JP6513381B2 - ポリエステル系樹脂組成物、及びポリエステル系水性液 - Google Patents

ポリエステル系樹脂組成物、及びポリエステル系水性液 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル系樹脂組成物、及びポリエステル系水性液に関し、更に詳しくは、ポリエステル系樹脂基材とハードコート層との接着性に優れ、更に高屈折率化に対応したポリエステル系樹脂組成物、及びポリエステル系水性液に関するものである。
従来からポリエステルフィルムは、包装材料、磁気カード、印刷材料等の産業上種々の分野で利用されている。上記ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性ポリエステルやこれらの共重合体に、必要に応じて他の樹脂を混合したものを、溶融押出して成形した後、二軸延伸し、熱固定したものが用いられている。このようなポリエステルフィルムは、機械強度、耐熱性、耐薬品性等の諸物性に優れている反面、その表面は高度に結晶配向されているため、例えば、塗料、接着剤、インク等との接着性に乏しいという問題がある。
このようなことから、従来、ポリエステルフィルムの表面に、ポリエステル系樹脂の水性液(溶液又は分散体)を塗布し成膜してなる被膜をプライマー層として設けることにより、塗料等との接着性を向上させることが行なわれている。
例えば、ポリエステルフィルムにハードコート層を積層したハードコートフィルムは硬度や耐擦傷性に優れ、光学用途等に利用されており、このハードコートフィルムにもポリエステルフィルムとハードコート層との間にプライマー層が設けられる。このような構成のフィルムでは、プライマー層の屈折率とポリエステルフィルム及びハードコート層の屈折率との差異に起因する虹彩状反射が発生し、視認性に支障をきたすという問題があった。
上記問題を解決する手段としては、例えば、フルオレン構造を有するポリオール成分を共重合することで屈折率を高めたポリエステル樹脂の被膜をプライマー層として形成する手法が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
しかしながら、特許文献1及び2に開示のポリエステル骨格から形成されるプライマー層はハードコート層との接着性が充分でなく、加えて、これらの高屈折率ポリエステル樹脂はガラス転移温度が高く硬い被膜となるため、ハードコート層との接着性がさらに不充分となる傾向があった。
ハードコート層との接着性を改善する手段として、エステル形成性官能基を有する化合物からなる反応性原料のエステル化反応によって生成するポリエステル樹脂を含有し、前記反応性原料にアクリル系重合体が含まれているポリエステル樹脂組成物も提案されている。かかるポリエステル樹脂組成物から形成されるプライマー層が、紫外線硬化性樹脂から形成されるハードコート層と基材との間に介在することで、紫外線硬化性樹脂から形成されるハードコート層の接着性を向上させることができる(例えば、特許文献3を参照。)。
特許文献3に開示のポリエステル樹脂組成物においては、ポリエステルフィルムとハードコート層との接着性の改善を目的としているが、かかるプライマー層は、高屈折率を有するものではないため、高屈折率を付与するために高屈折率モノマーの共重合量を増やすと、ガラス転移温度の上昇に伴いハードコート層との接着性が低下するおそれがある。さらに、特許文献3記載のポリエステル樹脂は、減圧下で重合を行うものであるが、アクリル系樹脂とポリエステル樹脂との相溶性不良のため減圧時に激しく発泡し、液面が急激に上昇し、重合が困難であるという問題もある。
また、近年ハードコート剤やそれに用いる希釈溶剤は多様化しており、特許文献3記載の樹脂組成物ではハードコート剤やその希釈溶剤の種類によっては接着性が充分でない場合があった。
特開2012−7154号公報 特開2009−242461号公報 特開2011−219545号公報
そこで、本発明は、このような背景下において、ポリエステル系樹脂基材と、例えば活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成されるハードコート層との接着性に優れ、更に高屈折率化に対応したポリエステル系樹脂組成物、及びポリエステル系水性液を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者らはかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなるポリエステル系樹脂[I]並びに架橋剤[II]を含有してなるポリエステル系樹脂組成物において、ポリエステル系樹脂[I]を構成する多価カルボン酸成分(B)として、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を含有することにより、ポリエステル系樹脂基材と、例えば活性エネルギー線硬化性組成物から形成されるハードコート層との接着性に優れるポリエステル系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなるポリエステル系樹脂[I]並びに架橋剤[II]を含有してなるポリエステル系樹脂組成物であり、多価カルボン酸成分(B)として、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を含有してなるポリエステル系樹脂組成物に関するものである。
更に本発明においては、前記ポリエステル系樹脂組成物が水性溶媒に溶解又は分散されてなるポリエステル系水性液をも提供するものである。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂基材と、例えば活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成されるハードコート層との接着性に優れた効果を有し、そのため、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材の上にハードコート層を設けるためのプライマー層として非常に有用なものである。更に、ポリエステル系樹脂基材やハードコート層との優れた接着性を有しつつ、高屈折率化をも達成しているため、本発明のポリエステル系樹脂組成物は視認性が要求される光学用途等においても大いに期待されるものである。
また本発明のポリエステル系水性液は、ポリエステル系樹脂基材やハードコート層との接着性に優れ、高屈折率を有するプライマー層などの被膜を成形するための材料として非常に有用なものである。
以下本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本明細書において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを意味するものであり、(メタ)アクリル系樹脂とは、アクリレート系モノマー及びメタクリレート系モノマーのうち1種以上を含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
《ポリエステル系樹脂組成物》
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂[I]及び架橋剤[II]を含有してなる。
(ポリエステル系樹脂[I])
ポリエステル系樹脂[I]は、ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)が共重合されてなる。
まず、ポリオール成分(A)について説明する。
〔ポリオール成分(A)〕
本発明で用いられるポリオール成分(A)は、1分子中に2個以上の水酸基を有する鎖式脂肪族炭化水素化合物、環式脂肪族又は芳香族炭化水素化合物からなる群から選ばれる1種又は2以上を含み、通常は二価アルコールを少なくとも含む。
ポリオール成分(A)の中でも、ハードコートとの接着性の点で1分子中に2個以上の水酸基を有する鎖式脂肪族炭化水素化合物を含有することが好ましく、特に数平均分子量が1, 000以上であるポリアルキレングリコール(a1)を含有することが好ましい。
かかるポリアルキレングリコール(a1)は、数平均分子量が1,000以上であることにより、ポリエステル系樹脂基材やハードコート層との接着性が良好となる。接着性が良好となる理由は明らかではないが、ある程度分子量の大きいポリアルキレングリコールが存在することにより、(i)適度な可とう性、柔軟性が付与される、(ii)アクリル系樹脂(C)部位との相分離構造を形成し、アクリル系樹脂(C)部位が部分的にハードコート層界面に配向する、(iii)ポリアルキレングリコールがリンカー的に働いてアクリル系樹脂(C)部位がハードコート層界面に配向する、等と推測される。
数平均分子量の範囲は、好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,200〜18,000であり、更に好ましくは1,500〜15,000であり、殊に好ましくは1,800〜12,000である。数平均分子量が小さすぎると、接着性が低下する傾向がある。なお、数平均分子量が大きすぎると、ポリエステル系樹脂[I]との相溶性が低下し、共重合が困難になったり均一な重合体が得られにくくなる傾向がある。
なお、数平均分子量は、JIS K0070に基づき無水酢酸ピリジン法によって求めた水酸基価(mgKOH/g)から下記式によって算出される。
[式]
2×1000×56.1÷水酸基価(mgKOH/g)
かかるポリアルキレングリコール(a1)の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙られる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂[I]に親水性を付与し、水分散体化をより容易にさせる点で、ポリエチレングリコールが好ましい。
本発明においては、1種又は2種以上のポリアルキレングリコールを用いることができ、例えば、アルキレン基の異なるポリアルキレングリコールや数平均分子量の異なるポリアルキレングリコールを併せて用いることができる。
ポリオール成分(A)におけるポリアルキレングリコール(a1)の含有量は、ポリオール成分(A)全体に対して、0.01〜10モル%であることが好ましく、特には0.05〜9モル%が好ましく、更には0.1〜8モル%が好ましく、殊には0.15〜5モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、接着性が低下する傾向があり、多すぎると屈折率、耐ブロッキング性、耐水性、接着性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、高屈折率で良好な外観の被膜を形成することができる点から、ポリオール成分(A)として、下記一般式(1)で示されるフルオレン系化合物(a2)を含有することが好ましい。
Figure 0006513381
式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられる。R、R、R及びRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、トリル基、o−キシリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
上記一般式(1)で示されるフルオレン系化合物(a2)において、Rとしては、好ましくはメチレン基、エチレン基が挙げられる。また、R、R、R及びRとしては、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基が挙げられ、特に水素原子が好ましい。そして、このフルオレン系化合物(a2)としては、入手し易さ等の観点から、ビスフェノキシエタノールフルオレン、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましく用いられる。フルオレン系化合物(a2)は1種または2種以上を用いることができる。
ポリオール成分(A)におけるフルオレン系化合物(a2)の含有量は、ポリオール成分(A)全体に対して、5〜99.99モル%であることが好ましく、特には20〜95モル%、更には30〜90モル%、殊には45〜85モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、充分な屈折率、耐ブロッキング性、耐水性が得られ難くなる傾向があり、多すぎると、水分散化が困難となったり、接着性が低下するだけでなく、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材へのポリエステル系水性液の塗布、乾燥時や該樹脂被膜付きポリエステルフィルムの延伸時にクラックが発生しヘイズが生じる傾向がある。
本発明においては、ポリオール成分(A)として、上記ポリアルキレングリコール(a1)及びフルオレン系化合物(a2)以外に、他の二価アルコールを更に含有していてもよい。
上記他の二価アルコールとしては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4′−チオジフェノール、4,4′−メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、o−,m−及びp−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ナフタレンジオール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール及びそれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体等が挙げられる。
これら他の二価アルコールの中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
これらの中でも、直鎖状の脂肪族ジオールであるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が、不必要なガラス転移温度の上昇を招かない点で、好ましく用いられる。特には、適度な可とう性と親水性を付与し、屈折率低下を抑え、更に高沸点を有しエステル化反応中に系外溜出を起こし難い点で、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましい。
ポリオール成分(A)における上記他の二価アルコールの含有量は、ポリオール成分(A)全体に対して、0.1〜95モル%であることが好ましく、特には5〜80モル%、更には10〜70モル%、殊には15〜55モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、重合が困難となったり、可とう性が失われ、接着性、水分散性が低下したり、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材へのポリエステル系水性液の塗布、乾燥時や該樹脂被膜付きポリエステルフィルムの延伸時にクラックが発生しヘイズが生じる傾向があり、多すぎると、屈折率、耐ブロッキング性、耐水性が低下する傾向がある。
また、本発明で用いられるポリオール成分(A)は、上記のポリオールの他に、三価以上の多価アルコール、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等を少量用いることができる。
〔多価カルボン酸成分(B)〕
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(B)は、二価以上の多価カルボン酸を含み、通常は二価カルボン酸を少なくとも含む。なお、これらの多価カルボン酸は、エステル体、クロライド、酸無水物等の構造であってもよい。
本発明においては、鎖延長剤としての機能、親水性付与剤としての機能、及びポリエステル系樹脂[I]中に後述の架橋剤[II]との反応点を形成する機能を有する点で、多価カルボン酸成分(B)として、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を含有する。
かかるカルボン酸無水物(b1)としては、少なくとも2つのカルボン酸無水物構造を有するものであればよく、カルボン酸二無水物等の無水物等が挙げられ、樹脂製造時にゲル化を招きにくい点や水性化の際の水分散性の点から、テトラカルボン酸二無水物が好ましい。
これらカルボン酸無水物(b1)の具体例としては、例えば、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−オキシジフタル酸二無水物、5−(2,5ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、中でも反応性がマイルドでゲル化を起こし難い点で、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等が好ましく用いられる。これらの中から選ばれる1種を単独で、もしくは2種以上を併せて用いることができる。
多価カルボン酸成分(B)におけるカルボン酸無水物(b1)の含有量は、多価カルボン酸成分(B)全体に対して、5〜50モル%であることが好ましく、特には10〜40モル%、更には12〜35モル%、殊には15〜30モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、生成されたポリエステル系樹脂[I]を水性溶媒に分散させる際の水分散化が困難となる傾向があり、多すぎると、ポリエステル系樹脂[I]の製造工程中にゲル化する傾向がある。
多価カルボン酸成分(B)は1種または2種以上を用いることができる。
多価カルボン酸成分(B)として、カルボン酸無水物(b1)以外に、他の多価カルボン酸成分(B)、例えば、二価カルボン酸を含有していても良い。
上記二価カルボン酸としては、例えば、
テレフタル酸、イソフタル酸、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸;
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;
等が挙げられる。
また、更にナフタレンジカルボン酸を含有していてもよく、ナフタレンジカルボン酸としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。これらナフタレンジカルボン酸の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。入手のしやすさから、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルが好ましい。
また、水分散性を向上させる目的で、スルホン酸塩基を有する多価カルボン酸を少量含有していてもよく、例えば、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩が挙げられる。スルホン酸塩基を有するこれら多価カルボン酸の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。入手のしやすさから、5−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸ジメチル及びそのアルカリ金属塩が好ましい。
これらの多価カルボン酸の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
これらの中でも、接着性、耐加水分解性、屈折率の点で、芳香族ジカルボン酸が好ましく、接着性の点で、中でも特にテレフタル酸、イソフタル酸、及びそれらのエステルが好ましい。
多価カルボン酸成分(B)における二価カルボン酸の含有量は、多価カルボン酸成分(B)全体に対して、50〜95モル%であることが好ましく、特には60〜90モル%、更には65〜88モル%、殊には70〜85モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、耐水性が低下したり、製造工程中にゲル化したりする傾向があり、多すぎると、水分散化が困難となる傾向がある。
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(B)は、上記の各種二価カルボン酸の他に、ポリエステル系樹脂[I]中に分岐点を増やす目的で、三価以上の多価カルボン酸を少量用いることができる。例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、アダマンタントリカルボン酸、トリメシン酸等も使用することができる。
〔エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)〕
本発明で用いられるアクリル系樹脂(C)は、エステル結合を形成しうる官能基を有するアクリル系樹脂であり、接着性の点でアクリル系樹脂の側鎖に官能基を有するものが好ましい。アクリル系樹脂(C)におけるかかる官能基の含有量は、下記式で表される値が2以上であることが好ましく、特には2〜60、更には2.1〜25、殊には2.2〜20であることが好ましい。なお、官能基含有量が多すぎるとゲル化する傾向がある。
[式]
アクリル系樹脂1g当たりの官能基モル数×重量平均分子量
また、かかる官能基としては、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、中でも接着性の点で、カルボキシル基、水酸基、グリシジル基が好ましく、特にはゲル化を招きにくい点でカルボキシル基が好ましい。
すなわち、エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)としては、例えば、カルボキシル基含有アクリル系樹脂(c1)、水酸基含有アクリル系樹脂(c2)、グリシジル基含有アクリル系樹脂(c3)又はアルコキシシリル基含有アクリル系樹脂(c4)であることが挙げられ、中でも接着性の点で、カルボキシル基含有アクリル系樹脂(c1)、水酸基含有アクリル系樹脂(c2)、グリシジル基含有アクリル系樹脂(c3)が好ましく、特にはゲル化を招きにくい点でカルボキシル基含有アクリル系樹脂(c1)が好ましい。
本発明において、アクリル系樹脂(C)の含有量は、上記のポリエステル系樹脂[I]全体に対して、3〜30重量%であることが好ましく、更には4〜25重量%、特には5〜20重量%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、接着性が低下する傾向があり、多すぎると、ゲル化したり、屈折率が低下する傾向がある。
本発明において、アクリル系樹脂(C)の組成は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の炭素数が1〜8のアルキル鎖を有する(メタ)アクリルモノマーを重合成分の主成分とし、更に上記のエステル形成性官能基を有するモノマーを重合成分として構成されたものが好ましく、特には炭素数1〜6のアルキル鎖を有する(メタ)アクリルモノマーを重合成分の主成分とし、更に上記のエステル形成性官能基を有するモノマーを重合成分として構成されたものが望ましい。なお、(メタ)アクリルモノマーにおけるアルキル鎖の炭素数が大きすぎると水分散性や耐溶剤性が低下する傾向がある。
また接着性の点から、共重合成分としてスチレンは少ない方が好ましく、スチレンの共重合量はアクリル系樹脂(C)全体に対して50モル%以下であることが好ましく、特には20モル%以下、更には5モル%以下、殊には0モル%であることが好ましい。
本発明において、アクリル系樹脂(C)の重量平均分子量は、500〜30,000が好ましく、特には1,000〜20,000、更には1,500〜15,000が好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、アクリル系樹脂(C)の末端二重結合濃度が高いためゲル化しやすく、また接着性が低下する傾向があり、重量平均分子量が大きすぎると、水分散化が困難となったり、ポリエステル系樹脂[I]との相溶性が低下し、共重合が困難になったり均一な樹脂が得られ難くなる傾向がある。
なお、重量平均分子量はGPC分析を行い、ポリスチレン換算によって求めることができる。
アクリル系樹脂(C)のガラス転移温度は、−85℃〜100℃が好ましく、特には−70℃〜80℃、更には−60℃〜70℃が好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、水分散性や耐溶剤性が低下する傾向があり、大きすぎると、接着性が低下したり、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材へのポリエステル系水性液の塗布、乾燥時や該樹脂被膜付きポリエステルフィルムの延伸時にクラックが発生しヘイズが生じる傾向がある。
なお、ガラス転移温度は示差走査熱量計によって求めることができる。
〔ポリエステル系樹脂[I]の製造方法〕
本発明で用いられるポリエステル系樹脂[I]は、上記ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなるものであり、かかるエステル系樹脂の製造方法については、例えば、
(i)ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなる水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)で鎖延長させる方法や、
(ii)ポリオール成分(A)及び多価カルボン酸成分(B)からなるポリエステルポリオールを、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)で鎖延長させた後、エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)を反応させる方法
等がある。
(i)の方法について説明する。
まず、所定量のポリオール成分(A)、カルボン酸無水物(b1)を除く多価カルボン酸成分(B)、及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)を無溶媒で混合する。このとき、ポリオール成分(A)とカルボン酸無水物(b1)を除く多価カルボン酸成分(B)との比率(モル比)は、多価カルボン酸成分(B)1モルに対してポリオール成分(A)を1.1〜2モルとすることが好ましい。但し、かかる範囲に限定されず、反応によって適宜調整することができる。
この混合物を適宜の反応器に仕込み、通常170〜250℃に加熱することにより、副生成物である水又はメタノールを留去しながら、エステル化反応又はエステル交換反応を進行させて、水酸基含有プレポリマーを生成する。なお、アクリル系樹脂(C)は後述のカルボン酸無水物(b1)による鎖延長後に配合してもよい。
更に、ポリオール成分(A)、カルボン酸無水物(b1)を除く多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなる水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)で鎖延長させることにより、ポリエステル系樹脂[I]を得ることができる。
上記ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)から得られた水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)で鎖延長させるに際して、反応は室温でも進行させることができるが、通常、230℃以下、好ましくは150〜210℃、特に好ましくは165〜200℃から開始することができる。したがって、上記反応に際して溶剤は必ずしも必要ではないが、そのような温度における反応物の粘度が高過ぎる場合には、撹拌し易くするために適宜適当な溶剤を使用することができる。
かかる溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、プソイドクメン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のグリコールエーテル系溶剤、及びそれらのアセテート溶剤等が挙げられる。
上記反応は、通常、常圧下、温度150〜210℃で0.2〜4時間かけて反応を進行させることが好ましい。特に好ましくは、常圧下、温度165〜200℃で0.5〜3時間かけて反応を進行させる。
(ii)の方法について説明する。
ポリオール成分(A)及び多価カルボン酸成分(B)からなるポリエステルポリオールを得るに際しては、公知の方法により行うことができる。
更に、得られたポリエステルポリオールに、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を加え、上述と同様の条件で鎖延長した後、アクリル系樹脂(C)を配合し、更に165〜200℃で0.2〜3時間かけて反応を進行させることができる。
上記の(i)や(ii)の方法において、反応に際しては、適宜、エステル化触媒、エステル交換触媒、その他重合触媒等を配合することができ、例えば、テトラブトキシチタンを用いることができる。また、その他の安定剤等の種々の添加剤を用いても良い。
かくして、上述の方法により塊状のポリエステル系樹脂[I]が得られる。
このようにして得られるポリエステル系樹脂[I]の重量平均分子量は、好ましくは2,000〜60,000、特に好ましくは3,500〜50,000、更に好ましくは5,000〜40,000である。ポリエステル系樹脂[I]の重量平均分子量が大きすぎると、水性液、特に水分散体の調製が困難となる傾向があり、他成分との相溶性が低下する傾向もある。また、重量平均分子量が小さすぎると、かかる樹脂の水性液を用いてポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材上にプライマー層などの被膜を形成した場合、被膜の強靭性や耐湿熱性が低下する傾向がある。
なお、本発明において重量平均分子量は、例えば、GPC分析を行い、ポリスチレン換算によって求めることができる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂[I]のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは40〜140℃であり、特に好ましくは50〜120℃であり、更に好ましくは60〜105℃である。ガラス転移温度が高すぎると、接着性が低下したり、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材上へのポリエステル系水性液の塗布、乾燥時や該樹脂被膜付きポリエステルフィルムの延伸時にクラックが発生しヘイズが生じる傾向がある。また、ガラス転移温度が低すぎると、耐熱性、耐ブロッキング性、屈折率が低下する傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂[I]のガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量計を用い測定することができる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂[I]の酸価は、好ましくは15〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは20〜100mgKOH/gであり、更に好ましくは30〜80mgKOH/gである。酸価が高すぎると、耐水性や水分散体の経時安定性が低下する傾向があり、また低すぎると、水分散化が困難となる傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂[I]の酸価は、例えばJIS K0070に基づき中和滴定により求めることができる。
本発明に用いられるポリエステル系樹脂[I]の屈折率は、好ましくは1.56以上であり、特に好ましくは1.57〜1.64であり、更に好ましくは1.58〜1.63であり、殊に好ましくは1.58〜1.62である。屈折率が高すぎると、ガラス転移温度が高くなりすぎ、ポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材上へのポリエステル系水性液の塗布、乾燥時や該樹脂被膜付きポリエステルフィルムの延伸時にクラックが発生しヘイズが生じる傾向があり、また低すぎると、ハードコート層の積層時に虹彩状反射が発生し、視認性に支障をきたす傾向がある。
なお、ここで言う屈折率とは、25℃におけるD線(589nm)に対する屈折率である。
上記ポリエステル系樹脂[I]の屈折率は、例えば、アッベ屈折計を用い測定することができる。
(架橋剤[II])
本発明における架橋剤[II]としては、ポリエステル系樹脂[I]に含まれる官能基と反応性を有する官能基を含有する化合物であればよく、例えば、カルボキシル基と反応性を有する官能基を含有する化合物が用いられる。
かかる架橋剤[II]としては、例えば、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アミノ基、又はイソシアネート基を有する化合物、金属系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物等が挙げられる。中でもエポキシ基、オキサゾリン基又はカルボジイミド基を有する化合物又はメラミン系化合物が好ましく、更にはエポキシ基又はオキサゾリン基を有する化合物 が好ましい。
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−611」、「デナコールEX−612」、「デナコールEX−614」、「デナコールEX−614B」、「デナコールEX−622」等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−512」、「デナコールEX−521」等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−411」等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−421」等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−313」、「デナコールEX−314」等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−321」等)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−201」等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−211」等)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−212」等)、ヒドロゲネイティッドビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−252」等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−810」、「デナコールEX−811」等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−850」、「デナコールEX−851」等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−821」、「デナコールEX−830」、「デナコールEX−832」、「デナコールEX−841」、「デナコールEX−861」等)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−911」等)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−941」、「デナコールEX−920」、「デナコールEX−931」等が挙げられる。中でも、水性タイプのものが好適である。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2位の炭素位置に不飽和炭素−炭素結合をもつ置換基を有する付加重合性2−オキサゾリン(例えば2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)と他の不飽和単量体との共重合体等が挙げられ、市販品として、日本触媒社製の「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」等が挙げられる。
カルボジイミド基を有する化合物としては、カルボジイミド基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば、日清紡社製の「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトV−06」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトE−04」等が挙げられる。
アミノ基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4' −ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物及びそのブロックイソシアネート化合物、「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」(日本ポリウレタン社製)の如き自己乳化型の水分散ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。中でも、水分散タイプ及びブロックイソシアネート化合物が好適である。
金属系化合物としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプロピオネート等の金属アルコキシドや、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル、エチレンジアミン四酢酸配位化合物の金属キレート化合物等や、酢酸−アンモニウム錯塩、アンモニウム−カーボネート錯塩等が挙げられる。中でも水性タイプのものが好適である。
アジリジン系化合物としては、アジリジン基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば「ケミタイトPZ−33」、「ケミタイトDZ−22E」(日本触媒社製)等が挙げられる。
メラミン系化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミンや、三和ケミカル社製の「ニカラックMW−30M」、「ニカラックMW−30」、「ニカラックMW−22」、「ニカラックMS−11」、「ニカラックMS−011」、「ニカラックMX−730」、「ニカラックMX−750」、「ニカラックMX−706」、「ニカラックMX−035」等のメチル化メラミン樹脂、「ニカラックMX−45」、「ニカラックMX−410」等の混合エーテル化メラミン樹脂等が挙げられる。
架橋剤[II]は、これらの中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
上記架橋剤[II]の含有量は、ポリエステル系樹脂[I]中に含まれる官能基の量、ポリエステル系樹脂[I]の分子量、用途目的により適宜選択できるが、通常は、ポリエステル系樹脂[I]100重量部に対して、1〜40重量部であることが好ましく、特に3〜30重量部、更には5〜25重量部であることが好ましい。
かかる含有量が多すぎても少なすぎても接着性が低下する傾向がある。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂[I]及び架橋剤[II]を含有してなるものであり、液状、顆粒状、粉末状などの様々な形態を採り得る。
本発明のポリエステル系樹脂組成物には、必要に応じて、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤、熱安定剤、ガラス繊維、無機・有機充填剤、色料、難燃剤、軟化剤、分散剤、湿潤剤、乳化剤、ゲル化剤、消泡剤、他の熱可塑性樹脂等を、本発明の効果を損なわない程度に、含有させることができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、フィルム、シート、カップ等の成形品、接着剤、塗料、コーティング剤等として利用することができる。
《ポリエステル系水性液》
本発明のポリエステル系水性液は、上記のようにして得られたポリエステル系樹脂組成物が水性溶媒に溶解又は分散されてなるものである。以下、水性溶媒に溶解又は分散させることを「水溶解又は水分散」と表記する。
通常、水溶解又は水分散させポリエステル系水性液とするには、ポリエステル系樹脂[I]を中和剤で中和して水性溶媒に溶解又は分散させ、架橋剤[II]と配合し、ポリエステル系水性液とする方法が好ましい。その他にも、ポリエステル系樹脂[I]と架橋剤[II]を配合した樹脂組成物を水溶解又は水分散してポリエステル系水性液とする方法や、架橋剤[II]を水分散させたものをポリエステル系樹脂[I]に配合して水性液とする方法もある。
中和剤としては、ポリエステル系樹脂[I]のカルボキシル基を中和することができるものであれば特に限定されず、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリム等の金属水酸化物;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の有機アミン;及びアンモニア等が挙げられる。これら中和剤の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
これら中和剤の中でも乾燥により被膜を得る際に揮散させやすく、得られる被膜の耐水性という点で、沸点が150℃以下のものであることが好ましい。特に、汎用性が高く、低沸点であり、乾燥時の揮散が容易な点から、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミンが好ましく、ポリエステル系樹脂[I]の分散安定性に特に優れる点でトリエチルアミン、アンモニアが特に好ましい。
前記水性溶媒としては、水または水に適宜の親水性有機溶媒を混合したものを挙げることができる。前記親水性有機溶媒としては、例えば、アセトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等のグリコールエーテル類など、水と混合可能なものが挙げられる。特に、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、イソプロピルアルコールを用いることが好ましい。親水性有機溶媒を用いる場合には、そのポリエステル系水性液の全体に対する割合は適宜設定される。例えば、0〜20重量%の範囲と設定することができるが、水性液全体に対する親水性有機溶媒の割合は上記範囲に限定されるものではない。これら水性溶媒の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
また、このポリエステル系水性液には、必要に応じて、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤を配合することができる。界面活性剤を配合することによって、ポリエステル系水性液をポリエステルフィルム等のポリエステル系樹脂基材に塗布成膜する際のポリエステル系樹脂基材への濡れ性を向上させることができる。界面活性剤としては適宜のものを用いることができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等を挙げることができる。これら界面活性剤の中から選ばれる1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
また、このポリエステル系水性液には、更に必要に応じて、耐電防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤等を配合しても良い。
このポリエステル系水性液の固形分の濃度は、ポリエステル系樹脂[I]の良好な分散性を確保すると共に塗布成膜により良好な被膜を形成することができるように適宜調整され、例えば、5〜30重量%が好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。
次に、本発明のポリエステル系水性液を用いて、プライマー層として機能する被膜がポリエステルフィルムの表面に形成された被膜付きポリエステルフィルムについて説明する。
ポリエステル系水性液をポリエステルフィルムに塗布し、加熱乾燥することにより成膜して、被膜付きポリエステルフィルムを得ることができる。この被膜付きポリエステルフィルムには、更に延伸加工を施しても良い。
ポリエステルフィルムとしては、従来公知の適宜のものを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、これらに他の共重合成分を共重合させたコポリマー等からなるフィルムを挙げることができる。このポリエステルフィルムは、未延伸のものと、延伸したもののいずれでも良いが、延伸フィルムを用いることが好ましく、特に二軸延伸フィルムを用いることが望ましい。
このポリエステルフィルムは、従来公知の適宜の手法で製造されたものを用いることができる。例えば、原料となるポリエステルを溶融してシート状に押出し、冷却ドラムで冷却することにより、未延伸のポリエステルフィルムを得ることができる。
また、この未延伸のポリエステルフィルムを一軸方向または二軸方向に延伸した後、熱固定し、更に必要に応じて熱弛緩処理を施すことで一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムを得ることができる。
ポリエステルフィルムへのポリエステル系水性液の塗布成膜には適宜の手法を採用し得る。このとき、例えば、未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムの一面又は両面に、ポリエステル系水性液を、キスコート、リバースコート、グラビアコート、ダイコート等の適宜の手法で塗布し、加熱乾燥して成膜した後、このフィルムを延伸して二軸延伸フィルムとすることができる。また、二次延伸フィルムに、ポリエステル系水性液を適宜の手法で塗布し、加熱乾燥して成膜することもできる。このときのポリエステル系水性液の塗布量は適宜設定され、例えば、乾燥塗膜の厚みは、0.01〜5μmが好ましく、特には0.01〜2μm、更には0.01〜1μm、殊には0.05〜0.15μmの範囲となるようにすることが好ましい。
このようにして得られる被膜付きポリエステルフィルムは、ポリエステル系樹脂基材と、例えば活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成されるハードコート層との接着性に優れ、高屈折率を有するプライマー層などの被膜を成形するための材料として非常に有用なものである。したがって、被膜付きポリエステルフィルムは、光学用途に用いた場合にも良好な視認性を有するものである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」及び「部」とあるのは重量基準を意味する。
〔製造例1〕
<ポリエステル系樹脂[I−1]の製造>
テレフタル酸ジメチル570部(0.294モル)、イソフタル酸ジメチル558部(0.287モル)、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム17部(0.006)、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン2574部(0.587モル)、ジエチレングリコール221部(0.208モル)、数平均分子量2,000のポリエチレングリコール94部(0.005モル)、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂「UC−3510」(東亞合成株式会社製、酸価80mgKOH/g、重量平均分子量2,000、ガラス転移温度−56℃)458部、触媒としてテトラブトキシチタン0.7部、酢酸亜鉛二水和物0.5部、重合禁止剤としてターシャリーブチルカテコール4.6部をエステル交換反応器に仕込み、窒素雰囲気下、180℃から250℃まで2時間かけて昇温し、メタノールの溜出が終了するまで250℃でエステル交換反応を行った。
次いで、180℃まで冷却した後、カルボン酸無水物として5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物465部(0.176モル)を仕込み、常圧下、180℃で1.5時間反応を行うことで鎖延長を進行させ、ポリエステル系樹脂[I−1]を得た。このポリエステル系樹脂の組成を表1に示す。
なお、表1中、ポリオール成分(A)及び多価カルボン酸成分(B)の欄における各化合物の数値は、成分(A)又は成分(B)に対する化合物のモル分率を表し、エステル形成性官能基含有アクリル系樹脂(C)の欄における化合物の数値は、ポリエステル系樹脂全体に対するアクリル系樹脂(C)の含有量(重量%)を示す。
〔製造例2〜5〕
<ポリエステル系樹脂[I−2]〜[I−5]の製造>
表1に示すとおり、共重合成分及びその割合を変更する以外は製造例1と同様の操作を行って、ポリエステル系樹脂[I−2]〜[I−5]を製造した。
〔製造例6〕
<ポリエステル系樹脂[I−6]の製造>
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル863部(0.353モル)、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム615部(0.208モル)、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン2066部(0.471モル)、エチレングリコール383部(0.617モル)、数平均分子量2,000のポリエチレングリコール673部(0.034)、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂「UC−3510」(東亞合成株式会社製、酸価80mgKOH/g、重量平均分子量2,000)432部、触媒としてテトラブトキシチタン0.7部、酢酸亜鉛二水和物0.5部、重合禁止剤としてターシャリーブチルカテコール4.3部をエステル交換反応器に仕込み、窒素雰囲気下、180℃から240℃まで2時間かけて昇温し、メタノールの溜出が終了するまで240℃でエステル交換反応を行った。
次いで、240℃のまま系内を徐々に減圧し、重縮合反応を進行させようとしたが、減圧開始直後から発泡が著しく、液面が急激に上昇したため重縮合反応を行うことができなかった。そのため、これ以上の評価は行わなかった。
Figure 0006513381
表1に示す略称は、下記の化合物を表す。
BPEF:ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
DEG:ジエチレングリコール
PEG−0.6K:数平均分子量600のポリエチレングリコール
PEG−2K:数平均分子量2,000のポリエチレングリコール
PEG−3.4K:数平均分子量3,400のポリエチレングリコール
DMT:テレフタル酸ジメチル
DMI:イソフタル酸ジメチル
SIPM:5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム
SuAn:無水コハク酸
B−4400:5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物
UC−3000:カルボキシル基を有するアクリル系樹脂「UC−3000」(東亞合成株式会社製、酸価86mgKOH/g、重量平均分子量10,000、ガラス転移温度66℃、官能基含有量15.3)
UC−3510:カルボキシル基を有するアクリル系樹脂「UC−3510」(東亞合成株式会社製、酸価80mgKOH/g、重量平均分子量2,000、ガラス転移温度−56℃、官能基含有量2.9)
なお、官能基含有量は下記の式に従って算出した。
[式]
アクリル系樹脂1g当たりの官能基モル数×重量平均分子量
このようにして得られたポリエステル系樹脂[I−1]〜[I−5]の物性を下記方法に従って測定し、その結果を表2に示す。
〔ガラス転移温度(Tg)〕
TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定した。
〔酸価〕
ポリエステル系樹脂0.5gを7/3(トルエン/メタノール)のトルエンとメタノールの混合溶媒に溶解し、JIS K0070に基づき中和滴定により求めた。
〔重量平均分子量〕
東ソー社製のHLC−8320を用いてGPC測定を行い、ポリスチレン換算から求めた。
〔屈折率〕
アタゴ社製のアッベ屈折系DR−M4を用いて25℃におけるD線(589nm)に対する屈折率を測定した。
Figure 0006513381
〔実施例1〜5及び比較例1〜5〕
<ポリエステル系水性液の調製>
製造例1〜5で得られたポリエステル系樹脂[I−1]〜[I−5]について、ポリエステル系樹脂70部、水823部、イソプロピルアルコール100部、25%アンモニア水7部を反応器に仕込み、90℃に昇温し攪拌しながら溶解させ、固形分濃度7%(重量%)のポリエステル系樹脂水性液(水分散体)を調製した。
このようにして得られたポリエステル系樹脂水性液に、表3に示す割合で架橋剤を配合し、実施例1〜5及び比較例1〜5のポリエステル系水性液を得た。
なお、表3中、ポリエステル系樹脂及び架橋剤の重量部の欄における数値は、ポリエステル系樹脂の固形分量及び架橋剤の有効成分量に換算した値を表す。
表3に示す架橋剤II−1及びII−2は以下のものを示す。
II−1:エポキシ系架橋剤「デナコールEX−810」(ナガセケムテックス社製)
II−2:オキサゾリン系架橋剤「エポクロスWS−700」(日本触媒社製)
このようにして得られたポリエステル系水性液を用い、下記の方法に従ってハードコート層との接着性評価を行った。その結果を表3に示す。
〔接着性〕
実施例及び比較例にて得られたポリエステル系水性液をPETフィルム(東レ社製、ルミラーT60、厚み100μm)上にバーコーターNo.6にて塗布し、150℃で3分間乾燥させることで、厚み1μmのプライマー層を形成した。
次に、下記に示す配合成分からなる紫外線硬化型樹脂組成物を上記プライマー層の上にバーコーターNo.10を用いて塗布し、60℃で3分間乾燥させた。続いて塗布面から13cmの高さにセットした80W/cmの照射強度を有するメタルハライドランプを用いて紫外線を450mJ/cmで照射することで紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させ、厚み3.5μmのハードコート層形成した。
<紫外線硬化型樹脂組成物>
下記のハードコート用ウレタンアクリレート化合物を含有する混合物:220部
イソプロピルアルコール:725部
メチルイソブチルケトン:55部
光重合開始剤「Irgacure−184」(チバ・スペシャリティケミカルズ社製):8.8部
(ハードコート用ウレタンアクリレート化合物含有混合物)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート15g(0.07モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(水酸基価116mgKOH/g)85g、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.06g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート系化合物51.1g(重量平均分子量は1,200)、ペンタエリスリトールトリアクリレート16.3g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート32.6gの混合物を得た。
このようにして形成したハードコート層に1mmのクロスカットを100個入れ、その上にニチバン社製のセロテープ(登録商標)を貼り付け、テープ上をプラスチック消しゴムで擦って十分に密着させた後、90°方向に急速に剥離し、ハードコート層が残存した個数により接着性評価を行った。◎及び○を接着性良好とした。
◎:98/100以上(残存個数/測定個数)
○:85/100以上、98/100未満
△:60/100以上、85/100未満
×:60/100未満
Figure 0006513381
上記結果から、エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)及びカルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を含有するポリエステル系樹脂[I]と架橋剤[II]からなる実施例1〜5のポリエステル系水性液は、高屈折率、高ガラス転移温度でありながら、ポリエステル系樹脂基材とハードコート層との接着性が良好であることがわかる。
これに対して、架橋剤[II]を含有しない比較例1、2、3、エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)を含まない比較例4、エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)及び架橋剤[II]を共に含まない比較例5では、ポリエステル系樹脂基材とハードコート層との接着性が不十分であった。また、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を含有しないポリエステル系樹脂は、重縮合時減圧開始直後から発泡が著しく、液面が急激に上昇したため製造すること自体ができなかった。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、ハードコート層等を積層するポリエステルフィルムのプライマーとして好適に用いることができる。本発明のポリエステル系樹脂組成物は、特に、高屈折率を維持しながらポリエステル系樹脂基材とハードコート層との接着性を確保できるため、虹彩状反射を抑制することができ、視認性・意匠性が要求される用途に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなるポリエステル系樹脂[I]並びに架橋剤[II]を含有してなるポリエステル系樹脂組成物であり、
    多価カルボン酸成分(B)として、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)を含有することを特徴とするポリエステル系樹脂組成物。
  2. ポリエステル系樹脂[I]が、ポリオール成分(A)、多価カルボン酸成分(B)及びエステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)からなる水酸基含有プレポリマーを、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)で鎖延長させてなるものであることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系樹脂組成物。
  3. ポリエステル系樹脂[I]が、ポリオール成分(A)及び多価カルボン酸成分(B)からなるポリエステルポリオールを、カルボン酸無水物構造を2つ以上有するカルボン酸無水物(b1)で鎖延長させた後、エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)を反応させてなるものであることを特徴とする請求項1記載のポリエステル系樹脂組成物。
  4. ポリオール成分(A)として、数平均分子量1,000〜20,000のポリアルキレングリコール(a1)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
  5. ポリオール成分(A)全体に対して、数平均分子量1,000〜20,000のポリアルキレングリコール(a1)を0.01〜10モル%含有することを特徴とする請求項4記載のポリエステル系樹脂組成物。
  6. ポリオール成分(A)として、下記一般式(1)で示されるフルオレン系化合物(a2)を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
    Figure 0006513381
    〔式(1)中、Rは炭素数1〜5のアルキレン基、R、R、R及びRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。〕
  7. エステル形成性官能基を有するアクリル系樹脂(C)が、カルボキシル基含有アクリル系樹脂(c1)、水酸基含有アクリル系樹脂(c2)、グリシジル基含有アクリル系樹脂(c3)又はアルコキシシリル基含有アクリル系樹脂(c4)であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
  8. ポリエステル系樹脂[I]の屈折率が1.56以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
  9. 架橋剤[II]が、カルボキシル基と反応性を有する官能基を含有するものであることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
  10. 架橋剤[II]が、メラミン系化合物、又はエポキシ基、オキサゾリン基もしくはカルボジイミド基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10いずれか記載のポリエステル系樹脂組成物が、水性溶媒に溶解又は分散されてなることを特徴とするポリエステル系水性液。
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