JP6942620B2 - 発酵風味液の製造方法及び食品の製造方法 - Google Patents
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Description
<1> (i)乳脂肪を含む乳素材をリパーゼで処理する工程;
(ii)酵母素材を還元糖の存在下において熱処理する工程;及び
(iii)リパーゼ処理物及び熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させる工程;
を含むことを特徴とする発酵風味液の製造方法である。
<2> 工程(ii)において、工程(i)のリパーゼ処理物を酵母素材と共に熱処理する前記<1>に記載の方法である。
<3> 工程(ii)において、酵母素材が、熱処理を行う組成物において、アミノ酸総量として1質量%以上含有させるものである前記<1>又は<2>に記載の方法である。
<4> 酵母素材が、酵母菌体、酵母粉砕物及び酵母エキスから選択される1種以上である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の方法である。
<5> 工程(ii)において、還元糖が、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース及びマルトースから選択される1種以上であり、その濃度が0.5〜10質量%である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の方法である。
<6> 工程(ii)の熱処理条件が、温度60〜100℃で30分間〜6時間である前記<1>〜<5>のいずれかに記載の方法である。
<7> 工程(iii)の発酵条件が、温度20〜40℃で12〜24時間である前記<1>〜<6>のいずれかに記載の方法である。
<8> 前記<1>〜<7>のいずれかに記載の方法により製造される発酵風味液を用いることを特徴とする食品の製造方法である。
本発明の発酵風味液の製造方法は、(i)乳脂肪を含む乳素材をリパーゼで処理する工程(以下、「工程(i)」と称することがある)と、(ii)酵母素材を還元糖の存在下において熱処理する工程(以下、「工程(ii)」と称することがある)と、(iii)リパーゼ処理物及び熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させる工程(以下、「工程(iii)」と称することがある)とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
前記工程(i)は、乳脂肪を含む乳素材をリパーゼで処理し、リパーゼ処理物を得る工程である。
前記リパーゼ処理を行う組成物は、少なくとも乳脂肪を含む乳素材と、リパーゼとを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記乳脂肪を含む乳素材としては、食品として使用できるものであれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、乳クリーム、全脂粉乳、牛乳、生乳、濃縮乳、バター及びこれらを含有する食品素材などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳脂肪を含む乳素材は、乳から調製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記リパーゼとしては、食品として使用できるものであれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、微生物に由来するリパーゼ、動物臓器に由来するリパーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記リパーゼは、微生物や動物臓器から調製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記リパーゼ処理を行う組成物は、前記乳脂肪を含む乳素材及び前記リパーゼ以外のその他の成分が含まれていてもよい。前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、後述する酵母素材調製工程に用いる成分などが挙げられる。
前記その他の成分の前記リパーゼ処理を行う組成物における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記リパーゼ処理の温度としては、特に制限はなく、使用するリパーゼに応じて適宜選択することができ、例えば、20〜60℃などが挙げられる。前記リパーゼ処理の温度が20℃未満または、60℃以上であると、脂質の分解に時間を要するだけでなく、脂質の分解が十分に進行せず、その結果として得られる発酵風味液の濃厚なうまみ及びコク味と、豊かな乳風味に加え、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与し得るという効果が十分ではなくなる可能性がある。
前記工程(ii)は、酵母素材を還元糖の存在下において熱処理し、熱処理物を得る工程である。
前記酵母素材としては、食品として使用でき、且つ工程(ii)において発酵原料となるものであれば特に限定はされないが、パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、味噌醤油酵母から得られる素材が挙げられ、パン酵母、ビール酵母から得られる素材が好ましい。これらの酵母から得られる素材としては、例えば、酵母菌体(生菌体、乾燥菌体)、酵母粉砕物(乾燥酵母粉末等)、酵母エキス(自己消化物、酵素処理物等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酵母素材は、酵母から調製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記還元糖としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース、マルトースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与するという点で、グルコース、フルクトース、マルトース及びキシロースから選択される1種以上が好ましい。
前記還元糖は、市販品を使用することができる。
前記熱処理の温度(以下、「加熱温度」と称することがある)としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。前記加熱温度が60℃未満であると、風味(香ばしさ)の付与という点で十分ではない可能性があり、100℃を超えると所望の風味とは異なる風味が生じる可能性がある。
前記その他の成分の前記熱処理を行う組成物における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記工程(iii)は、前記工程(i)で得られたリパーゼ処理物及び前記工程(ii)で得られた熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させ、発酵風味液を得る工程である。
前記発酵原料は、少なくとも前記リパーゼ処理物と、前記熱処理物とを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記リパーゼ処理物は、前記工程(i)で得られたリパーゼ処理物であり、上記したように、前記工程(ii)で熱処理されていてもよい。
前記リパーゼ処理物の前記発酵原料における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記熱処理物は、前記工程(ii)で得られた熱処理物である。
前記熱処理物の前記発酵原料における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、アミノ酸源、炭素源、各種無機塩、ビタミン類など、通常、酵母や乳酸菌の発酵の際に培養液に添加され得る各種成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、前記炭素源としては、酵母や乳酸菌が資化できるものであれば特に限定されないが、例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、マルトースなどが挙げられ、これらを含有する液糖類、果汁類、蜂蜜などであってもよい。
前記その他の成分は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
前記酵母及び又は乳酸菌は、いずれか一方を使用してもよいし、両方を使用してもよいが、乳酸菌のみ、又は乳酸菌及び酵母の両方を使用することが好ましい。
前記工程(iii)で用いる酵母としては、食品に使用できものであれば特に限定はされないが、例えばパン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、味噌醤油酵母が挙げられ、パン酵母、ビール酵母が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記工程(iii)で用いる乳酸菌としては、食品に使用できものであれば特に限定はされないが、発酵乳の製造に用いられる一般的な乳酸菌が挙げられ、例えば、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属の乳酸菌等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記発酵の温度としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、通常は20〜40℃であり、25〜35℃が好ましい。前記発酵の温度が20℃未満であると、発酵に時間を要するだけでなく、発酵が十分に進行せず、その結果として得られる発酵風味液の濃厚なうまみ及びコク味と、豊かな乳風味に加え、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与し得るという効果が十分ではなくなる可能性があり、40℃を超えると、所望の風味とは異なる風味が生じる可能性がある。
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、酵母素材調製工程、加熱殺菌工程などが挙げられる。
前記酵母素材調製工程は、前記工程(ii)に用いる酵母素材を調製する工程である。
前記酵母素材を調製する方法としては、特に制限はなく、前記工程(ii)で使用する酵母素材に応じて、公知の方法を適宜選択することができる。
前記酵母素材調製工程は、前記工程(i)と共に行ってもよい。例えば、前記酵母素材として酵母エキスを使用する場合は、前記工程(i)のリパーゼ処理を行う組成物に、例えば、酵母クリームと、自己消化用のプロテアーゼとを配合し、前記リパーゼ処理と同様の条件で処理することで、酵母エキスを調製することができる。前記プロテアーゼとしては、特に制限はなく、公知のプロテアーゼを適宜選択することができる。
前記加熱殺菌工程は、前記工程(iii)で得られた発酵風味液を加熱殺菌処理する工程である。
前記発酵風味液は、前記工程(iii)で得られたものをそのまま後述する食品の製造方法に用いてもよいが、保存性や流通、また、適用する食品が更に発酵させる食品、例えばイースト発酵食品に用いる場合には、発酵風味液に含まれる酵母や乳酸菌の生菌がその製造に影響を与えないように、加熱殺菌処理するのが好ましい。
本発明の食品の製造方法は、上記した本発明の製造方法により製造される発酵風味液を用いる限り特に制限はなく、公知の食品の製造方法を適宜選択することができる。
前記その食品の種類としては、濃厚なうまみ及びコク味、豊かな乳風味と、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与することが有用な食品であれば特に限定はされないが、ベーカリー製品(パン類及び菓子類)を好適に例示することができる。
前記発酵風味液は、単独で食品の製造に供してもよいし、あるいは、他の成分と混合して食品の製造に供してもよい。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、pH調整剤;ショ糖、ブドウ糖、果糖、各種糖アルコール等の糖類;澱粉や穀粉;ステビア、アスパルテーム等の甘味料;デキストリン;有機酸やその塩、グリシンやDL−アラニン等の制菌作用がある成分;調味・呈味成分;香料;色素;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、フェルラ酸、チャ抽出物等の酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下のようにして、実施例1の発酵風味液を製造した。
<工程(i)及び酵母素材調製工程>
下記配合の組成物を30℃で20時間処理し、乳脂肪を含む乳素材のリパーゼ処理物と、酵母素材(酵母菌体自己消化物)と、還元糖とを含む組成物を得た。なお、得られた組成物(熱処理を行う組成物)におけるアミノ酸総量を測定したところ、3.0質量%であり、酪酸量は0.07質量%であった。
−配合−
・ 酵母クリーム(パン酵母、60質量%のクリーム) ・・・ 66.7質量%
・ 乳脂肪を含む乳素材 ・・・ 5質量%
(生クリーム、乳タンパク及び乳糖を含む組成物)
・ 還元糖(キシロース) ・・・ 1.5質量%
・ リパーゼ ・・・ 0.08質量%
・ プロテアーゼ(自己消化用酵素) ・・・ 0.06質量%
・ 水 ・・・ 26.66質量%
前記工程(i)で得られた組成物のpHを苛性ソーダでpH7.5に調製した後、80℃で2時間熱処理を行った。
下記配合の組成物に、乳酸菌を加え、30℃で16時間発酵を行い、発酵風味液を得た。
−配合−
・ 工程(ii)で得られた組成物 ・・・ 80質量%
・ グルコース ・・・ 2質量%
・ 水 ・・・ 18質量%
前記工程(iii)で得られた発酵風味液を加熱殺菌処理し、実施例1の発酵風味液を得た。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、乳脂肪を含む乳素材の代わりに脱脂粉乳を用い、リパーゼを用いず、水の量を26.74質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は2.0質量%であり、酪酸は含有していなかった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、乳脂肪を含む乳素材の代わりに脱脂粉乳を用い、リパーゼ及び還元糖を用いず、水の量を28.24質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は2.0質量%であり、酪酸は含有していなかった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、還元糖を用いず、水の量を28.16質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は3.0質量%であり、酪酸量は0.07質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、還元糖をグルコースに代え、<工程(ii)>の加熱温度を90℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は3.0質量%であり、酪酸量は0.07質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、還元糖をフルクトースに代え、<工程(ii)>の加熱温度を90℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は3.0質量%であり、酪酸量は0.07質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、酵母クリームとプロテアーゼを用いず、水の量を93.42質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は0.3質量%であり、酪酸量は0.07質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、酵母クリーム、プロテアーゼ及び還元糖を用いず、水の量を94.92質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は0.3質量%であり、酪酸量は0.07質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、乳脂肪を含む乳素材の量を6質量%、水の量を25.66質量%、処理温度を47℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は3.0質量%であり、酪酸量は0.09質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、酵母クリームの量を50質量%、乳脂肪を含む乳素材の量を6質量%、水の量を42.36質量%、処理温度を47℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量は2.0質量%であり、酪酸量は0.09質量%であった。
実施例1の<工程(i)及び酵母素材調製工程>において、酵母クリームの量を83.3質量%、乳脂肪を含む乳素材の量を6.25質量%、リパーゼの量を0.1質量%、プロテアーゼの量を0.075質量%、水の量を8.78質量%、処理温度を47℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6の発酵風味液を得た。なお、熱処理を行う組成物におけるアミノ酸総量4.0質量%であり、酪酸量は0.1質量%であった。
実施例1〜6又は比較例1〜5で製造した発酵風味液を用い、中種法により食パンを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。
<配合>
中種 本捏
・ 小麦粉 70質量部 30質量部
・ イースト 2.2質量部 0.5質量部
・ パン品質改良剤 0.15質量部
・ 砂糖 − 5質量部
・ バター − 5質量部
・ 食塩 − 2質量部
・ 脱脂粉乳 − 2質量部
・ 発酵風味液 − 3質量部
・ 水 40質量部 30質量部
中種 本捏
・ ミキシング L2M2分 L2M3H1分↓M3H1分
・ 捏上温度 24℃ 27℃
・ 発酵(フロア)時間 4時間 15分
・ 分割重量 − 225g×4(型比容積4.0)
・ ベンチ時間 − 20分
・ 成型 − U字詰め(2斤型)
・ ホイロ条件 − 35℃、相対湿度85%
・ ホイロ時間 − 50分
・ 焼成条件 − 190℃、32分
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速、Hは高速を表し、↓は油脂の添加を表す。
製造した各食パンを食し、以下の項目について評価した。結果を表2に示す。
◎ : 乳風味に富む。
○ : 乳風味がある。
△ : やや乳風味がある。
× : 乳風味に乏しい。
◎ : うまみが濃厚でコク味も豊かである。
○ : うまみ・コク味がある。
△ : ややうまみ・コク味がある。
× : うまみ・コク味に乏しい。
◎ : 香ばしさに富む。
○ : 香ばしさがある。
△ : やや香ばしさがある。
× : 香ばしさに乏しい。
◎ : 香ばしさとのバランスに優れた発酵風味に富む。
○ : 香ばしさとのバランスにやや優れた発酵風味である。
△ : 香ばしさとのバランスにやや劣る発酵風味である。
× : 従来の発酵風味である、又は発酵風味がない。
したがって、本発明の製造方法により得られた発酵風味液を用いることで、食品に濃厚なうまみ・コク味と豊かな乳風味に加えこれまでにない香ばしさ及び発酵風味を付与できることが示された。
実施例1〜6で製造した発酵風味液を用い、中種法により製造例1−1〜1−6のロールパンを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。また、実施例1〜6で製造した発酵風味液を用いなかった以外は同様にして、対照のロールパンを製造した。
<配合>
中種 本捏
・ 小麦粉 70質量部 30質量部
・ イースト 3質量部 −
・ パン品質改良剤 0.1質量部 −
・ ぶどう糖 3質量部 −
・ 全卵 10質量部 −
・ 砂糖 − 8質量部
・ バター − 10質量部
・ 脱脂粉乳 − 3質量部
・ 食塩 − 1.8質量部
・ 発酵風味液 − 5質量部
・ 水 34質量部 20質量部
中種 本捏
・ ミキシング L2M2分 L2M3H1分↓M3H2分
・ 捏上温度 26℃ 27℃
・ 発酵(フロア)時間 2時間 20分
・ 分割重量 − 40g
・ ベンチ時間 − 20分
・ 成型 − 一本結び
・ ホイロ条件 − 35℃、相対湿度85%
・ ホイロ時間 − 50分
・ 焼成条件 − 190℃、9分
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速、Hは高速を表し、↓は油脂の添加を表す。
実施例1〜6で製造した発酵風味液を用い、製造例2−1〜2−6のチーズクラッカーを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。また、実施例1〜6で製造した発酵風味液を用いなかった以外は同様にして、対照のチーズクラッカーを製造した。
<配合>
・ 小麦粉 ・・・ 100質量部
・ イースト ・・・ 0.3質量部
・ パン品質改良剤 ・・・ 0.1質量部
・ ベーキングパウダー ・・・ 1質量部
・ 砂糖 ・・・ 1質量部
・ 食塩 ・・・ 1.5質量部
・ 油脂 ・・・ 10質量部
・ チーズパウダー ・・・ 10質量部
・ 発酵風味液 ・・・ 5質量部
・ 水 ・・・ 27質量部
・ ミキシング ・・・ ↓L3M7分
・ 捏上温度 ・・・ 21℃
・ リタード条件 ・・・ 20℃、16時間、3つ折り3回
・ 厚さ ・・・ 1.6mm(両面ピケをする)
・ 成型 ・・・ ビスケット型に型抜きをする
・ ラック時間 ・・・ 30分
・ 焼成時間 ・・・ 17分
・ 焼成温度 ・・・ 上:175℃、下:190℃(2枚天板使用)
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速を表し、↓は油脂の添加を表す。
Claims (7)
- (i)乳脂肪を含む乳素材をリパーゼで処理する工程;
(ii)酵母素材を還元糖の存在下において熱処理する工程;及び
(iii)リパーゼ処理物及び熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させる工程;
を含み、
前記工程(ii)の熱処理条件が、温度60〜100℃で30分間〜6時間であることを特徴とする発酵風味液の製造方法。 - 工程(ii)において、工程(i)のリパーゼ処理物を酵母素材と共に熱処理する請求項1に記載の方法。
- 工程(ii)において、酵母素材が、熱処理を行う組成物において、アミノ酸総量として1質量%以上含有させるものである請求項1又は2に記載の方法。
- 酵母素材が、酵母菌体、酵母粉砕物及び酵母エキスから選択される1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 工程(ii)において、還元糖が、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース及びマルトースから選択される1種以上であり、その濃度が0.5〜10質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 工程(iii)の発酵条件が、温度20〜40℃で12〜24時間である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の方法により製造される発酵風味液を用いることを特徴とする食品の製造方法。
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