JP2015213474A - 可塑性油中水型乳化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】雑味を抑えバランスのとれた乳風味とコク味を付与することのできる可塑性油脂組成物、また雑味が抑えられバランスのとれた乳風味やコク味が感じられるベーカリー製品を提供すること。【解決手段】水相中に、乳清ミネラルを固形分として0.001〜10質量%(乳化物基準)及び乳酸発酵風味素材を0.1〜20質量%(乳化物基準)含有する可塑性油中水型乳化物により解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、雑味を抑え良好な乳風味とコク味を付与することのできる可塑性油中水型乳化物、さらには雑味が抑えられ、豊かな乳風味やコク味が感じられるベーカリー製品に関する。
乳風味はさまざまな食品素材に対して相性が良く、特にベーカリー製品においては、良好な乳風味を付与し、雑味を抑え調和のとれた風味を付与できることから広く好まれているものである。乳に含まれる成分としては乳蛋白質や乳糖等の無脂乳固形分、乳脂、水分が挙げられるが、良好な乳風味を得るためには特に乳脂の役割は大きいとされている。そのため、良好な乳風味を付与するために、バターやコンパウンドマーガリン(乳脂含有マーガリン)などの乳脂含有可塑性油脂が広く使用されてきた。
しかし、バターは世界的な需給の逼迫から品薄状態が続いており、コストアップにつながるといった課題もある。また、良好な可塑性を示す温度帯がおおよそ13〜18℃と狭く、作業性という点では課題が多い。特に、クロワッサン、デニッシュ、パイ等の層状ベーカリー製品を得る際に使用されるロールイン用油脂として利用する場合に課題が顕著である。
そのため、バターや乳脂が少ない場合であっても良好な乳風味やコク味を付与することのできる油脂組成物の検討が行われてきた。
たとえば、特定のカリウム塩とナトリウム塩を含有する可塑性油脂組成物(特許文献1)、乳脂の低融点画分及びバターミルクを含む水中油型乳化物を乳酸発酵させてなる発酵風味材を使用した外相が油相である乳化物(特許文献2)、乳脂、糖、アミノ酸および水を特定の割合で含有する組成物を、pH3.5〜4.5の条件下で乳脂肪を分解させることなく熟成した香料および香味改善剤の製造法(特許文献3)、脂肪酸と蛋白質との均質化された複合体を油脂に対して乾燥重量比で0.05〜20.0重量%含有する食品用油脂乳化組成物(特許文献4)が開示されている。
しかし、これらは風味の主張が強く、特徴ある乳風味を付与したい場合には一定の効果が見られるものの、食品素材によっては大きく風味のバランスが崩れてしまうことがあった。特に、素材の風味を生かしたリーンな配合のベーカリー製品やライ麦パン等ではこの傾向が顕著であった。
このように、幅広い食品素材に対してバランスのとれた乳風味とコク味を付与することのできる可塑性油脂が求められていた。
特開2003−284489号公報 国際公開第2005/120254号 特開2003−153665号公報 特開平9−3479号公報
よって、本発明の目的は雑味を抑え、バランスのとれた乳風味とコク味を付与することのできる可塑性油脂組成物、また雑味が抑えられバランスのとれた乳風味やコク味が感じられるベーカリー製品を得ることにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく種々検討した結果、乳清ミネラルと発酵風味素材を併用することにより、良好な乳風味とコク味を有する可塑性油中水型乳化物が得られることを知見した。特に、該可塑性油中水型乳化物を用いることで、雑味を抑え素材を生かしながらバランスのとれた良好な乳風味やコク味を付与することができることを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち本発明は、水相中に、乳清ミネラルを固形分として0.001〜10質量%(乳化物基準)及び乳酸発酵風味素材を0.1〜20質量%(乳化物基準)含有することを特徴とする可塑性油中水型乳化物である。
本発明によれば、雑味を抑え、バランスのとれた良好な乳風味とコク味を付与することのできる可塑性油中水型乳化物、さらには雑味が抑えられバランスのとれた豊かな乳風味やコク味が感じられるベーカリー製品を得ることができる。
以下、本発明の可塑性油中水型乳化物について詳細に説明する。
本発明の可塑性油中水型乳化物は、水相中に、乳清ミネラルを固形分として0.001〜10質量%(乳化物基準)及び乳酸発酵風味素材を0.1〜20質量%(乳化物基準)含有することを特徴とする。
まず、本発明で使用する乳清ミネラルについて詳述する。
乳清ミネラルとは、乳又はホエー(乳清)から、可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳の灰分を含有するという特徴を有する。そのため、そのミネラル組成は、原料となる乳やホエイ中のミネラル組成に近い比率となる。
本発明で使用する乳清ミネラルとしては、より良好な乳風味とコク味を有する可塑性油中水型乳化物が得られる点で、固形分中のカルシウム含量が2質量%未満、特に1質量%未満の乳清ミネラルを使用することが好ましい。尚、該カルシウム含量は低いほど好ましい。
牛乳から通常の製法で製造された乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量が5質量%以上である。上記カルシウム含量が2質量%未満の乳清ミネラルは、乳又はホエイから、膜分離及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖及び蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエイを用いる方法、或いは甘性ホエイから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法が挙げられるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエイから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては、特に限定されず、調温保持による沈殿法等の公知の方法を採ることができる。
本発明の可塑性油中水型乳化物における上記乳清ミネラルの含有量は、水相中に、固形分として乳化物基準で0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。上記乳清ミネラルの含有量が0.001質量%未満であると、本発明の効果(バランスのとれた乳風味とコク味)が見られず、また、10質量%を超えると、苦味や塩味を強く感じてしまうおそれがある。
次に、本発明で使用する、乳酸発酵風味素材について説明する。
上記乳酸発酵風味素材とは、乳酸菌が資化可能な基質を乳酸発酵して得られた風味素材であるが、その基質としては良好な乳風味が得られる点で乳原料を使用することが好ましい。該乳原料としては、牛乳、濃縮乳、練乳、ホエイ、クリーム、バタークリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水中油型の乳や乳製品をはじめ、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダーなどの粉乳類や、脱脂乳などの乳糖を含有する乳製品も使用可能である。
なお、本発明では、上記乳酸発酵風味素材は、基質や発酵条件の異なる2種以上の乳酸発酵風味素材を用いてもよい。
本発明の可塑性油中水型乳化物における上記乳酸発酵風味素材の含有量は、乳化物基準で0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、最も好ましくは1〜6質量%である。0.01質量%よりも少ないと本発明の効果が見られず、また20質量%よりも多いと酸味が強くなり、風味のバランスが大きく崩れてしまう。
以下、上記乳酸発酵風味素材の製造方法について、乳酸菌が資化可能な基質として乳原料を使用した場合の好ましい実施態様について詳述する。
上記乳酸発酵風味素材を得るためには、まず乳酸菌が資化可能な基質、好ましくは乳原料を含有するミックス液を調製する。
具体的には、牛乳、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水中油型の乳や乳製品、あるいは水に、乳蛋白質、乳糖等の水溶性の乳原料を添加し、水分含量が好ましくは20〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%となるように調整して乳原料を含有するミックス液とする。また、該乳原料を含有するミックス液は、食用油脂を添加した水中油型乳化物としてもよいが、良好な風味バランスの乳酸発酵風味素材を得るため、本発明では、食用油脂は使用しないことが好ましく、より好ましくは、ミックス液は油脂含量を5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下とする。
ミックス液は、風味が強化された乳酸発酵風味素材を安定して製造可能な点で、上記乳原料の含量が無脂乳固形分として2〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることが更に好ましい。
次に、必要に応じて、この乳原料を含有するミックス液を加熱する。加熱する温度は、好ましくは35〜75℃である。更に、必要に応じて均質化を行なう。均質化を行なうための均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、ホモゲナイザー、コロイドミル、ディスパーミル等が挙げられ、好ましくは1〜200MPaの均質化圧力にて均質化を行なう。
均質化後、必要に応じて、加熱殺菌を行なう。該加熱殺菌の方法としては、インジェクション式、インフュージョン式、マイクロ波、ジュール加熱式等の直接加熱方式、又は、バッチ式、プレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式があり、UHT、HTST、LTLT等の50〜160℃、好ましくは55〜100℃の加熱処理を行なえば良い。
このようにして調製された乳原料を含有するミックス液に乳酸菌を添加して、乳酸発酵を行なう。
上記乳酸菌としては、特に制限されるものではないが、Lactococcus lactis subsp. lactis、Lactococcus lactis subsp. cremoris、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Lactobacillus casei subsp. casei、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis、Lactobacillus jugurti、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus kefyr、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rhamnosus、Streptococcus thermophilus、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremoris 、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium breve等が挙げられ、これらを単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、これらの乳酸菌は、乳酸菌を含む発酵乳の形態で上記乳原料を含有するミックス液に加えることも可能である。また、更に、発酵乳製品の風味を向上させる目的で、Candida kefyr、Kluyveromyces marxianus var. marxianus、Saccharomyces unisporus、Saccharomyces florentinus等の酵母を含むスターターを使用してもよい。
ここで、本発明では、より良好な香味を有する乳酸発酵風味素材が得られる点で、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremorisのうちの1種、又は2種以上を用いることが好ましく、より好ましくは、Lactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis、Leuconostoc mesenteroides subsp. Cremorisの2種を併用する。
上記乳酸発酵の条件は、温度については、使用される各乳酸菌に好適な発酵温度(例えば20〜40℃)を適宜選択すればよい。
乳酸発酵時間は基質濃度や乳酸菌の添加量等に応じ適宜選択可能であるが、好ましくは、乳酸発酵したミックス液のpHの値が4〜6、より好ましくは4.0〜5.5、更に好ましくは4.3〜5.2、最も好ましくは4.5〜5.0となる時間とする。
なお、上記乳酸発酵時は静置状態であってもよいが、好ましくは攪拌をおこなう。好ましい攪拌条件は、1分間に5〜50回転、より好ましくは10〜30回転である。
なお、上記乳酸発酵風味素材は、乳原料を含有するミックス液を発酵させる第1乳酸発酵工程と、その後、リン脂質を添加して乳酸発酵させる第2乳酸発酵工程を経て得られる乳酸発酵風味素材であることが、より良好な乳風味の可塑性油中水型乳化物を得ることができる点で好ましい。
そこで、上記2段階で乳酸発酵させる際の、好ましい製造方法について、詳しく述べる。
上記第1段階の乳酸発酵については、終点を、香気成分の生成が始まり、且つ、香気成分の分解が始まっていない段階とする以外は、上述の製造方法と同様に行うことができる。
この終点の判断方法としては、香気成分の分解が始まると乳酸が発生して、ミックス液のpHの低下が始まることから、このことを利用し、好ましくは乳酸発酵されたミックス液のpHの値が、乳酸菌の添加時点から0.1〜0.5、より好ましくは0.1〜0.3低下した時点を第1乳酸発酵工程の終点と判断する。
なお、第1乳酸発酵工程に使用するミックス液は、リン脂質を含有しないことが好ましい。リン脂質を含有する場合には、0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下とする。
以下に、第2乳酸発酵工程について説明する。
第2乳酸発酵工程においては、第1乳酸発酵工程後のミックス液にリン脂質を添加して、乳酸発酵(以下、第2段階の乳酸発酵ともいう)を行なう。
上記第2乳酸発酵工程で使用する上記リン脂質は、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わない。上記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、更に上記リン脂質に対し、ホスホリパーゼ等により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質、上記リン脂質や上記リゾリン脂質を含有する食品素材を使用することができる。上記第2乳酸発酵工程ではリン脂質としてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明では、上記のリン脂質そのものよりも、得られる乳酸発酵風味素材が極めて良好な風味バランスを有し、該乳酸発酵風味素材を使用した油中水型乳化物やベーカリー製品が豊かな深いコク味と乳風味を有する点で、上記のリン脂質を含有する食品素材を用いる方が好ましい。このリン脂質を含有する食品素材としては、卵黄、大豆、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳が挙げられるが、極めて良好な風味バランスの乳酸発酵風味素材が得られる点から乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが好ましく、牛乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが更に好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材を使用する場合は、固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材を使用することが好ましく、更に好ましくは3質量%以上、最も好ましくは4〜40質量%である食品素材を使用する。
また、上記のリン脂質を含有する食品素材は、液体状でも、粉末状でも、濃縮物でも構わない。
但し、溶剤を用いて乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上となるように濃縮した食品素材は、風味上の問題から用いないのが好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法等については乳由来のリン脂質を含有する食品素材の形態等によって適正な方法が異なるためこの定量方法に限定されるものではない。
まず、乳由来のリン脂質を含有する食品素材の脂質を、Folch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する食品素材−乳由来のリン脂質を含有する食品素材の水分(g)〕×25.4×(0.1/1000)
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材としては、例えば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。このクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常、0.5〜1.5質量%程度であるのに対して、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、大凡、2〜15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
次に上記のクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法について説明する。
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
一方、バターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。まずバターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
また、上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上であれば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。更には加水して均質化してもよい。
ただし、乳由来のリン脂質は高温加熱すると、その機能が低下するため、上記加温処理や、濃縮処理中、あるいは殺菌等により加熱する際は100℃未満であることが好ましく、60℃未満であることが更に好ましい。
また、上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材のリン脂質の一部又は全部をそのままリゾ化してもよく、また濃縮した後にリゾ化してもよい。また更に得られたリゾ化物を更に濃縮、あるいは、噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材中の、リン脂質をリゾ化するにはホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置き換える作用を有する酵素である。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。ホスホリパーゼAは作用する部位の違いによってA1、A2に分かれるが、A2が好ましい。
上記リン脂質の添加量は、ミックス液100質量部に対し、リン脂質を0.05〜2質量部添加することが好ましい。リン脂質のより好ましい添加量は0.1〜0.5質量部、更に好ましくは0.1〜0.3質量部である。なお、上記のリン脂質はリゾリン脂質も含むものとする。
また、リン脂質として上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材を用いる場合、該食品素材をミックス液100質量部に対し、固形分として、好ましくは0.03〜15.0質量部、更に好ましくは0.5〜10.0質量部、最も好ましくは3.0〜7.0質量部添加するのがよい。
上記第2段階の乳酸発酵の条件は、温度については、第1段階同様、使用される各乳酸菌に好適な発酵温度(例えば20〜40℃)を適宜選択すればよい。
この第2段階の乳酸発酵は、良好な風味の乳酸発酵風味素材とするため、乳酸発酵が十分でありながら且つ過度に行われていないことが必要である。そのため、好ましくは、乳酸発酵したミックス液のpHの値が4〜6、より好ましくは4.0〜5.5、更に好ましくは4.3〜5.2、最も好ましくは4.5〜5.0となった時点を第2乳酸発酵工程の終点と判断する。
なお、上記第1乳酸発酵工程、第2乳酸発酵工程とも、乳酸発酵時は静置状態であってもよいが、好ましくは攪拌をおこなう。好ましい攪拌条件は、1分間に5〜50回転、より好ましくは10〜30回転である。
このようにして上記2段階で乳酸発酵することで得られた乳酸発酵風味素材は、通常の1段階で乳酸発酵することで得られた乳酸発酵風味素材に比べて、風味が強化され、且つ、糖の分解による香気成分と蛋白の分解による呈味成分がバランスよく含まれているという特徴を有する。
本発明の可塑性油中水型乳化物においては、上記乳清ミネラル及び乳酸発酵風味素材に加え、さらに遊離アミノ酸を含有することが好ましい。
上記遊離アミノ酸の好ましい含有量は、乳化物基準で、0.01〜2質量%、好ましくは0.02〜1.5質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。
本発明の可塑性油中水型乳化物においては、上記遊離アミノ酸として疎水性アミノ酸、塩基性アミノ酸、酸性アミノ酸を含有することが好ましく、その比率は疎水性アミノ酸:塩基性アミノ酸:酸性アミノ酸=30〜60:35〜65:1〜20、より好ましくは35〜55:40〜60:2.5〜15、最も好ましくは40〜50:45〜55:5〜10である。
上記疎水性アミノ酸としては、バリン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、グリシン、アラニン、ロイシン及びイソロイシンからなる群の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記塩基性アミノ酸としては、リシン、アルギニン、ヒスチジンからなる群の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸からなる群の中から選ばれた1種又は2種を用いることができる。
尚、本発明において、遊離アミノ酸とは、遊離アミノ酸、又は、アミノ酸の塩酸塩や、ナトリウム塩、カルシウム塩等の塩の形態の状態、或いはこれらの塩の水和物の状態を指し、ペプチドや蛋白質を構成する等の2個以上のアミノ酸結合体は含まない。
次に、本発明の可塑性油中水型乳化物に使用することのできる油脂について説明する。
本発明の可塑性油中水型乳化物に使用することのできる油脂としては特に限定されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、豚脂、カカオ脂、シア脂、乳脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂を使用することができる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
その他、本発明の可塑性油中水型乳化物に含有させることができる成分としては、例えば、澱粉、乳化剤、増粘安定剤、蛋白質、糖類/甘味料、水、卵類、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β―カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、乳清ミネラル、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の一般的にマーガリンなどの可塑性油中水型乳化物の製造に使用される各種食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記澱粉としては、コーン、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ、小麦、米、もち米由来等の澱粉が挙げられ、必要に応じてエステル化、リン酸架橋、α化、熱処理等の化学的、物理的処理を施したものを使用することができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
上記の乳化剤として、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。本発明においては、必要に応じてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等が挙げられ、この中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記蛋白質としては、特に限定されないが、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて1種ないし二種以上の蛋白質として、あるいは1種ないし2種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
上記糖類/甘味料としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつの中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の可塑性油中水型乳化物における油相と水相の比率は、好ましくは油相:水相=40〜95:60〜5、さらに好ましくは50〜90:50〜10である。
次に、本発明の可塑性油中水型乳化物の好ましい製造方法を説明する。
まず、油脂を40〜60℃に加熱し、溶解させ均一にした後、必要によりその他の油相成分を添加して油相とし、さらに水相成分を添加、混合し、乳化する。そして殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。次に、急冷可塑化工程に供する。急冷可塑化する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせが挙げられる。
急冷可塑化工程後は必要に応じてシート状、ブロック状、円柱状等の形状に成形することも可能である。
本発明の可塑性油中水型乳化物は、練り込み用、ロールイン用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コーティング用、クリーム用等、製菓・製パン分野、調理分野、惣菜分野において広く使用することが可能であるが、本発明の可塑性油中水型乳化物は、焼成工程を経ることで、より優れた乳風味とコク味を呈することから、製菓・製パン分野、とくにベーカリー生地に使用することが好ましい。
次に本発明のベーカリー生地について述べる。
本発明のベーカリー生地は、上記本発明の可塑性油中水型乳化物を用いたものであり、その使用方法としては、練り込み用、ロールイン用、フィリング用、サンド用、トッピング用、スプレッド用、スプレー用、コーティング用などが挙げられる。
ベーカリー生地の種類としては、特に限定されるものではないが、例えば、食パン、バラエティブレッド、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、ライ麦パン、デニッシュ・ペストリー、イングリッシュマフィン、グリッシーニ、コーヒーケーキ、ブリオッシュ、シュトーレン、パネトーネ、クロワッサン、イーストパイ、ピタ、ナン、マフィン、蒸しパン、イーストドーナツ、ワッフル、パイ等のパン類生地や、スナックカステラ、バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、サンドケーキ等のケーキ生地、さらにはこれらの冷凍品や冷蔵品が挙げられる。
中でも本発明では、豊かな乳風味やコク味を呈する点でパン類生地であることが好ましく、より好ましくは、食パン生地、バラエティブレッド生地、菓子パン生地、フランスパン生地、イギリスパン生地、ライ麦パン生地、デニッシュ・ペストリー生地である。
なお、該ベーカリー生地の製造方法は、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができ、パン類であれば中種法、ストレート法等、ケーキ類であれば、オールインミックス法、シュガーバッター法、フラワーバッター法等を適宜選択可能である。
最後に本発明のベーカリー製品について述べる。
本発明のベーカリー製品は上記ベーカリー生地を焼成してなるものである。
焼成方法は、とくに制限されず、一般的なベーカリー生地の製造方法に従って得ることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例により何等制限されるものではない。
<乳清ミネラルの製造>
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、さらに逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮し、次いで、80℃、20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分98質量%の乳清ミネラルAを得た。得られた乳清ミネラルAの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%であった。
<乳酸発酵風味素材の調製>
脱脂粉乳(リン脂質含量0.3質量%未満、無脂乳固形分99質量%、蛋白質含量11質量%)10質量部、ホエイパウダー(リン脂質含量0.2質量%未満、無脂乳固形分99質量%、蛋白質含量34質量%)2質量部及び水87.69質量部を混合し、55℃に加熱し、ケミコロイド社製シャーロットコロイドミルにてクリアランス0.2mm、回転数3500rpmにて均質化し、プレート式熱交換器にて80℃で3分間加熱殺菌後、プレート式熱交換器にて30℃に冷却し、無脂乳固形分含量が11.9質量%であり、リン脂質含量が0.034質量%未満である、乳原料を含有するミックス液を調製した。第1乳酸発酵工程として、この乳原料を含有するミックス液にLactococcus lactis subsp. lactis var. diacetylactis及びLeuconostoc mesenteroides subsp. Cremorisの2種から成る乳酸菌スターター0.01質量部を加え、30℃で15回転/分で攪拌しながら5時間発酵した。なお、乳酸菌スターターを加えた時点の乳原料を含有するミックス液のpHは6.54であり、第1乳酸発酵工程終点でのpHは6.35であった。ここで、リン脂質として、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(リン脂質含量3.7質量%、蛋白質含量12質量%、無脂乳固形分33.4質量%、乳由来の固形分38質量%、乳由来の固形分中のリン脂質含量9.8質量%)5質量部を添加し、更に第2乳酸発酵工程として、30℃で10回転/分で攪拌しながら7時間発酵し、pHが4.71である乳酸発酵風味素材を得た。
<アミノ酸混合物の調製>
バリン5質量部、フェニルアラニン5質量部、グリシン6質量部及びアラニン7質量部からなる疎水性アミノ酸46質量%、リジン6質量部及びアルギニン2質量部からなる塩基性アミノ酸48質量%、並びに酸性アミノ酸であるグルタミン酸6質量%を混合し、アミノ酸混合物を得た。
<エステル交換油脂の製造>
ヨウ素価55のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行い、パーム分別軟部油のエステル交換油脂Aを得た。
〔実施例1〕
エステル交換油脂A70質量部、ナタネ油30質量部を60℃に加熱・混合し、混合油(A)を得た。
次に混合油(A)81質量部からなる油相と、水13.9質量部、上記乳清ミネラルA0.1質量部、上記乳酸発酵風味素材5質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Aを得た。
〔実施例2〕
上記混合油(A)81質量部からなる油相と、水9質量部、上記乳清ミネラルA5質量部、上記乳酸発酵風味素材5質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Bを得た。
〔実施例3〕
上記混合油(A)81質量部からなる油相と、水17.2質量部、上記乳清ミネラルA0.8質量部、上記乳酸発酵風味素材1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Cを得た。
〔実施例4〕
上記混合油(A)81質量部、レシチン0.1質量部、飽和脂肪酸モノグリセリド0.1質量部からなる油相と、水3質量部、上記乳清ミネラルA0.8質量部、上記乳酸発酵風味素材15質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Dを得た。
〔実施例5〕
上記混合油(A)81質量部からなる油相と、水13.1質量部、上記乳清ミネラルA0.8質量部、上記乳酸発酵風味素材5質量部、上記アミノ酸混合物0.1質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Eを得た。
〔実施例6〕
上記混合油(A)81質量部からなる油相と、水18質量部、上記乳清ミネラルA0.8質量部、上記乳酸発酵風味素材0.2質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Fを得た。
〔実施例7〕
上記混合油(A)81質量部からなる油相と、水13.98質量部、上記乳清ミネラルA0.02質量部、上記乳酸発酵風味素材5質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、本発明の可塑性油中水型乳化物Gを得た。
〔比較例1〕
上記混合油(A)77質量部、レシチン0.1質量部、飽和脂肪酸モノグリセリド0.1質量部からなる油相と、上記乳清ミネラルA0.8質量部、上記乳酸発酵風味素材22質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、比較例である可塑性油中水型乳化物Hを得た。
〔比較例2〕
上記混合油(A)81質量部からなる油相と、水18.2質量部、上記乳清ミネラルA0.8質量部を混合・溶解した水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、比較例である可塑性油中水型乳化物Iを得た。
〔比較例3〕
上記混合油(A)81質量部、レシチン0.1質量部、飽和脂肪酸モノグリセリド0.1質量部からなる油相と、水18.8質量部からなる水相とを常法により、油中水型の乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度−20℃/分以上)にかけ、比較例である可塑性油中水型乳化物Jを得た。
上記のように得られた可塑性油中水型乳化物A〜Jを用い、下記の配合と製法によりジャーマンブロートと食パンを製造した。
ジャーマンブロートの配合と製法
(配合)
欧州パン専用粉 80質量部
ライ麦粉 20質量部
パン酵母 2質量部
ユーロモルト 0.3質量部
食塩 2質量部
脱脂粉乳 3質量部
水 63質量部
可塑性油中水型乳化物A〜Jのいずれか 7質量部
(製法)
上記配合に記載の可塑性油中水型乳化物以外の原料を縦型ミキサーに入れ、低速3分、中速3分ミキシングした後、上記可塑性油中水型乳化物を添加して、低速3分、中速4分高速2分ミキシングし、ジャーマンブロート生地(捏ね上げ温度=23.5℃)を得た。得られたジャーマンブロート生地は、24℃で90分フロアタイムをとり、生地を350gずつに分割した。分割後、28℃で20分ベンチタイムを取った後、モルダーにて生地を伸ばした後、カールして展圧し、なまこ型の成型物を得た。この成型物を天板に3個ならべて、温度:29℃、湿度:75%で40分間最終発酵を行った。最終発酵後、210℃のオーブンで20分間焼成し、ジャーマンブロートを得た。
食パンの配合と製法
(配合)
中種配合
強力粉 70質量部
パン酵母 2.3質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
可塑性油中水型乳化物A〜Jのいずれか 6質量部
脱脂粉乳 2質量部
食塩 2質量部
水 25質量部
(製法)
上記の中種配合の全原料を、縦型ミキサーに入れ、低速2分、中速2分ミキシングし、中種生地(捏ね上げ温度=24℃)を得た。この中種生地を28℃、相対湿度80%にて4時間発酵させた。
上記の本捏配合に記載の可塑性油中水型乳化物以外の材料と上記の発酵を行った中種生地を、縦型ミキサーに入れ、低速3分、中速3分ミキシングした後、本捏配合の可塑性油中水型乳化物を添加して、低速3分、中速4分ミキシングし、本捏生地(捏ね上げ温度=28℃)を得た。得られた本捏生地は、20分フロアタイムをとり、分割(380g)、丸めし、25分ベンチタイムを取った後、モルダーを使用してワンローフ成形し、ワンローフ型にいれ、38℃、相対湿度80%、60分のホイロを取った後、210℃のオーブンで30分焼成してワンローフ型食パンを得た。
得られたジャーマンブロート及びワンローフ型食パンは、室温(25℃)で24時間保存した後、10人のパネラーにて下記評価項目、評価基準で官能試験を行った。
合計点が25点以上のものを◎、18〜24点のものを○、11〜17点のものを△、10点以下のものを×とし、結果を[表1]に示した。
評価基準
・乳風味
3点・・・非常に良好な乳風味である
2点・・・良好な乳風味である
1点・・・乳風味があまり感じられない/又は強すぎる
0点・・・乳風味が感じられない/又は非常に強すぎる
・コク味
3点・・・非常に良好なコク味を感じる
2点・・・良好なコク味を感じる
1点・・・コク味があまり感じられない
0点・・・コク味が感じられない
・雑味
3点・・・雑味が抑えられている
2点・・・ほぼ雑味が抑えられている
1点・・・雑味が感じられる
0点・・・雑味が強く感じられる
・素材との風味のバランス
3点・・・素材の風味もしっかりと感じられ、非常にバランスが良い
2点・・・素材の風味も感じられ、バランスが良い
1点・・・バランスがよくない
0点・・・バランスが非常に悪い
Figure 2015213474

Claims (5)

  1. 水相中に、乳清ミネラルを固形分として0.001〜10質量%(乳化物基準)及び乳酸発酵風味素材を0.1〜20質量%(乳化物基準)含有することを特徴とする可塑性油中水型乳化物。
  2. 上記乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の可塑性油中水型乳化物。
  3. さらに遊離アミノ酸を0.01〜2質量%(乳化物基準)含有する、請求項1又は2に記載の可塑性油中水型乳化物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の可塑性油中水型乳化物を用いたベーカリー生地。
  5. 請求項4に記載のベーカリー生地を焼成したベーカリー製品。
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JP2018078844A (ja) * 2016-11-17 2018-05-24 株式会社Adeka ベーカリー製品用湯種生地
JP2018164444A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 株式会社Adeka 可塑性油中水型乳化油脂組成物

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