JP2011092119A - 大豆蛋白発酵液を含有する層状生地 - Google Patents

大豆蛋白発酵液を含有する層状生地 Download PDF

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Abstract

【課題】美味しい層状ベーカリー食品のための、層状生地の開発を目指すものであって、大豆蛋白発酵液を用いることにより、層状ベーカリー食品に旨み、コク味や良好な発酵風味を付与することが出来、乳脂肪分の少ない折り込み油脂を使用しても、乳脂肪分の多い折り込み油脂を使用したデニッシュペストリーやクロワッサンにも負けない美味しさを持つ層状ベーカリー食品の製造法を提供する事にある。
【解決手段】小麦粉、大豆蛋白発酵液及び油脂を含む層状生地であって、層状生地全体に対して大豆蛋白発酵液が1.5〜12.5重量%であり、捏ね上げ後のドウのpHが25℃において4.8〜5.8である層状生地であり、大豆蛋白発酵液が乳酸菌で発酵されたものであり、当該層状生地を加熱してなるデニッシュペストリー、クロワッサンである。
【選択図】なし

Description

本発明は、大豆蛋白発酵液を含有する層状生地及び当該層状生地を加熱してなる層状ベーカリー食品に関する。
層状ベーカリー食品であるデニッシュペストリーやクロワッサンはパンであっても、その食感はパイ風であり、層状であって独特の外観と形状を有している。そして、外側にチョコレートやアイシングをコーティングしたり、内部にフィリング材として、カスタードクリーム類、ホイップクリーム類、バタークリーム類、各種チョコレート類、或いは各種ジャム類が使用されており高級菓子パンとしてオーブンフレッシュベーカリーの人気の商材となっている。
従来、デニッシュペストリーやクロワッサンの製造は、小麦粉、イースト、水を主原料とするドウを調製し、油脂をドウ内部に包み込んだ後、折り重ねて展延していく操作を行ない、結果として生地層と油脂層からなる層状構造が形成される。
デニッシュペストリーやクロワッサンの美味しさは、バター風味、口溶けのジューシー感、発酵風味、噛み締めたときの生地の旨み、コク味などを指標に判断される。
デニッシュペストリーやクロワッサンを美味しくする方法として、特許文献1では乳由来の脂肪を20〜40重量%、20℃で液体状の油脂を20〜35重量%、パーム硬化油を25〜45重量%を含有する、ロールイン用油中水型乳化組成物が提案されている。これは折り込み油脂に乳脂肪を用いてバター感の向上を目指すものである。
しかし近年、穀物・乳製品・燃料などの価格上昇に伴い、食品業界全体にコストダウンの波が押し寄せている。パン業界での対策としては、販売価格を上げる、サイズを小さくする、低コスト素材を使う等が考えられる。低コスト素材を使ってコストダウンを図ろうとする際には注意が必要である。例えば、バターから植物性マーガリンに替えてコスト削減を試みれば製品の美味しさは低下するであろう。これを回避するためには、低コスト素材を使用しても美味しい層状ベーカリー食品を作る技術が不可欠となる。
乳脂肪を用いた場合は当然美味しくなるが、乳脂肪に依存しなくてもデニッシュペストリーやクロワッサンを美味しくする方法が望まれる。
パンの風味を良くする方法には、パン種による工夫が考えられる。伝統的に行われている手法では、サワー種、ホップス種、酒種、パネトーネ種、果実種などがある。これらは複数の酵母が微妙に作用し合い、独特の香りと風味を醸し出している。しかしながら伝統的な方法だけにパン種の製造に熟練と時間が必要で、種の保存期間も短く、品質が変わらないように種継ぎをしなければならないなどの問題点も多い。
非特許文献1ではパネトーネ菌を使用したパンの製造法が提案されている。パネトーネ種を用いると生地発酵中に多くの糖が転化され、同時に糖アルコールが増えることにより、焼成後も保湿性のある、長期間保存が可能な、風味の良いパンとなる。しかし、イタリアのある地方でしかパネトーネ種が培養できない、種を保管する際の管理が難しいなど、使用するに当たっては問題点が多数ある。
また、パンを美味しくする簡便な方法として、発酵風味液を用いる方法が考えられる。特許文献2では発酵で生成した風味物質によりパン類に良い風味を付与する発酵風味液、ならびにこれを用いるパン類の製造方法が提案されている。特許文献2に提案されているパン類は食パン生地であって、層状生地ではない。
特許文献3では豆乳を生地に添加することでボソボソせず、美味しいパンが得られることが提案されている。しかし、単に豆乳を添加するのみでは若干の風味改良は図れるものの、大きな改善には至っていない。
WO2006/011331号公報 パンの原点−発酵と種−、昭和60年11月22日発行 特開2007−244274号公報 特開平11−253095号公報
本発明は、美味しい層状ベーカリー食品のための、層状生地の開発を目指すものであって、大豆蛋白発酵液を用いることにより、層状ベーカリー食品に旨み、コク味や良好な発酵風味を付与することが出来、乳脂肪分の少ない折り込み油脂を使用しても、乳脂肪分の多い折り込み油脂を使用したデニッシュペストリーやクロワッサンにも負けない美味しさを持つ層状ベーカリー食品の製造法を提供することを目的とした。
本発明者らは従来の伝統的なパン種による美味しいパンの研究を重ねると共に、パン生地製造において一定品質のパン生地が得られ、製造工程での簡略化、効率化にも配慮した美味しい層状ベーカリー食品の開発を目指す中にあって、小麦粉、イースト及び油脂を主原料とする層状生地において大豆蛋白発酵液を用いることが有効であるという知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1は、小麦粉、大豆蛋白発酵液及び油脂を含む層状生地であって、層状生地全体に対して大豆蛋白発酵液が1.5〜12.5重量%であることを特徴とする、層状生地である。第2は、大豆蛋白発酵液が乳酸菌で発酵されたものである、第1記載の層状生地である。第3は、大豆蛋白発酵液が乳酸菌及び酵母により発酵されたものである、第1記載の層状生地である。第4は、大豆蛋白発酵液のpHが15℃において4.0〜4.8である、第1記載の層状生地である。第5は、大豆蛋白発酵液が殺菌処理されたものである、第1記載の層状生地である。第6は、大豆蛋白発酵液の全固形分が4〜30重量%であり、且つ大豆固形分が2〜15重量%である、第1記載の層状生地である。第7は、小麦粉、大豆蛋白発酵液及び油脂を含む層状生地であって、捏ね上げ後のドウのpHが25℃において4.8〜5.8である、第1記載の層状生地である。第8は、第1〜第7何れか1に記載の層状生地を加熱してなる層状ベーカリー食品である。
美味しい層状ベーカリー食品のための、層状生地の開発を目指すものであって、大豆蛋白発酵液を用いることにより、層状ベーカリー食品に旨み、コク味や良好な発酵風味を付与することが出来、乳脂肪分の少ない折り込み油脂を使用しても、乳脂肪分の多い折り込み油脂を使用したデニッシュペストリーやクロワッサンにも負けない美味しさを持つ層状ベーカリー食品の製造法を提供することが可能になった。
本発明の層状生地は、小麦粉、大豆蛋白発酵液及び油脂を含む層状生地であって、層状生地全体に対して大豆蛋白発酵液を1.5〜12.5重量%含む必要がある。
本発明の層状生地は、小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を主原料とするドウを調製し、油脂をドウ内部に包み込んだ後、折り重ねて展延していく操作を行ない、生地層と油脂層からなる層状生地を得ることができる。
本発明の大豆蛋白発酵液は、小麦粉、イーストを主原料とするドウを調製する際に添加・配合すれば良い。
小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を主原料とするドウを調製する方法としては、パン生地製造で実施されている、中種製法、ストレート製法、液種製法等が例示出来る。
本発明では通常実施している中種製法、ストレート製法、液種製法に使用する水の一部及び/又は全部を大豆蛋白発酵液に替えて使用することができる。
通常の中種製法では、パン生地の最終配合の原料、例えば、小麦粉、水、イースト及びイーストフードの其々を10割とした場合、小麦粉を3割から10割、水を2割から10割、イーストを1割から3割、イーストフードを3割から10割を最初に混合して、3℃から27℃の環境下で十分発酵させ、所定の時間が経過した後、残りの原料を混合してパン生地を調製していく方法であり、前もって発酵させる割合が比較的多い方法である。
通常のストレート製法とはパン生地中の全ての原料を混合して調製していく方法である。このストレート製法の生地発酵のさせ方には多くの種類が有るが、総じて中種製法より発酵時間が短い。
通常の液種製法とは、パン生地の最終配合の原料を其々10割とした場合、小麦粉を最大2割まで、水を3割から8割、イーストを0.1割から5割、イーストフード3割から10割を最初に混合し、3℃から27℃の環境下で発酵させ、所定の時間が経過した後残りの原料を混合してパン生地を調製していく方法である。
本発明の小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を主原料とするドウの調製に際しては、中種製法、ストレート製法、液種製法何れの方法も採用することが出来るが好ましくは、予め小麦粉の一部、イーストの一部及び大豆蛋白発酵液の全部又は一部を用いて発酵種を調製し、その後発酵種と小麦粉、イーストをはじめとする残りの原料を用いてドウを調製するのが好ましい。 予め小麦粉の一部、イーストの一部及び大豆蛋白発酵液の全部又は一部を用いて発酵種を調製することによって、発酵種中の酵母が栄養源と接する時間が増加するため、ドウ中に発酵風味、旨み、コク味を呈する物質が多く作られ、このようにして得られたドウを加熱処理して得られる層状ベーカリー食品は、発酵風味、旨み、コク味があって好ましい。
本発明では、小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を含む調製されたドウにおいて、捏ね上げ後のドウのpHが25℃において4.8〜5.8が好ましく、より好ましくは4.9〜5.6であり、更に好ましくは5.0〜5.5である。
捏ね上げ後のドウのpHが低すぎるとグルテンを軟化させたり溶かしたりするためドウが切れやすくなったり、ガス保持力が弱くなりボリュームに劣る層状ベーカリー食品となる。捏ね上げ後のドウのpHが高すぎるとイーストの活性を損なったり、グルテンの酸化を妨げるためにドウが弱体化する傾向になる。
この捏ね上げ後のドウを用いて層状生地を調製するのであるが、通常捏ね上げ後のドウは27℃、78%に保った恒温機にて第1次発酵を行い、この発酵後のドウを−20℃で冷却する。この冷却後のドウを用いてドウ内部に油脂を包み込み、折り重ねて展延していく操作を行なって、生地層と油脂層からなる層状生地を得ることが出来る。
本発明の層状生地は、小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を主原料とするドウを調製し、油脂をドウ内部に包み込んだ後、折り重ねて展延していく操作を行ない、生地層と油脂層からなる層状生地を得るのであるが、層状生地全体に対して大豆蛋白発酵液が1.5〜12.5重量%であり、好ましくは2.5〜11.5重量%であり、さらに好ましくは3.0〜11.0重量%である。大豆蛋白発酵液が少なすぎると、ドウに十分な発酵風味、旨み、コク味を付与することが難しくなる。大豆蛋白発酵液が多すぎると発酵液中に含まれる大豆蛋白によってグルテンネットワークの形成が阻害され、ボリュームが出にくい傾向となる。
本発明の層状生地に使用する大豆蛋白発酵液はその発酵原料となる大豆蛋白は大豆蛋白を含有する大豆由来の原料であれば良く、丸大豆、脱脂大豆、豆乳、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白等が含まれる。特に全脂又は脱脂大豆から抽出され、大豆蛋白の含有量が高められた分離大豆蛋白や豆乳などが適当である。特に豆乳はホエー成分を含み発酵に必要なオリゴ糖などの栄養源にも富むので好ましい。豆乳は、全脂豆乳や脱脂豆乳又はそれらの乾燥粉末など特に限定するものではないが、風味などの観点から全脂豆乳が好ましい。また分離大豆蛋白は、油脂及び水を均質化して水中油型エマルジョンとしても利用することも出来る。
全脂豆乳は、一般に大豆を水、温水、熱湯等に浸漬して水分約50%に膨潤させ、磨砕し、加熱し、おからを分離したものであるが、好ましくは、膨潤大豆を回転刃型剪断力を作用させて平均粒子径20〜100ミクロンに微細化した後、さらに所望によりホモゲナイザーなどにより微細化して、遠心分離やろ過などの通常の方法で分離した豆乳を用いることが風味的により好適である。また後述するようにオカラと豆乳を分離しないスラリーとして利用する場合でも上記方法によれば粒度が細かいため食感的にも問題がない。脱脂豆乳は脱脂大豆を原料として同様に製造したものである。この脱脂豆乳と油脂を均質化して水中油型エマルジョンとすることも出来る。油脂は動植物由来の油脂、それらの加工油脂など公知の油脂を使用することが出来る。
大豆蛋白発酵液は上記した大豆蛋白含有液を発酵するのであるが、乳酸菌で発酵されたものが好ましい。
大豆蛋白発酵液の調製に使用する乳酸菌としては、通常の発酵乳に使用する一般的な乳酸菌(ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・ラクチス、ラクトバチルス・プランタラム、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ジアセチルラクチス、ロイコノストック・クレモリスなど)や、パン種の一種であるサワー種(ライサワー種、サンフランシスコサワー種、パネトーネサワー種など)由来の乳酸菌を使用することが適当である。サワー種由来の乳酸菌としては、ラクトバチルス・サンフランシスエンシス、ラクトバチルス・パネックス、ラクトバチルス・コモエンシス、ラクトバチルス・イタリカス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・デルブロイキイ、ラクトバチルス・ライキマニ、ラクトバチルス・カルバタス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ヒルガルディ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ルテリ、ラクトバチルス・パストリアヌス、ラクトバチルス・ブクネリ、ラクトバチルス・セロビオサス、ラクトバチルス・フルクティボランスなどが挙げられる。
大豆蛋白発酵液の調製に際しては、乳酸菌及び酵母により発酵されたものが好ましい。
大豆蛋白発酵液の調製に使用する酵母としては、通常パン種として用いられているものを使用することができ、特に限定されない。酵母は単独又は2種以上の混合菌として使用され、酵母とこれに併存させる乳酸菌の菌種に応じた発酵温度と時間が選択される。
酵母の菌種については特に限定されないが、通常使用されるイースト菌(サッカロミセス・セレビジエ)の他、例えばパン種として使用されるサワー種(サンフランシスコサワー種、ライサワー種、パネトーネ種など)、ホップス種、ビール種、酒種、果実種(ブドウ果実種、リンゴ果実種など)由来の酵母を使用することができる。酵母と乳酸菌を共に含むサワー種等を用いると、別途乳酸菌を添加することなく発酵を完了することができ、作業工程上好ましい。サワー種由来の酵母としては、サッカロミセス・イグジキュース(S.exiguus)、カンディダ・ミレリ(C.milleri)、ピヒア・サイトイ(Pichiasaitoi)、カンディダ・クルセイ(Candidakrusei)などが挙げられる。
大豆蛋白発酵液の調製に際しては、上記乳酸菌は単独又は2種以上の混合菌として接種され、乳酸菌とこれに併存させる場合の酵母の菌種に応じた発酵温度と時間が選択される。例えば、温度は概ね15〜50℃、発酵時間は1時間〜1.5日程度であるが、特にこの数値は乳酸菌や酵母の種類によって変化するのでかかる範囲に限定されるものではなく、実施する者が発酵風味の傾向や作業性などを勘案して決定すればよい。発酵開始時のpHも接種する乳酸菌や酵母の生育できるpHに合わせて調整すればよく、通常は5.5〜8.5、より好ましくは5.5〜7の範囲内に調整して発酵を開始すればよい。
また、発酵後のpHについては大豆蛋白発酵液のpHが15℃において4.0〜4.8であり、好ましくは4.1〜4.7であり、より好ましくは4.2〜4.6まで発酵することが好ましい。pHがかかる範囲よりも低いと過発酵により異味が生じやすく、また多量の乳酸によって生地が軟化しやすくなり、作業性が低下する。またpHが高すぎると発酵風味およびソフトな食感の向上効果が不足し、保存性も低下する。
本発明において、大豆蛋白発酵液は上記した大豆蛋白含有液を発酵するのであるが、乳酸菌と酵母を作用させる順序は、乳酸発酵が実質的に酵母発酵と同時ないしはそれ以前に行われるようにすることが好ましい。すなわち、乳酸菌と酵母を接種する順序は特に限定されないが、少なくとも乳酸発酵が酵母発酵よりも同時かそれ以前に進行するように発酵原料の温度、pHや糖類などの他原料の種類を調整する。
その理由は明確ではないが、おそらくかかる順番で作用することにより、大豆蛋白原料に第1発酵として乳酸菌が作用することにより乳酸、ペプチド、アミノ酸等の種々の発酵産物を生成し、これを酵母が栄養源とすることにより酵母の生育が促進され、従来にない良好な発酵風味を付与できるのではないかと考えられる。したがって乳酸菌による発酵が実質的に不十分となる条件で酵母を発酵させると良好な発酵風味が十分得られない場合がある。
なお、本発明においては、大豆蛋白の替りに発酵原料として牛乳などの乳原料を用いた場合は、小麦粉、イーストを含むドウが軟化してしまい、層状生地が得にくくなるなど、良好な作業性が得られない。また風味も良好な発酵風味でなく、ヨーグルト的風味になる傾向が強いため好ましくない場合がある。
本発明の大豆蛋白発酵液は殺菌処理されているのが好ましい。殺菌手段は特に限定しないが、加熱殺菌が生産上好適である。乳酸菌が生存していると、ドウの発酵時に乳酸発酵が進み過ぎて、酸度が上昇し易くなる場合があり、酸度が上昇して、乳酸が生成し過ぎるとドウのpHが低下しすぎることになりグルテンが軟化し過ぎて、作業性が極端に悪くなるからである。また大豆蛋白発酵液由来の酵母が生存していると、ドウの発酵時にも炭酸ガスを発生するため、ドウが過度に膨張する場合があり、ドウの作業性が悪くなるからである。従って、大豆蛋白発酵液が殺菌されていると乳酸菌や酵母がドウの発酵時に増殖することがなく、ドウの品質を安定化することができる。加熱殺菌には、概ね70℃以上の低温殺菌や、100℃以上の高温殺菌法があり、装置としてはプレート熱交換機を利用した間接殺菌や直接蒸気を吹き込む直接殺菌装置又は容器包装詰め加圧加熱殺菌装置などが挙げられる。
加熱殺菌には、概ね70℃以上の低温殺菌や、100℃以上の高温殺菌法があり、装置としてはプレート熱交換機を利用した間接殺菌や直接蒸気を吹き込む直接殺菌装置又は容器包装詰め加圧加熱殺菌装置などが挙げられる。
本発明の大豆蛋白発酵液の全固形分は4〜30重量%が好ましく、より好ましくは5〜26重量%であり、更に好ましくは6〜24重量%である。
全固形分が少なすぎると乳酸菌や酵母の栄養源がなく生育が阻害されるため十分な発酵風味が得難くなる。全固形分が多すぎると液状を呈さず、作業性が悪くなってしまう。
本発明の大豆蛋白発酵液の大豆固形分は2〜15重量%が好ましく、より好ましくは3〜13重量%であり、更に好ましくは4〜11重量%である。
大豆固形分が少なすぎると大豆固形分に含まれる大豆蛋白の保水性が弱くなりドウが老化し易くなる。大豆固形分が多すぎると大豆蛋白によってグルテンネットワークの形成が阻害され、ボリュームが出にくい傾向となる。
本発明の大豆蛋白発酵液はその発酵原料となる大豆蛋白は大豆蛋白を含有する大豆由来の原料であれば良く、丸大豆、脱脂大豆、豆乳、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白等が含まれる。その他の原料としてはペプチド類、穀粉類、資化性糖類、油脂類、増粘多糖類、乳原料、食物繊類、ビタミン類、ミネラル類、その他公知の発酵促進剤が例示できる。
ペプチド類としては、大豆ペプチド、小麦ペプチドなどの植物由来ペプチドや動物由来ペプチドを使用でき、これらは乳酸菌と酵母の発酵促進剤として使用できる。添加量は大豆蛋白発酵液中の全固形分あたり0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.03〜0.3重量%が適当である。
穀粉類としては、全粒粉、強力粉、薄力粉、米粉、トウモロコシ粉などを使用でき、添加量は大豆蛋白発酵液中の全固形分あたり0.2〜3重量%、より好ましくは0.3〜2重量%が適当である。特にパネトーネ種を使用する場合は、発酵促進及び良好な発酵風味の発現のために用いることが好適である。
資化性糖類としては、グルコース、マルトース、マルトオリゴ糖、スクロース、ガラクトース、ガラクトオリゴ等、キシロース、キシロオリゴ糖、ラクトース、ラクトオリゴ糖、マンノース、マンノオリゴ糖、ラフィノースやスタキオースなどの大豆オリゴ糖、トレハロースなどを使用する乳酸菌と酵母の糖利用性に合わせて適宜用いることができる。例えばパネトーネ種であればグルコース又はマルトースを用いることがより好ましい。添加量は大豆蛋白発酵液中の全固形分あたり0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%が適当である。
増粘多糖類としては、大豆蛋白発酵液の安定性を付与するため、例えばネイティブジェランガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、水溶性大豆多糖類、ペクチン、グァーガムなどを使用することができる。添加量は大豆蛋白発酵液中の全固形分あたり0.01〜2重量%、より好ましくは0.03〜1.5重量%が適当である。
乳原料としては、脱脂粉乳、全脂粉乳、乳ホエー、WPCなどを用いることができ、添加量は大豆蛋白発酵液中の全固形分あたり0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2.5重量%が適当である。
本発明の層状生地は、小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を主原料とするドウを調製し、油脂をドウ内部に包み込んだ後、折り重ねて展延していく操作を行ない、生地層と油脂層からなる層状生地を得るのであるが、本発明に使用する油脂としてはドウ内部に包み込む必要性から可塑性油脂組成物が好ましい。
可塑性油脂組成物に使用する油脂原料としては、例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、上記油脂類の単独又は混合油或いはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂を使用することが出来る。
可塑性油脂組成物は、油脂そのものであってもいいし、油脂に窒素ガスなどの不活性ガスを入れたショートニングや油相と水相からなる油中水型乳化物であっても良い。可塑性油脂組成物を構成する油脂の最終的な上昇融点が15〜60℃、より好ましくは20〜50℃が好ましい。この場合、低融点、中融点、高融点の油脂を適宜調合し調整するのが好ましい。
可塑性油脂組成物の製造法については特に限定されないが、常法通り融解した油相に、必要に応じて水相を加え混合攪拌し、パーフェクター、ボテーター、コンビネーターなどで急冷捏和することにより製造することができる。油相のみの場合、作業性を改善するために窒素ガスなどの不活性ガスを入れて製造するのが一般的である。油相は油脂単独でもよいし、必要に応じて色素、抗酸化剤、香料等の油溶性成分を添加、溶解/分散させ調製することができる。水相は水又は温水に水溶性の乳成分、必要に応じて食塩、糖類、無機塩類等を添加、溶解/分散させ調製することができる。
本発明の目的からすれば、可塑性油脂組成物は乳脂100%のバターでも効果を発揮するが、可塑性油脂組成物において全油脂に占める乳脂の割合が少ないか又は乳脂0で大きな効果を発揮するものであって、(乳脂÷全油脂)の値が0.6以下が好ましく、より好ましくは0.4以下であり、更に好ましくは0.2以下である。
本発明の層状生地は、小麦粉、イースト、大豆蛋白発酵液を主原料とするドウを調製し、油脂をドウ内部に包み込んだ後、折り重ねて展延していく操作を行ない、生地層と油脂層からなる層状生地を得る関係上、作業性の点から油脂としては、可塑性油脂組成物が好ましく、更に折り込み油脂組成物が好ましい。
折り込み油脂組成物としては市販のものも使用することが出来る。
本発明の層状ベーカリー食品は、上記に記載した層状生地を焼成、蒸し、フライ、マイクロ波照射から選択される方法において得ることができる。具体的には、オーブンで焼成したり、熱湯で蒸したり、油でフライしたりして多様な層状ベーカリー食品を得ることが出来る。層状ベーカリー食品としてはデニッシュペストリー、クロワッサン、デニッシュドーナツが例示できる。
本発明の層状生地をオーブンで焼成する場合は、焼成条件としては、上火150〜240℃、下火170〜240℃、5〜40分といった条件が例示できる。
本発明の層状生地を油でフライする場合は、フライ条件としては、油温150〜230℃、1〜10分といった条件が例示できる。
本発明に使用する大豆蛋白発酵液は層状生地において効果を発揮する。層状生地は通常生地中の油脂分は11〜42重量%の範囲である場合が多い。その効果の原因は定かではないが、乳酸菌と酵母によって大豆蛋白発酵物より生成された物質と、層状生地中の油脂分とが共存することにより層状ベーカリー食品を食した場合、これらの相乗効果により、良好な発酵風味、旨み、コク味が与えられるのではないかと推測している。より効果を発揮するためには、層状生地中の油脂分が13〜40重量%がより好ましく、さらに15〜38重量%が好ましい。
以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。また、結果については以下の方法で評価した。
層状ベーカリー食品は熟練した10名のパネラーにより官能評価(味、香り) で評価した。評価基準は5段階とし、以下の基準で評価した。
(発酵風味)
5:極めて良好な発酵風味、4:良好な発酵風味あり、3:発酵風味あり、2:発酵風味ややあり、1:発酵風味なし
(生地の旨み)
5:極めて良好な旨みあり、4:良好な旨みあり、3:旨みあり、2:旨みややあり、1:旨みなし
(生地のコク)
5:極めて良好なコクあり、4:良好なコクあり、3:コクあり、2:コクややあり、1:コクなし
(口溶けのジューシー感)
5:非常に濃厚なジューシー感、4:濃厚なジューシー感あり、3:ジューシー感あり、2:ジューシー感ややあり、1:ジューシー感なし
(バター感)
5:非常に強いバター感あり、4:強いバター感あり、3:バター感あり、2:ややバター感あり、1:バター感なし
実験例1
市販豆乳(固形分9重量%)を142℃、5秒加熱殺菌後、30℃まで冷却し、この豆乳80部に対してパネトーネ種液((株)パネックス製)(ラクトバチルス・パネックス、ラクトバチルス・サンフランシスコ、サッカロミセス・イグジキュース含有、固形分30重量%)を2部、グルコース2部、小麦粉1部、水溶性大豆多糖類「ソヤファイブ」(不二製油(株)製)0.5部、脱脂粉乳0.5部、大豆ペプチド「ハイニュート」(不二製油(株)製)0.1部を添加し、水を添加して全量を100部とし、タンク内において30℃でpH4.4になるまで発酵を行った。発酵時間は24時間であった。次いで、プレート式熱交換機で7℃まで冷却し、大豆蛋白発酵液を調製した。これを100Kg/cm2の圧力で均質化し、90℃で60秒間加熱殺菌したものを大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)とした。
実験例2
実験例1の大豆蛋白発酵液1と同様の方法により、パネトーネ種液の代わりに乳酸菌としてサワー種のラクトバチルス・サンフランシスコ菌末1部、酵母としてイースト菌1部を同時に添加して大豆蛋白発酵液を調製し、同様に加熱殺菌して大豆蛋白発酵液2(全固形分12.0重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.5)とした。
実施例1
フランス粉(製品名:リスドオル、日清製粉株式会社製)24部、イースト(製品名:オリエンタルイースト 、オリエンタル酵母工業株式会社製)0.6部、水8部、実験例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)16部をミキサーボールに入れ混捏し、発酵種を調整した。この時の捏ね上げ温度は25℃であった。また、この時のpHは4.55であった。これを27℃、78%に保った恒温機にて60分間発酵を行った。発酵後の発酵種生地を4〜5℃にて一晩置いた(16時間)。
次に、作製した発酵種を48.6部、フランス粉(製品名:リスドオル、日清製粉株式会社製)26部、強力粉(製品名:イーグル、日本製粉株式会社製)50部、モルトエキス0.5部、上白糖8部、全卵10部、イースト(製品名:オリエンタルイースト 、オリエンタル酵母工業株式会社製)3部、食塩2部、脱脂粉乳(製品名:よつ葉脱脂粉乳、よつ葉乳業株式会社製)2部、水26部をミキサーボールに入れ入れ混捏し、ドウを調整した。この時の捏ね上げ温度は25℃で、pHは5.12であった。これを27℃、78%に保った恒温機にて第1次発酵を30分間行った。次に、発酵後の生地を−20℃で1時間冷却した後、折り込み油脂(製品名:メサージュシート300、不二製油株式会社製、乳脂肪分5.5重量%、植物性脂肪分77.1重量%、(乳脂÷全油脂)=0.067)を50部、3つ折りを2回行うことで折り込んだ。さらに、−6℃で一晩(16時間)寝かせた後、3つ折りを1回行った。そして、−6℃で30分冷却した後、最終生地を得た(最終生地中の大豆蛋白発酵液1は7.0重量%)。この最終生地を厚さ4mm、底辺100mm、高さ200mmの二等辺三角形にカットし(生地重量50g)、クロワッサン成型した。これを35℃、70%の恒温機にて第2次発酵を1時間行い、卵を塗った後、窯で上火215℃・下火185℃にて18分間焼成した。
配合を表1に纏め、評価を表2に纏めた。
比較例1
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)16部を大豆蛋白発酵液1を2部と水22部に置き換え、発酵種を調整した。この時のpHは4.61であった。
次に、この発酵種を使用し、実施例1と同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは5.15であった。その後の工程についても実施例1と同様に行ないクロワッサンを得た。最終生地中の大豆蛋白発酵液1は0.9重量%であった。
配合を表1に纏め、評価を表2に纏めた。
比較例2
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)16部を大豆蛋白発酵液1を32部に置き換え、発酵種を調整した。この時のpHは4.35であった。
次に、この発酵種を使用し、実施例1の水28部を24部に置き換えて同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは4.84であった。その後の工程についても実施例1と同様に行ないクロワッサンを得た。最終生地中の大豆蛋白発酵液1は13.8重量%であった。
配合を表1に纏め、評価を表2に纏めた。
実施例2
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)を実験例2の大豆蛋白発酵液2(全固形分12.0重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.5)に置き換え、発酵種を調整した。この時のpHは4.61であった。
次に、この発酵種を使用し、実施例1と同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは5.15であった。その後の工程についても実施例1と同様に行ないクロワッサンを得た。最終生地中の大豆蛋白発酵液2は7.0重量%であった。
配合を表1に纏め、評価を表2に纏めた。
実施例3
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)を他の大豆蛋白発酵液3(製品名:発酵豆乳、不二製油株式会社製、全固形分12.7重量%、大豆固形分6.0重量%、品温15℃のpH4.6)に置き換え、発酵種を調整した。この時のpHは4.96であった。
次に、この発酵種を使用し、実施例1と同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは5.41であった。その後の工程についても実施例1と同様に行った。最終生地中の大豆蛋白発酵液3は7.0重量%であった。
配合を表1に纏め、評価を表2に纏めた。
参考例1
乳脂肪分5.5重量%、植物性脂肪分77.1重量%のメサージュシート300をバターに置き換えた例
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)を水に置き換え、種を調整した。この時のpHは5.48であった。
次に、この種を使用し、実施例1と同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは5.62であった。その後の工程は折り込み油脂をメサージュシート300をスイートバターに置き換えて行った。
配合を表1に纏め、評価を表2に纏めた。
実施例1、比較例1、比較例2、実施例2、実施例3及び参考例1の配合を表1に纏めた。
Figure 2011092119
実施例1、比較例1、比較例2、実施例2、実施例3及び参考例1の評価を表2に纏めた。
Figure 2011092119

大豆蛋白発酵液1、2、3を発酵種に添加し、生地を作製した実施例1、実施例2、実施例3は発酵風味、生地の旨み、ジューシー感が良好であった。
一方、大豆蛋白発酵液1を最終生地に対して1.1重量%だった比較例1は発酵風味、生地の旨み、ジューシー感共に良好とはならなかった。
そして大豆蛋白発酵液1を最終生地に対して18.6重量%だった比較例2は酸味が非常に強く、発酵風味、生地の旨み、ジューシー感共に良好とはならなかった。
一方、参考例1としてあげたスイートバターを使用したクロワッサンはバター感やジューシー感が付与されるものの、発酵風味や生地の旨みが良好となることはなかった。
比較例3
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)を大豆蛋白原料(製品名:無調整豆乳、不二製油株式会社製)に置き換え、種を調整した。この時のpHは5.68であった。
次に、この種を使用し、実施例1と同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは5.58であった。その後の工程についても実施例1と同様に行った。
配合を表3に纏め、評価を表4に纏めた。
比較例4
フランス粉(製品名:リスドオル、日清製粉株式会社製)50部、強力粉(製品名:イーグル、日本製粉株式会社製)50部、モルトエキス0.5部、上白糖8部、全卵10部、イースト(製品名:オリエンタルイースト 、オリエンタル酵母工業株式会社製)3.5部、食塩2部、脱脂粉乳(製品名:よつ葉脱脂粉乳、よつ葉乳業株式会社製)2部、水50部をミキサーボールに入れ入れ混捏し、ドウを調整した。この時の捏ね上げ温度は25℃で、pHは6.08であった。これを27℃、78%に保った恒温機にて第1次発酵を60分間行った。次に、発酵後の生地を−20℃で1時間冷却した後、折り込み油脂(製品名:メサージュシート300、不二製油株式会社製、乳脂肪分5.5重量%、植物性脂肪分77.1重量%)を50部、3つ折りを2回行うことで折り込んだ。さらに、−6℃で一晩(16時間)寝かせた後、3つ折りを1回行った。そして、−6℃で30分冷却した後、最終生地を得た。この最終生地を厚さ4mm、底辺100mm、高さ200mmの二等辺三角形にカットし(生地重量50g)、クロワッサン成型した。これを35℃、70%の恒温機にて第2次発酵を1時間行い、卵を塗った後、窯で上火215℃・下火185℃にて18分間焼成した。
配合を表3に纏め、評価を表4に纏めた。
実施例4
比較例3の水50部を、水36部+大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)16部に置き換え、ドウを調整した。このとき、生地のpHは5.24であった。その他の工程については比較例3と同様に行った。
最終生地中の大豆蛋白発酵液1は7.0重量%であった。
配合を表3に纏め、評価を表4に纏めた。
比較例3、比較例4及び実施例4の配合を表3に纏めた。
Figure 2011092119
比較例3、比較例4及び実施例4の評価を表4に纏めた。
Figure 2011092119

大豆蛋白原料を添加した種を使用した比較例3は生地の旨みやジューシー感は良好となるものの、発酵風味やバター感の改良には至らなかった。
また、大豆蛋白発酵液を添加しないストレート法である比較例4もやや不良となった。 ストレート法に大豆蛋白発酵液を添加した実施例4では発酵種に入れるほどの効果はないものの、バター感以外は良好であった。
参考例2
層状生地に替えて食パン生地とした例
実施例1と同様に発酵種を作製した。
次に、作製した発酵種を48.6部、強力粉(製品名:イーグル、日本製粉株式会社製)76部、上白糖6部、食塩2部、全卵5部、イースト(製品名:オリエンタルイースト 、オリエンタル酵母工業株式会社製)3部、練り込み油脂(製品名:デリソフト、不二製油株式会社製)6部、水42部をミキサーボールに入れ入れ混捏し、ドウを調整した。この時の捏ね上げ温度は27℃で、pHは5.04であった。これを27℃、78%に保った恒温機にて第1次発酵を50分間行った。次に、発酵後の生地を220gの生地玉に分割し、20分間休ませた。そして、生地をモルダーに1回通して型に入れ、35℃、70%の恒温機にて第2次発酵を50分行い、窯で上火210℃・下火220℃にて38分間焼成した。
配合を表5に纏め、評価を表6に纏めた。
比較例5
実施例1の大豆蛋白発酵液1(全固形分11.9重量%、大豆固形分7.2重量%、品温15℃のpH4.4)を水に置き換え、ドウを調整した。この時のpHは5.48であった。
次に、この種を使用し、実施例1と同様の工程にてドウを調整した。この時のpHは5.62であった。その後の工程についても実施例1と同様に行った。
配合を表5に纏め、評価を表6に纏めた。
参考例2及び比較例5の配合を表5に纏めた。
Figure 2011092119
参考例2及び比較例5の評価を表6に纏めた。
Figure 2011092119

参考例2の大豆蛋白発酵液1を発酵種に使用して作成した食パンは、発酵風味は感じられるものの、淡白な味となり層状生地で得られたようなコクが付与されない結果となった。
一方、大豆蛋白発酵液を添加しない種を使用した比較例5は風味等が良好にはならなかった。
本発明は、大豆蛋白発酵液を含有する層状生地及び当該層状生地を加熱してなる層状ベーカリー食品にに関するものである。

Claims (8)

  1. 小麦粉、大豆蛋白発酵液及び油脂を含む層状生地であって、層状生地全体に対して大豆蛋白発酵液が1.5〜12.5重量%であることを特徴とする、層状生地。
  2. 大豆蛋白発酵液が乳酸菌で発酵されたものである、請求項1記載の層状生地。
  3. 大豆蛋白発酵液が乳酸菌及び酵母により発酵されたものである、請求項1記載の層状生地。
  4. 大豆蛋白発酵液のpHが15℃において4.0〜4.8である、請求項1記載の層状生地。
  5. 大豆蛋白発酵液が殺菌処理されたものである、請求項1記載の層状生地。
  6. 大豆蛋白発酵液の全固形分が4〜30重量%であり、且つ大豆固形分が2〜15重量%である、請求項1記載の層状生地。
  7. 小麦粉、大豆蛋白発酵液及び油脂を含む層状生地であって、捏ね上げ後のドウのpHが25℃において4.8〜5.8である、請求項1記載の層状生地。
  8. 請求項1〜請求項7何れか1項に記載の層状生地を加熱してなる層状ベーカリー食品。
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