燥粉末 300mg
クエン酸 160mg
ビタミンC 4mg
ブドウ糖果糖液糖 3000mg
蒸留水 適量
合計 30mL
(1)乳酸発酵凍結乾燥粉末の調製
ホッケすり身100kg以上を、中心温度が95℃に到達後15分間、湯浴中にて加熱殺菌し、チョッパー処理(チョッパー目1.8mm)を行った。チョッパー処理したすり身100kgを発酵用ニーダーに仕込み、水を100kg加え2倍重量とした。ニーダー投入口をアルミ製の蓋及びパウチにて密閉し、攪拌を行いながら、中心温度が95℃に到達後、15分間加熱殺菌工程を行った。冷却後、グルコース1kg及びラクトース1kgを含む、加熱殺菌済の糖溶液10kgを添加し、更に、実施例1の(2)に記載の方法を用いて調製した乳酸菌スターター(ラクトバチルス・ヘルベティクス使用)2kgを添加し、攪拌しながら37℃で48時間培養した。培養後、中心温度が95℃に到達後15分過熱殺菌を行い、凍結乾燥処理を行い、乾燥粉体約26kgを得た。
乳酸菌スターターの代りに糖溶液及び乳酸菌を含まないスキムミルク培地を添加し、培養を行わない以外は上記(1)と同様の条件でホッケすり身を処理し、対照サンプルを作製した。
実験用動物飼料CE−2(日本クレア)に、コレステロールを1.5%、コール酸ナトリウムを0.5%、及び上記(1)に記載の方法を用いて調製した乳酸発酵凍結乾燥粉末を20%配合添加し、魚肉乳酸発酵物を含む特殊高コレステロール飼料(魚肉乳酸発酵物混餌飼料)とした。また、コレステロール、コール酸ナトリウムを同等に配合し、上記(2)にて記載した方法で作成した対照サンプルを20%配合添加し、対照用特殊高コレステロール飼料(対照用混餌飼料)とした。
(イ)実験概要
上記(1)及び(2)記載の方法で調製したサンプルを20%含有するよう高コレステロール食をそれぞれ作成し、SD系雄ラットへ8週間自由摂取させた。試験飼育期間終了後、肝臓を採取し、全重量を測定すると共に、総コレステロール値、トリグリセライド値、HDLコレステロール値、グルコース値を、富士ドライケムスライドキットを用いて測定した。
魚肉乳酸発酵物を含む飼料を摂取させた群において、総コレステロール値、トリグリセライド値、及びグルコース値の低下が確認された。
5週齢のSD系ラット(平均体重134.0g、SD=3.66)へ、実験動物用飼料CE−2(日本クレア)を7日間与え、馴化及び検疫を行った後、体重によって10例ずつ2群に群分けした。群分け後は、上記(3)に記載の方法で作成した飼料を56日間それぞれ自由摂取させた。なお、試験飼育中は1週間に2回、体重及び摂取量を測定した。
56日間の飼育終了後、57日目に剖検及び肝臓採取を行った。採取した肝臓について、目視にて脂肪肝の状態を観察し、採取後全重量を測定し、生理食塩水中にて−60℃以下で保存した。コントロールと比較し、魚肉乳酸発酵物混合飼料摂取群において肝臓での黄色化は抑制された。
上記(ハ)に記載の方法により得られた肝臓から肝臓片1gを量り取り、氷冷した生理食塩水19mLを加え、よくホモゲナイズした後、遠心チューブへ移した。室温で、3000rpm、10分間遠心分離を行い、上清を回収した。回収した上清を、富士ドライケムスライドの各種キットに供し、総コレステロール値、トリグリセライド値、グルコース値を得た。結果を表13に示す。
Claims (12)
- 動物性タンパク質を、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、及びペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択される少なくとも1種類の乳酸菌を用いて乳酸発酵させることにより得られ、肝臓中の脂質量を低下させる活性を有することを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物。
- 動物性タンパク質を、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、及びペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択される少なくとも1種類の乳酸菌を用いて乳酸発酵させることにより得られ、前記乳酸菌の菌体を含まない状態で胆汁酸結合能を有することを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物。
- 請求項2記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物において、前記乳酸菌が、ラクトバチルス属に属する乳酸菌を含むことを特徴とする動物性タンパク質の発酵生成物。
- 請求項2及び3のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物において、前記動物性タンパク質が魚肉又は畜肉であることを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物。
- ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、ラクトバチルス属、及びペディオコッカス属のいずれかに属する乳酸菌群から選択される少なくとも1種類の乳酸菌を用いて動物性タンパク質を発酵させる発酵工程を有することを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項5記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記乳酸菌がラクトバチルス属に属する乳酸菌を含むことを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項5及び6のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記動物性タンパク質が魚肉又は畜肉であることを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項5〜7のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記発酵工程を行う前に、前記動物性タンパク質を70〜120℃で加熱殺菌する加熱殺菌工程を行うことを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記乳酸菌がバクテリオシン産生菌を含むことを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項5〜9のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法において、前記発酵工程を行う前に、前記動物性タンパク質をタンパク分解酵素により処理する酵素処理工程を行うことを特徴とする動物性タンパク質の乳酸発酵物の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物を含む食品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動物性タンパク質の乳酸発酵物を含む健康食品。
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