JP6696835B2 - 発酵風味液の製造方法及び食品の製造方法 - Google Patents

発酵風味液の製造方法及び食品の製造方法 Download PDF

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本発明は、発酵風味液の製造方法及び前記発酵風味液を用いる食品の製造方法に関する。
近年の食生活の多様化や、消費者のグルメ嗜好の高まりにより、食品メーカー等では、ベーカリー食品等の各種食品において、従来の製品よりも優れた製品を提供するべく、例えば、風味を増強又は改善する材料、呈味を改善する材料、調味料などについて、様々な研究が行われている。
食品の風味を増強又は改善する材料に関する技術としては、例えば、殺菌処理された酵母発酵液に乳酸菌を添加し、さらに発酵させる発酵風味液の製造方法(例えば、特許文献1参照)、酵母エキスを乳酸菌で発酵させて得られる、酵母エキス固形分あたり7.5(w/w)%以上の乳酸を含む乳酸発酵酵母エキスを含有する不快風味を有する飲食品用の風味改善剤(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
また、食品の呈味を改善する材料に関する技術としては、例えば、酵母エキスを乳酸菌で発酵させて得られる、酵母エキス固形分あたり7.5(w/w)%以上の乳酸を含む乳酸発酵酵母エキスを含有する酸性飲食品用呈味改善剤(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
また、調味料に関する技術としては、ミートフレーバーを呈し、かつ旨味、味の厚みや複雑さを効果的に付与することができる調味料として、酵母エキス及び還元糖を含む混合物を加熱処理して得られる酵母エキス加熱反応物を含有する調味料(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、従来の製品よりも優れた製品を求める消費者の要望は極めて強く、これに応えるために、更なる技術の速やかな提供が求められているのが現状である。
特開2007−244274号公報 特開2013−179862号公報 特開2013−78265号公報 国際公開第2013/140901号
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ベーカリー食品等の各種食品に濃厚なうまみ及びコク味と、これまでにない香ばしさ・発酵風味、特に香ばしさと乳酸菌等による発酵風味のバランスに優れたこれまでにない風味を付与し得る発酵風味液の製造方法、及び当該方法で製造される発酵風味液を用いるベーカリー食品等の各種食品の製造方法を提供すること目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、酵母素材を還元糖の存在下において熱処理し、得られた熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させることにより、濃厚なうまみ及びコク味と、これまでにない香ばしさ・発酵風味、特に香ばしさと乳酸菌等による発酵風味のバランスに優れたこれまでにない風味を付与し得る発酵風味液を製造することができることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (i)酵母素材を還元糖の存在下において熱処理する工程、及び
(ii)得られた熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させる工程、を含むことを特徴とする発酵風味液の製造方法である。
<2> 工程(i)において、酵母素材が、熱処理を行う組成物において、アミノ酸総量として1質量%以上含有させるものである前記<1>に記載の方法である。
<3> 酵母素材が、酵母菌体、酵母粉砕物及び酵母エキスから選択される1種以上である前記<1>又は<2>に記載の方法である。
<4> 工程(i)において、還元糖が、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース及びマルトースから選択される1種以上であり、その濃度が0.5〜10質量%である前記<1>〜<3>のいずれかに記載の方法である。
<5> 工程(i)の熱処理条件が、温度60〜100℃で30分間〜6時間である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の方法である。
<6> 工程(ii)において、穀粉類及び/又は乳原料を1〜20質量%の存在下に、酵母及び/又は乳酸菌により発酵させる前記<1>〜<5>のいずれかに記載の方法である。
<7> 工程(ii)の発酵条件が、温度20〜40℃で12〜24時間である前記<1>〜<6>のいずれかに記載の方法である。
<8> 前記<1>〜<7>のいずれかに記載の方法により製造される発酵風味液を用いることを特徴とする食品の製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、ベーカリー食品等の各種食品に濃厚なうまみ及びコク味と、これまでにない香ばしさ・発酵風味、特に香ばしさと乳酸菌等による発酵風味のバランスに優れたこれまでにない風味を付与し得る発酵風味液の製造方法、及び当該方法で製造される発酵風味液を用いるベーカリー食品等の各種食品の製造方法を提供することができる。
(発酵風味液の製造方法)
本発明の発酵風味液の製造方法は、(i)酵母素材を還元糖の存在下において熱処理する工程(以下、「工程(i)」と称することがある)と、(ii)得られた熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させる工程(以下、「工程(ii)」と称することがある)とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
<工程(i)>
前記工程(i)は、酵母素材を還元糖の存在下において熱処理し、熱処理物を得る工程である。
<<酵母素材>>
前記酵母素材としては、食品として使用でき、且つ工程(ii)において発酵原料となるものであれば特に限定はされないが、パン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、味噌醤油酵母から得られる素材が挙げられ、パン酵母、ビール酵母から得られる素材が好ましい。これらの酵母から得られる素材としては、例えば、酵母菌体(生菌体、乾燥菌体)、酵母粉砕物(乾燥酵母粉末等)、酵母エキス(自己消化物、酵素処理物等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酵母素材は、酵母から調製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
また、前記酵母素材としては、目的の発酵風味液に、濃厚なうまみ及びコク味(以下、「濃厚なうまみ・コク味」と称することがある)とこれまでにない香ばしさ・発酵風味を付与し得るという効果を付与し易い点で、熱処理を行う組成物において、アミノ酸総量として、1質量%以上含有させ得るものが好ましく、3〜6質量%含有させ得るものがより好ましい。前記アミノ酸総量が1質量%未満であると、濃厚なうまみ・コク味とこれまでにない香ばしさ・発酵風味の付与という点で、十分ではない可能性がある。
前記酵母素材の前記熱処理を行う組成物における含有量としては、特に制限はなく、例えば、目的とする前記アミノ酸総量に応じて適宜選択することができる。
<<還元糖>>
前記還元糖としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース、マルトースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与するという点で、グルコース、フルクトース、マルトース及びキシロースから選択される1種以上が好ましい。
前記還元糖は、市販品を使用することができる。
前記還元糖の前記熱処理を行う組成物における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.5〜10質量%の範囲が好ましく、1.0〜5.0質量%の範囲がより好ましい。前記還元糖の含有量が0.5質量%未満であると、酵母素材との加熱処理に起因するこれまでにない香ばしさ・発酵風味の付与という効果の点で十分ではなくなる可能性があり、10質量%を超えて含有させても、それ以上効果が上がらない可能性がある。
<<熱処理>>
前記熱処理の温度(以下、「加熱温度」と称することがある)としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。前記加熱温度が60℃未満であると、風味(香ばしさ)の付与という点で十分ではない可能性があり、100℃を超えると所望の風味とは異なる風味が生じる可能性がある。
前記熱処理の時間(以下、「加熱処理の時間」と称することがある)としては、前記温度条件下で、30分間〜6時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。前記加熱処理の時間が30分未満であると風味(香ばしさ)の付与という点で十分ではない可能性があり、6時間を超えて処理しても所望の風味はそれ以上向上せず、却って所望の風味とは異なる風味が生じる可能性がある。
前記熱処理を行う組成物は、前記酵母素材及び前記還元糖以外のその他の成分が含まれていてもよい。前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができる。
前記工程(i)では、前記熱処理の前に、必要に応じて熱処理を行う組成物のpHを調整してもよい。
<工程(ii)>
前記工程(ii)は、前記工程(i)で得られた熱処理物を発酵原料として、酵母及び/又は乳酸菌で発酵させ、発酵風味液を得る工程である。
<<発酵原料>>
前記発酵原料は、少なくとも前記熱処理物を含み、必要に応じて更に穀粉類及び/又は乳原料などのその他の成分を含む。
−熱処理物−
前記熱処理物は、前記工程(i)で得られた熱処理物である。
前記熱処理物の前記発酵原料における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。前記発酵原料は、前記熱処理物からなるものであってもよい。
−その他の成分−
−−穀粉類及び/又は乳原料−−
前記穀粉類としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、小麦粉、ライ小麦粉、大麦粉などの麦類の穀粉、米粉、ソバ粉、コーンフラワーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発酵風味液の風味等の点で、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉及びそれらの全粒粉が好ましい。
前記乳原料としては、牛乳とその加工品の他に、豆乳等の乳及びその加工品など、特に制限されずに、使用可能であり、例えば、脱脂粉乳、脱脂乳、生乳、乳タンパク質濃縮物等の他、ホエイを原料として製造されるホエイパウダーや、ホエイタンパク濃縮物等も使用可能である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記穀粉類及び前記乳原料は、いずれか一方を使用してもよいし、両方を使用してもよい。
前記穀粉類及び前記乳原料は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
前記穀粉類及び/又は乳原料の前記発酵原料における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。前記穀粉類及び/又は乳原料の含有量が1質量%未満であると、発酵が十分ではなくなる可能性があり、20質量%を超えて存在させても発酵は促進されず、所望の発酵風味もあまり増加しない。
前記熱処理物と、前記穀粉類及び/又は乳原料との質量比としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、通常は100:1〜20の範囲であるが、100:2〜10の範囲が好ましい。
前記穀粉類及び/又は乳原料以外のその他の成分としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、アミノ酸源、炭素源、各種無機塩、ビタミン類など、通常、酵母や乳酸菌の発酵の際に培養液に添加され得る各種成分などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、前記炭素源としては、酵母や乳酸菌が資化できるものであれば特に限定されないが、例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、マルトースなどが挙げられ、これらを含有する液糖類、果汁類、蜂蜜などであってもよい。
前記その他の成分は、市販品を使用してもよいし、適宜調製したものを使用してもよい。
前記穀粉類及び/又は乳原料以外のその他の成分の前記発酵原料における含有量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<<酵母及び/又は乳酸菌>>
前記酵母及び又は乳酸菌は、いずれか一方を使用してもよいし、両方を使用してもよいが、乳酸菌のみ、又は乳酸菌及び酵母の両方を使用することが好ましい。
−酵母−
前記工程(ii)で用いる酵母としては、食品に使用できものであれば特に限定はされないが、例えばパン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母、味噌醤油酵母が挙げられ、パン酵母、ビール酵母が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酵母の菌株としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、トルロプシス(Torulopsis)属、ミコトルラ(Mycotorula)属、トルラスポラ(Torulaspora)属、キャンディダ(Candida)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、ピキア(Pichia)属などが挙げられ、具体的な菌株の例としては、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Saccharomyces uvarum、Saccharomyces rouxii、Torulopsis utilis、Torulopsis candida、Mycotorula japonica、Mycotorula lipolytica、Torulaspora delbrueckii、Torulaspora fermentati、Candida sake、Candida tropicalis、Candida utilis、Hansenula anomala、Hansenula suaveolens、Saccharomycopsis fibligera、Saccharomyces lipolytica、Rhodotorula rubra、Pichia farinosaなどが挙げられる。これらの中でも、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensisが好ましい。
−乳酸菌−
前記工程(ii)で用いる乳酸菌としては、食品に使用できものであれば特に限定はされないが、発酵乳の製造に用いられる一般的な乳酸菌が挙げられ、例えば、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属の乳酸菌等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラクトバチルス属の乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbruekii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)等が挙げられる。
前記ストレプトコッカス属の乳酸菌としては、例えば、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等が挙げられる。
前記酵母及び又は乳酸菌は、これらを含有する各種発酵乳や発酵種を用いてもよい。
前記酵母及び又は乳酸菌の使用量としては、特に制限はなく、適宜選択することができる。
<<発酵>>
前記発酵の温度としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、通常は20〜40℃であり、25〜35℃が好ましい。前記発酵の温度が20℃未満であると、発酵に時間を要するだけでなく、発酵が十分に進行せず、その結果として得られる発酵風味液の濃厚なうまみ・コク味とこれまでにない香ばしさ・発酵風味が十分ではなくなる可能性があり、40℃を超えると、所望の風味とは異なる風味が生じる可能性がある。
前記発酵の時間としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、前記温度条件下で、通常は12〜24時間であり、16〜20時間が好ましい。前記発酵の時間が12時間未満であると、発酵が十分に進行していないことがあり、その結果として得られる発酵風味液の濃厚なうまみ・コク味とこれまでにない香ばしさ・発酵風味が十分ではなくなる可能性があり、24時間を超えてもそれ以上発酵は進行しない可能性がある。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、酵母素材調製工程、加熱殺菌工程などが挙げられる。
<<酵母素材調製工程>>
前記酵母素材調製工程は、前記工程(i)に用いる酵母素材を調製する工程である。
前記酵母素材を調製する方法としては、特に制限はなく、前記工程(i)で使用する酵母素材に応じて、公知の方法を適宜選択することができる。
<<加熱殺菌工程>>
前記加熱殺菌工程は、前記工程(ii)で得られた発酵風味液を加熱殺菌処理する工程である。
前記発酵風味液は、前記工程(ii)で得られたものをそのまま後述する食品の製造方法に用いてもよいが、保存性や流通、また、適用する食品が更に発酵させる食品、例えばイースト発酵食品に用いる場合には、発酵風味液に含まれる酵母や乳酸菌の生菌がその製造に影響を与えないように、加熱殺菌処理するのが好ましい。
本発明の製造方法によれば、ベーカリー食品等の各種食品に濃厚なうまみ・コク味と、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与し得る発酵風味液を効率良く製造することができる。
(食品の製造方法)
本発明の食品の製造方法は、上記した本発明の製造方法により製造される発酵風味液を用いる限り、特に制限はなく、公知の食品の製造方法を適宜選択することができる。
<食品>
前記その食品の種類としては、濃厚なうまみ・コク味とこれまでにない香ばしさ・発酵風味を付与することが有用な食品であれば特に限定はされないが、ベーカリー製品(パン類及び菓子類)を好適に例示することができる。
<使用>
前記発酵風味液は、単独で食品の製造に供してもよいし、あるいは、他の成分と混合して食品の製造に供してもよい。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、pH調整剤;ショ糖、ブドウ糖、果糖、各種糖アルコール等の糖類;澱粉や穀粉;ステビア、アスパルテーム等の甘味料;デキストリン;有機酸やその塩、グリシンやDL−アラニン等の制菌作用がある成分;調味・呈味成分;香料;色素;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、フェルラ酸、チャ抽出物等の酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記発酵風味液の食品への添加量としては、特に制限はなく、食品の種類や所望の効果により適宜変更することができる。例えば、ベーカリー製品のうちパン類では、用いる穀粉類に対し、0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。
本発明の食品の製造方法によれば、濃厚なうまみ・コク味とこれまでにない香ばしさ・発酵風味が付与された食品を製造することができる。したがって、本発明は、本発明の製造方法により製造される発酵風味液を用いる食品への風味付与方法にも関する。
以下、実施例等を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
以下のようにして、実施例1の発酵風味液を製造した。
<酵母素材調製工程>
下記配合の組成物を50℃で2時間処理し、酵母菌体自己消化物含有組成物を得た。なお、前記酵母菌体自己消化物含有組成物におけるアミノ酸総量を測定したところ、3質量%であった。
−配合−
・ 酵母クリーム(パン酵母、50質量%のクリーム) ・・・ 75.28質量%
・ プロテアーゼ(自己消化用酵素) ・・・ 0.05質量%
・ キシロース ・・・ 1.51質量%
・ 水 ・・・ 23.16質量%
<工程(i)>
前記酵母菌体自己消化物含有組成物のpHを苛性ソーダでpH7.5に調製した後、80℃で2時間熱処理を行い、熱処理物を得た。
<工程(ii)>
下記配合の組成物に、酵母及び乳酸菌を加え、30℃で16時間発酵を行い、発酵風味液を得た。
−配合−
・ 熱処理物 ・・・ 80質量%
・ ライ麦粉 ・・・ 2質量%
・ グルコース ・・・ 2質量%
・ 水 ・・・ 16質量%
<加熱殺菌工程>
前記工程(ii)で得られた発酵風味液を加熱殺菌処理し、実施例1の発酵風味液を得た。
(比較例1)
実施例1において、工程(i)を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして、比較例1の発酵風味液を得た。
(比較例2)
実施例1において、工程(ii)を行わなかった点以外は、実施例1と同様にして、比較例2の発酵風味液を得た。
(比較例3)
市販の発酵風味液A(酵母エキス、乳原料等を乳酸菌で発酵させて得られた乳酸菌発酵物)を比較例3の発酵風味液とした。
(比較例4)
市販の発酵風味液B(酵母エキス、乳原料等を酵母及び乳酸菌で発酵させて得られた酵母及び乳酸菌発酵物)を比較例4の発酵風味液とした。
(試験例1:食パン)
実施例1及び比較例1〜4のいずれかで製造した発酵風味液を用い、中種法により食パンを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。
<配合>
中種 本捏
・ 小麦粉 70質量部 30質量部
・ イースト 2.2質量部 0.5質量部
・ パン品質改良剤 0.15質量部
・ 砂糖 − 5質量部
・ 油脂 − 5質量部
・ 食塩 − 2質量部
・ 脱脂粉乳 − 2質量部
・ 発酵風味液 − 3質量部
・ 水 40質量部 30質量部
<工程>
中種 本捏
・ ミキシング L2M2分 L2M3H1分↓M3H1分
・ 捏上温度 24℃ 27℃
・ 発酵(フロア)時間 4時間 15分
・ 分割重量 − 225g×4(型比容積4.0)
・ ベンチ時間 − 20分
・ 成型 − U字詰め(2斤型)
・ ホイロ条件 − 35℃、相対湿度85%
・ ホイロ時間 − 50分
・ 焼成条件 − 190℃、32分
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速、Hは高速を表し、↓は油脂の添加を表す。
<評価>
製造した各食パンを食し、以下の項目について評価した。結果を表1に示す。
−濃厚なうまみ・コク味−
◎ : うまみが濃厚でコク味も豊かである。
○ : うまみ・コク味がある。
△ : ややうまみ・コク味がある。
× : うまみ・コク味に乏しい。
−香ばしさ−
◎ : 香ばしさに富む。
○ : 香ばしさがある。
△ : やや香ばしさがある。
× : 香ばしさに乏しい。
−発酵風味−
◎ : 香ばしさとのバランスに優れた発酵風味に富む。
○ : 香ばしさとのバランスにやや優れた発酵風味である。
△ : 香ばしさとのバランスにやや劣る発酵風味である。
× : 従来の発酵風味である、又は発酵風味がない。
Figure 0006696835
表1の結果から、実施例1の発酵風味液を用いて製造された食パンは、濃厚なうまみ・コク味を有し、香ばしさがあり、また、香ばしさとのバランスに優れた発酵風味を有していた。一方、比較例1〜4のいずれかの発酵風味液を用いて製造された食パンは、濃厚なうまみ・コク味、香ばしさ並びに発酵風味の少なくともいずれかが劣るものであった。
したがって、本発明の製造方法により得られた発酵風味液を用いることで、食品に濃厚なうまみ・コク味と、これまでにない香ばしさ・発酵風味を付与できることが示された。
(製造例1:ロールパン)
実施例1で製造した発酵風味液を用い、中種法によりロールパンを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。また、実施例1で製造した発酵風味液を用いなかった以外は同様にして、対照のロールパンを製造した。
<配合>
中種 本捏
・ 小麦粉 70質量部 30質量部
・ イースト 3質量部 −
・ パン品質改良剤 0.1質量部 −
・ ぶどう糖 3質量部 −
・ 全卵 10質量部 −
・ 砂糖 − 8質量部
・ 油脂 − 10質量部
・ 脱脂粉乳 − 3質量部
・ 食塩 − 1.8質量部
・ 発酵風味液 − 5質量部
・ 水 34質量部 20質量部
<工程>
中種 本捏
・ ミキシング L2M2分 L2M3H1分↓M3H2分
・ 捏上温度 26℃ 27℃
・ 発酵(フロア)時間 2時間 20分
・ 分割重量 − 40g
・ ベンチ時間 − 20分
・ 成型 − 一本結び
・ ホイロ条件 − 35℃、相対湿度85%
・ ホイロ時間 − 50分
・ 焼成条件 − 190℃、9分
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速、Hは高速を表し、↓は油脂の添加を表す。
製造例1で製造されたロールパンは、対照のロールパンと比較して、濃厚なうまみ・コク味を有し、香ばしさがあり、また、香ばしさとのバランスに優れた発酵風味を有していた。
(製造例2:クラッカー)
実施例1で製造した発酵風味液を用い、クラッカーを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。また、実施例1で製造した発酵風味液を用いなかった以外は同様にして、対照のクラッカーを製造した。
<配合>
・ 小麦粉 ・・・ 100質量部
・ イースト ・・・ 0.3質量部
・ パン品質改良剤 ・・・ 0.1質量部
・ ベーキングパウダー ・・・ 1質量部
・ 砂糖 ・・・ 1質量部
・ 食塩 ・・・ 1.5質量部
・ 油脂 ・・・ 10質量部
・ 発酵風味液 ・・・ 5質量部
・ 水 ・・・ 27質量部
<工程>
・ ミキシング ・・・ ↓L3M7分
・ 捏上温度 ・・・ 21℃
・ リタード条件 ・・・ 20℃、16時間、3つ折り3回
・ 厚さ ・・・ 1.6mm(両面ピケをする)
・ 成型 ・・・ ビスケット型に型抜きをする
・ ラック時間 ・・・ 30分
・ 焼成時間 ・・・ 17分
・ 焼成温度 ・・・ 上:175℃、下:190℃(2枚天板使用)
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速を表し、↓は油脂の添加を表す。
製造例2で製造されたクラッカーは、対照のクラッカーと比較して、濃厚なうまみ・コク味を有し、香ばしさがあり、また、香ばしさとのバランスに優れた発酵風味を有していた。

Claims (8)

  1. (i)酵母素材を還元糖の存在下において熱処理する工程、及び
    (ii)得られた熱処理物を発酵原料として、穀粉類及び/又は乳原料1〜20質量%の存在下に、酵母及び乳酸菌で発酵させる工程、を含むことを特徴とする発酵風味液の製造方法。
  2. 工程(i)において、酵母素材が、熱処理を行う組成物において、アミノ酸総量として1質量%以上含有させるものである請求項1に記載の方法。
  3. 酵母素材が、酵母菌体、酵母粉砕物及び酵母エキスから選択される1種以上である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(i)において、還元糖が、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、ラクトース、アラビノース及びマルトースから選択される1種以上であり、その濃度が0.5〜10質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 工程(i)の熱処理条件が、温度60〜100℃で30分間〜6時間である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 工程(ii)において、熱処理物と、穀粉類及び/又は乳原料との質量比が、100:1〜20の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 工程(ii)の発酵条件が、温度20〜40℃で12〜24時間である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造される発酵風味液を用いることを特徴とする食品の製造方法。
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