JP5572000B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明はポリエステル樹脂組成物に関する。
樹脂製の基材や紙製の基材に、塗装、表面保護、反射性の調整等の種々の目的のためにコート層が設けられることがある。この場合、コート層の密着性確保のために、予め基材の上にアンカーコート層が形成されることがある。
例えば特許文献1には、種々の被覆物の接着性を向上するための塗布剤が開示されている。この塗布剤は、テレフタル酸がジカルボン酸成分の25モル%以上あり、構造中にポリオキシアルキレングリコ−ルを含む結晶性の水性ポリエステル樹脂と、ポリオキシアルキレングリコ−ルを含む非晶性の水性ポリエステルの存在下にエポキシ基を含有する重合性単量体を重合させて得られた複合樹脂とからなる。
特開2002−371231号公報
しかし、特許文献1に記載されているような従来のアンカーコート剤では、特にアクリル樹脂等の紫外線硬化性樹脂を含有するコート剤から形成されるコート層の密着性が十分に向上されないという問題がある。
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、紫外線硬化性樹脂から形成される層と基材との間に介在して紫外線硬化性樹脂から形成される層の密着性を向上させることができるポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、エステル形成性官能基を有する化合物からなる反応性原料のエステル化反応によって生成するポリエステル樹脂を含有し、前記反応性原料にアクリル系重合体が含まれている。本発明では、アクリル系重合体が、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基及びアルコキシシリル基から選択される1又は2個のみの官能基を有する。
本発明においては、前記アクリル系重合体の分子量が、500〜20000の範囲であることが好ましい。
本発明においては、前記反応性原料中の前記アクリル系重合体の量が、前記反応性原料から生成される前記ポリエステル樹脂全量に対して、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、更に水系溶媒を含有し、且つ前記反応性原料に、水溶性付与成分が含まれていてもよい。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、更に非水系溶媒を含有してもよい。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物によれば、このポリエステル樹脂組成物から形成される層が、紫外線硬化性樹脂から形成される層と基材との間に介在することで、紫外線硬化性樹脂から形成される層の密着性を向上させることができる。
本実施形態におけるポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂を含有する。ポリエステル樹脂は、エステル形成性官能基を有する化合物からなる反応性原料の重合反応により生成する。エステル形成性官能基とは、カルボキシル基又はヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する官能基を意味する。エステル形成性官能基には、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基のエステル形成性誘導基及びヒドロキシル基のエステル形成性誘導基が含まれる。カルボキシル基のエステル形成性誘導基とは、カルボキシル基が無水物化、エステル化、酸クロライド化、ハロゲン化されて誘導されたものであって、ヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する基である。ヒドロキシル基のエステル形成性誘導基とは、ヒドロキシル基がアセテート化されるなどして誘導されたものであって、他のカルボキシル基と反応してエステル結合を形成する基である。特にエステル形成性官能基が、カルボキシル基又はヒドロキシル基である場合には、ポリエステル樹脂の製造時の反応性が良好となる点で好ましい。
反応性原料には、例えば多価カルボン酸成分とグリコール成分とが含まれる。
多価カルボン酸成分は、二価以上の多価カルボン酸と、多価カルボン酸中のカルボキシル基がカルボキシル基から誘導されるエステル形成性誘導基に置換されたエステル形成性誘導体とからなる群から選択される、一種以上の化合物を含む。
多価カルボン酸としては、例えば芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては例えば直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸等が挙げられる。
多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体は一種単独で使用され、或いは複数種が併用される。これらの多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体のうち、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、並びにコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類は、反応の容易性、得られる樹脂の耐候性、耐久性等の点から好適に使用される。特に多価カルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸類のみが用いられ、或いは芳香族ジカルボン酸類が多価カルボン酸成分の主成分であることが最適である。
グリコール成分は、グリコールと、グリコール中のヒドロキシル基がヒドロキシル基から誘導されるエステル形成性誘導基に置換されたエステル形成性誘導体とからなる群から選択される、一種以上の化合物を含む。
グリコールとしては、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール、並びにプロピレングリコール及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS等が挙げられる。これらのグリコール及びそのエステル形成性誘導体は一種単独で使用され、或いは複数種が併用される。
特に、エチレングリコール;ジエチレングリコール;1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類;1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール類;ネオペンチルグリコール;ビスフェノールA等のグリコール;及びこれらのグリコールのエステル形成性誘導体が、反応の容易性、得られる樹脂の耐久性等の点から、好適に使用される。
反応性原料は、アクリル系重合体を必須成分として含有する。このアクリル系重合体としては、エステル形成性官能基を有する、アクリル系化合物のポリマーやオリゴマー等が挙げられる。アクリル系重合体は、特に一分子中に官能基を1又は2個有することが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂の不必要な架橋が抑制される。このアクリル系重合体が有する官能基としては、水酸基(−OH),カルボキシル基(−COOH),グリシジル基(−CHCHO),アルコキシシリル基(−Si(OCH)などが挙げられる。
アクリル系重合体の重量平均分子量は、500〜20000の範囲であることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂生成時の重合反応性が良好となる。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションガスクロマトグラフィーにより測定される値である。
アクリル系重合体の使用量は、反応性原料から生成されるポリエステル樹脂全量に対して、0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。この化合物の使用量が0.1質量%以上であると、アンカーコート層とコート層との間の密着性が特に高くなる。またこの使用量が10質量%以下であると、アンカーコート層と基材との密着性が高くなり、特にポリエステル樹脂製の基材との密着性が高くなり、その結果、基材からのコート層の剥離が効果的に抑制される。
アクリル系重合体の具体例としては、綜研化学株式会社製のアクトフローCBIB−1013、アクトフローUTIB−1013、アクトフローUME−2005、アクトフローNE−1000、アクトフローBGV−100Tなどが挙げられる。
水性のポリエステル樹脂組成物を得るためには、反応性原料に水溶性付与成分が含まれていることが好ましい。この水溶性付与成分が、他の反応性原料と反応して、ポリエステル樹脂の骨格構造の一部を構成すると、ポリエステル樹脂の骨格中に水溶性付与成分に起因するイオン性の極性基などの親水性の基が付与される。これにより、ポリエステル樹脂が水性化し、水系溶媒に分散又は溶解可能となる。尚、非水性のポリエステル樹脂組成物を得る場合に、このポリエステル樹脂組成物中でポリエステル樹脂が有機溶媒に分散或いは溶解するのであれば、反応性原料に水溶性付与成分が含まれていてもよい。水溶性付与成分に含まれる化合物は、同時に多価カルボン酸成分、グリコール成分のいずれかに含まれる化合物であってもよい。
水溶性付与成分と多価カルボン酸成分とに含まれる化合物として、金属スルホネート基を有するジカルボン酸、三塩基酸無水物や四塩基酸無水物等の三価以上の多価カルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
金属スルホネート基を有するジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体(以下、総称して金属スルホネート基を有するジカルボン酸等という)としては、例えば5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩並びにこれらのエステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のエステル形成性誘導体が挙げられる。ポリエステル樹脂に良好な水分散性又は水溶性が付与されるためには、前記アルカリ金属がナトリウム、カリウム又はリチウムであることが好ましい。
水溶性付与成分が金属スルホネート基を有するジカルボン酸等を含む場合には、ポリエステル樹脂中に金属スルホネート基が有効に残存し、ポリエステル樹脂に優れた親水性が付与される。特に5−ソジウムスルホイソフタル酸又はそのエステル(例えば5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸)が用いられると、ポリエステル樹脂中にスルホン酸ナトリウム基が有効に残存し、ポリエステル樹脂に優れた親水性が付与される。
水溶性付与成分が三価以上の多価カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体(以下、総称して三価以上の多価カルボン酸等という)を含むことも好ましい。縮合反応又は重縮合反応によりポリエステル樹脂が調製される際に、三価以上の多価カルボン酸等に起因するカルボキシル基が樹脂骨格中に残存する状態で反応が終了した後、この残存カルボキシル基が、例えばアンモニア、アルカノールアミン、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和されると、ポリエステル樹脂が水系溶媒に分散又は溶解可能となる。
三価以上の多価カルボン酸等としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸等の多価カルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも特に無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸並びにこれらのエステル形成性誘導体が使用されると、ポリエステル樹脂の三次元架橋が充分に抑制され、ポリエステル樹脂中にカルボキシル基が有効に残存する。
水溶性付与成分が、三価以上の多価カルボン酸等、特に三塩基酸無水物、四塩基酸無水物及びそのエステル形成性誘導体のうち少なくとも一種を含む場合には、ポリエステル樹脂中にカルボキシル基が有効に残存し、ポリエステル樹脂に優れた親水性が付与される。
水溶性付与成分は、上記の三価以上の多価カルボン酸等、金属スルホネート基を有するジカルボン酸等のうち、一種のみを含んでもよく、或いは二種以上を含んでもよい。
水溶性付与成分と多価カルボン酸成分とに含まれる化合物の使用量は、多価カルボン酸成分全量に対して1〜60モル%の範囲であることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂に特に優れた親水性が付与されると共に、良好な樹脂強度が維持される。前記使用量が特に2〜40モル%の範囲であれば、ポリエステル樹脂組成物から形成される皮膜に特に高い難燃性、耐久性等が付与される。
水溶性付与成分が金属スルホネート基を有するジカルボン酸等を含む場合、金属スルホネート基を有するジカルボン酸等の使用量は多価カルボン酸成分全量に対して1〜60モル%の範囲であることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂の樹脂強度が特に向上して引張破壊強さなどが向上し、また、ポリエステル樹脂組成物から形成される皮膜に特に良好な耐水性、耐久性が付与される。特に、金属スルホネート基を有するジカルボン酸が、5−ソジウムスルホイソフタル酸及びそのエステル形成性誘導体から選択される一種以上である場合、この5−ソジウムスルホイソフタル酸及びそのエステル形成性誘導体の使用量の総量は、多価カルボン酸成分全量に対して1〜60モル%の範囲であることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂中にスルホン酸ナトリウム基が充分に残存し、ポリエステル樹脂に優れた水分散性若しくは水溶性が付与される。更にこの5−ソジウムスルホイソフタル酸及びそのエステル形成性誘導体の使用量の総量が1〜30モル%の範囲であれば、特に優れた効果が得られる。
水溶性付与成分が三価以上の多価カルボン酸等を含む場合、三価以上の多価カルボン酸等の使用量は、多価カルボン酸成分全量に対して1〜60モル%の範囲であることが好ましい。この場合、不必要な架橋反応が排除されるような重合条件下でポリエステル樹脂が製造される場合において、充分な重合度と水分散性若しくは水溶性とを有するポリエステル樹脂が得られる。水溶性付与成分として三価以上の多価カルボン酸等のみが使用される場合は、三価以上の多価カルボン酸等の使用量は、多価カルボン酸成分全量に対して5〜40モル%の範囲であることが好ましい。
特に三価以上の多価カルボン酸等として三塩基酸、四塩基酸及びこれらのエステル形成性誘導体から選択される化合物が用いられる場合は、この三塩基酸、四塩基酸及びこれらのエステル形成性誘導体の使用量の総量が、多価カルボン酸成分全量に対して1〜60モル%の範囲であることが好ましい。この場合、ポリエステル樹脂中にカルボキシル基が充分に残存し、ポリエステル樹脂に優れた水分散性若しくは水溶性が付与される。更にこの三塩基酸、四塩基酸及びこれらのエステル形成性誘導体の使用量の総量が1〜30モル%の範囲であると、特に優れた効果が得られる。
反応性原料には、反応性リン含有化合物が含まれていてもよい。反応性リン含有化合物は、ポリエステル樹脂の骨格構造の一部を構成することにより、ポリエステル樹脂の骨格中にリン原子を付与する。これによりポリエステル樹脂の難燃性が向上する。
反応性リン含有化合物は、特に一分子中にエステル形成性官能基を1又は2個有することが好ましい。反応性リン含有化合物がエステル形成性官能基を2個有する場合は、2個のエステル形成性官能基が共にカルボキシル基であり、或いは共にヒドロキシル基であることが好ましい。
反応性原料に含まれる各化合物の使用量は、各化合物に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、ヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比率で1:1〜2.5の範囲となるように調整されることが好ましい。
反応性原料には、分子量を調整するために、適宜の量の公知の多官能性化合物、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジメチロールブタン酸、3官能性カルボン酸などが含まれていてもよい。特に反応性リン含有化合物中の官能基(エステル形成性官能基)の数が1個である場合には、この反応性リン含有化合物が末端停止剤として作用するおそれがあるため、前記の多官能性化合物が適宜併用されることが好ましい。
更に、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、1価の脂肪族アルコール等が併せて用いられてもよい。
ポリエステル樹脂は、反応性原料から、公知のポリエステル製造方法により生成される。例えば多価カルボン酸とグリコールとを一段階の反応で反応させる直接エステル化反応によりポリエステル樹脂が生成する。
多価カルボン酸成分に多価カルボン酸のエステル形成性誘導体が含まれ、グリコール成分にグリコールが含まれる場合には、多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル交換反応である第一段反応と、前記第一段反応による反応生成物が重縮合する第二段反応とを経て、ポリエステル樹脂が製造されてもよい。第一段反応においては、反応系中に反応性原料全てが最初から含まれていてもよく、アクリル系重合体、反応性リン含有化合物等がエステル重縮合反応時に反応系に添加されてもよい。一括仕込みの場合には、例えば反応系が窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、常圧条件下で、150〜260℃まで徐々に昇温加熱されることでエステル交換反応が進行する。第二段反応は、例えば6.7hPa(5mmHg)以下の減圧下、160〜280℃の温度範囲内で進行する。
第一段反応及び第二段反応において、任意の時期に反応系中に触媒として、従来公知のチタン、アンチモン、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、アルカリ金属化合物等が添加されてもよい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は5000〜50000の範囲であることが好ましい。この数平均分子量が5000以上であれば、ポリエステル樹脂の耐久性及び耐水性が特に優れたものとなり、また、耐加水分解性の向上にも充分な効果を発揮する。また、数平均分子量が50000以下であることで、ポリエステル樹脂組成物の溶液安定性が高く維持される。
ポリエステル樹脂の固有粘度は0.05〜1.0の範囲が好ましい。この場合、ポリエステル樹脂組成物に優れた難燃性、耐久性及び耐水性が付与されると共に、長期保存安定性が向上する。前記固有粘度が0.12〜0.9の範囲であれば、特に優れた効果が得られる。前記固有粘度が0.2〜0.9の範囲であれば、最適な効果が得られる。
このようにして得られるポリエステル樹脂を溶媒に溶解又は分散させることで、ポリエステル樹脂組成物が得られる。ポリエステル樹脂が水系溶媒に溶解又は分散されると水性のポリエステル樹脂組成物が得られ、ポリエステル樹脂が有機溶剤に溶解又は分散されると非水性のポリエステル樹脂組成物が得られる。
水性のポリエステル樹脂組成物が調製される場合、水系溶媒は、水のみで構成される溶媒であってもよく、水と親水性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ及びブチルセロソルブ等のグリコールエーテル等、シクロヘキサノン等が例示される。上記の水と親水性有機溶媒との混合溶媒において、水と親水性有機溶媒の比率は特に限定されないが、ポリエステル樹脂組成物の安定性及び作業性環境の安全性等を考慮すれば、混合溶媒中の親水性有機溶媒の含有量は0.1〜50重量%の範囲であることが好ましい。
非水性のポリエステル樹脂組成物が調製される場合、有機溶剤に特に制限はないが、例えばトルエン、メチルエチルケトンなどが単独で用いられ、或いは併用される。
ポリエステル樹脂組成物中の溶媒の含有量は適宜調整されるが、溶液の安定性維持及び良好な作業性確保の観点からは、20〜99質量%の範囲であることが好ましい。
このポリエステル樹脂組成物は、アンカーコート層を形成するためのアンカーコート剤として好適である。このポリエステル樹脂組成物が適宜の基材上で成膜されることで、基材の上にアンカーコート層が形成される。基材の材質は特に制限されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製シート、ポリエチレンナフタレート(PEN)製シート等の、ポリエステル製のシート材又はフィルム材;紙;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等から形成された成形品等が、挙げられる。特にポリエステル樹脂製の基材が好ましい。
アンカーコート層は、例えば基材の上に事後的にポリエステル樹脂組成物が塗布成膜されることで形成される。また、例えば基材が成形される過程(例えばPET等のポリエステルが常法によりフィルム化される過程)のいずれかの段階で、基材の上にポリエステル樹脂組成物が塗布されてもよい。後者の場合、PETのフィルム化は、例えばPETの乾燥、溶融押し出し、未延伸シート化、二軸延伸、熱処理の各工程を経て行われるが、ポリエステル樹脂組成物は前記いずれかの工程で、例えば浸漬法、カーテンコート法、グラビアコート法、ワイヤーバー法、スプレーコート法、リバースコート法またはダイコート法等によりフィルム表面に塗布される。アンカーコート層の厚みや付着量などは適宜調整され、特に制限されないが、アンカーコート層とコート層とがインラインで形成される場合にはアンカーコート層の厚みが例えばnmオーダー以下に形成され、アンカーコート層とコート層とがオフライオンで形成される場合にはアンカーコート層の厚みが例えば0.1〜30μmの範囲に形成される。
このアンカーコート層の上に、紫外線硬化性樹脂を含有するコート剤が塗布され、更に露光されることで、コート層が形成される。紫外線硬化性樹脂としては、塗膜の形成のために一般的に使用されている紫外線硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。このようにアンカーコート層の上に形成されたコート層は、高い密着性を発揮する。
以下、具体的な実施例を提示する。尚、以下の記載における「部」及び「%」は、特に示さない限り、全て質量基準である。
〔実施例1〕
ジメチルテレフタル酸155.3部、ジメチルイソフタル酸29.1部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸14.8部、エチレングリコール99.3部、ジエチレングリコール21.2部、1,6−ヘキサンジオール23.6部、アクリル系重合体A(綜研化学株式会社製、品番アクトフローCBIB−1013、重量平均分子量10000、官能基種COOH、官能基数1)2.0部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製した。この溶液を常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した後、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液を260℃の温度下で徐々に減圧し、260℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で2時間保持することで重縮合反応を進行させ、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水260部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル40部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例2〕
ジメチルテレフタル酸144.7部、2,6−ナフタレンジメチルカルボン酸48.9部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸17.8部、エチレングリコール99.3部、1,4−ブタンジオール18.0部、ネオペンチルグリコール20.8部、アクリル系重合体B(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUTIB−1013、重量平均分子量10000、官能基種OH、官能基数1)16.8部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料から、実施例1と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水260部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル40部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例3〕
ジメチルテレフタル酸135.9部、ジメチルイソフタル酸19.4部、セバシン酸26.3部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸20.8部、エチレングリコール86.9部、1,6−ヘキサンジオール23.6部、ネオペンチルグリコール20.8部、シクロヘキサンジメタノール28.8部、アクリル系重合体B(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUTIB−1013、重量平均分子量10000、官能基種OH、官能基数1)2.0部、アクリル系重合体C(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUME−2005、重量平均分子量3000、官能基種OH、官能基数2)4.0部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料から、実施例1と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水270部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル30部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例4〕
ジメチルテレフタル酸106.8部、ジメチルイソフタル酸29.1部、エチレングリコール99.3部、1,4−ブタンジオール18.0部、1,6−ヘキサンジオール11.8部、ネオペンチルグリコール10.4部、アクリル系重合体C(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUME−2005、重量平均分子量3000、官能基種OH、官能基数2)9.7部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製した。この溶液を常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した後、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液に無水トリメリット酸28.8部を添加し、更に250℃の温度下で徐々に減圧し、250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で30分間保持することで重縮合反応を進行させ、酸価53.5mgKOH/gのポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水274.5部、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル20部、及び濃度25%のアンモニア水5.5部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例5〕
ジメチルテレフタル酸116.5部、ジメチルイソフタル酸29.1部、セバシン酸20.2部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸14.8部、エチレングリコール86.9部、ジエチレングリコール10.6部、1,4−ブタンジオール18.0部、ネオペンチルグリコール20.8部、シクロヘキサンジメタノール14.4部、アクリル系重合体D(綜研化学株式会社製、品番アクトフローNE−1000、重量平均分子量3000、官能基種Si(OCH、官能基数1)4.0部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製した。この溶液を常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した後、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液に無水トリメリット酸19.2を添加し、更に250℃の温度下で徐々に減圧し、250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で30分間保持することで重縮合反応を進行させ、酸価30.8mgKOH/gのポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水276.8部、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル20部、及び濃度25%のアンモニア水3.2部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例6〕
実施例1において、ポリエステル樹脂を得るための原料におけるアクリル系重合体Aの量を0.1部とした。それ以外は実施例1と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水260部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル40部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例7〕
実施例2において、ポリエステル樹脂を得るための原料におけるアクリル系重合体Bの量を25.2部とした。それ以外は実施例2と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水260部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル40部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、ポリエステル樹脂を得るための原料から、アクリル系重合体Aを除いた。それ以外は実施例1と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水260部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル40部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔比較例2〕
実施例2において、ポリエステル樹脂を得るための原料から、アクリル系重合体Bを除いた。それ以外は実施例2と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水260部、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル40部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔比較例3〕
実施例4において、ポリエステル樹脂を得るための原料から、アクリル系重合体Cを除いた。それ以外は実施例4と同じ手法により、酸価54.7mgKOH/gのポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂100部、水274.4部、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル20部、及び濃度25%のアンモニア水5.6部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜95℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度25%の水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例8〕
ジメチルテレフタル酸155.3部、ジメチルイソフタル酸38.8部、エチレングリコール37.2部、ジエチレングリコール21.2部、プロピレングリコール76.1部、1,6−ヘキサンジオール23.6部、アクリル系重合体A(綜研化学株式会社製、品番アクトフローCBIB−1013、重量平均分子量10000、官能基種COOH、官能基数1)3.9部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製した。この溶液を常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した後、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液を260℃の温度下で徐々に減圧し、260℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で2時間保持することで重縮合反応を進行させ、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン140部、及びメチルエチルケトン140部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例9〕
ジメチルテレフタル酸155.3部、2,6−ナフタレンジメチルカルボン酸48.9部、エチレングリコール49.7部、1,4−ブタンジオール18.0部、ネオペンチルグリコール104.0部、アクリル系重合体B(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUTIB−1013、重量平均分子量10000、官能基種OH、官能基数1)16.3部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料から、実施例8と同じ手法によりポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン100部、及びメチルエチルケトン180部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例10〕
ジメチルテレフタル酸135.9部、ジメチルイソフタル酸19.4部、セバシン酸38.4部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸3.0部、エチレングリコール12.4部、1,6−ヘキサンジオール23.6部、ネオペンチルグリコール104.0部、シクロヘキサンジメタノール86.4部、アクリル系重合体B(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUTIB−1013、重量平均分子量10000、官能基種OH、官能基数1)2.0部、アクリル系重合体C(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUME−2005、重量平均分子量3000、官能基種OH、官能基数2)7.9部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料から、実施例8と同じ手法によりポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン170部、及びメチルエチルケトン110部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例11〕
ジメチルテレフタル酸106.8部、ジメチルイソフタル酸29.1部、エチレングリコール99.3部、1,4−ブタンジオール18.0部、1,6−ヘキサンジオール11.8部、ネオペンチルグリコール10.4部、アクリル系重合体C(綜研化学株式会社製、品番アクトフローUME−2005、重量平均分子量3000、官能基種OH、官能基数2)9.7部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製した。この溶液を常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した後、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液に無水トリメリット酸28.8部を添加し、更に250℃の温度下で徐々に減圧し、250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で30分間保持することで重縮合反応を進行させ、酸価53.5mgKOH/gのポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン220部、及びメチルエチルケトン60部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例12〕
ジメチルテレフタル酸116.5部、ジメチルイソフタル酸37.0部、セバシン酸20.2部、5−スルホン酸ナトリウムジメチルイソフタル酸3.0部、エチレングリコール49.7部、ジエチレングリコール10.6部、プロピレングリコール15.2部、1,4−ブタンジオール18.0部、ネオペンチルグリコール62.4部、シクロヘキサンジメタノール14.4部、アクリル系重合体D(綜研化学株式会社製、品番アクトフローNE−1000、重量平均分子量3000、官能基種Si(OCH、官能基数1)3.9部、及び触媒(シュウ酸チタンカリウム)0.1部を用意した。
これらの原料を反応器に入れて溶液を調製した。この溶液を常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した後、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この溶液に無水トリメリット酸19.2を添加し、更に250℃の温度下で徐々に減圧し、250℃、0.67hPa(0.5mmHg)の条件下で30分間保持することで重縮合反応を進行させ、酸価28.7mgKOH/gのポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン220部、及びメチルエチルケトン60部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例13〕
実施例8において、ポリエステル樹脂を得るための原料におけるアクリル系重合体Aの量を0.1部とした。それ以外は実施例8と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン140部、及びメチルエチルケトン140部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔実施例14〕
実施例9において、ポリエステル樹脂を得るための原料におけるアクリル系重合体Bの量を24.5部とした。それ以外は実施例9と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン100部、及びメチルエチルケトン180部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔比較例4〕
実施例8において、ポリエステル樹脂を得るための原料から、アクリル系重合体Aを除いた。それ以外は実施例8と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン140部、及びメチルエチルケトン140部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔比較例5〕
実施例9において、ポリエステル樹脂を得るための原料から、アクリル系重合体Bを除いた。それ以外は実施例9と同じ手法により、ポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン100部、及びメチルエチルケトン180部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
〔比較例6〕
実施例11において、ポリエステル樹脂を得るための原料から、アクリル系重合体Cを除いた。それ以外は実施例11と同じ手法により、酸価54.7mgKOH/gのポリエステル樹脂を得た。
このポリエステル樹脂120部、トルエン220部、及びメチルエチルケトン60部を、容器内に入れ、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下に2時間保持することで、ポリエステル樹脂濃度30%の非水性のポリエステル樹脂組成物を得た。
[評価試験]
各実施例及び比較例で得られたポリエステル樹脂組成物を、PETフィルム(東レ製、テトロンルミラー タイプT、厚み100μm)上に、バーコーターを用いて塗布し、150℃で5分間乾燥した後、60℃で2時間エイジング処理を施し、更に25℃、55%RHの雰囲気に10時間保持することで、厚み1μmのアンカーコート層を形成した。
このアンカーコート層の1インチ平方の領域に碁盤目数100個のクロスカットを施し、同じ領域に対して3回テープ剥離テストを実施し、剥離した碁盤目の個数により、アンカーコート層の密着性を評価した。
また、紫外線硬化性樹脂(日本ビー・ケミカル株式会社製、品番UT−1102)をPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)に、20質量%の濃度で溶解させて、コート剤を調製した。このコート剤をアンカーコート層の上にをバーコーターで塗布し、高圧水銀ランプから紫外線を積算光量300mJとなるようように照射して、厚み5μmのコート層を形成した。このコート層の密着性を、アンカーコート層の密着性と同様にして評価した。
Figure 0005572000

Claims (5)

  1. エステル形成性官能基を有する化合物からなる反応性原料のエステル化反応によって生成するポリエステル樹脂を含有し、前記反応性原料に、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基及びアルコキシシリル基から選択される1又は2個のみの官能基を有するアクリル系重合体が含まれているポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記アクリル系重合体の分子量が、500〜20000の範囲である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記反応性原料中の前記アクリル系重合体の量が、前記反応性原料から生成される前記ポリエステル樹脂全量に対して、0.1〜10質量%の範囲である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 更に水系溶媒を含有し、且つ前記反応性原料に、水溶性付与成分が含まれている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 更に非水系溶媒を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物。
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