JP4019610B2 - 油脂乳化組成物およびこれを用いたパン類の製造方法 - Google Patents

油脂乳化組成物およびこれを用いたパン類の製造方法 Download PDF

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本発明はパン類の焼き立ての風味を持続することができる油脂乳化組成物およびこれを用いたパン類の製造方法に関する。更に詳しくは、食パン、ロールパン、バーンズ、菓子パン等の焼き立ての甘い乳風味、香ばしさ、発酵臭を持続することができる油脂乳化組成物およびこれを用いたパン類の製造方法に関する。
【0001】
【従来の技術】
オーブンから出たてのパン特有の香ばしく甘い風味は、美味しく食欲を誘うものである。しかしながら近年、製パン工業では生産性向上のため大規模になり、パン焼き上げから消費者の手に渡るまでに時間がかかり、パン本来の焼き立ての風味が損なわれたパンが、食卓にのぼることが多くなっている。
【0002】
そこで、いかにパン本来の焼き立ての風味を増強し、且つ持続するにはどうすればよいのかを、解決すべき種々の方法が試みられてきた。
【0003】
例えば、焼成直後のパンの全面を、特定の油脂でコーティングする方法(特開昭55−34068)、禾本科植物から調整した原料に、担子菌を培養した食品風味増強剤(特開平2−283260)、特定の蛋白質分解物、油脂、無脂乳固形分を特定割合含有するエマルジョンの乳酸発酵物よりなる改質剤(特開平11−9175)等の方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、いずれの方法もパン本来の風味を増強し、且つその風味を保持することを満足できていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような状況を鑑み、焼き立てのパン類独特の甘い乳風味、香ばしさ、発酵臭を持続することができる油脂乳化組成物およびこれを用いたパン類の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、油脂、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体、乳固形分、糖類及び水を含有してなる混合物を脂肪酸分解酵素で分解後、更にイーストを懸濁して発酵させた油脂乳化組成物がパンの焼き立ての好ましい風味を付与し、且つ持続できることを見出し本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明の第1は、油脂、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体、乳固形分、糖類及び水を含有してなる混合物を脂肪酸分解酵素で分解後、更にイーストを懸濁して発酵させ、発酵終了後、加熱殺菌してなり、パン類の風味を持続することができることを特徴とする油脂乳化組成物に関する。好ましい実施態様としては、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体の有機酸モノグリセリドが、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、及び乳酸モノグリセリドからなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記記載の油脂乳化組成物に関する。別の好ましい実施態様としては、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体の乳蛋白質が、非ミセル状態の分子構造をもつカゼインを含有する乳蛋白質である上記記載の油脂乳化組成物に関する。
【0008】
本発明の第2は、上記記載の油脂乳化組成物をパン生地に添加することを特徴とするパン類の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する油脂としては、通常食用として用いられているものであれば植物油脂、動物油脂のいずれでもよく、例えば乳脂、牛脂、豚脂、大豆油、綿実油、米油、コーン油、ヤシ油、パーム油、カカオ脂等が挙げられ、これらを単独或いは混合、硬化、分別、エステル交換したものでもかまわない。特に、乳風味を持続したい場合には、乳脂を使用することが好ましい。本発明で得られる油脂乳化組成物中の油脂の割合は、5〜80重量%が好ましく、更に好ましくは10〜70重量%の範囲である。油脂の割合が、5重量%未満もしくは80重量%を越えると風味持続の効果は弱くなる。
【0010】
本発明で使用する有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体に用いられる有機酸モノグリセリドとしては、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、及び乳酸モノグリセリド等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いられる。また、これら有機酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸であることが立体構造的に有効に結合させることができるので好ましい。
【0011】
本発明で使用する有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体に用いられる乳蛋白質としては、カゼイン、特に非ミセル状態の分子構造を持つカゼインを含有することが好ましい。これらの非ミセル状態のカゼインとしては、例えばナトリウムカゼイン、カリウムカゼインなどのカゼインアルカリや酸カゼイン等の他、生乳、還元全脂粉乳液、脱脂乳、還元脱粉液、バターミルク、還元バターミルクパウダー液等にリン酸塩等のカルシウム封鎖剤を添加したり、pHを4.4〜4.6に調整した沈殿物を回収して得られるもの等が挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0012】
カゼインがミセルの状態をとっているか否かを知る手段としては、カゼインがミセル状態である場合、それは約0.1〜0.5μmの直径を有するリン酸カルシウム−カゼインの複合体の蛋白質微粒子として存在することが知られている。そこで本発明者らは、カゼインのミセル状態の構造を簡易に定量化する手法として平均粒度分布により調べることに着目した。即ち、レーザー回折式平均粒度分布測定装置(LA−500P、堀場製作所製)により蛋白質の粒度分布を調べ、0.1〜0.5μmの直径を有する分布区分をカゼインのミセル状態とみなし、これより大きな粒度分布のものを非ミセル状態のカゼインと判断することにした。この方法によると、本発明においては非ミセル状態のカゼイン含量が乳蛋白質のうち好ましくは15%以上、更に好ましくは30%以上である。
【0013】
次に、本発明で使用する有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体の製造方法を説明する。まず、乳蛋白質を1〜50重量%濃度、好ましくは5〜25重量%濃度の水溶液を調製する。この際、乳蛋白質水溶液のpHを通常6〜7の範囲に調整することが有機酸モノグリセリドと有効に結合させる上で好ましい。次に、このようにして調製した蛋白質溶液を、通常50〜70℃の有機酸モノグリセリドの融点よりもわずかに高い温度になるように加温する。そして、この蛋白質水溶液に蛋白質の1/100〜1/1(重量比)の有機酸モノグリセリドを添加し、混合溶解をおこない、次いで超音波均質機、ホモジナイザー、ホモミキサー、マイコロイダー等の均質化手段により、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体を調製する。
【0014】
本発明で使用する有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体は、こうして得られた水溶液そのままの形態で使用する場合は、保存上の点からUHT等の殺菌処理を施すことが好ましい。また水溶液の形態でもかまわないが、取り扱い、保存上の点から噴霧乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の手段により乾燥処理を施しても良い。本発明で得られる油脂乳化組成物中の有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体の割合は固形分換算で0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%の範囲で添加すればよい。添加量が、0.05重量%未満では発明の効果は得られず、5%を越えて添加しても効果は頭打ちとなる。
【0015】
本発明で使用する乳固形分としては、生乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清、生クリーム、チーズ類、ヨーグルト類、バター、バターミルク又はこれらを濃縮加工したものから得られる乳固形分等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いられる。本発明で得られる油脂乳化組成物中の乳固形分の割合は1〜50重量%が好ましい。配合割合が1重量%未満では十分な効果は得られず、50重量%を越えて添加しても効果は頭打ちとなる。
【0016】
本発明で使用する糖類としては、イーストが資化できるものであれば特に制約はなく、砂糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖などが挙げられる。本発明で得られる油脂乳化組成物中の糖類の割合は、1〜30重量%、さらに望ましくは5〜20重量%の範囲である。配合割合が1重量%未満では適切な発酵がおこなわれず、30重量%を越えて配合すると発酵障害を生ずる場合があり望ましくない。
【0017】
また、本発明で得られる油脂乳化組成物中の水の割合は、5〜80重量%、さらに望ましくは10〜50重量%である。配合割合が5重量%未満では適切な発酵がおこなわれず、80重量%を越えて配合すると風味持続の効果は弱くなり望ましくない。
【0018】
本発明に使用する脂肪酸分解酵素としては、動物、植物、微生物から分離したものを使用することができ、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾープス・デルマー(Rhizopus delemer)属等の糸状菌、キヤンディダ(Candida)属等の酵母、小山羊、山羊、小牛の口頭分泌線から採取されるオーラル・リパーゼ(Oral lipase)等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用いられる。脂肪酸分解酵素による油脂の分解度は、0.05〜20%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10%の範囲である。分解度が0.05%未満では十分な風味付与効果は得られず、20%を越えると異味が付与され好ましくない。尚、分解度とは〔{(酸価)/(けん価)}×100]によって求められる値を言う。
【0019】
本発明で使用するイーストは食品に使用許可のある菌種であれば特に制約はないが、通常製パンに使用する酵母が好ましく、生イースト、ドライイーストのどちらでもよく油脂乳化組成物中に対して、乾燥重量換算で0.01〜5重量%添加すればよい。添加量が0.01重量%未満では、イースト副産物の生成が少なく十分な効果が得られず、逆に5重量%を越えて添加するとイースト臭が付与され望ましくない。
【0020】
また本発明の油脂乳化組成物にはこの他、乳化剤、増粘剤等の安定剤、食塩等の塩類、調味料、香料、香辛料等を配合することもできる。
【0021】
本発明の油脂乳化組成物の製造方法としては、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体、乳固形分と水を混合し溶解したところに、別に溶解した油脂を添加し、乳化状の混合物を調製する。次いで、この混合物を加熱殺菌した後、脂肪酸分解酵素を添加して酵素反応を行う。反応条件は30〜50℃で、約0.5〜5時間の範囲で行う。酵素反応後は70〜150℃で、60分〜2秒間加熱して殺菌した後、冷却しイーストを懸濁して発酵を行う。イーストの発酵条件は0〜40℃で2〜72時間の範囲で行う。発酵終了後、70〜150℃で30分〜3秒間殺菌し、その油脂乳化組成物が水中油型油脂乳化物の場合は、このものをバルブ式ホモジナイザー等の均質化装置を用いて均質化し、冷却して水中油型油脂乳化組成物を得る。また油中水型油脂乳化組成物の場合は、油脂乳化組成物をパーフェクター、コンビネーター、ボテーター等の連続式熱交換機を用いて急冷捏和し、油中水型油脂乳化組成物を得る。
【0022】
本発明においてパン生地とは、小麦粉を主原料とし、これに水などを加え更に油脂、糖類、卵、乳製品、イーストフード、各種酵素類、各種乳化剤等の原料を必要に応じて添加し、パン酵母の添加の有無にかかわらず混捏工程を経て得られた一般的な生地を意味し、饅頭生地やドーナツ生地、パイ生地、ピザ生地、ホットケーキ生地、スポンジ生地、クレープ生地等も包含する。更に上記原料の他に小麦粉以外の穀物、例えばライ麦、オーツ麦、大麦等の1種又は2種以上を混入したものも包含する。
【0023】
以上の如く本発明によって得られる油脂乳化組成物は、パン類の製造時に対粉0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で添加することで、パンの焼き立ての甘い乳風味、香ばしさ、発酵臭を増強し、且つ持続することができる。
【0024】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1〔有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(MP−1)の調製〕
ナトリウムカゼイン(商品名:ハプロ、新日本製薬(株)製)7重量%を92重量%の水に分散、溶解させ65℃まで加熱後、コハク酸モノグリセリド(商品名:ポエムB−10、理研ビタミン(株)製)1重量%を添加し溶解後、超音波均質機(500W)にて均質化(5分)し、コハク酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体溶液を得た。得られた水溶液を0.1hPaで減圧脱水し、固形分中の水分を6.0重量%とした。この物を粉砕し、20メッシュ篩で、篩過して粉末状のコハク酸モノグリセリドと乳蛋白質の複合体(以下、MP−1と言う)を得た。
製造例2および3〔有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(MP−2,3)の調製〕
表1に示す配合にて、脱脂粉乳、ヘキサメタリン酸ナトリウムを水に分散溶解させ60℃まで加熱後、ジアセチル酒石酸モノグリセリド(商品名:ポエムW−10、理研ビタミン(株)製)を添加し、バルブ式ホモジナイザーにて6Paで均質化後、140℃で4秒間UHT殺菌して、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質の複合体(MP−2および3)を得た。
【0025】
【表1】
Figure 0004019610
上記複合体の製造に用いた乳蛋白質中の非ミセル状態のカゼイン含有率(%)を調べた結果を表2に示す。また、上記の各試料中の複合体の割合を定量化するために、100ml容の密栓付き三角フラスコに試料30ml(MP−1は固形分が10重量%となるように水を添加し水溶液とした)とn−ヘキサン30mlを入れ、20℃で15分間振とう後、遠心分離により上層(ヘキサン層)を20ml分取り出し、ヘキサンを留去後、固形物量を精秤し、試料中の脂質重量に対する割合を求め、これを複合体に関与しなかった遊離脂肪率(%)として表2に示す。
【0026】
表2から明らかなように、乳蛋白質のうち非ミセル状態のカゼイン含量が高い程、複合体の遊離脂肪率は小さく、複合体を形成しやすいことがわかる。
【0027】
【表2】
Figure 0004019610
(実施例1)
バターオイル20重量%、精製菜種油20重量%、大豆硬化油(融点30℃)30重量%を配合した油相に、レシチン0.15重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.1重量%を溶解し、油相を調製した。ここに、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(MP−1)0.8重量%、加糖練乳8重量%、脱脂粉乳5重量%を水14.7重量%に溶解した水相を徐々に添加し、予備乳化したものを80℃で10分間殺菌した。これを50℃まで冷却し、脂肪酸分解酵素(商品名:リパーゼAY「アマノ」、天野製薬(株)製)0.05重量%を添加し、撹拌しながら60分間保持した後、85℃で10分間加熱して酵素を失活させた。このものを、さらに28℃まで冷却した後、イースト(商品名:レッドイースト、鐘淵化学工(株)製)0.2重量%を水1重量%に懸濁したものを添加し、全体が均一になるように撹拌した後、18時間静置して発酵させた。発酵終了後、80℃で10分間殺菌した後、コンビネータにて急冷可塑化し油中水型油脂乳化組成物を得た。
(比較例1)
実施例1において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(MP−1)0.8重量%の代わりに、ナトリウムカゼイン0.7重量%とコハク酸モノグリセリド0.1重量%を添加した以外は同様の方法にて製造を行い、油中水型油脂乳化組成物を得た。
(実施例2)
有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(MP−2)3重量%、脱脂粉乳25重量%、砂糖5重量%を水48重量%に溶解した。ここに、バターオイル10重量%、精製菜種油5重量%を溶解した油相添加し、90℃で30秒間プレート殺菌した。そして45℃まで冷却し、脂肪酸分解酵素(商品名:タリパーゼ、田辺製薬(株)製)0.01重量%を添加し、撹拌しながら60分間保持した後、85℃で10分間加熱して酵素を失活させた。このものを、さらに28℃まで冷却した後、イースト(商品名:レッドイースト、鐘淵化学工業(株)製)1重量%を水3重量%に懸濁したものを添加し、全体が均一になるように撹拌した後、12時間静置して発酵させた。発酵終了後、80℃で10分間殺菌した後、バルブ式ホモジナイザーにて均質化を行い、冷却して水中油型の油脂乳化組成物を得た。
(実施例3)
実施例2において、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体(MP−2)の代わりに、MP−3を添加した以外は同様の方法にて製造を行い、水中油型油脂乳化組成物を得た。
(比較例2)
実施例2において、脂肪酸分解酵素を添加して、酵素分解を行わない以外は同様の方法にて製造を行い、水中油型油脂乳化組成物を得た。
(比較例3)
実施例3において、イーストを添加して、イースト発酵を行わない以外は同様の方法にて製造を行い、水中油型油脂乳化組成物を得た。
〔ロールパンの製造〕
実施例1〜3および比較例1〜3の上記の油脂乳化組成物を使用し、表3に示す配合にてロールパンを製造し、風味を比較した。以下に、製パン方法を示す。
【0028】
【表3】
Figure 0004019610
Figure 0004019610
評価結果を表4に示す。
【0029】
【表4】
Figure 0004019610
実施例1のロールパンは、比較例1のロールパンに比べ、明らかに香ばしく甘い乳製品の風味が強く、特にコク味の残りが強く感じられ美味であった。
【0030】
さらに、実施例1のロールパンは、ビニール袋に入れ20℃で3日間保存した後も、焼成直後の香ばしい風味、イーストの発酵臭、乳風味の減少は少なく良好であった。
【0031】
実施例2のロールパンは、比較例2のロールパンに比べ、明らかにミルク的な甘い香りとコク味が強く感じられ良好であった。
【0032】
さらに、ビニール袋に入れ20℃で3日間保存後も、実施例2のロールパンは、比較例2のロールパンよりも、乳の甘い香りと香ばしいかおりとコク味を有しており、焼成直後と大差のない良好な風味を有していた。
【0033】
実施例3のロールパンは、比較例3のロールパンに比べ、明らかに乳の香りとイーストの発酵臭が強く感じられ良好であった。
【0034】
さらに、ビニール袋に入れ20℃で3日間保存後も、実施例3のロールパンは焼成直後と大差のない良好な乳風味と香ばしいかおりを有していた。
【0035】
実施例2と実施例3のロールパンを比べたところ、非ミセル状態のカゼイン含量が多い乳蛋白質との複合体を使用した実施例3は、実施例2よりも、後口の乳のコク味が強く、その差は保存3日目でより顕著であった。
【0036】
また、実施例1〜3と参考例(バターを使用)のロールパンを比較したところ、実施例のロールパンは何れも甘い乳風味、香ばしさ、発酵臭をバランス良く感じられ、特に保存3日目も焼き立てと遜色のない良好な風味を有していた。
【0037】
【発明の効果】
叙上のとおり、本発明の油脂、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体、乳固形分、糖類及び水を含有する混合物を脂肪酸分解酵素で分解後、更にイーストを懸濁して発酵させた油脂乳化組成物を、パン類の製造時に添加することで、パンの焼き立ての好ましい風味を付与し、且つ持続できることができる。

Claims (4)

  1. 油脂、有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体、乳固形分、糖類及び水を含有してなる混合物を脂肪酸分解酵素で分解後、更にイーストを懸濁して発酵させ、発酵終了後、加熱殺菌してなり、パン類の風味を持続することができることを特徴とする油脂乳化組成物。
  2. 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体の有機酸モノグリセリドが、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、及び乳酸モノグリセリドからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の油脂乳化組成物。
  3. 有機酸モノグリセリドと乳蛋白質との複合体の乳蛋白質が、非ミセル状態の分子構造をもつカゼインを含有する乳蛋白質である請求項1又は2記載の油脂乳化組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の油脂乳化組成物をパン生地に添加することを特徴とするパン類の製造方法。
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