JP5270944B2 - ポリエステル樹脂、ポリエステル水分散体及び被膜付きポリエステルフィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂、ポリエステル水分散体及び被膜付きポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂、このポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散させたポリエステル水分散体、並びにこのポリエステル水分散体が塗布成膜されている被膜付きポリエステルフィルムに関するものである。
包装材料、磁気カード、磁気テープ、磁気ディスク、印刷材料等に用いられるポリエステルフィルムとして、例えばポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステルやこれらの共重合体に、必要に応じて他の樹脂を混合したものを、溶融押出し成形した後、二軸延伸し、熱固定したものが用いられている。このようなポリエステルフィルムは、機械強度、耐熱性、耐薬品性等に優れている一方、配向性が高いことから塗料、接着剤、インク等を付着させにくいという問題がある。
そこで、従来、ポリエステルフィルムの表面にポリエステル樹脂の水分散体を塗布成膜した被膜を設けることで、塗料等の接着性を向上することが為されている。
ところで、近年、光学フィルム用途などにおいては、ポリエステルフィルムの表面に易接着性の被膜を形成して、これを屈折率の異なる他のフィルムと接合することが行われている。この場合、歪みの少ない光学フィルムを得るため、前記易接着性の被膜の屈折率を高くして基材となるPET等のポリエスエルフィルムとの間の屈折率差を小さくすることが求められるようになってきている。
そこで、本発明者らが研究したところ、2,6−ナフタレンジカルボン酸又はそのメチルエステルを含む多価カルボン酸成分と、ビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含むポリオール成分とを重合させて得られる被膜は、高い屈折率を有することが明らかとなった。尚、かかる被膜を形成することは、特許文献1に既に開示されている。
特開平10−110091号公報
しかし、上記のように2,6−ナフタレンジカルボン酸又はそのメチルエステルを含む多価カルボン酸成分と、ビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンを含むポリオール成分とを重合させたポリエステル樹脂は、高い屈折率を有するものの、水分散性が十分ではないという問題があった。このため、このようなポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散して水分散体を調製するためには、まずポリエステル樹脂をテトラヒドロフラン(THF)等の有毒性の高い溶媒中に分散させた後、水を含む他の水系溶媒を加えてから、THFを抽出して回収する必要が生じると共に、回収した有害なTHFの処理を行う必要が生じ、製造工程の煩雑化を招いてしまうという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、水分散体に調製してポリエステルフィルムの表面に塗布成膜して被膜を形成することによりこのポリエステルフィルムに対する塗料等の接着性を向上することができると共に、前記被膜の屈折率を向上することで特に光学フィルム用途に好適に利用することができ、且つ、水分散体に調製する際の水分散性を向上してTHF等の有毒な溶媒を使用する必要をなくすことができるポリエステル樹脂、このポリエステル樹脂にて調製されるポリエステル水分散体、前記ポリエステル水分散体をポリエステルフィルムの表面に塗布成膜して得られる被膜付きポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
請求項1に係るポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分とポリオール成分とを共重合させて成る。前記多価カルボン酸成分は2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を60〜95モル%、金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を10〜20モル%の範囲で含有する。前記ポリオール成分がビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を5〜40モル%の範囲で含有する。
上記多価カルボン酸成分とは、多価カルボン酸で構成される成分であって、この多価カルボン酸成分の一部又は全部が多価カルボン酸のエステル形成性誘導体であっても良い。多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とは、前記多価カルボン酸の無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、多価カルボン酸の誘導体であって、前記ポリオール成分と反応してエステルを形成するものをいう。
また、上記ポリオール成分とは、ポリオールで構成される成分であって、このポリオール成分の一部又は全部がポリオールのエステル形成性誘導体であっても良い。ポリオールのエステル形成性誘導体とは、前記ポリオールに対応するジアセテート化合物等のポリオールの誘導体であって、前記多価カルボン酸成分と反応してエステルを形成するものをいう。
この場合、多価カルボン酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていると共に、ポリオール成分にビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、高屈折率のポリエステル樹脂が得られる。また、多価カルボン酸成分中に金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、このポリエステル樹脂に、水系溶媒への良好な分散性を付与することができる。更にこのポリエステル樹脂にて形成される被膜は適度な接着性を有することとなる。
請求項に係るポリエステル水分散体は、請求項1又は2記載のポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散して成ることを特徴とする。このポリエステル水分散体は高屈折率のポリエステル樹脂を直接水系溶媒に溶解若しくは分散させて調製することが可能である。
請求項に係る被膜付きポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一面に請求項に記載のポリエステル水分散体を塗布成膜して成ることを特徴とする。このポリエステル水分散体にて形成される被膜は高屈折率且つ適度な接着性を有する。
本発明によれば、高屈折率、且つ水分散性に優れたポリエステル樹脂を得ることができる。また、このポリエステル樹脂の水分散体を調製する際にテトラヒドロフラン等の有毒な溶剤への予備分散を不要とすることができて環境悪化の問題が生じないようにすることができる。また、このポリエステル水分散体をポリエステルフィルムに塗布成膜することで高屈折率な易接着性の被膜を形成し、特に光学フィルム用途に好適な被膜付きポリエステルフィルムを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明に係るポリエステル樹脂は、ジカルボン酸等の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体からなる多価カルボン酸成分と、ジオール等のポリオールからなるポリオール成分とを共重合させて得られる。
ここで、上記多価カルボン酸成分とは、多価カルボン酸で構成される成分であって、この多価カルボン酸成分の一部又は全部が多価カルボン酸のエステル形成性誘導体であっても良い。多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とは、前記多価カルボン酸の無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、多価カルボン酸の誘導体であって、前記ポリオール成分と反応してエステルを形成するものをいう。
また、上記ポリオール成分とは、ポリオールで構成される成分であって、このポリオール成分の一部又は全部がポリオールのエステル形成性誘導体であっても良い。ポリオールのエステル形成性誘導体とは、前記ポリオールに対応するジアセテート化合物等のポリオールの誘導体であって、前記多価カルボン酸成分と反応してエステルを形成するものをいう。
まず、ポリエステル樹脂の第一の実施形態を説明する。
本実施形態では、多価カルボン酸成分は、必須成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分とを含有する。
金属スルホネート基を有するジカルボン酸としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。ポリエステル樹脂に良好な水分散もしくは水溶性を付与するためには、アルカリ金属がナトリウム又はカリウムであることが好ましい。金属スルホネート基を有するジカルボン酸としては、特に5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩(イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム)が好ましい。
この多価カルボン酸成分中の2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は60〜95モル%の範囲、金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は5〜20モル%の範囲となるようにする。
また、この多価カルボン酸成分には、上記以外の他の多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体が含有されていても良い。前記他の多価カルボン酸の一例としては、テレフタル酸が挙げられる。このとき多価カルボン酸成分中のテレフタル酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は、35モル%以下の範囲で適宜設定される。
また、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体以外の他の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、これらのエステル形成性誘導体等を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては例えば直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸等を挙げることができる。これらの他の多価カルボン酸成分は、一種若しくは二種以上を併せて使用することができる。
また、ポリオール成分は、必須成分としてビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を含有する。
上記ポリオール成分中のビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は5〜40モル%の範囲とする。
また、このポリオール成分中には、上記以外の他のポリオール成分が含有される。前記他のポリオール成分の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。また、トリオール以上のポリオール(トリメチロールプロパン、グリセリン等)及びこれらのエステル形成性誘導体もポリエステル樹脂の水分散性や塗布性能に影響を与えない範囲で使用可能である。ポリオール成分としてエチレングリコールやそのエステル形成性誘導体が用いられる場合には、ポリエステル樹脂にて形成される被膜の耐ブロッキング性を向上することができる。このときエチレングリコールとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分はポリオール成分中に30〜80モル%の範囲で含有させることができる。前記含有量が80モル%を超えるとポリエステル樹脂の屈折率を充分に向上することが困難になるおそれがある。また、ポリオール成分中にジエチレングリコールとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を含有させる場合には、その含有量は5モル%以下であることが好ましい。前記含有量が5モル%を超えるとポリエステル樹脂にて形成される被膜の耐ブロッキング性や耐熱性等が低下するおそれがある。
また、エチレングリコール及びジエチレングリコール以外の他のポリオールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール;プロピレングリコール及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール;1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4'−ジヒドロキシビフェノール、4,4'−メチレンジフェノール、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS等を挙げることができる。これらグリコール成分や、そのエステル形成性誘導体は、1種もしくは2種以上を併せて使用することができる。
上記のような多価カルボン酸成分とポリオール成分とを共重合させて得られるポリエステル樹脂では、多価カルボン酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていると共に、ポリオール成分にビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、高屈折率のポリエステル樹脂となり、更に、多価カルボン酸成分中に5−スルホイソフタル酸ナトリウムとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、このポリエステル樹脂に水系溶媒への良好な分散性を付与することができる。
ここで、多価カルボン酸成分における2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が60モル%に満たないとポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、また95モル%を超えるとポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散せしめることが困難となる。
またポリオール成分におけるビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が5モル%に満たないとポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、40モル%を超えるとポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散せしめることが困難となる。
また、多価カルボン酸成分中における金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が5モル%に満たないとポリエステル樹脂の水系溶媒への分散性が悪化し、またこの含有量が20モル%を超えるとポリエステル樹脂にて形成される被膜の親水性があまりに強くなり取扱性が悪化したり吸湿してブロッキングが発生易くなるという問題が生じる。またこのようにポリエステル樹脂の良好な水分散性を確保すると共に被膜のブロッキングを十分に抑制するためには、前記含有量は特に10〜20モル%とすることが好ましく、更に10〜15モル%とすることが好ましい。
次に、ポリエステル樹脂の第二の実施形態(参考形態)を説明する。
本実施形態では、多価カルボン酸成分は、必須成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分とを含有する。
上記三価以上の多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸等や、これらのエステル形成性誘導体が挙げられる。ポリエステル樹脂の三次元架橋をできるだけ防止し、重縮合反応後においてもカルボキシル基を有効に残存させるためには、これらの中でも、無水トリメリット酸、ピロメリット酸無水物を用いるのが好ましい。
多価カルボン酸成分中の2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は60〜90モル%の範囲、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は10〜30モル%の範囲となるようにする。
また、この多価カルボン酸成分には、上記以外の他の多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体が含有されていても良い。前記他の多価カルボン酸の一例としては、テレフタル酸が挙げられる。このとき多価カルボン酸成分中のテレフタル酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は、35モル%以下の範囲で適宜設定される。
また、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外の他の多価カルボン酸やそのエステルとしては、コハク酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等のような、ポリエステル樹脂の重縮合に使用されている公知のジカルボン酸や、そのエステル形成性誘導体を挙げることができる。
また、ポリオール成分としては、第一の実施形態と同様のものが用いられる。
上記のような多価カルボン酸成分とポリオール成分とを共重合させて得られるポリエステル樹脂では、多価カルボン酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていると共に、ポリオール成分にビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、高屈折率のポリエステル樹脂となり、更に、多価カルボン酸成分中に三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、このポリエステル樹脂の水系溶媒への良好な分散性を付与することができる。このような水分散性の向上は、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分によってポリエステル樹脂にカルボキシル基が付与されることで達成される。
ここで、多価カルボン酸成分における2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が60モル%に満たないとポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、また90モル%を超えるとポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散せしめることが困難となる。
またポリオール成分におけるビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が5モル%に満たないとポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、40モル%を超えるとポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散せしめることが困難となる。
また、多価カルボン酸成分中における三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が10モル%に満たないとポリエステル樹脂の水系溶媒への分散性が悪化し、またこの含有量が30モル%を超えるとポリエステル樹脂にて形成される被膜の吸湿性があまりに強くなり取扱性が悪化したりブロッキングが発生し易くなるという問題が生じる。
次に、ポリエステル樹脂の第三の実施形態(参考形態)を説明する。
本実施形態では、多価カルボン酸成分は、必須成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分とを含有する。この多価カルボン酸成分中の2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は60〜95モル%の範囲、金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は20モル%以下の範囲、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は30モル%未満の範囲となるようにし、更に金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分との総量が、多価カルボン酸成分全量に対して5〜30モル%の範囲となるようにする。
また、この多価カルボン酸成分には、上記以外の他の多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体が含有されていても良い。前記他の多価カルボン酸の一例としては、テレフタル酸が挙げられる。このとき多価カルボン酸成分中のテレフタル酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は、35モル%以下の範囲で適宜設定される。
また、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外の他の多価カルボン酸やそのエステル形成性誘導体としては、コハク酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸等のような、ポリエステル樹脂の重縮合に使用されている公知のジカルボン酸や、そのエステル形成性誘導体を挙げることができる。
また、ポリオール成分としては、第一の実施形態と同様のものが用いられる。
上記のような多価カルボン酸成分とポリオール成分とを共重合させて得られるポリエステル樹脂では、多価カルボン酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていると共に、ポリオール成分にビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分が上記含有量で含有されていることから、高屈折率のポリエステル樹脂となり、更に、多価カルボン酸成分中に金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分とが上記含有量で含有されていることから、このポリエステル樹脂の水系溶媒への良好な分散性を付与することができる。
ここで、多価カルボン酸成分における2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が60モル%に満たないとポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、また95モル%を超えるとポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散せしめることが困難となる。
またポリオール成分におけるビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が5モル%に満たないとポリエステル樹脂に高い屈折率を付与することが困難となり、40モル%を超えるとポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散せしめることが困難となる。
また、多価カルボン酸成分中における金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分と、三価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分との含有量の総量が5モル%に満たないとポリエステル樹脂の水系溶媒への分散性が悪化し、またこの含有量の総量が30モル%を超える場合、或いは金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量が20モル%を超える場合には、ポリエステル樹脂にて形成される被膜の吸湿性が強くなり取扱性が悪化したりブロッキングが発生しやすくなるという問題が生じる。
ここで、上記のように2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を含む多価カルボン酸成分と、ビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を含むポリオール成分とを重合させると、ポリエステル樹脂の疎水性が強くなって水系溶媒に高分散させることが困難になるが、上記のように多価カルボン酸成分中に金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を含有させると共にその含有量を5〜20モル%とすることから、ポリエステル樹脂の水系溶媒への良好な分散性を維持することができる。このとき前記含有量が5モル%に満たないとポリエステル樹脂の水系溶媒への分散性が悪化する。この場合、水系溶媒に溶解若しくは分散させるためには有害なテトラヒドロフランを使用する必要が生じ、環境悪化等の問題が生じる。また前記含有量は多いほど水系溶媒への分散性を向上し得るが、この含有量が20モル%を超えるとポリエステル樹脂にて形成される被膜の吸湿性が強くなり取扱性が悪化するという問題が生じる。またこのようにポリエステル樹脂の良好な水分散性を確保すると共に被膜の吸湿性を十分に抑制するためには金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分の含有量は特に10〜20モル%とすることが好ましく、更に10〜15モル%とすることが好ましい。
上記のような多価カルボン酸成分とポリオール成分との共重合によるポリエステル樹脂の合成について説明する。
まず、所定量の多価カルボン酸成分とポリオール成分とを無溶媒で混合する。このとき、多価カルボン酸成分とポリオール成分との比率は1:1.4〜2.4とすることができ、特にモル比1:2であることが好ましい。
この混合物を適宜の反応器に仕込み、170〜250℃に加熱することにより、副生成物である水又はメタノールを留去しながら、エステル化反応又はエステル交換反応を進行させて、ジカルボン酸ジオールエステルを生成する
次に、250〜260℃に昇温すると共に反応器内を1mmHg(1.3hP)程度まで減圧し、副生成物であるジオールを回収しながら重縮合反応(減圧重縮合反応)を進行させる。
この反応に際しては、適宜のエステル化触媒、エステル交換触媒、重縮合触媒を添加することができ、例えばテトラブトキシチタンを用いることができる。またその他の安定剤等の種々の添加剤を用いても良い。このようにして、塊状のポリエステル樹脂が得られる。このポリエステル樹脂は、固有粘度が好ましくは0.1〜1.0、更に好ましくは0.1〜0.6の範囲となるようにするものであり、この場合、比較的容易に水分散化が可能となる。
このようにして得られたポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散させることにより、ポリエステル水分散体を得ることができる。前記水系溶媒としては水又は水に適宜の親水性有機溶媒を混合したものを挙げることができる。前記親水性有機溶媒としては、例えばアセトン、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、イソプロピルアルコール等の水と混合可能なものが挙げられるが、特にエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピルアルコールを用いることが好ましい。有機溶媒を用いる場合には、その水系溶媒全体に対する割合は適宜設定されるが、例えば0〜30質量%の範囲とすることができる。このとき、上記の通りポリエステル樹脂には優れた水分散性が付与されていることから、テトラヒドロフラン(THF)等の有害な溶媒を使用した予備分散を行うことなくすることなくポリエステル樹脂を水系溶媒全体中に充分に溶解若しくは分散させることができる。ただし、親水性有機溶媒としてTHFの使用を妨げるものではない。また、水系溶媒全体に対する親水性有機溶媒の割合も上記範囲に限定されるものではない。
また、このポリエステル水分散体には必要に応じてアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を添加することができる。この場合ポリエステル水分散体をポリエステルフィルムに塗布成膜する際のポリエステルフィルムへの濡れ性を向上することができる。界面活性剤としては適宜のものを用いることができるが、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第四級アンモニウムクロリド、アルキルアミン塩酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ塩等を挙げることができる。
また、このポリエステル水分散体には、更に必要に応じて耐電防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤等を添加しても良い。
このポリエステル分散体の固形分の濃度は、ポリエステル樹脂の良好な分散性を確保すると共に塗布成膜により良好な被膜を形成することができるように適宜調整されるが、例えば1〜30重量%の範囲となるようにする。
このようなポリエステル水分散体をポリエステルフィルムに塗布し、加熱乾燥することにより成膜して、被膜付きポリエステルフィルムを得ることができる。この被膜付きポリエステルフィルムには、更に延伸加工を施しても良い。
ポリエスエルフィルムとしては、従来公知の適宜のものを用いることができるが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらに他の共重合成分を共重合させたコポリマー等からなるフィルムを挙げることができる。このポリエステルフィルムは未延伸のものと、延伸したもののいずれでも良いが、延伸フィルムを用いることが好ましく、特に二軸延伸フィルムを用いることが望ましい。
このポリエステルフィルムは従来公知の適宜の手法で製造されたものを用いることができる。例えば原料となるポリエステルを溶融してシート状に押出し、冷却ドラムで冷却することにより、未延伸のポリエステルフィルムを得ることができる。
また、この未延伸のポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸した後、熱固定し、更に必要に応じて熱弛緩処理を施すことで一軸延伸フィルム又は二軸延伸フィルムを得ることができる。
ポリエステルフィルムへのポリエステル水分散体の塗布成膜には適宜の手法を採用し得る。このとき、例えば未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムの一面又は両面にポリエステル水分散体を、キスコート、リバースコート、グラビアコート、ダイコート等の適宜の手法で塗布し、加熱乾燥して成膜した後、このフィルムを延伸して二軸延伸フィルムとすることができる。また二次延伸フィルムにポリエステル水分散体を適宜の手法で塗布し、加熱乾燥して成膜することもできる。このときのポリエステル水分散体の塗布量は適宜設定されるが、例えば乾燥塗膜の厚みが好ましくは0.01〜5μm、特に好ましくは0.01〜2μm、更に好ましくは0.01〜0.3μmの範囲となるようにする。
このようにして得られる被膜付きポリエステルフィルムは、接着力が高く、耐熱性、耐水性、耐ブロッキング性に優れ、磁気カード、磁気テープ、磁気ディスク、印刷材料、グラフィック材料、感光材料等に用いることができ、特に光学フィルム用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳述する。
〔実施例1〜1,参考例1〜、比較例1〜8〕
(1)ポリエステル樹脂の製造
各実施例、参考例及び比較例につき、多価カルボン酸成分及びポリオール成分として表1〜3に示すものを用いた。表1〜3に示す多価カルボン酸成分及びポリオール成分は、次の通りである。
・多価カルボン酸成分
NDCM;2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
SIPM;5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム
TMA;無水トリメリット酸
DMT;テレフタル酸ジメチル
DMI;イソフタル酸ジメチル
・ポリオール成分
BPEF;ビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
EG;エチレングリコール
DEG;ジエチレングリコール
1,4−BG;1,4-ブチレングリコール
これらの多価カルボン酸成分及びポリオール成分を1:2のモル比で混合してエステル交換反応器に仕込み、これにシュウ酸チタニウムカリ0.06部を添加して窒素雰囲気下で250℃まで昇温することにより、エステル交換反応生成を進行させると共に副生成物であるメタノールを留去した。
次いで、反応器内の温度を255〜260℃まで昇温させると圧力を1mmHg(1.3hPa)まで減圧して、重縮合反応を進行させると共に副生成物であるジオールを回収し、表1〜3に示す固有粘度を有するポリエステル樹脂を得た。
(2)ポリエステル水分散体の調製
上記ポリエステル樹脂を、水と親水性溶媒(エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル)とを表1に示す割合で混合した水系溶媒中に溶解若しくは分散させて、表1に示す固形分濃度を有するポリエステル水分散体を得た。
(3)被膜付きポリエステルフィルムの製造
厚み100μmのポリエステルフィルムの片面に上記ポリエステル水分散体を乾燥後の被膜が1.2μmとなるように塗布した後、80℃で10分間加熱して乾燥した。これにより総厚101.2μmの被膜付きポリエステルフィルムを得た。
〔溶解性評価〕
各実施例、参考例及び比較例においてポリエステル水分散体を調製するにあたり、ポリエステル樹脂が水系溶媒中に充分に溶解若しくは分散した場合を○、ポリエステル樹脂が水系溶媒中に溶解若しくは分散せず、ポリエステル水分散体を調製することができなかった場合を×と評価した。
〔屈折率評価〕
各実施例、参考例及び比較例で得られた被膜付きポリエステルフィルムの被膜の屈折率を、メトリコン社製のプリズムカプラ(Model 2010)を用いて測定した。
〔酸価測定〕
実施例1、参考例及び比較例6〜8について、生成したポリエステル樹脂の酸価をJIS K0070に準拠して測定した。
〔耐ブロッキング性〕
被膜付きポリエステルフィルムを5cm角にカットしたものを10枚積み重ね、その上に98kPa(1kg/cm2)の加重をかけて温度25℃、湿度70%の環境で1日放置した後、被膜のブロッキング状態を確認した。その結果、フィルム間の接着が全く生じていないものを○、フィルム間で若干の接着が生じているものを△、半数以上のフィルム間で接着が生じているものを×と評価した。
Figure 0005270944
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上記の結果に示すように、実施例及び参考例ではポリエステル水分散体中でポリエステル樹脂が分散性良く溶解し、またこのポリエステル樹脂で形成された被膜は高い屈折率を有するものであった。またこれらのポリエステル樹脂で形成された被膜は耐ブロッキング性が良好なものであった。
一方、各比較例のものでも、ポリエステル水分散体を調製することができたものについては良好な被膜を形成することができた。
しかしながら、多価カルボン酸成分として5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを使用すると共に無水トリメリット酸を使用していない比較例1〜のうち、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルが過少である比較例1、及びビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが含有されない比較例では、被膜の屈折率が低くなった。
また、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルが過剰で且つ5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムが過少な比較例2、ビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが過剰な比較例、及び無水トリメリット酸が過少な比較例では、ポリエステル樹脂が水系溶媒に溶解せず、ポリエステル水分散体が調製できなかった。
また、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムが過剰な比較例3では、ポリエステル樹脂の水系溶媒への分散性は良好で、且つ被膜の屈折率も低くはないが、被膜にブロッキングが発生してしまった。
また、多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用している比較例のうち、無水トリメリット酸が過少な比較例、及び5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムと無水トリメリット酸の総量が過少な比較例では、ポリエステル樹脂が水系溶媒に溶解せず、ポリエステル水分散体が調製できなかった。
また、無水トリメリット酸が過剰な比較例では被膜の屈折率が低くなった。また、この比較例で形成される被膜は耐水性が低く、吸湿しやすいものであり、室温での経時変化でブロッキングが発生しやすいものであった。

Claims (4)

  1. 多価カルボン酸成分とポリオール成分とを共重合させて成るポリエステル樹脂であって、
    前記多価カルボン酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を60〜95モル%、金属スルホネート基を有するジカルボン酸とそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を10〜20モル%の範囲で含有し、
    前記ポリオール成分がビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンとそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を5〜40モル%の範囲で含有する
    ことを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 前記多価カルボン酸成分が、三価以上の多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一方からなる成分を更に含有する請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. 請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂を水系溶媒に溶解若しくは分散して成ることを特徴とするポリエステル水分散体。
  4. ポリエステルフィルムの少なくとも一面に請求項3に記載のポリエステル水分散体を塗布成膜して成ることを特徴とする被膜付きポリエステルフィルム。
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