JP6222663B2 - 筋委縮抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、筋委縮抑制剤に関する。
骨格筋は、運動により使われないと萎縮することが知られている。例えば、長期間宇宙に滞在した宇宙飛行士の骨格筋は、帰還後に自力で立てなくなるほど萎縮する。また、高齢者等が疾病や怪我の安静加療中に活動できない場合にも、筋萎縮は生じる。このような廃用性筋萎縮は、長期間の宇宙滞在が可能になったり、高齢化社会が進行している現在において、解決すべき問題である。
また、加齢によっても骨格筋は萎縮することが知られており、そのような加齢性筋萎縮はサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)の原因のひとつとされている。
筋萎縮は、筋の収縮及び構造タンパク質の合成と分解のバランスが崩れることにより生じ、特に廃用性筋萎縮はユビキチン−プロテアソームタンパク質分解系が亢進することに起因することが知られている。
ユビキチンはタンパク質分解のマーカー分子であり、活性化すると標的タンパク質に結合しポリユビキチン化して、タンパク質分解シグナルとなる。ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解系では、ユビキチン活性化酵素、ユビキチン結合酵素、及びユビキチンリガーゼの酵素群からなるユビキチン化システムが、標的タンパク質にポリユビキチンを連結し、26Sプロテアソームがポリユビキチンを認識する。ユビキチンリガーゼは、活性化ユビキチンを標的タンパク質に転移・付加させ、26Sプロテアソームによる基質認識の特異性を決定するため、タンパク質分解を規定する律速酵素と考えられている(非特許文献1)。
また、加齢性筋萎縮についても、ユビキチンリガーゼが関与していると考えられている(非特許文献2)。
そのため、ユビキチン−プロテアソームタンパク質分解系を制御すれば筋萎縮を予防・軽減することができると考えられ、特に、ユビキチンリガーゼを阻害することが注目されている。例えば、ユビキチンリガーゼを阻害する、特定の配列を有するオリゴペプチドや大豆グリシニン組成物の加水分解物を、筋萎縮の予防・軽減に用いることが開示されている(特許文献1、2)。
ところで、近年、コラーゲンやゼラチン、コラーゲン分解ペプチドに種々の効果が認められてきており、医薬品や機能性食品等に配合されている。例えば、骨粗鬆症の治療(特許文献3〜5)、肥満の防止(特許文献6、7)、血糖値上昇の抑制(特許文献8)などの用途が知られている。
また、魚鱗類由来のコラーゲンを継続して摂取した運動選手において、トレーニングによりつくり上げた体組成(体重、筋重量、脂肪量)が維持されることも報告されている(非特許文献3)。
しかしながら、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドが筋萎縮を抑制できることは、これまでに知られていなかった。
特開2007−314469号公報 特許第4963044号 特開平11−12192号公報 特開2005−343852号公報 特開2008−231065号公報 特開2009−102233号公報 特開2002−20312号公報 特開2002−326951号公報
生化学 第81巻 第7号 p.614-618 「サルコペニアの基礎と臨床」 鈴木隆雄 監修 真興交易(株)医書出版部 p.22-27 FOOD Style 21, 2010年7月号(Vol.14, No.7)別刷, p.1-4
筋萎縮の予防・治療に対しては、タンパク質分解の最終段階を制御するプロテアソーム阻害剤が知られているが、非常に毒性が強いため、癌末期などの治療薬としてしか実用化されていない。また、前述のように特許文献1、2にはユビキチンリガーゼ阻害剤を含有する筋萎縮の予防・治療剤が開示されているが、さらに入手・利用しやすく、安全性も高い筋萎縮抑制剤が求められる。
本発明はそのような状況に鑑み、筋萎縮の抑制に有効で、安全に摂取しやすい、かつ入手しやすく継続して用いやすい筋萎縮抑制剤を提供することを課題とする。
本願発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究の末、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドを摂取することにより、筋萎縮抑制効果が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドを有効成分とする筋萎縮抑制剤。
(2)廃用性筋萎縮に用いるためのものである、(1)に記載の筋萎縮抑制剤。
(3)加齢性筋萎縮に用いるためのものである、(1)に記載の筋萎縮抑制剤。
(4)前記コラーゲン又はゼラチンが魚鱗、魚骨、及び魚皮のいずれかに由来する、(1)〜(3)の何れかに記載の筋萎縮抑制剤。
(5)前記コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドがユビキチンリガーゼ活性を阻害する、(1)〜(4)の何れかに記載の筋委縮抑制剤。
(6)(1)〜(5)の何れかに記載の筋委縮抑制剤を含有する、筋力低下又は寝たきりの予防及び/又は治療用医薬組成物。
(7)コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドを有効成分とするユビキチンリガーゼ阻害剤。
(8)前記ユビキチンリガーゼがCbl−bである、(7)に記載のユビキチンリガーゼ阻害剤。
本発明の筋萎縮抑制剤を摂取することにより、使わない筋肉が萎縮したり、加齢により筋肉が減弱化したりすることを抑制することができる。具体的には、骨格筋が減少するのを抑制できるため、入院時など運動しないときの筋力低下予防、寝たきりの予防や治療、宇宙飛行士の筋力低下予防などへ適用することができる。また、本発明の筋萎縮抑制剤は、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドを有効成分とするため、安全に摂取することができ、また入手しやすく、利用しやすい筋萎縮抑制剤を実現する。
筋萎縮抑制作用試験の結果の前脛骨筋の相対重量を表すグラフである。 筋萎縮抑制作用試験の結果の腓腹筋の相対重量を表すグラフである。 ユビキチンリガーゼ阻害試験1の結果のユビキチンリガーゼ阻害活性を表すグラフである。 ユビキチンリガーゼ阻害試験2の結果のユビキチンリガーゼ阻害活性を表すグラフである。 ユビキチンリガーゼ阻害試験2の結果に基づく、コラーゲンペプチドの数平均分子量とユビキチンリガーゼ阻害活性との相関を表すグラフである。
本発明の筋萎縮抑制剤は、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドを有効成分として含有する。本明細書において、コラーゲンペプチドとは、コラーゲン又はゼラチンを加水分解して得たペプチドを意味する。
本発明においてコラーゲン又はゼラチンは、ウシ、ブタ、トリ、ヒツジ、鯨等の骨や皮や、魚類の鱗や骨、皮など、いずれから得たものであっても構わない。特に好ましくは、魚鱗、魚骨、及び魚皮から選択される一種以上から得たコラーゲンまたはゼラチンである。このようなコラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドは、ウシやブタ由来のコラーゲン、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドに比して、家畜伝染病などの心配がなく安全性が高い点、さらに魚鱗、魚骨の場合は味や臭いを悪くする脂肪分の含有割合が非常に小さい点で、有用性が高い。
本発明の筋萎縮抑制剤の原料となる魚鱗、魚骨、又は魚皮(以降、これらを魚鱗類と記す)を得る魚種としては、特に限定されず、イワシ、サンマ、ティラピア、マダイ、イトヨリダイ、フエフキダイ、ママカリ、サケ、ニシン、コイ、ナマズ、ハモ、クラゲ、ヒトデ、サメ等を使用できるが、鱗中のコラーゲンの含有比率が高い点、及び鱗が比較的大きい点から、スズキ目魚種が好ましい。
また、本発明においてコラーゲンペプチドは、天然のコラーゲン又はゼラチンを加水分解したペプチドの他に、これと同様のアミノ酸配列を有する合成ペプチドであってもよい。合成ペプチドは、コラーゲンペプチドとそれぞれのペプチドの比率が同じでも、コラーゲンペプチド中の特定のペプチド単独、または組み合わせでもよい。合成ペプチドは、既知の固相合成法や液相合成法、あるいは任意のペプチドオリゴマーの縮合反応により製造することができる。
コラーゲンまたはゼラチンは、周知の方法により製造することができ、その条件は特に限定されるものではない。例えば、ゼラチンは、前述した動物の骨、皮や、魚類の鱗、骨、皮等の原料を、脱灰、酸又はアルカリ処理、水洗、抽出、ろ過、濃縮、及び乾燥等の工程を経て製造することができる。
コラーゲンまたはゼラチンを加水分解して得たコラーゲンペプチドは、周知の方法により製造することができ、その条件は特に限定されるものではない。例えば、前述の方法で抽出したコラーゲンまたはゼラチンを酵素により加水分解する方法が挙げられる。例えば、酸処理またはアルカリ処理した湿潤又は乾燥粗コラーゲンに対し重量比で5〜20倍量の40〜100℃の温水又は熱水を用い、1〜20時間かけてコラーゲンまたはゼラチンを抽出し、この抽出液にタンパク質分解酵素を加え、抽出されたコラーゲンまたはゼラチンを酵素加水分解する。
コラーゲンペプチドの製造に用いるタンパク質分解酵素としては、コラーゲン分子のペプチド結合を切断する酵素であれば特に限定されない。例えば、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、またはアルカリプロテアーゼの何れかであるか、アミノペプチダーゼ、またはカルボキシペプチダーゼの何れかであるか、エキソペプチダーゼ、またはエンドペプチダーゼの何れかであるか等は問わない。これらの各種タンパク質分解酵素は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
コラーゲンペプチドの製造においては、精製工程を経ることで、より品質が向上する。当該精製工程には活性炭処理、イオン交換処理等が挙げられる。
精製されたコラーゲンペプチド水溶液は、濃縮工程を経ることにより液状のコラーゲンペプチドとして、または濃縮工程、乾燥粉末化工程を経ることにより、粉末状のコラーゲンペプチドとして用いることができる。好適な濃縮工程には薄膜蒸発機などの真空濃縮装置が挙げられ、乾燥粉末化工程にはスプレードライヤーなどが挙げられる。
このようにして得られたコラーゲンペプチド混合物には、その中にユビキチンリガーゼに対して強い阻害活性を有するオリゴペプチドを含むために、ユビキチンリガーゼ阻害剤として使用できると考えられる。
本発明の筋萎縮抑制剤の有効成分であるコラーゲンペプチドの分子量は特に限定されるものではないが、ゲルクロマトグラフィー(GPC)法による数平均分子量で132〜300000であることが好ましく、より好ましくは200〜100000の範囲であり、特により好ましくは300〜10000の範囲である。上記範囲であれば水に対する溶解性が良好で、かつ体内で早く吸収されることが予想されるため、効果の早い発現が望める。
なお、後述するユビキチンリガーゼ阻害活性は、コラーゲンペプチドの分子量が小さい方が高くなる傾向があり、数平均分子量で1500以下が最も高いと考えられる。ただし、本発明の筋萎縮抑制剤に含まれるコラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドは、摂取時においてはその分子量は特に限定されない。摂取後に体内でユビキチンリガーゼ阻害活性を発揮しやすい分子量にまで分解されることが好ましい。
本発明の筋萎縮抑制剤は、筋委縮抑制作用を有する。
本発明において筋萎縮抑制作用とは、筋肉、特に骨格筋が、種々の原因により萎縮したりその量が低減したりするのを抑制する作用を意味し、筋肉が萎縮する前の状態や低減する前の量を維持すること、筋肉の萎縮や低減の程度を小さくすることを含む。したがって、本発明の筋萎縮抑制作用は、筋重量を測定することにより評価することができる。
本発明の筋萎縮抑制剤は、廃用性筋萎縮や加齢性筋萎縮に対して有効に用いることができる。
廃用性筋萎縮とは、種々の原因により使われない筋肉が萎縮することをいい、例えば、整形外科的疾患または怪我や病気の場合における安静加療時の不活動による筋萎縮、疾患に伴う低栄養により生じる筋萎縮、宇宙のような無重力下において生じる筋萎縮、あるいは海底のような特殊な圧力下の環境において生じた筋疲労による筋萎縮などを含む。
加齢性筋萎縮とは、加齢に伴い筋肉が萎縮することをいい、例えば、高齢者における筋萎縮、筋量の減弱化などを含む。したがって、本発明の筋萎縮抑制剤はサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)の予防又は治療に対して用いることもできる。
本発明者らは、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドが、前述の筋萎縮抑制作用を有することに加え、ユビキチンリガーゼ阻害活性を有することをも見出した。したがって、本発明の筋萎縮抑制剤における前記筋萎縮抑制作用は、通常、ユビキチンリガーゼが阻害されることにより生じるものと考えられる。また、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドは、ユビキチンリガーゼ阻害剤の有効成分とすることができる。本発明のユビキチンリガーゼ阻害剤により阻害されるユビキチンリガーゼは、特に制限されないが、例えばCbl−bが挙げられる。
ユビキチンリガーゼ阻害活性は、ユビキチンリガーゼと基質との結合、例えばCbl−bとIRS−1との結合について競合阻害実験を行うことによって評価することができる。
コラーゲンペプチドのユビキチンリガーゼ阻害活性は、コラーゲンペプチドの分子量が小さい方が高くなる傾向があり、400〜1000の分子量のコラーゲンペプチドにおいて最も高いと考えられる。本発明のユビキチンリガーゼ阻害剤の有効成分であるコラーゲンペプチドの分子量は特に限定されるものではないが、ゲルクロマトグラフィー(GPC)法による数平均分子量で200〜5000であることが好ましく、より好ましくは数平均分子量300〜2000に分子量分布のピークがあるものが好ましく、または数平均分子量400〜900のものが全コラーゲンペプチドの1重量%以上含まれるものが好ましい。上記範囲であれば良好なユビキチンリガーゼ阻害活性が望める。
本発明の筋萎縮抑制剤は、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドを有効成分として含有し、筋萎縮抑制剤中における該有効成分の含有量は筋萎縮抑制効果を発揮できる量であれば特に制限はなく、摂取の頻度、摂取量、使用の目的によって適宜調整すればよい。少ない使用量で効果を発揮させる場合には、該含有量は多い方が好ましい。すなわち、筋萎縮抑制剤全体の1〜100重量%含有することが好ましく、50〜100重量%含有することがより好ましく、80〜100重量%含有することがさらに好ましい。
本発明の筋萎縮抑制剤の摂取量は各人の年齢、体重などに応じて異なるが、成人に対する一日の摂取量は、上記コラーゲンペプチドとして1〜30gが好ましく、5〜15gがより好ましい。また、1日のうち複数回に分けて摂取してもよく、摂取する人の日常生活に取り入れやすいようにすることができる。
摂取量を上記範囲とすることにより、筋萎縮抑制作用が促進される。
なお、本発明の筋萎縮抑制剤を摂取する人(投与対象者)は、筋肉が萎縮したり減少するのを抑制したい人であり、例えば無重力状態で長期活動する宇宙飛行士や、筋力低下を予防したい中高年や、運動能力が低下傾向にある高齢者など寝たきりを予防したい人、あるいはすでに寝たきり状態でさらなる筋肉の減弱化を抑えたい人などが挙げられる。
また、本発明に関わる筋萎縮阻害剤の投与対象はヒトに限定されたものではなく、広く動物全般を対象とすることができる。本発明の筋萎縮抑制剤を投与する動物は、筋肉が萎縮したり減少したりするのを抑制させたい動物であり、例えば病気や怪我等で療養中の飼育動物や、移動中の競走馬などが挙げられる。また、その投与量は、各動物の体重などに応じて適宜調整すればよい。
本発明の筋萎縮抑制剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記有効成分の他の成分を含有することができる。他の成分としては、例えば生理的に許容される賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、防腐剤、着色料、香料、その他種々の食品添加物等が挙げられる。
本発明の筋萎縮抑制剤は、経口にて摂取されることが好ましい。その剤形としては、錠剤、コーティング錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、シロップ剤、液剤等の形態を適用することができる。あるいは液体・固体を問わず医薬組成物や飲食物に添加する形態でもよい。また、本発明の筋萎縮抑制剤は、注射剤の態様で筋肉注射により摂取してもよい。
本発明の筋萎縮抑制剤を医薬組成物に含有させる場合、その医薬組成物は廃用性筋萎縮または加齢性筋萎縮に起因する諸疾患の予防や治療に用いることができる。例えば、高齢者等の寝たきりの予防及び/又は治療用医薬組成物とすることができる。
なお、廃用性筋萎縮を引き起こす不活動時には、筋肉量の低下とともに骨重量及び骨塩量をも低下することが知られているところ(特開2001−89387号公報等参照)、コラーゲンもしくはゼラチンまたはこれらを加水分解して得られるコラーゲンペプチドの摂取は骨重量及び骨塩量の低下を抑制又は増加させることができる(特許文献3〜5等参照)。そのため、本発明の筋萎縮抑制剤を含有する医薬組成物には、筋萎縮抑制作用に加え骨重量及び骨塩量低下抑制/増加作用をも期待することができる。
医薬組成物の剤形、共に配合する他の成分や添加剤については、特に限定されない。
本発明の筋萎縮抑制剤を飲食物に添加する場合、その形態としては、特に制限はないが、例えば飲料、栄養ドリンク、菓子、加工食品、油脂類、乳製品、レトルト食品、レンジ食品、冷凍食品、即席麺、調味料、健康補助食品、飼料等の形態が挙げられる。添加される飲食物の形状・性状も特に制限されず、固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状等いずれでもよく、また、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤等いずれでもよい。
また、医薬組成物や飲食物への添加を含め、本発明の筋萎縮抑制剤を用いる場合は、各種機能の向上等を目的として、本剤の他の生理活性成分等をも配合したり組み合わせたりすることができる。
特に、筋萎縮抑制効果の相加・相乗的な向上、筋萎縮抑制効果の補助、吸収性の向上等を目的として、他の生理活性成分等と組み合わせることは好ましい。そのような目的における他の生理活性成分、その生理機能が明確であるものであれば特に制限は無いが、例えば、他の筋萎縮抑制剤や、筋肉増加剤・筋肉増強剤、筋肉増加用機能性飲食物等、例えば、ホエイタンパク、ホエイペプチド、カゼイン、大豆タンパク(プロテイン)、大豆ペプチド、小麦タンパク(プロテイン)、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、シトルリン、オルニチン等のアミノ酸、リンゴポリフェノール、ケルセチン配糖体などのフラボノール、ウルソル酸、トマト抽出物(脂肪酸)、EMR(酵素処理ルチン)カテキン、クレアチン等が挙げられる。
また、その他の機能向上等を目的として組み合わせる他の生理活性成分としては、抗酸化成分、油性成分、栄養強化のための各種ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等が挙げられる。
抗酸化成分としては、特に制限は無いが、例えば、トコフェロール類およびそれらの誘導体、トコトリエノール類およびそれらの誘導体、セサミン、エピセサミン、セサミノール、セサモリン、セサモール等のリグナン類およびそれらの配糖体、β−カロチン等のカロテノイド類およびその誘導体、没食子酸やエラグ酸等のタンニン類およびそれらの誘導体、フラボン、カテキン、ケルセチン、ロイコアントシアニジン等のフラボノイド類、ユビキノンやビタミンK等のキノン類、オリザノール等のフェルラ酸誘導体、オリーブ抽出物等が挙げられる。栄養強化のための各種ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等の種類については特に制限はないが、食品添加物公定書に定められるものが望ましい。
前述のように本発明の筋萎縮抑制剤は、無重力状態で長期活動する宇宙飛行士や、運動能力が低下傾向にある高齢者など寝たきりを予防したい人又はすでに寝たきり状態でさらなる筋肉の減弱化を抑えたい人が投与対象者となり得る。また、筋肉が萎縮したり減少したりするのを抑制させたい動物も投与対象となり得る。そのため、これを添加する飲食物としては、宇宙飛行士に提供される宇宙食や訓練用食事、あるいは病院や介護施設などで提供される給食などの高齢者用の食事、動物用飼料などが好ましく挙げられる。
本発明の筋萎縮抑制剤を添加する飲食物について、下記に具体例を列記するが、本発明はこれらに制限されるものではない。また、その形態等について特に制限はないが、例えば、おかき、煎餅、おこし、饅頭、飴等の和菓子;クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、カステラ、ドーナッツ、プリン、スポンジケーキ、ワッフル、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、チョコレート、チョコレート菓子、キャラメル、キャンデー、チューインガム、ゼリー、ホットケーキ、パン、菓子パン等の各種洋菓子;ポテトチップ等のスナック菓子;アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等の氷菓;水、乳酸飲料、乳酸菌飲料、濃厚乳性飲料、果汁飲料、果肉飲料、機能性飲料、炭酸飲料等の清涼飲料水;緑茶、紅茶、コーヒー、ココア等の嗜好品およびこれらの飲料;牛乳、粉乳、発酵乳、加工乳、チーズ等の乳製品;豆乳、豆腐等の大豆加工食品;ジャム、果実のシロップ漬、フラワーペースト、ピーナツペースト、フルーツペースト等のペースト類;漬物類、うどんの麺、パスタ、即席麺等の穀物製品類;ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセージ、ビーフジャーキー、ハンバーグ等の畜肉製品類;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん等の魚貝類製品;魚、貝等の干物;鰹、鯖、鰺等の各種節;ウニ、イカ等の塩辛;スルメ、魚等のみりん干;鮭等の燻製品;のり、小魚、貝、山菜、椎茸、昆布等の佃煮;カレー、シチュー等のレトルト食品;みそ、醤油、ソース、ケチャップ、ブイヨン、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素等の各種調味料;米飯類、パン、油脂やマーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂加工品;油脂を含有する各種レンジおよび冷凍食品等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<1>本発明の筋萎縮抑制剤の製造例
<1−1>ゼラチンの製造例
スズキ目の魚鱗を洗浄乾燥し、これを公知の方法により塩酸脱灰後、水洗(イオン交換水を使用)して粗コラーゲンを得た。すなわち、洗浄乾燥鱗10kg(水分15重量%)に0.6モル塩酸150Lを加え、2時間攪拌した。100メッシュ網にてろ過(脱灰溶液pH1.5)、固形分を100Lのイオン交換水に入れて15分間攪拌し、この水洗/ろ過処理を3回繰り返した。105℃で3hr乾燥させた絶乾鱗の粗コラーゲン量は50重量%、N:17.4重量%、残カルシウム:0.12重量%、残リン酸分:0.37重量%であった。
該粗コラーゲンに対して重量比で10倍量の熱水を用い、2時間かけてゼラチンを抽出し、濃縮、粉末化してゼラチンを得た。
上記で得たゼラチンの数平均分子量を、下記高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル濾過法によって測定したところ、71500であった。
(測定方法)被検試料10mgを5mLの移動相に溶解して試料を調製した。該試料を用い、ゲル濾過法によってクロマトグラムを求めた。保存時間を横軸にとり、対応した215nmの吸光度値を縦軸にして、試料の分子量分布曲線を作成し、数平均分子量を算出した。
カラム:AsahipakGF−310HQ
移動相:アセトニトリル/水(体積比45/55)+0.1重量%トリフルオロ酢酸
流速:0.5mL/min
カラムの温度:40℃
標準試料:ウシ血清アルブミン、キモトリプシノーゲンA、リボヌクレアーゼA、インシュリン、バシトラシン、ペプチド(Phe−Met−Arg−Phe:配列番号1、Ala−Phe)、及びアミノ酸(Phe)
UV検出条件:215nm
注入量:10μL
<1−2>コラーゲンペプチドの製造例
上記製造例1同様にマダイ鱗を処理して粗コラーゲンを取得し、該粗コラーゲンに対して重量比で10倍量の熱水を用い、2時間かけてコラーゲン又はゼラチンを抽出した。該抽出にBacillus subtilis由来のタンパク質分解酵素、天野エンザイム(株)製のプロテアーゼN「アマノ」G(登録商標)を粗コラーゲンに対し1.0重量%の割合となるよう添加して50℃で3時間加水分解した。その後、85℃で15分間加熱して酵素を失活させて後、活性炭で処理し、さらに珪藻土ろ過し、濃縮、粉末化してコラーゲンペプチドを得た。
上記で得たコラーゲンペプチドの数平均分子量を、前述の高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル濾過法によって測定したところ、1010であった。
<2>筋萎縮抑制作用試験
<2−1>試験方法
本発明の筋萎縮抑制剤を用いて、筋萎縮抑制作用試験を行った。
被検動物として6週齢のマウスを用いた。予備飼育を7日間行った後、2群に分け、一方に坐骨神経切除術を施し、他方にシャムオペ(偽手術)を施した(0日目)。坐骨神経切除の有無それぞれのマウスを4種の試験飼料群にさらに分け(4匹×8群)、4日間の試験飼育を行った。試験飼育中は、25±1℃、12時間ごとの明暗サイクル(明期8:00a.m.〜8:00p.m.)の環境下で、各試験飼料及び脱イオン蒸留水を自由摂取させた。試験飼料には、タンパク質源としてカゼインを用い(飼料重量に対し20重量%)、さらに試験飼料群ごとに表1に記載の添加物を加えたものを使用した。4日目にジエチルエーテル麻酔下で解剖して骨格筋(前脛骨筋及び腓腹筋)を採取して、湿重量を測定した。なお、筋湿重量は体重当たりで補正し、坐骨神経を切除しなかった群を100%とした場合の相対値として算出した。
Figure 0006222663
<2−2>結果
飼料摂取量、体重増加量は、各群間でほとんど差がなかった。
図1に前脛骨筋の相対重量を示す。コントロール群及びアミノ酸群においては、坐骨神経切除術をしたマウスは坐骨神経切除しなかったマウスに対して前脛骨筋の相対重量が有意に小さかった(*:p<0.05)。一方、コラーゲンペプチド群及びゼラチン群においては、坐骨神経切除術の有無で前脛骨筋の相対重量に違いは見られなかった。また、坐骨神経切除群どうしで比較すると、コラーゲンペプチド群及びゼラチン群は、コントロール群に対して前脛骨筋の相対重量が有意に大きかった(#:p<0.05)。
図2に腓腹筋の相対重量を示す。コントロール群、アミノ酸群、コラーゲンペプチド群及びゼラチン群の全てにおいて、坐骨神経切除術をしたマウスは坐骨神経切除しなかったマウスに対して腓腹筋の相対重量が有意に小さかった(*:p<0.05)。しかし、坐骨神経切除群どうしで比較すると、コラーゲンペプチド群及びゼラチン群は、コントロール群に対して腓腹筋の相対重量が有意に大きかった(#:p<0.05)。
これらの結果から、坐骨神経切除術を施したマウスにおいては、筋委縮が誘発されて骨格筋量が10〜15%減少するところ、本発明の筋萎縮抑制剤の摂取により筋萎縮が抑制され、骨格筋量が減少しないか、減少してもその程度を小さくする効果が得られることが確認された。
<3>ユビキチンリガーゼ阻害試験
<3−1>試験方法
本発明の筋萎縮抑制剤を用いて、ユビキチンリガーゼ(Cbl−b)阻害試験を行った。試験の原理としては、固定化したCbl−bのN末端の基質認識部位であるTKBドメインに対して、Cbl−bの基質タンパク質であるIRS−1の部分ペプチド(被認識部位である608番目のアミノ酸を含む15mer)をビオチン化したものと、被検物質とを競合的に結合させて、アビジン化したアルカリホスファターゼを用いてCbl−b結合IRS−1部分ペプチドを検出する。被検物質のCbl−b阻害活性は、IRS−1部分ペプチドの結合量の減少率で表される。
TKBドメインは組換え大腸菌により製造した。クローニングベクターpGEXのマルチクローニングサイトにCbl−b TKBドメインの遺伝子配列を挿入したプラスミドベクターを、大腸菌BL21(DE3)に導入し、アンピシリン含有プレートで37℃、一晩培養した。プレート状のコロニーを、アンピシリン(終濃度1mM)含有LB培地10mLに植菌し、37℃、6時間前々培養した。前々培養液1mLを、アンピシリン(終濃度1mM)含有LB培地100mLに加え、バッフル付き三角フラスコで37℃、一晩前培養した。前培養液50mLを、アンピシリン(終濃度1mM)含有LB培地1000mLに加え、バッフル付き三角フラスコで37℃で、OD600=0.6〜0.7になるまで培養した後、IPTGを添加して(終濃度1mM)GST−TKB融合タンパク質の発現を誘導し、15℃でさらに一晩本培養した。
カラムに充填したビーズGlutathione Sepharose 4FF 10mLをmilliQ水50mLで洗浄した後、Lysate Buffer(2mM dithiothreitol(DTT)、10重量% グリセロール、及び150mM NaClを含む50mM phosphate-Na Buffer (pH 7.5))100mLで平衡化した。本培養後の菌体を回収し、Lysate Bufferとタンパク質分解酵素阻害剤カクテルPefabloc Sc(Roche)とを加え、ソニケーターで菌体破砕した後、遠心分離(13000rpm、30min、4℃)した。上清をMILLEX GVでフィルター濾過したものを、平衡化したカラムに添加し、カラムごと30分間回転させてビーズと混合した。カラムを静置し、Flow Throughを溶出させた後、Wash Buffer(0.5M NaCl、2mM DTTを含む50mM phosphate-Na Buffer(pH 7.5))30mLと、Lysate Buffer 30mLとでカラムを洗浄して非結合タンパク質を除去した。次いで、Elution Buffer(150mM BaCl、2mM DTT、50mM Glutathioneを含む50mM phosphate-Na Buffer(pH 7.5))10mLをカラムに添加して、カラムごと15分間回転させてビーズと混合し、カラム静置後に溶出液を回収する操作を、5回繰り返した。
回収した溶出液を、さらに陽イオン交換クロマトグラフィー(AKTA prime; GE)を用いて精製した。カラムは陽イオン交換体HP−SPを、バッファーはAバッファー(2mM DTT、5重量%グリセロールを含む20mM phosphate-Na Buffer(pH 7.5))とBバッファー(2mMDTT、5重量%グリセロール、1M NaClを含む20mM phosphate-Na Buffer(pH 7.5))とを使用し、溶出速度1mL/min、10℃以下で、A:B=85:15→0:100(体積比)と勾配をかけて溶出した。なお、タンパク質の検出はUV280のモニタリングで行い、SDS−PAGEにより目的のGST−TKB融合タンパク質がフラクション5〜11に溶出したことを確認した。回収したフラクション液は、濃縮器(Amicon Ultra;Millipore Cut-off molecular weight, 10000)で濃縮した。
GSHコーティング96穴プレート(No.120350;Nunc社製)の各ウェルに、上記取得したGST−TKB融合タンパク質(10μg/mL)を100μLずつ添加し、25℃で2時間攪拌して固定化した。タンパク質溶液を廃棄した後、各ウェルをPBS−T(0.1重量% Tween25を含むPBS Buffer)で3回洗浄した。各ウェルに5重量% BSAを含むPBS Buffer 100μLを添加し、25℃で1時間攪拌してブロッキングした。ブロッキング液を廃棄した後、各ウェルをPBS−Tで3回洗浄した。被検ペプチドを100μLずつ各ウェルに添加し、25℃で1時間攪拌して反応させた。被検ペプチド溶液を廃棄した後、各ウェルをPBS−Tで3回洗浄した。ビオチンラベル化した合成IRS−1部分ペプチド(配列番号2:Biotin-TLHTDGpYMPMSPGVA;GenScript)50μMを、各ウェルに100μLずつ添加し、25℃で1時間攪拌して反応させた。溶液を廃棄した後、PBS−Tで3回洗浄した。0.1μg/mL アルカリホスファターゼ結合アビジン(生化学バイオビジネス株式会社)を、各ウェルに100μLずつ添加し、25℃で1時間攪拌して反応させた。溶液を廃棄した後、PBS−Tで3回洗浄した。アルカリホスファターゼ反応キット(Atto Phos Substeate Set;Roche, Cat. No.11681982001)を用いて、遮光下で酵素反応を3分間行った。マイクロプレートリーダー(Varioskan Flash;Thermo Fisher社)を用いて、蛍光強度を測定した(Ex=440nm、Em=550nm)。
なお、被検ペプチドは、ユビキチンリガーゼ阻害試験1としては、スズキ目魚鱗由来低分子コラーゲンペプチド(数平均分子量:500)、スズキ目魚鱗由来コラーゲンペプチド(数平均分子量:1000)(JNC株式会社製、マリンコラーゲンオリゴCF)、及びマダイ鱗由来コラーゲンペプチド(数平均分子量:1010)(製造例1−2で製造したもの)を、それぞれ400、600及び800μMずつ用いた。また、比較として、特開2007−314469に記載されている、Cbl−b阻害ペプチドであるCblinペプチド(Asp−Gly−Tyr−Met−Pro:配列番号3、チロシンはリン酸化されている)120μM、及びCbl−bを阻害しないペプチドであるPEP47ペプチド(Val−Gly−Tyr−Leu−Arg:配列番号4、チロシンはリン酸化されている)120μMも用いた。また、被検ペプチドを添加しないウェル(Standard)も設けた。
また、ユビキチンリガーゼ阻害試験2としては、被検ペプチドは、ブタ皮由来コラーゲンペプチド(数平均分子量:2440)、ニワトリ足由来コラーゲンペプチド(数平均分子量:1480)、及びタラ皮由来コラーゲンペプチド(数平均分子量:3470)を、それぞれ200、400及び800μMずつ用いた。また、比較として、前記Cblinペプチド120μM、及び前記PEP47ペプチド120μMも用いた。また、被検ペプチドを添加しないウェル(Standard)も設けた。
<3−2>結果
ユビキチンリガーゼ阻害試験1の結果として図3に、ユビキチンリガーゼ阻害試験2の結果として図4に、各被検ペプチドにおける相対蛍光強度(rfu)を示す。これらより、コラーゲンペプチドがCbl-bの基質認識部位であるTKBドメインとIRS−1との結合を阻害することが示された。
また、ユビキチンリガーゼ阻害試験2の結果から、コラーゲンペプチドの数平均分子量が小さいほど、ユビキチンリガーゼ阻害活性が高い傾向が認められ、数平均分子量1500以下で最も高くなることが予想された(図5)。
本発明により、廃用性筋萎縮や加齢性筋萎縮に対して有効で、利用しやすい筋萎縮抑制剤が提供されるため、産業上非常に有用である。

Claims (8)

  1. コラーゲン、ゼラチン、又はコラーゲンペプチドを有効成分とし、
    前記コラーゲンペプチドはコラーゲン又はゼラチンの加水分解物である、筋萎縮抑制剤。
  2. 廃用性筋萎縮に用いるためのものである、請求項1に記載の筋萎縮抑制剤。
  3. 加齢性筋萎縮に用いるためのものである、請求項1に記載の筋萎縮抑制剤。
  4. 前記コラーゲン又はゼラチンが魚鱗、魚骨、及び魚皮のいずれかに由来する、請求項1〜3の何れか一項に記載の筋萎縮抑制剤。
  5. 前記コラーゲン、ゼラチン、又はコラーゲンペプチドがユビキチンリガーゼ活性を阻害する、請求項1〜4の何れか一項に記載の筋委縮抑制剤。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の筋委縮抑制剤を含有する、筋力低下又は寝たきりの予防及び/又は治療用医薬組成物。
  7. コラーゲン、ゼラチン、又はコラーゲンペプチドを有効成分とし、
    前記コラーゲンペプチドはコラーゲン又はゼラチンの加水分解物である、ユビキチンリガーゼ阻害剤。
  8. 前記ユビキチンリガーゼがCbl−bである、請求項7に記載のユビキチンリガーゼ阻害剤。
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