JP6856989B2 - 食塩組成物 - Google Patents
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Description
飲食品に塩味を付与するためには、食塩、即ち塩化ナトリウムが使用されるのが一般的である。しかし、その主要構成成分であるナトリウムの過剰摂取は、高血圧をはじめとする多くの疾患の原因の一つとみられており、国立循環器病研究センターが2014年11月14日より「かるしお認定制度」を開始する等、昨今では健康への影響がある塩化ナトリウムの摂取量が以前にも増して注目されている。
しかしながら、単に塩化ナトリウムの添加量を減じただけでは、当然基本風味の一つである塩味が低減するために飲食品を美味しく喫食することができない。そのため、飲食品の風味や味質を維持したままナトリウム摂取量を低減させることのできる食塩組成物及び飲食品がこれまでにも要求され、検討されてきた。
塩化ナトリウムに代わる塩味発現物質とは、塩化ナトリウムに似た塩味を有する物質のことであり、その例としては塩化カリウムや有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられ、食品に添加される塩化ナトリウムの一部又は全部を置換することで塩化ナトリウム摂取量を低減することが可能となることが従来から知られている。
まず、塩化カリウムをはじめとする塩化ナトリウムに代わる塩味発現物質は、それらが有する塩味の強度が塩化ナトリウムと比較して弱く、また塩味発現のパターンが異なるという課題があった。塩化ナトリウムで飲食品を味付けした場合、塩味の立ち上がりがシャープでありながら食品素材の味が引き出され、好ましい飲食品が得られるのに対し、塩化ナトリウムに代わる塩味発現物質の中で風味が比較的良好であるために特に頻用される塩化カリウムを用いても、塩化ナトリウムを使用した時ほどの塩味の立ち上がりがみられない上、食品素材の味を十分に引き出すことができないことが従来から知られている。加えて、塩化ナトリウムに代わる塩味発現物質は、渋味や苦味、えぐ味(以下ではこれらを総称して「雑味」という)を有するために、塩化ナトリウムの置換量を増やすと、飲食品の塩味が弱くなってしまうことに加えて、上記の雑味により味質が変化するという課題が生じていた(非特許文献1)。
特許文献1では、塩化カリウムと、塩化マグネシウムや塩化カルシウム等の混合物である苦汁を添加し、苦汁により塩化カリウムがもつ雑味を抑え、最終的な塩化ナトリウム添加量を減じる手法が提案されている。
特許文献2では、本醸造醤油から抽出された特定の香気化合物の組合せにより、塩化カリウムがもつ雑味を抑える手法が提案されている。
特許文献2に公開されている技術は、醤油等の発酵食品、又はこれら発酵食品から抽出した濃縮物を添加するという方法をとるため、上述の特定の香気化合物を十分量添加しようとした場合に、醤油等の発酵食品からナトリウムが供給され十分な減塩を行うことができないという問題があった。また上記の抽出した濃縮物を添加した場合、特定の香気化合物が主として醤油等に多く含まれるために、添加した減塩食品に醤油様の風味が付与されることから、特許文献2に公開されている技術は、非常に有用な技術ではあるものの限られた範囲の食品にのみ適用され得る技術であった。
また、上記特許文献1及び2の方法では、塩味発現パターンの問題は解決されていなかった。
また、本発明者らは、乳清ミネラルを該食塩組成物中に含有させることで、より自然な塩カドのないまろやかな塩味になることも知見した。また、エキス類を該食塩組成物中に含有させることで、食塩組成物にコク味や旨味が付与され、ナトリウム摂取量を低減できるだけではなく、乳清ミネラル同様に、より自然な塩カドのないまろやかな塩味とする効果があることも併せて知見した。
本発明の食塩組成物は、(I)塩化ナトリウム及び(II)乳酸発酵物を含有し、上記(II)乳酸発酵物が、乳原料を含む水中油型乳化物を基質とした乳酸発酵物であることを特徴とする。
まず、本発明で使用する(I)塩化ナトリウムについて述べる。
本発明で用いられる塩化ナトリウムの起源としては、例えば、精製塩や岩塩、天日塩、膜濃縮製塩法や揚浜式製塩法等の手法で海水を濃縮した食塩、塩湖から採れる湖塩等が挙げられ、本発明ではこれらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
2種以上を併用する場合は、予め混合しておいてから添加することができ、或いは使用する際にそれぞれ添加することもできる。予め混合する場合は、粉体とした上記の塩化ナトリウムの起源同士を撹拌混合することができ、またこれらを溶解させた水溶液同士を混合して使用することもできる。
次に、本発明で使用する(II)乳酸発酵物について述べる。
乳酸発酵物とは、乳酸菌が資化可能な基質を乳酸発酵して得られた風味素材であるが、本発明では、その基質として乳原料を含む水中油型乳化物を使用する。
該乳原料としては、牛乳、濃縮乳、練乳、ホエイ、クリーム、バター、バタークリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、バターオイル、乳脂分解物等の乳や乳製品をはじめ、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー、トータルミルクプロテイン等の粉乳類や、脱脂乳、脱脂濃縮乳等の乳糖を含有する乳製品も使用可能である。
尚、無脂乳固形分とは、乳や乳製品等の乳原料における、油脂以外の固形分のことであり、その主体は蛋白質と炭水化物である。上記乳原料に含まれる純油脂分は、後述する油脂の含量に含めるものとする。
油脂含量が1.5質量%未満であると、本発明の食塩組成物中の塩化ナトリウム含量が低い場合等に十分な塩味が感じられない恐れがある。また50質量%超であると、本発明の食塩組成物を飲食品に添加した際に、多くの油脂分も同時に添加してしまうことになり、得られる減塩飲食品の風味を阻害してしまう恐れがある。
また、上記水中油型乳化物においては、水に代えて又は水に加えて、上記乳や乳製品のうちの水を多く含有する乳や乳製品、又は水を多く含有する飲食品を使用することもできるが、本発明では、牛乳、濃縮乳、ホエイ、クリーム、バター、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水分を多く含有する乳や乳製品、あるいは水を使用することが好ましい。
上記水中油型乳化物は、水分含量が好ましくは30〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%となるように調製される。
一般的に塩化ナトリウムを塩化カリウムや有機酸のアルカリ金属塩等の塩味発現物質で置換していくと、置換度が高くなっていくにつれ、塩化ナトリウム本来の塩味の特徴である塩味の先味が乏しくなりやすいことが知られている。本発明においては、上述のように水中油型乳化物中に遊離脂肪酸を含有させることにより、食塩組成物が既に有している塩味の先味を更に強化したり、塩化カリウムや有機酸のアルカリ金属塩等の塩味発現物質で塩化ナトリウムを一部置換し塩味の先味が乏しくなってしまうことを防ぐことができる。
その他の成分を20質量%よりも多く入れると、結果として得られる食塩組成物を飲食品に添加した際に異味を付与する恐れがある上、飲食品が本来有しないテクスチャを付与してしまう恐れがある。
また、上記水中油型乳化物において、油脂100質量部に対して炭水化物が120質量部未満の場合、風味成分及び香気成分の産生が十分になされない恐れがある上、ナトリウム低減効果が低下する恐れがある。また炭水化物が250質量部超の場合、得られる本発明の食塩組成物や飲食品に異味・雑味を付与してしまう恐れがある。
上記乳原料を含む水中油型乳化物の製造方法は特に限定されない。例えば、牛乳、濃縮乳、ホエイ、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水分を多く含有する乳や乳製品、あるいは水に、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー等の粉乳類や、乳蛋白質、乳糖等の乳原料を添加して水相とした後、該水相に、油脂等を含む油相、又は油脂を多く含有する食品素材、特に、バター、クリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の乳脂を含有する乳原料等を添加し、油脂含量が好ましくは1.5〜50質量%、より好ましくは1.5〜30質量%、最も好ましくは2〜20質量%、且つ、水分含量が好ましくは30〜95質量%、より好ましくは70〜90質量%となるように調整し、これを水中油型に乳化する方法を挙げることができる。尚、その他原料については、水相に添加することも油相に添加することもでき、また別途添加することもできる。
脂質資化性又は遊離脂肪酸資化性の高い乳酸菌の一例としては、Streptococcus thermophilus、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremoris等が挙げられる。
上記の質量比の値が0.005よりも小さい場合、食塩組成物におけるナトリウム低減効果が非常に乏しくなるため、本発明の課題を解決することが難しくなる。また上記の質量比の値が0.3よりも大きい場合、塩化ナトリウム含量が相対的に少なくなってしまい、食塩組成物の塩味が乏しくなるだけでなく、食塩組成物に酸味が付与されてしまう恐れがある。
また本発明の食塩組成物は、塩化ナトリウム含量を減じる目的で、塩化ナトリウムの一部、好ましくは塩化ナトリウムの80質量%以下、より好ましくは60質量%以下を公知の塩化ナトリウム代替物に置換することができる。上記塩化ナトリウム代替物としては、塩化カリウム、有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらの塩化ナトリウム代替物のなかでも、上記乳酸発酵物を含有させることで同等の味質と塩味を維持したまま、塩化ナトリウムをより多く置換することが可能である点で、塩化カリウムを使用することが好ましい。尚、塩化カリウムには鉱物由来のものと海水由来のものが存在し、両者共に市販されているが、何れも使用することができる。
乳清ミネラルとは、乳清より乳清タンパクと乳糖を分離除去し、精製して得られたものである。本発明の食塩組成物に乳清ミネラルを含有させることによって、より自然な塩カドのないまろやかな塩味とすることができる。
乳清ミネラルが上記質量比で0.00001よりも少なく添加された場合、乳清ミネラルの添加効果がみられない。また上記質量比で0.10よりも多く添加された場合、本発明の食塩組成物及び本発明の食塩組成物を使用した飲食品において、乳清ミネラルが僅かに有する雑味が感ぜられてしまう場合がある。
本発明におけるエキス類とは、畜産物、水産物、農産物及び微生物の1種又は2種以上から得られた抽出物を指す。具体的には、チキンエキス・ビーフエキス・ポークエキス等の畜産エキス、鰹エキス・鯖エキス・鮭エキス・鰹節エキス・煮干エキス・グチエキス・ハモエキス・タラエキス・イカエキス・カキエキス・アワビエキス・ホタテエキス・エビエキス・カニエキス・オキアミエキス・オイスターエキス・アサリエキス・昆布エキス・ワカメエキス・、魚醤エキス等の水産エキス、モルトエキス・玉葱エキス・人参エキス・白菜エキス・キャベツエキス・セロリエキス・にんにくエキス・ジンジャーエキス・椎茸エキス・マッシュルームエキス・果実エキス等の農産エキス、ビール酵母エキス・パン酵母エキス・トルラ酵母エキス等の酵母エキス等を挙げることができる。本発明ではこれらのエキス類の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
エキス類の添加量が該質量比で0.01よりも少なく添加された場合、エキス類の添加効果がみられない。また該質量比で1.0よりも多く添加された場合、エキス類が有する旨味が強調されるが、エキス類が有する風味が異味や雑味として感じられる場合がある。
次に本発明の食塩組成物の形態及び製造方法について述べる。
得られる本発明の食塩組成物の形態は、固体とすることも液体とすることもでき、本発明の食塩組成物が使用される飲食品の形態によって任意に選択される。
本発明の食塩組成物を製造する際の各成分の混合方法や混合順序については、得られる食塩組成物内で含有される成分が均一に混合されれば、特に制限はない。本発明の食塩組成物を製造する際に用いる原料の形態としては、粉体等の固体原料、及び液体原料等を任意に選択することができる。本発明の食塩組成物は、一度水溶液とした後に、溶媒を留去して、均一な粉体に調製することも可能であり、溶媒を留去する場合には任意の方法で溶媒留去を行うことができ、例えば噴霧乾燥や造粒乾燥等の方法で溶媒留去を行うことができる。
次に本発明の飲食品について述べる。
本発明の飲食品は、本発明の食塩組成物を含有する飲食品である。本発明の飲食品における本発明の食塩組成物の含有量は特に限定されるものではなく、使用する飲食品の種類や形態、求める塩味の強さに応じて適宜決定される。
本発明の飲食品は、その味質を維持しながら塩化ナトリウム含量当たりの塩味が強化されている点が特徴として挙げられる。その塩化ナトリウムの一部を塩化カリウム等で置換したものである場合は、塩化ナトリウム含量あたりの塩味が更に強化されたものとすることができる。つまり、本発明の食塩組成物を従来の飲食品に含まれる食塩に対して置換使用する場合、塩化ナトリウム含量が低減されているにもかかわらず、従来の飲食品と同等の塩味と同等の味質を有する飲食品とすることができ、減塩飲食品として好ましく使用することができる。そのため、従来の塩化ナトリウム含量を減じただけの減塩飲食品や、塩化ナトリウムの一部又は全部を塩化ナトリウム代替物で置換した減塩飲食品に比べ、味質が良好である減塩飲食品とすることができる。
また、従来の塩味増強物質を使用して塩化ナトリウム含量を減じた減塩飲食品に比べ、塩化ナトリウム含量を更に減じた減塩飲食品とすることができる。
尚、既に塩化カリウム等の塩化ナトリウム代替物を使用している減塩飲食品に本発明の手法を応用する際は、上記塩化ナトリウム含量を減じただけの減塩飲食品の場合を基に、塩化ナトリウム代替物の含量を考慮することで対応可能である。
本発明の飲食品が減塩飲食品である場合、本発明の食塩組成物の含有量は、上記理由から塩化ナトリウム含量が通常の飲食品の含量に比べて、10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%減じた量となるような含有量であることが好ましい。
(製造例1)
水83.0質量%に対して、脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、蛋白質含量34質量%、脂質1質量%)4.5質量%、ホエイパウダー(無脂乳固形分95質量%、蛋白質含量13質量%、脂質1質量%)3.5質量%、トータルミルクプロテイン(無脂乳固形分91質量%、蛋白質含量81質量%、脂質4質量%)1質量%、及び脱脂濃縮乳(無脂乳固形分25.6質量%、蛋白質含量9.2質量%、脂質3.5質量%)4質量%を加え、水浴の温度を60℃に維持しながら撹拌し、十分に分散・溶解を行った後、無塩バター(無脂乳固形分1.20質量%、脂質83質量%)2質量%、及びクリームチーズ(無脂乳固形分14質量%、脂質55質量%)2質量%を加え、水浴の温度を60℃に維持したまま更に撹拌し、水中油型に乳化を行った。
原料のダマがみられなくなるまで撹拌を行った後、三和エンジニアリング社製圧力式ホモゲナイザーH20型にて均質圧力20MPaで均質化し、プレート式熱交換器にて80℃で3分間加熱殺菌後、プレート式熱交換器にて30℃に冷却し、無脂乳固形分含量が9.8質量%であり油脂含量が2.9質量%である、乳原料を含む水中油型乳化物を調製した。
製造例1の配合のうち、無塩バターを2質量%から1.7質量%に減じ、減じた分の0.3質量%を遊離脂肪酸源としての大洋香料社製デリシャンバターテイストHB−2に置き換えたこと以外は、製造例1と同様にして、無脂乳固形分含量が9.3質量%であり油脂含量が3.0質量%である、乳原料を含む水中油型乳化物を調製した。続いて、この水中油型乳化物を製造例1と同様に方法で発酵し、乳酸発酵物Bを得た。
乳酸発酵物Aを限外濾過(限外濾過膜モジュール;HFK−328、KOCH社製、分画分子量仕様;5000)して得られた透過液を乳酸発酵物Cとした。
水28.2質量%に対して、豆乳(マルサンアイ株式会社製、無脂固形分6.3質量%、蛋白質含量4.7質量%、脂質含量3.1質量%)65.3質量%、及びフジプロF(不二製油社製大豆蛋白質、無脂固形分94.3質量%、蛋白質含量85.8質量%、脂質含量0.20質量%)5.5質量%を加えて、水浴の温度を60℃に維持しながら撹拌し、十分に分散・溶解を行った後、大豆油1質量%を加えて更に撹拌し、水中油型に乳化を行った。
原料のダマがみられなくなるまで撹拌を行った後、三和エンジニアリング社製圧力式ホモゲナイザーH20型にて均質圧力20MPaで均質化し、プレート式熱交換器にて80℃で3分間加熱殺菌後、プレート式熱交換器にて30℃に冷却し、無脂固形分含量が9.3質量%であり油脂含量が3.0質量%である、水中油型乳化物を調製した。
水89.7質量%に対して、脱脂粉乳(無脂乳固形分95.2質量%、蛋白質含量34質量%、脂質含量1.0質量%)を10.3質量%加えて、水浴の温度を60℃に維持しながら撹拌し、十分に分散・溶解を行った。原料のダマがみられなくなるまで撹拌を行った後、三和エンジニアリング社製圧力式ホモゲナイザーH20型にて均質圧力20MPaで均質化し、プレート式熱交換器にて80℃で3分間加熱殺菌後、プレート式熱交換器にて30℃に冷却し、無脂乳固形分が9.8質量%であり油脂含量が0.1質量%である、乳原料を含むミックス液を調製した。
(製造例6)
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離した後、更に、逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮した。続いて、80℃で20分間の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これを更にエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分97質量%の乳清ミネラルを得た。得られた乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量は0.4質量%、固形分中の灰分含量は55質量%であった。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)9000gをボールに量りとり、乳酸発酵物Aを1000g加えて、タテ型ミキサーでよく撹拌し混合してスラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(A)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)8000gをボールに量りとり、乳酸発酵物Bを2000g加えて、均一になる様によく撹拌・混合してスラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(B)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)6600gをボールに量りとり、乳酸発酵物Cを3400g加えて、均一になる様によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(C)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)6500gをボールに量りとり、塩化カリウム(塩化カリウム99.0%以上、鉱物由来、大塚化学株式会社製)を2500g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した後に、乳酸発酵物Aを1000g加えて、均一になる様に更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(D)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)3300gをボールに量りとり、塩化カリウム(塩化カリウム99.0%以上、鉱物由来、大塚化学株式会社製)を3300g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した後に、乳酸発酵物Aを3400g加えて、均一になる様に更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(E)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)2650gをボールに量りとり、塩化カリウム(塩化カリウム99.0%以上、鉱物由来、大塚化学株式会社製)を3950g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した後に、乳酸発酵物Aを3400g加えて、均一になる様に更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(F)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)9000gをボールに量りとり、乳酸発酵物Aを1000g加えて、タテ型ミキサーでよく撹拌し混合した。ここに乳清ミネラル0.3gを加え均一になる様にタテ型ミキサーで更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(G)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)8900gをボールに量りとり、乳酸発酵物Aを900g加えて、タテ型ミキサーでよく撹拌し混合した。ここに乳清ミネラル200gを加え均一になる様にタテ型ミキサーで更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液をハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(H)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)4600gをボールに量りとった後、オーシャンカリ(塩化カリウム99.5%以上、海水由来、エフシー化学株式会社製)を2000g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した。この混合粉体に、別途乳酸発酵物Aを3400g量りとり乳清ミネラル0.3gを加えよく撹拌しておいた液を加えて、均一になる様にタテ型ミキサーで更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(I)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)4600gをボールに量りとった後、オーシャンカリ(塩化カリウム99.5%以上、海水由来、エフシー化学株式会社製)を2000g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した。この混合粉体に、別途乳酸発酵物Aを3300g量りとり乳清ミネラル100gを加えよく撹拌しておいた液を加えて、均一になる様にタテ型ミキサーで更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(J)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)5300gをボールに量りとった後、塩化カリウム(塩化カリウム99.0%以上、鉱物由来、大塚化学株式会社製)を1300g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した。この混合粉体に、別途乳酸発酵物Aを3300g量りとり酵母エキスであるHY−スーパー(大日本明治精糖株式会社製)100gを加えよく撹拌しておいた液を加えて、均一になる様にタテ型ミキサーで更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(K)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)4600gをボールに量りとった後、塩化カリウム(塩化カリウム99.0%以上、鉱物由来、大塚化学株式会社製)を2000g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合した。この混合粉体に、別途乳酸発酵物Aを3200g量りとり酵母エキスであるHY−スーパー(大日本明治精糖株式会社製)200gを加えよく撹拌しておいた液を加えて、均一になる様にタテ型ミキサーで更によく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(L)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)2500gをボールに量りとった後、オーシャンカリ(塩化カリウム99.5%以上、海水由来、エフシー化学株式会社製)を2500g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合し混合粉体を得た。別途、乳酸発酵物Aを5000g量りとり、これに乳清ミネラル0.05g、及び酵母エキスであるHY−スーパー(大日本明治精糖株式会社製)50gを加え、よく撹拌して混合液を調製した。上記混合粉体に上記混合液を加え、均一になる様にタテ型ミキサーでよく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。得られたスラリー状の混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(M)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)6650gをボールに量りとった後、オーシャンカリ(塩化カリウム99.5%以上、海水由来、エフシー化学株式会社製)を2000g加えて粉体のままタテ型ミキサーでよく撹拌・混合し混合粉体を得た。別途、乳酸発酵物Aを1000g量りとり、これに乳清ミネラル50g、及び酵母エキスであるHY−スーパー(大日本明治精糖株式会社製)300gを加え、よく撹拌して混合液を調製した。上記混合粉体に上記混合液を加え、均一になる様にタテ型ミキサーでよく撹拌・混合し、スラリー状の混合液を得た。得られたスラリー状の混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(N)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)6600gをボールに量りとり、乳酸発酵物Dを3400g加えて、タテ型ミキサーでよく撹拌し混合してスラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(O)を得た。
精製塩(塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)6600gをボールに量りとり、乳酸発酵物Eを3400g加えて、タテ型ミキサーでよく撹拌し混合してスラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(P)を得た。
塩化カリウム(塩化カリウム99.0%以上、鉱物由来、大塚化学株式会社製)6600gをボールに量りとり、乳酸発酵物Aを3400g加えて、タテ型ミキサーでよく撹拌し混合してスラリー状の混合液を得た。この混合液を、ハイスピードバキュームドライヤを用いて常法に従いよく乾燥させ、食塩組成物(Q)を得た。
食塩(精製塩、塩化ナトリウム99.5%以上、公益財団法人塩事業センター製)と局方精製水を用いて調製した1質量%の食塩水をコントロールとし、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムをそれぞれ用いてコントロールと同様に調製した1質量%の食塩組成物水溶液及び1質量%の塩化カリウム水溶液について、「塩味の程度」「塩カドの程度」「異味雑味の程度」の3項目を、下記パネラー評価基準に基づいて10人のパネラーにより5段階評価した。それらの結果を表1に記載した。表1において、「塩味の程度」については各パネラーの採点結果を集計した合計点で表し、「塩カドの程度」「異味雑味の程度」については、各パネラーの採点結果を集計した合計点について、下記の合計点評価基準に基づいて5段階評価で表した。
尚、「塩味の程度」については、食塩水2mlを口に含み、1秒程保持して味わい、その後飲み込む方法で評価し、口に含んで直ちに感じられる塩味の強さをトップの塩味、その後飲み込むまでに感じられる塩味をミドルの塩味、飲み込んだ時及びその後に感じられる塩味をラストの塩味と定義した。
2点:コントロールよりも若干強い塩味を感じる
1点:コントロールと同等程度の塩味を感じる
0点:コントロールよりも弱い塩味を感じる
−1点:非常に弱く感じる
(パネラー評価基準:塩カドの程度)
2点:塩カドがコントロールよりも明らかに低減されている
1点:塩カドがコントロールと比べ若干低減している
0点:コントロールと同等程度の塩カドを感じる
−1点:コントロールよりも更に強い塩カドを感じる
(パネラー評価基準:異味・雑味の程度)
2点:異味・雑味を全く感じない
1点:異味・雑味を感じるものの、塩味として違和感がない
0点:異味・雑味を感じ、かつ塩味として違和感がある
−1点:明らかな異味又は雑味が感じられる
(合計点評価基準)
◎…合計点が15〜20点
○…合計点が10〜14点
△…合計点が5〜9点
×…合計点が0〜4点
××…合計点が0点未満
沸騰させた水3200ccを火から下した後、「無塩味噌 塩分ゼロ」(石山味噌醤油株式会社製)を360g加え、撹拌しながら十分に溶解させ、ベースとなる無塩味噌汁を調製した。この無塩味噌汁を160ccずつカップに量り、食塩(精製塩)、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれかを無塩味噌汁160ccあたり1.5g加え、ガラス棒でよく撹拌した。精製塩を添加した味噌汁をコントロールとして、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれかを用いて調製した味噌汁について、上記<食塩水による評価>と同様にして、「塩味の程度」「塩カドの程度」「異味雑味の程度」の3項目について評価を行い、それらの結果を表2に記載した。
鶏卵を白身と黄身の区別が無くなるまでよく撹拌した後、食塩(精製塩)、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれかを卵液180gに対して2.5g加えて更に撹拌し、卵焼き液を得た。得られた卵焼き液を常法に則って焼成し、卵焼きを得た。精製塩を用いた卵焼きをコントロールとして、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれかを用いた卵焼きについて、上記<食塩水による評価>と同様にして、「塩味の程度」「塩カドの程度」「異味雑味の程度」の3項目について評価を行い、それらの結果を表3に記載した。
Mサイズの鶏卵を固茹での状態まで茹で、殻をむき、ゆで卵を得た。ポリエチレンラップに、食塩(精製塩)、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれかを0.5g広げ、ゆで卵1個をのせ、ラップを包むようにし、ゆで卵に満遍なく精製塩、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれかをまぶし、塩味付きゆで卵を得た。精製塩を用いたゆで卵をコントロールとして、食塩組成物(A)〜(Q)及び塩化カリウムのいずれを用いたゆで卵について、上記<食塩水による評価>と同様にして、「塩味の程度」「塩カドの程度」「異味雑味の程度」の3項目について評価を行い、それらの結果を表4に記載した。
イオン交換水1800mLを50℃になるまで加熱した後、「割烹白だし」(ヤマキ株式会社製)200mLを添加して撹拌し、出汁サンプルを調製した。出汁サンプルは、異味異臭等はなく、清澄な外観を有していた。この出汁サンプルを用いて、以下の濁り試験を行った。
出汁サンプル200mLに乳酸発酵物A又は乳酸発酵物Cを15mL添加し撹拌して評価用サンプルをそれぞれ調製し、風味評価を行うと共に、その濁度について目視で評価を行った。
風味は共に良好であり、異味異臭等は感じられなかった。
濁度については、濾過処理を施していない乳酸発酵物Aを用いた評価用サンプルは白濁していたが、乳酸発酵物Cを用いた評価用サンプルは上記出汁サンプルと同様に清澄な外観を有していた。
表5の処方(表5において、単位は質量部)に従い、以下の手順でカレールーを調製した。
まず、フライパンに、溶解したパーム極度硬化油と薄力粉を入れ、焦がさないように弱火でキツネ色になるまで炒めた。キツネ色になった後、一旦火を止めてカレー粉以外の全ての原料を投入してよく撹拌した。最後にカレー粉を加えて、撹拌しながら弱火で加熱し、カレールーを調製した。尚、表5のカレールーB〜Gにおいては、これらのカレールーにおける乳酸発酵物の固形分量が同じとなるように、乳酸発酵物の配合量を決定した。
調製したカレールーをプラスチックスプーンで1g喫食し、その塩味の程度を下記パネラー評価基準で評価した。その結果を表6に示す。
◎:コントロールと比較し、塩味の程度がやや強い
○:コントロールと比較し、塩味の程度が同等
△:コントロールと比較し、塩味の程度がやや弱い
×:コントロールと比較し、塩味が弱い
Claims (11)
- (I)塩化ナトリウム及び(II)乳酸発酵物を含有し、上記(II)乳酸発酵物が、乳原料を含む水中油型乳化物を基質とした乳酸発酵物である食塩組成物であって、上記(II)乳酸発酵物の固形分含量/(I)塩化ナトリウム含量の値が質量比で0.005〜0.05である食塩組成物。
- 上記(II)乳酸発酵物がLeuconostoc mesenteroides subsp. Cremorisを使用した乳酸発酵による乳酸発酵物である、請求項1に記載の食塩組成物。
- 上記乳原料が、濃縮乳、練乳、ホエイ、クリーム、バター、バタークリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、バターオイル、乳脂分解物、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダー、トータルミルクプロテイン、脱脂乳及び脱脂濃縮乳から選択される1又は2以上を含有する、請求項1又は2に記載の食塩組成物。
- ナトリウム含有量とカリウム含有量との質量比が、前者/後者=0.5〜50000である請求項1〜3の何れか1項記載の食塩組成物。
- 更に(III)塩化カリウムを含有する請求項1〜4の何れか1項に記載の食塩組成物。
- 更に(IV)固形分中のカルシウム含量が2質量%未満である乳清ミネラルを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の食塩組成物。
- 更に(V)エキス類を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の食塩組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の食塩組成物を用いる飲食品の製造方法。
- 減塩飲食品を製造する請求項8記載の飲食品の製造方法。
- (I)塩化ナトリウム及び(II)乳酸発酵物を含有し、上記(II)乳酸発酵物が、乳原料を含む水中油型乳化物を基質とし、Leuconostoc mesenteroides subsp. Cremorisによる乳酸発酵物である食塩組成物であって、上記(II)乳酸発酵物の固形分含量/(I)塩化ナトリウム含量の値が質量比で0.005〜0.05である食塩組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の食塩組成物を用いて食材に塩味を付与する工程を有する、飲食品の製造方法。
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