JP6694283B2 - 新規な乳風味増強剤 - Google Patents

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本発明は、パン、菓子等に対して、良好な乳風味を付与することができる乳風味増強剤、該乳風味増強剤を含む乳化油脂組成物、及び該風味増強剤や該乳化油脂組成物を含むパン、又は菓子に関する。
近年、日本国内においてはバターの供給が逼迫しており、家庭用は勿論のこと、業務用においても入手が困難な状況である。そのため、パン・菓子業界や加工食品業界などにおいては、バターの代替品として、マーガリンの需要が伸びている。しかしながら、マーガリンは主に植物性油脂を使用するため、健康面や価格面で優れているものの、バターに感じられる乳風味が不足している。このため、フレーバーを添加して香り付けすることが一般的であるが、香りが不自然であったり、後味の広がりに欠けたり、加熱後の風味持続が劣るなどの問題がある。
特許文献1では、自然な風味と味の厚みを食品に付与することを目的とした食品用風味改良剤として、麦由来原料を加熱処理して得られ、フルフラール、2−アセチルフラン及びフルフリルアルコールの合計含有量が100ppm以上、且つ5−メチルフルフラール含有量が20ppm以下である食品用風味改良剤が開示されている。しかし、この風味改良剤をマーガリンに添加した場合、麦由来原料の加熱処理によって生成した多量の3−メチルブタナールのために麦芽臭が強く感じられ、乳風味が損なわれる場合がある。
特許文献2では、乳製品等に添加してコク、甘み、濃厚感、脂肪感、乳感(ミルク感)を増強させる調味料として、果汁と酵母エキスを混合加熱した調味料が開示されている。しかし、酵母エキスにはシステインが比較的多く含まれているため、加熱により多量のジメチルジスルフィドが生成して、乳風味としては好ましくない硫黄臭が乳製品に付与される欠点があった。
特開2015−53886号公報 特開2006−61066号公報
本発明の目的は、パン、菓子等に対して、良好な乳風味を付与することができる乳風味増強剤、該乳風味増強剤を含む乳化油脂組成物、及び該風味増強剤や該乳化油脂組成物を含むパン、又は菓子を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の条件を満足する、植物由来エキスと糖類の混合加熱物を用いることで、パン、菓子等に対して良好な乳風味を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
第一の本発明は、パン・菓子用乳風味増強剤であって、
前記乳風味増強剤は、植物由来エキスと糖類との混合加熱物を40〜100重量%含有し、
前記植物由来エキス/前記糖類の乾燥重量比は、99/1〜1/99であり、
前記植物由来エキスと前記糖類の合計の固形分量は、前記混合加熱物の全体に対し40〜80重量%であり、
前記乳風味増強剤の全体に対し、2−アセチルフランの含有量は0.003〜7ppm、5−メチルフルフラールの含有量は0.001〜2ppm、フルフラールの含有量は0.04〜15ppm、3−メチルブタナールの含有量は0.001〜10ppm、酢酸の含有量は0〜2ppm、ジメチルジスルフィドの含有量は0〜0.5ppm、及び、1−ブタノールの含有量は0〜0.8ppmである、パン・菓子用乳風味増強剤に関する。
好ましくは、前記乳風味増強剤の全体に対する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの合計量(A)と、酢酸、ジメチルジスルフィド及び1−ブタノールの合計量(B)の重量比((B)/(A)×100)が0〜25%である。
好ましくは、前記乳風味増強剤の全体に対する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの合計量(A)が0.05〜25ppmである。
好ましくは、前記植物由来エキスが、昆布由来エキス、穀物由来エキス、及び穀物発酵物由来エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
好ましくは、前記糖類が、アラビノース、ラクトース、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、及びマルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
好ましくは、前記乳風味増強剤は、更に、昆布由来エキス、チキン由来エキス、穀物由来エキス、及び穀物発酵物由来エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種のエキスの非加熱物を含有する。
第二の本発明は、油中水型乳化油脂組成物の全体に対して、前記パン・菓子用乳風味増強剤0.015〜5重量%(乾燥重量)、及び、乳固形分0.1〜70重量%(乾燥重量)を含有するパン・菓子練り込み用油中水型乳化油脂組成物に関する。
第三の本発明は、水中油型乳化油脂組成物の全体に対して、前記パン・菓子用乳風味増強剤0.015〜5重量%(乾燥重量)、及び、乳固形分0.1〜70重量%(乾燥重量)を含有するパン・菓子練り込み用水中油型乳化油脂組成物に関する。
第四の本発明は、穀粉100重量部に対して、前記パン・菓子用乳風味増強剤0.0001〜3重量部(乾燥重量)、及び、乳固形分0.005〜50重量部(乾燥重量)を含有するパン生地に関する。
好ましくは、前記乳固形分の少なくとも一部が、乳固形分のリパーゼ処理物であり、前記リパーゼ処理物の全体に対して、乳脂肪10〜99.8重量%、乳蛋白質0.1〜50重量%、及び水分0.1〜70重量%を含有する。
好ましくは、前記パン・菓子用乳風味増強剤と前記リパーゼ処理物の含有量比が99/1〜15/85(乾燥重量比)である。
第五の本発明は、前記パン生地が加熱調理されたパンに関する。
第六の本発明は、穀粉100重量部に対して、前記パン・菓子用乳風味増強剤0.001〜10重量部(乾燥重量)、及び、乳固形分0.005〜120重量部(乾燥重量)を含有する菓子生地に関する。
好ましくは、前記乳固形分の少なくとも一部が、乳固形分のリパーゼ処理物であり、前記リパーゼ処理物の全体に対して、乳脂肪10〜99.8重量%、乳蛋白質0.1〜50重量%、及び水分0.1〜70重量%を含有する。
好ましくは、前記パン・菓子用乳風味増強剤と前記リパーゼ処理物の含有量比が99/1〜15/85(乾燥重量比)である。
第七の本発明は、前記菓子生地が加熱調理された菓子に関する。
第八の本発明は、植物由来エキスと糖類との混合物であって、前記植物由来エキス/前記糖類の乾燥重量比が99/1〜1/99で、固形分量が40〜80重量%である混合物を、品温が75℃になるまで加熱した後、最高到達品温が110〜160℃の範囲内になるように前記混合物を1〜100℃/分の平均昇温速度で加熱し、前記最高到達品温を0.1秒〜5時間保持した後、品温が75℃になるまで前記混合物を5〜200℃/分の平均降温速度で冷却することで混合加熱物を得る工程を含む、当該混合加熱物を含有するパン・菓子用乳風味増強剤の製造方法に関する。
本発明に従えば、パン、菓子等に対して、乳脂肪感、乳の甘み、濃厚な乳感、コクといった乳風味を付与することができる乳風味増強剤、該乳風味増強剤を含む乳化油脂組成物、及び該風味増強剤や該乳化油脂組成物を含むパン、又は菓子を提供することができる。
本発明の乳風味増強剤を製造する際に使用可能な二重筒加熱装置の一実施形態の概略を示し、(a)は側断面図、(b)は図1(a)におけるI−I線断面図である。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の乳風味増強剤は、植物由来エキスと糖類の混合加熱物を特定量含有するものである。
前記植物由来エキスは、葉、根、茎、皮、果実、種等の植物原料を熱水やアルコール等で抽出した抽出物、前記植物原料を発酵させたり酵素や酸で分解してから熱水やアルコール等で抽出した抽出物、更にはこれら抽出物を濃縮した濃縮液、前記抽出物または前記濃縮液を乾燥して得られた粉末等をいう。具体的には、昆布エキス等の各種海藻エキス、小麦エキス等の各種穀物エキス、白菜エキス等の各種野菜エキス、シイタケエキス等の各種キノコエキス、さらには前記植物原料を酵素や酸で分解した物、前記植物原料にアルコールや塩を加え、麹や酵母、乳酸菌で発酵熟成した調味料などが例示できる。調味料としては、より具体的な例としてみりん等の米系調味料、醤油や味噌等の大豆系又は麦系調味料などが挙げられる。
本発明においては、植物由来エキスとして、昆布由来エキス、穀物由来エキス、及び穀物発酵物由来エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましく、大豆タンパク分解物、小麦発酵物、酒粕、米発酵物、昆布エキス、米糠発酵物がより好ましく、酒粕、米発酵物、昆布エキス、米糠発酵物が更に好ましく、米発酵物、昆布エキス、米糠発酵物が特に好ましい。
前記糖類は、単糖又は二糖を言い、アラビノース、ラクトース、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースなどが例示でき、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましく、ラクトース、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースがより好ましく、グルコース、フルクトース、マルトースが更に好ましい。
前記植物由来エキス/糖類の混合比(乾燥重量比)は99/1〜1/99が好ましく、80/20〜1/99がより好ましく、60/40〜1/99が更に好ましく、40/60〜10/90が特に好ましい。混合比が99/1より大きい、或いは混合比が1/99より小さいと、目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記植物由来エキスと糖類の合計の固形分量(乾燥重量)は、前記混合加熱物の全体に対し40〜80重量%が好ましく、50〜80重量%がより好ましい。固形分量が40重量%より少ないと、香気成分が発現しにくく、乳風味増強効果が得られない場合がある。また、80重量%より大きいと混合加熱物の粘度が高く、コゲが発生しやすくなったり、製造時にポンプ移送する場合は負荷や時間がかかったりするため、生産効率が落ちる場合がある。
本発明の乳風味増強剤は、植物由来エキスと糖類との混合加熱物を含有するものであるが、乳風味増強剤の全体に対する前記混合加熱物の含有割合は40〜100重量%である。この含有割合は40〜80重量%がより好ましく、40〜70重量%が更に好ましく、40〜60重量%が特に好ましい。前記混合加熱物の含有割合が40重量%より少ないと、目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。また、この範囲内では、後述する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール、3−メチルブタナール、酢酸、ジメチルジスルフィド及び1−ブタノールの含有量を特定範囲に収めることが容易になる。
本発明の乳風味増強剤は、前記混合加熱物のみから構成されるものであってもよいが、前記混合加熱物に加えて、昆布由来エキス、チキン由来エキス、穀物由来エキス及び穀物発酵物由来エキスからなる群から選ばれる少なくとも1種のエキスの非加熱物を含有することが好ましい。該非加熱物の含有量は、本発明の乳風味増強剤の全体に対し0.1〜40重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。以上の範囲内にあると、エキスの非加熱物の添加によって、より優れた乳風味増強効果を達成することができる。
本発明の乳風味増強剤は、前記混合加熱物及び前記エキスの非加熱物以外にも、必要に応じて、目的とする風味を損なわない範囲で、前記以外の糖類、油脂類、塩類、乳成分、酵母エキス、或いは甘味料、着色料、保存料、増粘剤、酸化防止剤、漂白剤、香料、酸味料、調味料、乳化剤、pH調整剤、苦味料及び酵素等の食品添加物などを添加することもできる。
前記以外の糖類としては、例えばオリゴ糖、及びその液糖類、コーンシロップ等の分解糖化液糖類、ソルビトールやエリスリトール等の糖アルコール及びその液糖類等が挙げられる。
前記油脂類としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サフラワー油、向日葵油、綿実油、菜種油、コーン油、大豆油、米糠油、オリーブ油、カカオ脂、シア脂等の植物油脂や、魚油、牛脂、乳脂、豚脂等の動物油脂、また、これらの油脂をエステル交換したものや、硬化、分別したもの等が挙げられる。
前記乳成分としては、バター、乳脂肪、牛乳、クリーム、脱脂乳、バターミルク、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白質、カゼイン蛋白質、乳清ミネラル、加糖練乳、無糖練乳、チーズ、発酵乳等が挙げられる。
前記酵母エキスとしては、ビール酵母、パン酵母、乳酵母、トルラ酵母などから抽出されたエキス等が挙げられる。
前記調味料としては、アミノ酸、核酸、有機酸、無機塩等が挙げられる。
本発明における混合加熱物においては、乳風味増強効果を発揮するため、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール、3−メチルブタナール、酢酸、ジメチルジスルフィド、及び1−ブタノールそれぞれの含有量が特定範囲内にある。
前記2−アセチルフランの含有量は、前記乳風味増強剤の全体に対し0.003〜7ppmであることが好ましく、0.005〜0.5ppmであることがより好ましい。0.003ppmより少ない、或いは7ppmより多いと目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記5−メチルフルフラールの含有量は、前記乳風味増強剤の全体に対し0.001〜2ppmであることが好ましく、0.005〜0.2ppmであることがより好ましい。0.001ppmより少ない、或いは2ppmより多いと目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記フルフラールの含有量は、前記乳風味増強剤の全体に対し0.04〜15ppmであることが好ましく、0.08〜2ppmであることがより好ましい。0.04ppmより少ない、或いは15ppmより多いと目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記3−メチルブタナールの含有量は、前記乳風味増強剤の全体に対し0.001〜10ppmであることが好ましく、0.01〜5ppmであることがより好ましい。0.001ppmより少ないと目的とする乳風味増強効果が得られない場合があり、10ppmより多いと麦芽臭が強く感じられ、好ましい乳風味が損なわれる場合がある。
前記酢酸の含有量は少ない程好ましく、前記乳風味増強剤の全体に対し0〜2ppmであることが好ましく、0〜0.2ppmであることがより好ましく、0ppmであることが更に好ましい。2ppmより多いと酸臭が強く感じられて、目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記ジメチルジスルフィドの含有量は少ない程好ましく、前記乳風味増強剤の全体に対し0〜0.5ppmであることが好ましく、0〜0.2ppmであることがより好ましく、0ppmであることが更に好ましい。0.5ppmより多いと硫黄臭が強く感じられ、乳風味として好ましくない風味が付与される場合がある。
前記1−ブタノールの含有量は少ない程好ましく、前記乳風味増強剤の全体に対し0〜0.8ppmであることが好ましく、0〜0.2ppmであることがより好ましく、0ppmであることが更に好ましい。0.8ppmより多いと酸化臭が強く感じられ、目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
また、本発明の乳風味増強剤の全体に対する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの合計量(A)は、0.05〜25ppmが好ましく、0.1〜20ppmがより好ましく、0.1〜5ppmが更に好ましい。以上の範囲内にあると、より優れた乳風味増強効果を得ることができる。
さらに、本発明の乳風味増強剤の全体に対する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの合計量(A)と、同乳風味増強剤の全体に対する酢酸、ジメチルジスルフィド及び1−ブタノールの合計量(B)の重量比((B)/(A)×100)は小さい程好ましく、具体的には0〜25%が好ましく、0〜18%がより好ましい。以上の範囲内にあると、乳風味以外の風味が感じられることが少なく、より優れた乳風味増強効果を得ることができる。
本発明の乳風味増強剤全体中の2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール、3−メチルブタナール、酢酸、ジメチルジスルフィド及び1−ブタノールの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析法によって測定できる。具体的な測定条件は以下の通りである。
(測定手順)
乳風味増強剤10gに蒸留水10gを加え、さらにテトラデカンの濃度が1ppmになるように添加し、よく攪拌したものをフラスコに投入して、下記の吸着条件に基づきTenax TAに乳風味増強剤のヘッドスペースガスの吸着を行なう。ヘッドスペースガスを吸着したTenax TAをインジェクション装置(GERSTEL社製、「TDS」)にセットし、下記の条件に基づきガスクロマトグラフ分析を行う。
(Tenax TAチューブへのヘッドスペースガス吸着条件)
トラップ管:Tenax TA(GERSTEL社製)
乳風味増強剤の品温:40℃
内部標準:テトラデカン1ppm(和光純薬工業株式会社製、「203−10702」)
キャリアーガス:窒素
キャリアーガス流量:毎分100mL
吸着時間:1時間
水抜きガス:窒素
水抜きガス流量:毎分150mLで15分間
(ガスクロマトグラフ条件)
ガスクロマトグラフ装置:Agilent Technologies社製 6890N
分析手段:昇温分析法
カラム:HP−INNOWAX
カラムサイズ:60m×0.25mm
キャリアーガス:ヘリウム
検出器(MS):Agilent Technologies社製 5973inert
イニシャル温度:40℃
イニシャル温度保持時間:2分間
昇温スピード:100℃まで毎分3℃、その後240℃まで毎分5℃
最終温度:240℃
最終温度保持時間:30分間
キャリアーガス:ヘリウム 206kPa
キャリアーガス流量:2.1ml/min
MS(検出器条件):イオン源温度 230℃、四重極温度 150℃
(インジェクション条件)
インジェクション装置:GERSTEL社製、「TDS」
Cold trap material:シリカキャピラリー
Sample Tube Material: Tenax TA
(TDS条件)
イニシャル温度:20℃
イニシャル温度保持時間:1分間
昇温スピード:毎分60℃
最終温度240℃
最終温度保持時間:5分間
(CIS条件)
イニシャル温度:−100℃
イニシャル温度保持時間:0.2分間
昇温スピード:毎分12℃
最終温度:240℃
最終温度保持時間:10分間
本発明の乳風味増強剤を製造する方法の一例を以下に説明する。
まず、前記植物由来エキスと前記糖類との原料混合物を加熱して前記混合加熱物を製造する。その際、該原料混合物が流動されながら均一に加熱されることが好ましい。前記植物由来エキスと前記糖類との原料混合物の全体に対する植物由来エキスと糖類の合計の含有量(乾燥重量)は、40〜80重量%が好ましく、50〜80重量%がより好ましい。合計含有量が40重量%より少ないと、香気成分が発現しにくく、目的とする乳風味増強効果を得ることができない場合があり、80重量%より多いと原料混合物中の固形分の割合が相対的に多くなり、混合加熱物の粘度が高くなるため、固形分が加熱によって焦げ付き、焦げた風味が生成される場合がある。
均一な加熱処理を施す手段としては特に限定されないが、仕込み量が10kg以下のような少量の場合、撹拌効率さえよければ、焦げを生じないように注意して加熱すればよく、例えばポータブルリアクターのような装置を使用できる。
しかし、仕込み量が10kgを超えるような大量になる場合、均一な加熱処理を施す手段としては、前記原料混合物を加熱装置の加熱容器内に導入し、該容器に設けた加熱面に強制的に接触させ、略均一な厚さの薄い膜状に拡げた状態で該加熱面に沿って流動させながら、所定の品温に到達するまで加熱処理できる装置を使用することが好ましい。そのような装置としては、従来公知のものを用いることができる。
このような加熱装置の例として、例えば図1に示すような二重筒加熱装置10を挙げることができる。図1(a)は、二重筒加熱装置10の側断面図、図1(b)は、図1(a)におけるI―I線断面図である。この二重筒加熱装置10は、それぞれ加熱用のジャケットを有する内筒12および外筒13の内外二本の円筒から加熱容器11を構成し、内筒12の外壁面12aと外筒13の内壁面13aとの二つの壁面間に、被加熱処理物である原料混合物の流路となる円筒状の間隙14を形成するとともに、間隙14に連通して、原料混合物の供給口14aと、加熱容器11内で加熱された原料混合物の排出口14bとが、それぞれ設けられている。この二重筒加熱装置10では、内筒12と外筒13とを相対的に回転させてもよい。その場合は、内筒12または外筒13の一方のみを回転させて他方は固定しておいても良いし、内筒12、外筒13の両方を互いに反対方向に回転させても良い。
また、加熱については、内筒12、外筒13の両方に加熱ジャケットを設けた両面加熱式でも良いし、いずれか一方のみに加熱ジャケットを設けて片面加熱としても良い。この二重筒加熱装置10では、内筒12および外筒13の内外二本の円筒のいずれか一方のジャケットまたは両方のジャケットに蒸気を導入し、供給口14aから加熱容器11内にポンプなどを用いて原料混合物を圧入すると、原料混合物は内筒12および/または外筒13からの加熱を受けながら、内筒12と外筒13との間の間隙14内を薄膜状となって排出口14bに向かって流動し、排出される。この時、内外二本の円筒12、13を相対的に回転させると、加熱容器11内に導入された原料混合物は、相対的に回転する内筒12と外筒13との間の間隙14内を、内筒12の外壁面と外筒13の内壁面との相対的移動方向(回転方向)に対して直交する方向(回転軸方向)に流動し、排出口14bから排出される。この装置では、内筒12の外径寸法と外筒13の内径寸法により間隙14の幅dを調整し、加熱容器11の間隙14内を流動する原料混合物の膜厚を調整することができる。また、加熱具合は、内筒12及び/または外筒13のジャケットに導入する蒸気圧と、前記膜厚(間隙14の幅d)に加えて、加熱容器11への原料混合物の単位時間当たりの圧入量(流量)で調整できる。
更に、複数の二重筒加熱装置10を連設する、または二重筒加熱装置10の排出口14bから排出された原料混合物を再度供給口14aに圧入することを繰り返して循環させることにより、原料混合物が目的とする特定量の2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール、3−メチルブタナール、酢酸、ジメチルジスルフィド及び1−ブタノールを生成する加工状態になるまで、加熱処理を繰り返し行うこともできる。
加熱面に沿って薄膜状に流動する原料混合物の膜厚は、使用する加熱装置の構造にもより特に限定されないが、通常は0.5〜125mmの範囲内が好ましい。前記膜厚が厚すぎると、薄膜状で流動する原料混合物の内部まで均一に加熱ができず、加熱面から遠いところではメイラード反応が進行しにくくなるため品質にムラが生じ、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールが所定の含有量にならず、目的とする乳風味増強効果を得ることができない場合がある。また、膜厚が薄すぎると、過熱により焦げ付き等が発生し、得られる乳風味増強剤の品質が低下する場合がある。原料混合物に対する加熱制御の容易さを考慮すると、前記膜厚は1mm〜30mmがより好ましく、2mm〜10mmが更に好ましい。
原料混合物を加熱する際の加熱温度は、最高到達品温が110〜160℃の範囲内になるように加熱することが好ましく、130〜160℃がより好ましく、140〜160℃が更に好ましい。加熱温度が110℃未満では2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールが所定の含有量にならず、目的とする乳風味増強効果を得ることができない場合がある。また、160℃を超えると、過熱により焦げ付き等が発生したり、酢酸や1−ブタノールの含有量が多くなり、風味が悪化する場合がある。
原料混合物を加熱する際の加熱時間は、上記最高到達品温に達温後、0.1秒〜5時間保持することが好ましく、1〜30分間保持することがより好ましい。加熱保持時間が0.1秒間よりも短いと2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの含有量が少なく、目的とする乳風味増強剤を得ることができない場合がある。また、5時間を超えると、過熱により焦げ付き等が発生したり、風味が悪化する場合がある。
原料混合物の品温が75℃から上記最高到達品温に到達するまでの平均昇温速度は1〜100℃/分が好ましく、3〜50℃/分がより好ましく、3〜30℃/分が更に好ましい。平均昇温速度が1℃/分より遅いと過熱により焦げ付き等が発生したり、風味が悪化する場合があり、100℃/分より早いと均質に加熱できずに品質にムラが生じ、目的とする乳風味増強効果が得られない場合がある。
また、上記最高到達品温に到達後、所定の時間保持した後、品温が75℃に到達するまでの平均降温速度は、5〜200℃/分が好ましく、10〜150℃/分がより好ましく、30〜100℃/分が更に好ましい。平均降温速度が5℃/分より遅いと所定の温度に達するまで加熱反応が継続して起こり、過反応により酢酸や1−ブタノールが多く生成してしまい、風味が悪化する場合があり、200℃/分より早いと工業的に生産するのが困難になる場合がある。
以上のようにして製造した混合加熱物を、そのまま本発明の乳風味増強剤としてもよいし、混合加熱物に、上述したような他の成分を添加し、常法により混合して本発明の乳風味増強剤を製造することもできる。
本発明の乳風味増強剤はパン・菓子用乳風味増強剤であり、パン生地もしくは菓子生地に配合して使用するか、または、パン・菓子練り込み用油中水型乳化油脂組成物もしくはパン・菓子練り込み用水中油型乳化油脂組成物に配合して、これら組成物をパン生地もしくは菓子生地に練り込むために使用することができる。なお、本願における「練り込み用」には通常の練り込み用途に加えて、折り込み用途も含むものとする。
本発明のパンは、穀粉、本発明の乳風味増強剤、乳固形分、油脂、パン酵母及び水分をそれぞれ特定量配合した原材料を混捏して作製したパン生地を加熱調理して得られるものを言い、例えば、食パン、あんパンやクリームパンの菓子パン、ロールパン、フランスパン等の堅焼きパン、デニッシュペストリー、クロワッサン、デニッシュブレッド等の層状膨化パン、バラエティブレッド、サンドイッチ等の調理パン、蒸しパン、またはそれらの二次加工品、或いはレンジ調理を必要とするもの等が挙げられる。
前記穀粉は、食用であれば特に限定はないが、例えば、小麦、米、とうもろこし、馬鈴薯、タピオカ、甘藷など、或いはそれらを由来とする澱粉及びその加工澱粉が例示でき、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。そして、該穀粉中には、小麦粉を80重量%以上含有することが好ましい。前記小麦粉は、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができるが、蛋白質含量の多い強力粉を使用することが望ましく、強力粉の含量は前記小麦粉中、50〜100重量%が好ましく、60〜100重量%がより好ましく、70〜100重量%が更に好ましい。
本発明において、パン生地中の乳風味増強剤の含有量は、良好な乳風味増強効果を達成するために、前記穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.0001〜3重量部が好ましく、0.001〜1重量部がより好ましく、0.005〜0.1重量部が更に好ましい。
前記乳固形分としては、例えば、バター、乳脂肪、牛乳、クリーム、脱脂乳、バターミルク、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白質、カゼイン蛋白質、乳清ミネラル、加糖練乳、無糖練乳、チーズ等やこれら乳固形分のリパーゼ処理物が挙げられる。前記乳固形分の含有量は、パン生地中の穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.005〜50重量部が好ましく、0.01〜35重量部がより好ましく、0.05〜10重量部が更に好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。乳固形分の含有量が0.005重量部以上であると、より好ましい乳風味を達成することができる。また、含有量が多すぎるとコストがかかりすぎる場合がある。
また、前記乳固形分の少なくとも一部に、乳固形分のリパーゼ処理物を配合することが好ましい。前記乳固形分のリパーゼ処理物は、乳脂肪、乳蛋白質及び水を主成分とする混合物のリパーゼ処理物を言う。
前記リパーゼ処理物中の乳脂肪は、生クリームやバターなどから水相部分を除去して得られるものを意味し、前記リパーゼ処理物全体中10〜99.8重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましく、30〜70重量%がより好ましく、40〜60重量%が更に好ましい。含有量が10重量%より少ないとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合があり、99.8重量%より多いと脂肪分解臭が強く、逆に乳風味増強効果が低減する場合がある。
前記リパーゼ処理物中の乳蛋白質は、生乳に含まれる蛋白質を意味し、カゼイン、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、ラクトフェリン、血清アルブミン及び免疫グロブリンなどが挙げられ、前記リパーゼ処理物全体中0.1〜50重量%が好ましく、0.1〜30重量%がより好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、0.1〜3重量%が更に好ましい。含有量が0.1重量%より少ないとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合があり、50重量%より多いと逆に乳風味増強効果が低減する場合がある。
前記リパーゼ処理物中の水分量は、前記リパーゼ処理物全体中0.1〜70重量%が好ましく、0.1〜40重量%がより好ましく、0.1〜30重量%がより好ましく、0.1〜20重量%が更に好ましい。含有量が0.1重量%より少ないとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合があり、70重量%より多いと逆に乳風味増強効果が低減する場合がある。
前記リパーゼ処理物で使用するリパーゼは、脂質を構成するエステル結合を加水分解する酵素のことを言い、例えば、Aspergillus niger、Candida rugosa、Candida lipolytica、Rhizopus oryzae、Penicillium camembertii、Penicillium roqueforti、Mucor javanicusなどの微生物由来の酵素や、子牛舌下腺、膵臓からの抽出物などが例示できる。
前記リパーゼ処理物は、以下に例示する製造方法により得ることができる。即ち、融解した前記乳脂肪に、前記乳蛋白質及び水を混合して、前記リパーゼの至適温度±20℃に温調した混合物100重量部に対して、前記リパーゼを0.0001〜5重量部添加し、攪拌しながら1〜300時間保持して処理することで得られる。処理の度合いは、リパーゼによる油脂の分解度で、2〜90%が好ましく、5〜50%がより好ましい。油脂の分解度が2%より小さいと、本発明の乳風味増強効果が劣る場合があり、また90%より大きいと異味が付与される場合がある。なお、油脂の分解度とは〔{(酸価)/(けん化価)}×100〕によって求められる値を言う。前記リパーゼ処理物は、市販で入手できるものとして、「CFI740」(The TATUA Co-operative Dairy Company製)、「バターフレーバーBF−S」(森永乳業(株)社製)、「BUTTER BUDS HIGH CONCENTRATE UNCOLORED」(ButterBuds Inc.製)、「バタロンパウダー」(横山香料(株)社製)などが例示でき、これらを適宜使用することができる。
前記リパーゼ処理物の含量は、前記乳固形分中、0.1〜100重量%が好ましく、0.1〜60重量%がより好ましく、0.1〜40重量%が更に好ましい。0.1重量%より少ないとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合がある。
また、前記パン生地中、本発明の乳風味増強剤/前記リパーゼ処理物の含有量比は、99/1〜15/85(乾燥重量比)が好ましく、99/1〜30/70(乾燥重量比)がより好ましく、99/1〜40/60(乾燥重量比)が更に好ましい。含有量比が99/1より大きい、或いは15/85より小さいとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記油脂は、従来マーガリンやショートニング等に使用されるいかなる油脂を使用してもよく、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サフラワー油、向日葵油、綿実油、菜種油、コーン油、大豆油、米糠油、オリーブ油、カカオ脂、シア脂等の植物油脂や、魚油、牛脂、乳脂、豚脂等の動物油脂、また、これらの油脂をエステル交換したものや、硬化、分別したもの等が挙げられる。
前記パン生地中の油脂の含有量は、練り込み用途として使用する場合、前記穀粉100重量部に対して、2〜40重量部が好ましく、5〜40重量部がより好ましく、8〜30重量部が更に好ましい。含有量が2重量部より少ないと、生地の伸展性が低下したり、出来たパンが硬くなる場合があり、40重量部を超えると、生地作製時にダレが生じたり、焼成後のパンから油のしみ出しが見られたり、食感が悪い場合がある。また前記油脂の含有量は、折り込み用途として使用する場合、前記穀粉100重量部に対して、30〜100重量部が好ましく、30〜80重量部がより好ましく、40〜60重量部が更に好ましい。含有量が30重量部より少ないと、生地の伸展性が低下したり、出来たパンのボリュームが小さかったり、食感が悪い場合があり、100重量部を超えると、生地作製時にダレが生じたり、焼成後のパンから油のしみ出しが見られたり、食感が悪い場合がある。
前記パン生地に使用するパン酵母は、糖を資化して炭酸ガスおよびアルコールを生成し、有機酸および香気成分をも生成する微生物をいい、例えば、サッカロミセス・セレビシエなど、通常製パンに使用する酵母等を用いることができる。前記パン酵母の添加量は、穀粉100重量部に対して、乾燥重量換算で0.2〜2.0重量部が好ましく、0.4〜1.5重量部がより好ましい。添加量が0.2重量部より少ないと、発酵に時間がかかり生産効率が悪い場合がある。また2.0重量部より多いと、パン酵母自体の好ましくない風味が付与される場合がある。
前記パン生地への水の添加量は、前記穀粉100重量に対して25〜60重量部が好ましく、30〜50重量部がより好ましい。添加量が25重量部より少ないと、出来たパンの食感がぱさつく場合があり、60重量部より多いと、焼成前の生地がべたついたり、混捏時間が長くなる場合がある。
本発明のパン生地には、前記以外の原料として、糖類、食塩、アミラーゼなどの酵素類、卵、増粘多糖類及び乳化剤などの材料を配合することができる。
本発明のパンの製造方法は、常法に従えば良いが、以下に例示する。パンは、前記穀粉と、本発明の乳風味増強剤、乳固形分、油脂、パン酵母、水及び必要に応じてその他の卵、糖類などを原料とし、ノータイム法、ストレート法、中種法、冷蔵中種法、冷凍生地製法など一般的な製パン工程を通じてパン生地を調製した後、該生地を加熱調理することで、容易に乳脂肪感、乳の甘味、濃厚な乳感とコク等の乳風味を有するパンを得ることができる。
本発明の菓子は、穀粉、本発明の乳風味増強剤、乳固形分及び油脂をそれぞれ特定量配合した原材料を混捏して作製した菓子生地を加熱調理して得られるものを言い、例えば、例えば、クッキー、ビスケット、クラッカー、プレッツェル、バターケーキ、スポンジケーキ、パイ等が挙げられる。
前記菓子生地中の穀粉は、前記パンで使用する穀粉と同様の物であり、該穀粉中には、同様に小麦粉を80重量%以上含有することが好ましい。そして前記小麦粉は、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができるが、パンとは異なり蛋白質含量の少ない薄力粉を使用することが望ましく、薄力粉の含量は前記小麦粉中、50〜100重量%が好ましく、60〜100重量%がより好ましく、70〜100重量%が更に好ましい。
本発明において、菓子生地中の乳風味増強剤の含有量は、良好な乳風味増強効果を達成するために、前記穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.001〜10重量部が好ましく、0.005〜1重量部がより好ましく、0.008〜0.8重量部が更に好ましい。
前記菓子生地中の乳固形分は、前記パンで使用する乳固形分と同様の物であり、その含有量は、菓子生地中の穀粉100重量部に対して、乾燥重量で0.005〜120重量部が好ましく、0.01〜100重量部がより好ましく、0.1〜80重量部が更に好ましく、1〜50重量部が特に好ましい。乳固形分の含有量が0.005重量部以上であると、より好ましい乳風味を達成することができる。また、含有量が多すぎるとコストがかかりすぎる場合がある。
また、前記乳固形分の少なくとも一部として、前記乳固形分のリパーゼ処理物を配合することが好ましい。前記乳固形分のリパーゼ処理物は、前記パンで使用した乳固形分のリパーゼ処理物と同様の物であり、前記リパーゼ処理物の含量は、前記乳固形分中0.1〜100重量%が好ましく、0.1〜60重量%がより好ましく、0.1〜40重量%が更に好ましい。0.1重量%より少ないとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合がある。
また、前記菓子生地中、本発明の乳風味増強剤と前記リパーゼ処理物の含有量比は、99/1〜15/85(乾燥重量比)が好ましく、99/1〜30/70(乾燥重量比)がより好ましく、99/1〜40/60(乾燥重量比)が更に好ましい。含有量比が99/1より大きい、或いは15/85より小さいとより好ましい乳風味増強効果が得られない場合がある。
前記菓子生地中の油脂は、前記パンで使用する油脂と同様であり、その含有量は、練り込み用途として使用する場合、前記穀粉100重量部に対して、15〜200重量部が好ましく、25〜150重量部がより好ましく、35〜100重量部が更に好ましい。含有量が15重量部より少ないと、生地の伸展性が低下したり、出来た菓子が硬くなる場合があり、200重量部を超えると、生地作製時にダレが生じたり、焼成後の菓子から油のしみ出しが見られたり、食感が悪い場合がある。また前記油脂の含有量は、折り込み用途として使用する場合、前記穀粉100重量部に対して、30〜150重量部が好ましく、40〜100重量部がより好ましく、50〜100重量部が更に好ましい。含有量が30重量部より少ないと、生地の伸展性が低下したり、出来た菓子のボリュームが小さかったり、食感が悪い場合があり、150重量部を超えると、生地作製時にダレが生じたり、焼成後の菓子から油のしみ出しが見られたり、食感が悪い場合がある。
本発明の菓子生地には、前記以外の原料として、糖類、卵、増粘多糖類、アミラーゼなどの酵素類、乳化剤及び水などの材料を配合することができる。
本発明の菓子の製造方法は、常法に従えば良いが、以下に例示する。菓子は、前記穀粉と、本発明の乳風味増強剤、乳固形分、油脂及び必要に応じてその他の卵、糖類などを原料とし、オールインミックス法、後粉法、シュガーバッター法、フラワーバッター法等、公知の方法に準じて菓子生地を調製した後、該生地を加熱調理することで、容易に乳脂肪感、乳の甘味、濃厚な乳感とコク等の乳風味を有する菓子を得ることができる。
本発明の乳風味増強剤に乳固形分、油脂、及び水等を配合して、本発明の油中水型乳化油脂組成物、又は水中油型乳化油脂組成物を製造することができる。本発明の油中水型乳化油脂組成物、又は水中油型乳化油脂組成物はパン・菓子練り込み用の組成物であり、前記パン生地および菓子生地を作製するに際しては、本発明の乳風味増強剤に替えて、このような油中水型乳化油脂組成物又は水中油型乳化油脂組成物を配合することもできる。また、パン生地又は菓子生地には、該油中水型乳化油脂組成物又は水中油型乳化油脂組成物に加えて、本発明の乳風味増強剤、油脂、乳固形分などを配合しても良い。さらに、本発明の油中水型乳化油脂組成物又は水中油型乳化油脂組成物には、前記記載の原材料の他に、必要に応じて、糖類、食塩、乳化剤、増粘剤、香料、酸化剤及び各種酵素などを配合することもできる。
前記油中水型乳化油脂組成物は、油脂を含有する油相部と、前記乳風味増強剤、前記乳固形分及び水分を含有する水相部からなる。
前記油中水型乳化油脂組成物中の油脂の種類は、前記パンや菓子中の油脂と同様であり、その含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物中40〜97重量%が好ましく、50〜95重量%がより好ましく、60〜85重量%が更に好ましい。含有量が40重量%より少ないと、パン生地又は菓子生地に油中水型乳化油脂組成物を練り込むための好ましい物性を得ることができない場合がある。また含有量が97重量%を超えると、好ましい風味を付与するに十分な水溶性風味素材を添加することができない場合がある。
前記油中水型乳化油脂組成物中の乳風味増強剤の含有量は、良好な乳風味増強効果を達成するために、前記油中水型乳化油脂組成物中、乾燥重量で0.015〜5重量%が好ましく、0.03〜3重量%がより好ましく、0.1〜1重量%が更に好ましい。
前記油中水型乳化油脂組成物中の乳固形分は、前記パンや菓子中の乳固形分と同様の物であり、その含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物全体中、乾燥重量で0.1〜70重量%が好ましく、0.5〜50重量%がより好ましく、1〜30重量%が更に好ましい。乳固形分の含有量が0.1重量%以上であると、より好ましい乳風味を達成することができる。また、含有量が多すぎるとコストがかかりすぎる場合がある。なお、乳脂肪は乳固形分と油脂のいずれにも該当するため、前記油中水型乳化油脂組成物に乳脂肪を配合する場合には、上述した乳固形分の含量及び油脂の含有量のいずれを算出する際にも、乳脂肪の含有量を考慮するものとする。
前記水の含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物中、2〜55重量%が好ましく、3〜40重量%がより好ましく、4〜30重量%が更に好ましい。含有量が2重量%より少ないと前記乳風味増強剤や乳固形分を溶解できず生産が困難となる場合があり、55重量%より多いと乳化が不安定になって、製造時に離水し安定的に生産することが困難となる場合がある。
本発明の油中水型乳化油脂組成物の製造方法は、通常の油中水型油脂組成物と同様の方法で実施すれば良いが、以下に例示する。まず、50〜80℃に加温融解した油脂に油溶性原料を混合して油相部を得る。一方、50〜70℃の温水に、前記乳風味増強剤、乳固形分などの水系原料を攪拌溶解して水相部を得る。前記油相部に前記水相部を添加し、予備乳化した乳化液を、急冷捏和装置にて捏和して、本発明の油中水型乳化油脂組成物を得る。
前記水中油型乳化油脂組成物は、油脂を含有する油相部と、前記乳風味増強剤、前記乳固形分及び水分を含有する水相部からなる。
前記水中油型乳化油脂組成物中の油脂の種類は、前記パンや菓子中の油脂と同様であり、その含有量は、前記水中型油乳化油脂組成物中5〜60重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、15〜45重量%が更に好ましい。含有量が5重量%より少ないと、目的とする乳風味増強効果が十分に得られない場合がある。また含有量が60重量%を超えると、パン生地又は菓子生地に水中油型乳化油脂組成物を練り込むための好ましい物性を得ることができない場合がある。
前記水中油型乳化油脂組成物中の乳風味増強剤の含有量は、良好な乳風味増強効果を達成するために、前記水中油型乳化油脂組成物中、乾燥重量で0.015〜5重量%が好ましく、0.03〜3重量%がより好ましく、0.1〜1重量%が更に好ましい。
前記水中油型乳化油脂組成物中の乳固形分は、前記パンや菓子中の乳固形分と同様の物であり、その含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中、乾燥重量で0.1〜70重量%が好ましく、0.5〜50重量%がより好ましく、1〜30重量%が更に好ましい。乳固形分の含有量が0.1重量%以上であると、より好ましい乳風味を達成することができる。また、含有量が多すぎるとコストがかかりすぎる場合がある。なお、乳脂肪は乳固形分と油脂のいずれにも該当するため、前記水中油型乳化油脂組成物に乳脂肪を配合する場合には、上述した乳固形分の含量及び油脂の含有量のいずれを算出する際にも、乳脂肪の含有量を考慮するものとする。
前記水の含有量は、前記水中油型乳化油脂組成物全体中40〜90重量%が好ましく、45〜85重量%がより好ましく、50〜80重量%が更に好ましい。含有量が40重量%より少ないと、パン生地又は菓子生地に水中油型乳化油脂組成物を練り込むための好ましい物性を得ることができない場合があり、90重量%より多いと目的とする乳風味増強効果が十分に得られない場合がある。
本発明の水中油型乳化油脂組成物の製造方法は、常法に従えば良いが、以下に例示する。まず、油脂、乳化剤等の油系原料を混合して50〜80℃に加温溶解した油相部と、前記乳風味増強剤、水溶性乳化剤や蛋白質などの水系原料を50〜70℃の温水に攪拌溶解した水相部とを予備乳化し、その後、均質化、殺菌、均質化、冷却などの通常行われる各処理を行うことにより、本発明の水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。前記均質化処理は、通常行われる方法であれば何れでも良く、高圧ホモジナイザーの使用が一般的である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<パン、菓子、マーガリン及び水中油型乳化油脂組成物の官能評価方法>
実施例及び比較例で作製したパン、菓子、マーガリン及び水中油型乳化油脂組成物を、熟練した10名のパネラーに食べて評価してもらい、それらの平均点を評価値とした。その際の評価基準は、以下の通りである。
(乳脂肪感)
5点:バターや生クリームを食べた時に感じる、濃厚な乳脂肪の風味が非常に強く、大変好ましい。
4点:バターや生クリームを食べた時に感じる、濃厚な乳脂肪の風味が強く、好ましい。
3点:バターや生クリームを食べた時に感じる、濃厚な乳脂肪の風味がやや強く、やや好ましい。
2点:バターや生クリームを食べた時に感じる、濃厚な乳脂肪の風味が弱く、物足りない。
1点:バターや生クリームを食べた時に感じる、濃厚な乳脂肪の風味が感じられない。
(乳の甘み)
5点:温めたミルクを飲んだ時に感じる、甘い風味が非常に強く、大変好ましい。
4点:温めたミルクを飲んだ時に感じる、甘い風味が強く、好ましい。
3点:温めたミルクを飲んだ時に感じる、甘い風味がやや強く、やや好ましい。
2点:温めたミルクを飲んだ時に感じる、甘い風味が弱く、物足りない。
1点:温めたミルクを飲んだ時に感じる、甘い風味が感じられない。
(乳感)
5点:ミルクを飲んだ時に感じる、乳の風味が非常に強く、大変好ましい。
4点:ミルクを飲んだ時に感じる、乳の風味が強く、好ましい。
3点:ミルクを飲んだ時に感じる、乳の風味がやや強く、やや好ましい。
2点:ミルクを飲んだ時に感じる、乳の風味が弱く、物足りない。
1点:ミルクを飲んだ時に感じる、乳の風味が感じられない。
(コク)
5点:バターや生クリームを食べた時に感じる、風味の複雑さ、まとまり、後味の好ましい風味が非常に強く、大変好ましい。
4点:バターや生クリームを食べた時に感じる、風味の複雑さ、まとまり、後味の好ましい風味が強く、好ましい。
3点:バターや生クリームを食べた時に感じる、風味の複雑さ、まとまり、後味の好ましい風味がやや強く、やや好ましい。
2点:バターや生クリームを食べた時に感じる、風味の複雑さ、まとまり、後味の好ましい風味が弱く、物足りない。
1点:バターや生クリームを食べた時に感じる、風味の複雑さ、まとまり、後味の好ましい風味が感じられない。
<総合評価>
パン、菓子、マーガリン及び水中油型乳化油脂組成物の官能評価(乳脂肪感、乳の甘み、乳感、コク)の各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:パン、菓子、マーガリン又は水中油型乳化油脂組成物の乳脂肪感、乳の甘み、乳感、コクの評価が全て4.5点以上。
4点:パン、菓子、マーガリン又は水中油型乳化油脂組成物の乳脂肪感、乳の甘み、乳感、コクの評価で4点未満がなく、且つ1つ以上が4点以上4.5点未満。
3点:パン、菓子、マーガリン又は水中油型乳化油脂組成物の乳脂肪感、乳の甘み、乳感、コクの評価で3点未満がなく、且つ1つ以上が3点以上4点未満。
2点:パン、菓子、マーガリン又は水中油型乳化油脂組成物の乳脂肪感、乳の甘み、乳感、コクの評価で1.5点未満がなく、且つ1つ以上が1.5点以上3点未満。
1点:パン、菓子、マーガリン又は水中油型乳化油脂組成物の乳脂肪感、乳の甘み、乳感、コクの評価で1つ以上が1.5点未満。
なお、実施例及び比較例で使用した原料は、以下の通りである。
1−A)三菱商事フードテック(株)製「コンブエキスB5」(固形分量:52重量%)
1−B)MCフーズスペシャリティー(株)製「ハイクックこんぶエキスパウダーM−3」(固形分量:97.6重量%)
2)三菱商事フードテック(株)製「バイオコンクS」(固形分量:23重量%)
3)ユニテックフーズ(株)製「UMAMIエンハンサー」(固形分量:83重量%)
4)MCフーズスペシャリティー(株)製「さかしお10号」(固形分量:44重量%)
5)MCフーズスペシャリティー(株)製「WA−3」(固形分量:99重量%)
6)キッコーマン(株)製「小麦発酵調味料」(固形分量:99重量%)
7)大日本明治製糖(株)製「ラクトベースLB−BT」(固形分量:95重量%)
8)昭和産業(株)製「ニューフラクトR−30」(固形分量:75重量%(内訳:グルコース30重量%、フルクトース45重量%))
9)ピュアモルト社製「CB30」(固形分量:65重量%)
10)日研フード(株)製「チキンミートペースト」(固形分量:47重量%)
11)(株)カネカ製「エステル交換油脂」(パーム油:80重量%とパーム核油:20重量%の化学エステル交換油脂)
12)(株)カネカ製「精製ナタネ油」
13)よつ葉乳業(株)製「無塩バター」(よつ葉バター(食塩不使用)を溶解し、遠心分離して水相部を除去したもの)
14)よつ葉乳業(株)製「脱脂粉乳」(乳固形分:97重量%)
15)The TATUA Co-operative Dairy Company製「CFI740」(乳脂肪:42.0重量%、乳蛋白質:1.9重量%、水分53.1重量%)
16)ADM製「YelkinTS」
17)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS−5S」
18)日清製粉(株)製「カメリア」
19)(株)カネカ製「カネカイーストDR」
20)東洋精糖(株)製「上白糖」
21)キューピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)」
22)日清製粉(株)製「バイオレット」
23)公益財団法人塩事業センター製「精製塩」
24)奥野製薬工業(株)社製「ベーキングパウダー」
25)(株)トクヤマ製「重曹」
(実施例1)乳風味増強剤の作製
表1に示す配合に従い、密閉式加熱処理装置(耐圧硝子工業(株)製、ポータブルリアクター「TPR1−VS2−500」、以下の表1〜4の中では「PR」と表記)を用いて、混合加熱物を作製した。ポータブルリアクターは、加熱処理前にその中へ約60℃の温水200gを投入し、150℃まで加熱後、温水を容器外に取り出す操作を行うことで、容器を十分に温めた状態で使用した。昆布エキス、異性化液糖及び水を混合し、75℃に温調して、混合液を調製した。この混合液400gを、前記密閉式加熱処理装置に投入し、1000rpmで攪拌しながら、密閉状態で品温が75℃から140℃になるまで平均昇温速度5.1℃/分で加熱した。140℃に達温後、4分間ホールドし、製品出口コックを開放し、加熱処理混合物をステンレスビーカーに受け、直ちに氷水を入れたボールにステンレスビーカーを浸けて、ゴムベラで撹拌しながら、品温が140℃から75℃になるまで平均降温速度64.2℃/分で冷却し、混合加熱物を得た。これを実施例1の乳風味増強剤とした。
Figure 0006694283
(実施例2〜6、比較例1)乳風味増強剤の作製
表1に示す配合に従い、昆布エキスを他の植物由来エキス又は酵母エキスに替え、エキスと糖類の合計の固形分量が実施例1と同じ54.4重量%に近付くように水の添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして、乳風味増強剤を得た。
(実施例7,8、比較例2)乳風味増強剤の作製
表2に示す配合に従い、植物由来エキスと糖類の乾燥重量比は実施例1と同じ(17/83)で、植物由来エキスと糖類の合計の固形分量が変わるように、昆布エキスと異性化液糖の添加量を変えて、水の添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして乳風味増強剤を得た。
Figure 0006694283
(実施例9,10、比較例3,4)乳風味増強剤の作製
表2に示す配合に従い、植物由来エキスと糖類の合計の固形分量は実施例1と同じ54.4重量%近くで、植物由来エキスと糖類の乾燥重量比が変わるように、昆布エキスと異性化液糖の添加量を変えて、水の添加量を調整した以外は、実施例1と同様にして乳風味増強剤を得た。
(実施例11,12、比較例5,6)乳風味増強剤の作製
表3に示す配合に従い、混合加熱物の配合(原材料)は同じで、最高到達品温及び最高到達品温での保持時間を変えた以外は、実施例8と同様にして乳風味増強剤を得た。
Figure 0006694283
(比較例7)乳風味増強剤の作製(特許文献1の実施例1に準拠)
表3に示す配合に従い、昆布エキスと異性化液糖の替わりに、麦芽エキスを使用し、最高到達品温を150℃及び最高到達品温での保持時間を0.1秒に変えた以外は、実施例8と同様にして乳風味増強剤を得た。
(実施例13)乳風味増強剤の作製
表3に示す配合に従い、図1の二重筒加熱装置を用いて混合加熱物を作製した。昆布エキス、米糠発酵物及び異性化液糖を混合した後、60℃に温調して、混合液を調製した。この混合液80kgを、二重筒加熱装置に圧入させ、品温が75℃から155℃になるまで平均昇温速度14.5℃/分で連続的に加熱処理を行い加熱した。155℃に達温後、2.7分間ホールドし、平均降温速度62.6℃/分で、75℃まで冷却して、乳風味増強剤を得た。
(実施例14)乳風味増強剤の作製
表3に示す配合に従い、昆布エキスの種類と量を変え、昆布エキス、米糠発酵物及び異性化液糖を混合し、最高到達品温を155℃、最高到達品温での保持時間を3分間に変えた以外は、実施例8と同様にして乳風味増強剤を得た。
(実施例15〜17)乳風味増強剤(非加熱物との混合)の作製
表4に示す配合に従い、実施例1で得た混合加熱物と、非加熱物のエキス(昆布エキス(実施例15)、チキンエキス(実施例16)、米糠発酵物(実施例17))、異性化液糖及び必要に応じて水を混合して、実施例1の混合加熱物を70重量%含む乳風味増強剤を得た。
Figure 0006694283
(実施例18)油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)の作製
表5に示す配合に従い、油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、エステル交換油脂、精製ナタネ油を70℃に加温・融解して油相部を調製した。次に、60℃の温水に乳風味増強剤(実施例1)及び脱脂粉乳を撹拌混合して水相部を調製した。油相部に水相部を徐々に添加し、その後約60℃に温調し、プロペラミキサーにて攪拌混合し乳化液にした。その後、急冷捏和装置にて捏和して、出口温度を15℃としてマーガリンを排出して得た。得られたマーガリンの官能評価結果を表5に示した。
Figure 0006694283
(参考例1)油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)の作製
表5に示す配合に従い、乳風味増強剤を添加せずに、水で全体量を調整した以外は、実施例18と同様にしてマーガリンを得た。
(実施例19)油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)の作製
表5に示す配合に従い、エステル交換油脂と精製ナタネ油の混合比率はほぼ同じで、合計の配合量を10重量部減らした替わりに乳脂肪を添加した以外は、実施例18と同様にしてマーガリンを得た。得られたマーガリンの官能評価結果を表5に示した。
(実施例20〜22)油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)の作製
表5に示す配合に従い、脱脂粉乳の替わりにクリームのリパーゼ処理物を異なる量で配合し、水で全体量を調整した以外は、実施例19と同様にしてマーガリンを得た。得られたマーガリンの官能評価結果を表5に示した。
(比較例8)油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)の作製
表5に示す配合に従い、脱脂粉乳を配合せず、水で全体量を調整した以外は、実施例18と同様にして、マーガリンを得た。得られたマーガリンの官能評価結果を表5に示した。
(比較例9)油中水型乳化油脂組成物(マーガリン)の作製
表5に示す配合に従い、実施例1の乳風味増強剤に替えて比較例3の乳風味増強剤を添加した以外は、実施例22と同様にしてマーガリンを得た。得られたマーガリンの官能評価結果を表5に示した。
実施例1の乳風味増強剤を使用したマーガリン(実施例18)はバターの乳脂肪感、乳の甘み、濃厚な乳感とコクが感じられ、更に実施例18の油脂の一部を乳脂肪に変更したマーガリン(実施例19)はより好ましい乳風味が感じられ良好な評価であった。また、実施例19における脱脂粉乳をクリームのリパーゼ処理物に変更したマーガリン(実施例20〜22)は、乳風味が一段と向上し、非常に良好な評価結果であった。一方、乳固形分を配合しなかったマーガリン(比較例8)は、乳風味が感じられなかった。また、糖類を含まず植物由来エキスのみを加熱して得られた比較例3の乳風味増強剤を使用したマーガリン(比較例9)は、乳風味がもの足りなかった。
(実施例23)水中油型乳化油脂組成物の作製
表6に示す配合に従い、水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、精製ナタネ油に、レシチンを添加し、65℃で溶解して油相部を作製した。また、乳風味増強剤(実施例1)、脱脂粉乳、クリームのリパーゼ処理物及びポリグリセリン脂肪酸エステルを60℃の水に溶解して水相部を作製した。上記水相部に油相部を加えて混合した後20分間予備乳化し、その後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で処理した後に、UHT殺菌機を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて6MPaの圧力で処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却したものを容器に充填し、水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた水中油型乳化油脂組成物の官能評価結果を表6に示した。
Figure 0006694283
その結果、実施例23の水中油型乳化油脂組成物は、乳脂肪感、乳の甘み、濃厚な乳感及びコクがバランス良く感じられ良好な評価であった。
(実施例24)ロールパンの作製
表7に示す配合に従い、ロールパンを作製した。即ち、強力粉、イースト、上白糖、全卵、水をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサー(関東混合機工業(株)製「カントーミキサー」)にフックを取り付け、低速で3分間、高速で3分間混捏して生地を得た。得られた生地を28℃の恒温槽にて2時間30分間発酵し、中種生地を得た。続いて、強力粉、薄力粉、上白糖、食塩、脱脂粉乳、水と中種生地をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサーで低速で2分間、高速で5分間混捏した。さらに参考例1のマーガリンと実施例1の乳風味増強剤をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、高速で5分間混捏した。得られた生地を28℃の恒温槽にて、60分間フロアータイムをとった後、60gずつの生地に分割した。分割後、28℃で20分間のベンチタイムをとり、モルダー((株)フジサワ製「FM−31Z」)にて生地を伸ばした後、カールして展圧し、棒状の成型物を得た。この成型物を天板の上に置き、温度:38℃、湿度:75%で60分間最終発酵を行った。最終発酵後、200℃のオーブンで9分間焼成し、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表7に示した。
Figure 0006694283
(比較例10)ロールパンの作製
表7に示す配合に従い、乳風味増強剤を添加しなった以外は、実施例24と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表7に示した。
(実施例25)ロールパンの作製
表7に示す配合に従い、クリームのリパーゼ処理物を添加し、水で全体量を調整した以外は、実施例24と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表7に示した。
(実施例26)ロールパンの作製
表7に示す配合に従い、乳風味増強剤の添加量を増加し、水で全体量を調整した以外は、実施例25と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表7に示した。
(実施例27,28)ロールパンの作製
表7に示す配合に従い、実施例1の乳風味増強剤と参考例1のマーガリンに替えて、乳風味増強剤とクリームのリパーゼ処理物を配合した実施例20又は21のマーガリンを添加した以外は、実施例24と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表7に示した。
(実施例29)ロールパンの作製
表7に示す配合に従い、実施例1の乳風味増強剤0.015重量部の代わりに、乳風味増強剤とクリームのリパーゼ処理物を配合した実施例23の水中油型乳化油脂組成物10重量部を用い、参考例1のマーガリンの添加量を12.5重量部に変更し、水で全体量を調整した以外は、実施例24と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表7に示した。
実施例1の乳風味増強剤を使用したロールパン(実施例24)は、良好な乳風味が感じられたが、乳風味増強剤を使用しなった比較例10のロールパンは乳風味が弱かった。また、実施例24の配合にクリームのリパーゼ処理物を添加したロールパン(実施例25,26)は乳風味が増強され、乳風味増強剤とクリームのリパーゼ処理物を配合した実施例20又は21のマーガリンを添加したロールパン(実施例27,28)は乳風味が強く感じられ良好な評価結果であった。
更に、乳風味増強剤とクリームのリパーゼ処理物を配合した水中油型乳化油脂組成物を使用したロールパン(実施例29)は、乳風味が強く感じられた。
(実施例30〜34、比較例11)ロールパンの作製
表8に示す配合に従い、実施例1の乳風味増強剤の代わりに、実施例2〜6又は比較例1の乳風味増強剤を使用した以外は、実施例25と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表8に示した。
Figure 0006694283
表8から明らかなように、種々の植物由来エキスを原料とした実施例1〜6の乳風味増強剤を添加したロールパン(実施例25〜34)は何れも乳風味が強く感じられ良好な評価結果であったが、植物由来エキスではなく酵母エキスを原料とした比較例1の乳風味増強剤を添加したロールパン(比較例11)は、硫黄臭が感じられ乳風味としては好ましくなかった。
(実施例35〜38、比較例12〜14)ロールパンの作製
表9に示す配合に従い、実施例1の乳風味増強剤の代わりに、実施例7〜10又は比較例2〜4の乳風味増強剤を使用した以外は、実施例25と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表9に示した。
Figure 0006694283
表9から明らかなように、植物由来エキスと糖類の合計の固形分量が40.8〜69.7%である実施例7〜9の乳風味増強剤を添加したロールパン(実施例35〜37)は、何れも乳風味が感じられ、特に固形分量が69.7%の乳風味増強剤を添加したロールパン(実施例36)が良好な評価結果であった。一方、固形分濃度が27.2%である比較例2の乳風味増強剤を使用したロールパン(比較例12)は、乳風味が弱くもの足りなかった。
また、植物由来エキス/糖類の乾燥重量比が75/25である実施例10の乳風味増強剤を使用したロールパン(実施例38)は、乳風味が感じられたものの、乾燥重量比が100/0や0.01/99.99である比較例3又は4の乳風味増強剤を使用したロールパン(比較例13,14)はどちらも乳風味が弱かった。
(実施例39〜42、比較例15〜17)ロールパンの作製
表10に示す配合に従い、実施例8の乳風味増強剤の代わりに、実施例11〜14又は比較例5〜7の乳風味増強剤を使用した以外は、実施例36と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表10に示した。
Figure 0006694283
表10から明らかなように、最高到達品温又は最高到達品温での保持時間が異なっていても各化合物の含量が本発明の要件を満足する実施例8、11、12の乳風味増強剤を使用したロールパン(実施例36,39,40)は何れも乳風味が感じられたが、5−メチルフルフラールの含量が本発明の要件を満足しない比較例5、又は、酢酸及び1−ブタノールの含量が本発明の要件を満足しない比較例6の乳風味増強剤を使用したロールパン(比較例15,16)は乳風味が弱くもの足りなかった。
また、二重筒加熱装置を用いて作製した実施例13の乳風味増強剤を使用したロールパン(実施例41)も、良好な乳風味を有していた。一方、麦芽エキスを原材料とし糖類を使用していない比較例7の乳風味増強剤を使用したロールパン(比較例17)は、麦芽臭が感じられ乳風味が損なわれていた。植物由来エキスとして異なる種類の昆布エキスと米糠発酵物を併用して製造した実施例14の乳風味増強剤を使用したロールパン(実施例42)は、植物由来エキスとして昆布エキスのみを使用して製造した実施例8の乳風味増強剤を使用したロールパン(実施例36)よりも更に乳風味が強く感じられ、最も好ましい評価結果であった。
(実施例43〜45)ロールパンの作製
表11に示す配合に従い、実施例1の乳風味増強剤の代わりに、実施例1の混合加熱物にエキスの非加熱物及び異性化液糖を混合して作製した実施例15〜17の乳風味増強剤を使用した以外は、実施例25と同様にして、ロールパンを得た。得られたロールパンの官能評価結果を表11に示した。
Figure 0006694283
表11から明らかなように、実施例1の混合加熱物にエキスの非加熱物及び異性化液糖を混合して作製した実施例15〜17の乳風味増強剤を添加したロールパン(実施例43〜45)は、何れも実施例1の乳風味増強剤を添加したロールパン(実施例25)よりも乳風味が強く感じられ良好な評価結果であった。
(実施例46)パウンドケーキの作製
表12に示す配合に従いパウンドケーキを作製した。即ち、実施例18のマーガリン、上白糖をミキサーボウルに投入し、縦型ミキサー(HOBART社製「ミキサーN50」)にヒーターを取り付け、低速で2分間、中速で2分間混合した。次いで、全卵を、低速で混合しながら流し入れ、低速で1分30秒間、中速で1分30秒間混合した。最後に薄力粉とベーキングパウダーを投入し、低速で30秒間、中速で10秒間混合し、比重0.88g/ccのパウンドケーキ生地を得た。得られたパウンドケーキ生地を型に370g流し込み、180℃の固定窯で45分間焼成してパウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキについて官能評価を行い、結果を表12に示した。
Figure 0006694283
(実施例47,48、比較例18〜20)パウンドケーキの作製
表12に示す配合に従い、実施例18のマーガリンの替わりに、実施例19若しくは22、参考例1、又は比較例8若しくは9のマーガリンを使用した以外は実施例46と同様にして、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキの官能評価結果を表12に示した。
(比較例21)パウンドケーキの作製
表12に示す配合に従い、実施例18のマーガリンの替わりに、参考例1のマーガリン、実施例1の乳風味増強剤及びクリームのリパーゼ処理物を使用した以外は実施例46と同様にして、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキの官能評価結果を表12に示した。
表12から明らかなように、実施例1の乳風味増強剤と脱脂粉乳を配合した実施例18のマーガリンを使用したパウンドケーキ(実施例46)は、乳風味が感じられたが、参考例1または比較例8若しくは9のマーガリンを使用したパウンドケーキ(比較例18〜20)は、乳風味が弱くもの足りなかった。また、実施例18のマーガリンの油脂を、エステル交換油脂と精製ナタネ油の混合比率はほぼ同じで、合計の添加量を10重量部減らして替わりに乳脂肪を添加した実施例19のマーガリンを使用したパウンドケーキ(実施例47)は乳風味が強く良好な風味であった。更に、脱脂粉乳の替わりにクリームのリパーゼ処理物を配合した実施例22のマーガリンを使用したパウンドケーキ(実施例48)は、乳風味が極めて強く感じられた。一方、実施例1の乳風味増強剤の添加量が少ないパウンドケーキ(比較例21)は、乳風味のコクが不足してもの足りなかった。
10 二重筒加熱装置
11 加熱容器
12 内筒
12a 外壁面
13 外筒
13a 内壁面
14 間隙
14a 供給口
14b 排出口

Claims (16)

  1. パン・菓子用乳風味増強剤であって、
    前記乳風味増強剤は、植物由来エキスと糖類との混合加熱物を40〜100重量%含有し、
    前記植物由来エキス/前記糖類の乾燥重量比は、99/1〜1/99であり、
    前記植物由来エキスと前記糖類の合計の固形分量は、前記混合加熱物の全体に対し40〜80重量%であり、
    前記植物由来エキスが、昆布由来エキス、穀物由来エキス、及び穀物発酵物由来エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記乳風味増強剤の全体に対し、2−アセチルフランの含有量は0.003〜7ppm、5−メチルフルフラールの含有量は0.001〜2ppm、フルフラールの含有量は0.04〜15ppm、3−メチルブタナールの含有量は0.001〜10ppm、酢酸の含有量は0〜2ppm、ジメチルジスルフィドの含有量は0〜0.5ppm、及び、1−ブタノールの含有量は0〜0.8ppmである、パン・菓子用乳風味増強剤。
  2. 前記乳風味増強剤の全体に対する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの合計量(A)と、酢酸、ジメチルジスルフィド及び1−ブタノールの合計量(B)の重量比((B)/(A)×100)が0〜25%である、請求項1に記載のパン・菓子用乳風味増強剤。
  3. 前記乳風味増強剤の全体に対する2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール、フルフラール及び3−メチルブタナールの合計量(A)が0.05〜25ppmである、請求項1又は2に記載のパン・菓子用乳風味増強剤。
  4. 前記糖類が、アラビノース、ラクトース、キシロース、グルコース、フルクトース、スクロース、及びマルトースからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜の何れかに記載のパン・菓子用乳風味増強剤。
  5. 更に、昆布由来エキス、チキン由来エキス、穀物由来エキス、及び穀物発酵物由来エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種のエキスの非加熱物を含有する、請求項1〜の何れかに記載のパン・菓子用乳風味増強剤。
  6. 油中水型乳化油脂組成物の全体に対して、請求項1〜の何れかに記載のパン・菓子用乳風味増強剤0.015〜5重量%(乾燥重量)、及び、乳固形分0.1〜70重量%(乾燥重量)を含有するパン・菓子練り込み用油中水型乳化油脂組成物。
  7. 水中油型乳化油脂組成物の全体に対して、請求項1〜の何れかに記載のパン・菓子用乳風味増強剤0.015〜5重量%(乾燥重量)、及び、乳固形分0.1〜70重量%(乾燥重量)を含有するパン・菓子練り込み用水中油型乳化油脂組成物。
  8. 穀粉100重量部に対して、請求項1〜の何れかに記載のパン・菓子用乳風味増強剤0.0001〜3重量部(乾燥重量)、及び、乳固形分0.005〜50重量部(乾燥重量)を含有するパン生地。
  9. 前記乳固形分の少なくとも一部が、乳固形分のリパーゼ処理物であり、前記リパーゼ処理物の全体に対して、乳脂肪10〜99.8重量%、乳蛋白質0.1〜50重量%、及び水分0.1〜70重量%を含有する、請求項に記載のパン生地。
  10. 前記パン・菓子用乳風味増強剤と前記リパーゼ処理物の含有量比が99/1〜15/85(乾燥重量比)である、請求項に記載のパン生地。
  11. 請求項8〜10の何れかに記載のパン生地が加熱調理されたパン。
  12. 穀粉100重量部に対して、請求項1〜の何れかに記載のパン・菓子用乳風味増強剤0.001〜10重量部(乾燥重量)、及び、乳固形分0.005〜120重量部(乾燥重量)を含有する菓子生地。
  13. 前記乳固形分の少なくとも一部が、乳固形分のリパーゼ処理物であり、前記リパーゼ処理物の全体に対して、乳脂肪10〜99.8重量%、乳蛋白質0.1〜50重量%、及び水分0.1〜70重量%を含有する、請求項12に記載の菓子生地。
  14. 前記パン・菓子用乳風味増強剤と前記リパーゼ処理物の含有量比が99/1〜15/85(乾燥重量比)である、請求項13に記載の菓子生地。
  15. 請求項1214の何れかに記載の菓子生地が加熱調理された菓子。
  16. 昆布由来エキス、穀物由来エキス、及び穀物発酵物由来エキスからなる群より選ばれる少なくとも1種である植物由来エキスと糖類との混合物であって、前記植物由来エキス/前記糖類の乾燥重量比が99/1〜1/99で、固形分量が40〜80重量%である混合物を、品温が75℃になるまで加熱した後、最高到達品温が110〜160℃の範囲内になるように前記混合物を1〜100℃/分の平均昇温速度で加熱し、前記最高到達品温を0.1秒〜5時間保持した後、品温が75℃になるまで前記混合物を5〜200℃/分の平均降温速度で冷却することで混合加熱物を得る工程を含む、当該混合加熱物を含有するパン・菓子用乳風味増強剤の製造方法。
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