JP5290958B2 - レーザ波長変換装置 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、非線形光学単結晶からなる波長変換素子を用いたレーザ波長変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工、あるいはレーザディスプレイなどに使われる光源として数Wを超える高出力レーザ光源が注目されている。赤色、青色領域においてはガリウム・ヒ素、窒化ガリウム等を用いた半導体レーザが開発されており、高出力化も検討されている。しかし、緑色のレーザ光を半導体から直接発生させることは、依然として困難である。
【0003】
そのため、赤外光等を基本波として波長変換することにより、第2高調波として緑色光を得る方法が一般的に行われている。具体的に、YAGレーザ等の固体レーザや、Yb、Nd等の希土類が添加されたファイバを用いたファイバレーザなどから発せられる赤外光を非線形光学結晶に入射させ、前記非線形光学結晶による波長変換によって緑色光を得ることが行われている。
【0004】
特に、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムに分極反転技術を用いて擬似位相整合(QPM)構造が形成された波長変換素子は、大きな非線形光学定数を有し、高い変換効率で赤外光から緑色光を得ることができるものであることが知られている。更に、波長変換素子に酸化マグネシウムをドープすることにより、非特許文献1、2に示すように、結晶劣化の一つである光による屈折率変化(フォトリフラクティブ)を抑制することができ、常温にて安定な波長変換が可能となった。
【0005】
酸化マグネシウムをドープしたニオブ酸リチウムからなる波長変換素子において、基本波として赤外光を入射し第2高調波として緑色光を発生する場合、素子によっても異なるが2Wを超える出力を発生する際、ビームパス後半で結晶破壊が発生し始めることが問題となる。また、尖塔値の高いパルス発振の場合は平均出力0.5Wを超えると、結晶破壊が発生する。
【0006】
また、タンタル酸リチウムからなる波長変換素子においても、同様に、高出力時に発生する結晶破壊が問題となる。
【0007】
ここで、例えば、5Wという高出力の高調波を得るために、特許文献1に示すように複数の波長変換素子を用いることや、特許文献2に示すように複数の光路を一つの波長変換素子内に形成することが考えられるが、何れの構成を採用しても、結晶破壊の発生を考慮すると、一本の光路より生成可能な緑色出力が最大2Wとなるため、波長変換素子又は光路が三つ必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】 特開平11−271823号公報
【特許文献2】 特開2004−125943号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】 Applied Physics letters, 44, 9, 847-849 (1984)
【非特許文献2】 Applied Physics letters, 59, 21, 2657-2659 (1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、波長変換素子の結晶破壊を抑制しつつ、高調波を得ることができるレーザ波長変換装置及び画像表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に係るレーザ波長変換装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を波長変換するための波長変換素子とを備え、前記波長変換素子は、前記レーザ光に対して変換効率が最大となる最適集光条件を有し、前記レーザ光は、前記最適集光条件よりも変換効率が低下する低下集光条件となるように、前記波長変換素子に入射するものである。
【0012】
本発明の別の局面に係る画像表示装置は、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源を用いてスクリーン上に画像を形成する光学系とを備え、前記複数のレーザ光源は、少なくとも赤色の光ビームを出射する赤色レーザ光源、緑色の光ビームを出射する緑色レーザ光源及び青色の光ビームを出射する青色レーザ光源を含み、前記各レーザ光源のうちの少なくとも緑色レーザ光源は、前記レーザ波長変換装置を有する。
【0013】
さらに、本発明の別の局面に係る画像表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを背面側から照明するバックライト照明装置とを備え、前記バックライト照明装置は、少なくとも赤色の光ビームを出射する赤色レーザ光源、緑色の光ビームを出射する緑色レーザ光源及び青色の光ビームを出射する青色レーザ光源を含み、前記各レーザ光源のうちの少なくとも緑色レーザ光源は、前記レーザ波長変換装置を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、波長変換素子の結晶破壊を抑制しつつ、高調波を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一般的なレーザ波長変換装置を示す模式図である。
【図2】波長変換効率とM2との関係を示す図である。
【図3】集光位置と波長変換効率との関係を示す図である。
【図4】図1に示す波長変換素子内における赤外光と緑色光の出力変化を示す図である。
【図5】図1に示す波長変換素子内における赤外光の光強度と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図6】図1に示す波長変換素子内における緑色光の光強度と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図7】図1に示す波長変換素子内における紫外光の光強度と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図8】図1に示す波長変換素子内における緑色光の吸収量と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施形態1に係る波長変換装置を示す模式図である。
【図10】図9に示す波長変換素子内における赤外光と緑色光の出力変化を示す図である。
【図11】図9に示す波長変換素子内における赤外光の光強度と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図12】図9に示す波長変換素子内における緑色光の光強度と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図13】図9に示す波長変換素子内における紫外光の光強度と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図14】図9に示す波長変換素子内における緑色光の吸収量と入射面からの距離との関係を示す図である。
【図15】図9に示す波長変換素子についての赤外光の入力と緑色光の出力との関係を示す図である。
【図16】集光位置と結晶破壊を引き起こす閾値となる緑色光の出力との関係を示す図である。
【図17】波長変換素子の温度と緑色光の出力との関係を示す図であり、低出力波長変換時の例である。
【図18】波長変換素子の温度と緑色光の出力との関係を示す図であり、高出力波長変換時の例である。
【図19】集光位置と低温側の半値温度幅との関係を示す図である。
【図20】実施形態1に係る波長変換装置の変形例を示す図である。
【図21】集光位置におけるビーム半径と発熱量のピーク値の関係を示す図である。
【図22】素子平均とビームパス部分との温度差と、波長変換素子内の位置との関係を示す図である。
【図23】本発明の実施形態2に係る波長変換装置の模式図である。
【図24】本発明の実施形態3に係る波長変換装置の模式図である。
【図25】本発明の実施形態4に係る波長変換装置の模式図である。
【図26】図1に示す波長変換装置における赤外光及び緑色光の光強度分布をそれぞれ示す図である。
【図27】図1に示す波長変換素子内における緑色光の吸収率と紫外光の強度との関係を示す図である。
【図28】本発明の実施形態5に係る波長変換装置の模式図である。
【図29】図28における円錐レンズ間のビーム光路を拡大して示す図である。
【図30】図28に示す円錐レンズを通過したビームの光強度分布(R’=1.5R)を示す図である。
【図31】図28に示す波長変換素子付近を拡大して示す図である。
【図32】図28の波長変換素子を透過した後の赤外光の光強度分布の計測結果を示す図である。
【図33】図28に示す波長変換素子より生成した緑色光の光強度分布の計測結果を示す図である。
【図34】図28に示す波長変換装置を用いた場合における波長変換効率と素子温度との関係を示す図である。
【図35】本発明の実施形態6に係る波長変換装置を示す概略図である。
【図36】本発明の実施形態7に係る波長変換装置を示す概略図である。
【図37】本発明の実施形態8に係る画像表示装置の模式的な構成の一例を示す図である。
【図38】本発明の実施形態9に係る画像表示装置の模式的な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ波長変換装置の模式図である。まず、図1を参照して、レーザ波長変換装置における最適集光条件について説明する。
【0018】
レザー波長変換装置は、基本波としてのレーザ光(例えば、赤外光)を出射するレーザ光源1と、このレーザ光源1からのレーザ光2を集光するための集光レンズ3と、集光レンズ3により集光されたレーザ光2を第2高調波(例えば、緑色光)5に変換するための波長変換素子4とを備えている。
【0019】
波長変換素子4内に平面波のレーザ光2を入射させた場合、レーザ光2から第2高調波5に波長変換される効率は、数式1で与えられる。
【数1】
【0020】
【0021】
ここで、μ0は真空の透磁率、ε0は真空の誘電率、dは有効非線形定数、nは素子の屈折率、Lは素子長、λは基本波の波長、Pωは基本波の入射パワー、Aはビーム断面積、Δkは基本波の波数と第2高調波の波数との差(k2ω−2kω)である。
【0022】
数式1から分かるように、位相整合条件Δk=0が達成されると、前記波長変換素子内におけるレーザ光2のビームを極力長距離にわたり極力小さく絞ることで、高い波長変換効率が得られる。
【0023】
このため、前記波長変換素子4として、小さなビーム径で長距離伝搬が可能となる光導波路型波長変換素子が広く用いられている。しかし、光導波路型波長変換素子では、結晶内での光強度が大きくなりすぎるため、高出力の第2高調波を得るための波長変換には適さない。そこで、高出力の第2高調波を得るためには、波長変換素子としてバルク型波長変換装置が用いられることが多い。
【0024】
そして、前記集光レンズ3により集光されたレーザ光2のビーム径は、集光位置より遠ざかるほど大きくなるため、赤外光の集光位置6の最適位置は、波長変換素子4(又はそれに形成された分極反転構造)の中心部分となる。また、ビーム断面積(ビームウエスト径)を小さくするためにNAを大きしすぎると、光の回折により発散角が拡大し、長く絞ることができずに、かえって変換効率の低下を引き起こす。このため、素子の長さに対して、それぞれ最適な集光状態が存在し、r0をビームウエスト径とした場合に、数式2で与えられるConfocal Parameter bがL/b=2.84となるとき、最適集光条件となる(Applied Physics letters, 39, 8, 3597-3639 (1968)参照)。
【数2】
【0025】
【0026】
前述の通り、極力長距離にわたり極力細くビームを集光することが望ましい。最適集光条件を満たすためのレーザ光2は、M2=1の理想的なガウシアンビームとなる。例えば、レーザ光2を楕円ビームとした場合、その楕円度が大きい(短軸に対する長軸の比が大きい)ほど、変換効率は、低下する。更に、レーザ光2の集光点が非点隔差を有する場合には、前記非点隔差が大きいほど、変換効率は低下する。
【0027】
以下、M2、又は波長変換素子4内での集光位置に対する変換効率の依存性の例を示す。
【0028】
図1に示した波長変換装置において、波長変換素子4の素子長を26mmとし、ビームウエスト径を60μm(集光位置は素子の中心)とした場合、M2に対する変換効率は、図2に示すようになり、M2=1のときが最適となる。
【0029】
また、波長変換素子4内に集光位置が存在する場合、波長変換素子4の入射面7からレーザ光2の集光位置までの距離と、波長変換効率との関係は、図3に示すとおりとなる。つまり、集光位置6が波長変換素子4の長さ方向(レーザ光2の光軸方向)の中央位置(入射面から13mm)となる場合に、波長変換素子4内の光強度が最も高くなり、波長変換効率が最大となる。
【0030】
以下、波長変換素子4の結晶破壊のメカニズムについて説明する。
【0031】
波長変換素子4としては、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル産リチウムからなるものが用いられる。このような波長変換素子4は、高調波(例えば、緑色光)を高出力で得ようとすると、破壊することが知られている。波長変換素子4の破壊は、高調波が基本波(レーザ光2)を吸収することによる熱の発生が原因と考えられていた。このため、波長変換素子4の破壊を抑制するには、基本波のパワー密度を低減するために基本波のビームの断面積を大きくするのが有効であると考えられてきた。
【0032】
しかしながら、基本波のビームの断面積を大きくすると、波長変換素子の変換効率が大幅に低下してしまい、高い効率での変換が難しいという問題があった。本件発明者は、高出力の高調波を得る際における熱発生の要因が、基本波の吸収ではなく、基本波と高調波の和周波(例えば、紫外光)により高調波が吸収される現象であることを見いだした。更に、和周波の光強度が高いほど、可視光の吸収率が高まることが実験により確認された。
【0033】
以上の事実に基づいて、図1に示す波長変換装置において、高出力の高調波を得る際に発生する結晶破壊の要因は、以下のように考えられる。以下、図1に示す波長変換装置の構成を利用して、前記ニオブ酸リチウムを用いた波長変換素子(素子長26mmとする)4に6Wの赤外光を入射し、緑色光に波長変換する場合を例に挙げて説明する。
【0034】
赤外光は、波長変換素子4内において徐々に緑色光に変換されるため、波長変換素子4内の緑色光の出力は、図4の8で示すように増加する一方、赤外光の出力は、図4の9で示すように減少する。図1に示す波長変換装置では、赤外光の集光位置が波長変換素子4の中央位置付近に設定されているため、図5に示すように、波長変換素子4の中央位置よりも手前側の位置において赤外光の光強度が最大となり、図6に示すように、波長変換素子4の中央位置よりも先において緑色光の光強度が最大となる。更に、このとき、赤外光の光強度と緑色光の光強度の積に比例して発生する紫外光の光強度は、図7に示すようになる。
【0035】
紫外光の光強度と緑色光の出力とに基づいて、波長変換素子4内における紫外光による緑色光の吸収量は、図8のように分布する。そして、図8において緑色光の吸収量が最大となる波長変換素子4の中心位置より少し後方の部分において、前記波長変換素子4の結晶破壊が発生していると考えられる。また、図8において緑色光の吸収量が最大となる部分は、実験において発生した結晶破壊の位置とほぼ一致する。
【0036】
以上より、本件発明者は、前記波長変換素子4の結晶破壊を起こさず、高出力の波長変換を実現するためには、紫外光の発生を低減すること、又は紫外光の光強度が高まる箇所と緑色光の光強度が高まる箇所をずらすことの2点が重要であることを見出した。これら2点の少なくとも1点を満たすことにより、紫外光と緑色光との重なり合いを軽減して、波長変換素子4の局所的な発熱を抑制することができる。
【0037】
また、実験では、図1の波長変換装置を用いて1Wを超える高調波を出力させる際、前記紫外光による緑色光の吸収量が最大となる位置において波長変換素子4が局所的に発熱することにより、局所的に波長変換素子4の屈折率が変化し、ビーム劣化や波長変換効率の低下が発生することが分かった。そして、この波長変換効率の低下に応じて波長変換素子4の発熱量が低下することになるが、この発熱量の低下に応じて再び波長変換効率が回復することになるため、波長変換効率の増減は繰り返し、ビーム劣化も繰り返すことが判明している。したがって、波長変換素子4の局所的な温度上昇を軽減することができれば、ビーム劣化や波長変換効率の周期的な変動も抑制することが可能となる。
【0038】
そこで、前記各条件を満足することにより高い変換効率を実現するための構成として、以下の構成を提案する。
【0039】
(実施形態1)
図9は、本実施形態のレーザ波長変換装置を示す概略図である。
【0040】
図9に示す波長変換装置は、レーザ光源10と、このレーザ光源10からの赤外光(コヒーレント光)11を集光するための集光レンズ12と、集光レンズ12により集光された赤外光11を緑色光14に変換するための波長変換素子13とを備えている。
【0041】
前記波長変換装置は、レーザ光源12より出射した赤外光11を、集光レンズ12を用いて集光し、波長変換素子13に入射する。波長変換素子13は、入射した基本波(赤外光)の一部を波長変換し、緑色光14を生成する。
【0042】
ここで、前記波長変換装置は、図1に示すものと異なり、赤外光の集光位置15が波長変換素子13の入射面16付近に設定されている。具体的には、波長変換素子13からレーザ光源10までの距離が図1に示したものよりも大きく設定されている。
【0043】
レーザ光源10は、ビーム径500μmに設定された波長1064nmを有する赤外光11を平行光として出射する固体レーザからなる。前記レーザ光源10から出射する赤外光11は、直線偏向のガウシアンビームである。
【0044】
集光レンズ12は、f30の球面レンズからなる。
【0045】
波長変換素子13は、ニオブ酸リチウムの分極方向を6.97μm周期で反転させたものであり、擬似位相整合されたものである。また、波長変換素子13は、レーザ光12の光軸と平行する方向である長さ方向の寸法が26mmとされている。さらに、波長変換素子13は、その分極方向に偏向方向が一致した状態で赤外光11が入射した場合に、20度以上50度以下の温度範囲内で、緑色光14の変換効率が最大となるように設計されている。
【0046】
前記波長変換装置を用いて8.2Wの赤外光11から緑色光14に波長変換を行う場合、図1に示す波長変換装置と同様に、波長変換素子13内において赤外光は、徐々に緑色光に変換される。したがって、波長変換素子13内の緑色光14の出力は、図10の符号17に示すように増加し、緑色光14の出力は、波長変換素子13の出射面付近で2Wとなる。また、赤外光11の出力は、図10の符号18に示すように、徐々に減少する。
【0047】
ここで、本実施形態の波長変換装置においては、赤外光11の集光位置が波長変換素子13の入射面16付近に設定されているため、図11に示すように、赤外光は、波長変換素子13の入射面16付近において光強度が最大となる。これに応じて、緑色光14についても、図1に示す波長変換装置(図6参照)に比べて、波長変換素子13の入射面16寄りの位置において光強度が最大となる。このため、赤外光11の光強度と緑色光14の光強度との積に比例して発生する紫外光の光強度は、図13に示すように分布する。つまり、緑色光14の出力が大きくなって結晶破壊が起こり易い波長変換素子13の後半(赤外光11の集光位置の先の範囲)における紫外光の光強度は、図1に示す波長変換装置における紫外光の光強度の20%以下と大幅に低減できる。
【0048】
その結果、波長変換素子13内で発生する紫外光による緑色光14の吸収量は、図14のように分布する。つまり、ピークの吸収量は、図1に示す波長変換装置のピークの吸収量の20%程度まで軽減することができる。したがって、本実施形態の波長変換装置によれば、波長変換素子13の結晶破壊を抑制しつつ、高出力の波長変換を行うことができる。また、波長変換素子13の発熱を抑制することもできるので、波長変換素子13の屈折率変化も軽減し、赤外光11及び緑色光14のビーム劣化や変換効率の変動も軽減できる。
【0049】
また、前記波長変換装置では、波長変換素子13の後半における緑色光14のビーム径を図1の波長変換装置の緑色光5のビーム径の約1.6倍とすることができるため、緑色光14の光強度を低減することができる。これにより、紫外光による緑色光14の吸収による熱勾配のピーク値を更に32%低下することができ、結晶破壊を起こさず波長変換可能な緑色出力を更に大きくすることができる。
【0050】
図15は、実施の形態1に係る波長変換装置における赤外光の入力と緑色光の出力との関係示すグラフである。図15に示すように、赤外光を14.4W入射した場合に、波長変換素子13の結晶破壊を起こさず、4.3Wの緑色光出力が得られることが、本発明者の実験にて確認されている。
【0051】
図16は、実施の形態1に係る波長変換装置における波長変換素子の入射面から赤外光の集光位置までの距離と、結晶破壊を引き起こす緑色光の最大出力との関係を示すグラフである。図16に示すように、赤外光11の集光位置が波長変換素子13の中心位置から遠く、かつ、波長変換素子13の入射面16に近いほど、結晶破壊を起こす緑色光14の出力の値は、高くなることが分かる(入射面16において赤外光11を集光した場合については、緑色光14の出力が4.3Wとなっても、波長変換素子13の結晶破壊は発生していない)。また、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の外側、つまり、波長変換素子13の入射面16の手前に移すことにより、結晶破壊を起こさずに出力可能な緑色光14の最大出力を更に増大することができる。
【0052】
ただし、図3に示すように、赤外光11の集光位置が波長変換素子13の中心位置に近いほど、波長変換効率は高いため、必要となる緑色光14の出力にあわせて、赤外光11の集光位置を最適なものに調整することが望ましい。
【0053】
例えば、波長変換素子13の入射面16において赤外光11を集光した場合、約10Wの赤外光11から約2.3Wの緑色光14を出力することができる(図16参照)。これに対し、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16から約2mmの波長変換素子13の内側に設定した場合、約10Wの赤外光11から約3Wの緑色光14を得ることができる(波長変換効率30%)ため、赤外光11の集光位置を入射面16に設定した場合と比較して波長変換効率を約30%高くすることができる。しかし、赤外光11の集光位置をさらに波長変換素子13の中心位置に近づけた場合には、結晶破壊が発生するため、10Wの赤外光11の入力時に最も効率よく波長変換を行なえる赤外光11の集光位置は、波長変換素子13の入射面16から約2mm内側の位置となる。
【0054】
例えば、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16から5mm内側の位置に設定した場合、最大約2.5Wの緑色光14を出力することができ、このときの波長変換効率は、36%となる。これに対し、図1に示す波長変換装置では、緑色光5の出力の増加に伴い波長変換素子4の内部に温度分布が発生するため、波長変換効率の低下が発生していた。そのため、図1に示す波長変換装置を用いて2Wの緑色光5を出力するためには、実験において約7Wの赤外光2の入力を要し、そのときの波長変換効率は、約29%であった。この比較から、本実施形態に係る波長変換装置のように赤外光11の集光位置を調整することにより、波長変換効率を向上することができることが分かる。また、赤外光11の集光位置が波長変換素子13の入射面16の内側約10mmの位置に設定した場合、約7Wの赤外光11を入射することにより、約2.2Wの緑色光が得られた。このときの波長変換効率は、31%となる。
【0055】
また、本実施形態に係る波長変換装置では、波長変換時に発生する波長変換素子13の発熱を軽減することができ、発熱による波長変換素子13の屈折率の変化を抑制することができるので、屈折率変化による変換効率の低下を防ぐことが可能となる。つまり、本実施形態に係る波長変換装置の波長変換効率は、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の中心位置の近くにするほど、図3の変換効率よりも低下し、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16に近づけるほど、図3に近い変換効率となる。したがって、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の中心位置付近に設定する場合と、波長変換素子13の入射面16側に設定する場合とにおいて、変換効率の逆転が生じる。つまり、高出力の緑色光14を得る場合には、本実施形態に係る波長変換装置を採用することにより、図1に示す波長変換装置よりも高い変換効率を得ることが可能となる。特に、波長変換素子13の入射面16と赤外光11の集光位置との距離が波長変換素子13の長さ寸法の40%以下となる波長変換素子13の内側位置に、赤外光11の集光位置を設定すれば、波長変換素子13の中央位置で集光する場合と比べて、緑色光14の最大出力を10%以上増加することができるとともに、そのときの変換効率も向上することができる。更に、波長変換素子13の入射面16と赤外光11の集光位置との距離が波長変換素子13の長さ寸法の25%以下となる波長変換素子13の内側位置に、赤外光11の集光位置を設定すれば、緑色光14の最大出力を約30%以上増加させることができる。
【0056】
なお、前記実施形態では、波長変換素子13の長さ寸法が26mmの場合について説明したが、長さ寸法にかかわらず、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16側に移動させることにより、同様の効果が得られることは言うまでもない。具体的に、波長変換素子13の長さ寸法が5mm以上70mm以下の場合、前記実施形態と同様に、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の40%以下とすることにより、約10%以上の出力の向上が可能である。また、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の25%以下とすることにより、約30%以上の出力の向上が可能となる。波長変換素子13の長さ寸法が5mm未満、もしくは、70mmより長い場合についても、集光位置と同時に集光径も最適化することにより、同様の効果を得ることができる。なお、波長変換のための赤外光11の光路を確保する観点から、波長変換素子13の長さ寸法は、10mm以上とするのが好ましい。
【0057】
ところで、本実施形態に係る波長変換装置により、高出力の緑色光14を得る際に、緑色光14の出力が不安定になるという問題も改善可能であることが分かった。図17は、低出力の緑色光14を得る際の波長変換素子13の温度と緑色光14の出力との関係を示すグラフである。図18は、高出力の緑色光14を得る際の波長変換素子13の温度と緑色光14の出力との関係を示すグラフである。
【0058】
図17に示すように、数mW程度(図17では10mW程度の例を示す)の低出力の緑色光14を得るための波長変換を行う場合、緑色光14の出力は、最適温度T0を中心として、高温側、低温側に対称な温度特性を示す。しかし、図18に示すように、1Wを超える高出力の緑色光14を得るための波長変換を行う場合には、赤外光11の光路上において波長変換素子13の発熱量が増加し、赤外光11の光路とその周囲との間に大きな温度差が発生するため、緑色光14の出力は、最適温度T0に対して高温側と低温側とが非対称となる特性を示す。図17及び図18において、緑色光14の出力が半分となる低温側の温度T1と最適温度T0との差が低温側の半値幅となるが、図17に示す低出力時よりも図18に示す高出力時の方が半値幅が狭まっていることが分かる。このように、高出力時において半値幅が低温側と高温側とで異なっていることにより、緑色光14の出力が不安定となっていた。
【0059】
図19に示すように、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16に近づける場合、低温側の半値幅は、赤外光11の集光位置を入射面16に近づけるほど大きくなる。例えば、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の40%以下となるとき、赤外光11を波長変換素子13の中央位置で集光する場合と比べて、低温側の半値幅を20%以上広げることができる。特に、波長変換素子13の入射面16と赤外光11の集光位置との距離が波長変換素子13の長さ寸法の25%以下となるとき、低温側の半値幅が0.5℃を超えるため、波長変換素子13の温度制御がより容易となり、安価な制御部品を用いた制御が可能となる。
【0060】
なお、前記実施形態では、波長変換素子13の長さ寸法が26mmの場合について説明したが、長さ寸法にかかわらず、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16側に移動させることにより、同様の効果が得られることは言うまでもない。具体的に、波長変換素子13の長さ寸法が5mm以上70mm以下の場合、前記実施形態と同様に、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の40%以下とすることにより、低温側の半値幅を20%以上広げることができる。また、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の25%以下とすることにより、低温側の半値幅が0.5℃を超えることとなる。波長変換素子13の長さ寸法が5mm未満、もしくは、70mmより長い場合についても、集光位置と同時に集光径も最適化することにより、同様の効果を得ることができる。なお、波長変換のための赤外光11の光路を確保する観点から、波長変換素子13の長さ寸法は、10mm以上とするのが好ましい。
【0061】
再び図18を参照して、高出力の高調波を得る場合において、波長変換素子13を加熱する過程と、冷却する過程とは、温度特性を示す曲線が一致しない。つまり、図18に示す温度特性には、波長変換素子の冷却過程又は過熱過程に応じたヒステリシスが存在するため、波長変換素子13による緑色光14の出力を一定に制御するのが困難であるという問題が生じていた。これに対し、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の15%以下となるように、赤外光11の集光位置を設定することにより、前記ヒステリシスが制御可能な程度に緩和されることが実験上確認されている。
【0062】
上述したように、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16に近づけるほど、高出力の緑色光14を得る際の波長変換効率が高いものとなる。しかし、一般的には、結晶の入射面付近は、レーザダメージを受け易いため、紫外光による緑色光の吸収の影響が少ない場合であっても、入射面において結晶破壊が発生することが考えられる。このようなレーザダメージを回避すべく、例えば、図20のような波長変換素子を採用することができる。図20は、実施の形態1の変形例を示す概略図である。
【0063】
図20を参照して、波長変換素子は、分極反転構造を有する分極反転部20と、この分極反転部20からレーザ光源10側に延びるとともに分極反転構造を有しない非分極反転部19とを備えている。図20に示す波長変換装置では赤外光11の集光位置21が分極反転部20の入射側の端部の付近に設定されているため、上述した効果を奏することができる。
【0064】
なお、前記非分極反転部19は、緑色光への波長変換が行われないように位相整合周期が設定されたものであれば、周期的分極反転構造を有していてもよい。この場合、前記非分極反転部19における分極反転構造の平均周期を、前記分極反転部20における分極反転構造の平均周期に対して0.01μm以上異なったものとすれば、分極反転周期が形成されていない場合と同様に、非分極反転部19においてほとんど波長変換が行われない構成とすることができる。
【0065】
また、分極反転部20と、非分極反転部19とを備える場合、分極反転部20の入射側の端部と集光位置21との距離を計測することが難しい。そこで、以下の方法により、赤外光11の集光位置と分極反転部20との相対位置を特定することができる。まず、赤外光11の集光位置を波長変換素子内に適当に設定した上で、波長変換素子を赤外光11の光軸方向に前後させることにより、最も変換効率が高くなる位置を特定する。これにより、変換効率が最も高くなるはずである分極反転部20の中央位置に赤外光11の集光位置が配置されていることになる。したがって、この特定された位置から赤外光11の集光位置を赤外光11の光軸方向に非分極反転部19側へ平行移動させることにより、上述したような位置に赤外光11の集光位置を調節することができる。
【0066】
本実施形態の波長変換装置において、赤外光11のM2を低下させることにより、波長変換素子の結晶破壊を引き起こす緑色光14の出力を更に高くすることができる。具体的に、赤外光11のM2を低下させると、波長変換素子の後半におけるビーム径、及び赤外光11についてNAが大きくなる。赤外光11についてのNAを拡大すると、変換効率をほとんど低下させることなく、波長変換素子の後半において発生する紫外光の強度を大幅に低下させることができる。
【0067】
ここで、NAを調整する方法としては、集光レンズ12を変更することが考えられる。具体的に、集光レンズ12を上述したf30の球面レンズからf20の球面レンズに変更することにより、NAを0.0125(最適集光条件の約1.5倍)にすることができる。これにより、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16から約0.92mmの内側位置に設定した場合を例に挙げると、波長変換素子13の後半における紫外光の発生強度を約45%低下しつつ、同程度の緑色光14の出力を得ることができる。これに伴い、更に高出力の緑色光14を得ることが可能になると考えられる。
【0068】
本実施形態では、26mmの長さ寸法を有する波長変換素子を例示したが、NAの拡大による高出力化の効果は、波長変換素子の長さ寸法が短いほど、大きくなる。例えば、13mmの長さ寸法を有する波長変換素子を用いた場合、f10の集光レンズを利用することによりNAを最適集光条件の約1.5倍(0.025)とすることができる。これにより、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の入射面16から0.5mmの内側位置に設定した場合を例に挙げると、波長変換素子13の後半における紫外光の発生強度を約75%程度低下しつつ、同程度の緑色光14の出力を得ることができる。
【0069】
上述した構成を利用することにより、波長変換素子の結晶破壊を起こさずに4.3Wの緑色光14の出力を得ることができたが、更に高出力の波長変換を行なうために、以下の手段を講じることもできる。
【0070】
つまり、上述のように赤外光11の集光位置を波長変換素子13の中心位置より入射面16側にずらした場合においても、紫外光による緑色光14の吸収を完全に防止できるわけではない。これは、緑色光14の吸収により発生する熱レンズ効果により、波長変換素子13の後半において赤外光11、緑色光14が集光し、これに応じて紫外光の光強度が増加することが原因であると考えられる。
【0071】
したがって、上記熱レンズ効果を緩和させて高出力の緑色光14を得るためには、入射する赤外光11の縦方向と横方向(伝搬方向に対して垂直な二軸方向)でNAを変えて楕円ビームとすることが更に望ましい。これにより、縦方向、横方向のうち、NAが大きい方の方向について発生する波長変換素子13の温度勾配は、NAが小さいほうの方向について発生する波長変換素子13の温度勾配より小さくなる。その結果、熱レンズ効果による自己収束の効果を小さくすることができるため、縦方向と横方向で赤外光11、緑色光14が収束する位置をずらすことができる。したがって、楕円ビームを用いることにより、赤外光11及び緑色光14が一箇所に集光するのを抑制することができるので、緑色光14、赤外光11及び、紫外光のピーク光強度を低下して、波長変換素子13の結晶破壊を生じさせ難くすることができる。
【0072】
また、上記実施形態においては、波長変換素子13(分極反転部20)を透過する赤外光11のビーム断面積を拡大することにより、緑色光14の出力の向上を図ことができる。一般的に、波長変換素子13は、幅方向には10mm以上の大きさにできるが、厚み方向には数mm程度の大きさに制限される。したがって、波長変換素子13を透過する赤外光11のビーム断面積も厚み方向に制限される。ここで、楕円ビームを用いると、幅方向に大きく、かつ、厚み方向に小さな面積のビームとしながら、波長変換素子13を透過するビーム断面積を大きくとれるため、高出力の緑色光14を得ることができる。具体的に、例えば、波長変換素子13の幅方向に楕円の長軸が向き、かつ、波長変換装置13の厚み方向に楕円の短軸が向くような楕円ビームを用いることができる。そして、楕円の長軸を短軸の1.1倍の長さにすると、断面積も1.1倍となるため、これらに比例して、円形ビームを用いる場合と同等の最大光強度を得ることができるため、緑色光14の最大出力も1.1倍程度増加することが可能であると考えられる。
【0073】
更に、縦方向と横方向とで集光位置が異なるように非点隔差をもって赤外光11を集光させることにより、焦点における赤外光11のパワー密度を低減することができる。そのため、波長変換素子13の後半において熱レンズ効果により赤外光11及び緑色光14の集光が発生した場合においても、縦方向と横方向とで集光位置が異なることにより、一箇所に光強度が集中することを抑制して前記熱レンズ効果を緩和することができる。したがって、波長変換素子13の結晶破壊を起こす閾値となる緑色光14の出力を高くすることができる。また、赤外光11の径方向で非点隔差をもたせた場合についても、一箇所に光強度が集中することを避けることができ、同様の効果が得られる。
【0074】
また、楕円ビームまたは、縦横方向又は径方向で非点隔差をもたせたビームは、集光位置にかかわらず、光強度が一箇所に集まることを軽減することができる。したがって、例えば、集光位置が素子中心付近の場合であっても、楕円ビーム又は縦横方向又は径方向で非点隔差をもったビームを用いることにより、高出力の緑色光14を得ることができる。
【0075】
また、赤外光11としては、ビーム断面内の中心において局所的に光強度が高まるガウシアンビームを用いることができるものの、フラットビーム、ドーナツビームや高次の横モードを含んだビームを用いることがさらに望ましい。つまり、これらのビームを基本波として波長変換素子13に入射することにより、ビーム断面内における発熱箇所を分散させることができるため、さらに波長変換素子13の結晶破壊を有効に抑制しながら、高出力の緑色光14を得ることができる。集光位置のビーム断面内における最大光強度が、同出力の最適集光条件を満たすガウシアンビームの0.9倍以下となるような赤外光11を採用することにより、少なくとも10%以上、緑色光14の出力を向上することが可能となる。
【0076】
また、赤外光11のビーム径が最小となる集光位置では、光強度が増大して紫外光が発生し易くなる。そのため、赤外光11の集光位置におけるビーム径を拡大することにより、紫外光の発生を軽減し、紫外光による緑色光14の吸収を軽減することが望ましい。
【0077】
図21は、赤外光11の集光位置を波長変換素子13の中心部分に設定した場合におけるビーム半径と発熱量のピーク値との関係を示すグラフである。なお、前記ビーム半径は、赤外光11の集光位置におけるビーム半径であり、発熱量のピーク値は、2Wの緑色光14を出力した場合における発熱量のピーク値である。図21から分かるように、集光位置における赤外光11のビーム半径が大きいほど、波長変換素子の発熱量が小さくなる。したがって、集光位置における赤外光11のビーム半径が大きいほど、緑色光14をの出力を向上することができる。更に、集光位置における赤外光11のビーム径を拡大するほど、発熱量を軽減して波長変換素子内の温度分布を軽減することができるため、温度分布に伴う波長変換効率の低下を防ぐ効果も得ることができる。
【0078】
具体的に、集光位置における赤外光11のビーム径を拡大する方法として様々なものが考えられる。例えば、M2を一定とし、集光位置のビーム径を拡大することが考えられる。しかし、この場合には、NAが低下するため、結晶破壊が発生し易い波長変換素子13の後半における赤外光11のビーム径があまり変わらず、緑色光14の出力を向上する効果は僅かとなる。これに対し、M2を増加させる場合、NAを維持しながら赤外光11のビーム径を拡大することができるので、緑色光14の出力を向上する効果を有効に得ることができる。したがって、赤外光11のビーム径を拡大する方法としては、M2の増加が望ましい。
【0079】
また、単にビーム径を拡大する場合、波長変換素子13内全体において光強度が激しく低下するため、変換効率の低下が激しい。上述のように、波長変換素子13の結晶破壊は、波長変換素子内で発生する光(緑色光)のうち和周波(紫外光)により吸収されるものの光強度の増加に起因するものである。したがって、和周波による吸収の小さい波長変換素子13の入斜面16側において赤外光11のビーム断面を小さくして緑色光14の変換効率を有効に確保する一方、和周波による吸収が大きくなる波長変換素子13の後半における赤外光11のビーム径を拡大することにより和周波による緑色光14の吸収を抑制して、高効率の波長変換が可能となり、緑色光の出力を向上することができる。
【0080】
さらに、前記実施形態において、前記レーザ光源10から赤外光11をパルス発振した場合、前記波長変換素子内の電界強度を高めることができるので、電界強度に比例する波長変換効率も向上することが可能となる。さらに、赤外光11をパルス発振した場合には、波長変換素子13の後半における赤外光11の出力を低く抑えることが可能となり、赤外光強度に比例して紫外光の発生を軽減することができ、結晶破壊を引き起こす閾値となる緑色光14の出力を大きくすることができる。
【0081】
また、パルス発振された赤外光11を用いて波長変換を行う場合、赤外光11の平均出力が低くてもピーク光強度を高くできるため、緑色光14への変換効率だけでなく、紫外光への変換効率も高くなる。したがって、紫外光による緑色光14の吸収を軽減する方法を採用した前記実施形態においては、赤外光11を連続光として発振する場合よりも緑色光14の吸収による波長変換効率の低下をより有効に抑制することができ、緑色光14の出力をより大きくすることができる。
【0082】
前記実施形態では、赤外光を基本波として緑色光である第2高調波を得る構成を例示した。ここで、700nm以上1200nm以下の波長を有する基本波を波長変換素子に入射し、第2高調波を発生させる場合においても、基本波と第2高調波の和周波として発生する第3高調波が、その第2高調波の吸収を引き起こすことが分かっている。このような波長変換を行う場合においても、前記実施形態に係る波長変換装置を利用すれば、波長変換素子の結晶破壊を抑制しつつ高出力の第2高調波を得ることができる。
【0083】
また、450nm以上800nm以下の波長を有する基本波を波長変換素子に入射し、その第2高調波を発生させる場合においても、第2高調波が基本波を吸収することが分かっている。図9に示す波長変換装置は、図1に示す波長変換装置と比べて、波長変換素子13の後半における第2高調波のピーク光強度を半分以下(図6、図12参照)にすることができるので、前記のような波長変換を行う場合においても波長変換素子の結晶破壊を抑制しつつ高出力の第2高調波を得ることができる。1200nm以上1600nm以下の波長を有する基本波を波長変換素子に入射し、その第2高調波を発生させる場合についても、第2高調波から波長変換した第4高調波が第2高調波の吸収を引き起こすことになるが、同様に図9に示す波長変換装置を有効に活用することができる。
【0084】
更に、1200nm以上2000nm以下の波長を有する基本波を波長変換素子に入射し、第4高調波を発生させる場合、基本波と第4高調波の和周波として発生する第5高調波が、その第4高調波の吸収を引き起こすことが知られている。また、1200nm以上2000nm以下の波長を有する基本波を波長変換素子に入射し、第2高調波と第3高調波の両方を発生させる場合、第2高調波と第3高調波の和周波として発生する第5高調波が第3高調波の吸収を引き起こすことが知られている。そのため、これらの場合についても、図9に示す波長変換素子を有効に活用することができる。
【0085】
更に、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムなどの非線形光学結晶からなる波長変換素子は、結晶の組成比、添加物の種類、添加物の添加量、又は入射させる基本波の波長が異なることに応じて、波長変換素子内で発生する現象が異なるという特性を有する。具体的に、波長変換素子内においては、高調波の吸収や2光子吸収などが生じる場合があり、このような場合にも図9に示す波長変換素子を有効に活用することができる。
【0086】
つまり、図6及び図12から分かるように、図9に示す波長変換装置では、図1に示す構成と比較して、第2高調波の光強度を軽減することが可能となる。波長変換素子13に用いられる材料の組成や波長変換する光の波長によって様々な光の吸収があるが、図9に示す波長変換装置によれば、入射する基本波の第2高調波である光の光強度が低下することで光吸収量が減少するすべての場合に、波長変換素子13の発熱を軽減するとともに、高出力の緑色光14を得ることができる。ここで、第2高調波の光強度を低下させることで光吸収量が減少する光吸収としては、例えば、第2高調波の2光子吸収が挙げられる。つまり、第2高調波となる光に対して2光子吸収が発生するような波長変換材料を用いた場合、図9に示す波長変換装置によって、高出力化することが可能となる。
【0087】
また、図6、図12から分かるように、図9に示す波長変換装置では、第3高調波の光強度を軽減することも可能となる。波長変換素子13に用いられる材料の組成や波長変換する光の波長によって様々な光の吸収があるが、図9に示す波長変換装置によれば、基本波と第2高調波との和周波として生じる第3高調波である光の光強度が低下することで光吸収量が減少するすべての場合に、波長変換素子13の発熱を軽減し、高出力の緑色光14を得ることができる。ここで、第3高調波の光強度を低下させることで光吸収量が減少する光吸収としては、例えば、第3高調波の2光子吸収が発生するような波長変換材料を用いた場合、図9に示す波長変換装置によって、高出力化することが可能となる。
【0088】
図22は、波長変換素子の平均温度とビームパス部分との温度差と、波長変換素子の位置との関係を示している。例えば、第2高調波の2光子吸収が波長変換素子の結晶破壊に大きく寄与する場合、平均温度とビームパス部分との温度差は、図22のように分布する。図22において、赤外光11が波長変換素子13の中心において最適なビーム径で集光した場合の温度差を符号22で示す。また、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の35%となるときの温度差を符合23で示す。さらに、赤外光11の集光位置と波長変換素子13の入射面16との距離が波長変換素子13の長さ寸法の20%となるときの温度差を符号24で示す。
【0089】
図22を参照して、温度差23は、温度差22に比べて約20%低くなるため、図9の波長変換装置は、図1の波長変換装置に比べて約10%以上緑色光14の出力を向上することが可能となる。また、温度差24は、温度差22に比べて約60%低くなるため、図9の波長変換装置は、図1の波長変換装置と比べて約30%以上緑色光14の出力を向上することが可能となる。
【0090】
前記実施形態に係る波長変換素子としては、バルク型波長変換素子やスラブ導波路型波長変換素子を用いることができる。前記実施形態では、バルク型波長変換素子について示したが、スラブ導波路型波長変換素子を用いる場合について以下説明する。
【0091】
スラブ導波路型波長変換素子には、赤外光の光軸と直交する一の方向(以下、長手方向と称す)に長く、この長手方向と直交する他の方向(以下、短手方向と称す)の短い断面を有する導波路が形成されている。このスラブ導波路型波長変換素子を用いる場合、前記短手方向については、波長変換素子の入射面に赤外光を集光する。一方、前記長手方向について、従来では、スラブ導波路型波長変換素子の入射面に赤外光をあまり集光せずにほぼ平行光として入射していた。そして、前記実施形態では、上述のように、赤外光11を波長変換素子の中央位置よりも入射面側で集光することとしているため、従来に比べて高出力な波長変換が可能となる。特に、スラブ導波型波長変換素子では、バルク型波長変換素子に比べて光強度が高まり易いため、前記長手方向について、赤外光の集光位置を波長変換素子の入射面寄りの位置として赤外光を入射することにより、数Wを超える波長変換が可能となる。また、スラブ導波路型波長変換素子を用いる場合、発熱箇所が前記長手方向に広がるため、放熱にも適している。
【0092】
また、従来では、スラブ型波長変換素子を用いるに当たり、前記長手方向のビーム径を拡大し、波長変換素子内の光強度を低下させて局所的な発熱を軽減することにより、緑色光の出力の向上を図っていた。しかし、バルク型波長変換素子と同様に、単にビーム径を拡大する場合、波長変換素子内全体において光強度が激しく低下するため、変換効率の低下が激しい。一方、前記実施形態のように、波長変換素子の結晶破壊は、波長変換素子内で発生する光(緑色光)のうち和周波(紫外光)により吸収されるものの光強度の増加に起因するものである。したがって、和周波による吸収の小さい波長変換素子の入斜面側において赤外光のビーム断面を小さくして緑色光の変換光率を有効に確保する一方、和周波による吸収が大きくなる波長変換素子の後半における赤外光のビーム径を拡大することにより和周波による緑色光の吸収を抑制して、高効率の波長変換が可能となり、緑色光の出力を向上することができる。
【0093】
(実施形態2)
図23は、本発明の実施形態2に係る波長変換装置を示す概略図である。実施形態2に係る波長変換装置は、複数の波長変換素子を使用する。これにより、波長変換せずに一つ目の波長変換素子から出射する基本波ついて、二つ目の波長変換素子により再び波長変換を行うことができる。したがって、波長変換素子を一つだけ用いた波長変換装置に比べて波長変換の効率を向上することが可能となる。
【0094】
具体的に、図23には、二つの波長変換素子を用いた波長変換装置を示す。この波長変換装置は、レーザ光源25と、このレーザ光源25からの赤外光26を集光するための集光レンズ27と、集光レンズ27により集光された赤外光26を緑色光31に変換するための波長変換素子28と、波長変換素子28から出射された光を平行光にするためのコリメートレンズ29と、緑色光31を反射するとともに赤外光26を透過させる分離ミラー30と、分離ミラー30からの赤外光26を集光する集光レンズ32と、集光レンズ32により集光された赤外光26を緑色光に変換するための波長変換素子33とを備えている。なお、レーザ光源25、集光レンズ27は、実施形態1(図9)に示した、レーザ光源10、集光レンズ12と同一の構成である。
【0095】
レーザ光源25から出射した赤外光26は、集光レンズ27により集光されるとともに、波長変換素子28に入射する。波長変換素子28から出射された緑色光及び赤外光は、コリメートレンズ29によって平行光に変換される。そして、緑色光は、分離ミラー30において反射する一方、赤外光は、分離ミラー透過する。分離ミラー30を透過した赤外光は、集光レンズ32により集光されて、波長変換素子33に入射して、再度、波長変換される。
【0096】
具体的に、レーザ光源25は、10Wの赤外光26を出射する。
【0097】
波長変換素子27は、実施形態1と同様に、ニオブ酸リチウムからなり、26mmの長さとされている。そして、赤外光26の集光位置は、波長変換素子27の入射面から約2mm内側に設定されている。その結果、波長変換素子27からは、約3Wの緑色光と約7Wの赤外光とが出射する。
【0098】
分離ミラー30により緑色光が分離されて残った約7Wの赤外光は、二つ目の波長変換素子33に入射する。波長変換素子33は、波長変換素子27と同様に、ニオブ酸リチウムからなり、26mmの長さとされている。そして、赤外光の集光位置は、波長変換素子33の長さ方向の中央位置から約4mm入射面側の位置であり、かつ、波長変換素子33の入射面から約9mmの位置である。その結果、波長変換素子33からは、約2.5Wの緑色光が出射する。そして、二つの波長変換装置27、33から出射する緑色光の出力は、あわせて5.5Wとなる。
【0099】
本実施形態では、二つの波長変換素子27、33を有するとともに、一つ目の波長変換素子27及び二つ目の波長変換素子33に入射する赤外光の出力がそれぞれ異なり、このように異なる赤外光の出力にあわせて、赤外光の集光位置を波長変換素子27、33ごとに異なるものとしたことを特徴としている。その結果、波長変換装置全体としての波長変換の効率を高くすることが可能となる。
【0100】
ただし、三つ以上の波長変換素子を用いた場合であっても、同様に、波長変換素子ごとに、入射する赤外光の集光位置を変えることにより、波長変換装置全体としての波長変換の効率化を図ることが可能であることは言うまでもない。
【0101】
また、一つの波長変換素子内に複数の光路を設けた波長変換装置においても、光路ごとに集光状態を変えることで、本実施形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0102】
(実施形態3)
図24は、本発明の実施形態3に係る波長変換装置を示す概略図である。本実施形態の波長変換装置では、レーザ光源34から出射された赤外光35を、レンズを通さずに波長変換素子36に入射して、緑色光37に変換するように構成されている。本実施形態に係る波長変換装置では、レーザ光源34から赤外光35が放射光として出射するため、波長変換素子36の入射面において赤外光35が最も集光した状態となり、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0103】
そして、本実施形態では、赤外光35を集光するための部材を省略することにより、部品点数を減らすことができるので、より低コストで小型の装置を構成することができる。また、本実施形態では、赤外光の光学的な距離を短縮できるため、波長変換装置の小型化が可能となる。更に、レーザ光源34と波長変換素子36とを直接接合することにより、レーザ光源34と波長変換素子36とを他の構成を介して接続する場合と比較して、緑色光の出力を安定性が大幅に向上する。
【0104】
なお、更に望ましくは、レーザ光源34と波長変換素子36との間にGRINレンズを設置することができる。このようにすれば、GRINレンズの端面に赤外光35を集光することができるので、波長変換素子36の端面とGRINレンズの端面とを突き合わせることにより、赤外光35の集光位置を波長変換素子36の端面に正確に位置決めすることができ、緑色光を安定して得ることができる。
【0105】
レーザ光源34としては、赤外光35の発振効率が高い、YAGレーザ等の固体レーザや、Yb、Nd等の希土類が添加されたファイバを用いたファイバレーザを用いることができる。
【0106】
(実施形態4)
図25は、本発明の実施形態4に係る波長変換装置を示す概略図である。本実施形態の波長変換装置は、レーザ光源10と、レーザ光源10からの赤外光11を集光するための集光レンズ12と、集光レンズ12により集光された赤外光11を緑色光に変換するための波長変換素子40と、この波長変換素子40を挟んで配置された一対の凹面ミラー38、39とを備えている。
【0107】
本実施形態に係る波長変換装置において、レーザ光源10から出射した赤外光11は、集光レンズ12に入射し、凹面ミラー38、39からなる反射鏡間に設置された波長変換素子40に入射する。
【0108】
凹面ミラー38には、赤外光及び緑色光をともに反射するためのコーティングが施されている。また、凹面ミラー39には、赤外光を反射し、緑色光を透過するためのコーティングが施されている。
【0109】
前記レーザ光源10から出射された赤外光11のうちの一部は、波長変換素子40において緑色光に変換され、変換されずに残った赤外光は、凹面ミラー38、39間を複数回往復する。つまり、各凹面ミラー38、39の間には、波長変換素子40を通過する赤外光11の光路が複数設定されている。
【0110】
具体的に、赤外光11の集光位置41は、波長変換素子40の中央位置よりも入射端寄りとなるように設定されている。したがって、レーザ光源10から凹面ミラー39までの第一の光路においては、1W以上の高い出力の緑色光を得る場合であっても、波長変換素子40の結晶破壊の発生を抑制することができる。これにより、凹面ミラー39よりも後の光路における波長変換効率が低下することを防ぐことが可能となる。赤外光11の集光位置41を波長変換素子40の入射面付近に設定するための方法としては、1W程度の赤外光を波長変換素子40に入射し、第一の光路の緑色光の出力が最大となるように赤外光11の集光位置及び波長変換素子40の温度を最適化する。その後、波長変換素子40を出射端側にずらすことで、赤外光11の集光位置を容易に波長変換素子40の入射側に設定することが可能となる。
【0111】
次に、凹面ミラー39により反射した赤外光が凹面ミラー38から再び凹面ミラー39に向かう第二の光路について検討する。レーザ光源10からの赤外光11の出力が高く、前記第二の光路において生じる緑色光が1Wを超える場合は、第二の光路の集光位置43を波長変換素子40の入射面寄りに設定することが好ましい。これにより、第二の光路に対応する箇所においても、波長変換素子40の結晶破壊を抑制することができ、その結果、高出力の緑色光を得ることができる。
【0112】
さらに、第二の光路から凹面ミラー39により反射した赤外光が凹面ミラー38により反射して凹面ミラー39に向かう第三の光路について検討する。第三の光路についても、第一の光路及び第二の光路と同様に、第三の光路において生じる緑色光が1Wを超える場合は、集光位置42を波長変換素子40の入射面寄りに設定することが好ましい。その結果、高出力の緑色光を得ることができる。
【0113】
ただし、第一の光路において1Wを超える緑色光を発生させるとともに、第二、第三の光路で1Wを超える緑色光を発生させない場合には、集光位置41を波長変換素子入射面寄りに設定し、集光位置42、43を波長変換素子40の中央付近に設定することができる。これにより、波長変換素子40の結晶破壊を有効に阻止しながら、波長変換効率を高めることが可能となる。
【0114】
また、第二の光路以降における変換効率の低下を防ぐため、第一の光路において生成される緑色光出力を1W以下に抑えることが更に望ましい。例えば、図25に符号44で示す波長変換素子40の一部を、分極反転部を形成しない部分とすることにより、第一の光路における波長変換効率を低下させることができる。これによって、第一の光路における緑色光の出力を減らすことができる。
【0115】
本実施形態では、第一の光路において波長変換されずに残った赤外光を、第二及び第三の光路において複数回波長変換することができるため、第一の光路における変換効率を低下させても、最終的な変換効率の低下は少ない。そして、本実施形態では、波長変換素子40に設定された複数の光路においてそれぞれ波長変換を行うことができるので、波長変換素子40に設定された光路が一本の場合よりはるかに高効率な波長変換が可能となる。
【0116】
本発明では、高効率かつ高出力の波長変換が可能となる。更に、ビーム径方向について波長変換素子の温度上昇を軽減することにより、基本波や波長変換により生成した光のビーム劣化を防ぐことが可能となる。
【0117】
また、本発明では、基本波の伝搬方向に発生する温度分布を軽減し、出力変動が少なく、安定した波長変換が可能となる。
【0118】
ところで、高効率を目指した図1に示す構成では、波長変換素子4内における赤外光2及び緑色光5のビームパスが一致している。そのため、図26に示すように、赤外光2の光強度18、20及び緑色光5の光強度19は、それぞれビーム中心で最大となる。そのため、赤外光2、緑色光5の光強度に比例して発生量が増加する紫外光は、特に、ビーム中心において増大する。このように、緑色光の光強度増加とともに紫外光の発生量が増加するため、前記紫外光による緑色光5の吸収が発生の程度が大きくなり、結晶破壊を引き起こす。また、図27に示すように、紫外光の光強度増加に伴い緑色光5の吸収率が増加することが実験にて確認された。したがって、波長変換素子4に入射した赤外光2と波長変換素子4内で発生した緑色光5との重なりを軽減することにより、前記結晶破壊が抑制されると考えられる。なお、図2において、符号18は、波長変換素子4に入射前の赤外光の光強度であり、符号19は、波長変換素子4内で生成した緑色光5の光強度であり、符号20は、波長変換素子4を通過した後の赤外光2の光強度である。
【0119】
(実施形態5)
図28は、本発明の実施形態5に係る波長変換装置を示す概略図である。実施形態5に係る波長変換装置は、レーザ光源48と、レーザ光源48からの赤外光49をドーナツ型のビームに変換するための円錐レンズ51と、円錐レンズ51からの赤外光49を平行光にするための円錐レンズ52と、円錐レンズ52からの赤外光49を集光する凸レンズ53と、凸レンズ53により集光された赤外光49を緑色光56に変換するための波長変換素子50と、波長変換素子50から出射された光を平行光に変換するための凸レンズ54とを備えている。
【0120】
レーザ光源48から出射した赤外光49は、向かい合った二枚の円錐レンズ51、52に入射されることにより、光強度の高い部分がビーム中心からビーム周辺に移されたドーナツ型(円環型)のビームに変換される。つまり、赤外光49は、ビーム断面の光強度分布が周縁部に偏ったビームに変換される。このドーナツ型のビームは、凸レンズ53により集光し、波長変換素子50に入射する。波長変換素子50から出射した赤外光49及び緑色光56は、凸レンズ54によって平行光に変換される。
【0121】
図29は、円錐レンズ51、52による赤外光の光強度分布の変換について説明するための概略図である。円錐レンズ51、52は、それぞれ円錐面の傾斜角がθ、屈折率がnに設定されたものであり、両レンズ51、52間の距離は、dとされている。円錐レンズ51の出射角(内角)θ1は、円錐面の傾斜角θとなることから、円錐レンズ51の出射角(外角)θ2は、sin−1(n×sinθ)となり、円錐レンズ52に到達する赤外光49のビーム径R’は、d×tan(sin−1(n×sinθ)−θ)となる。よって、レンズ間距離dを変えることで任意のR’が得られる。また、R’を調節することでドーナツ部分の内径と外径の比も任意に調整することが可能である。例えばR’が1.5Rとなるようにdを設定したとき、球面レンズに入射する基本波の光強度分布は、図30のようになる。このようにドーナツ形状の光強度分布をもつ赤外光レーザ(ドーナツビーム)55は、凸レンズ53により集光され、前記波長変換素子50に入射する。
【0122】
次に、図31を用いて、波長変換素子50内における赤外光と緑色光との関係について説明する。本実施形態では、波長変換素子50の前部の領域57においてドーナツビーム55を集光する。ドーナツビーム55は、集光位置において、ビーム中心に高いピーク強度を有することが知られている。そして、波長変換素子50内では、前記ドーナツビーム55の高いピーク強度を有するビーム中心において、ビーム中心にピーク強度を持つ緑色光56が生成される。赤外光よりも波長が短い緑色光は、赤外光より広がり角が小さく、波長変換素子50の後半の領域58において赤外光の内側を伝播することになる。このため、本実施形態では、緑色光と赤外光との重なりを軽減し、紫外光による緑色光の吸収を防ぐことが可能となる。領域58において生成された緑色光は、赤外光に近い広がり角を持つが、ガウシアンビームに比べ、同出力でのピーク光強度が低い。具体的に、例えば、R’=1.5Rの場合、同出力のガウシアンビームに比べてピーク光強度は、0.18倍となるため、10W程度の緑色出力時においても、結晶破壊を起こさず波長変換が可能であると考えられる。
【0123】
つまり、波長変換素子50の前部57の領域では、ピーク光強度が高いため、素子後部58に比べて波長変換効率が高いが、光強度が集中するビーム中心部分での結晶破壊が低出力波長変換時においても起こり易い。一方、波長変換素子50の後部58の領域では、高出力時でも結晶破壊が起こりにくいが、光強度が低いため波長変換効率が低い。このため、必要となる緑色光の出力に応じて、素子前部57と素子後部58の割合を最適化することが望ましい。
【0124】
本実施形態では、円錐部を有する二枚のレンズを使用する方法を用いたが、これは、ガウシアンビームをドーナツビームに変換する方法の一つであり、他のドーナツビーム生成方法を用いることが可能であることは言うまでもない。しかし、向かい合った二つの円錐部によるドーナツビーム生成方法は、円錐部の距離を調整することにより、図31においてLで示した部分の長さを任意に調節することが可能となる。つまり、素子前部57と素子後部58の割合を最適化することが可能となる。このため、円錐レンズの距離を調整することにより、任意の緑色出力に対し、変換効率の最適化が可能となる。
【0125】
また、分極反転周期構造を備えた波長変換素子を用いて、擬似位相整合を行う場合において、素子後部58では、赤外光の光強度が高い部分において、分極反転周期に対して波面が傾くため、位相整合周期が短くなる。よって、素子前部57と素子後部58で素子温度を独立に調節することが好ましい。具体的には、素子前部57と素子後部58とにそれぞれヒータを設け、これらヒータを用いて温度調整を行うことができる。また、図31にも示すように、前記位相整合周期の相違に応じて、素子後部58の分極反転周期を、素子前部57よりも短く設定しておくことも可能である。
【0126】
また、レーザ光源48から赤外光49をパルス発振することが好ましい。このようにすれば、波長変換素子50内における電界強度が高めることができる。ここで、非線形光学結晶を用いた波長変換効率は、基本波の電界強度に比例するため、赤外光49をパルス発振することにより、前記波長変換素子50による波長変換の最大出力だけでなく、波長変換の効率の向上も可能となる。
【0127】
更に、電界印加により分極反転構造を形成した波長変換素子を用いる場合、分極反転構造の形成範囲が制限されるため、均一な波長変換効率を得るために赤外光49を照射しなければならない領域の幅は、わずか200μm程度である。よって、ビーム径が200μmを超えるドーナツビームを用いる場合、波長変換時の効率が低下する。これを回避するため、ビーム径が200μmを超えるドーナツビームを入射させる場合には、円柱レンズを用いてビームを楕円形状に変換することが望ましい。
【0128】
さらに、本実施形態における波長変換素子50として、酸化マグネシウムをドープしたニオブ酸リチウムまたは、タンタル酸リチウムを用いることにより、高効率で波長変換が可能となる。
【0129】
次に、本実施形態に係る波長変換装置を用いた実験結果を説明する。波長変換素子50は、酸化マグネシウムをドープしたニオブ酸リチウムからなり、素子長26mmを有するとともに、周期7μmの分極反転構造が形成されたものである。レーザ光源48は、1064nmの赤外光を出射し、緑色光56の出力が最大となるように波長変換素子50の温度を調節した。図32は、波長変換素子50から出射した赤外光の光強度分布を示すグラフである。図33は、波長変換素子50内で生成された緑色光56の光強度分布を示すグラフである。図32及び図33に示すように、ビーム周縁部において高い光強度をもつドーナツビーム55を波長変換素子50に入射することにより、ビーム中心の光強度の高い緑色光56が得られることが確認された。以上のように、前記実施形態に係る波長変換装置では、高出力の緑色光を得る際において、赤外光と緑色光との重なりを低減することにより、紫外光による緑色光の吸収を軽減することができるので、結晶破壊を起こさず高出力の緑色光を得ることが可能と考えられる。
【0130】
なお、図1に示す波長変換装置においては、波長変換素子4の長さが26mmの場合、波長変換素子4の温度が±0.3度変化することにより、波長変換効率が8割以下に低下してしまう問題があった。しかし、本実施形態に係る波長変換装置では、前記結晶破壊の回避と同時に、波長変換効率の温度安定性も向上することが分かった。
【0131】
図34は、波長変換効率と素子温度の関係を示すグラフである。図1に示す波長変換装置における波長変換効率と素子温度との関係をライン59で示す。一方、本実施形態に係る波長変換装置における波長変換効率と素子温度との関係をライン60で示す。波長変換効率が最適温度時の8割を超える温度幅は、ライン59について0.6℃程度であるのに対し、ライン60については2℃程度に拡大したことが分かる。
【0132】
(実施形態6)
図35は、本実施形態に係る波長変換装置を示す概略図である。本実施形態に係る波長変換装置は、前記実施形態5に示す円錐レンズ51、52に代えて、波長変換素子65の両端面に円錐部が形成されている。
【0133】
具体的に、波長変換装置は、レーザ光源61と、レーザ光源61からの赤外光62を緑色光64に変換するための波長変換素子65とを備えている。
【0134】
レーザ光源61は、ガウシアンビームで平行光の赤外光62を出射する。
【0135】
波長変換素子65は、入射面と出射面に円錐部を有する。入射側の円錐部は、レーザ光源61からの赤外光62をドーナツ型のビームに変換するとともに、このビームを集光させるように構成されている。一方、出射側の円錐部は、波長変換素子65から出射するドーナツ型の赤外光62を平行光に変換するように構成されている。そのため、入射面の円錐部の頂点がビーム中心上に位置するよう赤外光を入射させ、出射面に入射面と同様の円錐部を設けることにより、波長変換素子内における赤外光の光強度の分布は、実施形態5と同等となり、同様の効果が得られる。
【0136】
本実施形態では、実施形態5に比べて使用するレンズが少なくすることができるので、よりコストを低減することができるという利点を有する。
【0137】
(実施形態7)
図36は、本実施形態に係る波長変換装置を示す概略図である。本実施形態に係る波長変換装置は、共通の波長を有するレーザ光をそれぞれ出射可能な一対のレーザ光源66、66と、これらレーザ光源66、66からの赤外光67を緑色光69に変換するための波長変換素子68とを備えている。
【0138】
本実施形態に係る波長変換装置は、各赤外光光源66からの赤外光67を波長変換素子68内で交差させるように構成されている。各赤外光67、67の交差部分において生成された緑色光69は、二つの赤外光67、67の間を伝搬する。そのため、素子後半における赤外光67、67と緑色光69との重なりを低減することができるので、波長変換素子68内において赤外光67、67と緑色光69との和周波である紫外光が生成されるのを抑制することができる。したがって、実施形態5、6と同様に、結晶破壊を起こさず生成可能な緑色光の出力を増大させることができる。
【0139】
本実施形態に係る波長変換装置では、二つの赤外光67、67の重なる位置よりも後方にそれぞれのビームウエストが来るよう集光することにより、数W程度の緑色光を得る場合において、高い変換効率を実現する。
【0140】
また、本実施形態と同様に、三つ以上のレーザ光源を用いた場合について、同様の効果を得られることができる。
【0141】
さらに、一つのレーザ光源から出射された赤外光をプリズム等を用いて、複数の光路に向かう赤外光レーザに分岐させて、これらの光路を波長変換素子内で交差させるようにすることもできる。このようにすれば、同様の効果を得ることができる。
【0142】
(実施の形態8)
図37は、実施の形態1〜7で示した波長変換装置を適用した実施の形態8に係る画像表示装置の模式的な構成の一例を示す図である。光源には赤(R)、緑(G)及び青(B)の3色のレーザ光源71a,71b,71cを用いている。赤色レーザ光源(R光源)71aには波長640nmの光ビームを出射するAlGaInP/GaAs系材料からなる半導体レーザ装置が用いられる。青色レーザ光源(B光源)71cには波長450nmの光ビームを出射するGaN系材料からなる半導体レーザ装置が用いられる。また、緑色レーザ光源(G光源)71bには赤外レーザ光の波長を1/2にする波長変換素子を具備した波長530nmの光ビームを出射する波長変換装置が用いられる。
【0143】
図37に示すように、本実施の形態8の画像表示装置70は、複数のレーザ光源71a,71b,71cと、レーザ光源71a,71b,71cから出射された光ビームを走査する反射型2次元ビーム走査部72a,72b,72cとを備えている。レーザ光源71a,71b,71cは、少なくとも赤色光(R光)、緑色光(G光)及び青色光(B光)をそれぞれ出射する。これらのレーザ光源71a,71b,71cのうち、少なくとも緑色光を出射するレーザ光源71bは、上記で説明した実施の形態1〜7で示した波長変換装置を用いて構成される。
【0144】
次に、本実施の形態8の画像表示装置70のレーザ光源を用いて画像を形成する光学系の構成について説明する。画像表示装置70のR、G及びBの各レーザ光源71a,71b,71cから出射されたレーザビームは、集光レンズ79a,79b,79cにより集光された後、反射型2次元ビーム走査部72a,72b,72cにより拡散板73a,73b,73c上に走査される。
【0145】
拡散板73a,73b,73cによって拡散されたレーザビームは、フィールドレンズ74a,74b,74cによって絞られ、空間変調素子75a,75b,75cに入射する。画像データはR、G及びBそれぞれのデータに分割されており、各データは空間変調素子75a,75b,75cに入力される。空間変調素子75a,75b,75cによって変調されたレーザビームは、ダイクロイックプリズム76で合波され、カラー画像が形成される。このように合波したカラー画像は、投射レンズ77によりスクリーン78に投影される。ただし、G光源71bから空間光変調素子75bに入射する光路中には、空間変調素子75bでのG光のスポットサイズをR光やB光と同じにするための凹レンズ79が挿入されている。
【0146】
このように、本実施の形態8の画像表示装置70において、レーザ光源部に本発明の実施の形態1〜7で示した波長変換装置を用いることにより、通常の半導体レーザ装置を用いた場合に比べて、高出力の緑色光を得る場合においても、波長変換素子の結晶破壊を抑制することが可能となる。
【0147】
(実施の形態9)
図38は、実施の形態1〜7で示した半導体レーザ装置を含むバックライト照明装置を適用した実施の形態9に係る画像表示装置の模式的な構成の一例を示す図である。図38は、このような画像表示装置の一例として液晶表示装置80の模式的な構成図を示している。
【0148】
図38に示すように液晶表示装置80は、液晶表示パネル86と、液晶表示パネル86を背面側から照明するバックライト照明装置81とを備えて構成されている。そして、バックライト照明装置81は、複数のレーザ光源82を含んで構成され、複数のレーザ光源82は少なくとも赤色、緑色及び青色をそれぞれ出射する光源を備える。すなわち、複数のレーザ光源82は、赤色のレーザ光を出射する赤色レーザ光源(R光源)82a、緑色のレーザ光を出射する緑色レーザ光源(G光源)82b及び青色のレーザ光を出射する青色レーザ光源(B光源)82cで構成される。複数のレーザ光源82のうち、少なくともG光源82bは、上記で説明した実施の形態1〜7で示した波長変換装置を用いて構成される。
【0149】
ここでは、R光源82aには波長640nmの赤色光を出射するAlGaInP/GaAs系材料からなる半導体レーザ装置が用いられ、B光源82cには波長450nmの青色光を出射するGaN系材料からなる半導体レーザ装置が用いられる。また、G光源82bには赤外レーザ光の波長を1/2にする波長変換素子を具備した波長530nmの光ビームを出射する波長変換装置が用いられる。
【0150】
次に、本実施の形態9の液晶表示装置80の構成についてさらに説明する。液晶表示パネル86は、バックライト照明装置81から出射されるR光、G光及びB光の各レーザ光を利用して画像表示を行う偏光板87と、液晶板88とで構成される。図38に示す本実施の形態9のバックライト照明装置81は、複数のレーザ光源82と、複数のレーザ光源82からのR光、G光及びB光のレーザ光をまとめて導光部84を介して導光板85に導く光ファイバ83と、導光部84から導入したR光、G光及びB光で均一に満たされた主面(図示せず)からレーザ光を出射する導光板85とから構成されている。
【0151】
このように、本実施の形態9の液晶表示装置80において、バックライト照明装置81のレーザ光源部に本発明の実施の形態1〜9で示した波長変換装置を用いることにより、通常の半導体レーザ装置を用いた場合に比べて高出力の緑色光を得る場合であっても、波長変換素子の結晶破壊を抑制することができる。
【0152】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0153】
本発明の一局面に係るレーザ波長変換装置は、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザ光を波長変換するための波長変換素子とを備え、前記波長変換素子は、前記レーザ光に対して変換効率が最大となる最適集光条件を有し、前記レーザ光は、前記最適集光条件よりも変換効率が低下する低下集光条件となるように、前記波長変換素子に入射するものである。
【0154】
本発明によれば、基本波としてのレーザ光を波長変換素子に入射させて高調波を得るに当たり、レーザ光の低下集光条件が最適集光条件よりも変換効率が低いものとされているため、基本波と高調波との和周波の発生を抑制することができ、これによって波長変換素子の破壊が生じるのを抑制することができる。
【0155】
つまり、波長変換素子内において基本波と高調波との和周波が生じた場合、この和周波によって高調波が吸収され、この吸収箇所において波長変換素子が発熱して破壊する現象が確認されている。そして、本発明では、レーザ光の集光条件を最適集光条件から外すことにより、波長変換素子による変換効率を低下させることができるので、前記和周波の発生効率を低下させて波長変換素子の発熱を抑制することができる。
【0156】
また、波長変換素子の破壊の要因として、高調波からの2光子吸収による波長変換素子の発熱が考えられるが、本発明では、レーザ光の集光条件が最適集光条件と異なるものに設定されているため、高調波の光強度を低減して波長変換素子の発熱も抑えることができる。
【0157】
したがって、本発明によれば、波長変換素子の破壊を抑制しつつ、高出力の高調波を得ることができる。
【0158】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光を集光するための集光部材をさらに備え、前記集光部材は、前記レーザ光の光軸方向と平行する前記波長変換素子の長さ方向において、前記変換効率が最大となる最適位置と異なる位置に前記レーザ光を集光させるように構成されていることが好ましい。
【0159】
この構成によれば、レーザ光の集光位置を当該レーザ光の光軸方向に調整することにより、最適集光条件を満たさなくすることができる。
【0160】
具体的に、前記波長変換素子の少なくとも一部には、前記レーザ光に位相整合するように形成された分極反転構造が形成され、前記集光部材は、前記分極反転構造の前記長さ方向の中央位置よりも前記レーザ光源寄りに前記レーザ光を集光させるように構成されていることが好ましい。
【0161】
この構成によれば、波長変換素子内のレーザ光の光路のうち、集光位置の手前の光路よりも先の光路を長くすることができるので、波長変換素子内で発生する和周波に吸収される高調波を少なくすることができ、その結果、波長変換素子の発熱をより効果的に抑制することができる。
【0162】
つまり、前記集光位置よりも若干先の範囲で前記和周波の光強度が最も大きくなる一方、レーザ光の単位面積当たりの光強度は、前記集光位置から遠ざかるに従い小さくなる。そして、前記構成では、分極反転構造の中央位置よりも手前側に集光位置が設定されているので、レーザ光の集光位置を前記分極反転構造の中央位置に設定した場合と比較して、集光位置よりも先の範囲におけるレーザ光の光強度を大幅に小さくすることができる結果、和周波と高調波との重なり合いをより確実に抑制することができ、和周波による高調波の吸収を大幅に低減することができる。
【0163】
前記レーザ波長変換装置において、前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端部からの距離が、前記分極反転構造の前記長さ方向の寸法の40%以下となる前記分極反転構造の内側位置に前記レーザ光を集光させるように構成されていることが好ましい。
【0164】
この構成によれば、レーザ光の集光位置を分極反転構造の中央位置に設定する場合と比較して、高調波の出力を10%以上向上させることができる。
【0165】
前記レーザ波長変換装置において、前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端部からの距離が、前記分極反転構造の前記長さ方向の寸法の25%以下となる前記分極反転構造の内側位置に前記レーザ光を集光させるように構成されていることが好ましい。
【0166】
この構成によれば、レーザ光の集光位置を分極反転構造の中央位置に設定する場合と比較して、高調波の出力を30%以上向上させることができる。
【0167】
前記レーザ波長変換装置において、前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端面近傍に前記レーザ光を集光させるように構成されていることが好ましい。
【0168】
この構成によれば、分極反転構造の端面付近においてレーザ光の単位面積当たりの光強度が最大となり、分極反転構造内においては出射側へ向かうに従い光強度が小さくなる一方であるため、和周波と高調波との重なり合いをより確実に抑制することができる。
【0169】
前記レーザ波長変換装置において、前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端面よりも前記レーザ光源寄りに前記レーザ光を集光させるように構成されていることが好ましい。
【0170】
この構成においても、分極反転構造内におけるレーザ光の単位面積当たりの光強度は、出射側へ向かうに従い小さく一方であるため、和周波と高調波との重なり合いをより確実に抑制することができる。
【0171】
例えば、前記分極反転構造の入射側の端面からレーザ光源側に延びる突出部分を波長変換素子に形成し、前記突出部分に分極反転構造を形成しない構成とすれば、突出部分内にレーザ光の集光位置を設定することができる。
【0172】
前記レーザ波長変換装置において、集光部材は、前記最適集光条件を満たすためのNAの1.5倍以上のNAを有することが好ましい。
【0173】
この構成によれば、レーザ光の集光位置よりも先の範囲において発生する和周波の光強度を大幅に低減することができる。具体的に、赤外光を基本波として緑色光を得る場合に、最適集光条件におけるNAの1.5倍のNAを採用した場合には、和周波として発生する紫外光の光強度を約45%低減することができる。
【0174】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光は、前記集光部材は、前記レーザ光を略楕円型の範囲に集光するように構成され、前記略楕円型の長軸の長さは、短軸の長さの1.1倍以上に設定されていることが好ましい。
【0175】
この構成によれば、幅寸法が比較的大きく、厚み寸法が小さく制限される波長変換素子においても、前記楕円型の長軸を幅寸法に沿わせるとともに短軸を厚み方向に沿わせることにより、限られた波長偏光素子内のスペースを有効に活用して高調波の高出力化を図ることができる。具体的に、長軸の長さを短軸の長さの1.1倍とすることにより、短軸の長さの半径を有する円と比較して断面積も約1.1倍にすることができるので、高調波の出力も約1.1倍増加させることができる。
【0176】
前記レーザ波長変換装置において、前記集光部材は、非点隔差をもって前記レーザ光を集光させることが好ましい。
【0177】
この構成によれば、レーザ光の強度が一箇所に集中するのを抑制することができるので、波長変換素子内において発生する和周波及び高調波の光強度を小さくすることができ、これにより、波長変換素子の破壊を抑制することができる。
【0178】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光源は、ビーム断面内における最大光強度が、同出力の最適集光条件となるガウシアンビームの光強度の0.9倍以下に設定されたレーザ光を出射するように構成されていることが好ましい。
【0179】
この構成によれば、レーザ光のビーム断面における最大光強度を低減することにより、波長変換素子内において発生する和周波及び高調波の光強度を小さくすることができ、これにより、波長変換素子の破壊を抑制しつつ高調波の高出力化を図ることができる。
【0180】
具体的に、前記構成では、ガウシアンビームの0.9倍の光強度に設定されているため、ガウシアンビームを波長変換素子に入射した場合と比較して、波長変換素子を破壊させる閾値となる高調波の光強度を約10%高くすることができる。
【0181】
波長変換素子の構造を限定する趣旨ではないが、前記波長変換素子として、バルク型波長変換素子を採用することができる。
【0182】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光のM2は、1.2より大きいことが好ましい。
【0183】
この構成によれば、M2が最適集光条件を満たすための1.0ではなく1.2に設定されているので、NAを維持しながら、集光位置におけるレーザ光のビーム径を大きくすることができる。そして、前記和周波による高調波の吸収量は、レーザ光の集光位置におけるビーム径が大きくなるに従い少なくなるため、前記構成とすることにより、波長変換素子の破壊をより有効に抑えることができる。
【0184】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子を複数個有し、前記各波長変換素子の少なくとも1つにおいて、前記レーザ光の集光条件が前記低下集光条件に設定されていることが好ましい。
【0185】
この構成によれば、少なくとも1つの波長変換素子の破壊を抑制しながら、複数の波長変換素子を利用して高出力の高調波を得ることができる。例えば、前記構成では、二個の波長変換素子を用いて5Wを超える緑色光を、高効率で生成することができる。
【0186】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子には、前記レーザ光の光路が複数設定され、前記各光路の少なくとも1つにおいて、前記レーザ光の集光条件が前記低下集光条件に設定されていることが好ましい。
【0187】
この構成によれば、共通の波長変換素子に設定された複数の光路のうちの少なくとも1つの光路において波長変換素子の発熱を抑制しながら、複数の光路を利用して高出力の高調波を得ることができる。例えば、前記構成では、二本の光路を用いて5Wを超える緑色光を、高効率で生成することができる。
【0188】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子を挟んで配置された2枚の反射鏡をさらに備え、前記複数の光路は、各反射鏡の間に設定され、前記反射鏡のうちの少なくとも1枚は、前記レーザ光を集光しつつ反射するように構成されていることが好ましい。
【0189】
この構成によれば、2枚の反射鏡の間を繰り返しレーザ光が反射することにより、波長変換素子による波長変換を複数回行うことができる。しかも、各反射鏡の少なくとも1枚がレーザ光を集光するように構成されているので、この反射鏡による集光条件を前記最適集光条件と異なる条件に設定することにより、波長変換素子の破壊を抑制することができる。
【0190】
前記レーザ波長変換装置において、レーザ光源は、前記レーザ光を放射光として前記波長変換素子に入射することが好ましい。
【0191】
この構成によれば、基本波としてレーザ光を波長変換素子に入射させて高調波を得るに当たり、集光するための部材を介さずにレーザ光を波長変換素子に直接入射することとしているため、基本波と高調波との和周波の発生を抑制することができ、これによって波長変換素子の破壊が生じるのを抑制することができる。
【0192】
つまり、波長変換素子内において基本波と高調波との和周波が生じた場合、この和周波によって高調波が吸収され、この吸収箇所において波長変換素子が発熱して破壊する現象が確認されている。そして、本発明では、レーザ光が発散光として波長変換素子に入射しているため、基本波の光強度は、波長変換素子に入射した箇所で最も大きく、この箇所の付近における和周波の光強度が最も大きくなる。一方、発散光であるレーザ光の光強度は、波長変換素子を伝播するに従い小さくなるため、前記和周波と高調波との重なり合いを抑制することができ、和周波による基本波の吸収を大幅に低減することができる。
【0193】
したがって、本発明によれば、波長変換素子の破壊を抑制しつつ、高出力の高調波を得ることができる。
【0194】
具体的に、前記レーザ光源と前記波長変換素子とを直接接合することができる。
【0195】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光の低下集光条件は、前記レーザ光の集光位置よりも先の範囲において、前記レーザ光の光強度が複数個所に分布するように設定されていることが好ましい。
【0196】
この構成によれば、集光位置よりも先の範囲におけるレーザ光の光強度を複数個所に分布させることができるので、集光位置付近で最も光強度が高くなる和周波に対して基本波であるレーザ光が重なり合うのを抑制することができる。したがって、和周波に高調波が吸収されることによる波長変換素子の発熱を抑制することができ、波長変換素子の破壊を効果的に抑制することができる。
【0197】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光源と前記波長変換素子との間に設けられているとともに、前記レーザ光の光強度をドーナツ型に分布させるための分布部材をさらに備えていることが好ましい。
【0198】
この構成によれば、レーザ光をドーナツ型にすることにより、集光位置よりも先の範囲において和周波とレーザ光との重なり合いを抑制することができる。
【0199】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子は、前記レーザ光源に向けて円錐型に突出する入射部を有し、前記入射部を、前記入射部を介して前記波長変換素子に入射する前記レーザ光の光強度をドーナツ型に分布させるとともに、前記レーザ光を前記波長変換素子内で集光させるように構成することもできる。このようにすれば、集光部材を設けることなくレーザ光を集光することができ、かつ、ドーナツ型に分布させることができるので、コストの低減を図ることができる。
【0200】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光源を複数個備え、前記各レーザ光源は、共通の波長を有するレーザ光をそれぞれ出射可能で、かつ、それぞれのレーザ光の光路が互いに前記波長変換素子内で交差するように配置されている構成とすることもできる。
【0201】
この構成によれば、複数のレーザ光源から出射したレーザ光を波長変換素子内で集光させることができ、それぞれのレーザ光の光路は、互いの交差位置(集光位置)から先の範囲でそれぞれ別の方向に向くため、波長変換素子内で生じた和周波とレーザ光との重なり合いを抑制することができる。
【0202】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光源から出射したレーザ光を複数に分岐する分岐部材をさらに備えていることが好ましい。
【0203】
この構成によれば、例えば、分岐部材により1つのレーザ光源から出射したレーザ光を複数の光路に分岐し、各レーザ光の光路が波長変換素子内で交差するように前記各光路を調整する光学系を設けることにより、波長変換素子内にレーザ光を集光することができ、それぞれのレーザ光の光路は、互いの交差位置(集光位置)から先の範囲でそれぞれ別の方向に向くため、波長変換素子内で生じた和周波とレーザ光との重なり合いを抑制することができる。
【0204】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子の少なくとも一部には、前記レーザ光を波長変換するための分極反転構造が形成され、前記レーザ光の集光位置は、前記レーザ光の入射側の端面から前記高調波の出射側の端面までの前記波長変換素子の長さ方向において、前記分極反転構造の中央位置よりもレーザ光源寄りに設定されていることが好ましい。
【0205】
この構成によれば、波長変換素子内のレーザ光の光路の集光位置の手前の光路よりも先の光路を長くすることができるので、波長変換素子内で発生する和周波に吸収されるレーザ光の光量を少なくすることができ、その結果、波長変換素子の発熱量をより効果的に抑制することができる。
【0206】
つまり、前記集光位置よりも若干先の範囲で前記和周波の光強度が最も大きくなる一方、レーザ光の単位面積当たりの光強度は、前記集光位置から遠ざかるに従い小さくなる。そして、前記構成では、分極反転構造の中央位置よりも手前側に集光位置が設定されているので、レーザ光の集光位置を前記分極反転構造の中央位置に設定した場合と比較して、集光位置よりも先の範囲におけるレーザ光の光強度を大幅に小さくすることができる結果、和周波とレーザ光との重なり合いをより確実に抑制することができ、和周波による高調波の吸収を大幅に低減することができる。
【0207】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光の集光位置付近の範囲と前記集光位置よりも先の範囲とで個別に前記波長変換素子の温度を調整可能な温度調整部材をさらに備えていることが好ましい。
【0208】
前記構成によれば、集光位置付近の範囲と集光位置よりも先の範囲とで波長変換素子を個別に温度調整することができるので、波長変換効率をより向上することができる。
【0209】
つまり、集光位置よりも先の範囲において和周波に高調波が吸収されると、波長変換素子が発熱し、この発熱の影響により分極反転構造の位相整合条件が乱されることがあるが、前記構成では、集光位置よりも先の範囲について波長変換素子の温度調整を行うことができるため、位相整合条件を適切なものに維持することができる。一方、集光位置付近の範囲については、基本波の光強度が最も高くなるため、波長変換に適した温度となるように波長変換素子の温度を適宜調整することができる。
【0210】
前記レーザ波長変換装置において、前記分極反転構造は、前記レーザ光の集光位置付近の範囲よりも前記集光位置の先の範囲の方が分極反転周期が短く設定されていることが好ましい。
【0211】
この構成によれば、レーザ光の集光位置よりも先の範囲について、分極反転構造の周期を波長変換に適した周期とすることができるので、波長変換の効率を向上することができる。つまり、前記集光位置よりも先の範囲においては、分極反転構造に対してレーザ光の波面が傾くことに起因して位相整合周期が短くなるが、前記構成では、集光位置よりも先の範囲について分極斑点周期が短くされているので、波長変換を効率的に行うことができる。
【0212】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光源は、前記レーザ光をパルス発振することが好ましい。
【0213】
この構成によれば、レーザ光源から連続波としてレーザ光を発信する場合と比較して、平均出力が低い場合でもピーク光強度を高くすることができるので、高調波の変換効率を高くすることができる。したがって、この構成によれば、レーザ光の集光条件を最適集光条件と異なるものとすることにより、波長変換素子の破壊を抑制しつつ、パルスレーザを発振することにより高調波の出力を向上することができる。
【0214】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子の長さ寸法を30mmとした場合にレーザ光の集光位置におけるビーム半径を30μmとし、波長変換素子の長さ寸法を26mmとした場合にレーザ光の集光位置におけるビーム半径を25μmとすることができる。
【0215】
前記レーザ波長変換装置において、前記波長変換素子として、酸化マグネシウムをドープしたニオブ酸リチウム、または、タンタル酸リチウムに対して、擬似位相整合のための周期的分極反転構造を形成した波長変換素子を採用することができる。
【0216】
前記レーザ波長変換装置において、高調波を平均出力2W以上生成するように構成することができる。
【0217】
前記レーザ波長変換装置において、450nmから2000nmの波長を有するレーザ光を前記波長変換素子に入射して短波長化を行うように構成することができる。
【0218】
前記レーザ波長変換装置において、前記レーザ光源として、YAGレーザ等の固体レーザ、または、Yb、Nd等の希土類が添加されたファイバを用いたファイバレーザを用いることができる。
【0219】
また、本発明の別の局面に係る画像表示装置は、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源を用いてスクリーン上に画像を形成する光学系とを備え、前記複数のレーザ光源は、少なくとも赤色の光ビームを出射する赤色レーザ光源、緑色の光ビームを出射する緑色レーザ光源及び青色の光ビームを出射する青色レーザ光源を含み、前記各レーザ光源のうちの少なくとも緑色レーザ光源は、前記レーザ波長変換装置を有する。
【0220】
さらに、本発明の別の局面に係る画像表示装置は、液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを背面側から照明するバックライト照明装置とを備え、前記バックライト照明装置は、少なくとも赤色の光ビームを出射する赤色レーザ光源、緑色の光ビームを出射する緑色レーザ光源及び青色の光ビームを出射する青色レーザ光源を含み、前記各レーザ光源のうちの少なくとも緑色レーザ光源は、前記レーザ波長変換装置を有する。
【産業上の利用可能性】
【0221】
本発明に係る構成を用いることにより、分極反転構造をもつ非線形結晶から、高出力の第2高調波を高い効率で得ることが可能である。また、緑色の第2高調波を出力する場合、コンパクトな緑色レーザ光源を実現可能となるため、コンパクトで、かつ、高出力の光源が要求される、液晶テレビのバックライト、プロジェクションテレビ、プロジェクタなどに有用である。
Claims (18)
- レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源からのレーザ光を波長変換するための波長変換素子と、
前記レーザ光を集光するための集光部材とを備え、
前記波長変換素子の少なくとも一部には、前記レーザ光に位相整合するように形成された分極反転構造が形成され、
前記集光部材は、前記レーザ光の光軸方向と平行する前記分極反転構造の前記長さ方向の中央位置よりも前記レーザ光源寄りに前記レーザ光を集光させるように構成され、
前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端部からの距離が、前記分極反転構造の長さ方向の寸法の40%以下となる前記分極反転構造の内側位置に前記レーザ光を集光させ、
前記集光部材は、前記レーザ光に対する前記波長変換素子の変換効率が最大となるNAの1.5倍以上のNAを有することを特徴とするレーザ波長変換装置。 - 前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端部からの距離が、前記分極反転構造の前記長さ方向の寸法の25%以下となる前記分極反転構造の内側位置に前記レーザ光を集光させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記集光部材は、前記レーザ光を略楕円型の範囲に集光するように構成され、
前記略楕円型の長軸の長さは、短軸の長さの1.1倍以上に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ波長変換装置。 - 前記集光部材は、非点隔差をもって前記レーザ光を集光させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記レーザ光源は、ビーム断面内における最大光強度が、同出力において前記レーザ光に対する前記波長変換素子の変換効率が最大となるガウシアンビームの光強度の0.9倍以下に設定されたレーザ光を出射するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記波長変換素子は、バルク型波長変換素子からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記レーザ光のM2は、1.2より大きいことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記波長変換素子を複数個有し、
前記各波長変換素子の少なくとも1つにおいて、前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端部からの距離が、前記レーザ光の光軸方向と平行する前記分極反転構造の長さ方向の寸法の40%以下となる前記分極反転構造の内側位置に前記レーザ光を集光させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ波長変換装置。 - 前記波長変換素子には、前記レーザ光の光路が複数設定され、
前記各光路の少なくとも1つにおいて、前記集光部材は、前記分極反転構造の入射側の端部からの距離が、前記レーザ光の光軸方向と平行する前記分極反転構造の長さ方向の寸法の40%以下となる前記分極反転構造の内側位置に前記レーザ光を集光させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ波長変換装置。 - 前記波長変換素子を挟んで配置された2枚の反射鏡をさらに備え、
前記複数の光路は、各反射鏡の間に設定され、
前記反射鏡のうちの少なくとも1枚は、前記レーザ光を集光しつつ反射するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のレーザ波長変換装置。 - 前記レーザ光の光強度は、前記レーザ光の集光位置よりも先の範囲において、複数個所に分布することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記レーザ光の光強度をドーナツ型に分布させるための分布部材をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記レーザ光の光強度は、前記レーザ光の集光位置よりも先の範囲において、複数個所に分布しており、
前記波長変換素子は、前記レーザ光源に向けて円錐型に突出する入射部を有し、
前記入射部は、前記入射部を介して前記波長変換素子に入射する前記レーザ光の光強度
をドーナツ型に分布させるとともに、前記レーザ光を前記波長変換素子内で集光させることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ波長変換装置。 - 前記レーザ光源を複数個備え、
前記レーザ光の光強度は、前記レーザ光の集光位置よりも先の範囲において、複数個所に分布しており、
前記各レーザ光源は、共通の波長を有するレーザ光をそれぞれ出射可能で、かつ、それぞれのレーザ光の光路が互いに前記波長変換素子内で交差するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ波長変換装置。 - 前記レーザ光源から出射したレーザ光を複数に分岐する分岐部材をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記レーザ光の集光位置付近の範囲と前記集光位置よりも先の範囲とで個別に前記波長変換素子の温度を調整可能な温度調整部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記分極反転構造は、前記レーザ光の集光位置付近の範囲よりも前記集光位置の先の範囲の方が分極反転周期が短く設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ波長変換装置。
- 前記レーザ光源は、前記レーザ光をパルス発振することを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載のレーザ波長変換装置。
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