JP2021016335A - 骨格筋線維タイプ制御剤及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】ACTN3遺伝子の転写産物レベル及び/又はACTN3蛋白質レベルでの発現を増強することで、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプ、あるいは中間線維タイプから速筋線維タイプへの筋肉繊維のタイプの移行を促し、その結果、筋組織における速筋線維の比率の向上、筋力の向上、筋萎縮の予防及び/又は改善や筋肉増強に寄与する飲食品組成物の提供。【解決手段】コラーゲンペプチドを有効成分として含むことを特徴とする骨格筋線維タイプ制御剤。前記コラーゲンペプチドの平均分子量が500〜6000である該骨格筋線維タイプ制御剤。【選択図】なし
Description
本発明は、骨格筋線維タイプ制御剤及びその用途に関するものである。
骨格筋を形成する筋線維の種類としては、瞬発的な収縮の可能な速筋線維(TypeIIb線維,TypeIIx線維)と持続的な収縮の可能な遅筋線維(TypeI線維)およびその中間の性質を持つ中間線維(TypeIIa線維)に分類される。速筋線維は、すばやく収縮することが出来るため、瞬発力を引き出す時に使われ、遅筋線維は、ゆっくり収縮するため、持久力を引き出すときに使われる。そして、速筋線維、遅筋線維、中間線維などの筋線維の組成により、筋組織全体の運動能力や代謝能力が決まる。例えば、速筋線維の組成が多いタイプ(以下、速筋線維タイプという)は、瞬発力に優れた筋肉となり、遅筋線維の組成が多いタイプ(以下、遅筋線維タイプという)は、持久力に優れた筋肉となり、速筋線維と遅筋線維の組成がほぼ等しいタイプ(以下、中間線維タイプ)では、瞬発力、持久力ともに備えた筋肉となる。
筋線維のタイプを特徴付ける蛋白質として、αアクチニン3(α−Actinin−3;ACTN3)が知られている。一般に、αアクチニン(α−Actinin;ACTN)は、アクチン同士をつなぐ主要な構造蛋白質であり、骨格筋の筋繊維中においては筋節を区切るZ膜の主要な構成成分となっており、骨格筋の形態維持のために重要な役割を果たしていることが知られている。そして、ヒトの骨格筋に発現しているαアクチニンには、αアクチニン2(ACTN2)とαアクチニン3(ACTN3)とがあり、ACTN2は速筋線維および遅筋線維の両方に発現しているのに対して、ACTN3は速筋線維にのみ発現していることが知られている(非特許文献1)。
例えば、Yangらはオーストラリア人のオリンピックに出場したスポーツ選手などを対象とした研究において、αアクチニン3遺伝子R577X多型のXX型(ACTN3の発現が見られないタイプの遺伝子)は、持久系スポーツ選手や健常一般人で多数検出されるのに対し、一流のパワー系スポーツ選手では1例も検出されないことを報告している(非特許文献2)。また、他の研究グループのフィンランド人を対象とした研究においても同様の結果が報告されている(非特許文献3)。これらの機序として、XX型を有するヒトはRアレルを有するヒトと比較して高強度運動による筋損傷が引き起こされやすいことや(非特許文献4)、RR型を有するヒトではXX型を有するヒトに比較して外側広筋のType IIX線維の割合が高く筋断面積も大きいことに起因している可能性が指摘されている(非特許文献5)。
また、Zempoらは、日本人中高年者において、この多型と大腿四頭筋断面積について検討しており、Rアレルを有する者は、XX型を有する者よりも筋断面積が大きいことを示した(非特許文献6)。高齢者において転倒防止や介護予防のために筋力トレーニングが盛んに行われるようになった。αアクチニン3は、αアクチニン2に比べて骨格筋の構造をしっかり保ち、高い筋出力に有利に働くと考えられる。
また、加齢に伴い骨格筋の筋肉量および筋力が低下することをサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)という。サルコペニアはADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の低下に加えて転倒による怪我の危険性を増加させ、場合によっては身体的自立を妨げ、寝たきりのリスクを高めるとされている。また、筋肉量の減少によって基礎代謝量が低下するためメタボリックシンドロームを生じさせる可能性が高いとされている。また、サルコペニアでは、速筋線維優位に筋線維の萎縮(筋断面積の減少)が生じることが知られている(非特許文献7)。
そこで、これまで筋肉増強や筋力向上に寄与する経口摂取物がいくつか知られている。例えば、特許文献1には、分岐鎖アミノ酸を含む飲料の摂取により、筋肉運動の機能を向上させることが記載され、特許文献2には、スズメバチの幼虫が分泌するだ液中に含まれるアミノ酸類で構成される組成物が筋力持続剤や疲労回復剤などとして有用であることが記載され、特許文献3には、アルギニンを必須成分とし、さらにグルタミン、ヌクレオチドやヌクレオシドを含有することを特徴とする体力増強剤が記載されており、特許文献4には、オルニチン、シトルリンおよびアルギニンからなるアミノ酸組成物を有効成分として含有する筋肉増強剤が記載され、特許文献5には、9種類のアミノ酸を含む筋肉疲労の回復促進用アミノ酸含有組成物が記載され、特許文献6には、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、ステロイド治療による筋力機能低下などの副作用を抑制するための組成物が記載されている。
MacArthur DG et al.,Bioessays,26(7):786−795(2004).
Yang N et al.,Am J Hum Genet,73(3):627−631(2003).
Niemi AK et al.,Eur J Hum Genet,13(8):965−969(2005).
Clarkson PM et al.,J Appl Physiol,99(2):564−569(2005).
Vincent B et al.,Physiol Genomics,32(1):58−63(2007).
Zempo H et al.,Int J Sports Med, 31(2):138−142(2010).
Larsson L,Acta Physiol Scand,117(3):469−471(1983).
前記の特許文献1〜6により開示される筋肉増強や筋力向上に寄与する経口摂取物はいずれも、骨格筋線維タイプによる区別がされておらず、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御に関するものではない。
これに対して、本発明は、その一態様において、ACTN3遺伝子の転写産物レベル及び/又はACTN3蛋白質レベルでの発現を増強することで、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの筋肉のタイプの移行を促し、その結果、筋組織における速筋線維の比率の向上、筋力の向上、筋萎縮の予防及び/又は改善や筋肉増強に有効な飲食品組成物を提供することを目的とする。
これに対して、本発明は、その一態様において、ACTN3遺伝子の転写産物レベル及び/又はACTN3蛋白質レベルでの発現を増強することで、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの筋肉のタイプの移行を促し、その結果、筋組織における速筋線維の比率の向上、筋力の向上、筋萎縮の予防及び/又は改善や筋肉増強に有効な飲食品組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、コラーゲンペプチドの新たな機能性を解明しようと、鋭意努力した結果、驚くべきことに、コラーゲンペプチドを摂取した動物の遅筋線維タイプの骨格筋においてACTN3遺伝子の転写産物レベル及び/又はACTN3蛋白質レベルでの発現が本来見られないようなレベルにまで顕著に増強するという、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへのタイプ移行を促す機能があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は、
〔1〕コラーゲンペプチドを有効成分として含むことを特徴とする骨格筋線維タイプ制御剤、
〔2〕前記コラーゲンペプチドの平均分子量が500〜6000である、前記〔1〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔3〕前記骨格筋線維タイプ制御が、遅筋線維タイプの、中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔4〕前記遅筋線維タイプの、中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは前記中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御が、筋組織の収縮特性、代謝特性、色・形態特性、及び遺伝子発現特性からなる群から選択されるいずれかの特性の移行である、前記〔3〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔5〕前記遺伝子発現特性が、ACTN3遺伝子の発現特性である、前記〔4〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋出力向上用飲食品組成物、
〔7〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋肉増強用飲食品組成物、
〔8〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋萎縮予防及び/又は改善用飲食品組成物、
〔9〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋損傷予防及び/又は改善用飲食品組成物
に関する。
〔1〕コラーゲンペプチドを有効成分として含むことを特徴とする骨格筋線維タイプ制御剤、
〔2〕前記コラーゲンペプチドの平均分子量が500〜6000である、前記〔1〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔3〕前記骨格筋線維タイプ制御が、遅筋線維タイプの、中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔4〕前記遅筋線維タイプの、中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは前記中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御が、筋組織の収縮特性、代謝特性、色・形態特性、及び遺伝子発現特性からなる群から選択されるいずれかの特性の移行である、前記〔3〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔5〕前記遺伝子発現特性が、ACTN3遺伝子の発現特性である、前記〔4〕に記載の骨格筋線維タイプ制御剤、
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋出力向上用飲食品組成物、
〔7〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋肉増強用飲食品組成物、
〔8〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋萎縮予防及び/又は改善用飲食品組成物、
〔9〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋損傷予防及び/又は改善用飲食品組成物
に関する。
本発明の骨格筋線維タイプ制御剤は、ヒトを含む動物の骨格筋線維において、ACTN3の発現を増強させることで、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは前記中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御を引き起こして、筋出力の向上、筋肉増強、筋萎縮予防及び/又は改善に有用である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、本発明を限定するものではない。
筋組織における筋線維タイプには、遅筋線維タイプ、速筋線維タイプ、中間線維タイプの3つがあり、表1に示したような収縮特性、代謝特性、色・形態特性、遺伝子発現特性などの特性を有することが知られている(Zierath JR et al.,Skeletal muscle fiber type:influence on contractile and metabolic properties.,PLoS Biol. 2(10):e348(2004))。なお、表中の数値は、遅筋線維タイプを1.0としたときの相対表記である。表中の「+」は発現していることを意味し、「−」は発現していないことを意味している。
本発明の「骨格筋線維タイプ制御剤」は、ヒトを含む動物(例えば、哺乳動物、爬虫類、鳥類、魚類、両生類など、以下、対象ともいう)が本発明の制御剤を摂取した場合に、摂取しない場合と比較して、遅筋線維タイプを、中間線維タイプ又は速筋線維タイプへと、あるいは中間線維タイプを速筋線維タイプへと、その特性の全部又は一部を変化させることができる効果(以下、移行制御ともいう)を有する剤である。
中でも、本発明の制御剤が有する移行制御は、前記遺伝子発現特性の変化により確認することができる。
中でも、本発明の制御剤が有する移行制御は、前記遺伝子発現特性の変化により確認することができる。
本発明において、表1の遺伝子発現特性の例として記載された「ACTN3」とは、αアクチニン3を意味する。ACTN3の由来の動物は特に限定されず、ヒトであっても、ヒト以外の脊椎動物であっても、ヒト以外のほ乳類であってもよい。
本明細書で、ACTN3の発現とは、ACTN3遺伝子の転写産物レベルでの発現とACTN3蛋白質レベルでの発現を総称するものとする。また、ACTN3の発現の増強とは、ACTN3遺伝子の転写産物(ACTN3転写産物とも称する)及び/又はACTN3蛋白質が増えることであって、例えば、遺伝子の転写及び/又は翻訳の活性化、転写産物及び/又は蛋白質の安定性の向上、転写産物及び/又は蛋白質分解の阻害などのメカニズムは問わないものとする。
従って、本発明の制御剤とは、そのメカニズムに関わらず、遅筋線維タイプあるいは中間線維タイプにおいてACTN3遺伝子の転写産物レベル及び/又はACTN3蛋白質レベルを亢進させることができる剤(ACTN3遺伝子発現促進剤)をいう。
従って、本発明の制御剤とは、そのメカニズムに関わらず、遅筋線維タイプあるいは中間線維タイプにおいてACTN3遺伝子の転写産物レベル及び/又はACTN3蛋白質レベルを亢進させることができる剤(ACTN3遺伝子発現促進剤)をいう。
本発明の制御剤は、コラーゲンペプチドを有効成分として含有する。
本発明において、「コラーゲンペプチド」とは、平均分子量が500〜6000となるように加水分解処理されたコラーゲン原料の分解物を意味する。本発明では、上記の平均分子量のコラーゲンペプチドとすることによって、経口摂取したときの体内へのコラーゲンペプチドの吸収性が高くなるとともに、生体内で本発明の上記の所望の移行制御を発現することができる。
なお、コラーゲン原料のままであったり、コラーゲンペプチドの平均分子量が6000を超えていたりすると、経口摂取したときの体内への吸収性が低くなり、効率的な移行制御の発現が妨げられるため、好ましくない。
なお、コラーゲン原料のままであったり、コラーゲンペプチドの平均分子量が6000を超えていたりすると、経口摂取したときの体内への吸収性が低くなり、効率的な移行制御の発現が妨げられるため、好ましくない。
コラーゲンペプチドの平均分子量は、上限を6000以下、好ましくは5000以下、また、下限を500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、さらに好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上とするいずれの組み合わせによる範囲としてよい。例えば、コラーゲンペプチドの平均分子量は、好ましくは1000〜6000であり、より好ましくは2000〜6000であり、さらに好ましくは3000〜6000である。なお、コラーゲンペプチドの平均分子量は、常法によって測定することができ、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーやゲル浸透クロマトグラフィーを用いて行うことができる。平均分子量は、重量平均分子量として算出する。
前記コラーゲン原料としては、哺乳類のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンであっても、魚類のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンであっても、特に限定されるものではない。哺乳類由来のコラーゲン原料としては、牛、豚、馬、鹿、兎等由来のものが挙げられる。魚類由来のコラーゲン原料としては、その魚類が海水魚であっても淡水魚であってもよく、例えば、マグロ(キハダ)、サメ、タラ、ヒラメ、カレイ、タイ、テラピア、サケ、ナマズ等由来のものが挙げられる。前記コラーゲン原料としては、単独でもよいし、2種以上を混合してもよい。
また、前記コラーゲン原料の由来となる動物の種類、取得する部位などについては、特に限定はない。例えば、魚や哺乳類の皮が挙げられる。このような部位に含有されるコラーゲンは、部分的に架橋している不溶性のコラーゲンであるために、架橋を切断する可溶化処理が施される。この可溶化処理の方法としては、公知の酸可溶化法やアルカリ可溶化法や酵素可溶化法等を用いることができる。
本発明において使用するコラーゲンペプチドは、前記コラーゲン原料を酵素や酸などによって加水分解して製造することができる。コラーゲンペプチドを製造する場合、特に限定されないが、例えば、特開昭52−111600号公報や特開昭52−122400号公報で公開されている方法を製造することができる。
コラーゲンペプチドの製造方法を例示すると以下のようになる。すなわち、コラーゲン原料として、湿潤した生の原料(生の皮など)を用いる場合、まず、コラーゲンの変性温度以上に加熱(例えば、牛皮であれば60℃以上に加熱する)する。ここで、加水分解の時間を短縮したい場合には、あらかじめコラーゲン原料を細断しておいても良い。乾燥した状態のコラーゲン原料であれば、数時間〜数日の間、水に浸して水戻ししてから加熱変性させて使用することが好ましい。骨や魚鱗をコラーゲン原料として用いる場合、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解、除去した後、水洗いしてから加熱変性させて使用する。固形のコラーゲン原料の場合は、撹拌できる程度に水を加えて分散液とすることで、酵素を効率よく作用させることができる。なお、固形のコラーゲン原料より、ゼラチンの水溶液を基質として使用する方法が、取扱い易さの点から好ましい。
コラーゲンペプチドの製造方法を例示すると以下のようになる。すなわち、コラーゲン原料として、湿潤した生の原料(生の皮など)を用いる場合、まず、コラーゲンの変性温度以上に加熱(例えば、牛皮であれば60℃以上に加熱する)する。ここで、加水分解の時間を短縮したい場合には、あらかじめコラーゲン原料を細断しておいても良い。乾燥した状態のコラーゲン原料であれば、数時間〜数日の間、水に浸して水戻ししてから加熱変性させて使用することが好ましい。骨や魚鱗をコラーゲン原料として用いる場合、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解、除去した後、水洗いしてから加熱変性させて使用する。固形のコラーゲン原料の場合は、撹拌できる程度に水を加えて分散液とすることで、酵素を効率よく作用させることができる。なお、固形のコラーゲン原料より、ゼラチンの水溶液を基質として使用する方法が、取扱い易さの点から好ましい。
上記のようなコラーゲン原料と水とを含む分散液もしくはコラーゲン水溶液を基質として、水溶液中の蛋白質含有量(乾燥重量)に対し、市販のプロテアーゼ(たとえばナガセサンバイオ社製「ビオプラーゼSP」、ノボ社製「プロタメックス」など)を0.3〜3重量%加え、1〜10時間作用させることで加水分解する。pHと温度は使用した酵素の至適条件(通常の酵素製剤では、パンフレットに記載されている至適条件であればよい)を採択して行うことができる。加水分解後、85℃以上に加熱し、30分程度保持することで酵素を失活させ加水分解反応を停止させる。反応停止後、ろ過を行って原料の残渣を分離する。その際、珪藻土などのろ過助剤を使用することで精製度を上げることができる。脱色や脱臭のために活性炭のような吸着剤を使用してもよい。得られたろ過液を殺菌し、乾燥することによってコラーゲンペプチド乾燥粉末を得ることができる。乾燥方法としては、噴霧乾燥、加熱減圧乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。
前記噴霧乾燥とは、液体を気体中に噴霧して急速に乾燥させ、乾燥粉体を製造する方法をいう。前記加熱減圧乾燥とは、加熱装置内を減圧させて沸点を下げることで、乾燥の促進を図り、少ないエネルギーで蒸発・乾燥させる方法をいう。前記凍結乾燥とは、まず凍結を行い、次いで真空中で、凍結した乾燥物の沸点を下げて、乾燥物の水分を昇華させて乾燥させる方法をいう。これらの乾燥方法は、いずれも、公知の乾燥装置を用いて行えばよい。前記乾燥時における温度条件としては、各乾燥方法に準じて適当な温度範囲に設定すればよく、例えば、噴霧乾燥では出口温度を50〜100℃、加熱減圧乾燥では20〜100℃、凍結乾燥では20〜60℃に調整することが挙げられるが、特に限定はない。
また、前記コラーゲンペプチドとしては、市販品を使用することも可能である。例えば、市販品として、「ニッピペプタイドFCP-EX」(株式会社ニッピ、平均分子量3000〜5000)、「ニッピペプタイドFCP-AS」(株式会社ニッピ、平均分子量3000〜5000)、「ニッピペプタイドFCP-AK」(株式会社ニッピ、平均分子量3000〜5000)、「ニッピペプタイドFCP-AM」(株式会社ニッピ、平均分子量2000)などを使用することができる。
本発明の制御剤に含まれる前記コラーゲンペプチドの含有量としては、制御剤の形態によって適宜調整すればよい。
例えば、固体状の制御剤の場合、コラーゲンペプチドの含有量は100重量%でもよいし、後述の追加成分を含有する場合には、20重量%以上であればよく、40重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
また、前記コラーゲンペプチドを水などの媒体に溶解させた溶液状の制御剤の場合、コラーゲンペプチドの含有量は、2重量%以上であればよい。
例えば、固体状の制御剤の場合、コラーゲンペプチドの含有量は100重量%でもよいし、後述の追加成分を含有する場合には、20重量%以上であればよく、40重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。
また、前記コラーゲンペプチドを水などの媒体に溶解させた溶液状の制御剤の場合、コラーゲンペプチドの含有量は、2重量%以上であればよい。
本発明の制御剤には、さらに、追加成分として、多糖類を含んでもよいし、さらに必要に応じて、増量剤、可溶化剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、抗酸化剤、細菌抑制剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤などの成分を含んでもよい。
これらの追加成分は、いずれも、食品、医薬品、医薬部材品において使用されているものであれば特に限定はない。
これらの追加成分の合計量は「骨格筋線維タイプ制御剤」の乾燥重量100重量%に対して80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
これらの追加成分は、いずれも、食品、医薬品、医薬部材品において使用されているものであれば特に限定はない。
これらの追加成分の合計量は「骨格筋線維タイプ制御剤」の乾燥重量100重量%に対して80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
前記移行制御の確認方法のうち、「遺伝子発現特性」に関わる「ACTN3発現」を測定する方法は、コラーゲンペプチドを用いてACTN3発現を増強する工程と、ACTN3転写産物及び/又はACTN3蛋白質を検出する工程と、を含む。
コラーゲンペプチドを用いてACTN3発現を増強する工程は、後述の実施例に記載したように行うえばよい。
その後、ACTN3転写産物及び/又はACTN3蛋白質を検出する。転写産物は、転写後スプライシングが行われる前のヘテロ核RNA(hnRNA; heterogeneous nuclear RNA)であっても、スプライシングが行われた後のmRNAであってもかまわない。転写産物の検出方法は特に限定されないが、RT−PCRやノーザンハイブリダイゼーションなどが挙げられる。ACTN3蛋白質の検出方法も特に限定されないが、ウエスタン・ブロッティング法、ELISA法、EIA法、RIA法などが挙げられる。
前記の方法によって、コラーゲンペプチドを摂取した動物の遅筋線維タイプまたは中間線維タイプにおいて、ACTN3発現がどのくらいのレベルで増強されるかを知ることができる。
また、「収縮特性」についての確認方法としては、Am J Respir Crit Care Med.162(6):2159−2165(2000)に記載の方法やJ Biochem. 108(5):835−838(1990)に記載の方法が挙げられる。「代謝特性」についての確認方法としては、Methods Enzymol.264: 484-509(1996)に記載の方法やJ Biol Chem.247(19):6059−6066(1972)に記載の方法が挙げられる。「色・形態特性」についての確認方法としては、J Gerontol A Biol Sci Med Sci.61(6):534-540(2006)に記載の方法が挙げられる。
本発明の制御剤では、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御あるいは中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御の一つとして、例えば、ACTN3遺伝子発現の促進又はACTN3蛋白質合成の促進を惹起する作用を有することから、本発明の制御剤は、ACTN3遺伝子発現促進剤として、筋線維内ACTN3蛋白質の発現量が低いことに起因する様々な状態を、予防又は改善するために活用することができる。
ここで、筋線維内ACTN3蛋白質の発現量が低いことに起因する様々な状態とは、例えば、高強度運動による筋損傷が引き起こされやすい状態、骨格筋の構造を保つ機能が低下し、高い筋出力を出しにくくなっている状態、障害物に対して敏捷に身体を動かし怪我から身を守りにくくなっている状態などが挙げられる。
従って、本発明の制御剤を有効成分として筋出力向上用飲食品組成物、筋肉増強用飲食品組成物、筋萎縮予防及び/又は改善用飲食品組成物に配合して使用することができる。
ここで、筋線維内ACTN3蛋白質の発現量が低いことに起因する様々な状態とは、例えば、高強度運動による筋損傷が引き起こされやすい状態、骨格筋の構造を保つ機能が低下し、高い筋出力を出しにくくなっている状態、障害物に対して敏捷に身体を動かし怪我から身を守りにくくなっている状態などが挙げられる。
従って、本発明の制御剤を有効成分として筋出力向上用飲食品組成物、筋肉増強用飲食品組成物、筋萎縮予防及び/又は改善用飲食品組成物に配合して使用することができる。
前記使用とは、適用対象であるヒト若しくは非ヒト動物における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。本明細書において、「非治療的」とは、医療行為、すなわち治療による人体への処置行為を含まない概念である。
また、本明細書において、「治療」とは、適用対象において発症した疾患若しくは症状を発症前の状態に戻すことをいう。本明細書において「予防」とは、適用対象において疾患の発症の防止又は遅延、或いは適用対象の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転;疾患、症状又は状態の悪化の防止、遅延若しくは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
また、本明細書において、「治療」とは、適用対象において発症した疾患若しくは症状を発症前の状態に戻すことをいう。本明細書において「予防」とは、適用対象において疾患の発症の防止又は遅延、或いは適用対象の疾患若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。本明細書において、「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転;疾患、症状又は状態の悪化の防止、遅延若しくは疾患又は症状の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
本発明の制御剤を有効成分として含有する前記飲食品組成物は、ヒトを含む動物が摂取して、速筋線維の減少が関与する疾病または現象の発現を予防したり、疾患や症状の改善や治療等を図るための方法に使用することができる。例えば、速筋線維の減少が関与する疾病または現象の例としては、サルコペニア(加齢性筋肉減弱症)が挙げられる。サルコペニアとは、加齢や疾患により筋肉量(特に、速筋)が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こる現象である。
前記飲食品組成物としては、速筋線維量の低下等によって引き起こされる各種疾患等の予防、改善又は治療をコンセプトとする機能性表示食品、病者用食品、特定保健用食品等が挙げられる。
前記飲食品組成物として、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料類、これら以外の市販食品等が挙げられる。
例えば、前記小麦粉製品として、パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。前記即席食品として、即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。例えば、前記農産加工品として、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等が挙げられる。前記水産加工品として、水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。前記畜産加工品として、畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
例えば、前記乳・乳製品として、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。前記油脂類として、バター、マーガリン類、植物油等が挙げられる。前記基礎調味料として、しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられる。前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。前記冷凍食品として、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
例えば、前記菓子類として、グミ、ゼリー、キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。前記飲料類として、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。上記以外の市販食品として、ベビーフード、ふりかけ、お茶潰けのり等が挙げられる。
さらに、前記飲食品組成物は、ヒト用の飲食品のみならず、家畜(ウシ、ブタ、ニワトリなど)、ペット(イヌ、ネコなど)、アニマルスポーツに使用される動物などの飼料にも配合することができる。飼料は、対象がヒト以外であることを除き飲食品組成物とほぼ等しいことから、上記の飲食品組成物に関する記載は、飼料についても同様に当てはめることができる。
例えば、本発明の制御剤にはACTN3発現促進作用があるので、ヒトに加えて、ヒト以外のACTN3蛋白質を発現しているあらゆる動物にも投与可能である。即ち、本発明の制御剤を有効成分として含む筋出力向上用飲食品組成物を動物に投与する工程を含むことを特徴とする筋出力向上方法にも関する。
前記飲食品組成物中における本発明の制御剤の含有量としては、所望の移行制御の効果を発揮できる量のコラーゲンペプチドが含有されていればよく、特に限定はない。
また、本発明の制御剤は、筋出力や筋肉量を増加または維持する効果の向上、筋萎縮予防や改善、あるいは筋損傷の予防や改善を目的に、適宜、レジスタンス運動などの運動、理学療法、リハビリテーションなどと併用することができる。
例えば、本発明の制御剤は、筋出力や筋肉量を増加または維持する効果の向上、筋萎縮予防や改善、あるいは筋損傷の予防や改善を目的に、他の医薬品や筋肉増強作用を有する食品等と併用して使用することも可能である。上記筋肉増強作用を有する食品としては特に制限されないが、例えば、ホエイ蛋白質、ホエイペプチド、カゼイン、カゼインペプチド、大豆タンパク、大豆ペプチド、小麦タンパク、小麦ペプチド、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、シトルリン、オルニチンなどのアミノ酸、クレアチン、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸などが挙げられる。
例えば、本発明の制御剤は、筋出力や筋肉量を増加または維持する効果の向上、筋萎縮予防や改善、あるいは筋損傷の予防や改善を目的に、他の医薬品や筋肉増強作用を有する食品等と併用して使用することも可能である。上記筋肉増強作用を有する食品としては特に制限されないが、例えば、ホエイ蛋白質、ホエイペプチド、カゼイン、カゼインペプチド、大豆タンパク、大豆ペプチド、小麦タンパク、小麦ペプチド、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、シトルリン、オルニチンなどのアミノ酸、クレアチン、β−ヒドロキシ−β−メチル酪酸などが挙げられる。
また、本発明の制御剤は、前記のような筋肉量(特に、速筋)の減少等が関与する疾病、疾患や症状のための予防、改善及び/又は治療のための、ヒト用若しくは動物用の医薬品、医薬部外品等の有効成分としてこれらに配合して使用可能である。
医薬品に配合する場合、経口投与剤とすることができる。
医薬品に配合する場合、経口投与剤とすることができる。
本発明の制御剤を有効成分として含有する前記医薬品、医薬部外品は、経口投与及び非経口投与の何れでもよいが、経口投与が望ましい。経口投与の剤形として、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤、顆粒剤、散剤、軟膏等が挙げられる。
製剤化に際しては、本発明の制御剤の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、公知の又は将来的に見出される筋合成促進作用を有する機能性成分を併用することも可能である。
製剤化に際しては、本発明の制御剤の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤、矯味剤等の成分を用いることができる。また、公知の又は将来的に見出される筋合成促進作用を有する機能性成分を併用することも可能である。
本発明の制御剤の投与頻度や投与量は、投与対象、年齢、性別、状態などに応じて適宜調整すればよく、所望の移行制御の効果を発揮できる量のコラーゲンペプチドを投与対象へ投与できればよい。
例えば、前記医薬品、医薬部外品などにおけるコラーゲンペプチドの含有量は、製剤の最終物に対し、少なくとも0.001質量%であることが好ましい。
コラーゲンペプチドの摂取量又は投与量は、投与対象の生物種、年齢、症状等により異なるが、通常、0.001〜8000mg/kg体重/日、好ましくは0.01〜6000mg/kg体重/日、最も好ましくは0.01〜4000mg/kg体重/日であり、1日1回から3回に分けて投与してもよい。ヒトに対する摂取量又は投与量は、0.001〜1500mg/kg体重/日、好ましくは0.01〜1000mg/kg体重/日、最も好ましくは0.01〜500mg/kg体重/日である。
例えば、前記医薬品、医薬部外品などにおけるコラーゲンペプチドの含有量は、製剤の最終物に対し、少なくとも0.001質量%であることが好ましい。
コラーゲンペプチドの摂取量又は投与量は、投与対象の生物種、年齢、症状等により異なるが、通常、0.001〜8000mg/kg体重/日、好ましくは0.01〜6000mg/kg体重/日、最も好ましくは0.01〜4000mg/kg体重/日であり、1日1回から3回に分けて投与してもよい。ヒトに対する摂取量又は投与量は、0.001〜1500mg/kg体重/日、好ましくは0.01〜1000mg/kg体重/日、最も好ましくは0.01〜500mg/kg体重/日である。
なお、コラーゲンペプチドのヒトへの投与の際の用量は、『体表面積に基づく動物からのHED(Human Equivalent Dose)交換』(例えば、以下の参考文献1を参照)による換算式から算出することができる。
HED=[動物への投与量(mg/kg体重)]×{[動物の体重(kg)]÷[ヒトの体重(kg)]}0.33
ヒトの体重:60kg
ラットの体重:200g
参考文献1:Guidance for Industry, Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers, V. STEP 2:HUMAN EQUIVALENT DOSE CALCULATION, July 2005, Pharmacology and Toxicology, p.6−7 / U.S. Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research (CDER)
HED=[動物への投与量(mg/kg体重)]×{[動物の体重(kg)]÷[ヒトの体重(kg)]}0.33
ヒトの体重:60kg
ラットの体重:200g
参考文献1:Guidance for Industry, Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers, V. STEP 2:HUMAN EQUIVALENT DOSE CALCULATION, July 2005, Pharmacology and Toxicology, p.6−7 / U.S. Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research (CDER)
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕ACTN3遺伝子発現量解析
コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製:FCP−EX、平均分子量3000〜5000)による生体内の筋肉におけるACTN3の遺伝子発現量の測定を以下の方法で行った。なお、比較例として、ホエイ蛋白質(日本新薬製:エンラクトSAT)も用いた。
コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製:FCP−EX、平均分子量3000〜5000)による生体内の筋肉におけるACTN3の遺伝子発現量の測定を以下の方法で行った。なお、比較例として、ホエイ蛋白質(日本新薬製:エンラクトSAT)も用いた。
(1)FCP−EXを投与したラットからのヒラメ筋の採取
Wistarラット(雄、7週齢)に、蒸留水に溶解したコラーゲンペプチドのFCP−EX又はホエイ蛋白質のエンラクトSATを、それぞれ3000mg/kg体重になるように、胃ゾンデ投与した。投与8時間後にイソフルラン麻酔下で、前記Wistarラットを安楽殺処理した後、後肢部位のヒラメ筋を採取し凍結保存した。また、FCP−EXを添加せずに蒸留水のみをゾンデ投与したWistarラットからも同様にヒラメ筋を採取し、これを対照試料とした。
Wistarラット(雄、7週齢)に、蒸留水に溶解したコラーゲンペプチドのFCP−EX又はホエイ蛋白質のエンラクトSATを、それぞれ3000mg/kg体重になるように、胃ゾンデ投与した。投与8時間後にイソフルラン麻酔下で、前記Wistarラットを安楽殺処理した後、後肢部位のヒラメ筋を採取し凍結保存した。また、FCP−EXを添加せずに蒸留水のみをゾンデ投与したWistarラットからも同様にヒラメ筋を採取し、これを対照試料とした。
(2)RNAの抽出
採取したヒラメ筋から20mg程度を取り出し、Total RNAをRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、製品添付のプロトコールに準じて調製した。
採取したヒラメ筋から20mg程度を取り出し、Total RNAをRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて、製品添付のプロトコールに準じて調製した。
(3)cDNA合成及びリアルタイムPCRによる遺伝子発現量の解析
上記抽出によって得られたRNA溶液から、逆転写反応によりcDNAの合成を行った。
cDNAの合成は、iScript cDNA Synthesis Kit(Biorad社製)を用いて、当該キットの使用方法に準じて行った。
リアルタイムPCRは、SsoAdvanced Universal SYBR Green Supermixを用いてACTN3及びACTN2特異的プライマー(PrimePCR SYBR Green Assay:Actn3, rat及びActn2, rat:共に biorad社製)を用いてkit添付のプロトコールに準じて行った。
遺伝子発現量は、増幅させたACTBで標準化し、ACTB遺伝子増幅には、PrimePCR SYBR Green Assay:Actb, rat:Biorad社製)を用いた。
上記抽出によって得られたRNA溶液から、逆転写反応によりcDNAの合成を行った。
cDNAの合成は、iScript cDNA Synthesis Kit(Biorad社製)を用いて、当該キットの使用方法に準じて行った。
リアルタイムPCRは、SsoAdvanced Universal SYBR Green Supermixを用いてACTN3及びACTN2特異的プライマー(PrimePCR SYBR Green Assay:Actn3, rat及びActn2, rat:共に biorad社製)を用いてkit添付のプロトコールに準じて行った。
遺伝子発現量は、増幅させたACTBで標準化し、ACTB遺伝子増幅には、PrimePCR SYBR Green Assay:Actb, rat:Biorad社製)を用いた。
図1に、ACTN2及びACTN3の遺伝子発現量の測定結果を示す。これらの数値は、n=3における測定値の平均を示す。対照試料を用いた場合の発現量平均値を1.00としたとき、FCP−EXのゾンデ投与8時間後に採取したヒラメ筋中のACTN3遺伝子の発現量平均値は、266.5となり、ホエイ蛋白質をゾンデ投与したラットから採取した試料と比較して遺伝子発現量が顕著に増加した(t検定による解析結果、P<0.05で有意差あり)。
一方、ACTN2遺伝子の発現量は、FCP−EXをゾンデ投与したラットと、ホエイ蛋白質をゾンデ投与したラットとで顕著に低く、両者の間にも有意な違いは認められなかった。
したがって、コラーゲンペプチドを有効成分として含む本発明の制御剤は、動物の骨格筋線維において、ACTN3の発現を促進・増強させることで、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御あるいは中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御の作用効果を有することがわかる。
一方、ACTN2遺伝子の発現量は、FCP−EXをゾンデ投与したラットと、ホエイ蛋白質をゾンデ投与したラットとで顕著に低く、両者の間にも有意な違いは認められなかった。
したがって、コラーゲンペプチドを有効成分として含む本発明の制御剤は、動物の骨格筋線維において、ACTN3の発現を促進・増強させることで、遅筋線維タイプから中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御あるいは中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御の作用効果を有することがわかる。
Claims (9)
- コラーゲンペプチドを有効成分として含むことを特徴とする骨格筋線維タイプ制御剤。
- 前記コラーゲンペプチドの平均分子量が500〜6000である、請求項1に記載の骨格筋線維タイプ制御剤。
- 前記骨格筋線維タイプ制御が、遅筋線維タイプの、中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御である、請求項1又は2に記載の骨格筋線維タイプ制御剤。
- 前記遅筋線維タイプの、中間線維タイプ及び/又は速筋線維タイプへの移行制御、あるいは前記中間線維タイプの速筋線維タイプへの移行制御が、筋組織の収縮特性、代謝特性、色・形態特性、及び遺伝子発現特性からなる群から選択されるいずれかの特性の移行である、請求項3に記載の骨格筋線維タイプ制御剤。
- 前記遺伝子発現特性が、ACTN3遺伝子の発現特性である、請求項4に記載の骨格筋線維タイプ制御剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋出力向上用飲食品組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋肉増強用飲食品組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋萎縮予防及び/又は改善用飲食品組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の骨格筋線維タイプ制御剤を含む、筋損傷予防及び/又は改善用飲食品組成物。
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KR102375209B1 (ko) * | 2021-07-27 | 2022-03-17 | 주식회사 리앤씨바이오 | 콜라겐 펩타이드 및 생약 추출물을 포함하는 근육의 진정, 경련 및 통증을 개선하는 조성물 |
WO2023022174A1 (ja) * | 2021-08-18 | 2023-02-23 | 株式会社 ニッピ | 筋肉疲労および/または即発性筋肉痛を抑制する食品組成物 |
-
2019
- 2019-07-18 JP JP2019133120A patent/JP2021016335A/ja active Pending
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